第2章 ベアメタルプロビジョニングのプランニング


本章では、インストールの前提条件、ハードウェア要件、ネットワーク要件など、Bare Metal サービスを設定するための要件について説明します。

2.1. インストールの前提条件

本ガイドでは、アンダークラウドに director をインストール済みで、Bare Metal サービスと残りのオーバークラウドをインストールする準備が整っていることを前提とします。director のインストールについての詳しい情報は、『director のインストールと使用方法』の「director のインストール」を参照してください。

注記

ベアメタルノードは、OpenStack インストール環境のコントロールプレーンネットワークに直接アクセスできるため、オーバークラウドの Bare Metal サービスは、信頼済みのテナント環境向けに設計されています。オーバークラウドの Ironic サービス用にカスタムのコンポーザブルネットワークを実装する場合、ユーザーはコントロールプレーンにアクセスする必要はありません。

2.2. ハードウェア要件

オーバークラウドの要件

Bare Metal サービスを有効にしたオーバークラウドのハードウェア要件は、標準のオーバークラウドと同じです。詳しい情報は、『director のインストールと使用方法』「オーバークラウドの要件」を参照してください。

ベアメタルマシンの要件

プロビジョニングするベアメタルマシンのハードウェア要件は、インストールするオペレーティングシステムによって異なります。Red Hat Enterprise Linux 7 の場合は、『Red Hat Enterprise Linux 7 インストールガイド』を参照してください。Red Hat Enterprise Linux 6 の場合は、『Red Hat Enterprise Linux 6 インストールガイド』を参照してください。

プロビジョニングするベアメタルマシンはすべて、以下の要件を満たす必要があります。

  • ベアメタルネットワークに接続するための NIC 1 つ。
  • ironic-conductor サービスから到達可能なネットワークに接続された電源管理インターフェース (例: IPMI)。コンポーザブルロールを使用して ironic-conductor を別の場所で実行している場合以外は、デフォルトでは ironic-conductor は全コントローラーノード上で実行されます。
  • ベアメタルネットワーク上での PXE ブート。デプロイメント内のその他すべての NIC については PXE ブートを無効にしてください。

2.3. ネットワーク要件

注記

OVN を使用する場合、Bare Metal Provisioning サービス (ironic) はオーバークラウドではサポートされません。現在、OVN の組み込み型 DHCP サーバーは、ベアメタルノードのプロビジョニングやプロビジョニングネットワーク用の DHCP を提供することができません。

ベアメタルネットワーク:

これは、Bare Metal サービスが以下の用途で使用するプライベートネットワークです。

  • オーバークラウド上のベアメタルマシンのプロビジョニングと管理
  • 再デプロイ前のベアメタルノードのクリーニング
  • ベアメタルノードへのテナントアクセス

ベアメタルネットワークは、ベアメタルシステムを検出するための DHCP および PXE ブートの機能を提供します。このネットワークは、Bare Metal サービスが PXE ブートと DHCP 要求に対応できるように、トランキングされたインターフェースでネイティブの VLAN を使用する必要があります。

ベアメタルネットワークを設定するには、2 とおりの方法があります。

  • Ironic Conductor サービス用にフラットなベアメタルネットワークを使用する。このネットワークは、コントロールプレーン上の Ironic サービスにルーティングする必要があります。分離したベアメタルネットワークを定義すると、ベアメタルノードは PXE ブートすることができません。
  • カスタムのコンポーザブルネットワークを使用して、オーバークラウドに Ironic サービスを実装する。
注記

ベアメタルノードは、OpenStack インストール環境のコントロールプレーンネットワークに直接アクセスできるため、オーバークラウドの Bare Metal サービスは、信頼済みのテナント環境向けに設計されています。オーバークラウドの Ironic サービス用にカスタムのコンポーザブルネットワークを実装する場合、ユーザーはコントロールプレーンにアクセスする必要はありません。

ネットワークのタグ付け:

  • コントロールプレーンネットワーク (director のプロビジョニングネットワーク) は常にタグなしです。
  • ベアメタルネットワークは、プロビジョニングのためにタグなしである必要があり、また Ironic API にアクセスできなければなりません。
  • その他のネットワークはタグ付けすることができます。

オーバークラウドコントローラー:

Bare Metal サービスを有効にしたコントローラーノードは、ベアメタルネットワークにアクセス可能である必要があります。

ベアメタルノード:

ベアメタルノードの PXE ブートに使用するように設定されている NIC は、ベアメタルネットワークにアクセス可能である必要があります。

2.3.1. デフォルトのベアメタルネットワーク

このアーキテクチャーでは、ベアメタルネットワークはコントロールプレーンネットワークとは分離されています。ベアメタルネットワークは、テナントネットワークとしても機能するフラットネットワークです。

  • ベアメタルネットワークは、OpenStack のオペレーターが作成します。このネットワークには、director のプロビジョニングネットワークへのルートが必要です。
  • Ironic ユーザーは、パブリックの OpenStack API とベアメタルネットワークにアクセスすることができます。ベアメタルネットワークは、director のプロビジョニングネットワークにルーティングされるので、ユーザーはコントロールプレーンにも間接的にアクセスできます。
  • Ironic は、ノードのクリーニングにベアメタルネットワークを使用します。

デフォルトのベアメタルネットワークアーキテクチャー図

Default bare metal network architecture diagram

2.3.2. カスタムコンポーザブルネットワーク

このアーキテクチャーでは、ベアメタルネットワークはコントロールプレーンにアクセスできないカスタムコンポーザブルネットワークです。コントロールプレーンへのアクセスを制限したい場合には、このネットワークの作成が推奨されます。

  • カスタムコンポーザブルベアメタルネットワークは、OpenStack のオペレーターが作成します。
  • Ironic ユーザーは、パブリックの OpenStack API とカスタムコンポーザブルベアメタルネットワークにアクセスすることができます。
  • Ironic は、ノードのクリーニングにカスタムコンポーザブルベアメタルネットワークを使用します。
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