第1章 Fuse on Spring Boot の使用
Spring Boot で Fuse アプリケーションを開発するには、最初に Spring Boot で実行する Fuse のサンプルブースタープロジェクトを生成およびビルドします。詳細は以下を参照してください。
1.1. Fuse on Spring Boot
Spring Boot は、よく知られている Spring コンテナーがさらに進化したものです。Spring Boot コンテナーの特徴は、コンテナー機能が独立してデプロイできる小さなチャンクに分割されていることです。これにより、特定のサービスに特化し、小さなフットプリントでコンテナーをデプロイできます。これは、マイクロサービスアーキテクチャーのパラダイムに対応するために必要になります。
このコンテナー技術の特徴は次のとおりです。
- 特に、スケーラブルなクラウドプラットフォーム (Kubernetes および OpenShift) での実行に適しています。
- マイクロサービスアーキテクチャーに適した小さなフットプリント。
- 「設定より規約」(Convention over Configuration) 向けに最適化されています。
- アプリケーションサーバーは必要ありません。Spring Boot アプリケーション Jar を直接 JVM で実行できます。
1.2. ブースタープロジェクトの生成
Fuse ブースタープロジェクトは、スタンドアロンアプリケーションの実行を手助けする開発者向けのプロジェクトです。ここでは、ブースタープロジェクトの 1 つである Circuit Breaker ブースターの生成手順を説明します。この演習では、Fuse on Spring Boot の便利なコンポーネントを使用します。
Netflix/Hystrix サーキットブレーカーは、ネットワーク接続の中断や、バックエンドサービスの一時的な利用停止に分散アプリケーションが対応できるようにします。サーキットブレーカーパターンの基本概念は、バックエンドサービスが一時的に利用できなくなった場合に、依存するサービスの損失が自動的に検出され、代替動作をプログラムで作成できることです。
Fuse サーキットブローカーブースターは 2 つの関連サービスで構成されます。
-
呼び名を返すバックエンドサービスである
name
サービス。 -
名前を取得するよう
name
サービスを呼び出し、文字列Hello, NAME
を返すフロントエンドサービスであるgreetings
サービス。
このブースターデモンストレーションでは、Hystrix サーキットブレーカーは greetings
サービスと name
サービスとの間に挿入されます。バックエンドの name
サービスが利用できなくなると、name
サービスは再起動するまでの間にブロックされるのではなく、greetings
サービスが代替動作にフォールバックして即座にクライアントに応答することができます。
前提条件
- Red Hat Developer Platform にアクセスできる必要があります。
- サポートされるバージョンの Java Developer Kit (JDK) が必要です。詳細は「Red Hat Fuse でサポートされる構成」を参照してください。
- Apache Maven 3.3.x 以上が必要です。
手順
- https://developers.redhat.com/launch に移動します。
START をクリックします。
ランチャーウィザードによって、Red Hat アカウントにログインするよう要求されます。
- Log in or register ボタンをクリックし、ログインします。
- Launcher ページで Deploy an Example Application ボタンをクリックします。
- Create Example Application ページで Create Example Application as フィールドに名前 fuse-circuit-breaker を入力します。
- Select an Example をクリックします。
Example ダイアログで、Circuit Breaker オプションを選択します。Select a Runtime ドロップダウンメニューが表示されます。
- Select a Runtime ドロップダウンメニューで Fuse を選択します。
-
バージョンのドロップダウンメニューで 7.3.0 (Red Hat Fuse) を選択します。
2.21.2 (Community)
バージョンは選択しないでください。 - Save をクリックします。
- Create Example Application ページで Download をクリックします。
-
Your Application is Ready ダイアログが表示されたら、
Download.zip
をクリックします。ブラウザーが生成されたブースタープロジェクト (ZIP ファイルとしてパッケージ) をダウンロードします。 - アーカイブユーティリティーを使用して、生成されたプロジェクトをローカルファイルシステムの任意の場所に展開します。
1.3. ブースタープロジェクトのビルド
これらの手順は、Fuse on Spring Boot で Circuit Breaker ブースターをビルドする方法を説明します。
前提条件
- Red Hat Developer Portal からブースタープロジェクトの生成およびダウンロードが完了している必要があります。
- サポートされるバージョンの Java Developer Kit (JDK) が必要です。詳細は「Red Hat Fuse でサポートされる構成」を参照してください。
- Apache Maven 3.3.x 以上が必要です。
手順
シェルプロンプトを開き、Maven を使用してコマンドラインからプロジェクトをビルドします。
cd fuse-circuit-breaker
mvn clean package
Maven によってプロジェクトがビルドされた後、Build Success メッセージが表示されます。
新しいシェルプロンプトを開き、以下のように name サービスを起動します。
cd name-service
mvn spring-boot:run -DskipTests -Dserver.port=8081
Spring Boot が起動すると、以下のような出力が表示されます。
... 2019-05-06 20:19:59.401 INFO 9553 --- [ main] o.a.camel.spring.SpringCamelContext : Route: route1 started and consuming from: servlet:/name?httpMethodRestrict=GET 2019-05-06 20:19:59.402 INFO 9553 --- [ main] o.a.camel.spring.SpringCamelContext : Total 1 routes, of which 1 are started 2019-05-06 20:19:59.403 INFO 9553 --- [ main] o.a.camel.spring.SpringCamelContext : Apache Camel 2.21.0.fuse-730078-redhat-00001 (CamelContext: camel-1) started in 0.287 seconds 2019-05-06 20:19:59.406 INFO 9553 --- [ main] o.a.c.c.s.CamelHttpTransportServlet : Initialized CamelHttpTransportServlet[name=CamelServlet, contextPath=] 2019-05-06 20:19:59.473 INFO 9553 --- [ main] b.c.e.u.UndertowEmbeddedServletContainer : Undertow started on port(s) 8081 (http) 2019-05-06 20:19:59.479 INFO 9553 --- [ main] com.redhat.fuse.boosters.cb.Application : Started Application in 5.485 seconds (JVM running for 9.841)
新しいシェルプロンプトを開き、以下のように greetings サービスを起動します。
cd greetings-service
mvn spring-boot:run -DskipTests
Spring Boot が起動すると、以下のような出力が表示されます。
... 2019-05-06 20:22:19.051 INFO 9729 --- [ main] o.a.c.c.s.CamelHttpTransportServlet : Initialized CamelHttpTransportServlet[name=CamelServlet, contextPath=] 2019-05-06 20:22:19.115 INFO 9729 --- [ main] b.c.e.u.UndertowEmbeddedServletContainer : Undertow started on port(s) 8080 (http) 2019-05-06 20:22:19.123 INFO 9729 --- [ main] com.redhat.fuse.boosters.cb.Application : Started Application in 7.68 seconds (JVM running for 12.66)
greetings サービスは
http://localhost:8080/camel/greetings
URL で REST エンドポイントを公開します。web ブラウザーで URL を開くか、別のシェルプロンプトで以下の
curl
コマンドを入力して、REST エンドポイントを呼び出します。curl http://localhost:8080/camel/greetings
応答は次のとおりです。
{"greetings":"Hello, Jacopo"}
Camel Hystrix によって提供されるサーキットブレーカー機能を実証するには、name サービスが実行されているシェルプロンプトウインドウで Ctrl-C を入力し、バックエンド name サービスを中止します。
これで name サービスが利用できなくなるため、呼び出されたときに greetings サービスがハングしないよう、サーキットブレーカーが作動します。
web ブラウザーで
http://localhost:8080/camel/greetings
を開くか、別のシェルプロンプトウインドウに以下のcurl
コマンドを入力して、greetings REST エンドポイントを呼び出します。curl http://localhost:8080/camel/greetings
応答は次のとおりです。
{"greetings":"Hello, default fallback"}
greetings サービスが実行されているウインドウで、ログに以下のメッセージシーケンスが表示されます。
2019-05-06 20:24:16.952 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] route2 : Try to call name Service 2019-05-06 20:24:16.956 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : I/O exception (java.net.ConnectException) caught when processing request: Connection refused (Connection refused) 2019-05-06 20:24:16.956 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : Retrying request 2019-05-06 20:24:16.957 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : I/O exception (java.net.ConnectException) caught when processing request: Connection refused (Connection refused) 2019-05-06 20:24:16.957 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : Retrying request 2019-05-06 20:24:16.957 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : I/O exception (java.net.ConnectException) caught when processing request: Connection refused (Connection refused) 2019-05-06 20:24:16.957 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] o.a.c.httpclient.HttpMethodDirector : Retrying request 2019-05-06 20:24:16.964 INFO 9729 --- [-CamelHystrix-2] route2 : We are falling back!!!!
-
この例に関する詳細は、
greetings-service
の実行中に http://localhost:8080/ で Circuit Breaker - Red Hat Fuse ページを開いてください。このページには、サーキットブレーカーの状態を監視する Hystrix ダッシュボードへのリンクが含まれます。