第19章 ストレージの設定
本章では、オーバークラウドのストレージオプションの設定方法をいくつか説明します。
デフォルトでは、オーバークラウドは OpenStack Compute (nova) の提供するローカル一時ストレージおよび OpenStack Storage (cinder) の提供する LVM ブロックストレージを使用します。ただし、これらのオプションは、エンタープライズレベルのオーバークラウドではサポートされません。代わりに、本章のストレージオプションのいずれかを使用してください。
19.1. NFS ストレージの設定
本項では、NFS 共有を使用するオーバークラウドの設定方法について説明します。インストールおよび設定のプロセスは、コア heat テンプレートコレクション内にすでに存在する環境ファイルの変更がベースとなります。
Red Hat では、認定済みのストレージバックエンドおよびドライバーを使用することを推奨します。Red Hat では、汎用 NFS バックエンドの NFS を使用することを推奨していません。認定済みのストレージバックエンドおよびドライバーと比較すると、その機能に制限があるためです。たとえば、汎用 NFS バックエンドは、ボリュームの暗号化やボリュームのマルチアタッチなどの機能をサポートしません。サポート対象のドライバーについての情報は、Red Hat Ecosystem Catalog を参照してください。
director のさまざまな heat パラメーターにより、NFS バックエンドまたは NetApp NFS Block Storage バックエンドが NetApp 機能 (NAS secure と呼ばれる) をサポートするかどうかが制御されます。
- CinderNetappNasSecureFileOperations
- CinderNetappNasSecureFilePermissions
- CinderNasSecureFileOperations
- CinderNasSecureFilePermissions
通常のボリューム操作に干渉するため、Red Hat では、この機能を有効にすることを推奨していません。director はデフォルトでこの機能を無効にするため、Red Hat OpenStack Platform はこの機能をサポートしません。
Block Storage サービスおよび Compute サービスには、NFS バージョン 4.1 以降を使用する必要があります。
コア Heat テンプレートコレクションの /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/
には、一連の環境ファイルが格納されています。これらの環境ファイルを使用すると、director が作成したオーバークラウドにおいて、一部のサポート対象機能のカスタム設定を作成することができます。これには、ストレージを設定するための環境ファイルが含まれます。このファイルは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml
に保管されています。
このファイルを
stack
ユーザーのテンプレートディレクトリーにコピーします。$ cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml ~/templates/.
以下のパラメーターを変更してください。
- CinderEnableIscsiBackend
-
iSCSI バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableRbdBackend
-
Ceph Storage バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableNfsBackend
-
NFS バックエンドを有効にするパラメーター。
true
に設定します。 - NovaEnableRbdBackend
-
Nova エフェメラルストレージ用に Ceph Storage を有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - GlanceBackend
-
glance に使用するバックエンドを定義するパラメーター。イメージ用にファイルベースストレージを使用するには
file
に設定します。オーバークラウドは、glance 用にマウントされた NFS 共有にこれらのファイルを保存します。 - CinderNfsMountOptions
- ボリュームストレージ用の NFS マウントオプション
- CinderNfsServers
- ボリュームストレージをマウントするための NFS 共有。たとえば、192.168.122.1:/export/cinder と設定します。
- GlanceNfsEnabled
-
GlanceBackend
をfile
に設定すると、GlanceNfsEnabled
によりイメージが NFS 経由で共有の場所に保管されます。これにより、すべてのコントローラーノードがイメージにアクセスすることができます。無効にすると、オーバークラウドはイメージをコントローラーノードのファイルシステムに保管します。true
に設定します。 - GlanceNfsShare
- イメージストレージをマウントするための NFS 共有。たとえば、192.168.122.1:/export/glance と設定します。
- GlanceNfsOptions
イメージストレージ用の NFS マウントオプション
この環境ファイルには、Red Hat OpenStack Platform Block Storage (cinder) サービスおよび Image (glance) サービス用に、さまざまなストレージオプションを設定するパラメーターが含まれます。以下の例で、オーバークラウドが NFS 共有を使用するように設定する方法を説明します。
環境ファイルのオプションは、以下のようになるはずです。
parameter_defaults: CinderEnableIscsiBackend: false CinderEnableRbdBackend: false CinderEnableNfsBackend: true NovaEnableRbdBackend: false GlanceBackend: 'file' CinderNfsMountOptions: 'rw,sync' CinderNfsServers: '192.0.2.230:/cinder' GlanceNfsEnabled: true GlanceNfsShare: '192.0.2.230:/glance' GlanceNfsOptions: 'rw,sync,context=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0'
これらのパラメーターは、Heat テンプレートコレクションの一部として統合されます。パラメーターを上記のコード例のように設定すると、使用する Block Storage サービスおよび Image サービス用に NFS マウントポイントが 2 つ作成されます。
重要Image サービスが
/var/lib
ディレクトリーにアクセスできるようにするには、GlanceNfsOptions
パラメーターにcontext=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0
オプションを追加します。この SELinux コンテンツがないと、Image サービスはマウントポイントに書き込みを行うことができません。
- オーバークラウドをデプロイする際に、このファイルを追加します。