7.9. 事前にプロビジョニングされたノードを使用したオーバークラウドの作成


オーバークラウドのデプロイメントには、「デプロイメントコマンド」に記載された標準の CLI の方法を使用します。事前にプロビジョニングされたノードの場合は、デプロイメントコマンドに追加のオプションと、コア Heat テンプレートコレクションからの環境ファイルが必要です。

  • --disable-validations: 事前にプロビジョニングされたインフラストラクチャーで使用しないサービスに対する基本的な CLI 検証を無効化します。無効化しないと、デプロイメントに失敗します。
  • environments/deployed-server-environment.yaml: 事前にプロビジョニングされたインフラストラクチャーを作成、設定するための基本環境ファイル。この環境ファイルは、OS::Nova::Server リソースを OS::Heat::DeployedServer リソースに置き換えます。
  • environments/deployed-server-bootstrap-environment-rhel.yaml: 事前にプロビジョニングされたサーバー上でブートストラップのスクリプトを実行する環境ファイル。このスクリプトは追加パッケージをインストールし、オーバークラウドノードの基本設定を提供します。
  • environments/deployed-server-pacemaker-environment.yaml: 事前にプロビジョニングされたコントローラーノードで Pacemaker の設定を行う環境ファイル。このファイルに登録されるリソースの名前空間は、deployed-server/deployed-server-roles-data.yaml からのコントローラーのロール名を使用します。デフォルトでは、ControllerDeployedServer となっています。
  • deployed-server/deployed-server-roles-data.yaml: カスタムロールのサンプルファイル。これは、デフォルトの roles_data.yaml が複製されたファイルですが、各ロールの disable_constraints: True パラメーターも含まれています。このパラメーターは、生成されたロールテンプレートのオーケストレーションの制約を無効にします。これらの制約は、事前にプロビジョニングされたインフラストラクチャーが使用しないサービスが対象です。

    カスタムロールファイルを使用する場合には、それぞれのロールに disable_constraints: True パラメーターを追加するようにしてください。

    - name: ControllerDeployedServer
      disable_constraints: True
      CountDefault: 1
      ServicesDefault:
        - OS::TripleO::Services::CACerts
        - OS::TripleO::Services::CephMon
        - OS::TripleO::Services::CephExternal
        - OS::TripleO::Services::CephRgw
        ...

以下のコマンドは、事前にプロビジョニングされたアーキテクチャー固有の環境ファイルを使用したオーバークラウドデプロイメントコマンドの例です。

$ source ~/stackrc
(undercloud) $ openstack overcloud deploy \
  [other arguments] \
  --disable-validations \
  -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/deployed-server-environment.yaml \
  -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/deployed-server-bootstrap-environment-rhel.yaml \
  -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/deployed-server-pacemaker-environment.yaml \
  -e /home/stack/templates/hostname-map.yaml /
  -r /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployed-server/deployed-server-roles-data.yaml
  --overcloud-ssh-user stack \
  --overcloud-ssh-key ~/.ssh/id_rsa \
  [OTHER OPTIONS]

--overcloud-ssh-user および --overcloud-ssh-key オプションは、設定ステージ中に各オーバークラウドノードに SSH 接続して、初期 tripleo-admin ユーザーを作成し、SSH キーを /home/tripleo-admin/.ssh/authorized_keys に挿入するのに使用します。SSH キーを挿入するには、--overcloud-ssh-user および --overcloud-ssh-key (~/.ssh/id_rsa がデフォルト) を使用して、初回 SSH 接続用の認証情報を指定します。--overcloud-ssh-key オプションで指定する秘密鍵の公開を制限するために、director は Heat や Mistral などのどの API サービスにもこの鍵を渡さず、director の openstack overcloud deploy コマンドだけがこの鍵を使用して tripleo-admin ユーザーのアクセスを有効化します。

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