アップグレードガイド
Red Hat Virtualization の更新およびアップグレード作業
概要
第1章 Red Hat Virtualization アップグレードの概要
本ガイドでは、現在お使いの環境を Red Hat Virtualization 4.2 にアップグレードする方法について説明します。
なお、ここで記載するアップグレードパスは、以下の 2 とおりです。
- ローカルデータベース: Data Warehouse および Manager データベースの両方が Manager マシンにインストールされているケース。
- リモートデータベース: Data Warehouse が異なるマシンにインストールされているケース。
セルフホストエンジンをアップグレードするには、『セルフホストエンジンガイド』の「セルフホストエンジンのアップグレード」を参照してください。
以下の表から、お使いの環境に合った正しい手順を選択してください。Manager とホストのバージョンが異なる場合は (過去に Manager はアップグレードしたがホストはアップグレードしていない場合など)、Manager のバージョンに該当する手順に従ってください。
現在の Manager のバージョン | アップグレード後の Manager のバージョン | 該当セクション |
---|---|---|
3.6 |
4.2 |
ローカルデータベース環境: 2章Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 から Red Hat Virtualization 4.2 へのアップグレード リモートデータベース環境: 5章Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 から Red Hat Virtualization 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード |
4.0 |
4.2 |
ローカルデータベース環境: 3章Red Hat Virtualization 4.0 から 4.2 へのアップグレード リモートデータベース環境: 6章Red Hat Virtualization 4.0 から 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード |
4.1 |
4.2 |
ローカルデータベース環境: 4章Red Hat Virtualization 4.1 から 4.2 へのアップグレード リモートデータベース環境: 7章Red Hat Virtualization 4.1 から 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード |
4.2.x |
4.2.y |
対話式のアップグレード手順については、Red Hat Virtualization Upgrade Helper を利用することもできます。このアプリケーションに、アップグレードパスおよび現在の環境についての情報を入力すると、適切なアップグレード手順と、アップグレードシナリオ固有の既知の問題を回避する手順が表示されます。
パート I. ローカルデータベース環境のアップグレード
第2章 Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 から Red Hat Virtualization 4.2 へのアップグレード
Manager を 3.6 から 4.2 に直接アップグレードすることはできません。以下のフローに従って、お使いの環境をアップグレードする必要があります。
- 3.6 Manager を最新バージョンの 3.6 に更新する
- Manager を 3.6 から 4.0 にアップグレードする
- Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードする
- Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードする
- 注記
ローカルストレージを使用する RHEV-H ホストをアップグレードする場合は、「付録C ローカルストレージを維持した状態での RHEV-H 3.6 から RHVH 4.2 へのアップグレード」を参照してください。
- クラスターの互換バージョンを更新する
- データセンターの互換バージョンを更新する
- 3.6 Manager マシンにホストされていた ISO ストレージドメインのバックアップを作成している場合には、アップグレードした環境で ISO ドメインを復元する
- SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える
2.1. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update rhevm-setup
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
2.2. Manager の 3.6 から 4.0 へのアップグレード
Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 では、Manager は Red Hat Enterprise Linux 6 上で動作します。Manager マシンの Red Hat Enterprise Linux 7 へのインプレースアップグレードはサポートされません。3.6 から 4.0 にアップグレードするには、Red Hat Enterprise Linux 7 に新たな 4.0 Manager をインストールし、新たな Manager で 3.6 Manager データベースのバックアップを復元する必要があります。
ovirt-engine-extension-aaa-ldap
、ovirt-engine-extension-aaa-misc
、または ovirt-engine-extension-logger-log4j
などのオプションの拡張パッケージが Red Hat Enterprise Virtualization Manager 3.6 マシンにインストールされている場合には、engine-setup
を実行する前に、アップグレードした Manager マシンにこれらのパッケージをインストールする必要があります。これらのパッケージの拡張機能の設定は、アップグレードの際には移行されません。3.6 Manager のバックアップファイルと同じデバイスまたはマシンに、設定ファイルをコピーすることができます。
Manager のアップグレード中も、接続されているホストおよび仮想マシンは稼働し続けることが可能です。
前提条件
- 手順を開始する前に、環境内のデータセンターおよびクラスターのクラスター互換性レベルがすべてバージョン 3.6 に設定されている必要があります。
- ドメイン管理ツールを使用して設定したディレクトリーサーバーは、Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 以降ではサポートされなくなりました。お使いのディレクトリーサーバーがドメイン管理ツールを使用して設定されている場合には、環境のバックアップを作成する前に新規拡張機能ベースのプロバイダーに移行してください。詳細については、『Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 管理ガイド』の「レガシープロバイダーから新規拡張機能ベースのプロバイダーへの移行」を参照してください。
手順
3.6 Manager で、環境をバックアップします。
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
- バックアップファイルを適切なデバイスまたはマシンにコピーします。
ISO ストレージドメインが Manager マシンにホストされている場合には、/var/lib/exports/iso の内容のバックアップを作成します。
# cd /var/lib/exports/iso # tar zcf iso_domain.tar.gz UUID
ISO ストレージのバックアップファイルは、アップグレード後に復元します。
Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールします。『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』を参照してください。
新規マシンに RHEL 7 をインストールする場合は、3.6 Manager マシンと同じ完全修飾ドメイン名を持つように設定し、FQDN が新規マシンの IP アドレスに対応するように DNS を更新する必要があります。
Red Hat Virtualization 4.0 パッケージをインストールします。
コンテンツ配信ネットワークにシステムを登録します。プロンプトが表示されたら、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードを入力します。
# subscription-manager register
Red Hat Enterprise Linux Server
およびRed Hat Virtualization
のサブスクリプションプールを探し、プール ID を書き留めておきます。# subscription-manager list --available
上記のプール ID を使用して、エンタイトルメントをシステムにアタッチします。
# subscription-manager attach --pool=pool_id
必要なリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-supplementary-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms # subscription-manager repos --enable=jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
全パッケージを最新の状態にします。
# yum update
rhevm
パッケージと依存関係をインストールします。# yum install rhevm
バックアップファイルを 4.0 Manager マシンにコピーして、バックアップを復元します。
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --log=restore.log --provision-db --provision-dwh-db --restore-permissions
注記追加のデータベースユーザーのアクセス許可がバックアップに含まれている場合には、このコマンドにより追加のユーザーが作成され、無作為なパスワードが設定されます。復元したシステムに追加のユーザーがアクセスする必要がある場合には、これらのパスワードを手動で変更する必要があります。「How to grant access to an extra database user after restoring Red Hat Virtualization from a backup」の記事を参照してください。
注記バックアップに Data Warehouse データが含まれる場合には、
--provision-dwh-db
オプションを使用します。Red Hat Enterprise Virtualization Reports は Red Hat Virtualization 4.0 では非推奨となっているので、復元されません。詳しい情報は BZ#1340810 を参照してください。
オプションの拡張パッケージが 3.6 Manager マシンにインストールされていた場合には、それらをインストールします。
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc ovirt-engine-extension-logger-log4j
注記これらのパッケージの拡張機能の設定は、バックアップと復元のプロセス中に移行されないため、手動で再度適用する必要があります。
- 4.0 Manager 用に別のマシンを使用する場合には、3.6 Manager マシンの使用を停止してください。
engine-setup
を実行して Manager の設定を行います。# engine-setup
HTTPS 証明書の署名に外部の CA を使用する場合には、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL 証明書の変更」の手順に従い、アップグレード後に管理ポータルにログインしてください。virt-viewer の外部メニューが機能するように、全クライアントで CA 証明書がシステム全体のトラストストアに追加されるようにしてください。
2.3. Manager の 4.0 から 4.1 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.1 と Red Hat Virtualization Tools のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.0 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.0 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
2.4. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
次に、ホストを更新してください。
2.5. ホストの更新
以下の手順を使用して、Red Hat Enterprise Linux ホストまたは Red Hat Virtualization Host (RHVH) を更新します。
Red Hat Virtualization では、レガシーの Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor (RHEV-H) はサポートされません。それらを RHVH にインストールし直す必要があります。『インストールガイド』の「Red Hat Virtualization Host のインストール」を参照してください。ホスト上のローカルストレージを維持する必要がある場合には、「付録C ローカルストレージを維持した状態での RHEV-H 3.6 から RHVH 4.2 へのアップグレード」を参照してください。
RHEV-H と RHVH のどちらを使用しているか分からない場合は、以下のコマンドを実行します。
# imgbase check
コマンドの実行に失敗する場合には、ホストは RHEV-H です。コマンドの実行に成功すれば、ホストは RHVH です。
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
「What channels should be used for RHEV 3.6 ELS?」の説明に従って Red Hat Enterprise Linux ホストをバージョン 7.3 に設定している場合は、更新する前に通常の RHEL 7 バージョンに再設定する必要があります。
subscription-manager release --show
を実行して、バージョン 7.3 に設定されているかどうかを確認することができます。# subscription-manager release --set=7Server
現在のリポジトリーを無効にします。
# subscription-manager repos --disable=*
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
2.6. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
2.7. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
2.8. ISO ドメインの 3.6 からの移行
3.6 から 4.0 へのアップグレード時に作成した iso_domain.tar.gz バックアップファイルを使用して、ISO ドメインを 3.6 から現在のバージョンの Red Hat Virtualization に移行します。
ISO ドメイン用の新しいディレクトリーは、Manager マシンに作成しないでください。
ISO ドメインは Red Hat Virtualization 4.2 では非推奨であり、今後のバージョンでは削除される予定です。Red Hat としては、ISO イメージをデータストレージドメインにアップロードすることを推奨します。『管理ガイド』の「データストレージドメインへのイメージのアップロード」を参照してください。
ストレージサーバーにエクスポートディレクトリーを作成し、そのパーミッションを設定します。
# mkdir -p /var/lib/exports/iso # chown -R 36:36 /var/lib/exports/
上記のディレクトリーに ISO ドメインのバックアップを抽出します。
# cd /var/lib/exports/iso # tar zxf iso_domain.tar.gz
エクスポートディレクトリー内のファイルの SELinux コンテキストを設定します。
# chcon -R system_u:object_r:public_content_rw_t:s0 /var/lib/exports/iso/
/etc/exports.d/ovirt-engine-iso-domain.exports
を作成し、以下の行を書き込みます。/var/lib/exports/iso *(rw)
/etc/sysconfig/nfs
の以下の行を編集します。RPCMOUNTDOPTS="-p 892" (..snip..) STATDARGS="-p 662 -o 2020" (..snip..) LOCKD_UDPPORT=32769 LOCKD_UDPPORT=32803 RPCRQUOTAOPTS="-p 875"
nfs
サービスを有効にします。# systemctl enable nfs # systemctl start nfs
firewalld
でサービスおよびポートを許可します。# firewall-cmd --add-service={nfs,rpc-bind} # firewall-cmd --add-service={nfs,rpc-bind} --permanent # firewall-cmd --add-port={32769/udp,32803/tcp,662/tcp,662/udp,875/tcp,875/udp,892/tcp,892/udp} # firewall-cmd --add-port={32769/udp,32803/tcp,662/tcp,662/udp,875/tcp,875/udp,892/tcp,892/udp} --permanent
管理ポータルで、ISO ドメインのストレージパスを更新します。
- → をクリックします。
- ISO ドメインの名前をクリックして、詳細ビューを表示します。
- データセンター タブをクリックし、メンテナンス をクリックします。
- ISO ドメインがメンテナンスモードに切り替わったら、ドメインを管理 をクリックします。
- 新しいディレクトリーをポイントするように、エクスポートパス を変更します (例: storage.example.com:/var/lib/exports/iso)。
- OK をクリックします。
2.9. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第3章 Red Hat Virtualization 4.0 から 4.2 へのアップグレード
Manager を 4.0 から 4.2 に直接アップグレードすることはできません。以下のフローに従って、お使いの環境をアップグレードする必要があります。
3.1. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
3.2. Manager の 4.0 から 4.1 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.1 と Red Hat Virtualization Tools のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.0 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.0 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
3.3. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
次に、ホストを更新してください。
3.4. ホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
RHVH 4.0 ホストは、Red Hat Virtualization Manager 4.2 を使用して更新することができません。コマンドラインから手動で更新する必要があります。
# yum update redhat-virtualization-host-image-update
この制約は、RHVH 4.0 にのみ適用されます。その他のバージョンの RHVH およびすべての RHEL ホストは、Red Hat Virtualization Manager 4.2 を使用してアップグレードすることができます。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
3.5. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
3.6. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
3.7. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第4章 Red Hat Virtualization 4.1 から 4.2 へのアップグレード
お使いの環境を 4.1 から 4.2 にアップグレードするステップは、以下のとおりです。
- 4.1 Manager を最新バージョンの 4.1 に更新する
- Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードする
- ホストをアップグレードする
- クラスターの互換バージョンを更新する
- データセンターの互換バージョンを更新する
- SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える
- テクノロジープレビューバージョンの Open Virtual Network (OVN) を Red Hat Virtualization 4.1 にインストールしている場合には、OVN プロバイダーのネットワークプラグインを更新する
4.1. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
4.2. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
次に、ホストを更新してください。
4.3. ホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
4.4. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
4.5. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
4.6. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
4.7. Red Hat Virtualization 4.1 にインストールされた OVN プロバイダーの更新
Red Hat Virtualization 4.1 に Open Virtual Network (OVN) プロバイダーをインストールしている場合は、Red Hat Virtualization 4.2 用にその設定を手動で編集する必要があります。
手順
- → をクリックし、OVN プロバイダーを選択します。
- 編集 をクリックします。
- ネットワークプラグイン のテキストフィールドをクリックし、ドロップダウンリストから OVN 向けの oVirt ネットワークプロバイダー を選択します。
- OK をクリックします。
パート II. リモートデータベース環境のアップグレード
第5章 Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 から Red Hat Virtualization 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード
Manager を 3.6 から 4.2 に直接アップグレードすることはできません。以下のフローに従って、お使いの環境をアップグレードする必要があります。
- 3.6 Manager を最新バージョンの 3.6 に更新する
- Manager を 3.6 から 4.0 にアップグレードする
- Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードする
- データベースを PostgreSQL 9.2 から 9.5 にアップグレードする
- Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードする
- 注記
ローカルストレージを使用する RHEV-H ホストをアップグレードする場合は、「付録C ローカルストレージを維持した状態での RHEV-H 3.6 から RHVH 4.2 へのアップグレード」を参照してください。
- クラスターの互換バージョンを更新する
- データセンターの互換バージョンを更新する
- 3.6 Manager マシンにホストされていた ISO ストレージドメインのバックアップを作成している場合には、アップグレードした環境で ISO ドメインを復元する
- SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える
5.1. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update rhevm-setup
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
5.2. Manager の 3.6 から 4.0 へのアップグレード
Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 では、Manager は Red Hat Enterprise Linux 6 上で動作します。Manager マシンの Red Hat Enterprise Linux 7 へのインプレースアップグレードはサポートされません。3.6 から 4.0 にアップグレードするには、Red Hat Enterprise Linux 7 に新たな 4.0 Manager をインストールし、新たな Manager で 3.6 Manager データベースのバックアップを復元する必要があります。
ovirt-engine-extension-aaa-ldap
、ovirt-engine-extension-aaa-misc
、または ovirt-engine-extension-logger-log4j
などのオプションの拡張パッケージが Red Hat Enterprise Virtualization Manager 3.6 マシンにインストールされている場合には、engine-setup
を実行する前に、アップグレードした Manager マシンにこれらのパッケージをインストールする必要があります。これらのパッケージの拡張機能の設定は、アップグレードの際には移行されません。3.6 Manager のバックアップファイルと同じデバイスまたはマシンに、設定ファイルをコピーすることができます。
Manager のアップグレード中も、接続されているホストおよび仮想マシンは稼働し続けることが可能です。
前提条件
- 手順を開始する前に、環境内のデータセンターおよびクラスターのクラスター互換性レベルがすべてバージョン 3.6 に設定されている必要があります。
- ドメイン管理ツールを使用して設定したディレクトリーサーバーは、Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 以降ではサポートされなくなりました。お使いのディレクトリーサーバーがドメイン管理ツールを使用して設定されている場合には、環境のバックアップを作成する前に新規拡張機能ベースのプロバイダーに移行してください。詳細については、『Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 管理ガイド』の「レガシープロバイダーから新規拡張機能ベースのプロバイダーへの移行」を参照してください。
手順
3.6 Manager で、環境をバックアップします。
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
- バックアップファイルを適切なデバイスまたはマシンにコピーします。
ISO ストレージドメインが Manager マシンにホストされている場合には、/var/lib/exports/iso の内容のバックアップを作成します。
# cd /var/lib/exports/iso # tar zcf iso_domain.tar.gz UUID
ISO ストレージのバックアップファイルは、アップグレード後に復元します。
Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールします。『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』を参照してください。
新規マシンに RHEL 7 をインストールする場合は、3.6 Manager マシンと同じ完全修飾ドメイン名を持つように設定し、FQDN が新規マシンの IP アドレスに対応するように DNS を更新する必要があります。
Red Hat Virtualization 4.0 パッケージをインストールします。
コンテンツ配信ネットワークにシステムを登録します。プロンプトが表示されたら、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードを入力します。
# subscription-manager register
Red Hat Enterprise Linux Server
およびRed Hat Virtualization
のサブスクリプションプールを探し、プール ID を書き留めておきます。# subscription-manager list --available
上記のプール ID を使用して、エンタイトルメントをシステムにアタッチします。
# subscription-manager attach --pool=pool_id
必要なリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-supplementary-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms # subscription-manager repos --enable=jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
全パッケージを最新の状態にします。
# yum update
rhevm
パッケージと依存関係をインストールします。# yum install rhevm
バックアップファイルを 4.0 Manager マシンにコピーして、バックアップを復元します。
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --log=restore.log --provision-db --provision-dwh-db --restore-permissions
注記追加のデータベースユーザーのアクセス許可がバックアップに含まれている場合には、このコマンドにより追加のユーザーが作成され、無作為なパスワードが設定されます。復元したシステムに追加のユーザーがアクセスする必要がある場合には、これらのパスワードを手動で変更する必要があります。「How to grant access to an extra database user after restoring Red Hat Virtualization from a backup」の記事を参照してください。
注記バックアップに Data Warehouse データが含まれる場合には、
--provision-dwh-db
オプションを使用します。Red Hat Enterprise Virtualization Reports は Red Hat Virtualization 4.0 では非推奨となっているので、復元されません。詳しい情報は BZ#1340810 を参照してください。
オプションの拡張パッケージが 3.6 Manager マシンにインストールされていた場合には、それらをインストールします。
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc ovirt-engine-extension-logger-log4j
注記これらのパッケージの拡張機能の設定は、バックアップと復元のプロセス中に移行されないため、手動で再度適用する必要があります。
- 4.0 Manager 用に別のマシンを使用する場合には、3.6 Manager マシンの使用を停止してください。
engine-setup
を実行して Manager の設定を行います。# engine-setup
HTTPS 証明書の署名に外部の CA を使用する場合には、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL 証明書の変更」の手順に従い、アップグレード後に管理ポータルにログインしてください。virt-viewer の外部メニューが機能するように、全クライアントで CA 証明書がシステム全体のトラストストアに追加されるようにしてください。
5.3. Manager の 4.0 から 4.1 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.1 と Red Hat Virtualization Tools のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.0 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.0 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
5.4. リモートデータベースのアップグレード
Red Hat Virtualization 4.2 では、PostgreSQL 9.2 ではなく PostgreSQL 9.5 が使われています。データベースをローカルにインストールした場合は、アップグレードスクリプトによりバージョン 9.2 から 9.5 に自動的にアップグレードされるので、このセクションを省略して次のステップに進むことができます。ただし、データベースのどちらか (Manager または Data Warehouse) が別のマシンにインストールされている場合は、Manager をアップグレードする前にそれぞれのリモートデータベースで以下の手順を実施する必要があります。
マシンで実行しているサービスを停止します。
Manager マシン上の
ovirt-engine
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine
Data Warehouse マシン上の
ovirt-engine-dwh
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine-dwhd
PostgreSQL 9.5 パッケージを取得するのに必要なリポジトリーを有効にします。
Red Hat Virtualization Manager リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms
あるいは、SCL リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable rhel-server-rhscl-7-rpms
PostgreSQL 9.5 パッケージをインストールします。
# yum install rh-postgresql95 rh-postgresql95-postgresql-contrib
PostgreSQL 9.2 サービスを停止し、さらに無効にします。
# systemctl stop postgresql # systemctl disable postgresql
PostgreSQL 9.2 データベースを PostgreSQL 9.5 にアップグレードします。
# scl enable rh-postgresql95 -- postgresql-setup upgrade
rh-postgresql95-postgresql.service
を起動し、さらに有効にします。サービスが実行されていることを確認します。# systemctl start rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl enable rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl status rh-postgresql95-postgresql.service
以下のような出力が表示されることを確認します。
rh-postgresql95-postgresql.service - PostgreSQL database server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/rh-postgresql95-postgresql.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Mon 2018-05-07 08:48:27 CEST; 1h 59min ago
データベースにログインし、
uuid-ossp
エクステンションを有効にします。# su - postgres -c "scl enable rh-postgresql95 -- psql -d database-name"
以下の SQL コマンドを実行します。
# database-name=# DROP FUNCTION IF EXISTS uuid_generate_v1(); # database-name=# CREATE EXTENSION "uuid-ossp";
9.2 環境の
pg_hba.conf
クライアント設定ファイルを 9.5 環境にコピーします。# cp -p /var/lib/pgsql/data/pg_hba.conf /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/pg_hba.conf
postgresql.conf
ファイルの以下のパラメーターを更新します。# vi /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/postgresql.conf listen_addresses='*' autovacuum_vacuum_scale_factor='0.01' autovacuum_analyze_scale_factor='0.075' autovacuum_max_workers='6' maintenance_work_mem='65536' max_connections='150' work_mem = '8192'
PostgreSQL 9.5 サービスを再起動して設定の変更を適用します。
# systemctl restart rh-postgresql95-postgresql.service
これでリモートデータベースがアップグレードされました。
5.5. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
Data Warehouse が別のマシンにインストールされている場合は、そのマシンにログインして
ovirt-engine-dwhd
サービスを再起動します。# systemctl restart ovirt-engine-dwhd
次に、ホストを更新してください。
5.6. ホストの更新
以下の手順を使用して、Red Hat Enterprise Linux ホストまたは Red Hat Virtualization Host (RHVH) を更新します。
Red Hat Virtualization では、レガシーの Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor (RHEV-H) はサポートされません。それらを RHVH にインストールし直す必要があります。『インストールガイド』の「Red Hat Virtualization Host のインストール」を参照してください。ホスト上のローカルストレージを維持する必要がある場合には、「付録C ローカルストレージを維持した状態での RHEV-H 3.6 から RHVH 4.2 へのアップグレード」を参照してください。
RHEV-H と RHVH のどちらを使用しているか分からない場合は、以下のコマンドを実行します。
# imgbase check
コマンドの実行に失敗する場合には、ホストは RHEV-H です。コマンドの実行に成功すれば、ホストは RHVH です。
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
「What channels should be used for RHEV 3.6 ELS?」の説明に従って Red Hat Enterprise Linux ホストをバージョン 7.3 に設定している場合は、更新する前に通常の RHEL 7 バージョンに再設定する必要があります。
subscription-manager release --show
を実行して、バージョン 7.3 に設定されているかどうかを確認することができます。# subscription-manager release --set=7Server
現在のリポジトリーを無効にします。
# subscription-manager repos --disable=*
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
5.7. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
5.8. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
5.9. ISO ドメインの 3.6 からの移行
3.6 から 4.0 へのアップグレード時に作成した iso_domain.tar.gz バックアップファイルを使用して、ISO ドメインを 3.6 から現在のバージョンの Red Hat Virtualization に移行します。
ISO ドメイン用の新しいディレクトリーは、Manager マシンに作成しないでください。
ISO ドメインは Red Hat Virtualization 4.2 では非推奨であり、今後のバージョンでは削除される予定です。Red Hat としては、ISO イメージをデータストレージドメインにアップロードすることを推奨します。『管理ガイド』の「データストレージドメインへのイメージのアップロード」を参照してください。
ストレージサーバーにエクスポートディレクトリーを作成し、そのパーミッションを設定します。
# mkdir -p /var/lib/exports/iso # chown -R 36:36 /var/lib/exports/
上記のディレクトリーに ISO ドメインのバックアップを抽出します。
# cd /var/lib/exports/iso # tar zxf iso_domain.tar.gz
エクスポートディレクトリー内のファイルの SELinux コンテキストを設定します。
# chcon -R system_u:object_r:public_content_rw_t:s0 /var/lib/exports/iso/
/etc/exports.d/ovirt-engine-iso-domain.exports
を作成し、以下の行を書き込みます。/var/lib/exports/iso *(rw)
/etc/sysconfig/nfs
の以下の行を編集します。RPCMOUNTDOPTS="-p 892" (..snip..) STATDARGS="-p 662 -o 2020" (..snip..) LOCKD_UDPPORT=32769 LOCKD_UDPPORT=32803 RPCRQUOTAOPTS="-p 875"
nfs
サービスを有効にします。# systemctl enable nfs # systemctl start nfs
firewalld
でサービスおよびポートを許可します。# firewall-cmd --add-service={nfs,rpc-bind} # firewall-cmd --add-service={nfs,rpc-bind} --permanent # firewall-cmd --add-port={32769/udp,32803/tcp,662/tcp,662/udp,875/tcp,875/udp,892/tcp,892/udp} # firewall-cmd --add-port={32769/udp,32803/tcp,662/tcp,662/udp,875/tcp,875/udp,892/tcp,892/udp} --permanent
管理ポータルで、ISO ドメインのストレージパスを更新します。
- → をクリックします。
- ISO ドメインの名前をクリックして、詳細ビューを表示します。
- データセンター タブをクリックし、メンテナンス をクリックします。
- ISO ドメインがメンテナンスモードに切り替わったら、ドメインを管理 をクリックします。
- 新しいディレクトリーをポイントするように、エクスポートパス を変更します (例: storage.example.com:/var/lib/exports/iso)。
- OK をクリックします。
5.10. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第6章 Red Hat Virtualization 4.0 から 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード
Manager を 4.0 から 4.2 に直接アップグレードすることはできません。以下のフローに従って、お使いの環境をアップグレードする必要があります。
6.1. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
6.2. Manager の 4.0 から 4.1 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.0 から 4.1 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.1 と Red Hat Virtualization Tools のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.0 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.0 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.0-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
6.3. リモートデータベースのアップグレード
Red Hat Virtualization 4.2 では、PostgreSQL 9.2 ではなく PostgreSQL 9.5 が使われています。データベースをローカルにインストールした場合は、アップグレードスクリプトによりバージョン 9.2 から 9.5 に自動的にアップグレードされるので、このセクションを省略して次のステップに進むことができます。ただし、データベースのどちらか (Manager または Data Warehouse) が別のマシンにインストールされている場合は、Manager をアップグレードする前にそれぞれのリモートデータベースで以下の手順を実施する必要があります。
マシンで実行しているサービスを停止します。
Manager マシン上の
ovirt-engine
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine
Data Warehouse マシン上の
ovirt-engine-dwh
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine-dwhd
PostgreSQL 9.5 パッケージを取得するのに必要なリポジトリーを有効にします。
Red Hat Virtualization Manager リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms
あるいは、SCL リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable rhel-server-rhscl-7-rpms
PostgreSQL 9.5 パッケージをインストールします。
# yum install rh-postgresql95 rh-postgresql95-postgresql-contrib
PostgreSQL 9.2 サービスを停止し、さらに無効にします。
# systemctl stop postgresql # systemctl disable postgresql
PostgreSQL 9.2 データベースを PostgreSQL 9.5 にアップグレードします。
# scl enable rh-postgresql95 -- postgresql-setup upgrade
rh-postgresql95-postgresql.service
を起動し、さらに有効にします。サービスが実行されていることを確認します。# systemctl start rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl enable rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl status rh-postgresql95-postgresql.service
以下のような出力が表示されることを確認します。
rh-postgresql95-postgresql.service - PostgreSQL database server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/rh-postgresql95-postgresql.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Mon 2018-05-07 08:48:27 CEST; 1h 59min ago
データベースにログインし、
uuid-ossp
エクステンションを有効にします。# su - postgres -c "scl enable rh-postgresql95 -- psql -d database-name"
以下の SQL コマンドを実行します。
# database-name=# DROP FUNCTION IF EXISTS uuid_generate_v1(); # database-name=# CREATE EXTENSION "uuid-ossp";
9.2 環境の
pg_hba.conf
クライアント設定ファイルを 9.5 環境にコピーします。# cp -p /var/lib/pgsql/data/pg_hba.conf /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/pg_hba.conf
postgresql.conf
ファイルの以下のパラメーターを更新します。# vi /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/postgresql.conf listen_addresses='*' autovacuum_vacuum_scale_factor='0.01' autovacuum_analyze_scale_factor='0.075' autovacuum_max_workers='6' maintenance_work_mem='65536' max_connections='150' work_mem = '8192'
PostgreSQL 9.5 サービスを再起動して設定の変更を適用します。
# systemctl restart rh-postgresql95-postgresql.service
これでリモートデータベースがアップグレードされました。
6.4. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
Data Warehouse が別のマシンにインストールされている場合は、そのマシンにログインして
ovirt-engine-dwhd
サービスを再起動します。# systemctl restart ovirt-engine-dwhd
次に、ホストを更新してください。
6.5. ホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
RHVH 4.0 ホストは、Red Hat Virtualization Manager 4.2 を使用して更新することができません。コマンドラインから手動で更新する必要があります。
# yum update redhat-virtualization-host-image-update
この制約は、RHVH 4.0 にのみ適用されます。その他のバージョンの RHVH およびすべての RHEL ホストは、Red Hat Virtualization Manager 4.2 を使用してアップグレードすることができます。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
6.6. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
6.7. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
6.8. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
第7章 Red Hat Virtualization 4.1 から 4.2 へのリモートデータベース環境のアップグレード
お使いの環境を 4.1 から 4.2 にアップグレードするステップは、以下のとおりです。
- データベースを PostgreSQL 9.2 から 9.5 にアップグレードする
- 4.1 Manager を最新バージョンの 4.1 に更新する
- Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードする
- ホストをアップグレードする
- クラスターの互換バージョンを更新する
- データセンターの互換バージョンを更新する
- SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える
- テクノロジープレビューバージョンの Open Virtual Network (OVN) を Red Hat Virtualization 4.1 にインストールしている場合には、OVN プロバイダーのネットワークプラグインを更新する
7.1. リモートデータベースのアップグレード
Red Hat Virtualization 4.2 では、PostgreSQL 9.2 ではなく PostgreSQL 9.5 が使われています。データベースをローカルにインストールした場合は、アップグレードスクリプトによりバージョン 9.2 から 9.5 に自動的にアップグレードされるので、このセクションを省略して次のステップに進むことができます。ただし、データベースのどちらか (Manager または Data Warehouse) が別のマシンにインストールされている場合は、Manager をアップグレードする前にそれぞれのリモートデータベースで以下の手順を実施する必要があります。
マシンで実行しているサービスを停止します。
Manager マシン上の
ovirt-engine
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine
Data Warehouse マシン上の
ovirt-engine-dwh
サービスを停止します。# systemctl stop ovirt-engine-dwhd
PostgreSQL 9.5 パッケージを取得するのに必要なリポジトリーを有効にします。
Red Hat Virtualization Manager リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms
あるいは、SCL リポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable rhel-server-rhscl-7-rpms
PostgreSQL 9.5 パッケージをインストールします。
# yum install rh-postgresql95 rh-postgresql95-postgresql-contrib
PostgreSQL 9.2 サービスを停止し、さらに無効にします。
# systemctl stop postgresql # systemctl disable postgresql
PostgreSQL 9.2 データベースを PostgreSQL 9.5 にアップグレードします。
# scl enable rh-postgresql95 -- postgresql-setup upgrade
rh-postgresql95-postgresql.service
を起動し、さらに有効にします。サービスが実行されていることを確認します。# systemctl start rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl enable rh-postgresql95-postgresql.service # systemctl status rh-postgresql95-postgresql.service
以下のような出力が表示されることを確認します。
rh-postgresql95-postgresql.service - PostgreSQL database server Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/rh-postgresql95-postgresql.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Mon 2018-05-07 08:48:27 CEST; 1h 59min ago
データベースにログインし、
uuid-ossp
エクステンションを有効にします。# su - postgres -c "scl enable rh-postgresql95 -- psql -d database-name"
以下の SQL コマンドを実行します。
# database-name=# DROP FUNCTION IF EXISTS uuid_generate_v1(); # database-name=# CREATE EXTENSION "uuid-ossp";
9.2 環境の
pg_hba.conf
クライアント設定ファイルを 9.5 環境にコピーします。# cp -p /var/lib/pgsql/data/pg_hba.conf /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/pg_hba.conf
postgresql.conf
ファイルの以下のパラメーターを更新します。# vi /var/opt/rh/rh-postgresql95/lib/pgsql/data/postgresql.conf listen_addresses='*' autovacuum_vacuum_scale_factor='0.01' autovacuum_analyze_scale_factor='0.075' autovacuum_max_workers='6' maintenance_work_mem='65536' max_connections='150' work_mem = '8192'
PostgreSQL 9.5 サービスを再起動して設定の変更を適用します。
# systemctl restart rh-postgresql95-postgresql.service
これでリモートデータベースがアップグレードされました。
7.2. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
7.3. Manager の 4.1 から 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization Manager を 4.1 から 4.2 にアップグレードします。
アップグレードに失敗すると、engine-setup
コマンドは Red Hat Virtualization Manager のインストール設定を以前の状態にロールバックするように試みます。そのため、アップグレードを完了するまで、前のバージョンのリポジトリーを削除するべきではありません。アップグレードに失敗した場合は、インストールの復元方法を詳しく説明した手順が表示されます。
手順
Red Hat Virtualization Manager 4.2、Red Hat Virtualization Tools、および Ansible Engine のリポジトリーを有効にします。
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4.2-manager-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-manager-tools-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
重要Red Hat Virtualization Manager 4.2 では、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform (JBoss EAP) 7.1 を Manager マシンにインストールする必要があります。
jb-eap-7-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーが有効であること、およびjb-eap-7.0-for-rhel-7-server-rpms
リポジトリーを無効であることを確認してください。どちらのリポジトリーが有効であるかを確認するには、subscription-manager repos --list
を実行します。setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
engine-setup
コマンドを実行し、プロンプトに従って Red Hat Virtualization Manager をアップグレードします。# engine-setup
Red Hat Virtualization Manager 4.1 のリポジトリーを削除または無効にして、このシステムで 4.1 のパッケージが使用されないようにします。
# subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4.1-manager-rpms # subscription-manager repos --disable=rhel-7-server-rhv-4-tools-rpms
ベースオペレーティングシステムを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、システムを再起動して更新を完了してください。
Data Warehouse が別のマシンにインストールされている場合は、そのマシンにログインして
ovirt-engine-dwhd
サービスを再起動します。# systemctl restart ovirt-engine-dwhd
次に、ホストを更新してください。
7.4. ホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
7.5. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。
クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。ホストの更新に関する詳しい情報は、「ホストの更新」を参照してください。
手順
- → をクリックし、変更するクラスターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
クラスターの互換バージョンを変更したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを変更する必要があります。そのためには、ゲストオペレーティングシステム内ではなく、Manager 内から、または REST API を使用して仮想マシンを再起動します。再起動するまで、仮想マシンは以前のクラスターの互換性レベルで動作を続けます。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスター互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
セルフホストエンジンの仮想マシンを再起動する必要はありません。
データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が完了したら、次にデータセンター自体の互換バージョンも変更することができます。
7.6. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターと互換性のある Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターはすべて、指定の互換性レベルをサポートします。
データセンターの互換バージョンを変更するには、まず最初に、データセンター内の全クラスターを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにしておく必要があります。
手順
- → をクリックし、変更するデータセンターを選択します。
- をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。 をクリックして、
- をクリックして確定します。
7.7. SHA-1 証明書の SHA-256 証明書への置き換え
Red Hat Virtualization 4.2 では SHA-256 署名が使用され、SHA-1 よりセキュアに SSL 証明書に署名することができます。新たにインストールした 4.2 システムでは、Red Hat Virtualization の公開鍵インフラストラクチャー (PKI) が SHA-256 署名を使用できるようにするのに、特別な手順は必要ありません。ただし、アップグレードしたシステムでは、以下のオプションのどちらかを実施することを推奨します。
- 管理ポータルに接続する際に警告メッセージがブラウザーに表示されないようにする。この警告はポップアップウィンドウとして、またはブラウザーの Web コンソール ウィンドウに表示されます。アップグレード後にすでに Red Hat Virtualization Manager の Apache SSL 証明書を置き換えている場合には、このオプションは必要ありません。ただし、証明書が SHA-1 で署名されている場合には、それを SHA-256 証明書に置き換える必要があります。詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
- システム全体の SHA-1 証明書を SHA-256 証明書に置き換える。
ブラウザーでの警告メッセージ表示の防止
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="apache"
Manager で Apache 証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
httpd サービスを再起動します。
# systemctl restart httpd
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。
すべての署名済み証明書の SHA-256 への置き換え
- Manager マシンに root ユーザーとしてログインします。
/etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf に
default_md = sha256
行が含まれているかどうかを確認します。# cat /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
まだ
default_md = sha1
が含まれていたら、既存の設定のバックアップを作成してデフォルトをsha256
に変更します。# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # sed -i 's/^default_md = sha1/default_md = sha256/' /etc/pki/ovirt-engine/openssl.conf
CA 証明書のバックアップを作成して ca.pem.new に新しい証明書を作成し、CA 証明書を署名し直します。
# cp -p /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem."$(date +"%Y%m%d%H%M%S")" # openssl x509 -signkey /etc/pki/ovirt-engine/private/ca.pem -in /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem -out /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new -days 3650 -sha256
既存の証明書を新しい証明書に置き換えます。
# mv /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem.new /etc/pki/ovirt-engine/ca.pem
署名し直す必要のある証明書を定義します。
# names="engine apache websocket-proxy jboss imageio-proxy"
アップグレード後に Red Hat Virtualization Manager SSL 証明書を置き換えている場合は、上記のコマンドの代わりに以下のコマンドを実行します。
# names="engine websocket-proxy jboss imageio-proxy"
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager の SSL/TLS 証明書の変更」を参照してください。
Manager で証明書を署名し直します。
for name in $names; do subject="$( openssl \ x509 \ -in /etc/pki/ovirt-engine/certs/"${name}".cer \ -noout \ -subject \ | sed \ 's;subject= \(.*\);\1;' \ )" /usr/share/ovirt-engine/bin/pki-enroll-pkcs12.sh \ --name="${name}" \ --password=mypass \ --subject="${subject}" \ --keep-key done
以下のサービスを再起動します。
# systemctl restart httpd # systemctl restart ovirt-engine # systemctl restart ovirt-websocket-proxy # systemctl restart ovirt-imageio-proxy
- 管理ポータルに接続して、警告が表示されなくなったことを確認します。
-
以前に CA または https 証明書をブラウザーにインポートしている場合は、その証明書を探してブラウザーから削除し、新しい CA 証明書をインポートし直します。ブラウザーから提供される手順に従って、認証局の証明書をインストールしてください。認証局の証明書を取得するには、
http://your-manager-fqdn/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA
にアクセスします (your-manager-fqdn は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) に置き換えてください)。 ホストで証明書を登録します。それぞれのホストについて以下の手順を繰り返します。
- 管理ポータルで → をクリックします。
- ホストを選択し、 → をクリックします。
- ホストがメンテナンスモードに変わったら、 → をクリックします。
- → をクリックします。
7.8. Red Hat Virtualization 4.1 にインストールされた OVN プロバイダーの更新
Red Hat Virtualization 4.1 に Open Virtual Network (OVN) プロバイダーをインストールしている場合は、Red Hat Virtualization 4.2 用にその設定を手動で編集する必要があります。
手順
- → をクリックし、OVN プロバイダーを選択します。
- 編集 をクリックします。
- ネットワークプラグイン のテキストフィールドをクリックし、ドロップダウンリストから OVN 向けの oVirt ネットワークプロバイダー を選択します。
- OK をクリックします。
付録A マイナーリリース間の更新
4.2 を現在お使いのバージョンから最新のバージョンに更新するには、Manager を更新してからホストを更新します。
A.1. 環境の分析
Red Hat では、トラブルシューティングのために、更新を実施する前に Log Collection Analysis ツールを実行することを推奨します。このツールはお使いの環境を分析し、更新の実施を妨げる可能性のある既知の問題を表示し、問題の解決方法を提案します。
ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
Log Collection Analysis ツールは、Red Hat Virtualization 4.2.5 から利用可能です。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
というファイル名で保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには、
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
A.2. Red Hat Virtualization Manager の更新
Red Hat Virtualization Manager の更新はコンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Red Hat Virtualization Manager マシンで、更新パッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
注記更新があるにもかかわらず、入手できない場合には、必要なリポジトリーを有効にしてください。『インストールガイド』の「Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化」を参照してください。
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\*
Red Hat Virtualization Manager を更新します。
engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine サービスが起動します。# engine-setup
注記engine-setup
スクリプトは Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時には、設定のプレビューの際に保存された値が表示されますが、インストール後の設定変更にengine-config
を使用している場合には、表示される値が最新のものではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
に変更している場合、engine-setup
による設定プレビューでは「Default SAN wipe after delete: False」と出力されますが、変更した値がengine-setup
により上書きされるわけではありません。重要更新プロセスには時間がかかる場合があるため、更新プロセスが完了するまでの時間を計算に入れて、一旦更新を開始したらプロセスを停止しないようにしてください。
Manager マシンのベースオペレーティングシステムおよびインストールされているオプションパッケージを更新します。
# yum update
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、ホストを再起動して更新を完了してください。
A.3. ホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、Red Hat Virtualization Manager から直接個別のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
イベントおよびアラートの通知 アイコン ( ) をクリックし、イベント セクションを展開して結果を確認します。
- 更新が利用可能であれば、 → をクリックします。
- Maintenance
- Installing
- Reboot
Up
このホストから別のホストに移行していた仮想マシンがあれば、この時点で元に戻すことができます。
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed の状態から → を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
Red Hat では Manager からホストを更新することを推奨しますが、yum update
を使用してホストを更新することもできます。
A.4. ホストの手動更新
yum
コマンドを使用して、ホストを更新することができます。セキュリティーやバグに関する修正がタイムリーに適用されるように、定期的にシステムを更新してください。
RHVH の更新時には、/etc および /var ディレクトリー内の変更データしか維持されません。他のパスに含まれる変更データは更新時に上書きされます。
前提条件
- クラスターレベルで移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されるので、ホストの更新は、ホストの使用率が比較的に低い時間帯に実行することを推奨します。
- 更新の前に、クラスターに複数のホストが含まれていることを確認します。全ホストを同時に更新しないようにしてください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、ホストが 1 台使用可能である必要があります。
- ホストが属するクラスターに、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されていることを確認してください。クラスターに十分なメモリーがない場合には、仮想マシンの移行操作がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、この操作のメモリー使用量を低減することができます。
- vGPU を使用している仮想マシンを別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、vGPU がインストールされた仮想マシンを停止する必要があります。
手順
適切なリポジトリーを有効にします。
yum repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhvh-4-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-ansible-2-rpms
- 管理ポータルで → をクリックし、更新するホストを選択します。
- → をクリックします。
ホストを更新します。
# yum update
すべての更新が正常に適用されるように、ホストを再起動します。
注記imgbased ログをチェックして、Red Hat Virtualization Host 向けの追加パッケージの更新に失敗したものがないかを確認します。更新後にパッケージの一部の再インストールに失敗した場合には、そのパッケージが /var/imgbased/persisted-rpms に記載されていることを確認します。足りないパッケージを追加して、
rpm -Uvh /var/imgbased/persisted-rpms/*
を実行します。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
付録B オフラインの Red Hat Virtualization Manager をインストールするためのローカルリポジトリーの更新
ローカルリポジトリーから FTP 経由でパッケージを受信するシステム上に Red Hat Virtualization Manager がホストされている場合には、そのリポジトリーを定期的に同期してコンテンツ配信ネットワークからパッケージをダウンロードしてから、Manager システムの更新またはアップグレードを行う必要があります。更新パッケージは、セキュリティー問題、バグ修正、拡張機能の追加に対応します。
リポジトリーをホストするシステムで、リポジトリーを同期して利用可能な各パッケージの最新バージョンをダウンロードします。
# reposync -l --newest-only /var/ftp/pub/rhevrepo
このコマンドを実行すると、多数のパッケージがダウンロードされて完了に長時間を要する場合があります。
- Manager システムでリポジトリーが利用可能であることを確認してから、Manager システムを更新/アップグレードします。マイナーバージョン間での Manager 更新についての情報は「Red Hat Virtualization Manager の更新」を、メジャーバージョン間のアップグレードについての情報は「1章Red Hat Virtualization アップグレードの概要」を参照してください。
付録C ローカルストレージを維持した状態での RHEV-H 3.6 から RHVH 4.2 へのアップグレード
ローカルストレージは他のストレージドメインと共有されていないので、ローカルストレージを持つ環境では、仮想マシンを別のクラスターのホストに移行することができません (例: バージョン 4.2 にアップグレードする場合)。ローカルストレージドメインを持つ RHEV-H 3.6 ホストをアップグレードするには、ローカルストレージを維持した状態でホストを再インストールし、4.2 環境に新たなローカルストレージドメインを作成し、以前のローカルストレージを新たなドメインにインポートします。『Red Hat Virtualization 4.0 Upgrade Guide』の「Upgrading to RHVH While Preserving Local Storage」の手順に従います。ただし、RHVH 4.0 ホストではなく 4.2 ホストをインストールします。
仮想マシンを 4.2 ストレージドメインにインポートする際に MAC アドレスの競合が検出された場合には、仮想マシン名の横に感嘆符のアイコンが表示されます。このアイコンの上にカーソルを移動するとヒントが表示され、発生したエラーのタイプを確認することができます。
無効な MAC を再割り当て のチェックボックスを選択して、問題のあるすべての仮想マシンに新しい MAC アドレスを再割り当てします。詳細については、『管理ガイド』の「インポートされたデータストレージドメインからの仮想マシンのインポート」を参照してください。
付録D ovirt-fast-forward-upgrade
を使用した Red Hat Virtualization Manager 4.2 へのアップグレード
Red Hat Virtualization 4.0 以降のバージョンをインストールしている場合は、ovirt-fast-forward-upgrade
ツールを使用して Manager を最新バージョンにアップグレードすることができます。ovirt-fast-forward-upgrade
は現在の Manager のバージョンを検出し、アップグレードが利用可能かどうかを確認します。アップグレードが利用可能であれば、ツールは Manager を次のメジャーバージョンにアップグレードし、最新のバージョンがインストールされるまで Manager のアップグレードを続けます。
ovirt-fast-forward-upgrade
では Manager がアップグレードされます。ホストをアップグレードするには、「ホストの手動更新」を参照してください。
ovirt-fast-forward-upgrade
を使用したアップグレード
ovirt-fast-forward-upgrade
ツールをインストールします。# yum install ovirt-fast-forward-upgrade
以下のコマンドを実行して Manager をアップグレードします。同時に、現在のバージョンのバックアップが作成されます。
# ovirt-fast-forward-upgrade --backup --backup-dir=/backup
注記Red Hat では、
--backup
および--backup-dir
オプションを使用して、現在の Manager のバックアップを作成することを推奨します。バックアップのディレクトリーを指定しないと、バックアップは/tmp
に保存されます。--backup
オプションはengine-backup
ツールに対するラッパーで、以下のコマンドを実行するのと等価です。# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=file_name --log=log_file_name
バックアップを復元するには、
restore
モードでengine-backup
を実行します。# engine-backup --mode=restore
詳細については、『管理ガイド』の「Red Hat Virtualization Manager のバックアップと復元」を参照してください。
あるいは、バックアップを作成せずにアップグレードするには、以下のコマンドを実行します。
# ovirt-fast-forward-upgrade
-
エラーが発生した場合には、ログ (
/var/log/ovirt-engine/ovirt-fast-forward-upgrade.log
) を確認してください。