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4.3. 複数のクラウドの設定

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Service Telemetry Framework (STF) の単一インスタンスをターゲットにするように複数の Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) クラウドを設定できます。複数のクラウドを設定する場合に、クラウドはすべて独自で一意のメッセージバストピックでメトリクスおよびイベントを送信する必要があります。STF デプロイメントでは、Smart Gateway インスタンスは、これらのトピックをリッスンして、共通のデータストアに情報を保存します。データストレージドメインの Smart Gateway によって保存されるデータは、各 Smart Gateway が作成するメタデータを使用してフィルターされます。

警告

各クラウドは、必ず固有のクラウドドメイン設定でデプロイしてください。クラウドデプロイメント用のドメイン設定の詳細は、「独自のクラウドドメインの設定」 を参照してください。

図4.1 RHOSP の 2 つのクラウドが STF に接続

2 台の RHOSP クラウドが STF に接続している例

複数のクラウドのシナリオで RHOSP オーバークラウドを設定するには、次のタスクを実行します。

  1. 各クラウドで使用する AMQP アドレスの接頭辞を計画します。詳細は、「AMQP アドレス接頭辞の計画」 を参照してください。
  2. メトリクスとイベントのコンシューマーである Smart Gateway を各クラウドに配備し、対応するアドレス接頭辞をリッスンします。詳細は、「Smart Gateway の導入」 を参照してください。
  3. 各クラウドに固有のドメイン名を設定します。詳細は、「独自のクラウドドメインの設定」 を参照してください。
  4. STF の基本設定を作成します。詳細は、「STF の基本設定の作成」 を参照してください。
  5. 各クラウドがメトリクスやイベントを正しいアドレスで STF に送信するように設定します。詳細は、「複数クラウドの Red Hat OpenStack Platform 環境ファイルの作成」 を参照してください。

4.3.1. AMQP アドレス接頭辞の計画

デフォルトでは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) ノードは、collectd と Ceilometer という 2 つのデータコレクターを通じてデータを取得します。collectd-sensubility プラグインでは、固有のアドレスが必要です。これらのコンポーネントは、Telemetry データまたは通知をそれぞれの AMQP アドレス (例: collectd/telemetry) に送信します。STF Smart Gateway は、データのこれらの AMQP アドレスでリッスンします。複数のクラウドをサポートし、どのクラウドが監視データを生成したかを識別するために、各クラウドがデータを固有のアドレスに送信するように設定します。アドレスの 2 番目の部分に、クラウド識別子の接頭辞を追加します。以下のリストは、アドレスと識別子の例です。

  • collectd/cloud1-telemetry
  • collectd/cloud1-notify
  • sensubility/cloud1-telemetry
  • anycast/ceilometer/cloud1-metering.sample
  • anycast/ceilometer/cloud1-event.sample
  • collectd/cloud2-telemetry
  • collectd/cloud2-notify
  • sensubility/cloud2-telemetry
  • anycast/ceilometer/cloud2-metering.sample
  • anycast/ceilometer/cloud2-event.sample
  • collectd/us-east-1-telemetry
  • collectd/us-west-3-telemetry

4.3.2. Smart Gateway の導入

各クラウドのデータ収集タイプごとに、collectd メトリクス用、collectd イベント用、Ceilometer メトリクス用、Ceilometer イベント用、collectd-sensubility メトリクス用の Smart Gateway を導入する必要があります。各 Smart Gateway は、対応するクラウドに定義された AMQP アドレスをリッスンするように設定します。Smart Gateway を定義するには、ServiceTelemetry マニフェストに clouds パラメーターを設定します。

STF を初めてデプロイする際は、1 つのクラウドに対する初期の Smart Gateway を定義する Smart Gateway マニフェストが作成されます。複数のクラウドサポートに Smart Gateway をデプロイする場合には、メトリクスおよび各クラウドのイベントデータを処理するデータ収集タイプごとに、複数の Smart Gateway をデプロイします。最初の Smart Gateway は、以下のサブスクリプションアドレスを使用して cloud1 で定義されます。

collector

type

デフォルトサブスクリプションアドレス

collectd

metrics

collectd/telemetry

collectd

events

collectd/notify

collectd-sensubility

metrics

sensubility/telemetry

Ceilometer

metrics

anycast/ceilometer/metering.sample

Ceilometer

events

anycast/ceilometer/event.sample

前提条件

手順

  1. Red Hat OpenShift Container Platform にログインします。
  2. service-telemetry namespace に切り替えます。

    $ oc project service-telemetry
  3. default の ServiceTelemetry オブジェクトを編集し、設定で clouds パラメーターを追加します。

    警告

    クラウド名が長くなると、Pod 名の最大長 63 文字を超える可能性があります。ServiceTelemetry 名の defaultclouds.name の組み合わせが 19 文字を超えないようにしてください。クラウド名には、- などの特殊文字を含めることはできません。クラウド名を英数字 (a-z、0-9) に制限します。

    トピックアドレスには文字の制限がなく、clouds.name の値とは異なる場合があります。

    $ oc edit stf default
    apiVersion: infra.watch/v1beta1
    kind: ServiceTelemetry
    metadata:
      ...
    spec:
      ...
      clouds:
      - name: cloud1
        events:
          collectors:
          - collectorType: collectd
            subscriptionAddress: collectd/cloud1-notify
          - collectorType: ceilometer
            subscriptionAddress: anycast/ceilometer/cloud1-event.sample
        metrics:
          collectors:
          - collectorType: collectd
            subscriptionAddress: collectd/cloud1-telemetry
          - collectorType: sensubility
            subscriptionAddress: sensubility/cloud1-telemetry
          - collectorType: ceilometer
            subscriptionAddress: anycast/ceilometer/cloud1-metering.sample
      - name: cloud2
        events:
          ...
  4. ServiceTelemetry オブジェクトを保存します。
  5. 各 Smart Gateway が起動していることを確認します。この作業は、Smart Gateway の台数によっては数分かかることがあります。

    $ oc get po -l app=smart-gateway
    NAME                                                      READY   STATUS    RESTARTS   AGE
    default-cloud1-ceil-event-smartgateway-6cfb65478c-g5q82   2/2     Running   0          13h
    default-cloud1-ceil-meter-smartgateway-58f885c76d-xmxwn   2/2     Running   0          13h
    default-cloud1-coll-event-smartgateway-58fbbd4485-rl9bd   2/2     Running   0          13h
    default-cloud1-coll-meter-smartgateway-7c6fc495c4-jn728   2/2     Running   0          13h
    default-cloud1-sens-meter-smartgateway-8h4tc445a2-mm683   2/2     Running   0          13h

4.3.3. デフォルトの Smart Gateway を削除

複数のクラウドに Service Telemetry Framework (STF) を設定したら、デフォルトの Smart Gateway が使用されなくなった場合に、そのゲートウェイを削除できます。Service Telemetry Operator は、作成済みではあるが、オブジェクトの ServiceTelemetry clouds リストに表示されなくなった SmartGateway オブジェクトを削除できます。clouds パラメーターで定義されていない SmartGateway オブジェクトの削除を有効にするには、ServiceTelemetry マニフェストで cloudsRemoveOnMissing パラメーターを true に設定する必要があります。

ヒント

Smart Gateway をデプロイしない場合は、clouds: [] パラメーターを使用して空のクラウドリストを定義します。

警告

cloudsRemoveOnMissing パラメーターはデフォルトで無効にされています。cloudsRemoveOnMissing パラメーターが有効な場合には、現在の namespace で手動で作成された SmartGateway オブジェクトを削除するとそのオブジェクトは復元できません。

手順

  1. Service Telemetry Operator が管理するクラウドオブジェクトのリストで clouds パラメーターを定義します。詳細は、「clouds パラメーター」 を参照してください。
  2. ServiceTelemetry オブジェクトを編集し、cloudsRemoveOnMissing パラメーターを追加します。

    apiVersion: infra.watch/v1beta1
    kind: ServiceTelemetry
    metadata:
      ...
    spec:
      ...
      cloudsRemoveOnMissing: true
      clouds:
        ...
  3. 修正内容を保存します。
  4. オペレーターが Smart Gateway を削除したことを確認します。Operator が変更を調整する間、数分かかることがあります。

    $ oc get smartgateways

4.3.4. 独自のクラウドドメインの設定

さまざまな Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) クラウドから Service Telemetry Framework (STF) への Telemetry が一意に識別され、競合しないようにするには、CloudDomain パラメーターを設定します。

警告

既存のデプロイメントではホスト名またはドメイン名を変更しないようにしてください。ホストとドメイン名の設定は、新しいクラウドデプロイメントでのみサポートされます。

手順

  1. 新しい環境ファイルを作成します (例: hostnames.yaml)。
  2. 以下の例に示すように、環境ファイルで CloudDomain パラメーターを設定します。

    hostnames.yaml

    parameter_defaults:
        CloudDomain: newyork-west-04
        CephStorageHostnameFormat: 'ceph-%index%'
        ObjectStorageHostnameFormat: 'swift-%index%'
        ComputeHostnameFormat: 'compute-%index%'

  3. 新しい環境ファイルをデプロイメントに追加します。

4.3.5. 複数クラウドの Red Hat OpenStack Platform 環境ファイルの作成

発信元のクラウドに応じてトラフィックをラベリングするには、クラウド固有のインスタンス名を持つ設定を作成する必要があります。stf-connectors.yaml ファイルを作成し、CeilometerQdrMetricsConfigCollectdAmqpInstances の値を AMQP アドレス接頭辞スキームと一致するように調整します。

注記

コンテナーのヘルスおよび API ステータスのモニタリングを有効にしている場合は、CollectdSensubilityResultsChannel パラメーターも変更する必要があります。詳細は、「Red Hat OpenStack Platform API のステータスおよびコンテナー化されたサービスの健全性」 を参照してください。

前提条件

手順

  1. アンダークラウドホストに stack ユーザーとしてログインします。
  2. /home/stack ディレクトリーに stf-connectors.yaml という設定ファイルを作成します。
  3. stf-connectors.yaml ファイルで、オーバークラウドデプロイメント上の AMQ Interconnect をに接続するように MetricsQdrConnectors アドレスを設定します。CeilometerQdrMetricsConfigCollectdAmqpInstances、および CollectdSensubilityResultsChannel トピックの値を、このクラウドデプロイメントに必要な AMQP アドレスと一致するように設定します。

    stf-connectors.yaml

    resource_registry:
      OS::TripleO::Services::Collectd: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployment/metrics/collectd-container-puppet.yaml
    
    parameter_defaults:
        ExtraConfig:
            qdr::router_id: %{::hostname}.cloud1
    
        MetricsQdrConnectors:
            - host: default-interconnect-5671-service-telemetry.apps.infra.watch
              port: 443
              role: edge
              verifyHostname: false
              sslProfile: sslProfile
    
        MetricsQdrSSLProfiles:
            - name: sslProfile
              caCertFileContent: |
                -----BEGIN CERTIFICATE-----
                <snip>
                -----END CERTIFICATE-----
    
        CeilometerQdrMetricsConfig:
            driver: amqp
            topic: cloud1-metering
    
        CollectdAmqpInstances:
            cloud1-telemetry:
                format: JSON
                presettle: false
    
        CollectdSensubilityResultsChannel: sensubility/cloud1-telemetry

    • qdr::router_id 設定は、ホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用するデフォルト値をオーバーライドします。場合によっては、FQDN を使用することでルーター ID の長さが 61 文字を超え、QDR 接続が失敗することがあります。FQDN 値がそれより短いデプロイメントの場合、これは必要ありません。
    • 複数のクラウドデプロイメント用に collectd-write-qdr.yaml 環境ファイルを含めないため、resource_registry 設定は collectd サービスを直接ロードします。
    • host パラメーターを、「AMQ Interconnect ルートアドレスの取得」 で取得した値に置き換えます。
    • caCertFileContent パラメーターを、「オーバークラウドの設定向け Service Telemetry Framework からの CA 証明書の取得」 で取得したコンテンツに置き換えます。
    • MetricsQdrConnectorshost サブパラメーターを、「AMQ Interconnect ルートアドレスの取得」 で取得した値に置き換えます。
    • CeilometerQdrMetricsConfig.topictopic 値を設定して、Ceilometer メトリクスのトピックを定義します。値は、cloud1-metering などのクラウドの一意のトピック識別子です。
    • CollectdAmqpInstances サブパラメーターを設定して、collectd メトリクスのトピックを定義します。セクション名は、cloud1-telemetry などのクラウドの一意のトピック識別子です。
    • CollectdSensubilityResultsChannel を設定して、collectd-sensubility イベントのトピックを定義します。値は、sensubility/cloud1-telemetry などのクラウドの一意のトピック識別子です。

      注記

      collectd および Ceilometer のトピックを定義すると、指定した値は、Smart Gateway クライアントがメッセージをリッスンするために使用する完全なトピックに置き換えられます。

      Ceilometer トピック値はトピックアドレス anycast/ceilometer/<TOPIC>.sample に置き換えられ、collectd トピック値はトピックアドレス collectd/<TOPIC> に置き換えられます。sensubility の値は完全なトピックパスであり、トピック値からトピックアドレスへの転置はありません。

      完全なトピックアドレスを参照する ServiceTelemetry オブジェクトのクラウド設定の例については、「clouds パラメーター」 を参照してください。

  4. stf-connectors.yaml ファイルの命名規則が、Smart Gateway 設定の spec.bridge.amqpUrl フィールドと一致していることを確認します。たとえば、CeilometerQdrMetricsConfig.topic フィールドの値を cloud1-metering に設定します。
  5. アンダークラウドホストに stack ユーザーとしてログインします。
  6. stackrc アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。

    $ source stackrc
  7. 実際の環境に該当するその他の環境ファイルと共に、openstack overcloud deployment コマンドに stf-connectors.yaml ファイルおよび一意のドメイン名環境ファイル hostnames.yaml を追加します。

    警告

    カスタム CollectdAmqpInstances パラメーターで collectd-write-qdr.yaml ファイルを使用する場合、データはカスタムおよびデフォルトのトピックに公開されます。複数のクラウド環境では、stf-connectors.yaml ファイルの resource_registry パラメーターの設定では collectd サービスを読み込みます。

    (undercloud)$ openstack overcloud deploy --templates \
    -e [your environment files] \
    -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/metrics/ceilometer-write-qdr.yaml \
    -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/metrics/qdr-edge-only.yaml \
    -e /home/stack/hostnames.yaml \
    -e /home/stack/enable-stf.yaml \
    -e /home/stack/stf-connectors.yaml
  8. Red Hat OpenStack Platform オーバークラウドのデプロイ

関連情報

4.3.6. 複数のクラウドからメトリクスデータを照会

Prometheus に保存されるデータには、収集元の Smart Gateway に従って service ラベルが割り当てられます。このラベルを使用して、特定のクラウドのデータを照会することができます。

特定のクラウドからデータをクエリーするには、関連する service ラベルに一致する Prometheus promql クエリーを使用します (例: collectd_uptime{service="default-cloud1-coll-meter"})。

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