第18章 ストレージの設定
本章では、オーバークラウドのストレージオプションの設定方法をいくつか説明します。
オーバークラウドは、デフォルトのストレージオプションにローカルおよび LVM のストレージを使用します。ただし、これらのオプションは、エンタープライズレベルのオーバークラウドではサポートされません。本章のストレージオプションの 1 つを使用することを推奨します。
18.1. NFS ストレージの設定
本項では、NFS 共有を使用するオーバークラウドの設定について説明します。インストールおよび設定のプロセスは、コア Heat テンプレートコレクション内にすでに存在する環境ファイルの変更がベースとなります。
Block Storage および Compute サービスには、NFS v3 を使用しないでください。
コア Heat テンプレートコレクションの /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/
には一連の環境ファイルが格納されています。これらは、director で作成したオーバークラウドでサポートされている一部の機能のカスタム設定に役立つ環境テンプレートです。これには、ストレージ設定に有用な環境ファイルが含まれます。このファイルは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml
に配置されています。このファイルを stack
ユーザーのテンプレートディレクトリーにコピーしてください。
$ cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml ~/templates/.
この環境ファイルには、OpenStack のブロックストレージおよびイメージストレージのコンポーネント (cinder および glance) の異なるストレージオプションを設定するのに役立つ複数のパラメーターが記載されています。この例では、オーバークラウドが NFS 共有を使用するように設定します。以下のパラメーターを変更してください。
- CinderEnableIscsiBackend
-
iSCSI バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableRbdBackend
-
Ceph Storage バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableNfsBackend
-
NFS バックエンドを有効にするパラメーター。
true
に設定します。 - NovaEnableRbdBackend
-
Nova エフェメラルストレージ用に Ceph Storage を有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - GlanceBackend
-
Glance に使用するバックエンドを定義するパラメーター。イメージ用にファイルベースストレージを使用するには
file
に設定します。オーバークラウドは、Glance 用にマウントされた NFS 共有にこれらのファイルを保存します。 - CinderNfsMountOptions
- ボリュームストレージ用の NFS マウントオプション
- CinderNfsServers
- ボリュームストレージをマウントするための NFS 共有。たとえば、192.168.122.1:/export/cinder と設定します。
- GlanceNfsEnabled
-
イメージストレージ用の共有を管理するための Pacemaker を有効にするパラメーター。無効に設定されている場合には、オーバークラウドはコントローラーノードのファイルシステムにイメージを保管します。
true
に設定します。 - GlanceNfsShare
- イメージストレージをマウントするための NFS 共有。たとえば、192.168.122.1:/export/glance と設定します。
- GlanceNfsOptions
- イメージストレージ用の NFS マウントオプション
環境ファイルのオプションは、以下の例のようになるはずです。
parameter_defaults: CinderEnableIscsiBackend: false CinderEnableRbdBackend: false CinderEnableNfsBackend: true NovaEnableRbdBackend: false GlanceBackend: 'file' CinderNfsMountOptions: 'rw,sync' CinderNfsServers: '192.0.2.230:/cinder' GlanceNfsEnabled: true GlanceNfsShare: '192.0.2.230:/glance' GlanceNfsOptions: 'rw,sync,context=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0'
Glance が /var/lib
ディレクトリーにアクセスできるようにするには、GlanceNfsOptions
パラメーターに context=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0
と記載します。この SELinux コンテキストがない場合には、Glance はマウントポイントへの書き込みに失敗します。
これらのパラメーターは、Heat テンプレートコレクションの一部として統合されます。このように設定することにより、Cinder と Glance が使用するための 2 つの NFS マウントポイントが作成されます。
このファイルを保存して、オーバークラウドの作成に含まれるようにします。