9.6. 事前にプロビジョニングされたノードへの別ネットワークの使用
デフォルトでは、director はオーバークラウドのコントロールプレーンとしてプロビジョニングネットワークを使用します。ただし、このネットワークが分離されてルーティング不可能な場合には、ノードは設定中に director の内部 API と通信することができません。このような状況では、ノードに別のネットワークを定義して、パブリック API 経由で director と通信するように設定しなければならない場合があります。
このシナリオには、いくつかの要件があります。
- オーバークラウドノードは、「コントロールプレーンのネットワークの設定」からの基本的なネットワーク設定に対応する必要があります。
- パブリック API エンドポイントを使用できるように director 上で SSL/TLS を有効化する必要があります。詳しい情報は、「director の設定パラメーター」および「18章カスタム SSL/TLS 証明書の設定」を参照してください。
-
director 向けにアクセス可能な完全修飾ドメイン名 (FQDN) を定義する必要があります。この FQDN は、director にルーティング可能な IP アドレスを解決する必要があります。
undercloud.conf
ファイルのundercloud_public_host
パラメーターを使用して、この FQDN を設定します。
本項に記載する例では、主要なシナリオとは異なる IP アドレスの割り当てを使用します。
ノード名 | IP アドレスまたは FQDN |
---|---|
director (内部 API) | 192.168.24.1 (プロビジョニングネットワークおよびコントロールプレーン) |
director (パブリック API) | 10.1.1.1 / director.example.com |
オーバークラウドの仮想 IP | 192.168.100.1 |
Controller 0 | 192.168.100.2 |
Compute 0 | 192.168.100.3 |
以下の項では、オーバークラウドノードに別のネットワークが必要な場合の追加の設定について説明します。
IP アドレスの割り当て
IP の割り当て方法は、「コントロールプレーンのネットワークの設定」に記載の手順と類似しています。ただし、コントロールプレーンはデプロイしたサーバーからルーティング可能ではないので、DeployedServerPortMap
パラメーターを使用して、コントロールプレーンにアクセスする仮想 IP アドレスを含め、選択したオーバークラウドノードのサブネットから IP アドレスを割り当てる必要があります。以下の例は、「コントロールプレーンのネットワークの設定」 からの ctlplane-assignments.yaml
環境ファイルを修正したバージョンで、このネットワークアーキテクチャーに対応します。
resource_registry: OS::TripleO::DeployedServer::ControlPlanePort: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployed-server/deployed-neutron-port.yaml OS::TripleO::Network::Ports::ControlPlaneVipPort: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployed-server/deployed-neutron-port.yaml OS::TripleO::Network::Ports::RedisVipPort: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/ports/noop.yaml 1 parameter_defaults: NeutronPublicInterface: eth1 EC2MetadataIp: 192.168.100.1 2 ControlPlaneDefaultRoute: 192.168.100.1 DeployedServerPortMap: control_virtual_ip: fixed_ips: - ip_address: 192.168.100.1 subnets: - cidr: 24 controller-0-ctlplane: fixed_ips: - ip_address: 192.168.100.2 subnets: - cidr: 24 compute-0-ctlplane: fixed_ips: - ip_address: 192.168.100.3 subnets: - cidr: 24
- 1
RedisVipPort
リソースは、network/ports/noop.yaml
にマッピングされます。デフォルトの Redis 仮想 IP アドレスがコントロールプレーンから割り当てられているので、このマッピングが必要です。このような場合には、noop
を使用して、このコントロールプレーンマッピングを無効化します。- 2
EC2MetadataIp
とControlPlaneDefaultRoute
パラメーターは、コントロールプレーンの仮想 IP アドレスの値に設定されます。デフォルトの NIC 設定テンプレートでは、これらのパラメーターが必須で、デプロイメント中に実行される検証に合格するには、ping 可能な IP アドレスを使用するように設定する必要があります。または、これらのパラメーターが必要ないように NIC 設定をカスタマイズします。