2.4. ネットワーク


本項では、Networking (neutron) サービスの最も重要な新機能について説明します。

ML2/OVS が、ハードウェアからオフロードされたダイレクトポートで QoS ポリシーをサポート
Red Hat OpenStack Platform 16.1.7 以降、Open vSwitch メカニズムドライバー (ML2/OVS) を備えた Modular Layer 2 プラグインは、ハードウェアからオフロードされたダイレクトポートで QoS ルールをサポートするようになりました。
新規 Networking サービスのクォータドライバーで MariaDB リソース要求のロックが不要になる

Red Hat OpenStack Platform(RHOSP)16.1.7 以降、RHOSP の Networking サービス (neutron) 用の新しいクォータドライバーが追加されました。Networking サービスはグローバルロックを使用しなくなりましたが、代わりに MariaDB トランザクションの分離レベルを使用してリソースと現在のリソース予約を取得します。この新しいドライバーは、クォータに違反していない限り、同じデータベーストランザクション内に予約を作成します。

新しいトランザクションは使用済みリソースのカウントと予約の作成を行うため、この新しいクォータドライバーは、make_reservation トランザクションを使用する従来のドライバーよりもはるかに高速です。新しいクォータドライバーを使用すると、Networking サービスで、データベースのロックにつながる可能性のあるリソース要求のボトルネックが発生する可能性が低くなります。

Load-balancing サービス (octavia) に対する HA のサポート
Red Hat OpenStack Platform 16.1 では、Load-balancing サービス (octavia) インスタンスを高可用性の設定にすることができます。この場合、active/standby トポロジーを実装し、amphora プロバイダードライバーを使用します。詳細は、Using Octavia for Load Balancing-as-a-ServiceEnabling active-standby topology for Load-balancing service instances を参照してください。
UDP トラフィックに対する Load-balancing サービス (octavia) のサポート
Red Hat OpenStack Platform Load-balancing サービス (octavia) を使用して、UDP ポート上のネットワークトラフィックのバランスを取ることができます。詳細は、Using Octavia for Load Balancing-as-a-ServiceCreating a UDP load balancer with a health monitor を参照してください。
ルーティング対応プロバイダーネットワーク
Red Hat OpenStack Platform 16.1.1 から、ML2/OVS または SR-IOV メカニズムドライバーを使用してルーティング対応プロバイダーネットワークをデプロイすることができます。ルーティング対応プロバイダーネットワークは、エッジ分散コンピュートノード (DCN) およびスパイン/リーフ型ルーティング対応データセンターのデプロイメントで一般的に用いられます。ルーティング対応プロバイダーネットワークを使用すると、1 つのプロバイダーネットワークを有効にして、複数のレイヤー 2 ネットワーク (ブロードキャストドメイン) またはネットワークセグメントに対応することができます。これにより、オペレーターはユーザーに対して 1 つのネットワークだけを提供することができます。詳細は、ネットワークガイドルーティング対応プロバイダーネットワークのデプロイ を参照してください。
ML2/OVN デプロイメントにおける SR-IOV とネイティブ OVN DHCP の組み合わせ

Red Hat OpenStack Platform 16.1.1 から、ML2/OVN デプロイメントで SR-IOV とネイティブの OVN DHCP (neutron DHCP は不要) の組み合わせを使用することができます。

詳細は、ネットワークガイドML2/OVN デプロイメントにおける SR-IOV とネイティブ OVN DHCP の組み合わせの有効化 および ML2/OVN メカニズムドライバーの制約 を参照してください。

ノースバウンドパスにおけるジャンボフレームの MTU 検出機能のサポート

Red Hat OpenStack Platform 16.1.2 では、UDP ジャンボフレームに対応する MTU の検出機能が追加されました。外部ネットワークの MTU を超える UDP ジャンボフレームを受信した場合、ML2/OVN ルーターは ICMP の fragmentation needed パケットを送信元の仮想マシンに返します。このため、送信元アプリケーションはペイロードをより小さなパケットに分割することができます。以前のリリースでは、ICMP の fragmentation needed パケットを返すことができないため、パケットロスが発生していました。必要な設定手順の詳細は、オーバークラウドの高度なカスタマイズジャンボフレームを細分化するための ML2/OVN ノースバウンドパス MTU 検出の設定 を参照してください。

East-West トラフィックでは、OVN は East-West パスの最少 MTU を超えるパケットの断片化をサポートしていない点に注意してください。

  • VM1 は、MTU が 1300 に設定された Network1 上にある。
  • VM2 は、MTU が 1200 に設定された Network2 上にある。
  • サイズが 1171 以下の VM1/VM2 間の ping は、どちらの方向も成功します。サイズが 1171 を超える ping は、すべてパケットロスになります。

    Bug 1891591 を参照してください。

Load-balancing サービスインスタンス (amphora) のログオフロード
デフォルトでは、Load-balancing サービスインスタンス (amphorae) は、ローカルマシンの systemd ジャーナルにログを保存します。ただし、Red Hat OpenStack Platform 16.1.2 以降、amphorae がログを syslog レシーバーにオフロードするように指定して、管理とテナント両方のトラフィックフローのログを集約することができます。ログのオフロードにより、管理者はログを 1 カ所で管理し、amphora のローテーション後もログを維持することができます。詳細は、Using Octavia for Load Balancing-as-a-ServiceBasics of offloading Load-balancing service instance (amphora) logs を参照してください。
Load-balancing サービス (octavia) 用 OVN プロバイダードライバー

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 16.1.2 では、Open Virtual Network (OVN) の負荷分散プロバイダーが完全にサポートされるようになりました。これは、基本的な機能セットを持つ軽量ロードバランサーです。通常、East-West レイヤー 4 ネットワークトラフィックに使用され、OVN は素早くプロビジョニングし、amphora 等のフル機能の負荷分散プロバイダーほどリソースを消費しません。

注記

OVN プロバイダードライバーにはヘルスチェック機能は実装されません。

ML2/OVN neutron プラグインを使用する RHOSP デプロイメントでは、RHOSP director は Load-balancing サービス (octavia) で OVN プロバイダードライバーを自動的に有効にします。追加のインストールや設定のステップは必要ありません。すべての RHOSP デプロイメントと同様に、デフォルトの負荷分散プロバイダードライバーである amphora は引き続き有効で、完全にサポートされます。詳細は、Using Octavia for Load Balancing-as-a-ServiceCreating an OVN load balancer を参照してください。

ML2/OVS から ML2/OVN へのインプレース移行: RHOSP 16.2 でサポート

既存の Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントで ML2/OVS メカニズムドライバーが使用されている場合、OVS ドライバーを ML2/OVN メカニズムドライバーに置き換えるメリットおよび現実性の評価をする必要があります。Red Hat は、RHOSP 16.1 の ML2/OVN への直接移行をサポートしていません。ML2/OVN メカニズムドライバーに移行する前に、最新の RHOSP 16.2 バージョンにアップグレードする必要があります。

注記

ML2/OVS から ML2/OVN への移行を試みる前に、事前サポートケースを作成する必要があります。事前サポートケースを作成しない場合、Red Hat では移行をサポートしません。

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