3.2. director の設定パラメーター


以下の一覧で、undercloud.conf ファイルを設定するパラメーターについて説明します。エラーを避けるために、パラメーターは決して該当するセクションから削除しないでください。

デフォルト

undercloud.conf ファイルの [DEFAULT] セクションで定義されているパラメーターを以下に示します。

additional_architectures

オーバークラウドがサポートする追加の (カーネル) アーキテクチャーの一覧。現在、オーバークラウドは ppc64le アーキテクチャーをサポートしています。

注記

ppc64le のサポートを有効にする場合には、ipxe_enabledFalse に設定する必要もあります。

certificate_generation_ca
要求した証明書に署名する CA の certmonger のニックネーム。generate_service_certificate パラメーターを設定した場合に限り、このオプションを使用します。local CA を選択する場合は、certmonger はローカルの CA 証明書を /etc/pki/ca-trust/source/anchors/cm-local-ca.pem に抽出し、証明書をトラストチェーンに追加します。
clean_nodes
デプロイメントを再実行する前とイントロスペクションの後にハードドライブを消去するかどうかを定義します。
cleanup
一時ファイルをクリーンナップします。デプロイメントコマンドの実行後もデプロイメント時に使用した一時ファイルをそのまま残すには、このパラメーターを False に設定します。ファイルを残すと、生成されたファイルのデバッグを行う場合やエラーが発生した場合に役に立ちます。
container_cli
コンテナー管理用の CLI ツール。このパラメーターは、podman に設定したままにしてください。Red Hat Enterprise Linux 8.1 は、podman のみをサポートします。
container_healthcheck_disabled
コンテナー化されたサービスのヘルスチェックを無効にします。Red Hat は、ヘルスチェックを有効にし、このオプションを false に設定したままにすることを推奨します。
container_images_file

コンテナーイメージ情報が含まれる heat 環境ファイル。このファイルには、以下のエントリーを含めることができます。

  • 必要なすべてのコンテナーイメージのパラメーター
  • 必要なイメージの準備を実施する ContainerImagePrepare パラメーター。このパラメーターが含まれるファイルの名前は、通常 containers-prepare-parameter.yaml です。
container_insecure_registries
podman が使用するセキュアではないレジストリーの一覧。プライベートコンテナーレジストリー等の別のソースからイメージをプルする場合には、このパラメーターを使用します。多くの場合、podman は Red Hat Container Catalog または Satellite サーバー (アンダークラウドが Satellite に登録されている場合) のいずれかからコンテナーイメージをプルするための証明書を持ちます。
container_registry_mirror
設定により podman が使用するオプションの registry-mirror
custom_env_files
アンダークラウドのインストールに追加する新たな環境ファイル
deployment_user
アンダークラウドをインストールするユーザー。現在のデフォルトユーザー stack を使用する場合には、このパラメーターを未設定のままにします。
discovery_default_driver
自動的に登録されたノードのデフォルトドライバーを設定します。enable_node_discovery パラメーターを有効にし、enabled_hardware_types の一覧にドライバーを含める必要があります。
enable_ironic、enable_ironic_inspector、enable_mistral、enable_nova、enable_tempest、enable_validations、enable_zaqar
director で有効にするコアサービスを定義します。これらのパラメーターは true に設定されたままにします。
enable_node_discovery
introspection ramdisk を PXE ブートする不明なノードを自動的に登録します。新規ノードは、fake_pxe ドライバーをデフォルトとして使用しますが、discovery_default_driver を設定して上書きすることもできます。また、イントロスペクションルールを使用して、新しく登録したノードにドライバーの情報を指定することもできます。
enable_novajoin
アンダークラウドに novajoin メタデータサービスをインストールするかどうかを定義します。
enable_routed_networks
ルーティングされたコントロールプレーンネットワークのサポートを有効にするかどうかを定義します。
enable_swift_encryption
保存データの Swift 暗号化を有効にするかどうかを定義します。
enable_telemetry
アンダークラウドに OpenStack Telemetry サービス (gnocchi、aodh、panko) をインストールするかどうかを定義します。Telemetry サービスを自動的にインストール/設定するには、enable_telemetry パラメーターを true に設定します。デフォルト値は false で、アンダークラウド上の telemetry が無効になります。このパラメーターは、メトリックデータを消費する Red Hat CloudForms などの他の製品を使用する場合に必要です。
enabled_hardware_types
アンダークラウドで有効にするハードウェアタイプの一覧
generate_service_certificate
アンダークラウドのインストール時に SSL/TLS 証明書を生成するかどうかを定義します。これは undercloud_service_certificate パラメーターに使用します。アンダークラウドのインストールで、作成された証明書 /etc/pki/tls/certs/undercloud-[undercloud_public_vip].pem を保存します。certificate_generation_ca パラメーターで定義される CA はこの証明書に署名します。
heat_container_image
使用する heat コンテナーイメージの URL。未設定のままにします。
heat_native
heat-all を使用してホストベースのアンダークラウド設定を実行します。true のままにします。
hieradata_override
director に Puppet hieradata を設定するための hieradata オーバーライドファイルへのパス。これにより、サービスに対して undercloud.conf パラメーター以外のカスタム設定を行うことができます。設定すると、アンダークラウドのインストールでこのファイルが /etc/puppet/hieradata ディレクトリーにコピーされ、階層の最初のファイルに設定されます。この機能の使用についての詳細は、「 アンダークラウドへの hieradata の設定」を参照し てください。
inspection_extras
イントロスペクション時に追加のハードウェアコレクションを有効化するかどうかを定義します。このパラメーターを使用するには、イントロスペクションイメージに python-hardware または python-hardware-detect パッケージが必要です。
inspection_interface
ノードのイントロスペクションに director が使用するブリッジ。これは、director の設定により作成されるカスタムのブリッジです。LOCAL_INTERFACE でこのブリッジをアタッチします。これは、デフォルトの br-ctlplane のままにします。
inspection_runbench
ノードイントロスペクション時に一連のベンチマークを実行します。ベンチマークを有効にするには、このパラメーターを true に設定します。このオプションは、登録ノードのハードウェアを検査する際にベンチマーク分析を実行する場合に必要です。
ipa_otp
IPA サーバーにアンダークラウドノードを登録するためのワンタイムパスワードを定義します。これは、enable_novajoin が有効な場合に必要です。
ipv6_address_mode

アンダークラウドのプロビジョニングネットワーク用の IPv6 アドレス設定モード。このパラメーターに設定できる値の一覧を以下に示します。

  • dhcpv6-stateless: ルーター広告 (RA) を使用するアドレス設定と DHCPv6 を使用するオプションの情報
  • dhcpv6-stateful: DHCPv6 を使用するアドレス設定とオプションの情報
ipxe_enabled
iPXE か標準の PXE のいずれを使用するか定義します。デフォルトは true で iPXE を有効化します。標準の PXE を使用するには、このパラメーターを false に設定します。
local_interface

director のプロビジョニング NIC 用に選択するインターフェース。director は、DHCP および PXE ブートサービスにもこのデバイスを使用します。この値を選択したデバイスに変更します。接続されているデバイスを確認するには、ip addr コマンドを使用します。ip addr コマンドの出力結果の例を、以下に示します。

2: em0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP qlen 1000
    link/ether 52:54:00:75:24:09 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.122.178/24 brd 192.168.122.255 scope global dynamic em0
       valid_lft 3462sec preferred_lft 3462sec
    inet6 fe80::5054:ff:fe75:2409/64 scope link
       valid_lft forever preferred_lft forever
3: em1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noop state DOWN
    link/ether 42:0b:c2:a5:c1:26 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff

この例では、外部 NIC は em0 を使用し、プロビジョニング NIC は、現在設定されていない em1 を使用します。この場合は、local_interfaceem1 に設定します。この設定スクリプトにより、このインターフェースが inspection_interface パラメーターで定義したカスタムのブリッジにアタッチされます。

local_ip
director のプロビジョニング NIC 用に定義する IP アドレス。director は、DHCP および PXE ブートサービスにもこの IP アドレスを使用します。この IP アドレスが環境内の既存の IP アドレスまたはサブネットと競合するなどの理由により、プロビジョニングネットワークに別のサブネットを使用する場合以外は、この値をデフォルトの 192.168.24.1/24 のままにします。
local_mtu
local_interface に使用する最大伝送単位 (MTU)。アンダークラウドでは 1500 以下にします。
local_subnet
PXE ブートと DHCP インターフェースに使用するローカルサブネット。local_ip アドレスがこのサブネットに含まれている必要があります。デフォルトは ctlplane-subnet です。
net_config_override
ネットワーク設定のオーバーライドテンプレートへのパス。このパラメーターを設定すると、アンダークラウドは JSON 形式のテンプレートを使用して os-net-config でネットワークを設定し、undercloud.conf で設定したネットワークパラメーターを無視します。ボンディングを設定する場合、またはインターフェースにオプションを追加する場合に、このパラメーターを使用します。/usr/share/python-tripleoclient/undercloud.conf.sample の例を参照してください。
networks_file
heat をオーバーライドするネットワークファイル
output_dir
状態、処理された heat テンプレート、および Ansible デプロイメントファイルを出力するディレクトリー
overcloud_domain_name

オーバークラウドをデプロイする際に使用する DNS ドメイン名

注記

オーバークラウドを設定する際に、CloudDomain にこのパラメーターと同じ値を設定する必要があります。オーバークラウドを設定する際に、環境ファイルでこのパラメーターを設定します。

roles_file
アンダークラウドのインストールで、デフォルトロールファイルを上書きするのに使用するロールファイル。director のインストールにデフォルトのロールファイルが使用されるように、このパラメーターは未設定のままにすることを強く推奨します。
scheduler_max_attempts
スケジューラーがインスタンスのデプロイを試行する最大回数。スケジューリング時に競合状態にならないように、この値を 1 度にデプロイする予定のベアメタルノードの数以上に指定する必要があります。
service_principal
この証明書を使用するサービスの Kerberos プリンシパル。FreeIPA など CA で Kerberos プリンシパルが必要な場合に限り、このパラメーターを使用します。
subnets
プロビジョニングおよびイントロスペクション用のルーティングネットワークのサブネットの一覧。デフォルト値に含まれるのは、ctlplane-subnet サブネットのみです。詳細は、「サブネット」を参照してください。
templates
上書きする heat テンプレートファイル
undercloud_admin_host
SSL/TLS 経由の director の管理 API エンドポイントに定義する IP アドレスまたはホスト名。director の設定により、IP アドレスは /32 ネットマスクを使用するルーティングされた IP アドレスとして director のソフトウェアブリッジに接続されます。
undercloud_debug
アンダークラウドサービスのログレベルを DEBUG に設定します。DEBUG ログレベルを有効にするには、この値を true に設定します。
undercloud_enable_selinux
デプロイメント時に、SELinux を有効または無効にします。問題をデバッグする場合以外は、この値を true に設定したままにすることを強く推奨します。
undercloud_hostname
アンダークラウドの完全修飾ホスト名を定義します。本パラメータを指定すると、アンダークラウドのインストールでホスト名すべてに設定されます。指定しないと、アンダークラウドは現在のホスト名を使用しますが、システムのホスト名すべてを適切に設定しておく必要があります。
undercloud_log_file
アンダークラウドのインストールログおよびアップグレードログを保管するログファイルへのパス。デフォルトでは、ログファイルはホームディレクトリー内の install-undercloud.log です。たとえば、/home/stack/install-undercloud.log のようになります。
undercloud_nameservers
アンダークラウドのホスト名解決に使用する DNS ネームサーバーの一覧
undercloud_ntp_servers
アンダークラウドの日付と時刻を同期できるようにする Network Time Protocol サーバーの一覧
undercloud_public_host
SSL/TLS 経由の director のパブリック API エンドポイントに定義する IP アドレスまたはホスト名。director の設定により、IP アドレスは /32 ネットマスクを使用するルーティングされた IP アドレスとして director のソフトウェアブリッジに接続されます。
undercloud_service_certificate
OpenStack SSL/TLS 通信の証明書の場所とファイル名。理想的には、信頼できる認証局から、この証明書を取得します。それ以外の場合は、独自の自己署名の証明書を生成します。
undercloud_timezone
アンダークラウド用ホストのタイムゾーン。タイムゾーンを指定しなければ、director は既存のタイムゾーン設定を使用します。
undercloud_update_packages
アンダークラウドのインストール時にパッケージを更新するかどうかを定義します。

サブネット

undercloud.conf ファイルには、各プロビジョニングサブネットの名前が付いたセクションがあります。たとえば、ctlplane-subnet という名前のサブネットを作成するには、undercloud.conf ファイルで以下のような設定を使用します。

[ctlplane-subnet]
cidr = 192.168.24.0/24
dhcp_start = 192.168.24.5
dhcp_end = 192.168.24.24
inspection_iprange = 192.168.24.100,192.168.24.120
gateway = 192.168.24.1
masquerade = true

プロビジョニングネットワークは、環境に応じて、必要なだけ指定することができます。

cidr
オーバークラウドインスタンスの管理に director が使用するネットワーク。これは、アンダークラウドの neutron サービスが管理するプロビジョニングネットワークです。プロビジョニングネットワークに別のサブネットを使用しない限り、この値はデフォルト (192.168.24.0/24) のままにします。
masquerade

外部ネットワークへのアクセスのために、cidr で定義したネットワークをマスカレードするかどうかを定義します。このパラメーターにより、director 経由で外部ネットワークにアクセスすることができるように、プロビジョニングネットワークにネットワークアドレス変換 (NAT) の一部メカニズムが提供されます。

注記

director 設定は、適切な sysctl カーネルパラメーターを使用して IP フォワーディングも自動的に有効化します。

dhcp_start、dhcp_end
オーバークラウドノードの DHCP 割り当て範囲 (開始アドレスと終了アドレス)。ノードを割り当てるのに十分な IP アドレスがこの範囲に含まれるようにします。
dhcp_exclude
DHCP 割り当て範囲で除外する IP アドレス
dns_nameservers
サブネットに固有の DNS ネームサーバー。サブネットにネームサーバーが定義されていない場合には、サブネットは undercloud_nameservers パラメーターで定義されるネームサーバーを使用します。
gateway
オーバークラウドインスタンスのゲートウェイ。外部ネットワークにトラフィックを転送するアンダークラウドのホストです。director に別の IP アドレスを使用する場合または直接外部ゲートウェイを使用する場合以外は、この値はデフォルト (192.168.24.1) のままにします。
host_routes
このネットワーク上のオーバークラウドインスタンス用の neutron が管理するサブネットのホストルート。このパラメーターにより、アンダークラウド上の local_subnet のホストルートも設定されます。
inspection_iprange
検査プロセス中に使用するこのネットワーク上のノードの一時的な IP 範囲。この範囲は、dhcp_startdhcp_end で定義された範囲と重複することはできませんが、同じ IP サブネット内になければなりません。

これらのパラメーターの値は、構成に応じて変更してください。完了したら、ファイルを保存します。

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