第10章 mClock OSD スケジューラー
ストレージ管理者は、mClock キューイングスケジューラーを使用して Red Hat Ceph Storage のサービス品質 (QoS) を実装できます。これは、dmClock と呼ばれる mClock アルゴリズムの適応に基づいています。
mClock OSD スケジューラーは、設定プロファイルを使用して適切な予約、重み付け、制限タグをサービスタイプに割り当てることで、必要な QoS を提供します。
mClock OSD スケジューラーは、OSD の IOPS 機能 (自動的に決定) と最大シーケンシャル帯域幅機能を使用して、さまざまなデバイスタイプ (SSD または HDD) の QoS 計算を実行します (m Clock 設定オプション セクションの osd_m Clock_max_sequential_bandwidth_hdd
および osd_m Clock_max_sequential_bandwidth_ssd
を参照)。
10.1. mClock OSD スケジューラーと WPQ OSD スケジューラーの比較
mClock OSD スケジューラーは、Weighted Priority Queue (WPQ) OSD スケジューラーに代わり、Red Hat Ceph Storage 6.1 のデフォルトスケジューラーになりました。
mClock スケジューラーは、BlueStore OSD でサポートされています。
WPQ OSD スケジューラーには、通常のキューの前にデキューされる厳密なサブキューがあります。WPQ は、キューの枯渇を防ぐために、優先度に応じてキューから操作を削除します。これは、一部の Ceph OSD が他の OSD よりも過負荷になっている場合に役立ちます。
mClock OSD スケジューラーには、即時キューがあります。このキューには、即時レスポンスを必要とする操作が追加されます。即時キューは mClock によって処理されず、単純な先入れ先出しキューとして機能し、最優先されます。
OSD レプリケーション操作、OSD 操作応答、ピアリング、最優先としてマークされたリカバリーなどの操作は、即時キューに入れられます。他のすべての操作は、mClock アルゴリズムに従って機能する mClock キューに追加されます。
mClock キュー mclock_scheduler
は、操作が属しているバケット (pg recovery
、pg scrub
、snap trim
、client op
、pg deletion
) に基づき操作に優先順位を付けます。
バックグラウンド操作が進行中の場合、mClock プロファイルを使用すると、WPQ スケジューラーと比較して平均クライアントスループット (つまり 1 秒あたりの入出力操作 (IOPS)) は大幅に高く、レイテンシーは低くなります。これは、mClock が QoS パラメーターを効果的に割り当てるからです。
関連情報
- 詳細は、mClock プロファイル のセクションを参照してください。