付録C 完全なディスクイメージ
メインのオーバークラウドイメージは、フラットパーティションイメージです。これは、パーティション情報またはブートローダーがイメージ自体に含まれていないことを意味します。director は、ブート時には別のカーネルおよび ramdisk を使用し、オーバークラウドイメージをディスクに書き込む際に基本的なパーティションレイアウトを作成します。ただし、パーティションレイアウト、ブートローダー、および強化されたセキュリティー機能が含まれる完全なディスクイメージを作成することができます。
以下のプロセスでは、director のイメージビルド機能を使用します。Red Hat では、本項に記載の指針に従ってビルドされたイメージのみをサポートしています。これらとは異なる仕様でビルドされたカスタムイメージはサポートされていません。
セキュリティーが強化されたイメージには、セキュリティーが重要な機能となる Red Hat OpenStack Platform のデプロイメントに必要な追加のセキュリティー対策が含まれます。イメージをセキュアにするためには、以下のような推奨事項があります。
-
/tmp
ディレクトリーを別のボリュームまたはパーティションにマウントし、rw
、nosuid
、nodev
、noexec
、およびrelatime
のフラグを付ける。 -
/var
、/var/log
、および/var/log/audit
ディレクトリーを別のボリュームまたはパーティションにマウントし、rw
およびrelatime
のフラグを付ける。 -
/home
ディレクトリーを別のパーティションまたはボリュームにマウントし、rw
、nodev
、relatime
のフラグを付ける。 GRUB_CMDLINE_LINUX
の設定に以下の変更を加える。-
監査を有効にするには、
audit=1
を追加して、追加のカーネルブートフラグを付けます。 -
nousb
を追加して、ブートローダー設定を使用した USB のカーネルサポートを無効にします。 -
crashkernel=auto
を設定して、セキュアでないブートフラグを削除します。
-
監査を有効にするには、
-
セキュアでないモジュール (
usb-storage
、cramfs
、freevxfs
、jffs2
、hfs
、hfsplus
、squashfs
、udf
、vfat
) をブラックリストに登録して、読み込まれないようにする。 -
セキュアでないパッケージ (
kexec-tools
によりインストールされたkdump
およびtelnet
) がデフォルトでインストールされるので、それらをイメージから削除する。 -
セキュリティーに必要な新しい
screen
パッケージを追加する。
セキュリティーが強化されたイメージを構築するには、以下の手順を実行する必要があります。
- ベースの Red Hat Enterprise Linux 7 イメージをダウンロードする
- 登録固有の環境変数を設定する
- パーティションスキーマとサイズを変更してイメージをカスタマイズする
- イメージを作成する
- そのイメージをデプロイメントにアップロードする
以下の項では、これらのタスクを実行する手順について詳しく説明します。
C.1. ベースのクラウドイメージのダウンロード
完全なディスクイメージを構築する前に、ベースとして使用する Red Hat Enterprise Linux の既存のクラウドイメージをダウンロードする必要があります。Red Hat カスタマーポータルにナビゲートして、ダウンロードする KVM ゲストイメージを選択します。たとえば、最新の Red Hat Enterprise Linux の KVM ゲストイメージは以下のページにあります。