2.5. オーバークラウド作成時の環境ファイルの追加
デプロイメントのコマンド (openstack overcloud deploy
) で -e
オプションを使用して、オーバークラウドをカスタマイズするための環境ファイルを追加します。必要に応じていくつでも環境ファイルを追加することができます。ただし、後で実行される環境ファイルで定義されているパラメーターとリソースが優先されることになるため、環境ファイルの順番は重要です。たとえば、以下に示す 2 つの環境ファイルを作成したとします。
environment-file-1.yaml
resource_registry: OS::TripleO::NodeExtraConfigPost: /home/stack/templates/template-1.yaml parameter_defaults: RabbitFDLimit: 65536 TimeZone: 'Japan'
environment-file-2.yaml
resource_registry: OS::TripleO::NodeExtraConfigPost: /home/stack/templates/template-2.yaml parameter_defaults: TimeZone: 'Hongkong'
次に両環境ファイルを指定してデプロイを実行します。
$ openstack overcloud deploy --templates -e environment-file-1.yaml -e environment-file-2.yaml
この例では、両環境ファイルに共通のリソース種別 (OS::TripleO::NodeExtraConfigPost
) と共通のパラメーター (TimeZone
) が含まれています。openstack overcloud deploy
コマンドは、以下のプロセスを順に実行します。
-
--template
オプションで指定したコア Heat テンプレートからデフォルト設定を読み込みます。 -
environment-file-1.yaml
の設定を適用します。この設定により、デフォルト設定と共通している設定は上書きされます。 -
environment-file-2.yaml
の設定を適用します。この設定により、デフォルト設定およびenvironment-file-1.yaml
と共通している設定は上書きされます。
これにより、オーバークラウドのデフォルト設定が以下のように変更されます。
-
OS::TripleO::NodeExtraConfigPost
リソースは、environment-file-2.yaml
で指定されているとおりに/home/stack/templates/template-2.yaml
に設定されます。 -
TimeZone
パラメーターは、environment-file-2.yaml
で指定されているとおりにHongkong
に設定されます。 -
environment-file-1.yaml
で指定されているとおりに、RabbitFDLimit
パラメーターは65536
に設定されます。environment-file-2.yaml
はこの値を変更しません。
これにより、複数の環境ファイルの値が競合することなくオーバークラウドにカスタム設定を定義することができます。