第2章 Block Storage サービス (cinder) の設定


Block Storage サービス (cinder) は、全ボリュームの管理タスク、セキュリティー、スケジューリング、全体を管理します。Compute インスタンス用の永続ストレージとしては、ボリュームが主に使用されます。

ボリュームバックアップの詳細は、Block Storage ボリュームのバックアップ ガイドを参照してください。

重要

Block Storage サービスおよびファイバーチャネル (FC) バックエンドを使用するすべてのデプロイメントにおいて、すべての Controller ノードおよび Compute ノードにホストバスアダプター (HBA) をインストールする必要があります。

Block Storage は、Block Storage REST API を使用して設定されます。

注記

Block Storage はバージョン 2 をサポートしていないため、Block Storage REST API バージョン 3 を使用していることを確認してください。デフォルトのオーバークラウドデプロイメントでは、環境変数 OS_VOLUME_API_VERSION=3.0 を設定することで、この確認が行われます。

Block Storage REST API は、マイクロバージョンを使用して拡張機能を追加することにより、後方互換性を維持します。cinder CLI は、特定のマイクロバージョンが指定されない限り、REST API バージョン 3.0 を使用します。たとえば、cinder コマンドに 3.17 マイクロバージョンを指定するには、--os-volume-api-version 3.17 引数を追加します。

注記

openstack CLI は、これらのマイクロバージョンをサポートしていないため、Block Storage REST API のバージョン 3.0 しか使用できません。

2.1. Block Storage サービスのバックエンド

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) は director を使用してデプロイされます。これを行うことで、Block Storage サービス (cinder) およびそのバックエンドなど、各サービスが正しく設定されるようにします。director には、複数のバックエンド設定が統合されています。

デフォルトでは、Block Storage サービスは、ボリュームのリポジトリーとして LVM バックエンドを使用します。このバックエンドはテスト環境に適しますが、LVM は実稼働環境ではサポートされません。RHOSP は、Block Storage サービスのバックエンドとして Red Hat Ceph Storage および NFS をサポートします。RHOSP を使用して Red Hat Ceph Storage をデプロイする方法は、director を使用した Red Hat Ceph Storage と OpenStack Platform のデプロイ を参照してください。Block Storage でサポートされている NFS とその設定の詳細は、NFS ストレージの設定 を参照してください。

Block Storage サービスをサポート対象のサードパーティー製ストレージアプライアンスを使用するように設定することも可能です。director には、異なるバックエンドソリューションをデプロイするのに必要なコンポーネントが含まれています。

サポートされている Block Storage サービスのバックエンドアプライアンスとドライバーの完全なリストについては、Component, Plug-In, and Driver Support in Red Hat OpenStack PlatformCinder を参照してください。すべてのサードパーティーのバックエンドアプライアンスおよびドライバーには、追加のデプロイメントガイドがあります。適切なデプロイメントガイドを確認し、バックエンドアプライアンスまたはドライバーにプラグインが必要かどうかを判断します。

複数のバックエンドを使用するように Block Storage を設定した場合は、バックエンドごとにボリューム種別を作成する必要があります。ボリュームの作成時にバックエンドを指定しない場合、Block Storage スケジューラーはフィルターを使用して適切なバックエンドを選択します。詳細は、デフォルトの Block Storage スケジューラーフィルターの設定 を参照してください。

2.1.1. NFS ストレージの設定

共有 NFS ストレージを使用するようにオーバークラウドを設定できます。

2.1.1.1. サポートされる設定および制限

サポートされる NFS ストレージ

汎用 NFS バックエンドによって提供される NFS ストレージの機能は、認定済みのストレージバックエンドおよびドライバーと比較すると制限されます。たとえば、汎用 NFS バックエンドは、ボリュームの暗号化やボリュームのマルチアタッチなどの機能をサポートしません。サポート対象のドライバーの情報は、Red Hat Ecosystem Catalog を参照してください。

Block Storage (cinder) サービスおよび Compute (nova) サービスには、NFS バージョン 4.0 以降を使用する必要があります。Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) は、以前のバージョンの NFS をサポートしません。

サポートされていない NFS 設定

RHOSP は、通常のボリューム操作に影響を与えるため、NetApp 機能の NAS セキュアをサポートしていません。RHOSP director はデフォルトでこの機能を無効にします。したがって、NFS バックエンドまたは NetApp NFS Block Storage バックエンドが NAS セキュアをサポートするかどうかを制御する次の heat パラメーターは編集しないでください。

  • CinderNetappNasSecureFileOperations
  • CinderNetappNasSecureFilePermissions
  • CinderNasSecureFileOperations
  • CinderNasSecureFilePermissions
NFS ストレージの制限

汎用 NFS 共有または汎用 NFS ドライバーを使用する場合は、以下の操作を実行できません。

  • バックエンドが汎用 NFS 共有の場合、スワップディスクを持つインスタンスのサイズを変更または再構築します。
  • インスタンスが SHUTOFF のステータスにある場合は、ボリュームスナップショットを削除します。
  • 汎用 NFS ドライバーの使用時に、アタッチされたボリュームを拡張します。

2.1.1.2. NFS ストレージの設定

共有 NFS ストレージを使用するようにオーバークラウドを設定できます。

手順

  1. nfs_storage.yaml などの NFS ストレージを設定するための環境ファイルを作成します。
  2. 次のパラメーターを新しい環境ファイルに追加して、NFS ストレージを設定します。

    parameter_defaults:
      CinderEnableIscsiBackend: false
      CinderEnableNfsBackend: true
      GlanceBackend: file
      CinderNfsServers: 192.0.2.230:/cinder
      GlanceNfsEnabled: true
      GlanceNfsShare: 192.0.2.230:/glance
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    注記

    CinderNfsMountOptions パラメーターおよび GlanceNfsOptions パラメーターは設定しないでください。これらのパラメーターのデフォルト値は、ほとんどの Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境に適した NFS マウントオプションを有効にするためです。environment/storage/glance-nfs.yaml ファイルで GlanceNfsOptions パラメーターの値を確認できます。同じ NFS サーバーを共有するように複数のサービスを設定する際に問題が発生した場合は、Red Hat サポートにお問い合わせください。

  3. その他の環境ファイルと共に NFS ストレージ環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。

    (undercloud)$ openstack overcloud deploy --templates \
     -e [your environment files] \
     -e /home/stack/templates/nfs_storage.yaml
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2.1.1.3. 変換用の外部 NFS 共有の設定

Block Storage サービス (cinder) がオーバークラウドのコントローラーノードでイメージ形式の変換を実行し、スペースが限られている場合は、大きな Image Service (glance) のイメージを変換すると、ノードのルートディスクスペースが完全に使用される可能性があります。変換に外部 NFS 共有を使用して、ノードのスペースが完全にいっぱいになるのを防ぐことができます。

外部 NFS 共有設定を制御する 2 つの director heat パラメーターがあります。

  • CinderImageConversionNfsShare
  • CinderImageConversionNfsOptions

手順

  1. アンダークラウドに stack ユーザーとしてログインし、stackrc 認証情報ファイルを読み込みます。

    $ source ~/stackrc
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  2. 新規または既存のストレージ関連の環境ファイルに、外部 NFS 共有に関する情報を追加します。

    parameter_defaults:
      CinderImageConversionNfsShare: 192.168.10.1:/convert
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    注記

    NFS マウントオプションを制御する CinderImageConversionNfsOptions パラメーターのデフォルト値は、ほとんどの環境で十分です。

  3. ご自分の環境に該当するその他の環境ファイルと共に、新しい設定が含まれる環境ファイルを openstack overcloud deploy コマンドに追加します。

    $ openstack overcloud deploy \
    --templates \
    …
    -e <existing_overcloud_environment_files> \
    -e <new_environment_file> \
    …
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    • <existing_overcloud_environment_files> を既存のデプロイメントに含まれる環境ファイルのリストに置き換えます。
    • <new_environment_file> を、NFS 共有設定を含む新規または編集済みの環境ファイルに置き換えます。
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