3.6. Tuned および ktune
Tuned は、様々なシステムコンポーネントの使用量に関するデータを監視、収集するデーモンで、その情報を使って必要に応じてシステム設定を動的にチューニングします。Tuned は CPU やネットワーク使用量の変化に対応し、設定を変更することでアクティブなデバイスのパーティションを改善したり、非アクティブなデバイスの電力消費量を抑えたりすることができます。
Tuned に付随する ktune は tuned-adm ツールとともに、多くの事前設定されたチューニングプロファイルを提供します。これらは数多くの特定のユースケースでパフォーマンスを強化し、電力消費量を抑制します。これらのプロファイルを編集したり、新規プロファイルを作成したりすることで、使用中の環境に適合したパフォーマンスソリューションを作成することができます。
tuned-adm の一部として提供されるプロファイルには、以下のものがあります。
default- デフォルトの省電力プロファイルで、最も基本的な省電力プロファイルです。ディスクと CPU プラグインのみを使用可能にします。これは、tuned-adm をオフにすることとは違います。tuned-adm をオフにすると、tuned と ktune の両方が使用できません。
latency-performance- 標準的な遅延パフォーマンスチューニング用のサーバープロファイルです。このプロファイルは、動的チューニングメカニズムと transparent hugepages を無効にします。これは、
cpuspeedで p 状態用にperformanceガバナーを使用し、I/O スケジューラーをdeadlineに設定します。また Red Hat Enterprise Linux 6.5 およびそれ以降では、プロファイルはcpu_dma_latencyの値1を要求します。Red Hat Enterprise Linux 6.4 およびそれ以前では、cpu_dma_latencyは0の値を要求していました。 throughput-performance- 標準的なスループットのパフォーマンスチューニング用のサーバープロファイルです。システムにエンタープライズクラスのストレージがない場合に、このプロファイルが推奨されます。throughput-performance は省電力メカニズムを無効にし、
deadlineI/O スケジューラーを有効にします。CPU ガバナーは、performanceに設定されます。kernel.sched_min_granularity_ns(スケジューラーの最小の先取り粒度) は10ミリ秒に、kernel.sched_wakeup_granularity_ns(スケジューラーの再開粒度) は15ミリ秒に、vm.dirty_ratio(仮想メモリー汚染比率) は 40% に設定され、transparent huge pages が有効になります。 enterprise-storage- このプロファイルは、バッテリー駆動のコントローラーキャッシュ保護とオンディスクのキャッシュ管理などを含むエンタープライズクラスのストレージがあるエンタープライズサイズのサーバー設定に推奨されます。
throughput-performanceプロファイルと同一ですが、ファイルシステムがbarrier=0で再マウントされています。 virtual-guest- このプロファイルは、仮想マシン用に最適化されています。
enterprise-storageプロファイルをベースとしていますが、virtual-guestも仮想メモリーの swap を低減します。このプロファイルは Red Hat Enterprise Linux 6.3 以降で利用可能です。 virtual-hostenterprise-storageプロファイルに基づき、virtual-hostも仮想メモリーの swap を減らし、ダーティーページのより積極的な書き戻しを可能にします。barrier=0で root ファイルシステムおよび起動ファイルシステム以外のファイルシステムがマウントされます。さらに Red Hat Enterprise Linux 6.5 では、kernel.sched_migration_costパラメーターが5ミリ秒に設定されます。Red Hat Enterprise Linux 6.5 より前では、kernel.sched_migration_costはデフォルト値の0.5ミリ秒を使用していました。このプロファイルは Red Hat Enterprise Linux 6.3 およびそれ以降で利用可能になっています。
tuned および ktune の詳細情報については、Red Hat Enterprise Linux 6 『電力管理ガイド』 を参照してください。これは http://access.redhat.com/site/documentation/Red_Hat_Enterprise_Linux/ から入手できます。