第6章 Red Hat Virtualization 用ホストのインストール
Red Hat Virtualization は、Red Hat Virtualization Hosts (RHVH) および Red Hat Enterprise Linux ホスト の 2 つのタイプのホストをサポートしています。環境に応じて、1 タイプのみまたは両方のタイプを使用することができます。移行や高可用性などの機能を利用するには、少なくとも 2 台のホストが必要です。
ネットワーク設定に関する情報は、「ホストネットワーク設定の推奨プラクティス」 を参照してください。
SELinux は インストール時に enforcing モードに設定されます。確認するには、getenforce
を実行します。Red Hat Virtualization 環境をサポートするには、すべてのホストと Manager で SELinux を enforcing モードに設定する必要があります。
ホストタイプ | 別名 | 説明 |
---|---|---|
Red Hat Virtualization Host | RHVH、シンホスト | Red Hat Enterprise Linux をベースとする最小限のオペレーティングシステム。カスタマーポータルから ISO ファイルとして配布され、マシンがホストとして機能するためのパッケージのみが含まれています。 |
Red Hat Enterprise Linux ホスト | RHEL ホスト、シックホスト | 適切なサブスクリプションがアタッチされた Red Hat Enterprise Linux システムは、ホストとして使用することができます。 |
ホストの互換性
新規データセンターの作成時に、互換バージョンを設定することができます。データセンター内の全ホストに適した互換バージョンを選択します。一旦設定されると、それよりも古いバージョンに変更することはできません。Red Hat Virtualization を新規インストールした場合には、最新の互換バージョンが Default データセンターと Default クラスターに設定されるので、それ以前の互換バージョンを使用するには、追加でデータセンターおよびクラスターを作成する必要があります。互換バージョンに関する詳細は、Red Hat Virtualization のライフサイクル の Red Hat Virtualization Manager の互換性 を参照してください。
6.1. Red Hat Virtualization Host
6.1.1. Red Hat Virtualization Host のインストール
Red Hat Virtualization Host (RHVH) は、Red Hat Virtualization 環境でハイパーバイザーとして機能する物理マシンの簡単な設定方法を提供するために設計された、Red Hat Enterprise Linux をベースとする最小設定のオペレーティングシステムです。この最小設定のオペレーティングシステムには、マシンがハイパーバイザーとして機能するのに必要なパッケージのみが含まれており、ホストの監視や管理タスクの実行用に Cockpit Web インターフェイスが備えられています。最低限のブラウザー要件については、http://cockpit-project.org/running.html を参照してください。
RHVH は NIST SP 800-53 パーティショニングの要件をサポートし、より強固なセキュリティーを提供します。RHVH は、デフォルトで NIST 800-53 パーティションレイアウトを使用します。
ホストは最低限の host requirements を満たしている必要があります。
手順
カスタマーポータルから RHVH ISO イメージをダウンロードします。
- カスタマーポータル (https://access.redhat.com) にログインします。
- メニューバーの Downloads をクリックします。
- Red Hat Virtualization をクリックします。上にスクロールして Download Latest をクリックし、製品のダウンロードページにアクセスします。
- Hypervisor Image for RHV 4.3 に移動し、Download Now をクリックします。
- 起動可能なメディアデバイスを作成します。詳細については、Red Hat Enterprise Linux Installation Guide の Making Media を参照してください。
- RHVH のインストール先となるマシンを起動し、準備したインストールメディアから起動します。
ブートメニューから Install RHVH 4.3 を選択し、
Enter
を押します。注記また、
Tab
キーを押してカーネルパラメーターを編集することもできます。カーネルパラメーターはスペースで区切る必要があります。また、指定したカーネルパラメーターを使用してシステムを起動するには、Enter
キーを押します。Esc
キーを押してカーネルパラメーターへの変更を消去し、起動メニューに戻ります。- 言語を選択し、Continue をクリックします。
- Date & Time 画面からタイムゾーンを選択し、Done をクリックします。
- Keyboard 画面からキーボードレイアウトを選択し、Done をクリックします。
Installation Destination の画面から RHVH のインストール先のデバイスを選択します。オプションで暗号化を有効にします。Done をクリックします。
重要Red Hat は、Automatically configure partitioning オプションを使用することを強くお勧めします。
Network & Host Name の画面からネットワークを選択し、Configure… をクリックして接続の詳細を設定します。
注記システムが起動するたびに接続を使用するには、Automatically connect to this network when it is available チェックボックスにマークを入れます。詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Installation Guide の Edit Network Connections を参照してください。
ホスト名を Host name フィールドに入力し、Done をクリックします。
- オプションで 言語サポート、セキュリティーポリシー、および Kdump を設定します。Installation Summary 画面の各セクションの詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Installation Guide の Installing Using Anaconda を参照してください。
- Begin Installation をクリックします。
RHVH のインストールの際に root パスワードを設定して、オプションで追加のユーザーを作成します。
警告Red Hat は、ローカルセキュリティーの脆弱性が悪用される可能性があるため、RHVH で信頼できないユーザーを作成しないことを強くお勧めします。
Reboot をクリックしてインストールを完了します。
注記RHVH の再起動時に、
nodectl check
はホストでヘルスチェックを実行し、コマンドラインへのログイン時に結果を表示します。node status: OK
またはnode status: DEGRADED
のメッセージはヘルスステータスを示します。nodectl check
を実行して詳細情報を取得します。このサービスはデフォルトで有効になっています。
6.1.2. Red Hat Virtualization Host のリポジトリーの有効化
更新を受け取るためにシステムを登録します。Red Hat Virtualization Host に必要なリポジトリーは 1 つだけです。本セクションでは、RHVH を コンテンツ配信ネットワーク または Red Hat Satellite 6 に登録する手順について説明します。
コンテンツ配信ネットワークへの RHVH の登録
-
https://HostFQDNorIP:9090
で Cockpit Web インターフェイスにログインします。 - Subscriptions に移動し、Register System をクリックしてカスタマーポータルのユーザー名とパスワードを入力します。Red Hat Virtualization Host のサブスクリプションが自動的にシステムにアタッチされます。
- 端末 をクリックします。
Red Hat Virtualization Host 7
のリポジトリーを有効にして、Red Hat Virtualization Host に対する後続の更新を可能にします。# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Satellite 6 への RHVH の登録
-
https://HostFQDNorIP:9090
で Cockpit Web インターフェイスにログインします。 - 端末 をクリックします。
RHVH を Red Hat Satellite 6 に登録します。
# rpm -Uvh http://satellite.example.com/pub/katello-ca-consumer-latest.noarch.rpm # subscription-manager register --org="org_id" # subscription-manager list --available # subscription-manager attach --pool=pool_id # subscription-manager repos \ --disable='*' \ --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
6.1.3. 高度なインストール
6.1.3.1. カスタムパーティション設定
Red Hat Virtualization Host (RHVH) でのカスタムパーティション設定は推奨されません。Red Hat は、Installation Destination ウィンドウで Automatically configure partitioning オプションを使用することを強くお勧めします。
インストールでカスタムのパーティション設定が必要な場合は、インストール時に I will configure partitioning
オプションを選択します。ただし、以下の制限が適用される点に注意してください。
- Manual Partitioning ウィンドウで、デフォルトの LVM Thin Provisioning オプションを選択する必要があります。
以下のディレクトリーが必要で、シンプロビジョニングされた論理ボリューム上になければなりません。
-
root (
/
) -
/home
-
/tmp
-
/var
-
/var/crash/
-
/var/log
/var/log/audit
重要/usr
用に別のパーティションを作成しないでください。別のパーティションを作成すると、インストールに失敗します。/usr
は、RHVH と共にバージョンを変更できる論理ボリューム上になければなりません。したがって、root (/
) 上に残す必要があります。各パーティションに必要なストレージのサイズについては、「ストレージの要件」 を参照してください。
-
root (
-
/boot
ディレクトリーは、標準のパーティションとして定義する必要があります。 -
/var
ディレクトリーは、別のボリュームまたはディスク上になければなりません。 - XFS または Ext4 ファイルシステムのみがサポートされます。
キックスタートファイルでの手動パーティション設定の定義
以下の例では、キックスタートファイルでパーティションを手動設定する方法を説明します。
clearpart --all part /boot --fstype xfs --size=1000 --ondisk=sda part pv.01 --size=42000 --grow volgroup HostVG pv.01 --reserved-percent=20 logvol swap --vgname=HostVG --name=swap --fstype=swap --recommended logvol none --vgname=HostVG --name=HostPool --thinpool --size=40000 --grow logvol / --vgname=HostVG --name=root --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=6000 --grow logvol /var --vgname=HostVG --name=var --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=15000 logvol /var/crash --vgname=HostVG --name=var_crash --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=10000 logvol /var/log --vgname=HostVG --name=var_log --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=8000 logvol /var/log/audit --vgname=HostVG --name=var_audit --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=2000 logvol /home --vgname=HostVG --name=home --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=1000 logvol /tmp --vgname=HostVG --name=tmp --thin --fstype=ext4 --poolname=HostPool --fsoptions="defaults,discard" --size=1000
logvol --thinpool --grow
を使用する場合は、シンプールを拡張するために、volgroup --reserved-space
または volgroup --reserved-percent
のボリュームグループに領域を確保する必要があります。
6.1.3.2. Red Hat Virtualization Host デプロイメントの自動化
物理メディアデバイスなしに Red Hat Virtualization Host (RHVH) をインストールすることができます。そのためには、インストールの質問に対する回答が含まれたキックスタートファイルを使用し、ネットワーク経由で PXE サーバーから起動します。
RHVH は Red Hat Enterprise Linux とほぼ同じ方法でインストールされるので、キックスタートファイルを使用して PXE サーバーからインストールする手順の概要については、Red Hat Enterprise Linux インストールガイドの キックスタートを使ったインストール を参照してください。RHVH に固有の手順 (Red Hat Satellite を使用した RHVH のデプロイメントを例として使用) については、この後に説明します。
RHVH の自動デプロイメントは、以下の 3 つのステージで設定されます。
6.1.3.2.1. インストール環境の準備
- Customer Portal にログインします。
- メニューバーの Downloads をクリックします。
- Red Hat Virtualization をクリックします。上にスクロールして Download Latest をクリックし、製品のダウンロードページにアクセスします。
- Hypervisor Image for RHV 4.3 に移動し、Download Now をクリックします。
- RHVH ISO イメージをネットワーク経由で提供できるようにします。Red Hat Enterprise Linux インストールガイド の インストールソース - ネットワーク を参照してください。
RHVH ISO から squashfs.img ハイパーバイザーイメージファイルを抽出します。
# mount -o loop /path/to/RHVH-ISO /mnt/rhvh # cp /mnt/rhvh/Packages/redhat-virtualization-host-image-update* /tmp # cd /tmp # rpm2cpio redhat-virtualization-host-image-update* | cpio -idmv
注記/tmp/usr/share/redhat-virtualization-host/image/
ディレクトリーにある squashfs.img ファイルの名前は redhat-virtualization-host-version_number_version.squashfs.img です。物理マシンにインストールするためのハイパーバイザーイメージが含まれます。これは、Anacondainst.stage2
オプションで使用される /LiveOS/squashfs.img ファイルと混同しないでください。
6.1.3.2.2. PXE サーバーおよびブートローダーの設定
- PXE サーバーを設定します。Red Hat Enterprise Linux インストールガイド の ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
RHVH 起動イメージを
/tftpboot
ディレクトリーにコピーします。# cp mnt/rhvh/images/pxeboot/{vmlinuz,initrd.img} /var/lib/tftpboot/pxelinux/
ブートローダー設定で RHVH 起動イメージを指定して、
rhvh
ラベルを作成します。LABEL rhvh MENU LABEL Install Red Hat Virtualization Host KERNEL /var/lib/tftpboot/pxelinux/vmlinuz APPEND initrd=/var/lib/tftpboot/pxelinux/initrd.img inst.stage2=URL/to/RHVH-ISO
Red Hat Satellite の RHVH ブートローダー設定の例
Red Hat Satellite からの情報を使用してホストをプロビジョニングする場合には、グローバルまたはホストグループレベルのパラメーターを作成し (ここでは
rhvh_image
)、ISO をマウントまたは抽出するディレクトリーの URL を定義する必要があります。<%# kind: PXELinux name: RHVH PXELinux %> # Created for booting new hosts # DEFAULT rhvh LABEL rhvh KERNEL <%= @kernel %> APPEND initrd=<%= @initrd %> inst.ks=<%= foreman_url("provision") %> inst.stage2=<%= @host.params["rhvh_image"] %> intel_iommu=on console=tty0 console=ttyS1,115200n8 ssh_pwauth=1 local_boot_trigger=<%= foreman_url("built") %> IPAPPEND 2
RHVH ISO の内容をローカルで利用可能な状態にし、たとえば HTTPD サーバーを使用して、ネットワークにエクスポートします。
# cp -a /mnt/rhvh/ /var/www/html/rhvh-install # curl URL/to/RHVH-ISO/rhvh-install
6.1.3.2.3. キックスタートファイルの作成と実行
- キックスタートファイルを作成し、ネットワーク経由で提供できるようにします。Red Hat Enterprise Linux インストールガイド の キックスタートを使ったインストール を参照してください。
キックスタートファイルは以下に示す RHV 固有の要件を満たす必要があります。
RHVH には
%packages
セクションは必要ありません。代わりに、liveimg
オプションを使用して、RHVH ISO イメージからの redhat-virtualization-host-version_number_version.squashfs.img ファイルを指定します。liveimg --url=example.com/tmp/usr/share/redhat-virtualization-host/image/redhat-virtualization-host-version_number_version.squashfs.img
自動パーティション設定を強く推奨します。
autopart --type=thinp
注記自動パーティション設定では、シンプロビジョニングを使用する必要があります。
/home
は必須のディレクトリーであるため、RHVH では--no-home
オプションは機能しません。インストールで手動パーティション設定が必要な場合は、「カスタムパーティション設定」 でパーティション設定に適用される制限の一覧およびキックスタートファイルでの手動パーティション設定の例を確認してください。
nodectl init
コマンドを呼び出す%post
セクションが必要です。%post nodectl init %end
RHVH を独自にデプロイするためのキックスタート例
このキックスタートの例では、RHVH のデプロイ方法を示しています。必要に応じて、コマンドとオプションをさらに追加してください。
liveimg --url=http://FQDN/tmp/usr/share/redhat-virtualization-host/image/redhat-virtualization-host-version_number_version.squashfs.img clearpart --all autopart --type=thinp rootpw --plaintext ovirt timezone --utc America/Phoenix zerombr text reboot %post --erroronfail nodectl init %end
Satellite から登録およびネットワーク設定を使用した RHVH をデプロイするためのキックスタートの例
このキックスタートの例では、Red Hat Satellite からの情報を使用してホストネットワークを設定し、ホストを Satellite サーバーに登録します。グローバルまたはホストグループレベルのパラメーターを作成し (ここでは
rhvh_image
)、squashfs.img ファイルを格納するディレクトリーの URL を定義する必要があります。ntp_server1
もグローバルまたはホストグループレベルの変数です。<%# kind: provision name: RHVH Kickstart default oses: - RHVH %> install liveimg --url=<%= @host.params['rhvh_image'] %>squashfs.img network --bootproto static --ip=<%= @host.ip %> --netmask=<%= @host.subnet.mask %> --gateway=<%= @host.subnet.gateway %> --nameserver=<%= @host.subnet.dns_primary %> --hostname <%= @host.name %> zerombr clearpart --all autopart --type=thinp rootpw --iscrypted <%= root_pass %> # installation answers lang en_US.UTF-8 timezone <%= @host.params['time-zone'] || 'UTC' %> keyboard us firewall --service=ssh services --enabled=sshd text reboot %post --log=/root/ks.post.log --erroronfail nodectl init <%= snippet 'subscription_manager_registration' %> <%= snippet 'kickstart_networking_setup' %> /usr/sbin/ntpdate -sub <%= @host.params['ntp_server1'] || '0.fedora.pool.ntp.org' %> /usr/sbin/hwclock --systohc /usr/bin/curl <%= foreman_url('built') %> sync systemctl reboot %end
キックスタートファイルの場所を、PXE サーバーのブートローダー設定ファイルに追加します。
APPEND initrd=/var/tftpboot/pxelinux/initrd.img inst.stage2=URL/to/RHVH-ISO inst.ks=URL/to/RHVH-ks.cfg
- Red Hat Enterprise Linux インストールガイド の PXE を使ったネットワークからの起動 に記載された手順に従って、RHVH をインストールします。