4.4. Ceph ノード向けの複数のボンディングされたインターフェースの設定
ボンディングされたインターフェースを使用して、複数の NIC を組み合わせ、ネットワーク接続に冗長性を追加します。Ceph ノードに十分な NIC がある場合には、各ノードに複数のボンディングされたインターフェースを作成して冗長化機能を拡張することができます。
これにより、ノードが必要とする各ネットワーク接続にボンディングされたインターフェースの使用が可能となります。これにより、冗長性と各ネットワーク専用の接続の両方が提供されます。
ボンディングされたインターフェースを最も簡単に実装するには、2 つのボンディングを使用して、Ceph ノードが使用する各ストレージネットワークに 1 つずつボンディングを設定します。Ceph ノードが使用するストレージネットワークは以下のとおりです。
- フロントエンドストレージネットワーク (
StorageNet
) - Ceph クライアントはこのネットワークを使用して、対応する Ceph クラスターと対話します。
- バックエンドストレージネットワーク (
StorageMgmtNet
) - Ceph クラスターはこのネットワークを使用して、クラスターの配置グループポリシーに従ってデータのバランスを取ります。詳細は、『Red Hat Ceph Storage Architecture Guide』の「Placement Groups (PGs)」を参照してください。
複数のボンディングされたインターフェースを設定するには、新しいネットワークインターフェーステンプレートを作成する必要があります。これは、director が複数のボンディングされた NIC をデプロイするために使用できるサンプルテンプレートを提供しないからです。ただし、director は単一のボンディングされたインターフェースをデプロイするテンプレートは提供します。このテンプレートは /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
です。このテンプレートでは、追加の NIC 用に追加のボンディングされたインターフェースを定義することができます。
カスタムインターフェーステンプレート の作成に関する詳細は、『オーバークラウドの 高度なカスタマイズ』 ガイドの「 カスタムネットワークインターフェーステンプレート」を参照してください。
以下のスニペットには、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
ファイルで定義されている単一のボンディングされたインターフェース用のデフォルトの定義が記載されています。
type: ovs_bridge // 1 name: br-bond members: - type: ovs_bond // 2 name: bond1 // 3 ovs_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} 4 members: // 5 - type: interface name: nic2 primary: true - type: interface name: nic3 - type: vlan // 6 device: bond1 // 7 vlan_id: {get_param: StorageNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageIpSubnet} - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageMgmtNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageMgmtIpSubnet}
- 1
br-bond
という名前の単一のブリッジは、このテンプレートで定義されているボンディングをメンバーとします。この行は、ブリッジの種別 (OVS) を定義しています。- 2
br-bond
ブリッジの最初のメンバーは、ボンディングされたインターフェース自体で、bond1
という名前が付いています。この行は、bond1
のボンディングの種別を定義しており、これも OVS に指定されています。- 3
- デフォルトのボンディングの名前は
bond1
です。 - 4
ovs_options
のエントリーは、director が特定のボンディングモジュールディレクティブのセットを使用するように指示します。これらのディレクティブは、BondInterfaceOvsOptions
に渡されます。これもこのファイルで設定できます。ボンディングモジュールディレクティブの設定に関する詳細は、「ボンディングモジュールのディレクティブの設定」を参照してください。- 5
- ボンディングの
members
セクションは、bond1
でボンディングされるネットワークインターフェースを定義します。この例では、ボンディングされるインターフェースはnic2
(プライマリーインターフェースとして設定) とnic3
を使用します。 - 6
br-bond
ブリッジには、他にも 2 つのメンバーが含まれています。これは、フロントエンドストレージネットワーク (StorageNetwork
) とバックエンドストレージネットワーク (StorageMgmtNetwork
) の両方の VLAN です。- 7
device
パラメーターは、VLAN が使用しなければならないデバイスを定義します。この例では、両方の VLAN がボンディングされたインターフェースbond1
を使用します。
NIC を少なくとも 2 つ追加すると、ブリッジとボンディングされたインターフェースをもう 1 つ定義できます。次に、VLAN の 1 つを新しいボンディングされたインターフェースに移動できます。これにより、両方のストレージネットワーク接続のスループットと信頼性が向上します。
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
ファイルをこの目的でカスタマイズする場合には、Red Hat では、デフォルトの OVS (type: ovs_bond
) の代わりに Linux ボンディング (type: linux_bond
) を使用することを推奨しています。このボンディングの種別は、エンタープライズレベルの実稼働デプロイメントにより適しています。
以下の編集済みスニペットは、bond2
という名前の新しい Linux ボンディングをメンバーとする追加の OVS ブリッジ (br-bond2
) を定義します。bond2
インターフェースは、2 つの追加の NIC (nic4
と nic5
) を使用し、バックエンドストレージネットワークトラフィック専用に使用されます。
type: ovs_bridge name: br-bond members: - type: linux_bond name: bond1 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} // 1 members: - type: interface name: nic2 primary: true - type: interface name: nic3 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageIpSubnet} - type: ovs_bridge name: br-bond2 members: - type: linux_bond name: bond2 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} members: - type: interface name: nic4 primary: true - type: interface name: nic5 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageMgmtNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageMgmtIpSubnet}
- 1
bond1
およびbond2
は両方とも (OVS ではなく) Linux ボンディングであるため、ovs_options
の代わりにbonding_options
を使用してボンディングディレクティブを設定します。詳細は、「「ボンディングモジュールのディレクティブの設定」」を参照してください。
このカスタマイズされたテンプレートの完全な内容は、「付録B カスタムインターフェーステンプレートの例: 複数のボンディングされたインターフェース」を参照してください。
4.4.1. ボンディングモジュールのディレクティブの設定
ボンディングされたインターフェースを追加および設定したら、BondInterfaceOvsOptions
パラメーターを使用して各ボンディングされたインターフェースが使用するディレクティブを設定します。この情報は、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
ファイルの parameters:
セクションにあります。以下のスニペットには、このパラメーターのデフォルトの定義 (空欄) を示しています。
BondInterfaceOvsOptions: default: '' description: The ovs_options string for the bond interface. Set things like lacp=active and/or bond_mode=balance-slb using this option. type: string
default:
の行に必要なオプションを定義します。たとえば、802.3ad (モード 4) と LACP レート 1 (fast) を使用するには、'mode=4 lacp_rate=1'
を以下のように設定します。
BondInterfaceOvsOptions: default: 'mode=4 lacp_rate=1' description: The bonding_options string for the bond interface. Set things like lacp=active and/or bond_mode=balance-slb using this option. type: string
サポートされるその他のボンディングオプションに関する詳細は、『 オーバークラウドの高度なカスタマイズ』の「 Open vSwitch ボンディング のオプション」を参照し てください。カスタマイズした /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
テンプレートの完全な内容は、「付録B カスタムインターフェーステンプレートの例: 複数のボンディングされたインターフェース」を参照してください。