第2章 コンピュートインスタンスの自動スケーリングの設定
大きなシステムの使用に応じて、コンピュートインスタンスを自動的にスケールアウトします。CPU やメモリーの使用などの要因を考慮し、必要に応じてインスタンスを自動的に追加(heat)できるように、事前定義済みのルールを追加することができます。
2.1. 自動スケーリングアーキテクチャーの概要
2.1.1. オーケストレーション
自動スケーリングを提供するコアコンポーネントは Orchestration(heat)です。Orchestration を使用して、人間が判読可能な YAML テンプレートを使ってルールを定義します。これらのルールは、Telemetry データに基づいてシステムの負荷を評価するために適用され、スタックにインスタンスを追加する必要があるかどうかを確認します。負荷が減ると、オーケストレーションは未使用のインスタンスを再び自動的に削除できます。
2.1.2. テレメトリー
Telemetry は、Red Hat OpenStack Platform 環境のパフォーマンスを監視し、インスタンスおよび物理ホストの CPU、ストレージ、およびメモリー使用率のデータを収集します。オーケストレーションテンプレートは Telemetry データを検査し、事前定義のアクションを開始するかどうかを評価します。
2.1.3. 主要な用語
- stack
- アプリケーションの操作に必要なリソースのコレクション。スタックは、単一インスタンスとそのリソースとしてシンプルなものであったり、複数層のアプリケーションを構成するリソースの全依存関係を持つ複数のインスタンスとして複雑な場合があります。
- テンプレート
heat が実行する一連のタスクを定義する YAML スクリプト。たとえば、特定の機能に個別のテンプレートを使用することが推奨されます。
- テンプレートファイル: Telemetry が応答するしきい値を定義し、自動スケーリンググループを定義します。
- 環境ファイル: 環境の構築情報(使用するフレーバーとイメージ、仮想ネットワークの設定方法、およびインストールするソフトウェア)を定義します。