ストレージガイド
OpenStack での永続ストレージの理解、使用、管理
概要
第1章 Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) での永続ストレージの概要
Red Hat OpenStack Platform では、ストレージは主に 3 つのサービスで提供されます。
-
Block Storage (
openstack-cinder
) -
Object Storage (
openstack-swift
) -
Shared File System ストレージ (
openstack-manila
)
これらのサービスは、異なる種別の永続ストレージを提供します。それぞれのストレージは、異なるユースケースで独自の利点があります。このガイドでは、一般的なエンタープライズストレージ要件に対する各ストレージの適合性を説明します。
RHOSP Dashboard またはコマンドラインクライアントのどちらかを使用して、クラウドストレージの管理を行うことができます。どちらの方法を使用しても、ほとんどの操作を実施することができます。ただし、一部のより高度な操作は、コマンドラインでのみ実施することができます。このガイドでは、可能な場合には Dashboard を使用する手順を記載しています。
Red Hat OpenStack Platform の全ドキュメントスイートは Red Hat OpenStack Platform Documentation で参照してください。
このガイドでは、crudini
を使用してカスタムのサービス設定を適用する方法を説明します。そのため、crudini
パッケージを最初にインストールする必要があります。
# dnf install crudini -y
RHOSP は、一時 ストレージと 永続 ストレージの 2 種類を認識します。一時ストレージは、特定の Compute インスタンスにのみ関連付けられるストレージです。インスタンスが終了されると、一時ストレージも終了します。この種別のストレージは、インスタンスのオペレーティングシステムの保存など、ランタイム時の基本的要件に対応する際に役立ちます。
永続 ストレージは、実行中のインスタンスからは独立して存続 (永続) するように設計されています。このストレージは、別のインスタンスまたは有効期間を超えた特定のインスタンスが再利用する必要のあるデータに使用されます。RHOSP は以下の種別の永続ストレージを使用します。
- ボリューム
OpenStack Block Storage サービス (openstack-cinder) により、ユーザーは ボリューム を使用してブロックストレージデバイスにアクセスすることができます。一時ストレージを汎用の永続ストレージで拡張するために、インスタンスにボリュームを接続することができます。ボリュームは、任意でインスタンスからデタッチすることも、再度接続することもできます。接続したインスタンス経由でないと、ボリュームにはアクセスできません。
一時ストレージを使用しないようにインスタンスを設定することもできます。一時ストレージを使用する代わりに、Block Storage サービスがイメージをボリュームに書き込むように設定できます。その後、インスタンスのブート可能なルートボリュームとしてボリュームを使用することができます。
ボリュームには、バックアップやスナップショットを使用することで冗長性と災害復旧機能も備わっています。さらに、ボリュームを暗号化できるため、セキュリティーが強化されます。
- コンテナー
OpenStack Object Storage サービス (openstack-swift) は、メディアファイル、大容量のデータセット、ディスクイメージなど、静的データやバイナリーオブジェクトを保存するために使用する完全に分散されたストレージソリューションを提供します。Object Storage サービスは、コンテナーを使用してこれらのオブジェクトを整理します。
ボリュームのコンテンツにはインスタンス経由でしかアクセスできませんが、コンテナーの中のオブジェクトには Object Storage REST API 経由でアクセスすることができます。そのため、クラウド内にあるほぼすべてのサービスが、Object Storage サービスをリポジトリーとして使用することができます。
- ファイル共有
- Shared File Systems サービス (openstack-manila) は、リモートにある共有可能なファイルシステムまたは ファイル共有 を簡単にプロビジョニングする手段を提供します。ファイル共有により、クラウド内のプロジェクトはストレージをオープンに共有できます。また、ファイル共有は、複数のインスタンスが同時に消費することが可能です。
各ストレージの種別は、特定のストレージ要件に対応するために設計されています。コンテナーは、幅広いアクセスに対応できるように設計されているため、全ストレージ種別において最高レベルのスループット、アクセス、フォールトトレランスが備えられています。コンテナーは主にサービスへの使用を対象としています。
一方で、ボリュームは主にインスタンスの消費に使用されます。ボリュームは、コンテナーと同じレベルのアクセスやパフォーマンスには対応しにくくなっていますが、コンテナーに比べ、機能セットが幅広く、ネイティブのセキュリティー機能も多くなっています。この点では、ファイル共有はボリュームとよく似ていますが、複数のインスタンスにより消費可能である点が異なります。
以下のセクションでは、具体的なストレージ基準との関連において、各ストレージ種別のアーキテクチャーおよび機能セットについて考察します。
1.1. スケーラビリティーおよびバックエンドストレージ
一般的に、クラスターストレージソリューションは、バックエンドのスケーラビリティーが高くなっています。Red Hat Ceph を Block Storage (cinder) のバックエンドとして使用する場合は、Ceph Object Storage Daemon (OSD) ノードをさらに追加することで、ストレージの容量および冗長性をスケーリングできます。Block Storage, Object Storage (swift) および Shared File Systems Storage (manila) サービスは、バックエンドとして Red Hat Ceph Storage をサポートします。
Block Storage サービスは、個別のバックエンドとして複数のストレージソリューションを使用できます。バックエンドレベルでは、バックエンドを追加してサービスを再起動することで、容量をスケーリングすることができます。Block Storage サービスには、多くのサポート対象バックエンドソリューションリストも含まれており、その一部には追加のスケーラビリティー機能が備えられています。
デフォルトでは、Object Storage サービスは設定済みのストレージノードを使用しており、空き容量がある分だけ使用することができます。Object Storage サービスは、XFS および ext4 ファイルシステムをサポートし、いずれのサービスもスケーリングして、下層にあるブロックストレージで容量を利用可能な分だけ消費することができます。ストレージノードにストレージデバイスを追加することで、容量を拡張することもできます。
Shared File Systems サービスは、1 つ以上のサードパーティーのバックエンドのストレージシステムが管理する指定されたストレージプールからファイル共有をプロビジョニングします。この共有ストレージは、サービスで利用可能なストレージプールのサイズまたは数を増やすか、サードパーティーのバックエンドのストレージシステムをデプロイメントに追加してスケーリングできます。
1.2. ストレージへのアクセシビリティーと管理
ボリュームは、インスタンスによってのみ消費され、1 回に 1 つのインスタンスにしか接続できず、またそのインスタンス内にしかマウントできません。ボリュームのスナップショットを作成して、クローンを作成する際や以前の状態にボリュームをリストアする際に使用することができます。詳細は、「ストレージの冗長性と障害復旧」 を参照してください。プロジェクト管理者は、Block Storage サービスを使用して、サイズやバックエンドなどのボリューム設定を集約する ボリュームタイプ を作成できます。ボリュームタイプを QoS (Quality of Service) 仕様に関連付ることで、クラウドユーザーにさまざまなレベルのパフォーマンスを提供できます。ユーザーは、新しいボリュームを作成するときに必要なボリュームタイプを指定できます。たとえば、より高いパフォーマンスの QoS 仕様を使用するボリュームは、より多くの IOPS をユーザーに提供できます。また、ユーザーは、リソースを節約するために、より低いパフォーマンスの QoS 仕様を使用するボリュームに軽いワークロードを割り当てることができます。
ファイル共有は、ボリュームと同様にインスタンスにより消費されます。しかし、ファイル共有の場合はインスタンス内に直接マウントすることができるので、ダッシュボードまたは CLI 経由で接続する必要がありません。ファイル共有は、同時に複数のインスタンスによりマウントすることができます。Shared File Systems サービスは、ファイル共有のスナップショットやクローン作成もサポートしており、(ボリューム種別と同様に) 設定をまとめた 共有種別 を作成することも可能です。
コンテナー内のオブジェクトは、API 経由でアクセスすることができ、クラウド内のインスタンスやサービスからアクセスすることができます。したがって、サービスのオブジェクトリポジトリーとして理想的です。たとえば、Image サービス (openstack-glance) は Object Storage サービスで管理するコンテナーにイメージを保存することができます。
1.3. ストレージのセキュリティー
Block Storage サービス (cinder) は、ボリュームの暗号化を使用して基本的なデータセキュリティーを確保します。これにより、静的キーでボリューム種別を暗号化するように設定できます。このキーは設定したボリュームの種別から作成するボリュームすべてを暗号化する際に使用されます。詳細は、「Block Storage サービス (cinder) ボリュームの暗号化」 を参照してください。
オブジェクトとコンテナーのセキュリティーは、サービスおよびノードレベルで設定されます。Object Storage サービス (swift) は、コンテナーおよびオブジェクトに対するネイティブの暗号化を提供しません。Object Storage サービスによりクラウド内のアクセス性の優先順位が付けられるため、オブジェクトデータの保護はクラウドのネットワークセキュリティーにのみ依存します。
Shared File Systems サービス (manila) では、インスタンスの IP アドレス、ユーザーもしくはグループ、または TLS 証明書別にアクセス制限することでファイル共有のセキュリティーを確保することができます。さらに、一部の Shared File Systems サービスのデプロイメントは、別の共有用サーバーが備えられているため、ファイル共有ネットワークとファイル共有間の関係を管理することができます。共有用サーバーによっては追加のネットワークセキュリティーをサポートする、または必要とする場合があります。たとえば、CIFS ファイル共有サーバーでは LDAP、Active Directory または Kerberos 認証サービスのデプロイメントが必要です。
イメージの署名および検証ならびにメタデータ定義 (metadef) API の制限など、Image サービス (glance) のセキュリティーを保護する方法についての詳細は、イメージの作成および管理の Image サービス (glance) を参照してください。
1.4. ストレージの冗長性と障害復旧
Block Storage (cinder) サービスには、ボリュームのバックアップとリストア機能があり、ユーザーストレージの基本的な災害復旧を行います。バックアップ機能を使用して、ボリュームのコンテンツを保護します。サービスは、スナップショットもサポートします。クローン作成に加えて、スナップショットを使用してボリュームを以前の状態に復元することもできます。
マルチバックエンドの環境では、バックエンド間でボリュームを移行することも可能です。この機能は、メンテナンスでバックエンドをオフラインにする必要がある場合に役立ちます。バックアップは通常、データが保護できるように、ソースのボリュームとは別のストレージバックエンドに保存されます。スナップショットはソースのボリュームに依存するため、この方法を用いることはできません。
Block Storage サービスは、ボリュームをグループ化して同時にスナップショットを作成するために、整合性グループの作成もサポートしています。これにより、複数のボリューム間のデータの整合性レベルが向上します。詳細は、「Block Storage サービス (cinder) の整合性グループ」 を参照してください。
Object Storage (swift) サービスには、ビルトインのバックアップ機能はありません。すべてのバックアップを、ファイルシステムまたはノードレベルで実行する必要があります。Object Storage サービスにはより強力な冗長機能とフォールトトレランスが備えられており、Object Storage サービスの最も基本的なデプロイメントでさえ、複数回オブジェクトを複製します。dm-multipath
などのフェイルオーバー機能を使用して、冗長性を強化することができます。
Shared File Systems サービスには、ファイル共有向けのバックアップ機能は組み込まれていませんが、スナップショットを作成してクローンを作成したり、リストアしたりすることができます。
第2章 Block Storage サービス (cinder) の設定
Block Storage サービス (cinder) は、全ボリュームの管理タスク、セキュリティー、スケジューリング、全体を管理します。Compute インスタンス用の永続ストレージとしては、ボリュームが主に使用されます。
ボリュームのバックアップについての詳しい情報は、Block Storage Backup Guide を参照してください。
Block Storage サービスおよびファイバーチャネル (FC) バックエンドを使用するすべてのデプロイメントにおいて、すべての Controller ノードおよび Compute ノードにホストバスアダプター (HBA) をインストールする必要があります。
Block Storage は、Block Storage REST API を使用して設定されます。
Block Storage はバージョン 2 をサポートしていないため、Block Storage REST API バージョン 3 を使用していることを確認してください。デフォルトのオーバークラウドデプロイメントでは、環境変数 OS_VOLUME_API_VERSION=3.0
を設定することで、この確認が行われます。
Block Storage REST API は、マイクロバージョンを使用して拡張機能を追加することにより、後方互換性を維持します。cinder
CLI は、特定のマイクロバージョンが指定されない限り、REST API バージョン 3.0 を使用します。たとえば、cinder
コマンドに 3.17 マイクロバージョンを指定するには、--os-volume-api-version 3.17
引数を追加します。
openstack
CLI は、これらのマイクロバージョンをサポートしていないため、Block Storage REST API のバージョン 3.0 しか使用できません。
2.1. Block Storage サービスのバックエンド
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) は director を使用してデプロイされます。これを行うことで、Block Storage サービス (cinder) およびそのバックエンドなど、各サービスが正しく設定されるようにします。director には、複数のバックエンド設定が統合されています。
RHOSP は、Block Storage サービスのバックエンドとして Red Hat Ceph Storage および NFS をサポートします。デフォルトでは、Block Storage サービスは、ボリュームのリポジトリーとして LVM バックエンドを使用します。このバックエンドはテスト環境に適しますが、LVM は実稼働環境ではサポートされません。
RHOSP を使用して Red Hat Ceph Storage をデプロイする方法は、director を使用した Red Hat Ceph Storage と OpenStack Platform のデプロイ を参照してください。
Block Storage サービスをサポート対象のサードパーティー製ストレージアプライアンスを使用するように設定することも可能です。director には、異なるバックエンドソリューションをデプロイするのに必要なコンポーネントが含まれています。
サポートされている Block Storage サービスのバックエンドアプライアンスとドライバーの完全なリストについては、Component, Plug-In, and Driver Support in Red Hat OpenStack Platform の Cinder を参照してください。すべてのサードパーティーのバックエンドアプライアンスおよびドライバーには、追加のデプロイメントガイドがあります。適切なデプロイメントガイドを確認し、バックエンドアプライアンスまたはドライバーにプラグインが必要かどうかを判断します。
複数のバックエンドを使用するように Block Storage を設定した場合は、バックエンドごとにボリューム種別を作成する必要があります。ボリュームの作成時にバックエンドを指定しない場合、Block Storage スケジューラーはフィルターを使用して適切なバックエンドを選択します。詳細は、デフォルトの Block Storage スケジューラーフィルターの設定 を参照してください。
関連情報
2.2. 高可用性のためのアクティブ/アクティブ設定の Block Storage
アクティブ/パッシブモードでは、Block Storage サービスがハイパーコンバージドデプロイメントで失敗した場合、ノードのフェンシングは望ましくありません。これは、ノードのフェンシングがトリガーとなり、不要なストレージのリバランスが行われる場合があるためです。Pacemaker は制御サイトに存在しますが、エッジサイトは Pacemaker をデプロイしません。その代わりに、エッジサイトは、高可用性ハイパーコンバージドデプロイメントをサポートするために、アクティブ/アクティブ設定の Block Storage サービスをデプロイします。
アクティブ/アクティブのデプロイメントでは、利用可能なすべてのノードに負荷をバランスさせることにより、スケーリング機能およびパフォーマンスが向上し、応答時間が短縮されます。アクティブ/アクティブ設定の Block Storage サービスをデプロイすると高可用性環境が構築され、ネットワークの部分的な障害や単一または複数ノードでのハードウェア異常が発生している間に管理レイヤーが維持されます。アクティブ/アクティブのデプロイメントにより、クラスターはノードに障害が発生している間 Block Storage サービスの提供を続けることができます。
ただし、アクティブ/アクティブのデプロイメントでは、ワークフローが自動的に再開することはありません。サービスが停止すると、障害が発生したノードで実行中の個々の操作も、障害が発生している間は実施に失敗します。この場合は、サービスが停止していることを確認し、インフライトの操作に提供されていたリソースのクリーンアップを開始します。
2.2.1. アクティブ/アクティブ設定の Block Storage の有効化
cinder-volume-active-active.yaml
ファイルを使用すると、アクティブ/アクティブ設定で Block Storage サービスをデプロイすることができます。このファイルにより、director は Pacemaker 以外の cinder-volume heat テンプレートを使用し、etcd
サービスを分散ロックマネージャー (DLM) としてデプロイメントに追加するようになります。
cinder-volume-active-active.yaml
ファイルの CinderVolumeCluster
パラメーターに値を割り当てて、アクティブ/アクティブ設定のクラスターの名前も定義します。CinderVolumeCluster
は、Block Storage のグローバルパラメーターです。したがって、同じデプロイメントにクラスター化した (アクティブ/アクティブ) バックエンドとクラスター化していないバックエンドを含めることはできません。
現在、アクティブ/アクティブ設定の Block Storage は、Ceph RADOS Block Device (RBD) バックエンドでのみ機能します。複数のバックエンドを使用する場合、すべてのバックエンドがアクティブ/アクティブ設定をサポートする必要があります。アクティブ/アクティブ設定をサポートしないバックエンドがデプロイメントに含まれている場合には、そのバックエンドをストレージに使用することはできません。アクティブ/アクティブのデプロイメントでは、アクティブ/アクティブ設定をサポートしないバックエンドにデータを保存した場合、データ損失の危険性があります。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
active-active Block Storage サービスボリュームを有効にするには、この環境ファイルを他の環境ファイルとともにスタックに追加し、オーバークラウドをデプロイします。
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/cinder-volume-active-active.yaml
2.2.2. アクティブ/アクティブ Block Storage 設定のメンテナンスコマンド
アクティブ-アクティブ Block Storage 設定をデプロイした後、次のコマンドを使用してクラスターとそのサービスを管理できます。
これらのコマンドには、3.17 以降の Block Storage (cinder) REST API マイクロバージョンが必要です。
ユーザーのアクション | コマンド |
バイナリー、ホスト、ゾーン、ステータス、状態、クラスター、無効化の理由、クラスター名など、すべてのサービスに関する詳細情報を表示します。 |
|
名前、バイナリー、状態、ステータスなど、すべてのクラスターに関する詳細情報を表示するには。
注記: Ceph バックエンド用に director によりデプロイされた場合、デフォルトのクラスター名は |
|
特定のクラスター化されたサービスに関する詳細情報を表示するには。 |
|
クラスター化されたサービスを有効にするには。 |
|
クラスター化したサービスを無効にする。 |
|
2.2.3. ボリュームの管理と管理解除
管理解除および管理のメカニズムにより、バージョン X を使用するあるサービスからバージョン X+1 を使用する別のサービスに、ボリュームを容易に移行することができます。このプロセス中、どちらのサービスも稼働を続けます。
Block Storage (cinder) REST API マイクロバージョン 3.17 以降では、Block Storage クラスターで管理できるボリュームとスナップショットを一覧表示できます。これらのリストを表示するには、cinder manageable-list
または cinder snapshot-manageable-list
で --cluster
引数を使用します。
Block Storage REST API マイクロバージョン 3.16 以降では、cinder manage
コマンドのオプションの --cluster
引数を使用して、非管理ボリュームを Block Storage クラスターに追加できます。
2.2.4. クラスター化したサービスでのボリュームの移行
Block Storage (cinder) REST API マイクロバージョン 3.16 以降では、cinder migrate
コマンドと cinder-manage
コマンドで --cluster
引数を使用して、アクティブ/アクティブデプロイメントの宛先を定義します。
Block Storage クラスター化サービスのボリュームを移行する場合、オプションの --cluster
引数を使用し、位置に関する host
引数を省略します。これは、引数が互いに排他的であるためです。
2.2.5. Block Storage サービスのメンテナンスの開始
すべての Block Storage ボリュームサービスは、起動時に独自のメンテナンスを実行します。
複数のボリュームサービスがクラスターにグループ化されている環境では、現在実行されていないサービスをクリーンアップすることができます。
コマンド work-cleanup
により、サーバーのクリーンアップがトリガーされます。このコマンドは以下の出力を返します。
- コマンドでクリーンアップすることのできるサービスのリスト
- 現在クラスター内で実行されていないため、コマンドでクリーンアップすることのできないサービスのリスト
前提条件
- Block Storage サービスのメンテナンスを開始するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Block Storage (cinder) REST API マイクロバージョン 3.24 以降。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
以下のコマンドを実行して、クラスターのすべてのサービスが実行中かどうかを確認します。
$ cinder cluster-list --detailed
あるいは、
cluster show
コマンドを実行します。いずれかのサービスが実行されていない場合は、以下のコマンドを実行してそのサービスを特定します。
$ cinder service-list
以下のコマンドを実行してサーバーのクリーンアップを開始します。
$ cinder --os-volume-api-version 3.24 work-cleanup [--cluster <cluster-name>] [--host <hostname>] [--binary <binary>] [--is-up <True|true|False|false>] [--disabled <True|true|False|false>] [--resource-id <resource-id>] [--resource-type <Volume|Snapshot>]
注記--cluster
、--host
、--binary
等のフィルターで、コマンドでクリーンアップする対象を定義します。特定のリソースを含め、クラスター名、ホスト名、サービスの種別、およびリソースの種別で絞り込むことができます。フィルターを適用しない場合、コマンドはクリーンアップ可能なすべてを対象に処理を試みます。クラスター名で絞り込む例を以下に示します。
$ cinder --os-volume-api-version 3.24 work-cleanup --cluster tripleo@tripleo_ceph
2.3. ボリューム種別によるボリューム設定のグループ化
Red Hat OpenStack Platform では、ボリューム種別を作成することができ、関連する設定を各ボリューム種別に適用することができます。必要なボリューム種別は、ボリュームの作成前と作成後に割り当てることができます。詳細は、Block Storage ボリュームの作成 および Block Storage のボリューム種別の変更 を参照してください。ボリューム種別に適用することができる関連設定の一部を、一覧にして以下に示します。
- ボリュームの暗号化。詳細は、Block Storage サービス (cinder) ボリューム暗号化 を参照してください。
- ボリュームが使用するバックエンド。詳細は、複数のバックエンドのボリューム割り当て および バックエンド間でのボリュームの移動 を参照してください。
- ボリュームの QoS (Quality of Service) フォーマンス制限または QoS 仕様の関連リスト。詳細は、Block Storage サービス (cinder) QoS (Quality of Service) の仕様 を参照してください。
設定は、追加スペックと呼ばれるキーと値のペアを使用してボリューム種別に関連付けられます。ボリュームの作成時にボリューム種別を指定する際には、Block Storage のスケジューラーがこれらのキーと値のペアを設定として適用します。また、複数のキーと値のペアを同じボリューム種別に関連付けることができます。
ボリュームタイプを作成して、クラウドユーザーにさまざまなレベルのパフォーマンスを提供できます。
- 特定のパフォーマンス、復元力、その他の追加スペックをキーと値のペアとして各ボリュームタイプに追加します。
- QoS パフォーマンス制限または QoS 仕様のさまざまなリストをボリュームタイプに関連付けます。
ユーザーはボリュームを作成するときに、パフォーマンス要件を満たす適切なボリュームタイプを選択できます。
ボリュームを作成し、ボリュームタイプを指定しない場合、ブロックストレージはデフォルトのボリュームタイプを使用します。ブロックストレージ (cinder) 設定ファイルを使用して、すべてのプロジェクト (テナント) に適用される一般的なデフォルトのボリュームタイプを定義できます。ただし、展開でプロジェクト固有のボリュームタイプを使用する場合は、プロジェクトごとにデフォルトのボリュームタイプを定義してください。この場合、Block Storage は、一般的なデフォルトのボリュームタイプではなく、プロジェクト固有のボリュームタイプを使用します。詳細は、プロジェクト固有のデフォルトボリュームタイプの定義 を参照してください。
関連情報
2.3.1. バックエンドドライバーのプロパティーのリスト表示
ボリュームタイプに関連付けられたプロパティーでは、Extra Specs と呼ばれるキーと値のペアが使用されます。各ボリュームタイプのバックエンドドライバーは、独自の追加スペックのセットをサポートします。ドライバーがサポートする追加仕様の詳細は、バックエンドドライバーのドキュメントを参照してください。
あるいは、Block Storage ホストに直接クエリーを実行して、そのバックエンドドライバーの明確に定義された標準追加仕様をリスト表示することもできます。
前提条件
- Block Storage ホストに直接クエリーを実行するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
cinder-volume のホストを特定します。
$ cinder service-list
このコマンドは、各 Block Storage サービス (cinder-backup、cinder-scheduler、および cinder-volume) のホストが含まれるリストを返します。以下に例を示します。
+------------------+---------------------------+------+--------- | Binary | Host | Zone | Status ... +------------------+---------------------------+------+--------- | cinder-backup | localhost.localdomain | nova | enabled ... | cinder-scheduler | localhost.localdomain | nova | enabled ... | cinder-volume | *localhost.localdomain@lvm* | nova | enabled ... +------------------+---------------------------+------+---------
ドライバーの機能を表示して、Block Storage サービスでサポートされている追加スペックを特定します。
$ cinder get-capabilities <volsvchost>
<volsvchost>
は cinder-volume のホストに置き換えます。以下に例を示します。$ cinder get-capabilities localhost.localdomain@lvm +---------------------+-----------------------------------------+ | Volume stats | Value | +---------------------+-----------------------------------------+ | description | None | | display_name | None | | driver_version | 3.0.0 | | namespace | OS::Storage::Capabilities::localhost.loc... | pool_name | None | | storage_protocol | iSCSI | | vendor_name | Open Source | | visibility | None | | volume_backend_name | lvm | +---------------------+-----------------------------------------+ +--------------------+------------------------------------------+ | Backend properties | Value | +--------------------+------------------------------------------+ | compression | {u'type': u'boolean', u'description'... | qos | {u'type': u'boolean', u'des ... | replication | {u'type': u'boolean', u'description'... | thin_provisioning | {u'type': u'boolean', u'description': u'S... +--------------------+------------------------------------------+
Backend properties のコラムには設定可能な追加スペックキーのリストが、Value のコラムには、Backend properties に対する有効な値が表示されます。
2.3.2. ボリュームタイプの作成および設定
ボリュームタイプを作成して、関連する設定を各ボリュームタイプに適用できます。たとえば、ボリュームタイプを作成して、クラウドユーザーにさまざまなレベルのパフォーマンスを提供できます。
- 特定のパフォーマンス、復元力、その他の追加スペックをキーと値のペアとして各ボリュームタイプに追加します。
- QoS パフォーマンス制限または QoS 仕様のさまざまなリストをボリュームタイプに関連付けます。詳細は、Block Storage サービス (cinder) QoS (Quality of Service) の仕様 を参照してください。
ユーザーはボリュームを作成するときに、パフォーマンス要件を満たす適切なボリュームタイプを選択できます。
前提条件
- ボリュームタイプを作成および設定するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- Create Volume Type をクリックします。
- Name フィールドにボリューム種別の名前を入力します。
- Create Volume Type をクリックします。Volume Types の表に新しい種別が表示されます。
- ボリューム種別の View Extra Specs のアクションを選択します。
- Create をクリックして Key と Value を指定します。キーと値のペアは有効である必要があります。有効でない場合には、ボリュームの作成時にそのボリューム種別を指定するとエラーが発生してしまいます。
- Create をクリックします。関連付けられた設定 (キー/値のペア) が Extra Specs の表に表示されます。
デフォルトでは、OpenStack の全プロジェクトがすべてのボリューム種別にアクセス可能です。アクセスが制限されたボリューム種別を作成する必要がある場合は、CLI から作成する必要があります。手順については、プライベートボリューム種別の作成および設定 を参照してください。
2.3.3. ボリュームタイプの編集
Dashboard でボリューム種別を編集して、ボリューム種別の 追加スペック 設定を変更します。ボリューム種別を削除することもできます。
前提条件
- ボリュームタイプを編集または削除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- ボリューム種別 の表で、ボリューム種別の 追加スペックの表示 のアクションを選択します。
このページの 追加スペック の表では、以下のような操作を行うことができます。
- ボリューム種別への新規設定の追加。そのためには、作成 をクリックして、ボリューム種別に関連付ける新規設定のキー/値ペアを指定します。
- ボリューム種別に関連付けられている既存の設定の編集。そのためには、設定の 編集 アクションを選択します。
- ボリューム種別に関連付けられている既存の設定の削除。そのためには、追加スペックのチェックボックスを選択して、表示中のダイアログ画面と次の画面で 追加スペックの削除 をクリックします。
ボリューム種別を削除するには、ボリューム種別 の表でそのボリューム種別のチェックボックスを選択して ボリューム種別の削除 をクリックします。
2.3.4. プライベートボリューム種別の作成および設定
デフォルトでは、全プロジェクト (テナント) ですべてのボリューム種別を使用することができます。アクセスが制限されたボリューム種別を作成するには、ボリューム種別を プライベート に指定します。これを行うには、ボリュームタイプの is-public
フラグは、デフォルト値が true であるため false に設定します。
プライベートのボリューム種別は、特定の属性を持つボリュームへのアクセスを制限するのに役立ちます。通常、これらは特定のプロジェクトでのみ使用できる設定です。たとえば、テスト中の新しいバックエンドや超高性能設定などです。
前提条件
- プライベートボリュームタイプのアクセスを作成、表示、または設定するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
新しい cinder ボリュームタイプを作成し、
is-public
フラグを false に設定します。$ cinder type-create --is-public false <type_name>
-
<type_name>
は、この新しいプライベートボリュームタイプに付ける名前に置き換えます。
-
デフォルトでは、プライベートのボリュームタイプには作成者のみがアクセスできます。ただし、管理ユーザーは、以下のコマンドを使用してプライベートボリューム種別を特定/表示することができます。
$ cinder type-list
このコマンドは、パブリックボリュームタイプとプライベートボリュームタイプの両方の名前と ID をリスト表示します。ボリュームにアクセスできるようにするには、ボリュームタイプの ID が必要です。
プライベートのボリュームタイプへのアクセスは、プロジェクトレベルで許可されます。したがって、必要なプロジェクトの ID を知っている必要があります。このテナント ID がわからないが、このプロジェクトのユーザーの名前はわかっている場合は、次を実行します。
このユーザー名が不明な場合は、openstack user list
コマンドを実行すると、設定されたすべてのユーザーの名前と ID がリスト表示されます。
$ openstack user show <user_name>
-
<user_name>
は必要なプロジェクトのユーザーの名前に置き換えて、このユーザーが関連付けられているプロジェクトのtenantId
を含むユーザーの詳細のリストを表示します。
プロジェクトがプライベートのボリューム種別にアクセスできるようにするには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder type-access-add --volume-type <type_id> --project-id <tenant_id>
-
<type_id>
は、必要なプライベートボリュームタイプの ID に置き換えます。 -
<tenant_id>
は、必要なテナント ID に置き換えます。
プライベートのボリューム種別にアクセス可能なプロジェクトを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder type-access-list --volume-type <type_id>
プライベートのボリューム種別のアクセスリストからプロジェクトを削除するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder type-access-remove --volume-type <type_id> --project-id <tenant_id>
2.3.5. プロジェクト固有のデフォルトボリュームタイプの定義
オプション: 複雑な展開の場合、プロジェクト管理者は各プロジェクト (テナント) のデフォルトのボリュームタイプを定義できます。
ボリュームを作成し、ボリュームタイプを指定しない場合、ブロックストレージはデフォルトのボリュームタイプを使用します。
Block Storage (cinder) 設定ファイル cinder.conf
の default_volume_type
オプションを使用して、すべてのプロジェクトに適用される一般的なデフォルトのボリュームタイプを定義できます。
ただし、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントでプロジェクト固有のボリュームタイプを使用する場合は、プロジェクトごとにデフォルトのボリュームタイプを定義してください。この場合、Block Storage は、一般的なデフォルトのボリュームタイプではなく、プロジェクト固有のボリュームタイプを使用します。次の RHOSP デプロイメントの例では、プロジェクト固有のデフォルトのボリュームタイプが必要です。
- 多くのアベイラビリティーゾーン (AZ) にまたがる分散 RHOSP デプロイメント。各 AZ は独自のプロジェクトにあり、独自のボリュームタイプがあります。
- 会社の 3 つの異なる部門の RHOSP デプロイメント。各部門は独自のプロジェクトにあり、独自の専門的なボリュームタイプがあります。
前提条件
- プロジェクト固有のデフォルトのボリュームタイプとなる各プロジェクトの少なくとも 1 つのボリュームタイプ。詳細は、ボリューム種別の作成および設定 を参照してください。
- Block Storage REST API マイクロバージョン 3.62 以降。
- プロジェクト管理者のみが、プロジェクトのデフォルトのボリュームタイプを定義、クリア、または一覧表示できます。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
プロジェクトのデフォルトのボリュームタイプを定義、クリア、または一覧表示します。
注記これらのコマンドの
<project_id>
を必要なプロジェクトの ID に置き換える必要があります。各テナントの ID と名前を見つけるには、openstack project list
コマンドを実行します。プロジェクトのデフォルトのボリュームタイプを定義するには:
$ cinder --os-volume-api-version 3.62 default-type-set <volume_type> <project_id>
-
<volume_type>
を、必要なボリュームタイプの名前または ID に置き換えます。cinder type-list
コマンドを実行して、すべてのボリュームタイプの名前と ID を一覧表示できます。
-
プロジェクトのデフォルトのボリュームタイプをクリアするには:
$ cinder --os-volume-api-version 3.62 default-type-unset <project_id>
プロジェクトのデフォルトのボリュームタイプを一覧表示するには:
$ cinder --os-volume-api-version 3.62 default-type-list --project <project_id>
2.4. Block Storage サービス (cinder) の内部プロジェクトの作成および設定
Block Storage 機能の一部 (例: Image-Volume キャッシュ) では、内部テナント の設定を必要とします。Block Storage サービスは、このテナント/プロジェクトを使用して、通常のユーザーに公開する必要のないブロックストレージアイテムを管理します。このようなアイテムの例として、ボリュームの頻繁なクローン作成のためにキャッシュされたイメージや、移行中のボリュームの一時コピーなどが挙げられます。
手順
- 内部プロジェクトを設定するには、まず cinder-internal という名前の一般プロジェクトとユーザーを作成します。そのためには、コントローラーノードにログインして以下のコマンドを実行します。
$ openstack project create --enable --description "Block Storage Internal Project" cinder-internal +-------------+----------------------------------+ | Property | Value | +-------------+----------------------------------+ | description | Block Storage Internal Tenant | | enabled | True | | id | cb91e1fe446a45628bb2b139d7dccaef | | name | cinder-internal | +-------------+----------------------------------+ $ openstack user create --project cinder-internal cinder-internal +----------+----------------------------------+ | Property | Value | +----------+----------------------------------+ | email | None | | enabled | True | | id | 84e9672c64f041d6bfa7a930f558d946 | | name | cinder-internal | |project_id| cb91e1fe446a45628bb2b139d7dccaef | | username | cinder-internal | +----------+----------------------------------+
2.5. image-volume キャッシュの設定
Block Storage サービスには、任意の Image-Volume キャッシュ が含まれており、イメージからボリュームを作成する際にこのキャッシュを使用できます。このキャッシュは、頻繁に使用するイメージからボリュームを作成する際の時間を短縮するように設計されています。イメージからボリュームを作成する方法は、Block Storage ボリュームの作成 を参照してください。
Image-Volume のキャッシュを有効化すると、ボリュームの初回作成時にベースとなったイメージのコピーが保存されます。この保存されたイメージは、Block Storage バックエンドのローカルにキャッシュされ、次回このイメージを使用してボリュームを作成する際のパフォーマンス向上に役立ちます。Image-Volume キャッシュは、サイズ (GB)、イメージ数、または両方を指定して上限を設定することができます。
Image-Volume キャッシュは、複数のバックエンドでサポートされます。サードパーティーのバックエンドを使用する場合は、Image-Volume キャッシュサポートに関する情報については、サードパーティーのドキュメントを参照してください。
前提条件
- 内部テナント が Block Storage サービス用に設定されています。詳細は、Block Storage サービス (cinder) の内部プロジェクトの作成と設定 を参照してください。
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
バックエンドでイメージボリュームキャッシュを有効にして設定するには、オーバークラウドのデプロイメントコマンドに含まれる環境ファイルの
ExtraConfig
セクションに次の値を追加する必要があります。parameter_defaults: ExtraConfig: cinder::config::cinder_config: DEFAULT/cinder_internal_tenant_project_id: value: TENANTID 1 DEFAULT/cinder_internal_tenant_user_id: value: USERID 2 BACKEND/image_volume_cache_enabled: 3 value: True BACKEND/image_volume_cache_max_size_gb: value: MAXSIZE 4 BACKEND/image_volume_cache_max_count: value: MAXNUMBER 5
Block Storage サービスのデータベースは、タイムスタンプを使用して、キャッシュされた各イメージの最終使用日時をトラッキングします。MAXSIZE と MAXNUMBER のいずれか一方または両方が設定されている場合は、Block Storage サービスは必要に応じてキャッシュされたイメージを削除し、新たにイメージをキャッシュするためのスペースを解放します。Image-Volume キャッシュが上限に達すると、最も古いタイムスタンプが付いたキャッシュイメージが最初に削除されます。
- 更新を環境ファイルに保存します。
- その他の環境ファイルと共に環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
2.6. Block Storage サービス (cinder) のサービス品質仕様
QoS (Quality of Service) 仕様を作成して各ボリュームタイプに関連付けることにより、クラウドユーザーが作成したボリュームにパフォーマンス制限を適用できます。たとえば、より高いパフォーマンスの QoS 仕様を使用するボリュームは、より多くの IOPS をユーザーに提供できます。また、ユーザーは、リソースを節約するために、より低いパフォーマンスの QoS 仕様を使用するボリュームに軽いワークロードを割り当てることができます。
QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
QoS 仕様を作成するときは、必要なコンシューマーを選択する必要があります。コンシューマーは、QoS 制限を適用する場所を決定し、QoS 制限を定義するためにどの QoS プロパティーキーが使用できるかを決定します。利用可能なコンシューマーの詳細は、QoS 仕様のコンシューマー を参照してください。
必要な QoS プロパティーキーをデプロイメント固有の値に設定することで、ボリュームのパフォーマンス制限を作成できます。Block Storage サービス (cinder) によって提供される QoS プロパティーキーの詳細は、 Block Storage QoS プロパティーキー を参照してください。
QoS 仕様を作成してボリュームタイプに関連付けるには、次のタスクを実行します。
- QoS 仕様を作成して設定します。
- QoS 仕様をボリュームタイプに関連付けます。
ダッシュボードまたは CLI を使用して、QoS 仕様を作成、設定し、ボリュームタイプに関連付けることができます。
2.6.1. QoS 仕様のコンシューマー
QoS 仕様を作成するときは、必要なコンシューマーを選択する必要があります。コンシューマーは、QoS 制限を適用する場所を決定し、QoS 制限を定義するためにどの QoS プロパティーキーが使用できるかを決定します。Block Storage サービス (cinder) は、次の QoS 仕様のコンシューマーをサポートします。
-
front-end
: Compute サービス (nova) は、ボリュームがインスタンスに接続されるときに QoS 制限を適用します。Compute サービスは、Block Storage サービスによって提供されるすべての QoS プロパティーキーをサポートします。 back-end
: 関連付けられたボリュームタイプのバックエンドドライバーは、QoS 制限を適用します。各バックエンドドライバーは、独自の QoS プロパティーキーのセットをサポートします。ドライバーがサポートする QoS プロパティーキーの詳細は、バックエンドドライバーのドキュメントを参照してください。back-end
コンシューマーがサポートされていない場合は、front-end
コンシューマーを使用します。たとえば、Bare Metal Provisioning サービスを通じてボリュームをベアメタルノードに接続する場合 (皮肉)。both
: 可能であれば、両方のコンシューマーが QoS 制限を適用します。したがって、このコンシューマータイプは次の QoS プロパティーキーをサポートします。- ボリュームがインスタンスにアタッチされている場合は、Compute サービスとバックエンドドライバーの両方がサポートするすべての QoS プロパティーキーを使用できます。
- ボリュームがインスタンスにアタッチされていない場合は、バックエンドドライバーがサポートする QoS プロパティーキーのみを使用できます。
2.6.2. Block Storage QoS プロパティーキー
Block Storage サービスは、クラウドユーザーが作成するボリュームのパフォーマンスを制限できるように、QoS プロパティーキーを提供します。これらの制限では、ストレージボリュームのパフォーマンスに関する次の 2 つの業界標準測定値が使用されます。
- 1 秒あたりの入出力操作数 (IOPS)
- データ転送速度 (バイト/秒で測定)
QoS 仕様の利用者は、どの QoS プロパティーキーがサポートされるかを決定します。詳細は、QoS 仕様の利用者 を参照してください。
一部の QoS プロパティーキーはバックエンドドライバーによって外部的に定義されているため、Block Storage は QoS プロパティーキーのエラーチェックを実行できません。したがって、Block Storage は、無効またはサポートされていない QoS プロパティーキーを無視します。
QoS プロパティーキーのスペルが正しいことを確認してください。スペルが間違っているプロパティーキーを含むボリュームのパフォーマンス制限は無視されます。
IOPS とデータ転送速度の両方の測定について、次のパフォーマンス制限を設定できます。
- 固定制限
- 通常、固定制限はボリュームパフォーマンス測定の平均使用量を定義する必要があります。
- バースト制限
通常、バースト制限は、ボリュームパフォーマンス測定の激しいアクティビティーの期間を定義する必要があります。バースト制限により、平均的な使用量に対して固定制限を低く保ちながら、特定の時間におけるアクティビティーの増加率が考慮されます。
注記バースト制限はすべて 1 秒のバースト長を使用します。
- 制限合計
total_*
QoS プロパティーキーを使用して、必要なパフォーマンス制限の読み取り操作と書き込み操作の両方に対するグローバル制限を指定します。注記合計制限を使用する代わりに、読み取り操作と書き込み操作に個別の制限を適用したり、読み取り操作または書き込み操作のみを制限することを選択したりできます。
- 読み取り制限
read_*
QoS プロパティーキーを使用して、必要なパフォーマンス制限の読み取り操作にのみ適用される制限を指定します。注記合計制限を指定した場合、この制限は無視されます。
- 書き込み制限
write_*
QoS プロパティーキーを使用して、必要なパフォーマンス制限の書き込み操作にのみ適用される制限を指定します。注記合計制限を指定した場合、この制限は無視されます。
次の Block Storage QoS プロパティーキーを使用して、デプロイメントのボリュームパフォーマンス制限を作成できます。
すべての QoS プロパティーキーのデフォルト値は 0
で、制限が無制限であることを意味します。
パフォーマンス制限 | 測定単位 | QoS プロパティーキー |
---|---|---|
固定 IOPS | IOPS |
|
ボリュームのサイズによって計算される固定 IOPS。 これらの制限の使用制限の詳細は、ボリュームサイズに応じて拡張される QoS 制限 を参照してください。 | GB あたりの IOPS |
|
バースト IOPS | IOPS |
|
固定データ転送率 | 1 秒あたりのバイト数 |
|
バーストデータ転送率 | 1 秒あたりのバイト数 |
|
IOPS 制限を計算するときの IO リクエストのサイズ。 詳細は、IOPS 制限に対する IO リクエストサイズの設定 を参照してください。 | Bytes |
|
2.6.2.1. IOPS 制限の IO リクエストサイズを設定する
IOPS ボリュームのパフォーマンス制限を実装する場合は、ユーザーがこれらの制限を回避できないように、一般的な IO リクエストサイズも指定する必要があります。そうしないと、ユーザーは多数の小さな IO リクエストではなく、いくつかの大規模な IO リクエストを送信する可能性があります。
size_iops_sec
QoS プロパティーキーを使用して、一般的な IO 要求の最大サイズをバイト単位で指定します。Block Storage サービスは、このサイズを使用して、送信される各 IO リクエストに対する一般的な IO リクエストの比例数を計算します。次に例を示します。
size_iops_sec=4096
- 8 KB のリクエストは 2 リクエストとしてカウントされます。
- 6 KB のリクエストは 1.5 リクエストとしてカウントされます。
- 4 KB 未満のリクエストは 1 リクエストとしてカウントされます。
Block Storage サービスは、IOPS 制限を計算するときに、この IO リクエストサイズ制限のみを使用します。
size_iops_sec
のデフォルト値は 0
で、IOPS 制限を適用するときに IO リクエストのサイズは無視されます。
2.6.2.2. ボリュームサイズに応じて拡張される IOPS 制限
ユーザーが作成するボリュームの容量によって決定される IOPS ボリュームのパフォーマンス制限を作成できます。これらの QoS (Quality of Service) の制限は、プロビジョニングされたボリュームのサイズに応じて拡張されます。たとえば、ボリュームタイプに読み取り操作のボリュームサイズ 1 GB あたり 500 の IOPS 制限がある場合、このボリュームタイプのプロビジョニングされた 3 GB ボリュームの読み取り IOPS 制限は 1500 になります。
ボリュームのサイズは、ボリュームがインスタンスにアタッチされるときに決定されます。したがって、ボリュームがインスタンスにアタッチされているときにボリュームのサイズが変更された場合、これらの制限は、このボリュームがデタッチされてからインスタンスに再アタッチされるときにのみ、新しいボリュームサイズに対して再計算されます。
GB あたりの IOPS で指定された次の QoS プロパティーキーを使用して、スケーラブルなボリュームのパフォーマンス制限を作成できます。
total_iops_sec_per_gb
: 読み取り操作と書き込み操作の両方について、ボリュームサイズの GB ごとのグローバル IOPS 制限を指定します。注記合計制限を使用する代わりに、読み取り操作と書き込み操作に個別の制限を適用したり、読み取り操作または書き込み操作のみを制限することを選択したりできます。
read_iops_sec_per_gb
: 読み取り操作にのみ適用される、ボリュームサイズの GB あたりの IOPS 制限を指定します。注記合計制限を指定した場合、この制限は無視されます。
write_iops_sec_per_gb
: 書き込み操作にのみ適用される、ボリュームサイズの GB あたりの IOPS 制限を指定します。注記合計制限を指定した場合、この制限は無視されます。
これらの QoS 制限を含む QoS 仕様のコンシューマーは front-end
または both
にすることができますが、back-end
にすることはできません。詳細は、QoS 仕様の利用者 を参照してください。
2.6.3. ダッシュボードを使用した QoS 仕様の作成と設定
QoS (Quality of Service) 仕様は、ボリュームパフォーマンスの QoS 制限のリストです。各 QoS 制限を作成するには、QoS プロパティーキーをデプロイメント固有の値に設定します。QoS パフォーマンス制限をボリュームに適用するには、QoS 仕様を必要なボリュームタイプに関連付ける必要があります。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- QoS Specs の表で Create QoS Spec をクリックします。
- QoS Spec の名前を入力します。
- Consumer フィールドで、この QoS 仕様のコンシューマーを選択します。詳細は、Consumers of QoS specifications を参照してください。
- Create をクリックします。新しい QoS 仕様が QoS Specs テーブルに表示されます。
- QoS Specs テーブルで、新しい QoS 仕様の Manage Specs アクションを選択して Specs ウィンドウを開き、QoS パフォーマンス制限を追加します。
- Specs ウィンドウで Create をクリックして、Create Extra Specs ウィンドウを開きます。
Key フィールドに QoS パフォーマンス制限の QoS プロパティーキーを指定し、Value フィールドにパフォーマンス制限値を設定します。使用可能なプロパティーキーの詳細は、Block Storage QoS プロパティーキー を参照してください。
重要QoS プロパティーキーのスペルが正しいことを確認してください。スペルが間違っているプロパティーキーを含むボリュームのパフォーマンス制限は無視されます。
- Create をクリックして、QoS 制限を QoS 仕様に追加します。
- QoS 仕様に追加する QoS 制限ごとに手順 7 ~ 10 を繰り返します。
2.6.4. CLI を使用した QoS 仕様の作成および設定
QoS (Quality of Service) 仕様は、ボリュームパフォーマンスの QoS 制限のリストです。各 QoS 制限を作成するには、QoS プロパティーキーをデプロイメント固有の値に設定します。QoS パフォーマンス制限をボリュームに適用するには、QoS 仕様を必要なボリュームタイプに関連付ける必要があります。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
QoS 仕様を作成します。
$ openstack volume qos create [--consumer <qos_spec_consumer>] <qos_spec_name>
-
オプション:
<qos_spec_consumer>
を、この QoS 仕様の必要なコンシューマーに置き換えます。指定しない場合、コンシューマーはデフォルトでBoth
を使用します。詳細は、Consumers of QoS specifications を参照してください。 -
<qos_spec_name>
を QoS 仕様の名前に置き換えます。
-
オプション:
追加する QoS 制限ごとに個別の
--property <key=value>
引数を指定して、QoS 仕様にパフォーマンス制限を追加します。$ openstack volume qos set --property <key>=<value> <qos_spec_name>
<key>
を必要なパフォーマンス制約の QoS プロパティーキーに置き換えます。詳細は、Block Storage QoS プロパティーキー を参照してください。重要QoS プロパティーキーのスペルが正しいことを確認してください。スペルが間違っているプロパティーキーを含むボリュームのパフォーマンス制限は無視されます。
-
<value>
を QoS プロパティーキーで必要な測定単位での、このパフォーマンス制約に対するデプロイメント固有の制限に置き換えます。 <qos_spec_name>
を QoS 仕様の名前または ID に置き換えます。以下に例を示します。
$ openstack volume qos set \ --property read_iops_sec=5000 \ --property write_iops_sec=7000 \ myqoslimits
QoS 仕様を確認してください。
$ openstack volume qos list +--------------------------------------+---------+-----------+--------------+-----------------------------------------------------+ | ID | Name | Consumer | Associations | Properties | +--------------------------------------+---------+-----------+--------------+-----------------------------------------------------+ | 204c6ba2-c67c-4ac8-918a-03f101811235 | myqoslimits | front-end | | read_iops_sec='5000', write_iops_sec='7000' | +--------------------------------------+---------+-----------+--------------+-----------------------------------------------------+
このコマンドは、設定されているすべての QoS 仕様の設定詳細のテーブルを提供します。
2.6.5. ダッシュボードを使用した QoS 仕様とボリュームタイプの関連付け
QoS 制限をボリュームに適用するには、QoS (Quality of Service) 仕様を既存のボリュームタイプに関連付ける必要があります。
ボリュームがすでにインスタンスにアタッチされている場合、QoS 制限は、ボリュームがデタッチされてからこのインスタンスに再アタッチされたときにのみこのボリュームに適用されます。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- 必要なボリュームタイプが作成されます。詳細は、ボリューム種別の作成および設定 を参照してください。
- 必要な QoS 仕様が作成されます。詳細は、ダッシュボードを使用した QoS 仕様の作成と設定 を参照してください。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- Volume Types テーブルで、必要なボリュームタイプの Manage QoS Spec Association アクションを選択します。
- QoS Spec to be associated リストから必要な QoS 仕様を選択します。
- Associate をクリックします。QoS 仕様が、編集したボリュームタイプの Associated QoS Spec 列に追加されます。
2.6.6. CLI を使用した QoS 仕様とボリュームタイプの関連付け
QoS 制限をボリュームに適用するには、QoS (Quality of Service) 仕様を既存のボリュームタイプに関連付ける必要があります。
ボリュームがすでにインスタンスにアタッチされている場合、QoS 制限は、ボリュームがデタッチされてからこのインスタンスに再アタッチされたときにのみこのボリュームに適用されます。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- 必要なボリュームタイプが作成されます。詳細は、ボリューム種別の作成および設定 を参照してください。
- 必要な QoS 仕様が作成されます。詳細は、CLI を使用した QoS 仕様の作成と設定 を参照してください。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
必要な QoS 仕様を必要なボリュームタイプに関連付けます。
$ openstack volume qos associate <qos_spec_name> <volume_type>
-
<qos_spec_name>
を QoS 仕様の名前または ID に置き換えます。openstack volume qos list
コマンドを実行すると、すべての QoS 仕様の名前と ID をリスト表示できます。 -
<volume_type>
をボリュームタイプの名前または ID に置き換えます。cinder type-list
コマンドを実行して、すべてのボリュームタイプの名前と ID を一覧表示できます。
-
QoS 仕様が関連付けられていることを確認します。
$ openstack volume qos list
出力テーブルの Associations 列には、どのボリュームタイプがこの QoS 仕様に関連付けられているかが表示されます。
2.6.7. ダッシュボードを使用して QoS 仕様とボリュームタイプの関連付けを解除する
ボリュームタイプのボリュームに QoS 制限を適用したくない場合は、ボリュームタイプからサービス品質 (QoS) 仕様の関連付けを解除できます。
ボリュームがすでにインスタンスにアタッチされている場合、QoS 制限は、ボリュームがデタッチされてからこのインスタンスに再アタッチされたときにのみ、このボリュームから削除されます。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- Volume Types テーブルで、必要なボリュームタイプの Manage QoS Spec Association アクションを選択します。
- QoS Spec to be associated リストから None を選択します。
Associate をクリックします。
QoS 仕様は、編集されたボリュームタイプの Associated QoS Spec 列から削除する必要があります。
2.6.8. CLI を使用した QoS 仕様とボリュームタイプの関連付けの解除
ボリュームタイプのボリュームに QoS 制限を適用したくない場合は、ボリュームタイプからサービス品質 (QoS) 仕様の関連付けを解除できます。
ボリュームがすでにインスタンスにアタッチされている場合、QoS 制限は、ボリュームがデタッチされてからこのインスタンスに再アタッチされたときにのみ、このボリュームから削除されます。
前提条件
- QoS 仕様を作成、設定、関連付け、および関連付け解除するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
QoS 仕様に関連付けられているボリュームタイプの関連付けを解除します。特定のボリュームタイプの関連付けを解除することも、複数のボリュームタイプが同じ QoS 仕様に関連付けられている場合はすべてのボリュームタイプの関連付けを解除することもできます。
QoS 仕様に関連付けられた特定のボリュームタイプの関連付けを解除するには、次の手順を実行します。
$ openstack volume qos disassociate <qos_spec_name> --volume-type <volume_type>
-
<qos_spec_name>
を QoS 仕様の名前または ID に置き換えます。openstack volume qos list
コマンドを実行すると、すべての QoS 仕様の名前と ID をリスト表示できます。 -
<volume_type>
を、この QoS 仕様に関連付けられたボリュームタイプの名前または ID に置き換えます。cinder type-list
コマンドを実行して、すべてのボリュームタイプの名前と ID を一覧表示できます。
-
QoS 仕様に関連付けられているすべてのボリュームタイプの関連付けを解除するには、次の手順を実行します。
$ openstack volume qos disassociate <qos_spec_name> --all
QoS 仕様の関連付けが解除されていることを確認します。
$ openstack volume qos list
この QoS 仕様の Associations 列は、ボリュームタイプを指定しないか、空にする必要があります。
2.7. Block Storage サービス (cinder) ボリュームの暗号化
ボリュームの暗号化は、ボリュームのバックエンドのセキュリティーを侵害されたり、完全に盗難されたりした場合に、基本的なデータ保護を提供します。Compute および Block Storage サービスを両方統合して、インスタンスがアクセスを読み込み、暗号化されたボリュームを使用できるようにします。ボリュームの暗号化を活用するには、Barbican をデプロイする必要があります。
- ボリュームの暗号化は、ファイルベースのボリューム (例: NFS) ではサポートされていません。
- 暗号化されていないボリュームを同じサイズの暗号化されたボリュームに種別変更する操作はサポートされません。暗号化したボリュームには、暗号化データを格納するための追加領域が必要なためです。暗号化されていないボリュームの暗号化に関する詳細は、暗号化されていないボリュームの暗号化 を参照してください。
ボリュームの暗号化は、ボリューム種別を使用して適用されます。暗号化されたボリューム種別の詳細は、Dashboard を使用した Block Storage サービスボリューム暗号化の設定 または CLI を使用した Block Storage サービスボリューム暗号化の設定 を参照してください。
OpenStack Key Manager (barbican) を使用して Block Storage (cinder) 暗号化キーを管理する方法の詳細は、Block Storage (cinder) ボリュームの暗号化 を参照してください。
2.7.1. Dashboard を使用した Block Storage サービスボリューム暗号化の設定
暗号化されたボリュームを作成するには、まず 暗号化されたボリューム種別 が必要です。ボリューム種別を暗号化するには、使用すべきプロバイダークラス、暗号、キーサイズを設定する必要があります。暗号化されたボリューム種別の暗号化設定を再設定することも可能です。
暗号化されたボリューム種別を呼び出すことで、暗号化されたボリュームを自動的に作成できます。
前提条件
- 暗号化ボリュームを作成するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes > Volume Types を選択します。
- 暗号化するボリューム種別の アクション コラムで 暗号化設定の作成 を選択して、ボリューム種別の暗号化設定の作成 ウィザードを開きます。
このウィザードで、ボリューム種別の暗号化の プロバイダー、制御場所、暗号、および キーサイズ を設定します。説明 のコラムで各設定を説明されています。
重要プロバイダー、暗号、および キーサイズ のオプションとしてサポートされるは、以下に示す値だけです。
-
プロバイダー に
luks
と入力します。 -
暗号 に
aes-xts-plain64
と入力します。 -
キーサイズ に
256
と入力します。
-
プロバイダー に
- ボリューム種別の暗号化設定の作成 をクリックします。
暗号化されたボリューム種別の暗号化設定を再設定することも可能です。
- ボリューム種別の アクション コラムから 暗号化設定の更新 を選択して、ボリューム種別の暗号化設定の更新 ウィザードを開きます。
- ボリュームが暗号化されているかどうかを判断するには、プロジェクト > コンピュート > ボリューム にある ボリューム テーブルの 暗号化 コラムを確認します。
- ボリュームが暗号化されている場合には、暗号化のコラムの はい をクリックすると暗号化設定が表示されます。
2.7.2. CLI を使用した Block Storage サービスボリューム暗号化の設定
暗号化されたボリュームを作成するには、まず 暗号化されたボリューム種別 が必要です。ボリューム種別を暗号化するには、使用すべきプロバイダークラス、暗号、キーサイズを設定する必要があります。
前提条件
- 暗号化ボリュームを作成するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
ボリューム種別を作成します。
$ cinder type-create myEncType
暗号、キーサイズ、制御場所、およびプロバイダー設定を定義します。
$ cinder encryption-type-create --cipher aes-xts-plain64 --key-size 256 --control-location front-end myEncType luks
暗号化されたボリュームを作成します。
$ cinder --debug create 1 --volume-type myEncType --name myEncVol
2.7.3. ボリュームイメージ暗号化キーの自動削除
Block Storage サービス (cinder) が暗号化されたボリュームを Image サービス (glance) にアップロードする際に、Key Management サービス (barbican) に暗号鍵を作成します。これにより、暗号鍵と保存されるイメージに 1 対 1 の関係が形成されます。
暗号鍵を削除することで、Key Management サービスがリソースを無制限に消費するのを防ぐことができます。Block Storage サービス、Key Management サービス、および Image サービスは、暗号化されたボリュームの鍵を自動的に管理します。これには、鍵の削除が含まれます。
Block Storage サービスは、自動的に 2 つの属性をボリュームイメージに追加します。
-
cinder_encryption_key_id
: Key Management サービスが特定のイメージ用に保存する暗号鍵の識別子 -
cinder_encryption_key_deletion_policy
: Image サービスはこのポリシーにしたがって、このイメージに関連付けられた鍵を削除するかどうかを Key Management サービスに指示します。
これらの属性の値は、自動的に割り当てられます。意図しないデータ損失を避けるため、これらの値を調整しないでください。
ボリュームイメージを作成すると、Block Storage サービスは cinder_encryption_key_deletion_policy
属性を on_image_deletion
に設定します。cinder_encryption_key_deletion_policy
が on_image_deletion
に設定されている場合、ボリュームイメージを削除すると、Image サービスは対応する暗号鍵を削除します。
Red Hat では、cinder_encryption_key_id
または cinder_encryption_key_deletion_policy
属性を手動で操作することを推奨しません。cinder_encryption_key_id
の値で識別される暗号鍵を他の目的で使用すると、データが失われる危険性があります。
2.8. Block Storage ボリュームのバックエンド用のアベイラビリティーゾーンのデプロイ
アベイラビリティーゾーンは、クラウドインスタンスおよびサービスをグループ化するためのプロバイダー固有の方法です。director は CinderXXXAvailabilityZone
パラメーターを使用して、Block Storage ボリュームのバックエンドごとに異なるアベイラビリティーゾーンを設定します (XXX
は特定のバックエンドに対応する値です)。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
以下のパラメーターを環境ファイルに追加して、2 つのアベイラビリティーゾーンを作成します。
parameter_defaults: CinderXXXAvailabilityZone: zone1 CinderYYYAvailabilityZone: zone2
以下に示す例のように、XXX および YYY を、サポートされるバックエンドの値に置き換えます。
CinderISCSIAvailabilityZone CinderNfsAvailabilityZone CinderRbdAvailabilityZone
注記/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployment/cinder/
ディレクトリーでバックエンドに関連付けられた heat テンプレートを探し、正しいバックエンドの値を確認してください。2 つのバックエンドをデプロイする例を以下に示します。ここでは、
rbd
がゾーン 1 でiSCSI
がゾーン 2 です。parameter_defaults: CinderRbdAvailabilityZone: zone1 CinderISCSIAvailabilityZone: zone2
- 更新を環境ファイルに保存します。
- その他の環境ファイルと共に環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
2.9. Block Storage サービス (cinder) の整合性グループ
Block Storage (cinder) サービスを使用して、整合性グループを設定して複数のボリュームを単一のエンティティーとしてグループ化することができます。つまり、複数のボリュームに対して個別に操作を実行するのではなく、同時に複数のボリュームに対して操作を実行することができます。整合性グループを使用して、複数ボリュームのスナップショットを同時に作成することができます。また、これらのボリュームを同時にリストアまたはクローン作成することも可能です。
1 つのボリュームを複数の整合性グループのメンバーにすることができます。ただし、ボリュームを整合性グループに追加した後に、そのボリュームを削除、種別変更、移行することはできません。
2.9.1. Block Storage サービスの整合性グループの設定
デフォルトでは、整合性グループの API は Block Storage のセキュリティーポリシーにより無効にされています。この機能を使用するには、ここで有効にする必要があります。Block Storage API サービスをホストするノードの /etc/cinder/policy.json
ファイルの関連する整合性グループエントリー openstack-cinder-api
にデフォルト設定がリストされています。
"consistencygroup:create" : "group:nobody", "consistencygroup:delete": "group:nobody", "consistencygroup:update": "group:nobody", "consistencygroup:get": "group:nobody", "consistencygroup:get_all": "group:nobody", "consistencygroup:create_cgsnapshot" : "group:nobody", "consistencygroup:delete_cgsnapshot": "group:nobody", "consistencygroup:get_cgsnapshot": "group:nobody", "consistencygroup:get_all_cgsnapshots": "group:nobody",
環境ファイルでこれらの設定を変更してから、openstack overcloud deploy
コマンドを使用してオーバークラウドにデプロイする必要があります。JSON ファイルを直接編集しないでください。次回オーバークラウドがデプロイされる際に変更が上書きされてしまうためです。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
-
環境ファイルを編集し、
parameter_defaults
セクションに新しいエントリーを追加します。これにより、openstack overcloud deploy
コマンドを使用して環境が再デプロイされるたびに、エントリーがコンテナーで更新され保持されるようになります。 CinderApiPolicies
を使用して環境ファイルに新規セクションを追加し、整合性グループの設定を定義します。JSON ファイルのデフォルト設定を持つ同等のparameter_defaults
セクションは、次のように表示されます。parameter_defaults: CinderApiPolicies: { \ cinder-consistencygroup_create: { key: 'consistencygroup:create', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_delete: { key: 'consistencygroup:delete', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_update: { key: 'consistencygroup:update', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_get: { key: 'consistencygroup:get', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_get_all: { key: 'consistencygroup:get_all', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_create_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:create_cgsnapshot', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_delete_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:delete_cgsnapshot', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_get_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:get_cgsnapshot', value: 'group:nobody' }, \ cinder-consistencygroup_get_all_cgsnapshots: { key: 'consistencygroup:get_all_cgsnapshots', value: 'group:nobody' }, \ }
-
値
'group:nobody'
は、この機能を使用できるグループがないことを決定するため、効果的に無効になります。これを有効にするには、グループを別の値に変更します。 セキュリティーを強化するためには、整合性グループの API とボリューム種別管理の API の両方に、同じアクセス権限を設定します。デフォルトでは、ボリューム種別管理の API は (同じ
/etc/cinder/policy.json_ file
) で"rule:admin_or_owner"
に設定されています。"volume_extension:types_manage": "rule:admin_or_owner",
整合性グループの機能をすべてのユーザーが利用できるようにするには、API ポリシーのエントリーを設定して、ユーザーが専用の整合性グループを作成、使用、および管理できるようにします。そのためには、
rule:admin_or_owner
を使用します。CinderApiPolicies: { \ cinder-consistencygroup_create: { key: 'consistencygroup:create', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_delete: { key: 'consistencygroup:delete', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_update: { key: 'consistencygroup:update', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_get: { key: 'consistencygroup:get', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_get_all: { key: 'consistencygroup:get_all', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_create_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:create_cgsnapshot', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_delete_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:delete_cgsnapshot', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_get_cgsnapshot: { key: 'consistencygroup:get_cgsnapshot', value: 'rule:admin_or_owner' }, \ cinder-consistencygroup_get_all_cgsnapshots: { key: 'consistencygroup:get_all_cgsnapshots', value: 'rule:admin_or_owner’ }, \ }
- 更新を環境ファイルに保存します。
- その他の環境ファイルと共に環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
2.9.2. Dashboard を使用した Block Storage 整合性グループの作成
整合性グループの API を有効にしたら、整合性グループの作成を開始することができます。
前提条件
- 整合性グループを作成するには、プロジェクト管理者またはボリューム所有者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理者ユーザーまたはボリューム所有者としてダッシュボードにログインします。
- Project > Compute > Volumes > Volume Consistency Groups を選択します。
- 整合性グループの作成 をクリックします。
- ウィザードの 整合性グループの情報 タブで、整合性グループの名前と説明を入力します。次に アベイラビリティーゾーン を指定します。
- 整合性グループにボリューム種別を追加することもできます。整合性グループにボリュームを作成する際には、Block Storage サービスにより、これらのボリューム種別から互換性のある設定が適用されます。ボリューム種別を追加するには、利用可能な全ボリューム種別 リストから追加するボリューム種別の + ボタンをクリックします。
- 整合性グループの作成 をクリックします。次回、作成した整合性グループが ボリュームの整合性グループ テーブルに表示されます。
2.9.3. Dashboard を使用した Block Storage サービスの整合性グループの管理
Dashboard で Block Storage ボリュームの整合性グループを管理できます。
前提条件
- 整合性グループを管理するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes > Volume Consistency Groups を選択します。
- (オプション) アクション コラムから 整合性グループの編集 を選択して、整合性グループの名前または説明を変更することができます。
整合性グループにボリュームを直接追加または削除するには、設定する整合性グループを見つけます。その整合性グループの アクション コラムで、ボリュームの管理 を選択します。これにより、整合性グループボリュームの追加/削除 ウィザードが起動します。
- 整合性グループにボリュームを追加するには、利用可能な全ボリューム リストから追加するボリュームの + ボタンをクリックします。
- 整合性グループからボリュームを削除するには、選択済みのボリューム リストから削除するボリュームの - ボタンをクリックします。
- 整合性グループの編集 をクリックします。
2.9.4. Block Storage サービス用の整合性グループのスナップショットの作成および管理
整合性グループにボリュームを追加したら、そこからスナップショットを作成することができます。
前提条件
- 整合性グループのスナップショットを作成および管理するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
利用可能な整合性グループおよびその ID をすべて表示します。
$ cinder consisgroup-list
整合性グループを使用してスナップショットを作成します。
$ cinder cgsnapshot-create [--name <cgsnapname>] [--description "<description>"] <cgnameid>
-
<cgsnapname>
は、スナップショットの名前に置き換えます。 -
<description>
は、スナップショットの説明に置き換えます。 -
<CGNAMEID>
は、整合性グループの名前または ID に置き換えます。
-
利用可能な整合性グループのスナップショットの全リストを表示します。
# cinder cgsnapshot-list
2.9.5. Block Storage サービスの整合性グループのクローン作成
整合性グループを使用して、事前に設定されたボリューム群を一括で同時に作成することもできます。この操作は、既存の整合性グループをクローンするか、整合性グループのスナップショットをリストアすることによって実行できます。いずれのプロセスも同じコマンドを使用します。
前提条件
- 整合性グループのクローンを作成し、整合性グループのスナップショットを復元するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
既存の整合性グループのクローンを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder consisgroup-create-from-src --source-cg <cgnameid> [--name <cgname>] [--description "<description>"]
-
<cgnameid>
は、複製する整合性グループの名前または ID に置き換えます。 -
<cgname>
は、整合性グループの名前に置き換えます。 -
<description>
は、整合性グループの説明に置き換えます。
-
整合性グループのスナップショットから整合性グループを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder consisgroup-create-from-src --cgsnapshot <cgsnapname> [--name <cgname>] [--description "<description>"]
-
<cgsnapname>
は、整合性グループの作成に使用するスナップショットの名前または ID に置き換えてください。
-
2.10. デフォルトの Block Storage スケジューラーフィルターの設定
ボリュームの作成時にボリュームのバックエンドが指定されていないと、Block Storage スケジューラーはフィルターを使用して適切なバックエンドを選択します。次のデフォルトフィルターを設定していることを確認します。
- AvailabilityZoneFilter
- 要求されたボリュームのアベイラビリティーゾーン要件を満たさないバックエンドを除外します。
- CapacityFilter
- ボリュームを収容するのに十分な容量のあるバックエンドのみを選択します。
- CapabilitiesFilter
- ボリュームで指定した設定に対応可能なバックエンドのみを選択します。
- InstanceLocality
- クラスターが、同じノードに対してローカルのボリュームを使用するように設定します。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
以下のパラメーターが含まれる環境ファイルをオーバークラウドのデプロイメントコマンドに追加します。
parameter_defaults: ControllerExtraConfig: # 1 cinder::config::cinder_config: DEFAULT/scheduler_default_filters: value: 'AvailabilityZoneFilter,CapacityFilter,CapabilitiesFilter,InstanceLocality'
- 1
ControllerExtraConfig:
フックとそのネストされているセクションを、既存の環境ファイルのparameter_defaults:
セクションに追加することもできます。
- 更新を環境ファイルに保存します。
- その他の環境ファイルと共に環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
2.11. オーバークラウドノードでの LVM2 フィルターの有効化
特定の Block Storage Service (cinder) バックエンドで LVM2 (Logical Volume Management) ボリュームを使用する場合、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) ゲスト内で作成したボリュームが、cinder-volume
または nova-compute
をホストするオーバークラウドノードに表示される場合があります。この場合、ホスト上の LVM2 ツールは、OpenStack ゲストが作成する LVM2 ボリュームをスキャンします。これにより、Compute ノードまたはコントローラーノードで次の問題が 1 つ以上発生する可能性があります。
- LVM がゲストからのボリュームグループを表示するように見える
- LVM が重複するボリュームグループ名を報告する
- LVM がストレージにアクセスしているため、ボリュームの切り離しが失敗する
- LVM の問題が原因でゲストがブートに失敗する
- ゲストマシン上の LVM は、実際に存在するディスクが見つからないため、部分的な状態にある
- LVM を持つデバイスで Block Storage サービス (cinder) のアクションが失敗する
- Block Storage サービス (cinder) のスナップショットが正しく削除されない
-
ライブマイグレーション中のエラー:
/etc/multipath.conf
が存在しない
この誤ったスキャンを防ぎ、ゲスト LVM2 ボリュームをホストノードから分離するために、オーバークラウドのデプロイまたは更新時に LVMFilterEnabled
heat パラメーターを使用してフィルターを有効にし、設定できます。このフィルターは、アクティブな LVM2 ボリュームをホストする物理デバイスのリストから計算されます。LVMFilterAllowlist
および LVMFilterDenylist
パラメーターを使用して、ブロックデバイスを明示的に許可および拒否することもできます。このフィルタリングは、グローバルに、特定のノードロールに、または特定のデバイスに適用できます。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
以下のパラメーターが含まれる環境ファイルをオーバークラウドのデプロイメントコマンドに追加します。
parameter_defaults: LVMFilterEnabled: true
LVM2 フィルターの実装はさらにカスタマイズできます。たとえば、Compute ノードでのみフィルタリングを有効にするには、次の設定を使用します。
parameter_defaults: ComputeParameters: LVMFilterEnabled: true
これらのパラメーターは、正規表現もサポートしています。Compute ノードでのみフィルタリングを有効にし、
/dev/sd
で始まるすべてのデバイスを無視するには、次の設定を使用します。parameter_defaults: ComputeParameters: LVMFilterEnabled: true LVMFilterDenylist: - /dev/sd.*
- 更新を環境ファイルに保存します。
- その他の環境ファイルと共に環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。
2.12. マルチパス設定
マルチパスを使用してサーバーノードおよびストレージアレイ間の複数の I/O パスを単一のデバイスに設定することで、冗長性が得られると共にパフォーマンスが向上します。
2.12.1. director を使用したマルチパスの設定
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) オーバークラウドデプロイメントでマルチパスを設定して、帯域幅とネットワークの耐障害性を向上させることができます。
既存のデプロイメントでマルチパスを設定すると、新しいワークロードはマルチパスに対応します。既存のワークロードがある場合は、これらのインスタンスでマルチパスを有効にするには、インスタンスを退避して復元する必要があります。
前提条件
- アンダークラウドがインストールされる。詳しい情報は、Director Installation and Usage の Installing director を参照してください。
手順
-
アンダークラウドホストに
stack
ユーザーとしてログインします。 stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。$ source ~/stackrc
上書き環境ファイルを使用するか、
multipath_overrides.yaml
などの新しい環境ファイルを作成します。以下のパラメーターを追加して設定します。parameter_defaults: ExtraConfig: cinder::config::cinder_config: backend_defaults/use_multipath_for_image_xfer: value: true
注記デフォルト設定では、ほとんどの環境で機能する基本的なマルチパス設定が生成されます。ただし、一部のストレージベンダーはハードウェア固有の最適化した設定を使用しているので、ベンダーに推奨事項を問い合わせてください。マルチパスの詳細は、Device Mapper Multipath の設定 を参照してください。
オプション: オーバークラウドデプロイメント用のマルチパス設定ファイルがある場合、
MultipathdCustomConfigFile
パラメーターを使用してこのファイルの場所を指定できます。parameter_defaults: MultipathdCustomConfigFile: <config_file_directory>/<config_file_name>
次の例では、
/home/stack
はマルチパス設定ファイルのディレクトリーで、multipath.conf
はこのファイルの名前です。parameter_defaults: MultipathdCustomConfigFile: /home/stack/multipath.conf
注記他の TripleO マルチパスパラメーターは、ローカルのカスタム設定ファイル内の対応する値を上書きします。たとえば、
MultipathdEnableUserFriendlyNames
がFalse
の場合、ローカルのカスタムファイルで設定が有効になっている場合でも、オーバークラウドノードのファイルが一致するように更新されます。マルチパスパラメーターの詳細は、Multipath heat template parameters を参照してください。
- 更新をオーバーライド環境ファイルに保存します。
オーバーライド環境ファイルを、次のような他の環境ファイルと共にスタックに追加します。
---- /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/multipathd.yaml ----
- オーバークラウドをデプロイする。
関連情報
- インスタンスの作成と管理 の インスタンスの退避
2.12.1.1. マルチパス heat テンプレートパラメーター
マルチパスを有効にする以下のパラメーターについては、これを使用します。
パラメーター | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|
|
マルチパスデーモンを有効にするかどうかを定義します。このパラメーターは、 |
|
| 各パスに対してユーザーフレンドリーな名前の割り当てを有効にするかどうかを定義します。 |
|
| パスごとにマルチパスデバイスを自動的に作成するかどうかを定義します。 |
|
| デバイスで自動的にパーティションの作成を省略するかどうかを定義します。 |
|
|
オーバークラウドノードのカスタムマルチパス設定ファイルが含まれています。デフォルトでは、最小の
注意: 他の TripleO マルチパスパラメーターは、追加するローカルのカスタム設定ファイルの対応する値を上書きします。たとえば、 |
2.12.2. マルチパス設定の確認
新規または既存のオーバークラウドデプロイメントでマルチパス設定を確認できます。
手順
- インスタンスを作成します。
- 暗号化されていないボリュームをインスタンスにアタッチします。
インスタンスが含まれる Compute ノードの名前を取得します。
$ nova show <instance> | grep OS-EXT-SRV-ATTR:host
<instance>
は、作成したインスタンスの名前に置き換えます。インスタンスの virsh 名を取得します。
$ nova show <instance> | grep instance_name
Compute ノードの IP アドレスを取得します。
$ . stackrc $ metalsmith list | grep <compute_name>
<compute_name>
は、nova show <instance>
コマンドの出力からの名前に置き換えて、6 列のテーブルから 2 行を表示します。<compute_name>
が 4 列目にある行を見つけます。<compute_name>
の IP アドレスは、この行の最後の列にあります。次の例では、compute-0 は 2 行目の 4 列目にあるため、compute-0 の IP アドレスは 192.168.24.15 です。
$ . stackrc $ metalsmith list | grep compute-0 | 3b1bf72e-c425-494c-9717-d0b89bb66580 | compute-0 | 95b21d3e-36be-470d-ba5c-70d5dcd6d0b3 | compute-1 | ACTIVE | ctlplane=192.168.24.49 | | 72a24883-25f9-435c-bf71-a20e66be172d | compute-1 | a59f79f7-006e-4f38-a9ad-8164da47d58e | compute-0 | ACTIVE | ctlplane=192.168.24.15 |
インスタンスを実行するコンピュートノードに SSH 接続します。
$ ssh tripleo-admin@<compute_node_ip>
<compute_node_ip>
は、Compute ノードの IP アドレスに置き換えます。virsh を実行するコンテナーにログインします。
$ podman exec -it nova_libvirt /bin/bash
Compute ノードインスタンスで以下のコマンドを入力し、cinder ボリュームホストの場所でマルチパスが使用されていることを確認します。
virsh domblklist <virsh_instance_name> | grep /dev/dm
<virsh_instance_name>
は、nova show <instance> | grep instance_name
コマンドの出力に置き換えます。インスタンスに
/dev/dm-
以外の値が表示されている場合、接続は非マルチパスであるため、nova shelve
およびnova unshelve
コマンドを使用して接続情報を更新する必要があります。$ nova shelve <instance> $ nova unshelve <instance>
注記複数の種別のバックエンドがある場合には、すべてのバックエンド上のインスタンスおよびボリュームを検証する必要があります。これは、各バックエンドが返す接続情報が異なる可能性があるためです。
第3章 Block Storage サービス (cinder) を使用した基本的な操作の実行
オーバークラウド内の Compute インスタンスのプライマリー永続ストレージとして Block Storage ボリュームを作成して設定します。ボリュームを作成し、ボリュームをインスタンスにアタッチし、ボリュームの編集およびサイズ変更を行い、ボリュームの所有権を変更します。
3.1. Block Storage ボリュームの作成
ボリュームを作成して、オーバークラウドの Compute サービス (nova) を使用して起動するインスタンスの永続ストレージを提供します。
暗号化ボリュームを作成するには、最初にボリュームの暗号化専用に設定されたボリューム種別を使用する必要があります。また、Compute サービスと Block Storage サービスの両方で、同じ静的キーを使用するように設定しておく必要があります。ボリュームの暗号化に必要な設定の方法に関する説明は、Block Storage サービス (cinder) ボリュームの暗号化 を参照してください。
デフォルトでは、1 つのプロジェクトで作成可能な最大のボリューム数は 10 です。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
Create Volume をクリックして、以下のフィールドを編集します。
フィールド 説明 ボリューム名
ボリュームの名前
説明
ボリュームの簡単な説明 (オプション)
タイプ
オプションのボリューム種別。詳細は、ボリューム種別によるボリューム設定のグループ化 を参照してください。
ボリュームを作成し、ボリュームタイプを指定しない場合、ブロックストレージはデフォルトのボリュームタイプを使用します。デフォルトのボリューム種別を定義する方法の詳細は、プロジェクト固有のデフォルトボリュームタイプの定義 を参照してください。
バックエンドを指定しないと、Block Storage スケジューラーは適切なバックエンドを選択しようとします。詳細は、複数のバックエンドのボリューム割り当て を参照してください。
注記適切なバックエンドがない場合、ボリュームは作成されません。
ボリュームの作成後にボリューム種別を変更することもできます。詳細は、Block Storage のボリューム種別の変更 を参照してください。
容量 (GB)
ボリュームの容量 (ギガバイト単位)
暗号化されていないイメージから暗号化されたボリュームを作成する場合は、暗号化データがボリュームデータを切り捨てないように、ボリュームのサイズがイメージサイズより大きいようにする必要があります。
アベイラビリティーゾーン
アベイラビリティーゾーン (論理サーバーグループ) は、ホストアグリゲートと併せて、OpenStack 内のリソースを分離する一般的な方法です。アベイラビリティーゾーンは、インストール中に定義されます。アベイラビリティーゾーンとホストアグリゲートについてのさらに詳しい説明は、インスタンス 作成のための Compute サービスの設定 の ホストアグリゲートの作成と管理 を参照し てください。
ボリュームソース を指定します。
ソース 説明 ソースの指定なし (空のボリューム)
ボリュームは空で、
ファイルシステムやパーティションテーブルは含まれません。
スナップショット
既存のスナップショットをボリュームソースとして使用します。このオプションを選択すると、スナップショットをソースとして使用する のリストが新たに表示され、スナップショットを選択できるようになります。暗号化されたボリュームのスナップショットから新規ボリュームを作成する場合は、新規ボリュームが古いボリュームより 1 GB 以上大きいようにする必要があります。ボリュームスナップショットの詳細は、スナップショットからの新しいボリュームの作成 を参照してください。
イメージ
既存のイメージをボリュームソースとして使用します。このオプションを選択すると、スナップショットをソースとして使用する のリストが新たに表示され、イメージを選択できるようになります。
ボリューム
既存のボリュームをボリュームソースとして使用します。このオプションを選択すると、スナップショットをソースとして使用する のリストが新たに表示され、ボリュームを選択できるようになります。
- ボリュームの作成 をクリックします。ボリュームが作成されると、ボリューム の表に名前が表示されます。
3.2. ボリュームの名前と説明の編集
Dashboard でボリュームの名前と説明を変更できます。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- 対象のボリュームの ボリュームの編集 ボタンをクリックします。
- 必要に応じて、ボリュームの名前または説明を編集します。
- ボリュームの編集 をクリックして、変更を保存します。
3.3. Block Storage サービスボリュームのサイズ変更 (拡張)
ボリュームのサイズを変更して、ボリュームのストレージ容量を増やします。
使用中のボリュームのサイズを変更する機能はサポートされていますが、ドライバーに依存します。RBD がサポートされています。使用中のマルチ接続ボリュームを拡張することはできません。この機能のサポートの詳細は、Red Hat のサポートにお問い合わせください。
手順
- Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
ボリュームをリスト表示し、拡張するボリュームの ID を取得します。
$ cinder list
ボリュームのサイズを増やします。
$ cinder extend <volume_id> <size>
-
<volume_id>
は、拡張するボリュームの ID に置き換えます。 <size>
は、このボリュームの必要なサイズ (ギガバイト単位) に置き換えます。注記指定されたサイズが、このボリュームの既存のサイズよりも大きいことを確認してください。
以下に例を示します。
$ cinder extend 573e024d-5235-49ce-8332-be1576d323f8 10
-
3.4. Block Storage サービスボリュームの削除
不要になったボリュームは削除できます。
スナップショットが存在している場合にはボリュームを削除することはできません。スナップショットの削除の詳細は、ボリュームスナップショットの削除 を参照してください。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- ボリューム の表で、削除するボリュームを選択します。
- ボリュームの削除 をクリックします。
3.5. 複数のバックエンドのボリューム割り当て
ボリュームを作成するときに、必要なバックエンドのボリューム種別を種別のリストから選択できます。詳細は、Block Storage ボリュームの作成 を参照してください。
Block Storage サービス (cinder) が複数のバックエンドを使用するように設定されている場合、バックエンドごとにボリューム種別を作成する必要があります。
ボリュームの作成時にバックエンドを指定しない場合、Block Storage スケジューラーは適切なバックエンドを選択しようとします。
スケジューラーは、以下に示すボリュームのデフォルトの関連設定に対してフィルターを使用して、適切なバックエンドを選択します。
- AvailabilityZoneFilter
- 要求されたボリュームのアベイラビリティーゾーン要件を満たさないバックエンドを除外します。
- CapacityFilter
- ボリュームを収容するのに十分な容量のあるバックエンドのみを選択します。
- CapabilitiesFilter
- ボリュームで指定した設定に対応可能なバックエンドのみを選択します。
- InstanceLocality
- クラスターが、同じノードに対してローカルのボリュームを使用するように設定します。
適切なバックエンドが複数ある場合、スケジューラーは重み付け方式を使用して最適なバックエンドを選択します。デフォルトでは、CapacityWeigher 方式が使用されるため、使用可能な空き領域が最も多いバックエンドがフィルタリングされて選択されます。
適切なバックエンドがない場合、ボリュームは作成されません。
3.6. インスタンスへのボリュームの接続
インスタンスを閉じると、すべてのデータが失われます。永続ストレージ用にボリュームを接続することができます。ボリュームがマルチ接続ボリューム種別でない限り、ボリュームは一度に 1 つのインスタンスにしか接続することができません。マルチ接続ボリュームの作成の詳細は、複数のインスタンスに接続できるボリューム を参照してください。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- 接続の編集 アクションを選択します。ボリュームがインスタンスに接続されていない場合には、インスタンスへの接続 のドロップダウンリストが表示されます。
- インスタンスへの接続 のリストから、ボリュームの接続先となるインスタンスを選択します。
- ボリュームの接続 をクリックします。
3.7. インスタンスからのボリュームの切断
このボリュームを別のインスタンスに接続する場合は、インスタンスからボリュームをデタッチする必要があります (マルチ接続ボリューム種別でない場合)。また、ボリュームへのアクセスパーミッションを変更したり、ボリュームを削除したりするには、ボリュームをデタッチする必要があります。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- 対象のボリュームの 接続の管理 アクションを選択します。ボリュームがインスタンスに接続されている場合には、そのインスタンスの名前が 接続状況 の表に表示されます。
- 表示中のダイアログ画面と次の画面で ボリュームの切断 をクリックします。
次のステップ
3.8. ボリュームへのアクセス権の設定
ボリュームのデフォルトの状態は read-write で、データの書き込みおよびそこからの読み取りを可能にします。ボリュームを読み取り専用としてマークし、そのデータが誤って上書きまたは削除されないようにすることができます。
ボリュームを読み取り専用に変更すると、再度読み取り/書き込みに戻すことができます。
前提条件
- ボリュームがすでにインスタンスに接続されている場合は、このボリュームをデタッチします。詳細は、インスタンスからのボリュームの切断 を参照してください。
手順
- Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
ボリュームをリスト表示し、設定するボリュームの ID を取得します。
$ cinder list
このボリュームに必要なアクセス権限を設定します。
ボリュームのアクセス権限を読み取り専用に設定するには、以下の手順を実施します。
$ cinder readonly-mode-update <volume_id> true
-
<volume_id>
は、必要なボリュームの ID に置き換えます。
-
ボリュームのアクセス権限を読み書きに設定するには、以下の手順を実施します。
$ cinder readonly-mode-update <volume_id> false
- アクセス権限を変更するためにインスタンスからこのボリュームをデタッチした場合は、ボリュームを再接続します。詳細は、インスタンスへのボリュームの接続 を参照してください。
3.9. Dashboard を使用したボリューム所有者の変更
ボリュームの所有者を変更するには、ボリュームの譲渡を行います。ボリュームの譲渡は、ボリュームの所有者が開始し、ボリュームの新しい所有者が譲渡を承認すると、そのボリュームの所有権の変更が完了します。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- ボリューム所有者として Dashboard にログインします。
- Projects > Volumes を選択します。
- 譲渡するボリュームの アクション のコラムで、譲渡の作成 を選択します。
ボリュームの譲渡の作成 ダイアログボックスで、譲渡名を入力して ボリュームの譲渡の作成 をクリックします。
ボリュームの譲渡が作成され、ボリュームの譲渡 の画面で
譲渡 ID
と認証キー
を取得して譲渡先のプロジェクトに送信することができます。譲渡認証情報のダウンロード ボタンをクリックして
transfer name
、transfer ID
、authorization key
が記載されている.txt
ファイルをダウンロードします。注記認証キーは ボリュームの譲渡 の画面にしか表示されません。この認証キーをなくした場合には、譲渡をキャンセルし、別の譲渡を作成して新たな認証キーを生成する必要があります。
ボリュームの譲渡 の画面を閉じて、ボリュームのリストに戻ります。
譲渡先のプロジェクトが譲渡を受理するまで、ボリュームのステータスは
awaiting-transfer
と表示されます。
Dashboard を使用したボリューム譲渡の受理
- ボリュームの譲渡先として Dashboard にログインします。
- Projects > Volumes を選択します。
- 譲渡の受理 をクリックします。
ボリュームの譲渡の受理 のダイアログボックスで、ボリュームの所有者から受け取った
譲渡 ID
と認証キー
を入力して、ボリュームの譲渡の受理 をクリックします。譲渡先のプロジェクトのボリュームリストに、そのボリュームが表示されるようになります。
3.10. CLI を使用したボリューム所有者の変更
ボリュームの所有者を変更するには、ボリュームの譲渡を行います。ボリュームの譲渡は、ボリュームの所有者が開始し、ボリュームの新しい所有者が譲渡を承認すると、そのボリュームの所有権の変更が完了します。
手順
- コマンドラインから、ボリュームの現在の所有者としてログインします。
利用可能なボリュームをリスト表示します。
$ cinder list
以下のコマンドを実行して、ボリュームの譲渡を開始します。
$ cinder transfer-create <volume>
<volume>
は、転送するボリュームの名前または ID に置き換えます。以下に例を示します。+------------+--------------------------------------+ | Property | Value | +------------+--------------------------------------+ | auth_key | f03bf51ce7ead189 | | created_at | 2014-12-08T03:46:31.884066 | | id | 3f5dc551-c675-4205-a13a-d30f88527490 | | name | None | | volume_id | bcf7d015-4843-464c-880d-7376851ca728 | +------------+--------------------------------------+
cinder transfer-create
コマンドはボリュームの所有権を消去し、譲渡用のid
とauth_key
を作成します。この値は別のユーザーに渡すことができます。受け取ったユーザーは、その値を使用して譲渡を承認し、ボリュームの新しい所有者となります。新規ユーザーがボリュームの所有権を宣言できる状態となりました。所有権を宣言するには、ユーザーは最初にコマンドラインからログインして以下のコマンドを実行する必要があります。
$ cinder transfer-accept <transfer_id> <transfer_key>
-
<transfer_id>
はcinder transfer-create
コマンドによって返されたid
値に置き換えます。 <transfer_key>
はcinder transfer-create
コマンドによって返されたauth_key
値に置き換えます。以下に例を示します。
$ cinder transfer-accept 3f5dc551-c675-4205-a13a-d30f88527490 f03bf51ce7ead189
-
利用可能なボリュームの譲渡をすべて表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder transfer-list
第4章 Block Storage サービス (cinder) を使用した高度な操作の実行
Block Storage ボリュームは、オーバークラウド内の Compute インスタンス用の永続ストレージを形成します。ボリュームスナップショットの使用、マルチ接続ボリュームの作成、ボリュームの種別変更、ボリュームの移行など、ボリュームの高度な機能を設定します。
4.1. ボリュームスナップショットの作成
ボリュームのスナップショットを作成することによって、ある特定の時点のボリュームの状態を保持することができます。そのスナップショットを使用して、新規ボリュームをクローン作成することが可能です。
ボリュームのバックアップはスナップショットとは異なります。バックアップはボリューム内のデータを保持するのに対して、スナップショットはある特定の時点におけるボリュームの状態を保持します。スナップショットが存在している場合にはボリュームを削除することはできません。ボリュームのバックアップはデータ損失を防ぎます。一方、スナップショットはクローン作成を円滑化します。
このため、スナップショットのバックエンドは、クローン作成中のレイテンシーを最小限に抑えるように、通常ボリュームのバックエンドと同じ場所に配置されます。一方、バックアップのリポジトリーは通常、一般的なエンタープライズデプロイメント内の別の場所に配置されます (例: 異なるノード、物理ストレージ、あるいは別の地理的ロケーションの場合もあり)。これは、ボリュームのバックエンドが一切ダメージを受けないように保護することを目的とします。
ボリュームのバックアップについての詳しい情報は、Block Storage Backup Guide を参照してください。
前提条件
- スナップショットを作成するボリューム。ボリュームの作成の詳細は、Block Storage ボリュームの作成 を参照してください。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- ターゲットボリュームの スナップショットの作成 アクションを選択します。
- 作成するスナップショッットの スナップショット名 を指定して ボリュームのスナップショットの作成 をクリックします。ボリュームのスナップショット タブに全スナップショットが表示されます。
スナップショットから作成される Block Storage サービス (cinder) の RADOS ブロックデバイス (RBD) ボリュームの場合は、CinderRbdFlattenVolumeFromSnapshot
heat パラメーターを使用してフラット化し、スナップショットの依存関係を削除することができます。CinderRbdFlattenVolumeFromSnapshot
を true
に設定すると、Block Storage サービスは RBD ボリュームをフラット化してスナップショットの依存関係を削除すると共に、それ以降のスナップショットもすべてフラット化します。デフォルト値は false
で、cinder RBD ドライバーのデフォルト値も false です。
スナップショットをフラット化すると、親との潜在的なブロック共有が削除され、バックエンドでのスナップショットサイズが大きくなり、スナップショット作成の時間が長くなることに注意してください。
検証
新しいスナップショットが ボリュームのスナップショット タブに表示されていることを確認するか、CLI を使用してボリュームのスナップショットをリスト表示し、スナップショットが作成されていることを確認します。
$ openstack volume snapshot list
4.2. スナップショットからの新しいボリュームの作成
ボリュームスナップショットのクローンとして、新しいボリュームを作成できます。これらのスナップショットは、特定の時点でのボリュームの状態を保持します。
前提条件
- 新しいボリュームのクローンして作成するボリュームスナップショット。ボリュームスナップショットの作成の詳細は、ボリュームスナップショットの 作成 を参照してください。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- ボリュームスナップショット テーブルで、新しいボリュームを作成するスナップショットの ボリュームの作成 アクションを選択します。ボリュームの作成の詳細は、Block Storage ボリュームの作成 を参照してください。
暗号化されたボリュームのスナップショットから新規ボリュームを作成する場合は、新規ボリュームが古いボリュームより 1 GB 以上大きいようにします。
検証
Volumes タブに新しいボリュームが存在することを確認するか、CLI を使用してボリュームをリスト表示し、新しいボリュームが作成されたことを確認します。
$ openstack volume list
4.3. ボリュームスナップショットの削除
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 17.0 は RBD CloneV2 API を使用します。これは、依存関係がある場合でも、ボリュームスナップショットを削除できることを意味します。RHOSP デプロイメントが director によってデプロイされた Ceph バックエンドを使用する場合、Ceph クラスターは director によって正しく設定されます。
外部の Ceph バックエンドを使用する場合は、Ceph クラスターで最小限のクライアントを設定する必要があります。外部 Ceph クラスターの設定に関する詳細は、オーバークラウドの既存 Red Hat Ceph Storage クラスターとの統合 の 既存の Red Hat Ceph Storage クラスターの設定 を参照してください。
前提条件
- 削除するボリュームスナップショット。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- ボリュームスナップショット テーブルで、削除するスナップショットの ボリュームスナップショットの削除 アクションを選択します。
OpenStack デプロイメントで Red Hat Ceph バックエンドを使用している場合には、Red Hat Ceph Storage バックエンドにおけるスナップショットの保護と保護解除 でスナップショットのセキュリティーとトラブルシューティングの詳細情報を参照してください。
検証
ボリュームスナップショット タブにスナップショットが表示されなくなったことを確認するか、CLI を使用してボリュームスナップショットをリスト表示し、スナップショットが削除されていることを確認します。
$ openstack volume snapshot list
4.4. スナップショットからのボリュームの復元
ボリュームの最新スナップショットの状態に復元することができます。つまり、インプレースでボリュームデータをその最新スナップショットの状態に戻すことができます。
ボリュームの最新スナップショットの状態に復元する機能はサポート対象ですが、ドライバーに依存します。この機能を正しく実装するには、ドライバー側の支援が必要です。この機能に対するサポートの詳細は、ドライバーのベンダーにお問い合わせください。
制限事項
- マルチ接続のボリュームの場合、スナップショットの状態に戻す機能の使用には制限が適用される可能性があります。この機能を使用する前に、このような制限が適用されるかどうかを確認してください。
- スナップショットの作成後にサイズを変更 (拡張) したボリュームを元に戻すことはできません。
- 接続済みまたは使用中のボリュームに対して、スナップショットの状態に戻す機能を使用することはできません。
前提条件
- Block Storage (cinder) REST API マイクロバージョン 3.40 以降。
- ボリュームのスナップショットを少なくとも 1 つ作成していること。
手順
- Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
ボリュームを切断します。
$ nova volume-detach <instance_id> <vol_id>
<instance_id>
および<vol_id>
を、元に戻すインスタンスおよびボリュームの ID に置き換えてください。元に戻すスナップショットの ID または名前を探します。元に戻すことができるのは最新のスナップショットだけです。
$ cinder snapshot-list
スナップショットの状態に戻します。
$ cinder --os-volume-api-version=3.40 revert-to-snapshot <snapshot_id or snapshot_name>
<snapshot_id or snapshot_name>
をスナップショットの ID または名前に置き換えてください。オプション:
cinder snapshot-list
コマンドを使用して、元に戻しているボリュームが reverting の状態にあることを確認することができます。$ cinder snapshot-list
ボリュームを再接続します。
$ nova volume-attach <instance_id> <vol_id>
<instance_id>
および<vol_id>
を、元に戻したインスタンスおよびボリュームの ID に置き換えてください。
検証
手順が正常に行われたことを確認するには、
cinder list
コマンドを使用して、元に戻したボリュームが available の状態にあることを検証します。$ cinder list
Block Storage (cinder) をブート可能なルートボリュームとして使用した場合、ボリュームは available の状態にないため、そのボリュームでスナップショットの状態に戻す機能を使用することはできません。この機能を使用するには、インスタンスが終了した場合にブートボリュームを保持するために、delete_on_termination=false
(デフォルト) の属性を設定してインスタンスをブートしている必要があります。スナップショットの状態に戻す場合は、ボリュームが利用可能になるように、まず初期インスタンスを削除する必要があります。その後、元に戻してボリュームから新規インスタンスを作成することができます。
4.5. Image サービス (glance) へのボリュームのアップロード
イメージとして既存のボリュームを Image サービスに直接アップロードすることができます。
前提条件
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- 対象のボリュームの イメージにアップロード アクションを選択します。
- ボリュームの イメージ名 を指定して、リストから ディスク形式 を選択します。
- アップロード をクリックします。
アップロードしたイメージを表示するには、Project > Compute > Images を選択します。新しいイメージが イメージ の表に表示されます。イメージの使用方法と設定方法は、イメージの作成および管理 を参照してください。
4.6. 複数のインスタンスに接続できるボリューム
複数のインスタンスに接続できるマルチ接続 Block Storage ボリュームを作成できます。これらのインスタンスは、同時に読み取りと書き込みを行うことができます。マルチ接続ボリュームには、マルチ接続ボリューム種別が必要です。
複数インスタンスからの書き込み操作を管理するには、マルチアタッチまたはクラスター対応のファイルシステムを使用する必要があります。それ以外の設定では、データの破損が生じます。
マルチ接続ボリュームの制限
- Block Storage (cinder) のバックエンドは、マルチ接続ボリュームをサポートしている必要があります。サポートされるバックエンドの情報は、Red Hat のサポートにお問い合わせください。
Block Storage (cinder) のドライバーは、マルチ接続ボリュームをサポートしている必要があります。Ceph RBD ドライバーがサポートされます。ベンダープラグインでマルチ接続がサポートされることを確認するには、Red Hat のサポートにお問い合わせください。ベンダープラグインの認定の詳細は、以下のアーティクルおよび Web サイトを参照してください。
- 読み取り専用のマルチ接続ボリュームはサポートされていません。
- マルチアタッチボリュームのライブマイグレーションは利用できません。
- マルチアタッチボリュームの暗号化はサポートされていません。
- マルチ接続ボリュームは、ベアメタルプロビジョニングサービス (ironic) virt ドライバーではサポートされていません。マルチ接続ボリュームは、libvirt virt ドライバーによってのみサポートされます。
- アタッチされたボリュームをマルチ接続タイプから非マルチ接続タイプに再入力したり、非マルチ接続タイプをマルチ接続タイプに再入力したりすることはできません。
- アタッチされたボリュームの移行中に、複数の読み取り/書き込みアタッチメントを持つマルチ接続ボリュームをソースボリュームまたは宛先ボリュームとして使用することはできません。
- 見送られていたオフロードされたインスタンスにマルチ接続ボリュームをアタッチすることはできません。
4.6.1. マルチ接続ボリューム種別の作成
複数のインスタンスにボリュームを接続するには、ボリュームの追加スペックで multiattach
フラグを <is> True
に設定します。マルチ接続のボリューム種別を作成すると、ボリュームはフラグを継承し、マルチ接続のボリュームになります。
前提条件
- ボリュームタイプを作成するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
マルチ接続ボリューム用の新しいボリューム種別を作成します。
$ cinder type-create multiattach
このマルチ接続ボリューム種別の
multiattach
プロパティーを有効にします。$ cinder type-key multiattach set multiattach="<is> True"
バックエンドを指定するには、以下のコマンドを実行します。
$ cinder type-key multiattach set volume_backend_name=<backend_name>
4.6.2. マルチ接続ボリューム種別の変更
ボリュームをマルチ接続可能な種別に変更することや、マルチ接続可能なボリュームを複数インスタンスに接続できない種別に変更することが可能です。ただし、ボリューム種別を変更することができるのは、ボリュームが使用中ではなくそのステータスが available
の場合に限られます。
マルチ接続のボリュームを接続する場合、一部のハイパーバイザーでは、キャッシュを無効にする場合など、特別な考慮が必要になります。現在、接続済みのボリュームを接続したまま安全に更新する方法はありません。複数のインスタンスに接続されているボリュームの種別変更を試みると、変更に失敗します。
4.6.3. マルチ接続ボリュームの作成
複数のインスタンスに接続できる Block Storage ボリュームを作成できます。これらのインスタンスは、同時に読み取りと書き込みを行うことができます。
この手順では、multiattach
をサポートする任意のバックエンドにボリュームを作成します。したがって、multiattach
をサポートするバックエンドが 2 つある場合は、スケジューラーがどちらのバックエンドを使用するかを決定します。詳細は、複数のバックエンドのボリューム割り当て を参照してください。
前提条件
- プロジェクトでマルチ接続ボリューム種別を使用できる。
手順
- Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
以下のコマンドを実行し、マルチ接続のボリュームを作成します。
$ cinder create <volume_size> --name <volume_name> --volume-type multiattach
以下のコマンドを実行して、ボリュームがマルチ接続に対応していることを確認します。ボリュームがマルチ接続に対応している場合、
multiattach
フィールドはTrue
と表示されます。$ cinder show <vol_id> | grep multiattach | multiattach | True |
次のステップ
4.7. バックエンド間でのボリュームの移動
ボリュームをあるストレージバックエンドから別のストレージバックエンドに移動する理由には、以下のような理由があります。
- サポートされなくなったストレージシステムの使用を停止するため。
- ボリュームのストレージクラスまたは階層を変更するため。
- ボリュームのアベイラビリティーゾーンを変更するため。
Block Storage サービス (cinder) を使用すると、以下の方法でバックエンド間でボリュームを移動することができます。
- 再入力: ボリューム種別を変更できるのはボリュームの所有者と管理者だけです。種別変更の操作は、バックエンド間でボリュームを移動する最も一般的な方法です。詳細は、Block Storage のボリューム種別の変更 を参照してください。
- 移行: ボリュームを移行できるのは管理者だけです。ボリュームの移行は特定のユースケース用に制限されます。これは、移行に制約があるため、またデプロイメントの動作について明確に理解する必要があるためです。詳細は、Dashboard を使用したバックエンド間でのボリュームの移行 または CLI を使用したバックエンド間でのボリュームの移行 を参照してください。
制約
Red Hat は、同一または異なるアベイラビリティーゾーン (AZ) にあるバックエンド間のボリュームの移動をサポートしますが、以下の制約があります。
- 移行するボリュームは、利用可能な状態または使用中の状態のいずれかでなければなりません。
- 使用中のボリュームのサポートはドライバーに依存します。
- ボリュームにはスナップショットを含めることができません。
- ボリュームは、グループまたは整合性グループに所属させることはできません。
4.7.1. 利用可能なボリュームの移動
すべてのバックエンド間で利用可能なボリュームを移動できますが、パフォーマンスは使用するバックエンドにより異なります。多くのバックエンドは、アシスト付き移行をサポートします。バックエンドのアシスト付き移行のサポートの詳細は、ベンダーにお問い合わせください。
アシスト付き移行は、ボリューム種別変更およびボリュームの移行の両方で機能します。アシスト付き移行により、バックエンドはソースバックエンドから移行先バックエンドへのデータの移動を最適化しますが、両方のバックエンドが同じベンダーから取得されている必要があります。
Red Hat は、マルチプールバックエンドを使用する場合、または RBD などのシングルプールバックエンドに cinder の移行操作を使用する場合のみ、バックエンドアシスト付き移行をサポートしています。
バックエンド間のアシスト付き移行ができない場合には、Block Storage サービスは通常のボリューム移行を実行します。
通常のボリューム移行では、Block Storage (cinder) サービスが移行元ボリュームからコントローラーノードに、およびコントローラーノードから移行先ボリュームにデータを移動する前に、両方のバックエンド上のボリュームを接続する必要があります。Block Storage サービスは、ソースおよび宛先のバックエンドのストレージの種類に関わらず、プロセスをシームレスに実行します。
通常のボリューム移行を実行する前に、十分な帯域幅を確保してください。通常のボリューム移行にかかる時間は、ボリュームのサイズと直接比例するため、操作はアシスト付き移行よりも遅くなります。
4.7.2. 使用中のボリュームの移動
使用中のボリュームを移動する場合、最適化のオプションまたはアシスト付きのオプションはありません。使用中のボリュームを移行する場合には、Compute サービス (nova) がハイパーバイザーを使用して、移行元バックエンドのボリュームから移行先バックエンドのボリュームにデータを転送する必要があります。これには、ボリュームが使用されているインスタンスを実行するハイパーバイザーとの連携が必要です。
Block Storage サービス (cinder) と Compute サービスは、連携してこの操作を実施します。データが Compute ノードを介してあるボリュームから別のボリュームにコピーされるため、Compute サービスがほとんどの作業を管理します。
使用中のボリュームを移動する前に、十分な帯域幅を確保してください。この操作にかかる時間は、ボリュームのサイズと直接比例するため、操作はアシスト付き移行よりも遅くなります。
制約
- 使用中のマルチ接続ボリュームは、複数の nova インスタンスに接続している間は移動できません。
- ターゲットバックエンドのストレージプロトコルを iSCSI、ファイバーチャネル (FC)、および RBD に制限する、非ブロックデバイスはサポートされません。
4.8. Block Storage のボリューム種別の変更
ボリューム種別を変更する際には、ボリューム種別とその設定を既存のボリュームに適用します。ボリューム種別の詳細は、ボリューム種別によるボリューム設定のグループ化 を参照してください。
ボリューム種別を変更できるのはボリュームの所有者と管理者だけです。
新規ボリューム種別の追加スペックを既存のボリュームに適用できる場合、ボリューム種別を変更することができます。ボリューム種別を変更して、事前定義の設定やストレージ属性を既存ボリュームに適用することができます。以下に例を示します。
- 異なるバックエンドへボリュームを移行する場合
- ボリュームのストレージクラスまたは階層を変更するため。
- レプリケーションなどの機能を有効または無効にする場合
ボリューム種別の変更は、あるバックエンドから別のバックエンドにボリュームを移動する標準的な方法です。ただし、ボリューム種別を変更したからといって、そのボリュームをあるバックエンドから別のバックエンドに移動しなければならない訳ではありません。ただし、種別変更を完了するのにボリュームを移動しなければならない場合があります。
-
新しいボリュームタイプには、異なる
volume_backend_name
定義されています。 -
現在のボリュームタイプの
volume_backend_name
は未定義であり、ボリュームは新しいボリュームタイプのvolume_backend_name
で指定されたものとは異なるバックエンドに格納されます。
ボリュームをあるバックエンドから別のバックエンドに移動するには、非常に多くの時間とリソースが必要になる場合があります。したがって、種別の変更でデータを移動する必要がある場合には、Block Storage サービスはデフォルトではデータを移動しません。種別変更の要求の一部として移行ポリシーを指定して移動を明示的に許可しない限り、操作は失敗します。詳細は、Dashboard からのボリューム種別の変更 または CLI からのボリューム種別の変更 を参照してください。
制約
- すべてのボリューム種別を変更することはできません。バックエンド間のボリュームの移動に関する詳細は、バックエンド間でのボリュームの移動 を参照してください。
- 暗号化されていないボリュームは、暗号化されたボリューム種別に変更することはできませんが、暗号化されたボリュームは暗号化されていないボリューム種別に変更できます。
- 暗号化されていないボリュームを同じサイズの暗号化されたボリュームに種別変更する操作はサポートされません。暗号化したボリュームには、暗号化データを格納するための追加領域が必要なためです。暗号化されていないボリュームの暗号化に関する詳細は、暗号化されていないボリュームの暗号化 を参照してください。
- 管理者権限のないユーザーは、自分が所有するボリュームの種別しか変更できません。
関連情報
4.8.1. Dashboard からのボリューム種別の変更
ボリューム種別を変更して、ボリューム種別とその設定を既存のボリュームに適用します。
暗号化されていないボリュームを同じサイズの暗号化されたボリュームに種別変更する操作はサポートされません。暗号化したボリュームには、暗号化データを格納するための追加領域が必要なためです。暗号化されていないボリュームの暗号化に関する詳細は、暗号化されていないボリュームの暗号化 を参照してください。
前提条件
- ボリューム種別を変更できるのはボリュームの所有者と管理者だけです。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーまたはボリューム所有者として Dashboard にログインします。
- Project > Compute > Volumes を選択します。
- 移行するボリュームの アクション のコラムで、ボリューム種別の変更 を選択します。
- ボリューム種別の変更 ダイアログで、対象のボリューム種別を選択し、種別 のリストから新しいバックエンドを定義します。
- 別のバックエンドにボリュームを移行する場合は、移行ポリシー のリストから 要求時 を選択します。詳細は、バックエンド間でのボリュームの移動 を参照してください。
- ボリューム種別の変更 をクリックして移行を開始します。
4.8.2. CLI からのボリューム種別の変更
ボリューム種別を変更して、ボリューム種別とその設定を既存のボリュームに適用します。
暗号化されていないボリュームを同じサイズの暗号化されたボリュームに種別変更する操作はサポートされません。暗号化したボリュームには、暗号化データを格納するための追加領域が必要なためです。暗号化されていないボリュームの暗号化に関する詳細は、暗号化されていないボリュームの暗号化 を参照してください。
前提条件
- ボリューム種別を変更できるのはボリュームの所有者と管理者だけです。
手順
- Source コマンドで認証情報ファイルを読み込みます。
以下のコマンドを入力してボリューム種別を変更します。
$ cinder retype <volume name or id> <new volume type name>
種別変更の操作で、あるバックエンドから別のバックエンドにボリュームを移動する必要がある場合は、Block Storage サービスには特定のフラグが必要です。
$ cinder retype --migration-policy on-demand <volume name or id> <new volume type name>
4.9. Dashboard を使用したバックエンド間でのボリュームの移行
Block Storage サービス (cinder) を使用して、同一または異なるアベイラビリティーゾーン (AZ) にあるバックエンド間で、ボリュームを移行することができます。これは、あるバックエンドから別のバックエンドにボリュームを移行する方法としては、まったく一般的ではありません。
高度にカスタマイズされたデプロイメントの場合や、ストレージシステムを廃止する必要のある状況では、管理者はボリュームを移行できます。どちらのユースケースでも、複数のストレージシステムが同じ volume_backend_name
を共有しているか、未定義です。
制約
- ボリュームは複製できません。
- 移行先バックエンドは、ボリュームの現在のバックエンドとは異なる必要があります。
既存のボリュームタイプは、新規バックエンドに対して有効である必要があります。つまり、以下の状況でなければなりません。
-
ボリュームタイプの追加仕様で
backend_volume_name
を定義することはできません。または、両方のブロックストレージバックエンドを同じbackend_volume_name
で設定する必要があります。 - どちらのバックエンドも、シンプロビジョニングのサポート、シックプロビジョニングのサポート、またはその他の機能設定など、ボリュームタイプで設定した同じ機能をサポートする。
-
ボリュームタイプの追加仕様で
ボリュームをあるバックエンドから別のバックエンドに移動するには、非常に多くの時間とリソースが必要になる場合があります。詳細は、バックエンド間でのボリュームの移動 を参照してください。
前提条件
- ボリュームを移行するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、OpenStack Dashboard の概要 を参照してください。
手順
- 管理ユーザーとして Dashboard にログインします。
- Admin > Volumes を選択します。
- 移行するボリュームの アクション のコラムで、ボリュームのマイグレーション を選択します。
ボリュームのマイグレーション ダイアログで、移行先ホスト ドロップダウンリストからボリュームを移行する先のホストを選択します。
注記ホストの移行でドライバーの最適化をスキップするには、強制ホストコピー のチェックボックスを選択します。
- マイグレーション をクリックして移行を開始します。
4.10. CLI を使用したバックエンド間でのボリュームの移行
Block Storage サービス (cinder) を使用して、同一または異なるアベイラビリティーゾーン (AZ) にあるバックエンド間で、ボリュームを移行することができます。これは、あるバックエンドから別のバックエンドにボリュームを移行する方法としては、まったく一般的ではありません。
高度にカスタマイズされたデプロイメントの場合や、ストレージシステムを廃止する必要のある状況では、管理者はボリュームを移行できます。どちらのユースケースでも、複数のストレージシステムが同じ volume_backend_name
を共有しているか、未定義です。
制約
- ボリュームは複製できません。
- 移行先バックエンドは、ボリュームの現在のバックエンドとは異なる必要があります。
既存のボリュームタイプは、新規バックエンドに対して有効である必要があります。つまり、以下の状況でなければなりません。
-
ボリュームタイプの追加仕様で
backend_volume_name
を定義することはできません。または、両方のブロックストレージバックエンドを同じbackend_volume_name
で設定する必要があります。 - どちらのバックエンドも、シンプロビジョニングのサポート、シックプロビジョニングのサポート、またはその他の機能設定など、ボリュームタイプで設定した同じ機能をサポートする。
-
ボリュームタイプの追加仕様で
ボリュームをあるバックエンドから別のバックエンドに移動するには、非常に多くの時間とリソースが必要になる場合があります。詳細は、バックエンド間でのボリュームの移動 を参照してください。
前提条件
- ボリュームを移行するには、プロジェクト管理者である必要があります。
手順
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
以下のコマンドを入力して、宛先のバックエンドの名前を取得します。
$ cinder get-pools --detail Property | Value ... | name | localdomain@lvmdriver-1#lvmdriver-1 | pool_name | lvmdriver-1 ... | volume_backend_name | lvmdriver-1 ... Property | Value ... | | name | localdomain@lvmdriver-2#lvmdriver-1 | pool_name | lvmdriver-1 ... | volume_backend_name | lvmdriver-1 ...
宛先バックエンド名には、
host@volume_backend_name#pool
という構文が使用されます。出力例では、Block Storage サービスで公開されている 2 つの LVM バックエンドがあります。
localdomain@lvmdriver-1#lvmdriver-1
とlocaldomain@lvmdriver-2#lvmdriver-1
です。両方のバックエンドが同じvolume_backend_name
、lvmdriver-1
を共有していることに注意してください。以下のコマンドを入力して、ボリュームをあるバックエンドから別のバックエンドに移行します。
$ cinder migrate <volume id or name> <new host>
4.11. 暗号化されていないボリュームの暗号化
暗号化されていないボリュームを暗号化できます。
cinder-backup
サービスが利用可能な場合は、暗号化されていないボリュームをバックアップし、それを新しい暗号化されたボリュームに復元します。
cinder-backup
サービスが使用できない場合は、暗号化されていないボリュームからグランスイメージを作成し、このイメージから新しい暗号化されたボリュームを作成します。
前提条件
- 暗号化ボリュームを作成するには、プロジェクト管理者である必要があります。
- 暗号化する暗号化されていないボリューム
手順
cinder-backup
サービスは次の場合に利用できます。
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
現在の暗号化されていないボリュームをバックアップします。
cinder backup-create <unencrypted_volume>
-
<unencrypted_volume>
を、暗号化されていないボリュームの名前または ID に置き換えます。
-
暗号化された新しいボリュームを作成します。
cinder create <encrypted_volume_size> --volume-type <encrypted_volume_type>
-
<encrypted_volume_size>
を新しいボリュームのサイズ (GB) に置き換えます。暗号化メタデータに対応するために、この値は暗号化されていないボリュームのサイズよりも 1 GB 大きくする必要があります。 -
<encrypted_volume_type>
を必要な暗号化タイプに置き換えます。
-
暗号化されていないボリュームのバックアップを暗号化された新しいボリュームに復元します。
cinder backup-restore <backup> --volume <encrypted_volume>
-
<backup>
を、暗号化されていないボリュームバックアップの名前または ID に置き換えます。 -
<encrypted_volume>
を新しい暗号化ボリュームの ID に置き換えます。
-
cinder-backup
サービスは利用できません:
source コマンドでオーバークラウドの認証情報ファイルを読み込みます。
$ source ~/<credentials_file>
-
<credentials_file>
を認証情報ファイルの名前 (overcloudrc
など) に置き換えます。
-
暗号化されていないボリュームの glance イメージを作成します。
cinder upload-to-image <unencrypted_volume> <new_image>
-
<unencrypted_volume>
を、暗号化されていないボリュームの名前または ID に置き換えます。 -
<new_image>
を新しいイメージの名前に置き換えます。
-
イメージから、そのイメージより 1 GB 大きい新たなボリュームを作成します。
cinder volume create --size <size> --volume-type luks --image <new_image> <encrypted_volume_name>
-
<size>
を新しいボリュームのサイズに置き換えます。この値は、暗号化されていない古いボリュームのサイズよりも 1 GB 大きくする必要があります。 -
<new_image>
を、暗号化されていないボリュームから作成したイメージの名前に置き換えます。 -
<encrypted_volume_name>
を新しい暗号化ボリュームの名前に置き換えます。
-
4.12. Red Hat Ceph Storage バックエンドにおけるスナップショットの保護と保護解除
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントのバックエンドとして Red Hat Ceph Storage (RHCS) を使用する場合は、スナップショットをバックエンドで 保護する ように設定できます。削除が失敗するため、RHOSP ダッシュボードまたは cinder snapshot-delete
コマンドを使用して保護されたスナップショットを削除しないでください。
これが発生した場合は、最初に RHCS バックエンドでスナップショットを保護されていない 状態に設定します。その後、通常どおり RHOSP を使用してスナップショットを削除できます。
スナップショットの保護の詳細は、Red Hat Ceph Storage ブロックデバイスガイド の ブロックデバイススナップショットの保護 および ブロックデバイススナップショットの保護解除 を参照してください。
第5章 Object Storage サービス (swift) の設定
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Object Storage サービス (swift) は、そのオブジェクトまたはデータをコンテナーに保存します。コンテナーはファイルシステムのディレクトリーと似ていますが、ネスト化することはできません。コンテナーは、あらゆるタイプの非構造化データを格納する簡単な方法をユーザーに提供します。たとえば、オブジェクトには写真、テキストファイル、イメージなどが含まれます。格納されるオブジェクトは圧縮されません。
5.1. オブジェクトストレージリング
Object Storage service (swift) は、リングと呼ばれるデータ構造を使用して、パーティション領域をクラスター内に分散します。このパーティション領域は、Object Storage サービスのデータ永続性エンジン (data durability engine) の中核となります。リングを使用すると、Object Storage サービスが迅速かつ簡単にクラスター内の各パーティションを同期できるようになります。
リングには、オブジェクトストレージのパーティションの情報、およびパーティションがさまざまなノードおよびディスクにどのように分散されるかに関する情報が含まれます。Object Storage のコンポーネントがデータと対話する場合、リング内をローカルで素早く検索して、各オブジェクトが保管されているはずのパーティションを特定します。
Object Storage サービスには、次のタイプのデータを格納するための 3 つのリングがあります。
- アカウント情報
- アカウントの下でオブジェクトを整理しやすくするためのコンテナー
- オブジェクトレプリカ
5.1.1. クラスターの健全性の確認
長期のデータ可用性、耐久性、および永続性を確保するために、Object Storage サービス (swift) ではバックグラウンドで多くのプロセスが実行されます。以下に例を示します。
- auditors は定期的にデータベースおよびオブジェクトファイルを再読み取りし、チェックサムを使用してそれらを比較して、サイレントビットロットがないことを確認します。チェックサムと一致しなくなったデータベースまたはオブジェクトファイルは隔離され、そのノードでは読み取ることができなくなります。この場合、replicators は他のレプリカのいずれかをコピーして、再びローカルコピーが利用できる状態にします。
- ディスクやノードを置き換えた場合、またはオブジェクトが隔離された場合、オブジェクトおよびファイルが消失することがあります。この場合、replicators は欠けているオブジェクトまたはデータベースファイルを他のノードのいずれかにコピーします。
Object Storage サービスには swift-recon
と呼ばれるツールが含まれています。このツールは、すべてのノードからデータを収集してクラスターの全体的な健全性を確認します。
手順
- コントローラーノードのいずれかにログインします。
以下のコマンドを実行します。
[tripleo-admin@overcloud-controller-2 ~]$ sudo podman exec -it -u swift swift_object_server /usr/bin/swift-recon -arqlT --md5 ======================================================================--> Starting reconnaissance on 3 hosts (object) ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking async pendings [async_pending] - No hosts returned valid data. ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking on replication [replication_failure] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [replication_success] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [replication_time] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [replication_attempted] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 Oldest completion was 2018-12-14 14:55:39 (7 seconds ago) by 172.16.3.186:6000. Most recent completion was 2018-12-14 14:55:42 (4 seconds ago) by 172.16.3.174:6000. ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking load averages [5m_load_avg] low: 1, high: 2, avg: 2.1, total: 6, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [15m_load_avg] low: 2, high: 2, avg: 2.6, total: 7, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [1m_load_avg] low: 0, high: 0, avg: 0.8, total: 2, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking ring md5sums 3/3 hosts matched, 0 error[s] while checking hosts. ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking swift.conf md5sum 3/3 hosts matched, 0 error[s] while checking hosts. ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking quarantine [quarantined_objects] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [quarantined_accounts] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 [quarantined_containers] low: 0, high: 0, avg: 0.0, total: 0, Failed: 0.0%, no_result: 0, reported: 3 ======================================================================[2018-12-14 14:55:47] Checking time-sync 3/3 hosts matched, 0 error[s] while checking hosts. ======================================================================
(オプション)
--all
オプションを使用して、追加の出力を返します。このコマンドは、リング上のすべてのサーバーに対して、以下のデータのクエリーを実行します。
- Async pendings: クラスターの負荷が非常に高くプロセスがデータベースファイルを十分な速度で更新できない場合、一部の更新は非同期で行われます。これらの数は徐々に減少します。
- Replication metrics: レプリケーションのタイムスタンプを確認します。完全なレプリケーションパスは頻繁に行われ、エラーはほとんど発生しません。古いエントリー (例: 6 カ月前のタイムスタンプを持つエントリー) ば、そのノードでのレプリケーションが過去 6 カ月間完了していないことを意味します。
- Ring md5sums: これにより、すべてのノードですべてのリングファイルの一貫性が確保されます。
-
swift.conf
md5sums: これにより、すべてのノードですべての設定ファイルの一貫性が確保されます。 - Quarantined files: すべてのノードについて、隔離されたファイルがない (あるいは、ほとんどない) はずです。
- Time-sync: すべてのノードが同期されている必要があります。
5.1.2. リングパーティションのべき乗の増加
リソース (アカウント、コンテナー、またはオブジェクト等) がマッピングされるパーティションは、リングパーティションのべき乗により決定されます。パーティションは、リソースがバックエンドのファイルシステムに保管されるパスに含まれます。したがって、パーティションのべき乗を変更すると、リソースをバックエンドファイルシステムの新しいパスに再配置する必要があります。
稼働率の高いクラスターでは、再配置のプロセスに時間がかかります。ダウンタイムを回避するには、クラスターが稼働している間にリソースを再配置します。データへの一時的なアクセス不能やプロセス (レプリケーションや監査) のパフォーマンス低下を起こさずに、この操作を行う必要があります。リングパーティションのべき乗を増やす場合には、Red Hat サポートにお問い合わせください。
5.1.3. Object Storage サービスにおけるパーティションのべき乗に関する推奨事項
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Object Storage サービス (swift) 用に独立したノードを使用する場合には、パーティションのべき乗により大きな値を使用します。
Object Storage サービスは、変更した ハッシュリング を使用して、データをディスクとノードに分散します。デフォルトでは、アカウント用、コンテナー用、およびオブジェクト用の 3 つのリングがあります。各リングは、パーティションのべき乗 と呼ばれる固定パラメーターを使用します。このパラメーターは、作成可能なパーティションの最大数を設定します。
パーティションのべき乗パラメーターは重要で、新規コンテナーとそのオブジェクトについてしか変更できません。そのため、初回デプロイメント の前にこの値を設定することが重要になります。
RHOSP director がデプロイする環境のデフォルトのパーティションのべき乗値は 10
です。小規模なデプロイメント、特に Object Storage サービスにコントローラーノード上のディスクだけを使用する計画の場合には、これが妥当な値です。
以下の表は、3 つのレプリカを使用する場合に適切なパーティションのべき乗を選択するのに役立ちます。
パーティションのべき乗 | ディスクの最大数 |
10 | 35 まで |
11 | 75 まで |
12 | 150 まで |
13 | 250 まで |
14 | 500 まで |
パーティションのべき乗に過剰に大きな値を設定すると (例: 40 ディスクに対して 14
)、レプリケーション時間に悪影響を及ぼします。
パーティションのべき乗を設定するには、以下のリソースを使用します。
parameter_defaults: SwiftPartPower: 11
新しいコンテナーに追加のオブジェクトサーバーリングを設定することもできます。これは、当初小さなパーティションのべき乗値を使用する Object Storage サービスのデプロイメントにディスクを追加する場合に便利です。
関連情報
- swift のアップストリームドキュメントの The Rings
- director のインストールと使用方法 で オーバークラウド環境を変更する
5.1.4. カスタムリング
技術が進歩し、ストレージ容量への要求が高まる今日、カスタムリングを作成することが、既存の Object Storage クラスターを更新する手段となっています。
新規ノードをクラスターに追加する場合、それらの特性が元のノードとは異なる可能性があります。カスタムの調整を行わないと、大容量の新規ノードが使用されない可能性があります。あるいは、リングで重みが変わると、データの分散が不均等になり、安全性が低下します。
自動化が将来の技術トレンドと整合しなくなることも考えられます。たとえば、現在使用されている旧式の Object Storage クラスターの中には、SSD が利用可能になる前に作られたものもあります。
リングビルダーは、クラスターの規模拡大および技術の進化に合わせてオブジェクトストレージを管理するのに役立ちます。カスタムリングの作成については、Red Hat サポートにお問い合わせください。
5.2. Object Storage サービスのカスタマイズ
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境の要件によっては、デプロイメントのパフォーマンスを最適化するために、Object Storage サービス (swift) のデフォルト設定の一部をカスタマイズする必要がある場合があります。
5.2.1. fast-post の設定
デフォルトでは、オブジェクトメタデータの一部にでも変更があると、Object Storage サービス (swift) は必ずオブジェクト全体をコピーします。fast-post 機能を使用することでこれを回避できます。fast-post 機能は、複数の大きなオブジェクトのコンテンツ種別を変更する際の時間を短縮します。
fast-post 機能を有効にするには、Object Storage プロキシーサービスの object_post_as_copy
オプションを無効にします。
手順
swift_params.yaml
を編集します。cat > swift_params.yaml << EOF parameter_defaults: ExtraConfig: swift::proxy::copy::object_post_as_copy: False EOF
オーバークラウドをデプロイまたは更新する際に、パラメーターファイルを指定します。
openstack overcloud deploy [... previous args ...] -e swift_params.yaml
5.2.2. 保存データ暗号化の有効化
デフォルトでは、Object Storage サービス (swift) にアップロードされるオブジェクトは暗号化されません。したがって、ファイルシステムからオブジェクトに直接アクセスすることが可能です。このため、ディスクを破棄する前に適切に消去しなかった場合には、セキュリティーリスクとなってしまいます。Object Storage オブジェクト詳細については、 OpenStack Key Manager を使用したシークレットの管理 のオブジェクトストレージ (swift) at-rest オブジェクトの暗号化 を参照してください。
5.2.3. スタンドアロン Object Storage サービスクラスターのデプロイ
コンポーザブルロールの概念を使用して、OpenStack Identity サービス (keystone) や HAProxy などの最小限の追加サービスを備えたスタンドアロンの Object Storage サービス (swift) クラスターをデプロイできます。
手順
-
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates
からroles_data.yaml
をコピーします。 - 新規ファイルを編集します。
- 不要な Controller ロールを削除します (例: Aodh*、Ceilometer*、Ceph*、Cinder*、Glance*、Heat*、Ironic*、Manila*、Nova*、Octavia*、Swift*)。
-
roles_data.yaml
内で ObjectStorage を見つけます。 -
このロールを、同じファイル内の新しいロールにコピーして、
ObjectProxy
という名前を付けます。 このロールの
SwiftStorage
はSwiftProxy
に置き換えます。以下の
roles_data.yaml
ファイルの例には、サンプルのロールを記載しています。- name: Controller description: | Controller role that has all the controller services loaded and handles Database, Messaging and Network functions. CountDefault: 1 tags: - primary - controller networks: - External - InternalApi - Storage - StorageMgmt - Tenant HostnameFormatDefault: '%stackname%-controller-%index%' ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::AuditD - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CertmongerUser - OS::TripleO::Services::Clustercheck - OS::TripleO::Services::Docker - OS::TripleO::Services::Ec2Api - OS::TripleO::Services::Etcd - OS::TripleO::Services::HAproxy - OS::TripleO::Services::Keepalived - OS::TripleO::Services::Kernel - OS::TripleO::Services::Keystone - OS::TripleO::Services::Memcached - OS::TripleO::Services::MySQL - OS::TripleO::Services::MySQLClient - OS::TripleO::Services::Ntp - OS::TripleO::Services::Pacemaker - OS::TripleO::Services::RabbitMQ - OS::TripleO::Services::Securetty - OS::TripleO::Services::Snmp - OS::TripleO::Services::Sshd - OS::TripleO::Services::Timezone - OS::TripleO::Services::TripleoFirewall - OS::TripleO::Services::TripleoPackages - OS::TripleO::Services::Vpp - name: ObjectStorage CountDefault: 1 description: | Swift Object Storage node role networks: - InternalApi - Storage - StorageMgmt disable_upgrade_deployment: True ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::AuditD - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CertmongerUser - OS::TripleO::Services::Collectd - OS::TripleO::Services::Docker - OS::TripleO::Services::FluentdClient - OS::TripleO::Services::Kernel - OS::TripleO::Services::MySQLClient - OS::TripleO::Services::Ntp - OS::TripleO::Services::Securetty - OS::TripleO::Services::SensuClient - OS::TripleO::Services::Snmp - OS::TripleO::Services::Sshd - OS::TripleO::Services::SwiftRingBuilder - OS::TripleO::Services::SwiftStorage - OS::TripleO::Services::Timezone - OS::TripleO::Services::TripleoFirewall - OS::TripleO::Services::TripleoPackages - name: ObjectProxy CountDefault: 1 description: | Swift Object proxy node role networks: - InternalApi - Storage - StorageMgmt disable_upgrade_deployment: True ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::AuditD - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CertmongerUser - OS::TripleO::Services::Collectd - OS::TripleO::Services::Docker - OS::TripleO::Services::FluentdClient - OS::TripleO::Services::Kernel - OS::TripleO::Services::MySQLClient - OS::TripleO::Services::Ntp - OS::TripleO::Services::Securetty - OS::TripleO::Services::SensuClient - OS::TripleO::Services::Snmp - OS::TripleO::Services::Sshd - OS::TripleO::Services::SwiftRingBuilder - OS::TripleO::Services::SwiftProxy - OS::TripleO::Services::Timezone - OS::TripleO::Services::TripleoFirewall - OS::TripleO::Services::TripleoPackages
通常の
openstack deploy
コマンドで、新規ロールを指定して、オーバークラウドをデプロイします。$ openstack overcloud deploy --templates -r roles_data.yaml -e [...]
5.2.4. 外部 SAN ディスクの使用
デフォルトでは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) director が Object Storage サービス (swift) をデプロイする際に、独立したローカルディスクを使用するように Object Storage が設定、最適化されます。この設定により、負荷がすべてのディスクに分散されるようになります。その結果、ノードに障害が発生した場合やその他のシステム異常時にパフォーマンスへの影響を最小限に抑えることができます。
パフォーマンスに影響をおよぼすイベント発生時に、1 つの SAN を使用する環境では、すべての LUN でパフォーマンスが低下する可能性があります。Object Storage サービスは、SAN ディスクを使用する環境で生じるパフォーマンスの問題を軽減することができません。そのため、オブジェクトストレージ用に追加のローカルディスクを使用して、パフォーマンスとディスク容量の要件を満たすようにしてください。詳細は、Object Storage サービスの推奨ディスク を参照してください。
Object Storage 用に外部 SAN を使用する場合は、ケースごとに評価する必要があります。詳細は、Red Hat のサポートにお問い合わせください。
Object Storage 用に外部 SAN を使用する場合、以下の条件に注意してください。
- Object Storage 用に外部 SAN を使用した結果パフォーマンスに関する問題が生じた場合、Red Hat はこの問題に対するサポートを提供しません。
- Red Hat は、コアの Object Storage サービスオファリングの外部で生じる問題に対するサポートを提供しません。高可用性およびパフォーマンスに関するサポートは、ストレージベンダーにお問い合わせください。
- Red Hat は、Object Storage サービスと SAN ソリューションの組み合わせをテストしません。サードパーティー製品の互換性、ガイダンス、およびサポートに関する詳細は、ストレージベンダーにお問い合わせください。
- Red Hat では、実際のデプロイメントでパフォーマンスの要求を評価してテストすることを推奨します。お使いの SAN デプロイメントがテストおよびサポートされ、パフォーマンス要求を満たしていることを確認するには、ストレージベンダーにお問い合わせください。
手順
Object Storage 用に 2 つのデバイス (
/dev/mapper/vdb
および/dev/mapper/vdc
) を使用する方法の例を、以下のテンプレートに示します。parameter_defaults: SwiftMountCheck: true SwiftUseLocalDir: false SwiftRawDisks: {"vdb": {"base_dir":"/dev/mapper/"}, "vdc": {"base_dir":"/dev/mapper/"}}
5.2.5. Object Storage サービスのディスク設定に関する推奨事項
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Object Storage サービス (swift) 用に、1 つまたは複数の独立したローカルディスクを使用します。
デフォルトでは、RHOSP director は、Object Storage サービス用にシステムディスクの /srv/node/d1
ディレクトリーを使用します。コントローラーでは、このディスクは他のサービスでも使用され、ディスクがパフォーマンスのボトルネックになる可能性があります。
以下の例は、RHOSP Orchestration サービス (heat) のカスタム環境ファイルからの抜粋です。各コントローラーノードで、Object Storage サービスは 2 つの独立したディスクを使用します。両方のディスク全体には XFS ファイルシステムが含まれています。
parameter_defaults: SwiftRawDisks: {"sdb": {}, "sdc": {}}
SwiftRawDisks
は、ノード上の各ストレージディスクを定義します。以下の例では、各コントローラーノードの sdb
ディスクと sdc
ディスクの両方を定義します。
複数のディスクを設定する場合は、Bare Metal サービス (ironic) が必ず目的のルートディスクを使用するようにします。
関連情報
- Director のインストールおよび使用方法 の ノードのルートディスクの定義
5.3. Object Storage ノードの追加または削除
クラスターに新規 Object Storage (swift) ノードを追加するには、ノード数を増やし、リングを更新し、変更を同期させる必要があります。オーバークラウドにノードを追加するか、ベアメタルノードをスケールアップすることで、ノード数を増やすことができます。
クラスターから Object Storage ノードを削除するには、クラスター内のデータ量に応じて、単純な削除または増分削除を実行できます。
5.3.1. オーバークラウドへのノード追加
オーバークラウドにノードを追加できます。
Red Hat OpenStack Platform の新規インストールには、セキュリティーエラータやバグ修正などの特定の更新が含まれていません。その結果、Red Hat Customer Portal または Red Hat Satellite Server を使用する接続環境をスケールアップすると、RPM 更新は新しいノードに適用されません。最新の更新をオーバークラウドノードに適用するには、以下のいずれかを実行する必要があります。
- スケールアウト操作後にノードのオーバークラウド更新を完了します。
-
virt-customize
ツールを使用して、スケールアウト操作の前にパッケージをベースのオーバークラウドイメージに変更します。詳細は、Red Hat ナレッジベースで Modifying the Red Hat Linux OpenStack Platform Overcloud Image with virt-customize のソリューションを参照してください。
手順
登録する新規ノードの詳細を記載した新しい JSON ファイル (
newnodes.json
) を作成します。{ "nodes":[ { "mac":[ "dd:dd:dd:dd:dd:dd" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"ipmi", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.168.24.207" }, { "mac":[ "ee:ee:ee:ee:ee:ee" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"ipmi", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.168.24.208" } ] }
新しいノードを登録します。
$ source ~/stackrc (undercloud)$ openstack overcloud node import newnodes.json
新しいノードごとにイントロスペクションプロセスを開始します。
(undercloud)$ openstack overcloud node introspect \ --provide <node_1> [node_2] [node_n]
-
--provide
オプションを使用して、イントロスペクション後に指定されたすべてのノードをavailable
状態にリセットします。 -
<node_1>
、[node_2]
、および[node_n]
までの全ノードを、イントロスペクトする各ノードの UUID に置き換えます。
-
新しいノードごとにイメージのプロパティーを設定します。
(undercloud)$ openstack overcloud node configure <node>
5.3.2. ベアメタルノードのスケールアップ
既存オーバークラウドのベアメタルノード数を増やすには、overcloud-baremetal-deploy.yaml
ファイルのノード数を増やして、オーバークラウドを再デプロイします。
前提条件
- 新しいベアメタルノードが登録され、イントロスペクトされ、プロビジョニングとデプロイメントに使用できる。詳細については、オーバークラウドのノードの登録 と ベアメタルノードハードウェアのインベントリーの作成 を参照してください。
手順
source コマンドで
stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを読み込みます。$ source ~/stackrc
-
ベアメタルノードのプロビジョニングに使用する
overcloud-baremetal-deploy.yaml
ノード定義ファイルを開きます。 スケールアップするロールの
count
パラメーターを増やします。たとえば、以下の設定では、Object Storage ノード数を 4 に増やします。- name: Controller count: 3 - name: Compute count: 10 - name: ObjectStorage count: 4
オプション: 新規ノードに予測可能なノード配置を設定します。たとえば、以下の設定を使用して、
node03
に新しい Object Storage ノードをプロビジョニングします。- name: ObjectStorage count: 4 instances: - hostname: overcloud-objectstorage-0 name: node00 - hostname: overcloud-objectstorage-1 name: node01 - hostname: overcloud-objectstorage-2 name: node02 - hostname: overcloud-objectstorage-3 name: node03
- オプション: 新しいノードに割り当てるその他の属性を定義します。ノード定義ファイルでノード属性を設定するために使用できるプロパティーについて詳しくは、ベアメタルノードのプロビジョニング属性 を参照してください。
-
Object Storage サービス (swift) とディスク全体のオーバークラウドイメージ
overcloud-hardened-uefi-full
を使用する場合に、ディスクのサイズと/var
および/srv
のストレージ要件に基づいて/srv
パーティションのサイズを設定します。詳細は、Object Storage サービスのディスクパーティション全体の設定 を参照してください。 オーバークラウドノードをプロビジョニングします。
(undercloud)$ openstack overcloud node provision \ --stack <stack> \ --output <deployment_file> \ /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deploy.yaml
-
<stack>
を、ベアメタルノードがプロビジョニングされるスタックの名前に置き換えます。指定しない場合、デフォルトはovercloud
です。 -
<deployment_file>
は、デプロイメントコマンドに含めるために生成する heat 環境ファイルの名前に置き換えます (例:/home/stack/templates/overcloud-baremetal-deployed.yaml)
。
-
別のターミナルでプロビジョニングの進捗をモニタリングします。プロビジョニングが成功すると、ノードの状態が
available
からactive
に変わります。(undercloud)$ watch openstack baremetal node list
生成された
overcloud-baremetal-deployed.yaml
ファイルを他の環境ファイルと共にスタックに追加し、オーバークラウドをデプロイします。(undercloud)$ openstack overcloud deploy --templates \ -e [your environment files] \ -e /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deployed.yaml \ --deployed-server \ --disable-validations \ ...
5.3.3. Object Storage の専用ノードの定義
追加のノードを Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Object Storage サービス専用にして、パフォーマンスを向上させます。
追加のノードをオブジェクトストレージサービス専用にする場合は、カスタム roles_data.yaml
ファイルを編集して、コントローラーノードからオブジェクトストレージサービスのエントリーを削除します。具体的には、Controller
ロールの ServicesDefault
リストから以下の行を削除します。
- OS::TripleO::Services::SwiftStorage
5.3.4. オブジェクトストレージリングの更新およびリバランス
Object Storage サービス (swift) では、すべてのコントローラーノードと Object Storage ノードで同じリングファイルが必要です。コントローラーノードまたはオブジェクトストレージノードが交換、追加、または削除された場合、適切な機能を確保するために、オーバークラウドの更新後にこれらを同期する必要があります。
手順
stack
ユーザーとしてアンダークラウドにログインし、一時ディレクトリーを作成します。$ mkdir temp && cd temp/
既存のノードの 1 つ (この例ではコントローラー 0) から新しいディレクトリーにオーバークラウドのリングファイルをダウンロードします。
$ ssh tripleo-admin@overcloud-controller-0.ctlplane 'sudo tar -czvf - /var/lib/config-data/puppet-generated/swift_ringbuilder/etc/swift/{*.builder,*.ring.gz,backups/*.builder}' > swift-rings.tar.gz
リングを抽出し、リングサブディレクトリーに変更します。
$ tar xzvf swift-rings.tar.gz && cd var/lib/config-data/puppet-generated/swift_ringbuilder/etc/swift/
デバイス情報にしたがって、以下の変数の値を収集します。
<device_name>
:$ openstack baremetal introspection data save <node_name> | jq ".inventory.disks"
<node_ip>
:$ metalsmith <node_name> show
-
<port>
: デフォルトポートは600x
です。デフォルトを変更している場合は、該当するポートを使用します。 -
<builder_file>
: 手順 3 のビルダーファイル名。 -
<weight>
および<zone>
変数はユーザーが定義します。
swift-ring-builder
を使用して、新しいノードを既存のリングに追加して更新します。デバイス情報に応じて、変数を置き換えます。注記swift-ring-builder
コマンドを使用するには、python3-swift
RPM をインストールする必要があります。$ swift-ring-builder etc/swift/<builder_file> add <zone>-<node_ip>:<port>/<device_name> <weight>
リングを再調整して、新しいデバイスが使用されるようにします。
$ swift-ring-builder etc/swift/<builder_file> rebalance
変更したリングファイルをコントローラーノードにアップロードし、これらのリングファイルが使用されていることを確認します。次の例のようなスクリプトを使用して、リングファイルを配布します。
#!/bin/sh set -xe ALL="tripleo-admin@overcloud-controller-0.ctlplane tripleo-admin@overcloud-controller-1.ctlplane tripleo-admin@overcloud-controller-2.ctlplane"
リングをすべてのノードにアップロードし、Object Storage サービスを再起動します。
for DST in ${ALL}; do cat swift-rings.tar.gz | ssh "${DST}" 'sudo tar -C / -xvzf -' ssh "${DST}" 'sudo podman restart swift_copy_rings' ssh "${DST}" 'sudo systemctl restart tripleo_swift*' done
5.3.5. ノード変更の同期およびデータの移行
変更したリングファイルを正しいフォルダーにコピーしたら、新しいリングファイルを Object Storage (swift) コンテナーに配布する必要があります。
- 重要
- すべてのデータを同時に移行しないでください。10% ずつデータを移行してください。たとえば、移行元デバイスの重みを 90.0 に、移行先デバイスを 10.0 に設定します。次に、移行元デバイスの重みを 80.0 に、移行先デバイスを 20.0 に設定します。プロセスが完了するまで、段階的にデータの移行を続けます。移行時にすべてのデータを同時に移動すると、古いデータは移行元デバイスにありますが、すべてのレプリカについてリングは新しい移行先デバイスをポイントします。レプリケーターがすべてのデータを移行先デバイスに移動するまで、データにアクセスすることができません。
移行時に、オブジェクトストレージリングはデータの場所を再割当てし、続いてレプリケーターがデータを新しい場所に移動します。クラスターのアクティビティーが増えると、負荷が増加するため、レプリケーションの処理が遅くなります。クラスターが大きいほど、レプリケーションのパスが完了するのにかかる時間が長くなります。これは想定された動作ですが、クライアントが現在移動しているデータにアクセスする場合に、ログファイルに 404 エラーが記録される可能性があります。プロキシーが新しい場所からデータの取得を試みる際に、データがまだ新しい場所にない場合、
swift-proxy
レポートはログファイルに 404 エラーを記録します。移行が段階的な場合には、プロキシーは移動していないレプリカにアクセスし、エラーは発生しません。プロキシーが代替レプリカからデータの取得を試みると、ログファイルの 404 エラーは解決されます。レプリケーションプロセスが実行中であることを確認するには、レプリケーションログを参照してください。Object Storage サービス (swift) は、5 分ごとにレプリケーションログを発行します。
手順
次の例のようなスクリプトを使用して、リングファイルを既存のコントローラーノードからすべてのコントローラーノードに配布し、それらのノードで Object Storage サービスコンテナーを再起動します。
#!/bin/sh set -xe SRC="tripleo-admin@overcloud-controller-0.ctlplane" ALL="tripleo-admin@overcloud-controller-0.ctlplane tripleo-admin@overcloud-controller-1.ctlplane tripleo-admin@overcloud-controller-2.ctlplane"
リングファイルの現在のセットを取得します。
ssh "${SRC}" 'sudo tar -czvf - /var/lib/config-data/puppet-generated/swift_ringbuilder/etc/swift/{*.builder,*.ring.gz,backups/*.builder}' > swift-rings.tar.gz
リングをすべてのノードにアップロードし、Object Storage サービスを再起動します。
for DST in ${ALL}; do cat swift-rings.tar.gz | ssh "${DST}" 'sudo tar -C / -xvzf -' ssh "${DST}" 'sudo podman restart swift_copy_rings' ssh "${DST}" 'sudo systemctl restart tripleo_swift*' done
データが新しいディスクに移動されていることを確認するには、新規ストレージノードで以下のコマンドを実行してください。
$ sudo grep -i replication /var/log/container/swift/swift.log
5.3.6. Object Storage ノードの削除
Object Storage (swift) ノードを削除するには、次の 2 つの方法があります。
- 単純な削除: この方法は 1 つのアクションでノードを削除し、データの量が少なく効率的に動作しているクラスターに適しています。
- 段階的削除: 削除するノード上のディスクの重みを減らすようにリングを変更します。この方法は、ストレージネットワークの使用への影響を最小限に抑える場合、またはクラスターに大量のデータが含まれる場合に適しています。
どちらの方法でも、ベアメタルノードのスケールダウン 手順に従います。ただし、増分削除の場合は、次の前提条件を満たしてストレージリングを変更し、削除するノードのディスクの重量を減らします。
前提条件
- Object Storage リングが更新され、再調整されます。詳細は、Object Storage リングの更新と再調整 を参照してください。
- Object Storage リングの変更が同期されている。詳細は、ノードの変更の同期とデータの移行 を参照してください。
Object Storage ノードの交換については、ベアメタルノードのスケールダウン 手順の冒頭にある前提条件を参照してください。
5.3.7. ベアメタルノードのスケールダウン
オーバークラウド内のベアメタルノードの数を縮小するには、ノード定義ファイルでスタックから削除するノードにタグを付け、オーバークラウドを再デプロイしてから、オーバークラウドからベアメタルノードを削除します。
前提条件
- アンダークラウドの正常なインストール。詳細は、Installing director on the undercloud を参照してください。
- オーバークラウドの正常なデプロイメント。詳細は、プリプロビジョニングされたノードを使用した基本的なオーバークラウドの設定 を参照してください。
Object Storage ノードを置き換える場合は、削除するノードから新しい置き換えノードにデータを複製します。新しいノードでレプリケーションのパスが完了するまで待機します。
/var/log/swift/swift.log
ファイルで複製パスの進捗を確認することができます。パスが完了すると、Object Storage サービス (swift) は、以下の例のようにエントリーをログに追加します。Mar 29 08:49:05 localhost object-server: Object replication complete. Mar 29 08:49:11 localhost container-server: Replication run OVER Mar 29 08:49:13 localhost account-server: Replication run OVER
手順
source コマンドで
stackrc
アンダークラウド認証情報ファイルを読み込みます。$ source ~/stackrc
-
スケールダウンするロールについて、
overcloud-baremetal-deploy.yaml
ファイルのcount
パラメーターの数を減らします。 -
スタックから削除する各ノードの
hostname
とname
を定義します (ロールのinstances
属性で定義されていない場合)。 削除するノードに属性
provisioned: false
を追加します。たとえば、スタックからノードovercloud-objectstorage-1
を削除するには、overcloud-baremetal-deploy.yaml
ファイルに以下のスニペットを追加します。- name: ObjectStorage count: 3 instances: - hostname: overcloud-objectstorage-0 name: node00 - hostname: overcloud-objectstorage-1 name: node01 # Removed from cluster due to disk failure provisioned: false - hostname: overcloud-objectstorage-2 name: node02 - hostname: overcloud-objectstorage-3 name: node03
オーバークラウドの再デプロイ後、
provisioned: false
属性で定義したノードがスタックには存在しなくなります。ただし、これらのノードは provisioned の状態で稼働したままです。注記スタックから一時的にノードを削除するには、属性
provisioned: false
でオーバークラウドをデプロイし、属性provisioned: true
でオーバークラウドを再デプロイして、ノードをスタックに戻します。オーバークラウドからノードを削除します。
(undercloud)$ openstack overcloud node delete \ --stack <stack> \ --baremetal-deployment /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deploy.yaml
<stack>
を、ベアメタルノードがプロビジョニングされるスタックの名前に置き換えます。指定しない場合、デフォルトはovercloud
です。注記スタックから削除するノードを、
openstack overcloud node delete
コマンドのコマンド引数に含めないでください。
オーバークラウドノードをプロビジョニングして、デプロイメントコマンドに含める heat 環境ファイルを更新して生成します。
(undercloud)$ openstack overcloud node provision \ --stack <stack> \ --output <deployment_file> \ /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deploy.yaml
-
<deployment_file>
は、デプロイメントコマンドに含めるために生成する heat 環境ファイルの名前に置き換えます (例:/home/stack/templates/overcloud-baremetal-deployed.yaml)
。
-
プロビジョニングコマンドによって生成された
overcloud-baremetal-deployed.yaml
ファイルを他の環境ファイルと共にスタックに追加し、オーバークラウドをデプロイします。(undercloud)$ openstack overcloud deploy \ ... -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/deployed-server-environment.yaml \ -e /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deployed.yaml \ --deployed-server \ --disable-validations \ ...
5.4. Object Storage サービスにおけるコンテナー管理
Object Storage サービス (swift) の整理を容易にするには、擬似フォルダーを使用できます。これらのフォルダーは、オブジェクトを格納することができる論理デバイスで、入れ子が可能です。たとえば、イメージを保管する Images フォルダーや、ビデオを保管する Media フォルダーなどを作成することができます。
各プロジェクトに 1 つまたは複数のコンテナーを作成することができます。また、各コンテナーには、1 つまたは複数のオブジェクトまたは擬似フォルダーを作成することができます。
5.4.1. プライベートコンテナーとパブリックコンテナーの作成
ダッシュボードを使用して、Object Storage サービス (swift) にコンテナーを作成します。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- コンテナーの作成 をクリックします。
コンテナー名 を指定して、コンテナーアクセス フィールドで以下のいずれかのオプションを選択します。
タイプ 説明 プライベート
アクセスを現在のプロジェクトのユーザーに制限します。
パブリック
パブリックの URL を使用して API アクセスを全員に許可します。ただし、Dashboard では、プロジェクトユーザーには、他のプロジェクトのパブリックコンテナーおよびデータは表示されません。
- コンテナーの作成 をクリックします。
(オプション) 新しいコンテナーはデフォルトのストレージポリシーを使用します。複数のストレージポリシーが定義されている場合には (たとえば、デフォルトポリシーと Erasure Coding を有効にする別のポリシーなど)、デフォルト以外のストレージポリシーを使用するようにコンテナーを設定することができます。
$ swift post -H "X-Storage-Policy:<policy>" <container_name>
-
<policy>
を、コンテナーで使用するポリシーの名前またはエイリアスに置き換えます。 -
<container_name>
は、コンテナーの名前に置き換えます。
-
5.4.2. コンテナーの疑似フォルダーの作成
ダッシュボードを使用して、Object Storage サービス (swift) にコンテナーの疑似フォルダーを作成します。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- 擬似フォルダーを追加するコンテナーの名前をクリックします。
- 疑似フォルダーの作成 をクリックします。
- 疑似フォルダー名 フィールドに名前を指定し、作成 をクリックします。
5.4.3. Object Storage サービスからのコンテナーの削除
ダッシュボードを使用して、Object Storage サービス (swift) からコンテナーを削除します。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- コンテナー のセクションのリストを参照して全オブジェクトが削除されていることを確認します。詳細は、Object Storage サービスからのオブジェクトの削除 を参照してください。
- 対象のコンテナーの矢印メニューで コンテナーの削除 を選択します。
- コンテナーの削除 をクリックして、コンテナーを削除する操作を確定します。
5.4.4. コンテナーへのオブジェクトのアップロード
実際のファイルを Object Storage サービス (swift) にアップロードしない場合でも、オブジェクトはプレースホルダーとして作成され、後でファイルをアップロードするために使用できます。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- アップロードされたオブジェクトを配置するコンテナーの名前をクリックします。コンテナーに擬似フォルダーがすでに存在する場合は、その名前をクリックします。
- ファイルをブラウズして オブジェクトのアップロード をクリックします。
オブジェクト名 フィールドに名前を指定します。
- / の文字 (例: Images/myImage.jpg) を使用して、名前に擬似フォルダーを指定できます。指定したフォルダーがまだ存在していない場合には、オブジェクトのアップロード時に作成されます。
- 名前がその場所で一意ではない場合 (オブジェクトがすでに存在している場合)、そのオブジェクトのコンテンツは上書きされます。
- オブジェクトのアップロード をクリックします。
5.4.5. コンテナー間でのオブジェクトのコピー
ダッシュボードを使用して Object Storage サービス (swift) にオブジェクトをコピーします。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- オブジェクトのコンテナーまたはフォルダーの名前をクリックします (オブジェクトを表示します)。
- オブジェクトのアップロード をクリックします。
- コピーするファイルを参照し、矢印メニューで コピー を選択します。
以下の項目を設定します。
フィールド 説明 宛先コンテナー
新規プロジェクトの宛先コンテナー
パス
宛先コンテナーの擬似フォルダー。フォルダーが存在しない場合は、作成されます。
宛先オブジェクト名
新規オブジェクト名。その場所で一意ではない名前を使用した場合 (オブジェクトがすでに存在している場合)、そのオブジェクトの以前のコンテンツは上書きされます。
- オブジェクトのコピー をクリックします。
5.4.6. Object Storage サービスからのオブジェクトの削除
ダッシュボードを使用して、Object Storage サービス (swift) からオブジェクトを削除します。
手順
- Dashboard で プロジェクト > オブジェクトストア > コンテナー を選択します。
- リストを参照して対象のオブジェクトを特定し、矢印メニューで オブジェクトの削除 を選択します。
- オブジェクトの削除 をクリックして、オブジェクトを削除する操作を確定します。