第5章 バックアップおよび災害復旧
本章では、災害発生時に Red Hat Satellite デプロイメントと関連データを維持するために必要な最小限および一般的なバックアップ手順と復元手順につい説明します。デプロイメントでカスタム設定をする場合は、バックアップおよび災害復旧ポリシーを計画するときにこれらの手順を考慮する必要があります。
5.1. Red Hat Satellite Server のバックアップ
本項では、Satellite Server とすべての関連データの完全なバックアップを作成するのに必要なプロセスについて説明します。異なる場所にバックアップすることが推奨されます。また、別のシステムの別のストレージデバイスにバックアップすることが強く推奨されます。バックアップ中は Satellite サービスが利用できないため、バックアップは稼働率が低い時間にスケジュールできます (たとえば、
cron
を使用)。
注記
スケジュールされたバックアップを計画するときは、同じ時間に他のタスクが他の管理者によってスケジュールされないようにしてください。これは、管理者が異なる場所とタイムゾーンで働いている場合に特に重要です。
Red Hat Satellite 6.2 では、Pulp コンテンツを除く増分バックアップと中間バックアップを実行する
katello-backup
スクリプトにオプションが追加されます。使用方法を参照するには、以下のコマンドを入力します。
# katello-backup --help
katello-backup
スクリプトを実行すると、指定したバックアップディレクトリーのタイムスタンプサブディレクトリーにデータが格納されます。katello-backup
スクリプトによりバックアップは上書きされず、バックアップまたは増分バックアップから復元するときに適切なサブディレクトリーを選択する必要があります。katello-backup --online-backup
は現在サポートされていないため、使用しないでください。
手順5.1 Red Hat Satellite Server のバックアップ:
- この手順では、完全なオフラインバックアップを実行します。バックアップの場所に、以下のすべてのディレクトリーのコピーを保存するのに十分なディスク領域があることを確認します。
/etc/
/var/lib/pulp/
/var/lib/mongodb/
/var/lib/pgsql/
この領域は非常に大きいため、適切に計画してください。 - 他の Satellite Server ユーザーに、すべての変更を保存するよう要求し、バックアップ中に Satellite サービスが利用できないことを警告します。同じ時間に他のタスクがバックアップとしてスケジュールされていないことを確認します。
- バックアップスクリプトを実行します。
#
katello-backup backup_directory
katello-backup
スクリプトを実行すると、バックアップに影響を与える可能性があるすべてのサービスが停止し、バックアップが実行され、必要なサービスが再起動されます。バックアップファイルを作成するときにターゲットディレクトリーが存在しない場合、そのディレクトリーはスクリプト によって作成されます。コピーするデータのサイズが原因で、このプロセスが完了するには長い時間がかかることがあります。
手順5.2 Pulp コンテンツなしでのバックアップの実行:
この手順では、オフラインバックアップが実行されますが、Pulp ディレクトリーの内容は除外されます。このバックアップは、デバッグに役に立ち、Pulp データベースのバックアップに時間を費やさずに設定ファイルへのアクセスを提供することを目的としています。Pulp コンテンツを含まないディレクトリーから復元することはできません。
バックアップの場所に、以下のすべてのディレクトリーのコピーを保存するのに十分なディスク領域があることを確認します。
/etc/
/var/lib/mongodb/
/var/lib/pgsql/
- 他の Satellite Server ユーザーに、すべての変更を保存するよう要求し、バックアップ中に Satellite サービスが利用できないことを警告します。同じ時間に他のタスクがバックアップとしてスケジュールされていないことを確認します。
- バックアップスクリプトを実行します。
#
katello-backup --skip-pulp-content backup_directory
katello-backup
スクリプトを実行すると、バックアップに影響を与える可能性があるすべてのサービスが停止し、バックアップが実行され、必要なサービスが再起動されます。
手順5.3 増分バックアップの実行:
この手順では、前回のバックアップ以降のすべての変更のオフラインバックアップを実行します。完全バックアップを土台として使用して最初の増分バックアップを実行します。以下のディレクトリーのすべての変更のコピーを保存するのに十分なディスク領域があることを確認します。
/etc/
/var/lib/pulp/
/var/lib/mongodb/
/var/lib/pgsql/
- 他の Satellite Server ユーザーに、すべての変更を保存するよう要求し、バックアップ中に Satellite サービスが利用できないことを警告します。同じ時間に他のタスクがバックアップとしてスケジュールされていないことを確認します。
- バックアップスクリプトを実行します。Pulp コンテンツがある場合:
#
katello-backup new_backup_directory --incremental previous_backup_directory
Pulp コンテンツがない場合:#
katello-backup new_backup_directory --skip-pulp-content --incremental previous_backup_directory
katello-backup
スクリプトを実行すると、バックアップに影響を与える可能性があるすべてのサービスが停止し、バックアップが実行され、必要なサービスが再起動されます。前回のバックアップよりも古いバックアップを土台として使用し、対応する増加分を使用して増分バックアップを実行できます。少なくとも問題がない最後の完全バックアップと復元する増分バックアップの完全なシーケンスを保持します。