第11章 sudo アクセスの管理
システム管理者は、root 以外のユーザーに、通常 root ユーザー用に予約されている管理コマンドを実行できるようにする sudo
アクセスを付与できます。これにより、root 以外のユーザーは、root ユーザーアカウントにログインせずに、このようなコマンドを実行できます。
11.1. sudoers のユーザー認可
/etc/sudoers
ファイルは、どのユーザーが sudo
コマンドを使用して他のコマンドを実行できるかを指定します。ルールは、個別のユーザーおよびユーザーグループに適用できます。エイリアスを使用して、ホスト、コマンド、さらにはユーザーのグループに対するルールをより簡単に定義することもできます。デフォルトのエイリアスは、/etc/sudoers
ファイルの最初の部分で定義されます。
認可されていないユーザーが sudo
を使用してコマンドを入力すると、システムは文字列 <username> : user NOT in sudoers
を含むメッセージをジャーナルログに記録します。
デフォルトの /etc/sudoers
ファイルは、認可の情報と例を提供します。対応する行をコメント解除すると、特定のルール例をアクティブにできます。ユーザー認可に関するセクションには、以下の概要が示されます。
## Next comes the main part: which users can run what software on ## which machines (the sudoers file can be shared between multiple ## systems).
次の形式を使用して、新しい sudoers
認可を作成したり、既存の認可を変更したりできます。
<username> <hostname.example.com>=(<run_as_user>:<run_as_group>) <path/to/command>
ここでは、以下のようになります。
-
<username>
はコマンドを入力するユーザーです (例:user1
)。値が%
で始まる場合はグループを定義します (例:%group1
)。 -
<hostname.example.com>
は、ルールが適用されるホストの名前です。 -
セクション
(<run_as_user>:<run_as_group>)
は、コマンドを実行するユーザーまたはグループを定義します。このセクションを省略すると、<username>
は root としてコマンドを実行できます。 -
<path/to/command>
は、コマンドへの完全な絶対パスです。また、コマンドパスの後にオプションを追加することにより、特定のオプションおよび引数を指定したコマンドのみを実行するようにユーザーを制限することもできます。オプションを指定しないと、すべてのオプションが有効な状態でコマンドを使用できます。
これらの変数のいずれかを ALL
に置き換えることで、ルールをすべてのユーザー、ホスト、またはコマンドに適用できます。
ALL ALL=(ALL) ALL
などの過度に寛容なルールを使用すると、すべてのユーザーがすべてのコマンドを、いずれのホストのいずれのユーザーとしても使用できます。これは重大なセキュリティーリスクをもたらします。
!
演算子を使用して引数を負の値で指定できます。たとえば、!root
は root 以外のすべてのユーザーを指定します。特定のユーザー、グループ、およびコマンドを許可する方が、特定のユーザー、グループ、およびコマンドを拒否するよりも安全です。これは、許可ルールにより、認可されていない新規ユーザーまたはグループもブロックされるためです。
alias
コマンドでコマンドの名前を変更すると、このような規則が上書きされるため、コマンドに否定的な規則を使用しないでください。
システムは、/etc/sudoers
ファイルを最初から最後まで読み取ります。したがって、ファイルにユーザーの複数のエントリーが含まれている場合、エントリーは順番に適用されます。値が競合する場合は、最も具体的な一致ではない場合でも、システムは最後の一致を使用します。
システム更新中にルールを保持し、エラーを簡単に修正するには、ルールを /etc/sudoers
ファイルに直接入力するのではなく、/etc/sudoers.d/
ディレクトリーに新しいファイルを作成して、新しいルールを入力します。システムは、/etc/sudoers
ファイル内で以下の行に到達する際に、/etc/sudoers.d
ディレクトリー内のファイルを読み取ります。
#includedir /etc/sudoers.d
この行の頭にある番号記号 (#
) は構文の一部であり、行がコメントであることを意味するものではありません。そのディレクトリー内のファイル名にはピリオドを使用することができません。また、末尾にチルダ (~
) を使用することもできません。
関連情報
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システム上の
sudo(8)
およびsudoers(5)
man ページ