第4章 オーバークラウドの設定
本項では、外部ロードバランサーを使用するオーバークラウドを作成するプロセスを実行します。これには、ノードの登録、ネットワーク設定、オーバークラウドの作成コマンドに必要な設定オプションの設定が含まれます。
4.1. 環境の設定
このセクションでは、『director のインストールと使用方法』 の「プロセスのカットダウンバージョン」を使用します。
以下のワークフローを使用して環境を設定します。
- ノード定義のテンプレートを作成して director で空のノードを登録します。
- 全ノードのハードウェアを検査します。
- 手動でノードをロールにタグ付けします。
- フレーバーを作成してロールにタグ付けします。
4.1.1. stack ユーザーの初期化
stack ユーザーとして director ホストにログインし、以下のコマンドを実行して director の設定を初期化します。
$ source ~/stackrc
このコマンドでは、director の CLI ツールにアクセスする認証情報が含まれる環境変数を設定します。
4.1.2. ノードの登録
ノード定義のテンプレート(instackenv.json)は JSON 形式のファイルで、ノード登録用のハードウェアおよび電源管理の情報が含まれています。以下に例を示します。
{ "nodes":[ { "mac":[ "bb:bb:bb:bb:bb:bb" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.205" }, { "mac":[ "cc:cc:cc:cc:cc:cc" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.206" }, { "mac":[ "dd:dd:dd:dd:dd:dd" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.207" }, { "mac":[ "ee:ee:ee:ee:ee:ee" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.208" } ] }
テンプレートを作成したら、stack ユーザーのホームディレクトリーにファイルを保存し(/home/stack/instackenv.json)、それを director にインポートします。これを実行するには、以下のコマンドを使用します。
$ openstack overcloud node import ~/instackenv.json
このコマンドでテンプレートをインポートして、テンプレートから director に各ノードを登録します。
カーネルと ramdisk イメージを全ノードに割り当てます。
$ openstack overcloud node configure
director でのノードの登録、設定が完了しました。
4.1.3. ノードのハードウェアの検査
ノードの登録後に、各ノードのハードウェア属性を確認します。以下のコマンドを実行して、各ノードのハードウェア属性を検証します。
$ openstack overcloud node introspect --all-manageable
ノードは manageable
の状態である必要があります。このプロセスが最後まで実行されて正常に終了したことを確認してください。ベアメタルノードの場合には、通常 15 分ほどかかります。
4.1.4. ノードの手動でのタグ付け
各ノードのハードウェアを登録、検査した後には、特定のプロファイルにノードをタグ付けします。これらのプロファイルタグにより、ノードがフレーバーに照合され、そのフレーバーはデプロイメントロールに割り当てられます。
ノード一覧を取得して UUID を把握します。
$ openstack baremetal node list
特定のプロファイルにノードを手動でタグ付けするには、各ノードの properties/capabilities パラメーターに profile オプションを追加します。たとえば、3 つのノードがControllerプロファイルを使用し、1 つのノードがComputeプロファイルを使用するようにタグ付けするには、以下のコマンドを使用します。
$ openstack baremetal node set 1a4e30da-b6dc-499d-ba87-0bd8a3819bc0 --property capabilities="profile:control,boot_option:local" $ openstack baremetal node set 6faba1a9-e2d8-4b7c-95a2-c7fbdc12129a --property capabilities="profile:control,boot_option:local" $ openstack baremetal node set 5e3b2f50-fcd9-4404-b0a2-59d79924b38e --property capabilities="profile:control,boot_option:local" $ openstack baremetal node set 58c3d07e-24f2-48a7-bbb6-6843f0e8ee13 --property capabilities="profile:compute,boot_option:local"
profile:compute および profile:control オプションを追加することで、適切なプロファイルにノードをタグ付けします。