第5章 プロビジョニングの概念
Red Hat Satellite の重要な機能は、ホストの無人プロビジョニングです。これを実現するために、Red Hat Satellite では、DNS および DHCP インフラストラクチャー、PXE ブート、TFTP、および Kickstart が使用されます。本章では、これらの概念の動作原理を説明します。
5.1. PXE ブート
PXE (preboot execution environment) は、ネットワーク上でシステムを起動することができます。PXE は、ローカルハードディスクまたは CD-ROM を使用する代わりに、DHCP を使用してネットワークに関する一般情報をホストに提供し、TFTP サーバーを検出し、ブートイメージをダウンロードします。PXE サーバー設定の詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション How to set-up/configure a PXE Server を参照してください。
5.1.1. PXE シーケンス
- ホストは、ブート可能なイメージが見つからない場合に、PXE イメージをブートします。
- ホストの NIC が、DHCP サーバーにブロードキャスト要求を送ります。
- DHCP サーバーが、要求を受け取り、ネットワークに関する一般情報 (IP アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNS、TFTP サーバーのロケーション、ブートイメージ) を送ります。
-
ホストが、TFTP サーバーから、ブートローダー
image/pxelinux.0
および設定ファイルpxelinux.cfg/00:MA:CA:AD:D
を取得します。 -
ホスト設定が、カーネルイメージ
initrd
のロケーションとキックスタートを指定します。 - ホストが、ファイルをダウンロードして、イメージをインストールします。
Satellite Server による PXE ブートの使用例はプロビジョニングガイドの プロビジョニングワークフロー を参照してください。
5.1.2. PXE ブート要件
PXE ブートでマシンをプロビジョニングするには、以下の要件を満たしていることを確認してください。
ネットワーク要件
- オプション: ホストおよび DHCP サーバーがルーターで隔てられている場合は、DHCP リレーエージェントを設定し、DHCP サーバーを指定しておく。
クライアント要件
- すべてのネットワークベースのファイアウォールで、サブネットのクライアントが Capsule にアクセスするように設定すること。詳細は、図2.1「分離した Capsule を含む Satellite トポロジー」 を参照してください。
- クライアントが DHCP サーバーと TFTP サーバーにアクセスできること。
Satellite 要件
- Satellite Server と Capsule の両方に DNS が設定され、プロビジョニングされたホスト名を解決できること。
- クライアントがブートオプションで DHCP オファーを利用できるように、クライアントが UDP ポート 67 および 68 にアクセス可能であること。
- クライアントが Capsule で TFTP サーバーにアクセスできるように、UDP ポート 69 にアクセス可能であること。
- クライアントが Capsule からファイルおよびキックスタートテンプレートをダウンロードできるように、TCP ポート 80 にアクセス可能であること。
- ホストプロビジョニングインターフェイスサブネットに DHCP Capsule セットがあること。
- ホストプロビジョニングインターフェイスサブネットに TFTP Capsule セットがあること。
- ホストプロビジョニングインターフェイスサブネットに Templates Capsule セットがあること。
- Satellite インストーラーを使用して、正しいサブネットを指定した DHCP を有効にしておくこと。
- Satellite インストーラーを使用して TFTP を有効にしておくこと。