第1章 キックスタートファイルを使用した RHEL への MicroShift のインストール


MicroShift を含む RHEL イメージのインストールを自動化するキックスタートファイルを使用します。

1.1. RHEL インストールで MicroShift を埋め込むためのキックスタートファイル

キックスタートファイルを使用して、通常の Red Hat Enterprise Linux (RHEL) インストールを自動化するには、成功に必要な情報をすべて含む単一のファイルを作成します。

  • 選択した RHEL タイプのキックスタートファイルに MicroShift を含めることにより、MicroShift のインストールを自動化することもできます。
  • キックスタートファイルを使用して、仮想マシン (VM) をプロビジョニングしたり、エッジデバイスへのデプロイメント用の通常の RHEL インストールを完了したりできます。

MicroShift の場合は、キックスタートファイルに、次の要件を満たすために RHEL システムをプロビジョニングする情報が含まれている必要があります。

  • プロビジョニングする RHEL システムは、MicroShift をインストールするための要件を満たしている必要がある。
  • RHEL ファイルシステムに、ワークロードの永続ボリューム (PV) に十分な容量を持つ論理ボリュームマネージャー (LVM) ボリュームグループ (VG) がある。
  • Red Hat Hybrid Cloud Console からのプルシークレットが /etc/crio/openshift-pull-secret として存在し、root ユーザーのみの読み取り/書き込みパーミッションがある。

1.1.1. MicroShift キックスタートファイルのセットアップ

インストールタイプの手順に従って、MicroShift で提供されるキックスタートファイルを使用してホストをプロビジョニングできます。前の手順で作成した ISO は、キックスタートファイルでプロビジョニングするホストで実行されます。MicroShift キックスタートファイルを使い始めるには、次の手順から開始します。

前提条件

  • プロビジョニングするホストは、MicroShift をインストールするためのシステム要件を満たしている必要がある。
  • ~/.pull-secret.json からのプルシークレットが存在し、現在のユーザーの読み取りパーミッションがある。

手順

  1. 次のコマンドを実行して、/usr/share/microshift/kickstart ディレクトリーにあるサンプルキックスタートファイルを含む microshift-release-info RPM パッケージをインストールします。

    $ sudo dnf install -y microshift-release-info
  2. 以下のコマンドを実行して、キックスタートファイルの作成時に使用するユーティリティーをインストールします。

    $ sudo dnf install -y openssl gettext
  3. kickstart.ks に含まれるシークレットを参照する変数を設定します。

    • PULL_SECRET ファイルのコンテンツは、インストール後の段階で /etc/crio/openshift-pull-secret ディレクトリーにコピーされ、OpenShift Container Platform コンテナーレジストリーのアクセスを認証します。

      PULL_SECRET 変数を設定するコマンドの例

      $ export PULL_SECRET="$(cat ~/.pull-secret.json)"

    • 次のコマンドを実行して、`USER_PASSWD` 設定で使用するパスワードを PASSWD_TEXT 変数に設定します。

      PASSWD_TEXT 変数を設定するコマンドの例

      $ PASSWD_TEXT=<my_redhat_user_plain_text_password> 1

      1
      <my_redhat_user_plain_text_password> は、使用するパスワードに置き換えます。
    • USER_PASSWD 設定は、ホストにログインするための redhat ユーザーの暗号化されたパスワードとして使用されます。SHA-512 暗号化標準を使用して、パスワード文字列を暗号化します。

      USER_PASSWD 変数を設定するコマンドの例

      $ export USER_PASSWD="$(openssl passwd -6 "${PASSWD_TEXT}")"  1

      1
      暗号化されたパスワードだけがキックスタートファイルに含まれます。プレーンテキストのパスワードは含まれません。

次のステップ

  1. インストールタイプの指示に従って、提供されているテンプレートから作業キックスタートファイルを作成します。RHEL インストール用の RPM ベース、RHEL for Edge、およびイメージモードでは、以下の手順に従います。
  2. 任意です。キックスタートファイルを使用して仮想マシン (VM) を作成します。仮想マシンを作成すると、キックスタートファイル内の値をテストおよび検証できます。

1.1.2. MicroShift RPM インストールのキックスタートファイルの作成

MicroShift で提供されるキックスタートファイルを使用して、RPM ベースの仮想マシンをプロビジョニングします。

前提条件

  • MicroShift キックスタートファイルをセットアップしている。
  • Red Hat サブスクリプションをアクティブ化する [Activation Keys](https://console.redhat.com/insights/connector/activation-keys) と組織 ID を把握している。
  • 変数 BOOTC_IMAGE_URLAUTH_CONFIG、および REGISTRY_CONFIG を設定するために必要な情報がある。
重要

サブスクリプションに、RPM リポジトリー rhocp-4.x-for-rhel-9-$(uname -m)-rpms および fast-datapath-for-rhel-9-$(uname -m)-rpms へのアクセスが含まれている必要があります。

手順

  1. 以下の変数を追加して、RPM キックスタートファイルを作成します。

    キックスタートファイル変数を設定するコマンドの例

    • RHSM_ORG 変数には、キックスタートファイルのサブスクリプション登録コマンドの Red Hat Subscription Manager 組織 ID が含まれます。

      $ export RHSM_ORG="$(cat ~/.rhsm-activation-org)"
    • RHSM_KEY 変数には、キックスタートファイルのサブスクリプション登録コマンドの Red Hat Subscription Manager アクティベーションキーが含まれます。

      $ export RHSM_KEY="$(cat ~/.rhsm-activation-key)"
    • MICROSHIFT_VER 変数は、4.y 形式を使用してインストールする MicroShift バージョンを参照します。この変数に設定されている 4.y バージョンの最新の利用可能な .z バージョンは、自動的にインストールされます。

      $ export MICROSHIFT_VER=4.17 1
      1
      設定するマイナーバージョンの場合は、そのバージョンの最新の z-stream がインストールされています。
  2. 以下のコマンドを実行して、仮想マシンのインストール時に使用する kickstart.ks ファイルを作成します。

    envsubst < \
        /usr/share/microshift/kickstart/kickstart-rpm.ks.template > \
        "${HOME}/kickstart.ks"

1.1.3. MicroShift RHEL for Edge インストールのキックスタートファイルの作成

MicroShift で提供されるキックスタートファイルを使用して、RHEL for Edge ベースの仮想マシンをプロビジョニングします。

前提条件

  • MicroShift キックスタートファイルをセットアップしている。
  • 必須および任意の変数を設定するために必要な情報がある。

手順

  1. 次の必要な変数を追加して、RHEL for Edge のキックスタートファイルを作成します。

    必要な変数を設定するコマンドの例

    • OSTREE_SERVER_URL 変数には、キックスタートコマンド ostreesetup に渡される rpm-ostree サーバー URL が含まれます。

      $ export OSTREE_SERVER_URL="<http://my_ostree_server_url>" 1
      1
      http://my_ostree_server_url は、お使いのサーバーの URL に置き換えます。
    • OSTREE_COMMIT_REF 変数には、サーバーからインストールされる rpm-ostree コミット参照が含まれます。

      $ export OSTREE_COMMIT_REF="<myostree_commit_reference>" 1
      1
      <myostree_commit_reference> は、rpm-ostree コミット参照に置き換えます。
  2. オプション: サーバー認証に次の変数を追加します。

    • AUTH_CONFIG の内容は、インストール前の段階で /etc/ostree/auth.json にコピーされ、OSTREE_SERVER_URL サーバーへのアクセスを認証します。サーバーの認証が必要ない場合は、この設定をスキップしてください。

      $ export AUTH_CONFIG="$(cat ~/.ostree-auth.json)"
  3. 以下のコマンドを実行して、インストール中に使用する kickstart.ks ファイルを作成します。

    envsubst < \
        /usr/share/microshift/kickstart/kickstart-ostree.ks.template > \
        "${HOME}/kickstart.ks"
注記

rpm-ostree コミットで指定された MicroShift バージョンがインストールされています。MicroShift のバージョンを変更するには、新しいコミットを作成する必要があります。

1.1.4. RHEL のイメージモードで MicroShift をインストールするためのキックスタートファイルの作成

MicroShift で提供されるキックスタートファイルを、RHEL インストール用のイメージモードで使用できます。

前提条件

  • MicroShift キックスタートファイルをセットアップしている。
  • 必須および任意の変数を設定するために必要な情報がある。

手順

  1. 以下のコマンドを実行して、RHEL キックスタートファイルのインストールプロセスで使用されるイメージを参照するように、必要な BOOTC_IMAGE_URL 変数値を設定します。

    $ export BOOTC_IMAGE_URL=<myregistry>/<myorg>/<mypath>/microshift-image:tag 1
    1
    <myregistry><myorg>、および <mypath> は、実際の情報に置き換えます。
    • BOOTC_IMAGE_URL 変数には、ostreecontainer コマンドでインストールされるイメージへの参照が含まれています。必要に応じてタグを使用して、最新以外の z-stream リリースを指定できます。
  2. オプション: 以下のコマンドを使用して、レジストリー認証および設定の変数および値を追加します。

    オプションの変数を設定するコマンドの例

    • 次のコマンドを実行して、BOOTC_IMAGE_URL イメージへのアクセスを認証するように AUTH_CONFIG 変数を設定します。

      $ export AUTH_CONFIG="$(cat ~/.quay-auth.json)" 1
      1
      このファイルフォーマットの詳細は、containers-auth.json(5) の man ページを参照してください。
    • 次のコマンドを実行して、BOOTC_IMAGE_URL イメージを含むレジストリーへのアクセスを設定するように、REGISTRY_CONFIG 変数を設定します。

      $ export REGISTRY_CONFIG="$(cat ~/.quay-config.conf)" 1
      1
      このファイルフォーマットの詳細は、containers-registries.conf(5) の man ページを参照してください。
  3. 以下のコマンドを実行して、インストール中に使用する kickstart.ks ファイルを作成します。

    envsubst < \
        /usr/share/microshift/kickstart/kickstart-bootc.ks.template > \
        "${HOME}/kickstart.ks"
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