7.3. Cisco Nexus スイッチの設定
7.3.1. トランクポートについて
OpenStack Networking により、インスタンスを物理ネットワーク上にすでに存在する VLAN に接続することができます。トランク という用語は、単一のポートで複数 VLAN の通過を許可することを意味します。これらのポートを使用することで、VLAN は仮想スイッチを含む複数のスイッチ間にまたがることができます。たとえば、物理ネットワークで VLAN110 のタグが付いたトラフィックが Compute ノードに到達すると、タグの付いたトラフィックが 8021q モジュールによって vSwitch 上の適切な VLAN に転送されます。
7.3.2. Cisco Nexus スイッチでのトランクポートの設定
Cisco Nexus を使用する場合には、以下の設定構文を使用して、VLAN 110 と 111 のトラフィックがインスタンスに到達できるように設定することが可能です。
この設定では、物理ノードの NIC がイーサネットケーブルにより物理スイッチポート (インターフェイス
Ethernet1/12
) に接続されていることを前提としています。重要以下に示す値は、例として提示しています。この例で使用している値を、実際の環境に合わせて変更する必要があります。これらの値を調整せずにコピーしてご自分のスイッチ設定に貼り付けると、予期せぬ機能停止を招く可能性があります。
interface Ethernet1/12 description Trunk to Compute Node switchport mode trunk switchport trunk allowed vlan 2,110,111 switchport trunk native vlan 2 end
7.3.3. アクセスポートについて
Compute ノード上の全 NIC がインスタンスのトラフィックを伝送する訳ではないので、すべての NIC で複数の VLAN が通過できるように設定する必要はありません。アクセスポートに必要なのは 1 つの VLAN だけで、管理トラフィックやブロックストレージデータの転送などの、他の運用上の要件を満たす可能性があります。これらのポートは一般的にアクセスポートと呼ばれ、必要な設定は通常、トランクポートよりも簡単です。
7.3.4. Cisco Nexus スイッチでのアクセスポートの設定
手順
図7.1「ネットワークレイアウト例」の図に示した例を使用して、Ethernet1/13 (Cisco Nexus スイッチ上) を
eth1
のアクセスポートとして設定します。この設定では、物理ノードの NIC がイーサネットケーブルにより物理スイッチポート (インターフェイスEthernet1/13
) に接続されていることを前提としています。重要以下に示す値は、例として提示しています。この例で使用している値を、実際の環境に合わせて変更する必要があります。これらの値を調整せずにコピーしてご自分のスイッチ設定に貼り付けると、予期せぬ機能停止を招く可能性があります。
interface Ethernet1/13 description Access port for Compute Node switchport mode access switchport access vlan 200
7.3.5. LACP ポートアグリゲーションについて
リンクアグリゲーション制御プロトコル (LACP) を使用して、複数の物理 NIC をバンドルし、単一の論理チャネルを形成できます。LACP は 802.3ad (または、Linux ではボンディングモード 4) としても知られており、負荷分散と耐障害性のための動的なボンディングを作成します。LACP は、物理 NIC と物理スイッチポートの両方の物理エンドで設定する必要があります。
関連情報
Advanced Overcloud Customization ガイドの Network Interface Bonding を参照してください。
7.3.6. 物理 NIC 上での LACP の設定
物理 NIC でリンクアグリゲーション制御プロトコル (LACP) を設定できます。
手順
/home/stack/network-environment.yaml ファイルを編集します。
- type: linux_bond name: bond1 mtu: 9000 bonding_options:{get_param: BondInterfaceOvsOptions}; members: - type: interface name: nic3 mtu: 9000 primary: true - type: interface name: nic4 mtu: 9000
Open vSwitch ブリッジが LACP を使用するように設定します。
BondInterfaceOvsOptions: "mode=802.3ad"
関連情報
Advanced Overcloud Customization ガイドの Network Interface Bonding を参照してください。
7.3.7. Cisco Nexus スイッチでの LACP の設定
以下の例では、Compute ノードに VLAN 100 を使用する NIC が 2 つあります。
手順
- Compute ノードの NIC を物理的にスイッチ (例: ポート 12 と 13) に接続します。
LACP が有効なことを確認します。
(config)# show feature | include lacp lacp 1 enabled
ポート 1/12 と 1/13 をアクセスポートおよびチャネルグループのメンバーとして設定します。
デプロイメントによっては、アクセスインターフェイスの代わりにトランクインターフェイスをデプロイすることができます。
たとえば、Cisco UCI の場合には、NIC は仮想インターフェイスなので、アクセスポートだけを設定する方が望ましい場合があります。多くの場合、これらのインターフェイスには VLAN タグ付けが設定されています。
interface Ethernet1/13 description Access port for Compute Node switchport mode access switchport access vlan 200 channel-group 10 mode active interface Ethernet1/13 description Access port for Compute Node switchport mode access switchport access vlan 200 channel-group 10 mode active
PXE を使用して Cisco スイッチ上のノードをプロビジョニングする場合、ポートを立ち上げてサーバーを起動するために、オプション no lacp graceful-convergence
および no lacp suspend-individual
を設定する必要がある場合があります。詳細は、Cisco スイッチのドキュメントを参照してください。
7.3.8. MTU 設定について
特定のネットワークトラフィック種別に対して、MTU サイズを調整する必要があります。たとえば、特定の NFS または iSCSI のトラフィックでは、ジャンボフレーム (9000 バイト) が必要になります。
MTU の設定は、エンドツーエンド (トラフィックが通過すると想定される全ホップ) で変更する必要があります。これには、仮想スイッチが含まれます。
関連情報
7.3.9. Cisco Nexus 7000 スイッチでの MTU の設定
7000 シリーズのスイッチ上の単一のインターフェイスに、MTU の設定を適用します。
手順
以下のコマンドを実行して、インターフェイス 1/12 が 9000 バイトのジャンボフレームを使用するように設定します。
interface ethernet 1/12 mtu 9216 exit
7.3.10. LLDP ディスカバリーについて
ironic-python-agent
サービスは、接続されたスイッチからの LLDP パケットをリッスンします。収集される情報には、スイッチ名、ポートの詳細、利用可能な VLAN を含めることができます。Cisco Discovery Protocol (CDP) と同様に、LLDP は、director のイントロスペクションプロセス中の物理ハードウェア検出を補助します。
7.3.11. Cisco Nexus 7000 スイッチでの LLDP の設定
手順
Cisco Nexus 7000 シリーズスイッチ上の個別のインターフェイスに対して、LLDP を有効にすることができます。
interface ethernet 1/12 lldp transmit lldp receive no lacp suspend-individual no lacp graceful-convergence interface ethernet 1/13 lldp transmit lldp receive no lacp suspend-individual no lacp graceful-convergence
copy running-config startup-config
コマンドを実行して running-config を startup-config にコピーし、変更を保存するのを忘れないようにしてください。