13.7. 作業ディレクトリーでの Git 操作の実施
config-download
の作業ディレクトリーは、ローカルの Git リポジトリーです。デプロイメント操作を実行するたびに、director は該当する変更に関する Git コミットを作業ディレクトリーに追加します。Git 操作を実施して、さまざまなステージでのデプロイメント設定を表示したり、異なるデプロイメント間で設定を比較したりすることができます。
作業ディレクトリーには制限がある点に注意してください。たとえば、Git を使用して config-download
の作業ディレクトリーを前のバージョンに戻しても、この操作は作業ディレクトリー内の設定にしか影響を及ぼしません。したがって、以下の設定は影響を受けません。
- オーバークラウドデータスキーマ: 作業ディレクトリーのソフトウェア設定の前のバージョンを適用しても、データ移行およびスキーマ変更は取り消されません。
- オーバークラウドのハードウェアレイアウト: 以前のソフトウェア設定に戻しても、スケールアップ/ダウン等のオーバークラウドハードウェアに関する変更は取り消されません。
-
heat スタック: 作業ディレクトリーを前のバージョンに戻しても、heat スタックに保管された設定は影響を受けません。heat スタックは新たなバージョンのソフトウェア設定を作成し、それがオーバークラウドに適用されます。オーバークラウドに永続的な変更を加えるには、
openstack overcloud deploy
コマンドを再度実行する前に、オーバークラウドスタックに適用する環境ファイルを変更します。
config-download
の作業ディレクトリー内の異なるコミットを比較するには、以下の手順を実施します。
手順
オーバークラウドに関する
config-download
の作業ディレクトリーに移動します。この例の作業ディレクトリーは、overcloud
という名前のオーバークラウド用です。$ cd /var/lib/mistral/overcloud
git log
コマンドを実行して、作業ディレクトリー内のコミットの一覧を表示します。ログの出力に日付が表示されるようにフォーマットを設定することもできます。$ git log --format=format:"%h%x09%cd%x09" a7e9063 Mon Oct 8 21:17:52 2018 +1000 dfb9d12 Fri Oct 5 20:23:44 2018 +1000 d0a910b Wed Oct 3 19:30:16 2018 +1000 ...
デフォルトでは、最新のコミットから順に表示されます。
2 つのコミットのハッシュに対して
git diff
コマンドを実行し、デプロイメント間の違いをすべて表示します。$ git diff a7e9063 dfb9d12