第4章 KRaft モードへの移行


Kafka クラスターでのメタデータ管理に ZooKeeper を使用している場合は、KRaft モードで Kafka を使用するように移行できます。KRaft モードは ZooKeeper を置き換えて分散調整を行い、信頼性、スケーラビリティー、およびスループットを強化します。

注記

現在、ZooKeeper から KRaft に移行するには、静的コントローラークォーラムを使用する必要があります。Streams for Apache Kafka 2.9 (LTS) で、静的および動的コントローラークォーラムの両方のサポートが導入される予定です。その時点で KRaft サポートも GA に昇格される予定です。

クラスターを移行するには、次の手順を実行します。

  • クラスター管理用の ZooKeeper を置き換えるために、コントローラーノードのクォーラムをインストールします。
  • コントローラー設定で zookeeper.metadata.migration.enable プロパティーを true に設定して、KRaft の移行を有効にします。
  • コントローラーを起動し、同じ設定プロパティーを使用して現在のクラスターブローカーで KRaft の移行を有効にします。
  • ブローカーのローリング再起動を実行して、設定の変更を適用します。
  • 移行が完了したら、ブローカーを KRaft モードに切り替え、コントローラーで移行を無効にします。
重要

KRaft モードへの移行が完了すると、ZooKeeper へのロールバックができなくなります。移行を進める前に、この点を慎重に検討してください。

移行を開始する前に、ご使用の環境が KRaft モードの Kafka をサポートできることを確認してください。

  • 移行は専用コントローラーノードでのみサポートされ、broker と controller の二重のロールを持つノードではサポートされません。
  • 移行プロセス全体を通じて、ZooKeeper と KRaft コントローラーノードが並行して動作するため、クラスター内に十分なコンピュートリソースが必要です。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux に kafka ユーザーとしてログインしている。
  • Streams for Apache Kafka が 各ホストにインストールされており、設定ファイルが使用可能である。
  • Kafka 3.7.0 以降と Streams for Apache Kafka 2.7 を使用している。以前のバージョンの Streams for Apache Kafka を使用している場合は、KRaft モードに移行する前にアップグレードしてください。
  • 移行プロセスを確認するためにログが有効になっている。

    クラスター内のコントローラーおよびブローカーのルートロガーに対して log4j.propertiesDEBUG レベルを設定してください。移行固有の詳細なログを取得するには、移行ロガーに TRACE を設定します。

    コントローラーロギング設定

    log4j.rootLogger=DEBUG
    log4j.logger.org.apache.kafka.metadata.migration=TRACE

手順

  1. Kafka クラスターのクラスター ID を取得します。

    zookeeper-shell ツールを使用します。

    /opt/kafka/bin/zookeeper-shell.sh localhost:2181 get /cluster/id

    このコマンドはクラスター ID を返します。

  2. KRaft コントローラークォーラムをクラスターにインストールします。

    1. controller.properties ファイルを使用して、各ホスト上でコントローラーノードを設定します。

      各コントローラーには少なくとも次の設定が必要です。

      • 一意のノード ID
      • 移行有効フラグの true への設定
      • ZooKeeper の接続の詳細
      • コントローラークォーラムが使用するリスナー名
      • コントローラー投票者のクォーラム
      • ブローカー間通信のリスナー名

        コントローラー設定の例

        process.roles=controller
        node.id=1
        
        zookeeper.metadata.migration.enable=true
        zookeeper.connect=zoo1.my-domain.com:2181,zoo2.my-domain.com:2181,zoo3.my-domain.com:2181
        
        listeners=CONTROLLER://0.0.0.0:9090
        controller.listener.names=CONTROLLER
        listener.security.protocol.map=CONTROLLER:PLAINTEXT
        controller.quorum.voters=1@localhost:9090
        inter.broker.listener.name=PLAINTEXT

        コントローラークォーラムの形式は、コンマ区切りリストの <node_id>@<hostname>:<port> です。KRaft コントローラーが移行を開始するには、ブローカー間リスナー名が必要です。

    2. 各コントローラーノードのログディレクトリーをセットアップします。

      /opt/kafka/bin/kafka-storage.sh format -t <uuid> -c /opt/kafka/config/kraft/controller.properties

      戻り値:

      Formatting /tmp/kraft-controller-logs

      <uuid> は、取得したクラスター ID に置き換えます。クラスター内の各コントローラーノードに同じクラスター ID を使用します。

      デフォルトでは、controller.properties 設定ファイルで指定されたログディレクトリー (log.dirs) は /tmp/kraft-controller-logs に設定されます。/tmp ディレクトリーは通常、システムが再起動するたびにクリアされるため、開発環境のみに適しています。必要に応じて、コンマ区切りリストを使用して複数のログディレクトリーを設定します。

    3. 各コントローラーを起動します。

      /opt/kafka/bin/kafka-server-start.sh -daemon /opt/kafka/config/kraft/controller.properties
    4. Kafka が稼働していることを確認します。

      jcmd | grep kafka

      戻り値:

      process ID kafka.Kafka /opt/kafka/config/kraft/controller.properties

      各コントローラーのログをチェックして、KRaft クラスターに正常に参加していることを確認します。

      tail -f /opt/kafka/logs/controller.log
  3. 各ブローカーで移行を有効にします。

    1. 実行中の場合は、ホスト上で実行している Kafka ブローカーを停止します。

      /opt/kafka/bin/kafka-server-stop.sh
      jcmd | grep kafka

      マルチノードクラスターを使用する場合は、「Kafka ブローカーの正常なローリング再起動の実行」 を参照してください。

    2. server.properties ファイルを使用して移行を有効にします。

      各ブローカーには少なくとも次の追加設定が必要です。

      • ブローカー間プロトコルバージョンをバージョン 3.8 に設定する
      • 移行有効フラグ
      • コントローラーノードと一致するコントローラー設定
      • コントローラー投票者のクォーラム

      ブローカー設定の例

      broker.id=0
      inter.broker.protocol.version=3.8
      
      zookeeper.metadata.migration.enable=true
      zookeeper.connect=zoo1.my-domain.com:2181,zoo2.my-domain.com:2181,zoo3.my-domain.com:2181
      
      listeners=CONTROLLER://0.0.0.0:9090
      controller.listener.names=CONTROLLER
      listener.security.protocol.map=CONTROLLER:PLAINTEXT
      controller.quorum.voters=1@localhost:9090

      ZooKeeper の接続の詳細はすでに存在するはずです。

    3. 更新したブローカーを再起動します。

      /opt/kafka/bin/kafka-server-start.sh -daemon /opt/kafka/config/kraft/server.properties

      移行は自動的に開始しますが、クラスター内のトピックとパーティションの数によっては時間がかかる場合があります。

    4. Kafka が稼働していることを確認します。

      jcmd | grep kafka

      戻り値:

      process ID kafka.Kafka /opt/kafka/config/kraft/server.properties
  4. アクティブなコントローラーのログをチェックして、移行が完了したことを確認します。

    /opt/kafka/bin/zookeeper-shell.sh localhost:2181 get /controller

    Completed migration of metadata from ZooKeeper to KRaft. という INFO ログエントリーを探します。

  5. 各ブローカーを KRaft モードに切り替えます。

    1. 前述の手順と同様にブローカーを停止します。
    2. server.properties ファイル内のブローカー設定を更新します。

      • broker.id を、同じ ID を使用する node.id に置き換えます。
      • ブローカーの broker KRaft ロールを追加します。
      • ブローカー間プロトコルバージョン (inter.broker.protocol.version) を削除します。
      • 移行有効フラグ (zookeeper.metadata.migration.enable) を削除します。
      • ZooKeeper 設定を削除します。
      • コントローラーおよびブローカー通信用のリスナー (control.plane.listener.name) を削除します。

      KRaft のブローカー設定の例

      node.id=0
      process.roles=broker
      
      listeners=CONTROLLER://0.0.0.0:9090
      controller.listener.names=CONTROLLER
      listener.security.protocol.map=CONTROLLER:PLAINTEXT
      controller.quorum.voters=1@localhost:9090

    3. ブローカー設定で ACLS を使用している場合は、authorizer.class.name プロパティーを使用して、オーソライザーを KRaft ベースの標準オーソライザーに更新します。

      ZooKeeper ベースのブローカーは authorizer.class.name=kafka.security.authorizer.AclAuthorizer を使用します。

      KRaft ベースのブローカーに移行する場合は、authorizer.class.name=org.apache.kafka.metadata.authorizer.StandardAuthorizer を指定します。

    4. 前述の手順と同様にブローカーを再起動します。
  6. 各コントローラーを移行モードから切り替えます。

    1. ブローカーと同じ前述の方法でコントローラーを停止します。
    2. controller.properties ファイル内のコントローラー設定を更新します。

      • ZooKeeper 接続の詳細を削除します。
      • zookeeper.metadata.migration.enable プロパティーを削除します。
      • inter.broker.listener.name を削除します。

      移行後のコントローラー設定の例

      process.roles=controller
      node.id=1
      
      listeners=CONTROLLER://0.0.0.0:9090
      controller.listener.names=CONTROLLER
      listener.security.protocol.map=CONTROLLER:PLAINTEXT
      controller.quorum.voters=1@localhost:9090

    3. ブローカーと同じ前述の方法でコントローラーを再起動します。
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