第3章 スタンドアロンの Manager、リモートデータベース環境のアップグレード
3.1. Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 へのリモートデータベース環境のアップグレード リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
お使いの環境を 4.3 から 4.4 にアップグレードするステップは、以下のとおりです。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループを無効にしている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 になるようにアップグレードされる。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動される。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、
- 正しいリポジトリーを有効にするなど、前提条件を満たしていることを確認する
- Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを使用して、アップグレードの正常な完了を妨げる問題がないか確認する
- 4.3 Manager を最新バージョンの 4.3 に更新する
- Manager を 4.3 から 4.4 にアップグレードする
- リモート Data Warehouse サービスおよびデータベースをアップグレード
- 仮想マシンのダウンタイムを削減しつつ、ホストおよび仮想マシンを移行
- (オプション) ローカルストレージを保持した状態で RHVH をアップグレードする
- クラスターの互換バージョンを更新する
- 実行中またはサスペンド中の仮想マシンをすべて再起動して、設定を更新する
- データセンターの互換バージョンを更新する
3.1.1. 前提条件 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
- 仮想マシンで必要となるダウンタイムについて計画されていること。アップグレードプロセスでクラスターの互換バージョンを更新した後、それぞれの仮想マシンを再起動すると新しいハードウェア設定が自動的に適用されます。すべての実行中またはサスペンド中の仮想マシンを直ちに再起動して、設定変更を適用する必要があります。
- お使いの環境が Red Hat Virtualization 4.4 の要件を満たしていること。すべての前提条件の一覧は、Planning and Prerequisites Guide の Requirements を参照してください。
- Red Hat Virtualization Manager をアップグレードする場合には、既存ホストのいずれかを使用することが推奨されます。新規ホストの使用を選択する場合は、アップグレード手順を開始する前に、新規ホストに一意の名前を割り当ててから、既存のクラスターに追加する必要があります。
3.1.2. 環境の分析 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
3.1.3. ログコレクション分析ツール リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
yum install rhv-log-collector-analyzer
# yum install rhv-log-collector-analyzer
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ツールを実行します。
rhv-log-collector-analyzer --live
# rhv-log-collector-analyzer --live
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のフィアルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
yum install -y elinks
# yum install -y elinks
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ELink を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。elinks /home/user1/analyzer_report.html
# elinks /home/user1/analyzer_report.html
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
3.1.3.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに持ち越さないようにします。
- 失敗したストレージ操作に続いて、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出します。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン: このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止します。つまり、スナップショットを作成または削除したり、ディスクを編集、移動、作成、または削除したりしないでください。そうしないと、不整合が誤って検出される可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に実行されたままになります。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
rhv-image-discrepancies
# rhv-image-discrepancies
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - ツールが不一致を見つけた場合、特にツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合は、ツールを再実行して結果を確認します。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致を報告する可能性があります。その場合、これらのストレージドメインには RHV データベースにイメージのエントリーがないため、無視することができます。
結果について
このツールは次のことを報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースには表示されているがストレージにはないボリュームがある場合。
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合。
出力サンプル
次に、Manager を最新バージョンの 4.3 に更新してください。
3.1.4. Red Hat Virtualization Manager の更新 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.3 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
engine-upgrade-check
# engine-upgrade-check
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow setup のパッケージを更新します。
yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。engine-setup
# engine-setup
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
Execution of setup completed successfully
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定のプレビュー時に保存された値が表示され、engine-config
がインストール後に設定の更新に使用される場合は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
へと更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに Default SAN wipe after delete: False と出力します。ただし、更新された値はengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了する前にプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
yum update --nobest
# yum update --nobest
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、Cannot perform yum update on my RHV manager (ansible conflict) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
次に、Manager を 4.4 にアップグレードしてください。
3.1.5. Red Hat Virtualization Manager 4.3 から 4.4 へのアップグレード リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Red Hat Virtualization Manager 4.4 は、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 でのみサポートされます。RHV Manager 4.3 の実行に使用する物理マシンと同じマシンを使用する場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 および Red Hat Virtualization Manager 4.4 のクリーンインストールを実行する必要があります。
アップグレードプロセスでは、Red Hat Virtualization Manager 4.3 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンに復元する必要があります。
前提条件
- 環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されていること。
- 環境のすべての仮想マシンでは、クラスターの互換レベルがバージョン 4.3 に設定されている必要があります。
- 外部 CA を使用して HTTPS 証明書に署名する場合は、Administration Guide の Replacing the Red Hat Virtualization Manager CA Certificate の手順に従うこと。バックアップおよび復元にはサードパーティーの証明書が含まれるので、アップグレード後に管理ポータルにログインできるはずです。virt-viewer の外部メニューが機能するように、CA 証明書がすべてのクライアントのシステム全体のトラストストアに追加されていることを確認します。詳細は、BZ#1313379 を参照してください。
接続されたホストと仮想マシンは、Manager のアップグレード中も引き続き動作可能です。
手順
- Manager マシンにログインします。
Red Hat Virtualization Manager 4.3 環境のバックアップを作成します。
engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=backup.bck --log=backuplog.log
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - バックアップファイルを RHV 環境外のストレージデバイスにコピーします。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 をインストールします。詳細は、標準的な RHEL インストールの実行 を参照してください。
-
コマンド
yum install rhvm
の実行など、Red Hat Virtualization Manager 4.4 のインストール手順を完了します (engine-setup
は実行しないでください)。詳細は、Red Hat Virtualization のインストール ガイドのいずれかを参照してください。 バックアップファイルを Red Hat Virtualization Manager 4.4 マシンにコピーし、復元します。
engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 注記バックアップに追加のデータベースユーザーへの権限付与が含まれていた場合、このコマンドにより、無作為にパスワードが設定された追加のユーザーが作成されます。追加のユーザーが復元したシステムにアクセスする必要がある場合は、これらのパスワードを手動で変更する必要があります。https://access.redhat.com/articles/2686731 を参照してください。
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
オプションの拡張機能パッケージが Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンにインストールされていた場合はインストールします。
yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc
# yum install ovirt-engine-extension-aaa-ldap ovirt-engine-extension-aaa-misc
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 注記ovirt-engine-extension-aaa-ldap
は非推奨になりました。新規インストールの場合は、Red Hat Single Sign On を使用します。詳細は、管理ガイド の Red Hat Single Sign-On のインストールおよび設定 を参照してください。注記バックアップおよび復元プロセスの一部として移行されないため、これらの拡張機能パッケージの設定は手動で再適用する必要があります。
engine-setup
コマンドを実行して Manager を設定します。engine-setup
# engine-setup
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - Red Hat Virtualization Manager 4.4 に別のマシンを使用している場合は、Red Hat Virtualization Manager 4.3 マシンを廃止します。2 つの異なる Manager が同じホストまたはストレージを管理することはできません。
クラスターの互換バージョンが、既存のバージョンに応じて 4.2 または 4.3 に設定されている状態で、Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされるようになりました。
続いて、環境内のリモートデータベースをアップグレードする必要があります。
engine-setup は、リモートの Data Warehouse マシン上の Data Warehouse サービスも停止します。
この手順の次のステップを延期する場合は、Data Warehouse マシンにログインして Data Warehouse サービスを起動します。
systemctl start ovirt-engine-dwhd.service
# systemctl start ovirt-engine-dwhd.service
3.1.6. リモート Data Warehouse サービスおよびデータベースのアップグレード リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Data Warehouse サービスおよびデータベースを使用するリモートマシンでこの手順を実行します。
この手順の一部では、Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 をインストールする必要があります。
前提条件
- Data Warehouse マシンにログインしている。
- RHV 環境外のストレージデバイス。
手順
Data Warehouse マシンをバックアップします。
注記Grafana は RHV 4.3 ではサポートされていませんが、RHV 4.4 では、このコマンドに Grafana サービスおよび Grafana データベースも含まれます。
engine-backup --file=<backupfile>
# engine-backup --file=<backupfile>
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - バックアップファイルをストレージデバイスにコピーします。
Data Warehouse サービスを停止して無効にします。
systemctl stop ovirt-engine-dwhd systemctl disable ovirt-engine-dwhd
# systemctl stop ovirt-engine-dwhd # systemctl disable ovirt-engine-dwhd
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - Red Hat Enterprise Linux 8.6 または Red Hat Virtualization Host 4.4 で Data Warehouse マシンを再インストールします。
- PostgreSQL データベースを準備します。詳細は、Red Hat Virtualization をリモートデータベースが設定されたスタンドアロン Manager としてインストール のリモート PostgreSQL データベースの準備を参照してください。
-
サーバーで正しいリポジトリーを有効にし、Data Warehouse サービスをインストールします。詳細な手順は、Red Hat Virtualization 4.4 の別のマシンへの Data Warehouse のインストールおよび設定 を参照してください。
dnf install ovirt-engine-dwh-setup
コマンドおよびこれを含む手順の最大手順を実行します。次に、この手順の次のステップに進みます。 - バックアップファイルをストレージデバイスから Data Warehouse マシンにコピーします。
バックアップファイルを復元します。
engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
# engine-backup --mode=restore --file=backup.bck --provision-all-databases
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow Data Warehouse マシンで
engine-setup
コマンドを実行します。engine-setup
# engine-setup
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow Manager マシンで Manager を再起動して、Data Warehouse データベースに接続します。
systemctl restart ovirt-engine
# systemctl restart ovirt-engine
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow
次に、ホストを更新してください。
3.1.7. ホストおよび仮想マシンの RHV 4.3 から 4.4 への移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
ホストおよび仮想マシンを Red Hat Virtualization 4.3 から 4.4 に移行し、環境内の仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このプロセスでは、すべての仮想マシンを 1 つのホストから移行する必要があります。これにより、そのホストが RHV 4.4 にアップグレードできるようにします。アップグレード後に、ホストを Manager に再度アタッチすることができます。
ホストのオペレーティングシステムのインストールまたは再インストールを行う場合、Red Hat では、ホストにアタッチされている既存の OS 以外のストレージを最初にデタッチすることを強く推奨しています。これは、ディスクを誤って初期化してデータが失われる可能性を避けるためです。
CPU パススルー仮想マシンは、RHV 4.3 から RHV 4.4 に適切に移行しない可能性があります。
RHV 4.3 および RHV 4.4 は、それぞれ RHEL 7 および RHEL 8 をベースにしています。これには、CPU フラグおよびコンストラクターが異なるカーネルバージョンがあります。これにより、CPU パススルーの仮想マシンの移行で問題が発生する可能性があります。
前提条件
- RHV 4.4 のホストには、Red Hat Enterprise Linux バージョン 8.2 から 8.6 が必要です。RHV 4.3 のホストの実行に使用する物理マシンと同じものを使用している場合でも、Red Hat Enterprise Linux 8.6 以降または Red Hat Virtualization Host 4.4 のクリーンインストールが必要です。
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換性レベルが 4.2 または 4.3 に設定されていること。手順の開始前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換レベルがバージョン 4.2 または 4.3 に設定されていること。
手順
- アップグレードするホストを選択し、そのホストの仮想マシンを同じクラスター内の別のホストに移行します。ライブマイグレーションを使用して、仮想マシンのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細は、仮想マシン管理ガイド の ホスト間での仮想マシンの移行 を参照してください。
- ホストをメンテナンスモードにし、Manager からホストを削除します。詳細は、Administration Guide の Removing a Host を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 8.6 または RHVH 4.4 をインストールします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- 適切なパッケージをインストールして、RHV 4.4 のホストを有効にします。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization 用ホストのインストール を参照してください。
- このホストを Manager に追加し、これを同じクラスターに割り当てます。次に、仮想マシンをこのホストに移行してください。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常のホストの追加 を参照してください。
これらのステップを繰り返して仮想マシンを移行し、同じクラスター内の残りのホストを 1 つずつアップグレードします。すべてが Red Hat Virtualization 4.4 を実行するまでこれを続けます。
3.1.8. ローカルストレージを保持した状態での RHVH のアップグレード リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
ローカルストレージが他のストレージドメインと共有されないため、ローカルストレージを使用する環境は、別のクラスターのホストに仮想マシンを移行できません。ローカルストレージドメインを持つ RHVH 4.3 ホストをアップグレードには、ローカルストレージを保持しながらホストを再インストールし、4.4 環境で新しいローカルストレージドメインを作成してから、以前のローカルストレージを新しいドメインにインポートします。
前提条件
- Red Hat Virtualization Manager 4.4 がインストールされ、実行中である。
- ホストが属するデータセンターおよびクラスターの互換レベルが、4.2 または 4.3 に設定されていること。
手順
このプロセスを開始する前に、RHVH 4.3 ホストのローカルストレージ上のローカルストレージがメンテナンスモードにあることを確認します。以下のステップを実行します。
- データセンター タブを開きます。
- 詳細 ペインの ストレージ タブをクリックし、結果一覧でストレージドメインを選択します。
- メンテナンス をクリックします。
インストールガイド の Red Hat Virtualization Host のインストール に記載されているとおりに、Red Hat Virtualization Host を再インストールします。
重要インストール先 画面で RHVH をインストールするデバイスを選択する場合は、仮想マシンを保存するデバイスを選択しないでください。オペレーティングシステムをインストールするデバイスのみを選択します。
キックスタートを使用してホストをインストールする場合は、キックスタートファイルに以下を追加して、仮想マシンを含むデバイスを保存するようにしてください。ここでの `device` は、適切なデバイスに置き換えてください。
clearpart --all --drives=device
# clearpart --all --drives=device
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow キックスタートの使用方法は、Red Hat Enterprise Linux 8 高度な RHEL インストールの実行 の キックスタートの参照 を参照してください。
再インストールしたホストで、以前の環境を復元するディレクトリー (
/data
など) を作成します。mkdir /data
# mkdir /data
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 新しいディレクトリーに以前のローカルストレージをマウントします。この例では、
/dev/sdX1
がローカルストレージになります。mount /dev/sdX1 /data
# mount /dev/sdX1 /data
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 新しいディレクトリーに以下のパーミッションを設定します。
chown -R 36:36 /data chmod -R 0755 /data
# chown -R 36:36 /data # chmod -R 0755 /data
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow Red Hat では、サーバーの再起動が必要となる場合に備えて、
/etc/fstab
経由でローカルストレージを自動的にマウントすることも推奨します。blkid | grep -i sdX1 vi /etc/fstab
# blkid | grep -i sdX1 /dev/sdX1: UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" TYPE="ext4" # vi /etc/fstab UUID="a81a6879-3764-48d0-8b21-2898c318ef7c" /data ext4 defaults 0 0
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - 管理ポータルでデータセンターを作成し、ストレージタイプ ドロップダウンメニューで ローカル を選択します。
- 新しいデータセンターでクラスターを設定します。詳細は、Administration Guide の Creating a New Cluster を参照してください。
- Manager にホストを追加します。詳細は、いずれかの Red Hat Virtualization のインストール ガイドの Red Hat Virtualization Manager への通常のホストの追加 を参照してください。
ホスト上で、最初のローカルストレージドメインの作成に使用する新しいディレクトリーを作成します。たとえば、以下のような設定です。
mkdir -p /localfs chown 36:36 /localfs chmod -R 0755 /localfs
# mkdir -p /localfs # chown 36:36 /localfs # chmod -R 0755 /localfs
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - 管理ポータルで ストレージ タブを開き、新規ドメイン をクリックして新しいローカルストレージドメインを作成します。
-
名前を
localfs
に設定し、パスを/localfs
に設定します。 -
ローカルストレージがアクティブになったら、ドメインのインポート をクリックして、ドメインの詳細を設定します。たとえば、
Data
を名前として、Local on Host
をストレージタイプとして、/data
をパスとして定義します。 - ストレージドメインがデータセンターにすでにアタッチされていることを知らせるメッセージが表示されるので、 をクリックして確定します。
新しいストレージドメインをアクティブ化します。
- データセンター タブを開きます。
- 詳細ペインの ストレージ タブをクリックし、結果一覧で新しいデータストレージドメインを選択します。
- アクティブ化 クリックします。
新規ストレージドメインがアクティブになったら、仮想マシンとそのディスクをインポートします。
- ストレージ タブで、データ を選択します。
- 詳細ペインで 仮想マシンのインポート タブを選択し、仮想マシンを選択して インポート をクリックします。詳細は、仮想マシン管理ガイド の データドメインからの仮想マシンのインポート を参照してください。
-
すべての仮想マシンが正常にインポートされ、適切に機能していることを確認したら、
localfs
をメンテナンスモードに移行できます。 ストレージ タブをクリックし、結果一覧で localfs を選択します。
- 詳細ペインの データセンター タブをクリックします。
- メンテナンスをクリックしてから をクリックし、ストレージドメインをメンテナンスモードに移動します。
- デタッチ をクリックします。デタッチストレージの確認ウィンドウが開きます。
- をクリックします。
これで、ホストのバージョン 4.4 へのアップグレード、新しいローカルストレージドメインの作成、4.3 ストレージドメインおよびその仮想マシンのインポートが完了しました。
次に、クラスターの互換バージョンを更新してください。
3.1.9. クラスターの互換バージョンの変更 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードした後、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。したがって、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、クラスターをアップグレードする前に、仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することにより、仮想マシンをテストすることをお勧めします。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
-
管理ポータルで、
をクリックします。 - 変更を行うクラスターを選択し、 をクリックします。
- 全般 タブで 互換バージョン を必要な値に変更します。
- クラスターの互換バージョンを変更 の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
次に、クラスター内の仮想マシンのクラスターの互換バージョンを更新してください。
3.1.10. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用して、またはゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン (
) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
-
管理ポータルで
をクリックします。 再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
next_run_config_exists=True
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、再起動 をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
次に、データセンターの互換バージョンを更新してください。
3.1.11. データセンターの互換バージョンの変更 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、事前にデータセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンがすべて更新されている必要があります。
手順
-
管理ポータルで
をクリックします。 - 変更を行うデータセンターを選択し、 をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- データセンターの互換バージョンを変更 の確認ダイアログが開きます。 をクリックします。
- をクリックして確定します。