第2章 新機能
本セクションでは、Red Hat Process Automation Manager 7.6 の新機能について説明します。
2.1. インストール
2.1.1. イメージの命名規則とタグ付け規則
Red Hat Process Automation Manager イメージの命名規則およびタグ付け規則が変更されました。Red Hat Process Automation Manager 7.5.0 以降では、メジャーおよびマイナーバージョンは、マイクロバージョンと共にタグの一部になります。さらに、サフィックス -openshift
は、基礎となるオペレーティングシステムのバージョンを表すために -rhel[version]
に置き換えられています。以下に例を示します。
-
registry.redhat.io/rhpam-7/rhpam-businesscentral-rhel8:7.5.0
は、Red Hat Process Automation Manager の Business Central 7.5.0 のイメージです。 -
registry.redhat.io/rhpam-7/rhpam-businesscentral-rhel8:7.5.1
は、Red Hat Process Automation Manager の Business Central 7.5.1 の イメージです。
2.1.2. 参照実装
利用可能な参照実装が 3 つあり、これらはスターターアプリケーションとして使用できます。3 つの参照実装は、Red Hat Process Automation Manager 7.6.0 Reference Implementations で提供されます。これは、Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページにある Red Hat Process Automation Manager からダウンロードできます。
従業員勤務表の参照実装
従業員勤務表の参照実装により、組織内のさまざまなポジションのシフトに従業員を割り当てるアプリケーションの作成が可能となります。たとえば、アプリケーションを使用して、病院での看護師のシフト、さまざまな場所での警備員のシフト、または組み立てラインでの作業員のシフトを割り当てることができます。
高可用性イベント駆動型デシジョン機能の参照実装
Red Hat OpenShift Container Platform で、高可用性イベント駆動型デシジョン機能の参照実装が利用可能です。この参照実装をカスタマイズして、(複雑なイベント処理で開発したルールを含む) ステートフル処理が必要な Drools エンジンコードを OpenShift 環境でデプロイできます。これにより、デシジョンエンジンは、高可用性の複雑なイベントシリーズを処理できるようになります。
運搬経路プランニングの参照実装
運搬経路プランニングの参照実装により、実際の地図、道路、および目的地へ向かう物資輸送車 (車両ごとに積載量を指定) に関する運搬経路プランニングの問題を解決するアプリケーションを作成できます。詳細は、参照実装のダウンロードに含まれる運搬経路 ZIP ファイルの README ファイルを参照してください。
2.2. Business Central
2.2.1. Decision Model and Notation (DMN) デザイナーの改良点
Business Central の Decision Model and Notation (DMN) デザイナーには、以下の主な機能強化が含まれています。
- 新しい Documentation タブを使用すると、DMN モデルのレポートを生成できます。オフラインで使用するために、レポートを HTML ファイルで印刷またはダウンロードすることができます。
- DMN が含まれるモデルの PMML サポート。DMN デザイナーの Included Models タブを使用して、プロジェクトの Predictive Model Markup Language (PMML) を指定した DMN ファイルに含むことができます。DMN ファイル内に PMML モデルを含む場合、DMN デシジョンノードまたはビジネスナレッジモデルノード用のボックス関数式としてその PMML モデルを呼び出すことができます。
DMN モデルに含まれる PMML モデルの JPMML 実行のサポート。DMN モデルに含む PMML モデルの場合、
kie-pmml
コンパイラー、または PMML (JPMML) の Java Evaluator API を用いた完全な PMML 仕様実装のいずれかを使用して PMML を実行することができます。重要Red Hat は、Red Hat Process Automation Manager で PMML を実行するため、PMML (JPMML) 向けの Java Evaluator API との統合をサポートしています。しかし、Red Hat は JPMML ライブラリーを直接サポートしません。Red Hat Process Automation Manager ディストリビューションに JPMML ライブラリーを含む場合は、JPMML の Openscoring.io ライセンス条件を確認してください。
Red Hat Process Automation Manager 7.6 での DMN サポートの詳細情報については、以下のリソースを参照してください。
2.2.2. ガイド付きデシジョンテーブルをスプレッドシート形式のデシジョンテーブルへ変換する機能
Business Central のガイド付きデシジョンテーブルを、オフライン参照とファイル共有用の xls スプレッドシートのデシジョンテーブルファイルへ変換できます。ガイド付きデシジョンテーブルは、拡張エントリーのガイド付きデシジョンテーブルとして変換する必要があります。変換ツールは、制限エントリーのガイド付きデシジョンテーブルをサポートしていません。ガイド付きデシジョンテーブルを変換するには、変換するガイド付きデシジョンテーブルアセットへ移動し、ガイド付きデシジョンテーブルデザイナーの右上にあるツールバーで、Convert to XLS をクリックします。
ガイド付きデシジョンテーブルとスプレッドシートのデシジョンテーブルは、デシジョンテーブル形式が異なり、サポート対象機能も異なります。別のデシジョンテーブル形式に変換する場合には、サポート対象機能が両者で異なる分は変更されるか、失われることになります。
2.2.3. Business Central のタスクでサポートされる一括再割り当て
Business Central の Task Inbox および Tasks ページで、1 回の操作で複数のタスクに対して一括再割り当てを実行できるようになりました。タスクを一括で再割り当てするには、2 つ以上のタスクを選択し、ウィンドウの右上隅にある Bulk Actions メニューをクリックして、Bulk Reassign を選択します。
Tasks reassignment ウィンドウで、タスクを再割り当てするユーザーのユーザー識別子を入力し、Delegate をクリックします。選択したタスクごとに、再割り当ての結果を示す通知が表示されます。
2.2.4. Business Central のタスクでサポートされる一括アクション
Business Central の Task Inbox および Tasks ページで、1 回の操作で複数のタスクに対して一括アクションを実行できるようになりました。タスクを一括更新するには、2 つ以上のタスクを選択し、ウィンドウの右上隅にある Bulk Actions メニューをクリックして、以下のいずれかの一括アクションを選択します。
- Bulk Claim
- Bulk Release
- Bulk Resume
- Bulk Suspend
指定された一括アクションがタスクステータスに基づいて許可されていない場合、通知が表示され、そのタスクでは操作は実行されません。
2.2.5. プロセスデザイナー
以下は、プロセスデザイナーの更新についてまとめたものです。
- レガシーのビジネスプロセスを新しいプロセスデザイナーへ移行する場合、パリティー機能をサポートします。
- Red Hat Process Automation Manager でサポートされていない要素が含まれている場合でも、ARIS BPM ダイアグラムでエクスポートされたモデルのインポートなど、サポートされていない要素のデザイナーパーサーのラウンドトリップをサポートします。
- 外部プロセスを新しいプロセスデザイナーに移植する際に、既存のテキストアノテーションを保持できる新しいテキストアノテーションの BPMN2 要素。
- ユーザータスクの通知への ISO8601 規格をサポートします。
2.2.6. Business Central での Dashbuilder データのインポートとエクスポート
Dashbuilder データを ZIP ファイルとしてインポートおよびエクスポートできるようになりました。Dashbuilder データをインポートおよびエクスポートするには、Business Central ウィンドウの右上隅にある Admin アイコンを選択し、続いて Dashbuilder Data Transfer を選択します。
2.2.7. テストシナリオ
Red Hat Process Automation Manager 7.6 で新機能がサポートされる Business Central のテストシナリオデザイナーが、利用できるようになりました。
- ルールベースモデルのカバレッジレポートを表示します。テストシナリオデザイナーの右側の Coverage Report パネルで、テストシナリオデザイナーはテストカバレッジ統計を表示します。
- ルールベースおよび DMN ベースのモデルに関するカバレッジレポートをダウンロードします。テストシナリオのカバレッジレポートを CSV 形式でダウンロードできるようになりました。
- ステートレス KIE セッションでテストシナリオを実行できます。ステートレス KIE セッションを設定するには、テストシナリオの Settings パネルを展開し、Stateless Session チェックボックスを選択またはクリアにして、KIE セッションがステートレスであるかどうかを示します。
テストシナリオ scesim
ファイル形式は公開されていません。scesim
ファイルを編集できるのは、テストシナリオエディターを使用した場合のみです。
2.3. Process Server
2.3.1. Process Server のプランニングエンジンにキューサイズを設定する機能
Process Server のプランニングエンジンにキューサイズを設定できるようになりました。キューサイズによって、エンジンが他の要求を処理している間に待機可能なソルバーの要求数が決まります。キューの要求が最大数に達すると、新しい要求は拒否されます。デフォルトのキューサイズは、アクティブな CPU コアの数と同じになります。キューサイズを変更するには、Process Server の org.optaplanner.server.ext.thread.pool.queue.size
システムプロパティーを設定します。
2.4. Red Hat OpenShift Container Platform
2.4.1. Red Hat OpenShift Container Platform の Operator デプロイメントにおけるマイナーおよびパッチバージョンの自動更新
Business Automation Operator を使用して Red Hat OpenShift Container Platform に Red Hat Process Automation Manager をデプロイすると、マイナーバージョンおよびパッチバージョンを自動的に更新できるようになります。
自動パッチ更新を有効にした場合、新しいバージョンが利用可能になると、デプロイメントのすべてのコンポーネントが自動的に更新されます。通常は、サービスが中断されることはありません。
2.4.2. Red Hat OpenShift Container Platform でのエイリアスの設定のサポート
Red Hat OpenShift Container Platform のイミュータブルな Process Server で実行されるサービスのコンテナーエイリアスを設定できるようになりました。Smart Router を使用する場合、要求で指定したエイリアス名に基づいて、要求を Process Server に自動的にルーティングします。