5.6. JMS
メッセージングのサポートは、JBoss EAP Messaging (ActiveMQ Artemis) サブシステムと統合する JMS コンポーネントを介して提供されます。
他の JMS 実装とのインテグレーションは、ベンダー固有のリソースアダプターを設定するか、使用できない場合は JBoss Generic JMS リソースアダプターを使用して行うことができます。
5.6.1. JBoss EAP JMS の設定
標準の JBoss EAP XML 設定ファイルを介して JBoss EAP の メッセージングサブシステム を設定できます (例:standalone.xml または domain.xml)。
以下の例では、メモリーインスタンスに埋め込まれた ActiveMQ Artemis を使用します。最初に以下の XML 設定を jms-destinations セクションに追加して、メッセージングサブシステムに新しい JMS キューを設定します。
<jms-queue name="WildFlyCamelQueue"> <entry name="java:/jms/queue/WildFlyCamelQueue"/> </jms-queue>
あるいは、CLI スクリプトを使用してキューを追加することもできます。
$ jms-queue add --queue-address=WildFlyCamelQueue --entries=queue/WildFlyCamelQueue,java:/jms/queue/WildFlyCamelQueue
また、カスタム jms.xml デプロイメント記述子内に messaging-deployment
設定を作成することもできます。詳細は、JBoss EAP メッセージングサブシステムのドキュメントの 'Deployment of -jms.xml files' セクションを参照してください。
5.6.2. Camel ルートの設定
以下の JMS プロデューサーおよびコンシューマーの例では、JBoss EAP の組み込み ActiveMQ Artemis サーバーを使用して、宛先との間でメッセージを公開および消費します。
この例では、camel-cdi コンポーネントと共に CDI も使用します。JMS ConnectionFactory インスタンスは、JNDI ルックアップを介して Camel RouteBuilder に注入されます。
5.6.2.1. JMS プロデューサー
DefaultJMSConnectionFactory
接続ファクトリーは、JNDI から RouteBuilder に注入されます。メッセージングサブシステム内の JBoss EAP XML 設定に、接続ファクトリーがあります。
次に、タイマーエンドポイントが 10 秒ごとに実行され、以前に設定した WildFlyCamelQueue 宛先に XML ペイロードを送信します。
@Startup @ApplicationScoped @ContextName("jms-camel-context") public class JmsRouteBuilder extends RouteBuilder { @Resource(mappedName = "java:jboss/DefaultJMSConnectionFactory") private ConnectionFactory connectionFactory; @Override public void configure() throws Exception { JmsComponent component = new JmsComponent(); component.setConnectionFactory(connectionFactory); getContext().addComponent("jms", component); from("timer://sendJMSMessage?fixedRate=true&period=10000") .transform(constant("<?xml version='1.0><message><greeting>hello world</greeting></message>")) .to("jms:queue:WildFlyCamelQueue") .log("JMS Message sent"); } }
JMS メッセージが WildFlyCamelQueue 宛先に追加されるたびに、ログメッセージがコンソールに出力されます。メッセージが実際にキューに配置されていることを確認するには、JBoss EAP 管理コンソールを使用できます。
5.6.2.2. JMS コンシューマー
JMS メッセージを消費するため、Camel RouteBuilder 実装はプロデューサーの例と似ています。
前述のように、接続ファクトリーは JNDI から検出され、JMSComponent インスタンスに注入され設定されます。
JMS エンドポイントが WildFlyCamelQueue 宛先からのメッセージを消費すると、内容がコンソールに記録されます。
@Override public void configure() throws Exception { JmsComponent component = new JmsComponent(); component.setConnectionFactory(connectionFactory); getContext().addComponent("jms", component); from("jms:queue:WildFlyCamelQueue") .to("log:jms?showAll=true"); }
5.6.2.3. JMS トランザクション
Camel JMS ルートが JMS トランザクションに参加できるようにするには、追加の設定が必要になります。camel-jms は spring-jms を中心に構築されているため、JBoss EAP のトランザクションマネージャーおよび接続ファクトリーと連携できるようにいくつかの Spring クラスを設定する必要があります。以下のコード例は、CDI を使用してトランザクション JMS Camel ルートを設定する方法を示しています。
camel-jms コンポーネントには、タイプ org.springframework.transaction.PlatformTransactionManager
トランザクションマネージャーが必要です。そのため、JtaTransactionManager
を拡張する Bean の作成から開始します。Bean には @Named
アノテーションが付けられており、Camel Bean レジストリー内に Bean を登録できることに注意してください。また、JBoss EAP トランザクションマネージャーとユーザートランザクションインスタンスは CDI を使用して注入されることにも注意してください。
@Named("transactionManager") public class CdiTransactionManager extends JtaTransactionManager { @Resource(mappedName = "java:/TransactionManager") private TransactionManager transactionManager; @Resource private UserTransaction userTransaction; @PostConstruct public void initTransactionManager() { setTransactionManager(transactionManager); setUserTransaction(userTransaction); } }
次に、使用するトランザクションポリシーを宣言する必要があります。ここでも、@Named
アノテーションを使用して Bean を Camel で利用可能にします。また、トランザクションマネージャーも、必要なトランザクションポリシーで TransactionTemplate を作成できるように注入されます (ここでは PROPAGATION_REQUIRED)。
@Named("PROPAGATION_REQUIRED") public class CdiRequiredPolicy extends SpringTransactionPolicy { @Inject public CdiRequiredPolicy(CdiTransactionManager cdiTransactionManager) { super(new TransactionTemplate(cdiTransactionManager, new DefaultTransactionDefinition(TransactionDefinition.PROPAGATION_REQUIRED))); } }
これで、Camel RouteBuilder クラスを設定し、Camel JMS コンポーネントに必要な依存関係を注入できるようになりました。JBoss EAP XA 接続ファクトリーは、以前に設定されたトランザクションマネージャーとともに注入されます。
この例の RouteBuilder では、queue1 から任意のメッセージが消費されるたびに、メッセージは queue2 という名前の別の JMS キューにルーティングされます。queue2 から消費されるメッセージにより、rollback() DSL メソッドを使用して JMS トランザクションがロールバックされます。これにより、元のメッセージがデッドレターキュー (DLQ) に配置されます。
@Startup @ApplicationScoped @ContextName("jms-camel-context") public class JMSRouteBuilder extends RouteBuilder { @Resource(mappedName = "java:/JmsXA") private ConnectionFactory connectionFactory; @Inject CdiTransactionManager transactionManager; @Override public void configure() throws Exception { // Creates a JMS component which supports transactions JmsComponent jmsComponent = JmsComponent.jmsComponentTransacted(connectionFactory, transactionManager); getContext().addComponent("jms", jmsComponent); from("jms:queue:queue1") .transacted("PROPAGATION_REQUIRED") .to("jms:queue:queue2"); // Force the transaction to roll back. The message will end up on the Wildfly 'DLQ' message queue from("jms:queue:queue2") .to("log:end") .rollback(); }
5.6.2.4. リモート JMS 宛先
ある JBoss EAP インスタンスが リモート JNDI を使用して別の JBoss EAP インスタンスに設定された ActiveMQ Artemis 宛先にメッセージを送信することができます。
これには、追加の JBoss EAP 設定が必要です。最初に、エクスポートされた JMS キューが設定されます。
java:jboss/exported
namespace でバインドされた JNDI 名のみがリモートクライアントの候補として考慮されるため、キューには適切な名前が付けられます。
JBoss EAP クライアントアプリケーションサーバー およびJBoss EAP リモートサーバーでキューを設定する必要があります。
<jms-queue name="RemoteQueue"> <entry name="java:jboss/exported/jms/queues/RemoteQueue"/> </jms-queue>
クライアントがリモートサーバーに接続できるようにするには、ユーザーアクセスクレデンシャルを設定する必要があります。リモートサーバーで add user utility を実行し、guest グループ内に新しいアプリケーションユーザーを作成します。この例には、名前が admin でパスワードが secret のユーザーがいます。
RouteBuilder の実装は、前述の例とは異なります。接続ファクトリーを注入する代わりに、InitialContext を設定し、JNDI 自体から取得する必要があります。
configureInitialContext
メソッドはこの InitialContext を作成します。リモート JBoss EAP インスタンスのホスト名とポート番号を参照するプロバイダー URL を設定する必要があります。この例では JBoss EAP JMS http-connector を使用していますが、ここ に記載されている代替手段があります。
最後に、ルートは、前項で定義されたリモート宛先 ('RemoteQueue') に 10 秒ごとに XML ペイロードを送信するように設定されます。
@Override public void configure() throws Exception { Context initialContext = configureInitialContext(); ConnectionFactory connectionFactory = (ConnectionFactory) initialContext.lookup("java:jms/RemoteConnectionFactory"); JmsComponent component = new JmsComponent(); component.setConnectionFactory(connectionFactory); getContext().addComponent("jms", component); from("timer://foo?fixedRate=true&period=10000") .transform(constant("<?xml version='1.0><message><greeting>hello world</greeting></message>")) .to("jms:queue:RemoteQueue?username=admin&password=secret") .to("log:jms?showAll=true"); } private Context configureInitialContext() throws NamingException { final Properties env = new Properties(); env.put(Context.INITIAL_CONTEXT_FACTORY, "org.jboss.naming.remote.client.InitialContextFactory"); env.put(Context.PROVIDER_URL, System.getProperty(Context.PROVIDER_URL, "http-remoting://my-remote-host:8080")); env.put(Context.SECURITY_PRINCIPAL, System.getProperty("username", "admin")); env.put(Context.SECURITY_CREDENTIALS, System.getProperty("password", "secret")); return new InitialContext(env); }
5.6.3. セキュリティー
JMS のセキュリティー セクションを参照してください。
5.6.4. Fuse on EAP のクイックスタートの例
クイックスタートの例は、quickstarts/camel/camel-jms
ディレクトリーの Fuse on EAP インストールで利用できます。