管理ガイド
Red Hat Virtualization の管理タスク
概要
第1章 Red Hat Virtualization 環境の管理と保守
Red Hat Virtualization 環境の稼働を維持するには管理者が必要です。管理者のタスクには以下が含まれます。
- ホストや仮想マシンなどの物理リソースおよび仮想リソースの管理。これには、ホストのアップグレードおよび追加、ドメインのインポート、外部ハイパーバイザーで作成された仮想マシンの変換、および仮想マシンプールの管理が含まれます。
- ホストのいずれかに対する極端な負荷や、メモリーまたはディスクの容量不足などの潜在的な問題に関連する全体的なシステムリソースの監視と、必要なアクション (仮想マシンを別のホストに移行して負荷を軽減したり、マシンをシャットダウンしてリソースを解放するなどのアクション) の実行。
- 仮想マシンの新しい要件への対応 (オペレーティングシステムのアップグレードや、メモリー割り当ての増加など)。
- タグを使用したカスタムオブジェクトプロパティーの管理。
- パブリックブックマーク として保存された検索の管理。
- ユーザー設定の管理とパーミッションレベルの設定。
- システム機能全体の特定ユーザーまたは仮想マシンのトラブルシューティング。
- 汎用および特定レポートの生成。
1.1. グローバル設定
Configure ウィンドウでは、ユーザー、ロール、システムパーミッション、スケジューリングポリシー、インスタンスタイプ、MAC アドレスプールなどの Red Hat Virtualization 環境のグローバルリソースを複数設定できます。このウィンドウでは、ユーザーが環境のリソースと対話する方法をカスタマイズし、複数のクラスターに適用できるオプションを設定する一元的な場所を提供します。
→ をクリックしてアクセスします。1.1.1. ロール
ロールは、Red Hat Virtualization Manager から設定できる事前定義された権限のセットです。ロールは、データセンター内の異なるレベルのリソースや、特定の物理リソースおよび仮想リソースに対するアクセスおよび管理のパーミッションを提供します。
マルチレベル管理では、コンテナーオブジェクトに適用されるパーミッションは、そのコンテナー内のすべての個別オブジェクトにも適用されます。たとえば、特定のホスト上のユーザーにホスト管理者ロールが割り当てられた場合、そのユーザーは利用可能なホスト操作のいずれかを実行するパーミッションを得ますが、割り当てられたホスト上でのみ実行できます。ただし、ホスト管理者ロールがデータセンターのユーザーに割り当てられている場合、ユーザーはデータセンターのクラスター内の全ホストでホスト操作を実行するパーミッションを取得します。
1.1.1.1. 新しいロールの作成
必要なロールが Red Hat Virtualization のデフォルトロールリストにない場合は、新しいロールを作成して、目的に合わせてカスタマイズできます。
手順
- Configure ウィンドウが開きます。デフォルトでは Roles タブが選択されており、デフォルトの User ロールと Administrator ロール、およびカスタムロールのリストが表示されます。 → をクリックします。これにより、
- New をクリックします。
- 新規ロールの Name および Description を入力します。
- Account Type で Admin または User のいずれかを選択します。
- Expand All または Collapse All ボタンを使用して、Check Boxes to Allow Action リストに記載されているオブジェクトのパーミッション表示を展開、または折りたたみます。各オブジェクトのオプションも展開、または折りたたむことができます。
- 各オブジェクトで、設定しているロールに対して許可または拒否するアクションを、それぞれ選択もしくは消去します。
- をクリックして変更を適用します。ロールの一覧に新しいロールが表示されます。
1.1.1.2. ロールの編集またはコピー
作成したロールの設定は変更できますが、デフォルトのロールは変更できません。デフォルトのロールを変更するには、そのロールのクローンを作成し、要件に合わせて変更します。
手順
- Configure ウィンドウが表示され、デフォルトの User ロールと Administrator ロール、およびカスタムロールのリストが表示されます。 → をクリックします。
- 変更するロールを選択します。
- Edit Role または Copy Role ウィンドウが開きます。 または をクリックします。
- 必要に応じて、ロールの Name および Description を編集します。
- Expand All または Collapse All ボタンを使用して、リストされているオブジェクトのパーミッション表示を展開、または折りたたみます。各オブジェクトのオプションも展開、または折りたたむことができます。
- 各オブジェクトで、編集しているロールに対して許可または拒否するアクションを、それぞれ選択もしくは消去します。
- をクリックして、変更を適用します。
1.1.1.3. ユーザーロールと承認の例
以下の例は、この章で説明する承認システムの異なる機能を使用して、さまざまなシナリオに対して承認制御を適用する方法を示しています。
例1.1 クラスターパーミッション
Sarah は、ある企業の経理部門のシステム管理者です。この部署の仮想リソースは、すべて Accounts
という名前の Red Hat Virtualization クラスター の下に編成されています。Sarah には Accounts クラスターの ClusterAdmin ロールが割り当てられています。仮想マシンはクラスターの子オブジェクトであるため、Sarah はクラスター内のすべての仮想マシンを管理できます。仮想マシンの管理には、ディスクなどの仮想リソースの編集、追加、削除、およびスナップショットの作成などが含まれます。このクラスターの外部にあるリソースを管理することはできません。ClusterAdmin は管理者ロールであるため、管理ポータルまたは VM ポータルを使用してこれらのリソースを管理できます。
例1.2 VM PowerUser パーミッション
John は、経理部のソフトウェア開発者です。仮想マシンを使用してソフトウェアを構築し、テストしています。Sarah は、John に johndesktop
という仮想デスクトップを作成しました。John は、johndesktop
仮想マシンで UserVmManager ロールが割り当てられています。これにより、VM ポータルを使用してこの単一仮想マシンにアクセスすることができます。John は UserVmManager のパーミッションを持っているため、仮想マシンを変更できます。UserVmManager はユーザーロールであるため、管理ポータルを使用できません。
例1.3 データセンターパワーユーザーロールパーミッション
Penelope はオフィスマネージャーです。自分の仕事に加えて、面接の日程調整やリファレンスチェックのフォローアップなど、人事マネージャーの採用業務を手伝うこともあります。会社の方針により、Penelope は採用業務に特定のアプリケーションを使用する必要があります。
Penelope はオフィス管理用に自分のマシンを持っていますが、採用アプリケーションを実行するために別の仮想マシンを作成したいと考えています。Penelope には、新しい仮想マシンが設置されるデータセンターの PowerUserRole パーミッションが割り当てられています。これは、新しい仮想マシンを作成することにより、ストレージドメインでの仮想ディスクの作成など、データセンター内の複数のコンポーネントに変更を加える必要があるためです。
これは、Penelope に DataCenterAdmin 権限を割り当てることとは違うことに注意してください。データセンターの PowerUser として、Penelope は VM ポータルにログインして、データセンター内の仮想マシン固有のアクションを実行できます。Penelope は、ホストまたはストレージをデータセンターに割り当てるなど、データセンターレベルの操作を実行できません。
例1.4 ネットワーク管理者のパーミッション
Chris は、IT 部門のネットワーク管理者です。日常業務として、部内の Red Hat Virtualization 環境におけるネットワークの作成、操作、削除などを担当しています。担当業務を行うためには、リソースおよび各リソースのネットワークにおける管理者権限が必要です。たとえば、Chris が IT 部門のデータセンターの NetworkAdmin 権限を持っている場合、データセンター内のネットワークを追加および削除したり、データセンターに属するすべての仮想マシンのネットワークをアタッチおよびデタッチすることができます。
例1.5 カスタムロールパーミッション
Rachel は IT 部門に所属し、Red Hat Virtualization のユーザーアカウント管理を担当しています。担当業務を行うためには、ユーザーアカウントを追加し、適切なロールおよびパーミッションを割り当てるパーミッションが必要です。Rachel 自身は仮想マシンを使用せず、ホスト、仮想マシン、クラスター、データセンターの管理権限を付与するべきではありません。Rachel にこのような特定のパーミッションを付与できるビルトインのロールはありません。Rachel の担当業務に適したパーミッションセットを定義するために、カスタムロールを作成する必要があります。
図1.1 UserManager カスタムロール
上記の UserManager のカスタムロールは、ユーザー、パーミッション、およびロールの操作を可能にします。これらのアクションは、オブジェクト階層 に示される階層の最上位オブジェクトであるシステムの下に整理されています。これは、システム内のすべてのオブジェクトに適用されることを意味します。ロールの Account Type は Admin に設定されます。つまり、このロールが割り当てられると、Rachel は管理ポータルとかそうマシンポータルの両方を使用できるようになります。
1.1.2. システムパーミッション
パーミッションにより、ユーザーはオブジェクトに対してアクションを実行できます。オブジェクトは個別オブジェクトまたはコンテナーオブジェクトのいずれかになります。コンテナーオブジェクトに適用されるパーミッションは、そのコンテナーのすべてのメンバーにも適用されます。
図1.2 パーミッションおよびロール
図1.3 Red Hat Virtualization オブジェクトの階層
1.1.2.1. ユーザープロパティー
ロールおよびパーミッションはユーザーのプロパティーです。ロールとは、異なるレベルの物理および仮想リソースへのアクセスを許可する、事前定義された一連の権限のことです。マルチレベル管理では、パーミッションを細かく階層化できます。たとえば、データセンター管理者はデータセンター内の全オブジェクトを管理するパーミッションを持ち、ホスト管理者は 1 つの物理ホストのシステム管理者パーミッションを持ちます。あるユーザーは、単一の仮想マシンを使用するパーミッションを持っていても、仮想マシンの設定を変更できません。一方、別のユーザーは、仮想マシンのシステムパーミッションを割り当てることができます。
1.1.2.2. ユーザーおよび管理者ロール
Red Hat Virtualization は、システム全体のパーミッションを持つ管理者から、1 台の仮想マシンにアクセスできるエンドユーザーまで、事前設定されたさまざまなロールを提供します。デフォルトのロールを変更または削除することはできませんが、そのロールのクローンを作成してカスタマイズしたり、要件に合わせて新しいロールを作成したりできます。以下の 2 つのタイプがあります。
- 管理者ロール: 物理リソースおよび仮想リソースを管理するための 管理ポータル へのアクセスを許可します。管理者ロールは、VM ポータルで実行するアクションのパーミッションを付与しますが、ユーザーが VM ポータルで見ることができる内容には影響しません。
- ユーザーロール: VM ポータル にアクセスして、仮想マシンおよびテンプレートを管理し、アクセスできるようにします。ユーザーロールは、ユーザーが VM ポータルで表示できる内容を決定します。管理者ロールを持つユーザーに付与されるパーミッションは、そのユーザーが VM ポータルで利用できるアクションに反映されます。
1.1.2.3. ユーザーロールの概要
以下の表は、VM ポータルで仮想マシンにアクセスして設定するためのパーミッションを付与する、基本的なユーザーロールを説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
UserRole | 仮想マシンおよびプールへのアクセスと使用が可能。 | VM ポータルへのログイン、割り当てられた仮想マシンやプールの使用、仮想マシンの状態や詳細の表示が可能。 |
PowerUserRole | 仮想マシンおよびテンプレートの作成と管理が可能。 | Configure ウィンドウで、このロールを環境全体のユーザー、または特定のデータセンターやクラスターのユーザーに適用します。たとえば、PowerUserRole がデータセンターレベルに適用されると、PowerUser はデータセンターで仮想マシンおよびテンプレートを作成できます。 |
UserVmManager | 仮想マシンのシステム管理者。 | 仮想マシンの管理、スナップショットの作成と使用が可能。VM ポータルで仮想マシンを作成したユーザーには、そのマシンの UserVmManager ロールが自動的に割り当てられます。 |
以下の表は、VM ポータルのリソースに対するパーミッションの細かな調整を可能にする高度なユーザーロールを説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
UserTemplateBasedVm | テンプレートのみを使用できる限定的な権限。 | テンプレートを使用して仮想マシンを作成できます。 |
DiskOperator | 仮想ディスクユーザー。 | 仮想ディスクの使用、表示、編集が可能です。仮想ディスクが接続されている仮想マシンを使用するパーミッションを継承します。 |
VmCreator | VM ポータルで仮想マシンを作成できる。 | このロールは特定の仮想マシンには適用されません。Configure ウィンドウで環境全体のユーザーにこのロールを適用します。または、特定のデータセンターまたはクラスターにこのロールを適用することもできます。このロールをクラスターに適用する場合、データセンター全体または特定のストレージドメインに DiskCreator ロールを適用する必要もあります。 |
TemplateCreator | 割り当てられたリソース内で仮想マシンテンプレートを作成、編集、管理、および削除できる。 | このロールは特定のテンプレートには適用されません。Configure ウィンドウで環境全体のユーザーにこのロールを適用します。また、特定のデータセンター、クラスター、またはストレージドメインにこのロールを適用することもできます。 |
DiskCreator | 割り当てられたクラスターまたはデータセンター内の仮想ディスクを作成、編集、管理、および削除できる。 | このロールは特定の仮想ディスクには適用されません。Configure ウィンドウで環境全体のユーザーにこのロールを適用します。また、特定のデータセンターまたはストレージドメインにこのロールを適用することもできます。 |
TemplateOwner | テンプレートの編集および削除、テンプレートのユーザーパーミッションの割り当ておよび管理が可能。 | このロールは、テンプレートを作成したユーザーに自動的に割り当てられます。テンプレートに対する TemplateOwner パーミッションを持たない他のユーザーは、そのテンプレートを表示または使用することができません。 |
VnicProfileUser | 仮想マシンおよびテンプレートの論理ネットワークおよびネットワークインターフェイスユーザー。 | 特定の論理ネットワークからネットワークインターフェイスを接続または切断できます。 |
1.1.2.4. 管理者ロールの概要
以下の表は、管理ポータルのリソースにアクセスして設定するためのパーミッションを付与する、基本的な管理者ロールを説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
SuperUser | Red Hat Virtualization 環境のシステム管理者。 | すべてのオブジェクトおよびレベルでの完全なパーミッションを持ち、全データセンターで全オブジェクトを管理できます。 |
ClusterAdmin | クラスター管理者。 | 特定のクラスター下にある全オブジェクトの管理パーミッションを持ちます。 |
DataCenterAdmin | データセンター管理者。 | 特定のデータセンターの下にある、ストレージを除くすべてのオブジェクトの管理パーミッションを持ちます。 |
ディレクトリーサーバーの管理ユーザーを、Red Hat Virtualization の管理ユーザーとして使用しないでください。ディレクトリーサーバーに、Red Hat Virtualization の管理ユーザーとして使用するためのユーザーを作成してください。
以下の表は、管理者ポータルのリソースに対するパーミッションの細かな調整を可能にする高度な管理者ロールを説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
TemplateAdmin | 仮想マシンテンプレートの管理者。 | テンプレートのストレージドメインやネットワークの詳細を作成、削除、設定したり、ドメイン間でテンプレートを移動したりできます。 |
StorageAdmin | ストレージ管理者。 | 割り当てられたストレージドメインを作成、削除、設定、および管理できます。 |
HostAdmin | ホスト管理者。 | 特定のホストをアタッチ、削除、設定、および管理できます。 |
NetworkAdmin | ネットワーク管理者。 | 特定のデータセンターまたはクラスターのネットワークを設定および管理できます。データセンターまたはクラスターのネットワーク管理者は、クラスター内の仮想プールのネットワークパーミッションを継承します。 |
VmPoolAdmin | 仮想プールのシステム管理者。 | 仮想プールの作成、削除、および設定、仮想プールユーザーの割り当てと削除、プールの仮想マシンに対する基本操作を実行できます。 |
GlusterAdmin | Gluster Storage 管理者。 | Gluster ストレージボリュームを作成、削除、設定、および管理できます。 |
VmImporterExporter | 仮想マシン管理者のインポートおよびエクスポート。 | 仮想マシンをインポートおよびエクスポートできます。他のユーザーがエクスポートした仮想マシンおよびテンプレートをすべて表示できます。 |
1.1.2.5. リソースへの管理者ロールまたはユーザーロールの割り当て
管理者またはユーザーロールをリソースに割り当て、ユーザーがそのリソースにアクセスしたり、管理したりできるようにします。
手順
- リソースの名前を見つけてクリックします。詳細ビューが開きます。
- Permissions タブをクリックして、割り当てられたユーザー、各ユーザーのロール、および選択したリソースの継承されたパーミッションを一覧表示します。
- Add をクリックします。
- Search テキストボックスに既存ユーザーの名前またはユーザー名を入力し、Go をクリックします。表示された候補の中からユーザーを選択します。
- Role to Assign ドロップダウンリストからロールを選択します。
- をクリックします。
ユーザーは、そのリソースに対して有効化されたロールに継承されたパーミッションを持つようになります。
クラスターなどのリソースのグローバルパーミッションは、システム階層が下位のリソースにも自動的に継承されるため、一般ユーザーにグローバルパーミッションは割り当てないようにしてください。UserRole
およびその他すべてのユーザーロールパーミッションは、仮想マシン、プール、(特に) 仮想マシンプールなどの特定リソースに設定してください。
グローバルパーミッションを割り当てると、パーミッションの継承により、以下の 2 つの問題が発生する可能性があります。
- パーミッションを割り当てる管理者が意図していなくても、一般ユーザーに仮想マシンプールを制御するパーミッションが自動的に付与される可能性があります。
- プールを使用すると、仮想マシンポータルが予期せぬ動作をする可能性があります。
したがって、UserRole
およびその他のすべてのユーザーロールパーミッションは、特定のリソース (特に仮想マシンプールのリソース) のみに設定し、他のリソースがパーミッションを継承するリソースには設定しないことを強く推奨します。
1.1.2.6. リソースからの管理者またはユーザーロールの削除
管理者またはユーザーのロールをリソースから削除すると、ユーザーはそのリソースのロールに関連付けられ、継承されたパーミッションを失います。
手順
- リソースの名前を見つけてクリックします。詳細ビューが開きます。
- Permissions タブをクリックして、割り当てられたユーザー、ユーザーのロール、および選択したリソースの継承されたパーミッションを一覧表示します。
- リソースから削除するユーザーを選択します。
- Remove をクリックします。
- をクリックします。
1.1.2.7. データセンターのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
データセンター管理者は、特定のデータセンターのみのシステム管理ロールです。これは、各データセンターが管理者を必要とする複数のデータセンターを持つ仮想化環境で有用です。DataCenterAdmin ロールは階層モデルです。あるデータセンターのデータセンター管理者ロールを割り当てられたユーザーは、そのデータセンターのストレージを除くすべてのオブジェクトを管理することができます。ヘッダーバーの Configure ボタンを使用して、環境内のすべてのデータセンターにデータセンター管理者を割り当てます。
データセンターの管理者ロールでは、以下のアクションが許可されます。
- データセンターに関連付けられたクラスターの作成と削除。
- データセンターに関連付けられたホスト、仮想マシン、およびプールの追加と削除。
- データセンターに関連付けられた仮想マシンのユーザーパーミッションの編集。
ロールやパーミッションは、既存のユーザーにのみ割り当てることができます。
既存のシステム管理者を削除し、新しいシステム管理者を追加すると、データセンターのシステム管理者を変更できます。
1.1.2.8. データセンター管理者ロールの概要
データセンターのパーミッションロール
以下の表は、データセンターの管理に適用される管理者ロールおよび権限を示しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
DataCenterAdmin | データセンター管理者 | クラスター、ホスト、テンプレート、仮想マシンなど、特定のデータセンター内の物理リソースおよび仮想リソースすべての作成、削除、管理が可能です。 |
NetworkAdmin | ネットワーク管理者 | 特定のデータセンターのネットワークを設定および管理できます。データセンターのネットワーク管理者は、データセンター内の仮想マシンのネットワークパーミッションも継承します。 |
1.1.2.9. クラスターのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
クラスターの管理者は、特定のクラスターのみのシステム管理ロールです。これは、複数のクラスターを持つデータセンターで、各クラスターにシステム管理者が必要な場合に有効です。ClusterAdmin ロールは階層モデルです。あるクラスターのクラスター管理者ロールを割り当てられたユーザーは、クラスターのすべてのオブジェクトを管理できます。ヘッダーバーの Configure ボタンを使用して、環境のすべてのクラスターにクラスター管理者を割り当てます。
クラスター管理者ロールは以下のアクションを許可します。
- 関連付けられたクラスターの作成および削除。
- クラスターに関連付けられたホスト、仮想マシン、およびプールの追加および削除。
- クラスターに関連付けられた仮想マシンのユーザーパーミッションの編集。
ロールやパーミッションは、既存のユーザーにのみ割り当てることができます。
また、既存のシステム管理者を削除し、新しいシステム管理者を追加すると、クラスターのシステム管理者を変更できます。
1.1.2.10. クラスター管理者ロールの概要
クラスターパーミッションロール
以下の表は、クラスターの管理に適用される管理者ロールおよび権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
ClusterAdmin | クラスター管理者 | ホスト、テンプレート、および仮想マシンなど、特定のクラスター内の物理リソースおよび仮想リソースをすべて使用、作成、削除、管理することができます。ディスプレイネットワークの指定や、ネットワークを必須とマークするなど、クラスター内でネットワークプロパティーを設定できます。 ただし、ClusterAdmin には、ネットワークをクラスターにアタッチまたはデタッチするパーミッションがないため、NetworkAdmin パーミッションが必要です。 |
NetworkAdmin | ネットワーク管理者 | 特定のクラスターのネットワークを設定および管理できます。クラスターのネットワーク管理者は、データセンター内のクラスターネットワークパーミッションも継承します。 |
1.1.2.11. ネットワークのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
ネットワーク管理者は、特定のネットワークまたはデータセンター、クラスター、ホスト、仮想マシン、またはテンプレートにあるすべてのネットワークに適用できるシステム管理ロールです。ネットワークユーザーは、特定の仮想マシンまたはテンプレート上のネットワークの表示やアタッチなど、制限された管理ロールを実行できます。ヘッダーバーの Configure ボタンを使用して、環境内の全ネットワークのネットワーク管理者を割り当てることができます。
ネットワーク管理者ロールは以下のアクションを許可します。
- ネットワークの作成、編集、および削除。
- ポートミラーリングの設定など、ネットワーク設定の編集。
- クラスターや仮想マシンを含むリソースからのネットワークのアタッチおよびデタッチ。
ネットワークを作成するユーザーには、作成されたネットワークに NetworkAdmin パーミッションが自動的に割り当てられます。また、既存の管理者を削除し、新しい管理者を追加すると、ネットワークの管理者を変更できます。
1.1.2.12. ネットワーク管理者およびユーザーロールの概要
ネットワークパーミッションロール
以下の表は、ネットワークの管理に適用される管理者ロールとユーザーロール、および権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
NetworkAdmin | データセンター、クラスター、ホスト、仮想マシン、またはテンプレートのネットワーク管理者。ネットワークを作成するユーザーには、作成されたネットワークに NetworkAdmin パーミッションが自動的に割り当てられます。 | 特定のデータセンター、クラスター、ホスト、仮想マシン、またはテンプレートのネットワークを設定および管理できます。データセンターまたはクラスターのネットワーク管理者は、クラスター内の仮想プールのネットワークパーミッションを継承します。仮想マシンのネットワークにポートミラーリングを設定するには、ネットワークに NetworkAdmin ロールを、仮想マシンに UserVmManager ロールを適用します。 |
VnicProfileUser | 仮想マシンおよびテンプレートの論理ネットワークおよびネットワークインターフェイスユーザー。 | 特定の論理ネットワークからネットワークインターフェイスを接続または切断できます。 |
1.1.2.13. ホストのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
ホスト管理者は、特定のホストのみのシステム管理ロールです。これは、複数のホストを持つクラスターで、各ホストにシステム管理者が必要な場合に有効です。ヘッダーバーの Configure ボタンを使用して、環境内の全ホストにホスト管理者を割り当てることができます。
ホスト管理者ロールは以下のアクションを許可します。
- ホストの設定の編集。
- 論理ネットワークの設定。
- ホストの削除。
また、既存のシステム管理者を削除し、新しいシステム管理者を追加すると、ホストのシステム管理者を変更できます。
1.1.2.14. ホスト管理者ロールの概要
ホストパーミッションロール
以下の表は、ホスト管理に適用される管理者ロールおよび権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
HostAdmin | ホスト管理者 | 特定のホストを設定、管理、および削除できます。特定のホストでネットワーク関連の操作も実行できます。 |
1.1.2.15. ストレージドメインのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
ストレージ管理者は、特定のストレージドメインのみのシステム管理ロールです。これは、複数のストレージドメインを持つデータセンターで、各ストレージドメインにシステム管理者が必要な場合に有効です。ヘッダーバーの Configure ボタンを使用して、環境内のすべてのストレージドメインにストレージ管理者を割り当てます。
ストレージドメイン管理者ロールは、以下のアクションを許可します。
- ストレージドメインの設定の編集。
- ストレージドメインのメンテナンスモードへの切り替え。
- ストレージドメインの削除。
ロールやパーミッションは、既存のユーザーにのみ割り当てることができます。
また、既存のシステム管理者を削除し、新しいシステム管理者を追加すると、ストレージドメインのシステム管理者を変更できます。
1.1.2.16. ストレージ管理者ロールの概要
ストレージドメインパーミッションロール
以下の表は、ストレージドメインの管理に適用される管理者ロールおよび権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
StorageAdmin | ストレージ管理者 | 特定のストレージドメインを作成、削除、設定、および管理できます。 |
GlusterAdmin | Gluster Storage 管理者 | Gluster ストレージボリュームを作成、削除、設定、および管理できます。 |
1.1.2.17. 仮想マシンプールのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
仮想マシンプールの管理者は、データセンター内の仮想マシンプールのシステム管理ロールです。このロールは、特定の仮想マシンプール、データセンター、または仮想化環境全体に適用できます。これは、異なるユーザーが特定の仮想マシンプールリソースを管理できるようにするのに役立ちます。
仮想マシンプールの管理者ロールは、以下のアクションを許可します。
- プールの作成、編集、および削除。
- プールからの仮想マシンの追加およびデタッチ。
ロールやパーミッションは、既存のユーザーにのみ割り当てることができます。
1.1.2.18. 仮想マシンプール管理者ロールの概要
プールパーミッションロール
以下の表は、プール管理に適用される管理者ロールおよび権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
VmPoolAdmin | 仮想プールのシステム管理者ロール。 | 仮想プールを作成、削除、および設定できます。仮想プールユーザーの割り当てと削除を行い、仮想マシン上で基本操作を実行できます。 |
ClusterAdmin | クラスター管理者 | 特定のクラスター内のすべての仮想マシンプールを使用、作成、削除、および管理できます。 |
1.1.2.19. 仮想ディスクのシステムパーミッションの管理
システム管理者は SuperUser として、管理ポータルをあらゆる面から管理します。他のユーザーに特定の管理ロールを割り当てることができます。このような制限付き管理者ロールは、特定のリソースに限定して管理者権限をユーザーに付与する際に役立ちます。たとえば、DataCenterAdmin ロールは、割り当てられたデータセンターに対する権利者権限のみ (そのデータセンターのストレージを除く) を持ち、ClusterAdmin は割り当てられたクラスターに対する管理者権限のみを持ちます。
Red Hat Virtualization Manager では、デフォルトの仮想ディスクユーザーロールが 2 つ提供されますが、デフォルトの仮想ディスク管理者ロールはありません。ユーザーロールの 1 つである DiskCreator ロールは、VM ポータルからの仮想ディスクの管理を可能にします。このロールは、特定の仮想マシン、データセンター、特定のストレージドメイン、または仮想化環境全体に適用することができます。これは、異なるユーザーが異なる仮想リソースを管理できるようにするのに役立ちます。
仮想ディスク作成者ロールは、以下のアクションを許可します。
- 仮想マシンまたは他のリソースに関連付けられた仮想ディスクの作成、編集、および削除。
- 仮想ディスクのユーザーパーミッションの編集。
ロールやパーミッションは、既存のユーザーにのみ割り当てることができます。
1.1.2.20. 仮想ディスクユーザーロールの概要
仮想ディスクユーザーパーミッションロール
以下の表は、VM ポータルでの仮想ディスクの使用および管理に適用されるユーザーロールおよび権限を説明しています。
ロール | 権限 | 注記 |
---|---|---|
DiskOperator | 仮想ディスクユーザー。 | 仮想ディスクの使用、表示、編集が可能です。仮想ディスクが接続されている仮想マシンを使用するパーミッションを継承します。 |
DiskCreator | 割り当てられたクラスターまたはデータセンター内の仮想ディスクを作成、編集、管理、および削除できる。 | このロールは特定の仮想ディスクには適用されません。Configure ウィンドウで環境全体のユーザーにこのロールを適用します。また、特定のデータセンター、クラスター、またはストレージドメインにこのロールを適用することもできます。 |
1.1.2.20.1. レガシー SPICE 暗号の設定
SPICE コンソールでは、デフォルトで FIPS 準拠の暗号化を行い、暗号文字列を使用します。デフォルトの SPICE 暗号文字列は kECDHE+FIPS:kDHE+FIPS:kRSA+FIPS:!eNULL:!aNULL
です。
通常、この文字列で十分です。ただし、古いオペレーティングシステムまたは SPICE クライアントの仮想マシンがあり、そのうちのいずれかが FIPS 準拠の暗号化に対応していない場合は、弱い暗号文字列を使用する必要があります。そうしないと、新規クラスターまたは新規ホストを既存のクラスターにインストールし、その仮想マシンへの接続を試みると、接続のセキュリティーエラーが発生します。
Ansible Playbook を使用して暗号文字列を変更できます。
暗号文字列の変更
Manager マシンで、
/usr/share/ovirt-engine/playbooks
ディレクトリーにファイルを作成します。以下に例を示します。# vim /usr/share/ovirt-engine/playbooks/change-spice-cipher.yml
ファイルに以下を入力し、保存します。
name: oVirt - setup weaker SPICE encryption for old clients hosts: hostname vars: host_deploy_spice_cipher_string: 'DEFAULT:-RC4:-3DES:-DES' roles: - ovirt-host-deploy-spice-encryption
作成したファイルを実行します。
# ansible-playbook -l hostname /usr/share/ovirt-engine/playbooks/change-spice-cipher.yml
または、変数 host_deploy_spice_cipher_string
で --extra-vars
オプションを使用して、Ansible Playbook ovirt-host-deploy
でホストを再設定することもできます。
# ansible-playbook -l hostname \
--extra-vars host_deploy_spice_cipher_string=”DEFAULT:-RC4:-3DES:-DES” \
/usr/share/ovirt-engine/playbooks/ovirt-host-deploy.yml
1.1.3. スケジューリングポリシー
スケジューリングポリシーは、スケジューリングポリシーが適用されるクラスター内のホスト間で仮想マシンが分散されるロジックを定義するルールのセットです。スケジューリングポリシーは、フィルター、重み付け、および負荷分散ポリシーの組み合わせにより、このロジックを決定します。フィルターモジュールはハード強制を適用し、そのフィルターで指定された条件を満たさないホストを除外します。加重モジュールはソフト強制を適用し、仮想マシンが実行できるクラスター内のホストを決定する際に考慮される要因の相対優先度を制御するために使用されます。
Red Hat Virtualization Manager には 5 つのデフォルトスケジューリングポリシー Evenly_Distributed、Cluster_Maintenance、None、Power_Saving、および VM_Evenly_Distributed があります。また、新しいスケジューリングポリシーを定義することで、仮想マシンの配布をきめ細かく制御することができます。スケジューリングポリシーに関わらず、CPU が過負荷状態のホストでは仮想マシンが起動しません。デフォルトでは、ホストの CPU が 5 分間 80% 以上の負荷がかかった場合に過負荷と判断されますが、この値はスケジューリングポリシーを使って変更できます。各スケジューリングポリシーのプロパティーの詳細は、管理ガイド の スケジューリングポリシー を参照してください。
スケジューリングポリシーの仕組みの詳細は、How does cluster scheduling policy work? を参照してください。
図1.4 Evenly Distributed スケジューリングポリシー
Evenly_Distributed スケジューリングポリシーは、クラスター内のすべてのノードでメモリーおよび CPU 処理の負荷を均等に分散します。ホストが定義された CpuOverCommitDurationMinutes、HighUtilization、VCpuToPhysicalCpuRatio、または MaxFreeMemoryForOverUtilized に達した場合、ホストにアタッチされた追加の仮想マシンは起動しません。
VM_Evenly_Distributed スケジューリングポリシーは、仮想マシンの数に応じて、ホスト間で仮想マシンを均等に配布します。HighVmCount よりも多くの仮想マシンを実行しているホストがあり、仮想マシン数が MigrationThreshold の範囲外であるホストが少なくとも 1 つ存在する場合、クラスターはアンバランスであると判断されます。
図1.5 Power Saving スケジューリングポリシー
Power_Saving スケジューリングポリシーは、利用可能なホストのサブセットにメモリーおよび CPU 処理の負荷を分散し、使用率の低いホストの消費電力を減らします。CPU 負荷が使用率の下限値を下回っている状態が定義された時間以上続いたホストは、すべての仮想マシンを他のホストに移行させ、電源を切れるようにします。ホストにアタッチされた追加の仮想マシンは、そのホストが定義された使用率の上限値に達した場合は起動しません。
仮想マシンの実行でホスト間で負荷やパワーを共有しないように、None ポリシーを設定します。これはデフォルトのモードです。仮想マシンが起動すると、メモリーと CPU 処理の負荷がクラスター内の全ホストに均等に分散されます。ホストが定義された CpuOverCommitDurationMinutes、HighUtilization、または MaxFreeMemoryForOverUtilized に達した場合、ホストにアタッチされた追加の仮想マシンは起動しません。
Cluster_Maintenance スケジューリングポリシーは、メンテナンスタスク時にクラスター内のアクティビティーを制限します。Cluster_Maintenance ポリシーが設定されている場合、高可用性仮想マシンを除き、新しい仮想マシンを起動できません。ホストの障害が発生した場合、高可用性仮想マシンが正しく再起動し、どの仮想マシンも移行できます。
1.1.3.1. スケジューリングポリシーの作成
新規のスケジューリングポリシーを作成して、仮想マシンを Red Hat Virtualization 環境の特定のクラスターに分散するロジックを制御できます。
手順
- → をクリックします。
- Scheduling Policies タブをクリックします。
- New をクリックします。
- スケジュールポリシーの Name と Description を入力します。
フィルターモジュールを設定します。
- Filter Modules セクションで、Disabled Filters セクションから Enabled Filters セクションに、優先するフィルターモジュールをドラッグアンドドロップしてスケジューリングポリシーに適用します。
- また、特定のフィルターモジュールを First として設定して優先度を最も高くしたり、Last として設定して優先度を最も低くすることもできます。優先度を設定するには、フィルターモジュールを右クリックし、Position にカーソルを合わせ、First または Last を選択します。
加重モジュールを設定します。
- Weights Modules セクションで、Disabled Weights セクションから Enabled Weights セクションに、優先する加重モジュールをドラッグアンドドロップしてスケジューリングポリシーに適用します。
- 有効な加重モジュールの左側にある + および - ボタンを使用して、これらのモジュールの重みを増減します。
ロードバランシングポリシーを指定します。
- Load Balancer セクションのドロップダウンメニューから、スケジューリングポリシーに適用する負荷分散ポリシーを選択します。
- Properties セクションのドロップダウンメニューから、スケジューリングポリシーに適用する負荷分散プロパティーを選択し、そのプロパティーの右側にある text フィールドを使用して値を指定します。
- + ボタンおよび - ボタンを使用して、プロパティーを追加または削除します。
- をクリックします。
1.1.3.2. New Scheduling Policy および Edit Scheduling Policy ウィンドウの設定の説明
以下の表は、New Scheduling Policy および Edit Scheduling Policy ウィンドウで使用できるオプションの詳細を示しています。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Name | スケジューリングポリシーの名前。これは、Red Hat Virtualization Manager のスケジューリングポリシーを参照するために使用される名前です。 |
Description | スケジューリングポリシーの説明。このフィールドは推奨されますが、必須ではありません。 |
Filter Modules | クラスター内の仮想マシンが実行できるホストを制御するフィルターセット。フィルターを有効にすると、以下のように、フィルターで指定された条件を満たさないホストが除外されます。
|
Weights Modules | 仮想マシンを実行できるクラスター内のホストを決定する際に考慮される要因の相対優先度を制御する重みのセット。
|
Load Balancer | このドロップダウンメニューでは、適用する負荷分散モジュールを選択できます。負荷分散モジュールは、使用率が高いホストから、使用率が低いホストに仮想マシンを移行するために使用されるロジックを決定します。 |
Properties | このドロップダウンメニューでは、負荷分散モジュールのプロパティーを追加または削除でき、スケジューリングポリシーに負荷分散モジュールを選択している場合にのみ利用できます。デフォルトではプロパティーは定義されておらず、利用可能なプロパティーは、選択された負荷分散モジュールに固有のプロパティーです。+ および - ボタンを使用して、負荷分散モジュールにプロパティーを追加または削除します。 |
1.1.4. インスタンスタイプ
インスタンスタイプを使用して、仮想マシンのハードウェア設定を定義できます。仮想マシンの作成時または編集時にインスタンスタイプを選択すると、ハードウェア設定フィールドが自動的に入力されます。これにより、すべてのフィールドを手動で入力しなくても、同じハードウェア設定で複数の仮想マシンを作成できます。
インスタンスタイプのサポートは非推奨となり、今後のリリースで廃止される予定です。
以下の表で説明されているように、事前定義されたインスタンスタイプのセットはデフォルトで利用できます。
名前 | メモリー | vCPU |
---|---|---|
Tiny | 512 MB | 1 |
Small | 2 GB | 1 |
Medium | 4 GB | 2 |
Large | 8 GB | 2 |
XLarge | 16 GB | 4 |
管理者は Configure ウィンドウの Instance Types タブから、インスタンスタイプを作成、編集、および削除できます。
インスタンスタイプにバインドされる New Virtual Machine および Edit Virtual Machine ウィンドウのフィールドの横にチェーンリンクイメージ ( ) があります。これらのフィールドの値の 1 つが変更されると、仮想マシンはインスタンスタイプから切り離され、Custom に変更され、チェーンが切れたよう見えます ( )。しかし、値が元に戻されると、チェーンは再度リンクし、インスタンスタイプは選択されたものに戻ります。
1.1.4.1. インスタンスタイプの作成
管理者は、仮想マシンの作成時または編集時にユーザーが選択する新しいインスタンスタイプを作成できます。
手順
- → をクリックします。
- Instance Types タブをクリックします。
- New をクリックします。
- インスタンスタイプの Name および Description を入力します。
- Show Advanced Options をクリックし、必要に応じてインスタンスタイプを設定します。New Instance Type ウィンドウに表示される設定は、New Virtual Machine ウィンドウの設定と同じですが、関連するフィールドのみが表示されます。仮想マシン管理ガイド の New Virtual Machine および Edit Virtual Machine ウィンドウの設定の説明 を参照してください。
- をクリックします。
新規インスタンスタイプは Configure ウィンドウの Instance Types タブに表示され、仮想マシンの作成時または編集時に Instance Type ドロップダウンリストから選択できます。
1.1.4.2. インスタンスタイプの編集
管理者は、Configure ウインドウから既存のインスタンスタイプを編集できます。
手順
- → をクリックします。
- Instance Types タブをクリックします。
- 編集するインスタンスタイプを選択します。
- Edit をクリックします。
- 必要に応じて設定を変更します。
- をクリックします。
インスタンスタイプの設定が更新されます。このインスタンスタイプに基づく新しい仮想マシンが作成されるか、このインスタンスタイプに基づく既存の仮想マシンが更新されると、新しい設定が適用されます。
このインスタンスタイプに基づく既存の仮想マシンには、更新されるチェーンアイコンが付いたフィールドが表示されます。インスタンスタイプの変更時に既存の仮想マシンが稼働していた場合は、その横にオレンジ色の Pending Changes アイコンが表示され、次回の再起動時にチェーンのアイコンが付いたフィールドが更新されます。
1.1.4.3. インスタンスタイプの削除
手順
- → をクリックします。
- Instance Types タブをクリックします。
- 削除するインスタンスタイプを選択します。
- Remove をクリックします。
- 削除するインスタンスタイプに基づいた仮想マシンがある場合は、アタッチされた仮想マシンをリストする警告ウィンドウが表示されます。インスタンスタイプの削除を続行するには、Approve Operation チェックボックスを選択します。それ以外の場合は、Cancel をクリックします。
- をクリックします。
インスタンスタイプが Instance Types リストから削除され、新規仮想マシンの作成時に使用できなくなります。削除されたインスタンスタイプにアタッチされた仮想マシンは Custom (インスタンスタイプなし) にアタッチされるようになります。
1.1.5. MAC アドレスプール
MAC アドレスプールは、各クラスターに割り当てられる MAC アドレスの範囲を定義します。各クラスターに MAC アドレスプールが指定されます。MAC アドレスプールを使用すると、Red Hat Virtualization は MAC アドレスを自動的に生成し、新しい仮想ネットワークデバイスに割り当てることができます。これは、MAC アドレスの重複を防ぐのに役立ちます。MAC アドレスプールは、クラスターに関連するすべての MAC アドレスが、割り当てられた MAC アドレスプールの範囲内にあると、メモリー効率が高くなります。
同じ MAC アドレスプールを複数のクラスターで共有できますが、各クラスターには MAC アドレスプールが 1 つ割り当てられます。デフォルトの MAC アドレスプールは Red Hat Virtualization によって作成され、別の MAC アドレスプールが割り当てられない場合に使用されます。クラスターへの MAC アドレスプールの割り当ての詳細は、新しいクラスターの作成 を参照してください。
複数の Red Hat Virtualization クラスターがネットワークを共有する場合は、デフォルトの MAC アドレスプールのみに依存しないでください。これは、各クラスターの仮想マシンが同じ範囲の MAC アドレスを使用しようとすることで、競合が発生するためです。MAC アドレスの競合を回避するには、MAC アドレスプールの範囲をチェックして、各クラスターに一意の MAC アドレス範囲が割り当てられていることを確認します。
MAC アドレスプールでは、最後にプールに戻されたアドレスの次に利用可能な MAC アドレスが割り当てられます。範囲内に残されたアドレスがない場合は、範囲の先頭から検索を再開します。1 つの MAC アドレスプールに、利用可能な MAC アドレスがある複数の MAC アドレス範囲が定義されている場合、利用可能な MAC アドレスが選択されるのと同じ方法で、受信したリクエストに対して範囲が順次対応します。
1.1.5.1. MAC アドレスプールの作成
新しい MAC アドレスプールを作成できます。
手順
- → をクリックします。
- MAC Address Pool タブをクリックします。
- Add をクリックします。
- 新しい MAC アドレスプールの Name および Description を入力します。
Allow Duplicates チェックボックスを選択し、MAC アドレスをプールで複数回使用できるようにします。MAC アドレスプールでは、重複した MAC アドレスを自動的に使用することはありませんが、duplicates オプションを有効にすると、ユーザーは手動で重複する MAC アドレスを使用できます。
注記ある MAC アドレスプールで重複を無効にし、別の MAC アドレスプールで重複を有効にした場合、重複を無効にしたプールでは各 MAC アドレスは 1 回しか使用できませんが、重複を有効にしたプールでは複数回使用できます。
- 必要な MAC Address Ranges を入力します。複数の範囲を入力するには、From フィールドおよび To フィールドの横にあるプラスボタンをクリックします。
- をクリックします。
1.1.5.2. MAC アドレスプールの編集
MAC アドレスプールを編集して、プールで利用可能な MAC アドレスの範囲や重複が許可されるかどうかなどの詳細を変更できます。
手順
- → をクリックします。
- MAC Address Pool タブをクリックします。
- 編集する MAC アドレスプールを選択します。
- Edit をクリックします。
必要に応じて Name、Description、Allow Duplicates、および MAC Address Ranges フィールドを変更します。
注記MAC アドレス範囲を更新すると、既存の NIC の MAC アドレスは再割り当てされません。すでに割り当てられている MAC アドレスで、新しい MAC アドレス範囲から外れるものは、ユーザー指定の MAC アドレスとして追加され、その MAC アドレスプールで追跡されます。
- をクリックします。
1.1.5.3. MAC アドレスプールのパーミッションの編集
MAC アドレスプールの作成後に、そのユーザーパーミッションを編集できます。ユーザーパーミッションにより、どのデータセンターが MAC アドレスプールを使用できるかが制御されます。新しいユーザーパーミッションを追加する方法については、ロール を参照してください。
手順
- → をクリックします。
- MAC Address Pool タブをクリックします。
- 必要な MAC アドレスプールを選択します。
MAC アドレスプールのユーザーパーミッションを編集します。
ユーザーパーミッションを MAC アドレスプールに追加するには、以下を実行します。
- Configure ウィンドウの下にあるユーザーパーミッションペインで Add をクリックします。
- 必要なユーザーを検索して選択します。
- Role to Assign ドロップダウンリストから必要なロールを選択します。
- をクリックしてユーザーパーミッションを追加します。
ユーザーパーミッションを MAC アドレスプールから削除するには、以下を実行します。
- Configure ウィンドウの下にあるユーザーパーミッションペインで、削除するユーザーパーミッションを選択します。
- ユーザーパーミッションを削除するには、Remove をクリックします。
1.1.5.4. MAC アドレスプールの削除
作成した MAC アドレスプールがクラスターに関連付けられていない場合は削除できますが、デフォルトの MAC アドレスプールは削除できません。
手順
- → をクリックします。
- MAC Address Pool タブをクリックします。
- 削除する MAC アドレスプールを選択します。
- Remove をクリックします。
- をクリックします。
1.2. ダッシュボード
ダッシュボードは、Red Hat Virtualization のリソースと使用率の概要を表示することで、Red Hat Virtualization のシステム状態の概要を提供します。この概要により、問題を警告することができ、問題領域を分析できます。
ダッシュボードの情報は、Data Warehouse からはデフォルトで 15 分ごと、Manager API からはデフォルトで 15 秒ごと、またはダッシュボードが更新されるたびに更新されます。ダッシュボードは、ユーザーが他のページから戻ったときや、手動でリフレッシュしたときに更新されます。ダッシュボードは自動的に更新されません。インベントリーカードの情報は Manager API から提供され、利用状況の情報は Data Warehouse から提供されます。ダッシュボードは、UI プラグインコンポーネントとして実装されており、Manager と一緒に自動的にインストールおよびアップグレードされます。
図1.6 ダッシュボード
1.2.1. 前提条件
ダッシュボードを使用するには、Data Warehouse がインストールされ、設定されている必要があります。Data Warehouse ガイド の Data Warehouse のインストールおよび設定 を参照してください。
1.2.2. グローバルインベントリー
ダッシュボードの上部には、Red Hat Virtualization リソースのグローバルインベントリーが表示され、データセンター、クラスター、ホスト、ストレージドメイン、仮想マシン、イベントなどの項目が含まれます。アイコンは各リソースの状態、数字はその状態にある各リソースの数量を表しています。
図1.7 グローバルインベントリー
タイトルにはリソースの種類別の数が表示され、その下にはステータスが表示されます。リソースのタイトルをクリックすると、Red Hat Virtualization Manager の関連ページに移動します。Clusters のステータスは常に N/A と表示されます。
アイコン | 状態 |
---|---|
| Red Hat Virtualization に該当するリソースは追加されていません。 |
| 警告ステータスを持つリソースの数量を表示します。アイコンをクリックすると、該当ページに移動し、検索対象は警告状態のリソースに限定されます。検索の制限は、リソースごとに異なります。
|
| up ステータスを持つリソースの番号を表示します。アイコンをクリックすると、該当ページに移動し、検索対象は up 状態のリソースに限定されます。 |
| down 状態のリソースの番号を表示します。アイコンをクリックすると、該当ページに移動し、検索対象は down 状態のリソースに限定されます。検索の制限は、リソースごとに異なります。
|
images:images/Dashboard_Alert.png[title="Alert icon"] | アラートステータスを持つイベントの数を表示します。アイコンをクリックすると Events に移動しますが、検索対象は深刻度が警告のイベントに限定されます。 |
images:images/Dashboard_Error.png[title="Error icon"] | エラーステータスを持つイベントの数を表示します。アイコンをクリックすると Events に移動しますが、検索対象は深刻度がエラーのイベントに限定されます。 |
1.2.3. グローバルでの活用
Global Utilization セクションでは、CPU、Memory、Storage のシステム使用状態が表示されます。
図1.8 グローバルでの活用
- 上段には、利用可能な CPU、メモリー、ストレージ、およびオーバーコミット率の割合が表示されます。たとえば、CPU のオーバーコミット率は、Data Warehouse の最新データに基づいて、仮想コアの数を実行中の仮想マシンで利用可能な物理コアの数で割って算出します。
- ドーナツは、CPU、メモリー、またはストレージの使用率をパーセンテージで表示し、過去 5 分間の平均使用率に基づいて、すべてのホストの平均使用率を表示します。ドーナツの断面にカーソルを合わせると、選択したセクションの値が表示されます。
- 下部の折れ線グラフは、過去 24 時間の傾向を表示しています。各データポイントは、特定の時間の平均使用量を示しています。グラフ上のポイントにカーソルを合わせると、CPU のグラフでは時間と使用率が、メモリーとストレージのグラフでは使用量が表示されます。
1.2.3.1. 最も使用されているリソース
図1.9 最も使用されているリソース (メモリー)
ダッシュボードのグローバル使用率の項目にあるドーナツをクリックすると、CPU、メモリー、ストレージのうち、使用率の高いリソースのリストが表示されます。CPU とメモリーについては、最も使用率の高い 10 台のホストと仮想マシンのリストがポップアップで表示されます。ストレージについては、利用されているストレージドメインと仮想マシンのトップ 10 のリストがポップアップで表示されます。使用量バーの右にある矢印は、そのリソースの直近 1 分間における使用量の傾向を示しています。
1.2.4. クラスターの活用
Cluster Utilization セクションは、CPU とメモリーのクラスター使用率をヒートマップで表示します。
図1.10 クラスターの活用
1.2.4.1. CPU
過去 24 時間の CPU 平均使用率を示す特定クラスターの CPU 使用率のヒートマップ。ヒートマップにカーソルを合わせると、クラスター名が表示されます。ヒートマップをクリックすると、
→ に移動し、特定のクラスターの検索を CPU 使用率でソートした結果が表示されます。クラスターによる CPU の使用率を計算するために使用される式は、クラスターのホスト CPU 使用率の平均です。これは、クラスターによる CPU の合計平均使用率を出すために、過去 24 時間の各ホストの CPU 使用率の平均値を用いて算出されます。1.2.4.2. メモリー
過去 24 時間のメモリー平均使用率を示す特定クラスターのメモリー使用率のヒートマップ。ヒートマップにカーソルを合わせると、クラスター名が表示されます。ヒートマップをクリックすると、
→ に移動し、特定のクラスターの検索をメモリー使用率でソートした結果が表示されます。クラスターによるメモリー使用率を計算するために使用される式は、クラスターのメモリー使用率の合計 (GB 単位) です。これは、クラスターによるメモリー合計平均使用率を出すために、過去 24 時間の各ホストの平均メモリー使用率を用いて算出されます。1.2.5. ストレージの活用
Storage Utilization セクションには、ヒートマップでストレージ使用率が表示されます。
図1.11 ストレージの活用
ヒートマップは、過去 24 時間のストレージ平均利用率を表します。クラスターによるストレージ使用率を計算するために使用される式は、クラスターのストレージ使用率の合計です。これは、クラスターによるストレージの合計平均使用率を出すために、過去 24 時間の各ホストの平均ストレージ使用率を用いて算出されます。ヒートマップにカーソルを合わせると、ストレージドメイン名が表示されます。ヒートマップをクリックすると
→ に移動し、ストレージドメインが使用率でソートされます。1.3. 検索
1.3.1. Red Hat Virtualization での検索
管理ポータルでは、仮想マシン、ホスト、ユーザーなど、何千ものリソースを管理することができます。検索を行うには、各リソースのメインページにある検索バーに、検索クエリー (フリーテキストまたは構文ベース) を入力します。検索条件をブックマークとして保存しておけば、検索結果を必要とするたびに検索条件を再入力する必要はありません。検索では大文字小文字の区別はありません。
1.3.2. 検索構文と例
Red Hat Virtualization リソースの検索クエリーの構文は以下のとおりです。
result type: {criteria} [sortby sort_spec]
構文の例
以下の例は、検索クエリーの使用方法と、Red Hat Virtualization が検索クエリーの構築を支援する方法を理解するのに役立ちます。
例 | 結果 |
---|---|
Hosts: Vms.status = up page 2 | 稼働中の仮想マシンを実行しているすべてのホストのリストの 2 ページ目を表示します。 |
Vms: domain = qa.company.com | 指定されたドメインで稼働しているすべての仮想マシンの一覧を表示します。 |
Vms: users.name = Mary | ユーザー名が Mary のユーザーに属する全仮想マシンの一覧を表示します。 |
Events: severity > normal sortby time | 重大度が Normal よりも高いすべての Events の一覧を表示します。 |
1.3.3. 自動完了の検索
管理ポータルは、有効で強力な検索クエリーの作成に役立つ自動補完を提供します。検索クエリーの各部分を入力すると、検索の次の部分を選択するドロップダウンリストが、Search Bar の下に開きます。一覧から選択して検索の次の部分を入力/選択するか、オプションを無視して手動でクエリーを入力できます。
以下の表では、管理ポータルでクエリーを構築する際に自動補完がどのように機能するか、例を挙げて説明しています。
Hosts: Vms.status = down
入力 | 表示されるリスト項目 | アクション |
---|---|---|
h |
|
|
Hosts: | すべてのホストプロパティー | v を入力 |
Hosts: v |
|
|
Hosts: Vms | すべての仮想マシンプロパティー | s を入力 |
Hosts: Vms.s |
|
|
Hosts: Vms.status |
| = を選択/入力 |
Hosts: Vms.status = | すべてのステータス値 | down を選択/入力 |
1.3.4. 検索結果タイプのオプション
結果タイプを使用すると、以下のタイプのリソースを検索できます。
- Vms、仮想マシンのリスト。
- Host、ホストのリスト。
- Pools、プールのリスト。
- Template、テンプレートのリスト。
- Events、イベントのリスト。
- Users、ユーザーのリスト。
- Cluster、クラスターのリスト。
- DataCenter、データセンターのリスト。
- Storage、ストレージドメインのリスト。
各タイプのリソースには、一意のプロパティーセットと、関連付けられたその他のリソースタイプのセットがあるため、各検索タイプには、有効な構文の組み合わせがあります。自動補完機能を使用すると、有効なクエリーも簡単に作成できます。
1.3.5. 検索基準
クエリーのコロンの後に検索条件を指定できます。{criteria}
の構文は以下のようになります。
<prop><operator><value>
または
<obj-type><prop><operator><value>
例
以下の表は、構文の部分を示しています。
部分 | 説明 | 値 | 例 | 注記 |
---|---|---|---|---|
prop |
検索対象リソースのプロパティー。リソースタイプのプロパティー ( | 検索対象を、特定のプロパティーを持つオブジェクトに制限します。たとえば、status プロパティーでオブジェクトを検索します。 | Status | 該当なし |
obj-type | 検索対象のリソースに関連付けることができるリソースタイプ。 | データセンターや仮想マシンなどのシステムオブジェクトです。 | Users | 該当なし |
operator | 比較演算子。 | = != (等しくない) > < >= <= | 該当なし | 値オプションはプロパティーによって異なります。 |
Value | その式が何と比較されるか。 | 文字列 Integer Ranking Date (Regional Settings に応じた書式設定) | Jones 256 normal |
|
1.3.6. 検索: 複数の基準およびワイルドカード
ワイルドカードは文字列の構文の <value>
部分で使用できます。たとえば、m で始まる全ユーザーを検索するには、m*
を入力します。
ブール演算子の AND
および OR
を使用して、2 つの基準を持つ検索を実行できます。以下に例を示します。
Vms: users.name = m* AND status = Up
このクエリーは、名前が "m" で始まるユーザーに対して実行中の仮想マシンをすべて返します。
Vms: users.name = m* AND tag = "paris-loc"
このクエリーは、名前が "m" で始まるユーザーに対して "paris-loc" でタグ付けされたすべての仮想マシンを返します。
AND
または OR
を使用せずに 2 つの基準を指定した場合、AND
が暗黙的に指定されます。AND
は OR
よりも優先され、OR
は暗黙の AND
よりも優先されます。
1.3.7. 検索: 検索順序の決定
返される情報の並び替え順序は、sortby
を使用して決定できます。並べ替え方向 (昇順は asc
、降順は desc
) を含めることができます。
以下に例を示します。
events: severity > normal sortby time desc
このクエリーは、重大度が Normal よりも大きいすべての Events を時刻でソートして返します (降順)。
1.3.8. データセンターの検索
以下の表は、データセンターのすべての検索オプションを示しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | データセンターに関連付けられたクラスターのプロパティー。 |
| 文字列 | データセンターの名前。 |
| 文字列 | データセンターの説明。 |
| 文字列 | データセンターのタイプ。 |
| List | データセンターの可用性。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Datacenter: type = nfs and status != up
この例では、ストレージタイプが NFS で、ステータスが up 以外のデータセンターの一覧を返します。
1.3.9. クラスターの検索
以下の表は、クラスターのすべての検索オプションを説明しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | クラスターに関連付けられたデータセンターのプロパティー。 |
| 文字列 | クラスターが属するデータセンター。 |
| 文字列 | ネットワーク上のクラスターを識別する一意の名前。 |
| 文字列 | クラスターの説明。 |
| 文字列 | クラスターのステータスを示す True または False。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Clusters: initialized = true or name = Default
この例では、初期化されたクラスターまたは Default という名前のクラスターの一覧を返します。
1.3.10. ホストの検索
以下の表は、ホストの全検索オプションを示しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | ホストに関連付けられた仮想マシンのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ホストに関連付けられたテンプレートのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ホストに関連付けられたイベントのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ホストに関連付けられたユーザーのプロパティー。 |
| 文字列 | ホストの名前。 |
| List | ホストの可用性。 |
| 文字列 | 外部システムおよびプラグインによって報告されるホストのヘルスステータス。 |
| 文字列 | ホストが属するクラスター。 |
| 文字列 | ネットワーク上のホストを識別する一意の名前。 |
| Integer | 使用される処理能力の割合。 |
| Integer | 使用されるメモリーの割合。 |
| Integer | ネットワーク使用率の割合。 |
| Integer | 特定のタイムスライスで、プロセッサーごとに run-queue で実行されるのを待っているジョブ。 |
| Integer | オペレーティングシステムのバージョン番号。 |
| Integer | ホスト上の CPU 数。 |
| Integer | 使用可能なメモリーの量。 |
| Integer | CPU の処理速度。 |
| 文字列 | CPU のタイプ。 |
| Integer | 現在実行中の仮想マシンの数。 |
| Integer | 現在移行中の仮想マシンの数。 |
| Integer | コミットされたメモリーの割合 |
| 文字列 | ホストに割り当てられたタグ。 |
| 文字列 | ホストのタイプ。 |
| 文字列 | ホストが属するデータセンター。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Hosts: cluster = Default and Vms.os = rhel6
この例では、Default クラスターの一部であるホストの一覧と、Red Hat Enterprise Linux 6 オペレーティングシステムを実行するホスト仮想マシンを返します。
1.3.11. ネットワークの検索
以下の表は、ネットワークの全検索オプションを説明しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | ネットワークに関連付けられたクラスターのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ネットワークに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| 文字列 | ネットワークを識別するための人が判読可能な名前。 |
| 文字列 | ネットワークを記述するキーワードまたはテキスト。オプションでネットワークの作成時に使用されます。 |
| Integer | ネットワークの VLAN ID。 |
| 文字列 | Spanning Tree Protocol (STP) がネットワークで有効か無効かを示します。 |
| Integer | 論理ネットワークの最大伝送単位。 |
| 文字列 | ネットワークが仮想マシントラフィックのみに使用されているかどうか。 |
| 文字列 | ネットワークが接続されているデータセンター。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Network: mtu > 1500 and vmnetwork = true
この例では、最大転送単位が 1500 バイトを超え、仮想マシンのみが使用するように設定されているネットワークの一覧を返します。
1.3.12. ストレージの検索
以下の表は、ストレージのすべての検索オプションを説明しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | ストレージに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ストレージに関連付けられたクラスターのプロパティー。 |
| 文字列 | ネットワーク上のストレージを識別する一意の名前。 |
| 文字列 | ストレージドメインのステータス。 |
| 文字列 | 外部システムおよびプラグインによって報告されるストレージドメインのヘルスステータス。 |
| 文字列 | ストレージが属するデータセンター。 |
| 文字列 | ストレージのタイプ。 |
| Integer | 空きストレージのサイズ (GB)。 |
| Integer | 使用されるストレージの容量 (GB)。 |
| Integer | 利用可能なストレージの合計量 (GB)。 |
| Integer | コミットされたストレージの量 (GB)。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Storage: free_size > 6 GB and total_size < 20 GB
この例では、空き領域が 6 GB を超えるストレージの一覧または、合計ストレージ容量が 20 GB 未満のストレージの一覧を返します。
1.3.13. ディスクの検索
以下の表は、ディスクの全検索オプションを示しています。
Disk Type
および Content Type
フィルターオプションを使用して、表示される仮想ディスクの数を減らすことができます。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | ディスクに関連付けられたデータセンターのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ディスクに関連付けられたストレージのプロパティー。 |
| 文字列 | ネットワーク上のストレージを識別する人が判読可能な名前。 |
| 文字列 | ディスクを記述するキーワードまたはテキスト。オプションでディスクの作成時に使用されます。 |
| Integer | ディスクの仮想サイズ |
| Integer | ディスクのサイズ。 |
| Integer | ディスクに割り当てられる実際のサイズ。 |
| Integer | ディスクが作成された日付。 |
| 文字列 |
ディスクを起動できるかどうか。有効な値は |
| 文字列 |
ディスクを一度に複数の仮想マシンにアタッチできるかどうか。有効な値は |
| 文字列 |
ディスクの形式。 |
| 文字列 |
ディスクのステータス |
| 文字列 |
ディスクのタイプ。 |
| Integer | ディスクがアタッチされている仮想マシンの数。 |
| 文字列 | ディスクがアタッチされている仮想マシンの名前。 |
| 文字列 | 仮想ディスクで強制されるクォータの名前。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Disks: format = cow and provisioned_size > 8
この例では、QCOW 形式の仮想ディスクの一覧と、8 GB を超える割り当て済みのディスクサイズを返します。
1.3.14. ボリュームの検索
以下の表は、ボリュームのすべての検索オプションを説明しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| 文字列 | ボリュームに関連付けられたクラスターの名前。 |
| プロパティータイプ (例: name、description、comment、architecture) による | ボリュームに関連付けられたクラスターのプロパティー。 |
| 文字列 | ボリュームを識別する、人が判読可能な名前。 |
| 文字列 | distribute、replicate、distributed_replicate、stripe、または distributed_stripe のいずれか。 |
| Integer | TCP または RDMA のいずれか。 |
| Integer | レプリカの数。 |
| Integer | ストライプの数。 |
| 文字列 | ボリュームのステータス。Up または Down のいずれかです。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Volume: transport_type = rdma and stripe_count >= 2
この例では、トランスポートタイプが RDMA に設定され、ストライプが 2 つ以上あるボリュームのリストを返します。
1.3.15. 仮想マシンの検索
以下の表は、仮想マシンのすべての検索オプションを説明しています。
現時点で、Network Label、Custom Emulated Machine、および Custom CPU Type プロパティーはサポートされていない検索プロパティーです。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられたテンプレートのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられたイベントのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられたユーザーのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられたストレージデバイスのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | 仮想マシンに関連付けられた vNIC のプロパティー。 |
| 文字列 | 仮想マシンの名前。 |
| List | 仮想マシンの可用性 |
| Integer | 仮想マシンの IP アドレス。 |
| Integer | 仮想マシンが実行されている期間 (分単位)。 |
| 文字列 | マシンをグループ化するドメイン (通常は Active Directory ドメイン)。 |
| 文字列 | 仮想マシンの作成時に選択されたオペレーティングシステム。 |
| Date | 仮想マシンが作成された日付。 |
| 文字列 | ネットワーク上の仮想マシンを識別する一意の名前。 |
| Integer | 使用される処理能力の割合。 |
| Integer | 使用されるメモリーの割合。 |
| Integer | 使用されるネットワークの割合。 |
| Integer | 定義された最大メモリー。 |
| 文字列 | 仮想マシンに現在インストールされているアプリケーション。 |
| List | 仮想マシンが属するクラスター。 |
| List | 仮想マシンが属する仮想マシンプール。 |
| 文字列 | 仮想マシンに現在ログインしているユーザーの名前。 |
| List | 仮想マシンが属するタグ。 |
| 文字列 | 仮想マシンが属するデータセンター。 |
| List | 仮想マシンタイプ (サーバーまたはデスクトップ)。 |
| 文字列 | 仮想マシンに関連付けられたクォータの名前。 |
| 文字列 | 仮想マシンを記述するキーワードまたはテキスト。オプションとして、仮想マシンの作成時に使用されます。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
| Boolean | 仮想マシンに保留中の設定変更があります。 |
例
Vms: template.name = Win* and user.name = ""
この例では、ベーステンプレート名が Win で始まり、任意のユーザーに割り当てられている仮想マシンの一覧を返します。
例
Vms: cluster = Default and os = windows7
この例では、Default クラスターに属し、Windows 7 を実行している仮想マシンの一覧を返します。
1.3.16. プールの検索
以下の表は、プールの全検索オプションを示しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| 文字列 | プールの名前。 |
| 文字列 | プールの説明。 |
| List | プールのタイプ。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Pools: type = automatic
この例では、タイプが automatic
のプールの一覧を返します。
1.3.17. テンプレートの検索
以下の表は、テンプレートの全検索オプションを示しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| 文字列 | テンプレートに関連付けられた仮想マシンのプロパティー。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたイベントのプロパティー。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたユーザーのプロパティー。 |
| 文字列 | テンプレートの名前。 |
| 文字列 | テンプレートのドメイン。 |
| 文字列 | オペレーティングシステムのタイプ。 |
| Integer | テンプレートが作成された日付。 日付の形式は mm/dd/yy です。 |
| Integer | テンプレートから作成された仮想マシンの数。 |
| Integer | 定義されたメモリー。 |
| 文字列 | テンプレートの説明。 |
| 文字列 | テンプレートのステータス。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたクラスター。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたデータセンター。 |
| 文字列 | テンプレートに関連付けられたクォータ。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Template: Events.severity >= normal and Vms.uptime > 0
この例では、テンプレートから派生した仮想マシンで重大度が Normal 以上のイベントが発生し、かつ仮想マシンが引き続き実行されているテンプレートの一覧が返されます。
1.3.18. ユーザーの検索
以下の表は、ユーザーの全検索オプションを説明しています。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | ユーザーに関連付けられた仮想マシンのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ユーザーに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ユーザーに関連付けられたテンプレートのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | ユーザーに関連するイベントのプロパティー。 |
| 文字列 | ユーザーの名前。 |
| 文字列 | ユーザーの名字。 |
| 文字列 | ユーザーの一意の名前。 |
| 文字列 | ユーザーが属する部門。 |
| 文字列 | ユーザーが属するグループ。 |
| 文字列 | ユーザーのタイトル。 |
| 文字列 | ユーザーの状態。 |
| 文字列 | ユーザーのロール。 |
| 文字列 | ユーザーが属するタグ。 |
| 文字列 | ユーザーが属するプール。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Users: Events.severity > normal and Vms.status = up or Vms.status = pause
この例では、仮想マシンで重大度が Normal よりも高いイベントが発生し、かつ仮想マシンがまだ稼働している場合や、ユーザーの仮想マシンが一時停止している場合のユーザーの一覧を返します。
1.3.19. イベントの検索
以下の表は、イベントの検索に使用できるすべての検索オプションを説明しています。自動補完は、必要に応じて多くのオプションに対して提供されます。
プロパティー (リソースまたはリソースタイプの) | タイプ | 説明 (参照) |
---|---|---|
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられた仮想マシンのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられたホストのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられたテンプレートのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられたユーザーのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられたクラスターのプロパティー。 |
| プロパティータイプによります。 | イベントに関連付けられたボリュームのプロパティー。 |
| List | イベントのタイプ。 |
| List | イベントの重大度: Warning/Error/Normal |
| 文字列 | イベントタイプの説明。 |
| List | イベントが発生した日。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたユーザー名。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたホスト。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられた仮想マシン。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたテンプレート。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたストレージ。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたデータセンター。 |
| 文字列 | イベントに関連付けられたボリューム。 |
| Integer | イベントの識別番号。 |
| List | 返された結果をリソースプロパティーの 1 つで並べ替えます。 |
| Integer | 表示する結果のページ番号。 |
例
Events: Vms.name = testdesktop and Hosts.name = gonzo.example.com
この例では、ホスト gonzo.example.com
で実行中の testdesktop
という名前の仮想マシンで発生したイベントの一覧を返します。
1.4. ブックマーク
1.4.1. クエリー文字列をブックマークとして保存
ブックマークは、検索クエリーを記憶し、他のユーザーと共有するために使用できます。
手順
- 検索バーに検索クエリーを入力し、検索を実行します。
- 検索バーの右側にある星型の Bookmark ボタンをクリックします。これにより、New Bookmark ウィンドウが開きます。
- ブックマークの Name を入力します。
- 必要に応じて Search string フィールドを編集します。
- をクリックします。
ヘッダーバーの Bookmarks アイコン ( ) をクリックして、ブックマークを見つけて選択します。
1.4.2. ブックマークの編集
ブックマークの名前および検索文字列を変更できます。
手順
- ヘッダーバーの Bookmarks アイコン ( ) をクリックします。
- ブックマークを選択し、Edit をクリックします。
- 必要に応じて Name および Search string フィールドを変更します。
- をクリックします。
1.4.3. ブックマークの削除
ブックマークが必要なくなったら、その設定を削除します。
手順
- ヘッダーバーの Bookmarks アイコン ( ) をクリックします。
- ブックマークを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
1.5. タグ
1.5.1. タグを使用して Red Hat Virtualization とのやり取りをカスタマイズ
Red Hat Virtualization プラットフォームをセットアップし、要件に合わせて設定したら、タグを使用してカスタマイズできます。タグを使用すると、システムリソースをグループまたはカテゴリーに分類できます。これは、仮想化環境に多くのオブジェクトが存在し、管理者が特定のオブジェクトセットに集中したい場合に便利です。
このセクションでは、タグの作成と編集、ホストまたは仮想マシンへの割り当て、タグを基準として使用した検索などの方法を説明します。タグは、企業のニーズに合わせて、構造に一致する階層に配置できます。
管理ポータルのタグを作成、変更、および削除するには、ヘッダーバーの Tags アイコン ( ) をクリックします。
1.5.2. タグの作成
タグを作成し、そのタグを使用して検索結果を絞り込むことができます。
手順
- ヘッダーバーの Tags アイコン ( ) をクリックします。
- Add をクリックして新規タグを作成するか、タグを選択して New をクリックし、子孫タグを作成します。
- 新規タグの Name および Description を入力します。
- をクリックします。
1.5.3. タグの変更
タグの名前と説明を編集できます。
タグの変更
- ヘッダーバーの Tags アイコン ( ) をクリックします。
- 変更するタグを選択し、Edit をクリックします。
- 必要に応じて Name および Description フィールドを変更します。
- をクリックします。
1.5.4. タグの削除
タグが不要になったら、それを削除します。
手順
- ヘッダーバーの Tags アイコン ( ) をクリックします。
- 削除するタグを選択し、Remove をクリックします。タグを削除すると、そのタグのすべての子孫も削除されることを警告するメッセージが表示されます。
- をクリックします。
タグとその子孫をすべて削除しました。タグは、アタッチされたすべてのオブジェクトからも削除されます。
1.5.5. オブジェクトに対するタグの追加および削除
ホスト、仮想マシン、およびユーザーにタグを割り当てたり、削除したりできます。
手順
- タグを割り当てる、または解除するオブジェクトを選択します。
- More Actions ( ) をクリックしてから Assign Tags をクリックします。
- チェックボックスを選択してタグをオブジェクトに割り当てるか、選択を解除してオブジェクトからタグの割り当てを解除します。
- をクリックします。
指定したタグが、選択したオブジェクトのカスタムプロパティーとして追加または削除されます。
1.5.6. タグを使用したオブジェクトの検索
tag
プロパティーとしてタグを使用し、検索条件として目的の値または値のセットを使用して、検索クエリーを入力します。
指定された基準でタグ付けされたオブジェクトは結果リストに表示されます。
tag
をプロパティーとして使用し、不等式演算子 (!=
、たとえば、Host: Vms.tag!=server1
) を使用してオブジェクトを検索する場合、結果リストにタグなしオブジェクトは含まれません。
1.5.7. タグを使用したホストのカスタマイズ
タグを使用してホストに関する情報を保存できます。その後、タグに基づいてホストを検索できます。検索の詳細は、検索 を参照してください。
手順
- → をクリックし、ホストを選択します。
- More Actions ( ) をクリックしてから Assign Tags をクリックします。
- 該当するタグのチェックボックスを選択します。
- をクリックします。
ホストに関する検索可能な追加情報がタグとして追加されます。
第2章 リソースの管理
2.1. QoS (Quality of Service)
Red Hat Virtualization では、環境のリソースがアクセスできる入出力、処理、およびネットワーク機能のレベルを詳細に制御する QoS エントリーを定義できます。QoS (Quality of Service) エントリーはデータセンターレベルで定義され、クラスターおよびストレージドメイン下で作成されるプロファイルに割り当てられます。これらのプロファイルは、プロファイルが作成されたクラスターおよびストレージドメインの個々のリソースに割り当てられます。
2.1.1. ストレージ QoS
ストレージ QoS はスループットの最大レベルと、ストレージドメインの仮想ディスクの入出力操作の最大レベルを定義します。ストレージ QoS を仮想ディスクに割り当てると、ストレージドメインのパフォーマンスを細かく調整でき、1 つの仮想ディスクに関連付けられたストレージ操作が、同じストレージドメインでホストされる他の仮想ディスクで利用できるストレージ機能に影響を与えないようにすることができます。
2.1.1.1. ストレージ QoS エントリーの作成
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Storage で、New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの Description を入力します。
次のいずれかのラジオボタンをクリックして、Throughput Quality of Service を指定します。
- None
- Total - MB/s フィールドに最大許容合計スループットを入力します。
- Read/Write - 左のMB/s フィールドに読み取り操作の最大許容スループットを入力し、右の MB/s フィールドに書き込み操作の最大許容スループットを入力します。
次のいずれかのラジオボタンをクリックして、入出力 (IOps) の QoS を指定します。
- None
- Total - IOps フィールドに 1 秒あたりの入出力操作の最大許容数を入力します。
- Read/Write - 左の IOps フィールドに 1 秒あたりの入力操作の最大許容数を入力し、右の IOps フィールドに 1 秒あたりの出力操作の最大許容数を入力します。
- をクリックします。
ストレージ QoS エントリーが作成され、データセンターに属するデータストレージドメインのそのエントリーに基づいてディスクプロファイルを作成できます。
2.1.1.2. ストレージ Quality of Service エントリーの削除
既存のストレージ QoS (Quality of Service) エントリーを削除します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Storage でストレージの QoS エントリーを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
そのエントリーに基づくディスクプロファイルが存在する場合、それらのプロファイルのストレージ QoS エントリーは自動的に [unlimited]
に設定されます。
2.1.2. 仮想マシンのネットワーク QoS
仮想マシンネットワーク QoS は、個々の仮想ネットワークインターフェイスコントローラーの受信および送信トラフィックの両方を制限するためのプロファイルを作成できる機能です。この機能により、複数のレイヤーで帯域幅を制限し、ネットワークリソースの使用を制御できます。
2.1.2.1. 仮想マシンのネットワーク QoS エントリーの作成
仮想マシンネットワーク QoS エントリーを作成し、仮想ネットワークインターフェイスコントローラー (vNIC) プロファイル (仮想マシンネットワークインターフェイスプロファイル) に適用される際にネットワークトラフィックを規制します。
仮想マシンのネットワーク QoS エントリーの作成
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- VM Network で、New をクリックします。
- 仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーの Name を入力します。
- Inbound および Outbound ネットワークトラフィックの制限を入力します。
- をクリックします。
仮想ネットワークインターフェイスコントローラーで使用可能な仮想マシンネットワーク QoS エントリーが作成されました。
2.1.2.2. New Virtual Machine Network QoS および Edit Virtual Machine Network QoS ウインドウの設定の説明
仮想マシンのネットワーク QoS 設定により、3 つの異なるレベルで送受信トラフィックの両方に帯域幅の制限を設定できます。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Data Center | 仮想マシンのネットワーク QoS ポリシーを追加するデータセンター。このフィールドは、選択したデータセンターに応じて自動的に設定されます。 |
Name | Manager 内の仮想マシンネットワーク QoS ポリシーを表す名前。 |
Inbound | 受信トラフィックに適用される設定。Inbound チェックボックスを選択または選択解除して、これらの設定を有効または無効にします。
|
Outbound | 送信トラフィックに適用される設定。Outbound チェックボックスを選択または選択解除して、これらの設定を有効または無効にします。
|
Average、Peak、または Burst フィールドで許可される最大値を変更するには、engine-config
コマンドを使用して MaxAverageNetworkQoSValue
、MaxPeakNetworkQoSValue
、または MaxBurstNetworkQoSValue
の設定キーの値を変更します。変更を反映するには、ovirt-engine サービスを再起動する必要があります。以下に例を示します。
# engine-config -s MaxAverageNetworkQoSValue=2048 # systemctl restart ovirt-engine
2.1.2.3. 仮想マシンのネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーの削除
既存の仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーを削除します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- VM Network で、仮想マシンネットワーク QoS (Quality of Service) エントリーを選択して Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.1.3. ホストネットワーク QoS
ホストネットワーク QoS は、ホスト上のネットワークを設定し、物理インターフェイス経由のネットワークトラフィックの制御を可能にします。ホストネットワーク QoS により、同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラー上のネットワークリソースの使用を制御することで、ネットワークのパフォーマンスをより細かく調整できます。これにより、1 つのネットワークが原因で、同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラーにアタッチされている他のネットワークがトラフィックの輻輳により機能しなくなる状況を防ぐことができます。ホストネットワーク QoS 設定により、これらのネットワークは、輻輳問題なしに同じ物理ネットワークインターフェイスコントローラー上で機能できるようになります。
2.1.3.1. ホストネットワーク QoS エントリーの作成
ホストネットワーク QoS エントリーを作成します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Host Network で、New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの説明を入力します。
- Weighted Share、Rate Limit [Mbps]、および Committed Rate [Mbps] に必要な値を入力します。
- をクリックします。
2.1.3.2. New Host Network Quality of Service および Edit Host Network Quality of Service ウィンドウの設定の説明
ホストネットワーク QoS 設定により、送信トラフィックの帯域幅制限を設定できます。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Data Center | ホストネットワーク QoS ポリシーを追加するデータセンター。このフィールドは、選択したデータセンターに応じて自動的に設定されます。 |
QoS Name | Manager 内のホストネットワーク QoS ポリシーを表す名前。 |
Description | ホストネットワーク QoS ポリシーの説明 |
Outbound | 送信トラフィックに適用される設定。
|
Rate Limit [Mbps] または Committed Rate [Mbps] フィールドで許可される最大値を変更するには、engine-config
コマンドを使用して MaxAverageNetworkQoSValue
設定キーの値を変更します。変更を反映するには、ovirt-engine サービスを再起動する必要があります。以下に例を示します。
# engine-config -s MaxAverageNetworkQoSValue=2048 # systemctl restart ovirt-engine
2.1.3.3. ホストネットワーク QoS エントリーの削除
既存のネットワーク QoS エントリーを削除します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- Host Network で、ホストネットワーク QoS エントリーを選択して Remove をクリックします。
- プロンプトが表示されたら をクリックします。
2.1.4. CPU QoS
CPU QoS は、仮想マシンが実行されているホスト上で仮想マシンがアクセスできる処理能力の最大量を定義します。これは、そのホストで使用可能な処理能力の合計に対する割合で表されます。CPU QoS を仮想マシンに割り当てると、クラスター内の 1 つの仮想マシンのワークロードが、そのクラスターの他の仮想マシンで利用できる処理リソースに影響を与えないようにすることができます。
2.1.4.1. CPU QoS エントリーの作成
CPU QoS エントリーを作成します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- CPU で New をクリックします。
- QoS Name と QoS エントリーの Description を入力します。
-
QoS エントリーで許可される最大処理能力を Limit (%) フィールドに入力します。
%
記号は含めないでください。 - をクリックします。
CPU QoS エントリーが作成され、データセンターに属するクラスターのそのエントリーに基づいて CPU プロファイルを作成できます。
2.1.4.2. CPU QoS エントリーの削除
既存の CPU QoS エントリーを削除します。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- QoS タブをクリックします。
- CPU で CPU QoS エントリーを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
そのエントリーに基づく CPU プロファイルが存在する場合、それらのプロファイルの CPU QoS エントリーは自動的に [unlimited]
に設定されます。
2.2. データセンター
2.2.1. データセンターの概要
データセンターとは、特定の環境で使用するリソースのセットを定義する論理エンティティーです。データセンターは、コンテナーリソース (クラスターとホストの形式の論理リソースで構成)、ネットワークリソース (論理ネットワークと物理 NIC の形式)、およびストレージリソース (ストレージドメインの形式) と見なされます。
データセンターには、複数のホストを含む複数のクラスターを含めることができます。複数のストレージドメインが関連付けられており、各ホスト上の複数の仮想マシンをサポートすることができます。Red Hat Virtualization 環境には複数のデータセンターを含めることができます。データセンターインフラストラクチャーを使用すると、これらのセンターを分離した状態にすることができます。
すべてのデータセンターは、1 つの管理ポータルから管理されます。
図2.1 データセンター
Red Hat Virtualization は、インストール時にデフォルトのデータセンターを作成します。デフォルトのデータセンターを設定するか、または適切に名前が付けられたデータセンターを設定できます。
2.2.2. ストレージプールマネージャー
Storage Pool Manager (SPM) は、データセンター内のホストのいずれかに渡すロールで、データセンターのストレージドメインを管理できるようにします。SPM エンティティーはデータセンター内の任意のホストで実行できます。Red Hat Virtualization Manager はいずれかのホストにロールを付与します。SPM は標準の操作からホストを事前に設定しません。SPM として実行されているホストは引き続き仮想リソースをホストできます。
SPM エンティティーは、ストレージドメイン全体でメタデータを調整することにより、ストレージへのアクセスを制御します。これには、仮想ディスク (イメージ)、スナップショット、テンプレートの作成、削除、操作、およびスパースブロックデバイス (SAN 上) のストレージの割り当てが含まれます。これは排他的な責任です。メタデータの整合性を確保するために、データセンターの SPM となるホストは同時に 1 つだけです。
Red Hat Virtualization Manager は、SPM が常に利用できることを確認します。SPM ホストがストレージにアクセスする際に問題が発生した場合、Manager は SPM ロールを別のホストに移動します。SPM が起動すると、それがロールを付与された唯一のホストであることを確認します。したがって、ストレージ中心のリースを取得します。このプロセスには時間がかかる場合があります。
2.2.3. SPM の優先度
SPM ロールは、ホストの利用可能なリソースの一部を使用します。ホストの SPM 優先度の設定により、ホストが SPM ロールが割り当てられる可能性があります。SPM 優先度が高いホストには、SPM の優先度が低いホストの前に SPM ロールが割り当てられます。SPM 優先度が低いホストの重要な仮想マシンは、ホストリソースの SPM 操作と連動させる必要はありません。
Edit Host ウィンドウの SPM タブで、ホストの SPM タブの優先度を変更できます。
2.2.4. データセンタータスク
2.2.4.1. 新規データセンターの作成
以下の手順で、お使いの仮想化環境にデータセンターを作成できます。データセンターが機能するには、機能しているクラスター、ホスト、およびストレージドメインが必要です。
互換バージョン を設定したら、バージョン番号を低くすることはできません。バージョンリグレッションはサポートされていません。
クラスターの MAC プール範囲を指定できます。MAC プール範囲の設定はサポートされなくなりました。
手順
- → をクリックします。
- New をクリックします。
- データセンターの Name および Description を入力します。
- ドロップダウンメニューから、データセンターの Storage Type、Compatibility Version、Quota Mode を選択します。
- Data Center - Guide Me ウィンドウを開きます。 をクリックしてデータセンターを作成し、
- Guide Me ウィンドウには、データセンター用に設定する必要のあるエンティティーが一覧表示されます。これらのエンティティーを設定するか、Configure Later ボタンをクリックして設定を延期します。設定を再開するには、データセンターを選択し、More Actions ( ) をクリックしてから Guide Me をクリックします。
新しいデータセンターは、クラスター、ホスト、およびストレージドメインが設定されるまで Uninitialized になります。Guide Me を使用してこれらのエンティティーを設定します。
2.2.4.2. New Data Center と Edit Data Center ウィンドウの設定の説明
以下の表は、New Data Center および Edit Data Center ウィンドウに表示されるデータセンターの設定を説明しています。 をクリックすると、無効なエントリーがオレンジ色で囲まれ、変更は承認されません。さらに、フィールドプロンプトには、予想される値または値の範囲が示されます。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Name | データセンターの名前。このテキストフィールドには 40 文字の制限があり、大文字、小文字、数字、ハイフン、およびアンダースコアの組み合わせが含まれる一意の名前である必要があります。 |
説明 | データセンターの説明このフィールドは推奨されますが、必須ではありません。 |
Storage Type | Shared または Local ストレージタイプを選択します。 異なるタイプのストレージドメイン (iSCSI、NFS、FC、POSIX、および Gluster) を同じデータセンターに追加できます。ただし、ローカルドメインおよび共有ドメインを混在させることはできません。 データセンターの初期化後にストレージタイプを変更できます。データセンターのストレージタイプの変更 を参照してください。 |
Compatibility Version | Red Hat Virtualization のバージョン。 Red Hat Virtualization Manager をアップグレードした後も、ホスト、クラスター、およびデータセンターが以前のバージョンのままになっている可能性があります。データセンターの互換性レベルをアップグレードする前に、まずすべてのホスト、次にクラスターがアップグレードされていることを確認します。 |
Quota Mode | クォータは、Red Hat Virtualization で提供されるリソース制限ツールです。以下のいずれかを選択します。
|
Comment | オプションで、データセンターに関するプレーンテキストコメントを追加します。 |
2.2.4.3. データセンターの再初期化: 復旧手順
この復旧手順は、データセンターの master
データドメインを新しい master
データドメインに置き換えます。データが破損している場合は、master
データドメインを再初期化する必要があります。データセンターを再初期化すると、クラスター、ホスト、問題のないストレージドメインなど、データセンターに関連付けられた他のリソースをすべて復元できます。
バックアップまたはエクスポートした仮想マシンまたはテンプレートを、新しい master
データドメインにインポートできます。
手順
- → をクリックし、データセンターを選択します。
- データセンターに接続されたストレージドメインがメンテナンスモードにあることを確認します。
- More Actions ( ) をクリックしてから、Re-Initialize Data Center をクリックします。
- Data Center Re-Initialize ウィンドウには、利用可能なすべての (割り当て解除あり、メンテナンスモードの場合) ストレージドメインが一覧表示されます。データセンターに追加するストレージドメインのラジオボタンをクリックします。
- Approve operation チェックボックスを選択します。
- をクリックします。
ストレージドメインは、master
データドメインとしてデータセンターにアタッチされ、アクティベートされます。これで、バックアップまたはエクスポートした仮想マシンまたはテンプレートを新しい master
データドメインにインポートできるようになりました。
2.2.4.4. データセンターの削除
データセンターを削除するには、アクティブなホストが必要です。データセンターを削除しても、関連付けられたリソースは削除されません。
手順
- データセンターに接続されたストレージドメインがメンテナンスモードにあることを確認します。
- → をクリックし、削除するデータセンターを選択します。
- Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.2.4.5. データセンターの強制削除
アタッチされたストレージドメインが破損したり、ホストが Non Responsive
になった場合、データセンターが Non Responsive
になります。いずれの状況においても、データセンターを Remove できません。
Force Remove では、アクティブなホストは必要ありません。また、アタッチされているストレージドメインも完全に削除します。
データセンターを Force Remove する前に、破損したストレージドメインを Destroy する必要がある場合があります。
手順
- → をクリックし、削除するデータセンターを選択します。
- More Actions ( ) をクリックしてから、Force Remove をクリックします。
- Approve operation チェックボックスを選択します。
- をクリックします。
データセンターおよび割り当てられたストレージドメインは、Red Hat Virtualization 環境から完全に削除されます。
2.2.4.6. データセンターストレージタイプの変更
データセンターの初期化後に、データセンターのストレージタイプを変更できます。これは、仮想マシンまたはテンプレートの移動に使用されるデータドメインに役立ちます。
制限
- 共有からローカル - ホストおよびクラスターがそれぞれ 1 つしかないデータセンターの場合。ローカルデータセンターではサポートされていません。
- ローカルから共有 - ローカルストレージドメインを含まないデータセンターの場合。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- Edit をクリックします。
- Storage Type を必要な値に変更します。
- をクリックします。
2.2.4.7. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のすべてのクラスターは、指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
2.2.5. データセンターおよびストレージドメイン
2.2.5.1. 既存のデータドメインをデータセンターにアタッチ
Unattached データドメインは、データセンターにアタッチすることができます。複数のタイプ (iSCSI、NFS、FC、POSIX、および Gluster) の共有ストレージドメインを同じデータセンターに追加できます。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Storage タブをクリックして、データセンターにすでにアタッチされているストレージドメインを一覧表示します。
- Attach Data をクリックします。
- データセンターにアタッチするデータドメインのチェックボックスを選択します。複数のデータドメインを割り当てる場合は、複数のチェックボックスを選択できます。
- をクリックします。
データドメインはデータセンターにアタッチされ、自動的にアクティブになります。
2.2.5.2. 既存の ISO ドメインをデータセンターにアタッチ
Unattached ISO ドメインは、データセンターにアタッチすることができます。ISO ドメインは、データセンターと同じ Storage Type である必要があります。
データセンターに 1 つの ISO ドメインのみをアタッチできます。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Storage タブをクリックして、データセンターにすでにアタッチされているストレージドメインを一覧表示します。
- Attach ISO をクリックします。
- 適切な ISO ドメインのラジオボタンをクリックします。
- をクリックします。
ISO ドメインはデータセンターにアタッチされ、自動的にアクティブになります。
2.2.5.3. 既存のエクスポートドメインをデータセンターにアタッチ
エクスポートストレージドメインは非推奨になりました。ストレージデータドメインはデータセンターからデタッチし、同じ環境または別の環境にある別のデータセンターにインポートすることができます。仮想マシン、フローティング仮想ディスク、およびテンプレートは、インポートされたストレージドメインからアタッチされたデータセンターにアップロードできます。ストレージドメインのインポートについては、既存のストレージドメインのインポート を参照してください。
Unattached ドメインは、データセンターにアタッチすることができます。データセンターには、エクスポートドメインを 1 つだけアタッチできます。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Storage タブをクリックして、データセンターにすでにアタッチされているストレージドメインを一覧表示します。
- Attach Export をクリックします。
- 適切なエクスポートドメインのラジオボタンをクリックします。
- をクリックします。
エクスポートドメインはデータセンターにアタッチされ、自動的にアクティブになります。
2.2.5.4. データセンターからストレージドメインをデタッチ
データセンターからストレージドメインをデタッチすると、データセンターとそのストレージドメインの関連付けは解除されます。ストレージドメインは Red Hat Virtualization 環境から削除されず、別のデータセンターにアタッチすることができます。
仮想マシンやテンプレートなどのデータは、引き続きストレージドメインにアタッチされます。
最後のマスターストレージドメインをデタッチすることは可能ですが、これはお勧めできません。
マスターストレージドメインがデタッチされている場合は、再初期化する必要があります。
ストレージドメインが再初期化されると、すべてのデータが失われ、ストレージドメインがディスクを再度検出できなくなる可能性があります。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Storage タブをクリックして、データセンターにアタッチされているストレージドメインを一覧表示します。
-
デタッチするストレージドメインを選択します。ストレージドメインが
Active
の場合は、Maintenance をクリックします。 - をクリックしてメンテナンスモードを開始します。
- Detach をクリックします。
- をクリックします。
ストレージドメインが詳細ビューから消えるまでに数分かかる場合があります。
2.3. クラスター
2.3.1. クラスターの概要
クラスターは、同じストレージドメインを共有し、同じタイプの CPU (Intel または AMD) を持つホストの論理グループです。ホストに異なる CPU モデルの生成がある場合は、すべてのモデルに存在する機能のみを使用します。
システム内の各クラスターはデータセンターに属し、システム内の各ホストはクラスターに属している必要があります。仮想マシンはクラスター内の任意のホストに動的に割り当てられ、仮想マシン上のクラスターおよび設定に合わせて、それらのホスト間で移行することができます。クラスターは、電源および負荷分散ポリシーを定義できる最上位です。
クラスターに属するホストおよび仮想マシンの数は、Host Count および VM Count の結果一覧にそれぞれ表示されます。
クラスターは仮想マシンまたは Red Hat Gluster Storage サーバーを実行します。これら 2 つの目的は相互排他的です。単一クラスターでは仮想化とストレージホストをまとめてサポートできません。
Red Hat Virtualization は、インストール時にデフォルトのデータセンターにデフォルトのクラスターを作成します。
図2.2 クラスター
2.3.2. クラスタータスク
一部のクラスターオプションは Gluster クラスターには適用されません。Red Hat Virtualization で Red Hat Gluster Storage を使用する方法の詳細は、Red Hat Gluster Storage を使用した Red Hat Virtualization の設定 を参照してください。
2.3.2.1. 新規クラスターの作成
データセンターには複数のクラスターを含めることができ、クラスターには複数のホストを含めることができます。クラスター内のすべてのホストに同じ CPU アーキテクチャーがなければなりません。CPU タイプを最適化するには、クラスターを作成する前にホストを作成します。クラスターを作成したら、Guide Me ボタンを使用してホストを設定できます。
手順
- → をクリックします。
- New をクリックします。
- ドロップダウンリストからクラスターが所属するData Center を選択します。
- クラスターの Name および Description を入力します。
- Management Network のドロップダウンリストからネットワークを選択して、管理ネットワークロールを割り当てます。
- CPU Architecture を選択します。
CPU Type には、このクラスターの一部であるホスト間で、最も古い CPU プロセッサーファミリー を選択します。CPU タイプは、最も古いものから最新の順に一覧表示されます。
重要CPU プロセッサーファミリーが CPU Type で指定したホストよりも古いホストは、このクラスターの一部にすることはできません。詳細は、RHEV3 または RHV4 クラスターをどの CPU ファミリーに設定する必要があるか を参照してください。
- ドロップダウンリストからクラスターの FIPS Mode を選択します。
- ドロップダウンリストから、クラスターの Compatibility Version を選択します。
- ドロップダウンリストから Switch Type を選択します。
クラスター内のホストの Firewall Type (Firewalld (デフォルト) または iptables) を選択します。
注記iptables がサポートされるのは、互換バージョン 4.2 または 4.3 のクラスターの Red Hat Enterprise Linux 7 ホストのみです。Red Hat Enterprise Linux 8 ホストは、ファイアウォールタイプが firewalld のクラスターにのみ追加できます。
- Enable Virt Service または Enable Gluster Service チェックボックスを選択して、クラスターが仮想マシンホストまたは Gluster 対応ノードと共に設定されるかどうかを定義します。
- Enable to set VM maintenance reason チェックボックスを選択すると、仮想マシンを Manager からシャットダウンする際に任意の reason フィールドが有効になり、管理者はメンテナンスの説明を提供できます。
- Enable to set Host maintenance reason チェックボックスを選択すると、ホストを Manager からメンテナンスモードにする時に任意の reason フィールドが有効になり、管理者はメンテナンスの説明を提供できます。
- オプションで /dev/hwrng source (外部ハードウェアデバイス) のチェックボックスを選択し、クラスター内のすべてのホストが使用する乱数ジェネレーターデバイスを指定します。/dev/urandom source (Linux が提供するデバイス) はデフォルトで有効になっています。
- Optimization タブをクリックしてクラスターのメモリーページ共有しきい値を選択し、必要に応じてクラスター内のホストで CPU スレッド処理とメモリーバルーンを有効にします。
- Migration Policy タブをクリックして、クラスターの仮想マシン移行ポリシーを定義します。
- Scheduling Policy (スケジューリングポリシー) タブをクリックして、スケジューリングポリシーの設定、スケジューラー最適化の設定、クラスター内のホストの信頼できるサービスの有効化、HA Reservation の有効化、シリアル番号ポリシーを選択します。
- Console タブをクリックしてオプションでグローバル SPICE プロキシー (ある場合) を上書きし、クラスターに含まれるホストの SPICE プロキシーのアドレスを指定します。
- Fencing policy タブをクリックして、クラスターでフェンシングを有効または無効にします。また、フェンシングオプションを選択します。
- MAC Address Poolタブをクリックして、クラスターのデフォルトプール以外の MAC アドレスプールを指定します。MAC アドレスプールの作成、編集、削除に関するその他のオプションについては、MAC アドレスプール を参照してください。
- Cluster - Guide Me ウインドウを開きます。 をクリックしてクラスターを作成し、
- Guide Me ウィンドウには、クラスターに設定する必要のあるエンティティーが一覧表示されます。これらのエンティティーを設定するか、Configure Later ボタンをクリックして設定を延期します。設定を再開するには、クラスターを選択し、More Actions ( ) をクリックしてから、Guide Me をクリックします。
2.3.2.2. 一般的なクラスター設定に関する説明
以下の表は、New Cluster および Edit Cluster ウィンドウの General タブの設定を説明しています。 をクリックすると、無効なエントリーはオレンジ色で囲まれ、変更は承認されません。さらに、フィールドプロンプトには、予想される値または値の範囲が示されます。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Data Center | クラスターが含まれるデータセンター。クラスターを追加する前にデータセンターを作成する必要があります。 |
Name | クラスターの名前。このテキストフィールドには 40 文字の制限があり、大文字、小文字、数字、ハイフン、およびアンダースコアの組み合わせが含まれる一意の名前である必要があります。 |
Description / Comment | クラスターまたは追加のメモの説明。これらのフィールドは推奨されますが、必須ではありません。 |
Management Network | 管理ネットワークロールを割り当てる論理ネットワーク。デフォルトは ovirtmgmt です。移行ネットワークが移行元または移行先ホストに正しくアタッチされていない場合、このネットワークが仮想マシンの移行にも使用されます。 既存のクラスターでは、詳細ビューの Logical Networks タブにある Manage Networks ボタンを使用すると、管理ネットワークを変更できます。 |
CPU Architecture | クラスターの CPU アーキテクチャー。クラスター内のすべてのホストは、指定したアーキテクチャーを実行する必要があります。選択した CPU アーキテクチャーに応じて、さまざまな CPU タイプを利用できます。
|
CPU Type | クラスター内の最も古い CPU ファミリー。CPU タイプの一覧は、プランニングおよび前提条件に関するガイド の CPU の要件 を参照してください。作成したクラスターは、重大な中断が発生しない限り変更できません。CPU タイプをクラスター内の最も古い CPU モデルに設定します。すべてのモデルに存在する機能のみ使用できます。Intel タイプおよび AMD CPU タイプの両方の場合、リストされた CPU モデルは、最も古いものから最新の順に論理的に使用されます。 |
Chipset/Firmware Type | この設定は、クラスターの CPU Architecture が x86_64 に設定されている場合にのみ使用できます。この設定では、チップセットとファームウェアのタイプを指定します。オプションは以下のとおりです。
詳細は、管理ガイドの UEFI および Q35 チップセット を参照してください。 |
Change Existing VMs/Templates from 1440fx to Q35 Chipset with Bios | クラスターのチップセットが I440FX から Q35 に変更された場合、既存のワークロードを変更するには、このチェックボックスを選択します。 |
FIPS Mode | クラスターが使用する FIPS モード。クラスター内のすべてのホストは、指定する FIPS モードを実行する必要があります。実行しないと、稼働しなくなります。
|
Compatibility Version | Red Hat Virtualization のバージョン。データセンターに指定したバージョンよりも前のバージョンは選択できません。 |
Switch Type | クラスターが使用するスイッチのタイプ。Linux Bridge は、標準の Red Hat Virtualization スイッチです。OVS は、Open vSwitch のネットワーク機能をサポートします。 |
Firewall Type | クラスター内のホストのファイアウォールタイプ (firewalld (デフォルト) または iptables のいずれか) を指定します。iptables がサポートされるのは、互換バージョン 4.2 または 4.3 のクラスターの Red Hat Enterprise Linux 7 ホストのみです。Red Hat Enterprise Linux 8 ホストは、ファイアウォールタイプ firewalld のクラスターにのみ追加できます。既存のクラスターのファイアウォールタイプを変更する場合は、クラスターで すべてのホストを再インストール し、変更を適用する必要があります。 |
Default Network Provider | クラスターが使用するデフォルトの外部ネットワークプロバイダーを指定します。Open Virtual Network (OVN) を選択する場合、クラスターに追加されたホストは OVN プロバイダーと通信するように自動的に設定されます。 デフォルトのネットワークプロバイダーを変更する場合は、クラスターのすべてのホストを再インストール し、変更を適用する必要があります。 |
Maximum Log Memory Threshold |
最大メモリー消費のロギングしきい値を、パーセンテージまたは絶対値 (MB 単位) で指定します。ホストのメモリー使用量がパーセンテージ値を超えている場合や、ホストで利用可能なメモリーが絶対値 (MB 単位) を下回る場合にログに記録されます。デフォルトは |
Enable Virt Service | このチェックボックスを選択すると、このクラスター内のホストは仮想マシンの実行に使用されます。 |
Enable Gluster Service | このチェックボックスを選択すると、このクラスターのホストは Red Hat Gluster Storage Server ノードとして使用され、仮想マシンの実行には使用されません。 |
Import existing gluster configuration | このチェックボックスは、Enable Gluster Service ラジオボタンが選択されている場合にのみ利用できます。このオプションを使用すると、既存の Gluster 対応クラスターおよびその割り当てられたすべてのホストを Red Hat Virtualization Manager にインポートできます。 以下のオプションは、インポートされているクラスター内のホストごとに必要です。
|
Additional Random Number Generator source | このチェックボックスを選択すると、クラスター内のすべてのホストで追加の乱数ジェネレーターデバイスを使用できます。これにより、乱数ジェネレーターデバイスから仮想マシンへのエントロピーのパススルーが可能になります。 |
Gluster Tuned Profile | このチェックボックスは、Enable Gluster Service チェックボックスが選択されている場合にのみ利用できます。このオプションは、virtual-host チューニングプロファイルを指定してダーティーメモリーページのさらに積極的なライトバックを有効にし、ホストのパフォーマンスを向上させます。 |
2.3.2.3. 最適化設定の説明
メモリーに関する考慮事項
メモリーページの共有により、仮想マシンは、他の仮想マシンで未使用のメモリーを利用することで、割り当てられたメモリーの最大 200% を使用できます。このプロセスは、Red Hat Virtualization 環境内のすべての仮想マシンが同時に全容量を使用して実行されるわけではなく、未使用のメモリーが一時的に特定の仮想マシンに割り当てられることを前提としています。
CPU の考慮事項
CPU 負荷が高くないワークロードの場合、ホスト内のコア数よりも大きいプロセッサーコアの合計数で仮想マシンを実行できます (単一仮想マシンのプロセッサーコア数は、ホストのコア数を超えることができません)。以下の利点があります。
- より多くの仮想マシンを実行することができます。これにより、ハードウェアの要件が減少します。
- 仮想コア数がホストコア数とホストスレッド数の間にある場合など、それ以外の場合は不可能な CPU トポロジーで仮想マシンを設定できます。
- 最適なパフォーマンス、特に CPU 集約型のワークロードの場合、ホストと同じトポロジーを仮想マシンで使用し、ホストと仮想マシンが同じキャッシュの使用を想定するようにします。ホストのハイパースレッディングが有効な場合、QEMU がホストのハイパースレッドをコアとして扱うため、仮想マシンは複数のスレッドを持つ単一のコアで実行されていることを認識しません。ホストコアのハイパースレッドに実際に対応する仮想コアは、仮想マシンのパフォーマンスに影響する可能性があります。これは、同じホストコアのハイパースレッドと単一のキャッシュを共有する可能性がありますが、仮想マシンは別のコアとして扱います。
以下の表は、New Cluster および Edit Cluster ウィンドウの Optimization タブの設定を説明しています。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Memory Optimization |
|
CPU Threads | Count Threads As Cores チェックボックスをオンにすると、ホスト内のコア数よりも大きいプロセッサーコアの合計数で仮想マシンを実行できます (単一仮想マシンのプロセッサーコア数は、ホストのコア数を超えることができません)。 このチェックボックスを選択すると、公開されるホストスレッドは仮想マシンが使用できるコアとして扱われます。たとえば、コアごとに 2 つのスレッドがある 24 コアのシステム (全部で 48 スレッド) では、最大 48 コアを持つ仮想マシンを実行できます。そして、ホストの CPU 負荷を計算するアルゴリズムでは、潜在的に使用されるコアの 2 倍に対して負荷を比較します。 |
Memory Balloon | Enable Memory Balloon Optimization のチェックボックスを選択し、このクラスターのホストで実行している仮想マシンでメモリーのオーバーコミットを有効にします。このチェックボックスを選択すると、Memory Overcommit Manager (MoM) は、可能な限りバルーニングを開始し、すべての仮想マシンの保証メモリーサイズを制限します。
バルーンを実行するには、仮想マシンに適切なドライバーを持つバルーンデバイスが必要です。各仮想マシンには、特に削除しない限り、バルーンデバイスが含まれます。このクラスター内の各ホストは、ステータスが 状況によっては、バルーニングが KSM と競合する可能性がある点を理解することが重要です。このような場合、MoM は競合の可能性を最小限に抑えるためにバルーンサイズの調整を試みます。また、バルーニングによって仮想マシンのパフォーマンスが最適化されない場合もあります。ルーニングの最適化に関して、管理者は慎重に使用することが推奨されます。 |
KSM control | Enable KSM チェックボックスを選択すると、MoM は必要に応じて、CPU コストを上回るメモリー節約効果が得られる場合に、Kernel Same-page Merging (KSM) を実行できます。 |
2.3.2.4. 移行ポリシー設定の説明
移行ポリシーは、ホストに障害が発生した場合に仮想マシンをライブマイグレーションするための条件を定義します。これらの条件には、移行中の仮想マシンのダウンタイム、ネットワーク帯域幅、および仮想マシンの優先順位が含まれます。
ポリシー | 説明 |
---|---|
Cluster default (Minimal downtime) |
|
Minimal downtime | 仮想マシンを一般的な状況で移行できるようにするポリシー。仮想マシンで重大なダウンタイムは発生しません。移行は、長時間 (QEMU の反復により最大 500 ミリ秒) 経過しても仮想マシンの移行が収束されない場合に中止されます。ゲストエージェントフックメカニズムは有効化されています。 |
Post-copy migration | post-copy migration を使用すると、移行元のホスト上にある移行対象の仮想マシンの vCPU が一時停止され、最小限のメモリーページのみ転送されます。次に、移行先ホストにある仮想マシンの vCPU がアクティブ化され、移行先で仮想マシンが動作している間に残りのメモリーページが転送されます。 post-copy ポリシーでは、まず pre-copy を実行して収束するか検証します。長時間経過しても仮想マシンの移行が収束しない場合、post-copy に切り替わります。 これにより、移行先の仮想マシンのダウンタイムが大幅に短縮されるとともに、移行元の仮想マシンのメモリーページがどれだけ急激に変化しても、確実に移行が完了されます。標準的な pre-copy の移行では対応できない、連続使用率の高い仮想マシンの移行に最適です。 このポリシーの欠点として、post-copy フェーズではメモリーの不足部分がホスト間で転送されるため、仮想マシンが大幅に遅くなる可能性があります。 警告 post-copy プロセスの完了前にネットワーク接続が切断されると、Manager は一時停止し、実行中の仮想マシンを強制終了します。仮想マシンの可用性が重要である場合や、移行ネットワークが不安定な場合は、post-copy migration を使用しないでください。 |
Suspend workload if needed | 負荷の高いワークロードを実行している仮想マシンを含め、ほとんどの状況で仮想マシンを移行できるポリシー。結果として、他の設定よりも重大なダウンタイムが仮想マシンで発生する場合があります。ワークロードが極端な場合、移行が中止される可能性があります。ゲストエージェントフックメカニズムは有効化されています。 |
帯域幅設定は、ホストごとの送信移行と受信移行の両方の最大帯域幅を定義します。
ポリシー | 説明 |
---|---|
Auto | 帯域幅は、データセンターの Host Network QoS の Rate Limit [Mbps] 設定からコピーされます。レート制限が定義されていない場合は、ネットワークインターフェイスの送受信における最小リンク速度として計算されます。レート制限が設定されていない場合や、リンク速度が利用できない場合には、ホスト送信時にローカルの VDSM 設定により決定されます。 |
Hypervisor default | 帯域幅は、ホスト送信時にローカルの VDSM 設定によって制御されます。 |
Custom | ユーザーにより定義されます (Mbps 単位)。この値は、同時移行の数 (デフォルトは ingoing と outgoing の移行を考慮して 2) で分割されます。したがって、ユーザー定義の帯域幅は、すべての同時移行に対応できる十分な大きさである必要があります。
たとえば、 |
耐障害性ポリシーは、移行での仮想マシンの優先順位を定義します。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Migrate Virtual Machines | 定義された優先順位で、すべての仮想マシンを移行します。 |
Migrate only Highly Available Virtual Machines | 他のホストのオーバーロードを防ぐために、高可用性の仮想マシンのみを移行します。 |
Do Not Migrate Virtual Machines | 仮想マシンを移行しないようにします。 |
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Enable Migration Encryption | 移行中に仮想マシンを暗号化できるようにします。
|
Parallel Migrations | 使用する並列移行接続の有無と数を指定できます。
|
Number of VM Migration Connections | この設定は、Custom が選択されている場合にのみ利用できます。カスタム並列移行の推奨数は 2 から 255 です。 |
2.3.2.5. スケジューリングポリシー設定に関する説明
スケジューリングポリシーにより、利用可能なホスト間での仮想マシンの使用状況および分散を指定することができます。スケジューリングポリシーを定義して、クラスター内のホスト全体で自動負荷分散を有効にします。スケジューリングポリシーに関わらず、CPU が過負荷状態のホストでは仮想マシンが起動しません。デフォルトでは、ホストの CPU が 5 分間 80% 以上の負荷がかかった場合に過負荷と判断されますが、この値はスケジューリングポリシーを使って変更できます。詳細は、管理ガイド の スケジューリングポリシー を参照してください。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Select Policy | ドロップダウンリストからポリシーを選択します。
|
Properties | 以下のプロパティーは、選択したポリシーに応じて表示されます。必要に応じてこれを編集します。
|
Scheduler Optimization | ホストの重み付け/順序のスケジューリングを最適化します。
|
Enable Trusted Service |
OpenAttestation サーバーとのインテグレーションを有効にします。これを有効にする前に、 |
Enable HA Reservation | Manager が高可用性仮想マシンのクラスター容量を監視できるようにします。Manager は、既存のホストに予期せぬ障害が発生した場合に移行するため、高可用性として指定された仮想マシンのクラスター内に適切な容量が存在することを確認します。 |
Serial Number Policy | クラスター内の各新規仮想マシンにシリアル番号を割り当てるポリシーを設定します。
|
Custom Serial Number | クラスター内の新しい仮想マシンに適用するカスタムのシリアル番号を指定します。 |
ホストの空きメモリーが 20% 未満になると、mom.Controllers.Balloon - INFO Ballooning guest:half1 from 1096400 to 1991580
が /var/log/vdsm/mom.log に記録されます。/var/log/vdsm/mom.log は、Memory Overcommit Manager のログファイルです。
2.3.2.6. MaxFreeMemoryForOverUtilized および MinFreeMemoryForUnderUtilized クラスタースケジューリングポリシーのプロパティー
スケジューラーには、現在のクラスタースケジューリングポリシーおよびそのパラメーターに従って仮想マシンを移行するバックグラウンドプロセスがあります。スケジューラーは、さまざまな基準と相対的な重みに基づいて、継続的にホストを 移行元ホスト または 移行先ホスト に分類し、個々の仮想マシンを移行元ホストから移行先ホストに移行します。
以下は、evenly_distributed および power_saving クラスタースケジューリングポリシーと、MaxFreeMemoryForOverUtilized および MinFreeMemoryForUnderUtilized プロパティーとの相互作用を説明しています。どちらのポリシーも CPU とメモリーの負荷を考慮しますが、CPU 負荷は MaxFreeMemoryForOverUtilized プロパティーおよび MinFreeMemoryForUnderUtilized プロパティーには関係ありません。
MaxFreeMemoryForOverUtilized プロパティーおよび MinFreeMemoryForUnderUtilized プロパティーを evenly_distributed ポリシーの一部として定義する場合:
- 空きメモリーが MaxFreeMemoryForOverUtilized より少ないホストが過剰使用とみなされ、移行元ホストになります。
- 空きメモリーが MinFreeMemoryForUnderUtilized よりも大きいホストが、十分に使用されていないとみなされ、移行先ホストになります。
- MaxFreeMemoryForOverUtilized が定義されていない場合、スケジューラーはメモリー負荷に基づいて仮想マシンを移行しません。(CPU 負荷など、ポリシーの他の基準に基づく仮想マシンの移行は継続されます。)
- MinFreeMemoryForUnderUtilized が定義されていない場合、スケジューラーはすべてのホストを移行先ホストとして適格であるとみなします。
power_saving ポリシーの一部として MaxFreeMemoryForOverUtilized および MinFreeMemoryForUnderUtilized プロパティーを定義する場合:
- 空きメモリーが MaxFreeMemoryForOverUtilized より少ないホストが過剰使用とみなされ、移行元ホストになります。
- 空きメモリーが MinFreeMemoryForUnderUtilized よりも大きいホストが過小使用とみなされ、移行元ホストになります。
- 空きメモリーが MaxFreeMemoryForOverUtilized よりも大きいホストが過剰使用ではないとみなされ、移行先ホストになります。
- 空きメモリーが MinFreeMemoryForUnderUtilized より少ないホストが過小使用ではないとみなされ、移行先ホストになります。
- スケジューラーは仮想マシンを移行する際に、過剰使用でも過小使用でもないホストへの移行を優先します。該当するホストが不足する場合、スケジューラーは仮想マシンを使用率の低いホストに移行できます。この目的で使用率の低いホストが必要ない場合は、スケジューラーはそのホストの電源を切ることができます。
- MaxFreeMemoryForOverUtilized が定義されていない場合は、ホストは過剰使用とみなされません。そのため、使用率の低いホストのみが移行元ホストとなり、クラスター内のすべてのホストが移行先ホストとみなされます。
- MinFreeMemoryForUnderUtilized が定義されていない場合は、使用率の低いホストのみが移行元ホストとなり、過剰使用されていないホストが移行先ホストになります。
ホストによるすべての物理 CPU の過剰使用を防ぐには、仮想 CPU と物理 CPU の比率 (VCpuToPhysicalCpuRatio) を 0.1 - 2.9 の値で定義します。このパラメーターを設定すると、仮想マシンをスケジュールするときに CPU 使用率が低いホストが優先されます。
仮想マシンを追加すると比率が制限を超える場合、VCpuToPhysicalCpuRatio と CPU 使用率の両方が考慮されます。
実行環境では、ホスト VCpuToPhysicalCpuRatio が 2.5 を超えると、一部の仮想マシンが負荷分散され、VCpuToPhysicalCpuRatio が低いホストに移動される可能性があります。
関連情報
2.3.2.7. クラスターコンソール設定の説明
以下の表は、New Cluster および Edit Cluster ウィンドウの Console タブの設定を説明しています。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Define SPICE Proxy for Cluster | このチェックボックスを選択すると、グローバル設定で定義された SPICE プロキシーのオーバーライドが有効になります。この機能は、ハイパーバイザーが存在するネットワークの外部にユーザー (たとえば、仮想マシンポータル経由で接続するユーザー) がいる場合に役に立ちます。 |
Overridden SPICE proxy address | SPICE クライアントが仮想マシンに接続するプロキシー。アドレスは以下の形式でなければなりません。 protocol://[host]:[port] |
2.3.2.8. フェンシングポリシー設定の説明
以下の表は、New Cluster および Edit Cluster ウィンドウの Fencing Policy タブの設定を説明しています。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Enable fencing | クラスターのフェンシングを有効にします。フェンシングはデフォルトで有効になっていますが、必要に応じて無効にできます。たとえば、一時的なネットワークの問題が発生したり、予想される場合に、管理者は診断またはメンテナンスアクティビティーが完了するまでフェンシングを無効にできます。フェンシングが無効になっている場合、応答しないホストで実行している高可用性仮想マシンは、別の場所で再起動されないことに注意してください。 |
Skip fencing if host has live lease on storage | このチェックボックスが選択されている場合、クラスター内でレスポンスがなく、引き続きストレージに接続されているホストはフェンスされません。 |
Skip fencing on cluster connectivity issues | このチェックボックスを選択すると、接続の問題が発生するクラスター内のホストのパーセンテージが、定義された Threshold 以上になると、フェンシングが一時的に無効になります。Threshold 値はドロップダウンリストから選択されます。利用可能な値は 25、50、75、および 100 です。 |
Skip fencing if gluster bricks are up | このオプションは、Red Hat Gluster Storage 機能が有効にされている場合にのみ利用できます。このチェックボックスを選択すると、ブリックが実行中で、他のピアから到達できる場合にフェンシングはスキップされます。 2 章を参照してください。フェンシングポリシー を使用して高可用性を設定します。詳細は、Red Hat ハイパーコンバージドインフラストラクチャーのメンテナンス の 付録 A. Red Hat Gluster Storage のフェンシングポリシー を参照してください。 |
Skip fencing if gluster quorum not met | このオプションは、Red Hat Gluster Storage 機能が有効にされている場合にのみ利用できます。このチェックボックスが選択されている場合、ブリックが実行されているとフェンシングがスキップされ、ホストをシャットダウンするとクォーラムが失われます。 2 章を参照してください。フェンシングポリシー を使用して高可用性を設定します。詳細は、Red Hat ハイパーコンバージドインフラストラクチャーのメンテナンス の 付録 A. Red Hat Gluster Storage のフェンシングポリシー を参照してください。 |
2.3.2.9. クラスター内のホストの負荷および電源管理ポリシーの設定
evenly_distributed および power_saving スケジューリングポリシーを使用すると、許容可能なメモリーおよび CPU 使用率の値と、仮想マシンとホスト間の移行が必要なポイントを指定することができます。vm_evenly_distributed スケジューリングポリシーは、仮想マシンの数に基づいて、ホスト間で仮想マシンを均等に配布します。スケジューリングポリシーを定義して、クラスター内のホスト全体で自動負荷分散を有効にします。各スケジューリングポリシーの詳細は、クラスタースケジューリングポリシーの設定 を参照してください。
手順
- → をクリックし、クラスターを選択します。
- Edit をクリックします。
- Scheduling Policy タブをクリックします。
以下のポリシーのいずれかを選択します。
- none
vm_evenly_distributed
- HighVmCount フィールドで、少なくとも 1 台のホストで実行されている必要がある仮想マシンの最小数を設定して、負荷分散を有効にします。
- MigrationThreshold フィールドで、最も使用率の高いホスト上の仮想マシン数と、最も使用率の低いホスト上の仮想マシン数の、許容可能な最大差を定義します。
- SpmVmGrace フィールドで、SPM ホストで予約される仮想マシンのスロット数を定義します。
- 必要に応じて HeSparesCount フィールドで、移行またはシャットダウンした場合に Manager 用仮想マシンを起動できる十分な空きメモリーを確保する、追加のセルフホスト型エンジンノードの数を入力します。詳細は、セルフホスト型エンジン用に予約されているメモリースロットの設定 を参照してください。
evenly_distributed
- CpuOverCommitDurationMinutes フィールドで、スケジューリングポリシーによりアクションが実行される前に、定義された使用率値の範囲外となる CPU 負荷をホストで実行できる時間 (分単位) を設定します。
- HighUtilization フィールドに、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する CPU 使用率をパーセンテージで入力します。
- 必要に応じて HeSparesCount フィールドで、移行またはシャットダウンした場合に Manager 用仮想マシンを起動できる十分な空きメモリーを確保する、追加のセルフホスト型エンジンノードの数を入力します。詳細は、セルフホスト型エンジン用に予約されているメモリースロットの設定 を参照してください。
ホストによるすべての物理 CPU の過剰使用を防ぐには、仮想 CPU と物理 CPU の比率 (VCpuToPhysicalCpuRatio) を 0.1 - 2.9 の値で定義します (オプション)。このパラメーターを設定すると、仮想マシンをスケジュールするときに CPU 使用率が低いホストが優先されます。
仮想マシンを追加すると比率が制限を超える場合、VCpuToPhysicalCpuRatio と CPU 使用率の両方が考慮されます。
実行環境では、ホスト VCpuToPhysicalCpuRatio が 2.5 を超えると、一部の仮想マシンが負荷分散され、VCpuToPhysicalCpuRatio が低いホストに移動される可能性があります。
power_saving
- CpuOverCommitDurationMinutes フィールドで、スケジューリングポリシーによりアクションが実行される前に、定義された使用率値の範囲外となる CPU 負荷をホストで実行できる時間 (分単位) を設定します。
- LowUtilization フィールドに、その値を下回った場合に使用率が低すぎるとホストが判断する CPU 使用率を入力します。
- HighUtilization フィールドに、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する CPU 使用率をパーセンテージで入力します。
- 必要に応じて HeSparesCount フィールドで、移行またはシャットダウンした場合に Manager 用仮想マシンを起動できる十分な空きメモリーを確保する、追加のセルフホスト型エンジンノードの数を入力します。詳細は、セルフホスト型エンジン用に予約されているメモリースロットの設定 を参照してください。
クラスターの Scheduler Optimization として、以下のいずれかを選択します。
- Optimize for Utilization を選択すると、スケジューリングに重みモジュールが追加され、最適な選択が可能になります。
- Optimize for Speed を選択すると、保留中のリクエスト数が 10 を上回る場合にホストの重み付けをスキップします。
-
OpenAttestation サーバーを使用してホストを確認し、
engine-config
ツールを使用してサーバーの詳細を設定している場合は、Enable Trusted Service チェックボックスを選択します。
OpenAttestation および Intel Trusted Execution Technology (Intel TXT) は利用できなくなりました。
- 必要に応じて、Enable HA Reservation チェックボックスを選択し、Manager が高可用性仮想マシンのクラスター容量を監視できるようにします。
オプションで、クラスター内の仮想マシンの Serial Number Policy を選択します。
-
System Default: エンジン設定ツール、
DefaultSerialNumberPolicy
、DefaultCustomSerialNumber
キー名を使用して Manager データベースに設定されたシステム全体のデフォルトを使用します。DefaultSerialNumberPolicy
のデフォルト値は Host ID を使用します。詳細は、管理ガイド の スケジューリングポリシー を参照してください。 - Host ID: 仮想マシンのシリアル番号を、ホストの UUID に設定します。
- VM ID: 仮想マシンの UUID にそれぞれの仮想マシンのシリアル番号を設定します。
- Custom serial number: 各仮想マシンのシリアル番号を、以下の Custom Serial Number パラメーターで指定した値に設定します。
-
System Default: エンジン設定ツール、
- をクリックします。
2.3.2.10. クラスター内のホストでの MoM ポリシーの更新
Memory Overcommit Manager は、ホストのメモリーバルーンと KSM 機能を処理します。クラスターのこれらの機能への変更は、次回再起動後またはメンテナンスモードでホストが Up のステータスに移行するときにホストに渡されます。ただし、必要な場合は、ホストが Up のときに MoM ポリシーを同期することにより、重要な変更をホストをすぐに適用することができます。以下の手順は、各ホストで個別に実行する必要があります。
手順
- → をクリックします。
- クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Hosts タブをクリックして、更新後の MoM ポリシーが必要なホストを選択します。
- Sync MoM Policy をクリックします。
ホストの MoM ポリシーが更新されます。その際に、ホストをメンテナンスモードに移行してから Up に戻す必要はありません。
2.3.2.11. CPU プロファイルの作成
CPU プロファイルは、クラスター内の仮想マシンが、実行しているホストでアクセスできる最大処理機能を定義します。これは、そのホストで利用可能な合計処理能力に対するパーセントで表現されます。CPU プロファイルは、データセンターで定義された CPU プロファイルに基づいて作成され、クラスター内のすべての仮想マシンには自動的に適用されません。プロファイルを有効にするには、個々の仮想マシンに手動で割り当てる必要があります。
この手順では、クラスターが属するデータセンター配下に 1 つ以上の CPU QoS エントリーがすでに定義されていることを前提としています。
手順
- → をクリックします。
- クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- CPU Profiles タブをクリックします。
- New をクリックします。
- CPU プロファイルの Name および Description を入力します。
- QoS 一覧から CPU プロファイルに適用する QoS を選択します。
- をクリックします。
2.3.2.12. CPU プロファイルの削除
Red Hat Virtualization 環境から、既存の CPU プロファイルを削除します。
手順
- → をクリックします。
- クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- CPU Profiles タブをクリックし、削除する CPU プロファイルを選択します。
- Remove をクリックします。
- をクリックします。
CPU プロファイルが仮想マシンに割り当てられている場合、それらの仮想マシンには default
CPU プロファイルが自動的に割り当てられます。
2.3.2.13. 既存の Red Hat Gluster Storage クラスターのインポート
Red Hat Gluster Storage クラスターおよびクラスターに属するすべてのホストを、Red Hat Virtualization Manager にインポートできます。
クラスター内の任意のホストの IP アドレス、またはホスト名やパスワードなどの詳細を指定すると、SSH を介してそのホストで gluster peer status
コマンドが実行され、クラスターの一部であるホストの一覧が表示されます。各ホストのフィンガープリントを手動で検証し、パスワードを提供する必要があります。クラスター内のいずれかのホストが停止している、または到達できない場合、クラスターをインポートすることはできません。新規インポートされたホストに VDSM がインストールされていないため、ブートストラップスクリプトは、インポート後にホストに必要な VDSM パッケージをすべてインストールして再起動します。
手順
- → をクリックします。
- New をクリックします。
- クラスターが属する Data Center を選択します。
- クラスターの Name および Description を入力します。
Enable Gluster Service チェックボックスを選択し、Import existing gluster configuration チェックボックスを選択します。
Import existing gluster configuration フィールドは、Enable Gluster Service が選択されている場合にのみ表示されます。
Hostname フィールドには、クラスター内のサーバーのホスト名または IP アドレスを入力します。
ホストの SSH Fingerprint が表示され、正しいホストに接続していることを確認します。ホストが到達不能な場合や、ネットワークエラーが発生した場合には、Error in fetching fingerprint のエラーが Fingerprint フィールドに表示されます。
- サーバーの Password を入力し、 をクリックします。
- Add Hosts 画面が開き、クラスターに含まれるホストの一覧が表示されます。
- 各ホストに Name と Root Password を入力します。
すべてのホストに同じパスワードを使用する場合は、Use a Common Password チェックボックスを選択して、指定したテキストフィールドにパスワードを入力します。
Apply をクリックして、すべてのホストに入力したパスワードを設定します。
フィンガープリントが有効であることを確認し、OK をクリックして変更を送信します。
ブートストラップスクリプトは、インポート後にホストに必要な VDSM パッケージをすべてインストールして再起動します。これで、Red Hat Virtualization Manager に既存の Red Hat Gluster Storage クラスターが正常にインポートされました。
2.3.2.14. Add Hosts ウィンドウの設定の説明
Add Hosts ウィンドウで、Gluster 対応クラスターの一部としてインポートされたホストの詳細を指定できます。このウィンドウは、New Cluster ウィンドウで Enable Gluster Service チェックボックスを選択し、必要なホストの詳細を指定すると表示されます。
フィールド | 説明 |
---|---|
Use a common password | このチェックボックスをオンにすると、クラスターに属するすべてのホストに同じパスワードを使用します。Password フィールドにパスワードを入力し、Apply ボタンをクリックして全ホストにパスワードを設定します。 |
Name | ホストの名前を入力します。 |
Hostname/IP | このフィールドには、New Cluster ウィンドウで指定したホストの完全修飾ドメイン名または IP が自動的に設定されます。 |
Root Password | 各ホストに異なる root パスワードを使用するには、このフィールドにパスワードを入力します。このフィールドは、クラスター内のすべてのホストに提供される共通パスワードをオーバーライドします。 |
Fingerprint | ホストのフィンガープリントが表示され、正しいホストに接続していることを確認できます。このフィールドには、New Cluster ウィンドウで指定したホストのフィンガープリントが自動的に入力されます。 |
2.3.2.15. クラスターの削除
クラスターを削除する前に、すべてのホストをクラスターから移動します。
Default クラスターは Blank テンプレートを保持するため、削除できません。ただし、Default クラスターの名前を変更し、新しいデータセンターに追加することは可能です。
手順
- → をクリックし、クラスターを選択します。
- クラスターにホストがないことを確認します。
- Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.3.2.16. メモリーの最適化
ホストの仮想マシン数を増やすには、メモリーのオーバーコミット を使用できます。その場合、仮想マシンに割り当てるメモリーは RAM を超え、スワップ領域に依存します。
ただし、メモリーのオーバーコミットには潜在的な問題があります。
- スワッピングパフォーマンス - スワップ領域が遅くなり、RAM よりも多くの CPU リソースを消費し、仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼします。過度なスワッピングは、CPU のスラッシングにつながる可能性があります。
- OOM (Out-of-memory) killer: ホストがスワップ領域を使い果たすと、新規プロセスは開始できなくなり、カーネルの OOM killer デーモンは仮想マシンゲストなどのアクティブなプロセスのシャットダウンを開始します。
これらの欠点に対処するために、以下を実行できます。
- Memory Optimization 設定および Memory Overcommit Manager (MoM) を使用してメモリーのオーバーコミットを制限します。
- 仮想メモリーの潜在的な最大要求に対応できる大きな swap 領域を作成し、安全マージンを残します。
- memory ballooning および Kernel Same-page Merging (KSM) を有効にして、仮想メモリーサイズを縮小します。
2.3.2.17. メモリーの最適化とメモリーオーバーコミット
Memory Optimization 設定 (None (0%)、150%、または 200% のいずれか) を選択して、メモリーのオーバーコミット量を制限できます。
各設定は、RAM に対する割合を表します。たとえば RAM が 64 GB のホストの場合、150% を選択すると、32 GB をオーバーコミットでき、仮想メモリーは合計 96 GB となります。ホストが 4 GB を使用している場合、残りの 92 GB が利用可能になります。そのほとんどを仮想マシンに割り当てることができます (System タブの Memory Size) が、安全マージンとして、その一部を割り当てずに残しておくことを検討してください。
仮想メモリーの要求が急増すると、MoM、メモリーバルーン、および KSM が仮想メモリーを再最適化するまで、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。この影響を軽減するには、実行するアプリケーションおよびワークロードの種類に適した制限を選択します。
- 必要なメモリーの増分が大きいワークロードの場合は、200% または 150% などの高いパーセンテージを選択します。
- 必要なメモリーが急激に増加する重大なアプリケーションまたはワークロードの場合は、150% や None (0%) などの低いパーセンテージを選択します。None を選択するとメモリーのオーバーコミットを防ぎつつ、MoM、メモリーバルーンデバイス、および KSM における仮想メモリーの最適化を継続できます。
設定を実稼働環境にデプロイする前に、さまざまな条件下で Memory Optimization の設定を必ずテストしてください。
Memory Optimization を設定するには、New Cluster または Edit Cluster ウィンドウの Optimization タブをクリックします。クラスター最適化設定の説明 を参照してください。
その他のコメント:
- ホスト統計ビュー には、オーバーコミットメント率のサイズを決定するための有用な履歴情報が表示されます。
- KSM とメモリーバルーニングにより得られるメモリー最適化のサイズは継続的に変化するため、実際に利用可能なメモリーをリアルタイムで決定することはできません。
- 仮想マシンが仮想メモリー制限に達すると、新しいアプリを開始できません。
- ホストで実行する仮想マシンの数を計画する際には、最大仮想メモリー (物理メモリーサイズと Memory Optimization 設定) から開始します。メモリーバルーニングや KSM などのメモリー最適化により実現される、より小さい仮想メモリーは考慮しないでください。
2.3.2.18. swap 領域とメモリーオーバーコミットメント
Red Hat は、スワップ領域の設定に関する推奨事項 を提供しています。
これらの推奨事項を適用する場合は、ガイダンスに従い、ワーストケースシナリオにおける "最後のメモリー" としてスワップ領域のサイズを決定してください。物理メモリーのサイズと Memory Optimization 設定を、仮想メモリーサイズの合計を見積もるためのベースとして使用します。MoM、メモリーバルーニング、および KSM による最適化から仮想メモリーサイズの減少を除外してください。
OOM 状態を回避するには、ワーストケースのシナリオを処理するのに十分な swap 領域を確保し、安全マージンを確保してください。実稼働環境にデプロイする前に、さまざまな条件で設定を常にテストしてください。
2.3.2.19. Memory Overcommit Manager(MoM)
Memory Overcommit Manager (MoM) は、以下の 2 つを行います。
- これは、前述のセクションで説明されているように、クラスターのホストに Memory Optimization 設定を適用してメモリーのオーバーコミットを制限します。
- 以下のセクションで説明されているように、メモリーバルーニング と KSM を管理することで、メモリーを最適化します。
MoM を有効または無効にする必要はありません。
ホストの空きメモリーが 20% 未満になると、mom.Controllers.Balloon - INFO Ballooning guest:half1 from 1096400 to 1991580
が Memory Overcommit Manager ログファイル /var/log/vdsm/mom.log に記録されます。
2.3.2.20. メモリーバルーニング
仮想マシンは、割り当てた仮想メモリーの全量で開始されます。仮想メモリー使用量が RAM を超えると、スワップ領域へのホストの依存が大きくなります。メモリーバルーニング を有効にすると、仮想マシンはそのメモリーの未使用部分を解放できます。解放されたメモリーは、ホスト上の他のプロセスおよび仮想マシンで再利用できます。メモリーフットプリントが削減されると、スワッピングの可能性が低くなり、パフォーマンスが向上します。
メモリーバルーンデバイスとドライバーを提供する virtio-balloon パッケージは、ローダーブルカーネルモジュール (LKM) として出荷されます。デフォルトでは、自動的にロードするように設定されています。モジュールを拒否リストに追加するかアンロードすると、バルーニングが無効になります。
メモリーバルーンデバイスは、相互に直接調整しません。MoM (ホストの Memory Overcommit Manager) プロセスに依存して、各仮想マシンのニーズを継続的に監視し、バルーンデバイスに仮想メモリーの増減を指示します。
パフォーマンスに関する考慮事項:
- Red Hat は、高パフォーマンスと低レイテンシーを継続的に必要とするワークロードには、メモリーバルーンおよびオーバーコミットを推奨しません。高パフォーマンスの仮想マシンテンプレートおよびプールの設定 を参照してください。
- パフォーマンスよりも仮想マシンの密度 (経済性) を高めることが重要な場合は、メモリーバルーニングを使用します。
- メモリーバルーニングは CPU 使用率に大きな影響を及ぼしません。(KSM は一部の CPU リソースを消費しますが、負荷がかかっても消費量は変化しません。)
メモリーバルーニングを有効にするには、New Cluster または Edit Cluster ウィンドウの Optimization タブをクリックします。次に、Enable Memory Balloon Optimization チェックボックスを選択します。この設定により、このクラスターのホストで実行されている仮想マシンでメモリーのオーバーコミットが有効になります。このチェックボックスを選択すると、MoM はバルーニングを開始し、可能な場合はすべての仮想マシンのメモリーサイズが保証されます。クラスター最適化設定の説明 を参照してください。
このクラスター内の各ホストは、ステータスが Up に変わったときにバルーンポリシーの更新を受け取ります。必要に応じて、ステータスを変更せずに、ホストのバルーンポリシーを手動で更新できます。クラスター内のホストにおける MoM ポリシーの更新 を参照してください。
2.3.2.21. Kernel Same-page Merging (KSM)
仮想マシンの実行時には、一般的なライブラリーや使用頻度の高いデータといったアイテム向けに、重複したメモリーページが作成されることがあります。さらに、同じようなゲスト OS やアプリケーションを実行している仮想マシンでは、仮想メモリー内のメモリーページが重複してしまいます。
KSM (Kernel Sam-page Merging) を有効にすると、ホスト上の仮想メモリーを調査し、重複するメモリーページを排除して、残りのメモリーページを複数のアプリケーションや仮想マシンで共有できます。これらの共有メモリーページにはコピーオンライトのマークがついており、仮想マシンでページに変更を書き込む必要がある場合には、先にコピーを作成してからそのコピーに変更を書き込みます。
KSM が有効な間は、MoM が KSM を管理します。KSM を手動で設定制御する必要はありません。
KSM は、2 つの方法で仮想メモリーのパフォーマンスを向上させます。共有メモリーのページは使用頻度が高いため、ホストはそのページをキャッシュやメインメモリーに格納する可能性が高くなり、メモリーアクセス速度が向上します。さらに、メモリーオーバーコミットを使用することで、KSM は仮想メモリーのフットプリントを減らし、スワッピング発生の可能性を軽減してパフォーマンスを向上させます。
KSM はメモリーバルーニングよりも多くの CPU リソースを消費します。KSM の CPU 消費量は、負荷をかけても変わりません。同一の仮想マシンやアプリケーションをホスト上で実行すると、KSM は異なる仮想マシンを実行する場合と比較して、メモリーページをマージする機会が多くなります。異なる仮想マシンやアプリケーションを多く実行している場合には、KSM を使用するための CPU コストにより利点が相殺されてしまう可能性があります。
パフォーマンスに関する考慮事項:
- KSM デーモンが大量のメモリーをマージした後に、カーネルメモリーアカウンティング統計が最終的に矛盾することがあります。システムに大量の空きメモリーがある場合には、KSM を無効にするとパフォーマンスが向上することがあります。
- Red Hat は、パフォーマンスが高く、低レイテンシーを必要とするワークロードには KSM およびオーバーコミットを推奨しません。高パフォーマンスの仮想マシンテンプレートおよびプールの設定 を参照してください。
- パフォーマンスよりも仮想マシンの密度 (経済性) を高めることが重要な場合は、KSM を使用します。
KSM を有効にするには、New Cluster またはEdit Cluster ウィンドウの Optimization タブをクリックします。次に、Enable KSMのチェックボックスを選択します。この設定を使用すると、MoM は必要なときに KSM を実行でき、CPU コストを上回るメモリー節約のメリットが得られます。クラスター最適化設定の説明 を参照してください。
2.3.2.22. UEFI と Q35 チップセット
新しい仮想マシンのデフォルトのチップセットであるインテル Q35 チップセットは、従来の BIOS に代わる UEFI (Unified Extensible Firmware Interface) に対応しています。
また、UEFI に対応していないレガシーの Intel i440fx チップセットを使用するように仮想マシンやクラスターを設定することもできます。
UEFI には、従来の BIOS に比べて以下のようなメリットがあります。
- 最新のブートローダー
- ブートローダーのデジタル署名を認証する SecureBoot
- 2TB 以上のディスクに対応した GUID パーティションテーブル (GPT)
仮想マシンで UEFI を使用するには、仮想マシンクラスターの互換性レベルを 4.4 以降に設定する必要があります。その後、既存の仮想マシンに UEFI を設定したり、クラスター内の新しい仮想マシンのデフォルト BIOS タイプに設定したりすることができます。以下のオプションを設定できます。
BIOS タイプ | 説明 |
---|---|
Q35 チップセットとレガシー BIOS | UEFI 未対応のレガシー BIOS (互換性バージョン 4.4 のクラスターのデフォルト) |
UEFI BIOS 対応の Q35 チップセット | UEFI 対応の BIOS |
Q35 チップセット (SecureBoot 対応) | ブートローダーのデジタル署名を認証する SecureBoot に対応した UEFI |
レガシー | レガシー BIOS に対応した i440fx チップセット |
OS インストール前の BIOS タイプの設定
オペレーティングシステムをインストールする前に、Q35 チップセットと UEFI を使用するように仮想マシンを設定できます。オペレーティングシステムのインストール後に、仮想マシンのレガシー BIOS から UEFI への変換はサポートされていません。
2.3.2.23. Q35 チップセットと UEFI を使用するクラスターの設定
クラスターを Red Hat Virtualization 4.4 にアップグレードすると、クラスター内のすべての仮想マシンが VDSM の 4.4 バージョンを実行します。クラスターのデフォルトの BIOS タイプを設定すると、そのクラスターで作成する新しい仮想マシンのデフォルトの BIOS タイプが決定されます。必要に応じて、仮想マシンの作成時に異なる BIOS タイプを指定して、クラスターのデフォルトの BIOS タイプを上書きできます。
手順
- 仮想マシンポータルまたは管理ポータルで、 → をクリックします。
- クラスターを選択し、Edit をクリックします。
- General をクリックします。
クラスター内の新しい仮想マシンのデフォルトの BIOS タイプを定義するには、BIOS Type ドロップダウンメニューをクリックし、以下のいずれかを選択します。
- Legacy
- Q35 Chipset with Legacy BIOS
- Q35 Chipset with UEFI BIOS
- Q35 チップセット (SecureBoot 対応)
- Compatibility Version ドロップダウンメニューから 4.4 を選択します。Manager は、稼働中のすべてのホストが 4.4 と互換性があるかどうかを確認し、互換性がある場合は 4.4 の機能を使用します。
- クラスター内の既存の仮想マシンが新しい BIOS タイプを使用する必要がある場合は、そのように設定します。BIOS タイプとして Cluster default を使用するように設定されたクラスター内の新しい仮想マシンは、選択した BIOS タイプを使用するようになりました。詳細は、仮想マシンで Q35 チップセットと UEFI を使用するための設定 を参照してください。
BIOS タイプの変更はオペレーティングシステムのインストール前にしかできないため、BIOS タイプとして Cluster default を使用するように設定されている既存の仮想マシンについては、BIOS タイプを以前のデフォルトクラスターの BIOS タイプに変更してください。そうしないと、仮想マシンが起動しないことがあります。また、仮想マシンの OS を再インストールする方法もあります。
2.3.2.24. 仮想マシンで Q35 チップセットと UEFI を使用するための設定
オペレーティングシステムをインストールする前に、Q35 チップセットと UEFI を使用するように仮想マシンを設定できます。仮想マシンをレガシー BIOS から UEFI に変換したり、UEFI からレガシー BIOS に変換したりすると、仮想マシンが起動しなくなることがあります。既存の仮想マシンの BIOS タイプを変更した場合は、OS を再インストールしてください。
仮想マシンの BIOS タイプが Cluster default に設定されている場合、クラスターの BIOS タイプを変更すると、仮想マシンの BIOS タイプも変更されます。仮想マシンにオペレーティングシステムがインストールされている場合、クラスターの BIOS タイプを変更すると、仮想マシンの起動に失敗することがあります。
手順
Q35 チップセットと UEFI を使用するように仮想マシンを設定する方法:
- 仮想マシンポータルまたは管理ポータルで → をクリックします。
- 仮想マシンを選択し、Edit をクリックします。
- General タブで Show Advanced Options をクリックします。
- → をクリックします。
BIOS Typeドロップダウンメニューから以下のいずれかを選択します。
- Cluster default
- Q35 Chipset with Legacy BIOS
- Q35 Chipset with UEFI BIOS
- Q35 チップセット (SecureBoot 対応)
- をクリックします。
- 仮想マシンポータルまたは管理ポータルから、仮想マシンの電源をオフにします。次に仮想マシンを起動すると、選択した新しい BIOS タイプで実行されます。
2.3.2.25. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することをお勧めします。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレートされたマシンと一致するカスタムのエミュレートされたマシンを使用して、仮想マシンを設定します (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0)。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー段階の仮想マシンスナップショットの場合、クラスターの互換バージョンは変更できません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホスト型エンジン環境では、Manager 仮想マシンを再起動する必要はありません。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。更新されていない仮想マシンは古い設定で実行され、再起動前に仮想マシンに他の変更を加えた場合には新しい設定が上書きされてしまう可能性があります。
データセンター内のすべてのクラスターと仮想マシンの互換性バージョンを更新したら、データセンター自体の互換性バージョンを変更できます。
2.4. 論理ネットワーク
2.4.1. 論理ネットワークタスク
2.4.1.1. ネットワークタスクの実行
New、Edit、Remove ボタンで、データセンター内の論理ネットワークの作成、プロパティーの変更、削除ができます。
→ は、ユーザーが論理ネットワーク関連の操作を実行し、各ネットワークのプロパティーや他のリソースとの関連付けに基づいて論理ネットワークを検索するための中心的な場所を提供します。各ネットワーク名をクリックし、詳細表示のタブを使って以下の機能を実行します。
- クラスターやホストにネットワークを割り当てる、または割り当てを解除する
- 仮想マシンやテンプレートからネットワークインターフェイスを削除する
- ネットワークへのアクセスや管理を行うユーザーパーミッションを追加、削除する
これらの機能は、それぞれのリソースからもアクセス可能です。
データセンターやクラスターでは、ホストが動作中はネットワークを変更しないでください。ホストに到達できなくなる危険性があります。
Red Hat Virtualization ノードを使用してサービスを提供する予定の場合は、Red Hat Virtualization 環境が動作を停止すると、そのサービスが停止することに注意してください。
これはすべてのサービスに当てはまりますが、特に Red Hat Virtualization 上で以下を実行した場合の危険性に注意する必要があります。
- ディレクトリーサービス
- DNS
- ストレージ
2.4.1.2. データセンターまたはクラスターでの新しい論理ネットワークの作成
論理ネットワークを作成し、データセンターやデータセンター内のクラスターでの使用を定義します。
手順
- → または → をクリックします。
- データセンター名またはクラスター名をクリックします。Details ビューが開きます。
- Logical Networks タブをクリックします。
New Logical Network ウィンドウを開きます。
- データセンターの詳細表示から、New をクリックします。
- クラスターの詳細表示で、Add Network をクリックします。
- 論理ネットワークの Name、Description、および Comment を入力します。
- オプション: Enable VLAN tagging を有効にします。
- オプション: VM Network を無効にします。
オプション: Create on external provider チェックボックスを選択します。これにより、ネットワークラベルと VM ネットワークが無効になります。詳細は、外部プロバイダー を参照してください。
- External Providerを選択します。外部プロバイダーのリストには、読み取り専用モードの外部プロバイダーは含まれません。
- 内部の分離されたネットワークを作成するには、External Provider リストで ovirt-provider-ovn を選択し、Connect to physical network はそのままオフにしておます。
- Network Label テキストフィールドに、論理ネットワークの新しいラベルを入力するか、既存のラベルを選択します。
MTU については、Default (1500) を選択するか、Custom を選択してカスタム値を指定します。
重要外部のプロバイダーでネットワークを作成した後は、ネットワークの MTU 設定を変更できません。
重要ネットワークの MTU 設定を変更する場合は、この変更をネットワーク上で実行中の仮想マシンに伝達する必要があります。それには、MTU 設定を適用する必要があるすべての仮想マシンの vNIC をホットアンプラグ/再プラグするか、仮想マシンを再起動します。そうしないと、仮想マシンが別のホストに移行すると、これらのインターフェイスが失敗します。詳細は、After network MTU change, some VMs and bridges have the old MTU and seeing packet drops と BZ#1766414 を参照してください。
- External Provider ドロップダウンリストから ovirt-provider-ovn を選択した場合は、ネットワークに Security Groups を実装するかどうかを定義します。詳細は、論理ネットワークの一般設定の説明 を参照してください。
- Clusterタブから、ネットワークを割り当てるクラスターを選択します。また、論理ネットワークを必須ネットワークにするかどうかも指定できます。
- Create on external provider チェックボックスが選択されている場合は、Subnet タブが表示されます。Subnet タブから Create subnet を選択し、Name、CIDR、Gateway アドレスを入力し、論理ネットワークが割り当てるサブネットの IP Version を選択します。必要に応じて DNS サーバーを追加することもできます。
- vNIC Profiles タブで、必要に応じて vNIC プロファイルを論理ネットワークに追加します。
- をクリックします。
論理ネットワークにラベルを入力した場合は、そのラベルが割り当てられたすべてのホストネットワークインターフェイスに自動的に追加されます。
新しい論理ネットワークを作成したり、ディスプレイネットワークとして使用されている既存の論理ネットワークを変更したりする場合、そのネットワークを使用している稼働中の仮想マシンは、ネットワークが使用可能になる前または変更が適用される前に、再起動する必要があります。
2.4.1.3. 論理ネットワークの編集
ホスト上のネットワーク設定と同期していない場合、論理ネットワークの編集や他のインターフェイスへの移動はできません。ネットワークの同期方法は、ホストネットワークインターフェイスの編集とホストへの論理ネットワークの割り当て を参照してください。
ディスプレイネットワークとして使用される既存論理ネットワークの VM
ネットワークプロパティーを変更すると、すでに稼働マシンが実行されているホスト上で新しい仮想マシンを起動することはできません。VM Network
プロパティーの変更後に仮想マシンが実行されていないホストのみ、新しい仮想マシンを起動できます。
手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Logical Networks タブをクリックして、論理ネットワークを選択します。
- Edit をクリックします。
必要な設定を編集します。
注記デフォルトのネットワーク除き、新規または既存のネットワークの名前は、仮想マシンを停止しなくても編集できます。
- をクリックします。
マルチホストネットワーク設定では、更新されたネットワーク設定を、ネットワークが割り当てられたデータセンター内のすべてのホストに自動適用します。変更は、ネットワークを使用する仮想マシンが停止しているときにのみ適用されます。すでにホストに設定されている論理ネットワークの名前は変更できません。VM Network オプションは、ネットワークを使用している仮想マシンやテンプレートを実行している間は無効にできません。
2.4.1.4. 論理ネットワークの削除
ovirtmgmt 管理ネットワークとして使用する必要があります。
→ または → から論理ネットワークを削除できます。以下の手順では、データセンターに関連付けられた論理ネットワークを削除する方法を説明します。Red Hat Virtualization の環境では、少なくとも 1 つの論理ネットワークを手順
- → をクリックします。
- データセンターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Logical Networks タブをクリックすると、データセンター内の論理ネットワークがリストアップされます。
- 論理ネットワークを選択し、Remove をクリックします。
- オプションで、ネットワークが外部のプロバイダーによって提供されている場合は、Remove external network (s) from the provider (s) as well チェックボックスを選択して、Manager と外部のプロバイダーの両方から論理ネットワークを削除してください。外部プロバイダーが読み取り専用モードの場合、チェックボックスはグレーアウトされます。
- をクリックします。
論理ネットワークが Manager から削除され、利用できなくなります。
2.4.1.5. 非管理者用論理ネットワークのデフォルトルートとしての設定
クラスター内のホストが使用するデフォルトのルートは、管理ネットワーク (ovirtmgmt
) を経由します。以下では、非管理者用の論理ネットワークをデフォルトルートとして設定する手順を説明します。
前提条件:
-
default_route
カスタムプロパティーを使用している場合、接続しているすべてのホストからカスタムプロパティーの設定を解除してから、この手順を実行する必要があります。
デフォルトルートロールの設定
- → をクリックします。
- デフォルトルートとして設定する非管理用論理ネットワークの名前をクリックすると、その詳細が表示されます。
- Clusters タブをクリックします。
- Manage Network をクリックします。Manage Network ウィンドウが表示されます。
- 該当するクラスターの Default Route チェックボックスを選択します。
- をクリックします。
ホストにネットワークが接続されている場合、ホストのデフォルトルートは選択したネットワークに設定されます。クラスターにホストを追加する前に、デフォルトルートのロールを設定することをお勧めします。クラスターにすでにホストが含まれている場合は、変更内容をホストに同期するまで、ホストが同期しなくなる可能性があります。
IPv6 の重要な制限事項
- IPv6 の場合、Red Hat Virtualization でサポートされるのは静的アドレスのみです。
- 両方のネットワークが単一のゲートウェイを共有している (同じサブネット上にある) 場合は、デフォルトルートのロールを管理ネットワーク (ovirtmgmt) から別の論理ネットワークに移動できます。
- ホストと Manager が同じサブネットにない場合には、IPv6 ゲートウェイが削除されているため、Manager はホストとの接続を失います。
- デフォルトのルートロールを非管理ネットワークに移動すると、ネットワークインターフェイスから IPv6 ゲートウェイが削除され、次の警告が表示されます: "On cluster clustername the 'Default Route Role' network is no longer network ovirtmgmt.The IPv6 gateway is being removed from this network."
2.4.1.6. ホストでの静的ルートの追加
nmstate を使ってホストに静的ルートを追加できます。この方法では、Red Hat Virtualization Manager を使用せずにホストを直接設定する必要があります。
追加した静的ルートは、関連するルーティングブリッジ、インターフェイス、またはボンドが存在し、IP アドレスがある限り保存されます。そうでなければ、システムは静的ルートを削除します。
ホストの静的ルートを追加または削除する場合を除き、クラスター内のホストのネットワーク設定は常に RHV Manager を使用して行います。詳細は、Network Manager のステートフル設定 (nmstate) を参照してください。
カスタムの静的ルートは、そのインターフェイス/ボンドが存在し、IP アドレスが存在する限り、保存されます。それ以外の場合は削除されます。
その結果、VM ネットワークは、VM ネットワーク以外とは異なる動作をします。
- VM ネットワークは、ブリッジをベースにしています。ネットワークを別のインターフェイス/ボンドに移動しても、VM ネットワークのルートには影響しません。
- VM ネットワーク以外では、インターフェイスをベースにしています。ネットワークを別のインターフェイス/ボンドに移動すると、VM ネットワーク以外のネットワークと関連するルートが削除されます。
前提条件
この手順には nmstate が必要です。これは、環境で以下を使用する場合にのみ使用できます。
- Red Hat Virtualization Manager バージョン 4.4
- Red Hat Enterprise Linux 8 をベースにした Red Hat Enterprise Linux ホストおよび Red Hat Virtualization Hosts
手順
- 設定するホストに接続します。
ホスト上に、以下の例の内容で
static_route.yml
ファイルを作成します。routes: config: - destination: 192.168.123.0/24 next-hop-address: 192.168.178.1 next-hop-interface: eth1
- 表示されている例の値は、ネットワークの実際の値に置き換えてください。
セカンダリーに追加されたネットワークにトラフィックをルーティングするには、
next-hop-interface
を使ってインターフェイスやネットワーク名を指定します。-
仮想マシン以外のネットワークを使用する場合は、
eth1
などのインターフェイスを指定します。 -
仮想マシンのネットワークを使用するには、
net1
のようにブリッジ名でもあるネットワーク名を指定します。
-
仮想マシン以外のネットワークを使用する場合は、
このコマンドを実行します。
$ nmstatectl set static_route.yml
検証手順
static_route.yml
で設定した宛先パラメーターの値を指定して、IP ルートコマンドのip route
を実行します。これで目的のルートが表示されるはずです。たとえば、以下のコマンドを実行します。$ ip route | grep 192.168.123.0`
2.4.1.7. ホストでの静的ルートの削除
nmstate を使ってホストからスタティックルートを削除することができます。この方法では、Red Hat Virtualization Manager を使用せずにホストを直接設定する必要があります。
ホストの静的ルートを追加または削除する場合を除き、クラスター内のホストのネットワーク設定は常に RHV Manager を使用して行います。詳細は、Network Manager のステートフル設定 (nmstate) を参照してください。
カスタムの静的ルートは、そのインターフェイス/ボンドが存在し、IP アドレスが存在する限り、保存されます。それ以外の場合は削除されます。
その結果、VM ネットワークは、VM ネットワーク以外とは異なる動作をします。
- VM ネットワークは、ブリッジをベースにしています。ネットワークを別のインターフェイス/ボンドに移動しても、VM ネットワークのルートには影響しません。
- VM ネットワーク以外では、インターフェイスをベースにしています。ネットワークを別のインターフェイス/ボンドに移動すると、VM ネットワーク以外のネットワークと関連するルートが削除されます。
前提条件
この手順には nmstate が必要です。これは、環境で以下を使用する場合にのみ使用できます。
- Red Hat Virtualization Manager バージョン 4.4
- Red Hat Enterprise Linux 8 をベースにした Red Hat Enterprise Linux ホストおよび Red Hat Virtualization Hosts
手順
- 再設定するホストに接続します。
-
ホストで、
static_route.yml
ファイルを編集します。 -
次の例のように、
state: absent
の行を挿入します。 interfaces: []
のカッコの間に、next-hop-interface
の値を追加します。結果は以下の例のようになります。routes: config: - destination: 192.168.123.0/24 next-hop-address: 192.168.178. next-hop-interface: eth1 state: absent interfaces: [{“name”: eth1}]
このコマンドを実行します。
$ nmstatectl set static_route.yml
検証手順
static_route.yml
で設定した宛先パラメーターの値を指定して、IP ルートコマンドのip route
を実行します。これで目的のルートが表示されなくなるはずです。たとえば、以下のコマンドを実行します。$ ip route | grep 192.168.123.0`
2.4.1.8. 論理ネットワークのゲートウェイの表示と編集
論理ネットワークのゲートウェイ、IP アドレス、サブネットマスクを定義できます。これは、ホスト上に複数のネットワークが存在し、トラフィックがデフォルトゲートウェイではなく、指定したネットワークを経由しなければならない場合に必要です。
ホストに複数のネットワークが存在し、ゲートウェイが定義されていない場合には、リターントラフィックはデフォルトゲートウェイを経由することになり、意図した宛先に到達しない可能性があります。これにより、ユーザーがホストに対して ping を実行できなくなります。
Red Hat Virtualization は、インターフェイスがアップまたはダウンするたびに、複数のゲートウェイを自動的に処理します。
手順
- → をクリックします。
- ホストの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Network Interfaces タブをクリックすると、ホストに接続されているネットワークインターフェイスとその設定内容が一覧表示されます。
- Setup Host Networks をクリックします。
- 割り当てられた論理ネットワークにカーソルを合わせ、鉛筆アイコンをクリックします。これにより、Edit Management Network ウィンドウが開きます。
Edit Management Network ウィンドウには、ネットワーク名、ブートプロトコル、IP、サブネットマスク、ゲートウェイの各アドレスが表示されます。アドレス情報は、Static ブートプロトコルを選択して手動で編集できます。
2.4.1.9. 論理ネットワーク一般設定の説明
以下の表では、New Logical Network および Edit Logical Network ウィンドウの General タブの設定を説明しています。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Name | 論理ネットワークの名前。このテキストフィールドは、大文字、小文字、数字、ハイフン、およびアンダースコアの組み合わせが含まれる一意の名前である必要があります。 論理ネットワークの名前は 15 文字超を指定でき、ASCII 以外の文字を含めることができますが、ホスト上の識別子 (vdsm_name) は定義した名前とは異なりますのでご注意ください。これらの名前のマッピングを表示する手順については、VDSM 名の論理ネットワーク名へのマッピング を参照してください。 |
説明 | 論理ネットワークの説明。このテキストフィールドには 40 文字の制限があります。 |
Comment | 論理ネットワークに関するプレーンテキストの、人間が判読できるコメントを追加するためのフィールド。 |
Create on external provider | 外部プロバイダーとして Manager に追加された OpenStack Networking インスタンスへの論理ネットワークを作成できます。 External Provider - 論理ネットワークを作成するための外部プロバイダーを選択できます。 |
Enable VLAN tagging | VLAN タグは、論理ネットワークで伝送されるすべてのネットワークトラフィックに特別な特性を与えるセキュリティー機能です。VLAN タグ付きのトラフィックは、その特性のないインターフェイスでは読み取れません。また、論理ネットワークに VLAN を使用すると、1 つのネットワークインターフェイスに、複数の異なる VLAN タグ付き論理ネットワークを関連付けることができます。VLAN のタグ付けが有効な場合は、テキストエントリーフィールドに数値を入力します。 |
VM Network | このネットワークを使用するのが仮想マシンのみの場合は、このオプションを選択します。ストレージの通信など、仮想マシンを介さないトラフィックにネットワークを使用する場合は、このチェックボックスを選択しないでください。 |
Port Isolation | これが設定されている場合、同じホスト上の仮想マシンは、この論理ネットワーク上で相互に通信および認識できなくなります。このオプションを異なるハイパーバイザー上で動作させるためには、ハイパーバイザーに接続されているそれぞれのポート/VLAN に PVLAN/ポート分離を設定し、ヘアピン設定をしたフレームを反射させないようにする必要があります。 |
MTU | Default または Custom を選択できます。Default は最大伝送単位 (MTU) を括弧 () で指定された値に設定し、Custom は論理ネットワークのカスタム MTU を設定します。これを利用して、新しい論理ネットワークでサポートされる MTU を、それがインターフェースで接続するハードウェアでサポートされる MTU に一致させることができます。Custom を選択した場合は、テキスト入力フィールドに数値を入力します。重要: ネットワークの MTU 設定を変更する場合は、この変更をネットワーク上で実行中の仮想マシンに伝播する必要があります。それには、MTU 設定を適用する必要があるすべての仮想マシンの vNIC をホットアンプラグ/再プラグするか、仮想マシンを再起動します。そうしないと、仮想マシンが別のホストに移行すると、これらのインターフェイスが失敗します。詳細は、After network MTU change, some VMs and bridges have the old MTU and seeing packet drops と BZ#1766414 を参照してください。 |
Network Label | ネットワークの新しいラベルを指定したり、ホストネットワークインターフェイスに既にアタッチされている既存のラベルを選択したりすることができます。既存のラベルを選択した場合には、そのラベルが指定されたすべてのホストネットワークインターフェイスに論理ネットワークが自動的に割り当てられます。 |
Security Groups |
この論理ネットワーク上のポートにセキュリティーグループを割り当てることができます。 |
2.4.1.10. 論理ネットワーククラスター設定の説明
以下の表は、New Logical Network ウィンドウの Cluster タブの設定を説明しています。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Attach/Detach Network to/from Cluster(s) | 論理ネットワークをデータセンター内のクラスターにアタッチまたはデタッチでき、論理ネットワークを個々のクラスターに必要なネットワークとするかどうかを指定することができます。 Name - 設定が適用されるクラスターの名前。この値は編集できません Attach All - データセンター内のすべてのクラスターとの間で、論理ネットワークをアタッチまたはデタッチできます。各クラスターの名前の横にある Attach チェックボックスを選択または選択解除して、論理ネットワークを特定のクラスターに接続したり、クラスターから分離したりすることもできます。 Required All - 論理ネットワークがすべてのクラスターで必須のネットワークであるかどうかを指定できます。各クラスターの名前の横にある Required チェックボックスを選択または選択解除して、論理ネットワークが特定のクラスターに必要なネットワークであるかどうかを指定することもできます。 |
2.4.1.11. 論理ネットワークの vNIC プロファイル設定の説明
以下の表は、New Logical Network ウィンドウの vNIC Profiles タブの設定を説明しています。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
vNIC Profiles | 論理ネットワークの 1 つまたは複数の vNIC プロファイルを指定できます。vNIC プロファイルの横にあるプラスボタンまたはマイナスボタンをクリックして、vNIC プロファイルを論理ネットワークに追加したり、論理ネットワークから削除したりすることができます。最初のフィールドでは、vNIC プロファイルの名前を入力します。 Public - プロファイルをすべてのユーザーが利用できるようにするかどうかを指定できます。 QoS - vNIC プロファイルにネットワークの QoS (Quality of Service) プロファイルを指定できます。 |
2.4.1.12. Manage Networks ウィンドウを使用した論理ネットワークの特定トラフィックタイプの指定
ネットワークのトラフィックフローを最適化するために、論理ネットワークのトラフィックタイプを指定します。
手順
- → をクリックします。
- クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Logical Networks タブをクリックします。
- Manage Networks をクリックします。
- 適切なチェックボックスやラジオボタンを選択してください。
- をクリックします。
外部のプロバイダーが提供する論理ネットワークは、仮想マシンのネットワークとして使用する必要があり、表示や移行などの特別なクラスターのロールを割り当てることはできません。
2.4.1.13. ネットワーク管理画面での設定内容の説明
以下の表では、Manage Networks ウィンドウの設定を説明しています。
フィールド | 説明/アクション |
---|---|
Assign | クラスター内の全ホストに論理ネットワークを割り当てます。 |
Required | "required" と表示されたネットワークに関連付けられたホストは、そのネットワークが常に稼働していなければ、正しく機能しません。必須ネットワークが機能しなくなると、そのネットワークに関連付けられたホストはすべて動作しなくなります。 |
VM Network | "VM Network" とマークされている論理ネットワークは、仮想マシンのネットワークに関連するネットワークトラフィックを伝送します。 |
Display Network | "Display Network" とマークされた論理ネットワークは、SPICE と仮想ネットワークコントローラーに関連するネットワークトラフィックを伝送します。 |
Migration Network | "Migration Network" とマークされた論理ネットワークは、仮想マシンとストレージの移行トラフィックを伝送します。このネットワークに障害が発生した場合には、代わりに管理ネットワーク ovirtmgmt (デフォルト) が使用されます。 |
2.4.1.14. NIC での仮想機能の設定
これは、Red Hat Virtualization で SR-IOV を準備およびセットアップする方法を示す一連のトピックの 1 つです。詳細は、SR-IOV のセットアップと設定 を参照してください。
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) を使用すると、物理機能 (PF) と仮想機能 (VF) を用いて、各 PCIe エンドポイントを複数の独立したデバイスとして使用できます。1 枚の PCIe カードには、1 - 8 個の PF が搭載されています。それぞれの PF には VF が多数含まれます。含めることのできる VF の数は、PCIe デバイスの種類によって異なります。
SR-IOV 対応のネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) を設定するには、Red Hat Virtualization Manager を使用します。Red Hat Virtualization Manager では、各 NIC の VF の数を設定できます。
VF は、スタンドアロンの NIC と同じように、以下のように設定できます。
- VF に 1 つまたは複数の論理ネットワークを割り当てる。
- VF との連携インターフェイスを構築する。
- VF に vNIC を割り当てて、デバイスを直接パススルーする。
デフォルトでは、すべての仮想ネットワークが仮想機能にアクセスできます。このデフォルトを無効にして、どのネットワークが仮想機能にアクセスできるかを指定することができます。
前提条件
- vNIC を VF マスタに接続するためには、そのパススループロパティーを有効にする必要があります。詳細は、Enabling_Passthrough_on_a_vNIC_Profile を参照してください。
手順
- → をクリックします。
- SR-IOV 対応ホストの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Network Interfaces タブをクリックします。
- Setup Host Networks をクリックします。
- ( のマークが付いた) SR-IOV 対応の NIC を選択し、鉛筆アイコンをクリックします。
オプション: 仮想機能の数を変更するには、Number of VFs setting ドロップダウンボタンをクリックし、Number of VFs テキストフィールドを編集します。
重要VF の数を変更すると、新しい VF を作成する前に、ネットワークインターフェイス上の以前の VF がすべて削除されます。これには、仮想マシンが直接接続されている VF が含まれます。
オプション: 仮想機能にアクセスできる仮想ネットワークを制限するには、Specific networks を選択します。
- VF にアクセスすべきネットワークを選択するか、Labels を使ってネットワークラベルに基づきネットワークを選択します。
- をクリックします。
- Setup Host Networks ウィンドウで をクリックします。
2.4.2. 仮想ネットワークインターフェイスカード (vNIC)
2.4.2.1. vNIC プロファイルの概要
バーチャルネットワークインターフェイスカード (vNIC) のプロファイルは、Manager 内の個々のバーチャルネットワークインターフェイスカードに適用できる設定の集まりです。vNIC プロファイルでは、ネットワーク QoS プロファイルの vNIC への適用、ポートミラーリングの有効化/無効化、カスタムプロパティーの追加/削除が可能です。また、vNIC プロファイルは、特定のユーザーに使用 (消費) のパーミッションを与えることができるという点で、管理上の柔軟性において、追加の切り口が提供されています。このようにして、異なるユーザーが特定のネットワークから受けるサービスの質を制御できます。
2.4.2.2. vNIC プロファイルの作成と編集
Virtual Network Interface Controller (vNIC) のプロファイルを作成または編集して、ユーザーやグループのネットワーク帯域幅を調整できます。
ポートミラーリングを有効または無効にする場合には、編集する前に、関連するプロファイルを使用しているすべての仮想マシンがダウン状態になっている必要があります。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- vNIC Profiles タブをクリックします。
- New または Edit をクリックします。
- プロファイルの Name および Description を入力します。
- QoS リストから該当する Quality of Service ポリシーを選択します。
- ドロップダウンリストから Network Filter を選択して、仮想マシンとの間のネットワークパケットのトラフィックを管理します。ネットワークフィルターの詳細は、Red Hat Enterprise Linux Virtualization のデプロイメントおよび管理ガイド の ネットワークフィルターの適用 を参照してください。
- vNIC のパススルーを有効にして、仮想機能のデバイスを直接割り当てるようにするには、Passthrough チェックボックスを選択します。パススルーのプロパティーを有効にすると、QoS、ネットワークフィルタリング、ポートミラーリングに互換性がないため、これらが無効になります。パススルーの詳細は、vNIC プロファイルでのパススルーの有効化 を参照してください。
- Passthroughを選択した場合には、オプションでMigratableチェックボックスの選択を解除すると、このプロファイルを使用する vNIC の移行が無効になります。このチェックボックスを選択したままにする場合は、仮想マシン管理ガイド の SR-IOV が有効な vNICs を使用する仮想マシンの追加の前提条件 を参照してください。
- Port Mirroring と Allow all users to use this Profile のチェックボックスを使って、これらのオプションを切り替えます。
- カスタムプロパティーリストからカスタムプロパティーを選択すると、デフォルトで Please select a key... と表示されます。+ および - ボタンを使用して、カスタムプロパティーを追加または削除します。
- をクリックします。
このプロファイルをユーザーやグループに適用して、ネットワークの帯域幅を調整します。vNIC プロファイルを編集した場合は、仮想マシンを再起動するか、ゲスト OS が vNIC のホットプラグとホットアンプラグをサポートしている場合はホットアンプラグしてから vNIC をホットプラグする必要があります。
2.4.2.3. VM Interface Profile ウィンドウの設定内容の説明
フィールド名 | 説明 |
---|---|
Network | vNIC プロファイルの適用先の利用可能なネットワークのドロップダウンリスト。 |
Name | vNIC プロファイルの名前。1 から 50 文字までの大文字と小文字、数字、ハイフン、およびアンダースコアの組み合わせが含まれる一意の名前である必要があります。 |
説明 | vNIC プロファイルの説明。このフィールドは推奨されますが、必須ではありません。 |
QoS | vNIC プロファイルに適用する、利用可能な Network Quality of Service ポリシーのドロップダウンリスト。QoS ポリシーは、vNIC のインバウンドおよびアウトバウンドのネットワークトラフィックを規制します。 |
Network Filter |
vNIC プロファイルに適用するネットワークフィルターのドロップダウンリスト。ネットワークフィルターは、仮想マシンとの間で送信可能なパケットの種類をフィルタリングして、ネットワークセキュリティーを向上させます。デフォルトのフィルターは
仮想マシンの VLAN やボンドには、 注記
Red Hat では、 |
Passthrough | パススルーのプロパティーを切り替えるためのチェックボックス。パススルーでは、vNIC がホスト NIC の仮想機能に直接接続できるようになります。vNIC プロファイルが仮想マシンにアタッチされている場合、パススルーのプロパティーは編集できません。 パススルーを有効にすると、vNIC プロファイルで QoS、ネットワークフィルター、ポートミラーリングが無効になります。 |
Migratable | このプロファイルを使用する vNIC が移行可能かどうかを切り替えるチェックボックスです。移行は、通常の vNIC プロファイルではデフォルトで有効になっています。その場合はチェックボックスが選択されており、変更できません。Passthrough チェックボックスが選択されていると Migratable が有効になり、必要に応じて選択を解除して、パススルー vNIC の移行を無効にできます。 |
Failover | フェイルオーバーデバイスとして機能する、利用可能な vNIC プロファイルを選択するためのドロップダウンメニューです。Passthrough と Migratable のチェックボックスがチェックされている場合のみ有効です。 |
Port Mirroring | ポートミラーリングを切り替えるためのチェックボックスです。ポートミラーリングは、論理ネットワーク上のレイヤー 3 のネットワークトラフィックを、仮想マシン上の仮想インターフェイスにコピーします。デフォルトでは選択されていません。詳細は、テクニカルリファレンス の ポートミラーリング を参照してください。 |
Device Custom Properties | vNIC プロファイルに適用する利用可能なカスタムプロパティーを選択するためのドロップダウンメニューです。+ と - ボタンを使用してプロパティーをそれぞれ追加、削除します。 |
Allow all users to use this Profile | 環境内の全ユーザーがプロファイルを利用できるかどうかを切り替えるためのチェックボックスです。これはデフォルトで選択されます。 |
2.4.2.4. vNIC プロファイルでのパススルーの有効化
これは、Red Hat Virtualization で SR-IOV を準備およびセットアップする方法を示す一連のトピックの 1 つです。詳細は、SR-IOV のセットアップと設定 を参照してください。
vNIC プロファイルのパススルーのプロパティーを使用すると、SR-IOV 対応 NIC の仮想機能 (VF) に vNIC を直接接続できるようになります。次に、vNIC はソフトウェアによるネットワーク仮想化をバイパスして、VF に直接接続してデバイスを割り当てます。
vNIC プロファイルがすでに vNIC にアタッチされている場合、パススループロパティーは有効にできません。この手順では、これを避けるために新しいプロファイルを作成します。vNIC プロファイルでパススルーが有効になっている場合、QoS、ネットワークフィルター、およびポートミラーリングを同じプロファイルで有効にすることはできません。
SR-IOV、デバイスの直接割り当て、および Red Hat Virtualization へのこれらの実装に関するハードウェアの考慮事項は、SR-IOV を実装するためのハードウェアの考慮事項 を参照してください。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- vNIC Profiles タブをクリックすると、その論理ネットワークのすべての vNIC プロファイルが一覧表示されます。
- New をクリックします。
- プロファイルの Name および Description を入力します。
- Passthrough チェックボックスを選択します。
- オプション: このプロファイルを使用する vNIC の移行を無効にするには、Migratable チェックボックスの選択を解除します。このチェックボックスを選択したままにする場合は、仮想マシン管理ガイド の SR-IOV が有効な vNICs を使用する仮想マシンの追加の前提条件 を参照してください。
- 必要に応じて、Please select a key... とデフォルトで表示されるカスタムプロパティーリストからカスタムプロパティーを選択します。+ および - ボタンを使用して、カスタムプロパティーを追加または削除します。
- をクリックします。
vNIC プロファイルがパススルーに対応するようになりました。このプロファイルを使用して仮想マシンを NIC または PCI VF に直接アタッチするには、論理ネットワークを NIC にアタッチして、パススルー vNIC プロファイルを仮想マシン上に新しい PCI Passthrough vNIC を作成します。これらの手順の詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホストネットワークインターフェイスの編集とホストへの論理ネットワークの割り当て および 新しいネットワークインターフェイスの追加 を参照してください。
2.4.2.5. フェイルオーバーを伴う SR-IOV 移行用 vNIC プロファイルの有効化
フェイルオーバーでは、仮想マシンの移行時に VF のデタッチが必要になると、フェイルオーバーデバイスとして機能するプロファイルを選択できるため、中断を最小限に抑えて仮想マシンの通信を維持できます。
フェイルオーバーはテクノロジープレビュー機能としてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat の実稼働環境のサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされず、機能的に完全ではないことがあるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能では、最新の製品機能をいち早く提供します。これにより、お客様は開発段階で機能をテストし、フィードバックを提供できます。詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
前提条件
- プロファイルのPassthrough と Migratable のチェックボックスが選択されている。
- フェイルオーバーネットワークがホストに接続されている。
- まずフェイルオーバーの参照を削除することで、フェイルオーバーとして機能する vNIC プロファイルの編集が可能になっている。
- フェイルオーバーとして機能する vNIC プロファイルは、パススルーとして選択されていないか、外部ネットワークに接続されていないプロファイルである。
手順
-
管理ポータルで
Failover vNIC profile
を選択します。 → に移動して vNIC プロファイルを選択し、 をクリックして、ドロップダウンリストから - をクリックすると、プロファイルの設定が保存されます。
同じフェイルオーバー vNIC プロファイルを参照する 2 つの vNIC プロファイルを同じ仮想マシンにアタッチすると、libvirt で失敗します。
2.4.2.6. vNIC プロファイルの削除
vNIC プロファイルを削除すると、仮想化環境からも削除されます。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- vNIC Profiles タブをクリックすると、利用可能な vNIC プロファイルが表示されます。
- 1 つまたは複数のプロファイルを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.4.2.7. vNIC プロファイルへのセキュリティーグループの割り当て
この機能は、ovirt-provider-ovn
が外部ネットワークプロバイダーとして追加された場合にのみ使用できます。セキュリティーグループは Red Hat Virtualization Manager で作成できません。ovirt-provider-ovn
で OpenStack Networking を使用してセキュリティーグループを作成する必要があります。詳細は、Red Hat OpenStack Platform ユーザーおよびアイデンティティー管理ガイド の プロジェクトのセキュリティー管理 を参照してください。
OpenStack Networking インスタンスからインポートされ、Open vSwitch プラグインを使用するネットワークの vNIC プロファイルに、セキュリティーグループを割り当てることができます。セキュリティーグループとは、厳密に適用されるルールの集合体であり、ネットワークインターフェイス上のインバウンドおよびアウトバウンドのトラフィックにフィルターを適用できます。以下の手順は、vNIC プロファイルにセキュリティーグループをアタッチする方法を説明しています。
セキュリティーグループは、Open Virtual Network (OVN) 外部ネットワークプロバイダーに登録されているセキュリティーグループの ID で識別されます。OpenStack Networking API を使用して、特定テナントのセキュリティーグループの ID を把握することができます。OpenStack API リファレンス の セキュリティーグループリスト を参照してください。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- vNIC Profiles タブをクリックします。
- New をクリックするか、既存の vNIC プロファイルを選択して Edit をクリックします。
- カスタムプロパティーのドロップダウンリストから、SecurityGroups を選択します。カスタムプロパティーのドロップダウンを空白のままにすると、デフォルトのセキュリティー設定が適用され、すべてのアウトバウンドトラフィックとの相互通信が許可されますが、デフォルトのセキュリティーグループ外からのインバウンドトラフィックはすべて拒否されます。後で SecurityGroups プロパティーを削除しても、適用されたセキュリティーグループには影響しません。
- テキストフィールドに、vNIC プロファイルにアタッチするセキュリティーグループの ID を入力します。
- をクリックします。
vNIC プロファイルにセキュリティーグループをアタッチしました。そのプロファイルが接続されている論理ネットワークを経由するすべてのトラフィックは、そのセキュリティーグループに定義されているルールに従ってフィルタリングされます。
2.4.2.8. vNIC プロファイルのユーザーパーミッション
ユーザーパーミッションを設定して、特定の vNIC プロファイルにユーザーを割り当てます。VnicProfileUser ロールをユーザーに割り当ててプロファイルの使用を可能にします。特定のプロファイルに対するパーミッションを削除して、ユーザーを制限できます。
vNIC プロファイルのユーザーパーミッション
- → をクリックします。
- vNIC プロファイル名をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Permissions タブをクリックすると、そのプロファイルの現在のユーザーパーミッションが表示されます。
- Add または Remove をクリックして、vNIC プロファイルのユーザーパーミッションを変更します。
- Add Permissions to User ウィンドウで My Groups をクリックすると、ユーザーグループが表示されます。このオプションを使用して、グループ内の他のユーザーにパーミッションを付与できます。
vNIC プロファイルのユーザーパーミッションを設定しました。
2.4.3. 外部プロバイダーネットワーク
2.4.3.1. 外部プロバイダーからのネットワークのインポート
Open Virtual Network (OVN) のネットワークを利用するには、プロバイダーをマネージャーに登録する必要があります。詳細は、外部ネットワークプロバイダーの追加 を参照してください。その後、以下の手順でプロバイダーが提供するネットワークを Manager にインポートし、仮想マシンがネットワークを使用できるようにします。
手順
- → をクリックします。
- Import をクリックします。
- Network Providerドロップダウンリストから、外部のプロバイダーを選択します。そのプロバイダーが提供しているネットワークが自動的に検出され、Provider Networks リストに表示されます。
- チェックボックスを使って、Provider Networks リストでインポートするネットワークを選択し、下矢印をクリックしてそのネットワークを Networks to Import リストに移動させます。
- インポートするネットワークの名前をカスタマイズすることができます。名前をカスタマイズするには、Name 列でネットワークの名前をクリックして、テキストを変更します。
- Data Center ドロップダウンリストから、ネットワークのインポート先となるデータセンターを選択します。
- オプション: 対象のネットワークをすべてのユーザーが利用できるようにするには、Allow All チェックボックスをオフにします。
- Import をクリックします。
選択されたネットワークがターゲットデータセンターにインポートされ、仮想マシンにアタッチできるようになります。詳細は、仮想マシン管理ガイド の 新しいネットワークインターフェイスの追加 を参照してください。
2.4.3.2. 外部プロバイダーネットワークの使用に関する制限
外部プロバイダーからインポートした論理ネットワークを Red Hat Virtualization 環境で使用する場合には、以下の制限があります。
- 外部プロバイダーが提供する論理ネットワークは、仮想マシンのネットワークとして使用する必要があり、ディスプレイネットワークとして使用できません。
- 同一の論理ネットワークを複数回インポートできますが、同じデータセンターにはインポートできません。
- 外部プロバイダーが提供する論理ネットワークを Manager で編集できません。外部プロバイダーが提供する論理ネットワークの詳細を編集するには、対象の論理ネットワークを提供している外部のプロバイダーから直接編集する必要があります。
- 外部プロバイダーが提供する論理ネットワークに接続された仮想ネットワークインターフェイスカードでは、ポートミラーリングは利用できません。
- 外部プロバイダーが提供する論理ネットワークを仮想マシンが使用している場合、その論理ネットワークが仮想マシンで使用されている間は、そのプロバイダーを Manager から削除できません。
- 外部プロバイダーが提供するネットワークは必須ではありません。そのため、そのような論理ネットワークがインポートされたクラスターのスケジューリングでは、ホスト選択時にそれらの論理ネットワークは考慮されません。ユーザーは、そのような論理ネットワークがインポートされたクラスター内のホストで、論理ネットワークの可用性を確保する必要があります。
2.4.3.3. 外部プロバイダーの論理ネットワークでのサブネット設定
外部プロバイダーが提供する論理ネットワークでは、その論理ネットワーク上に 1 つ以上のサブネットが定義されている場合にのみ、仮想マシンに IP アドレスを割り当てることができます。サブネットが定義されていない場合は、仮想マシンに IP アドレスは割り当てられません。サブネットが 1 つの場合は、仮想マシンにそのサブネットから IP アドレスが割り当てられ、複数のサブネットがある場合は、仮想マシンに利用可能なサブネットのいずれかから IP アドレスが割り当てられます。論理ネットワークがホストされている外部ネットワークプロバイダーが提供する DHCP サービスは、これらの IP アドレスを割り当てます。
Red Hat Virtualization Manager は、インポートされた論理ネットワーク上で定義済みのサブネットを自動的に検出しますが、Manager 内で論理ネットワークにサブネットを追加したり、論理ネットワークからサブネットを削除したりすることもできます。
外部ネットワークプロバイダーとして Open Virtual Network (OVN) (ovirt-provider-ovn) を追加すると、複数のサブネットをルーターで接続できます。これらのルーターを管理するには、OpenStack Networking API v2.0 を使用できます。ただし、ovirt-provider-ovn には制限がありますのでご注意ください。ソース NAT (OpenStack API の enable_snat) は実装されていません。
2.4.3.4. 外部プロバイダー論理ネットワークへのサブネットの追加
外部プロバイダーが提供する論理ネットワーク上に、サブネットを作成します。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Subnets タブをクリックします。
- New をクリックします。
- 新しいサブネットの Name と CIDR を入力します。
- IP Version ドロップダウンリストから、IPv4 または IPv6 のいずれかを選択します。
- をクリックします。
IPv6 の場合、Red Hat Virtualization でサポートされるのは静的アドレスのみです。
2.4.3.5. 外部プロバイダー論理ネットワークからのサブネットの削除
外部プロバイダーが提供する論理ネットワークからサブネットを削除します。
手順
- → をクリックします。
- 論理ネットワークの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Subnets タブをクリックします。
- サブネットを選択し、Remove をクリックします。
- をクリックします。
2.4.3.6. 論理ネットワークとポートへのセキュリティーグループの割り当て
この機能は、Open Virtual Network (OVN) を外部ネットワークプロバイダー (ovirt-provider-ovn) として追加した場合にのみ使用できます。セキュリティーグループは Red Hat Virtualization Manager で作成できません。セキュリティーグループの作成は、OpenStack Networking API v2.0 または Ansible で行う必要があります。
セキュリティーグループとは、厳密に適用されるルールの集合体であり、ネットワーク上のインバウンドおよびアウトバウンドのトラフィックをフィルタリングすることができます。また、セキュリティーグループを使って、ポートレベルでトラフィックをフィルタリングすることもできます。
Red Hat Virtualization 4.2.7 では、セキュリティーグループはデフォルトで無効になっています。
手順
- → をクリックします。
- クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Logical Networks タブをクリックします。
-
Add Network をクリックしてプロパティーを定義し、
External Providers
ドロップダウンリストからovirt-provider-ovn
が選択されていることを確認します。詳細は、データセンターまたはクラスターでの新しい論理ネットワークの作成 を参照してください。 -
Security Group
ドロップダウンリストからEnabled
を選択します。詳細は、論理ネットワークの一般設定の説明 を参照してください。 -
OK
をクリックします。 - OpenStack Networking API v2.0 または Ansible を使用して、セキュリティーグループを作成します。
- OpenStack Networking API v2.0 または Ansible を使用して、セキュリティーグループのルールを作成します。
- OpenStack Networking API v2.0 または Ansible を使用して定義したセキュリティーグループでポートを更新します。
-
オプションセキュリティー機能をポートレベルで有効にするかどうかを定義します。現在のところ、これは OpenStack Networking API でのみ可能です。
port_security_enabled
属性が設定されていない場合は、所属するネットワークで指定された値がデフォルトとなります。
2.4.4. ホストとネットワーキング
2.4.4.1. Network Manager Stateful Configuration (nmstate)
Red Hat Virtualization (RHV) のバージョン 4.4 は、Network Manager Stateful Configuration (nmstate) を使用して RHEL 8 ベースの RHV ホストのネットワークを設定します。RHV バージョン 4.3 以前のバージョンでは、ホストのネットワーク管理にインターフェイス設定 (ifcfg) のネットワークスクリプトを使用しています。
nmstate を使用するには、RHV アップグレードガイド に記載されている方法で Red Hat Virtualization Manager とホストをアップグレードします。
管理者は、nmstate のインストールや設定を行う必要はありません。デフォルトで有効になっており、バックグラウンドで動作します。
クラスター内のホストのネットワーク設定を変更するには、必ず RHV Manager を使用します。使用しない場合は、サポート対象外の設定が作成される可能性があります。
nmstate への変更はほぼ透過的に行われます。以下のように、ホストネットワークの設定方法のみ変更されます。
- クラスターにホストを追加した後は、必ず RHV Manager を使用してホストのネットワークを変更してください。
- Manager を使用せずにホストネットワークを変更すると、サポートされていない設定になってしまうことがあります。
- サポートされていない設定を修正するには、Manager を使用してホストネットワークを同期させ、サポート対象の設定に置き換えます。詳細は、ホストネットワークの同期 を参照してください。
- Manager の外部でホストネットワークを変更するのは、ホストで静的ルートを設定する場合のみです。詳細は、ホストへの静的ルートの追加 を参照してください。
nmstate を変更することで、ホストを Manager に追加する前に Cockpit および Anaconda で行った設定変更を RHV Manager が適用する方法が改善されます。これにより、BZ#1680970 Static IPv6 Address is lost on host deploy if NM manages the interface などの問題が修正されました。
dnf
または yum
を使用して nmstate
パッケージを手動で更新した場合は、ホスト上の vdsmd
および supervdsmd
を再起動してください。以下に例を示します。
# dnf update nmstate # systemctl restart vdsmd supervdsmd
dnf
または yum
を使用して Network Manager パッケージを手動で更新した場合は、ホスト上で NetworkManager
を再起動します。以下に例を示します。
# dnf update NetworkManager # systemctl restart NetworkManager
2.4.4.2. ホスト機能のリフレッシュ
ネットワークインターフェイスカードをホストに追加した場合、そのネットワークインターフェイスカードを Manager に表示するには、ホストの機能を更新する必要があります。
手順
- → をクリックし、ホストを選択します。
- → をクリックします。
選択したホストの Network Interfaces タブにあるネットワークインターフェイスカードの一覧が更新されます。新しいネットワークインターフェイスカードが、Manager で使用できるようになりました。
2.4.4.3. ホストのネットワークインターフェイスの編集とホストへの論理ネットワークの割り当て
物理ホストネットワークインターフェイスの設定を変更したり、管理ネットワークを別の物理ホストネットワークインターフェイスに移動したり、物理ホストネットワークインターフェイスに論理ネットワークを割り当てたりすることができます。ブリッジや ethtool のカスタムプロパティーにも対応しています。
Red Hat Virtualization でホストの IP アドレスを変更する唯一の方法は、そのホストを削除してから再度追加することです。
ホストの VLAN 設定の変更は、VLAN 設定の編集 を参照してください。
外部のプロバイダーが提供する論理ネットワークは、物理ホストのネットワークインターフェイスに割り当てることはできません。このような論理ネットワークは、仮想マシンが必要なときに動的にホストに割り当てられます。
スイッチが LLDP (Link Layer Discovery Protocol) 情報を提供するように設定されている場合は、物理ネットワークインターフェイスにカーソルを合わせると、そのスイッチポートの現在の設定が表示されます。これにより、誤った設定を防ぐことができます。論理ネットワークを割り当てる前に、以下の情報を確認してください。
- Port Description (TLV type 4) と System Name (TLV type 5) は、ホストのどのポート、そしてどのスイッチにパッチが当てられているかを検出するのに役立ちます。
- Port VLAN ID は、タグなしイーサーネットフレーム用にスイッチポートに設定されたネイティブ VLAN ID を表示します。スイッチポートに設定されているすべての VLAN が、VLAN Name と VLAN ID の組み合わせで表示されます。
手順
- → をクリックします。
- ホストの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Network Interfaces タブをクリックします。
- Setup Host Networks をクリックします。
- 必要に応じて、ホストネットワークインターフェイスにカーソルを合わせ、スイッチが提供する設定情報を表示します。
論理ネットワークを選択して、物理ホストネットワークインターフェイスの横にあるAssigned Logical Networks 領域にドラッグして、論理ネットワークを物理ホストネットワークインターフェイスにアタッチします。
注記1 つの NIC が複数の論理ネットワークに接続されている場合には、そのうちの 1 つのネットワークのみを VLAN 以外にすることができます。他のすべての論理ネットワークは、一意の VLAN でなければなりません。
論理ネットワークの設定
- 割り当てられた論理ネットワークにカーソルを合わせ、鉛筆アイコンをクリックします。これにより、Edit Management Network ウィンドウが開きます。
IPv4 タブの Boot Protocol で None、DHCP または Static を選択します。Static を選択した場合は、IP、Netmask/Routing Prefix、Gateway を入力します。
注記IPv6 は、静的 IPv6 アドレスにのみ対応しています。論理ネットワークを設定するには、IPv6 タブを選択し、次のように入力します。
- Boot Protocol を Static に設定します。
-
Routing Prefix には、スラッシュと小数点を使って、接頭辞の 長さ を入力します。例:
/48
-
IP: ホストのネットワークインターフェイスの完全な IPv6 アドレス。例:
2001:db8::1:0:0:6
-
Gateway: 送信元ルーターの IPv6 アドレス。例:
2001:db8::1:0:0:1
注記ホストの管理ネットワークの IP アドレスを変更した場合には、新しい IP アドレスの設定に、ホストを再インストール する必要があります。
各論理ネットワークには、管理ネットワークのゲートウェイとは別にゲートウェイを定義できます。これにより、論理ネットワークに到達したトラフィックは、管理ネットワークで使用されているデフォルトゲートウェイではなく、論理ネットワークのゲートウェイを使用して転送されます。
重要クラスター内の すべて のホストが、管理ネットワークに同じ IP スタック (IPv4 または IPv6 のみ) を使用するように設定します。デュアルスタックには対応していません。
QoS タブでは、デフォルトのホストネットワークのサービス品質を上書きします。Override QoS を選択し、以下のフィールドに必要な値を入力します。
- Weight Share: 同じ論理リンクにアタッチされた他のネットワークと比較して、特定のネットワークに割り当てる必要がある論理リンクの容量を指定します。正確な共有は、そのリンクの全ネットワークの共有の合計によって異なります。デフォルトでは、この値は 1-100 の範囲の数字になります。
- Rate Limit [Mbps]: ネットワークによって使用される最大帯域幅。
- Committed Rate [Mbps]: ネットワークに必要な最小帯域幅。要求される Committed Rate は保証されず、ネットワークインフラストラクチャーおよび同じ論理リンクの他のネットワークによって要求される Committed Rate によって異なります。
ネットワークブリッジを設定するには、Custom Properties タブをクリックし、ドロップダウンリストから bridge_opts を選択します。有効なキーと値を次の構文で入力してください: key=value複数の項目を空白文字で区切ります。以下のキーが有効で、値は例として示されています。これらのパラメーターの詳細は、bridge_opts パラメーターの説明 を参照してください。
forward_delay=1500 group_addr=1:80:c2:0:0:0 group_fwd_mask=0x0 hash_max=512 hello_time=200 max_age=2000 multicast_last_member_count=2 multicast_last_member_interval=100 multicast_membership_interval=26000 multicast_querier=0 multicast_querier_interval=25500 multicast_query_interval=13000 multicast_query_response_interval=1000 multicast_query_use_ifaddr=0 multicast_router=1 multicast_snooping=1 multicast_startup_query_count=2 multicast_startup_query_interval=3125
イーサネットのプロパティーを設定するには、Custom Properties タブをクリックし、ドロップダウンリストから ethtool_opts を選択します。ethtool のコマンドライン引数の形式で、有効な値を入力してください。たとえば、以下のようになります。
--coalesce em1 rx-usecs 14 sample-interval 3 --offload em2 rx on lro on tso off --change em1 speed 1000 duplex half
このフィールドはワイルドカードを使用できます。たとえば、このネットワークのすべてのインターフェイスに同じオプションを適用するには以下を使用します。
--coalesce * rx-usecs 14 sample-interval 3
ethtool_opts オプションはデフォルトでは使用できないので、エンジン設定ツールで追加する必要があります。詳細は Ethtool を使用するための Manager の設定方法 を参照してください。ethtool プロパティーの詳細は、コマンドラインで
man ethtool
と入力し、man ページを参照してください。Fibre Channel over Ethernet (FCoE) を設定するには、Custom Properties タブをクリックし、ドロップダウンリストから fcoe を選択します。有効なキーと値を次の構文で入力してください: key=value少なくとも
enable=yes
が必要です。dcb = [yes|no]
および `auto_vlan= [yes|no] を追加することもできます。複数の項目を空白文字で区切ります。fcoe オプションはデフォルトでは利用できないので、エンジン設定ツールを使って追加する必要があります。詳細は、FCoE を使用するための Manager の設定方法 を参照してください。注記FCoE を使用する場合は、別途、専用の論理ネットワークを用意することをお勧めします。
- ホストが使用するデフォルトネットワークを管理ネットワーク (ovirtmgmt) から非管理ネットワークに変更するには、非管理ネットワークのデフォルトルートを設定します。詳細は、デフォルトルートの設定 を参照してください。
- 論理ネットワークの定義がホストのネットワーク設定と同期していない場合は、Sync network チェックボックスを選択します。同期されていないホストとそれらを同期する方法の詳細は、ホストネットワークの同期 を参照してください。
- Verify connectivity between Host and Engine チェックボックスを選択し、ネットワークの接続性を確認します。このアクションは、ホストがメンテナンスモードの場合にのみ機能します。
- をクリックします。
ホストのすべてのネットワークインターフェイスカードが表示されていない場合は、
→ をクリックして、そのホストで利用可能なネットワークインターフェイスカードのリストを更新します。トラブルシューティング
場合によっては、Setup Host Networks ウィンドウまたは setupNetwork
コマンドを使用してホストネットワーク設定を複数同時に変更すると、イベントログで Operation failed: [Cannot setup Networks].Another Setup Networks or Host Refresh process in progress on the host.Please try later.]
のエラーが発生して失敗することがあります。このエラーは、変更内容の一部がホストで設定されていないことを示しています。これは、設定の状態を維持するために、ネットワークの設定コマンドは一度に 1 つしか処理できないためです。他の同時進行の設定コマンドは、最大 20 秒 (デフォルトのタイムアウト)、待ちキューに入ります。上記の失敗を防ぐために、engine-config
コマンドを使用して、SetupNetworksWaitTimeoutSeconds
のタイムアウト時間を 20 秒より長くしてください。以下に例を示します。
# engine-config --set SetupNetworksWaitTimeoutSeconds=40
2.4.4.4. ホストネットワークの同期
ホスト上のインターフェイスの定義が Manager が記憶している定義と異なる場合は、Manager はネットワークインターフェイスを out-of-sync
と定義します。
同期していないネットワークは、ホストの Network Interfaces タブの Out-of-sync アイコン ( ) と、Setup Host Networks ウィンドウのこのアイコン とともに表示されます。
ホストのネットワークが同期していない場合、Setup Host Networks ウィンドウで同期していないネットワークに対して実行できるアクティビティーは、ネットワークインターフェイスからの論理ネットワークの切り離しが、ネットワークの同期のみです。
ホストが同期しなくなる仕組み
次のような場合には、ホストは非同期の状態になります。
Edit Logical Networks ウィンドウなどを使わずに、ホスト上で設定を変更した場合。
- 物理ホスト上の VLAN 識別子を変更した場合。
- 物理ホストの Custom MTU を変更した場合。
- ネットワーク名は同じだが、値やパラメーターが異なる別のデータセンターにホストを移動した場合。
- ホストから手動でブリッジを削除してネットワークの VM Network プロパティーを変更した場合。
ネットワークの MTU 設定を変更する場合は、この変更をネットワーク上で実行中の仮想マシンに伝達する必要があります。それには、MTU 設定を適用する必要があるすべての仮想マシンの vNIC をホットアンプラグ/再プラグするか、仮想マシンを再起動します。そうしないと、仮想マシンが別のホストに移行すると、これらのインターフェイスが失敗します。詳細は、After network MTU change, some VMs and bridges have the old MTU and seeing packet drops と BZ#1766414 を参照してください。
ホストの非同期化の回避
以下のベストプラクティスに従うことで、ホストの非同期化を回避できます。
- ホストのローカルで変更するのではなく、管理ポータルで変更します。
- Editing VLAN Settings の手順に従って VLAN 設定を編集します。
ホストの同期
ホストのネットワークインターフェイスの定義を同期させるには、Manager からの定義を使用してホストに適用します。これらの定義が必要でない場合は、同期後に管理ポータルからホストの定義を更新してください。ホストのネットワークを 3 つのレベルで同期させることができます。
- 論理ネットワーク別
- ホスト別
- クラスター別
論理ネットワークレベルでのホストネットワークの同期
- → をクリックします。
- ホストの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
- Network Interfaces タブをクリックします。
- Setup Host Networks をクリックします。
- 同期していないネットワークにカーソルを置き、鉛筆アイコンをクリックします。Edit Network ウィンドウが開きます。
- Sync network チェックボックスを選択します。
- をクリックすると、ネットワークの変更が保存されます。
- Setup Host Networks ウィンドウを閉じます。 をクリックして
ホストレベルでのホストネットワークの同期
- ホストの Network Interfaces タブにある Sync All Networks ボタンをクリックすると、ホストで同期していないネットワークインターフェイスがすべて同期されます。
クラスターレベルでのホストネットワークの同期
- クラスターの Logical Networks タブの Sync All Networks ボタンをクリックして、クラスター全体の同期されていない論理ネットワーク定義をすべて同期します。
REST API 経由でホストのネットワークを同期することもできます。REST API ガイド の syncallnetworks を参照してください。
2.4.4.5. ホストの VLAN 設定の編集
ホストの VLAN 設定を変更するには、一旦 Manager からホストを削除し、再設定した後、再度 Manager に追加する必要があります。
ネットワークを同期させるためには、以下を実行します。
- ホストをメンテナンスモードにします。
- 管理ネットワークを手動でホストから外します。これにより、ホストは新しい VLAN 上で到達可能になります。
- ホストをクラスターに追加します。管理ネットワークに直接接続されていない仮想マシンは、ホスト間で安全に移行できます。
管理ネットワークの VLAN ID を変更すると、次のような警告メッセージが表示されます。
Changing certain properties (e.g. VLAN, MTU) of the management network could lead to loss of connectivity to hosts in the data center, if its underlying network infrastructure isn't configured to accommodate the changes. Are you sure you want to proceed?
続行すると、データセンター内のすべてのホストが Manager への接続を失い、新しい管理ネットワークへのホストの移行が失敗してしまいます。管理ネットワークは、"非同期" と報告されます。
管理ネットワークの VLAN ID を変更した場合は、ホストを再インストール して新しい VLAN ID を適用する必要があります。
2.4.4.6. 論理ネットワークを使用した単一のネットワークインターフェイスへの複数の VLAN の追加
1 つのネットワークインターフェイスに複数の VLAN を追加し、1 つのホストのトラフィックを分離できます。
複数の論理ネットワークを作成している場合、すべての論理ネットワークで New Logical Network または