8.12. 事前にプロビジョニングされたノードのスケーリング
事前にプロビジョニングされたノードをスケーリングするプロセスは、12章オーバークラウドノードのスケーリングに記載する標準のスケーリング手順と類似しています。ただし、事前にプロビジョニングされたノードを新たに追加するプロセスは異なります。これは、事前にプロビジョニングされたノードが OpenStack Bare Metal (ironic) および OpenStack Compute (nova) からの標準の登録および管理プロセスを使用しないためです。
事前にプロビジョニングされたノードのスケールアップ
事前にプロビジョニングされたノードでオーバークラウドをスケールアップする際には、各ノードで director のノード数に対応するようにオーケストレーションエージェントを設定する必要があります。
事前にプロビジョニングされたノードをスケールアップするプロセスの概略は、以下のとおりです。
- 要件の説明に従って、事前にプロビジョニングされたノードを新たに準備します。
- ノードをスケールアップします。手順については12章オーバークラウドノードのスケーリングを参照してください。
- デプロイメントコマンドを実行した後に、director が新しいノードリソースを作成するまで待ちます。「メタデータサーバーのポーリング」の手順に従って、事前にプロビジョニングされたノードが director のオーケストレーションサーバーのメタデータ URL をポーリングするように手動で設定します。
事前にプロビジョニングされたノードのスケールダウン
事前にプロビジョニングされたノードを持つオーバークラウドをスケールダウンするには、12章オーバークラウドノードのスケーリングに記載する通常のスケールダウン手順に従います。
ほとんどのスケーリング操作では、ノードの UUID 値を取得して openstack overcloud node delete
に渡す必要があります。この UUID を取得するには、ロールを指定してリソースの一覧を表示します。
$ openstack stack resource list overcloud -c physical_resource_id -c stack_name -n5 --filter type=OS::TripleO::<RoleName>Server
上記コマンドの <RoleName>
を、スケールダウンする実際のロール名に置き換えます。ComputeDeployedServer
ロールの例を以下に示します。
$ openstack stack resource list overcloud -c physical_resource_id -c stack_name -n5 --filter type=OS::TripleO::ComputeDeployedServerServer
コマンド出力の stack_name
列から、各ノードに関連付けられた UUID を確認します。stack_name
には、Heat リソースグループ内のノードインデックスの整数値が含まれます。出力の例を以下に示します。
+------------------------------------+----------------------------------+ | physical_resource_id | stack_name | +------------------------------------+----------------------------------+ | 294d4e4d-66a6-4e4e-9a8b- | overcloud-ComputeDeployedServer- | | 03ec80beda41 | no7yfgnh3z7e-1-ytfqdeclwvcg | | d8de016d- | overcloud-ComputeDeployedServer- | | 8ff9-4f29-bc63-21884619abe5 | no7yfgnh3z7e-0-p4vb3meacxwn | | 8c59f7b1-2675-42a9-ae2c- | overcloud-ComputeDeployedServer- | | 2de4a066f2a9 | no7yfgnh3z7e-2-mmmaayxqnf3o | +------------------------------------+----------------------------------+
stack_name
列のインデックス 0、1、または 2 は、Heat リソースグループ内のノード順に対応します。physical_resource_id
列の該当する UUID 値を、openstack overcloud node delete
コマンドに渡します。
スタックからオーバークラウドノードを削除したら、それらのノードの電源をオフにします。標準のデプロイメントでは、director のベアメタルサービスがこの機能を制御します。ただし、事前にプロビジョニングされたノードでは、これらのノードを手動でシャットダウンするか、物理システムごとに電源管理制御を使用する必要があります。スタックからノードを削除した後にノードの電源をオフにしないと、稼動状態が続き、オーバークラウド環境の一部として再接続されてしまう可能性があります。
削除したノードの電源をオフにした後には、再プロビジョニングしてベースのオペレーティングシステムの設定に戻し、それらのノードが意図せずにオーバークラウドに加わってしまうことがないようにします。
オーバークラウドから以前に削除したノードは、再プロビジョニングしてベースオペレーティングシステムを新規インストールするまでは、再利用しないようにしてください。スケールダウンのプロセスでは、オーバークラウドスタックからノードを削除するだけで、パッケージはアンインストールされません。