アップグレードガイド
Red Hat Virtualization の更新およびアップグレード作業
概要
Red Hat Virtualization のアップグレードの概要
このガイドでは、以下の環境を Red Hat Virtualization 4.3 または 4.4 にアップグレードする方法を説明します。
- セルフホストエンジン、ローカルデータベース: Data Warehouse データベースおよび Manager データベースの両方が Manager にインストールされている。
- スタンドアロンマネージャー、ローカルデータベース: Data Warehouse データベースおよび Manager データベースの両方が Manager にインストールされている。
- スタンドアロンマネージャー、リモートデータベース: Data Warehouse データベースまたは Manager データベース、またはその両方が別のマシン上にある。
アップグレード手順のチェックリストについては、RHV Upgrade Helper を使用することができます。このアプリケーションは、アップグレードパスと現在の環境のチェックリストを入力し、該当するアップグレード手順を表示するよう要求します。
必要なダウンタイムを事前に計画します。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
以下の表から、お使いの環境に適した手順を選択します。Manager のバージョンとホストのバージョンが異なる場合 (以前に Manager をアップグレードしていてもホストではない場合)、Manager のバージョンに一致する手順に従います。
現在の Manager バージョン | ターゲット Manager のバージョン | 関連セクション |
---|---|---|
4.3 | 4.4 | セルフホストエンジン、ローカルデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのセルフホストエンジンのアップグレード ローカルデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのアップグレード リモートデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのリモートデータベース環境のアップグレード |
4.2 | 4.3 | セルフホストエンジン、ローカルデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのセルフホストエンジンのアップグレード ローカルデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのアップグレード リモートデータベース環境: Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのリモートデータベース環境のアップグレード |
第1章 セルフホストエンジン環境のアップグレード
1.1. Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのセルフホストエンジンのアップグレード
セルフホストエンジン環境をバージョン 4.3 から 4.4 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループが無効化されている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 に一致するようにアップグレードされている。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動されている。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、 → をクリックします。この設定は、REST API でも利用可能です。機能の更新に失敗した場合は、Manager 4.4 以降からホストを再インストールして OVN を設定できます。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- Manager 用仮想マシンと同じホストで実行されている仮想マシンを、同じクラスターの別のホストに移行する。
- 環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える。
- 4.3 Manager を最新バージョンの 4.3 に更新する。
- Manager を 4.3 から 4.4 にアップグレードする。
- 仮想マシンのダウンタイムを削減しつつ、セルフホストエンジンノードおよび通常のホストをアップグレードする。
- (オプション) ローカルストレージを保持した状態で RHVH をアップグレードする。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
1.1.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
1.1.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
1.1.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
1.1.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
1.1.4. セルフホストエンジンホストからの仮想マシンの移行
ホストのアップグレードが終了するまで、Manager 用仮想マシンのみがホストに留まる必要があります。Manager 用仮想マシン以外の仮想マシンを、同じクラスターの別のホストに移行します。
ライブマイグレーションを使用して、仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホスト間での仮想マシンの移行 を参照してください。
1.1.5. グローバルメンテナンスモードの有効化
Manager 用仮想マシンの設定またはアップグレード作業を実施する前に、セルフホスト型エンジン環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える必要があります。
手順
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
作業を進める前に、環境がグローバルメンテナンスモードにあることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
クラスターがグローバルメンテナンスモードにあることを示すメッセージが表示されるはずです。
次に、Manager を最新バージョンの 4.3 に更新してください。
1.1.6. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
次に、Manager を 4.4 にアップグレードしてください。
1.1.7. Red Hat Virtualization Manager 4.3 から 4.4 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager 4.4 は、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 でのみサポートされます。RHV 4.3 セルフホストエンジンの実行に使用する物理マシンと同じマシンを使用する場合でも、セルフホストエンジンホスト上の Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host のクリーンインストールを実行する必要があります。
アップグレードプロセスでは、Red Hat Virtualization Manager 4.3 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 の仮想マシンに復元する必要があります。
前提条件
- 環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている。
- 環境内のすべての仮想マシンで、クラスターの互換レベルがバージョン 4.3 に設定されている。
- DHCP を使用し、同じ IP アドレスを使用する必要がある場合は、セルフホストエンジンの MAC アドレスを書き留めておく。デプロイスクリプトにより、この情報の入力が求められます。
- デプロイメント時に、Manager マシンの新しいストレージドメインが提供されている。デプロイメントスクリプトは 4.3 ストレージドメインの名前を変更し、そのデータを保存して障害復旧を有効にします。
アップグレード時の仮想マシンの自動移行を防ぐために、クラスタースケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定している。注意複数の高可用性セルフホストエンジンノードで設定される環境では、Manager を 4.4 にアップグレードした後にバージョン 4.3 Manager をホストするストレージドメインをデタッチする必要があります。4.4 セルフホストエンジンのデプロイメントに専用のストレージドメインを使用します。
- 外部 CA を使用して HTTPS 証明書に署名する場合は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え の手順に従っている。バックアップおよび復元にはサードパーティーの証明書が含まれるので、アップグレード後に管理ポータルにログインできるはずです。virt-viewer の外部メニューが機能するように、CA 証明書がすべてのクライアントのシステム全体のトラストストアに追加されていることを確認します。詳細は、BZ#1313379 を参照してください。
接続されたホストと仮想マシンは、Manager のアップグレード中も引き続き動作可能です。
手順
Manager 用仮想マシンにログインし、エンジンサービスをシャットダウンします。
# systemctl stop ovirt-engine
Red Hat Virtualization Manager 4.3 環境のバックアップを作成します。
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
- バックアップファイルを RHV 環境外のストレージデバイスにコピーします。
セルフホストエンジンをシャットダウンします。
# shutdown
注記セルフホストエンジンの仮想マシンを再利用して Red Hat Virtualization Manager 4.4 をデプロイする場合は、シャットダウンする前にセルフホストエンジンネットワークインターフェイスの MAC アドレスをメモします。
セルフホストエンジンがシャットダウンしていることを確認します。
# hosted-engine --vm-status | grep -E 'Engine status|Hostname'
注記ホストのいずれかが
detail
フィールドにUp
と報告している場合は、その特定のホストにログインしてhosted-engine --vm-shutdown
コマンドでシャットダウンします。Manager 用仮想マシンを実行している既存のノードに RHVH 4.4 または Red Hat Enterprise Linux 8.6 をインストールして、セルフホストエンジンのデプロイメントホストとして使用します。詳細は、セルフホストエンジン用デプロイメントホストのインストール を参照してください。
注記既存ホストのいずれかを使用することが推奨されます。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
セルフホストエンジンのデプロイメントツールをインストールします。
# yum install ovirt-hosted-engine-setup
- バックアップファイルをホストにコピーします。
Manager ホストにログインし、バックアップファイルを使用してセルフホストエンジンをデプロイします。
# hosted-engine --deploy --restore-from-file=/path/backup.bck
注記tmux
を使用すると、サーバーへの接続が中断された場合にデプロイメントスクリプトが続行できるようになります。これにより、再接続してデプロイメントにアタッチし、続行することができます。これ以外の場合は、デプロイメント中に接続が中断されると、デプロイメントに失敗します。tmux
を使用してデプロイメントスクリプトを実行するには、デプロイメントスクリプトを実行する前にtmux
コマンドを入力します。# tmux # hosted-engine --deploy --restore-from-file=backup.bck
デプロイメントスクリプトは自動的にグローバルメンテナンスモードを無効にし、HA エージェントを呼び出してセルフホストエンジンの仮想マシンを起動します。4.4 セルフホストエンジンのアップグレードされたホストは、HA モードがアクティブであると報告しますが、他のホストは、以前のセルフホストエンジンのストレージに接続されたままであるため、グローバルメンテナンスモードが依然として有効化されていると報告します。
- Manager 4.3 マシンをホストするストレージドメインをデタッチします。詳細は、管理ガイドの データセンターからストレージドメインをデタッチ を参照してください。
Manager 用仮想マシンにログインし、エンジンサービスをシャットダウンします。
# systemctl stop ovirt-engine
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
オプションの拡張機能パッケージが Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンにインストールされていた場合はインストールします。
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc
注記ovirt-engine-extension-aaa-ldap
は非推奨になりました。新規インストールの場合は、Red Hat Single Sign On を使用します。詳細は、管理ガイド の Red Hat Single Sign-On のインストールおよび設定 を参照してください。注記これらの拡張機能パッケージの設定は、バックアップおよび復元プロセスの一部として移行されないため、手動で再適用する必要があります。
engine-setup
コマンドを実行して Manager を設定します。# engine-setup
これにより、クラスターの互換バージョンが既存のバージョンに応じて 4.2 または 4.3 に設定されている状態で、Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされました。
次に、セルフホストエンジンノードを更新し、続いて通常のホストを更新してください。手順は、両方のホストタイプで同じです。
1.1.8. ホストおよび仮想マシンの RHV 4.3 から 4.4 への移行
ホストおよび仮想マシンを Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 に移行し、環境内の仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このプロセスでは、すべての仮想マシンを 1 つのホストから移行する必要があります。これにより、そのホストが RHV 4.4 にアップグレードできるようにします。アップグレード後に、ホストを Manager に再度アタッチすることができます。
ホストのオペレーティングシステムのインストールまたは再インストールを行う場合、Red Hat では、ホストにアタッチされている既存の OS 以外のストレージを最初にデタッチすることを強く推奨しています。これは、ディスクを誤って初期化してデータが失われる可能性を避けるためです。
CPU パススルー仮想マシンは、RHV 4.3 から RHV 4.4 に適切に移行しない可能性があります。
RHV 4.3 および RHV 4.4 は、それぞれ RHEL 7 および RHEL 8 をベースにしています。これには、CPU フラグおよびコンストラクターが異なるカーネルバージョンがあります。これにより、CPU パススルーの仮想マシンの移行で問題が発生する可能性があります。
前提条件
- RHV 4.4 のホストには、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 が必要である。RHV 4.3 のホストの実行に使用する物理マシンと同じものを使用している場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 のクリーンインストールが必要です。
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換性レベルが 4.2 または 4.3 に設定されている。手順の開始前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている必要があります。
手順
- アップグレードするホストを選択し、そのホストの仮想マシンを同じクラスター内の別のホストに移行します。ライブマイグレーションを使用して、仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホスト間での仮想マシンの移行 を参照してください。
- ホストをメンテナンスモードにし、Manager からホストを削除します。詳細は、管理ガイド の ホストの削除 を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 または RHVH 4.4 をインストールします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- 適切なパッケージをインストールして、RHV 4.4 のホストを有効にします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- このホストを Manager に追加し、これを同じクラスターに割り当てます。次に、仮想マシンをこのホストに移行してください。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常ホストの追加 を参照してください。
これらの手順を繰り返して仮想マシンを移行し、同じクラスター内の残りのホストを 1 つずつアップグレードします。すべてが Red Hat Virtualization 4.4 を実行するまでこれを続けます。
1.1.9. ローカルストレージを保持した状態での RHVH のアップグレード
ローカルストレージが他のストレージドメインと共有されないため、ローカルストレージを使用する環境は、別のクラスターのホストに仮想マシンを移行できません。ローカルストレージドメインを持つ RHVH 4.3 ホストをアップグレードするには、ローカルストレージを保持しながらホストを再インストールし、4.4 環境で新しいローカルストレージドメインを作成してから、以前のローカルストレージを新しいドメインにインポートします。
前提条件
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換レベルが、4.2 または 4.3 に設定されている。
手順
このプロセスを開始する前に、RHVH 4.3 ホストのローカルストレージ上のローカルストレージがメンテナンスモードにあることを確認します。以下の手順を実行します。
- Data Centers タブを開きます。
- Details ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧でストレージドメインを選択します。
- Maintenance をクリックします。
インストールガイド の Red Hat Virtualization Host のインストール に記載されているとおりに、Red Hat Virtualization Host を再インストールします。
重要インストール先 画面で RHVH をインストールするデバイスを選択する場合は、仮想マシンを保存するデバイスを選択しないでください。オペレーティングシステムをインストールするデバイスのみを選択します。
キックスタートを使用してホストをインストールする場合は、キックスタートファイルに以下を追加して、仮想マシンを含むデバイスを保存するようにしてください。ここでの `device` は、適切なデバイスに置き換えてください。
# clearpart --all --drives=device
キックスタートの使用方法は、Red Hat Enterprise Linux 8 高度な RHEL インストールの実行 の キックスタートの参照 を参照してください。
再インストールしたホストで、以前の環境を復元するディレクトリー (
/data
など) を作成します。# mkdir /data
新しいディレクトリーに以前のローカルストレージをマウントします。この例では、
/dev/sdX1
がローカルストレージになります。# mount /dev/sdX1 /data
新しいディレクトリーに以下のパーミッションを設定します。
# chown -R 36:36 /data # chmod -R 0755 /data
Red Hat では、サーバーの再起動が必要となる場合に備えて、
/etc/fstab
経由でローカルストレージを自動的にマウントすることも推奨します。# blkid | grep -i sdX1 /dev/sdX1: UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" TYPE="ext4" # vi /etc/fstab UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" /data ext4 defaults 0 0
- 管理ポータルでデータセンターを作成し、Storage Type ドロップダウンメニューで Local を選択します。
- 新しいデータセンターでクラスターを設定します。詳細は、管理ガイド の 新規クラスターの作成 を参照してください。
- Manager にホストを追加します。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常のホストの追加 を参照してください。
ホスト上で、最初のローカルストレージドメインの作成に使用する新しいディレクトリーを作成します。以下に例を示します。
# mkdir -p /localfs # chown 36:36 /localfs # chmod -R 0755 /localfs
- 管理ポータルで Storage タブを開き、New Domain をクリックして新しいローカルストレージドメインを作成します。
-
名前を
localfs
に設定し、パスを/localfs
に設定します。 -
ローカルストレージがアクティブになったら、Import Domain をクリックして、ドメインの詳細を設定します。たとえば、
Data
を名前として、Local on Host
をストレージタイプとして、/data
をパスとして定義します。 - ストレージドメインがデータセンターにすでにアタッチされていることを知らせるメッセージが表示されるので、 をクリックして確定します。
新しいストレージドメインをアクティブ化します。
- Data Centers タブを開きます。
- 詳細ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧で新しいデータストレージドメインを選択します。
- Activate をクリックします。
新規ストレージドメインがアクティブになったら、仮想マシンとそのディスクをインポートします。
- Storage タブで、data を選択します。
- 詳細ペインで VM Import タブを選択し、仮想マシンを選択して Import をクリックします。詳細は、仮想マシン管理ガイド の データドメインからの仮想マシンのインポート を参照してください。
-
すべての仮想マシンが正常にインポートされ、適切に機能していることを確認したら、
localfs
をメンテナンスモードに移行できます。 Storage タブをクリックし、結果一覧で localfs を選択します。
- 詳細ペインの Data Center タブをクリックします。
- Maintenance をクリックしてから をクリックし、ストレージドメインをメンテナンスモードに移動します。
- Detach をクリックします。Detach Storage の確認ウィンドウが開きます。
- をクリックします。
これで、ホストのバージョン 4.4 へのアップグレード、新しいローカルストレージドメインの作成、4.3 ストレージドメインおよびその仮想マシンのインポートが完了しました。
1.1.10. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
1.1.11. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
Manager 用仮想マシンを再起動する必要はありません。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
1.1.12. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
1.2. Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのセルフホストエンジンのアップグレード
セルフホストエンジン環境をバージョン 4.2 から 4.3 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- 環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える。
- 4.2 Manager を最新バージョンの 4.2 に更新する。
- Manager を 4.2 から 4.3 にアップグレードする。
- グローバルメンテナンスモードを無効にする。
- セルフホストエンジンノードおよび通常のホストをアップグレードする。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
- 以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで証明書を置き換える必要があります。
1.2.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
1.2.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
1.2.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
1.2.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
1.2.4. グローバルメンテナンスモードの有効化
Manager 用仮想マシンの設定またはアップグレード作業を実施する前に、セルフホスト型エンジン環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える必要があります。
手順
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
作業を進める前に、環境がグローバルメンテナンスモードにあることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
クラスターがグローバルメンテナンスモードにあることを示すメッセージが表示されるはずです。
1.2.5. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
1.2.6. Red Hat Virtualization Manager の 4.2 から 4.3 へのアップグレード
アップグレードしているマシンにログインする必要があります。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストールを以前の状態に復元しようとします。このため、アップグレードが完了するまで、以前のバージョンのリポジトリーを削除しないでください。アップグレードに失敗すると、engine-setup
スクリプトによりインストールの復元方法を説明します。
手順
Red Hat Virtualization 4.3 のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-7-server-rhv-4.3-manager-rpms \ --enable=jb-eap-7.2-for-rhel-7-server-rpms
その他のリポジトリーはすべて、Red Hat Virtualization リリース全体を通して同じになります。
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
を実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
Red Hat Virtualization 4.2 のリポジトリーを無効にして、このシステムで 4.2 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos \ --disable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms \ --disable=jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動してアップグレードを完了してください。
Manager はバージョン 4.3 にアップグレードされました。
1.2.7. グローバルメンテナンスモードの無効化
手順
- Manager 用仮想マシンにログインし、シャットダウンします。
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを無効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=none
グローバルメンテナンスモードを終了すると、ovirt-ha-agent が Manager 用仮想マシンを起動し、続いて Manager が自動的に起動します。Manager が起動するまでに最大で 10 分程度かかる場合があります。
環境が動作していることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
情報の一覧に、Engine Status が含まれます。Engine status の値は、以下のようになるはずです。
{"health": "good", "vm": "up", "detail": "Up"}
注記仮想マシンが起動中で Manager がまだ動作していない場合、Engine status は以下のようになります。
{"reason": "bad vm status", "health": "bad", "vm": "up", "detail": "Powering up"}
このような場合には、数分間待ってからやり直してください。
次に、セルフホストエンジンノードを更新し、続いて通常のホストを更新してください。手順は、両方のホストタイプで同じです。
1.2.8. クラスター内の全ホストの更新
ホストを個別に更新するのではなく、クラスター内の全ホストを更新することができます。この手法は、Red Hat Virtualization を新しいバージョンにアップグレードする際に特に役立ちます。更新の自動化に使用する Ansible ロールの詳細は、oVirt クラスターアップグレード を参照してください。
クラスターは一度に 1 つずつ更新します。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストをスキップするよう選択した場合を除き、更新中は固定された仮想マシンはシャットダウンされます。
手順
- 管理ポータルで Upgrade status 列には、クラスターの任意のホストでアップグレードが利用可能かどうかが表示されます。 → をクリックし、クラスターを選択します。
- Upgrade をクリックします。
- 更新するホストを選択し、次に Next をクリックします。
オプションを設定します。
- Stop Pinned VMs: クラスター内のホストに固定された仮想マシンをシャットダウンします。このオプションは、デフォルトで選択されています。このチェックボックスの選択を解除すると、固定された仮想マシンが動作を続けられるように、それらのホストの更新をスキップすることができます (固定された仮想マシンが重要なサービスまたはプロセスを実行中で、更新中の予期せぬ時にシャットダウンされるのを避けたい場合など)。
-
Upgrade Timeout (Minutes): このオプションで設定した時間内に個々のホストの更新が完了しない場合、クラスターのアップグレードはタイムアウトで失敗します。デフォルトは
60
です。60 分では不十分と思われる大規模なクラスターの場合は、時間を延長することができます。また、ホストの更新が短時間で完了する小規模なクラスターは、短縮することができます。 - Check Upgrade: アップグレードプロセスを実行する前に、それぞれのホストで更新が利用可能かどうかを確認します。このオプションは、デフォルトでは選択されていません。ただし、Manager がホストの更新を確認する頻度をデフォルトより低く設定している状況などで、最新の更新を確実に含める必要がある場合は、このオプションを選択することができます。
- Reboot After Upgrade: ホストの更新後に、それぞれのホストを再起動します。このオプションは、デフォルトで選択されています。ホストを再起動する必要のある保留中の更新がないことが明らかであれば、このチェックボックスの選択を解除してプロセスを迅速化することができます。
-
Use Maintenance Policy: 更新時にクラスターのスケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定します。このオプションはデフォルトで選択されています。したがって、許可される動作は限定的で、仮想マシンは高可用性でない限り起動できません。更新中も使用を続けたいカスタムのスケジューリングポリシーがある場合は、このチェックボックスの選択を解除できます。ただし、解除することで想定外の結果が生じる可能性があります。このオプションを無効にする前に、カスタムのポリシーがクラスターのアップグレード操作に対応していることを確認してください。
- Next をクリックします。
- 影響を受けるホストと仮想マシンの概要を確認します。
- Upgrade をクリックします。
- クラスターのアップグレードステータス画面が表示され、完了の割合を示す進行状況バーと、完了したアップグレードプロセスの手順のリストが表示されます。Go to Event Log をクリックして、アップグレードのログエントリーを開くことができます。この画面を閉じても、アップグレードプロセスは中断されません。
以下で、ホスト更新の進捗状況を追跡できます。
- Upgrade Status 列に完了率を示す進捗バーが表示されます) → ビュー (
- → ビュー
- 通知ドロワー の イベント セクション ( )
仮想マシン移行の進捗を、Status 列で個々に追跡できます。大規模な環境では、特定の仮想マシングループの結果を表示するために、結果を絞り込まなければならない場合があります。
→ ビューの1.2.9. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
1.2.10. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
Manager 用仮想マシンを再起動する必要はありません。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
1.2.11. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで置き換える必要があります。
1.2.12. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.4 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールしたシステムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするための特別な手順は必要ありません。
証明書の有効期限が 切れない ようにしてください。有効期限が切れると、環境は応答しなくなり、復元はエラーが発生しやすい時間のかかるプロセスになります。証明書の更新は、管理ガイド の 有効期限が切れる前の証明書更新 を参照してください。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
セルフホストエンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
セルフホストエンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスを無効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=none
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。
すべての署名済み証明書を SHA-256 に置き換える
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え を参照してください。
セルフホストエンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio
セルフホストエンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスを無効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=none
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックしてから をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第2章 スタンドアロンの Manager ローカルデータベース環境のアップグレード
2.1. Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのアップグレード
お使いの環境を 4.3 から 4.4 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループが無効化されている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 に一致するようにアップグレードされている。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動されている。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、 → をクリックします。この設定は、REST API でも利用可能です。機能の更新に失敗した場合は、Manager 4.4 以降からホストを再インストールして OVN を設定できます。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- 4.3 Manager を最新バージョンの 4.3 に更新する。
- Manager を 4.3 から 4.4 にアップグレードする。
- 仮想マシンのダウンタイムを削減しつつ、ホストおよび仮想マシンを移行する。
- (オプション) ローカルストレージを保持した状態で RHVH をアップグレードする。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
2.1.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
2.1.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
2.1.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
2.1.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
次に、Manager を最新バージョンの 4.3 に更新してください。
2.1.4. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
次に、Manager を 4.4 にアップグレードしてください。
2.1.5. Red Hat Virtualization Manager 4.3 から 4.4 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager 4.4 は、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 でのみサポートされます。RHV Manager 4.3 の実行に使用する物理マシンと同じマシンを使用する場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 および Red Hat Virtualization Manager 4.4 のクリーンインストールを実行する必要があります。
アップグレードプロセスでは、Red Hat Virtualization Manager 4.3 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンに復元する必要があります。
前提条件
- 環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている。
- 環境内のすべての仮想マシンで、クラスターの互換レベルがバージョン 4.3 に設定されている。
- 外部 CA を使用して HTTPS 証明書に署名する場合は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え の手順に従っている。バックアップおよび復元にはサードパーティーの証明書が含まれるので、アップグレード後に管理ポータルにログインできるはずです。virt-viewer の外部メニューが機能するように、CA 証明書がすべてのクライアントのシステム全体のトラストストアに追加されていることを確認します。詳細は、BZ#1313379 を参照してください。
接続されたホストと仮想マシンは、Manager のアップグレード中も引き続き動作可能です。
手順
- Manager マシンにログインします。
Red Hat Virtualization Manager 4.3 環境のバックアップを作成します。
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
- バックアップファイルを RHV 環境外のストレージデバイスにコピーします。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 をインストールします。詳細は、標準の RHEL 8 インストールの実行 を参照してください。
-
コマンド
yum install rhvm
の実行など、Red Hat Virtualization Manager 4.4 のインストール手順を完了します (engine-setup
は実行しないでください)。詳細は、Red Hat Virtualization のインストール ガイドのいずれかを参照してください。 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンにコピーし、復元します。
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
注記バックアップに追加のデータベースユーザーへの権限付与が含まれていた場合、このコマンドにより、無作為にパスワードが設定された追加のユーザーが作成されます。追加のユーザーが復元したシステムにアクセスする必要がある場合は、これらのパスワードを手動で変更する必要があります。https://access.redhat.com/articles/2686731 を参照してください。
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
オプションの拡張機能パッケージが Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンにインストールされていた場合はインストールします。
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc
注記ovirt-engine-extension-aaa-ldap
は非推奨になりました。新規インストールの場合は、Red Hat Single Sign On を使用します。詳細は、管理ガイド の Red Hat Single Sign-On のインストールおよび設定 を参照してください。注記これらの拡張機能パッケージの設定は、バックアップおよび復元プロセスの一部として移行されないため、手動で再適用する必要があります。
engine-setup
コマンドを実行して Manager を設定します。# engine-setup
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 に別のマシンを使用している場合は、Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンを廃止します。2 つの異なる Manager が同じホストまたはストレージを管理することはできません。
engine-setup
を実行して Manager を設定します。# engine-setup
これにより、クラスターの互換バージョンが既存のバージョンに応じて 4.2 または 4.3 に設定されている状態で、Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされました。続いて、環境内のホストを RHV 4.4 にアップグレードする必要があります。その後、クラスターの互換バージョンを 4.4 に変更することができます。
関連情報
次に、ホストを更新してください。
2.1.6. ホストおよび仮想マシンの RHV 4.3 から 4.4 への移行
ホストおよび仮想マシンを Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 に移行し、環境内の仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このプロセスでは、すべての仮想マシンを 1 つのホストから移行する必要があります。これにより、そのホストが RHV 4.4 にアップグレードできるようにします。アップグレード後に、ホストを Manager に再度アタッチすることができます。
ホストのオペレーティングシステムのインストールまたは再インストールを行う場合、Red Hat では、ホストにアタッチされている既存の OS 以外のストレージを最初にデタッチすることを強く推奨しています。これは、ディスクを誤って初期化してデータが失われる可能性を避けるためです。
CPU パススルー仮想マシンは、RHV 4.3 から RHV 4.4 に適切に移行しない可能性があります。
RHV 4.3 および RHV 4.4 は、それぞれ RHEL 7 および RHEL 8 をベースにしています。これには、CPU フラグおよびコンストラクターが異なるカーネルバージョンがあります。これにより、CPU パススルーの仮想マシンの移行で問題が発生する可能性があります。
前提条件
- RHV 4.4 のホストには、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 が必要である。RHV 4.3 のホストの実行に使用する物理マシンと同じものを使用している場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 のクリーンインストールが必要です。
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換性レベルが 4.2 または 4.3 に設定されている。手順の開始前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている必要があります。
手順
- アップグレードするホストを選択し、そのホストの仮想マシンを同じクラスター内の別のホストに移行します。ライブマイグレーションを使用して、仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホスト間での仮想マシンの移行 を参照してください。
- ホストをメンテナンスモードにし、Manager からホストを削除します。詳細は、管理ガイド の ホストの削除 を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 または RHVH 4.4 をインストールします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- 適切なパッケージをインストールして、RHV 4.4 のホストを有効にします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- このホストを Manager に追加し、これを同じクラスターに割り当てます。次に、仮想マシンをこのホストに移行してください。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常ホストの追加 を参照してください。
これらの手順を繰り返して仮想マシンを移行し、同じクラスター内の残りのホストを 1 つずつアップグレードします。すべてが Red Hat Virtualization 4.4 を実行するまでこれを続けます。
2.1.7. ローカルストレージを保持した状態での RHVH のアップグレード
ローカルストレージが他のストレージドメインと共有されないため、ローカルストレージを使用する環境は、別のクラスターのホストに仮想マシンを移行できません。ローカルストレージドメインを持つ RHVH 4.3 ホストをアップグレードするには、ローカルストレージを保持しながらホストを再インストールし、4.4 環境で新しいローカルストレージドメインを作成してから、以前のローカルストレージを新しいドメインにインポートします。
前提条件
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換レベルが、4.2 または 4.3 に設定されている。
手順
このプロセスを開始する前に、RHVH 4.3 ホストのローカルストレージ上のローカルストレージがメンテナンスモードにあることを確認します。以下の手順を実行します。
- Data Centers タブを開きます。
- Details ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧でストレージドメインを選択します。
- Maintenance をクリックします。
インストールガイド の Red Hat Virtualization Host のインストール に記載されているとおりに、Red Hat Virtualization Host を再インストールします。
重要インストール先 画面で RHVH をインストールするデバイスを選択する場合は、仮想マシンを保存するデバイスを選択しないでください。オペレーティングシステムをインストールするデバイスのみを選択します。
キックスタートを使用してホストをインストールする場合は、キックスタートファイルに以下を追加して、仮想マシンを含むデバイスを保存するようにしてください。ここでの `device` は、適切なデバイスに置き換えてください。
# clearpart --all --drives=device
キックスタートの使用方法は、Red Hat Enterprise Linux 8 高度な RHEL インストールの実行 の キックスタートの参照 を参照してください。
再インストールしたホストで、以前の環境を復元するディレクトリー (
/data
など) を作成します。# mkdir /data
新しいディレクトリーに以前のローカルストレージをマウントします。この例では、
/dev/sdX1
がローカルストレージになります。# mount /dev/sdX1 /data
新しいディレクトリーに以下のパーミッションを設定します。
# chown -R 36:36 /data # chmod -R 0755 /data
Red Hat では、サーバーの再起動が必要となる場合に備えて、
/etc/fstab
経由でローカルストレージを自動的にマウントすることも推奨します。# blkid | grep -i sdX1 /dev/sdX1: UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" TYPE="ext4" # vi /etc/fstab UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" /data ext4 defaults 0 0
- 管理ポータルでデータセンターを作成し、Storage Type ドロップダウンメニューで Local を選択します。
- 新しいデータセンターでクラスターを設定します。詳細は、管理ガイド の 新規クラスターの作成 を参照してください。
- Manager にホストを追加します。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常のホストの追加 を参照してください。
ホスト上で、最初のローカルストレージドメインの作成に使用する新しいディレクトリーを作成します。以下に例を示します。
# mkdir -p /localfs # chown 36:36 /localfs # chmod -R 0755 /localfs
- 管理ポータルで Storage タブを開き、New Domain をクリックして新しいローカルストレージドメインを作成します。
-
名前を
localfs
に設定し、パスを/localfs
に設定します。 -
ローカルストレージがアクティブになったら、Import Domain をクリックして、ドメインの詳細を設定します。たとえば、
Data
を名前として、Local on Host
をストレージタイプとして、/data
をパスとして定義します。 - ストレージドメインがデータセンターにすでにアタッチされていることを知らせるメッセージが表示されるので、 をクリックして確定します。
新しいストレージドメインをアクティブ化します。
- Data Centers タブを開きます。
- 詳細ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧で新しいデータストレージドメインを選択します。
- Activate をクリックします。
新規ストレージドメインがアクティブになったら、仮想マシンとそのディスクをインポートします。
- Storage タブで、data を選択します。
- 詳細ペインで VM Import タブを選択し、仮想マシンを選択して Import をクリックします。詳細は、仮想マシン管理ガイド の データドメインからの仮想マシンのインポート を参照してください。
-
すべての仮想マシンが正常にインポートされ、適切に機能していることを確認したら、
localfs
をメンテナンスモードに移行できます。 Storage タブをクリックし、結果一覧で localfs を選択します。
- 詳細ペインの Data Center タブをクリックします。
- Maintenance をクリックしてから をクリックし、ストレージドメインをメンテナンスモードに移動します。
- Detach をクリックします。Detach Storage の確認ウィンドウが開きます。
- をクリックします。
これで、ホストのバージョン 4.4 へのアップグレード、新しいローカルストレージドメインの作成、4.3 ストレージドメインおよびその仮想マシンのインポートが完了しました。
2.1.8. Gluster ストレージを保持した状態での RHVH のアップグレード
Gluster をストレージとする環境では、Gluster ストレージのバックアップを取得し、RHVH のアップグレード後に復元することができます。アップグレードに必要な時間を短縮するため、Gluster ストレージを使用するすべての仮想マシンのワークロードを可能な限り軽量に維持してみてください。書き込み集約型のワークロードが非常に多い場合には、復元にかかる時間が長くなります。
GlusterFS Storage は非推奨になり、将来のリリースではサポートされなくなります。
前提条件
- ストレージドメインに geo レプリケーションスケジュールがある場合は、アップグレードの競合を回避するためにこれらのスケジュールを削除する。
- 現在、geo レプリケーション同期は実行されていない。
- 新しい RHVH 4.4 Manager デプロイメント用に新規ボリュームを作成するために、3 つのホストで追加の 100 GB のディスク領域が必要である。
- 手順を開始する前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターのクラスター互換レベルが 4.3 でなければならない。
制限
- Network-Bound Disk Encryption (NBDE) は、Red Hat Virtualization 4.4 を使用する新規デプロイメントでのみサポートされます。この機能はアップグレード時に有効にすることはできません。
手順
RHVH 4.4 Manager デプロイメント向けに新しい Gluster ボリュームを作成します。
- 新しい RHVH 4.4 セルフホストエンジンの仮想マシン (VM) 用に各ホストに新しいエンティティーを作成します。
- 設定にスペアディスクがある場合は、Web コンソールからのボリュームの作成を参照してください。
既存のボリュームグループ (VG) に新しい Manager 100 GB の対応のために十分な領域がある場合は、新しい Manager 論理ボリューム (LV) として使用できます。
特に明示的に指定しない限り、すべてのホストで以下のコマンドを実行します。
ボリュームグループ (VG) の空き容量を確認します。
# vgdisplay <VG_NAME> | grep -i free
この VG に論理ボリュームを 1 つ以上作成します。
# lvcreate -n gluster_lv_newengine -L 100G <EXISTING_VG>
新しい論理ボリューム (LV) を XFS としてフォーマットします。
# mkfs.xfs <LV_NAME>
新しいブリックのマウントポイントを作成します。
# mkdir /gluster_bricks/newengine
-
/etc/fstab
で新たに作成されたファイルシステムに対応するエントリーを作成し、ファイルシステムをマウントします。 ラボマウントポイントに SELinux ラベルを設定します。
# semanage fcontext -a -t glusterd_brick_t /gluster_bricks/newengine restorecon -Rv /gluster_bricks/newengine
クラスター内のいずれかのホストで gluster コマンドを実行して、新しい Gluster ボリュームを作成します。
# gluster volume create newengine replica 3 host1:/gluster_bricks/newengine/newengine host2:/gluster_bricks/newengine/newengine host3:/gluster_bricks/newengine/newengine
新規作成されたボリュームに必要なボリュームオプションを設定します。クラスター内のいずれかのホストで以下のコマンドを実行します。
# gluster volume set newengine group virt gluster volume set newengine network.ping-timeout 30 gluster volume set newengine cluster.granular-entry-heal enable gluster volume set newengine network.remote-dio off gluster volume set newengine performance.strict-o-direct on gluster volume set newengine storage.owner-uid 36 gluster volume set newengine storage.owner-gid 36
新規作成した Gluster ボリュームを起動します。クラスター内のいずれかのホストで以下のコマンドを実行します。
# gluster volume start newengine
バックアップ Playbook を使用して、すべての RHVH 4.3 ノードで Gluster 設定をバックアップします。
バックアップ Playbook は RHVH 4.3 の最新バージョンで利用できます。この Playbook が利用できない場合は、Playbook とインベントリーファイルを作成します。
/etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/archive_config.yml
例:
all: hosts: host1: host2: host3: vars: backup_dir: /archive nbde_setup: false upgrade: true
正しい詳細でバックアップインベントリーファイルを編集します。
Common variables backup_dir -> Absolute path to directory that contains the extracted contents of the backup archive nbde_setup -> Set to false as the {virt-product-fullname} 4.3 setup doesn’t support NBDE upgrade -> Default value true . This value will make no effect with backup
ディレクトリーに切り替え、Playbook を実行します。
ansible-playbook -i archive_config_inventory.yml archive_config.yml --tags backupfiles
-
生成されたバックアップ設定 tar ファイルは、
RHVH-<HOSTNAME>-backup.tar.gz
という名前の /root の下に生成されます。すべてのホストで、バックアップ設定 tar ファイルをバックアップホストにコピーします。
- Manager Administration Portal を使用して、最初のホストで実行されている仮想マシンをクラスター内の他のホストに移行します。
バックアップマネージャーを設定します。
# engine-backup --mode=backup --scope=all --file=<backup-file.tar.gz> --log=<logfile>
注記バックアップを作成する前に、以下の手順を実施します。
- セルフホストエンジン (SHE) の グローバルメンテナンス を有効にします。
- SSH を使用して Manager 仮想マシンにログインし、ovirt-engine サービスを停止します。
- バックアップファイルをセルフホストエンジンの仮想マシンからリモートホストにコピーします。
- Manager をシャットダウンします。
- すべてのレプリカ 3 ボリュームで、保留中の自己修復タスクを確認します。修復が完了するまで待ちます。
ホストのいずれかで以下のコマンドを実行します。
# gluster volume heal <volume> info summary
glusterfs
ブリックプロセスを停止し、最初のホストですべてのラボをアンマウントして、ファイルシステムの整合性を維持します。最初のホストで以下を実行します。# pkill glusterfsd; pkill glusterfs # systemctl stop glusterd # umount /gluster_bricks/*
RHVH 4.4 ISO でホストを再インストールし、OS ディスクのフォーマットのみを行います。
重要ラボがそれらのディスク上に作成されるため、インストールが他のディスクをフォーマットしないことを確認してください。
RHVH 4.4 のインストール再起動後にノードが稼働したら、インストールガイドで説明されているように RHVH 4.4 リポジトリーにサブスクライブするか、ダウンロードした RHVH 4.4 アプライアンスをインストールします。
# yum install <appliance>
Gluster ブリックに使用されるデバイスを無効にします。
- 新しい SSH 秘密鍵と公開鍵のペアを作成します。
- フロントエンドネットワーク FQDN とバックエンドネットワーク FQDN を使用して、同じホストに SSH 公開鍵認証 (パスワードなし SSH) を確立します。
インベントリーファイルを作成します。
/etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/blacklist_inventory.yml
例:
hc_nodes: hosts: host1-backend-FQDN.example.com: blacklist_mpath_devices: - sda - sdb
Playbook の実行
ansible-playbook -i blacklist_inventory.yml /etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/tasks/gluster_deployment.yml --tags blacklistdevices*
- Manager のバックアップおよびホスト設定の tar ファイルをバックアップホストから新たにインストールしたホストにコピーし、scp を使用してコンテンツのデプロイメントを解除します。
Gluster 設定ファイルを復元します。
Gluster 設定ファイルの内容を抽出します。
# mkdir /archive # tar -xvf /root/ovirt-host-host1.example.com.tar.gz -C /archive/
インベントリーファイルを編集して、設定ファイルの復元を行います。インベントリーファイルは
/etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/archive_config_inventory.yml
にあります。Playbook コンテンツの例:
all: hosts: host1.example.com: vars: backup_dir: /archive nbde_setup: false upgrade: true
重要Use only one host under ‘hosts’ section of restoration playbook.
Playbook を実行して設定ファイルを復元します。
ansible-playbook -i archive_config_inventory.yml archive_config.yml --tags restorefiles
Manager からバックアップアーカイブをポイントする
--restore-from-file
オプションを使用して Manager デプロイメントを実行します。この Manager デプロイメントは、hosted-engine --deploy
コマンドを使用して対話的に実行でき、新たに作成された Manager ボリュームに対応するストレージを提供します。また、自動化された手順でovirt-ansible-hosted-engine-setup
を使用して同じ操作を行うこともできます。以下の手順は、バックアップを使用して HostedEngine 仮想マシンをデプロイする自動化された方法です。新たにインストールしたホストに HostedEngine デプロイメントの Playbook を作成します。
/etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/he.yml
- name: Deploy oVirt hosted engine hosts: localhost roles: - role: ovirt.hosted_engine_setup
テンプレートファイルを使用して HostedEngine 関連の情報を更新します。
/etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/he_gluster_vars.json
例:
# cat /etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment/he_gluster_vars.json { "he_appliance_password": "<password>", "he_admin_password": "<password>", "he_domain_type": "glusterfs", "he_fqdn": "<hostedengine.example.com>", "he_vm_mac_addr": "<00:18:15:20:59:01>", "he_default_gateway": "<19.70.12.254>", "he_mgmt_network": "ovirtmgmt", "he_storage_domain_name": "HostedEngine", "he_storage_domain_path": "</newengine>", "he_storage_domain_addr": "<host1.example.com>", "he_mount_options": "backup-volfile-servers=<host2.example.com>:<host3.example.com>", "he_bridge_if": "<eth0>", "he_enable_hc_gluster_service": true, "he_mem_size_MB": "16384", "he_cluster": "Default", "he_restore_from_file": "/root/engine-backup.tar.gz", "he_vcpus": 4 }
重要- 上記の he_gluster_vars.json には、“he_restore_from_file” および “he_storage_domain_path” という 2 つの重要な値があります。最初のオプション “he_restore_from_file” は、ローカルマシンにコピーされた Manager バックアップアーカイブの絶対ファイル名をポイントする必要があります。2 番目のオプション “he_storage_domain_path” は、新しく作成された Gluster ボリュームを参照しているはずです。
- また、Manager 仮想マシン内で実行されている以前のバージョンの RHVH Version はダウンし、破棄されることに注意してください。古い Manager 仮想マシンに対応する MAC アドレスと FQDN は、新しい Manager 用でも再利用できます。
静的 Manager ネットワーク設定の場合は、以下のようにオプションをさらに追加します。
“he_vm_ip_addr”: “<engine VM ip address>” “he_vm_ip_prefix”: “<engine VM ip prefix>” “he_dns_addr”: “<engine VM DNS server>” “he_default_gateway”: “<engine VM default gateway>”
重要利用可能な特定の DNS がない場合は、“he_vm_etc_hosts”: true と “he_network_test”: “ping” の 2 つのオプションを追加します。
Playbook を実行して HostedEngine デプロイメントをデプロイします。
# cd /etc/ansible/roles/gluster.ansible/playbooks/hc-ansible-deployment # ansible-playbook he.yml --extra-vars "@he_gluster_vars.json"
セルフホストエンジンのデプロイメントが完了するまで待ちます。
重要セルフホストエンジンのデプロイメント中に問題が発生した場合は、
/var/log/ovirt-hosted-engine-setup
でログメッセージを確認し、問題を修正します。ovirt-hosted-engine-cleanup
コマンドを使用して失敗したセルフホストエンジンのデプロイメントをクリーンアップし、デプロイメントを再実行します。
- 新たにインストールした Red Hat Virtualization Manager で RHVH 4.4 管理ポータルにログインします。すべてのホストが up 状態にあることを確認し、Gluster ボリュームでの自己修復が完了するまで待ちます。
次のホストをアップグレードします。
- 管理ポータルから、次のホスト (通常は順番が次のホスト) を Maintenance モードに移動します。このホストを Maintenance モードに移行している間に Gluster サービスを停止します。
ホストのコマンドラインから Gluster ブリックをアンマウントします。
# umount /gluster_bricks/*
このホストを RHVH4.4 で再インストールします。
重要ラボがそれらのディスク上に作成されるため、インストールが他のディスクをフォーマットしないことを確認してください。
新たにインストールしたホストでマルチパス設定が利用できない場合は、Gluster デバイスを無効にします。インベントリーファイルは、Gluster ブリックに使用されるデバイスを無効 にする手順の一部として最初のホストにすでに作成されています。
- 最初のホストから新たにインストールしたホストに SSH 公開鍵認証を設定します。
- 新しいホスト名でインベントリーを更新します。
- Playbook を実行します。
- Gluster 設定の tar ファイルをバックアップホストから新規インストールしたホストにコピーし、コンテンツを展開します。
このホストの Gluster 設定ファイルを復元する手順で説明されているように、Playbook を実行し、新たにインストールされたホストで Gluster 設定を復元します。
重要新たにインストールしたホストで Playbook を編集し、--restore-from-file… オプションを使用して手順 Perform manager deployment で説明されているように実行します。ホスト名を変更し、同じホストで実行しないようにしてください。
RHVH 管理ポータルでホストを再インストールします。RHVH 4.4 で最初にデプロイされたホストから認証キーをコピーします。
# scp root@host1.example.com:/root/.ssh/authorized_keys /root/.ssh/
- 管理ポータル では、ホストは ‘Maintenance’ に置かれます。 → → → に移動します。
- New Host ダイアログボックスの HostedEngine タブで、deploy self-hosted engine deployment アクションを選択します。
- ホストが Up 状態になるまで待機します。
GFID の不一致に関連するエラーがないことを確認します。エラーがある場合は、解決します。
grep -i "gfid mismatch" /var/log/glusterfs/*
- クラスター内のすべての RHVH について、次のホストをアップグレード の手順を繰り返します。
- (オプション) クラスター内に別の Gluster 論理ネットワークが存在する場合は、Gluster 論理ネットワークを各ホストの必要なインターフェイスにアタッチします。
古い Manager ストレージドメインを削除します。hosted_storage という名前で、古い Manager ストレージドメインを特定します。
→ の下に一覧表示され、横にゴールドの星がない- Maintenance を選択します。 → → → タブに移動し、
- ストレージドメインが Maintenance モードに移行するまで待ちます。
- ストレージドメインが Maintenance モードに移動したら、未接続 に移行します。 をクリックすると、ストレージドメインは
- 未接続ストレージドメインを選択し、 をクリックして を確定します。
古い Manager ボリュームを停止して削除します。
- → に移動して、古い Manager ボリュームを選択します。 をクリックし、 を確定します。
- 同じボリュームを選択し、 をクリックして を確定します。
クラスターの互換バージョンを更新します。
Default を選択し、 をクリックして Compatibility Version を 4.4 に更新し、 をクリックします。
→ に移動し、クラスターの重要互換バージョンを変更するための警告が表示されます。これには、クラスターの仮想マシンを再起動する必要があります。
をクリックして確定します。
RHVH 4.4 で新しい Gluster ボリュームオプションを使用でき、それらのボリュームオプションをすべてのボリュームに適用します。クラスター内のノードの 1 つで以下のコマンドを実行します。
# for vol in
gluster volume list
; do gluster volume set $vol group virt; done- アーカイブを削除し、すべてのノードでバックアップ設定ファイルの内容をデプロイメントします。
Web コンソールを使用した追加の Gluster ボリュームの作成
- Manager Web コンソールにログインします。
- → に移動し、 をクリックします。
-
Hosts タブで、未使用のディスクを持つ 3 つの異なる
ovirt-ng-nodes
を選択し、 をクリックします。 - Volumes タブで、作成するボリュームの詳細を指定し、 をクリックします。
- Bricks タブで、ボリュームの作成に使用するディスクの詳細を指定し、 をクリックします。
- Review タブで、生成された設定ファイルで誤った情報の有無を確認します。問題がなければ、 をクリックします。
-
Hosts タブで、未使用のディスクを持つ 3 つの異なる
次に、クラスターの互換バージョンを更新してください。
2.1.9. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスター内の仮想マシンのクラスター互換バージョンを更新できるようになりました。
2.1.10. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
次に、データセンターの互換バージョンを更新してください。
2.1.11. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
2.2. Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのアップグレード
お使いの環境を 4.2 から 4.3 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- 4.2 Manager を最新バージョンの 4.2 に更新する。
- Manager を 4.2 から 4.3 にアップグレードする。
- ホストを更新する。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
- 以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで証明書を置き換える必要があります。
2.2.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
2.2.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
2.2.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
2.2.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
2.2.4. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
2.2.5. Red Hat Virtualization Manager の 4.2 から 4.3 へのアップグレード
アップグレードしているマシンにログインする必要があります。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストールを以前の状態に復元しようとします。このため、アップグレードが完了するまで、以前のバージョンのリポジトリーを削除しないでください。アップグレードに失敗すると、engine-setup
スクリプトによりインストールの復元方法を説明します。
手順
Red Hat Virtualization 4.3 のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-7-server-rhv-4.3-manager-rpms \ --enable=jb-eap-7.2-for-rhel-7-server-rpms
その他のリポジトリーはすべて、Red Hat Virtualization リリース全体を通して同じになります。
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
を実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
Red Hat Virtualization 4.2 のリポジトリーを無効にして、このシステムで 4.2 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos \ --disable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms \ --disable=jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動してアップグレードを完了してください。
Manager はバージョン 4.3 にアップグレードされました。
次に、ホストを更新してください。
2.2.6. クラスター内の全ホストの更新
ホストを個別に更新するのではなく、クラスター内の全ホストを更新することができます。この手法は、Red Hat Virtualization を新しいバージョンにアップグレードする際に特に役立ちます。更新の自動化に使用する Ansible ロールの詳細は、oVirt クラスターアップグレード を参照してください。
クラスターは一度に 1 つずつ更新します。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストをスキップするよう選択した場合を除き、更新中は固定された仮想マシンはシャットダウンされます。
手順
- 管理ポータルで Upgrade status 列には、クラスターの任意のホストでアップグレードが利用可能かどうかが表示されます。 → をクリックし、クラスターを選択します。
- Upgrade をクリックします。
- 更新するホストを選択し、次に Next をクリックします。
オプションを設定します。
- Stop Pinned VMs: クラスター内のホストに固定された仮想マシンをシャットダウンします。このオプションは、デフォルトで選択されています。このチェックボックスの選択を解除すると、固定された仮想マシンが動作を続けられるように、それらのホストの更新をスキップすることができます (固定された仮想マシンが重要なサービスまたはプロセスを実行中で、更新中の予期せぬ時にシャットダウンされるのを避けたい場合など)。
-
Upgrade Timeout (Minutes): このオプションで設定した時間内に個々のホストの更新が完了しない場合、クラスターのアップグレードはタイムアウトで失敗します。デフォルトは
60
です。60 分では不十分と思われる大規模なクラスターの場合は、時間を延長することができます。また、ホストの更新が短時間で完了する小規模なクラスターは、短縮することができます。 - Check Upgrade: アップグレードプロセスを実行する前に、それぞれのホストで更新が利用可能かどうかを確認します。このオプションは、デフォルトでは選択されていません。ただし、Manager がホストの更新を確認する頻度をデフォルトより低く設定している状況などで、最新の更新を確実に含める必要がある場合は、このオプションを選択することができます。
- Reboot After Upgrade: ホストの更新後に、それぞれのホストを再起動します。このオプションは、デフォルトで選択されています。ホストを再起動する必要のある保留中の更新がないことが明らかであれば、このチェックボックスの選択を解除してプロセスを迅速化することができます。
-
Use Maintenance Policy: 更新時にクラスターのスケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定します。このオプションはデフォルトで選択されています。したがって、許可される動作は限定的で、仮想マシンは高可用性でない限り起動できません。更新中も使用を続けたいカスタムのスケジューリングポリシーがある場合は、このチェックボックスの選択を解除できます。ただし、解除することで想定外の結果が生じる可能性があります。このオプションを無効にする前に、カスタムのポリシーがクラスターのアップグレード操作に対応していることを確認してください。
- Next をクリックします。
- 影響を受けるホストと仮想マシンの概要を確認します。
- Upgrade をクリックします。
- クラスターのアップグレードステータス画面が表示され、完了の割合を示す進行状況バーと、完了したアップグレードプロセスの手順のリストが表示されます。Go to Event Log をクリックして、アップグレードのログエントリーを開くことができます。この画面を閉じても、アップグレードプロセスは中断されません。
以下で、ホスト更新の進捗状況を追跡できます。
- Upgrade Status 列に完了率を示す進捗バーが表示されます) → ビュー (
- → ビュー
- 通知ドロワー の イベント セクション ( )
仮想マシン移行の進捗を、Status 列で個々に追跡できます。大規模な環境では、特定の仮想マシングループの結果を表示するために、結果を絞り込まなければならない場合があります。
→ ビューの2.2.7. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
2.2.8. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
2.2.9. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで置き換える必要があります。
2.2.10. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.4 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールしたシステムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするための特別な手順は必要ありません。
証明書の有効期限が 切れない ようにしてください。有効期限が切れると、環境は応答しなくなり、復元はエラーが発生しやすい時間のかかるプロセスになります。証明書の更新は、管理ガイド の 有効期限が切れる前の証明書更新 を参照してください。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。
すべての署名済み証明書を SHA-256 に置き換える
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え を参照してください。
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックしてから をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第3章 スタンドアロンの Manager、リモートデータベース環境のアップグレード
3.1. Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのリモートデータベース環境のアップグレード
お使いの環境を 4.3 から 4.4 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループが無効化されている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 に一致するようにアップグレードされている。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動されている。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、 → をクリックします。この設定は、REST API でも利用可能です。機能の更新に失敗した場合は、Manager 4.4 以降からホストを再インストールして OVN を設定できます。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- 4.3 Manager を最新バージョンの 4.3 に更新する。
- Manager を 4.3 から 4.4 にアップグレードする。
- リモート Data Warehouse サービスおよびデータベースをアップグレードする。
- 仮想マシンのダウンタイムを削減しつつ、ホストおよび仮想マシンを移行する。
- (オプション) ローカルストレージを保持した状態で RHVH をアップグレードする。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
3.1.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
3.1.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
3.1.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
3.1.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
次に、Manager を最新バージョンの 4.3 に更新してください。
3.1.4. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
次に、Manager を 4.4 にアップグレードしてください。
3.1.5. Red Hat Virtualization Manager 4.3 から 4.4 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager 4.4 は、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 でのみサポートされます。RHV Manager 4.3 の実行に使用する物理マシンと同じマシンを使用する場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 および Red Hat Virtualization Manager 4.4 のクリーンインストールを実行する必要があります。
アップグレードプロセスでは、Red Hat Virtualization Manager 4.3 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンに復元する必要があります。
前提条件
- 環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている。
- 環境内のすべての仮想マシンで、クラスターの互換レベルがバージョン 4.3 に設定されている。
- 外部 CA を使用して HTTPS 証明書に署名する場合は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え の手順に従っている。バックアップおよび復元にはサードパーティーの証明書が含まれるので、アップグレード後に管理ポータルにログインできるはずです。virt-viewer の外部メニューが機能するように、CA 証明書がすべてのクライアントのシステム全体のトラストストアに追加されていることを確認します。詳細は、BZ#1313379 を参照してください。
接続されたホストと仮想マシンは、Manager のアップグレード中も引き続き動作可能です。
手順
- Manager マシンにログインします。
Red Hat Virtualization Manager 4.3 環境のバックアップを作成します。
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
- バックアップファイルを RHV 環境外のストレージデバイスにコピーします。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 をインストールします。詳細は、標準の RHEL 8 インストールの実行 を参照してください。
-
コマンド
yum install rhvm
の実行など、Red Hat Virtualization Manager 4.4 のインストール手順を完了します (engine-setup
は実行しないでください)。詳細は、Red Hat Virtualization のインストール ガイドのいずれかを参照してください。 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンにコピーし、復元します。
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
注記バックアップに追加のデータベースユーザーへの権限付与が含まれていた場合、このコマンドにより、無作為にパスワードが設定された追加のユーザーが作成されます。追加のユーザーが復元したシステムにアクセスする必要がある場合は、これらのパスワードを手動で変更する必要があります。https://access.redhat.com/articles/2686731 を参照してください。
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
オプションの拡張機能パッケージが Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンにインストールされていた場合はインストールします。
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc
注記ovirt-engine-extension-aaa-ldap
は非推奨になりました。新規インストールの場合は、Red Hat Single Sign On を使用します。詳細は、管理ガイド の Red Hat Single Sign-On のインストールおよび設定 を参照してください。注記これらの拡張機能パッケージの設定は、バックアップおよび復元プロセスの一部として移行されないため、手動で再適用する必要があります。
engine-setup
コマンドを実行して Manager を設定します。# engine-setup
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 に別のマシンを使用している場合は、Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンを廃止します。2 つの異なる Manager が同じホストまたはストレージを管理することはできません。
これにより、クラスターの互換バージョンが既存のバージョンに応じて 4.2 または 4.3 に設定されている状態で、Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされました。
続いて、環境内のリモートデータベースをアップグレードする必要があります。
'engine-setup' は、リモートの Data Warehouse マシン上の Data Warehouse サービスも停止します。
この手順の次のステップを延期する場合は、Data Warehouse マシンにログインして Data Warehouse サービスを起動します。
# systemctl start ovirt-engine-dwhd.service
3.1.6. リモート Data Warehouse サービスおよびデータベースのアップグレード
Data Warehouse サービスおよびデータベースを使用するリモートマシンでこの手順を実行します。
この手順の一部では、Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 をインストールする必要があります。
前提条件
- Data Warehouse マシンにログインしている。
- RHV 環境外のストレージデバイス。
手順
Data Warehouse マシンをバックアップします。
注記Grafana は RHV 4.3 ではサポートされていませんが、RHV 4.4 では、このコマンドに Grafana サービスおよび Grafana データベースも含まれます。
# engine-backup --file=<backupfile>
- バックアップファイルをストレージデバイスにコピーします。
Data Warehouse サービスを停止して無効にします。
# systemctl stop ovirt-engine-dwhd # systemctl disable ovirt-engine-dwhd
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 で Data Warehouse マシンを再インストールします。
- PostgreSQL データベースを準備します。詳細は、リモートデータベースが設定されたスタンドアロン Manager の Red Hat Virtualization のインストール の リモート PostgreSQL データベースの準備 を参照してください。
-
サーバーで正しいリポジトリーを有効にし、Data Warehouse サービスをインストールします。詳細な手順は、Red Hat Virtualization 4.4 の別のマシンへの Data Warehouse のインストールおよび設定 を参照してください。
dnf install ovirt-engine-dwh-setup
コマンドを実行する手順を含む、そこまでのすべての手順を実行します。次に、この手順の次のステップに進みます。 - バックアップファイルをストレージデバイスから Data Warehouse マシンにコピーします。
バックアップファイルを復元します。
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
Data Warehouse マシンで
engine-setup
コマンドを実行します。# engine-setup
Manager マシンで Manager を再起動して、Data Warehouse データベースに接続します。
# systemctl restart ovirt-engine
関連情報
- 標準的な RHEL インストールの実行
- Red Hat Virtualization をリモートデータベースが設定されたスタンドアロン Manager としてインストール の Red Hat Virtualization 用ホストのインストール
次に、ホストを更新してください。
3.1.7. ホストおよび仮想マシンの RHV 4.3 から 4.4 への移行
ホストおよび仮想マシンを Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 に移行し、環境内の仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このプロセスでは、すべての仮想マシンを 1 つのホストから移行する必要があります。これにより、そのホストが RHV 4.4 にアップグレードできるようにします。アップグレード後に、ホストを Manager に再度アタッチすることができます。
ホストのオペレーティングシステムのインストールまたは再インストールを行う場合、Red Hat では、ホストにアタッチされている既存の OS 以外のストレージを最初にデタッチすることを強く推奨しています。これは、ディスクを誤って初期化してデータが失われる可能性を避けるためです。
CPU パススルー仮想マシンは、RHV 4.3 から RHV 4.4 に適切に移行しない可能性があります。
RHV 4.3 および RHV 4.4 は、それぞれ RHEL 7 および RHEL 8 をベースにしています。これには、CPU フラグおよびコンストラクターが異なるカーネルバージョンがあります。これにより、CPU パススルーの仮想マシンの移行で問題が発生する可能性があります。
前提条件
- RHV 4.4 のホストには、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 が必要である。RHV 4.3 のホストの実行に使用する物理マシンと同じものを使用している場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 のクリーンインストールが必要です。
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換性レベルが 4.2 または 4.3 に設定されている。手順の開始前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されている必要があります。
手順
- アップグレードするホストを選択し、そのホストの仮想マシンを同じクラスター内の別のホストに移行します。ライブマイグレーションを使用して、仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホスト間での仮想マシンの移行 を参照してください。
- ホストをメンテナンスモードにし、Manager からホストを削除します。詳細は、管理ガイド の ホストの削除 を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 または RHVH 4.4 をインストールします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- 適切なパッケージをインストールして、RHV 4.4 のホストを有効にします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- このホストを Manager に追加し、これを同じクラスターに割り当てます。次に、仮想マシンをこのホストに移行してください。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常ホストの追加 を参照してください。
これらの手順を繰り返して仮想マシンを移行し、同じクラスター内の残りのホストを 1 つずつアップグレードします。すべてが Red Hat Virtualization 4.4 を実行するまでこれを続けます。
3.1.8. ローカルストレージを保持した状態での RHVH のアップグレード
ローカルストレージが他のストレージドメインと共有されないため、ローカルストレージを使用する環境は、別のクラスターのホストに仮想マシンを移行できません。ローカルストレージドメインを持つ RHVH 4.3 ホストをアップグレードするには、ローカルストレージを保持しながらホストを再インストールし、4.4 環境で新しいローカルストレージドメインを作成してから、以前のローカルストレージを新しいドメインにインポートします。
前提条件
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換レベルが、4.2 または 4.3 に設定されている。
手順
このプロセスを開始する前に、RHVH 4.3 ホストのローカルストレージ上のローカルストレージがメンテナンスモードにあることを確認します。以下の手順を実行します。
- Data Centers タブを開きます。
- Details ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧でストレージドメインを選択します。
- Maintenance をクリックします。
インストールガイド の Red Hat Virtualization Host のインストール に記載されているとおりに、Red Hat Virtualization Host を再インストールします。
重要インストール先 画面で RHVH をインストールするデバイスを選択する場合は、仮想マシンを保存するデバイスを選択しないでください。オペレーティングシステムをインストールするデバイスのみを選択します。
キックスタートを使用してホストをインストールする場合は、キックスタートファイルに以下を追加して、仮想マシンを含むデバイスを保存するようにしてください。ここでの `device` は、適切なデバイスに置き換えてください。
# clearpart --all --drives=device
キックスタートの使用方法は、Red Hat Enterprise Linux 8 高度な RHEL インストールの実行 の キックスタートの参照 を参照してください。
再インストールしたホストで、以前の環境を復元するディレクトリー (
/data
など) を作成します。# mkdir /data
新しいディレクトリーに以前のローカルストレージをマウントします。この例では、
/dev/sdX1
がローカルストレージになります。# mount /dev/sdX1 /data
新しいディレクトリーに以下のパーミッションを設定します。
# chown -R 36:36 /data # chmod -R 0755 /data
Red Hat では、サーバーの再起動が必要となる場合に備えて、
/etc/fstab
経由でローカルストレージを自動的にマウントすることも推奨します。# blkid | grep -i sdX1 /dev/sdX1: UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" TYPE="ext4" # vi /etc/fstab UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" /data ext4 defaults 0 0
- 管理ポータルでデータセンターを作成し、Storage Type ドロップダウンメニューで Local を選択します。
- 新しいデータセンターでクラスターを設定します。詳細は、管理ガイド の 新規クラスターの作成 を参照してください。
- Manager にホストを追加します。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常のホストの追加 を参照してください。
ホスト上で、最初のローカルストレージドメインの作成に使用する新しいディレクトリーを作成します。以下に例を示します。
# mkdir -p /localfs # chown 36:36 /localfs # chmod -R 0755 /localfs
- 管理ポータルで Storage タブを開き、New Domain をクリックして新しいローカルストレージドメインを作成します。
-
名前を
localfs
に設定し、パスを/localfs
に設定します。 -
ローカルストレージがアクティブになったら、Import Domain をクリックして、ドメインの詳細を設定します。たとえば、
Data
を名前として、Local on Host
をストレージタイプとして、/data
をパスとして定義します。 - ストレージドメインがデータセンターにすでにアタッチされていることを知らせるメッセージが表示されるので、 をクリックして確定します。
新しいストレージドメインをアクティブ化します。
- Data Centers タブを開きます。
- 詳細ペインの Storage タブをクリックし、結果一覧で新しいデータストレージドメインを選択します。
- Activate をクリックします。
新規ストレージドメインがアクティブになったら、仮想マシンとそのディスクをインポートします。
- Storage タブで、data を選択します。
- 詳細ペインで VM Import タブを選択し、仮想マシンを選択して Import をクリックします。詳細は、仮想マシン管理ガイド の データドメインからの仮想マシンのインポート を参照してください。
-
すべての仮想マシンが正常にインポートされ、適切に機能していることを確認したら、
localfs
をメンテナンスモードに移行できます。 Storage タブをクリックし、結果一覧で localfs を選択します。
- 詳細ペインの Data Center タブをクリックします。
- Maintenance をクリックしてから をクリックし、ストレージドメインをメンテナンスモードに移動します。
- Detach をクリックします。Detach Storage の確認ウィンドウが開きます。
- をクリックします。
これで、ホストのバージョン 4.4 へのアップグレード、新しいローカルストレージドメインの作成、4.3 ストレージドメインおよびその仮想マシンのインポートが完了しました。
次に、クラスターの互換バージョンを更新してください。
3.1.9. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスター内の仮想マシンのクラスター互換バージョンを更新できるようになりました。
3.1.10. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
次に、データセンターの互換バージョンを更新してください。
3.1.11. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
3.2. Red Hat Virtualization 4.2 から 4.3 へのリモートデータベース環境のアップグレード
お使いの環境を 4.2 から 4.3 にアップグレードする手順は、以下のとおりです。
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する。
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する。
- 4.2 Manager を最新バージョンの 4.2 に更新する。
- データベースを PostgreSQL 9.5 から 10.0 にアップグレードする
- Manager を 4.2 から 4.3 にアップグレードする。
- ホストを更新する。
- クラスターの互換バージョンを更新する。
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する。
- データセンターの互換バージョンを更新する。
- 以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで証明書を置き換える必要があります。
3.2.1. 前提条件
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画している。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしている。すべての前提条件の一覧は、プランニングおよび前提条件ガイドの 前提条件 を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨される。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
3.2.2. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
3.2.3. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
3.2.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
次に、Manager を最新バージョンの 4.2 に更新してください。
3.2.4. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.2 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
3.2.5. PostgreSQL 9.5 から 10 へのリモートデータベースのアップグレード
Red Hat Virtualization 4.3 では、PostgreSQL 9.5 ではなく PostgreSQL 10 が使われています。データベースをローカルにインストールしている場合は、アップグレードスクリプトによりバージョン 9.5 から 10 に自動的にアップグレードされます。ただし、データベース (Manager または Data Warehouse) のどちらかが別のマシンにインストールされている場合は、Manager をアップグレードする前にそれぞれのリモートデータベースで以下の手順を実施する必要があります。
マシンで実行しているサービスを停止します。
Manager データベースをアップグレードする場合は、Manager マシンで
ovirt-engine
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine
Data Warehouse データベースをアップグレードする場合は、Data Warehouse マシンで
ovirt-engine-dwhd
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine-dwhd
PostgreSQL 10 パッケージを取得するために必要なリポジトリーを有効にします。
Red Hat Virtualization Manager リポジトリーを有効にするか、
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.3-manager-rpms
あるいは、SCL リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable rhel-server-rhscl-7-rpms
PostgreSQL 10 パッケージをインストールします。
# yum install rh-postgresql10 rh-postgresql10-postgresql-contrib
PostgreSQL 9.5 サービスを停止し、無効にします。
# systemctl stop rh-postgresql95-postgresql # systemctl disable rh-postgresql95-postgresql
PostgreSQL 9.5 データベースを PostgreSQL 10 にアップグレードします。
# scl enable rh-postgresql10 -- postgresql-setup --upgrade-from=rh-postgresql95-postgresql --upgrade
rh-postgresql10-postgresql.service
を起動して有効にし、実行していることを確認します。# systemctl start rh-postgresql10-postgresql.service # systemctl enable rh-postgresql10-postgresql.service # systemctl status rh-postgresql10-postgresql.service
以下のような出力が表示されることを確認します。
rh-postgresql10-postgresql.service - PostgreSQL database server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/rh-postgresql10-postgresql.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since ...
pg_hba.conf
クライアント設定ファイルを PostgreSQL 9.5 環境から PostgreSQL 10 環境にコピーします。# cp -p /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/pg_hba.conf /var/opt/rh/rh-postgresql10/lib/pgsql/data/pg_hba.conf
/var/opt/rh/rh-postgresql10/lib/pgsql/data/postgresql.conf
で以下のパラメーターを更新します。listen_addresses='*' autovacuum_vacuum_scale_factor=0.01 autovacuum_analyze_scale_factor=0.075 autovacuum_max_workers=6 maintenance_work_mem=65536 max_connections=150 work_mem = 8192
PostgreSQL 10 サービスを再起動して設定の変更を適用します。
# systemctl restart rh-postgresql10-postgresql.service
次に、Manager を 4.3 にアップグレードしてください。
3.2.6. Red Hat Virtualization Manager の 4.2 から 4.3 へのアップグレード
以下のいずれかをアップグレードする場合は、同じ手順に従います。
- Red Hat Virtualization Manager
- Data Warehouse サービスを使用するリモートマシン
アップグレードしているマシンにログインする必要があります。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストールを以前の状態に復元しようとします。このため、アップグレードが完了するまで、以前のバージョンのリポジトリーを削除しないでください。アップグレードに失敗すると、engine-setup
スクリプトによりインストールの復元方法を説明します。
手順
Red Hat Virtualization 4.3 のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-7-server-rhv-4.3-manager-rpms \ --enable=jb-eap-7.2-for-rhel-7-server-rpms
その他のリポジトリーはすべて、Red Hat Virtualization リリース全体を通して同じになります。
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
を実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager、リモートデータベース、またはリモートサービスをアップグレードします。# engine-setup
注記Manager のアップグレードプロセス中に、
engine-setup
スクリプトにより、リモート Data Warehouse データベースへの接続が解除される場合があります。接続を切断して設定を続行する必要があります。スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
Red Hat Virtualization 4.2 のリポジトリーを無効にして、このシステムで 4.2 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos \ --disable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms \ --disable=jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動してアップグレードを完了してください。
Manager はバージョン 4.3 にアップグレードされました。
3.2.6.1. リモート Data Warehouse データベースアップグレードの完了
リモート Data Warehouse データベースを PostgreSQL 9.5 から 10 にアップグレードするときに、これらの追加の手順を実行します。
手順
ovirt-engine-dwhd
サービスが Manager マシンで実行されるようになりました。ovirt-engine-dwhd
サービスがリモートマシンにある場合は、Manager マシンのovirt-engine-dwhd
サービスを停止して無効にし、engine-setup
が作成した設定ファイルを削除します。# systemctl stop ovirt-engine-dwhd # systemctl disable ovirt-engine-dwhd # rm -f /etc/ovirt-engine-dwh/ovirt-engine-dwhd.conf.d/*
-
ovirt-engine-dwhd
サービスをホストするマシンで、Manager を 4.3 にアップグレード する手順を繰り返します。
次に、ホストを更新してください。
3.2.7. クラスター内の全ホストの更新
ホストを個別に更新するのではなく、クラスター内の全ホストを更新することができます。この手法は、Red Hat Virtualization を新しいバージョンにアップグレードする際に特に役立ちます。更新の自動化に使用する Ansible ロールの詳細は、oVirt クラスターアップグレード を参照してください。
クラスターは一度に 1 つずつ更新します。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストをスキップするよう選択した場合を除き、更新中は固定された仮想マシンはシャットダウンされます。
手順
- 管理ポータルで Upgrade status 列には、クラスターの任意のホストでアップグレードが利用可能かどうかが表示されます。 → をクリックし、クラスターを選択します。
- Upgrade をクリックします。
- 更新するホストを選択し、次に Next をクリックします。
オプションを設定します。
- Stop Pinned VMs: クラスター内のホストに固定された仮想マシンをシャットダウンします。このオプションは、デフォルトで選択されています。このチェックボックスの選択を解除すると、固定された仮想マシンが動作を続けられるように、それらのホストの更新をスキップすることができます (固定された仮想マシンが重要なサービスまたはプロセスを実行中で、更新中の予期せぬ時にシャットダウンされるのを避けたい場合など)。
-
Upgrade Timeout (Minutes): このオプションで設定した時間内に個々のホストの更新が完了しない場合、クラスターのアップグレードはタイムアウトで失敗します。デフォルトは
60
です。60 分では不十分と思われる大規模なクラスターの場合は、時間を延長することができます。また、ホストの更新が短時間で完了する小規模なクラスターは、短縮することができます。 - Check Upgrade: アップグレードプロセスを実行する前に、それぞれのホストで更新が利用可能かどうかを確認します。このオプションは、デフォルトでは選択されていません。ただし、Manager がホストの更新を確認する頻度をデフォルトより低く設定している状況などで、最新の更新を確実に含める必要がある場合は、このオプションを選択することができます。
- Reboot After Upgrade: ホストの更新後に、それぞれのホストを再起動します。このオプションは、デフォルトで選択されています。ホストを再起動する必要のある保留中の更新がないことが明らかであれば、このチェックボックスの選択を解除してプロセスを迅速化することができます。
-
Use Maintenance Policy: 更新時にクラスターのスケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定します。このオプションはデフォルトで選択されています。したがって、許可される動作は限定的で、仮想マシンは高可用性でない限り起動できません。更新中も使用を続けたいカスタムのスケジューリングポリシーがある場合は、このチェックボックスの選択を解除できます。ただし、解除することで想定外の結果が生じる可能性があります。このオプションを無効にする前に、カスタムのポリシーがクラスターのアップグレード操作に対応していることを確認してください。
- Next をクリックします。
- 影響を受けるホストと仮想マシンの概要を確認します。
- Upgrade をクリックします。
- クラスターのアップグレードステータス画面が表示され、完了の割合を示す進行状況バーと、完了したアップグレードプロセスの手順のリストが表示されます。Go to Event Log をクリックして、アップグレードのログエントリーを開くことができます。この画面を閉じても、アップグレードプロセスは中断されません。
以下で、ホスト更新の進捗状況を追跡できます。
- Upgrade Status 列に完了率を示す進捗バーが表示されます) → ビュー (
- → ビュー
- 通知ドロワー の イベント セクション ( )
仮想マシン移行の進捗を、Status 列で個々に追跡できます。大規模な環境では、特定の仮想マシングループの結果を表示するために、結果を絞り込まなければならない場合があります。
→ ビューの3.2.8. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
3.2.9. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
3.2.10. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
以前に SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換えずに 4.2 にアップグレードした場合は、ここで置き換える必要があります。
3.2.11. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.4 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールしたシステムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするための特別な手順は必要ありません。
証明書の有効期限が 切れない ようにしてください。有効期限が切れると、環境は応答しなくなり、復元はエラーが発生しやすい時間のかかるプロセスになります。証明書の更新は、管理ガイド の 有効期限が切れる前の証明書更新 を参照してください。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。
すべての署名済み証明書を SHA-256 に置き換える
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
の行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
default_md = sha1
が依然として含まれている場合は、既存の設定をバックアップし、デフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細は、管理ガイド の Red Hat Virtualization Manager CA 証明書の置き換え を参照してください。
Manager で、
/etc/ovirt-engine/engine.conf.d
ディレクトリーと/etc/pki/ovirt-engine
ディレクトリーのバックアップを保存し、証明書を再署名します。# . /etc/ovirt-engine/engine.conf.d/10-setup-protocols.conf # for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ -nameopt compat \ | sed \ 's;subject=\(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ <1> --subject="${subject}" \ --san=DNS:"${ENGINE_FQDN}" \ --keep-key done
- このパスワード値を変更しないでください。
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
に移動し、your-manager-fqdn を完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えます。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックしてから をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第4章 マイナーリリース間の更新
4.1. マイナーリリース間での Red Hat Virtualization の更新
4.4 を現行バージョンから最新のバージョンの 4.4 に更新するには、Manager を更新し、ホストを更新してから、クラスター、仮想マシン、およびデータセンターの互換バージョンを変更します。
RHVH でバージョン 4.4.9 からそれ以降のバージョンにアップグレードできない場合は、dnf reinstall redhat-virtualization-host-image-update
コマンドを実行して問題を修正します。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループが無効化されている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 に一致するようにアップグレードされている。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動されている。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、 → をクリックします。この設定は、REST API でも利用可能です。機能の更新に失敗した場合は、Manager 4.4 以降からホストを再インストールして OVN を設定できます。
4.1.1. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
4.1.2. Log Collection Analysis ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のファイルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELinks を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
4.1.2.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに引き継がないようにします。
- ストレージ操作に失敗した後、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後に使用します。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出しあす。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン。このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止する。つまり、スナップショットの作成や削除、ディスクの編集、移動、作成、削除は行わないでください。行った場合、不一致の誤検出が発生する可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に動作し続けることができます。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を検出したら、再実行して結果を確認します。ツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合、特に注意が必要です。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致が報告される可能性があります。報告された場合、これらのストレージドメインは RHV データベースにはこれらのストレージドメインのイメージエントリーがないため、無視できます。
結果について
このツールは以下を報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースに表示されているがストレージにはないボリュームがある場合
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
スタンドアロンの Manager を更新するには、マイナー更新のための標準手順に従います。
4.1.3. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
注記RHV バージョン 4.4.0 から、RHV バージョン 4.4.8 を介して 4.4.9 以降にアップグレードする場合は、サブスクリプションリポジトリー
jb-eap-7.4-for-rhel-8-x86_64-rpms
のリストに EAP 7.4 チャンネルを追加し、アップグレード後にjb-eap-7.3-for-rhel-8-x86_64-rpms
を削除する必要があります。Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
4.1.4. セルフホスト型エンジンの更新
セルフホスト型エンジンを現在お使いのバージョンから最新のバージョンに更新するには、環境をグローバルメンテナンスモードに切り替え、続いてマイナーバージョン間の標準更新手順に従う必要があります。
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていることを確認します。必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager の更新セクションを参照してください。
グローバルメンテナンスモードの有効化
Manager 用仮想マシンの設定またはアップグレード作業を実施する前に、セルフホスト型エンジン環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える必要があります。
手順
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
作業を進める前に、環境がグローバルメンテナンスモードにあることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
クラスターがグローバルメンテナンスモードにあることを示すメッセージが表示されるはずです。
Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効化になっている。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーのリストは、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
注記RHV バージョン 4.4.0 から、RHV バージョン 4.4.8 を介して 4.4.9 以降にアップグレードする場合は、サブスクリプションリポジトリー
jb-eap-7.4-for-rhel-8-x86_64-rpms
のリストに EAP 7.4 チャンネルを追加し、アップグレード後にjb-eap-7.3-for-rhel-8-x86_64-rpms
を削除する必要があります。Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup パッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定をプレビューすると保存された値が表示されますが、インストール後にengine-config
を使用して設定を更新した場合、この値は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに "Default SAN wipe after delete: False" を出力します。ただし、更新された値がengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了するまでプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、RHV Manager で yum update を実行できない (ansible の競合) を参照してください。
重要カーネルパッケージが更新された場合は、以下を実行します。
- グローバルメンテナンスモードを無効にします。
- マシンを再起動して更新を完了します。
関連情報
グローバルメンテナンスモードの無効化
手順
- Manager 用仮想マシンにログインし、シャットダウンします。
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを無効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=none
グローバルメンテナンスモードを終了すると、ovirt-ha-agent が Manager 用仮想マシンを起動し、続いて Manager が自動的に起動します。Manager が起動するまでに最大で 10 分程度かかる場合があります。
環境が動作していることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
情報の一覧に、Engine Status が含まれます。Engine status の値は、以下のようになるはずです。
{"health": "good", "vm": "up", "detail": "Up"}
注記仮想マシンが起動中で Manager がまだ動作していない場合、Engine status は以下のようになります。
{"reason": "bad vm status", "health": "bad", "vm": "up", "detail": "Powering up"}
このような場合には、数分間待ってからやり直してください。
4.1.5. クラスター内の全ホストの更新
ホストを個別に更新するのではなく、クラスター内の全ホストを更新することができます。この手法は、Red Hat Virtualization を新しいバージョンにアップグレードする際に特に役立ちます。更新の自動化に使用する Ansible ロールの詳細は、oVirt クラスターアップグレード を参照してください。
クラスターは一度に 1 つずつ更新します。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストをスキップするよう選択した場合を除き、更新中は固定された仮想マシンはシャットダウンされます。
手順
- 管理ポータルで Upgrade status 列には、クラスターの任意のホストでアップグレードが利用可能かどうかが表示されます。 → をクリックし、クラスターを選択します。
- Upgrade をクリックします。
- 更新するホストを選択し、次に Next をクリックします。
オプションを設定します。
- Stop Pinned VMs: クラスター内のホストに固定された仮想マシンをシャットダウンします。このオプションは、デフォルトで選択されています。このチェックボックスの選択を解除すると、固定された仮想マシンが動作を続けられるように、それらのホストの更新をスキップすることができます (固定された仮想マシンが重要なサービスまたはプロセスを実行中で、更新中の予期せぬ時にシャットダウンされるのを避けたい場合など)。
-
Upgrade Timeout (Minutes): このオプションで設定した時間内に個々のホストの更新が完了しない場合、クラスターのアップグレードはタイムアウトで失敗します。デフォルトは
60
です。60 分では不十分と思われる大規模なクラスターの場合は、時間を延長することができます。また、ホストの更新が短時間で完了する小規模なクラスターは、短縮することができます。 - Check Upgrade: アップグレードプロセスを実行する前に、それぞれのホストで更新が利用可能かどうかを確認します。このオプションは、デフォルトでは選択されていません。ただし、Manager がホストの更新を確認する頻度をデフォルトより低く設定している状況などで、最新の更新を確実に含める必要がある場合は、このオプションを選択することができます。
- Reboot After Upgrade: ホストの更新後に、それぞれのホストを再起動します。このオプションは、デフォルトで選択されています。ホストを再起動する必要のある保留中の更新がないことが明らかであれば、このチェックボックスの選択を解除してプロセスを迅速化することができます。
-
Use Maintenance Policy: 更新時にクラスターのスケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定します。このオプションはデフォルトで選択されています。したがって、許可される動作は限定的で、仮想マシンは高可用性でない限り起動できません。更新中も使用を続けたいカスタムのスケジューリングポリシーがある場合は、このチェックボックスの選択を解除できます。ただし、解除することで想定外の結果が生じる可能性があります。このオプションを無効にする前に、カスタムのポリシーがクラスターのアップグレード操作に対応していることを確認してください。
- Next をクリックします。
- 影響を受けるホストと仮想マシンの概要を確認します。
- Upgrade をクリックします。
- クラスターのアップグレードステータス画面が表示され、完了の割合を示す進行状況バーと、完了したアップグレードプロセスの手順のリストが表示されます。Go to Event Log をクリックして、アップグレードのログエントリーを開くことができます。この画面を閉じても、アップグレードプロセスは中断されません。
以下で、ホスト更新の進捗状況を追跡できます。
- Upgrade Status 列に完了率を示す進捗バーが表示されます) → ビュー (
- → ビュー
- 通知ドロワー の イベント セクション ( )
仮想マシン移行の進捗を、Status 列で個々に追跡できます。大規模な環境では、特定の仮想マシングループの結果を表示するために、結果を絞り込まなければならない場合があります。
→ ビューの次に、クラスターの互換バージョンを更新してください。
4.1.6. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内のすべてのホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内のすべてのホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要がある。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードすると、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。そのため、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、仮想マシンをテストするために、クラスターをアップグレードする前に仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することを推奨します。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、 → をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- General タブで Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Cluster Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。Edit Virtual Machine ウィンドウには、修正が必要な項目を示す追加の検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスター内の仮想マシンのクラスター互換バージョンを更新できるようになりました。
4.1.7. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中または一時停止中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用するか、ゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、Restart をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
次に、データセンターの互換バージョンを更新してください。
4.1.8. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、データセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンが、事前にすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで → をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- Compatibility Version を必要な値に変更します。
- Change Data Center Compatibility Version の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
ホストを個別に更新することもできます。
4.1.9. 個々のホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、管理ポータルから直接個々のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。使用率が比較的に低い時間帯にホストを更新してください。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、固定された仮想マシンをシャットダウンする必要があります。
手順
適切なリポジトリーが有効であることを確認します。現在有効なリポジトリーのリストを表示するには、
dnf repolist
を実行します。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms \ --enable=rhv-4-mgmt-agent-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms # subscription-manager release --set=8.6
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
通知ドロワー ( ) を開き、イベント セクションをデプロイメントして結果を表示します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
Maintenance > Installing > Reboot > Up
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed のステータスから → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
管理ポータルからホストを更新する必要があります。ただし、管理ポータルの代わりに dnf upgrade
を使用してホストを更新することもできます。
4.1.10. ホストの手動更新
これは、ホストの手動更新 (Red Hat によるサポートの対象外) を実行する必要がある上級システム管理者向けの情報です。証明書の更新などの重要な手順については熟知していると想定し、このトピックでは説明していません。Red Hat は、管理ポータルを使用したホストの更新をサポートします。詳細は、管理ガイド の 個々のホストの更新 または クラスター内の全ホストの更新 を参照してください。
dnf
コマンドを使用して、ホストを更新できます。セキュリティーやバグに関する修正がタイムリーに適用されるように、システムを定期的に更新してください。
制限事項
-
RHVH を更新すると、
/etc
および/var
ディレクトリー内の変更されたコンテンツのみ保持されます。他のパスに含まれる変更されたデータは、更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効な場合、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。使用率が比較的に低い時間帯にホストを更新してください。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を減らすことができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、固定された仮想マシンをシャットダウンする必要があります。
手順
適切なリポジトリーが有効であることを確認します。
dnf repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認できます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms \ --enable=rhv-4-mgmt-agent-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms # subscription-manager release --set=8.6
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
- → をクリックしてから をクリックします。
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
Red Hat Enterprise Linux の現行バージョンを特定します。
# cat /etc/redhat-release
redhat-release パッケージの利用可能なバージョンを確認します。
# dnf --refresh info --available redhat-release
このコマンドは、利用可能な更新をすべて表示します。たとえば、Red Hat Enterprise Linux 8.2.z から 8.3 にアップグレードする場合は、パッケージのバージョンを、現在インストールされているバージョンと比較します。
Available Packages Name : redhat-release Version : 8.3 Release : 1.0.el8 …
注意通常、Red Hat Enterprise Linux Advanced Virtualization モジュールは、Red Hat Enterprise Linux y-stream よりも遅れてリリースされます。新しい Advanced Virtualization モジュールがまだ利用できない場合や、有効化した際にエラーが発生した場合は、ここで停止してアップグレードを取り消します。取り消さない場合は、ホストが破損するリスクがあります。
Red Hat Enterprise Linux 8.3 以降の Advanced Virtualization ストリームが利用できる場合は、
virt
モジュールをリセットします。# dnf module reset virt
注記Advanced Virtualization ストリームでこのモジュールがすでに有効になっている場合は、このステップは必要なく、マイナス要因となることもありません。
以下を入力してストリームの値を確認できます。
# dnf module list virt
以下のコマンドを使用して、Advanced Virtualization ストリームで
virt
モジュールを有効にします。RHV 4.4.2 の場合:
# dnf module enable virt:8.2
RHV 4.4.3 から 4.4.5 に対応しています。
# dnf module enable virt:8.3
RHV 4.4.6 - 4.4.10 の場合:
# dnf module enable virt:av
RHV 4.4 以降の場合:
# dnf module enable virt:rhel
注記RHEL 8.6 以降、Advanced Virtualization パッケージは標準の
virt:rhel
モジュールを使用します。RHEL 8.4 および 8.5 では、1 つの Advanced Virtualization ストリームrhel:av
のみが使用されます。
nodejs
モジュールのバージョン 14 を有効にします。# dnf module -y enable nodejs:14
ホストを更新します。
# dnf upgrade --nobest
すべての更新が正常に適用されるように、ホストを再起動します。
注記imgbased ログを確認して、Red Hat Virtualization Host 向けの追加パッケージの更新に失敗したものがないかを確認します。更新後に一部のパッケージの再インストールに失敗した場合は、そのパッケージが /var/imgbased/persisted-rpms に記載されていることを確認します。足りないパッケージを追加してから
rpm -Uvh /var/imgbased/persisted-rpms/*
を実行します。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
付録A Red Hat Virtualization Manager をオフラインでインストールするためのローカルリポジトリーの更新
ローカルリポジトリーから FTP 経由でパッケージを受信するマシン上に Red Hat Virtualization Manager がホストされている場合には、そのリポジトリーを定期的に同期してコンテンツ配信ネットワークからパッケージの更新をダウンロードしてから、マシンの更新またはアップグレードを行う必要があります。更新パッケージは、セキュリティー問題、バグ修正、拡張機能の追加に対応します。
リポジトリーをホストするシステムで、リポジトリーを同期して利用可能な各パッケージの最新バージョンをダウンロードします。
# reposync --newest-only -p /var/ftp/pub/rhevrepo
このコマンドにより多数のパッケージがダウンロードされ、完了するまで長時間を要する場合があります。
- Manager マシンでリポジトリーが利用可能であることを確認してから、マシンを更新/アップグレードします。
付録B ローカルリポジトリーからの RHV ハイパーバイザーのインストール
お使いのシステムで Red Hat Satellite がないプライベートの Red Hat Virtualization(RHV) 環境を使用する場合は、Red Hat がホストするコンテンツ配信ネットワーク (CDN) ではなく、ローカルの RHEL システムでホストされるリポジトリーから RHV ハイパーバイザー (RHV-H) をインストールする必要がある場合があります。
手順
オフラインリポジトリーをホストするシステムで、以下のような内容で
/etc/yum.repos.d/rhvh-mirror.repo
という名前のファイルを作成します。[rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms] name = Red Hat Virtualization Host for RHEL 8 x86_64 (RPMs) baseurl = https://cdn.redhat.com/content/dist/layered/rhel8/x86_64/rhvh/4/os enabled = 0 gpgcheck = 1 gpgkey = file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-redhat-release sslverify = 1 sslcacert = /etc/rhsm/ca/redhat-uep.pem metadata_expire = 86400 enabled_metadata = 1 sslclientcert = sslclientkey =
適切な証明書およびキーが含まれるファイルに対して、
sslclientcert
およびsslclientkey
フィールドに完全パス名を設定する必要があります。/etc/pki/entitlement
ディレクトリーには、証明書とキーファイルのペアが 1 つ以上含まれますが、1 つのペアには必要な RHV-H エンタイトルメントのみが含まれます。証明書ファイルを検索するには、次のコマンドを実行します。
/etc/pki/entitlement
ディレクトリーのファイルのリストを表示します。# ls -al /etc/pki/entitlement/
以下のような出力が表示されます。
total 836 drwxr-xr-x. 2 root root 202 May 28 15:18 . drwxr-xr-x. 15 root root 208 Apr 23 2020 .. -rw-r—r--. 1 root root 3243 May 28 15:18 4522783034260408538-key.pem -rw-r—r--. 1 root root 152622 May 28 15:18 4522783034260408538.pem -rw-r—r--. 1 root root 3243 May 28 15:18 5659494963772844103-key.pem -rw-r—r--. 1 root root 343394 May 28 15:19 5659494963772844103.pem -rw-r—r--. 1 root root 3243 May 23 13:19 645832581386032208-key.pem -rw-r—r--. 1 root root 343389 May 23 13:19 645832581386032208.pem #
RHV -H エンタイトルメントを含むものを検索するには、各証明書で
rct cat-cert
コマンドを使用します。# cd /etc/pki/entitlement/ # rct cat-cert 5659494963772844103.pem | grep rhvh/4/ | grep URL
以下のような出力が表示されます。
URL: /content/beta/rhel/server/7/$basearch/rhvh/4/os URL: /content/dist/rhel/server/7/7Server/$basearch/rhvh/4/os URL: /content/beta/layered/rhel8/x86_64/rhvh/4/os URL: /content/dist/layered/rhel8/x86_64/rhvh/4/os
正しい証明書を特定し、前述の
.repo
ファイルのsslclientcert
およびsslclientkey
の値を入力します。sslclientcert = /etc/pki/entitlement/5659494963772844103.pem sslclientkey = /etc/pki/entitlement/5659494963772844103-key.pem
適切なディレクトリーで
reposync
コマンドを実行します。正しいパスを確認するには、'pwd' コマンドを使用します。
# pwd
以下のような出力が表示されます。
/home/test/rhvh-reposync
reposync
コマンドを実行します。# reposync --repo rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms
以下のような出力が表示されます。
Updating Subscription Management repositories. Red Hat Virtualization Host for RHEL 8 x86_64 (RPMs) 11 kB/s | 4.0 kB 00:00 Red Hat Virtualization Host for RHEL 8 x86_64 (RPMs) 272 kB/s | 291 kB 00:01 . . . (193/194): redhat-virtualization-host-image-update-4.4.5-20210330.0.el8_3.noarc 5.4 MB/s | 822 MB 02:30 (194/194): rhvm-appliance-4.4-20210310.0.el8ev.x86_64.rpm 5.6 MB/s | 1.5 GB 04:34
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Subscription Manager サブシステムが定期的に再生成されるため、
reposync
コマンドを実行するたびに証明書とキーファイルのペアを確認します。
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