1.2. 証明書
Red Hat Advanced Cluster Management で実行されるサービスに必要な証明書はすべて、Red Hat Advanced Cluster Management のインストール時に作成されます。以下の証明書のリストを確認してください。これらの証明書は、Red Hat OpenShift Container Platform の以下のコンポーネントによって作成および管理されます。
- OpenShift Service Serving Certificates
- Red Hat Advanced Cluster Management Webhook コントローラー
- Kubernetes Certificates API
- OpenShift デフォルト Ingress
必要なアクセス権限: クラスターの管理者
証明書の管理に関する詳細は、以下を参照してください。
注記: ユーザーは証明書のローテーションおよび更新を行います。
1.2.1. Red Hat Advanced Cluster Management ハブクラスター証明書
OpenShift のデフォルトの Ingress 証明書は、技術的にはハブクラスター証明書です。Red Hat Advanced Cluster Management をインストールすると、可観測性証明書が作成され、この証明書を可観測性コンポーネントが使用してハブクラスターとマネージドクラスターの間のトラフィックで相互 TLS を提供します。
open-cluster-management-observability
namespace には以下の証明書が含まれます。-
observability-server-ca-certs
: サーバー側の証明書に署名する CA 証明書が含まれます。 -
observability-client-ca-certs
: クライアント側の証明書に署名する CA 証明書が含まれます。 -
observability-server-certs
:observability-observatorium-api
デプロイメントで使用されるサーバー証明書が含まれます。 -
observability-grafana-certs
:observability-rbac-query-proxy
デプロイメントで使用されるクライアント証明書が含まれます。
-
open-cluster-management-addon-observability
namespace には、マネージドクラスターに以下の証明書が含まれます。-
observability-managed-cluster-certs
: ハブサーバーのobservability-server-ca-certs
と同じサーバー CA 証明書が含まれます。 -
observability-controller-open-cluster-management.io-observability-signer-client-cert
:metrics-collector-deployment
が使用するクライアント証明書が含まれます。
-
CA 証明書は 5 年間、他の証明書は 1 年間有効です。可観測性の証明書はすべて、期限が切れると自動的に更新されます。以下のリストを表示し、証明書が自動更新される場合の影響を確認します。
- CA 以外の証明書は、有効期間の残りが 73 日以下になると自動的に更新されます。証明書が更新されると、更新された証明書を使用するように関連するデプロイメントの Pod は自動的に再起動されます。
- CA 証明書は、有効期間の残りが 1 年間未満になると自動的に更新されます。証明書を更新したら、古い CA は削除されませんが、更新された CA と共存します。以前の証明書と更新された証明書はいずれも関連するデプロイメントで使用され、引き続き機能します。以前 CA 証明書は有効期限が切れると削除されます。
- 証明書の更新時には、ハブクラスターとマネージドクラスターの間のトラフィックは中断されません。
次の Red Hat Advanced Cluster Management ハブクラスター証明書テーブルを表示します。
namespace | シークレット名 | Pod ラベル | |
---|---|---|---|
open-cluster-management | channels-apps-open-cluster-management-webhook-svc-ca | app=multicluster-operators-channel | open-cluster-management |
channels-apps-open-cluster-management-webhook-svc-signed-ca | app=multicluster-operators-channel | open-cluster-management | multicluster-operators-application-svc-ca |
app=multicluster-operators-application | open-cluster-management | multicluster-operators-application-svc-signed-ca | app=multicluster-operators-application |
open-cluster-management-hub | registration-webhook-serving-cert signer-secret | 不要 | open-cluster-management-hub |
1.2.2. Red Hat Advanced Cluster Management マネージド証明書
Red Hat Advanced Cluster Management で管理される証明書と関連するシークレットを含むコンポーネント Pod の要約リストについては、次の表を参照してください。
namespace | シークレット名 (該当する場合) |
---|---|
open-cluster-management-agent-addon | cluster-proxy-open-cluster-management.io-proxy-agent-signer-client-cert |
open-cluster-management-agent-addon | cluster-proxy-service-proxy-server-certificates |
1.2.2.1. マネージドクラスター証明書
証明書を使用して、ハブクラスターでマネージドクラスターを認証できます。したがって、このような証明書に関連するトラブルシューティングシナリオを認識しておくことが重要です。
マネージドクラスター証明書は自動的に更新されます。
1.2.3. 関連情報
- 証明書ポリシーコントローラーを使用して、マネージドクラスターで証明書ポリシーを作成して管理します。詳細は、証明書ポリシーコントローラー を参照してください。
- SSL/TLS 証明書を使用してプライベートでホストされている Git サーバーにセキュアに接続する方法の詳細は、セキュアな HTTPS 接続でのカスタム CA 証明書の使用 を参照してください。
- 詳細は OpenShift サービスの証明書提供 を参照してください。
- OpenShift Container Platform のデフォルトの Ingress はハブクラスター証明書です。詳細は、デフォルトの Ingress 証明書の置き換え を参照してください。
- トピックは 証明書の概要 を参照してください。
1.2.4. 独自の可観測性認証局 (CA) 証明書の導入
Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes をインストールすると、可観測性のための認証局 (CA) 証明書のみがデフォルトで提供されます。Red Hat Advanced Cluster Management によって生成されたデフォルトの可観測性 CA 証明書を使用しない場合は、可観測性を有効にする前に独自の可観測性 CA 証明書を使用することを選択できます。
1.2.4.1. OpenSSL コマンドを使用した CA 証明書の生成
可観測性には、サーバー側、クライアント側の 2 つの CA 証明書が必要です。
以下のコマンドを使用して、CA RSA 秘密鍵を生成します。
openssl genrsa -out serverCAKey.pem 2048 openssl genrsa -out clientCAKey.pem 2048
秘密鍵を使用して自己署名 CA 証明書を生成します。以下のコマンドを実行します。
openssl req -x509 -sha256 -new -nodes -key serverCAKey.pem -days 1825 -out serverCACert.pem openssl req -x509 -sha256 -new -nodes -key clientCAKey.pem -days 1825 -out clientCACert.pem
1.2.4.2. BYO 可観測性 CA 証明書に関連付けられたシークレットの作成
シークレットを作成するには、以下の手順を実行します。
証明書および秘密鍵を使用して
observability-server-ca-certs
シークレットを作成します。以下のコマンドを実行します。oc -n open-cluster-management-observability create secret tls observability-server-ca-certs --cert ./serverCACert.pem --key ./serverCAKey.pem
証明書および秘密鍵を使用して
observability-client-ca-certs
シークレットを作成します。以下のコマンドを実行します。oc -n open-cluster-management-observability create secret tls observability-client-ca-certs --cert ./clientCACert.pem --key ./clientCAKey.pem
1.2.4.3. 関連情報
1.2.5. 証明書の管理
証明書を更新、置換、ローテーション、およびリストする方法は、以下を参照してください。
1.2.5.1. Red Hat Advanced Cluster Management Webhook 証明書の更新
Red Hat Advanced Cluster Management で管理される証明書を更新できます。これは、Red Hat Advanced Cluster Management サービスが作成および管理する証明書です。
Red Hat Advanced Cluster Management 管理する証明書を更新するには、以下の手順を実行します。
が次のコマンドを実行して、Red Hat Advanced Cluster Management が管理する証明書に関連付けられたシークレットを削除します。
oc delete secret -n <namespace> <secret> 1
- 1
<namespace>
と<secret>
を使用する値に置き換えます。
次のコマンドを実行して、Red Hat Advanced Cluster Management のマネージド証明書に関連付けられたサービスを再起動します。
oc delete pod -n <namespace> -l <pod-label> 1
- 1
<namespace>
と<pod-label>
を Red Hat Advanced Cluster Management のマネージドクラスター証明書 テーブルの値に置き換えます。
注:
pod-label
が指定されていないと、再起動が必要なサービスはありません。シークレットは自動的に再作成され、使用されます。
1.2.5.2. alertmanager ルートの証明書の置き換え
OpenShift のデフォルト Ingress 証明書を使用しない場合は、alertmanager ルートを更新して alertmanager 証明書を置き換えることができます。以下の手順を実行します。
以下のコマンドで可観測性証明書を検査します。
openssl x509 -noout -text -in ./observability.crt
-
証明書のコモンネーム (
CN
) をalertmanager
に変更します。 -
csr.cnf
設定ファイルの SAN は、alertmanager ルートのホスト名に変更します。 次に
open-cluster-management-observability
namespace で以下の 2 つのシークレットを作成します。以下のコマンドを実行します。oc -n open-cluster-management-observability create secret tls alertmanager-byo-ca --cert ./ca.crt --key ./ca.key oc -n open-cluster-management-observability create secret tls alertmanager-byo-cert --cert ./ingress.crt --key ./ingress.key
1.2.5.3. gatekeeper Webhook 証明書のローテーション
gatekeeper Webhook 証明書をローテーションするには、次の手順を実行します。
次のコマンドを使用して、証明書が含まれるシークレットを編集します。
oc edit secret -n openshift-gatekeeper-system gatekeeper-webhook-server-cert
-
data
セクションのca.crt
、ca.key
、tls.crt
、およびtls.key
の内容を削除します。 次のコマンドで
gatekeeper-controller-manager
Pod を削除して、gatekeeper Webhook サービスを再起動します。oc delete pod -n openshift-gatekeeper-system -l control-plane=controller-manager
gatekeeper Webhook 証明書がローテーションされます。
1.2.5.4. 証明書のローテーションの確認
次の手順を使用して、証明書がローテーションされていることを確認します。
- 確認したいシークレットを特定します。
-
tls.crt
キーをチェックして、証明書が使用可能であることを確認します。 次のコマンドを使用して証明書情報を表示します。
oc get secret <your-secret-name> -n open-cluster-management -o jsonpath='{.data.tls\.crt}' | base64 -d | openssl x509 -text -noout
<your-secret-name>
は、検証するシークレットの名前に置き換えます。必要に応じて、namespace と JSON パスも更新します。出力で
Validity
の詳細を確認します。次のValidity
の例を参照してください。Validity Not Before: Jul 13 15:17:50 2023 GMT 1 Not After : Jul 12 15:17:50 2024 GMT 2
1.2.5.5. ハブクラスターで管理される証明書のリスト表示
OpenShift Service Serving Certificates サービスを内部で使用するハブクラスターの管理対象証明書の一覧を表示できます。以下のコマンドを実行して証明書一覧を表示します。
for ns in multicluster-engine open-cluster-management ; do echo "$ns:" ; oc get secret -n $ns -o custom-columns=Name:.metadata.name,Expiration:.metadata.annotations.service\\.beta\\.openshift\\.io/expiry | grep -v '<none>' ; echo ""; done
詳細は、Additional resources セクションの OpenShift Service Serving Certificates を参照してください。
注記: 可観測性が有効な場合は、証明書が作成される追加の namespace があります。