第12章 director でデプロイされた Ceph Storage のアップグレードの準備
director のデプロイした Red Hat Ceph Storage クラスターがデプロイメントで使用される場合は、本項に記載する手順を完了する必要があります。
RHOSP 16.1 は RHEL 8.2 でサポートされています。ただし、Ceph Storage ロールにマップされているホストは、最新のメジャー RHEL リリースに更新されます。詳細は、Red Hat Ceph Storage: サポートされる設定 を参照してください。
外部の Ceph デプロイメントと共にアップグレードする場合は、本項に記載する手順を省略し、13章外部の Ceph デプロイメントと組み合わせたアップグレードの準備に進む必要があります。
Red Hat OpenStack Platform 16.1 へのアップグレード中、プロセスでは Red Hat Ceph Storage 3 のコンテナー化されたサービスを継続して使用します。Red Hat OpenStack Platform 16.1 へのアップグレードが完了したら、Ceph Storage サービスを Red Hat Ceph Storage 4 にアップグレードします。
Red Hat OpenStack Platform 16.1 のアップグレードと Ceph Storage サービスの Red Hat Ceph Storage 4 へのアップグレードの両方が完了するまで、Shared File Systems サービス (manila) で新しいファイル共有をプロビジョニングすることはできません。
12.1. Ceph Storage ノードのアップグレードプロセスの概要
オーバークラウドのアップグレードプロセス中、director でデプロイされた Ceph Storage ノードは Red Hat Ceph Storage 3 コンテナーを継続して使用します。アップグレードプロセス中に Ceph Storage ノードおよびサービスがどのように影響を受けるかについて理解するには、Ceph Storage アップグレードプロセスの各要素ごとに以下の概要を参照してください。
ceph-ansible
ceph-ansible
は、ロールおよび Playbook のコレクションです。director はこれを使用して Ceph Storage サービスのインストール、維持、およびアップグレードを行います。アンダークラウドをアップグレードする際に実行した特定のコマンドにより、Red Hat Enterprise Linux 8.2 への移行後に ceph-ansible
は最新のバージョン 3 コレクションの状態を維持します。バージョン 3 の ceph-ansible
は、オーバークラウドのアップグレード期間中、バージョン 3 のコンテナー化された Ceph Storage サービスを維持します。アップグレードが完了したら、Red Hat Ceph Storage Tools 4 for RHEL 8 リポジトリーを有効にし、ceph-ansible
をバージョン 4 に更新します。
Podman への移行
オーバークラウドのアップグレード時には、openstack overcloud external-upgrade run --tags ceph_systemd
コマンドを実行し、Ceph Storage のコンテナー化されたサービスを制御する systemd
サービスが Docker ではなく Podman を使用するように変更する必要があります。Ceph Storage のコンテナー化されたサービスが含まれるいずれかのノードでオペレーティングシステムをアップグレードする前に、このコマンドを実行します。
systemd
サービスがノード上で Podman を使用するように変更したら、オペレーティングシステムのアップグレードおよび OpenStack Platform サービスのアップグレードを実施します。そのノード上の Ceph Storage コンテナーは、OpenStack Platform サービスのアップグレード後に再度実行されます。
Ceph Storage のオペレーティングシステムのアップグレード
概略としては、Ceph Storage ノードで、オーバークラウドノードで実施するのと同じワークフローに従います。Ceph Storage ノードに対して openstack overcloud upgrade run --tags system_upgrade
コマンドを実行すると、director は Ceph Storage ノードで Leapp を実行し、オペレーティングシステムを Red Hat Enterprise Linux 8.2 にアップグレードします。続いて、Ceph Storage ノードに対してタグ付けされていない openstack overcloud upgrade run
コマンドを実行します。これにより、以下のコンテナーが実行されます。
- Red Hat Ceph Storage 3 のコンテナー化されたサービス
- Red Hat OpenStack Platform 16.1 のコンテナー化されたサービス
Red Hat Ceph Storage 4 へのアップグレード
Leapp によるアップグレードおよび Red Hat OpenStack Platform のアップグレードを完了した後も、Ceph Storage のコンテナー化されたサービスは引き続きバージョン 3 のコンテナーを使用します。この時点で ceph-ansible
をバージョン 4 にアップグレードする必要があります。続いて openstack overcloud external-upgrade run --tags ceph
コマンドを実行し、すべてのノード上の Red Hat Ceph Storage サービスをすべてバージョン 4 にアップグレードします。
Ceph Storage ワークフローの概要
Red Hat Ceph Storage をアップグレードするワークフローの概要を以下に示します。このワークフローは Red Hat OpenStack Platform の全体的なワークフローに統合されていて、アンダークラウド上でアップグレードフレームワークのコマンドを実行すると、このワークフローの操作が実施されます。
-
アンダークラウドをアップグレードしますが、バージョン 3 の
ceph-ansible
を維持します。 - オーバークラウドのアップグレードを開始します。
Ceph Storage のコンテナー化されたサービスをホストするノードごとに、以下のタスクを実行します。
- Ceph Storage のコンテナー化されたサービスを Podman に移行する。
- オペレーティングシステムをアップグレードする。
- OpenStack Platform サービスをアップグレードする。これにより、Ceph Storage バージョン 3 のコンテナー化されたサービスが再起動されます。
- オーバークラウドのアップグレードを完了します。
-
アンダークラウドの
ceph-ansible
をバージョン 4 にアップグレードします。 - オーバークラウドで Red Hat Ceph Storage 4 にアップグレードします。
このリストは Red Hat OpenStack Platform 16.1 アップグレードプロセス全体の全ステップを網羅している訳ではありません。アップグレードプロセス中 Ceph Storage サービスに何が起こるかを説明するために、Red Hat Ceph Storage に該当する要素にのみ焦点を当てています。