第2章 インストール
この章では、コンテンツセットへのアクセス方法、システムへの Red Hat Software Collections 3.8 のインストール方法、および Red Hat Software Collections の再構築方法について詳しく説明します。
2.1. Red Hat Software Collections へのアクセス
Red Hat Software Collections コンテンツセットは、ナレッジベースの記事How to use Red Hat Software Collections (RHSCL) or Red Hat Developer Toolset (DTS)?に記載されている Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションを利用することが可能です。Red Hat Subscription Management (RHSM) でシステムを登録する方法は、Red Hat Subscription Manager の使用 を参照してください。RHSM を使用して Red Hat Software Collections を有効にする方法は、「Red Hat Subscription Management の使用」 を参照してください。
Red Hat Software Collections 2.2 以降、Red Hat Software Collections および Red Hat Developer Toolset のコンテンツは、(特に Server および Workstation 向けに) https://access.redhat.com/downloads にて ISO 形式でも提供されています。「Optional リポジトリーからのパッケージ」 に記載されている
Optional
リポジトリーを必要とするパッケージは、ISO イメージからインストールできないことに注意してください。
注記
Optional
リポジトリーを必要とするパッケージを ISO イメージからインストールすることはできません。Optional
リポジトリーの有効化が必要なパッケージの一覧は、「Optional リポジトリーからのパッケージ」 で提供されています。
ベータコンテンツは ISO 形式では使用できません。
2.1.1. Red Hat Subscription Management の使用
システムが Red Hat Subscription Management に登録されている場合は、以下の手順を実施して、Red Hat Software Collections のリポジトリーへのアクセスを提供するサブスクリプションを割り当て、リポジトリーを有効にします。
- システムで利用可能なサブスクリプションのリストを表示し、Red Hat Software Collections を提供するサブスクリプションのプール ID を判別します。これを行うには、
root
で次のコマンドを実行します。subscription-manager list --available
このコマンドは、使用可能なサブスクリプションごとに、その名前、一意の識別子、有効期限、およびそれに関連するその他の詳細を表示します。プール ID は、Pool Id
で始まる行にリスト表示されます。 root
で以下のコマンドを実行して、適切なサブスクリプションをシステムに割り当てます。subscription-manager attach --pool=pool_id
pool_id を、直前のステップで確認したプール ID に置き換えます。システムに割り当てているサブスクリプションのリストを随時確認するには、root
で以下を入力します。subscription-manager list --consumed
- 利用可能な Yum list リポジトリーのリストを表示して、リポジトリーメタデータを取得し、Red Hat Software Collections リポジトリーの正確な名前を決定します。
root
で以下のコマンドを実行します。subscription-manager repos --list
または、yum repolist all を簡単なリストに対して実行します。リポジトリー名は、使用している Red Hat Enterprise Linux のバージョンによって異なり、以下のフォーマットに基づいています。rhel-variant-rhscl-7-rpms rhel-variant-rhscl-7-debug-rpms rhel-variant-rhscl-7-source-rpms
variant を、Red Hat Enterprise Linux システムのバリアント (つまりserver
またはworkstation
に置き換えます。Red Hat Software Collections は、Client
またはComputeNode
バリアントではサポートされないことに注意してください。 root
で以下のコマンドを実行して、適切なリポジトリーを有効にします。subscription-manager repos --enable repository
サブスクリプションがシステムに割り当てられたら、「Red Hat Software Collections のインストール」の説明に従って Red Hat Software Collections をインストールできます。Red Hat Subscription Management を使用してシステムを登録し、サブスクリプションに関連付ける方法は、Red Hat Subscription Management の使用 を参照してください。
注記
RHN によるサブスクリプションは利用できなくなりました。
2.1.2. Optional リポジトリーからのパッケージ
Red Hat Software Collections パッケージの一部では、このパッケージの完全なインストールを完了するために、
Optional
リポジトリーを有効にする必要があります。このリポジトリーにシステムをサブスクライブする方法の詳細は、ナレッジベースの記事How to access Optional and Supplementary channels, and -devel packages using Red Hat Subscription Management (RHSM)?を参照してください。
Optional
リポジトリーを有効にする必要がある Red Hat Enterprise Linux の Software Collections パッケージを以下の表に示します。Optional
リポジトリーのパッケージはサポートされないことに注意してください。詳細は、ナレッジベースアーティクルのSupport policy of the optional and supplementary channels in Red Hat Enterprise Linuxを参照してください。
Software Collection からのパッケージ | Optional リポジトリーから必要なパッケージ |
---|---|
devtoolset-12-build | scl-utils-build |
devtoolset-12-dyninst-testsuite | glibc-static |
devtoolset-12-elfutils-debuginfod | bsdtar |
devtoolset-12-gcc-plugin-devel | libmpc-devel |
devtoolset-12-gdb | source-highlight |
devtoolset-11-build | scl-utils-build |
devtoolset-11-dyninst-testsuite | glibc-static |
devtoolset-11-elfutils-debuginfod | bsdtar |
devtoolset-11-gcc-plugin-devel | libmpc-devel |
devtoolset-11-gdb | source-highlight |
devtoolset-10-build | scl-utils-build |
devtoolset-10-dyninst-testsuite | glibc-static |
devtoolset-10-elfutils-debuginfod | bsdtar |
devtoolset-10-gcc-plugin-devel | libmpc-devel |
devtoolset-10-gdb | source-highlight |
httpd24-mod_ldap | apr-util-ldap |
rh-git227-git-cvs | cvsps |
rh-git227-git-svn | perl-Git-SVN |
rh-git227-perl-Git-SVN | subversion-perl |
rh-php73-php-devel | pcre2-devel |
rh-php73-php-pspell | aspell |
rh-python38-python-devel | scl-utils-build |
2.2. Red Hat Software Collections のインストール
Red Hat Software Collections は、Red Hat Enterprise Linux に含まれる標準のパッケージ管理ツールを使用して、インストール、更新、アンインストールが可能な RPM パッケージのコレクションとして配布されます。Red Hat Software Collections をシステムにインストールするには、有効なサブスクリプションが必要です。システムを適切なサブスクリプションに関連付け、Red Hat Software Collections にアクセスする方法は、「Red Hat Software Collections へのアクセス」 を参照してください。
Red Hat Software Collections 3.8 を使用するには、ベータリリースを含む以前のプレリリースバージョンを削除する必要があります。Red Hat Software Collections 3.8 の以前のバージョンをインストールしていた場合は、システムからアンインストールし、「Red Hat Software Collections のアンインストール」 および 「Software Collection の個別インストール」 セクションで説明されているように、新しいバージョンをインストールしてください。
Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 へのインプレースアップグレードは、Red Hat Software Collections ではサポートされていません。したがって、アップグレード後にインストールされた Software Collections が正しく動作しない可能性があります。Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 にアップグレードする場合は、すべての Red Hat Software Collections パッケージを削除し、インプレースアップグレードを実行し、Red Hat Software Collections リポジトリーを更新し、再度 Software Collections パッケージをインストールすることが強く推奨されます。アップグレードする前に、すべてのデータのバックアップを作成することが推奨されます。
2.2.1. Software Collection の個別インストール
表1.1「Red Hat Software Collections のコンポーネント」 に記載されている Software Collection をインストールするには、シェルプロンプトで
root
として次のように入力して、対応するメタパッケージをインストールします。
yum install software_collection...
software_collection を、インストールする Software Collections のスペース区切りリストに置き換えます。たとえば、 rh-php73 および rh-mariadb105 をインストールし、
root
として以下を入力します。
~]# yum install rh-php73 rh-mariadb105
これにより、選択した Software Collection のメインメタパッケージと、必要なパッケージの依存関係がインストールされます。追加モジュールなどの追加パッケージをインストールする方法は、「オプションパッケージのインストール」 を参照してください。
2.2.2. オプションパッケージのインストール
Red Hat Software Collections の各コンポーネントは、デフォルトでインストールされていない複数のオプションパッケージとともに配布されます。特定の Software Collection に含まれていて、システムにインストールされていないパッケージのリストを表示するには、シェルプロンプトで次のコマンドを実行します。
yum list available software_collection-\*
これらのオプションのパッケージのいずれかをインストールするには、
root
で以下を入力します。
yum install package_name...
package_name を、インストールするパッケージのリストに置き換えます。たとえば、rh-perl530-perl-CPAN および rh-perl530-perl-Archive-Tar をインストールするには、以下を入力します。
~]# yum install rh-perl530-perl-CPAN rh-perl530-perl-Archive-Tar
2.2.3. デバッグ情報のインストール
Red Hat Software Collections パッケージのデバッグ情報をインストールするには、yum-utils パッケージがインストールされていることを確認し、
root
で以下のコマンドを入力します。
debuginfo-install package_name
たとえば、rh-ruby27-ruby パッケージのデバッグ情報をインストールするには、以下を入力します。
~]# debuginfo-install rh-ruby27-ruby
これらのパッケージを含むリポジトリーにアクセスできる必要があることに注意してください。システムが Red Hat Subscription Management に登録されている場合は、「Red Hat Subscription Management の使用」 で説明しているように、
rhel-variant-rhscl-6-debug-rpms
または rhel-variant-rhscl-7-debug-rpms
リポジトリーを有効化します。debuginfo パッケージにアクセスする方法は、RHEL システムで debuginfo パッケージをダウンロードまたはインストールするを参照してください。
2.3. Red Hat Software Collections のアンインストール
Software Collections コンポーネントをアンインストールするには、
root
で次のコマンドを実行します。
yum remove software_collection\*
software_collection を、アンインストールする Software Collection コンポーネントに置き換えます。
Red Hat Software Collections が提供するパッケージをアンインストールしても、これらのツールの Red Hat Enterprise Linux システムバージョンには影響がないことに注意してください。
2.4. Red Hat Software Collections の再構築
<collection>-build パッケージはデフォルトでは提供されません。コレクションを再構築して、rpmbuild --define 'scl foo' コマンドを使用しない場合には、最初にメタパッケージを再構築する必要があります。これにより、<collection>-build パッケージが提供されます。
既存のコレクションは、異なる内容で再構築しないでください。既存のコレクションに新しいパッケージを追加するには、新しいパッケージを含む新しいコレクションを作成し、元のコレクションからのパッケージに依存する必要があります。元のコレクションは、変更せずに使用する必要があります。
Software Collections のビルドに関する詳細は、Red Hat Software Collections パッケージガイド を参照してください。