9.2. コンテナー化されたサービスの管理
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) では、アンダークラウドおよびオーバークラウドノード上のコンテナー内でサービスが実行されます。特定の状況では、1 つのホスト上で個別のサービスを制御する必要がある場合があります。このセクションでは、コンテナー化されたサービスを管理するためにノード上で実行することのできる、一般的なコマンドを説明します。
コンテナーとイメージのリスト表示
実行中のコンテナーをリスト表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman ps
コマンド出力に停止中またはエラーの発生したコンテナーを含めるには、コマンドに --all
オプションを追加します。
$ sudo podman ps --all
コンテナーイメージをリスト表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman images
コンテナーの属性の確認
コンテナーまたはコンテナーイメージのプロパティーを表示するには、podman inspect
コマンドを使用します。たとえば、keystone
コンテナーを検査するには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman inspect keystone
Systemd サービスを使用したコンテナーの管理
以前のバージョンの OpenStack Platform では、コンテナーは Docker およびそのデーモンで管理されていました。これで、Systemd サービスインターフェイスがコンテナーのライフサイクルを管理します。それぞれのコンテナーはサービスであり、Systemd コマンドを実行して各コンテナーに関する特定の操作を実施します。
Systemd は再起動ポリシーを適用するため、Podman CLI を使用してコンテナーを停止、起動、および再起動することは推奨されません。その代わりに、Systemd サービスコマンドを使用してください。
コンテナーのステータスを確認するには、systemctl status
コマンドを実行します。
$ sudo systemctl status tripleo_keystone ● tripleo_keystone.service - keystone container Loaded: loaded (/etc/systemd/system/tripleo_keystone.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Fri 2019-02-15 23:53:18 UTC; 2 days ago Main PID: 29012 (podman) CGroup: /system.slice/tripleo_keystone.service └─29012 /usr/bin/podman start -a keystone
コンテナーを停止するには、systemctl stop
コマンドを実行します。
$ sudo systemctl stop tripleo_keystone
コンテナーを起動するには、systemctl start
コマンドを実行します。
$ sudo systemctl start tripleo_keystone
コンテナーを再起動するには、systemctl restart
コマンドを実行します。
$ sudo systemctl restart tripleo_keystone
コンテナーステータスを監視するデーモンはないので、以下の状況では Systemd はほとんどのコンテナーを自動的に再起動します。
-
podman stop
コマンドの実行など、明瞭な終了コードまたはシグナル - 起動後に podman コンテナーがクラッシュするなど、不明瞭な終了コード
- 不明瞭なシグナル
- コンテナーの起動に 1 分 30 秒以上かかった場合のタイムアウト
Systemd サービスの詳細情報は、systemd.service
のドキュメント を参照してください。
コンテナー内のサービス設定ファイルに加えた変更は、コンテナーの再起動後には元に戻ります。これは、コンテナーがノードのローカルファイルシステム上の /var/lib/config-data/puppet-generated/
にあるファイルに基づいてサービス設定を再生成するためです。たとえば、keystone
コンテナー内の /etc/keystone/keystone.conf
を編集してコンテナーを再起動すると、そのコンテナーはノードのローカルシステム上にある /var/lib/config-data/puppet-generated/keystone/etc/keystone/keystone.conf
を使用して設定を再生成します。再起動前にコンテナー内で加えられた変更は、この設定によって上書きされます。
Systemd タイマーを使用した podman コンテナーの監視
Systemd タイマーインターフェイスは、コンテナーのヘルスチェックを管理します。各コンテナーのタイマーがサービスユニットを実行し、そのユニットがヘルスチェックスクリプトを実行します。
すべての OpenStack Platform コンテナーのタイマーをリスト表示するには、systemctl list-timers
コマンドを実行し、出力を tripleo
が含まれる行に限定します。
$ sudo systemctl list-timers | grep tripleo Mon 2019-02-18 20:18:30 UTC 1s left Mon 2019-02-18 20:17:26 UTC 1min 2s ago tripleo_nova_metadata_healthcheck.timer tripleo_nova_metadata_healthcheck.service Mon 2019-02-18 20:18:34 UTC 5s left Mon 2019-02-18 20:17:23 UTC 1min 5s ago tripleo_keystone_healthcheck.timer tripleo_keystone_healthcheck.service Mon 2019-02-18 20:18:35 UTC 6s left Mon 2019-02-18 20:17:13 UTC 1min 15s ago tripleo_memcached_healthcheck.timer tripleo_memcached_healthcheck.service (...)
特定のコンテナータイマーのステータスを確認するには、healthcheck サービスに対して systemctl status
コマンドを実行します。
$ sudo systemctl status tripleo_keystone_healthcheck.service ● tripleo_keystone_healthcheck.service - keystone healthcheck Loaded: loaded (/etc/systemd/system/tripleo_keystone_healthcheck.service; disabled; vendor preset: disabled) Active: inactive (dead) since Mon 2019-02-18 20:22:46 UTC; 22s ago Process: 115581 ExecStart=/usr/bin/podman exec keystone /openstack/healthcheck (code=exited, status=0/SUCCESS) Main PID: 115581 (code=exited, status=0/SUCCESS) Feb 18 20:22:46 undercloud.localdomain systemd[1]: Starting keystone healthcheck... Feb 18 20:22:46 undercloud.localdomain podman[115581]: {"versions": {"values": [{"status": "stable", "updated": "2019-01-22T00:00:00Z", "..."}]}]}} Feb 18 20:22:46 undercloud.localdomain podman[115581]: 300 192.168.24.1:35357 0.012 seconds Feb 18 20:22:46 undercloud.localdomain systemd[1]: Started keystone healthcheck.
コンテナータイマーを停止、起動、再起動、およびコンテナータイマーのステータスを表示するには、.timer
Systemd リソースに対して該当する systemctl
コマンドを実行します。たとえば、tripleo_keystone_healthcheck.timer
リソースのステータスを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo systemctl status tripleo_keystone_healthcheck.timer ● tripleo_keystone_healthcheck.timer - keystone container healthcheck Loaded: loaded (/etc/systemd/system/tripleo_keystone_healthcheck.timer; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (waiting) since Fri 2019-02-15 23:53:18 UTC; 2 days ago
healthcheck サービスは無効だが、そのサービスのタイマーが存在し有効になっている場合には、チェックは現在タイムアウトしているが、タイマーに従って実行されることを意味します。チェックを手動で開始することもできます。
podman ps
コマンドは、コンテナーのヘルスステータスを表示しません。
コンテナーログの確認
Red Hat OpenStack Platform 17.1 は、すべてのコンテナーからのすべての標準出力 (stdout) をログに記録し、標準エラー (stderr) は /var/log/containers/stdout 内
のコンテナーごとに 1 つのファイルに統合されます。
また、ホストはこのディレクトリーにログローテーションを適用し、大きな容量のファイルがディスク容量を消費する問題を防ぎます。
コンテナーが置き換えられた場合には、新しいコンテナーは同じログファイルにログを出力します。podman
はコンテナー ID ではなくコンテナー名を使用するためです。
podman logs
コマンドを使用して、コンテナー化されたサービスのログを確認することもできます。たとえば、keystone
コンテナーのログを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman logs keystone
コンテナーへのアクセス
コンテナー化されたサービスのシェルに入るには、podman exec
コマンドを使用して /bin/bash
を起動します。たとえば、keystone
コンテナーのシェルに入るには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman exec -it keystone /bin/bash
root ユーザーとして keystone
コンテナーのシェルに入るには、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman exec --user 0 -it <NAME OR ID> /bin/bash
コンテナーから出るには、以下のコマンドを実行します。
# exit