Shared File Systems サービスの CephFS バックエンドガイド
ネイティブ CephFS を使用する Shared File Systems サービスの Red Hat OpenStack Platform オーバークラウドでのデプロイ
概要
多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。
第1章 はじめに
本書では、ネイティブ CephFS NAS プロトコルを通じて、Red Hat OpenStack Platform Cloud にセルフサービスの Shared File Systems サービス (manila) を提供するためのネイティブ CephFS のデプロイメントおよび使用方法について説明します。このタイプのデプロイメントでは、ゲスト仮想マシンが Ceph パブリックネットワークおよびインフラストラクチャーにアクセスできる必要があります。Red Hat は、汎用の OpenStack Platform デプロイメントには適していない許容信頼モデルが必要なため、信頼済み OpenStack Platform テナントでのみネイティブ CephFS をデプロイすることを推奨しています。
従来のテナント信頼モデルを使用する汎用の OpenStack Platform デプロイメントでは、NFS プロトコルを介して CephFS をデプロイすることができます。信頼モデルの詳細は、セキュリティーに関する考慮事項 を参照してください。
NFS バックエンドに CephFS を使用する設定についての詳細は、NFS バックエンドに CephFS を使用した Shared File Systems サービスのデプロイ を参照してください。
Shared File Systems サービス (manila) により、複数のコンピュートインスタンス、ベアメタルノード、またはコンテナーで消費可能な共有ファイルシステムをプロビジョニングすることができます。
CephFS は、高度にスケーラブルな Ceph のオープンソース分散ファイルシステムのコンポーネントで、統一された分散ストレージプラットフォームです。Ceph Storage は、Reliable Autonomic Distributed Object Store (RADOS) を使用してオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、およびファイルストレージを実装します。POSIX に対応した CephFS は、Ceph Storage クラスターへのファイルアクセスを提供します。
Shared File Systems サービスでは、ユーザーは CephFS にファイル共有を作成し、ネイティブ Ceph File System プロトコルを使用してそのファイル共有にアクセスすることができます。Shared File Systems サービスは、OpenStack 内からこれらのファイル共有のライフサイクルを管理します。
今回のリリースでは、director はネイティブ CephFS バックエンドを使用する Shared File Systems をオーバークラウドにデプロイすることができます。
第2章 ネイティブドライバーを使用する CephFS
CephFS ネイティブドライバーは、OpenStack Shared File Systems サービス (manila) と Red Hat Ceph Storage を結び付けます。Red Hat OpenStack (RHOSP) director を使用する場合、コントローラーノードはマネージャー、メタデータサーバー (MDS)、および モニター (MON) などの Ceph デーモンならびに Shared File Systems サービスをホストします。
コンピュートノードは 1 つまたは複数のプロジェクトをホストすることができます。以下の図で白い長方形で表されるプロジェクト (従来はテナントと呼ばれていた) には、ユーザー管理の仮想マシン (2 つの NIC を持つ灰色の長方形で表される) が含まれます。ceph および manila デーモンプロジェクトにアクセスするには、パブリック Ceph ストレージネットワーク経由でデーモンに接続します。このネットワーク上で、Ceph オブジェクトストレージデーモン (OSD) の提供するストレージノードに保管されたデータにアクセスすることができます。プロジェクトがホストするインスタンス (仮想マシン) は、2 つの NIC と共に起動します。1 つの NIC はストレージプロバイダーネットワーク専用で、2 つ目の NIC は外部プロバイダーネットワークに接続するためのプロジェクト所有のルーター専用です。
ストレージプロバイダーネットワークは、プロジェクト上で動作する仮想マシンをパブリック Ceph ストレージネットワークに接続します。Ceph パブリックネットワークは、Ceph オブジェクトストレージノード、メタデータサーバー (MDS)、およびコントローラーノードへのバックエンドアクセスを提供します。
ネイティブドライバーを使用する場合、CephFS では、クォータの適用、確実なプロジェクト間の分離、およびセキュリティー確保のために、クライアントおよびサーバーとの協調が必要になります。ネイティブドライバーを使用する CephFS は、プライベートクラウド上の信頼済みエンドユーザーが定義された環境で適切に機能します。この設定での協調および適切な動作のためには、ソフトウェアはユーザーの管理下で動作している必要があります。

2.1. セキュリティーに関する考慮事項
ネイティブ CephFS バックエンドには、OpenStack Platform テナントに許容信頼モデルが必要です。この信頼モデルは、OpenStack Platform が提供するサービスの背後にあるインフラストラクチャーにユーザーが直接アクセスするのを意図的にブロックする汎用の OpenStack Platform クラウドには適切ではありません。
ネイティブ CephFS では、ユーザーのコンピュートインスタンス (VM) は、ファイル共有にアクセスするのに Ceph パブリックネットワークに直接接続する必要があります。Ceph インフラストラクチャーサービスデーモンは Ceph パブリックネットワークにデプロイされ、ユーザーの仮想マシンに公開されます。ユーザー仮想マシンで実行される CephFS クライアントは Ceph サービスデーモンと連携し、ファイルデータブロックの読み取りおよび書き込みのために RADOS と直接対話します。
Shared File Systems (manila) 共有サイズを適用する CephFS クォータは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) ユーザーが所有する仮想マシンなど、クライアント側で適用されます。ユーザー仮想マシンのクライアント側のソフトウェアバージョンは最新ではない可能性があるため、重要なクラウドインフラストラクチャーが Ceph サービスポートをターゲットにする悪意のあるまたは意図的ではないが有害なソフトウェアに対して脆弱になる可能性があります。
このため、Red Hat は、信頼できるユーザーがクライアント側ソフトウェアを最新バージョンに維持する環境でのみ、ネイティブ CephFS をバックエンドとしてデプロイすることを推奨します。また、ユーザーは、Ceph Storage インフラストラクチャーに影響を与える可能性のあるソフトウェアが仮想マシンで実行されないようにする必要があります。
数多くの信頼できないユーザーに対応する汎用 RHOSP デプロイメントについては、Red Hat は NFS バックエンドに CephFS を使用する設定を推奨しています。NFS バックエンドに CephFS を使用する設定についての詳細は、NFS バックエンドに CephFS を使用した Shared File Systems サービスのデプロイ を参照してください。
ユーザーがクライアント側のソフトウェアを最新版に維持できはない、また仮想マシンから有害なソフトウェアを除外できない状況でも、NFS バックエンドに CephFS を使用する設定を使用すると、ユーザーは NFS サーバーの公開側にだけアクセスでき、Ceph インフラストラクチャー自体にはアクセスできません。NFS は同様の協調的なクライアントを必要としないので、最悪の場合でも、ユーザー仮想マシンからの攻撃により、NFS ゲートウェイはダメージを受ける可能性がありますが、それの背後にある Ceph Storage インフラストラクチャーはダメージを受けません。
Red Hat では、以下のセキュリティー対策を推奨します。
- Storage ネットワークをプロバイダーネットワークとして設定する。
- ロールベースのアクセス制御 (RBAC) ポリシーを適用して、Storage プロバイダーネットワークのセキュリティーを保護する。
- ネイティブ CephFS バックエンドのプライベート共有種別を作成して、それを信頼済みテナントにのみ公開する。
第3章 ネイティブ CephFS デプロイメント
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境への一般的なネイティブ Ceph ファイルシステム (CephFS) インストールには、以下のコンポーネントが含まれます。
- コンテナー化された Ceph メタデータサーバー (MDS)、Ceph モニター (MON)、および Shared File Systems (manila) サービスを実行する RHOSP コントローラーノード。これらのサービスのいくつかは、同じノードに共存する場合や、1 つまたは複数の専用のノードを持つ場合があります。
- Ceph Storage ノードで実行されるコンテナー化されたオブジェクトストレージデーモン (OSD) を持つ Ceph Storage クラスター。
- クライアントが Ceph サービスデーモンと通信できる Ceph パブリックネットワークとして機能する分離ストレージネットワーク。これを容易にするため、ユーザーはストレージネットワークをプロバイダーネットワークとして使用し、仮想マシンを接続して CephFS 共有をマウントします。
CephFS ネイティブドライバーと共に Shared File Systems サービス (manila) を使用して、Manila CSI で OpenShift Container Platform にファイル共有を提供することはできません。Red Hat ではこのタイプのデプロイメントをサポートしないためです。詳細は、Red Hat のサポートにお問い合わせください。
Shared File Systems (manila) サービスの提供する API により、テナントはファイルシステムの共有を要求することができます。これは、ドライバーモジュールにより実施されます。Red Hat CephFS のドライバー (manila.share.drivers.cephfs.driver.CephFSDriver
) により、Shared File System サービスはネイティブ CephFS をバックエンドとして使用することができます。
director がオーバークラウドに CephFS バックエンドを持つ Shared File Systems サービスをデプロイする場合、これにより必要なデータセンターのストレージネットワークが自動的に作成されます。ただし、オーバークラウド上に対応するストレージプロバイダーネットワークを作成する必要があります。詳細は、4章デプロイメント後設定の完了を参照してください。ネットワークプランニングに関する詳しい情報は、Director のインストールと使用方法の オーバークラウドネットワーク を参照してください。
ノードの /var/lib/config-data/puppet-generated/manila/etc/manila/manila.conf
ファイルを編集して Shared File Systems サービスを手動で設定することができますが、今後のオーバークラウド更新時に、Red Hat OpenStack Platform director を使用して任意の設定を上書きすることができます。Red Hat は、director が管理する Shared File Systems サービスのデプロイメントのみをサポートします。
本項では、director の管理する統合デプロイメントにおいてネイティブ CephFS をインストールする方法について説明します。
3.1. 要件
以下の要件を満たす場合には、新規または既存の Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境と共にネイティブ CephFS バックエンドをデプロイすることができます。
- Red Hat OpenStack Platform バージョン 16.1 以降
- ネイティブ CephFS バックエンドと同時に、新しい Red Hat Ceph Storage クラスターを設定する。Ceph Storage のデプロイ方法については、コンテナー化された Red Hat Ceph を持つオーバークラウドのデプロイ を参照してください。
RHOSP Shared File Systems サービスとネイティブ CephFS バックエンドの組み合わせは、Red Hat Ceph Storage バージョン 4.1 以降との使用でサポートされます。システムにインストールされている Ceph Storage のバージョンを確認する方法についての詳細は、What are the Red Hat Ceph Storage releases and corresponding Ceph package versions? を参照してください。
- Shared File Systems サービスをコントローラーノードにインストールします。これがデフォルトの動作です。
- Shared File Systems サービスには、CephFS バックエンドのインスタンスを 1 つだけ使用してください。
3.3. ネイティブ CephFS で使用される分離ネットワーク
ネイティブ CephFS デプロイメントでは、director が Ceph パブリックネットワークとしてデプロイする分離ストレージネットワークを使用されます。クライアントはこのネットワークを使用して、さまざまな Ceph インフラストラクチャーサービスデーモンと通信します。ネットワークの分離の詳細は、オーバークラウドの高度なカスタマイズ ガイドの 基本的なネットワークの分離 を参照してください。
3.4. ceph-ansible パッケージのインストール
コンテナー化された Ceph をデプロイするには、アンダークラウドノードに ceph-ansible
パッケージをインストールします。
手順
-
アンダークラウドノードに
stack
ユーザーとしてログインします。 ceph-ansible パッケージをインストールします。
[stack@undercloud-0 ~]$ sudo dnf install -y ceph-ansible [stack@undercloud-0 ~]$ sudo dnf list ceph-ansible ... Installed Packages ceph-ansible.noarch 4.0.23-1.el8cp @rhelosp-ceph-4-tools
3.5. 環境のデプロイ
環境をデプロイする準備が整ったら、ネイティブ CephFS バックエンドの設定に必要なカスタム環境およびロールを指定して openstack overcloud deploy
コマンドを使用します。
openstack overcloud deploy
コマンドでは、その他の必要なオプションに加えて以下のオプションを指定します。
アクション | オプション | 追加情報 |
---|---|---|
|
[filename] |
カスタム環境ファイルを使用して、このネットワークデータ環境ファイルで指定したデフォルトネットワークの値を上書きすることができます。これは、分離ネットワークを使用する際に利用可能なデフォルトのネットワークデータファイルです。このファイルは、簡潔にするために |
|
| コンテナー化された Red Hat Ceph を持つオーバークラウドのデプロイ の オーバークラウドデプロイメントの開始 |
|
| コンテナー化された Red Hat Ceph を持つオーバークラウドのデプロイ の オーバークラウドデプロイメントの開始 |
ネイティブ CephFS バックエンドを使用する manila サービスをデプロイする |
|
以下の例は、Ceph クラスター、Ceph MDS、ネイティブ CephFS バックエンド、および Ceph クラスターに必要なネットワークをデプロイするオプションが含まれる openstack overcloud deploy command
コマンドを示しています。
[stack@undercloud ~]$ openstack overcloud deploy \ ... -n /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network_data.yaml \ -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/network-isolation.yaml \ -e /home/stack/network-environment.yaml \ -e/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-ansible.yaml \ -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-mds.yaml \ -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml
openstack overcloud deploy
コマンドについての詳しい情報は、Director のインストールと使用方法 の デプロイメントコマンド を参照してください。
3.5.1. 環境ファイル
ネイティブ CephFS バックエンドを定義する統合環境ファイルは、アンダークラウドノードのパス (/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml
) に置かれます。
manila-cephfsnative-config.yaml
環境ファイルには、Shared File Systems サービスのデプロイに関する設定が含まれます。バックエンドのデフォルト設定は、ほとんどの環境で機能するはずです。
Shared File Systems サービスをデプロイする際に director が使用するデフォルト値を例で示します。
[stack@undercloud ~]$ cat /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml # A Heat environment file which can be used to enable a # a Manila CephFS Native driver backend. resource_registry: OS::TripleO::Services::ManilaApi: ../deployment/manila/manila-api-container-puppet.yaml OS::TripleO::Services::ManilaScheduler: ../deployment/manila/manila-scheduler-container-puppet.yaml # Only manila-share is pacemaker managed: OS::TripleO::Services::ManilaShare: ../deployment/manila/manila-share-pacemaker-puppet.yaml OS::TripleO::Services::ManilaBackendCephFs: ../deployment/manila/manila-backend-cephfs.yaml parameter_defaults: ManilaCephFSBackendName: cephfs 1 ManilaCephFSDriverHandlesShareServers: false 2 ManilaCephFSCephFSAuthId: 'manila' 3 ManilaCephFSCephFSEnableSnapshots: true 4 ManilaCephFSCephVolumeMode: '0755' 5 # manila cephfs driver supports either native cephfs backend - 'CEPHFS' # (users mount shares directly from ceph cluster), or nfs-ganesha backend - # 'NFS' (users mount shares through nfs-ganesha server) ManilaCephFSCephFSProtocolHelperType: 'CEPHFS' 6
parameter_defaults
ヘッダーから設定が始まります。具体的には、このヘッダーからの設定により、resource_registry
で設定したデフォルト値を上書きすることができます。これには、CephFS バックエンドのデフォルトを設定する OS::Tripleo::Services::ManilaBackendCephFs
で定義した値も含まれます。
- 1
ManilaCephFSBackendName
: CephFS バックエンドの manila 設定の名前を定義します。ここでは、デフォルトのバックエンド名はcephfs
です。- 2
ManilaCephFSDriverHandlesShareServers
: 共有用サーバーのライフサイクルをコントロールします。false
に設定すると、ドライバーはライフサイクルを処理しません。CephFS バックエンドでサポートされるオプションはこれだけです。- 3
ManilaCephFSCephFSAuthId
: Ceph クラスターにアクセスするために director が manila サービスに作成する Ceph 認証 ID を定義します。- 4
ManilaCephFSCephFSEnableSnapshots
: スナップショットのアクティブ化をコントロールします。Ceph Storage 4.1 以降ではスナップショットがサポートされますが、このパラメーターのデフォルト値はfalse
です。この値をtrue
に設定すると、ドライバーはsnapshot_support
機能を manila スケジューラーに報告します。- 5
ManilaCephFSCephVolumeMode
は、ネイティブ CephFS バックエンド上に作成される manila 共有に設定する UNIX パーミッションを制御します。デフォルト値は755
です。- 6
- ネイティブ CephFS ドライバーを使用するには、
ManilaCephFSCephFSProtocolHelperType
をCEPHFS
に設定する必要があります。
環境ファイルについての詳細は、Director のインストールと使用方法 の 環境ファイル を参照してください。
第4章 デプロイメント後設定の完了
NFS 共有を作成し、ユーザーにアクセス権限を付与し、NFS 共有をマウントする前に、2 つのデプロイメント後設定タスクを完了する必要があります。
- Networking サービス (neutron) ストレージネットワークを分散データセンターストレージネットワークにマッピングします。
- カスタムロールベースアクセス制御 (RBAC) でのみ、ストレージプロバイダーネットワークを信頼済みテナントで利用できるようにします。ストレージプロバイダーネットワークはグローバルに共有しないでください。
- プライベートファイル共有種別を作成します。
- 特定の信頼済みテナントにアクセス権限を付与します。
これらのステップを完了したら、テナントコンピュートインスタンスはネイティブ CephFS 共有を作成し、そのアクセスを許可し、マウントすることができます。
4.1. ストレージプロバイダーネットワークの作成
新しい分離ストレージネットワークを Networking (neutron) プロバイダーネットワークにマッピングする必要があります。ネイティブ CephFS 共有のエクスポート場所にアクセスするために、コンピュートノードの仮想マシンをネットワークにアタッチします。
Shared File Systems サービスのネットワークセキュリティーに関する情報は、セキュリティーおよび強化ガイド の Shared File System (Manila) の強化 を参照してください。
手順
openstack network create
コマンドにより、ストレージ neutron ネットワークの設定を定義します。
アンダークラウドノードから、以下のコマンドを入力します。
[stack@undercloud ~]$ source ~/overcloudrc
アンダークラウドノードで、ストレージネットワークを作成します。
(overcloud) [stack@undercloud-0 ~]$ openstack network create Storage --provider-network-type vlan --provider-physical-network datacentre --provider-segment 30
以下のオプションを設定してこのコマンドを入力することができます。
-
--provider-physical-network
オプション: tripleo-heat-templates の NeutronBridgeMappings で別途 br-isolated ブリッジのタグを設定していない限り、デフォルト値datacentre
を使用します。 -
--provider-segment
オプション: ネットワーク環境ファイルで Storage 分離ネットワークに設定した値を使用します。これがカスタマイズされない場合、デフォルトの環境ファイルは/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network_data.yaml
になります。分離ネットワークの定義を変更していない限り、Storage ネットワークに関連付けられた VLAN の値は30
です。 -
--provider-network-type
オプション: 値vlan
を使用します。
-
4.2. ストレージプロバイダーネットワークの設定
neutron プロバイダーネットワーク上に対応する StorageSubnet
を作成します。アンダークラウドの storage_subnet
と同じサブネットを設定します。また、ストレージサブネットと対応するアンダークラウドのサブネットの割り当て範囲が重複しないようにしてください。
要件
- 割り当てプールの IP 範囲 (開始および終了アドレス)
- サブネットの IP 範囲
手順
アンダークラウドノードから、以下のコマンドを入力します。
[stack@undercloud ~]$ source ~/overcloudrc
下記のコマンド例を使用して、ネットワークをプロビジョニングします。値を実際の環境に応じて更新します。
(overcloud) [stack@undercloud-0 ~]$ openstack subnet create \ --allocation-pool start=172.17.3.10,end=172.17.3.149 \ --dhcp \ --network Storage \ --subnet-range 172.17.3.0/24 \ --gateway none StorageSubnet
-
--allocation-pool
オプションの場合は、start=172.17.3.10,end=172.17.3.149
IP の値を、実際のネットワークの IP の値に置き換えます。 -
--subnet-range
オプション:172.17.3.0/24
のサブネット範囲を実際のネットワークのサブネット範囲に置き換えます。
-
4.3. ストレージプロバイダーネットワークにおけるロールベースアクセス制御の設定
ストレージネットワークを使用することができる信頼済みテナントまたはプロジェクトを特定した後に、Networking サービス (neutron) を使用してそれらのロールベースアクセス制御 (RBAC) ルールを設定します。
要件
ストレージネットワークへのアクセスを必要とするプロジェクトの名前
手順
アンダークラウドノードから、以下のコマンドを入力します。
[stack@undercloud ~]$ source ~/overcloudrc
アクセスが必要なプロジェクトを特定します。
(overcloud) [stack@undercloud-0 ~]$ openstack project list +----------------------------------+---------+ | ID | Name | +----------------------------------+---------+ | 06f1068f79d2400b88d1c2c33eacea87 | demo | | 5038dde12dfb44fdaa0b3ee4bfe487ce | service | | 820e2d9c956644c2b1530b514127fd0d | admin | +----------------------------------+---------+
必要なプロジェクトでネットワーク RBAC ルールを作成します。
(overcloud) [stack@undercloud-0 ~]$ openstack network rbac create \ --action access_as_shared Storage \ --type network \ --target-project demo
ストレージネットワークへのアクセスを必要とするすべてのプロジェクトについて、このステップを繰り返します。
第5章 ネイティブ CephFS バックエンドが正常にデプロイされたことの検証
Shared File Systems サービス (manila) のバックエンドとしてネイティブ CephFS をデプロイすると、オーバークラウド環境に以下に示す新たな要素が追加されます。
- ストレージプロバイダーネットワーク
- コントローラーノード上の Ceph MDS サービス
ネイティブ CephFS を使用した Shared File Systems サービスの使用に関する詳細は、Storage Guideの Shared File Systems service を参照してください。
ユーザーに利用を許可する前に、クラウド管理者はネイティブ CephFS 環境が安定して動作することを確認する必要があります。
前提条件
- 3章ネイティブ CephFS デプロイメントの手順が完了していること。
5.1. 分離ストレージネットワークが作成されていることの確認
Shared File Systems サービスのバックエンドとしてネイティブ CephFS をデプロイするのに使用する network_data.yaml
ファイルにより、ストレージ VLAN が作成されます。以下の手順を使用して、ストレージ VLAN が正常に作成されていることを確認します。
手順
- オーバークラウドのコントローラーノードのいずれかにログインします。
接続されたネットワークを確認し、
network_data.yaml
ファイルにより設定したとおりの VLAN が存在することを確認します。$ ip a 8: vlan30: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/ether 52:9c:82:7a:d4:75 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 172.17.3.144/24 brd 172.17.3.255 scope global vlan30 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::509c:82ff:fe7a:d475/64 scope link valid_lft forever preferred_lft forever
5.2. Ceph MDS サービスの確認
Ceph MDS サービスのステータスを確認するには、systemctl status
コマンドを使用します。
手順
すべてのコントローラーノードで以下のコマンドを入力して、MDS コンテナーのステータスを確認します。
$ systemctl status ceph-mds<@CONTROLLER-HOST>
以下に例を示します。
$ systemctl status ceph-mds@controller-0.service ceph-mds@controller-0.service - Ceph MDS Loaded: loaded (/etc/systemd/system/ceph-mds@.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Tue 2018-09-18 20:11:53 UTC; 6 days ago Main PID: 65066 (conmon) Tasks: 16 (limit: 204320) Memory: 38.2M CGroup: /system.slice/system-ceph\x2dmds.slice/ceph-mds@controller-0.service └─60921 /usr/bin/podman run --rm --net=host --memory=32000m --cpus=4 -v /var/lib/ceph:/var/lib/ceph:z -v /etc/ceph:/etc/ceph:z -v /var/run/ceph:/var/run/ceph:z -v /etc/localtime:/etc/localtime:ro>
5.3. Ceph クラスターのステータスの確認
Ceph クラスターのステータスを確認するには、以下の手順を実施します。
手順
- 任意のコントローラーノードにログインします。
Ceph monitor デーモンから、以下のコマンドを入力します。
$ sudo podman exec ceph-mon-controller-0 ceph -s cluster: id: 670dc288-cd36-4772-a4fc-47287f8e2ebf health: HEALTH_OK services: mon: 3 daemons, quorum controller-1,controller-2,controller-0 (age 14h) mgr: controller-1(active, since 8w), standbys: controller-0, controller-2 mds: cephfs:1 {0=controller-2=up:active} 2 up:standby osd: 15 osds: 15 up (since 8w), 15 in (since 8w) task status: scrub status: mds.controller-2: idle data: pools: 6 pools, 192 pgs objects: 309 objects, 1.6 GiB usage: 21 GiB used, 144 GiB / 165 GiB avail pgs: 192 active+clean
注記1 つのアクティブな MDS と 2 つのスタンバイ状態の MDS があります。
Ceph File System の詳細ステータスを表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ sudo ceph fs ls name: cephfs metadata pool: manila_metadata, data pools: [manila_data]
注記以下の出力例では、cephfs は、ユーザーが Shared File Systems サービスを使用して作成する CephFS ファイル共有をホストするために director が作成する Ceph File System の名前です。
5.5. manila-api サービスがスケジューラーおよびファイル共有サービスを認識していることの確認
manila-api
サービスがスケジューラーおよびファイル共有サービスを認識していることを確認するには、以下の手順を実施します。
手順
- アンダークラウドにログインします。
以下のコマンドを入力します。
$ source /home/stack/overcloudrc
以下のコマンドを入力して、
manila-scheduler
およびmanila-share
が有効であることを確認します。$ manila service-list | Id | Binary | Host | Zone | Status | State | Updated_at | | 2 | manila-scheduler | hostgroup | nova | enabled | up | 2018-08-08T04:15:03.000000 | | 5 | manila-share | hostgroup@cephfs | nova | enabled | up | 2018-08-08T04:15:03.000000 |