5.4. 非推奨になった機能
非推奨のデバイスは完全にサポートされています。つまり、非推奨のデバイスはテストおよび保守されています。デバイスが非推奨になっても、Red Hat Enterprise Linux 9 内でのサポート状況は変わりません。ただし、非推奨のデバイスは、次のメジャーバージョンのリリースではサポートされない可能性が高く、最新または今後のメジャーバージョンの新規 RHEL デプロイメントには推奨されません。
特定のメジャーリリースにおける非推奨機能の最新情報は、そのメジャーリリースの最新版のリリースノートを参照してください。サポート期間の詳細は、Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル および Red Hat Enterprise Linux アプリケーションストリームのライフサイクル を参照してください。
パッケージが非推奨となり、使用の継続が推奨されない場合があります。特定の状況下では、製品からパッケージが削除されることがあります。その場合には、製品のドキュメントで、非推奨となったパッケージと同様、同一、またはより高度な機能を提供する最近のパッケージが指定され、詳しい推奨事項が記載されます。
RHEL 7 で使用され、RHEL 8 で 削除された 機能の詳細は RHEL 8 の導入における検討事項 を参照してください。
RHEL 8 で使用され、RHEL 9 で 削除された 機能の詳細はRHEL 9 の導入における検討事項を参照してください。
5.4.1. インストーラーおよびイメージの作成
キックスタートコマンド ignoredisk
の --interactive
オプションが非推奨に
Red Hat Enterprise Linux の将来のリリースで --interactive オプション
を使用すると、致命的なインストールエラーが発生します。このオプションを削除するには、キックスタートファイルを変更することが推奨されます。
(BZ#1637872)
複数のキックスタートコマンドおよびオプションが非推奨に
RHEL 8 キックスタートファイルで以下のコマンドとオプションを使用すると、ログに警告が表示されます。
-
auth
またはauthconfig
-
device
-
deviceprobe
-
dmraid
-
install
-
lilo
-
lilocheck
-
mouse
-
multipath
-
bootloader --upgrade
-
ignoredisk --interactive
-
partition --active
-
reboot --kexec
特定のオプションだけがリスト表示されている場合は、基本コマンドおよびその他のオプションは引き続き利用でき、非推奨ではありません。
キックスタートの詳細および変更点は、RHEL 8 の導入における検討事項の キックスタートの変更 を参照してください。
(BZ#1642765)
5.4.2. ファイルシステムおよびストレージ
NFSv3 over UDP が無効に
NFS サーバーは、デフォルトで UDP (User Datagram Protocol) ソケットを開いたり、リッスンしなくなりました。バージョン 4 では TCP (Transmission Control Protocol) が必要なため、この変更は NFS バージョン 3 にのみ影響を及ぼします。
RHEL 8 では、NFS over UDP に対応しなくなりました。
(BZ#1592011)
elevator
カーネルコマンドラインパラメーターが非推奨に
カーネルコマンドラインパラメーターの elevator
は、すべてのデバイスのディスクスケジューラーを設定するために、以前の RHEL リリースで使用されていました。RHEL 8 では、このパラメーターが非推奨になりました。
アップストリームの Linux カーネルでは、elevator
パラメーターに対応しなくなりましたが、互換性のために RHEL 8 でも引き続き利用できます。
カーネルは、デバイスのタイプに基づいてデフォルトのディスクスケジューラーを選択することに注意してください。これは通常、最適な設定です。別のスケジューラーが必要な場合は、udev
ルールまたは Tuned サービスを使用して設定することが推奨されます。選択したデバイスを一致させ、それらのデバイスのスケジューラーのみを切り替えます。
詳細は、Why does the 'elevator=' parameter no longer work in RHEL8 を参照してください。
(BZ#1665295)
VDO パッケージの VDO Ansible モジュール
VDO Ansible モジュールは、現在、RPM パッケージ vdo
で提供されます。今後のリリースで、VDO Ansible モジュールは Ansible RPM パッケージに移動します。
5.4.3. ネットワーク
RHEL 8 でネットワークスクリプトが非推奨に
Red Hat Enterprise Linux 8 では、ネットワークスクリプトが非推奨になっており、デフォルトでは提供されなくなりました。基本的なインストールでは、nmcli ツール経由で、NetworkManager サービスを呼び出す ifup
スクリプトおよび ifdown
スクリプトの新しいバージョンが提供されます。Red Hat Enterprise Linux 8 で ifup
スクリプトおよび ifdown
スクリプトを実行する場合は、NetworkManager を実行する必要があります。
/sbin/ifup-local
、ifdown-pre-local
、および ifdown-local
の各スクリプトでは、カスタムコマンドが実行されません。
このスクリプトが必要な場合は、次のコマンドを使用すれば、システムに非推奨のネットワークスクリプトをインストールできます。
~]# yum install network-scripts
ifup
スクリプトと ifdown
スクリプトが、インストールされている従来のネットワークスクリプトにリンクされます。
従来のネットワークスクリプトを呼び出すと、そのスクリプトが非推奨であることを示す警告が表示されます。
(BZ#1647725)
5.4.4. カーネル
rdma_rxe
Soft-RoCE ドライバーが非推奨に
Remote Software Direct Memory Access over Converged Ethernet (Soft-RoCE) は RXE としても知られており、RDMA (Remote Direct Memory Access) をエミュレートする機能です。RHEL 8 では、Soft-RoCE 機能が、サポートされていないテクノロジープレビューとして利用できます。ただし、安定性の問題により、この機能は非推奨になり、RHEL 9 では削除されます。
(BZ#1878207)
5.4.5. セキュリティー
RHEL 8 で DSA が非推奨に
デジタル署名アルゴリズム (DSA) は、Red Hat Enterprise Linux 8 では非推奨であると考えられています。DSA キーに依存する認証メカニズムはデフォルト設定では機能しません。OpenSSH
クライアントは、LEGACY
のシステム全体の暗号化ポリシーレベルでも DSA ホストキーを許可しません。
(BZ#1646541)
NSS
で SSL2
Client Hello
が非推奨に
TLS
(Transport Layer Security) プロトコルバージョン 1.2 以前は、SSL
(Secure Sockets Layer) プロトコルバージョン 2 と後方互換性がある形式の Client Hello
メッセージを使用してネゴシエーションを開始できます。NSS
(Network Security Services) ライブラリーでのこの機能への対応は非推奨となっており、デフォルトで無効になっています。
この機能への対応が必要なアプリケーションを有効にするには、新しい API の SSL_ENABLE_V2_COMPATIBLE_HELLO
を使用する必要があります。この機能への対応は、Red Hat Enterprise Linux 8 の将来のリリースから完全に削除される可能性があります。
(BZ#1645153)
TLS 1.0 および TLS 1.1 が非推奨に
TLS 1.0 プロトコルおよび TLS 1.1 プロトコルは、システム全体の暗号化ポリシーレベル DEFAULT
で無効になります。たとえば、Firefox Web ブラウザーのビデオ会議アプリケーションで、非推奨のプロトコルを使用する必要がある場合は、システム全体の暗号化ポリシーを LEGACY
レベルに変更してください。
# update-crypto-policies --set LEGACY
詳細は、Red Hat カスタマーポータルのナレッジベースの記事 Strong crypto defaults in RHEL 8 and deprecation of weak crypto algorithms および man ページの update-crypto-policies(8)
を参照してください。
5.4.6. 仮想化
RHEL 8 では、仮想マシンのスナップショットへの対応が適切ではない
仮想マシンスナップショットを作成する現在のメカニズムが適切に機能していないため、推奨されなくなりました。これにより、RHEL 8 では、仮想マシンのスナップショットを使用することが推奨されません。
新しい仮想マシンスナップのショットメカニズムは開発中で、RHEL 8 の将来のマイナーリリースで完全に実装される予定です。
Cirrus VGA 仮想 GPU タイプが非推奨に
Red Hat Enterprise Linux の将来のメジャー更新では、KVM 仮想マシンで Cirrus VGA GPU デバイスに対応しなくなります。したがって、Red Hat は、Cirrus VGA の代わりに stdvga デバイス、virtio-vga デバイス、または qxl デバイスを使用することを推奨します。
(BZ#1651994)
virt-manager が非推奨に
Virtual Machine Manager アプリケーション (virt-manager) は非推奨になっています。RHEL 8 Web コンソール (Cockpit) は、後続のリリースで置き換えられる予定です。したがって、GUI で仮想化を管理する場合は、Web コンソールを使用することが推奨されます。ただし、Red Hat Enterprise Linux 8.0 では、機能によっては、virt-manager またはコマンドラインからしかアクセスできません。
(JIRA:RHELPLAN-10304)
5.4.7. 非推奨パッケージ
以下のパッケージは非推奨となり、Red Hat Enterprise Linux の今後のメジャーリリースには含まれません。
- 389-ds-base-legacy-tools
- authd
- custodia
- hostname
- libidn
- net-tools
- network-scripts
- nss-pam-ldapd
- sendmail
- yp-tools
- ypbind
- ypserv