5.2. アップグレードへの準備
カーネルをアップグレードする前に、予防的な前準備手順の実行をお薦めします。
まず、問題が発生した場合に備えてシステム用に機能するブートメディアがあることを確認します。ブートローダーで新しいカーネルをブートするように正しく設定されていない場合には、このメディアを使用して Red Hat Enterprise Linux をブートすることができます。
USB メディアは多くの場合、ペンドライブ、サムディスク または キー などと呼ばれるフラッシュデバイスの形式、または、外部接続のハードディスクとして提供されています。このタイプのほとんどすべてが VFAT
ファイルシステムとしてフォーマットされています。ただし、ext2
、ext3
、ext4
または VFAT
としてフォーマットされているメディア上でブート可能な USB メディアを作成することができます。
ディストリビューションのイメージファイル、または最低限ブートメディア (minimal boot media) イメージを USB メディアに転送することができます。デバイスには十分な空き領域があることを確認してください。約 4 GB がディストリビューション DVD イメージ用に必要で、約 700 MB がディストリビューション CD イメージ用に、そして約 10 MB が最低限ブートメディアイメージ用に必要です。
Red Hat Enterprise Linux のインストール DVD、またはインストール CD-ROM#1 からの boot.iso
ファイルのコピーと、約 16 MB の空き領域を持つ VFAT
ファイルシステムでフォーマットした USB ストレージデバイスが必要になります。
USB ストレージデバイスの使用方法は How to format a USB key および How to manually mount a USB flash drive in a non-graphical environment solution を参照してください。
以下の手順では、コピー先のファイルと同じパス名を指定しなければ、USB ストレージデバイス上にある既存のファイルは影響を受けません。USB ブートメディアを作成するには、root
ユーザーとして以下のコマンドを実行します。
-
syslinux パッケージがインストールされていない場合は、これをインストールします。root として
yum install syslinux
コマンドを実行します。 USB ストレージデバイス上に SYSLINUX ブートローダーをインストールします。
syslinux /dev/sdX1
# syslinux /dev/sdX1
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ここでの sdX はデバイス名です。
boot.iso
と USB ストレージデバイス用にマウントポイントを作成します。mkdir /mnt/isoboot /mnt/diskboot
# mkdir /mnt/isoboot /mnt/diskboot
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow boot.iso
をマウントします。mount -o loop boot.iso /mnt/isoboot
# mount -o loop boot.iso /mnt/isoboot
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow USB ストレージデバイスをマウントします。
mount /dev/sdX1 /mnt/diskboot
# mount /dev/sdX1 /mnt/diskboot
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow ISOLINUX ファイルを
boot.iso
から USB ストレージデバイスにコピーします。cp /mnt/isoboot/isolinux/* /mnt/diskboot
# cp /mnt/isoboot/isolinux/* /mnt/diskboot
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow boot.iso
からのisolinux.cfg
ファイルを USB デバイス用のsyslinux.cfg
ファイルとして使用します。grep -v local /mnt/isoboot/isolinux/isolinux.cfg > /mnt/diskboot/syslinux.cfg
# grep -v local /mnt/isoboot/isolinux/isolinux.cfg > /mnt/diskboot/syslinux.cfg
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow boot.iso
と USB ストレージデバイスをアンマウントします。umount /mnt/isoboot /mnt/diskboot
# umount /mnt/isoboot /mnt/diskboot
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - このブートメディアでマシンを再起動して、ブートできることを確認してから他の操作に移ります。
別の方法として、フロッピードライブがあるシステム上でブートディスクを作成するには、mkbootdisk パッケージをインストールして、root
として mkbootdisk
コマンドを実行します。このパッケージをインストールした後に使用法について確認するには、man mkbootdisk
の man ページを参照してください。
どのカーネルがインストールされているかを判定するには、シェルプロンプトでコマンド yum list installed "kernel-*"
を実行します。出力では、システムのアーキテクチャーに応じて、以下のパッケージのすべてまたは一部が示されます。 バージョン番号は異なる場合があります。
yum list installed "kernel-*"
# yum list installed "kernel-*"
kernel.x86_64 3.10.0-54.0.1.el7 @rhel7/7.0
kernel-devel.x86_64 3.10.0-54.0.1.el7 @rhel7
kernel-headers.x86_64 3.10.0-54.0.1.el7 @rhel7/7.0
この出力から、カーネルのアップグレード用にダウンロードすべきパッケージを判断します。シングルプロセッサーのシステムでは、必要なパッケージは kernel パッケージのみです。別のパッケージの説明は、「カーネルパッケージの概要」 を参照してください。