2.2. DCN アーキテクチャーのネットワークに関する考慮事項
現在、DCN アーキテクチャー向けには以下の機能はサポートされていません。
- Octavia
- DPDK ノード上の DHCP
- TC Flower ハードウェアオフロードの conntrack
ML2/OVN メカニズムドライバーはテクノロジープレビューとして DCN で利用可能であるため、これらのソリューションを一緒に使用することは、Red Hat では全面的にはサポートしていません。この機能は DCN ではテスト用途にのみ使用すべきで、実稼働環境にデプロイすべきではありません。テクノロジープレビュー機能についての詳しい情報は、対象範囲の詳細を参照してください。
ML2/OVN メカニズムドライバーは、DCN 環境外では完全にサポートされます。
以下のネットワークテクノロジーと ML2/OVS の組み合わせがサポートされます。
- DPDK ノード上の DHCP を使用しない DPDK
- SR-IOV
- conntrack を使用しない TC Flower ハードウェアオフロード
- Neutron アベイラビリティーゾーン (AZ) とエッジサイトのネットワークノードの組み合わせ (1 サイトごとの AZ)
- ルーティング対応プロバイダーネットワーク
さらに、以下の点を考慮する必要があります。
- ネットワークレイテンシー: 許容可能な性能を維持するための、ラウンドトリップタイム (RTT) で測定されるレイテンシーと予想される同時 API 操作の数のバランス。最大 TCP/IP スループットは、RTT と逆比例します。カーネル TCP パラメーターを調整することで、高帯域幅の高レイテンシー接続の問題を軽減できま。クロスサイト通信が 100 ミリ秒を超える場合は Red Hat サポートにお問い合わせください。
- ネットワークドロップアウト: エッジサイトで一時的に中央サイトへのネットワーク接続が失われると、その間は該当するエッジサイトで OpenStack コントロールプレーン API または CLI 操作を実行することができません。たとえば、エッジサイトの Compute ノードは、インスタンスのスナップショットの作成や認証トークンの発行、イメージの削除ができなくなります。この接続喪失の期間中、全般的な OpenStack コントロールプレーン API および CLI 操作は引き続き実施可能で、ネットワーク接続が機能しているその他のエッジサイトへの対応を続けることができます。イメージタイプ: Ceph ストレージと共に DCN アーキテクチャーをデプロイする場合は、raw 形式のイメージを使用する必要があります。
イメージのサイズ:
- オーバークラウドノードのイメージ: オーバークラウドノードのイメージは中央のアンダークラウドノードからダウンロードされます。プロビジョニング時に、これらのイメージの大きなファイルが必要なすべてのネットワークを通じて中央サイトからエッジサイトに転送される可能性があります。
インスタンスのイメージ: エッジサイトにブロックストレージがない場合には、初回使用時に Image サービスのイメージが WAN を通過します。その後のすべての使用のために、イメージは目的のエッジノードにローカルにコピーまたはキャッシュされます。glance イメージにはサイズの制限はありません。転送時間は、利用可能な帯域幅およびネットワークレイテンシーにより変動します。
ブロックストレージがエッジサイトにある場合は、エッジサイトでのブート時間短縮のために、イメージが WAN を通じて非同期にコピーされます。
- プロバイダーネットワーク: これが DCN デプロイメントの推奨ネットワーク設定です。リモートサイトでプロバイダーネットワークを使用する場合は、利用可能なネットワークのアタッチ先に関して、Networking サービス (neutron) が何らかの制約を設けたりチェックを行ったりしない点に注意する必要があります。たとえば、エッジサイト A でしかプロバイダーネットワークを使用しない場合には、エッジサイト B では決してプロバイダーネットワークにアタッチしないようにする必要があります。これは、プロバイダーネットワークを Compute ノードにバインドする際に、プロバイダーネットワークに関するチェックが行われないためです。
- サイト固有のネットワーク: 特定のサイトに固有なネットワークを使用している場合には、DCN のネットワーク設定に制約が生じます。Compute ノードと共に集中 neutron コントローラーをデプロイする場合には、neutron では特定の Compute ノードをリモートノードとして識別するトリガーがありません。したがって、Compute ノードは他の Compute ノードのリストを取得し、自動的にそれぞれのノード間でトンネルを形成します。トンネルは、エッジサイト/エッジサイト間およびエッジサイト/中央サイト間で形成されます。VXLAN または Geneve を使用している場合には、すべてのサイトの全 Compute ノードが、他のすべての Compute ノードおよびコントローラーノードとトンネルを形成します (それらがローカルかリモートかにかかわらず)。すべてのノードで同じ neutron ネットワークを使用していれば、これは問題とはなりません。VLAN を使用している場合の neutron 設定では、すべての Compute ノードが同じブリッジマッピングを持ち、すべての VLAN が各サイトで利用可能でなければなりません。
- 追加のサイト: 中央サイトから追加のリモートサイトに拡張する必要がある場合には、Red Hat OpenStack Platform director で openstack CLI を使用して、新たなネットワークセグメントおよびサブネットを追加することができます。
- エッジサーバーが事前にプロビジョニングされていない場合は、ルーティングされたセグメントにイントロスペクションおよびプロビジョニング用の DHCP リレーを設定する必要があります。
- ルーティングは、クラウド上、または各エッジサイトをハブに接続するネットワークインフラストラクチャー内のいずれかに設定する必要があります。それぞれのサイトについて個別に、各 Red Hat OpenStack Platform クラスターネットワーク (外部、内部 API 等) の L3 サブネットを割り当てるネットワーク設計を実装する必要があります。