4.6. RPM のビルド
rpmbuild
コマンドを使用して RPM パッケージをビルドできます。このコマンドを使用する場合、rpmdev-setuptree
ユーティリティーによって設定された構造と同じ特定のディレクトリーおよびファイル構造が求められます。
rpmbuild
コマンドでは、ユースケースや期待する結果によって組み合わせる引数が異なります。主な使用例は次のとおりです。
- ソース RPM をビルドします。
バイナリー RPM をビルドします。
- ソース RPM からバイナリー RPM を再ビルドします。
-
spec
ファイルからバイナリー RPM をビルドします。
4.6.1. ソース RPM のビルド
ソース RPM (SRPM) をビルドすると、次の利点があります。
-
環境にデプロイされた特定の
Name-Version-Release
を持つ RPM ファイルの正確なソースを保持できます。これには、正確なspec
ファイル、ソースコード、および関連するすべてのパッチが含まれます。これは追跡とデバッグに役立ちます。 - 異なるハードウェアプラットフォームまたはアーキテクチャー上でバイナリー RPM をビルドできます。
前提条件
システムに
rpmbuild
ユーティリティーがインストールされている。# yum install rpm-build
次の
Hello World!
実装が~/rpmbuild/SOURCES/
ディレクトリーに配置されている。-
パッケージ化するプログラムの
spec
ファイルが存在する。
手順
作成した
spec
ファイルが含まれている~/rpmbuild/SPECS/
ディレクトリーに移動します。$ cd ~/rpmbuild/SPECS/
rpmbuild
コマンドを入力し、spec
ファイルを指定して、ソース RPM をビルドします。$ rpmbuild -bs <specfile>
-bs
オプションは ビルドソース を表します。たとえば、
bello
、pello
、cello
プログラムのソース RPM をビルドするには、次のように入力します。$ rpmbuild -bs bello.spec Wrote: /home/admiller/rpmbuild/SRPMS/bello-0.1-1.el8.src.rpm $ rpmbuild -bs pello.spec Wrote: /home/admiller/rpmbuild/SRPMS/pello-0.1.2-1.el8.src.rpm $ rpmbuild -bs cello.spec Wrote: /home/admiller/rpmbuild/SRPMS/cello-1.0-1.el8.src.rpm
検証
-
rpmbuild/SRPMS
ディレクトリーに、生成されたソース RPM が含まれていることを確認します。ディレクトリーは、rpmbuild
で必要な構造の一部です。
4.6.2. ソース RPM からのバイナリー RPM の再ビルド
ソース RPM (SRPM) からバイナリー RPM を再ビルドするには、--rebuild
オプションを指定した rpmbuild
コマンドを使用します。
バイナリー RPM の作成時に生成される出力は詳細なもので、デバッグに役立ちます。出力は例によって異なり、それぞれの spec
ファイルに対応したものになります。
生成されるバイナリー RPM は、~/rpmbuild/RPMS/YOURARCH
ディレクトリー (YOURARCH
はアーキテクチャー) に配置されます。パッケージがアーキテクチャー固有でない場合は ~/rpmbuild/RPMS/noarch/
ディレクトリーに配置されます。
前提条件
システムに
rpmbuild
ユーティリティーがインストールされている。# yum install rpm-build
手順
ソース RPM が含まれている
~/rpmbuild/SRPMS/
ディレクトリーに移動します。$ cd ~/rpmbuild/SRPMS/
ソース RPM からバイナリー RPM を再ビルドします。
$ rpmbuild --rebuild <srpm>
srpm は、ソース RPM ファイルの名前に置き換えます。
たとえば、
bello
、pello
、cello
を SRPM から再ビルドするには、次のように入力します。$ rpmbuild --rebuild bello-0.1-1.el8.src.rpm [output truncated] $ rpmbuild --rebuild pello-0.1.2-1.el8.src.rpm [output truncated] $ rpmbuild --rebuild cello-1.0-1.el8.src.rpm [output truncated]
rpmbuild --rebuild
を呼び出すと、次のプロセスが実行されます。
-
SRPM の内容 (
spec
ファイルとソースコード) を~/rpmbuild/
ディレクトリーにインストールします。 - インストールされたコンテンツを使用して RPM をビルドします。
-
spec
ファイルとソースコードを削除します。
次のいずれかの方法でビルドすると、spec
ファイルとソースコードを保持できます。
-
RPM をビルドするときに、
--rebuild
オプションではなく--recompile
オプションを指定したrpmbuild
コマンドを使用します。 bello
、pello
、cello
の SRPM をインストールします。$ rpm -Uvh ~/rpmbuild/SRPMS/bello-0.1-1.el8.src.rpm Updating / installing… 1:bello-0.1-1.el8 [100%] $ rpm -Uvh ~/rpmbuild/SRPMS/pello-0.1.2-1.el8.src.rpm Updating / installing… …1:pello-0.1.2-1.el8 [100%] $ rpm -Uvh ~/rpmbuild/SRPMS/cello-1.0-1.el8.src.rpm Updating / installing… …1:cello-1.0-1.el8 [100%]
4.6.3. spec ファイルからのバイナリー RPM のビルド
spec
ファイルからバイナリー RPM をビルドするには、-bb
オプションを指定した rpmbuild
コマンドを使用します。
前提条件
システムに
rpmbuild
ユーティリティーがインストールされている。# yum install rpm-build
手順
spec
ファイルが含まれている~/rpmbuild/SPECS/
ディレクトリーに移動します。$ cd ~/rpmbuild/SPECS/
spec
からバイナリー RPM をビルドします。$ rpmbuild -bb <spec_file>
たとえば、
spec
ファイルからbello
、pello
、cello
バイナリー RPM をビルドするには、次のように入力します。$ rpmbuild -bb bello.spec $ rpmbuild -bb pello.spec $ rpmbuild -bb cello.spec