20.2. Java を使用した DRL ルールの作成および実行


Java オブジェクトを使用して、ルールを持つ DRL ファイルを作成し、オブジェクトを Red Hat Process Automation Manager デシジョンサービスに統合します。DRL ルールを作成する方法は、デシジョンサービスに外部 Java オブジェクトを使用している場合や、同じワークフローを継続する場合に便利です。この方法を使用していない場合は、Red Hat Process Automation Manager の代わりに Business Central インターフェイスを使用して、DRL ファイルや、その他のルールアセットを作成することが推奨されます。

手順

  1. ルールが有効な Java オブジェクトを作成します。

    この例では、my-project ディレクトリーに Person.java ファイルが作成されます。Person クラスには、名前、苗字、時給、および賃金を設定および取得するゲッターメソッドおよびセッターメソッドが含まれます。

      public class Person {
        private String firstName;
        private String lastName;
        private Integer hourlyRate;
        private Integer wage;
    
        public String getFirstName() {
          return firstName;
        }
    
        public void setFirstName(String firstName) {
          this.firstName = firstName;
        }
    
        public String getLastName() {
          return lastName;
        }
    
        public void setLastName(String lastName) {
          this.lastName = lastName;
        }
    
        public Integer getHourlyRate() {
          return hourlyRate;
        }
    
        public void setHourlyRate(Integer hourlyRate) {
          this.hourlyRate = hourlyRate;
        }
    
        public Integer getWage(){
          return wage;
        }
    
        public void setWage(Integer wage){
          this.wage = wage;
        }
      }
  2. my-project ディレクトリーに、.drl 形式のルールファイルを作成します。DRL ファイルには、少なくともパッケージの指定 (該当する場合) と、(1 つまたは複数の) ルールで使用されるデータオブジェクトのインポートリストと、when 条件および then アクションを持つ 1 つ以上のルールが含まれます。

    以下の Wage.drl ファイルには、賃金と時給を計算し、その結果に基づいてメッセージを表示する Wage ルールが含まれています。

    package com.sample;
    
    import com.sample.Person;
    
    dialect "java"
    
    rule "Wage"
      when
        Person(hourlyRate * wage > 100)
        Person(name : firstName, surname : lastName)
      then
        System.out.println("Hello" + " " + name + " " + surname + "!");
        System.out.println("You are rich!");
    end
  3. メインクラスを作成し、Java オブジェクトを作成したディレクトリーに保存します。メインクラスは KIE ベースを読み込み、ルールを実行します。
  4. メインクラスに、KIE サービス、KIE コンテナー、および KIE セッションをインポートするのに必要な import 命令文を追加します。つぎに、KIE ベースを読み込み、ファクトを挿入し、ファクトモデルをルールに渡す main() メソッドからルールを実行します。

    この例では、必要なインポートと main() メソッドを使用して、my-projectRulesTest.java ファイルを作成します。

    import org.kie.api.KieServices;
    import org.kie.api.runtime.KieContainer;
    import org.kie.api.runtime.KieSession;
    
    public class RulesTest {
      public static final void main(String[] args) {
        try {
          // Load the KIE base:
          KieServices ks = KieServices.Factory.get();
          KieContainer kContainer = ks.getKieClasspathContainer();
          KieSession kSession = kContainer.newKieSession();
    
          // Set up the fact model:
          Person p = new Person();
          p.setWage(12);
          p.setFirstName("Tom");
          p.setLastName("Summers");
          p.setHourlyRate(10);
    
          // Insert the person into the session:
          kSession.insert(p);
    
          // Fire all rules:
          kSession.fireAllRules();
          kSession.dispose();
        }
    
        catch (Throwable t) {
          t.printStackTrace();
        }
      }
    }
  5. Red Hat カスタマーポータル から ZIP ファイル Red Hat Process Automation Manager 7.11.0 Source Distribution をダウンロードし、my-project/pam-engine-jars/ で展開します。
  6. my-project/META-INF ディレクトリーに、以下の内容の kmodule.xml メタデータファイルを作成します。

    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
    <kmodule xmlns="http://www.drools.org/xsd/kmodule">
    </kmodule>

    この kmodule.xml ファイルは、KIE ベースへのリソースを選択し、セッションを設定する KIE モジュールの記述子です。このファイルを使用すると、KIE ベースを 1 つ以上定義して設定し、特定の KIE ベースの特定の packages から DRL ファイルを含めることができます。各 KIE ベースから KIE セッションを 1 つ以上作成することもできます。

    次の例は、より高度な kmodule.xml ファイルを表示します。

    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
    <kmodule xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://www.drools.org/xsd/kmodule">
      <kbase name="KBase1" default="true" eventProcessingMode="cloud" equalsBehavior="equality" declarativeAgenda="enabled" packages="org.domain.pkg1">
        <ksession name="KSession1_1" type="stateful" default="true" />
        <ksession name="KSession1_2" type="stateful" default="true" beliefSystem="jtms" />
      </kbase>
      <kbase name="KBase2" default="false" eventProcessingMode="stream" equalsBehavior="equality" declarativeAgenda="enabled" packages="org.domain.pkg2, org.domain.pkg3" includes="KBase1">
        <ksession name="KSession2_1" type="stateless" default="true" clockType="realtime">
          <fileLogger file="debugInfo" threaded="true" interval="10" />
          <workItemHandlers>
            <workItemHandler name="name" type="new org.domain.WorkItemHandler()" />
          </workItemHandlers>
          <listeners>
            <ruleRuntimeEventListener type="org.domain.RuleRuntimeListener" />
            <agendaEventListener type="org.domain.FirstAgendaListener" />
            <agendaEventListener type="org.domain.SecondAgendaListener" />
            <processEventListener type="org.domain.ProcessListener" />
          </listeners>
        </ksession>
      </kbase>
    </kmodule>

    この例は、KIE ベースを 2 つ定義します。KIE ベース KBase1 から 2 つの KIE セッションをインスタンス化し、KBase2 から KIE セッションを 1 つインスタンス化します。KBase2 の KIE セッションは ステートレス な KIE セッションですが、これは 1 つ前の KIE セッションで呼び出されたデータ (1 つ前のセッションの状態) が、セッションの呼び出しと呼び出しの間で破棄されることを示しています。ルールアセットの特定の パッケージ は両方 KIE ベースに含まれます。この方法でパッケージを指定した場合は、指定したパッケージを反映するディレクトリー構造で DRL ファイルを整理する必要があります。

  7. Java オブジェクトですべての DRL アセットを作成して保存したあと、コマンドラインで my-project ディレクトリーに移動し、以下のコマンドを実行して Java ファイルをビルドします。RulesTest.java を、Java のメインクラスの名前に置き換えます。

    javac -classpath "./pam-engine-jars/*:." RulesTest.java

    ビルドに失敗したら、コマンドラインのエラーメッセージに記載されている問題に対応し、エラーが表示されなくなるまで Java オブジェクトの妥当性確認を行います。

  8. Java ファイルが問題なくビルトできたら、以下のコマンドを実行してローカルでルールを実行します。RulesTest を、Java のメインクラスのプリフィックスに置き換えます。

    java -classpath "./pam-engine-jars/*:." RulesTest
  9. ルールを見直して、適切に実行したことを確認し、Java ファイルで必要な変更に対応します。

Red Hat Process Automation Manager で既存のプロジェクトと新しいルールアセットを統合するには、ナレッジ JAR (KJAR) として新規 Java プロジェクトをコンパイルし、Business Central でプロジェクトの pom.xml ファイルに、依存関係としてこのプロジェクトを追加します。Business Central でプロジェクト pom.xml にアクセスするには、プロジェクトで既存のアセットを選択し、画面左側の Project Explorer メニューで Customize View ギアアイコンをクリックし、Repository View pom.xml を選択します。

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