9.5. オーバークラウドのプロバイダーネットワークの作成
プロバイダーネットワークは、デプロイしたオーバークラウドの外部に存在するネットワークに物理的に接続されたネットワークです。これは、既存のインフラストラクチャーネットワークや、Floating IP の代わりにルーティングによって直接インスタンスに外部アクセスを提供するネットワークを使用することができます。
プロバイダーネットワークを作成する際には、ブリッジマッピングを使用する物理ネットワークに関連付けます。これは、Floating IP ネットワークの作成と同様です。コンピュートノードは、仮想マシンの仮想ネットワークインターフェイスをアタッチされているネットワークインターフェイスに直接接続するため、プロバイダーネットワークはコントローラーとコンピュートの両ノードに追加します。
たとえば、使用するプロバイダーネットワークが br-ex ブリッジ上の VLAN の場合には、以下のコマンドを使用してプロバイダーネットワークを VLAN 201 上に追加します。
$ source ~/overcloudrc (overcloud) $ openstack network create provider_network --provider-physical-network datacentre --provider-network-type vlan --provider-segment 201 --share
このコマンドにより、共有ネットワークが作成されます。また、--share
と指定する代わりにテナントを指定することも可能です。そのネットワークは、指定されたテナントに対してのみ提供されます。プロバイダーネットワークを外部としてマークした場合には、そのネットワークでポートを作成できるのはオペレーターのみとなります。
Neutron が DHCP サービスをテナントのインスタンスに提供するように設定するには、プロバイダーネットワークにサブネットを追加します。
(overcloud) $ openstack subnet create provider-subnet --network provider_network --dhcp --allocation-pool start=10.9.101.50,end=10.9.101.100 --gateway 10.9.101.254 --subnet-range 10.9.101.0/24
他のネットワークがプロバイダーネットワークを介して外部にアクセスする必要がある場合があります。このような場合には、新規ルーターを作成して、他のネットワークがプロバイダーネットワークを介してトラフィックをルーティングできるようにします。
(overcloud) $ openstack router create external (overcloud) $ openstack router set --external-gateway provider_network external
このルーターに他のネットワークを接続します。たとえば、subnet1
という名前のサブネットがある場合には、以下のコマンドを実行してルーターに接続することができます。
(overcloud) $ openstack router add subnet external subnet1
これにより、subnet1
がルーティングテーブルに追加され、subnet1
を使用するトラフィックをプロバイダーネットワークにルーティングできるようになります。