ネットワーク
クラスターネットワークの設定および管理
概要
第1章 ネットワークの概要
Red Hat OpenShift Networking は、1 つまたは複数のハイブリッドクラスターのネットワークトラフィックを管理するためにクラスターが必要とする高度なネットワーク関連機能で Kubernetes ネットワーキングを拡張する機能、プラグイン、高度なネットワーク機能のエコシステムです。このネットワーキング機能のエコシステムは、ingress、Egress、ロードバランシング、高性能スループット、セキュリティー、クラスター間およびクラスター内のトラフィック管理を統合し、ロールベースの可観測性ツールを提供して複雑さを軽減します。
以下のリストは、クラスターで利用可能な最も一般的に使用される Red Hat OpenShift Networking 機能の一部を強調しています。
次の Container Network Interface (CNI) プラグインのいずれかによって提供されるプライマリークラスターネットワーク:
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン (デフォルトのプラグイン)
- OpenShift SDN ネットワークプラグイン
- 認定されたサードパーティーの代替プライマリーネットワークプラグイン
- ネットワークプラグイン管理用の Cluster Network Operator
- TLS 暗号化 Web トラフィックの Ingress Operator
- 名前割り当てのための DNS Operator
- ベアメタルクラスターでのトラフィック負荷分散用の MetalLB Operator
- 高可用性のための IP フェイルオーバーのサポート
- macvlan、ipvlan、SR-IOV ハードウェアネットワークなど、複数の CNI プラグインによる追加のハードウェアネットワークサポート
- IPv4、IPv6、およびデュアルスタックアドレッシング
- Windows ベースのワークロード用のハイブリッド Linux-Windows ホストクラスター
- サービスのディスカバリー、ロードバランシング、サービス間認証、障害リカバリー、メトリクス、およびモニター用の Red Hat OpenShift Service Mesh
- シングルノード OpenShift
- ネットワークのデバッグと洞察のための Network Observability Operator
- クラスター間ネットワーク用の Submariner
- レイヤー 7 クラスター間ネットワーク用の Red Hat Service Interconnect
第2章 ネットワークについて
クラスター管理者は、クラスターで実行されるアプリケーションを外部トラフィックに公開し、ネットワーク接続のセキュリティーを保護するための複数のオプションがあります。
- ノードポートやロードバランサーなどのサービスタイプ
-
Ingress
やRoute
などの API リソース
デフォルトで、Kubernetes は各 Pod に、Pod 内で実行しているアプリケーションの内部 IP アドレスを割り当てます。Pod とそのコンテナーはネットワーク接続が可能ですが、クラスター外のクライアントにはネットワークアクセスがありません。アプリケーションを外部トラフィックに公開する場合、各 Pod に IP アドレスを割り当てると、ポートの割り当て、ネットワーク、名前の指定、サービス検出、負荷分散、アプリケーション設定、移行などの点で、Pod を物理ホストや仮想マシンのように扱うことができます。
一部のクラウドプラットフォームでは、169.254.169.254 IP アドレスでリッスンするメタデータ API があります。これは、IPv4 169.254.0.0/16
CIDR ブロックのリンクローカル IP アドレスです。
この CIDR ブロックは Pod ネットワークから到達できません。これらの IP アドレスへのアクセスを必要とする Pod には、Pod 仕様の spec.hostNetwork
フィールドを true
に設定して、ホストのネットワークアクセスが付与される必要があります。
Pod ホストのネットワークアクセスを許可する場合、Pod に基礎となるネットワークインフラストラクチャーへの特権アクセスを付与します。
2.1. OpenShift Container Platform DNS
フロントエンドサービスやバックエンドサービスなど、複数のサービスを実行して複数の Pod で使用している場合、フロントエンド Pod がバックエンドサービスと通信できるように、ユーザー名、サービス IP などの環境変数を作成します。サービスが削除され、再作成される場合には、新規の IP アドレスがそのサービスに割り当てられるので、フロントエンド Pod がサービス IP の環境変数の更新された値を取得するには、これを再作成する必要があります。さらに、バックエンドサービスは、フロントエンド Pod を作成する前に作成し、サービス IP が正しく生成され、フロントエンド Pod に環境変数として提供できるようにする必要があります。
そのため、OpenShift Container Platform には DNS が組み込まれており、これにより、サービスは、サービス IP/ポートと共にサービス DNS によって到達可能になります。
2.2. OpenShift Container Platform Ingress Operator
OpenShift Container Platform クラスターを作成すると、クラスターで実行している Pod およびサービスにはそれぞれ独自の IP アドレスが割り当てられます。IP アドレスは、近くで実行されている他の Pod やサービスからアクセスできますが、外部クライアントの外部からはアクセスできません。Ingress Operator は IngressController
API を実装し、OpenShift Container Platform クラスターサービスへの外部アクセスを可能にするコンポーネントです。
Ingress Operator を使用すると、ルーティングを処理する 1 つ以上の HAProxy ベースの Ingress Controller をデプロイおよび管理することにより、外部クライアントがサービスにアクセスできるようになります。OpenShift Container Platform Route
および Kubernetes Ingress
リソースを指定して、トラフィックをルーティングするために Ingress Operator を使用します。endpointPublishingStrategy
タイプおよび内部負荷分散を定義する機能などの Ingress Controller 内の設定は、Ingress Controller エンドポイントを公開する方法を提供します。
2.2.1. ルートと Ingress の比較
OpenShift Container Platform の Kubernetes Ingress リソースは、クラスター内で Pod として実行される共有ルーターサービスと共に Ingress Controller を実装します。Ingress トラフィックを管理する最も一般的な方法は Ingress Controller を使用することです。他の通常の Pod と同様にこの Pod をスケーリングし、複製できます。このルーターサービスは、オープンソースのロードバランサーソリューションである HAProxy をベースとしています。
OpenShift Container Platform ルートは、クラスターのサービスに Ingress トラフィックを提供します。ルートは、Blue-Green デプロイメント向けに TLS 再暗号化、TLS パススルー、分割トラフィックなどの標準の Kubernetes Ingress Controller でサポートされない可能性のある高度な機能を提供します。
Ingress トラフィックは、ルートを介してクラスターのサービスにアクセスします。ルートおよび Ingress は、Ingress トラフィックを処理する主要なリソースです。Ingress は、外部要求を受け入れ、ルートに基づいてそれらを委譲するなどのルートと同様の機能を提供します。ただし、Ingress では、特定タイプの接続 (HTTP/2、HTTPS およびサーバー名 ID(SNI)、ならび証明書を使用した TLS のみを許可できます。OpenShift Container Platform では、ルートは、Ingress リソースで指定される各種の条件を満たすために生成されます。
2.3. OpenShift Container Platform ネットワーキングの一般用語集
この用語集では、ネットワーキングコンテンツで使用される一般的な用語を定義します。
- authentication
- OpenShift Container Platform クラスターへのアクセスを制御するために、クラスター管理者はユーザー認証を設定し、承認されたユーザーのみがクラスターにアクセスできます。OpenShift Container Platform クラスターと対話するには、OpenShift Container Platform API に対して認証する必要があります。OpenShift Container Platform API へのリクエストで、OAuth アクセストークンまたは X.509 クライアント証明書を提供することで認証できます。
- AWS Load Balancer Operator
-
AWS Load Balancer (ALB) Operator は、
aws-load-balancer-controller
のインスタンスをデプロイおよび管理します。 - Cluster Network Operator
- Cluster Network Operator (CNO) は、OpenShift Container Platform クラスター内のクラスターネットワークコンポーネントをデプロイおよび管理します。これには、インストール時にクラスター用に選択された Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインのデプロイが含まれます。
- config map
-
config map は、設定データを Pod に注入する方法を提供します。タイプ
ConfigMap
のボリューム内の config map に格納されたデータを参照できます。Pod で実行しているアプリケーションは、このデータを使用できます。 - カスタムリソース (CR)
- CR は Kubernetes API の拡張です。カスタムリソースを作成できます。
- DNS
- クラスター DNS は、Kubernetes サービスの DNS レコードを提供する DNS サーバーです。Kubernetes により開始したコンテナーは、DNS 検索にこの DNS サーバーを自動的に含めます。
- DNS Operator
- DNS Operator は、CoreDNS をデプロイして管理し、Pod に名前解決サービスを提供します。これにより、OpenShift Container Platform で DNS ベースの Kubernetes サービス検出が可能になります。
- deployment
- アプリケーションのライフサイクルを維持する Kubernetes リソースオブジェクト。
- domain
- ドメインは、Ingress Controller によってサービスされる DNS 名です。
- Egress
- Pod からのネットワークのアウトバウンドトラフィックを介して外部とデータを共有するプロセス。
- External DNS Operator
- External DNS Operator は、ExternalDNS をデプロイおよび管理して、外部 DNS プロバイダーから OpenShift Container Platform へのサービスとルートの名前解決を提供します。
- HTTP ベースのルート
- HTTP ベースのルートとは、セキュアではないルートで、基本的な HTTP ルーティングプロトコルを使用してセキュリティー保護されていないアプリケーションポートでサービスを公開します。
- Ingress
- OpenShift Container Platform の Kubernetes Ingress リソースは、クラスター内で Pod として実行される共有ルーターサービスと共に Ingress Controller を実装します。
- Ingress Controller
- Ingress Operator は Ingress Controller を管理します。Ingress Controller の使用は、最も一般的な、OpenShift Container Platform クラスターへの外部アクセスを許可する方法です。
- installer-provisioned infrastructure
- インストールプログラムは、クラスターが実行されるインフラストラクチャーをデプロイして設定します。
- kubelet
- コンテナーが Pod で実行されていることを確認するために、クラスター内の各ノードで実行されるプライマリーノードエージェント。
- Kubernetes NMState Operator
- Kubernetes NMState Operator は、NMState の OpenShift Container Platform クラスターのノード間でステートドリブンのネットワーク設定を実行するための Kubernetes API を提供します。
- kube-proxy
- Kube-proxy は、各ノードで実行するプロキシーサービスであり、外部ホストがサービスを利用できるようにするのに役立ちます。リクエストを正しいコンテナーに転送するのに役立ち、基本的な負荷分散を実行できます。
- ロードバランサー
- OpenShift Container Platform は、ロードバランサーを使用して、クラスターの外部からクラスターで実行されているサービスと通信します。
- MetalLB Operator
-
クラスター管理者は、MetalLB Operator をクラスターに追加し、タイプ
LoadBalancer
のサービスがクラスターに追加されると、MetalLB はサービスの外部 IP アドレスを追加できます。 - multicast
- IP マルチキャストを使用すると、データが多数の IP アドレスに同時に配信されます。
- namespaces
- namespace は、すべてのプロセスから見える特定のシステムリソースを分離します。namespace 内では、その namespace のメンバーであるプロセスのみがそれらのリソースを参照できます。
- networking
- OpenShift Container Platform クラスターのネットワーク情報。
- node
- OpenShift Container Platform クラスター内のワーカーマシン。ノードは、仮想マシン (VM) または物理マシンのいずれかです。
- OpenShift Container Platform Ingress Operator
-
Ingress Operator は
IngressController
API を実装し、OpenShift Container Platform サービスへの外部アクセスを可能にするコンポーネントです。 - Pod
- OpenShift Container Platform クラスターで実行されている、ボリュームや IP アドレスなどの共有リソースを持つ 1 つ以上のコンテナー。Pod は、定義、デプロイ、および管理される最小のコンピュート単位です。
- PTP Operator
-
PTP Operator は、
linuxptp
サービスを作成し、管理します。 - route
- OpenShift Container Platform ルートは、クラスターのサービスに Ingress トラフィックを提供します。ルートは、Blue-Green デプロイメント向けに TLS 再暗号化、TLS パススルー、分割トラフィックなどの標準の Kubernetes Ingress Controller でサポートされない可能性のある高度な機能を提供します。
- スケーリング
- リソース容量の増減。
- サービス
- 一連の Pod で実行中のアプリケーションを公開します。
- シングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) Network Operator
- Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator は、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスおよびネットワーク割り当てを管理します。
- ソフトウェア定義ネットワーク (SDN)
- OpenShift Container Platform は、Software Defined Networking (SDN) アプローチを使用して、クラスターのネットワークを統合し、OpenShift Container Platform クラスターの Pod 間の通信を可能にします。
- SCTP (Stream Control Transmission Protocol)
- SCTP は、IP ネットワークの上部で実行される信頼できるメッセージベースのプロトコルです。
- taint
- taint と toleration により、Pod が適切なノードに確実にスケジュールされます。ノードに 1 つ以上の taint を適用できます。
- toleration
- Pod に toleration を適用できます。Tolerations を使用すると、スケジューラーは、taint が一致する Pod をスケジュールできます。
- Web コンソール
- OpenShift Container Platform を管理するためのユーザーインターフェイス (UI)。
第3章 ホストへのアクセス
OpenShift Container Platform インスタンスにアクセスして、セキュアシェル (SSH) アクセスでコントロールプレーンノードにアクセスするために bastion ホストを作成する方法を学びます。
3.1. installer-provisioned infrastructure クラスターでの Amazon Web Services のホストへのアクセス
OpenShift Container Platform インストーラーは、OpenShift Container Platform クラスターにプロビジョニングされる Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスのパブリック IP アドレスを作成しません。OpenShift Container Platform ホストに対して SSH を実行できるようにするには、以下の手順を実行する必要があります。
手順
-
openshift-install
コマンドで作成される仮想プライベートクラウド (VPC) に対する SSH アクセスを可能にするセキュリティーグループを作成します。 - インストーラーが作成したパブリックサブネットのいずれかに Amazon EC2 インスタンスを作成します。
パブリック IP アドレスを、作成した Amazon EC2 インスタンスに関連付けます。
OpenShift Container Platform のインストールとは異なり、作成した Amazon EC2 インスタンスを SSH キーペアに関連付ける必要があります。これにはインターネットを OpenShift Container Platform クラスターの VPC にブリッジ接続するための SSH bastion としてのみの単純な機能しかないため、このインスタンスにどのオペレーティングシステムを選択しても問題ありません。どの Amazon Machine Image (AMI) を使用するかについては、注意が必要です。たとえば、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) では、インストーラーと同様に、Ignition でキーを指定することができます。
Amazon EC2 インスタンスをプロビジョニングし、これに対して SSH を実行した後に、OpenShift Container Platform インストールに関連付けた SSH キーを追加する必要があります。このキーは bastion インスタンスのキーとは異なる場合がありますが、異なるキーにしなければならない訳ではありません。
注記直接の SSH アクセスは、障害復旧を目的とする場合にのみ推奨されます。Kubernetes API が応答する場合、特権付き Pod を代わりに実行します。
-
oc get nodes
を実行し、出力を検査し、マスターであるノードのいずれかを選択します。ホスト名はip-10-0-1-163.ec2.internal
に類似したものになります。 Amazon EC2 に手動でデプロイした bastion SSH ホストから、そのコントロールプレーンホストに SSH を実行します。インストール時に指定したものと同じ SSH キーを使用するようにします。
$ ssh -i <ssh-key-path> core@<master-hostname>
第4章 ネットワーキング Operator の概要
OpenShift Container Platform は、複数のタイプのネットワーキング Operator をサポートします。これらのネットワーク Operator を使用して、クラスターネットワークを管理できます。
4.1. Cluster Network Operator
Cluster Network Operator (CNO) は、OpenShift Container Platform クラスター内のクラスターネットワークコンポーネントをデプロイおよび管理します。これには、インストール時にクラスター用に選択された Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインのデプロイが含まれます。詳細は、OpenShift Container Platform における Cluster Network Operator を参照してください。
4.2. DNS Operator
DNS Operator は、CoreDNS をデプロイして管理し、Pod に名前解決サービスを提供します。これにより、OpenShift Container Platform で DNS ベースの Kubernetes サービス検出が可能になります。詳細は、OpenShift Container Platform の DNS Operator を参照してください。
4.3. Ingress Operator
OpenShift Container Platform クラスターを作成すると、クラスターで実行している Pod およびサービスにはそれぞれの IP アドレスが割り当てられます。IP アドレスは、近くで実行されている他の Pod やサービスからアクセスできますが、外部クライアントの外部からはアクセスできません。Ingress Operator は Ingress Controller API を実装し、OpenShift Container Platform クラスターサービスへの外部アクセスを可能にします。詳細は、OpenShift Container Platform の Ingress Operator を参照してください。
4.4. 外部 DNS Operator
外部 DNS Operator は、ExternalDNS をデプロイして管理し、外部 DNS プロバイダーから OpenShift Container Platform へのサービスおよびルートの名前解決を提供します。詳細は、Understanding the External DNS Operator を参照してください。
4.5. Ingress Node Firewall Operator
Ingress Node Firewall Operator は、拡張された Berkley Packet Filter (eBPF) と eXpress Data Path (XDP) プラグインを使用して、ノードファイアウォールルールを処理し、統計を更新し、ドロップされたトラフィックのイベントを生成します。Operator は、Ingress ノードファイアウォールリソースを管理し、ファイアウォール設定を検証し、クラスターアクセスを妨げる可能性がある誤設定されたルールを許可せず、ルールのオブジェクトで選択されたインターフェイスに Ingress ノードファイアウォール XDP プログラムをロードします。詳細は、Ingress Node Firewall Operator についてを参照してください。
4.6. Network Observability Operator
Network Observability Operator は、クラスター管理者が OpenShift Container Platform クラスターのネットワークトラフィックを観察するために使用できるオプションの Operator です。Network Observability Operator は、eBPF テクノロジーを使用してネットワークフローを作成します。その後、ネットワークフローは OpenShift Container Platform 情報で強化され、Loki に保存されます。保存されたネットワークフロー情報を OpenShift Container Platform コンソールで表示および分析して、さらなる洞察とトラブルシューティングを行うことができます。詳細は、ネットワーク可観測性 Operator について を参照してください。
第5章 OpenShift Container Platform における Cluster Network Operator
Cluster Network Operator (CNO) を使用すると、インストール時にクラスター用に選択された Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインを含む、OpenShift Container Platform クラスター上のクラスターネットワークコンポーネントをデプロイおよび管理できます。
5.1. Cluster Network Operator
Cluster Network Operator は、operator.openshift.io
API グループから network
API を実装します。Operator は、デーモンセットを使用して、クラスターのインストール中に選択した OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたはネットワークプロバイダープラグインをデプロイします。
手順
Cluster Network Operator は、インストール時に Kubernetes Deployment
としてデプロイされます。
以下のコマンドを実行して Deployment のステータスを表示します。
$ oc get -n openshift-network-operator deployment/network-operator
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE network-operator 1/1 1 1 56m
以下のコマンドを実行して、Cluster Network Operator の状態を表示します。
$ oc get clusteroperator/network
出力例
NAME VERSION AVAILABLE PROGRESSING DEGRADED SINCE network 4.5.4 True False False 50m
以下のフィールドは、Operator のステータス (
AVAILABLE
、PROGRESSING
、およびDEGRADED
) に関する情報を提供します。AVAILABLE
フィールドは、Cluster Network Operator が Available ステータス条件を報告する場合にTrue
になります。
5.2. クラスターネットワーク設定の表示
すべての新規 OpenShift Container Platform インストールには、cluster
という名前の network.config
オブジェクトがあります。
手順
oc describe
コマンドを使用して、クラスターネットワーク設定を表示します。$ oc describe network.config/cluster
出力例
Name: cluster Namespace: Labels: <none> Annotations: <none> API Version: config.openshift.io/v1 Kind: Network Metadata: Self Link: /apis/config.openshift.io/v1/networks/cluster Spec: 1 Cluster Network: Cidr: 10.128.0.0/14 Host Prefix: 23 Network Type: OpenShiftSDN Service Network: 172.30.0.0/16 Status: 2 Cluster Network: Cidr: 10.128.0.0/14 Host Prefix: 23 Cluster Network MTU: 8951 Network Type: OpenShiftSDN Service Network: 172.30.0.0/16 Events: <none>
5.3. Cluster Network Operator のステータス表示
oc describe
コマンドを使用して、Cluster Network Operator のステータスを検査し、その詳細を表示することができます。
手順
以下のコマンドを実行して、Cluster Network Operator のステータスを表示します。
$ oc describe clusteroperators/network
5.4. IP 転送をグローバルに有効にする
OpenShift Container Platform 4.14 以降では、OVN-Kubernetes ベースのクラスターデプロイメントでグローバル IP アドレス転送が無効になります。これは、ルーターとして機能するノードによる、クラスター管理者にとって望ましくない影響を防ぐためです。ただし、トラフィックの転送が必要な場合には、すべての IP トラフィックの転送を許可する新しい設定パラメーター ipForwarding
を利用できます。
OVN-Kubernetes 管理インターフェイス上の全トラフィックの IP 転送を再度有効にするには、次の手順に従って、Cluster Network Operator の gatewayConfig.ipForwarding
仕様を Global
に設定します。
手順
次のコマンドを実行して、既存のネットワーク設定をバックアップします。
$ oc get network.operator cluster -o yaml > network-config-backup.yaml
次のコマンドを実行して、既存のネットワーク設定を変更します。
$ oc edit network.operator cluster
次の例に示すように、
spec
の下に次のブロックを追加または更新します。spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 serviceNetwork: - 172.30.0.0/16 networkType: OVNKubernetes clusterNetworkMTU: 8900 defaultNetwork: ovnKubernetesConfig: gatewayConfig: ipForwarding: Global
- ファイルを保存してから閉じます。
変更を適用した後、OpenShift Cluster Network Operator (CNO) によってクラスター全体に更新が適用されます。次のコマンドを使用して進行状況を監視できます。
$ oc get clusteroperators network
最終的に、ステータスに
Available
、Progressing=False
、Degraded=False
と報告されるはずです。または、次のコマンドを実行して、IP 転送をグローバルに有効にすることもできます。
$ oc patch network.operator cluster -p '{"spec":{"defaultNetwork":{"ovnKubernetesConfig":{"gatewayConfig":{"ipForwarding": "Global"}}}}}
注記この変更を元に戻す必要がある場合は、このパラメーターのもう 1 つの有効なオプションである
Restricted
を設定します。デフォルトではRestricted
に設定されており、グローバル IP アドレス転送は無効です。
5.5. Cluster Network Operator ログの表示
oc logs
コマンドを使用して、Cluster Network Operator ログを表示できます。
手順
以下のコマンドを実行して、Cluster Network Operator のログを表示します。
$ oc logs --namespace=openshift-network-operator deployment/network-operator
5.6. Cluster Network Operator (CNO) の設定
クラスターネットワークの設定は、Cluster Network Operator (CNO) 設定の一部として指定され、cluster
という名前のカスタムリソース (CR) オブジェクトに保存されます。CR は operator.openshift.io
API グループの Network
API のフィールドを指定します。
CNO 設定は、Network.config.openshift.io
API グループの Network
API からクラスターのインストール時に以下のフィールドを継承します。
clusterNetwork
- Pod IP アドレスの割り当てに使用する IP アドレスプール。
serviceNetwork
- サービスの IP アドレスプール。
defaultNetwork.type
- OpenShift SDN や OVN-Kubernetes などのクラスターネットワークプラグイン。
クラスターをインストールした後は、clusterNetwork
IP アドレス範囲のみ変更できます。デフォルトのネットワークタイプは、移行時に OpenShift SDN から OVN-Kubernetes にのみ変更できます。
defaultNetwork
オブジェクトのフィールドを cluster
という名前の CNO オブジェクトに設定することにより、クラスターのクラスターネットワークプラグイン設定を指定できます。
5.6.1. Cluster Network Operator 設定オブジェクト
Cluster Network Operator (CNO) のフィールドは以下の表で説明されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNO オブジェクトの名前。この名前は常に |
|
| Pod ID アドレスの割り当て、サブネット接頭辞の長さのクラスター内の個別ノードへの割り当てに使用される IP アドレスのブロックを指定するリストです。以下に例を示します。 spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/19 hostPrefix: 23 - cidr: 10.128.32.0/19 hostPrefix: 23 |
|
| サービスの IP アドレスのブロック。OpenShift SDN および OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、サービスネットワークの単一 IP アドレスブロックのみをサポートします。以下に例を示します。 spec: serviceNetwork: - 172.30.0.0/14
この値は読み取り専用であり、クラスターのインストール時に |
|
| クラスターネットワークのネットワークプラグインを設定します。 |
|
| このオブジェクトのフィールドは、kube-proxy 設定を指定します。OVN-Kubernetes クラスターネットワークプラグインを使用している場合、kube-proxy 設定は機能しません。 |
defaultNetwork オブジェクト設定
defaultNetwork
オブジェクトの値は、以下の表で定義されます。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
注記 OpenShift Container Platform は、デフォルトで OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用します。 |
|
| このオブジェクトは、OpenShift SDN ネットワークプラグインに対してのみ有効です。 |
|
| このオブジェクトは、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに対してのみ有効です。 |
OpenShift SDN ネットワークプラグインの設定
以下の表では、OpenShift SDN ネットワークプラグインの設定フィールドを説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| OpenShift SDN のネットワーク分離モード。 |
|
| VXLAN オーバーレイネットワークの最大転送単位 (MTU)。通常、この値は自動的に設定されます。 |
|
|
すべての VXLAN パケットに使用するポート。デフォルト値は |
OpenShift SDN 設定の例
defaultNetwork: type: OpenShiftSDN openshiftSDNConfig: mode: NetworkPolicy mtu: 1450 vxlanPort: 4789
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの設定
次の表では、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの設定フィールドを説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| Geneve (Generic Network Virtualization Encapsulation) オーバーレイネットワークの MTU (maximum transmission unit)。通常、この値は自動的に設定されます。 |
|
| Geneve オーバーレイネットワークの UDP ポート。 |
|
| フィールドがある場合、IPsec はクラスターに対して有効にされます。 |
|
| ネットワークポリシー監査ロギングをカスタマイズする設定オブジェクトを指定します。指定されていない場合は、デフォルトの監査ログ設定が使用されます。 |
|
| オプション: Egress トラフィックのノードゲートウェイへの送信方法をカスタマイズするための設定オブジェクトを指定します。 注記 Egress トラフィックの移行中は、Cluster Network Operator (CNO) が変更を正常にロールアウトするまで、ワークロードとサービストラフィックに多少の中断が発生することが予想されます。 |
|
既存のネットワークインフラストラクチャーが このフィールドは、インストール後に変更できません。 |
デフォルト値は |
|
既存のネットワークインフラストラクチャーが このフィールドは、インストール後に変更できません。 |
デフォルト値は |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
| integer |
ノードごとに毎秒生成されるメッセージの最大数。デフォルト値は、1 秒あたり |
| integer |
監査ログの最大サイズ (バイト単位)。デフォルト値は |
| integer | 保持されるログファイルの最大数。 |
| string | 以下の追加の監査ログターゲットのいずれかになります。
|
| string |
RFC5424 で定義される |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
Pod からホストネットワークスタックへの Egress トラフィックを送信するには、このフィールドを
このフィールドで、Open vSwitch ハードウェアオフロード機能との対話が可能になりました。このフィールドを |
|
|
|
IPSec が有効な OVN-Kubernetes 設定の例
defaultNetwork: type: OVNKubernetes ovnKubernetesConfig: mtu: 1400 genevePort: 6081 ipsecConfig: {}
kubeProxyConfig オブジェクト設定 (OpenShiftSDN コンテナーネットワークインターフェイスのみ)
kubeProxyConfig
オブジェクトの値は以下の表で定義されます。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
注記
OpenShift Container Platform 4.3 以降で強化されたパフォーマンスの向上により、 |
|
|
kubeProxyConfig: proxyArguments: iptables-min-sync-period: - 0s |
5.6.2. Cluster Network Operator の設定例
以下の例では、詳細な CNO 設定が指定されています。
Cluster Network Operator オブジェクトのサンプル
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 serviceNetwork: - 172.30.0.0/16 networkType: OVNKubernetes clusterNetworkMTU: 8900
5.7. 関連情報
第6章 OpenShift Container Platform の DNS Operator
DNS Operator は、Pod に対して名前解決サービスを提供するために CoreDNS をデプロイし、これを管理し、OpenShift Container Platform での DNS ベースの Kubernetes サービス検出を可能にします。
6.1. DNS Operator
DNS Operator は、operator.openshift.io
API グループから dns
API を実装します。この Operator は、デーモンセットを使用して CoreDNS をデプロイし、デーモンセットのサービスを作成し、kubelet を Pod に対して名前解決に CoreDNS サービス IP を使用するように指示するように設定します。
手順
DNS Operator は、インストール時に Deployment
オブジェクトを使用してデプロイされます。
oc get
コマンドを使用してデプロイメントのステータスを表示します。$ oc get -n openshift-dns-operator deployment/dns-operator
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE dns-operator 1/1 1 1 23h
oc get
コマンドを使用して DNS Operator の状態を表示します。$ oc get clusteroperator/dns
出力例
NAME VERSION AVAILABLE PROGRESSING DEGRADED SINCE dns 4.1.0-0.11 True False False 92m
AVAILABLE
、PROGRESSING
およびDEGRADED
は、Operator のステータスについての情報を提供します。AVAILABLE
は、CoreDNS デーモンセットからの 1 つ以上の Pod がAvailable
ステータス条件を報告する場合はTrue
になります。
6.2. DNS Operator managementState の変更
DNS は CoreDNS コンポーネントを管理し、クラスター内の Pod およびサービスの名前解決サービスを提供します。DNS Operator の managementState
はデフォルトで Managed
に設定されます。これは、DNS Operator がそのリソースをアクティブに管理できることを意味します。これを Unmanaged
に変更できます。つまり、DNS Operator がそのリソースを管理していないことを意味します。
以下は、DNS Operator managementState
を変更するためのユースケースです。
-
開発者であり、CoreDNS の問題が修正されているかどうかを確認するために設定変更をテストする必要があります。
managementState
をUnmanaged
に設定すると、DNS Operator により修正が上書きされないようにできます。 -
クラスター管理者であり、CoreDNS の問題が報告されていますが、問題が修正されるまで回避策を適用する必要があります。DNS Operator の
managementState
フィールドをUnmanaged
に設定して、回避策を適用できます。
手順
managementState
DNS Operator を変更します。oc patch dns.operator.openshift.io default --type merge --patch '{"spec":{"managementState":"Unmanaged"}}'
6.3. DNS Pod 配置の制御
DNS Operator には、CoreDNS 用と /etc/hosts
ファイルを管理するための 2 つのデーモンセットがあります。/etc/hosts
に設定されたデーモンは、イメージのプルをサポートするクラスターイメージレジストリーのエントリーを追加するために、すべてのノードホストで実行する必要があります。セキュリティーポリシーにより、ノードのペア間の通信が禁止され、CoreDNS のデーモンセットがすべてのノードで実行できなくなります。
クラスター管理者は、カスタムノードセレクターを使用して、CoreDNS のデーモンセットを特定のノードで実行するか、実行しないように設定できます。
前提条件
-
oc
CLI がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
特定のノード間の通信を防ぐには、
spec.nodePlacement.nodeSelector
API フィールドを設定します。default
という名前の DNS Operator オブジェクトを変更します。$ oc edit dns.operator/default
spec.nodePlacement.nodeSelector
API フィールドにコントロールプレーンノードのみが含まれるノードセレクターを指定します。spec: nodePlacement: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: ""
CoreDNS のデーモンセットをノードで実行されるようにするには、テイントおよび容認を設定します。
default
という名前の DNS Operator オブジェクトを変更します。$ oc edit dns.operator/default
taint の taint キーおよび toleration を指定します。
spec: nodePlacement: tolerations: - effect: NoExecute key: "dns-only" operators: Equal value: abc tolerationSeconds: 3600 1
- 1
- taint が
dns-only
である場合、それは無制限に許容できます。tolerationSeconds
は省略できます。
6.4. デフォルト DNS の表示
すべての新規 OpenShift Container Platform インストールには、default
という名前の dns.operator
があります。
手順
oc describe
コマンドを使用してデフォルトのdns
を表示します。$ oc describe dns.operator/default
出力例
Name: default Namespace: Labels: <none> Annotations: <none> API Version: operator.openshift.io/v1 Kind: DNS ... Status: Cluster Domain: cluster.local 1 Cluster IP: 172.30.0.10 2 ...
クラスターのサービス CIDR を見つけるには、
oc get
コマンドを使用します。$ oc get networks.config/cluster -o jsonpath='{$.status.serviceNetwork}'
出力例
[172.30.0.0/16]
6.5. DNS 転送の使用
DNS 転送を使用して、次の方法で/etc/resolv.conf
ファイルのデフォルトの転送設定を上書きできます。
- すべてのゾーンにネームサーバーを指定します。転送されるゾーンが OpenShift Container Platform によって管理される Ingress ドメインである場合、アップストリームネームサーバーがドメインについて認証される必要があります。
- アップストリーム DNS サーバーのリストを指定します。
- デフォルトの転送ポリシーを変更します。
デフォルトドメインの DNS 転送設定には、/etc/resolv.conf
ファイルおよびアップストリーム DNS サーバーで指定されたデフォルトのサーバーの両方を設定できます。
手順
default
という名前の DNS Operator オブジェクトを変更します。$ oc edit dns.operator/default
以前のコマンドを実行した後に、Operator は
Server
に基づく追加のサーバー設定ブロックを使用してdns-default
という名前の config map を作成して更新します。クエリーに一致するゾーンがサーバーにない場合には、名前解決はアップストリーム DNS サーバーにフォールバックします。DNS 転送の設定
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: DNS metadata: name: default spec: servers: - name: example-server 1 zones: 2 - example.com forwardPlugin: policy: Random 3 upstreams: 4 - 1.1.1.1 - 2.2.2.2:5353 upstreamResolvers: 5 policy: Random 6 upstreams: 7 - type: SystemResolvConf 8 - type: Network address: 1.2.3.4 9 port: 53 10
- 1
rfc6335
サービス名の構文に準拠する必要があります。- 2
rfc1123
サービス名構文のサブドメインの定義に準拠する必要があります。クラスタードメインのcluster.local
は、zones
フィールドの無効なサブドメインです。- 3
- アップストリームリゾルバーを選択するためのポリシーを定義します。デフォルト値は
Random
です。RoundRobin
およびSequential
の値を使用することもできます。 - 4
forwardPlugin
ごとに最大 15 のupstreams
が許可されます。- 5
- オプション: これを使用して、デフォルトポリシーを上書きし、デフォルトドメインで指定された DNS リゾルバー (アップストリームリゾルバー) に DNS 解決を転送できます。アップストリームリゾルバーを指定しない場合に、DNS 名のクエリーは
/etc/resolv.conf
のサーバーに送信されます。 - 6
- クエリー用にアップストリームサーバーが選択される順序を決定します。
Random
、RoundRobin
、またはSequential
のいずれかの値を指定できます。デフォルト値はSequential
です。 - 7
- オプション: これを使用して、アップストリームリゾルバーを指定できます。
- 8
SystemResolvConf
とNetwork
の 2 種類のアップストリーム
を指定できます。SystemResolvConf
で、アップストリームが/etc/resolv.conf
を使用するように設定して、Network
でNetworkresolver
を定義します。1 つまたは両方を指定できます。- 9
- 指定したタイプが
Network
の場合には、IP アドレスを指定する必要があります。address
フィールドは、有効な IPv4 または IPv6 アドレスである必要があります。 - 10
- 指定したタイプが
Network
の場合、必要に応じてポートを指定できます。port
フィールドの値は1
〜65535
である必要があります。アップストリームのポートを指定しない場合、デフォルトでポート 853 が試行されます。
任意: 高度に規制された環境で作業する場合は、要求をアップストリームリゾルバーに転送する際に DNS トラフィックのセキュリティーを確保して、追加の DNS トラフィックおよびデータのプライバシーを確保できるようにする必要がある場合があります。クラスター管理者は、転送された DNS クエリーに Transport Layer Security (TLS) を設定できるようになりました。
TLS を使用した DNS 転送の設定
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: DNS metadata: name: default spec: servers: - name: example-server 1 zones: 2 - example.com forwardPlugin: transportConfig: transport: TLS 3 tls: caBundle: name: mycacert serverName: dnstls.example.com 4 policy: Random 5 upstreams: 6 - 1.1.1.1 - 2.2.2.2:5353 upstreamResolvers: 7 transportConfig: transport: TLS tls: caBundle: name: mycacert serverName: dnstls.example.com upstreams: - type: Network 8 address: 1.2.3.4 9 port: 53 10
- 1
rfc6335
サービス名の構文に準拠する必要があります。- 2
rfc1123
サービス名構文のサブドメインの定義に準拠する必要があります。クラスタードメインのcluster.local
は、zones
フィールドの無効なサブドメインです。クラスタードメインのcluster.local
は、zones
の無効なsubdomain
です。- 3
- 転送された DNS クエリーの TLS を設定する場合、
transport
フィールドの値をTLS
に設定します。デフォルトでは、CoreDNS は転送された接続を 10 秒間キャッシュします。要求が発行されない場合、CoreDNS はその 10 秒間、TCP 接続を開いたままにします。大規模なクラスターでは、ノードごとに接続を開始できるため、DNS サーバーが多くの新しい接続を開いたまま保持する可能性があることを認識しているか確認してください。パフォーマンスの問題を回避するために、それに応じて DNS 階層を設定します。 - 4
- 転送された DNS クエリー用に TLS を設定する場合、これは、アップストリーム TLS サーバー証明書を検証するための Server Name Indication (SNI) の一部として使用される必須のサーバー名です。
- 5
- アップストリームリゾルバーを選択するためのポリシーを定義します。デフォルト値は
Random
です。RoundRobin
およびSequential
の値を使用することもできます。 - 6
- 必須。これを使用して、アップストリームリゾルバーを指定できます。
forwardPlugin
エントリーごとに最大 15 のupstreams
エントリーが許可されます。 - 7
- 任意。これを使用して、デフォルトポリシーを上書きし、デフォルトドメインで指定された DNS リゾルバー (アップストリームリゾルバー) に DNS 解決を転送できます。アップストリームリゾルバーを指定しない場合に、DNS 名のクエリーは
/etc/resolv.conf
のサーバーに送信されます。 - 8
Network
タイプは、このアップストリームリゾルバーが/etc/resolv.conf
にリストされているアップストリームリゾルバーとは別に転送されたリクエストを処理する必要があることを示します。TLS を使用する場合、Network
タイプのみが許可され、IP アドレスを指定する必要があります。- 9
address
フィールドは、有効な IPv4 または IPv6 アドレスである必要があります。- 10
- オプションでポートを指定できます。
port
の値は1
〜65535
である必要があります。アップストリームのポートを指定しない場合、デフォルトでポート 853 が試行されます。
注記servers
が定義されていないか無効な場合、config map にはデフォルトサーバーのみが含まれます。
検証
config map を表示します。
$ oc get configmap/dns-default -n openshift-dns -o yaml
以前のサンプル DNS に基づく DNS ConfigMap の例
apiVersion: v1 data: Corefile: | example.com:5353 { forward . 1.1.1.1 2.2.2.2:5353 } bar.com:5353 example.com:5353 { forward . 3.3.3.3 4.4.4.4:5454 1 } .:5353 { errors health kubernetes cluster.local in-addr.arpa ip6.arpa { pods insecure upstream fallthrough in-addr.arpa ip6.arpa } prometheus :9153 forward . /etc/resolv.conf 1.2.3.4:53 { policy Random } cache 30 reload } kind: ConfigMap metadata: labels: dns.operator.openshift.io/owning-dns: default name: dns-default namespace: openshift-dns
- 1
forwardPlugin
への変更により、CoreDNS デーモンセットのローリング更新がトリガーされます。
関連情報
- DNS 転送の詳細は、CoreDNS forward のドキュメント を参照してください。
6.6. DNS Operator のステータス
oc describe
コマンドを使用して、DNS Operator のステータスを検査し、その詳細を表示することができます。
手順
DNS Operator のステータスを表示します。
$ oc describe clusteroperators/dns
6.7. DNS Operator ログ
oc logs
コマンドを使用して、DNS Operator ログを表示できます。
手順
DNS Operator のログを表示します。
$ oc logs -n openshift-dns-operator deployment/dns-operator -c dns-operator
6.8. CoreDNS ログレベルの設定
CoreDNS ログレベルを設定して、ログに記録されたエラーメッセージの情報量を決定できます。CoreDNS ログレベルの有効な値は、Normal
、Debug
、および Trace
です。デフォルトの logLevel
は Normal
です。
エラープラグインは常に有効になっています。次の logLevel
設定は、さまざまなエラー応答を報告します。
-
logLevel
:Normal
は "errors" class:log . { class error }
を有効にします。 -
logLevel
:Debug
は "denial" class:log . { class denial error }
を有効にします。 -
logLevel
:Trace
は "all" class:log . { class all }
を有効にします。
手順
logLevel
をDebug
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch dnses.operator.openshift.io/default -p '{"spec":{"logLevel":"Debug"}}' --type=merge
logLevel
をTrace
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch dnses.operator.openshift.io/default -p '{"spec":{"logLevel":"Trace"}}' --type=merge
検証
目的のログレベルが設定されていることを確認するには、config map を確認します。
$ oc get configmap/dns-default -n openshift-dns -o yaml
6.9. CoreDNS Operator のログレベルの設定
クラスター管理者は、Operator ログレベルを設定して、OpenShift DNS の問題をより迅速に追跡できます。operatorLogLevel
の有効な値は、Normal
、Debug
、およびTrace
です。Trace
には最も詳細にわたる情報が含まれます。デフォルトのoperatorlogLevel
はNormal
です。問題のログレベルには、Trace、Debug、Info、Warning、Error、Fatal および Panic の 7 つがあります。ログレベルの設定後に、その重大度またはそれを超える重大度のログエントリーがログに記録されます。
-
operatorLogLevel: "Normal"
はlogrus.SetLogLevel("Info")
を設定します。 -
operatorLogLevel: "Debug"
はlogrus.SetLogLevel("Debug")
を設定します。 -
operatorLogLevel: "Trace"
はlogrus.SetLogLevel("Trace")
を設定します。
手順
operatorLogLevel
をDebug
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch dnses.operator.openshift.io/default -p '{"spec":{"operatorLogLevel":"Debug"}}' --type=merge
operatorLogLevel
をTrace
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch dnses.operator.openshift.io/default -p '{"spec":{"operatorLogLevel":"Trace"}}' --type=merge
6.10. CoreDNS キャッシュのチューニング
CoreDNS によって実行される成功または失敗したキャッシュ (それぞれポジティブキャッシュまたはネガティブキャッシュとも呼ばれます) の最大期間を設定できます。DNS クエリー応答のキャッシュ期間を調整すると、上流の DNS リゾルバーの負荷を軽減できます。
手順
次のコマンドを実行して、
default
という名前の DNS Operator オブジェクトを編集します。$ oc edit dns.operator.openshift.io/default
Time-to-Live (TTL) キャッシュ値を変更します。
DNS キャッシングの設定
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: DNS metadata: name: default spec: cache: positiveTTL: 1h 1 negativeTTL: 0.5h10m 2
警告TTL フィールドを低い値に設定すると、クラスター、上流のリゾルバー、またはその両方の負荷が増加する可能性があります。
第7章 OpenShift Container Platform の Ingress Operator
7.1. OpenShift Container Platform Ingress Operator
OpenShift Container Platform クラスターを作成すると、クラスターで実行している Pod およびサービスにはそれぞれ独自の IP アドレスが割り当てられます。IP アドレスは、近くで実行されている他の Pod やサービスからアクセスできますが、外部クライアントの外部からはアクセスできません。Ingress Operator は IngressController
API を実装し、OpenShift Container Platform クラスターサービスへの外部アクセスを可能にするコンポーネントです。
Ingress Operator を使用すると、ルーティングを処理する 1 つ以上の HAProxy ベースの Ingress Controller をデプロイおよび管理することにより、外部クライアントがサービスにアクセスできるようになります。OpenShift Container Platform Route
および Kubernetes Ingress
リソースを指定して、トラフィックをルーティングするために Ingress Operator を使用します。endpointPublishingStrategy
タイプおよび内部負荷分散を定義する機能などの Ingress Controller 内の設定は、Ingress Controller エンドポイントを公開する方法を提供します。
7.2. Ingress 設定アセット
インストールプログラムでは、config.openshift.io
API グループの Ingress
リソースでアセットを生成します (cluster-ingress-02-config.yml
)。
Ingress
リソースの YAML 定義
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Ingress metadata: name: cluster spec: domain: apps.openshiftdemos.com
インストールプログラムは、このアセットを manifests/
ディレクトリーの cluster-ingress-02-config.yml
ファイルに保存します。この Ingress
リソースは、Ingress のクラスター全体の設定を定義します。この Ingress 設定は、以下のように使用されます。
- Ingress Operator は、クラスター Ingress 設定のドメインを、デフォルト Ingress Controller のドメインとして使用します。
-
OpenShift API Server Operator は、クラスター Ingress 設定からのドメインを使用します。このドメインは、明示的なホストを指定しない
Route
リソースのデフォルトホストを生成する際にも使用されます。
7.3. Ingress Controller 設定パラメーター
IngressController
カスタムリソース (CR) には、組織の特定のニーズを満たすように設定できる任意の設定パラメーターが含まれています。
パラメーター | 説明 |
---|---|
|
空の場合、デフォルト値は |
|
|
|
クラウド環境の場合、
GCP、AWS、および Azure では、次の
設定されていない場合、デフォルト値は
ほとんどのプラットフォームでは、
ベアメタルプラットフォームなどの非クラウド環境の場合は、
これらのフィールドのいずれかで値を設定しない場合のデフォルト値は、
クラスターのデプロイ後に、
|
|
シークレットには以下のキーおよびデータが含まれる必要があります: *
設定されていない場合、ワイルドカード証明書は自動的に生成され、使用されます。証明書は Ingress コントーラーの 使用中の証明書 (生成されるか、ユーザー指定の場合かを問わない) は OpenShift Container Platform のビルトイン OAuth サーバーに自動的に統合されます。 |
|
|
|
|
|
設定されていない場合は、デフォルト値が使用されます。 注記
nodePlacement: nodeSelector: matchLabels: kubernetes.io/os: linux tolerations: - effect: NoSchedule operator: Exists |
|
これが設定されていない場合、デフォルト値は
Ingress Controller の最小 TLS バージョンは 注記
設定されたセキュリティープロファイルの暗号および最小 TLS バージョンが 重要
Ingress Operator は TLS |
|
|
|
|
|
|
|
デフォルトでは、ポリシーは
これらの調整は、クリアテキスト、edge-terminated、および re-encrypt ルートにのみ適用され、HTTP/1 を使用する場合にのみ適用されます。
要求ヘッダーの場合、これらの調整は
|
|
|
|
|
|
キャプチャーするすべての Cookie について、次のパラメーターが
以下に例を示します。 httpCaptureCookies: - matchType: Exact maxLength: 128 name: MYCOOKIE |
|
httpCaptureHeaders: request: - maxLength: 256 name: Connection - maxLength: 128 name: User-Agent response: - maxLength: 256 name: Content-Type - maxLength: 256 name: Content-Length |
|
|
|
|
|
これらの接続は、ロードバランサーのヘルスプローブまたは Web ブラウザーの投機的接続 (事前接続) から取得され、無視しても問題はありません。ただし、これらの要求はネットワークエラーによって引き起こされる可能性があります。そのため、このフィールドを |
7.3.1. Ingress Controller の TLS セキュリティープロファイル
TLS セキュリティープロファイルは、サーバーに接続する際に接続クライアントが使用できる暗号を規制する方法をサーバーに提供します。
7.3.1.1. TLS セキュリティープロファイルについて
TLS (Transport Layer Security) セキュリティープロファイルを使用して、さまざまな OpenShift Container Platform コンポーネントに必要な TLS 暗号を定義できます。OpenShift Container Platform の TLS セキュリティープロファイルは、Mozilla が推奨する設定 に基づいています。
コンポーネントごとに、以下の TLS セキュリティープロファイルのいずれかを指定できます。
プロファイル | 説明 |
---|---|
| このプロファイルは、レガシークライアントまたはライブラリーでの使用を目的としています。このプロファイルは、Old 後方互換性 の推奨設定に基づいています。
注記 Ingress Controller の場合、TLS の最小バージョンは 1.0 から 1.1 に変換されます。 |
| このプロファイルは、大多数のクライアントに推奨される設定です。これは、Ingress Controller、kubelet、およびコントロールプレーンのデフォルトの TLS セキュリティープロファイルです。このプロファイルは、Intermediate 互換性 の推奨設定に基づいています。
|
| このプロファイルは、後方互換性を必要としない Modern のクライアントでの使用を目的としています。このプロファイルは、Modern 互換性 の推奨設定に基づいています。
|
| このプロファイルを使用すると、使用する TLS バージョンと暗号を定義できます。 警告
無効な設定により問題が発生する可能性があるため、 |
事前定義されたプロファイルタイプのいずれかを使用する場合、有効なプロファイル設定はリリース間で変更される可能性があります。たとえば、リリース X.Y.Z にデプロイされた Intermediate プロファイルを使用する仕様がある場合、リリース X.Y.Z+1 へのアップグレードにより、新規のプロファイル設定が適用され、ロールアウトが生じる可能性があります。
7.3.1.2. Ingress Controller の TLS セキュリティープロファイルの設定
Ingress Controller の TLS セキュリティープロファイルを設定するには、IngressController
カスタムリソース (CR) を編集して、事前定義済みまたはカスタムの TLS セキュリティープロファイルを指定します。TLS セキュリティープロファイルが設定されていない場合、デフォルト値は API サーバーに設定された TLS セキュリティープロファイルに基づいています。
Old
TLS のセキュリティープロファイルを設定するサンプル IngressController
CR
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController ... spec: tlsSecurityProfile: old: {} type: Old ...
TLS セキュリティープロファイルは、Ingress Controller の TLS 接続の最小 TLS バージョンと TLS 暗号を定義します。
設定された TLS セキュリティープロファイルの暗号と最小 TLS バージョンは、Status.Tls Profile
配下の IngressController
カスタムリソース (CR) と Spec.Tls Security Profile
配下の設定された TLS セキュリティープロファイルで確認できます。Custom
TLS セキュリティープロファイルの場合、特定の暗号と最小 TLS バージョンは両方のパラメーターの下に一覧表示されます。
HAProxy Ingress Controller イメージは、TLS1.3
と Modern
プロファイルをサポートしています。
また、Ingress Operator は TLS 1.0
の Old
または Custom
プロファイルを 1.1
に変換します。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
openshift-ingress-operator
プロジェクトのIngressController
CR を編集して、TLS セキュリティープロファイルを設定します。$ oc edit IngressController default -n openshift-ingress-operator
spec.tlsSecurityProfile
フィールドを追加します。Custom
プロファイルのサンプルIngressController
CRapiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController ... spec: tlsSecurityProfile: type: Custom 1 custom: 2 ciphers: 3 - ECDHE-ECDSA-CHACHA20-POLY1305 - ECDHE-RSA-CHACHA20-POLY1305 - ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256 - ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256 minTLSVersion: VersionTLS11 ...
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
検証
IngressController
CR にプロファイルが設定されていることを確認します。$ oc describe IngressController default -n openshift-ingress-operator
出力例
Name: default Namespace: openshift-ingress-operator Labels: <none> Annotations: <none> API Version: operator.openshift.io/v1 Kind: IngressController ... Spec: ... Tls Security Profile: Custom: Ciphers: ECDHE-ECDSA-CHACHA20-POLY1305 ECDHE-RSA-CHACHA20-POLY1305 ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256 ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256 Min TLS Version: VersionTLS11 Type: Custom ...
7.3.1.3. 相互 TLS 認証の設定
spec.clientTLS
値を設定して、相互 TLS (mTLS) 認証を有効にするように Ingress Controller を設定できます。clientTLS
値は、クライアント証明書を検証するように Ingress Controller を設定します。この設定には、config map の参照である clientCA
値の設定が含まれます。config map には、クライアントの証明書を検証するために使用される PEM でエンコードされた CA 証明書バンドルが含まれます。必要に応じて、証明書サブジェクトフィルターのリストも設定できます。
clientCA
値が X509v3 証明書失効リスト (CRL) ディストリビューションポイントを指定している場合、Ingress Operator は、提供された各証明書で指定されている HTTP URI X509v3 CRL Distribution Point
に基づいて CRL config map をダウンロードおよび管理します。Ingress Controller は、mTLS/TLS ネゴシエーション中にこの config map を使用します。有効な証明書を提供しない要求は拒否されます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - PEM でエンコードされた CA 証明書バンドルがある。
CA バンドルが CRL ディストリビューションポイントを参照する場合は、エンドエンティティーまたはリーフ証明書もクライアント CA バンドルに含める必要があります。この証明書には、RFC 5280 で説明されているとおり、この証明書の
CRL Distribution Points
に HTTP URI が含まれている必要があります。以下に例を示します。Issuer: C=US, O=Example Inc, CN=Example Global G2 TLS RSA SHA256 2020 CA1 Subject: SOME SIGNED CERT X509v3 CRL Distribution Points: Full Name: URI:http://crl.example.com/example.crl
手順
openshift-config
namespace で、CA バンドルから config map を作成します。$ oc create configmap \ router-ca-certs-default \ --from-file=ca-bundle.pem=client-ca.crt \1 -n openshift-config
- 1
- config map データキーは
ca-bundle.pem
で、data の値は PEM 形式の CA 証明書である必要があります。
openshift-ingress-operator
プロジェクトでIngressController
リソースを編集します。$ oc edit IngressController default -n openshift-ingress-operator
spec.clientTLS
フィールドおよびサブフィールドを追加して相互 TLS を設定します。フィルタリングパターンを指定する
clientTLS
プロファイルのサンプルIngressController
CRapiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: clientTLS: clientCertificatePolicy: Required clientCA: name: router-ca-certs-default allowedSubjectPatterns: - "^/CN=example.com/ST=NC/C=US/O=Security/OU=OpenShift$"
-
オプションで、次のコマンドを入力して、
allowedSubjectPatterns
の識別名 (DN) を取得します。
$ openssl x509 -in custom-cert.pem -noout -subject subject= /CN=example.com/ST=NC/C=US/O=Security/OU=OpenShift
7.4. デフォルト Ingress Controller の表示
Ingress Operator は、OpenShift Container Platform の中核となる機能であり、追加の設定なしに有効にできます。
すべての新規 OpenShift Container Platform インストールには、ingresscontroller
の名前付きのデフォルトがあります。これは、追加の Ingress Controller で補足できます。デフォルトの ingresscontroller
が削除される場合、Ingress Operator は 1 分以内にこれを自動的に再作成します。
手順
デフォルト Ingress Controller を表示します。
$ oc describe --namespace=openshift-ingress-operator ingresscontroller/default
7.5. Ingress Operator ステータスの表示
Ingress Operator のステータスを表示し、検査することができます。
手順
Ingress Operator ステータスを表示します。
$ oc describe clusteroperators/ingress
7.6. Ingress Controller ログの表示
Ingress Controller ログを表示できます。
手順
Ingress Controller ログを表示します。
$ oc logs --namespace=openshift-ingress-operator deployments/ingress-operator -c <container_name>
7.7. Ingress Controller ステータスの表示
特定の Ingress Controller のステータスを表示できます。
手順
Ingress Controller のステータスを表示します。
$ oc describe --namespace=openshift-ingress-operator ingresscontroller/<name>
7.8. カスタム Ingress Controller の作成
クラスター管理者は、新規のカスタム Ingress Controller を作成できます。デフォルトの Ingress Controller は OpenShift Container Platform の更新時に変更される可能性があるため、クラスターの更新後も保持される設定を手動で維持する場合は、カスタム Ingress Controller を作成すると便利です。
この例では、カスタム Ingress Controller の最小限の仕様を提供します。カスタム Ingress Controller をさらにカスタマイズするには、「Ingress Controller の設定」を参照してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
カスタム
IngressController
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。custom-ingress-controller.yaml
ファイルの例apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: <custom_name> 1 namespace: openshift-ingress-operator spec: defaultCertificate: name: <custom-ingress-custom-certs> 2 replicas: 1 3 domain: <custom_domain> 4
以下のコマンドを実行してオブジェクトを作成します。
$ oc create -f custom-ingress-controller.yaml
7.9. Ingress Controller の設定
7.9.1. カスタムデフォルト証明書の設定
管理者として、Secret リソースを作成し、IngressController
カスタムリソース (CR) を編集して Ingress Controller がカスタム証明書を使用するように設定できます。
前提条件
- PEM エンコードされたファイルに証明書/キーのペアがなければなりません。ここで、証明書は信頼される認証局またはカスタム PKI で設定されたプライベートの信頼される認証局で署名されます。
証明書が以下の要件を満たしている必要があります。
- 証明書が Ingress ドメインに対して有効化されている必要があります。
-
証明書は拡張を使用して、
subjectAltName
拡張を使用して、*.apps.ocp4.example.com
などのワイルドカードドメインを指定します。
IngressController
CR がなければなりません。デフォルトの CR を使用できます。$ oc --namespace openshift-ingress-operator get ingresscontrollers
出力例
NAME AGE default 10m
Intermediate 証明書がある場合、それらはカスタムデフォルト証明書が含まれるシークレットの tls.crt
ファイルに組み込まれる必要があります。証明書を指定する際の順序は重要になります。サーバー証明書の後に Intermediate 証明書をリスト表示します。
手順
以下では、カスタム証明書とキーのペアが、現在の作業ディレクトリーの tls.crt
および tls.key
ファイルにあることを前提とします。tls.crt
および tls.key
を実際のパス名に置き換えます。さらに、Secret リソースを作成し、これを IngressController CR で参照する際に、custom-certs-default
を別の名前に置き換えます。
このアクションにより、Ingress Controller はデプロイメントストラテジーを使用して再デプロイされます。
tls.crt
およびtls.key
ファイルを使用して、カスタム証明書を含む Secret リソースをopenshift-ingress
namespace に作成します。$ oc --namespace openshift-ingress create secret tls custom-certs-default --cert=tls.crt --key=tls.key
IngressController CR を、新規証明書シークレットを参照するように更新します。
$ oc patch --type=merge --namespace openshift-ingress-operator ingresscontrollers/default \ --patch '{"spec":{"defaultCertificate":{"name":"custom-certs-default"}}}'
更新が正常に行われていることを確認します。
$ echo Q |\ openssl s_client -connect console-openshift-console.apps.<domain>:443 -showcerts 2>/dev/null |\ openssl x509 -noout -subject -issuer -enddate
ここでは、以下のようになります。
<domain>
- クラスターのベースドメイン名を指定します。
出力例
subject=C = US, ST = NC, L = Raleigh, O = RH, OU = OCP4, CN = *.apps.example.com issuer=C = US, ST = NC, L = Raleigh, O = RH, OU = OCP4, CN = example.com notAfter=May 10 08:32:45 2022 GM
ヒントまたは、以下の YAML を適用してカスタムのデフォルト証明書を設定できます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: defaultCertificate: name: custom-certs-default
証明書シークレットの名前は、CR を更新するために使用された値に一致する必要があります。
IngressController CR が変更された後に、Ingress Operator はカスタム証明書を使用できるように Ingress Controller のデプロイメントを更新します。
7.9.2. カスタムデフォルト証明書の削除
管理者は、使用する Ingress Controller を設定したカスタム証明書を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - Ingress Controller のカスタムデフォルト証明書を設定している。
手順
カスタム証明書を削除し、OpenShift Container Platform に同梱されている証明書を復元するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch -n openshift-ingress-operator ingresscontrollers/default \ --type json -p $'- op: remove\n path: /spec/defaultCertificate'
クラスターが新しい証明書設定を調整している間、遅延が発生する可能性があります。
検証
元のクラスター証明書が復元されたことを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ echo Q | \ openssl s_client -connect console-openshift-console.apps.<domain>:443 -showcerts 2>/dev/null | \ openssl x509 -noout -subject -issuer -enddate
ここでは、以下のようになります。
<domain>
- クラスターのベースドメイン名を指定します。
出力例
subject=CN = *.apps.<domain> issuer=CN = ingress-operator@1620633373 notAfter=May 10 10:44:36 2023 GMT
7.9.3. Ingress Controller の自動スケーリング
Ingress Controller は、スループットを増大させるための要件を含む、ルーティングのパフォーマンスや可用性に関する各種要件に動的に対応するために自動でスケーリングできます。
以下の手順では、デフォルトの Ingress Controller をスケールアップする例を示します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 Custom Metrics Autoscaler Operator と関連する KEDA Controller がインストールされている。
-
この Operator は、Web コンソールで OperatorHub を使用してインストールできます。Operator をインストールしたら、
KedaController
のインスタンスを作成できます。
-
この Operator は、Web コンソールで OperatorHub を使用してインストールできます。Operator をインストールしたら、
手順
以下のコマンドを実行して、Thanos で認証するためのサービスアカウントを作成します。
$ oc create -n openshift-ingress-operator serviceaccount thanos && oc describe -n openshift-ingress-operator serviceaccount thanos
出力例
Name: thanos Namespace: openshift-ingress-operator Labels: <none> Annotations: <none> Image pull secrets: thanos-dockercfg-kfvf2 Mountable secrets: thanos-dockercfg-kfvf2 Tokens: thanos-token-c422q Events: <none>
オプション: 次のコマンドを使用して、サービスアカウントシークレットトークンを手動で作成します。
重要ImageRegistry
機能を無効にした場合、または Cluster Image Registry Operator の設定で統合済みの OpenShift イメージレジストリーを無効にした場合、イメージプルシークレットはサービスアカウントごとに生成されません。この状況では、この手順を実行する必要があります。$ oc apply -f - <<EOF apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: thanos-token namespace: openshift-ingress-operator annotations: kubernetes.io/service-account.name: thanos type: kubernetes.io/service-account-token EOF
サービスアカウントのトークンを使用して、
openshift-ingress-operator
namespace 内でTriggerAuthentication
オブジェクトを定義します。次のコマンドを実行して、シークレットを含む
secret
変数を定義します。$ secret=$(oc get secret -n openshift-ingress-operator | grep thanos-token | head -n 1 | awk '{ print $1 }')
TriggerAuthentication
オブジェクトを作成し、secret
変数の値をTOKEN
パラメーターに渡します。$ oc process TOKEN="$secret" -f - <<EOF | oc apply -n openshift-ingress-operator -f - apiVersion: template.openshift.io/v1 kind: Template parameters: - name: TOKEN objects: - apiVersion: keda.sh/v1alpha1 kind: TriggerAuthentication metadata: name: keda-trigger-auth-prometheus spec: secretTargetRef: - parameter: bearerToken name: \${TOKEN} key: token - parameter: ca name: \${TOKEN} key: ca.crt EOF
Thanos からメトリクスを読み取るためのロールを作成して適用します。
Pod およびノードからメトリクスを読み取る新規ロール
thanos-metrics-reader.yaml
を作成します。thanos-metrics-reader.yaml
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: Role metadata: name: thanos-metrics-reader namespace: openshift-ingress-operator rules: - apiGroups: - "" resources: - pods - nodes verbs: - get - apiGroups: - metrics.k8s.io resources: - pods - nodes verbs: - get - list - watch - apiGroups: - "" resources: - namespaces verbs: - get
以下のコマンドを実行して新規ロールを適用します。
$ oc apply -f thanos-metrics-reader.yaml
以下のコマンドを入力して、新しいロールをサービスアカウントに追加します。
$ oc adm policy -n openshift-ingress-operator add-role-to-user thanos-metrics-reader -z thanos --role-namespace=openshift-ingress-operator
$ oc adm policy -n openshift-ingress-operator add-cluster-role-to-user cluster-monitoring-view -z thanos
注記引数
add-cluster-role-to-user
は、namespace 間のクエリーを使用する場合にのみ必要になります。以下の手順では、この引数を必要とするkube-metrics
namespace からのクエリーを使用します。デフォルトの Ingress Controller デプロイメントをターゲットにする新しい
ScaledObject
YAML ファイルingress-autoscaler.yaml
を作成します。ScaledObject
定義の例apiVersion: keda.sh/v1alpha1 kind: ScaledObject metadata: name: ingress-scaler namespace: openshift-ingress-operator spec: scaleTargetRef: 1 apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController name: default envSourceContainerName: ingress-operator minReplicaCount: 1 maxReplicaCount: 20 2 cooldownPeriod: 1 pollingInterval: 1 triggers: - type: prometheus metricType: AverageValue metadata: serverAddress: https://thanos-querier.openshift-monitoring.svc.cluster.local:9091 3 namespace: openshift-ingress-operator 4 metricName: 'kube-node-role' threshold: '1' query: 'sum(kube_node_role{role="worker",service="kube-state-metrics"})' 5 authModes: "bearer" authenticationRef: name: keda-trigger-auth-prometheus
重要namespace 間クエリーを使用している場合は、
serverAddress
フィールドのポート 9092 ではなくポート 9091 をターゲットにする必要があります。また、このポートからメトリクスを読み取るには、昇格した権限が必要です。以下のコマンドを実行してカスタムリソース定義を適用します。
$ oc apply -f ingress-autoscaler.yaml
検証
以下のコマンドを実行して、デフォルトの Ingress Controller が
kube-state-metrics
クエリーによって返される値に一致するようにスケールアウトされていることを確認します。grep
コマンドを使用して、Ingress Controller の YAML ファイルでレプリカを検索します。$ oc get -n openshift-ingress-operator ingresscontroller/default -o yaml | grep replicas:
出力例
replicas: 3
openshift-ingress
プロジェクトで Pod を取得します。$ oc get pods -n openshift-ingress
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE router-default-7b5df44ff-l9pmm 2/2 Running 0 17h router-default-7b5df44ff-s5sl5 2/2 Running 0 3d22h router-default-7b5df44ff-wwsth 2/2 Running 0 66s
7.9.4. Ingress Controller のスケーリング
Ingress Controller は、スループットを増大させるための要件を含む、ルーティングのパフォーマンスや可用性に関する各種要件に対応するために手動でスケーリングできます。oc
コマンドは、IngressController
リソースのスケーリングに使用されます。以下の手順では、デフォルトの IngressController
をスケールアップする例を示します。
スケーリングは、必要な数のレプリカを作成するのに時間がかかるため、すぐに実行できるアクションではありません。
手順
デフォルト
IngressController
の現在の利用可能なレプリカ数を表示します。$ oc get -n openshift-ingress-operator ingresscontrollers/default -o jsonpath='{$.status.availableReplicas}'
出力例
2
oc patch
コマンドを使用して、デフォルトのIngressController
を必要なレプリカ数にスケーリングします。以下の例では、デフォルトのIngressController
を 3 つのレプリカにスケーリングしています。$ oc patch -n openshift-ingress-operator ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"replicas": 3}}' --type=merge
出力例
ingresscontroller.operator.openshift.io/default patched
デフォルトの
IngressController
が指定したレプリカ数にスケーリングされていることを確認します。$ oc get -n openshift-ingress-operator ingresscontrollers/default -o jsonpath='{$.status.availableReplicas}'
出力例
3
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Ingress Controller を 3 つのレプリカにスケーリングすることもできます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 3 1
- 1
- 異なる数のレプリカが必要な場合は
replicas
値を変更します。
7.9.5. Ingress アクセスロギングの設定
アクセスログを有効にするように Ingress Controller を設定できます。大量のトラフィックを受信しないクラスターがある場合、サイドカーにログインできます。クラスターのトラフィックが多い場合、ロギングスタックの容量を超えないようにしたり、OpenShift Container Platform 外のロギングインフラストラクチャーと統合したりするために、ログをカスタム syslog エンドポイントに転送することができます。アクセスログの形式を指定することもできます。
コンテナーロギングは、既存の Syslog ロギングインフラストラクチャーがない場合や、Ingress Controller で問題を診断する際に短期間使用する場合に、低トラフィックのクラスターのアクセスログを有効にするのに役立ちます。
アクセスログが OpenShift Logging スタックの容量を超える可能性があるトラフィックの多いクラスターや、ロギングソリューションが既存の Syslog ロギングインフラストラクチャーと統合する必要のある環境では、syslog が必要です。Syslog のユースケースは重複する可能性があります。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
サイドカーへの Ingress アクセスロギングを設定します。
Ingress アクセスロギングを設定するには、
spec.logging.access.destination
を使用して宛先を指定する必要があります。サイドカーコンテナーへのロギングを指定するには、Container
spec.logging.access.destination.type
を指定する必要があります。以下の例は、コンテナーContainer
の宛先に対してログ記録する Ingress Controller 定義です。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: destination: type: Container
Ingress Controller をサイドカーに対してログを記録するように設定すると、Operator は Ingress Controller Pod 内に
logs
という名前のコンテナーを作成します。$ oc -n openshift-ingress logs deployment.apps/router-default -c logs
出力例
2020-05-11T19:11:50.135710+00:00 router-default-57dfc6cd95-bpmk6 router-default-57dfc6cd95-bpmk6 haproxy[108]: 174.19.21.82:39654 [11/May/2020:19:11:50.133] public be_http:hello-openshift:hello-openshift/pod:hello-openshift:hello-openshift:10.128.2.12:8080 0/0/1/0/1 200 142 - - --NI 1/1/0/0/0 0/0 "GET / HTTP/1.1"
Syslog エンドポイントへの Ingress アクセスロギングを設定します。
Ingress アクセスロギングを設定するには、
spec.logging.access.destination
を使用して宛先を指定する必要があります。Syslog エンドポイント宛先へのロギングを指定するには、spec.logging.access.destination.type
にSyslog
を指定する必要があります。宛先タイプがSyslog
の場合、spec.logging.access.destination.syslog.endpoint
を使用して宛先エンドポイントも指定する必要があります。また、spec.logging.access.destination.syslog.facility
を使用してファシリティーを指定できます。以下の例は、Syslog
宛先に対してログを記録する Ingress Controller の定義です。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: destination: type: Syslog syslog: address: 1.2.3.4 port: 10514
注記syslog
宛先ポートは UDP である必要があります。
特定のログ形式で Ingress アクセスロギングを設定します。
spec.logging.access.httpLogFormat
を指定して、ログ形式をカスタマイズできます。以下の例は、IP アドレスが 1.2.3.4 およびポート 10514 のsyslog
エンドポイントに対してログを記録する Ingress Controller の定義です。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: destination: type: Syslog syslog: address: 1.2.3.4 port: 10514 httpLogFormat: '%ci:%cp [%t] %ft %b/%s %B %bq %HM %HU %HV'
Ingress アクセスロギングを無効にします。
Ingress アクセスロギングを無効にするには、
spec.logging
またはspec.logging.access
を空のままにします。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: null
サイドカーの使用時に Ingress Controller が HAProxy ログの長さを変更できるようにします。
spec.logging.access.destination.type: Syslog
を使用している場合は、spec.logging.access.destination.syslog.maxLength
を使用します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: destination: type: Syslog syslog: address: 1.2.3.4 maxLength: 4096 port: 10514
spec.logging.access.destination.type: Container
を使用している場合は、spec.logging.access.destination.container.maxLength
を使用します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 2 logging: access: destination: type: Container container: maxLength: 8192
7.9.6. Ingress Controller スレッド数の設定
クラスター管理者は、スレッド数を設定して、クラスターが処理できる受信接続の量を増やすことができます。既存の Ingress Controller にパッチを適用して、スレッドの数を増やすことができます。
前提条件
- 以下では、Ingress Controller がすでに作成されていることを前提とします。
手順
Ingress Controller を更新して、スレッド数を増やします。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --type=merge -p '{"spec":{"tuningOptions": {"threadCount": 8}}}'
注記大量のリソースを実行できるノードがある場合、
spec.nodePlacement.nodeSelector
を、意図されているノードの容量に一致するラベルで設定し、spec.tuningOptions.threadCount
を随時高い値に設定します。
7.9.7. 内部ロードバランサーを使用するための Ingress Controller の設定
クラウドプラットフォームで Ingress Controller を作成する場合、Ingress Controller はデフォルトでパブリッククラウドロードバランサーによって公開されます。管理者は、内部クラウドロードバランサーを使用する Ingress Controller を作成できます。
クラウドプロバイダーが Microsoft Azure の場合、ノードを参照するパブリックロードバランサーが少なくとも 1 つ必要です。これがない場合、すべてのノードがインターネットへの Egress 接続を失います。
IngressController
の scope
を変更する場合は、カスタムリソース (CR) の作成後に .spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.scope
パラメーターを変更します。
図7.1 LoadBalancer の図
前述の図では、OpenShift Container Platform Ingress LoadBalancerService エンドポイントの公開戦略に関する以下のような概念を示しています。
- 負荷は、外部からクラウドプロバイダーのロードバランサーを使用するか、内部から OpenShift Ingress Controller Load Balancer を使用して、分散できます。
- ロードバランサーのシングル IP アドレスと、図にあるクラスターのように、8080 や 4200 といった馴染みのあるポートを使用することができます。
- 外部のロードバランサーからのトラフィックは、ダウンしたノードのインスタンスで記載されているように、Pod の方向に進められ、ロードバランサーが管理します。実装の詳細は、Kubernetes サービスドキュメント を参照してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の例のように、
<name>-ingress-controller.yaml
という名前のファイルにIngressController
カスタムリソース (CR) を作成します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: namespace: openshift-ingress-operator name: <name> 1 spec: domain: <domain> 2 endpointPublishingStrategy: type: LoadBalancerService loadBalancer: scope: Internal 3
以下のコマンドを実行して、直前の手順で定義された Ingress Controller を作成します。
$ oc create -f <name>-ingress-controller.yaml 1
- 1
<name>
をIngressController
オブジェクトの名前に置き換えます。
オプション: 以下のコマンドを実行して Ingress Controller が作成されていることを確認します。
$ oc --all-namespaces=true get ingresscontrollers
7.9.8. GCP での Ingress Controller のグローバルアクセスの設定
内部ロードバランサーで GCP で作成された Ingress Controller は、サービスの内部 IP アドレスを生成します。クラスター管理者は、グローバルアクセスオプションを指定できます。これにより、同じ VPC ネットワーク内の任意のリージョンでクラスターを有効にし、ロードバランサーとしてコンピュートリージョンを有効にして、クラスターで実行されるワークロードに到達できるようにできます。
詳細情報は、GCP ドキュメントの グローバルアクセス を参照してください。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを GCP インフラストラクチャーにデプロイしている。
- 内部ロードバランサーを使用するように Ingress Controller を設定している。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
グローバルアクセスを許可するように Ingress Controller リソースを設定します。
注記Ingress Controller を作成し、グローバルアクセスのオプションを指定することもできます。
Ingress Controller リソースを設定します。
$ oc -n openshift-ingress-operator edit ingresscontroller/default
YAML ファイルを編集します。
サンプル
clientAccess
設定をGlobal
に設定します。spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: providerParameters: gcp: clientAccess: Global 1 type: GCP scope: Internal type: LoadBalancerService
- 1
gcp.clientAccess
をGlobal
に設定します。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
以下のコマンドを実行して、サービスがグローバルアクセスを許可することを確認します。
$ oc -n openshift-ingress edit svc/router-default -o yaml
この出力では、グローバルアクセスがアノテーション
networking.gke.io/internal-load-balancer-allow-global-access
で GCP について有効にされていることを示しています。
7.9.9. Ingress Controller のヘルスチェック間隔の設定
クラスター管理者は、ヘルスチェックの間隔を設定して、ルーターが連続する 2 回のヘルスチェックの間で待機する時間を定義できます。この値は、すべてのルートのデフォルトとしてグローバルに適用されます。デフォルト値は 5 秒です。
前提条件
- 以下では、Ingress Controller がすでに作成されていることを前提とします。
手順
Ingress Controller を更新して、バックエンドヘルスチェックの間隔を変更します。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --type=merge -p '{"spec":{"tuningOptions": {"healthCheckInterval": "8s"}}}'
注記単一ルートの
healthCheckInterval
をオーバーライドするには、ルートアノテーションrouter.openshift.io/haproxy.health.check.interval
を使用します
7.9.10. クラスターを内部に配置するためのデフォルト Ingress Controller の設定
削除や再作成を実行して、クラスターを内部に配置するように default
Ingress Controller を設定できます。
クラウドプロバイダーが Microsoft Azure の場合、ノードを参照するパブリックロードバランサーが少なくとも 1 つ必要です。これがない場合、すべてのノードがインターネットへの Egress 接続を失います。
IngressController
の scope
を変更する場合は、カスタムリソース (CR) の作成後に .spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.scope
パラメーターを変更します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
削除や再作成を実行して、クラスターを内部に配置するように
default
Ingress Controller を設定します。$ oc replace --force --wait --filename - <<EOF apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: namespace: openshift-ingress-operator name: default spec: endpointPublishingStrategy: type: LoadBalancerService loadBalancer: scope: Internal EOF
7.9.11. ルートの受付ポリシーの設定
管理者およびアプリケーション開発者は、同じドメイン名を持つ複数の namespace でアプリケーションを実行できます。これは、複数のチームが同じホスト名で公開されるマイクロサービスを開発する組織を対象としています。
複数の namespace での要求の許可は、namespace 間の信頼のあるクラスターに対してのみ有効にする必要があります。有効にしないと、悪意のあるユーザーがホスト名を乗っ取る可能性があります。このため、デフォルトの受付ポリシーは複数の namespace 間でのホスト名の要求を許可しません。
前提条件
- クラスター管理者の権限。
手順
以下のコマンドを使用して、
ingresscontroller
リソース変数の.spec.routeAdmission
フィールドを編集します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"routeAdmission":{"namespaceOwnership":"InterNamespaceAllowed"}}}' --type=merge
イメージコントローラー設定例
spec: routeAdmission: namespaceOwnership: InterNamespaceAllowed ...
ヒントまたは、以下の YAML を適用してルートの受付ポリシーを設定できます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: routeAdmission: namespaceOwnership: InterNamespaceAllowed
7.9.12. ワイルドカードルートの使用
HAProxy Ingress Controller にはワイルドカードルートのサポートがあります。Ingress Operator は wildcardPolicy
を使用して、Ingress Controller の ROUTER_ALLOW_WILDCARD_ROUTES
環境変数を設定します。
Ingress Controller のデフォルトの動作では、ワイルドカードポリシーの None
(既存の IngressController
リソースとの後方互換性がある) を持つルートを許可します。
手順
ワイルドカードポリシーを設定します。
以下のコマンドを使用して
IngressController
リソースを編集します。$ oc edit IngressController
spec
の下で、wildcardPolicy
フィールドをWildcardsDisallowed
またはWildcardsAllowed
に設定します。spec: routeAdmission: wildcardPolicy: WildcardsDisallowed # or WildcardsAllowed
7.9.13. HTTP ヘッダーの設定
OpenShift Container Platform は、HTTP ヘッダーを操作するためのさまざまな方法を提供します。ヘッダーを設定または削除する場合、Ingress Controller の特定のフィールドまたは個々のルートを使用して、リクエストヘッダーと応答ヘッダーを変更できます。ルートアノテーションを使用して特定のヘッダーを設定することもできます。ヘッダーを設定するさまざまな方法は、連携時に課題となる可能性があります。
IngressController
または Route
CR 内のヘッダーは設定または削除のみ可能で、追加はできません。HTTP ヘッダーに値が設定されている場合、その値は完全である必要があるため、今後追加する必要はありません。X-Forwarded-For ヘッダーなどのヘッダーを追加することが適切な状況では、spec.httpHeaders.actions
の代わりに spec.httpHeaders.forwardedHeaderPolicy
フィールドを使用します。
7.9.13.1. 優先順位
同じ HTTP ヘッダーを Ingress Controller とルートの両方で変更すると、HAProxy は、それがリクエストヘッダーであるか応答ヘッダーであるかに応じて、特定の方法でアクションの優先順位を付けます。
- HTTP 応答ヘッダーの場合、Ingress Controller で指定されたアクションは、ルートで指定されたアクションの後に実行されます。これは、Ingress Controller で指定されたアクションが優先されることを意味します。
- HTTP リクエストヘッダーの場合、ルートで指定されたアクションは、Ingress Controller で指定されたアクションの後に実行されます。これは、ルートで指定されたアクションが優先されることを意味します。
たとえば、クラスター管理者は、次の設定を使用して、Ingress Controller で X-Frame-Options 応答ヘッダーに値 DENY
を設定します。
IngressController
仕様の例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController # ... spec: httpHeaders: actions: response: - name: X-Frame-Options action: type: Set set: value: DENY
ルート所有者は、クラスター管理者が Ingress Controller に設定したものと同じ応答ヘッダーを設定しますが、次の設定を使用して値 SAMEORIGIN
を設定します。
Route
仕様の例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route # ... spec: httpHeaders: actions: response: - name: X-Frame-Options action: type: Set set: value: SAMEORIGIN
IngressController
仕様と Route
仕様の両方で X-Frame-Options ヘッダーを設定している場合、特定のルートでフレームが許可されている場合でも、Ingress Controller のグローバルレベルでこのヘッダーに設定された値が優先されます。
この優先順位付けは、haproxy.config
ファイルが次のロジックを使用するために発生します。このロジックでは、Ingress Controller がフロントエンドとみなされ、個々のルートがバックエンドとみなされます。フロントエンド設定に適用されるヘッダー値 DENY
は、バックエンドで設定されている値 SAMEORIGIN
で同じヘッダーをオーバーライドします。
frontend public http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' frontend fe_sni http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' frontend fe_no_sni http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' backend be_secure:openshift-monitoring:alertmanager-main http-response set-header X-Frame-Options 'SAMEORIGIN'
さらに、Ingress Controller またはルートのいずれかで定義されたアクションは、ルートアノテーションを使用して設定された値をオーバーライドします。
7.9.13.2. 特殊なケースのヘッダー
次のヘッダーは、設定または削除が完全に禁止されているか、特定の状況下で許可されています。
ヘッダー名 | IngressController 仕様を使用して設定可能かどうか | Route 仕様を使用して設定可能かどうか | 不許可の理由 | 別の方法で設定可能かどうか |
---|---|---|---|---|
| いいえ | いいえ |
| いいえ |
| いいえ | はい |
| いいえ |
| いいえ | いいえ |
|
はい: |
| いいえ | いいえ | HAProxy が設定する Cookie は、クライアント接続を特定のバックエンドサーバーにマップするセッション追跡に使用されます。これらのヘッダーの設定を許可すると、HAProxy のセッションアフィニティーが妨げられ、HAProxy の Cookie の所有権が制限される可能性があります。 | はい:
|
7.9.14. Ingress Controller での HTTP リクエストおよびレスポンスヘッダーの設定または削除
コンプライアンス目的またはその他の理由で、特定の HTTP 要求および応答ヘッダーを設定または削除できます。これらのヘッダーは、Ingress Controller によって提供されるすべてのルート、または特定のルートに対して設定または削除できます。
たとえば、相互 TLS を使用するようにクラスター上で実行されているアプリケーションを移行する場合があります。このような場合、お使いのアプリケーションで X-Forwarded-Client-Cert リクエストヘッダーをチェックする必要がありますが、OpenShift Container Platform のデフォルトの Ingress Controller は X-SSL-Client-Der リクエストヘッダーを提供します。
次の手順では、Ingress Controller を変更して X-Forwarded-Client-Cert リクエストヘッダーを設定し、X-SSL-Client-Der リクエストヘッダーを削除します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
Ingress Controller リソースを編集します。
$ oc -n openshift-ingress-operator edit ingresscontroller/default
X-SSL-Client-Der HTTP リクエストヘッダーは X-Forwarded-Client-Cert HTTP リクエストヘッダーに置き換えます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: httpHeaders: actions: 1 request: 2 - name: X-Forwarded-Client-Cert 3 action: type: Set 4 set: value: "%{+Q}[ssl_c_der,base64]" 5 - name: X-SSL-Client-Der action: type: Delete
- 1
- HTTP ヘッダーに対して実行するアクションのリスト。
- 2
- 変更するヘッダーのタイプ。この場合はリクエストヘッダーです。
- 3
- 変更するヘッダーの名前。設定または削除できる使用可能なヘッダーのリストは、HTTP ヘッダーの設定 を参照してください。
- 4
- ヘッダーに対して実行されるアクションのタイプ。このフィールドには、
Set
またはDelete
の値を指定できます。 - 5
- HTTP ヘッダーの設定時は、
値
を指定する必要があります。値は、そのヘッダーで使用可能なディレクティブのリストからの文字列 (例:DENY)
にすることも、HAProxy の動的値構文を使用して解釈される動的値にすることもできます。この場合、動的な値が追加されます。
注記HTTP 応答の動的ヘッダー値を設定する場合、サンプルフェッチャーとして
res.hdr
およびssl_c_der
を使用できます。HTTP リクエストの動的ヘッダー値を設定する場合、許可されるサンプルフェッチャーはreq.hdr
およびssl_c_der
です。リクエストとレスポンスの両方の動的値で、lower
コンバーターとBase64
コンバーターを使用できます。- 変更を適用するためにファイルを保存します。
7.9.15. X-Forwarded ヘッダーの使用
Forwarded
および X-Forwarded-For
を含む HTTP ヘッダーの処理方法に関するポリシーを指定するように HAProxy Ingress Controller を設定します。Ingress Operator は HTTPHeaders
フィールドを使用して、Ingress Controller の ROUTER_SET_FORWARDED_HEADERS
環境変数を設定します。
手順
Ingress Controller 用に
HTTPHeaders
フィールドを設定します。以下のコマンドを使用して
IngressController
リソースを編集します。$ oc edit IngressController
spec
の下で、HTTPHeaders
ポリシーフィールドをAppend
、Replace
、IfNone
、またはNever
に設定します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: httpHeaders: forwardedHeaderPolicy: Append
使用例
クラスター管理者として、以下を実行できます。
Ingress Controller に転送する前に、
X-Forwarded-For
ヘッダーを各リクエストに挿入する外部プロキシーを設定します。ヘッダーを変更せずに渡すように Ingress Controller を設定するには、
never
ポリシーを指定します。これにより、Ingress Controller はヘッダーを設定しなくなり、アプリケーションは外部プロキシーが提供するヘッダーのみを受信します。外部プロキシーが外部クラスター要求を設定する
X-Forwarded-For
ヘッダーを変更せずに渡すように Ingress Controller を設定します。外部プロキシーを通過しない内部クラスター要求に
X-Forwarded-For
ヘッダーを設定するように Ingress Controller を設定するには、if-none
ポリシーを指定します。外部プロキシー経由で HTTP 要求にヘッダーがすでに設定されている場合、Ingress Controller はこれを保持します。要求がプロキシーを通過していないためにヘッダーがない場合、Ingress Controller はヘッダーを追加します。
アプリケーション開発者として、以下を実行できます。
X-Forwarded-For
ヘッダーを挿入するアプリケーション固有の外部プロキシーを設定します。他の Route のポリシーに影響を与えずに、アプリケーションの Route 用にヘッダーを変更せずに渡すように Ingress Controller を設定するには、アプリケーションの Route にアノテーション
haproxy.router.openshift.io/set-forwarded-headers: if-none
またはhaproxy.router.openshift.io/set-forwarded-headers: never
を追加します。注記Ingress Controller のグローバルに設定された値とは別に、
haproxy.router.openshift.io/set-forwarded-headers
アノテーションをルートごとに設定できます。
7.9.16. HTTP/2 Ingress 接続の有効化
HAProxy で透過的なエンドツーエンド HTTP/2 接続を有効にすることができます。これにより、アプリケーションの所有者は、単一接続、ヘッダー圧縮、バイナリーストリームなど、HTTP/2 プロトコル機能を使用できます。
個別の Ingress Controller またはクラスター全体について、HTTP/2 接続を有効にすることができます。
クライアントから HAProxy への接続について HTTP/2 の使用を有効にするために、ルートはカスタム証明書を指定する必要があります。デフォルトの証明書を使用するルートは HTTP/2 を使用することができません。この制限は、クライアントが同じ証明書を使用する複数の異なるルートに接続を再使用するなどの、接続の結合 (coalescing) の問題を回避するために必要です。
HAProxy からアプリケーション Pod への接続は、re-encrypt ルートのみに HTTP/2 を使用でき、edge-terminated ルートまたは非セキュアなルートには使用しません。この制限は、HAProxy が TLS 拡張である Application-Level Protocol Negotiation (ALPN) を使用してバックエンドで HTTP/2 の使用をネゴシエートするためにあります。そのため、エンドツーエンドの HTTP/2 はパススルーおよび re-encrypt 使用できますが、非セキュアなルートまたは edge-terminated ルートでは使用できません。
パススルー以外のルートの場合、Ingress Controller はクライアントからの接続とは独立してアプリケーションへの接続をネゴシエートします。つまり、クライアントが Ingress Controller に接続して HTTP/1.1 をネゴシエートし、Ingress Controller は次にアプリケーションに接続して HTTP/2 をネゴシエートし、アプリケーションへの HTTP/2 接続を使用してクライアント HTTP/1.1 接続からの要求の転送を実行できます。Ingress Controller は WebSocket を HTTP/2 に転送できず、その HTTP/2 接続を WebSocket に対してアップグレードできないため、クライアントが後に HTTP/1.1 から WebSocket プロトコルに接続をアップグレードしようとすると問題が発生します。そのため、WebSocket 接続を受け入れることが意図されたアプリケーションがある場合、これは HTTP/2 プロトコルのネゴシエートを許可できないようにする必要があります。そうしないと、クライアントは WebSocket プロトコルへのアップグレードに失敗します。
手順
単一 Ingress Controller で HTTP/2 を有効にします。
Ingress Controller で HTTP/2 を有効にするには、
oc annotate
コマンドを入力します。$ oc -n openshift-ingress-operator annotate ingresscontrollers/<ingresscontroller_name> ingress.operator.openshift.io/default-enable-http2=true
<ingresscontroller_name>
をアノテーションを付ける Ingress Controller の名前に置き換えます。
クラスター全体で HTTP/2 を有効にします。
クラスター全体で HTTP/2 を有効にするには、
oc annotate
コマンドを入力します。$ oc annotate ingresses.config/cluster ingress.operator.openshift.io/default-enable-http2=true
ヒントまたは、以下の YAML を適用してアノテーションを追加できます。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Ingress metadata: name: cluster annotations: ingress.operator.openshift.io/default-enable-http2: "true"
7.9.17. Ingress Controller の PROXY プロトコルの設定
クラスター管理者は、Ingress Controller が HostNetwork
、NodePortService
、または Private
エンドポイントの公開ストラテジータイプのいずれかを使用する際に PROXY プロトコル を設定できます。PROXY プロトコルにより、ロードバランサーは Ingress Controller が受信する接続の元のクライアントアドレスを保持することができます。元のクライアントアドレスは、HTTP ヘッダーのロギング、フィルタリング、および挿入を実行する場合に便利です。デフォルト設定では、Ingress Controller が受信する接続には、ロードバランサーに関連付けられるソースアドレスのみが含まれます。
Keepalived Ingress 仮想 IP (VIP) を使用するクラウド以外のプラットフォーム上の installer-provisioned クラスターを備えたデフォルトの Ingress Controller は、PROXY プロトコルをサポートしていません。
PROXY プロトコルにより、ロードバランサーは Ingress Controller が受信する接続の元のクライアントアドレスを保持することができます。元のクライアントアドレスは、HTTP ヘッダーのロギング、フィルタリング、および挿入を実行する場合に便利です。デフォルト設定では、Ingress Controller が受信する接続には、ロードバランサーに関連付けられる送信元 IP アドレスのみが含まれます。
パススルールート設定の場合、OpenShift Container Platform クラスター内のサーバーは、元のクライアント送信元 IP アドレスを監視できません。元のクライアント送信元 IP アドレスを知る必要がある場合は、Ingress Controller の Ingress アクセスロギングを設定して、クライアント送信元 IP アドレスを表示できるようにします。
再暗号化およびエッジルートの場合、OpenShift Container Platform ルーターは Forwarded
ヘッダーと X-Forwarded-For
ヘッダーを設定し、アプリケーションワークロードがクライアントの送信元 IP アドレスをチェックできるようにします。
Ingress アクセスロギングの詳細は、「Ingress アクセスロギングの設定」を参照してください。
LoadBalancerService
エンドポイント公開ストラテジータイプを使用する場合、Ingress Controller の PROXY プロトコルの設定はサポートされません。この制限があるのは、OpenShift Container Platform がクラウドプラットフォームで実行され、Ingress Controller がサービスロードバランサーを使用するように指定している場合に、Ingress Operator がロードバランサーサービスを設定し、ソースアドレスを保持するプラットフォーム要件に基づいて PROXY プロトコルを有効にするためです。
PROXY プロトコルまたは TCP のいずれかを使用するには、OpenShift Container Platform と外部ロードバランサーの両方を設定する必要があります。
この機能は、クラウドデプロイメントではサポートされていません。この制限があるのは、OpenShift Container Platform がクラウドプラットフォームで実行され、Ingress Controller がサービスロードバランサーを使用するように指定している場合に、Ingress Operator がロードバランサーサービスを設定し、ソースアドレスを保持するプラットフォーム要件に基づいて PROXY プロトコルを有効にするためです。
PROXY プロトコルまたは Transmission Control Protocol (TCP) のいずれかを使用するには、OpenShift Container Platform と外部ロードバランサーの両方を設定する必要があります。
前提条件
- Ingress Controller を作成している。
手順
CLI で次のコマンドを入力して、Ingress Controller リソースを編集します。
$ oc -n openshift-ingress-operator edit ingresscontroller/default
PROXY 設定を設定します。
Ingress Controller が
HostNetwork
エンドポイント公開ストラテジータイプを使用する場合は、spec.endpointPublishingStrategy.hostNetwork.protocol
サブフィールドをPROXY
に設定します。PROXY
へのhostNetwork
の設定例# ... spec: endpointPublishingStrategy: hostNetwork: protocol: PROXY type: HostNetwork # ...
Ingress Controller が
NodePortService
エンドポイント公開ストラテジータイプを使用する場合は、spec.endpointPublishingStrategy.nodePort.protocol
サブフィールドをPROXY
に設定します。PROXY
へのサンプルnodePort
設定# ... spec: endpointPublishingStrategy: nodePort: protocol: PROXY type: NodePortService # ...
Ingress Controller が
Private
エンドポイント公開ストラテジータイプを使用する場合は、spec.endpointPublishingStrategy.private.protocol
サブフィールドをPROXY
に設定します。PROXY
へのprivate
設定のサンプル# ... spec: endpointPublishingStrategy: private: protocol: PROXY type: Private # ...
関連情報
7.9.18. appsDomain オプションを使用した代替クラスタードメインの指定
クラスター管理者は、appsDomain
フィールドを設定して、ユーザーが作成したルートのデフォルトのクラスタードメインの代わりとなるものを指定できます。appsDomain
フィールドは、domain
フィールドで指定されているデフォルトの代わりに使用する OpenShift Container Platform のオプションのドメインです。代替ドメインを指定する場合、これは新規ルートのデフォルトホストを判別できるようにする目的でデフォルトのクラスタードメインを上書きします。
たとえば、所属企業の DNS ドメインを、クラスター上で実行されるアプリケーションのルートおよび ingress のデフォルトドメインとして使用できます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターをデプロイしていること。
-
oc
コマンドラインインターフェイスがインストールされている。
手順
ユーザーが作成するルートに代替のデフォルトドメインを指定して
appsDomain
フィールドを設定します。Ingress
cluster
リソースを編集します。$ oc edit ingresses.config/cluster -o yaml
YAML ファイルを編集します。
test.example.com
へのappsDomain
の設定例apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Ingress metadata: name: cluster spec: domain: apps.example.com 1 appsDomain: <test.example.com> 2
ルートを公開し、ルートドメインの変更を確認して、既存のルートに、
appsDomain
フィールドで指定したドメイン名が含まれていることを確認します。注記ルートを公開する前に
openshift-apiserver
がローリング更新を終了するのを待機します。ルートを公開します。
$ oc expose service hello-openshift route.route.openshift.io/hello-openshift exposed
出力例:
$ oc get routes NAME HOST/PORT PATH SERVICES PORT TERMINATION WILDCARD hello-openshift hello_openshift-<my_project>.test.example.com hello-openshift 8080-tcp None
7.9.19. HTTP ヘッダーケースの変換
HAProxy では、デフォルトで HTTP ヘッダー名を小文字化します。たとえば、Host: xyz.com
は host: xyz.com
に変更されます。レガシーアプリケーションが HTTP ヘッダー名の大文字を認識する場合、Ingress Controller の spec.httpHeaders.headerNameCaseAdjustments
API フィールドを、修正されるまでレガシーアプリケーションに対応するソリューションに使用します。
OpenShift Container Platform には HAProxy 2.6 が含まれています。このバージョンの Web ベースのロードバランサーに更新する場合は、必ずクラスターの設定ファイルに spec.httpHeaders.headerNameCaseAdjustments
セクションを追加してください。
クラスター管理者は、oc patch
コマンドを入力するか、Ingress Controller YAML ファイルの HeaderNameCaseAdjustments
フィールドを設定して HTTP ヘッダーのケースを変換できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
oc patch
コマンドを使用して、HTTP ヘッダーを大文字にします。次のコマンドを実行して、HTTP ヘッダーを
host
からHost
に変更します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontrollers/default --type=merge --patch='{"spec":{"httpHeaders":{"headerNameCaseAdjustments":["Host"]}}}'
アノテーションをアプリケーションに適用できるように、
Route
リソースの YAML ファイルを作成します。my-application
という名前のルートの例apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/h1-adjust-case: true 1 name: <application_name> namespace: <application_name> # ...
- 1
- Ingress コントローラーが指定どおりに
host
リクエストヘッダーを調整できるように、haproxy.router.openshift.io/h1-adjust-case
を設定します。
Ingress Controller YAML 設定ファイルで
HeaderNameCaseAdjustments
フィールドを設定して調整を指定します。次の Ingress Controller YAML ファイルの例では、適切にアノテーションが付けられたルートへの HTTP/1 リクエストの
host
ヘッダーをHost
に調整します。Ingress Controller YAML のサンプル
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: httpHeaders: headerNameCaseAdjustments: - Host
次のルートの例では、
haproxy.router.openshift.io/h1-adjust-case
アノテーションを使用して HTTP レスポンスヘッダー名の大文字と小文字の調整を有効にします。ルート YAML のサンプル
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/h1-adjust-case: true 1 name: my-application namespace: my-application spec: to: kind: Service name: my-application
- 1
haproxy.router.openshift.io/h1-adjust-case
を true に設定します。
7.9.20. ルーター圧縮の使用
特定の MIME タイプに対してルーター圧縮をグローバルに指定するように HAProxy Ingress Controller を設定します。mimeTypes
変数を使用して、圧縮が適用される MIME タイプの形式を定義できます。タイプは、アプリケーション、イメージ、メッセージ、マルチパート、テキスト、ビデオ、または "X-" で始まるカスタムタイプです。MIME タイプとサブタイプの完全な表記を確認するには、RFC1341を参照してください。
圧縮用に割り当てられたメモリーは、最大接続数に影響を与える可能性があります。さらに、大きなバッファーを圧縮すると、正規表現による負荷が多い場合や正規表現のリストが長い場合など、レイテンシーが発生する可能性があります。
すべての MIME タイプが圧縮から利点を得るわけではありませんが、HAProxy は、指示された場合でもリソースを使用して圧縮を試みます。一般に、html、css、js などのテキスト形式は圧縮から利点を得ますが、イメージ、音声、ビデオなどのすでに圧縮済みの形式は、圧縮に時間とリソースが費やされるわりに利点はほぼありません。
手順
Ingress Controller の
httpCompression
フィールドを設定します。以下のコマンドを使用して
IngressController
リソースを編集します。$ oc edit -n openshift-ingress-operator ingresscontrollers/default
spec
で、httpCompression
ポリシーフィールドをmimeTypes
に設定し、圧縮を適用する必要がある MIME タイプのリストを指定します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: httpCompression: mimeTypes: - "text/html" - "text/css; charset=utf-8" - "application/json" ...
7.9.21. ルーターメトリクスの公開
デフォルトで、HAProxy ルーターメトリクスをデフォルトの stats ポート (1936) に Prometheus 形式で公開できます。Prometheus などの外部メトリクス収集および集約システムは、HAProxy ルーターメメトリクスにアクセスできます。HAProxy ルーターメトリクスは、HTML およびコンマ区切り値 (CSV) 形式でブラウザーに表示できます。
前提条件
- ファイアウォールを、デフォルトの stats ポート (1936) にアクセスするように設定している。
手順
次のコマンドを実行して、ルーター Pod 名を取得します。
$ oc get pods -n openshift-ingress
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE router-default-76bfffb66c-46qwp 1/1 Running 0 11h
ルーター Pod が
/var/lib/haproxy/conf/metrics-auth/statsUsername
および/var/lib/haproxy/conf/metrics-auth/statsPassword
ファイルに保存しているルーターのユーザー名およびパスワードを取得します。次のコマンドを実行して、ユーザー名を取得します。
$ oc rsh <router_pod_name> cat metrics-auth/statsUsername
次のコマンドを実行して、パスワードを取得します。
$ oc rsh <router_pod_name> cat metrics-auth/statsPassword
次のコマンドを実行して、ルーター IP およびメトリクス証明書を取得します。
$ oc describe pod <router_pod>
つぎのコマンドを実行して、Prometheus 形式で未加工の統計情報を取得します。
$ curl -u <user>:<password> http://<router_IP>:<stats_port>/metrics
次のコマンドを実行して、安全にメトリクスにアクセスします。
$ curl -u user:password https://<router_IP>:<stats_port>/metrics -k
次のコマンドを実行して、デフォルトの stats ポート (1936) にアクセスします。
$ curl -u <user>:<password> http://<router_IP>:<stats_port>/metrics
例7.1 出力例
... # HELP haproxy_backend_connections_total Total number of connections. # TYPE haproxy_backend_connections_total gauge haproxy_backend_connections_total{backend="http",namespace="default",route="hello-route"} 0 haproxy_backend_connections_total{backend="http",namespace="default",route="hello-route-alt"} 0 haproxy_backend_connections_total{backend="http",namespace="default",route="hello-route01"} 0 ... # HELP haproxy_exporter_server_threshold Number of servers tracked and the current threshold value. # TYPE haproxy_exporter_server_threshold gauge haproxy_exporter_server_threshold{type="current"} 11 haproxy_exporter_server_threshold{type="limit"} 500 ... # HELP haproxy_frontend_bytes_in_total Current total of incoming bytes. # TYPE haproxy_frontend_bytes_in_total gauge haproxy_frontend_bytes_in_total{frontend="fe_no_sni"} 0 haproxy_frontend_bytes_in_total{frontend="fe_sni"} 0 haproxy_frontend_bytes_in_total{frontend="public"} 119070 ... # HELP haproxy_server_bytes_in_total Current total of incoming bytes. # TYPE haproxy_server_bytes_in_total gauge haproxy_server_bytes_in_total{namespace="",pod="",route="",server="fe_no_sni",service=""} 0 haproxy_server_bytes_in_total{namespace="",pod="",route="",server="fe_sni",service=""} 0 haproxy_server_bytes_in_total{namespace="default",pod="docker-registry-5-nk5fz",route="docker-registry",server="10.130.0.89:5000",service="docker-registry"} 0 haproxy_server_bytes_in_total{namespace="default",pod="hello-rc-vkjqx",route="hello-route",server="10.130.0.90:8080",service="hello-svc-1"} 0 ...
ブラウザーで以下の URL を入力して、stats ウィンドウを起動します。
http://<user>:<password>@<router_IP>:<stats_port>
オプション: ブラウザーに次の URL を入力して、CSV 形式で統計情報を取得します。
http://<user>:<password>@<router_ip>:1936/metrics;csv
7.9.22. HAProxy エラーコードの応答ページのカスタマイズ
クラスター管理者は、503、404、またはその両方のエラーページにカスタムのエラーコード応答ページを指定できます。HAProxy ルーターは、アプリケーション Pod が実行していない場合や、要求された URL が存在しない場合に 404 エラーページを提供する 503 エラーページを提供します。たとえば、503 エラーコードの応答ページをカスタマイズする場合は、アプリケーション Pod が実行していないときにページが提供されます。また、デフォルトの 404 エラーコード HTTP 応答ページは、誤ったルートまたは存在しないルートについて HAProxy ルーターによって提供されます。
カスタムエラーコードの応答ページは config map に指定し、Ingress Controller にパッチを適用されます。config map キーには、error-page-503.http
と error-page-404.http
の 2 つの利用可能なファイル名があります。
カスタムの HTTP エラーコードの応答ページは、HAProxy HTTP エラーページ設定のガイドライン に従う必要があります。以下は、デフォルトの OpenShift Container Platform HAProxy ルーターの http 503 エラーコード応答ページ の例です。デフォルトのコンテンツを、独自のカスタムページを作成するためのテンプレートとして使用できます。
デフォルトで、HAProxy ルーターは、アプリケーションが実行していない場合や、ルートが正しくないまたは存在しない場合に 503 エラーページのみを提供します。このデフォルトの動作は、OpenShift Container Platform 4.8 以前の動作と同じです。HTTP エラーコード応答をカスタマイズするための config map が提供されておらず、カスタム HTTP エラーコード応答ページを使用している場合、ルーターはデフォルトの 404 または 503 エラーコード応答ページを提供します。
OpenShift Container Platform のデフォルトの 503 エラーコードページをカスタマイズのテンプレートとして使用する場合、ファイル内のヘッダーで CRLF 改行コードを使用できるエディターが必要になります。
手順
openshift-config
にmy-custom-error-code-pages
という名前の config map を作成します。$ oc -n openshift-config create configmap my-custom-error-code-pages \ --from-file=error-page-503.http \ --from-file=error-page-404.http
重要カスタムエラーコードの応答ページに適した形式を指定しない場合は、ルーター Pod が停止します。この停止を解決するには、config map を削除するか、修正し、影響を受けるルーター Pod を削除して、正しい情報で再作成できるようにします。
Ingress Controller にパッチを適用し、名前を指定して
my-custom-error-code-pages
config map を参照します。$ oc patch -n openshift-ingress-operator ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"httpErrorCodePages":{"name":"my-custom-error-code-pages"}}}' --type=merge
Ingress Operator は、
openshift-config
namespace からopenshift-ingress
namespace にmy-custom-error-code-pages
config map をコピーします。Operator は、openshift-ingress
namespace のパターン<your_ingresscontroller_name>-errorpages
に従って config map に名前を付けます。コピーを表示します。
$ oc get cm default-errorpages -n openshift-ingress
出力例
NAME DATA AGE default-errorpages 2 25s 1
- 1
default
の Ingress Controller カスタムリソース (CR) にパッチが適用されているため、config map 名の例はdefault-errorpages
です。
カスタムエラー応答ページを含む config map がルーターボリュームにマウントされることを確認します。config map キーは、カスタム HTTP エラーコード応答を持つファイル名です。
503 カスタム HTTP カスタムエラーコード応答の場合:
$ oc -n openshift-ingress rsh <router_pod> cat /var/lib/haproxy/conf/error_code_pages/error-page-503.http
404 カスタム HTTP カスタムエラーコード応答の場合:
$ oc -n openshift-ingress rsh <router_pod> cat /var/lib/haproxy/conf/error_code_pages/error-page-404.http
検証
カスタムエラーコード HTTP 応答を確認します。
テストプロジェクトおよびアプリケーションを作成します。
$ oc new-project test-ingress
$ oc new-app django-psql-example
503 カスタム http エラーコード応答の場合:
- アプリケーションのすべての Pod を停止します。
以下の curl コマンドを実行するか、ブラウザーでルートのホスト名にアクセスします。
$ curl -vk <route_hostname>
404 カスタム http エラーコード応答の場合:
- 存在しないルートまたは正しくないルートにアクセスします。
以下の curl コマンドを実行するか、ブラウザーでルートのホスト名にアクセスします。
$ curl -vk <route_hostname>
errorfile
属性がhaproxy.config
ファイルで適切にあるかどうかを確認します。$ oc -n openshift-ingress rsh <router> cat /var/lib/haproxy/conf/haproxy.config | grep errorfile
7.9.23. Ingress Controller の最大接続数の設定
クラスター管理者は、OpenShift ルーターデプロイメントの同時接続の最大数を設定できます。既存の Ingress Controller にパッチを適用して、接続の最大数を増やすことができます。
前提条件
- 以下では、Ingress Controller が作成済みであることを前提とします。
手順
Ingress Controller を更新して、HAProxy の最大接続数を変更します。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --type=merge -p '{"spec":{"tuningOptions": {"maxConnections": 7500}}}'
警告spec.tuningOptions.maxConnections
の値を現在のオペレーティングシステムの制限よりも大きく設定すると、HAProxy プロセスは開始しません。このパラメーターの詳細は、「Ingress Controller 設定パラメーター」セクションの表を参照してください。
7.10. 関連情報
第8章 OpenShift Container Platform の Ingress Node Firewall Operator
Ingress Node Firewall Operator を使用すると、管理者はノードレベルでファイアウォール設定を管理できます。
8.1. Ingress Node Firewall Operator
Ingress Node Firewall Operator は、ファイアウォール設定で指定および管理するノードにデーモンセットをデプロイすることにより、ノードレベルで Ingress ファイアウォールルールを提供します。デーモンセットをデプロイするには、IngressNodeFirewallConfig
カスタムリソース (CR) を作成します。Operator は IngressNodeFirewallConfig
CR を適用して、nodeSelector
に一致するすべてのノードで実行される ingress ノードファイアウォールデーモンセット (daemon
) を作成します。
IngressNodeFirewall
CR の rule
を設定し、nodeSelector
を使用して値を "true" に設定してクラスターに適用します。
Ingress Node Firewall Operator は、ステートレスファイアウォールルールのみをサポートします。
ネイティブ XDP ドライバーをサポートしないネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) は、より低いパフォーマンスで実行されます。
OpenShift Container Platform 4.14 以降の場合は、RHEL 9.0 以降で Ingress Node Firewall Operator を実行する必要があります。
Ingress Node Firewall Operator は、デフォルトの OpenShift インストールを備えた Amazon Web Services (AWS) または Red Hat OpenShift Service on AWS (ROSA) ではサポートされていません。Red Hat OpenShift Service on AWS のサポートと Ingress の詳細は、Red Hat OpenShift Service on AWS の Ingress Operator を参照してください。
8.2. Ingress Node Firewall Operator のインストール
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform CLI または Web コンソールを使用して Ingress Node Firewall Operator をインストールできます。
8.2.1. CLI を使用した Ingress Node Firewall Operator のインストール
クラスター管理者は、CLI を使用して Operator をインストールできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - 管理者権限を持つアカウントを持っています。
手順
openshift-ingress-node-firewall
namespace を作成するには、次のコマンドを入力します。$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: labels: pod-security.kubernetes.io/enforce: privileged pod-security.kubernetes.io/enforce-version: v1.24 name: openshift-ingress-node-firewall EOF
OperatorGroup
CR を作成するには、以下のコマンドを実行します。$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: ingress-node-firewall-operators namespace: openshift-ingress-node-firewall EOF
Ingress Node Firewall Operator にサブスクライブします。
Ingress Node Firewall Operator の
Subscription
CR を作成するには、次のコマンドを入力します。$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: ingress-node-firewall-sub namespace: openshift-ingress-node-firewall spec: name: ingress-node-firewall channel: stable source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace EOF
Operator がインストールされていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get ip -n openshift-ingress-node-firewall
出力例
NAME CSV APPROVAL APPROVED install-5cvnz ingress-node-firewall.4.14.0-202211122336 Automatic true
Operator のバージョンを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ oc get csv -n openshift-ingress-node-firewall
出力例
NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE ingress-node-firewall.4.14.0-202211122336 Ingress Node Firewall Operator 4.14.0-202211122336 ingress-node-firewall.4.14.0-202211102047 Succeeded
8.2.2. Web コンソールを使用した Ingress Node Firewall Operator のインストール
クラスター管理者は、Web コンソールを使用して Operator をインストールできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - 管理者権限を持つアカウントを持っています。
手順
Ingress Node Firewall Operator をインストールします。
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub をクリックします。
- 利用可能な Operator のリストから Ingress Node Firewall Operator を選択し、Install をクリックします。
- Install Operator ページの Installed Namespace で、Operator recommend Namespace を選択します。
- Install をクリックします。
Ingress Node Firewall Operator が正常にインストールされていることを確認します。
- Operators → Installed Operators ページに移動します。
Ingress Node Firewall Operator が openshift-ingress-node-firewall プロジェクトにリストされ、Status が InstallSucceeded であることを確認します。
注記インストール時に、Operator は Failed ステータスを表示する可能性があります。インストールが後に InstallSucceeded メッセージを出して正常に実行される場合は、Failed メッセージを無視できます。
Operator の Status が InstallSucceeded でない場合は、次の手順を使用してトラブルシューティングを行います。
- Operator Subscriptions および Install Plans タブで、Status の下の失敗またはエラーの有無を確認します。
-
Workloads → Pods ページに移動し、
openshift-ingress-node-firewall
プロジェクトの Pod のログを確認します。 YAML ファイルの namespace を確認してください。アノテーションが抜けている場合は、次のコマンドを使用して、アノテーション
workload.openshift.io/allowed=management
を Operator namespace に追加できます。$ oc annotate ns/openshift-ingress-node-firewall workload.openshift.io/allowed=management
注記単一ノードの OpenShift クラスターの場合、
openshift-ingress-node-firewall
namespace にはworkload.openshift.io/allowed=management
アノテーションが必要です。
8.3. Ingress Node Firewall Operator のデプロイ
前提条件
- Ingress Node Firewall Operator がインストールされます。
手順
Ingress Node Firewall Operator をデプロイするには、Operator のデーモンセットをデプロイする IngressNodeFirewallConfig
カスタムリソースを作成します。ファイアウォールルールを適用することで、1 つまたは複数の IngressNodeFirewall
CRD をノードにデプロイできます。
-
ingressnodefirewallconfig
という名前のopenshift-ingress-node-firewall
namespace 内にIngressNodeFirewallConfig
を作成します。 次のコマンドを実行して、Ingress Node Firewall Operator ルールをデプロイします。
$ oc apply -f rule.yaml
8.3.1. Ingress ノードファイアウォール設定オブジェクト
Ingress Node Firewall 設定オブジェクトのフィールドについて、次の表で説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CR オブジェクトの名前。ファイアウォールルールオブジェクトの名前は |
|
|
Ingress Firewall Operator CR オブジェクトの namespace。 |
|
| 指定されたノードラベルを介してノードをターゲットにするために使用されるノード選択制約。以下に例を示します。 spec: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" 注記
デーモンセットを開始するには、 |
Operator は CR を使用し、nodeSelector
に一致するすべてのノード上に Ingress ノードファイアウォールデーモンセットを作成します。
Ingress Node Firewall Operator の設定例
次の例では、完全な Ingress ノードファイアウォール設定が指定されています。
Ingress ノードファイアウォール設定オブジェクトの例
apiVersion: ingressnodefirewall.openshift.io/v1alpha1 kind: IngressNodeFirewallConfig metadata: name: ingressnodefirewallconfig namespace: openshift-ingress-node-firewall spec: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: ""
Operator は CR を使用し、nodeSelector
に一致するすべてのノード上に Ingress ノードファイアウォールデーモンセットを作成します。
8.3.2. Ingress ノードファイアウォールルールオブジェクト
Ingress ノードファイアウォールルールオブジェクトのフィールドについて、次の表で説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| CR オブジェクトの名前。 |
|
|
このオブジェクトのフィールドは、ファイアウォールルールを適用するインターフェイスを指定します。たとえば、 |
|
|
|
|
|
|
Ingress オブジェクトの設定
ingress
オブジェクトの値は、次の表で定義されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| CIDR ブロックを設定できます。異なるアドレスファミリーから複数の CIDR を設定できます。 注記
異なる CIDR を使用すると、同じ順序ルールを使用できます。CIDR が重複する同じノードおよびインターフェイスに対して複数の |
|
|
Ingress ファイアウォール
注記 ingress ファイアウォールルールは、無効な設定をブロックする検証 Webhook を使用して検証されます。検証 Webhook は、API サーバーや SSH などの重要なクラスターサービスをブロックすることを防ぎます。 |
ingress ノードファイアウォールルールオブジェクトの例
次の例では、完全な Ingress ノードファイアウォール設定が指定されています。
Ingress ノードファイアウォールの設定例
apiVersion: ingressnodefirewall.openshift.io/v1alpha1
kind: IngressNodeFirewall
metadata:
name: ingressnodefirewall
spec:
interfaces:
- eth0
nodeSelector:
matchLabels:
<ingress_firewall_label_name>: <label_value> 1
ingress:
- sourceCIDRs:
- 172.16.0.0/12
rules:
- order: 10
protocolConfig:
protocol: ICMP
icmp:
icmpType: 8 #ICMP Echo request
action: Deny
- order: 20
protocolConfig:
protocol: TCP
tcp:
ports: "8000-9000"
action: Deny
- sourceCIDRs:
- fc00:f853:ccd:e793::0/64
rules:
- order: 10
protocolConfig:
protocol: ICMPv6
icmpv6:
icmpType: 128 #ICMPV6 Echo request
action: Deny
- 1
- <label_name> と <label_value> はノード上に存在する必要があり、
ingressfirewallconfig
CR を実行するノードに適用されるnodeselector
ラベルと値に一致する必要があります。<label_value> は、true
またはfalse
です。nodeSelector
ラベルを使用すると、ノードのグループを個別にターゲットにして、ingressfirewallconfig
CR の使用に異なるルールを適用できます。
ゼロトラスト Ingress ノードファイアウォールルールオブジェクトの例
ゼロトラストの Ingress ノードファイアウォールルールは、マルチインターフェイスクラスターに追加のセキュリティーを提供できます。たとえば、ゼロトラストの Ingress ノードファイアウォールルールを使用して、SSH を除く特定のインターフェイス上のすべてのトラフィックをドロップできます。
次の例では、ゼロトラスト Ingress ノードファイアウォールルールセットの完全な設定が指定されています。
次の場合、ユーザーはアプリケーションが使用するすべてのポートを許可リストに追加して、適切な機能を確保する必要があります。
ゼロトラストの Ingress ノードファイアウォールルールの例
apiVersion: ingressnodefirewall.openshift.io/v1alpha1 kind: IngressNodeFirewall metadata: name: ingressnodefirewall-zero-trust spec: interfaces: - eth1 1 nodeSelector: matchLabels: <ingress_firewall_label_name>: <label_value> 2 ingress: - sourceCIDRs: - 0.0.0.0/0 3 rules: - order: 10 protocolConfig: protocol: TCP tcp: ports: 22 action: Allow - order: 20 action: Deny 4
8.4. Ingress Node Firewall Operator ルールの表示
手順
次のコマンドを実行して、現在のルールをすべて表示します。
$ oc get ingressnodefirewall
返された
<resource>
名のいずれかを選択し、次のコマンドを実行してルールまたは設定を表示します。$ oc get <resource> <name> -o yaml
8.5. Ingress Node Firewall Operator のトラブルシューティング
次のコマンドを実行して、インストールされている Ingress ノードファイアウォールのカスタムリソース定義 (CRD) を一覧表示します。
$ oc get crds | grep ingressnodefirewall
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE ingressnodefirewallconfigs.ingressnodefirewall.openshift.io 2022-08-25T10:03:01Z ingressnodefirewallnodestates.ingressnodefirewall.openshift.io 2022-08-25T10:03:00Z ingressnodefirewalls.ingressnodefirewall.openshift.io 2022-08-25T10:03:00Z
次のコマンドを実行して、Ingress Node Firewall Operator の状態を表示します。
$ oc get pods -n openshift-ingress-node-firewall
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE ingress-node-firewall-controller-manager 2/2 Running 0 5d21h ingress-node-firewall-daemon-pqx56 3/3 Running 0 5d21h
次のフィールドは、Operator のステータスに関する情報を提供します:
READY
、STATUS
、AGE
、およびRESTARTS
。Ingress Node Firewall Operator が割り当てられたノードに設定されたデーモンをデプロイしている場合、STATUS
フィールドはRunning
になります。次のコマンドを実行して、すべての Ingress ファイアウォールノード Pod のログを収集します。
$ oc adm must-gather – gather_ingress_node_firewall
ログは、
/sos_commands/ebpf
にある eBPFbpftool
出力を含む sos ノードのレポートで利用できます。これらのレポートには、Ingress ファイアウォール XDP がパケット処理を処理し、統計を更新し、イベントを発行するときに使用または更新されたルックアップテーブルが含まれます。
第9章 手動 DNS 管理のための Ingress Controller の設定
クラスター管理者として Ingress Controller を作成すると、Operator は DNS レコードを自動的に管理します。必要な DNS ゾーンがクラスター DNS ゾーンと異なる場合、または DNS ゾーンがクラウドプロバイダーの外部でホストされている場合、これにはいくつかの制限があります。
クラスター管理者は、Ingress Controller を設定して、自動 DNS 管理を停止し、手動 DNS 管理を開始することができます。dnsManagementPolicy
を設定して、いつ自動または手動で管理するかを指定します。
Ingress Controller を Managed
から Unmanaged
DNS 管理ポリシーに変更すると、Operator はクラウドでプロビジョニングされた以前のワイルドカード DNS レコードをクリーンアップしません。Ingress Controller を Unmanaged
から Managed
DNS 管理ポリシーに変更すると、Operator は、クラウドプロバイダーに DNS レコードが存在しない場合は作成を試み、DNS レコードがすでに存在する場合は更新を試みます。
dnsManagementPolicy
を unmanaged
に設定すると、クラウドプロバイダーでワイルドカード DNS レコードのライフサイクルを手動で管理する必要があります。
9.1. Managed
DNS 管理ポリシー
Ingress Controller の Managed
DNS 管理ポリシーにより、クラウドプロバイダーのワイルドカード DNS レコードのライフサイクルが Operator によって自動的に管理されるようになります。
9.2. Unmanaged
DNS 管理ポリシー
Ingress Controller の Unmanaged
DNS 管理ポリシーにより、クラウドプロバイダーのワイルドカード DNS レコードのライフサイクルが自動的に管理されず、代わりにクラスター管理者の責任になります。
AWS クラウドプラットフォームでは、Ingress Controller のドメインが dnsConfig.Spec.BaseDomain
と一致しない場合、DNS 管理ポリシーは自動的に Unmanaged
に設定されます。
9.3. Unmanaged
DNS 管理ポリシーを使用したカスタム Ingress Controller の作成
クラスター管理者は、Unmanaged
DNS 管理ポリシーを使用して、新しいカスタム Ingress Controller を作成できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下を含む
sample-ingress.yaml
という名前のカスタムリソース (CR) ファイルを作成します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: namespace: openshift-ingress-operator name: <name> 1 spec: domain: <domain> 2 endpointPublishingStrategy: type: LoadBalancerService loadBalancer: scope: External 3 dnsManagementPolicy: Unmanaged 4
変更を適用するためにファイルを保存します。
oc apply -f <name>.yaml 1
9.4. 既存の Ingress Controller の変更
クラスター管理者は、既存の Ingress Controller を変更して、DNS レコードのライフサイクルを手動で管理できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
選択した
IngressController
を変更してdnsManagementPolicy
を設定します。SCOPE=$(oc -n openshift-ingress-operator get ingresscontroller <name> -o=jsonpath="{.status.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.scope}") oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontrollers/<name> --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy":{"type":"LoadBalancerService","loadBalancer":{"dnsManagementPolicy":"Unmanaged", "scope":"${SCOPE}"}}}}'
- オプション: クラウドプロバイダーで関連付けられている DNS レコードを削除できます。
9.5. 関連情報
第10章 エンドポイントへの接続の確認
Cluster Network Operator (CNO) は、クラスター内のリソース間の接続ヘルスチェックを実行するコントローラーである接続性チェックコントローラーを実行します。ヘルスチェックの結果を確認して、調査している問題が原因で生じる接続の問題を診断したり、ネットワーク接続を削除したりできます。
10.1. 実行する接続ヘルスチェック
クラスターリソースにアクセスできることを確認するには、以下のクラスター API サービスのそれぞれに対して TCP 接続が行われます。
- Kubernetes API サーバーサービス
- Kubernetes API サーバーエンドポイント
- OpenShift API サーバーサービス
- OpenShift API サーバーエンドポイント
- ロードバランサー
サービスおよびサービスエンドポイントがクラスター内のすべてのノードで到達可能であることを確認するには、以下の各ターゲットに対して TCP 接続が行われます。
- ヘルスチェックターゲットサービス
- ヘルスチェックターゲットエンドポイント
10.2. 接続ヘルスチェックの実装
接続チェックコントローラーは、クラスター内の接続検証チェックをオーケストレーションします。接続テストの結果は、openshift-network-diagnostics
namespace の PodNetworkConnectivity
オブジェクトに保存されます。接続テストは、1 分ごとに並行して実行されます。
Cluster Network Operator (CNO) は、接続性ヘルスチェックを送受信するためにいくつかのリソースをクラスターにデプロイします。
- ヘルスチェックのソース
-
このプログラムは、
Deployment
オブジェクトで管理される単一の Pod レプリカセットにデプロイします。このプログラムはPodNetworkConnectivity
オブジェクトを消費し、各オブジェクトで指定されるspec.targetEndpoint
に接続されます。 - ヘルスチェックのターゲット
- クラスターのすべてのノードにデーモンセットの一部としてデプロイされた Pod。Pod はインバウンドのヘルスチェックをリッスンします。すべてのノードにこの Pod が存在すると、各ノードへの接続をテストすることができます。
10.3. PodNetworkConnectivityCheck オブジェクトフィールド
PodNetworkConnectivityCheck
オブジェクトフィールドについては、以下の表で説明されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
以下の形式のオブジェクトの名前:
|
|
|
オブジェクトが関連付けられる namespace。この値は、常に |
|
|
接続チェックの起点となる Pod の名前 (例: |
|
|
|
|
| 使用する TLS 証明書の設定。 |
|
| 使用される TLS 証明書の名前 (ある場合)。デフォルト値は空の文字列です。 |
|
| 接続テストの状態を表す、および最近の接続の成功および失敗に関するログ。 |
|
| 接続チェックと最新のステータスと以前のステータス。 |
|
| 試行に失敗した接続テストのログ。 |
|
| 停止が生じた期間が含まれる接続テストのログ。 |
|
| 試行に成功した接続テストのログ。 |
以下の表は、status.conditions
配列内のオブジェクトのフィールドを説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| 接続の条件がある状態から別の状態に移行した時間。 |
|
| 人が判読できる形式の最後の移行に関する詳細。 |
|
| マシンの読み取り可能な形式での移行の最後のステータス。 |
|
| 状態のテータス。 |
|
| 状態のタイプ。 |
以下の表は、status.conditions
配列内のオブジェクトのフィールドを説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| 接続の障害が解決された時点からのタイムスタンプ。 |
|
| 接続ログエントリー (停止の正常な終了に関連するログエントリーを含む)。 |
|
| 人が判読できる形式の停止について詳細情報の要約。 |
|
| 接続の障害が最初に検知された時点からのタイムスタンプ。 |
|
| 元の障害を含む接続ログのエントリー。 |
接続ログフィールド
接続ログエントリーのフィールドの説明は以下の表で説明されています。オブジェクトは以下のフィールドで使用されます。
-
status.failures[]
-
status.successes[]
-
status.outages[].startLogs[]
-
status.outages[].endLogs[]
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| アクションの期間を記録します。 |
|
| ステータスを人が判読できる形式で提供します。 |
|
|
ステータスの理由をマシンが判読できる形式で提供します。値は |
|
| ログエントリーが成功または失敗であるかを示します。 |
|
| 接続チェックの開始時間。 |
10.4. エンドポイントのネットワーク接続の確認
クラスター管理者は、API サーバー、ロードバランサー、サービス、または Pod などのエンドポイントの接続を確認できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
現在の
PodNetworkConnectivityCheck
オブジェクトをリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。$ oc get podnetworkconnectivitycheck -n openshift-network-diagnostics
出力例
NAME AGE network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-1 73m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-2 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-apiserver-service-cluster 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-default-service-cluster 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-load-balancer-api-external 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-load-balancer-api-internal 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-1 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-2 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh 74m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-c-n8mbf 74m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-d-4hnrz 74m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-network-check-target-service-cluster 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-openshift-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-openshift-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-1 75m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-openshift-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-2 74m network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-openshift-apiserver-service-cluster 75m
接続テストログを表示します。
- 直前のコマンドの出力から、接続ログを確認するエンドポイントを特定します。
オブジェクトを表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get podnetworkconnectivitycheck <name> \ -n openshift-network-diagnostics -o yaml
ここで、
<name>
はPodNetworkConnectivityCheck
オブジェクトの名前を指定します。出力例
apiVersion: controlplane.operator.openshift.io/v1alpha1 kind: PodNetworkConnectivityCheck metadata: name: network-check-source-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-worker-b-6xdmh-to-kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0 namespace: openshift-network-diagnostics ... spec: sourcePod: network-check-source-7c88f6d9f-hmg2f targetEndpoint: 10.0.0.4:6443 tlsClientCert: name: "" status: conditions: - lastTransitionTime: "2021-01-13T20:11:34Z" message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnectSuccess status: "True" type: Reachable failures: - latency: 2.241775ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:10:34Z" - latency: 2.582129ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:09:34Z" - latency: 3.483578ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:08:34Z" outages: - end: "2021-01-13T20:11:34Z" endLogs: - latency: 2.032018ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T20:11:34Z" - latency: 2.241775ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:10:34Z" - latency: 2.582129ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:09:34Z" - latency: 3.483578ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:08:34Z" message: Connectivity restored after 2m59.999789186s start: "2021-01-13T20:08:34Z" startLogs: - latency: 3.483578ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: failed to establish a TCP connection to 10.0.0.4:6443: dial tcp 10.0.0.4:6443: connect: connection refused' reason: TCPConnectError success: false time: "2021-01-13T20:08:34Z" successes: - latency: 2.845865ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:14:34Z" - latency: 2.926345ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:13:34Z" - latency: 2.895796ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:12:34Z" - latency: 2.696844ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:11:34Z" - latency: 1.502064ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:10:34Z" - latency: 1.388857ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:09:34Z" - latency: 1.906383ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:08:34Z" - latency: 2.089073ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:07:34Z" - latency: 2.156994ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:06:34Z" - latency: 1.777043ms message: 'kubernetes-apiserver-endpoint-ci-ln-x5sv9rb-f76d1-4rzrp-master-0: tcp connection to 10.0.0.4:6443 succeeded' reason: TCPConnect success: true time: "2021-01-13T21:05:34Z"
第11章 クラスターネットワークの MTU 変更
クラスター管理者は、クラスターのインストール後にクラスターネットワークの MTU を変更できます。MTU 変更の適用には、クラスターノードを再起動する必要があるため、変更により致命的な問題が発生する可能性があります。OVN-Kubernetes または OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用して、クラスターの MTU のみを変更できます。
11.1. クラスター MTU について
インストール中に、クラスターネットワークの最大伝送ユニット (MTU) は、クラスター内のノードのプライマリーネットワークインターフェイスの MTU をもとに、自動的に検出されます。通常、検出された MTU をオーバーライドする必要はありません。
以下のような理由でクラスターネットワークの MTU を変更する場合があります。
- クラスターのインストール中に検出された MTU が使用中のインフラストラクチャーに適していない
- クラスターインフラストラクチャーに異なる MTU が必要となった (例: パフォーマンスの最適化にさまざまな MTU を必要とするノードが追加された)。
OVN-Kubernetes および OpenShift SDN クラスターネットワークプラグインに対してのみ、クラスター MTU を変更できます。
11.1.1. サービス中断に関する考慮事項
クラスターで MTU の変更を開始すると、次の動作が原因でサービスの可用性に影響を与える可能性があります。
- 新しい MTU への移行を完了するには、少なくとも 2 回のローリングリブートが必要です。この間、一部のノードは再起動するため使用できません。
- 特定のアプリケーションに、絶対 TCP タイムアウト間隔よりもタイムアウトの間隔が短いクラスターにデプロイされた場合など、MTU の変更中に中断が発生する可能性があります。
11.1.2. MTU 値の選択
MTU の移行を計画するときは、関連しているが異なる MTU 値を 2 つ考慮する必要があります。
- ハードウェア MTU: この MTU 値は、ネットワークインフラストラクチャーの詳細に基づいて設定されます。
クラスターネットワーク MTU: この MTU 値は、クラスターネットワークオーバーレイのオーバーヘッドを考慮して、常にハードウェア MTU よりも小さくなります。特定のオーバーヘッドは、ネットワークプラグインによって決まります。
-
OVN-Kubernetes:
100
バイト -
OpenShift SDN:
50
バイト
-
OVN-Kubernetes:
クラスターがノードごとに異なる MTU 値を必要とする場合は、クラスター内の任意のノードで使用される最小の MTU 値から、ネットワークプラグインのオーバーヘッド値を差し引く必要があります。たとえば、クラスター内の一部のノードでは MTU が 9001
であり、MTU が 1500
のクラスターもある場合には、この値を 1400
に設定する必要があります。
ノードが受け入れられない MTU 値の選択を回避するには、ip -d link
コマンドを使用して、ネットワークインターフェイスが受け入れる最大 MTU 値 (maxmtu
) を確認します。
11.1.3. 移行プロセスの仕組み
以下の表は、プロセスのユーザーが開始する手順と、移行が応答として実行するアクション間を区分して移行プロセスを要約しています。
ユーザーが開始する手順 | OpenShift Container Platform アクティビティー |
---|---|
Cluster Network Operator 設定で次の値を指定します。
| Cluster Network Operator (CNO): 各フィールドが有効な値に設定されていることを確認します。
指定の値が有効な場合に、CNO は、クラスターネットワークの MTU が Machine Config Operator (MCO): クラスター内の各ノードのローリングリブートを実行します。 |
クラスター上のノードのプライマリーネットワークインターフェイスの MTU を再設定します。これを実現するには、次のようなさまざまな方法を使用できます。
| 該当なし |
ネットワークプラグインの CNO 設定で | Machine Config Operator (MCO): 新しい MTU 設定を使用して、クラスター内の各ノードのローリングリブートを実行します。 |
11.2. クラスター MTU の変更
クラスター管理者は、クラスターの最大転送単位 (MTU) を変更できます。移行には中断を伴い、MTU 更新が公開されると、クラスター内のノードが一時的に利用できなくなる可能性があります。
次の手順では、マシン設定、DHCP、または ISO のいずれかを使用してクラスター MTU を変更する方法について説明します。DHCP または ISO アプローチを使用する場合は、クラスターのインストール後に保持した設定アーティファクトを参照して、手順を完了する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 クラスターのターゲット MTU を特定している。正しい MTU は、クラスターが使用するネットワークプラグインによって異なります。
-
OVN-Kubernetes: クラスター MTU は、クラスター内の最小のハードウェア MTU 値から
100
を引いた数に設定する必要があります。 -
OpenShift SDN: クラスター MTU は、クラスター内の最小ハードウェア MTU 値から
50
を引いた値に設定する必要があります。
-
OVN-Kubernetes: クラスター MTU は、クラスター内の最小のハードウェア MTU 値から
手順
クラスターネットワークの MTU を増減するには、次の手順を実行します。
クラスターネットワークの現在の MTU を取得するには、次のコマンドを入力します。
$ oc describe network.config cluster
出力例
... Status: Cluster Network: Cidr: 10.217.0.0/22 Host Prefix: 23 Cluster Network MTU: 1400 Network Type: OpenShiftSDN Service Network: 10.217.4.0/23 ...
ハードウェア MTU の設定を準備します。
ハードウェア MTU が DHCP で指定されている場合は、次の dnsmasq 設定などで DHCP 設定を更新します。
dhcp-option-force=26,<mtu>
ここでは、以下のようになります。
<mtu>
- DHCP サーバーがアドバタイズするハードウェア MTU を指定します。
- ハードウェア MTU が PXE を使用したカーネルコマンドラインで指定されている場合は、それに応じてその設定を更新します。
ハードウェア MTU が NetworkManager 接続設定で指定されている場合は、以下のステップを実行します。OpenShift Container Platform では、これは、DHCP、カーネルコマンドラインなどの方法でネットワーク設定を明示的に指定していない場合のデフォルトのアプローチです。変更なしで次の手順を機能させるには、全クラスターノードで、同じ基盤となるネットワーク設定を使用する必要があります。
プライマリーネットワークインターフェイスを見つけます。
OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用している場合は、次のコマンドを入力します。
$ oc debug node/<node_name> -- chroot /host ip route list match 0.0.0.0/0 | awk '{print $5 }'
ここでは、以下のようになります。
<node_name>
- クラスター内のノードの名前を指定します。
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用している場合は、次のコマンドを入力します。
$ oc debug node/<node_name> -- chroot /host nmcli -g connection.interface-name c show ovs-if-phys0
ここでは、以下のようになります。
<node_name>
- クラスター内のノードの名前を指定します。
<interface>-mtu.conf
ファイルに次の NetworkManager 設定を作成します。NetworkManager 接続設定の例
[connection-<interface>-mtu] match-device=interface-name:<interface> ethernet.mtu=<mtu>
ここでは、以下のようになります。
<mtu>
- 新しいハードウェア MTU 値を指定します。
<interface>
- プライマリーネットワークインターフェイス名を指定します。
1 つはコントロールプレーンノード用、もう 1 つはクラスター内のワーカーノード用に、2 つの
MachineConfig
オブジェクトを作成します。control-plane-interface.bu
ファイルに次の Butane 設定を作成します。variant: openshift version: 4.14.0 metadata: name: 01-control-plane-interface labels: machineconfiguration.openshift.io/role: master storage: files: - path: /etc/NetworkManager/conf.d/99-<interface>-mtu.conf 1 contents: local: <interface>-mtu.conf 2 mode: 0600
worker-interface.bu
ファイルに次の Butane 設定を作成します。variant: openshift version: 4.14.0 metadata: name: 01-worker-interface labels: machineconfiguration.openshift.io/role: worker storage: files: - path: /etc/NetworkManager/conf.d/99-<interface>-mtu.conf 1 contents: local: <interface>-mtu.conf 2 mode: 0600
次のコマンドを実行して、Butane 設定から
MachineConfig
オブジェクトを作成します。$ for manifest in control-plane-interface worker-interface; do butane --files-dir . $manifest.bu > $manifest.yaml done
警告これらのマシン設定は、後で明示的に指示されるまで適用しないでください。これらのマシン設定を適用すると、クラスターの安定性が失われます。
MTU 移行を開始するには、次のコマンドを入力して移行設定を指定します。Machine Config Operator は、MTU の変更に備えて、クラスター内のノードをローリングリブートします。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge --patch \ '{"spec": { "migration": { "mtu": { "network": { "from": <overlay_from>, "to": <overlay_to> } , "machine": { "to" : <machine_to> } } } } }'
ここでは、以下のようになります。
<overlay_from>
- 現在のクラスターネットワークの MTU 値を指定します。
<overlay_to>
-
クラスターネットワークのターゲット MTU を指定します。この値は、
<machine_to>
の値を基準にして設定され、それぞれ、OVN-Kubernetes の場合は100
を、OpenShift SDN の場合は50
を引いた値に指定します。 <machine_to>
- 基盤となるホストネットワークのプライマリーネットワークインターフェイスの MTU を指定します。
クラスター MTU を増やす例
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge --patch \ '{"spec": { "migration": { "mtu": { "network": { "from": 1400, "to": 9000 } , "machine": { "to" : 9100} } } } }'
MCO がそれぞれのマシン設定プールのマシンを更新すると、各ノードが 1 つずつ再起動します。すべてのノードが更新されるまで待機する必要があります。以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトで、MCO はプールごとに一度に 1 つのマシンを更新するため、移行にかかる合計時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml | grep ExecStart
ここで、
<config_name>
はmachineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドのマシン設定の名前になります。マシン設定には、systemd 設定に以下の更新を含める必要があります。
ExecStart=/usr/local/bin/mtu-migration.sh
基盤となるネットワークインターフェイスの MTU 値を更新します。
NetworkManager 接続設定で新しい MTU を指定する場合は、次のコマンドを入力します。MachineConfig Operator は、クラスター内のノードのローリングリブートを自動的に実行します。
$ for manifest in control-plane-interface worker-interface; do oc create -f $manifest.yaml done
- DHCP サーバーオプションまたはカーネルコマンドラインと PXE を使用して新しい MTU を指定する場合は、インフラストラクチャーに必要な変更を加えます。
MCO がそれぞれのマシン設定プールのマシンを更新すると、各ノードが 1 つずつ再起動します。すべてのノードが更新されるまで待機する必要があります。以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトで、MCO はプールごとに一度に 1 つのマシンを更新するため、移行にかかる合計時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml | grep path:
マシン設定が正常にデプロイされた場合、前の出力には
/etc/NetworkManager/conf.d/99-<interface>-mtu.conf
ファイルパスとExecStart=/usr/local/bin/mtu-migration.sh
行が含まれます。
MTU 移行を完了するには、次のいずれかのコマンドを入力します。
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用している場合:
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge --patch \ '{"spec": { "migration": null, "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig": { "mtu": <mtu> }}}}'
ここでは、以下のようになります。
<mtu>
-
<overlay_to>
で指定した新しいクラスターネットワーク MTU を指定します。
OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用している場合:
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge --patch \ '{"spec": { "migration": null, "defaultNetwork":{ "openshiftSDNConfig": { "mtu": <mtu> }}}}'
ここでは、以下のようになります。
<mtu>
-
<overlay_to>
で指定した新しいクラスターネットワーク MTU を指定します。
MTU の移行が完了すると、各 MCP ノードが 1 つずつ再起動します。すべてのノードが更新されるまで待機する必要があります。以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。
検証
クラスター内のノードで、前の手順で指定した MTU が使用されていることを確認できます。
クラスターネットワークの現在の MTU を取得するには、次のコマンドを入力します。
$ oc describe network.config cluster
ノードのプライマリーネットワークインターフェイスの現在の MTU を取得します。
クラスター内のノードをリスト表示するには、次のコマンドを入力します。
$ oc get nodes
ノードのプライマリーネットワークインターフェイスの現在の MTU 設定を取得するには、次のコマンドを入力します。
$ oc debug node/<node> -- chroot /host ip address show <interface>
ここでは、以下のようになります。
<node>
- 前のステップの出力をもとに、ノードを指定します。
<interface>
- ノードのプライマリーネットワークインターフェイス名を指定します。
出力例
ens3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 8051
11.3. 関連情報
第12章 ノードポートサービス範囲の設定
クラスター管理者は、利用可能なノードのポート範囲を拡張できます。クラスターで多数のノードポートが使用される場合、利用可能なポートの数を増やす必要がある場合があります。
デフォルトのポート範囲は 30000-32767
です。最初にデフォルト範囲を超えて拡張した場合でも、ポート範囲を縮小することはできません。
12.1. 前提条件
-
クラスターインフラストラクチャーは、拡張された範囲内で指定するポートへのアクセスを許可する必要があります。たとえば、ノードのポート範囲を
30000-32900
に拡張する場合、ファイアウォールまたはパケットフィルタリングの設定によりこれに含まれるポート範囲32768-32900
を許可する必要があります。
12.2. ノードのポート範囲の拡張
クラスターのノードポート範囲を拡張できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
ノードのポート範囲を拡張するには、以下のコマンドを入力します。
<port>
を、新規の範囲内で最大のポート番号に置き換えます。$ oc patch network.config.openshift.io cluster --type=merge -p \ '{ "spec": { "serviceNodePortRange": "30000-<port>" } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用してノードのポート範囲を更新することもできます。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: serviceNodePortRange: "30000-<port>"
出力例
network.config.openshift.io/cluster patched
設定がアクティブであることを確認するには、以下のコマンドを入力します。更新が適用されるまでに数分の時間がかかることがあります。
$ oc get configmaps -n openshift-kube-apiserver config \ -o jsonpath="{.data['config\.yaml']}" | \ grep -Eo '"service-node-port-range":["[[:digit:]]+-[[:digit:]]+"]'
出力例
"service-node-port-range":["30000-33000"]
12.3. 関連情報
第13章 クラスターネットワーク範囲の設定
クラスター管理者は、クラスターのインストール後にクラスターネットワークの範囲を拡張できます。追加ノード用にさらに多くの IP アドレスが必要な場合は、クラスターネットワーク範囲を拡張することを推奨します。
たとえば、クラスターをデプロイし、クラスターネットワーク範囲として 10.128.0.0/19
を指定し、ホスト接頭辞 23
を指定した場合、16 ノードに制限されます。クラスターの CIDR マスクを /14
に変更することで、これを 510 ノードに拡張できます。
クラスターのネットワークアドレス範囲を拡張する場合、クラスターは OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン を使用する必要があります。他のネットワークプラグインはサポートされていません。
クラスターネットワークの IP アドレス範囲を変更する場合、次の制限が適用されます。
- 指定する CIDR マスクサイズは、現在設定されている CIDR マスクサイズより常に小さくする必要があります。これは、インストールされたクラスターにノードを追加することによってのみ IP スペースを増やすことができるためです。
- ホスト接頭辞は変更できません
- オーバーライドされたデフォルトゲートウェイで設定された Pod は、クラスターネットワークの拡張後に再作成する必要があります。
13.1. クラスターネットワークの IP アドレス範囲の拡張
クラスターネットワークの IP アドレス範囲を拡張できます。この変更には新しい Operator 設定をクラスター全体にロールアウトする必要があるため、有効になるまでに最大 30 分かかる場合があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。 - クラスターが OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用していることを確認します。
手順
クラスターのクラスターネットワーク範囲とホスト接頭辞を取得するには、次のコマンドを入力します。
$ oc get network.operator.openshift.io \ -o jsonpath="{.items[0].spec.clusterNetwork}"
出力例
[{"cidr":"10.217.0.0/22","hostPrefix":23}]
クラスターネットワークの IP アドレス範囲を拡張するには、次のコマンドを入力します。前のコマンドの出力から返された CIDR IP アドレス範囲とホスト接頭辞を使用します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster --type='merge' --patch \ '{ "spec":{ "clusterNetwork": [ {"cidr":"<network>/<cidr>","hostPrefix":<prefix>} ], "networkType": "OVNKubernetes" } }'
ここでは、以下のようになります。
<network>
-
前の手順で取得した
cidr
フィールドのネットワーク部分を指定します。この値は変更できません。 <cidr>
-
ネットワーク接頭辞長を指定します。たとえば、
14
です。この値を前の手順の出力の値よりも小さい数値に変更して、クラスターネットワークの範囲を拡大します。 <prefix>
-
クラスターの現在のホスト接頭辞を指定します。この値は、前の手順で取得した
hostPrefix
フィールドの値と同じである必要があります。
コマンドの例
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster --type='merge' --patch \ '{ "spec":{ "clusterNetwork": [ {"cidr":"10.217.0.0/14","hostPrefix": 23} ], "networkType": "OVNKubernetes" } }'
出力例
network.config.openshift.io/cluster patched
設定がアクティブであることを確認するには、以下のコマンドを入力します。この変更が有効になるまで、最大 30 分かかる場合があります。
$ oc get network.operator.openshift.io \ -o jsonpath="{.items[0].spec.clusterNetwork}"
出力例
[{"cidr":"10.217.0.0/14","hostPrefix":23}]
13.2. 関連情報
第14章 IP フェイルオーバーの設定
このトピックでは、OpenShift Container Platform クラスターの Pod およびサービスの IP フェイルオーバーの設定を説明します。
IP フェイルオーバーは Keepalived を使用して、一連のホストで外部からアクセスできる仮想 IP (VIP) アドレスのセットをホストします。各仮想 IP アドレスは、一度に 1 つのホストによってのみサービスされます。Keepalived は Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) を使用して、(一連のホストの) どのホストがどの VIP を提供するかを判別します。ホストが利用不可の場合や Keepalived が監視しているサービスが応答しない場合は、VIP は一連のホストの別のホストに切り換えられます。したがって、VIP はホストが利用可能である限り常に提供されます。
セットのすべての VIP はセットから選択されるノードによって提供されます。単一のノードが使用可能な場合は、仮想 IP が提供されます。ノード上で VIP を明示的に配布する方法がないため、VIP のないノードがある可能性も、多数の VIP を持つノードがある可能性もあります。ノードが 1 つのみ存在する場合は、すべての VIP がそのノードに配置されます。
管理者は、すべての仮想 IP アドレスが次の要件を満たしていることを確認する必要があります。
- 設定されたホストでクラスター外からアクセスできる。
- クラスター内でこれ以外の目的で使用されていない。
各ノードの Keepalived は、必要とされるサービスが実行中であるかどうかを判別します。実行中の場合、VIP がサポートされ、Keepalived はネゴシエーションに参加してどのノードが VIP を提供するかを決定します。これに参加するノードについては、このサービスが VIP の監視ポートでリッスンしている、またはチェックが無効にされている必要があります。
セット内の各仮想 IP は、異なるノードによってサービスされる可能性があります。
IP フェイルオーバーは各 VIP のポートをモニターし、ポートがノードで到達可能かどうかを判別します。ポートが到達不能な場合、VIP はノードに割り当てられません。ポートが 0
に設定されている場合、このチェックは抑制されます。check スクリプトは必要なテストを実行します。
Keepalived を実行するノードが check スクリプトを渡す場合、ノードの VIP はプリエンプションストラテジーに応じて、その優先順位および現在のマスターの優先順位に基づいて master
状態になることができます。
クラスター管理者は OPENSHIFT_HA_NOTIFY_SCRIPT
変数を介してスクリプトを提供できます。このスクリプトは、ノードの VIP の状態が変更されるたびに呼び出されます。Keepalived は VIP を提供する場合は master
状態を、別のノードが VIP を提供する場合は backup
状態を、または check スクリプトが失敗する場合は fault
状態を使用します。notify スクリプトは、状態が変更されるたびに新規の状態で呼び出されます。
OpenShift Container Platform で IP フェイルオーバーのデプロイメント設定を作成できます。IP フェイルオーバーのデプロイメント設定は VIP アドレスのセットを指定し、それらの提供先となるノードのセットを指定します。クラスターには複数の IP フェイルオーバーのデプロイメント設定を持たせることができ、それぞれが固有な VIP アドレスの独自のセットを管理します。IP フェイルオーバー設定の各ノードは IP フェイルオーバー Pod として実行され、この Pod は Keepalived を実行します。
VIP を使用してホストネットワークを持つ Pod にアクセスする場合、アプリケーション Pod は IP フェイルオーバー Pod を実行しているすべてのノードで実行されます。これにより、いずれの IP フェイルオーバーノードもマスターになり、必要時に VIP を提供することができます。アプリケーション Pod が IP フェイルオーバーのすべてのノードで実行されていない場合、一部の IP フェイルオーバーノードが VIP を提供できないか、一部のアプリケーション Pod がトラフィックを受信できなくなります。この不一致を防ぐために、IP フェイルオーバーとアプリケーション Pod の両方に同じセレクターとレプリケーション数を使用します。
VIP を使用してサービスにアクセスしている間は、アプリケーション Pod が実行されている場所に関係なく、すべてのノードでサービスに到達できるため、任意のノードをノードの IP フェイルオーバーセットに含めることができます。いずれの IP フェイルオーバーノードも、いつでもマスターにすることができます。サービスは外部 IP およびサービスポートを使用するか、NodePort
を使用することができます。NodePort
のセットアップは特権付きの操作で実行されます。
サービス定義で外部 IP を使用する場合、VIP は外部 IP に設定され、IP フェイルオーバーのモニタリングポートはサービスポートに設定されます。ノードポートを使用する場合、ポートはクラスター内のすべてのノードで開かれ、サービスは、現在 VIP にサービスを提供しているあらゆるノードからのトラフィックの負荷を分散します。この場合、IP フェイルオーバーのモニタリングポートはサービス定義で NodePort
に設定されます。
サービス VIP の可用性が高い場合でも、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。Keepalived は、各 VIP が設定内の一部のノードによってサービスされることを確認し、他のノードに VIP がない場合でも、複数の VIP が同じノードに配置される可能性があります。IP フェイルオーバーによって複数の VIP が同じノードに配置されると、VIP のセット全体で外部から負荷分散される戦略が妨げられる可能性があります。
ExternalIP
を使用する場合は、ExternalIP
範囲と同じ仮想 IP 範囲を持つように IP フェイルオーバーを設定できます。また、モニタリングポートを無効にすることもできます。この場合、すべての VIP がクラスター内の同じノードに表示されます。どのユーザーでも、ExternalIP
を使用してサービスをセットアップし、高可用性を実現できます。
クラスター内の VIP の最大数は 254 です。
14.1. IP フェイルオーバーの環境変数
以下の表は、IP フェイルオーバーの設定に使用される変数を示しています。
変数名 | デフォルト | 説明 |
---|---|---|
|
|
IP フェイルオーバー Pod は、各仮想 IP (VIP) のこのポートに対して TCP 接続を開こうとします。接続が設定されると、サービスは実行中であると見なされます。このポートが |
|
IP フェイルオーバーが Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) トラフィックの送信に使用するインターフェイス名。デフォルト値は | |
|
|
作成するレプリカの数です。これは、IP フェイルオーバーデプロイメント設定の |
|
レプリケートする IP アドレス範囲のリストです。これは指定する必要があります。例: | |
|
|
仮想ルーター ID の設定に使用されるオフセット値。異なるオフセット値を使用すると、複数の IP フェイルオーバー設定が同じクラスター内に存在できるようになります。デフォルトのオフセットは |
|
VRRP に作成するグループの数です。これが設定されていない場合、グループは | |
| INPUT |
iptables チェーンの名前であり、 |
| アプリケーションが動作していることを確認するために定期的に実行されるスクリプトの Pod ファイルシステム内の完全パス名です。 | |
|
| check スクリプトが実行される期間 (秒単位) です。 |
| 状態が変更されるたびに実行されるスクリプトの Pod ファイルシステム内の完全パス名です。 | |
|
|
新たな優先度の高いホストを処理するためのストラテジーです。 |
14.2. クラスター内の IP フェイルオーバーの設定
クラスター管理者は、クラスター全体に IP フェイルオーバーを設定することも、ラベルセレクターの定義に基づいてノードのサブセットに IP フェイルオーバーを設定することもできます。クラスター内に IP フェイルオーバーのデプロイメントを複数設定して、それぞれを相互に切り離すこともできます。
IP フェイルオーバーのデプロイメントにより、使用される制約またはラベルに一致する各ノードでフェイルオーバー Pod が実行されるようになります。
この Pod は Keepalived を実行します。これは、最初のノードがサービスまたはエンドポイントに到達できない場合に、エンドポイントを監視し、Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) を使用して仮想 IP (VIP) を別のノードにフェイルオーバーできます。
実稼働環境で使用する場合は、少なくとも 2 つのノードを選択し、選択したノードの数に相当する replicas
を設定する selector
を設定します。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - プルシークレットを作成している。
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) のみ:
- ターゲット環境に RHOSP クライアント (RHCOS ドキュメント) をインストールした。
-
RHOSP
openrc.sh
rc ファイル (RHCOS ドキュメント) をダウンロードした。
手順
IP フェイルオーバーのサービスアカウントを作成します。
$ oc create sa ipfailover
hostNetwork
の SCC (Security Context Constraints) を更新します。$ oc adm policy add-scc-to-user privileged -z ipfailover
$ oc adm policy add-scc-to-user hostnetwork -z ipfailover
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) のみ: フェイルオーバー仮想 IP アドレスが RHOSP ポートに到達できるように、次の手順を実行します。
RHOSP CLI を使用して、RHOSP クラスターの
allowed_address_pairs
パラメーターのデフォルトの RHOSP API および仮想 IP アドレスを表示します。$ openstack port show <cluster_name> -c allowed_address_pairs
出力例
*Field* *Value* allowed_address_pairs ip_address='192.168.0.5', mac_address='fa:16:3e:31:f9:cb' ip_address='192.168.0.7', mac_address='fa:16:3e:31:f9:cb'
RHOSP CLI で次のコマンドを入力して、IP フェイルオーバーのデプロイメントに別の仮想 IP アドレスを設定し、RHOSP のポートでそのアドレスに到達できるようにします。デフォルトの RHOSP API および仮想 IP アドレスを、IP フェイルオーバーのデプロイメントのフェイルオーバー仮想 IP アドレスとして設定しないでください。
1.1.1.1
フェイルオーバー IP アドレスを RHOSP ポートの許可されたアドレスとして追加する例$ openstack port set <cluster_name> --allowed-address ip-address=1.1.1.1,mac-address=fa:fa:16:3e:31:f9:cb
- デプロイメントの IP フェイルオーバーを設定するためのデプロイメント YAML ファイルを作成します。後の手順の「IP フェイルオーバー設定のデプロイメント YAML の例」を参照してください。
IP フェイルオーバーのデプロイメントで次の仕様を指定して、フェイルオーバー仮想 IP アドレスを
OPENSHIFT_HA_VIRTUAL_IPS
環境変数に渡します。OPENSHIFT_HA_VIRTUAL_IPS
に1.1.1.1
仮想 IP アドレスを追加する例apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: ipfailover-keepalived # ... spec: env: - name: OPENSHIFT_HA_VIRTUAL_IPS value: "1.1.1.1" # ...
IP フェイルオーバーを設定するためのデプロイメント YAML ファイルを作成します。
注記Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) の場合、デプロイメント YAML ファイルを再作成する必要はありません。このファイルは、以前の手順ですでに作成されています。
IP フェイルオーバー設定のデプロイメント YAML の例
apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: ipfailover-keepalived 1 labels: ipfailover: hello-openshift spec: strategy: type: Recreate replicas: 2 selector: matchLabels: ipfailover: hello-openshift template: metadata: labels: ipfailover: hello-openshift spec: serviceAccountName: ipfailover privileged: true hostNetwork: true nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" containers: - name: openshift-ipfailover image: registry.redhat.io/openshift4/ose-keepalived-ipfailover:v4.14 ports: - containerPort: 63000 hostPort: 63000 imagePullPolicy: IfNotPresent securityContext: privileged: true volumeMounts: - name: lib-modules mountPath: /lib/modules readOnly: true - name: host-slash mountPath: /host readOnly: true mountPropagation: HostToContainer - name: etc-sysconfig mountPath: /etc/sysconfig readOnly: true - name: config-volume mountPath: /etc/keepalive env: - name: OPENSHIFT_HA_CONFIG_NAME value: "ipfailover" - name: OPENSHIFT_HA_VIRTUAL_IPS 2 value: "1.1.1.1-2" - name: OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS 3 value: "10" - name: OPENSHIFT_HA_NETWORK_INTERFACE 4 value: "ens3" #The host interface to assign the VIPs - name: OPENSHIFT_HA_MONITOR_PORT 5 value: "30060" - name: OPENSHIFT_HA_VRRP_ID_OFFSET 6 value: "0" - name: OPENSHIFT_HA_REPLICA_COUNT 7 value: "2" #Must match the number of replicas in the deployment - name: OPENSHIFT_HA_USE_UNICAST value: "false" #- name: OPENSHIFT_HA_UNICAST_PEERS #value: "10.0.148.40,10.0.160.234,10.0.199.110" - name: OPENSHIFT_HA_IPTABLES_CHAIN 8 value: "INPUT" #- name: OPENSHIFT_HA_NOTIFY_SCRIPT 9 # value: /etc/keepalive/mynotifyscript.sh - name: OPENSHIFT_HA_CHECK_SCRIPT 10 value: "/etc/keepalive/mycheckscript.sh" - name: OPENSHIFT_HA_PREEMPTION 11 value: "preempt_delay 300" - name: OPENSHIFT_HA_CHECK_INTERVAL 12 value: "2" livenessProbe: initialDelaySeconds: 10 exec: command: - pgrep - keepalived volumes: - name: lib-modules hostPath: path: /lib/modules - name: host-slash hostPath: path: / - name: etc-sysconfig hostPath: path: /etc/sysconfig # config-volume contains the check script # created with `oc create configmap keepalived-checkscript --from-file=mycheckscript.sh` - configMap: defaultMode: 0755 name: keepalived-checkscript name: config-volume imagePullSecrets: - name: openshift-pull-secret 13
- 1
- IP フェイルオーバーデプロイメントの名前。
- 2
- レプリケートする IP アドレス範囲のリストです。これは指定する必要があります。例:
1.2.3.4-6,1.2.3.9
- 3
- VRRP に作成するグループの数です。これが設定されていない場合、グループは
OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS
変数で指定されている仮想 IP 範囲ごとに作成されます。 - 4
- IP フェイルオーバーが VRRP トラフィックの送信に使用するインターフェイス名。デフォルトで
eth0
が使用されます。 - 5
- IP フェイルオーバー Pod は、各 VIP のこのポートに対して TCP 接続を開こうとします。接続が設定されると、サービスは実行中であると見なされます。このポートが
0
に設定される場合、テストは常にパスします。デフォルト値は80
です。 - 6
- 仮想ルーター ID の設定に使用されるオフセット値。異なるオフセット値を使用すると、複数の IP フェイルオーバー設定が同じクラスター内に存在できるようになります。デフォルトのオフセットは
0
で、許可される範囲は0
から255
までです。 - 7
- 作成するレプリカの数です。これは、IP フェイルオーバーデプロイメント設定の
spec.replicas
値に一致する必要があります。デフォルト値は2
です。 - 8
iptables
チェーンの名前であり、iptables
ルールを自動的に追加し、VRRP トラフィックをオンにすることを許可するために使用されます。この値が設定されていない場合、iptables
ルールは追加されません。チェーンが存在しない場合は作成されず、Keepalived はユニキャストモードで動作します。デフォルトはINPUT
です。- 9
- 状態が変更されるたびに実行されるスクリプトの Pod ファイルシステム内の完全パス名です。
- 10
- アプリケーションが動作していることを確認するために定期的に実行されるスクリプトの Pod ファイルシステム内の完全パス名です。
- 11
- 新たな優先度の高いホストを処理するためのストラテジーです。デフォルト値は
preempt_delay 300
で、優先順位の低いマスターが VIP を保持する場合に、Keepalived インスタンスが VIP を 5 分後に引き継ぎます。 - 12
- check スクリプトが実行される期間 (秒単位) です。デフォルト値は
2
です。 - 13
- デプロイメントを作成する前にプルシークレットを作成します。作成しない場合には、デプロイメントの作成時にエラーが発生します。
14.3. check スクリプトおよび notify スクリプトの設定
Keepalived は、オプションのユーザー指定のチェックスクリプトを定期的に実行してアプリケーションの正常性をモニターします。たとえば、このスクリプトは要求を発行し、応答を検証することで web サーバーをテストします。クラスター管理者は、オプションの notify スクリプトを提供できます。このスクリプトは状態が変更されるたびに呼び出されます。
check および notify スクリプトは、IP フェイルオーバー Pod で実行され、ホストファイルシステムではなく Pod ファイルシステムを使用します。ただし、IP フェイルオーバー Pod はホストファイルシステムが /hosts
マウントパスで利用可能にします。check または notify スクリプトを設定する場合は、スクリプトへの完全パスを指定する必要があります。スクリプトを提供する方法として、ConfigMap
オブジェクトの使用が推奨されます。
check および notify スクリプトの完全パス名は、Keepalived 設定ファイル (_/etc/keepalived/keepalived.conf
) に追加されます。このファイルは、Keepalived が起動するたびにロードされます。次の方法で説明するように、ConfigMap
オブジェクトを使用してスクリプトを Pod に追加できます。
Check script
チェックスクリプトが指定されない場合、TCP 接続をテストする単純なデフォルトスクリプトが実行されます。このデフォルトテストは、モニターポートが 0
の場合は抑制されます。
各 IP フェイルオーバー Pod は、Pod が実行されているノードで 1 つ以上の仮想 IP (VIP) アドレスを管理する Keepalived デーモンを管理します。Keepalived デーモンは、ノードの各 VIP の状態を維持します。特定のノード上の特定の VIP は、master
、backup
、または fault
状態にある可能性があります。
チェックスクリプトがゼロ以外を返す場合、ノードは backup
状態になり、保持されている仮想 IP は再割り当てされます。
Notify script
Keepalived は、次の 3 つのパラメーターを通知スクリプトに渡します。
-
$1
-group
またはinstance
-
$2
:group
またはinstance
の名前です。 -
$3
: 新規の状態:master
、backup
、またはfault
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
必要なスクリプトを作成し、それを保持する
ConfigMap
オブジェクトを作成します。スクリプトには入力引数は指定されず、OK
の場合は0
を、fail
の場合は1
を返す必要があります。check スクリプト
mycheckscript.sh
:#!/bin/bash # Whatever tests are needed # E.g., send request and verify response exit 0
ConfigMap
オブジェクトを作成します。$ oc create configmap mycustomcheck --from-file=mycheckscript.sh
スクリプトを Pod に追加します。マウントされた
ConfigMap
オブジェクトファイルのdefaultMode
は、oc
コマンドを使用するか、デプロイメント設定を編集することで実行できる必要があります。通常は、0755
、493
(10 進数) の値が使用されます。$ oc set env deploy/ipfailover-keepalived \ OPENSHIFT_HA_CHECK_SCRIPT=/etc/keepalive/mycheckscript.sh
$ oc set volume deploy/ipfailover-keepalived --add --overwrite \ --name=config-volume \ --mount-path=/etc/keepalive \ --source='{"configMap": { "name": "mycustomcheck", "defaultMode": 493}}'
注記oc set env
コマンドは空白を区別します。=
記号の両側に空白を入れることはできません。ヒントまたは、
ipfailover-keepalived
デプロイメント設定を編集することもできます。$ oc edit deploy ipfailover-keepalived
spec: containers: - env: - name: OPENSHIFT_HA_CHECK_SCRIPT 1 value: /etc/keepalive/mycheckscript.sh ... volumeMounts: 2 - mountPath: /etc/keepalive name: config-volume dnsPolicy: ClusterFirst ... volumes: 3 - configMap: defaultMode: 0755 4 name: customrouter name: config-volume ...
変更を保存し、エディターを終了します。これにより
ipfailover-keepalived
が再起動されます。
14.4. VRRP プリエンプションの設定
ノードの仮想 IP (VIP) が check スクリプトを渡すことで fault
状態を終了すると、ノードの VIP は、現在 master
状態にあるノードの VIP よりも優先度が低い場合は backup
状態になります。nopreempt
ストラテジーは master
をホスト上の優先度の低いホストからホスト上の優先度の高い VIP に移動しません。デフォルトの preempt_delay 300
の場合、Keepalived は指定された 300 秒の間待機し、master
をホスト上の優先度の高い VIP に移動します。
手順
プリエンプションを指定するには、
oc edit deploy ipfailover-keepalived
を入力し、ルーターのデプロイメント設定を編集します。$ oc edit deploy ipfailover-keepalived
... spec: containers: - env: - name: OPENSHIFT_HA_PREEMPTION 1 value: preempt_delay 300 ...
- 1
OPENSHIFT_HA_PREEMPTION
の値を設定します。-
preempt_delay 300
: Keepalived は、指定された 300 秒の間待機し、master
をホスト上の優先度の高い VIP に移動します。これはデフォルト値です。 -
nopreempt
:master
をホスト上の優先度の低い VIP からホスト上の優先度の高い VIP に移動しません。
-
14.5. 複数の IP フェイルオーバーインスタンスのデプロイ
IP フェイルオーバーのデプロイメント設定で管理される各 IP フェイルオーバー Pod (ノード/レプリカあたり 1
Pod) は Keepalived デーモンを実行します。設定される IP フェイルオーバーのデプロイメント設定が多くなると、作成される Pod も多くなり、共通の Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) ネゴシエーションに参加するデーモンも多くなります。このネゴシエーションはすべての Keepalived デーモンによって実行され、これはどのノードがどの仮想 IP (VIP) を提供するかを決定します。
Keepalived は内部で固有の vrrp-id
を各 VIP に割り当てます。ネゴシエーションはこの vrrp-ids
セットを使用し、決定後には優先される vrrp-id
に対応する VIP が優先されるノードで提供されます。
したがって、IP フェイルオーバーのデプロイメント設定で定義されるすべての VIP について、IP フェイルオーバー Pod は対応する vrrp-id
を割り当てる必要があります。これは、OPENSHIFT_HA_VRRP_ID_OFFSET
から開始し、順序に従って vrrp-ids
を VIP のリストに割り当てることによって実行されます。vrrp-ids
には範囲 1..255
の値を設定できます。
複数の IP フェイルオーバーのデプロイメント設定がある場合は、OPENSHIFT_HA_VRRP_ID_OFFSET
を指定して、デプロイメント設定内の VIP 数を増やす余地があり、vrrp-id
範囲が重複しないようにする必要があります。
14.6. 254 を超えるアドレスに関する IP フェイルオーバーの設定
IP フェイルオーバー管理は、仮想 IP (VIP) アドレスの 254 グループに制限されています。デフォルトでは、OpenShift Container Platform は各グループに 1 つの IP アドレスを割り当てます。OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS
変数を使用してこれを変更し、複数の IP アドレスが各グループに含まれるようにして、IP フェイルオーバーを設定するときに各 Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) インスタンスで使用可能な VIP グループの数を定義できます。
VIP の作成により、VRRP フェイルオーバーの発生時の広範囲の VRRP の割り当てが作成され、これはクラスター内のすべてのホストがローカルにサービスにアクセスする場合に役立ちます。たとえば、サービスが ExternalIP
で公開されている場合などがこれに含まれます。
フェイルオーバーのルールとして、ルーターなどのサービスは特定の 1 つのホストに制限しません。代わりに、サービスは、IP フェイルオーバーの発生時にサービスが新規ホストに再作成されないように各ホストに複製可能な状態にする必要があります。
OpenShift Container Platform のヘルスチェックを使用している場合、IP フェイルオーバーおよびグループの性質上、グループ内のすべてのインスタンスはチェックされません。そのため、Kubernetes ヘルスチェック を使用してサービスが有効であることを確認する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
各グループに割り当てられた IP アドレスの数を変更するには、
OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS
変数の値を変更します。次に例を示します。IP フェイルオーバー設定の
Deployment
YAML の例... spec: env: - name: OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS 1 value: "3" ...
- 1
- たとえば、7 つの VIP のある環境で
OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS
が3
に設定されている場合、これは 3 つのグループを作成し、3 つの VIP を最初のグループに、2 つの VIP を 2 つの残りのグループにそれぞれ割り当てます。
OPENSHIFT_HA_VIP_GROUPS
で設定されたグループの数が、フェイルオーバーに設定された IP アドレスの数より少ない場合、グループには複数の IP アドレスが含まれ、すべてのアドレスが 1 つのユニットとして移動します。
14.7. ExternalIP の高可用性
非クラウドクラスターでは、IP フェイルオーバーとサービスへの ExternalIP
を組み合わせることができます。結果として、ExternalIP
を使用してサービスを作成するユーザーに高可用サービスが提供されます。
このアプローチでは、クラスターネットワーク設定の spec.ExternalIP.autoAssignCIDRs
範囲を指定し、同じ範囲を使用して IP フェイルオーバー設定を作成します。
IP フェイルオーバーはクラスター全体で最大 255 個の仮想 IP をサポートできるため、spec.ExternalIP.autoAssignCIDRs
は /24
以下にする必要があります。
14.8. IP フェイルオーバーの削除
IP フェイルオーバーが最初に設定されている場合、クラスターのワーカーノードは、Keepalived 用に 224.0.0.18
のマルチキャストパケットを明示的に許可する iptables
ルールを使用して変更されます。ノードが変更されるため、IP フェイルオーバーを削除するには、ジョブを実行して iptables
ルールを削除し、Keepalived が使用する仮想 IP アドレスを削除する必要があります。
手順
オプション: config map として保存されるチェックおよび通知スクリプトを特定し、削除します。
IP フェイルオーバーの Pod が config map をボリュームとして使用するかどうかを決定します。
$ oc get pod -l ipfailover \ -o jsonpath="\ {range .items[?(@.spec.volumes[*].configMap)]} {'Namespace: '}{.metadata.namespace} {'Pod: '}{.metadata.name} {'Volumes that use config maps:'} {range .spec.volumes[?(@.configMap)]} {'volume: '}{.name} {'configMap: '}{.configMap.name}{'\n'}{end} {end}"
出力例
Namespace: default Pod: keepalived-worker-59df45db9c-2x9mn Volumes that use config maps: volume: config-volume configMap: mycustomcheck
前述の手順でボリュームとして使用される config map の名前が提供されている場合は、config map を削除します。
$ oc delete configmap <configmap_name>
IP フェイルオーバーの既存デプロイメントを特定します。
$ oc get deployment -l ipfailover
出力例
NAMESPACE NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE default ipfailover 2/2 2 2 105d
デプロイメントを削除します。
$ oc delete deployment <ipfailover_deployment_name>
ipfailover
サービスアカウントを削除します。$ oc delete sa ipfailover
IP フェイルオーバーの設定時に追加された IP テーブルルールを削除するジョブを実行します。
以下の例のような内容で
remove-ipfailover-job.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: batch/v1 kind: Job metadata: generateName: remove-ipfailover- labels: app: remove-ipfailover spec: template: metadata: name: remove-ipfailover spec: containers: - name: remove-ipfailover image: registry.redhat.io/openshift4/ose-keepalived-ipfailover:v4.14 command: ["/var/lib/ipfailover/keepalived/remove-failover.sh"] nodeSelector: 1 kubernetes.io/hostname: <host_name> 2 restartPolicy: Never
ジョブを実行します。
$ oc create -f remove-ipfailover-job.yaml
出力例
job.batch/remove-ipfailover-2h8dm created
検証
ジョブが IP フェイルオーバーの初期設定を削除していることを確認します。
$ oc logs job/remove-ipfailover-2h8dm
出力例
remove-failover.sh: OpenShift IP Failover service terminating. - Removing ip_vs module ... - Cleaning up ... - Releasing VIPs (interface eth0) ...
第15章 チューニングプラグインを使用してシステムコントロールとインターフェイス属性を設定する
Linux では、管理者は sysctl を使用してランタイム時にカーネルパラメーターを変更できます。チューニング Container Network Interface (CNI) メタプラグインを使用して、インターフェイスレベルのネットワーク sysctl を変更できます。チューニング CNI メタプラグインは、図に示すように、メインの CNI プラグインとチェーンで動作します。
メインの CNI プラグインはインターフェイスを割り当て、それをランタイム時にチューニング CNI メタプラグインに渡します。チューニング CNI メタプラグインを使用して、ネットワーク namespace の一部の sysctl といくつかのインターフェイス属性 (プロミスキャスモード、オールマルチキャストモード、MTU、および MAC アドレス) を変更できます。
15.1. チューニング CNI を使用してシステム制御を設定する
次の手順では、チューニング CNI を設定し、インターフェイスレベルのネットワーク net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects
sysctl を変更します。この例では、ICMP リダイレクトパケットの受け入れと送信を有効にします。チューニング CNI メタプラグイン設定では、インターフェイス名は IFNAME
トークンで表され、ランタイム時にインターフェイスの実際の名前に置き換えられます。
手順
次の内容で、
tuning-example.yaml
などのネットワーク接続定義を作成します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: <name> 1 namespace: default 2 spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", 3 "name": "<name>", 4 "plugins": [{ "type": "<main_CNI_plugin>" 5 }, { "type": "tuning", 6 "sysctl": { "net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects": "1" 7 } } ] }
- 1
- 作成する追加のネットワーク割り当ての名前を指定します。名前は指定された namespace 内で一意である必要があります。
- 2
- オブジェクトが関連付けられている namespace を指定します。
- 3
- CNI 仕様のバージョンを指定します。
- 4
- 設定の名前を指定します。設定名をネットワーク接続定義の name の値に一致させることが推奨されます。
- 5
- 設定するメイン CNI プラグインの名前を指定します。
- 6
- CNI メタプラグインの名前を指定します。
- 7
- 設定する sysctl を指定します。インターフェイス名は
IFNAME
トークンで表され、ランタイム時にインターフェイスの実際の名前に置き換えられます。
YAML ファイルの例を次に示します。
apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: tuningnad namespace: default spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", "name": "tuningnad", "plugins": [{ "type": "bridge" }, { "type": "tuning", "sysctl": { "net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects": "1" } } ] }'
以下のコマンドを実行して YAML を適用します。
$ oc apply -f tuning-example.yaml
出力例
networkattachmentdefinition.k8.cni.cncf.io/tuningnad created
次のようなネットワーク接続定義を使用して、
examplepod.yaml
などの Pod を作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: tunepod namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: tuningnad 1 spec: containers: - name: podexample image: centos command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"] securityContext: runAsUser: 2000 2 runAsGroup: 3000 3 allowPrivilegeEscalation: false 4 capabilities: 5 drop: ["ALL"] securityContext: runAsNonRoot: true 6 seccompProfile: 7 type: RuntimeDefault
- 1
- 設定済みの
NetworkAttachmentDefinition
の名前を指定します。 - 2
runAsUser
は、コンテナーが実行されるユーザー ID を制御します。- 3
runAsGroup
は、コンテナーが実行されるプライマリーグループ ID を制御します。- 4
allowPrivilegeEscalation
は、Pod が特権の昇格を許可するように要求できるかどうかを決定します。指定しない場合、デフォルトで true に設定されます。このブール値は、no_new_privs
フラグがコンテナープロセスに設定されるかどうかを直接制御します。- 5
capabilities
は、完全なルートアクセスを許可せずに権限操作を許可します。このポリシーにより、すべての機能が Pod から削除されます。- 6
runAsNonRoot: true
は、コンテナーが 0 以外の任意の UID を持つユーザーで実行されることを要求します。- 7
RuntimeDefault
は、Pod またはコンテナーワークロードのデフォルトの seccomp プロファイルを有効にします。
以下のコマンドを実行して yaml を適用します。
$ oc apply -f examplepod.yaml
次のコマンドを実行して、Pod が作成されていることを確認します。
$ oc get pod
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE tunepod 1/1 Running 0 47s
次のコマンドを実行して、Pod にログインします。
$ oc rsh tunepod
設定された sysctl フラグの値を確認します。たとえば、次のコマンドを実行して、値
net.ipv4.conf.net1.accept_redirects
を見つけます。sh-4.4# sysctl net.ipv4.conf.net1.accept_redirects
予想される出力
net.ipv4.conf.net1.accept_redirects = 1
15.2. チューニング CNI を使用してオールマルチキャストモードを有効にする
チューニング Container Network Interface (CNI) メタプラグインを使用して、オールマルチキャストモードを有効にできます。
次の手順では、チューニング CNI を設定してオールマルチキャストモードを有効にする方法を説明します。
手順
次の内容で、
tuning-example.yaml
などのネットワーク接続定義を作成します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: <name> 1 namespace: default 2 spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", 3 "name": "<name>", 4 "plugins": [{ "type": "<main_CNI_plugin>" 5 }, { "type": "tuning", 6 "allmulti": true 7 } } ] }
- 1
- 作成する追加のネットワーク割り当ての名前を指定します。名前は指定された namespace 内で一意である必要があります。
- 2
- オブジェクトが関連付けられている namespace を指定します。
- 3
- CNI 仕様のバージョンを指定します。
- 4
- 設定の名前を指定します。設定名は、ネットワーク接続定義の名前の値と一致させます。
- 5
- 設定するメイン CNI プラグインの名前を指定します。
- 6
- CNI メタプラグインの名前を指定します。
- 7
- インターフェイスのオールマルチキャストモードを変更します。有効にすると、ネットワーク上のすべてのマルチキャストパケットがそのインターフェイスで受信されます。
YAML ファイルの例を次に示します。
apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: setallmulti namespace: default spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", "name": "setallmulti", "plugins": [ { "type": "bridge" }, { "type": "tuning", "allmulti": true } ] }'
次のコマンドを実行して、YAML ファイルで指定された設定を適用します。
$ oc apply -f tuning-allmulti.yaml
出力例
networkattachmentdefinition.k8s.cni.cncf.io/setallmulti created
次の
examplepod.yaml
サンプルファイルで指定されているものと同様のネットワーク接続定義を持つ Pod を作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: allmultipod namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: setallmulti 1 spec: containers: - name: podexample image: centos command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"] securityContext: runAsUser: 2000 2 runAsGroup: 3000 3 allowPrivilegeEscalation: false 4 capabilities: 5 drop: ["ALL"] securityContext: runAsNonRoot: true 6 seccompProfile: 7 type: RuntimeDefault
- 1
- 設定された
NetworkAttachmentDefinition
の名前を指定します。 - 2
- コンテナーの実行に使用するユーザー ID を指定します。
- 3
- コンテナーの実行に使用するプライマリーグループ ID を指定します。
- 4
- Pod が権限昇格を要求できるか指定します。指定しない場合、デフォルトで
true
に設定されます。このブール値は、no_new_privs
フラグがコンテナープロセスに設定されるかどうかを直接制御します。 - 5
- コンテナーのケイパビリティーを指定します。
drop: ["ALL"]
ステートメントは、すべての Linux ケイパビリティーが Pod からドロップされ、より制限的なセキュリティープロファイルが提供されていることを示します。 - 6
- UID が
0
以外のユーザーでコンテナーが実行されるように指定します。 - 7
- コンテナーの seccomp プロファイルを指定します。この場合、タイプは
RuntimeDefault
に設定されます。Seccomp は、プロセスで使用できるシステムコールを制限し、攻撃対象領域を最小化してセキュリティーを強化する Linux カーネル機能です。
次のコマンドを実行して、YAML ファイルで指定された設定を適用します。
$ oc apply -f examplepod.yaml
次のコマンドを実行して、Pod が作成されていることを確認します。
$ oc get pod
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE allmultipod 1/1 Running 0 23s
次のコマンドを実行して、Pod にログインします。
$ oc rsh allmultipod
次のコマンドを実行して、Pod に関連付けられているすべてのインターフェイスをリスト表示します。
sh-4.4# ip link
出力例
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 2: eth0@if22: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 8901 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default link/ether 0a:58:0a:83:00:10 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 1 3: net1@if24: <BROADCAST,MULTICAST,ALLMULTI,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default link/ether ee:9b:66:a4:ec:1d brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 2
15.3. 関連情報
第16章 Stream Control Transmission Protocol (SCTP) の使用
クラスター管理者は、ベアメタルクラスターで Stream Control Transmission Protocol (SCTP) を使用できます。
16.1. OpenShift Container Platform での SCTP のサポート
クラスター管理者は、クラスターのホストで SCTP を有効にできます。Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) で、SCTP モジュールはデフォルトで無効にされています。
SCTP は、IP ネットワークの上部で実行される信頼できるメッセージベースのプロトコルです。
これを有効にすると、SCTP を Pod、サービス、およびネットワークポリシーでプロトコルとして使用できます。Service
オブジェクトは、type
パラメーターを ClusterIP
または NodePort
のいずれかの値に設定して定義する必要があります。
16.1.1. SCTP プロトコルを使用した設定例
protocol
パラメーターを Pod またはサービスリソース定義の SCTP
値に設定して、Pod またはサービスを SCTP を使用するように設定できます。
以下の例では、Pod は SCTP を使用するように設定されています。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: namespace: project1 name: example-pod spec: containers: - name: example-pod ... ports: - containerPort: 30100 name: sctpserver protocol: SCTP
以下の例では、サービスは SCTP を使用するように設定されています。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: namespace: project1 name: sctpserver spec: ... ports: - name: sctpserver protocol: SCTP port: 30100 targetPort: 30100 type: ClusterIP
以下の例では、NetworkPolicy
オブジェクトは、特定のラベルの付いた Pod からポート 80
の SCTP ネットワークトラフィックに適用するように設定されます。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-sctp-on-http spec: podSelector: matchLabels: role: web ingress: - ports: - protocol: SCTP port: 80
16.2. SCTP (Stream Control Transmission Protocol) の有効化
クラスター管理者は、クラスターのワーカーノードでブラックリストに指定した SCTP カーネルモジュールを読み込み、有効にできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
以下の YAML 定義が含まれる
load-sctp-module.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfig metadata: name: load-sctp-module labels: machineconfiguration.openshift.io/role: worker spec: config: ignition: version: 3.2.0 storage: files: - path: /etc/modprobe.d/sctp-blacklist.conf mode: 0644 overwrite: true contents: source: data:, - path: /etc/modules-load.d/sctp-load.conf mode: 0644 overwrite: true contents: source: data:,sctp
MachineConfig
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。$ oc create -f load-sctp-module.yaml
オプション: MachineConfig Operator が設定変更を適用している間にノードのステータスを確認するには、以下のコマンドを入力します。ノードのステータスが
Ready
に移行すると、設定の更新が適用されます。$ oc get nodes
16.3. SCTP (Stream Control Transmission Protocol) が有効になっていることの確認
SCTP がクラスターで機能することを確認するには、SCTP トラフィックをリッスンするアプリケーションで Pod を作成し、これをサービスに関連付け、公開されたサービスに接続します。
前提条件
-
クラスターからインターネットにアクセスし、
nc
パッケージをインストールすること。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
SCTP リスナーを起動する Pod を作成します。
以下の YAML で Pod を定義する
sctp-server.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: sctpserver labels: app: sctpserver spec: containers: - name: sctpserver image: registry.access.redhat.com/ubi9/ubi command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf install -y nc && sleep inf"] ports: - containerPort: 30102 name: sctpserver protocol: SCTP
以下のコマンドを入力して Pod を作成します。
$ oc create -f sctp-server.yaml
SCTP リスナー Pod のサービスを作成します。
以下の YAML でサービスを定義する
sctp-service.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: sctpservice labels: app: sctpserver spec: type: NodePort selector: app: sctpserver ports: - name: sctpserver protocol: SCTP port: 30102 targetPort: 30102
サービスを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f sctp-service.yaml
SCTP クライアントの Pod を作成します。
以下の YAML で
sctp-client.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: sctpclient labels: app: sctpclient spec: containers: - name: sctpclient image: registry.access.redhat.com/ubi9/ubi command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf install -y nc && sleep inf"]
Pod
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。$ oc apply -f sctp-client.yaml
サーバーで SCTP リスナーを実行します。
サーバー Pod に接続するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc rsh sctpserver
SCTP リスナーを起動するには、以下のコマンドを入力します。
$ nc -l 30102 --sctp
サーバーの SCTP リスナーに接続します。
- ターミナルプログラムで新規のターミナルウィンドウまたはタブを開きます。
sctpservice
サービスの IP アドレスを取得します。以下のコマンドを入力します。$ oc get services sctpservice -o go-template='{{.spec.clusterIP}}{{"\n"}}'
クライアント Pod に接続するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc rsh sctpclient
SCTP クライアントを起動するには、以下のコマンドを入力します。
<cluster_IP>
をsctpservice
サービスのクラスター IP アドレスに置き換えます。# nc <cluster_IP> 30102 --sctp
第17章 Precision Time Protocol ハードウェアの使用
17.1. OpenShift クラスターノードの Precision Time Protocol について
Precision Time Protocol (PTP) は、ネットワーク内のクロックを同期するのに使用されます。ハードウェアサポートと併用する場合、PTP はマイクロ秒以下の正確性があり、Network Time Protocol (NTP) よりも正確になります。
OpenShift Container Platform クラスターノードでlinuxptp
サービスを設定し、PTP 対応ハードウェアを使用できます。
OpenShift Container Platform Web コンソールまたは OpenShift CLI (oc
) を使用して、PTP Operator をデプロイして PTP をインストールします。PTP Operator は linuxptp
サービスを作成し、管理し、以下の機能を提供します。
- クラスター内の PTP 対応デバイスの検出。
-
linuxptp
サービスの設定の管理。 -
PTP Operator
cloud-event-proxy
サイドカーによるアプリケーションのパフォーマンスおよび信頼性に悪影響を与える PTP クロックイベントの通知。
PTP Operator は、ベアメタルインフラストラクチャーでのみプロビジョニングされるクラスターの PTP 対応デバイスと連携します。
17.1.1. PTP ドメインの要素
PTP は、ネットワークに接続された複数のノードを各ノードのクロックと同期するために使用されます。PTP によって同期されるクロックは、リーダーとフォロワーの階層で構成されています。この階層は、1 クロックごとに実行される best master clock (BMC) アルゴリズムによって自動的に作成および更新されます。フォロワークロックはリーダークロックと同期しており、フォロワークロック自体が他のダウンストリームクロックのソースになることができます。
図17.1 ネットワーク内の PTP ノード
PTP クロックの 3 つの主要なタイプを以下に説明します。
- グランドマスタークロック
- グランドマスタークロックは、ネットワーク全体の他のクロックに標準時間情報を提供し、正確で安定した同期を保証します。タイムスタンプを書き込み、他のクロックからの時間の要求に応答します。グランドマスタークロックは、Global Navigation Satellite System (GNSS) のタイムソースと同期します。グランドマスタークロックは、ネットワーク内の時刻の信頼できるソースとして、他のすべてのデバイスに時刻同期を提供します。
- 境界クロック
- 境界クロックには、2 つ以上の通信パスにあるポートがあり、ソースと宛先の宛先を同時に他の宛先クロックに指定できます。境界クロックは、宛先クロックアップストリームとして機能します。宛先クロックはタイミングメッセージを受け取り、遅延に合わせて調整し、ネットワークを渡す新しいソースタイムシグナルを作成します。境界クロックは、ソースクロックと正しく同期され、ソースクロックに直接レポートする接続されたデバイスの数を減らすことができる新しいタイミングパケットを生成します。
- 通常のクロック
- 通常のクロックには、ネットワーク内の位置に応じて、送信元クロックまたは宛先クロックのロールを果たすことができる単一のポート接続があります。通常のクロックは、タイムスタンプの読み取りおよび書き込みが可能です。
NTP 上の PTP の利点
PTP が NTP を経由した主な利点の 1 つは、さまざまなネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) およびネットワークスイッチにあるハードウェアサポートです。この特化されたハードウェアにより、PTP はメッセージ送信の遅れを説明でき、時間同期の精度を高められます。可能な限りの精度を実現するには、PTP クロック間の全ネットワークコンポーネントが PTP ハードウェアを有効にすることが推奨されます。
NIC は PTP パケットを送受信した瞬間にタイムスタンプを付けることができるため、ハードウェアベースの PTP は最適な精度を提供します。これをソフトウェアベースの PTP と比較します。これには、オペレーティングシステムによる PTP パケットの追加処理が必要になります。
PTP を有効にする前に、必要なノードについて NTP が無効になっていることを確認します。MachineConfig
カスタムリソースを使用して chrony タイムサービス (chronyd
) を無効にすることができます。詳細は、chrony タイムサービスの無効化 を参照してください。
17.1.2. PTP を使用するデュアル Intel E810 NIC ハードウェアの使用
OpenShift Container Platform は、シングルおよびデュアル NIC Intel E810 ハードウェアをサポートし、グランドマスタークロック (T-GM) および境界クロック (T-BC) の高精度の PTP タイミングを実現します。
- デュアル NIC グランドマスタークロック
デュアル NIC ハードウェアを備えたクラスターホストを PTP グランドマスタークロックとして使用できます。1 つ目の NIC は、Global Navigation Satellite System (GNSS) からタイミング情報を受信します。2 つ目の NIC は、E810 NIC フェイスプレート上の SMA1 Tx/Rx 接続を使用して、1 つ目の NIC からタイミング情報を受信します。クラスターホストのシステムクロックは、GNSS 衛星に接続されている NIC から同期されます。
デュアル NIC グランドマスタークロックは、Remote Radio Unit (RRU) と Baseband Unit (BBU) が同じ無線セルサイトに配置されている分散型 RAN (D-RAN) 構成の機能です。D-RAN は、コアネットワークにリンクするバックホール接続により、複数のサイトに無線機能を分散します。
図17.2 デュアル NIC グランドマスタークロック
注記デュアル NIC T-GM 構成では、単一の
ts2phc
プロセスがシステム内の 2 つのts2phc
インスタンスとして報告されます。- デュアル NIC 境界クロック
ミッドバンドスペクトルカバレッジを提供する 5G 電話会社ネットワークの場合、各仮想分散ユニット (vDU) には 6 つの無線ユニット (RU) への接続が必要です。これらの接続を確立するには、各 vDU ホストに境界クロックとして設定された 2 つの NIC が必要です。
デュアル NIC ハードウェアを使用すると、各 NIC を同じアップストリームリーダークロックに接続し、NIC ごとに個別の
ptp4l
インスタンスをダウンストリームクロックに供給することができます。
17.1.3. OpenShift Container Platform ノードの linuxptp および gpsd の概要
OpenShift Container Platform は、高精度のネットワーク同期のために、PTP Operator とともに linuxptp
および gpsd
パッケージを使用します。linuxptp
パッケージは、ネットワーク内の PTP タイミング用のツールとデーモンを提供します。Global Navigation Satellite System (GNSS) 対応の NIC を備えたクラスターホストは、GNSS クロックソースとのインターフェイスに gpsd
を使用します。
linuxptp
パッケージには、システムクロック同期用の ts2phc
、pmc
、ptp4l
、および phc2sys
プログラムが含まれています。
- ts2phc
ts2phc
は、PTP デバイス間で PTP ハードウェアクロック (PHC) を高精度で同期します。ts2phc
はグランドマスタークロック設定で使用されます。Global Navigation Satellite System (GNSS) などの高精度クロックソースから正確なタイミング信号を受信します。GNSS は、大規模な分散ネットワークで使用するための、正確で信頼性の高い同期時刻ソースを提供します。GNSS クロックは通常、数ナノ秒の精度で時刻情報を提供します。ts2phc
システムデーモンは、グランドマスタークロックから時刻情報を読み取り、PHC 形式に変換することにより、グランドマスタークロックからのタイミング情報をネットワーク内の他の PTP デバイスに送信します。PHC 時間は、ネットワーク内の他のデバイスがクロックをグランドマスタークロックと同期させるために使用されます。- pmc
-
pmc
は、IEEE 標準 1588.1588 に従って PTP 管理クライアント (pmc
) を実装します。pmc
は、ptp4l
システムデーモンの基本的な管理アクセスを提供します。pmc
は、標準入力から読み取り、選択されたトランスポート経由で出力を送信し、受信した応答を出力します。 - ptp4l
ptp4l
は、PTP 境界クロックと通常のクロックを実装し、システムデーモンとして実行されます。ptp4l
は、以下を行います。- ハードウェアタイムスタンプを使用して PHC をソースクロックに同期します。
- ソフトウェアタイムスタンプを使用してシステムクロックをソースクロックに同期します。
- phc2sys
-
phc2sys
は、システムクロックをネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) 上の PHC に同期します。phc2sys
システムデーモンは、PHC のタイミング情報を継続的に監視します。PHC はタイミングエラーを検出すると、システムクロックを修正します。
gpsd
パッケージには、ホストクロックと GNSS クロックを同期するためのプログラム ubxtool
、gspipe
、gpsd
が含まれています。
- ubxtool
-
ubxtool
CLI を使用すると、u-blox GPS システムと通信できます。ubxtool
CLI は、u-blox バイナリープロトコルを使用して GPS と通信します。 - gpspipe
-
gpspipe
はgpsd
出力に接続し、それをstdout
にパイプします。 - gpsd
-
gpsd
は、ホストに接続されている 1 つ以上の GPS または AIS 受信機を監視するサービスデーモンです。
17.1.4. PTP グランドマスタークロックの GNSS タイミングの概要
OpenShift Container Platform は、クラスター内の Global Navigation Satellite System (GNSS) ソースおよびグランドマスタークロック (T-GM) からの高精度 PTP タイミングの受信をサポートします。
OpenShift Container Platform は、Intel E810 Westport Channel NIC を使用した GNSS ソースからの PTP タイミングのみをサポートします。
図17.3 GNSS および T-GM との同期の概要
- Global Navigation Satellite System (GNSS)
GNSS は、測位情報、ナビゲーション情報、タイミング情報を世界中の受信機に提供するために使用される衛星ベースのシステムです。PTP では、高精度で安定した基準クロックソースとして GNSS 受信機がよく使用されます。これらの受信機は、複数の GNSS 衛星から信号を受信し、正確な時刻情報を計算できます。GNSS から取得したタイミング情報は、PTP グランドマスタークロックの基準として使用されます。
GNSS を基準として使用することにより、PTP ネットワークのグランドマスタークロックは、他のデバイスに高精度のタイムスタンプを提供し、ネットワーク全体での正確な同期を可能にします。
- Digital Phase-Locked Loop (DPLL)
- DPLL はネットワーク内の各 PTP ノード間のクロック同期を提供します。DPLL は、ローカルシステムクロック信号の位相を、受信同期信号 (PTP グランドマスタークロックからの PTP メッセージなど) の位相と比較します。DPLL は、ローカルクロックの周波数と位相を継続的に調整して、ローカルクロックと基準クロック間の位相差を最小限に抑えます。
GNSS 同期 PTP グランドマスタークロックでのうるう秒イベントの処理
うるう秒は、協定世界時 (UTC) を国際原子時 (TAI) と同期させるために、時折適用される 1 秒の調整です。UTC のうるう秒は予測できません。leap-seconds.list に、国際的に合意されたうるう秒が掲載されています。このファイルは、Earth Rotation and Reference Systems Service (IERS) によって定期的に更新されます。うるう秒が処理されないと、遠端の RAN ネットワークに大きな影響が及ぶ可能性があります。これにより、遠端の RAN アプリケーションが音声通話とデータセッションを直ちに切断する可能性があります。
17.2. Precision Time Protocol デバイスの設定
PTP Operator は NodePtpDevice.ptp.openshift.io
カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。
PTP Operator は、インストールされている場合、クラスター内の各ノードで Precision Time Protocol (PTP) 対応のネットワークデバイスを検索します。この Operator は、互換性のある PTP 対応ネットワークデバイスを提供する各ノードの NodePtpDevice
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成および更新します。
PTP 機能が組み込まれたネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) ハードウェアでは、デバイス固有の設定が必要な場合があります。PtpConfig
カスタムリソース (CR) でプラグインを設定することで、PTP Operator でサポートされているハードウェア固有の NIC 機能を使用できます。linuxptp-daemon
サービスが、plugin
スタンザ内の名前付きパラメーターを使用して、特定のハードウェア設定に基づいて linuxptp
プロセス、ptp4l
および phc2sys
を起動します。
OpenShift Container Platform 4.14 では、Intel E810 NIC が PtpConfig
プラグインでサポートされています。
17.2.1. CLI を使用した PTP Operator のインストール
クラスター管理者は、CLI を使用して Operator をインストールできます。
前提条件
- PTP に対応するハードウェアを持つノードでベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
PTP Operator の namespace を作成します。
次の YAML を
ptp-namespace.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: openshift-ptp annotations: workload.openshift.io/allowed: management labels: name: openshift-ptp openshift.io/cluster-monitoring: "true"
namespace
CR を作成します。$ oc create -f ptp-namespace.yaml
PTP Operator の Operator グループを作成します。
次の YAML を
ptp-operatorgroup.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: ptp-operators namespace: openshift-ptp spec: targetNamespaces: - openshift-ptp
OperatorGroup
CR を作成します。$ oc create -f ptp-operatorgroup.yaml
PTP Operator にサブスクライブします。
次の YAML を
ptp-sub.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: ptp-operator-subscription namespace: openshift-ptp spec: channel: "stable" name: ptp-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace
Subscription
CR を作成します。$ oc create -f ptp-sub.yaml
Operator がインストールされていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get csv -n openshift-ptp -o custom-columns=Name:.metadata.name,Phase:.status.phase
出力例
Name Phase 4.14.0-202301261535 Succeeded
17.2.2. Web コンソールを使用した PTP Operator のインストール
クラスター管理者は、Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールできます。
先のセクションで説明されているように namespace および Operator グループを作成する必要があります。
手順
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して PTP Operator をインストールします。
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub をクリックします。
- 利用可能な Operator のリストから PTP Operator を選択してから Install をクリックします。
- Install Operator ページの A specific namespace on the cluster の下で openshift-ptp を選択します。次に、Install をクリックします。
オプション: PTP Operator が正常にインストールされていることを確認します。
- Operators → Installed Operators ページに切り替えます。
PTP Operator が Status が InstallSucceeded の状態で openshift-ptp プロジェクトにリスト表示されていることを確認します。
注記インストール時に、Operator は Failed ステータスを表示する可能性があります。インストールが後に InstallSucceeded メッセージを出して正常に実行される場合は、Failed メッセージを無視できます。
Operator がインストール済みとして表示されない場合に、さらにトラブルシューティングを実行します。
- Operators → Installed Operators ページに移動し、Operator Subscriptions および Install Plans タブで Status にエラーがあるかどうかを検査します。
-
Workloads → Pods ページに移動し、
openshift-ptp
プロジェクトで Pod のログを確認します。
17.2.3. クラスター内の PTP 対応ネットワークデバイスの検出
PTP 対応ネットワークデバイスを設定できるように、クラスター内に存在する PTP 対応ネットワークデバイスを特定します。
前提条件
- PTP Operator がインストールされている。
手順
クラスター内の PTP 対応ネットワークデバイスの一覧を返すには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get NodePtpDevice -n openshift-ptp -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: NodePtpDevice metadata: creationTimestamp: "2022-01-27T15:16:28Z" generation: 1 name: dev-worker-0 1 namespace: openshift-ptp resourceVersion: "6538103" uid: d42fc9ad-bcbf-4590-b6d8-b676c642781a spec: {} status: devices: 2 - name: eno1 - name: eno2 - name: eno3 - name: eno4 - name: enp5s0f0 - name: enp5s0f1 ...
17.2.4. linuxptp サービスをグランドマスタークロックとして設定する
ホスト NIC を設定する PtpConfig
カスタムリソース (CR) を作成することで、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
、ts2phc
) をグランドマスタークロック (T-GM) として設定できます。
ts2phc
ユーティリティーを使用すると、システムクロックを PTP グランドマスタークロックと同期できるため、ノードは高精度クロック信号をダウンストリームの PTP 通常クロックおよび境界クロックにストリーミングできます。
次の PtpConfig
CR の例をベースとして使用して、linuxptp
サービスを Intel Westport Channel E810-XXVDA4T ネットワークインターフェイスの T-GM として設定してください。
PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOpts
、ptp4lConf
、ptpClockThreshold
に適切な値を設定します。ptpClockThreshold
は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。
前提条件
- 実稼働環境の T-GM クロックの場合は、ベアメタルクラスターホストに Intel E810 Westport Channel NIC がインストールされている。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
PtpConfig
CR を作成します。以下に例を示します。要件に応じて、デプロイメントに次の T-GM 設定のいずれかを使用します。YAML を
grandmaster-clock-ptp-config.yaml
ファイルに保存します。例17.1 E810 NIC の PTP グランドマスタークロック設定
apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: grandmaster namespace: openshift-ptp annotations: {} spec: profile: - name: "grandmaster" ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4" phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -s $iface_master -n 24 ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO ptpSchedulingPriority: 10 ptpSettings: logReduce: "true" plugins: e810: enableDefaultConfig: false settings: LocalMaxHoldoverOffSet: 1500 LocalHoldoverTimeout: 14400 MaxInSpecOffset: 100 pins: $e810_pins # "$iface_master": # "U.FL2": "0 2" # "U.FL1": "0 1" # "SMA2": "0 2" # "SMA1": "0 1" ublxCmds: - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1 - "-P" - "29.20" - "-z" - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -e GPS - "-P" - "29.20" - "-e" - "GPS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d Galileo - "-P" - "29.20" - "-d" - "Galileo" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d GLONASS - "-P" - "29.20" - "-d" - "GLONASS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d BeiDou - "-P" - "29.20" - "-d" - "BeiDou" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d SBAS - "-P" - "29.20" - "-d" - "SBAS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -t -w 5 -v 1 -e SURVEYIN,600,50000 - "-P" - "29.20" - "-t" - "-w" - "5" - "-v" - "1" - "-e" - "SURVEYIN,600,50000" reportOutput: true - args: #ubxtool -P 29.20 -p MON-HW - "-P" - "29.20" - "-p" - "MON-HW" reportOutput: true - args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248 - "-P" - "29.20" - "-p" - "CFG-MSG,1,38,248" reportOutput: true ts2phcOpts: " " ts2phcConf: | [nmea] ts2phc.master 1 [global] use_syslog 0 verbose 1 logging_level 7 ts2phc.pulsewidth 100000000 #cat /dev/GNSS to find available serial port #example value of gnss_serialport is /dev/ttyGNSS_1700_0 ts2phc.nmea_serialport $gnss_serialport [$iface_master] ts2phc.extts_polarity rising ts2phc.extts_correction 0 ptp4lConf: | [$iface_master] masterOnly 1 [$iface_master_1] masterOnly 1 [$iface_master_2] masterOnly 1 [$iface_master_3] masterOnly 1 [global] # # Default Data Set # twoStepFlag 1 priority1 128 priority2 128 domainNumber 24 #utc_offset 37 clockClass 6 clockAccuracy 0x27 offsetScaledLogVariance 0xFFFF free_running 0 freq_est_interval 1 dscp_event 0 dscp_general 0 dataset_comparison G.8275.x G.8275.defaultDS.localPriority 128 # # Port Data Set # logAnnounceInterval -3 logSyncInterval -4 logMinDelayReqInterval -4 logMinPdelayReqInterval 0 announceReceiptTimeout 3 syncReceiptTimeout 0 delayAsymmetry 0 fault_reset_interval -4 neighborPropDelayThresh 20000000 masterOnly 0 G.8275.portDS.localPriority 128 # # Run time options # assume_two_step 0 logging_level 6 path_trace_enabled 0 follow_up_info 0 hybrid_e2e 0 inhibit_multicast_service 0 net_sync_monitor 0 tc_spanning_tree 0 tx_timestamp_timeout 50 unicast_listen 0 unicast_master_table 0 unicast_req_duration 3600 use_syslog 1 verbose 0 summary_interval -4 kernel_leap 1 check_fup_sync 0 clock_class_threshold 7 # # Servo Options # pi_proportional_const 0.0 pi_integral_const 0.0 pi_proportional_scale 0.0 pi_proportional_exponent -0.3 pi_proportional_norm_max 0.7 pi_integral_scale 0.0 pi_integral_exponent 0.4 pi_integral_norm_max 0.3 step_threshold 2.0 first_step_threshold 0.00002 clock_servo pi sanity_freq_limit 200000000 ntpshm_segment 0 # # Transport options # transportSpecific 0x0 ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00 p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E udp_ttl 1 udp6_scope 0x0E uds_address /var/run/ptp4l # # Default interface options # clock_type BC network_transport L2 delay_mechanism E2E time_stamping hardware tsproc_mode filter delay_filter moving_median delay_filter_length 10 egressLatency 0 ingressLatency 0 boundary_clock_jbod 0 # # Clock description # productDescription ;; revisionData ;; manufacturerIdentity 00:00:00 userDescription ; timeSource 0x20 recommend: - profile: "grandmaster" priority: 4 match: - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
注記E810 Westport Channel NIC の場合は、
ts2phc.nmea_serialport
の値を/dev/gnss0
に設定します。以下のコマンドを実行して CR を作成します。
$ oc create -f grandmaster-clock-ptp-config.yaml
検証
PtpConfig
プロファイルがノードに適用されていることを確認します。以下のコマンドを実行して、
openshift-ptp
namespace の Pod の一覧を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-74m2g 3/3 Running 3 4d15h 10.16.230.7 compute-1.example.com ptp-operator-5f4f48d7c-x7zkf 1/1 Running 1 4d15h 10.128.1.145 compute-1.example.com
プロファイルが正しいことを確認します。
PtpConfig
プロファイルで指定したノードに対応するlinuxptp
デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。$ oc logs linuxptp-daemon-74m2g -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container
出力例
ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] nmea delay: 98690975 ns ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] ens3f0 extts index 0 at 1676577329.999999999 corr 0 src 1676577330.901342528 diff -1 ts2phc[94980.334]: [ts2phc.0.config] ens3f0 master offset -1 s2 freq -1 ts2phc[94980.441]: [ts2phc.0.config] nmea sentence: GNRMC,195453.00,A,4233.24427,N,07126.64420,W,0.008,,160223,,,A,V phc2sys[94980.450]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset 943 s2 freq -89604 delay 504 phc2sys[94980.512]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset 1000 s2 freq -89264 delay 474
17.2.5. linuxptp サービスをデュアル E810 Westport Channel NIC のグランドマスタークロックとして設定する
ホスト NIC を設定する PtpConfig
カスタムリソース (CR) を作成することで、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
、ts2phc
) をデュアル E810 Westport Channel NIC のグランドマスタークロック (T-GM) として設定できます。
分散型 RAN (D-RAN) のユースケースでは、次の方法でデュアル NIC の PTP を設定できます。
- NIC 1 を、Global Navigation Satellite System (GNSS) のタイムソースに同期します。
-
NIC 2 を、NIC 1 によって提供される 1PPS タイミング出力に同期します。この設定は、
PtpConfig
CR の PTP ハードウェアプラグインによって提供します。
デュアル NIC PTP T-GM 構成では、1 つの ptp4l
インスタンスと、各 NIC に 1 つずつ、2 つの ts2phc
インスタンスを報告する 1 つの ts2phc
プロセスを使用します。ホストのシステムクロックは、GNSS タイムソースに接続されている NIC から同期されます。
次の PtpConfig
CR の例をベースとして使用して、linuxptp
サービスをデュアル Intel Westport Channel E810-XXVDA4T ネットワークインターフェイスの T-GM として設定してください。
PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOpts
、ptp4lConf
、ptpClockThreshold
に適切な値を設定します。ptpClockThreshold
は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。
前提条件
- 実稼働環境の T-GM クロックの場合は、ベアメタルクラスターホストに 2 つの Intel E810 Westport Channel NIC がインストールされている。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
PtpConfig
CR を作成します。以下に例を示します。次の YAML を
grandmaster-clock-ptp-config-dual-nics.yaml
ファイルに保存します。例17.2 デュアル E810 NIC の PTP グランドマスタークロック設定
# In this example two cards $iface_nic1 and $iface_nic2 are connected via # SMA1 ports by a cable and $iface_nic2 receives 1PPS signals from $iface_nic1 apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: grandmaster namespace: openshift-ptp annotations: {} spec: profile: - name: "grandmaster" ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4" phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -s $iface_nic1 -n 24 ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO ptpSchedulingPriority: 10 ptpSettings: logReduce: "true" plugins: e810: enableDefaultConfig: false settings: LocalMaxHoldoverOffSet: 1500 LocalHoldoverTimeout: 14400 MaxInSpecOffset: 100 pins: $e810_pins # "$iface_nic1": # "U.FL2": "0 2" # "U.FL1": "0 1" # "SMA2": "0 2" # "SMA1": "2 1" # "$iface_nic2": # "U.FL2": "0 2" # "U.FL1": "0 1" # "SMA2": "0 2" # "SMA1": "1 1" ublxCmds: - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1 - "-P" - "29.20" - "-z" - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -e GPS - "-P" - "29.20" - "-e" - "GPS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d Galileo - "-P" - "29.20" - "-d" - "Galileo" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d GLONASS - "-P" - "29.20" - "-d" - "GLONASS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d BeiDou - "-P" - "29.20" - "-d" - "BeiDou" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -d SBAS - "-P" - "29.20" - "-d" - "SBAS" reportOutput: false - args: #ubxtool -P 29.20 -t -w 5 -v 1 -e SURVEYIN,600,50000 - "-P" - "29.20" - "-t" - "-w" - "5" - "-v" - "1" - "-e" - "SURVEYIN,600,50000" reportOutput: true - args: #ubxtool -P 29.20 -p MON-HW - "-P" - "29.20" - "-p" - "MON-HW" reportOutput: true - args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248 - "-P" - "29.20" - "-p" - "CFG-MSG,1,38,248" reportOutput: true ts2phcOpts: " " ts2phcConf: | [nmea] ts2phc.master 1 [global] use_syslog 0 verbose 1 logging_level 7 ts2phc.pulsewidth 100000000 #cat /dev/GNSS to find available serial port #example value of gnss_serialport is /dev/ttyGNSS_1700_0 ts2phc.nmea_serialport $gnss_serialport [$iface_nic1] ts2phc.extts_polarity rising ts2phc.extts_correction 0 [$iface_nic2] ts2phc.master 0 ts2phc.extts_polarity rising #this is a measured value in nanoseconds to compensate for SMA cable delay ts2phc.extts_correction -10 ptp4lConf: | [$iface_nic1] masterOnly 1 [$iface_nic1_1] masterOnly 1 [$iface_nic1_2] masterOnly 1 [$iface_nic1_3] masterOnly 1 [$iface_nic2] masterOnly 1 [$iface_nic2_1] masterOnly 1 [$iface_nic2_2] masterOnly 1 [$iface_nic2_3] masterOnly 1 [global] # # Default Data Set # twoStepFlag 1 priority1 128 priority2 128 domainNumber 24 #utc_offset 37 clockClass 6 clockAccuracy 0x27 offsetScaledLogVariance 0xFFFF free_running 0 freq_est_interval 1 dscp_event 0 dscp_general 0 dataset_comparison G.8275.x G.8275.defaultDS.localPriority 128 # # Port Data Set # logAnnounceInterval -3 logSyncInterval -4 logMinDelayReqInterval -4 logMinPdelayReqInterval 0 announceReceiptTimeout 3 syncReceiptTimeout 0 delayAsymmetry 0 fault_reset_interval -4 neighborPropDelayThresh 20000000 masterOnly 0 G.8275.portDS.localPriority 128 # # Run time options # assume_two_step 0 logging_level 6 path_trace_enabled 0 follow_up_info 0 hybrid_e2e 0 inhibit_multicast_service 0 net_sync_monitor 0 tc_spanning_tree 0 tx_timestamp_timeout 50 unicast_listen 0 unicast_master_table 0 unicast_req_duration 3600 use_syslog 1 verbose 0 summary_interval -4 kernel_leap 1 check_fup_sync 0 clock_class_threshold 7 # # Servo Options # pi_proportional_const 0.0 pi_integral_const 0.0 pi_proportional_scale 0.0 pi_proportional_exponent -0.3 pi_proportional_norm_max 0.7 pi_integral_scale 0.0 pi_integral_exponent 0.4 pi_integral_norm_max 0.3 step_threshold 2.0 first_step_threshold 0.00002 clock_servo pi sanity_freq_limit 200000000 ntpshm_segment 0 # # Transport options # transportSpecific 0x0 ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00 p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E udp_ttl 1 udp6_scope 0x0E uds_address /var/run/ptp4l # # Default interface options # clock_type BC network_transport L2 delay_mechanism E2E time_stamping hardware tsproc_mode filter delay_filter moving_median delay_filter_length 10 egressLatency 0 ingressLatency 0 boundary_clock_jbod 1 # # Clock description # productDescription ;; revisionData ;; manufacturerIdentity 00:00:00 userDescription ; timeSource 0x20 recommend: - profile: "grandmaster" priority: 4 match: - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
注記E810 Westport Channel NIC の場合は、
ts2phc.nmea_serialport
の値を/dev/gnss0
に設定します。以下のコマンドを実行して CR を作成します。
$ oc create -f grandmaster-clock-ptp-config-dual-nics.yaml
検証
PtpConfig
プロファイルがノードに適用されていることを確認します。以下のコマンドを実行して、
openshift-ptp
namespace の Pod の一覧を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-74m2g 3/3 Running 3 4d15h 10.16.230.7 compute-1.example.com ptp-operator-5f4f48d7c-x7zkf 1/1 Running 1 4d15h 10.128.1.145 compute-1.example.com
プロファイルが正しいことを確認します。
PtpConfig
プロファイルで指定したノードに対応するlinuxptp
デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。$ oc logs linuxptp-daemon-74m2g -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container
出力例
ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] nmea delay: 347527248 ns ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] ens2f0 extts index 0 at 1705516553.000000000 corr 0 src 1705516553.652499081 diff 0 ts2phc[509863.660]: [ts2phc.0.config] ens2f0 master offset 0 s2 freq -0 I0117 18:35:16.000146 1633226 stats.go:57] state updated for ts2phc =s2 I0117 18:35:16.000163 1633226 event.go:417] dpll State s2, gnss State s2, tsphc state s2, gm state s2, ts2phc[1705516516]:[ts2phc.0.config] ens2f0 nmea_status 1 offset 0 s2 GM[1705516516]:[ts2phc.0.config] ens2f0 T-GM-STATUS s2 ts2phc[509863.677]: [ts2phc.0.config] ens7f0 extts index 0 at 1705516553.000000010 corr -10 src 1705516553.652499081 diff 0 ts2phc[509863.677]: [ts2phc.0.config] ens7f0 master offset 0 s2 freq -0 I0117 18:35:16.016597 1633226 stats.go:57] state updated for ts2phc =s2 phc2sys[509863.719]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset -6 s2 freq +15441 delay 510 phc2sys[509863.782]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset -7 s2 freq +15438 delay 502
17.2.5.1. グランドマスタークロックの PtpConfig 設定リファレンス
このリファレンスでは、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
、ts2phc
) をグランドマスタークロックとして設定する PtpConfig
カスタムリソース (CR) の設定オプションを説明します。
PtpConfig CR フィールド | 説明 |
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grandmaster クロック動作用に NIC を設定する
プラグインメカニズムにより、PTP Operator は自動ハードウェア設定を行うことができます。Intel Westport Channel NIC の場合、 |
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| データを破棄する前に、送信者からの送信 (TX) タイムスタンプを待機する最大時間を指定します。 |
| JBOD 境界クロック時間遅延値を指定します。この値は、ネットワーク時間デバイス間で受け渡される時間値を修正するために使用されます。 |
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注記
ここにリストされているネットワークインターフェイスがグランドマスターとして設定されており、 |
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任意。 |
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17.2.5.2. グランドマスタークロッククラスの同期状態のリファレンス
次の表は、PTP グランドマスタークロック (T-GM) の gm.ClockClass
の状態を示しています。クロッククラスの状態では、Primary Reference Time Clock (PRTC) またはその他のタイミングソースに関連する精度と安定性に基づいて T-GM クロックが分類されます。
ホールドオーバー仕様とは、PTP クロックがプライマリータイムソースから更新を受信せずに同期を維持できる時間です。
クロッククラスの状態 | 説明 |
---|---|
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T-GM クロックは |
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T-GM クロックは |
|
T-GM クロックは |
|
T-GM クロックは |
詳細は、"Phase/time traceability information", ITU-T G.8275.1/Y.1369.1 Recommendations を参照してください。
17.2.5.3. Intel Westport Channel E810 ハードウェア設定リファレンス
ここでは、Intel E810-XXVDA4T ハードウェアプラグイン を使用して E810 ネットワークインターフェイスを PTP グランドマスタークロックとして設定する方法を説明します。ハードウェアピンの設定により、ネットワークインターフェイスがシステム内の他のコンポーネントやデバイスとどのようにやり取りするかが決まります。E810-XXVDA4T NIC には、外部 1PPS 信号用の 4 つのコネクター (SMA1
、SMA2
、U.FL1
、および U.FL2)
があります。
ハードウェアピン | 推奨設定 | 説明 |
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SMA1
コネクターと U.FL1
コネクターはチャネル 1 を共有します。SMA2
コネクターと U.FL2
コネクターはチャネル 2 を共有します。
PtpConfig
カスタムリソース (CR) で GNSS クロックを設定するには、spec.profile.plugins.e810.ublxCmds
パラメーターを設定します。これらの ublxCmds
スタンザはそれぞれ、ubxtool
コマンドを使用してホスト NIC に適用する設定と対応しています。以下に例を示します。
ublxCmds: - args: #ubxtool -P 29.20 -z CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1 - "-P" - "29.20" - "-z" - "CFG-HW-ANT_CFG_VOLTCTRL,1" reportOutput: false
次の表は、同等の ubxtool
コマンドを示しています。
ubxtool コマンド | 説明 |
---|---|
|
アンテナ電圧制御を有効にします。アンテナのステータスを |
| アンテナが GPS 信号を受信できるようにします。 |
| Galileo GPS 衛星から信号を受信するようにアンテナを設定します。 |
| アンテナが GLONASS GPS 衛星から信号を受信できないようにします。 |
| アンテナが BeiDou GPS 衛星から信号を受信できないようにします。 |
| アンテナが SBAS GPS 衛星から信号を受信できないようにします。 |
| GNSS 受信機のサーベイインプロセスを設定して、初期位置の推定を改善します。最適な結果が得られるまでに最大 24 時間かかる場合があります。 |
| ハードウェアの自動スキャンを 1 回実行し、NIC の状態と構成設定を報告します。 |
E810 プラグインは次のインターフェイスを実装します。
インターフェイス | 説明 |
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PTP プロセスを起動して |
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E810 プラグインには次の構造体と変数があります。
構造体 | 説明 |
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| E810 プラグインのオプション (ブール値フラグやネットワークデバイスピンのマップなど) を表します。 |
|
ブール値フラグとコマンド引数の文字列のスライスを使用して、 |
| プラグインの実行中に使用されるプラグイン固有のデータを保持します。 |
17.2.5.4. デュアル E810 Westport Channel NIC 設定リファレンス
ここでは、Intel E810-XXVDA4T ハードウェアプラグイン を使用して、E810 ネットワークインターフェイスのペアを PTP グランドマスタークロック (T-GM) として設定する方法を説明します。
デュアル NIC クラスターホストを設定する前に、1PPS フェイスプレート接続を使用して 2 つの NIC を SMA1 ケーブルで接続する必要があります。
デュアル NIC T-GM を設定する際は、SMA1 接続ポートを使用して NIC を接続する場合に発生する 1PPS 信号遅延を補正する必要があります。ケーブルの長さ、周囲温度、コンポーネントと製作公差などのさまざまな要因が信号遅延に影響を与える可能性があります。遅延を補正するには、信号遅延のオフセットに使用する特定の値を計算する必要があります。
PtpConfig フィールド | 説明 |
---|---|
| PTP Operator E810 ハードウェアプラグインを使用して E810 ハードウェアピンを設定します。
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|
複数の NIC のサポートを有効にするには、 |
17.2.6. PTP グランドマスタークロックの動的なうるう秒処理の設定
PTP Operator コンテナーイメージには、リリース時に利用可能な最新の leap-seconds.list
ファイルが含まれています。PTP Operator は、Global Positioning System (GPS) アナウンスを使用してうるう秒ファイルを自動的に更新するように設定できます。
うるう秒情報は、openshift-ptp
namespace の leap-configmap
という名前の自動生成された ConfigMap
リソースに保存されます。PTP Operator は、ts2phc
プロセスがアクセスできる linuxptp-daemon
Pod 内のボリュームとして leap-configmap
リソースをマウントします。
GPS 衛星が新しいうるう秒データをブロードキャストすると、PTP Operator は leap-configmap
リソースを新しいデータで更新します。ts2phc
プロセスは変更を自動的に取得します。
次の手順は参考用です。PTP Operator のバージョン 4.14 では、デフォルトで自動うるう秒管理が有効になります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールし、クラスターに PTP グランドマスタークロック (T-GM) を設定した。
手順
PtpConfig
CR のphc2sysOpts
セクションで自動うるう秒処理を設定します。以下のオプションを設定します。phc2sysOpts: -r -u 0 -m -w -N 8 -R 16 -S 2 -s ens2f0 -n 24 1
- 1
-w
を設定して、ptp4l
によるシステムハードウェアクロックの同期完了を待機してから、phc2sys
に独自の同期プロセスを開始するよう強制します。
注記以前は、過去のうるう秒を考慮するために、
phc2sys
設定 (-O -37
) のオフセット調整が T-GM に必要でした。これは不要になりました。PtpConfig
CR のspec.profile.plugins.e810.ublxCmds
セクションで、GPS レシーバーによるNAV-TIMELS
メッセージの定期的な報告を有効にするように Intel e810 NIC を設定します。以下に例を示します。- args: #ubxtool -P 29.20 -p CFG-MSG,1,38,248 - "-P" - "29.20" - "-p" - "CFG-MSG,1,38,248"
検証
設定した T-GM が接続先の GPS から
NAV-TIMELS
メッセージを受信していることを確認します。以下のコマンドを実行します。$ oc -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container exec -it $(oc -n openshift-ptp get pods -o name | grep daemon) -- ubxtool -t -p NAV-TIMELS -P 29.20
出力例
1722509534.4417 UBX-NAV-STATUS: iTOW 384752000 gpsFix 5 flags 0xdd fixStat 0x0 flags2 0x8 ttff 18261, msss 1367642864 1722509534.4419 UBX-NAV-TIMELS: iTOW 384752000 version 0 reserved2 0 0 0 srcOfCurrLs 2 currLs 18 srcOfLsChange 2 lsChange 0 timeToLsEvent 70376866 dateOfLsGpsWn 2441 dateOfLsGpsDn 7 reserved2 0 0 0 valid x3 1722509534.4421 UBX-NAV-CLOCK: iTOW 384752000 clkB 784281 clkD 435 tAcc 3 fAcc 215 1722509535.4477 UBX-NAV-STATUS: iTOW 384753000 gpsFix 5 flags 0xdd fixStat 0x0 flags2 0x8 ttff 18261, msss 1367643864 1722509535.4479 UBX-NAV-CLOCK: iTOW 384753000 clkB 784716 clkD 435 tAcc 3 fAcc 218
leap-configmap
リソースが PTP Operator によって正常に生成され、leap-seconds.list の最新バージョンに更新されていることを確認します。以下のコマンドを実行します。$ oc -n openshift-ptp get configmap leap-configmap -o jsonpath='{.data.<node_name>}' 1
- 1
<node_name>
は、自動うるう秒管理を使用する PTP T-GM クロックをインストールおよび設定したノードに置き換えます。ノード名内の特殊文字をエスケープします。たとえば、node-1\.example\.com
とします。
出力例
# Do not edit # This file is generated automatically by linuxptp-daemon #$ 3913697179 #@ 4291747200 2272060800 10 # 1 Jan 1972 2287785600 11 # 1 Jul 1972 2303683200 12 # 1 Jan 1973 2335219200 13 # 1 Jan 1974 2366755200 14 # 1 Jan 1975 2398291200 15 # 1 Jan 1976 2429913600 16 # 1 Jan 1977 2461449600 17 # 1 Jan 1978 2492985600 18 # 1 Jan 1979 2524521600 19 # 1 Jan 1980 2571782400 20 # 1 Jul 1981 2603318400 21 # 1 Jul 1982 2634854400 22 # 1 Jul 1983 2698012800 23 # 1 Jul 1985 2776982400 24 # 1 Jan 1988 2840140800 25 # 1 Jan 1990 2871676800 26 # 1 Jan 1991 2918937600 27 # 1 Jul 1992 2950473600 28 # 1 Jul 1993 2982009600 29 # 1 Jul 1994 3029443200 30 # 1 Jan 1996 3076704000 31 # 1 Jul 1997 3124137600 32 # 1 Jan 1999 3345062400 33 # 1 Jan 2006 3439756800 34 # 1 Jan 2009 3550089600 35 # 1 Jul 2012 3644697600 36 # 1 Jul 2015 3692217600 37 # 1 Jan 2017 #h e65754d4 8f39962b aa854a61 661ef546 d2af0bfa
17.2.7. linuxptp サービスを境界クロックとして設定
PtpConfig
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
を設定できます。
次の例の PtpConfig
CR を、特定のハードウェアおよび環境の境界クロックとして linuxptp
サービスを設定する基礎として使用します。この例の CR は PTP 高速イベントを設定しません。PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOpts
、ptp4lConf
、ptpClockThreshold
に適切な値を設定します。ptpClockThreshold
は、イベントが有効になっている場合にのみ使用されます。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
以下の
PtpConfig
CR を作成してから、YAML をboundary-clock-ptp-config.yaml
ファイルに保存します。PTP 境界クロックの設定例
apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: boundary-clock namespace: openshift-ptp annotations: {} spec: profile: - name: boundary-clock ptp4lOpts: "-2" phc2sysOpts: "-a -r -n 24" ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO ptpSchedulingPriority: 10 ptpSettings: logReduce: "true" ptp4lConf: | # The interface name is hardware-specific [$iface_slave] masterOnly 0 [$iface_master_1] masterOnly 1 [$iface_master_2] masterOnly 1 [$iface_master_3] masterOnly 1 [global] # # Default Data Set # twoStepFlag 1 slaveOnly 0 priority1 128 priority2 128 domainNumber 24 #utc_offset 37 clockClass 248 clockAccuracy 0xFE offsetScaledLogVariance 0xFFFF free_running 0 freq_est_interval 1 dscp_event 0 dscp_general 0 dataset_comparison G.8275.x G.8275.defaultDS.localPriority 128 # # Port Data Set # logAnnounceInterval -3 logSyncInterval -4 logMinDelayReqInterval -4 logMinPdelayReqInterval -4 announceReceiptTimeout 3 syncReceiptTimeout 0 delayAsymmetry 0 fault_reset_interval -4 neighborPropDelayThresh 20000000 masterOnly 0 G.8275.portDS.localPriority 128 # # Run time options # assume_two_step 0 logging_level 6 path_trace_enabled 0 follow_up_info 0 hybrid_e2e 0 inhibit_multicast_service 0 net_sync_monitor 0 tc_spanning_tree 0 tx_timestamp_timeout 50 unicast_listen 0 unicast_master_table 0 unicast_req_duration 3600 use_syslog 1 verbose 0 summary_interval 0 kernel_leap 1 check_fup_sync 0 clock_class_threshold 135 # # Servo Options # pi_proportional_const 0.0 pi_integral_const 0.0 pi_proportional_scale 0.0 pi_proportional_exponent -0.3 pi_proportional_norm_max 0.7 pi_integral_scale 0.0 pi_integral_exponent 0.4 pi_integral_norm_max 0.3 step_threshold 2.0 first_step_threshold 0.00002 max_frequency 900000000 clock_servo pi sanity_freq_limit 200000000 ntpshm_segment 0 # # Transport options # transportSpecific 0x0 ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00 p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E udp_ttl 1 udp6_scope 0x0E uds_address /var/run/ptp4l # # Default interface options # clock_type BC network_transport L2 delay_mechanism E2E time_stamping hardware tsproc_mode filter delay_filter moving_median delay_filter_length 10 egressLatency 0 ingressLatency 0 boundary_clock_jbod 0 # # Clock description # productDescription ;; revisionData ;; manufacturerIdentity 00:00:00 userDescription ; timeSource 0xA0 recommend: - profile: boundary-clock priority: 4 match: - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
表17.8 PTP 境界クロックの CR 設定オプション CR フィールド 説明 name
PtpConfig
CR の名前。profile
1 つ以上の
profile
オブジェクトの配列を指定します。name
プロファイルオブジェクトを一意に識別するプロファイルオブジェクトの名前を指定します。
ptp4lOpts
ptp4l
サービスのシステム設定オプションを指定します。ネットワークインターフェイス名とサービス設定ファイルが自動的に追加されるため、オプションには、ネットワークインターフェイス名-i <interface>
およびサービス設定ファイル-f /etc/ptp4l.conf
を含めないでください。ptp4lConf
ptp4l
を境界クロックとして起動するために必要な設定を指定します。たとえば、ens1f0
はグランドマスタークロックから同期し、ens1f3
は接続されたデバイスを同期します。<interface_1>
同期クロックを受信するインターフェイス。
<interface_2>
synchronization クロックを送信するインターフェイス。
tx_timestamp_timeout
Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、
tx_timestamp_timeout
を50
に設定します。boundary_clock_jbod
Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、
boundary_clock_jbod
が0
に設定されていることを確認します。Intel Fortville X710 シリーズ NIC の場合、boundary_clock_jbod
が1
に設定されていることを確認します。phc2sysOpts
phc2sys
サービスのシステム設定オプションを指定します。このフィールドが空の場合、PTP Operator はphc2sys
サービスを開始しません。ptpSchedulingPolicy
ptp4l と phc2sys プロセスのスケジューリングポリシー。デフォルト値は
SCHED_OTHER
です。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO
を使用してください。ptpSchedulingPriority
ptpSchedulingPolicy
がSCHED_FIFO
に設定されている場合に、ptp4l
およびphc2sys
プロセスの FIFO の優先度を設定するために使用される 1-65 の整数値。ptpSchedulingPriority
フィールドは、ptpSchedulingPolicy
がSCHED_OTHER
に設定されている場合は使用されません。ptpClockThreshold
任意。
ptpClockThreshold
が存在しない場合、ptpClockThreshold
フィールドにはデフォルト値が使用されます。ptpClockThreshold
は、PTP マスタークロックが切断されてから PTP イベントが発生するまでの時間を設定します。holdOverTimeout
は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態がFREERUN
に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold
およびminOffsetThreshold
設定は、CLOCK_REALTIME
(phc2sys
) またはマスターオフセット (ptp4l
) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l
またはphc2sys
のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態がFREERUN
に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態がLOCKED
に設定されます。recommend
profile
がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上のrecommend
オブジェクトの配列を指定します。.recommend.profile
profile
セクションで定義される.recommend.profile
オブジェクト名を指定します。.recommend.priority
0
から99
までの整数値でpriority
を指定します。数値が大きいほど優先度が低くなるため、99
の優先度は10
よりも低くなります。ノードがmatch
フィールドで定義されるルールに基づいて複数のプロファイルに一致する場合、優先順位の高いプロファイルがそのノードに適用されます。.recommend.match
.recommend.match
ルールをnodeLabel
またはnodeName
の値に指定します。.recommend.match.nodeLabel
oc get nodes --show-labels
コマンドを使用して、ノードオブジェクトのnode.Labels
フィールドのkey
でnodeLabel
を設定します。例:node-role.kubernetes.io/worker
。.recommend.match.nodeName
oc get nodes
コマンドを使用して、nodeName
をノードオブジェクトのnode.Name
フィールドの値に設定します。compute-1.example.com
はその例です。以下のコマンドを実行して CR を作成します。
$ oc create -f boundary-clock-ptp-config.yaml
検証
PtpConfig
プロファイルがノードに適用されていることを確認します。以下のコマンドを実行して、
openshift-ptp
namespace の Pod の一覧を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-4xkbb 1/1 Running 0 43m 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-tdspf 1/1 Running 0 43m 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-657bbb64c8-2f8sj 1/1 Running 0 43m 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
プロファイルが正しいことを確認します。
PtpConfig
プロファイルで指定したノードに対応するlinuxptp
デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。$ oc logs linuxptp-daemon-4xkbb -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container
出力例
I1115 09:41:17.117596 4143292 daemon.go:107] in applyNodePTPProfile I1115 09:41:17.117604 4143292 daemon.go:109] updating NodePTPProfile to: I1115 09:41:17.117607 4143292 daemon.go:110] ------------------------------------ I1115 09:41:17.117612 4143292 daemon.go:102] Profile Name: profile1 I1115 09:41:17.117616 4143292 daemon.go:102] Interface: I1115 09:41:17.117620 4143292 daemon.go:102] Ptp4lOpts: -2 I1115 09:41:17.117623 4143292 daemon.go:102] Phc2sysOpts: -a -r -n 24 I1115 09:41:17.117626 4143292 daemon.go:116] ------------------------------------
17.2.7.1. linuxptp サービスをデュアル NIC ハードウェアの境界クロックとして設定
NIC ごとに PtpConfig
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成することにより、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
) をデュアル NIC ハードウェアの境界クロックとして設定できます。
デュアル NIC ハードウェアを使用すると、各 NIC を同じアップストリームリーダークロックに接続し、NIC ごとに個別の ptp4l
インスタンスをダウンストリームクロックに供給することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
「linuxptp サービスを境界クロックとして設定」の参照 CR を各 CR の基礎として使用して、NIC ごとに 1 つずつ、2 つの個別の
PtpConfig
CR を作成します。以下に例を示します。phc2sysOpts
の値を指定して、boundary-clock-ptp-config-nic1.yaml
を作成します。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: boundary-clock-ptp-config-nic1 namespace: openshift-ptp spec: profile: - name: "profile1" ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4" ptp4lConf: | 1 [ens5f1] masterOnly 1 [ens5f0] masterOnly 0 ... phc2sysOpts: "-a -r -m -n 24 -N 8 -R 16" 2
boundary-clock-ptp-config-nic2.yaml
を作成し、phc2sysOpts
フィールドを完全に削除して、2 番目の NIC のphc2sys
サービスを無効にします。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: boundary-clock-ptp-config-nic2 namespace: openshift-ptp spec: profile: - name: "profile2" ptp4lOpts: "-2 --summary_interval -4" ptp4lConf: | 1 [ens7f1] masterOnly 1 [ens7f0] masterOnly 0 ...
- 1
- 2 番目の NIC の境界クロックとして
ptp4l
を開始するために必要なインターフェイスを指定します。
注記2 番目の NIC で
phc2sys
サービスを無効にするには、2 番目のPtpConfig
CR からphc2sysOpts
フィールドを完全に削除する必要があります。
次のコマンドを実行して、デュアル NIC
PtpConfigCR
を作成します。1 番目の NIC の PTP を設定する CR を作成します。
$ oc create -f boundary-clock-ptp-config-nic1.yaml
2 番目の NIC の PTP を設定する CR を作成します。
$ oc create -f boundary-clock-ptp-config-nic2.yaml
検証
PTP Operator が両方の NIC に
PtpConfigCR
を適用していることを確認してください。デュアル NIC ハードウェアがインストールされているノードに対応するlinuxptp
デーモンのログを調べます。たとえば、以下のコマンドを実行します。$ oc logs linuxptp-daemon-cvgr6 -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container
出力例
ptp4l[80828.335]: [ptp4l.1.config] master offset 5 s2 freq -5727 path delay 519 ptp4l[80828.343]: [ptp4l.0.config] master offset -5 s2 freq -10607 path delay 533 phc2sys[80828.390]: [ptp4l.0.config] CLOCK_REALTIME phc offset 1 s2 freq -87239 delay 539
17.2.8. linuxptp サービスを通常のクロックとして設定
PtpConfig
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して、linuxptp
サービス (ptp4l
、phc2sys
) を通常のクロックとして設定できます。
次の例の PtpConfig
CR を、特定のハードウェアおよび環境の通常クロックとして linuxptp
サービスを設定する基礎として使用します。この例の CR は PTP 高速イベントを設定しません。PTP 高速イベントを設定するには、ptp4lOpts
、ptp4lConf
、ptpClockThreshold
に適切な値を設定します。ptpClockThreshold
は、イベントが有効な場合にのみ必要です。詳細は、「PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定」を参照してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
以下の
PtpConfig
CR を作成してから、YAML をordinary-clock-ptp-config.yaml
ファイルに保存します。PTP 通常クロックの設定例
apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: ordinary-clock namespace: openshift-ptp annotations: {} spec: profile: - name: ordinary-clock # The interface name is hardware-specific interface: $interface ptp4lOpts: "-2 -s" phc2sysOpts: "-a -r -n 24" ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO ptpSchedulingPriority: 10 ptpSettings: logReduce: "true" ptp4lConf: | [global] # # Default Data Set # twoStepFlag 1 slaveOnly 1 priority1 128 priority2 128 domainNumber 24 #utc_offset 37 clockClass 255 clockAccuracy 0xFE offsetScaledLogVariance 0xFFFF free_running 0 freq_est_interval 1 dscp_event 0 dscp_general 0 dataset_comparison G.8275.x G.8275.defaultDS.localPriority 128 # # Port Data Set # logAnnounceInterval -3 logSyncInterval -4 logMinDelayReqInterval -4 logMinPdelayReqInterval -4 announceReceiptTimeout 3 syncReceiptTimeout 0 delayAsymmetry 0 fault_reset_interval -4 neighborPropDelayThresh 20000000 masterOnly 0 G.8275.portDS.localPriority 128 # # Run time options # assume_two_step 0 logging_level 6 path_trace_enabled 0 follow_up_info 0 hybrid_e2e 0 inhibit_multicast_service 0 net_sync_monitor 0 tc_spanning_tree 0 tx_timestamp_timeout 50 unicast_listen 0 unicast_master_table 0 unicast_req_duration 3600 use_syslog 1 verbose 0 summary_interval 0 kernel_leap 1 check_fup_sync 0 clock_class_threshold 7 # # Servo Options # pi_proportional_const 0.0 pi_integral_const 0.0 pi_proportional_scale 0.0 pi_proportional_exponent -0.3 pi_proportional_norm_max 0.7 pi_integral_scale 0.0 pi_integral_exponent 0.4 pi_integral_norm_max 0.3 step_threshold 2.0 first_step_threshold 0.00002 max_frequency 900000000 clock_servo pi sanity_freq_limit 200000000 ntpshm_segment 0 # # Transport options # transportSpecific 0x0 ptp_dst_mac 01:1B:19:00:00:00 p2p_dst_mac 01:80:C2:00:00:0E udp_ttl 1 udp6_scope 0x0E uds_address /var/run/ptp4l # # Default interface options # clock_type OC network_transport L2 delay_mechanism E2E time_stamping hardware tsproc_mode filter delay_filter moving_median delay_filter_length 10 egressLatency 0 ingressLatency 0 boundary_clock_jbod 0 # # Clock description # productDescription ;; revisionData ;; manufacturerIdentity 00:00:00 userDescription ; timeSource 0xA0 recommend: - profile: ordinary-clock priority: 4 match: - nodeLabel: "node-role.kubernetes.io/$mcp"
表17.9 PTP 通常クロック CR 設定のオプション CR フィールド 説明 name
PtpConfig
CR の名前。profile
1 つ以上の
profile
オブジェクトの配列を指定します。各プロファイルの名前は一意である必要があります。interface
ptp4l
サービスで使用するネットワークインターフェイスを指定します (例:ens787f1
)。ptp4lOpts
ptp4l
サービスのシステム設定オプションを指定します。たとえば、-2
で IEEE 802.3 ネットワークトランスポートを選択します。ネットワークインターフェイス名とサービス設定ファイルが自動的に追加されるため、オプションには、ネットワークインターフェイス名-i <interface>
およびサービス設定ファイル-f /etc/ptp4l.conf
を含めないでください。このインターフェイスで PTP 高速イベントを使用するには、--summary_interval -4
を追加します。phc2sysOpts
phc2sys
サービスのシステム設定オプションを指定します。このフィールドが空の場合、PTP Operator はphc2sys
サービスを開始しません。Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、phc2sysOpts
オプションを-a -r -m -n 24 -N 8 -R 16
に設定します。-m
はメッセージをstdout
に出力します。linuxptp-daemon
DaemonSet
はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。ptp4lConf
デフォルトの
/etc/ptp4l.conf
ファイルを置き換える設定が含まれる文字列を指定します。デフォルト設定を使用するには、フィールドを空のままにします。tx_timestamp_timeout
Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、
tx_timestamp_timeout
を50
に設定します。boundary_clock_jbod
Intel Columbiaville 800 Series NIC の場合、
boundary_clock_jbod
を0
に設定します。ptpSchedulingPolicy
ptp4l
とphc2sys
プロセスのスケジューリングポリシー。デフォルト値はSCHED_OTHER
です。FIFO スケジューリングをサポートするシステムでは、SCHED_FIFO
を使用してください。ptpSchedulingPriority
ptpSchedulingPolicy
がSCHED_FIFO
に設定されている場合に、ptp4l
およびphc2sys
プロセスの FIFO の優先度を設定するために使用される 1-65 の整数値。ptpSchedulingPriority
フィールドは、ptpSchedulingPolicy
がSCHED_OTHER
に設定されている場合は使用されません。ptpClockThreshold
任意。
ptpClockThreshold
が存在しない場合、ptpClockThreshold
フィールドにはデフォルト値が使用されます。ptpClockThreshold
は、PTP マスタークロックが切断されてから PTP イベントが発生するまでの時間を設定します。holdOverTimeout
は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態がFREERUN
に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold
およびminOffsetThreshold
設定は、CLOCK_REALTIME
(phc2sys
) またはマスターオフセット (ptp4l
) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l
またはphc2sys
のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態がFREERUN
に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態がLOCKED
に設定されます。recommend
profile
がノードに適用される方法を定義する 1 つ以上のrecommend
オブジェクトの配列を指定します。.recommend.profile
profile
セクションで定義される.recommend.profile
オブジェクト名を指定します。.recommend.priority
通常クロックの
.recommend.priority
を0
に設定します。.recommend.match
.recommend.match
ルールをnodeLabel
またはnodeName
の値に指定します。.recommend.match.nodeLabel
oc get nodes --show-labels
コマンドを使用して、ノードオブジェクトのnode.Labels
フィールドのkey
でnodeLabel
を設定します。例:node-role.kubernetes.io/worker
。.recommend.match.nodeName
oc get nodes
コマンドを使用して、nodeName
をノードオブジェクトのnode.Name
フィールドの値に設定します。compute-1.example.com
はその例です。次のコマンドを実行して、
PtpConfig
CR を作成します。$ oc create -f ordinary-clock-ptp-config.yaml
検証
PtpConfig
プロファイルがノードに適用されていることを確認します。以下のコマンドを実行して、
openshift-ptp
namespace の Pod の一覧を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-4xkbb 1/1 Running 0 43m 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-tdspf 1/1 Running 0 43m 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-657bbb64c8-2f8sj 1/1 Running 0 43m 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
プロファイルが正しいことを確認します。
PtpConfig
プロファイルで指定したノードに対応するlinuxptp
デーモンのログを検査します。以下のコマンドを実行します。$ oc logs linuxptp-daemon-4xkbb -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container
出力例
I1115 09:41:17.117596 4143292 daemon.go:107] in applyNodePTPProfile I1115 09:41:17.117604 4143292 daemon.go:109] updating NodePTPProfile to: I1115 09:41:17.117607 4143292 daemon.go:110] ------------------------------------ I1115 09:41:17.117612 4143292 daemon.go:102] Profile Name: profile1 I1115 09:41:17.117616 4143292 daemon.go:102] Interface: ens787f1 I1115 09:41:17.117620 4143292 daemon.go:102] Ptp4lOpts: -2 -s I1115 09:41:17.117623 4143292 daemon.go:102] Phc2sysOpts: -a -r -n 24 I1115 09:41:17.117626 4143292 daemon.go:116] ------------------------------------
17.2.8.1. PTP の通常クロックリファレンスとしての Intel Columbiaville E800 シリーズ NIC
次の表は、Intel Columbiaville E800 シリーズ NIC を通常のクロックとして使用するために、PTP リファレンス設定に加える必要がある変更を説明します。クラスターに適用する PtpConfig
カスタムリソース (CR) に変更を加えます。
PTP 設定 | 推奨設定 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
phc2sysOpts
の場合、-m
はメッセージを stdout
に出力します。linuxptp-daemon
DaemonSet
はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。
関連情報
-
PTP 高速イベントを使用して
linuxptp
サービスを通常のクロックとして設定する CR の詳細な例は、linuxptp サービスを通常のクロックとして設定する を参照してください。
17.2.9. PTP ハードウェアの FIFO 優先スケジューリングの設定
低遅延のパフォーマンスを確保する必要のある通信業者などのデプロイメントタイプでは、PTP デーモンスレッドが、残りのインフラストラクチャーコンポーネントとともに、限られた CPU リソースで実行されます。デフォルトでは、PTP スレッドは SCHED_OTHER
ポリシーで実行されます。負荷が高いと、エラーなしで運用する必要のある、これらのスレッドのスケジューリングでレイテンシーが発生する可能性があります。
スケジューリングのレイテンシーでエラーが発生する可能性を軽減するために、SCHED_FIFO
ポリシーでスレッドを実行できるように、PTP Operator の linuxptp
サービスを設定できます。PtpConfig
CR に SCHED_FIFO
が設定されている場合には、ptp4l
と phc2sys
は、PtpConfig
CR の ptpSchedulingPriority
フィールドで設定された優先順位で、chrt
の下の親コンテナーで実行されます。
ptpScheduling Policy
の設定はオプションで、レイテンシーエラーが発生している場合にのみ必要となります。
手順
PtpConfig
CR プロファイルを編集します。$ oc edit PtpConfig -n openshift-ptp
ptpSchedulingPolicy
とptpSchedulingPriority
フィールドを変更します。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: <ptp_config_name> namespace: openshift-ptp ... spec: profile: - name: "profile1" ... ptpSchedulingPolicy: SCHED_FIFO 1 ptpSchedulingPriority: 10 2
-
保存して終了すると、
PtpConfig
CR に変更が適用されます。
検証
PtpConfig
CR が適用されたlinuxptp-daemon
Pod と対応するノードの名前を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-gmv2n 3/3 Running 0 1d17h 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-lgm55 3/3 Running 0 1d17h 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-3r4dcvf7f4-zndk7 1/1 Running 0 1d7h 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
ptp4l
プロセスが、更新されたchrt
FIFO 優先度で実行されていることを確認します。$ oc -n openshift-ptp logs linuxptp-daemon-lgm55 -c linuxptp-daemon-container|grep chrt
出力例
I1216 19:24:57.091872 1600715 daemon.go:285] /bin/chrt -f 65 /usr/sbin/ptp4l -f /var/run/ptp4l.0.config -2 --summary_interval -4 -m
17.2.10. linuxptp サービスのログフィルタリングの設定
linuxptp
デーモンは、デバッグに使用できるログを生成します。ストレージ容量が制限されている通信業者などのデプロイメントタイプでは、これらのログによりストレージ需要が増大する可能性があります。
ログメッセージの数を減らすために、PtpConfig
カスタムリソース (CR) を設定して、master offset
値をレポートするログメッセージを除外できます。master offset
ログメッセージは、現在のノードのクロックとマスタークロックの違いをナノ秒単位でレポートします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールします。
手順
PtpConfig
CR を編集します。$ oc edit PtpConfig -n openshift-ptp
spec.profile
で、ptpSettings.logReduce
仕様を追加し、値をtrue
に設定します。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpConfig metadata: name: <ptp_config_name> namespace: openshift-ptp ... spec: profile: - name: "profile1" ... ptpSettings: logReduce: "true"
注記デバッグの目的で、この仕様を
False
に戻すと、マスターオフセットメッセージを含めることができます。-
保存して終了すると、
PtpConfig
CR に変更が適用されます。
検証
PtpConfig
CR が適用されたlinuxptp-daemon
Pod と対応するノードの名前を取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-gmv2n 3/3 Running 0 1d17h 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-lgm55 3/3 Running 0 1d17h 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-3r4dcvf7f4-zndk7 1/1 Running 0 1d7h 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
次のコマンドを実行して、マスターオフセットメッセージがログから除外されていることを確認します。
$ oc -n openshift-ptp logs <linux_daemon_container> -c linuxptp-daemon-container | grep "master offset" 1
- 1
- <linux_daemon_container> は、
linuxptp-daemon
Pod の名前です (例:linuxptp-daemon-gmv2n
)。
logReduce
仕様を設定する場合、このコマンドはlinuxptp
デーモンのログにmaster offset
のインスタンスを報告しません。
17.2.11. 一般的な PTP Operator の問題のトラブルシューティング
以下の手順を実行して、PTP Operator で典型的な問題のトラブルシューティングを行います。
前提条件
-
OpenShift Container Platform CLI (
oc
) をインストールします。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP をサポートするホストを使用して、PTP Operator をベアメタルクラスターにインストールします。
手順
Operator およびオペランドが、設定されたノードについてクラスターに正常にデプロイされていることを確認します。
$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-lmvgn 3/3 Running 0 4d17h 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-qhfg7 3/3 Running 0 4d17h 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-6b8dcbf7f4-zndk7 1/1 Running 0 5d7h 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
注記PTP 高速イベントバスが有効な場合には、準備できた
linuxptp-daemon
Pod の数は3/3
になります。PTP 高速イベントバスが有効になっていない場合、2/2
が表示されます。サポートされているハードウェアがクラスターにあることを確認します。
$ oc -n openshift-ptp get nodeptpdevices.ptp.openshift.io
出力例
NAME AGE control-plane-0.example.com 10d control-plane-1.example.com 10d compute-0.example.com 10d compute-1.example.com 10d compute-2.example.com 10d
ノードで利用可能な PTP ネットワークインターフェイスを確認します。
$ oc -n openshift-ptp get nodeptpdevices.ptp.openshift.io <node_name> -o yaml
ここでは、以下のようになります。
- <node_name>
問い合わせるノードを指定します (例:
compute-0.example.com
)。出力例
apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: NodePtpDevice metadata: creationTimestamp: "2021-09-14T16:52:33Z" generation: 1 name: compute-0.example.com namespace: openshift-ptp resourceVersion: "177400" uid: 30413db0-4d8d-46da-9bef-737bacd548fd spec: {} status: devices: - name: eno1 - name: eno2 - name: eno3 - name: eno4 - name: enp5s0f0 - name: enp5s0f1
対応するノードの
linuxptp-daemon
Pod にアクセスし、PTP インターフェイスがプライマリークロックに正常に同期されていることを確認します。以下のコマンドを実行して、
linuxptp-daemon
Pod の名前と、トラブルシューティングに使用するノードを取得します。$ oc get pods -n openshift-ptp -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE linuxptp-daemon-lmvgn 3/3 Running 0 4d17h 10.1.196.24 compute-0.example.com linuxptp-daemon-qhfg7 3/3 Running 0 4d17h 10.1.196.25 compute-1.example.com ptp-operator-6b8dcbf7f4-zndk7 1/1 Running 0 5d7h 10.129.0.61 control-plane-1.example.com
リモートシェルが必要な
linuxptp-daemon
コンテナーへのリモートシェルです。$ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container <linux_daemon_container>
ここでは、以下のようになります。
- <linux_daemon_container>
-
診断するコンテナーです (例:
linuxptp-daemon-lmvgn
)。
linuxptp-daemon
コンテナーへのリモートシェル接続では、PTP 管理クライアント (pmc
) ツールを使用して、ネットワークインターフェイスを診断します。以下のpmc
コマンドを実行して、PTP デバイスの同期ステータスを確認します (例:ptp4l
)。# pmc -u -f /var/run/ptp4l.0.config -b 0 'GET PORT_DATA_SET'
ノードがプライマリークロックに正常に同期されたときの出力例
sending: GET PORT_DATA_SET 40a6b7.fffe.166ef0-1 seq 0 RESPONSE MANAGEMENT PORT_DATA_SET portIdentity 40a6b7.fffe.166ef0-1 portState SLAVE logMinDelayReqInterval -4 peerMeanPathDelay 0 logAnnounceInterval -3 announceReceiptTimeout 3 logSyncInterval -4 delayMechanism 1 logMinPdelayReqInterval -4 versionNumber 2
GNSS をソースとするグランドマスタークロックの場合は、次のコマンドを実行して、ツリー内 NIC ice ドライバーが正しいことを確認します。
$ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container linuxptp-daemon-74m2g ethtool -i ens7f0
出力例
driver: ice version: 5.14.0-356.bz2232515.el9.x86_64 firmware-version: 4.20 0x8001778b 1.3346.0
GNSS をソースとするグランドマスタークロックの場合は、
linuxptp-daemon
コンテナーが GNSS アンテナから信号を受信していることを確認します。コンテナーが GNSS 信号を受信していない場合、/dev/gnss0
ファイルにデータが入力されません。検証するには、次のコマンドを実行します。$ oc rsh -n openshift-ptp -c linuxptp-daemon-container linuxptp-daemon-jnz6r cat /dev/gnss0
出力例
$GNRMC,125223.00,A,4233.24463,N,07126.64561,W,0.000,,300823,,,A,V*0A $GNVTG,,T,,M,0.000,N,0.000,K,A*3D $GNGGA,125223.00,4233.24463,N,07126.64561,W,1,12,99.99,98.6,M,-33.1,M,,*7E $GNGSA,A,3,25,17,19,11,12,06,05,04,09,20,,,99.99,99.99,99.99,1*37 $GPGSV,3,1,10,04,12,039,41,05,31,222,46,06,50,064,48,09,28,064,42,1*62
17.2.12. PTP Operator データの収集
oc adm must-gather
コマンドを使用すると、PTP Operator に関連する機能やオブジェクトなど、クラスターに関する情報を収集できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - PTP Operator がインストールされている。
手順
must-gather
を使用して PTP Operator データを収集するには、PTP Operatormust-gather
イメージを指定する必要があります。$ oc adm must-gather --image=registry.redhat.io/openshift4/ptp-must-gather-rhel8:v4.14
17.3. PTP ハードウェア高速イベント通知フレームワークの使用
仮想 RAN (vRAN) などのクラウドネイティブアプリケーションでは、ネットワーク全体の機能に重要なハードウェアタイミングイベントに関する通知へのアクセスが必要です。Precision Time Protocol (PTP) クロックの同期エラーは、分散ユニット (DU) で実行される vRAN アプリケーションなど、低遅延アプリケーションのパフォーマンスと信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
17.3.1. PTP およびクロック同期エラーイベントについて
PTP 同期の損失は、RAN ネットワークでは重大なエラーです。ノードで同期が失われると、無線がシャットダウンされ、ネットワークの OTA(Over the Air) トラフィックがワイヤレスネットワーク内の別のノードにシフトされる可能性があります。高速のイベント通知は、クラスターノードが DU で実行している vRAN アプリケーションに対して PTP クロック同期ステータスと通信できるようにすることで、ワークロードのエラーを軽減します。
イベント通知は、同じ DU ノード上で実行されている vRAN アプリケーションで利用できます。パブリッシュ/サブスクライブ REST API は、イベント通知をメッセージングバスに渡します。パブリッシュ/サブスクライブメッセージング (pub-sub メッセージング) は、非同期のサービス間通信アーキテクチャーです。このアーキテクチャーでは、トピックにパブリッシュされたメッセージが、そのトピックのすべてのサブスクライバーによって即座に受信されます。
PTP Operator は、すべての PTP 対応ネットワークインターフェイスの高速イベント通知を生成します。イベントには、HTTP またはアドバンストメッセージキュープロトコル (AMQP) メッセージバス経由で cloud-event-proxy
サイドカーコンテナーを使用してアクセスできます。
PTP 高速イベント通知は、PTP 通常クロック、PTP グランドマスタークロック、または PTP 境界クロックを使用するように設定されたネットワークインターフェイスで使用できます。
HTTP トランスポートは、PTP およびベアメタルイベントのデフォルトのトランスポートです。可能な場合、PTP およびベアメタルイベントには AMQP ではなく HTTP トランスポートを使用してください。AMQ Interconnect は、2024 年 6 月 30 日で EOL になります。AMQ Interconnect の延長ライフサイクルサポート (ELS) は 2029 年 11 月 29 日に終了します。詳細は、Red Hat AMQ Interconnect のサポートステータス を参照してください。
17.3.2. PTP 高速イベント通知フレームワークについて
Precision Time Protocol (PTP) 高速イベント通知フレームワークを使用して、ベアメタルクラスターノードが生成する PTP イベントにクラスターアプリケーションをサブスクライブします。
高速イベント通知フレームワークは、通信に REST API を使用します。REST API は、O-RAN ALLIANCE 仕様 から入手できる O-RAN O-Cloud Notification API Specification for Event Consumers 3.0 に基づいています。
このフレームワークは、パブリッシャー、サブスクライバー、および AMQ または HTTP メッセージングプロトコルで構成され、パブリッシャーとサブスクライバーのアプリケーション間の通信を処理します。アプリケーションは、cloud-event-proxy
コンテナーをサイドカーパターンで実行して、PTP イベントをサブスクライブします。cloud-event-proxy
サイドカーコンテナーは、プライマリーアプリケーションのリソースをまったく使用せずに、大幅な待機時間なしで、プライマリーアプリケーションコンテナーと同じリソースにアクセスできます。
HTTP トランスポートは、PTP およびベアメタルイベントのデフォルトのトランスポートです。可能な場合、PTP およびベアメタルイベントには AMQP ではなく HTTP トランスポートを使用してください。AMQ Interconnect は、2024 年 6 月 30 日で EOL になります。AMQ Interconnect の延長ライフサイクルサポート (ELS) は 2029 年 11 月 29 日に終了します。詳細は、Red Hat AMQ Interconnect のサポートステータス を参照してください。
図17.4 PTP 高速イベントの概要
- イベントはクラスターホストで生成されます。
-
PTP Operator が管理する Pod の
linuxptp-daemon
は、KubernetesDaemonSet
として実行され、さまざまなlinuxptp
プロセス (ptp4l
、phc2sys
、およびオプションでグランドマスタークロック用のts2phc
) を管理します。linuxptp-daemon
は、イベントを UNIX ドメインソケットに渡します。 - イベントが cloud-event-proxy サイドカーに渡されます。
-
PTP プラグインは、UNIX ドメインソケットからイベントを読み取り、PTP Operator が管理する Pod 内の
cloud-event-proxy
サイドカーに渡します。cloud-event-proxy
は、イベントを Kubernetes インフラストラクチャーから Cloud-Native Network Functions (CNF) に低レイテンシーで配信します。 - イベントが永続化される
-
PTP Operator が管理する Pod 内の
cloud-event-proxy
サイドカーは、REST API を使用してイベントを処理し、クラウドネイティブイベントを発行します。 - メッセージはトランスポートされます。
-
メッセージトランスポーターは、HTTP または AMQP 1.0 QPID を介して、アプリケーション Pod 内の
cloud-event-proxy
サイドカーにイベントを転送します。 - イベントは REST API から入手できます。
-
アプリケーション Pod の
cloud-event-proxy
サイドカーはイベントを処理し、REST API を使用して利用できるようにします。 - コンシューマーアプリケーションがサブスクリプションをリクエストし、サブスクライブされたイベントを受信します
-
コンシューマーアプリケーションは、API 要求をアプリケーション Pod の
cloud-event-proxy
サイドカーに送信して、PTP イベントサブスクリプションを作成します。cloud-event-proxy
サイドカーは、サブスクリプションで指定されたリソースの AMQ または HTTP メッセージングリスナープロトコルを作成します。
アプリケーション Pod の cloud-event-proxy
サイドカーは、PTP Operator が管理する Pod からイベントを受信し、クラウドイベントオブジェクトをラッピング解除してデータを取得し、イベントをコンシューマーアプリケーションにポストします。コンシューマーアプリケーションは、リソース修飾子で指定されたアドレスをリッスンし、PTP イベントを受信して処理します。
17.3.3. PTP 高速イベント通知パブリッシャーの設定
クラスター内のネットワークインターフェイスの PTP 高速イベント通知の使用を開始するには、PTP Operator PtpOperatorConfig
カスタムリソース (CR) で高速イベントパブリッシャーを有効にし、作成する PtpConfig
CR に ptpClockThreshold
値を設定する必要があります。
前提条件
-
OpenShift Container Platform CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator がインストールされている。
手順
デフォルトの PTP Operator 設定を変更して、PTP 高速イベントを有効にします。
次の YAML を
ptp-operatorconfig.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: ptp.openshift.io/v1 kind: PtpOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-ptp spec: daemonNodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" ptpEventConfig: enableEventPublisher: true 1
- 1
enableEventPublisher
をtrue
に設定して、PTP 高速イベント通知を有効にします。
注記OpenShift Container Platform 4.13 以降では、PTP イベントに HTTP トランスポートを使用するときに、
PtpOperatorConfig
リソースのspec.ptpEventConfig.transportHost
フィールドを設定する必要はありません。PTP イベントに AMQP トランスポートを使用する場合にのみ、transportHost
を設定します。PtpOperatorConfig
CR を更新します。$ oc apply -f ptp-operatorconfig.yaml
PTP 対応インターフェイスの
PtpConfig
カスタムリソースを作成し、ptpClockThreshold
およびptp4lOpts
に必要な値を設定します。次の YAML は、PtpConfig
CR で設定する必要のある値 (必須) を示しています。spec: profile: - name: "profile1" interface: "enp5s0f0" ptp4lOpts: "-2 -s --summary_interval -4" 1 phc2sysOpts: "-a -r -m -n 24 -N 8 -R 16" 2 ptp4lConf: "" 3 ptpClockThreshold: 4 holdOverTimeout: 5 maxOffsetThreshold: 100 minOffsetThreshold: -100
- 1
--summary_interval -4
を追加して、PTP 高速イベントを使用します。- 2
phc2sysOpts
の値が必要です。-m
はメッセージをstdout
に出力します。linuxptp-daemon
DaemonSet
はログを解析し、Prometheus メトリックを生成します。- 3
- デフォルトの
/etc/ptp4l.conf
ファイルを置き換える設定が含まれる文字列を指定します。デフォルト設定を使用するには、フィールドを空のままにします。 - 4
- 任意。
ptpClockThreshold
スタンザが存在しない場合は、ptpClockThreshold
フィールドにデフォルト値が使用されます。スタンザは、デフォルトのptpClockThreshold
値を示します。ptpClockThreshold
値は、PTP マスタークロックが PTP イベントが発生する前に切断されてからの期間を設定します。holdOverTimeout
は、PTP マスタークロックが切断されたときに、PTP クロックイベントの状態がFREERUN
に変わるまでの時間値 (秒単位) です。maxOffsetThreshold
およびminOffsetThreshold
設定は、CLOCK_REALTIME
(phc2sys
) またはマスターオフセット (ptp4l
) の値と比較するナノ秒単位のオフセット値を設定します。ptp4l
またはphc2sys
のオフセット値がこの範囲外の場合、PTP クロックの状態がFREERUN
に設定されます。オフセット値がこの範囲内にある場合、PTP クロックの状態がLOCKED
に設定されます。
関連情報
-
PTP 高速イベントを使用して
linuxptp
サービスを通常のクロックとして設定する CR の詳細な例は、linuxptp サービスを通常のクロックとして設定する を参照してください。
17.3.4. PTP またはベアメタルイベントに HTTP トランスポートを使用するためのコンシューマーアプリケーションの移行
以前に PTP またはベアメタルイベントのコンシューマーアプリケーションをデプロイしている場合は、HTTP メッセージトランスポートを使用するようにアプリケーションを更新する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator または Bare Metal Event Relay を、デフォルトで HTTP トランスポートを使用するバージョン 4.13 以降に更新している。
手順
HTTP トランスポートを使用するようにイベントコンシューマーアプリケーションを更新します。クラウドイベントサイドカーデプロイメントの
http-event-publishers
変数を設定します。たとえば、PTP イベントが設定されているクラスターでは、以下の YAML スニペットはクラウドイベントサイドカーデプロイメントを示しています。
containers: - name: cloud-event-sidecar image: cloud-event-sidecar args: - "--metrics-addr=127.0.0.1:9091" - "--store-path=/store" - "--transport-host=consumer-events-subscription-service.cloud-events.svc.cluster.local:9043" - "--http-event-publishers=ptp-event-publisher-service-NODE_NAME.openshift-ptp.svc.cluster.local:9043" 1 - "--api-port=8089"
- 1
- PTP Operator は、PTP イベントを生成するホストに対して
NODE_NAME
を自動的に解決します。compute-1.example.com
はその例です。
ベアメタルイベントが設定されているクラスターでは、クラウドイベントサイドカーデプロイメント CR で
http-event-publishers
フィールドをhw-event-publisher-service.openshift-bare-metal-events.svc.cluster.local:9043
に設定します。consumer-events-subscription-service
サービスをイベントコンシューマーアプリケーションと併せてデプロイします。以下に例を示します。apiVersion: v1 kind: Service metadata: annotations: prometheus.io/scrape: "true" service.alpha.openshift.io/serving-cert-secret-name: sidecar-consumer-secret name: consumer-events-subscription-service namespace: cloud-events labels: app: consumer-service spec: ports: - name: sub-port port: 9043 selector: app: consumer clusterIP: None sessionAffinity: None type: ClusterIP
17.3.5. AMQ メッセージングバスのインストール
ノードのパブリッシャーとサブスクライバー間で PTP 高速イベント通知を渡すには、ノードでローカルに実行するように AMQ メッセージングバスをインストールおよび設定する必要があります。AMQ メッセージングを使用するには、AMQ Interconnect Operator をインストールする必要があります。
HTTP トランスポートは、PTP およびベアメタルイベントのデフォルトのトランスポートです。可能な場合、PTP およびベアメタルイベントには AMQP ではなく HTTP トランスポートを使用してください。AMQ Interconnect は、2024 年 6 月 30 日で EOL になります。AMQ Interconnect の延長ライフサイクルサポート (ELS) は 2029 年 11 月 29 日に終了します。詳細は、Red Hat AMQ Interconnect のサポートステータス を参照してください。
前提条件
-
OpenShift Container Platform CLI (
oc
) をインストールします。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
-
AMQ Interconnect Operator を独自の
amq-interconnect
namespace にインストールします。Red Hat Integration - AMQ Interconnect Operator の追加 を参照してください。
検証
AMQ Interconnect Operator が利用可能で、必要な Pod が実行していることを確認します。
$ oc get pods -n amq-interconnect
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE amq-interconnect-645db76c76-k8ghs 1/1 Running 0 23h interconnect-operator-5cb5fc7cc-4v7qm 1/1 Running 0 23h
必要な
linuxptp-daemon
PTP イベントプロデューサー Pod がopenshift-ptp
namespace で実行していることを確認します。$ oc get pods -n openshift-ptp
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE linuxptp-daemon-2t78p 3/3 Running 0 12h linuxptp-daemon-k8n88 3/3 Running 0 12h
17.3.6. REST API を使用して PTP イベントに DU アプリケーションをサブスクライブする
リソースアドレス/cluster/node/<node_name>/ptp
を使用して、アプリケーションを PTP イベントにサブスクライブします。ここで、<node_name>
は、DU アプリケーションを実行しているクラスターノードです。
cloud-event-consumer
DU アプリケーションコンテナーと cloud-event-proxy
サイドカーコンテナーを別々の DU アプリケーション Pod にデプロイします。cloud-event-consumer
DU アプリケーションは、アプリケーション Pod のcloud-event-proxy
コンテナーにサブスクライブします。
次の API エンドポイントを使用して、DU アプリケーション Pod の http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/
にある cloud-event-proxy
コンテナーによってポストされた PTP イベントに cloud-event-consumer
DU アプリケーションをサブスクライブします。
/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
-
POST
: 新しいサブスクリプションを作成します。 -
GET
: サブスクリプションの一覧を取得します。 -
DELETE
: すべてのサブスクリプションを削除します
-
/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/{subscription_id}
-
GET
: 指定されたサブスクリプション ID の詳細を返します。 -
DELETE
: 指定されたサブスクリプション ID に関連付けられたサブスクリプションを削除します
-
/api/ocloudNotifications/v1/health
-
GET
:ocloudNotifications
API の正常性ステータスを返します
-
api/ocloudNotifications/v1/publishers
-
GET
: クラスターノードのos-clock-sync-state
、ptp-clock-class-change
、lock-state
、およびgnss-sync-status
メッセージの配列を返します。
-
/api/ocloudnotifications/v1/{resource_address}/CurrentState
-
GET
:os-clock-sync-state
、ptp-clock-class-change
、lock-state
、またはgnss-state-change
イベントタイプの現在の状態を返します。
-
9089
は、アプリケーション Pod にデプロイされた cloud-event-consumer
コンテナーのデフォルトポートです。必要に応じて、DU アプリケーションに別のポートを設定できます。
17.3.6.1. PTP イベント REST API リファレンス
PTP イベント通知 REST API を使用して、親ノードで生成された PTP イベントにクラスターアプリケーションをサブスクライブします。
17.3.6.1.1. api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
HTTP メソッド
GET api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
説明
サブスクリプションのリストを返します。サブスクリプションが存在する場合は、サブスクリプションの一覧とともに 200 OK
のステータスコードが返されます。
API 応答の例
[ { "id": "75b1ad8f-c807-4c23-acf5-56f4b7ee3826", "endpointUri": "http://localhost:9089/event", "uriLocation": "http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/75b1ad8f-c807-4c23-acf5-56f4b7ee3826", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ptp" } ]
HTTP メソッド
POST api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
説明
新しいサブスクリプションを作成します。サブスクリプションが正常に作成されるか、すでに存在する場合は、201 Created
ステータスコードが返されます。
パラメーター | 型 |
---|---|
subscription | data |
ペイロードの例
{ "uriLocation": "http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ptp" }
HTTP メソッド
DELETE api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
説明
すべてのサブスクリプションを削除します。
API 応答の例
{ "status": "deleted all subscriptions" }
17.3.6.1.2. api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/{subscription_id}
HTTP メソッド
GET api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/{subscription_id}
説明
ID が subscription_id
のサブスクリプションの詳細を返します。
パラメーター | 型 |
---|---|
| string |
API 応答の例
{ "id":"48210fb3-45be-4ce0-aa9b-41a0e58730ab", "endpointUri": "http://localhost:9089/event", "uriLocation":"http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/48210fb3-45be-4ce0-aa9b-41a0e58730ab", "resource":"/cluster/node/compute-1.example.com/ptp" }
HTTP メソッド
DELETE api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/{subscription_id}
説明
ID subscription_id
のサブスクリプションを削除します。
パラメーター | 型 |
---|---|
| string |
API 応答の例
{ "status": "OK" }
17.3.6.1.3. api/ocloudNotifications/v1/health
HTTP メソッド
GET api/ocloudNotifications/v1/health/
説明
ocloudNotifications
REST API の正常性ステータスを返します。
API 応答の例
OK
17.3.6.1.4. api/ocloudNotifications/v1/publishers
HTTP メソッド
GET api/ocloudNotifications/v1/publishers
説明
クラスターノードの os-clock-sync-state
、ptp-clock-class-change
、lock-state
、および gnss-sync-status
の詳細の配列を返します。関連する機器の状態が変化すると、システムは通知を生成します。
-
os-clock-sync-state
通知は、ホストオペレーティングシステムのクロック同期状態を示します。LOCKED
またはFREERUN
状態になります。 -
ptp-clock-class-change
通知は、PTP クロッククラスの現在の状態を示します。 -
lock-state
通知は、PTP 機器のロック状態の現在のステータスを示します。LOCKED
、HOLDOVER
、またはFREERUN
状態になります。 -
gnss-sync-status
通知は、外部 GNSS クロック信号に関する GPS 同期状態を示します。LOCKED
またはFREERUN
状態になります。
機器の同期ステータスのサブスクリプションを組み合わせて使用すると、システム全体の同期状態の詳細なビューを提供できます。
API 応答の例
[ { "id": "0fa415ae-a3cf-4299-876a-589438bacf75", "endpointUri": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/dummy", "uriLocation": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/publishers/0fa415ae-a3cf-4299-876a-589438bacf75", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/sync-status/os-clock-sync-state" }, { "id": "28cd82df-8436-4f50-bbd9-7a9742828a71", "endpointUri": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/dummy", "uriLocation": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/publishers/28cd82df-8436-4f50-bbd9-7a9742828a71", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change" }, { "id": "44aa480d-7347-48b0-a5b0-e0af01fa9677", "endpointUri": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/dummy", "uriLocation": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/publishers/44aa480d-7347-48b0-a5b0-e0af01fa9677", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/lock-state" }, { "id": "778da345d-4567-67b0-a43f0-rty885a456", "endpointUri": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/dummy", "uriLocation": "http://localhost:9085/api/ocloudNotifications/v1/publishers/778da345d-4567-67b0-a43f0-rty885a456", "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/gnss-status/gnss-sync-status" } ]
cloud-event-proxy
コンテナーのログには、os-clock-sync-state
、ptp-clock-class-change
、lock-state
、および gnss-sync-status
イベントが含まれています。以下に例を示します。
$ oc logs -f linuxptp-daemon-cvgr6 -n openshift-ptp -c cloud-event-proxy
os-clock-sync-state イベントの例
{ "id":"c8a784d1-5f4a-4c16-9a81-a3b4313affe5", "type":"event.sync.sync-status.os-clock-sync-state-change", "source":"/cluster/compute-1.example.com/ptp/CLOCK_REALTIME", "dataContentType":"application/json", "time":"2022-05-06T15:31:23.906277159Z", "data":{ "version":"v1", "values":[ { "resource":"/sync/sync-status/os-clock-sync-state", "dataType":"notification", "valueType":"enumeration", "value":"LOCKED" }, { "resource":"/sync/sync-status/os-clock-sync-state", "dataType":"metric", "valueType":"decimal64.3", "value":"-53" } ] } }
ptp-clock-class-change イベントの例
{ "id":"69eddb52-1650-4e56-b325-86d44688d02b", "type":"event.sync.ptp-status.ptp-clock-class-change", "source":"/cluster/compute-1.example.com/ptp/ens2fx/master", "dataContentType":"application/json", "time":"2022-05-06T15:31:23.147100033Z", "data":{ "version":"v1", "values":[ { "resource":"/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change", "dataType":"metric", "valueType":"decimal64.3", "value":"135" } ] } }
lock-state イベントの例
{ "id":"305ec18b-1472-47b3-aadd-8f37933249a9", "type":"event.sync.ptp-status.ptp-state-change", "source":"/cluster/compute-1.example.com/ptp/ens2fx/master", "dataContentType":"application/json", "time":"2022-05-06T15:31:23.467684081Z", "data":{ "version":"v1", "values":[ { "resource":"/sync/ptp-status/lock-state", "dataType":"notification", "valueType":"enumeration", "value":"LOCKED" }, { "resource":"/sync/ptp-status/lock-state", "dataType":"metric", "valueType":"decimal64.3", "value":"62" } ] } }
gnss-sync-status イベントの例
{ "id": "435e1f2a-6854-4555-8520-767325c087d7", "type": "event.sync.gnss-status.gnss-state-change", "source": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/gnss-status/gnss-sync-status", "dataContentType": "application/json", "time": "2023-09-27T19:35:33.42347206Z", "data": { "version": "v1", "values": [ { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens2fx/master", "dataType": "notification", "valueType": "enumeration", "value": "LOCKED" }, { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens2fx/master", "dataType": "metric", "valueType": "decimal64.3", "value": "5" } ] } }
17.3.6.1.5. api/ocloudNotifications/v1/{resource_address}/CurrentState
HTTP メソッド
GET api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/lock-state/CurrentState
GET api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/sync-status/os-clock-sync-state/CurrentState
GET api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change/CurrentState
説明
クラスターノードの os-clock-sync-state
、ptp-clock-class-change
、lock-state
イベントの現在の状態を返すように CurrentState
API エンドポイントを設定します。
-
os-clock-sync-state
通知は、ホストオペレーティングシステムのクロック同期状態を示します。LOCKED
またはFREERUN
状態になります。 -
ptp-clock-class-change
通知は、PTP クロッククラスの現在の状態を示します。 -
lock-state
通知は、PTP 機器のロック状態の現在のステータスを示します。LOCKED
、HOLDOVER
、またはFREERUN
状態になります。
パラメーター | 型 |
---|---|
| string |
ロック状態 API レスポンスの例
{ "id": "c1ac3aa5-1195-4786-84f8-da0ea4462921", "type": "event.sync.ptp-status.ptp-state-change", "source": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/lock-state", "dataContentType": "application/json", "time": "2023-01-10T02:41:57.094981478Z", "data": { "version": "v1", "values": [ { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens5fx/master", "dataType": "notification", "valueType": "enumeration", "value": "LOCKED" }, { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens5fx/master", "dataType": "metric", "valueType": "decimal64.3", "value": "29" } ] } }
os-clock-sync-state API レスポンスの例
{ "specversion": "0.3", "id": "4f51fe99-feaa-4e66-9112-66c5c9b9afcb", "source": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/sync-status/os-clock-sync-state", "type": "event.sync.sync-status.os-clock-sync-state-change", "subject": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/sync-status/os-clock-sync-state", "datacontenttype": "application/json", "time": "2022-11-29T17:44:22.202Z", "data": { "version": "v1", "values": [ { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/CLOCK_REALTIME", "dataType": "notification", "valueType": "enumeration", "value": "LOCKED" }, { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/CLOCK_REALTIME", "dataType": "metric", "valueType": "decimal64.3", "value": "27" } ] } }
ptp-clock-class-change API レスポンスの例
{ "id": "064c9e67-5ad4-4afb-98ff-189c6aa9c205", "type": "event.sync.ptp-status.ptp-clock-class-change", "source": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change", "dataContentType": "application/json", "time": "2023-01-10T02:41:56.785673989Z", "data": { "version": "v1", "values": [ { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens5fx/master", "dataType": "metric", "valueType": "decimal64.3", "value": "165" } ] } }
17.3.7. PTP 高速イベントメトリックのモニタリング
linuxptp-daemon
が実行されているクラスターノードから PTP 高速イベントメトリクスを監視できます。事前に設定された自己更新型の Prometheus モニタリングスタックを使用して、OpenShift Container Platform Web コンソールで PTP 高速イベントメトリクスをモニタリングできます。
前提条件
-
OpenShift Container Platform CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP 対応ハードウェアを搭載したノードに PTP Operator をインストールし、設定します。
手順
次のコマンドを実行して、ノードのデバッグ Pod を起動します。
$ oc debug node/<node_name>
linuxptp-daemon
コンテナーによって公開された PTP メトリックを確認します。たとえば、以下のコマンドを実行します。sh-4.4# curl http://localhost:9091/metrics
出力例
# HELP cne_api_events_published Metric to get number of events published by the rest api # TYPE cne_api_events_published gauge cne_api_events_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/sync/gnss-status/gnss-sync-status",status="success"} 1 cne_api_events_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/lock-state",status="success"} 94 cne_api_events_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change",status="success"} 18 cne_api_events_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/sync/sync-status/os-clock-sync-state",status="success"} 27
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで PTP イベントを表示するには、クエリーする PTP メトリクスの名前 (例:
openshift_ptp_offset_ns
) をコピーします。 - OpenShift Container Platform Web コンソールで、Observe → Metrics をクリックします。
- PTP メトリクスを Expression フィールドに貼り付け、Run queries をクリックします。
関連情報
17.3.8. PTP 高速イベントメトリクスのリファレンス
次の表は、linuxptp-daemon
サービスが実行されているクラスターノードから利用できる PTP 高速イベントメトリクスを説明します。
メトリクス | 説明 | 例 |
---|---|---|
|
インターフェイスの PTP クロッククラスを返します。PTP クロッククラスの可能な値は、6 ( |
|
|
インターフェイスの現在の PTP クロック状態を返します。PTP クロック状態の可能な値は、 |
|
| タイミングパケットを送信するプライマリークロックとタイミングパケットを受信するセカンダリークロックの間の遅延をナノ秒単位で返します。 |
|
|
異なる NIC に複数のタイムソースがある場合に、高可用性システムクロックの現在のステータスを返します。可能な値は 0 ( |
|
|
2 つの PTP クロック間の周波数調整をナノ秒単位で返します。たとえば、アップストリームクロックと NIC の間、システムクロックと NIC の間、または PTP ハードウェアクロック ( |
|
|
インターフェイスに設定された PTP クロックの役割を返します。可能な値は、0 ( |
|
|
2 つのクロックまたはインターフェイス間の最大オフセットをナノ秒単位で返します。たとえば、アップストリーム GNSS クロックと NIC ( |
|
| DPLL クロックまたは GNSS クロックソースと NIC ハードウェアクロック間のオフセットをナノ秒単位で返します。 |
|
|
|
|
| PTP プロセスが実行中かどうかを示すステータスコードを返します。 |
|
|
|
|
T-GM が有効な場合のみ PTP 高速イベントメトリクス
次の表は、PTP グランドマスタークロック (T-GM) が有効な場合にのみ使用できる PTP 高速イベントメトリクスを示しています。
メトリクス | 説明 | 例 |
---|---|---|
|
NIC の Digital Phase-Locked Loop (DPLL) 周波数の現在のステータスを返します。可能な値は、-1 ( |
|
|
NMEA 接続の現在のステータスを返します。NMEA は、1PPS NIC 接続に使用されるプロトコルです。可能な値は 0 ( |
|
|
NIC の DPLL 位相のステータスを返します。可能な値は、-1 ( |
|
|
NIC 1PPS 接続の現在のステータスを返します。1PPS 接続は、接続された NIC 間のタイミングを同期するために使用します。可能な値は 0 ( |
|
|
Global Navigation Satellite System (GNSS) 接続の現在のステータスを返します。GNSS は、衛星ベースの測位、ナビゲーション、およびタイミングサービスを世界中に提供します。可能な値は、0 ( |
|
17.4. Precision Time Protocol イベントのコンシューマーアプリケーションの開発
ベアメタルクラスターノードで Precision Time Protocol (PTP) イベントを使用するコンシューマーアプリケーションを開発する場合は、コンシューマーアプリケーションと cloud-event-proxy
コンテナーを別のアプリケーション Pod にデプロイする必要があります。cloud-event-proxy
コンテナーは、PTP Operator Pod からイベントを受信し、これをコンシューマーアプリケーションに渡します。コンシューマーアプリケーションは、REST API を使用して cloud-event-proxy
コンテナーで投稿されたイベントにサブスクライブします。
PTP イベントアプリケーションのデプロイに関する詳細は、PTP 高速イベント通知フレームワークについて を参照してください。
以下の情報は、PTP イベントを使用するコンシューマーアプリケーションを開発するための一般的なガイダンスです。完全なイベントコンシューマーアプリケーションの例は、この情報の範囲外です。
17.4.1. PTP イベントコンシューマーアプリケーションのリファレンス
PTP イベントコンシューマーアプリケーションには次の機能が必要です。
-
POST
ハンドラーで実行され、クラウドネイティブ PTP イベントの JSON ペイロードを受信する Web サービス -
PTP イベントプロデューサーをサブスクライブするための
createSubscription
関数 -
PTP イベントプロデューサーの現在の状態をポーリングする
getCurrentState
関数
次の Go スニペットの例は、これらの要件を示しています。
Go での PTP イベントコンシューマーサーバー関数の例
func server() { http.HandleFunc("/event", getEvent) http.ListenAndServe("localhost:8989", nil) } func getEvent(w http.ResponseWriter, req *http.Request) { defer req.Body.Close() bodyBytes, err := io.ReadAll(req.Body) if err != nil { log.Errorf("error reading event %v", err) } e := string(bodyBytes) if e != "" { processEvent(bodyBytes) log.Infof("received event %s", string(bodyBytes)) } else { w.WriteHeader(http.StatusNoContent) } }
PTP イベントの例 Go の createSubscription 関数
import (
"github.com/redhat-cne/sdk-go/pkg/pubsub"
"github.com/redhat-cne/sdk-go/pkg/types"
v1pubsub "github.com/redhat-cne/sdk-go/v1/pubsub"
)
// Subscribe to PTP events using REST API
s1,_:=createsubscription("/cluster/node/<node_name>/sync/sync-status/os-clock-sync-state") 1
s2,_:=createsubscription("/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change")
s3,_:=createsubscription("/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/lock-state")
// Create PTP event subscriptions POST
func createSubscription(resourceAddress string) (sub pubsub.PubSub, err error) {
var status int
apiPath:= "/api/ocloudNotifications/v1/"
localAPIAddr:=localhost:8989 // vDU service API address
apiAddr:= "localhost:8089" // event framework API address
subURL := &types.URI{URL: url.URL{Scheme: "http",
Host: apiAddr
Path: fmt.Sprintf("%s%s", apiPath, "subscriptions")}}
endpointURL := &types.URI{URL: url.URL{Scheme: "http",
Host: localAPIAddr,
Path: "event"}}
sub = v1pubsub.NewPubSub(endpointURL, resourceAddress)
var subB []byte
if subB, err = json.Marshal(&sub); err == nil {
rc := restclient.New()
if status, subB = rc.PostWithReturn(subURL, subB); status != http.StatusCreated {
err = fmt.Errorf("error in subscription creation api at %s, returned status %d", subURL, status)
} else {
err = json.Unmarshal(subB, &sub)
}
} else {
err = fmt.Errorf("failed to marshal subscription for %s", resourceAddress)
}
return
}
- 1
<node_name>
を、PTP イベントを生成しているノードの FQDN に置き換えます。compute-1.example.com
はその例です。
Go の PTP イベントコンシューマー getCurrentState 関数の例
//Get PTP event state for the resource func getCurrentState(resource string) { //Create publisher url := &types.URI{URL: url.URL{Scheme: "http", Host: localhost:8989, Path: fmt.SPrintf("/api/ocloudNotifications/v1/%s/CurrentState",resource}} rc := restclient.New() status, event := rc.Get(url) if status != http.StatusOK { log.Errorf("CurrentState:error %d from url %s, %s", status, url.String(), event) } else { log.Debugf("Got CurrentState: %s ", event) } }
17.4.2. cloud-event-proxy のデプロイメントとサービス CR を参照する
PTP イベントコンシューマーアプリケーションをデプロイするときは、次の cloud-event-proxy
デプロイメントとサブスクライバサービス CR の例を参考として使用してください。
HTTP トランスポートは、PTP およびベアメタルイベントのデフォルトのトランスポートです。可能な場合、PTP およびベアメタルイベントには AMQP ではなく HTTP トランスポートを使用してください。AMQ Interconnect は、2024 年 6 月 30 日で EOL になります。AMQ Interconnect の延長ライフサイクルサポート (ELS) は 2029 年 11 月 29 日に終了します。詳細は、Red Hat AMQ Interconnect のサポートステータス を参照してください。
HTTP トランスポートを使用した cloud-event-proxy デプロイメントの参照
apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: event-consumer-deployment namespace: <namespace> labels: app: consumer spec: replicas: 1 selector: matchLabels: app: consumer template: metadata: labels: app: consumer spec: serviceAccountName: sidecar-consumer-sa containers: - name: event-subscriber image: event-subscriber-app - name: cloud-event-proxy-as-sidecar image: openshift4/ose-cloud-event-proxy args: - "--metrics-addr=127.0.0.1:9091" - "--store-path=/store" - "--transport-host=consumer-events-subscription-service.cloud-events.svc.cluster.local:9043" - "--http-event-publishers=ptp-event-publisher-service-NODE_NAME.openshift-ptp.svc.cluster.local:9043" - "--api-port=8089" env: - name: NODE_NAME valueFrom: fieldRef: fieldPath: spec.nodeName - name: NODE_IP valueFrom: fieldRef: fieldPath: status.hostIP volumeMounts: - name: pubsubstore mountPath: /store ports: - name: metrics-port containerPort: 9091 - name: sub-port containerPort: 9043 volumes: - name: pubsubstore emptyDir: {}
AMQ トランスポートを使用した cloud-event-proxy デプロイメントの参照
apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: cloud-event-proxy-sidecar namespace: cloud-events labels: app: cloud-event-proxy spec: selector: matchLabels: app: cloud-event-proxy template: metadata: labels: app: cloud-event-proxy spec: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" containers: - name: cloud-event-sidecar image: openshift4/ose-cloud-event-proxy args: - "--metrics-addr=127.0.0.1:9091" - "--store-path=/store" - "--transport-host=amqp://router.router.svc.cluster.local" - "--api-port=8089" env: - name: <node_name> valueFrom: fieldRef: fieldPath: spec.nodeName - name: <node_ip> valueFrom: fieldRef: fieldPath: status.hostIP volumeMounts: - name: pubsubstore mountPath: /store ports: - name: metrics-port containerPort: 9091 - name: sub-port containerPort: 9043 volumes: - name: pubsubstore emptyDir: {}
cloud-event-proxy サブスクライバーサービスの参照
apiVersion: v1 kind: Service metadata: annotations: prometheus.io/scrape: "true" service.alpha.openshift.io/serving-cert-secret-name: sidecar-consumer-secret name: consumer-events-subscription-service namespace: cloud-events labels: app: consumer-service spec: ports: - name: sub-port port: 9043 selector: app: consumer clusterIP: None sessionAffinity: None type: ClusterIP
17.4.3. cloud-event-proxy サイドカー REST API から利用可能な PTP イベント
PTP イベントコンシューマーアプリケーションは、以下の PTP タイミングイベントの PTP イベントプロデューサーをポーリングできます。
リソース URI | 説明 |
---|---|
|
現在の PTP 機器のロック状態を説明します。 |
|
ホストオペレーティングシステムのクロック同期状態を説明します。 |
| PTP クロッククラスの現在の状態を説明します。 |
17.4.4. コンシューマーアプリケーションを PTP イベントにサブスクライブする
PTP イベントコンシューマーアプリケーションがイベントをポーリングできるようにするには、アプリケーションをイベントプロデューサーにサブスクライブする必要があります。
17.4.4.1. PTP lock-state イベントのサブスクライブ
PTP lock-state
イベントのサブスクリプションを作成するには、次のペイロードを使用して、http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
のクラウドイベント API に POST
アクションを送信します。
{ "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/lock-state", }
応答の例
{ "id": "e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "uriLocation": "http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/lock-state", }
17.4.4.2. PTP os-lock-sync-state イベントのサブスクライブ
PTP os-clock-sync-state
イベントのサブスクリプションを作成するには、次のペイロードを使用して、http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
のクラウドイベント API に POST
アクションを送信します。
{ "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/sync-status/os-clock-sync-state", }
応答の例
{ "id": "e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "uriLocation": "http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/sync-status/os-clock-sync-state", }
17.4.4.3. PTP ptp-lock-class-change イベントのサブスクライブ
PTP ptp-clock-class-change
イベントのサブスクリプションを作成するには、次のペイロードを使用して、http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions
のクラウドイベント API に POST
アクションを送信します。
{ "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change", }
応答の例
{ "id": "e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "endpointUri": "http://localhost:8989/event", "uriLocation": "http://localhost:8089/api/ocloudNotifications/v1/subscriptions/e23473d9-ba18-4f78-946e-401a0caeff90", "resource": "/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change", }
17.4.5. 現在の PTP クロックステータスの取得
ノードの現在の PTP ステータスを取得するには、GET
アクションを以下のイベント REST API のいずれかに送信します。
-
http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/lock-state/CurrentState
-
http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/sync-status/os-clock-sync-state/CurrentState
-
http://localhost:8081/api/ocloudNotifications/v1/cluster/node/<node_name>/sync/ptp-status/ptp-clock-class-change/CurrentState
応答はクラウドネイティブイベント JSON オブジェクトです。以下に例を示します。
ロック状態 API レスポンスの例
{ "id": "c1ac3aa5-1195-4786-84f8-da0ea4462921", "type": "event.sync.ptp-status.ptp-state-change", "source": "/cluster/node/compute-1.example.com/sync/ptp-status/lock-state", "dataContentType": "application/json", "time": "2023-01-10T02:41:57.094981478Z", "data": { "version": "v1", "values": [ { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens5fx/master", "dataType": "notification", "valueType": "enumeration", "value": "LOCKED" }, { "resource": "/cluster/node/compute-1.example.com/ens5fx/master", "dataType": "metric", "valueType": "decimal64.3", "value": "29" } ] } }
17.4.6. PTP イベントコンシューマーアプリケーションがイベントを受信していることの確認
アプリケーション Pod の cloud-event-proxy
コンテナーが PTP イベントを受信していることを確認します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - PTP Operator をインストールして設定している。
手順
アクティブな
linuxptp-daemon
Pod の一覧を取得します。以下のコマンドを実行します。$ oc get pods -n openshift-ptp
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE linuxptp-daemon-2t78p 3/3 Running 0 8h linuxptp-daemon-k8n88 3/3 Running 0 8h
次のコマンドを実行して、必要なコンシューマー側
cloud-event-proxy
コンテナーのメトリックにアクセスします。$ oc exec -it <linuxptp-daemon> -n openshift-ptp -c cloud-event-proxy -- curl 127.0.0.1:9091/metrics
ここでは、以下のようになります。
- <linuxptp-daemon>
問い合わせる Pod を指定します (例:
linuxptp-daemon-2t78p
)。出力例
# HELP cne_transport_connections_resets Metric to get number of connection resets # TYPE cne_transport_connections_resets gauge cne_transport_connection_reset 1 # HELP cne_transport_receiver Metric to get number of receiver created # TYPE cne_transport_receiver gauge cne_transport_receiver{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="active"} 2 cne_transport_receiver{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="active"} 2 # HELP cne_transport_sender Metric to get number of sender created # TYPE cne_transport_sender gauge cne_transport_sender{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="active"} 1 cne_transport_sender{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="active"} 1 # HELP cne_events_ack Metric to get number of events produced # TYPE cne_events_ack gauge cne_events_ack{status="success",type="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp"} 18 cne_events_ack{status="success",type="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event"} 18 # HELP cne_events_transport_published Metric to get number of events published by the transport # TYPE cne_events_transport_published gauge cne_events_transport_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="failed"} 1 cne_events_transport_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="success"} 18 cne_events_transport_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="failed"} 1 cne_events_transport_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="success"} 18 # HELP cne_events_transport_received Metric to get number of events received by the transport # TYPE cne_events_transport_received gauge cne_events_transport_received{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="success"} 18 cne_events_transport_received{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="success"} 18 # HELP cne_events_api_published Metric to get number of events published by the rest api # TYPE cne_events_api_published gauge cne_events_api_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp",status="success"} 19 cne_events_api_published{address="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event",status="success"} 19 # HELP cne_events_received Metric to get number of events received # TYPE cne_events_received gauge cne_events_received{status="success",type="/cluster/node/compute-1.example.com/ptp"} 18 cne_events_received{status="success",type="/cluster/node/compute-1.example.com/redfish/event"} 18 # HELP promhttp_metric_handler_requests_in_flight Current number of scrapes being served. # TYPE promhttp_metric_handler_requests_in_flight gauge promhttp_metric_handler_requests_in_flight 1 # HELP promhttp_metric_handler_requests_total Total number of scrapes by HTTP status code. # TYPE promhttp_metric_handler_requests_total counter promhttp_metric_handler_requests_total{code="200"} 4 promhttp_metric_handler_requests_total{code="500"} 0 promhttp_metric_handler_requests_total{code="503"} 0
第18章 External DNS Operator
18.1. External DNS Operator のリリースノート
External DNS Operator は、ExternalDNS
をデプロイおよび管理して、外部 DNS プロバイダーから OpenShift Container Platform へのサービスとルートの名前解決を提供します。
External DNS Operator は、x86_64
アーキテクチャーでのみサポートされます。
これらのリリースノートでは、OpenShift Container Platform での外部 DNS Operator の開発を追跡しています。
18.1.1. 外部 DNS Operator 1.2.0
External DNS Operator バージョン 1.2.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
18.1.1.1. 新機能
- External DNS Operator が AWS 共有 VPC をサポートするようになりました。詳細は、共有 VPC を使用して別の AWS アカウントに DNS レコードを作成する を参照してください。
18.1.1.2. バグ修正
-
オペランドの更新ストラテジーが、
Rolling
からRecreate
に変更されました。(OCPBUGS-3630)
18.1.2. External DNS Operator 1.1.1
External DNS Operator バージョン 1.1.1 では、以下のアドバイザリーを利用できます。利用できます。
18.1.3. External DNS Operator 1.1.0
このリリースには、アップストリームプロジェクトバージョン 0.13.1 からのオペランドのリベースが含まれていました。External DNS Operator バージョン 1.1.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
18.1.3.1. バグ修正
-
以前は、ExternalDNS Operator がボリュームに空の
defaultMode
値を強制していたため、OpenShift API との競合により更新が随時行われていました。現在は、defaultMode
値は強制されず、オペランドのデプロイは随時更新されなくなりました。(OCPBUGS-2793)
18.1.4. External DNS Operator 1.0.1
External DNS Operator バージョン 1.0.1 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
18.1.5. External DNS Operator 1.0.0
External DNS Operator バージョン 1.0.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
18.1.5.1. バグ修正
- 以前は、External DNS Operator は、ExternalDNS オペランド Pod のデプロイメント中に制限付き SCC ポリシーの違反に関する警告を発していました。この問題は解決されています。(BZ#2086408)
18.2. OpenShift Container Platform の External DNS Operator
External DNS Operator は、ExternalDNS
をデプロイおよび管理して、外部 DNS プロバイダーから OpenShift Container Platform へのサービスとルートの名前解決を提供します。
18.2.1. External DNS Operator
External DNS Operator は、olm.openshift.io
API グループから External DNS API を実装します。External DNS Operator は、サービス、ルート、外部 DNS プロバイダーを更新します。
前提条件
-
yq
CLI ツールがインストールされている。
手順
OperatorHub からオンデマンドで External DNS Operator をデプロイできます。External DNS Operator をデプロイすると、Subscription
オブジェクトが作成されます。
次のコマンドを実行して、インストールプランの名前を確認します。
$ oc -n external-dns-operator get sub external-dns-operator -o yaml | yq '.status.installplan.name'
出力例
install-zcvlr
次のコマンドを実行して、インストールプランのステータスが
Complete
になっているか確認します。$ oc -n external-dns-operator get ip <install_plan_name> -o yaml | yq '.status.phase'
出力例
Complete
次のコマンドを実行して、
external-dns-operator
デプロイメントのステータスを表示します。$ oc get -n external-dns-operator deployment/external-dns-operator
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE external-dns-operator 1/1 1 1 23h
18.2.2. 外部 DNS Operator ログ
oc logs
コマンドを使用して、外部 DNS Operator のログを表示できます。
手順
次のコマンドを実行して、External DNS Operator のログを表示します。
$ oc logs -n external-dns-operator deployment/external-dns-operator -c external-dns-operator
18.2.2.1. External DNS Operator のドメイン名の制限
External DNS Operator は、TXT レコードの接頭辞を追加する TXT レジストリーを使用します。これにより、TXT レコードのドメイン名の最大長が短くなります。DNS レコードは対応する TXT レコードなしでは存在できないため、DNS レコードのドメイン名は TXT レコードと同じ制限に従う必要があります。たとえば、DNS レコードが <domain_name_from_source>
の場合、TXT レコードは external-dns-<record_type>-<domain_name_from_source>
になります。
External DNS Operator によって生成される DNS レコードのドメイン名には、次の制限があります。
レコードの種類 | 文字数 |
---|---|
CNAME | 44 |
AzureDNS のワイルドカード CNAME レコード | 42 |
A | 48 |
AzureDNS のワイルドカード A レコード | 46 |
生成されたドメイン名がドメイン名の制限を超えると、External DNS Operator のログに次のエラーが表示されます。
time="2022-09-02T08:53:57Z" level=error msg="Failure in zone test.example.io. [Id: /hostedzone/Z06988883Q0H0RL6UMXXX]" time="2022-09-02T08:53:57Z" level=error msg="InvalidChangeBatch: [FATAL problem: DomainLabelTooLong (Domain label is too long) encountered with 'external-dns-a-hello-openshift-aaaaaaaaaa-bbbbbbbbbb-ccccccc']\n\tstatus code: 400, request id: e54dfd5a-06c6-47b0-bcb9-a4f7c3a4e0c6"
18.3. クラウドプロバイダーへの External DNS Operator のインストール
AWS、Azure、GCP などのクラウドプロバイダーに External DNS Operator をインストールできます。
18.3.1. OperatorHub を使用した External DNS Operator のインストール
OpenShift Container Platform OperatorHub を使用して、External DNS Operator をインストールできます。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub をクリックします。
- External DNS Operator をクリックします。Filter by keyword のテキストボックスまたはフィルターリストを使用して、Operator のリストから External DNS Operator を検索できます。
-
external-dns-operator
namespace を選択します。 - External DNS Operator ページで Install をクリックします。
Install Operator ページで、次のオプションを選択していることを確認してください。
- チャネルを stable-v1.0 として更新している。
- インストールモードに A specific name on the cluster を選択している。
-
namespace を
external-dns-operator
としてインストールしている。namespaceexternal-dns-operator
が存在しない場合は、Operator のインストール中に作成されます。 - 承認ストラテジー を Automatic または Manual として選択している。承認ストラテジーはデフォルトで Automatic に設定されます。
- Install をクリックします。
Automatic (自動) 更新を選択した場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) は介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。
Manual 更新を選択した場合、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。
検証
Installed Operators ダッシュボードで、External DNS Operator の Status が Succeeded と表示されることを確認します。
18.3.2. CLI を使用した External DNS Operator のインストール
CLI を使用して External DNS Operator をインストールできます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform Web コンソールにログインしている。 -
OpenShift CLI (
oc
) にログイン済みである。
手順
Namespace
オブジェクトを作成します。Namespace
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。namespace.yaml
ファイルの例apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: external-dns-operator
次のコマンドを実行して、
Namespace
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f namespace.yaml
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。OperatorGroup
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。operatorgroup.yaml
ファイルの例apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: external-dns-operator namespace: external-dns-operator spec: upgradeStrategy: Default targetNamespaces: - external-dns-operator
以下のコマンドを実行して
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
Subscription
オブジェクトを作成します。Subscription
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。subscription.yaml
ファイルの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: external-dns-operator namespace: external-dns-operator spec: channel: stable-v1 installPlanApproval: Automatic name: external-dns-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace
以下のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f subscription.yaml
検証
次のコマンドを実行して、サブスクリプションからインストールプランの名前を取得します。
$ oc -n external-dns-operator \ get subscription external-dns-operator \ --template='{{.status.installplan.name}}{{"\n"}}'
次のコマンドを実行して、インストールプランのステータスが
Complete
であることを確認します。$ oc -n external-dns-operator \ get ip <install_plan_name> \ --template='{{.status.phase}}{{"\n"}}'
次のコマンドを実行して、
external-dns-operator
Pod のステータスがRunning
であることを確認します。$ oc -n external-dns-operator get pod
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE external-dns-operator-5584585fd7-5lwqm 2/2 Running 0 11m
次のコマンドを実行して、サブスクリプションのカタログソースが
redhat-operators
であることを確認します。$ oc -n external-dns-operator get subscription
出力例
NAME PACKAGE SOURCE CHANNEL external-dns-operator external-dns-operator redhat-operators stable-v1
次のコマンドを実行して、
external-dns-Operator
のバージョンを確認します。$ oc -n external-dns-operator get csv
出力例
NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE external-dns-operator.v<1.y.z> ExternalDNS Operator <1.y.z> Succeeded
18.4. External DNS Operator の設定パラメーター
External DNS Operator には、次の設定パラメーターがあります。
18.4.1. External DNS Operator の設定パラメーター
External DNS Operator には、次の設定パラメーターがあります。
パラメーター | 説明 |
---|---|
| クラウドプロバイダーのタイプを有効にします。 spec: provider: type: AWS 1 aws: credentials: name: aws-access-key 2 |
|
ドメインごとに DNS ゾーンを指定できます。ゾーンを指定しない場合、 zones:
- "myzoneid" 1
|
|
ドメインごとに AWS ゾーンを指定できます。ドメインを指定しない場合、 domains: - filterType: Include 1 matchType: Exact 2 name: "myzonedomain1.com" 3 - filterType: Include matchType: Pattern 4 pattern: ".*\\.otherzonedomain\\.com" 5 |
|
DNS レコードのソース ( source: 1 type: Service 2 service: serviceType:3 - LoadBalancer - ClusterIP labelFilter: 4 matchLabels: external-dns.mydomain.org/publish: "yes" hostnameAnnotation: "Allow" 5 fqdnTemplate: - "{{.Name}}.myzonedomain.com" 6
source: type: OpenShiftRoute 1 openshiftRouteOptions: routerName: default 2 labelFilter: matchLabels: external-dns.mydomain.org/publish: "yes" |
18.5. AWS での DNS レコードの作成
External DNS Operator を使用して、AWS および AWS GovCloud で DNS レコードを作成できます。
18.5.1. Red Hat External DNS Operator を使用した AWS のパブリックホストゾーンへの DNS レコードの作成
Red Hat External DNS Operator を使用して、AWS のパブリックホストゾーンに DNS レコードを作成できます。同じ手順を使用して、AWS GovCloud のホストゾーンに DNS レコードを作成できます。
手順
ユーザーを確認してください。ユーザーは、
kube-system
namespace にアクセスできる必要があります。クレデンシャルがない場合は、kube-system
namespace からクレデンシャルを取得すると、クラウドプロバイダークライアントを使用できます。$ oc whoami
出力例
system:admin
kube-system
namespace に存在する aws-creds シークレットから値を取得します。$ export AWS_ACCESS_KEY_ID=$(oc get secrets aws-creds -n kube-system --template={{.data.aws_access_key_id}} | base64 -d) $ export AWS_SECRET_ACCESS_KEY=$(oc get secrets aws-creds -n kube-system --template={{.data.aws_secret_access_key}} | base64 -d)
ルートを取得して、ドメインを確認します。
$ oc get routes --all-namespaces | grep console
出力例
openshift-console console console-openshift-console.apps.testextdnsoperator.apacshift.support console https reencrypt/Redirect None openshift-console downloads downloads-openshift-console.apps.testextdnsoperator.apacshift.support downloads http edge/Redirect None
DNS ゾーンのリストを取得して、以前に検出されたルートのドメインに対応するものを検索します。
$ aws route53 list-hosted-zones | grep testextdnsoperator.apacshift.support
出力例
HOSTEDZONES terraform /hostedzone/Z02355203TNN1XXXX1J6O testextdnsoperator.apacshift.support. 5
route
ソースのExternalDNS
リソースを作成します。$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: externaldns.olm.openshift.io/v1beta1 kind: ExternalDNS metadata: name: sample-aws 1 spec: domains: - filterType: Include 2 matchType: Exact 3 name: testextdnsoperator.apacshift.support 4 provider: type: AWS 5 source: 6 type: OpenShiftRoute 7 openshiftRouteOptions: routerName: default 8 EOF
- 1
- 外部 DNS リソースの名前を定義します。
- 2
- デフォルトでは、すべてのホストゾーンがターゲット候補として選択されます。必要なホストゾーンを追加できます。
- 3
- ターゲットゾーンのドメインは、(正規表現の一致とは対照的に) 完全一致である必要があります。
- 4
- 更新するゾーンのドメインを正確に指定します。ルートのホスト名は、指定されたドメインのサブドメインである必要があります。
- 5
AWS Route53DNS
プロバイダーを定義します。- 6
- DNS レコードのソースのオプションを定義します。
- 7
- 以前に指定された DNS プロバイダーで作成される DNS レコードのソースとして OpenShift
route
リソースを定義します。 - 8
- ソースが
OpenShiftRoute
の場合に、OpenShift Ingress Controller 名を指定できます。External DNS Operator は、CNAME レコードの作成時に、そのルーターの正規ホスト名をターゲットとして選択します。
次のコマンドを使用して、OCP ルート用に作成されたレコードを確認します。
$ aws route53 list-resource-record-sets --hosted-zone-id Z02355203TNN1XXXX1J6O --query "ResourceRecordSets[?Type == 'CNAME']" | grep console
18.5.2. 共有 VPC を使用して別の AWS アカウントに DNS レコードを作成する
ExternalDNS Operator を使用すると、共有 Virtual Private Cloud (VPC) を使用して別の AWS アカウントに DNS レコードを作成できます。共有 VPC を使用すると、組織は複数のプロジェクトのリソースを共通の VPC ネットワークに接続できます。その後、VPC 共有を使用して、複数の AWS アカウント間で単一の Route 53 インスタンスを使用できます。
前提条件
- 2 つの Amazon AWS アカウントを作成している。1 つは VPC と Route 53 プライベートホストゾーンが設定されたもの (アカウント A)、もう 1 つはクラスターをインストールするためのもの (アカウント B) です。
- アカウント B でアカウント A の Route 53 ホストゾーンに DNS レコードを作成するために、適切な権限を持つ IAM ポリシーと IAM ロールをアカウント A に作成している。
- アカウント B のクラスターをアカウント A の既存の VPC にインストールしている。
- アカウント B のクラスターに ExternalDNS Operator がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、アカウント B からアカウント A の Route 53 ホストゾーンにアクセスできるように作成した IAM ロールのロール ARN を取得します。
$ aws --profile account-a iam get-role --role-name user-rol1 | head -1
出力例
ROLE arn:aws:iam::1234567890123:role/user-rol1 2023-09-14T17:21:54+00:00 3600 / AROA3SGB2ZRKRT5NISNJN user-rol1
次のコマンドを実行して、アカウント A の認証情報で使用するプライベートホストゾーンを特定します。
$ aws --profile account-a route53 list-hosted-zones | grep testextdnsoperator.apacshift.support
出力例
HOSTEDZONES terraform /hostedzone/Z02355203TNN1XXXX1J6O testextdnsoperator.apacshift.support. 5
次のコマンドを実行して、
ExternalDNS
オブジェクトを作成します。$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: externaldns.olm.openshift.io/v1beta1 kind: ExternalDNS metadata: name: sample-aws spec: domains: - filterType: Include matchType: Exact name: testextdnsoperator.apacshift.support provider: type: AWS aws: assumeRole: arn: arn:aws:iam::12345678901234:role/user-rol1 1 source: type: OpenShiftRoute openshiftRouteOptions: routerName: default EOF
- 1
- アカウント A に DNS レコードを作成するには、ロール ARN を指定します。
次のコマンドを使用して、OpenShift Container Platform (OCP) ルートに対して作成されたレコードを確認します。
$ aws --profile account-a route53 list-resource-record-sets --hosted-zone-id Z02355203TNN1XXXX1J6O --query "ResourceRecordSets[?Type == 'CNAME']" | grep console-openshift-console
18.6. Azure での DNS レコードの作成
External DNS Operator を使用して、Azure 上に DNS レコードを作成できます。
Microsoft Entra Workload ID 対応クラスターまたは Microsoft Azure Government (MAG) リージョンで実行されるクラスターで External DNS Operator を使用することはサポートされていません。
18.6.1. Azure のパブリック DNS ゾーン上で DNS レコードを作成する
Red Hat External DNS Operator を使用して、Azure のパブリック DNS ゾーンに DNS レコードを作成できます。
前提条件
- 管理者権限を持っている。
-
admin
ユーザーの場合、kube-system
namespace にアクセスできる。
手順
クラウドプロバイダークライアントを使用するために、次のコマンドを実行して
kube-system
namespace から認証情報を取得します。$ CLIENT_ID=$(oc get secrets azure-credentials -n kube-system --template={{.data.azure_client_id}} | base64 -d) $ CLIENT_SECRET=$(oc get secrets azure-credentials -n kube-system --template={{.data.azure_client_secret}} | base64 -d) $ RESOURCE_GROUP=$(oc get secrets azure-credentials -n kube-system --template={{.data.azure_resourcegroup}} | base64 -d) $ SUBSCRIPTION_ID=$(oc get secrets azure-credentials -n kube-system --template={{.data.azure_subscription_id}} | base64 -d) $ TENANT_ID=$(oc get secrets azure-credentials -n kube-system --template={{.data.azure_tenant_id}} | base64 -d)
次のコマンドを実行して、Azure にログインします。
$ az login --service-principal -u "${CLIENT_ID}" -p "${CLIENT_SECRET}" --tenant "${TENANT_ID}"
次のコマンドを実行して、ルートのリストを取得します。
$ oc get routes --all-namespaces | grep console
出力例
openshift-console console console-openshift-console.apps.test.azure.example.com console https reencrypt/Redirect None openshift-console downloads downloads-openshift-console.apps.test.azure.example.com downloads http edge/Redirect None
次のコマンドを実行して、DNS ゾーンのリストを取得します。
$ az network dns zone list --resource-group "${RESOURCE_GROUP}"
ExternalDNS
オブジェクトを定義する YAML ファイル (例:external-dns-sample-azure.yaml
) を作成します。external-dns-sample-azure.yaml
ファイルの例apiVersion: externaldns.olm.openshift.io/v1beta1 kind: ExternalDNS metadata: name: sample-azure 1 spec: zones: - "/subscriptions/1234567890/resourceGroups/test-azure-xxxxx-rg/providers/Microsoft.Network/dnszones/test.azure.example.com" 2 provider: type: Azure 3 source: openshiftRouteOptions: 4 routerName: default 5 type: OpenShiftRoute 6
次のコマンドを実行して、OpenShift Container Platform ルートに対して作成された DNS レコードを確認します。
$ az network dns record-set list -g "${RESOURCE_GROUP}" -z test.azure.example.com | grep console
注記プライベート Azure DNS のホストされたプライベートゾーンにレコードを作成するには、
zones
フィールドの下にプライベートゾーンを指定する必要があります。これにより、プロバイダータイプがExternalDNS
引数のazure-private-dns
に入力されます。
18.7. GCP での DNS レコードの作成
External DNS Operator を使用して、Google Cloud Platform (GCP) 上に DNS レコードを作成できます。
GCP Workload Identity が有効なクラスターで External DNS Operator を使用することはサポートされていません。GCP Workload Identity の詳細は、GCP Workload Identity を参照してください。
18.7.1. GCP のパブリックマネージドゾーン上で DNS レコードを作成する
External DNS Operator を使用して、GCP のパブリックマネージドゾーンに DNS レコードを作成できます。
前提条件
- 管理者権限を持っている。
手順
次のコマンドを実行して、
encoded-gcloud.json
ファイル内のgcp-credentials
シークレットをコピーします。$ oc get secret gcp-credentials -n kube-system --template='{{$v := index .data "service_account.json"}}{{$v}}' | base64 -d - > decoded-gcloud.json
次のコマンドを実行して、Google の認証情報をエクスポートします。
$ export GOOGLE_CREDENTIALS=decoded-gcloud.json
次のコマンドを使用して、アカウントをアクティブ化します。
$ gcloud auth activate-service-account <client_email as per decoded-gcloud.json> --key-file=decoded-gcloud.json
次のコマンドを実行して、プロジェクトを設定します。
$ gcloud config set project <project_id as per decoded-gcloud.json>
次のコマンドを実行して、ルートのリストを取得します。
$ oc get routes --all-namespaces | grep console
出力例
openshift-console console console-openshift-console.apps.test.gcp.example.com console https reencrypt/Redirect None openshift-console downloads downloads-openshift-console.apps.test.gcp.example.com downloads http edge/Redirect None
次のコマンドを実行して、マネージドゾーンのリストを取得します。
$ gcloud dns managed-zones list | grep test.gcp.example.com
出力例
qe-cvs4g-private-zone test.gcp.example.com
ExternalDNS
オブジェクトを定義する YAML ファイル (例:external-dns-sample-gcp.yaml
) を作成します。external-dns-sample-gcp.yaml
ファイルの例apiVersion: externaldns.olm.openshift.io/v1beta1 kind: ExternalDNS metadata: name: sample-gcp 1 spec: domains: - filterType: Include 2 matchType: Exact 3 name: test.gcp.example.com 4 provider: type: GCP 5 source: openshiftRouteOptions: 6 routerName: default 7 type: OpenShiftRoute 8
- 1
- 外部 DNS 名を指定します。
- 2
- デフォルトでは、すべてのホストされたゾーンがターゲット候補として選択されます。ホストされたゾーンを含めることができます。
- 3
- ターゲットのドメインは、
name
キーで定義された文字列と一致する必要があります。 - 4
- 更新するゾーンのドメインを正確に指定します。ルートのホスト名は、指定されたドメインのサブドメインである必要があります。
- 5
- プロバイダータイプを定義します。
- 6
- DNS レコードのソースのオプションを定義できます。
- 7
- ソースタイプが
OpenShiftRoute
の場合、OpenShift Ingress Controller 名を渡すことができます。外部 DNS は、CNAME レコードの作成時に、そのルーターの正規のホスト名をターゲットとして選択します。 - 8
route
リソースを GCP DNS レコードのソースとして定義します。
次のコマンドを実行して、OpenShift Container Platform ルートに対して作成された DNS レコードを確認します。
$ gcloud dns record-sets list --zone=qe-cvs4g-private-zone | grep console
18.8. Infoblox での DNS レコードの作成
External DNS Operator を使用して、Infoblox 上に DNS レコードを作成できます。
18.8.1. Infoblox のパブリック DNS ゾーンでの DNS レコードの作成
External DNS Operator を使用して、Infoblox のパブリック DNS ゾーンに DNS レコードを作成できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) にアクセスできる。 - Infoblox UI にアクセスできる。
手順
次のコマンドを実行して、Infoblox クレデンシャルを使用して
secret
オブジェクトを作成します。$ oc -n external-dns-operator create secret generic infoblox-credentials --from-literal=EXTERNAL_DNS_INFOBLOX_WAPI_USERNAME=<infoblox_username> --from-literal=EXTERNAL_DNS_INFOBLOX_WAPI_PASSWORD=<infoblox_password>
次のコマンドを実行して、ルートのリストを取得します。
$ oc get routes --all-namespaces | grep console
出力例
openshift-console console console-openshift-console.apps.test.example.com console https reencrypt/Redirect None openshift-console downloads downloads-openshift-console.apps.test.example.com downloads http edge/Redirect None
ExternalDNS
オブジェクトを定義する YAML ファイル (例:external-dns-sample-infoblox.yaml
) を作成します。external-dns-sample-infoblox.yaml
ファイルの例apiVersion: externaldns.olm.openshift.io/v1beta1 kind: ExternalDNS metadata: name: sample-infoblox 1 spec: provider: type: Infoblox 2 infoblox: credentials: name: infoblox-credentials gridHost: ${INFOBLOX_GRID_PUBLIC_IP} wapiPort: 443 wapiVersion: "2.3.1" domains: - filterType: Include matchType: Exact name: test.example.com source: type: OpenShiftRoute 3 openshiftRouteOptions: routerName: default 4
次のコマンドを実行して、Infoblox に
ExternalDNS
リソースを作成します。$ oc create -f external-dns-sample-infoblox.yaml
Infoblox UI から、
console
ルート用に作成された DNS レコードを確認します。- Data Management → DNS → Zones をクリックします。
- ゾーン名を選択します。
18.9. External DNS Operator でクラスター全体のプロキシーを設定する
クラスター全体のプロキシーを設定した後、Operator Lifecycle Manager (OLM) はデプロイされたすべての Operator に対して、HTTP_PROXY
、HTTPS_PROXY
、および NO_PROXY
環境変数の新しい内容の自動更新をトリガーします。
18.9.1. クラスター全体のプロキシーの認証局を信頼する
External DNS Operator を設定して、クラスター全体のプロキシーの認証局を信頼できます。
手順
次のコマンドを実行して、
external-dns-operator
namespace に CA バンドルを含める config map を作成します。$ oc -n external-dns-operator create configmap trusted-ca
信頼できる CA バンドルを config map に挿入するには、次のコマンドを実行して、
config.openshift.io/inject-trusted-cabundle=true
ラベルを config map に追加します。$ oc -n external-dns-operator label cm trusted-ca config.openshift.io/inject-trusted-cabundle=true
次のコマンドを実行して、External DNS Operator のサブスクリプションを更新します。
$ oc -n external-dns-operator patch subscription external-dns-operator --type='json' -p='[{"op": "add", "path": "/spec/config", "value":{"env":[{"name":"TRUSTED_CA_CONFIGMAP_NAME","value":"trusted-ca"}]}}]'
検証
External DNS Operator のデプロイ後、次のコマンドを実行して、信頼できる CA 環境変数が
external-dns-operator
デプロイメントに追加されていることを確認します。$ oc -n external-dns-operator exec deploy/external-dns-operator -c external-dns-operator -- printenv TRUSTED_CA_CONFIGMAP_NAME
出力例
trusted-ca
第19章 ネットワークポリシー
19.1. ネットワークポリシーについて
開発者は、クラスター内の Pod へのトラフィックを制限するネットワークポリシーを定義できます。
19.1.1. ネットワークポリシーについて
Kubernetes ネットワークポリシーをサポートするネットワークプラグインを使用するクラスターでは、ネットワーク分離は NetworkPolicy
オブジェクトによって完全に制御されます。OpenShift Container Platform 4.14 では、OpenShift SDN はデフォルトのネットワーク分離モードでのネットワークポリシーの使用をサポートしています。
ネットワークポリシーは、ホストのネットワーク namespace には適用されません。ホストネットワークが有効にされている Pod はネットワークポリシールールによる影響を受けません。ただし、ホストネットワーク化された Pod に接続する Pod はネットワークポリシールールの影響を受ける可能性があります。
ネットワークポリシーは、ローカルホストまたは常駐ノードからのトラフィックをブロックすることはできません。
デフォルトで、プロジェクトのすべての Pod は他の Pod およびネットワークのエンドポイントからアクセスできます。プロジェクトで 1 つ以上の Pod を分離するには、そのプロジェクトで NetworkPolicy
オブジェクトを作成し、許可する着信接続を指定します。プロジェクト管理者は独自のプロジェクト内で NetworkPolicy
オブジェクトの作成および削除を実行できます。
Pod が 1 つ以上の NetworkPolicy
オブジェクトのセレクターで一致する場合、Pod はそれらの 1 つ以上の NetworkPolicy
オブジェクトで許可される接続のみを受け入れます。NetworkPolicy
オブジェクトによって選択されていない Pod は完全にアクセス可能です。
ネットワークポリシーは、TCP、UDP、ICMP、および SCTP プロトコルにのみ適用されます。他のプロトコルは影響を受けません。
以下のサンプル NetworkPolicy
オブジェクトは、複数の異なるシナリオをサポートすることを示しています。
すべてのトラフィックを拒否します。
プロジェクトに deny by default (デフォルトで拒否) を実行させるには、すべての Pod に一致するが、トラフィックを一切許可しない
NetworkPolicy
オブジェクトを追加します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: deny-by-default spec: podSelector: {} ingress: []
OpenShift Container Platform Ingress Controller からの接続のみを許可します。
プロジェクトで OpenShift Container Platform Ingress Controller からの接続のみを許可するには、以下の
NetworkPolicy
オブジェクトを追加します。apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-openshift-ingress spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: network.openshift.io/policy-group: ingress podSelector: {} policyTypes: - Ingress
プロジェクト内の Pod からの接続のみを受け入れます。
重要同じ namespace 内の
hostNetwork
Pod からの Ingress 接続を許可するには、allow-from-hostnetwork
ポリシーとallow-same-namespace
ポリシーを一緒に適用する必要があります。Pod が同じプロジェクト内の他の Pod からの接続を受け入れるが、他のプロジェクトの Pod からの接続を拒否するように設定するには、以下の
NetworkPolicy
オブジェクトを追加します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-same-namespace spec: podSelector: {} ingress: - from: - podSelector: {}
Pod ラベルに基づいて HTTP および HTTPS トラフィックのみを許可します。
特定のラベル (以下の例の
role=frontend
) の付いた Pod への HTTP および HTTPS アクセスのみを有効にするには、以下と同様のNetworkPolicy
オブジェクトを追加します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-http-and-https spec: podSelector: matchLabels: role: frontend ingress: - ports: - protocol: TCP port: 80 - protocol: TCP port: 443
namespace および Pod セレクターの両方を使用して接続を受け入れます。
namespace と Pod セレクターを組み合わせてネットワークトラフィックのマッチングをするには、以下と同様の
NetworkPolicy
オブジェクトを使用できます。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-pod-and-namespace-both spec: podSelector: matchLabels: name: test-pods ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: project: project_name podSelector: matchLabels: name: test-pods
NetworkPolicy
オブジェクトは加算されるものです。 つまり、複数の NetworkPolicy
オブジェクトを組み合わせて複雑なネットワーク要件を満すことができます。
たとえば、先の例で定義された NetworkPolicy
オブジェクトの場合、同じプロジェト内に allow-same-namespace
と allow-http-and-https
ポリシーの両方を定義することができます。これにより、ラベル role=frontend
の付いた Pod は各ポリシーで許可されるすべての接続を受け入れます。つまり、同じ namespace の Pod からのすべてのポート、およびすべての namespace の Pod からのポート 80
および 443
での接続を受け入れます。
19.1.1.1. allow-from-router ネットワークポリシーの使用
次の NetworkPolicy
を使用して、ルーターの設定に関係なく外部トラフィックを許可します。
apiVersion: networking.k8s.io/v1
kind: NetworkPolicy
metadata:
name: allow-from-router
spec:
ingress:
- from:
- namespaceSelector:
matchLabels:
policy-group.network.openshift.io/ingress: ""1
podSelector: {}
policyTypes:
- Ingress
- 1
policy-group.network.openshift.io/ingress:""
ラベルは、OpenShift-SDN と OVN-Kubernetes の両方をサポートします。
19.1.1.2. allow-from-hostnetwork ネットワークポリシーの使用
次の allow-from-hostnetwork
NetworkPolicy
オブジェクトを追加して、ホストネットワーク Pod からのトラフィックを転送します。
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-hostnetwork spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: policy-group.network.openshift.io/host-network: "" podSelector: {} policyTypes: - Ingress
19.1.2. OpenShift SDN を使用したネットワークポリシー最適化
ネットワークポリシーを使用して、namespace 内でラベルで相互に区別される Pod を分離します。
NetworkPolicy
オブジェクトを単一 namespace 内の多数の個別 Pod に適用することは効率的ではありません。Pod ラベルは IP レベルには存在しないため、ネットワークポリシーは、podSelector
で選択されるすべての Pod 間のすべてのリンクに関する別個の Open vSwitch (OVS) フロールールを生成します。
たとえば、仕様の podSelector
および NetworkPolicy
オブジェクト内の Ingress podSelector
のそれぞれが 200 Pod に一致する場合、40,000 (200*200) OVS フロールールが生成されます。これにより、ノードの速度が低下する可能性があります。
ネットワークポリシーを設計する場合は、以下のガイドラインを参照してください。
namespace を使用して分離する必要のある Pod のグループを組み込み、OVS フロールールの数を減らします。
namespace 全体を選択する
NetworkPolicy
オブジェクトは、namespaceSelector
または空のpodSelector
を使用して、namespace の VXLAN 仮想ネットワーク ID (VNID) に一致する単一の OVS フロールールのみを生成します。- 分離する必要のない Pod は元の namespace に維持し、分離する必要のある Pod は 1 つ以上の異なる namespace に移します。
- 追加のターゲット設定された namespace 間のネットワークポリシーを作成し、分離された Pod から許可する必要のある特定のトラフィックを可能にします。
19.1.3. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインによるネットワークポリシーの最適化
ネットワークポリシーを設計する場合は、以下のガイドラインを参照してください。
-
同じ
spec.podSelector
仕様を持つネットワークポリシーの場合、ingress
ルールまたはegress
ルールを持つ複数のネットワークポリシーを使用するよりも、複数のIngress
ルールまたはegress
ルールを持つ 1 つのネットワークポリシーを使用する方が効率的です。 podSelector
またはnamespaceSelector
仕様に基づくすべてのIngress
またはegress
ルールは、number of pods selected by network policy + number of pods selected by ingress or egress rule
に比例する数の OVS フローを生成します。そのため、Pod ごとに個別のルールを作成するのではなく、1 つのルールで必要な数の Pod を選択できるpodSelector
またはnamespaceSelector
仕様を使用することが推奨されます。たとえば、以下のポリシーには 2 つのルールが含まれています。
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: test-network-policy spec: podSelector: {} ingress: - from: - podSelector: matchLabels: role: frontend - from: - podSelector: matchLabels: role: backend
以下のポリシーは、上記と同じ 2 つのルールを 1 つのルールとして表現しています。
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: test-network-policy spec: podSelector: {} ingress: - from: - podSelector: matchExpressions: - {key: role, operator: In, values: [frontend, backend]}
同じガイドラインが
spec.podSelector
仕様に適用されます。異なるネットワークポリシーに同じingress
ルールまたはegress
ルールがある場合、共通のspec.podSelector
仕様で 1 つのネットワークポリシーを作成する方が効率的な場合があります。たとえば、以下の 2 つのポリシーには異なるルールがあります。apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: policy1 spec: podSelector: matchLabels: role: db ingress: - from: - podSelector: matchLabels: role: frontend --- apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: policy2 spec: podSelector: matchLabels: role: client ingress: - from: - podSelector: matchLabels: role: frontend
以下のネットワークポリシーは、上記と同じ 2 つのルールを 1 つのルールとして表現しています。
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: policy3 spec: podSelector: matchExpressions: - {key: role, operator: In, values: [db, client]} ingress: - from: - podSelector: matchLabels: role: frontend
この最適化は、複数のセレクターを 1 つのセレクターとして表現する場合に限り適用できます。セレクターが異なるラベルに基づいている場合、この最適化は適用できない可能性があります。その場合は、ネットワークポリシーの最適化に特化して新規ラベルをいくつか適用することを検討してください。
19.1.4. 次のステップ
- ネットワークポリシーの作成
- オプション: デフォルトネットワークポリシーの定義
19.1.5. 関連情報
19.2. ネットワークポリシーの作成
admin
ロールを持つユーザーは、namespace のネットワークポリシーを作成できます。
19.2.1. サンプル NetworkPolicy オブジェクト
以下は、サンプル NetworkPolicy オブジェクトにアノテーションを付けます。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-27107 1 spec: podSelector: 2 matchLabels: app: mongodb ingress: - from: - podSelector: 3 matchLabels: app: app ports: 4 - protocol: TCP port: 27017
19.2.2. CLI を使用したネットワークポリシーの作成
クラスターの namespace に許可される Ingress または Egress ネットワークトラフィックを記述する詳細なルールを定義するには、ネットワークポリシーを作成できます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが適用される namespace で作業している。
手順
ポリシールールを作成します。
<policy_name>.yaml
ファイルを作成します。$ touch <policy_name>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーファイル名を指定します。
作成したばかりのファイルで、以下の例のようなネットワークポリシーを定義します。
すべての namespace のすべての Pod から Ingress を拒否します。
これは基本的なポリシーであり、他のネットワークポリシーの設定によって許可されたクロス Pod トラフィック以外のすべてのクロス Pod ネットワーキングをブロックします。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: deny-by-default spec: podSelector: {} policyTypes: - Ingress ingress: []
同じ namespace のすべての Pod から Ingress を許可します。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-same-namespace spec: podSelector: ingress: - from: - podSelector: {}
特定の namespace から 1 つの Pod への上りトラフィックを許可する
このポリシーは、
namespace-y
で実行されている Pod からpod-a
というラベルの付いた Pod へのトラフィックを許可します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-traffic-pod spec: podSelector: matchLabels: pod: pod-a policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: namespace-y
ネットワークポリシーオブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc apply -f <policy_name>.yaml -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーファイル名を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/deny-by-default created
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールのフォームから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接作成できます。
19.2.3. デフォルトの全拒否ネットワークポリシーの作成
これは基本的なポリシーであり、他のデプロイメントされたネットワークポリシーの設定によって許可されたネットワークトラフィック以外のすべてのクロス Pod ネットワークをブロックします。この手順では、デフォルトの deny-by-default
ポリシーを適用します。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが適用される namespace で作業している。
手順
すべての namespace におけるすべての Pod からの Ingress を拒否する
deny-by-default
ポリシーを定義する次の YAML を作成します。YAML をdeny-by-default.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: deny-by-default namespace: default 1 spec: podSelector: {} 2 ingress: [] 3
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f deny-by-default.yaml
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/deny-by-default created
19.2.4. 外部クライアントからのトラフィックを許可するネットワークポリシーの作成
deny-by-default
ポリシーを設定すると、外部クライアントからラベル app=web
を持つ Pod へのトラフィックを許可するポリシーの設定に進むことができます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
この手順に従って、パブリックインターネットから直接、またはロードバランサーを使用して Pod にアクセスすることにより、外部サービスを許可するポリシーを設定します。トラフィックは、ラベル app=web
を持つ Pod にのみ許可されます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが適用される namespace で作業している。
手順
パブリックインターネットからのトラフィックが直接、またはロードバランサーを使用して Pod にアクセスできるようにするポリシーを作成します。YAML を
web-allow-external.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: web-allow-external namespace: default spec: policyTypes: - Ingress podSelector: matchLabels: app: web ingress: - {}
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-external.yaml
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/web-allow-external created
このポリシーは、次の図に示すように、外部トラフィックを含むすべてのリソースからのトラフィックを許可します。
19.2.5. すべての namespace からアプリケーションへのトラフィックを許可するネットワークポリシーを作成する
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
この手順に従って、すべての namespace 内のすべての Pod から特定のアプリケーションへのトラフィックを許可するポリシーを設定します。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが適用される namespace で作業している。
手順
すべての namespace のすべての Pod から特定のアプリケーションへのトラフィックを許可するポリシーを作成します。YAML を
web-allow-all-namespaces.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: web-allow-all-namespaces namespace: default spec: podSelector: matchLabels: app: web 1 policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: {} 2
注記デフォルトでは、
namespaceSelector
の指定を省略した場合、namespace は選択されません。つまり、ポリシーは、ネットワークポリシーがデプロイされている namespace からのトラフィックのみを許可します。次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-all-namespaces.yaml
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/web-allow-all-namespaces created
検証
次のコマンドを入力して、
default
namespace で Web サービスを開始します。$ oc run web --namespace=default --image=nginx --labels="app=web" --expose --port=80
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをsecondary
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=secondary --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストが許可されていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Welcome to nginx!</title> <style> html { color-scheme: light dark; } body { width: 35em; margin: 0 auto; font-family: Tahoma, Verdana, Arial, sans-serif; } </style> </head> <body> <h1>Welcome to nginx!</h1> <p>If you see this page, the nginx web server is successfully installed and working. Further configuration is required.</p> <p>For online documentation and support please refer to <a href="http://nginx.org/">nginx.org</a>.<br/> Commercial support is available at <a href="http://nginx.com/">nginx.com</a>.</p> <p><em>Thank you for using nginx.</em></p> </body> </html>
19.2.6. namespace からアプリケーションへのトラフィックを許可するネットワークポリシーの作成
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
特定の namespace からラベル app=web
を持つ Pod へのトラフィックを許可するポリシーを設定するには、次の手順に従います。以下の場合にこれを行うことができます。
- 運用データベースへのトラフィックを、運用ワークロードがデプロイされている namespace のみに制限します。
- 特定の namespace にデプロイされた監視ツールを有効にして、現在の namespace からメトリクスをスクレイピングします。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが適用される namespace で作業している。
手順
ラベルが
purpose=production
の特定の namespace 内にあるすべての Pod からのトラフィックを許可するポリシーを作成します。YAML をweb-allow-prod.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: web-allow-prod namespace: default spec: podSelector: matchLabels: app: web 1 policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: purpose: production 2
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-prod.yaml
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/web-allow-prod created
検証
次のコマンドを入力して、
default
namespace で Web サービスを開始します。$ oc run web --namespace=default --image=nginx --labels="app=web" --expose --port=80
次のコマンドを実行して、
prod
namespace を作成します。$ oc create namespace prod
次のコマンドを実行して、
prod
namespace にラベルを付けます。$ oc label namespace/prod purpose=production
次のコマンドを実行して、
dev
namespace を作成します。$ oc create namespace dev
次のコマンドを実行して、
dev
namespace にラベルを付けます。$ oc label namespace/dev purpose=testing
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをdev
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=dev --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストがブロックされていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
wget: download timed out
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをprod
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=prod --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストが許可されていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Welcome to nginx!</title> <style> html { color-scheme: light dark; } body { width: 35em; margin: 0 auto; font-family: Tahoma, Verdana, Arial, sans-serif; } </style> </head> <body> <h1>Welcome to nginx!</h1> <p>If you see this page, the nginx web server is successfully installed and working. Further configuration is required.</p> <p>For online documentation and support please refer to <a href="http://nginx.org/">nginx.org</a>.<br/> Commercial support is available at <a href="http://nginx.com/">nginx.com</a>.</p> <p><em>Thank you for using nginx.</em></p> </body> </html>
19.2.7. 関連情報
19.3. ネットワークポリシーの表示
admin
ロールを持つユーザーは、namespace のネットワークポリシーを表示できます。
19.3.1. サンプル NetworkPolicy オブジェクト
以下は、サンプル NetworkPolicy オブジェクトにアノテーションを付けます。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-27107 1 spec: podSelector: 2 matchLabels: app: mongodb ingress: - from: - podSelector: 3 matchLabels: app: app ports: 4 - protocol: TCP port: 27017
19.3.2. CLI を使用したネットワークポリシーの表示
namespace のネットワークポリシーを検査できます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意のネットワークポリシーを表示できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
namespace のネットワークポリシーを一覧表示します。
namespace で定義されたネットワークポリシーオブジェクトを表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get networkpolicy
オプション: 特定のネットワークポリシーを検査するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- 検査するネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
以下に例を示します。
$ oc describe networkpolicy allow-same-namespace
oc describe
コマンドの出力Name: allow-same-namespace Namespace: ns1 Created on: 2021-05-24 22:28:56 -0400 EDT Labels: <none> Annotations: <none> Spec: PodSelector: <none> (Allowing the specific traffic to all pods in this namespace) Allowing ingress traffic: To Port: <any> (traffic allowed to all ports) From: PodSelector: <none> Not affecting egress traffic Policy Types: Ingress
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールのフォームから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接表示できます。
19.4. ネットワークポリシーの編集
admin
ロールを持つユーザーは、namespace の既存のネットワークポリシーを編集できます。
19.4.1. ネットワークポリシーの編集
namespace のネットワークポリシーを編集できます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを編集できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
オプション: namespace のネットワークポリシーオブジェクトをリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get networkpolicy
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
ネットワークポリシーオブジェクトを編集します。
ネットワークポリシーの定義をファイルに保存した場合は、ファイルを編集して必要な変更を加えてから、以下のコマンドを入力します。
$ oc apply -n <namespace> -f <policy_file>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
<policy_file>
- ネットワークポリシーを含むファイルの名前を指定します。
ネットワークポリシーオブジェクトを直接更新する必要がある場合、以下のコマンドを入力できます。
$ oc edit networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
ネットワークポリシーオブジェクトが更新されていることを確認します。
$ oc describe networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールの Actions メニューのポリシーから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接編集できます。
19.4.2. サンプル NetworkPolicy オブジェクト
以下は、サンプル NetworkPolicy オブジェクトにアノテーションを付けます。
kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-27107 1 spec: podSelector: 2 matchLabels: app: mongodb ingress: - from: - podSelector: 3 matchLabels: app: app ports: 4 - protocol: TCP port: 27017
19.4.3. 関連情報
19.5. ネットワークポリシーの削除
admin
ロールを持つユーザーは、namespace からネットワークポリシーを削除できます。
19.5.1. CLI を使用したネットワークポリシーの削除
namespace のネットワークポリシーを削除できます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意のネットワークポリシーを削除できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
ネットワークポリシーオブジェクトを削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc delete networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/default-deny deleted
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールの Actions メニューのポリシーから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接削除できます。
19.6. プロジェクトのデフォルトネットワークポリシーの定義
クラスター管理者は、新規プロジェクトの作成時にネットワークポリシーを自動的に含めるように新規プロジェクトテンプレートを変更できます。新規プロジェクトのカスタマイズされたテンプレートがまだない場合には、まずテンプレートを作成する必要があります。
19.6.1. 新規プロジェクトのテンプレートの変更
クラスター管理者は、デフォルトのプロジェクトテンプレートを変更し、新規プロジェクトをカスタム要件に基づいて作成することができます。
独自のカスタムプロジェクトテンプレートを作成するには、以下を実行します。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 デフォルトのプロジェクトテンプレートを生成します。
$ oc adm create-bootstrap-project-template -o yaml > template.yaml
-
オブジェクトを追加するか、既存オブジェクトを変更することにより、テキストエディターで生成される
template.yaml
ファイルを変更します。 プロジェクトテンプレートは、
openshift-config
namespace に作成される必要があります。変更したテンプレートを読み込みます。$ oc create -f template.yaml -n openshift-config
Web コンソールまたは CLI を使用し、プロジェクト設定リソースを編集します。
Web コンソールの使用
- Administration → Cluster Settings ページに移動します。
- Configuration をクリックし、すべての設定リソースを表示します。
- Project のエントリーを見つけ、Edit YAML をクリックします。
CLI の使用
project.config.openshift.io/cluster
リソースを編集します。$ oc edit project.config.openshift.io/cluster
spec
セクションを、projectRequestTemplate
およびname
パラメーターを組み込むように更新し、アップロードされたプロジェクトテンプレートの名前を設定します。デフォルト名はproject-request
です。カスタムプロジェクトテンプレートを含むプロジェクト設定リソース
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Project metadata: # ... spec: projectRequestTemplate: name: <template_name> # ...
- 変更を保存した後、変更が正常に適用されたことを確認するために、新しいプロジェクトを作成します。
19.6.2. 新規プロジェクトへのネットワークポリシーの追加
クラスター管理者は、ネットワークポリシーを新規プロジェクトのデフォルトテンプレートに追加できます。OpenShift Container Platform は、プロジェクトのテンプレートに指定されたすべての NetworkPolicy
オブジェクトを自動的に作成します。
前提条件
-
クラスターは、
mode: NetworkPolicy
が設定された OpenShift SDN ネットワークプラグインなど、NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするデフォルトの CNI ネットワークプラグインを使用します。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。 - 新規プロジェクトのカスタムデフォルトプロジェクトテンプレートを作成している。
手順
以下のコマンドを実行して、新規プロジェクトのデフォルトテンプレートを編集します。
$ oc edit template <project_template> -n openshift-config
<project_template>
を、クラスターに設定したデフォルトテンプレートの名前に置き換えます。デフォルトのテンプレート名はproject-request
です。テンプレートでは、各
NetworkPolicy
オブジェクトを要素としてobjects
パラメーターに追加します。objects
パラメーターは、1 つ以上のオブジェクトのコレクションを受け入れます。以下の例では、
objects
パラメーターのコレクションにいくつかのNetworkPolicy
オブジェクトが含まれます。objects: - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-same-namespace spec: podSelector: {} ingress: - from: - podSelector: {} - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-openshift-ingress spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: network.openshift.io/policy-group: ingress podSelector: {} policyTypes: - Ingress - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-kube-apiserver-operator spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: openshift-kube-apiserver-operator podSelector: matchLabels: app: kube-apiserver-operator policyTypes: - Ingress ...
オプション: 以下のコマンドを実行して、新規プロジェクトを作成し、ネットワークポリシーオブジェクトが正常に作成されることを確認します。
新規プロジェクトを作成します。
$ oc new-project <project> 1
- 1
<project>
を、作成しているプロジェクトの名前に置き換えます。
新規プロジェクトテンプレートのネットワークポリシーオブジェクトが新規プロジェクトに存在することを確認します。
$ oc get networkpolicy NAME POD-SELECTOR AGE allow-from-openshift-ingress <none> 7s allow-from-same-namespace <none> 7s
19.7. ネットワークポリシーを使用したマルチテナント分離の設定
クラスター管理者は、マルチテナントネットワークの分離を実行するようにネットワークポリシーを設定できます。
OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用している場合、本セクションで説明されているようにネットワークポリシーを設定すると、マルチテナントモードと同様のネットワーク分離が行われますが、ネットワークポリシーモードが設定されます。
19.7.1. ネットワークポリシーを使用したマルチテナント分離の設定
他のプロジェクト namespace の Pod およびサービスから分離できるようにプロジェクトを設定できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
以下の
NetworkPolicy
オブジェクトを作成します。allow-from-openshift-ingress
という名前のポリシー:$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-openshift-ingress spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: policy-group.network.openshift.io/ingress: "" podSelector: {} policyTypes: - Ingress EOF
注記policy-group.network.openshift.io/ingress: ""
は、OpenShift SDN の推奨の namespace セレクターラベルです。network.openshift.io/policy-group: ingress
namespace セレクターラベルを使用できますが、これはレガシーラベルです。allow-from-openshift-monitoring
という名前のポリシー。$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-openshift-monitoring spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: network.openshift.io/policy-group: monitoring podSelector: {} policyTypes: - Ingress EOF
allow-same-namespace
という名前のポリシー:$ cat << EOF| oc create -f - kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: allow-same-namespace spec: podSelector: ingress: - from: - podSelector: {} EOF
allow-from-kube-apiserver-operator
という名前のポリシー:$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-kube-apiserver-operator spec: ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: openshift-kube-apiserver-operator podSelector: matchLabels: app: kube-apiserver-operator policyTypes: - Ingress EOF
詳細は、新規の New
kube-apiserver-operator
webhook controller validating health of webhook を参照してください。
オプション: 以下のコマンドを実行し、ネットワークポリシーオブジェクトが現在のプロジェクトに存在することを確認します。
$ oc describe networkpolicy
出力例
Name: allow-from-openshift-ingress Namespace: example1 Created on: 2020-06-09 00:28:17 -0400 EDT Labels: <none> Annotations: <none> Spec: PodSelector: <none> (Allowing the specific traffic to all pods in this namespace) Allowing ingress traffic: To Port: <any> (traffic allowed to all ports) From: NamespaceSelector: network.openshift.io/policy-group: ingress Not affecting egress traffic Policy Types: Ingress Name: allow-from-openshift-monitoring Namespace: example1 Created on: 2020-06-09 00:29:57 -0400 EDT Labels: <none> Annotations: <none> Spec: PodSelector: <none> (Allowing the specific traffic to all pods in this namespace) Allowing ingress traffic: To Port: <any> (traffic allowed to all ports) From: NamespaceSelector: network.openshift.io/policy-group: monitoring Not affecting egress traffic Policy Types: Ingress
19.7.2. 次のステップ
19.7.3. 関連情報
第20章 CIDR 範囲の定義
次の CIDR 範囲には、重複しない範囲を指定する必要があります。
クラスターの作成後にマシンの CIDR 範囲を変更することはできません。
OpenShift Container Platform 4.14 以降のバージョンのデフォルトネットワークプロバイダーである OVN-Kubernetes は、内部的に IP アドレス範囲 (100.64.0.0/16
、169.254.169.0/29
、100.88.0.0/16
、fd98::/64
、fd69::/125
、および fd97::/64
) を使用します。クラスターで OVN-Kubernetes を使用する場合は、クラスターまたはインフラストラクチャー内の他の CIDR 定義にこれらの IP アドレス範囲を含めないでください。
20.1. Machine CIDR
マシンの Classless Inter-Domain Routing (CIDR) フィールドでは、マシンまたはクラスターノードの IP アドレス範囲を指定する必要があります。
デフォルトは 10.0.0.0/16
です。この範囲は、接続されているネットワークと競合しないようにする必要があります。
20.2. Service CIDR
Service CIDR フィールドで、サービスの IP アドレス範囲を指定する必要があります。範囲は、ワークロードに対応するのに十分な大きさである必要があります。アドレスブロックは、クラスター内からアクセスする外部サービスと重複してはいけません。デフォルトは 172.30.0.0/16
です。
20.3. Pod CIDR
Pod CIDR フィールドで、Pod の IP アドレス範囲を指定する必要があります。
Pod CIDR は、clusterNetwork
CIDR およびクラスター CIDR と同じです。範囲は、ワークロードに対応するのに十分な大きさである必要があります。アドレスブロックは、クラスター内からアクセスする外部サービスと重複してはいけません。デフォルトは 10.128.0.0/14
です。クラスターをインストールした後に、範囲を拡張できます。
20.4. ホスト接頭辞
Host Prefix フィールドで、個々のマシンにスケジュールされた Pod に割り当てられたサブネット接頭辞の長さを指定する必要があります。ホスト接頭辞は、各マシンの Pod IP アドレスプールを決定します。
例えば、ホスト接頭辞を /23
に設定した場合、各マシンには Pod CIDR アドレス範囲から /23
のサブネットが割り当てられます。デフォルトは /23
で、510 台のクラスターノードと、ノードごとに 510 個の Pod IP アドレスを許可します。
第21章 AWS Load Balancer Operator
21.1. AWS Load Balancer Operator リリースノート
AWS Load Balancer (ALB) Operator は、AWSLoadBalancerController
リソースのインスタンスをデプロイおよび管理します。
AWS Load Balancer (ALB) Operator は、x86_64
アーキテクチャーでのみサポートされます。
これらのリリースノートは、OpenShift Container Platform での AWS Load Balancer Operator の開発を追跡します。
AWS Load Balancer Operator の概要は、OpenShift Container Platform の AWS Load Balancer Operator を参照してください。
AWS Load Balancer Operator は現在、AWS GovCloud をサポートしていません。
21.1.1. AWS Load Balancer Operator 1.1.1
AWS Load Balancer Operator バージョン 1.1.1 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
21.1.2. AWS Load Balancer Operator 1.1.0
AWS Load Balancer Operator バージョン 1.1.0 は、AWS Load Balancer Controller バージョン 2.4.4 をサポートします。
AWS Load Balancer Operator バージョン 1.1.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
21.1.2.1. 大きな変更
- このリリースでは、Kubernetes API バージョン 0.27.2 を使用します。
21.1.2.2. 新機能
- AWS Load Balancer Operator は、Cloud Credential Operator を使用して標準化された Security Token Service (STS) フローをサポートするようになりました。
21.1.2.3. バグ修正
FIPS 準拠のクラスターでは、TLS バージョン 1.2 を使用する必要があります。以前は、AWS Load Balancer Controller の Webhook は最小バージョンとして TLS 1.3 のみを受け入れていたため、FIPS 準拠のクラスターで次のようなエラーが発生しました。
remote error: tls: protocol version not supported
現在、AWS Load Balancer Controller は TLS 1.2 を最小 TLS バージョンとして受け入れ、この問題は解決されています。(OCPBUGS-14846)
21.1.3. AWS Load Balancer Operator 1.0.1
AWS Load Balancer Operator バージョン 1.0.1 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
21.1.4. AWS Load Balancer Operator 1.0.0
このリリースで、AWS Load Balancer Operator の一般提供が開始されました。AWS Load Balancer Operator バージョン 1.0.0 は、AWS Load Balancer Controller バージョン 2.4.4 をサポートします。
AWS Load Balancer Operator バージョン 1.0.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
AWS Load Balancer (ALB) Operator バージョン 1.x.x は、テクノロジープレビューバージョン 0.x.x から自動的にアップグレードできません。以前のバージョンからアップグレードするには、ALB オペランドをアンインストールし、aws-load-balancer-operator
namespace を削除する必要があります。
21.1.4.1. 大きな変更
-
このリリースでは、新しい
v1
API バージョンを使用しています。
21.1.4.2. バグ修正
- 以前のバージョンでは、AWS Load Balancer Operator によってプロビジョニングされたコントローラーは、クラスター全体のプロキシー設定を適切に使用しませんでした。これらの設定は、コントローラーに正しく適用されるようになりました。(OCPBUGS-4052、OCPBUGS-5295)
21.1.5. 以前のバージョン
AWS Load Balancer Operator の最初の 2 つのバージョンは、テクノロジープレビュー機能として利用できます。これらのバージョンは、実稼働クラスターで使用しないでください。Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
AWS Load Balancer Operator バージョン 0.2.0 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
AWS Load Balancer Operator バージョン 0.0.1 では、以下のアドバイザリーを利用できます。
21.2. OpenShift Container Platform の AWS Load Balancer Operator
AWS Load Balancer Operator は、AWS Load Balancer Controller をデプロイおよび管理します。OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して、OperatorHub から AWS Load Balancer Operator をインストールできます。
21.2.1. AWS Load Balancer Operator に関する考慮事項
AWS Load Balancer Operator をインストールして使用する前に、次の制限事項を確認してください。
- IP トラフィックモードは、AWS Elastic Kubernetes Service (EKS) でのみ機能します。AWS Load Balancer Operator は、AWS Load Balancer Controller の IP トラフィックモードを無効にします。IP トラフィックモードを無効にすると、AWS Load Balancer Controller は Pod readiness ゲートを使用できません。
-
AWS Load Balancer Operator は
--disable-ingress-class-annotation
や--disable-ingress-group-name-annotation
などのコマンドラインフラグを AWS Load Balancer Controller に追加します。したがって、AWS Load Balancer Operator では、Ingress
リソースでkubernetes.io/ingress.class
およびalb.ingress.kubernetes.io/group.name
アノテーションを使用できません。 -
SVC タイプが
NodePort
(LoadBalancer
やClusterIP
ではない) になるように AWS Load Balancer Operator を設定しておくようにしてください。
21.2.2. AWS Load Balancer Operator
AWS Load Balancer Operator は kubernetes.io/role/elb
タグがない場合に、パブリックサブネットにタグを付けることができます。また、AWS Load Balancer Operator は、基盤となる AWS クラウドから次の情報を検出します。
- Operator をホストするクラスターがデプロイされる仮想プライベートクラウド (VPC) の ID。
- 検出された VPC のパブリックおよびプライベートサブネット。
AWS Load Balancer Operator は、インスタンス
ターゲットタイプのみで Network Load Balancer (NLB) を使用することにより、タイプ LoadBalancer
の Kubernetes サービスリソースをサポートします。
手順
次のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成することにより、OperatorHub からオンデマンドで AWS Load Balancer Operator をデプロイできます。$ oc -n aws-load-balancer-operator get sub aws-load-balancer-operator --template='{{.status.installplan.name}}{{"\n"}}'
出力例
install-zlfbt
次のコマンドを実行して、インストールプランのステータスが
Complete
になっているか確認します。$ oc -n aws-load-balancer-operator get ip <install_plan_name> --template='{{.status.phase}}{{"\n"}}'
出力例
Complete
次のコマンドを実行して、
aws-load-balancer-operator-controller-manager
デプロイメントのステータスを表示します。$ oc get -n aws-load-balancer-operator deployment/aws-load-balancer-operator-controller-manager
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE aws-load-balancer-operator-controller-manager 1/1 1 1 23h
21.2.3. AWS Load Balancer Operator ログ
oc logs
コマンドを使用して、AWS Load Balancer Operator のログを表示できます。
手順
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Operator のログを表示します。
$ oc logs -n aws-load-balancer-operator deployment/aws-load-balancer-operator-controller-manager -c manager
21.3. AWS Load Balancer Operator のインストール
AWS Load Balancer Operator は、AWS Load Balancer Controller をデプロイおよび管理します。OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して、OperatorHub から AWS Load Balancer Operator をインストールできます。
21.3.1. Web コンソールを使用した AWS Load Balancer Operator のインストール
Web コンソールを使用して、AWS Load Balancer Operator をインストールできます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションのあるユーザーとして OpenShift Container Platform Web コンソールにログインしていること。 - クラスターのプラットフォームタイプとクラウドプロバイダーが AWS に設定されている。
- セキュリティートークンサービス (STS) または user-provisioned infrastructure を使用している場合は、関連する準備手順に従います。たとえば、AWS Security Token Service を使用している場合は、「AWS Security Token Service (STS) を使用してクラスター上で AWS Load Balancer Operator を準備する」を参照してください。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub に移動します。
- AWS Load Balancer Operator を選択します。Filter by keyword テキストボックスを使用するか、フィルターリストを使用して、Operator のリストから AWS Load Balancer Operator を検索できます。
-
aws-load-balancer-operator
namespace を選択します。 Install Operator ページで、次のオプションを選択します。
- Update the channel で stable-v1 を選択します。
- Installation mode で All namespaces on the cluster (default) を選択します。
-
Installed Namespace で
aws-load-balancer-operator
を選択します。aws-load-balancer-operator
namespace が存在しない場合は、Operator のインストール中に作成されます。 - Update approval で Automatic または Manual を選択します。デフォルトでは、Update approval は Automatic に設定されています。Automatic (自動) 更新を選択した場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) は介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。手動更新を選択した場合、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator を新規バージョンに更新できるように更新要求を手動で承認する必要があります。
- Install をクリックします。
検証
- AWS Load Balancer Operator で、インストール済み Operator ダッシュボードの Status が Succeeded と表示されることを確認します。
21.3.2. CLI を使用した AWS Load Balancer Operator のインストール
CLI を使用して AWS Load Balancer Operator をインストールできます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform Web コンソールにログインしている。 - クラスターのプラットフォームタイプとクラウドプロバイダーが AWS に設定されている。
-
OpenShift CLI (
oc
) にログイン済みである。
手順
Namespace
オブジェクトを作成します。Namespace
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。namespace.yaml
ファイルの例apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: aws-load-balancer-operator
次のコマンドを実行して、
Namespace
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f namespace.yaml
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。OperatorGroup
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。operatorgroup.yaml
ファイルの例apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: aws-lb-operatorgroup namespace: aws-load-balancer-operator spec: upgradeStrategy: Default
以下のコマンドを実行して
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
Subscription
オブジェクトを作成します。Subscription
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。subscription.yaml
ファイルの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: aws-load-balancer-operator namespace: aws-load-balancer-operator spec: channel: stable-v1 installPlanApproval: Automatic name: aws-load-balancer-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace
以下のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f subscription.yaml
検証
サブスクリプションからインストールプランの名前を取得します。
$ oc -n aws-load-balancer-operator \ get subscription aws-load-balancer-operator \ --template='{{.status.installplan.name}}{{"\n"}}'
インストールプランのステータスを確認します。
$ oc -n aws-load-balancer-operator \ get ip <install_plan_name> \ --template='{{.status.phase}}{{"\n"}}'
出力は
Complete
でなければなりません。
21.4. AWS Security Token Service を使用したクラスター上の AWS Load Balancer Operator の準備
STS を使用するクラスターに AWS Load Balancer Operator をインストールできます。Operator をインストールする前に、次の手順に従ってクラスターを準備します。
AWS Load Balancer Operator は、CredentialsRequest
オブジェクトに依存して Operator と AWS Load Balancer Controller をブートストラップします。AWS Load Balancer Operator は、必要なシークレットが作成されて利用可能になるまで待機します。
21.4.1. AWS Load Balancer Operator 用の IAM ロールの作成
STS を使用するクラスターに AWS Load Balancer Operator を正常にインストールするには、追加の AWS アイデンティティーおよびアクセス管理 (IAM) ロールが必要です。この IAM ロールは、サブネットおよび Virtual Private Cloud (VPC) と対話するために必要です。AWS Load Balancer Operator は、自身をブートストラップするために IAM ロールを持つ CredentialsRequest
オブジェクトを生成します。
IAM ロールは次の方法で作成できます。
-
Cloud Credential Operator ユーティリティー (
ccoctl
) と定義済みのCredentialsRequest
オブジェクトを使用します。 - AWS CLI と事前定義された AWS マニフェストを使用します。
環境が ccoctl
コマンドをサポートしていない場合は、AWS CLI を使用します。
21.4.1.1. Cloud Credential Operator ユーティリティーを使用して AWS IAM ロールを作成する
Cloud Credential Operator ユーティリティー (ccoctl
) を使用して、AWS Load Balancer Operator 用の AWS IAM ロールを作成できます。AWS IAM ロールは、サブネットおよび Virtual Private Cloud (VPC) と対話するために使用されます。
前提条件
-
ccoctl
バイナリーを抽出して準備する必要があります。
手順
次のコマンドを実行して、
CredentialsRequest
カスタムリソース (CR) をダウンロードし、ディレクトリーに保存します。$ curl --create-dirs -o <credrequests-dir>/operator.yaml https://raw.githubusercontent.com/openshift/aws-load-balancer-operator/main/hack/operator-credentials-request.yaml
ccoctl
ユーティリティーを使用して次のコマンドを実行し、AWS IAM ロールを作成します。$ ccoctl aws create-iam-roles \ --name <name> \ --region=<aws_region> \ --credentials-requests-dir=<credrequests-dir> \ --identity-provider-arn <oidc-arn>
出力例
2023/09/12 11:38:57 Role arn:aws:iam::777777777777:role/<name>-aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-operator created 1 2023/09/12 11:38:57 Saved credentials configuration to: /home/user/<credrequests-dir>/manifests/aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-operator-credentials.yaml 2023/09/12 11:38:58 Updated Role policy for Role <name>-aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-operator created
- 1
- AWS IAM ロールの Amazon Resource Name (ARN) をメモします。
注記AWS IAM ロール名の長さは 12 文字以下にする必要があります。
21.4.1.2. AWS CLI を使用して AWS IAM ロールを作成する
AWS コマンドラインインターフェイスを使用して、AWS Load Balancer Operator 用の IAM ロールを作成できます。IAM ロールは、サブネットおよび Virtual Private Cloud (VPC) と対話するために使用されます。
前提条件
-
AWS コマンドラインインターフェイス (
aws
) にアクセスできる。
手順
次のコマンドを実行して、アイデンティティープロバイダーを使用して信頼ポリシーファイルを生成します。
$ cat <<EOF > albo-operator-trust-policy.json { "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Principal": { "Federated": "arn:aws:iam::777777777777:oidc-provider/<oidc-provider-id>" 1 }, "Action": "sts:AssumeRoleWithWebIdentity", "Condition": { "StringEquals": { "<oidc-provider-id>:sub": "system:serviceaccount:aws-load-balancer-operator:aws-load-balancer-operator-controller-manager" 2 } } } ] } EOF
次のコマンドを実行して、生成された信頼ポリシーを使用して IAM ロールを作成します。
$ aws iam create-role --role-name albo-operator --assume-role-policy-document file://albo-operator-trust-policy.json
出力例
ROLE arn:aws:iam::777777777777:role/albo-operator 2023-08-02T12:13:22Z 1 ASSUMEROLEPOLICYDOCUMENT 2012-10-17 STATEMENT sts:AssumeRoleWithWebIdentity Allow STRINGEQUALS system:serviceaccount:aws-load-balancer-operator:aws-load-balancer-controller-manager PRINCIPAL arn:aws:iam:777777777777:oidc-provider/<oidc-provider-id>
- 1
- 作成した IAM ロールの ARN をメモします。
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Operator の権限ポリシーをダウンロードします。
$ curl -o albo-operator-permission-policy.json https://raw.githubusercontent.com/openshift/aws-load-balancer-operator/main/hack/operator-permission-policy.json
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Controller の権限ポリシーを IAM ロールに割り当てます。
$ aws iam put-role-policy --role-name albo-operator --policy-name perms-policy-albo-operator --policy-document file://albo-operator-permission-policy.json
21.4.2. AWS Load Balancer Operator 用の ARN ロールの設定
AWS Load Balancer Operator 用の Amazon Resource Name (ARN) ロールを環境変数として設定できます。CLI を使用して ARN ロールを設定できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、
aws-load-balancer-operator
プロジェクトを作成します。$ oc new-project aws-load-balancer-operator
以下のコマンドを実行して
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ cat <<EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: aws-load-balancer-operator namespace: aws-load-balancer-operator spec: targetNamespaces: [] EOF
以下のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成します。$ cat <<EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: aws-load-balancer-operator namespace: aws-load-balancer-operator spec: channel: stable-v1 name: aws-load-balancer-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace config: env: - name: ROLEARN value: "<role-arn>" 1 EOF
- 1
- AWS Load Balancer Operator の AWS 認証情報をプロビジョニングするために
CredentialsRequest
で使用する ARN ロールを指定します。
注記AWS Load Balancer Operator は、シークレットが作成されるまで待機してから、
Available
ステータスに移行します。
21.4.3. AWS Load Balancer Controller 用の IAM ロールの作成
AWS Load Balancer Controller の CredentialsRequest
オブジェクトは、手動でプロビジョニングした IAM ロールを使用して設定する必要があります。
IAM ロールは次の方法で作成できます。
-
Cloud Credential Operator ユーティリティー (
ccoctl
) と定義済みのCredentialsRequest
オブジェクトを使用します。 - AWS CLI と事前定義された AWS マニフェストを使用します。
環境が ccoctl
コマンドをサポートしていない場合は、AWS CLI を使用します。
21.4.3.1. Cloud Credential Operator ユーティリティーを使用してコントローラー用の AWS IAM ロールを作成する
Cloud Credential Operator ユーティリティー (ccoctl
) を使用して、AWS Load Balancer Controller 用の AWS IAM ロールを作成できます。AWS IAM ロールは、サブネットおよび Virtual Private Cloud (VPC) と対話するために使用されます。
前提条件
-
ccoctl
バイナリーを抽出して準備する必要があります。
手順
次のコマンドを実行して、
CredentialsRequest
カスタムリソース (CR) をダウンロードし、ディレクトリーに保存します。$ curl --create-dirs -o <credrequests-dir>/controller.yaml https://raw.githubusercontent.com/openshift/aws-load-balancer-operator/main/hack/controller/controller-credentials-request.yaml
ccoctl
ユーティリティーを使用して次のコマンドを実行し、AWS IAM ロールを作成します。$ ccoctl aws create-iam-roles \ --name <name> \ --region=<aws_region> \ --credentials-requests-dir=<credrequests-dir> \ --identity-provider-arn <oidc-arn>
出力例
2023/09/12 11:38:57 Role arn:aws:iam::777777777777:role/<name>-aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-controller created 1 2023/09/12 11:38:57 Saved credentials configuration to: /home/user/<credrequests-dir>/manifests/aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-controller-credentials.yaml 2023/09/12 11:38:58 Updated Role policy for Role <name>-aws-load-balancer-operator-aws-load-balancer-controller created
- 1
- AWS IAM ロールの Amazon Resource Name (ARN) をメモします。
注記AWS IAM ロール名の長さは 12 文字以下にする必要があります。
21.4.3.2. AWS CLI を使用してコントローラー用の AWS IAM ロールを作成する
AWS コマンドラインインターフェイスを使用して、AWS Load Balancer Controller 用の AWS IAM ロールを作成できます。AWS IAM ロールは、サブネットおよび Virtual Private Cloud (VPC) と対話するために使用されます。
前提条件
-
AWS コマンドラインインターフェイス (
aws
) にアクセスできる。
手順
次のコマンドを実行して、アイデンティティプロバイダーを使用して信頼ポリシーファイルを生成します。
$ cat <<EOF > albo-controller-trust-policy.json { "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Principal": { "Federated": "arn:aws:iam::777777777777:oidc-provider/<oidc-provider-id>" 1 }, "Action": "sts:AssumeRoleWithWebIdentity", "Condition": { "StringEquals": { "<oidc-provider-id>:sub": "system:serviceaccount:aws-load-balancer-operator:aws-load-balancer-controller-cluster" 2 } } } ] } EOF
次のコマンドを実行して、生成された信頼ポリシーを使用して AWS IAM ロールを作成します。
$ aws iam create-role --role-name albo-controller --assume-role-policy-document file://albo-controller-trust-policy.json
出力例
ROLE arn:aws:iam::777777777777:role/albo-controller 2023-08-02T12:13:22Z 1 ASSUMEROLEPOLICYDOCUMENT 2012-10-17 STATEMENT sts:AssumeRoleWithWebIdentity Allow STRINGEQUALS system:serviceaccount:aws-load-balancer-operator:aws-load-balancer-controller-cluster PRINCIPAL arn:aws:iam:777777777777:oidc-provider/<oidc-provider-id>
- 1
- AWS IAM ロールの ARN をメモします。
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Controller の権限ポリシーをダウンロードします。
$ curl -o albo-controller-permission-policy.json https://raw.githubusercontent.com/openshift/aws-load-balancer-operator/main/assets/iam-policy.json
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Controller の権限ポリシーを AWS IAM ロールに割り当てます。
$ aws iam put-role-policy --role-name albo-controller --policy-name perms-policy-albo-controller --policy-document file://albo-controller-permission-policy.json
AWSLoadBalancerController
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。sample-aws-lb-manual-creds.yaml
ファイルの例:apiVersion: networking.olm.openshift.io/v1 kind: AWSLoadBalancerController 1 metadata: name: cluster 2 spec: credentialsRequestConfig: stsIAMRoleARN: <role-arn> 3
21.4.4. 関連情報
21.5. AWS Load Balancer Controller のインスタンスを作成する
AWS Load Balancer Operator をインストールしたら、AWS Load Balancer Controller を作成できます。
21.5.1. AWS Load Balancer Controller の作成
クラスターにインストールできる AWSLoadBalancerController
オブジェクトのインスタンスは 1 つだけです。CLI を使用して AWS Load Balancer Controller を作成できます。AWS Load Balancer Operator は、cluster
という名前のリソースのみを調整します。
前提条件
-
echoserver
namespace を作成している。 -
OpenShift CLI (
oc
) にアクセスできる。
手順
AWSLoadBalancerController
オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成します。sample-aws-lb.yaml
ファイルの例apiVersion: networking.olm.openshift.io/v1 kind: AWSLoadBalancerController 1 metadata: name: cluster 2 spec: subnetTagging: Auto 3 additionalResourceTags: 4 - key: example.org/security-scope value: staging ingressClass: alb 5 config: replicas: 2 6 enabledAddons: 7 - AWSWAFv2 8
- 1
AWSLoadBalancerController
オブジェクトを定義します。- 2
- AWS Load Balancer Controller 名を定義します。このインスタンス名は、関連するすべてのリソースの接尾辞として追加されます。
- 3
- AWS Load Balancer Controller のサブネットのタグ付け方法を設定します。次の値が有効です。
-
Auto
: AWS Load Balancer Operator は、クラスターに属するサブネットを決定し、適切にタグ付けします。内部サブネットタグが内部サブネットに存在しない場合、Operator はロールを正しく判別できません。 -
Manual
: クラスターに属するサブネットに適切なロールタグを手動でタグ付けします。ユーザー提供のインフラストラクチャーにクラスターをインストールした場合は、このオプションを使用します。
-
- 4
- AWS Load Balancer Controller が AWS リソースをプロビジョニングするときに使用するタグを定義します。
- 5
- Ingress クラス名を定義します。デフォルト値は
alb
です。 - 6
- AWS Load Balancer Controller のレプリカの数を指定します。
- 7
- AWS Load Balancer Controller のアドオンとしてアノテーションを指定します。
- 8
alb.ingress.kubernetes.io/wafv2-acl-arn
アノテーションを有効にします。
次のコマンドを実行して、
AWSLoadBalancerController
オブジェクトを作成します。$ oc create -f sample-aws-lb.yaml
Deployment
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。sample-aws-lb.yaml
ファイルの例apiVersion: apps/v1 kind: Deployment 1 metadata: name: <echoserver> 2 namespace: echoserver spec: selector: matchLabels: app: echoserver replicas: 3 3 template: metadata: labels: app: echoserver spec: containers: - image: openshift/origin-node command: - "/bin/socat" args: - TCP4-LISTEN:8080,reuseaddr,fork - EXEC:'/bin/bash -c \"printf \\\"HTTP/1.0 200 OK\r\n\r\n\\\"; sed -e \\\"/^\r/q\\\"\"' imagePullPolicy: Always name: echoserver ports: - containerPort: 8080
Service
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。service-albo.yaml
ファイルの例:apiVersion: v1 kind: Service 1 metadata: name: <echoserver> 2 namespace: echoserver spec: ports: - port: 80 targetPort: 8080 protocol: TCP type: NodePort selector: app: echoserver
Ingress
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。Ingress-albo.yaml
ファイルの例:apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: <name> 1 namespace: echoserver annotations: alb.ingress.kubernetes.io/scheme: internet-facing alb.ingress.kubernetes.io/target-type: instance spec: ingressClassName: alb rules: - http: paths: - path: / pathType: Exact backend: service: name: <echoserver> 2 port: number: 80
検証
次のコマンドを実行して、
Ingress
リソースのステータスをHOST
変数に保存します。$ HOST=$(oc get ingress -n echoserver echoserver --template='{{(index .status.loadBalancer.ingress 0).hostname}}')
次のコマンドを実行して、
Ingress
リソースのステータスを確認します。$ curl $HOST
21.6. 1 つの AWS ロードバランサーを介して複数の Ingress リソースを提供する
1 つの AWS Load Balancer を介して、1 つのドメインに含まれるさまざまなサービスにトラフィックをルーティングできます。各 Ingress リソースは、ドメインの異なるエンドポイントを提供します。
21.6.1. 1 つの AWS ロードバランサーを介して複数の Ingress リソースを作成する
CLI を使用すると、1 つの AWS ロードバランサーを介して複数の Ingress リソースにトラフィックをルーティングできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) にアクセスできる。
手順
次のように、
IngressClassParams
リソースの YAML ファイル (例:sample-single-lb-params.yaml
) を作成します。apiVersion: elbv2.k8s.aws/v1beta1 1 kind: IngressClassParams metadata: name: single-lb-params 2 spec: group: name: single-lb 3
次のコマンドを実行して、
IngressClassParams
リソースを作成します。$ oc create -f sample-single-lb-params.yaml
次のように、
IngressClass
リソースの YAML ファイル (例:sample-single-lb-class.yaml
) を作成します。apiVersion: networking.k8s.io/v1 1 kind: IngressClass metadata: name: single-lb 2 spec: controller: ingress.k8s.aws/alb 3 parameters: apiGroup: elbv2.k8s.aws 4 kind: IngressClassParams 5 name: single-lb-params 6
次のコマンドを実行して
IngressClass
リソースを作成します。$ oc create -f sample-single-lb-class.yaml
次のように、
AWSLoadBalancerController
リソース YAML ファイル (例:sample-single-lb.yaml
) を作成します。apiVersion: networking.olm.openshift.io/v1 kind: AWSLoadBalancerController metadata: name: cluster spec: subnetTagging: Auto ingressClass: single-lb 1
- 1
IngressClass
リソースの名前を定義します。
次のコマンドを実行して、
AWSLoadBalancerController
リソースを作成します。$ oc create -f sample-single-lb.yaml
次のように、
Ingress
リソースの YAML ファイル (例:sample-multiple-ingress.yaml
) を作成します。apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: example-1 1 annotations: alb.ingress.kubernetes.io/scheme: internet-facing 2 alb.ingress.kubernetes.io/group.order: "1" 3 alb.ingress.kubernetes.io/target-type: instance 4 spec: ingressClassName: single-lb 5 rules: - host: example.com 6 http: paths: - path: /blog 7 pathType: Prefix backend: service: name: example-1 8 port: number: 80 9 --- apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: example-2 annotations: alb.ingress.kubernetes.io/scheme: internet-facing alb.ingress.kubernetes.io/group.order: "2" alb.ingress.kubernetes.io/target-type: instance spec: ingressClassName: single-lb rules: - host: example.com http: paths: - path: /store pathType: Prefix backend: service: name: example-2 port: number: 80 --- apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: example-3 annotations: alb.ingress.kubernetes.io/scheme: internet-facing alb.ingress.kubernetes.io/group.order: "3" alb.ingress.kubernetes.io/target-type: instance spec: ingressClassName: single-lb rules: - host: example.com http: paths: - path: / pathType: Prefix backend: service: name: example-3 port: number: 80
- 1
- Ingress 名を指定します。
- 2
- インターネットにアクセスするためにパブリックサブネットにプロビジョニングするロードバランサーを示します。
- 3
- ロードバランサーで要求を受信したときに、複数の Ingress リソースからのルールをマッチする順序を指定します。
- 4
- ロードバランサーがサービスに到達するために OpenShift Container Platform ノードをターゲットにすることを示します。
- 5
- この Ingress に属する Ingress クラスを指定します。
- 6
- 要求のルーティングに使用するドメイン名を定義します。
- 7
- サービスにルーティングする必要があるパスを定義します。
- 8
Ingress
リソースで設定されたエンドポイントを提供するサービス名を定義します。- 9
- エンドポイントにサービスを提供するサービスのポートを定義します。
次のコマンドを実行して
Ingress
リソースを作成します。$ oc create -f sample-multiple-ingress.yaml
21.7. TLS Termination の追加
AWS Load Balancer に TLS Termination を追加できます。
21.7.1. AWS Load Balancer への TLS Termination の追加
ドメインのトラフィックをサービスの Pod にルーティングし、AWS Load Balancer に TLS Termination を追加できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) にアクセスできる。
手順
AWSLoadBalancerController
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。add-tls-termination-albc.yaml
ファイルの例apiVersion: networking.olm.openshift.io/v1 kind: AWSLoadBalancerController metadata: name: cluster spec: subnetTagging: Auto ingressClass: tls-termination 1
- 1
- Ingress クラス名を定義します。クラスター内に Ingress クラスが存在しない場合は、AWS Load Balancer Controller によって作成されます。
spec.controller
がingress.k8s.aws/alb
に設定されている場合、AWS Load Balancer Controller は追加の Ingress クラス値を調整します。
Ingress
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。add-tls-termination-ingress.yaml
ファイルの例apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: <example> 1 annotations: alb.ingress.kubernetes.io/scheme: internet-facing 2 alb.ingress.kubernetes.io/certificate-arn: arn:aws:acm:us-west-2:xxxxx 3 spec: ingressClassName: tls-termination 4 rules: - host: <example.com> 5 http: paths: - path: / pathType: Exact backend: service: name: <example-service> 6 port: number: 80
21.8. クラスター全体のプロキシーの設定
AWS Load Balancer Operator でクラスター全体のプロキシーを設定できます。クラスター全体のプロキシーを設定すると、Operator Lifecycle Manager (OLM) が、HTTP_PROXY
、HTTPS_PROXY
、NO_PROXY
などの環境変数を使用して、Operator のすべてのデプロイメントを自動的に更新します。これらの変数は、AWS Load Balancer Operator によってマネージドコントローラーに入力されます。
21.8.1. クラスター全体のプロキシーの認証局を信頼する
次のコマンドを実行して、
aws-load-balancer-operator
namespace に認証局 (CA) バンドルを含める config map を作成します。$ oc -n aws-load-balancer-operator create configmap trusted-ca
信頼できる CA バンドルを config map に挿入するには、次のコマンドを実行して、
config.openshift.io/inject-trusted-cabundle=true
ラベルを config map に追加します。$ oc -n aws-load-balancer-operator label cm trusted-ca config.openshift.io/inject-trusted-cabundle=true
次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Operator デプロイメントの config map にアクセスできるように AWS Load Balancer Operator サブスクリプションを更新します。
$ oc -n aws-load-balancer-operator patch subscription aws-load-balancer-operator --type='merge' -p '{"spec":{"config":{"env":[{"name":"TRUSTED_CA_CONFIGMAP_NAME","value":"trusted-ca"}],"volumes":[{"name":"trusted-ca","configMap":{"name":"trusted-ca"}}],"volumeMounts":[{"name":"trusted-ca","mountPath":"/etc/pki/tls/certs/albo-tls-ca-bundle.crt","subPath":"ca-bundle.crt"}]}}}'
AWS Load Balancer Operator がデプロイされたら、次のコマンドを実行して、CA バンドルが
aws-load-balancer-operator-controller-manager
デプロイメントに追加されていることを確認します。$ oc -n aws-load-balancer-operator exec deploy/aws-load-balancer-operator-controller-manager -c manager -- bash -c "ls -l /etc/pki/tls/certs/albo-tls-ca-bundle.crt; printenv TRUSTED_CA_CONFIGMAP_NAME"
出力例
-rw-r--r--. 1 root 1000690000 5875 Jan 11 12:25 /etc/pki/tls/certs/albo-tls-ca-bundle.crt trusted-ca
オプション: config-map が変更されるたびに、次のコマンドを実行して、AWS Load Balancer Operator のデプロイを再開します。
$ oc -n aws-load-balancer-operator rollout restart deployment/aws-load-balancer-operator-controller-manager
21.8.2. 関連情報
第22章 複数ネットワーク
22.1. 複数ネットワークについて
Kubernetes では、コンテナーネットワークは Container Network Interface (CNI) を実装するネットワークプラグインに委任されます。
OpenShift Container Platform は、Multus CNI プラグインを使用して CNI プラグインのチェーンを許可します。クラスターのインストール時に、デフォルト の Pod ネットワークを設定します。デフォルトのネットワークは、クラスターのすべての通常のネットワークトラフィックを処理します。利用可能な CNI プラグインに基づいて additional network を定義し、1 つまたは複数のネットワークを Pod に割り当てることができます。必要に応じて、クラスターの複数のネットワークを追加で定義することができます。これにより、スイッチングやルーティングなどのネットワーク機能を提供する Pod を設定する際に柔軟性が得られます。
22.1.1. 追加ネットワークの使用シナリオ
データプレーンとコントロールプレーンの分離など、ネットワークの分離が必要な状況で追加のネットワークを使用できます。トラフィックの分離は、以下のようなパフォーマンスおよびセキュリティー関連の理由で必要になります。
- パフォーマンス
- 各プレーンのトラフィック量を管理するために、2 つの異なるプレーンにトラフィックを送信できます。
- セキュリティー
- 機密トラフィックは、セキュリティー上の考慮に基づいて管理されているネットワークに送信でき、テナントまたはカスタマー間で共有できないプライベートを分離することができます。
クラスターのすべての Pod はクラスター全体のデフォルトネットワークを依然として使用し、クラスター全体での接続性を維持します。すべての Pod には、クラスター全体の Pod ネットワークに割り当てられる eth0
インターフェイスがあります。Pod のインターフェイスは、oc exec -it <pod_name> -- ip a
コマンドを使用して表示できます。Multus CNI を使用するネットワークを追加する場合、それらの名前は net1
、net2
、…、netN
になります。
追加のネットワークを Pod に割り当てるには、インターフェイスの割り当て方法を定義する設定を作成する必要があります。それぞれのインターフェイスは、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を使用して指定します。これらの CR のそれぞれにある CNI 設定は、インターフェイスの作成方法を定義します。
22.1.2. OpenShift Container Platform の追加ネットワーク
OpenShift Container Platform は、クラスターに追加のネットワークを作成するために使用する以下の CNI プラグインを提供します。
- bridge: ブリッジベースの追加ネットワークを設定する ことで、同じホストにある Pod が相互に、かつホストと通信できます。
- host-device: ホストデバイスの追加ネットワークを設定する ことで、Pod がホストシステム上の物理イーサネットネットワークデバイスにアクセスすることができます。
- ipvlan: ipvlan ベースの追加ネットワークを設定する ことで、macvlan ベースの追加ネットワークと同様に、ホスト上の Pod が他のホストやそれらのホストの Pod と通信できます。macvlan ベースの追加のネットワークとは異なり、各 Pod は親の物理ネットワークインターフェイスと同じ MAC アドレスを共有します。
- vlan: VLAN ベースの追加ネットワークを設定 して、VLAN ベースのネットワークの分離と Pod の接続を可能にします。
- macvlan: macvlan ベースの追加ネットワークを作成 することで、ホスト上の Pod が物理ネットワークインターフェイスを使用して他のホストやそれらのホストの Pod と通信できます。macvlan ベースの追加ネットワークに割り当てられる各 Pod には固有の MAC アドレスが割り当てられます。
- tap: タップベースの追加ネットワークを設定 して、コンテナー namespace 内にタップデバイスを作成します。タップデバイスを使用すると、ユーザー空間プログラムがネットワークパケットを送受信できるようになります。
- SR-IOV: SR-IOV ベースの追加ネットワークを設定する ことで、Pod をホストシステム上の SR-IOV 対応ハードウェアの Virtual Function (VF) インターフェイスに割り当てることができます。
22.2. 追加のネットワークの設定
クラスター管理者は、クラスターの追加のネットワークを設定できます。以下のネットワークタイプに対応しています。
22.2.1. 追加のネットワークを管理するためのアプローチ
利用可能な 2 つのアプローチのいずれかを選択して、追加のネットワークのライフサイクルを管理できます。各アプローチは同時に使用できず、追加のネットワークを管理する場合に 1 つのアプローチしか使用できません。どちらのアプローチでも、追加のネットワークは、お客様が設定した Container Network Interface (CNI) プラグインによって管理されます。
-
Cluster Network Operator (CNO)設定の変更:CNO は自動的に
NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース定義(CRD)を作成し、管理します。CNO は、オブジェクトのライフサイクル管理に加えて、DHCP で割り当てられた IP アドレスを使用する追加のネットワークで確実に DHCP が利用できるようにします。 -
YAML マニフェストを適用する:
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成することで、追加のネットワークを直接管理できます。この方法では、CNI プラグインを連鎖させることができます。
追加ネットワークの場合には、IP アドレスは、追加ネットワークの一部として設定する IPAM(IP Address Management)CNI プラグインでプロビジョニングされます。IPAM プラグインは、動的ホスト設定プロトコル(DHCP)や静的割り当てなど、さまざまな IP アドレス割り当ての方法をサポートしています。
OVN Kubernetes を使用して、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) に複数のネットワークインターフェイスを持つ OpenShift Container Platform ノードをデプロイすると、セカンダリーインターフェイスの DNS 設定がプライマリーインターフェイスの DNS 設定よりも優先される場合があります。この場合、セカンダリーインターフェイスに接続されているサブネット ID の DNS ネームサーバーを削除してください。
$ openstack subnet set --dns-nameserver 0.0.0.0 <subnet_id>
22.2.2. ネットワーク追加割り当ての設定
追加のネットワークは、k8s.cni.cncf.io
API グループの NetworkAttachmentDefinition
API を使用して設定されます。
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトには、プロジェクト管理ユーザーがアクセスできるので、機密情報やシークレットを保存しないでください。
API の設定は、以下の表で説明されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| 追加のネットワークの名前です。 |
|
| オブジェクトが関連付けられる namespace。 |
|
| JSON 形式の CNI プラグイン設定。 |
22.2.2.1. Cluster Network Operator による追加ネットワークの設定
追加のネットワーク割り当ての設定は、Cluster Network Operator (CNO) の設定の一部として指定します。
以下の YAML は、CNO で追加のネットワークを管理するための設定パラメーターを記述しています。
Cluster Network Operator (CNO) の設定
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: # ... additionalNetworks: 1 - name: <name> 2 namespace: <namespace> 3 rawCNIConfig: |- 4 { ... } type: Raw
- 1
- 1 つまたは複数の追加ネットワーク設定の配列。
- 2
- 作成している追加ネットワーク割り当ての名前。名前は指定された
namespace
内で一意である必要があります。 - 3
- ネットワークの割り当てを作成する namespace。値を指定しない場合、
default
の namespace が使用されます。重要OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの namespace の問題を阻止するには、追加のネットワークアタッチメントに
default
という名前を付けないでください。この namespace は、default
の追加のネットワークアタッチメント用に予約されているためです。 - 4
- JSON 形式の CNI プラグイン設定。
22.2.2.2. YAML マニフェストからの追加ネットワークの設定
追加ネットワークの設定は、以下の例のように YAML 設定ファイルから指定します。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1 kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: <name> 1 spec: config: |- 2 { ... }
22.2.3. 追加のネットワークタイプの設定
次のセクションでは、追加のネットワークの具体的な設定フィールドを説明します。
22.2.3.1. ブリッジネットワークの追加設定
以下のオブジェクトは、ブリッジ CNI プラグインの設定パラメーターについて説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
| IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。 |
|
|
オプション: 使用する仮想ブリッジの名前を指定します。ブリッジインターフェイスがホストに存在しない場合は、これが作成されます。デフォルト値は |
|
|
オプション: 仮想ネットワークから外すトラフィックの IP マスカレードを有効にするには、 |
|
|
オプション: IP アドレスをブリッジに割り当てるには |
|
|
オプション: ブリッジを仮想ネットワークのデフォルトゲートウェイとして設定するには、 |
|
|
オプション: 仮想ブリッジの事前に割り当てられた IP アドレスの割り当てを許可するには、 |
|
|
オプション: 仮想ブリッジが受信時に使用した仮想ポートでイーサネットフレームを送信できるようにするには、 |
|
|
オプション: ブリッジで無作為検出モード (Promiscuous Mode) を有効にするには、 |
|
| オプション: 仮想 LAN (VLAN) タグを整数値として指定します。デフォルトで、VLAN タグは割り当てません。 |
|
|
オプション: デフォルトの VLAN をブリッジに接続されている |
|
|
オプション: VLAN トランクタグを割り当てます。デフォルト値は |
|
| オプション: 最大転送単位 (MTU) を指定された値に設定します。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。 |
|
|
オプション: コンテナー側の |
|
|
オプション: MAC スプーフィングチェックを有効にして、コンテナーから発信されるトラフィックをインターフェイスの MAC アドレスに制限します。デフォルト値は |
VLAN パラメーターは、veth
のホスト側に VLAN タグを設定し、ブリッジインターフェイスで vlan_filtering
機能を有効にします。
L2 ネットワークのアップリンクを設定するには、以下のコマンドを使用してアップリンクインターフェイスで vlan を許可する必要があります。
$ bridge vlan add vid VLAN_ID dev DEV
22.2.3.1.1. ブリッジ設定の例
以下の例では、bridge-net
という名前の追加のネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "bridge-net", "type": "bridge", "isGateway": true, "vlan": 2, "ipam": { "type": "dhcp" } }
22.2.3.2. ホストデバイスの追加ネットワークの設定
device
、hwaddr
、kernelpath
、または pciBusID
のいずれかのパラメーターを設定してネットワークデバイスを指定します。
以下のオブジェクトは、ホストデバイス CNI プラグインの設定パラメーターを説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
|
オプション: |
|
| オプション: デバイスハードウェアの MAC アドレス。 |
|
|
オプション: |
|
|
オプション: |
22.2.3.2.1. ホストデバイス設定例
以下の例では、hostdev-net
という名前の追加のネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "hostdev-net", "type": "host-device", "device": "eth1" }
22.2.3.3. VLAN 追加ネットワークの設定
次のオブジェクトは、VLAN、vlan
、CNI プラグインの設定パラメーターを示しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
|
ネットワーク割り当てに関連付けるイーサネットインターフェイス。 |
|
|
|
|
| IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。 |
|
| オプション: 最大転送単位 (MTU) を指定された値に設定します。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。 |
|
| オプション: 返される DNS 情報。たとえば、DNS ネームサーバーの優先順位順リストなどです。 |
|
|
オプション: |
vlan
設定を持つ NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース定義 (CRD) は、ノード内の単一の Pod でのみ使用できます。CNI プラグインは、同じ master
インターフェイス上に同じ vlanId
を持つ vlan
サブインターフェイスを複数作成できないためです。
22.2.3.3.1. VLAN 設定例
次の例は、vlan-net
という名前の追加ネットワークを含む vlan
設定を示しています。
{ "name": "vlan-net", "cniVersion": "0.3.1", "type": "vlan", "master": "eth0", "mtu": 1500, "vlanId": 5, "linkInContainer": false, "ipam": { "type": "host-local", "subnet": "10.1.1.0/24" }, "dns": { "nameservers": [ "10.1.1.1", "8.8.8.8" ] } }
22.2.3.4. IPVLAN 追加ネットワークの設定
次のオブジェクトは、IPVLAN、ipvlan
、CNI プラグインの設定パラメーターを示しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
| IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。これは、プラグインが連鎖している場合を除き必要です。 |
|
|
オプション: 仮想ネットワークの操作モードを指定します。この値は、 |
|
|
オプション: ネットワーク割り当てに関連付けるイーサネットインターフェイスを指定します。 |
|
| オプション: 最大転送単位 (MTU) を指定された値に設定します。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。 |
|
|
オプション: |
-
ipvlan
オブジェクトは、仮想インターフェイスがmaster
インターフェイスと通信することを許可しません。したがって、コンテナーはipvlan
インターフェイスを使用してホストに到達できなくなります。コンテナーが、Precision Time Protocol (PTP
) をサポートするネットワークなど、ホストへの接続を提供するネットワークに参加していることを確認してください。 -
1 つのの
master
インターフェイスを、macvlan
とipvlan
の両方を使用するように同時に設定することはできません。 -
インターフェイスに依存できない IP 割り当てスキームの場合、
ipvlan
プラグインは、このロジックを処理する以前のプラグインと連鎖させることができます。master
が省略された場合、前の結果にはスレーブにするipvlan
プラグインのインターフェイス名が 1 つ含まれていなければなりません。ipam
が省略された場合、ipvlan
インターフェイスの設定には前の結果が使用されます。
22.2.3.4.1. IPVLAN 設定例
以下の例では、ipvlan-net
という名前の追加のネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "ipvlan-net", "type": "ipvlan", "master": "eth1", "linkInContainer": false, "mode": "l3", "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "192.168.10.10/24" } ] } }
22.2.3.5. MACVLAN 追加ネットワークの設定
以下のオブジェクトは、macvlan CNI プラグインの設定パラメーターについて説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
| IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。 |
|
|
オプション: 仮想ネットワークのトラフィックの可視性を設定します。 |
|
| オプション: 新しく作成された macvlan インターフェイスに関連付けるホストネットワークインターフェイス。値が指定されていない場合は、デフォルトのルートインターフェイスが使用されます。 |
|
| オプション: 指定された値への最大転送単位 (MTU)。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。 |
|
|
オプション: |
プラグイン設定の master
キーを指定する場合は、競合の可能性を回避するために、プライマリーネットワークプラグインに関連付けられているものとは異なる物理ネットワークインターフェイスを使用してください。
22.2.3.5.1. macvlan 設定の例
以下の例では、macvlan-net
という名前の追加のネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "macvlan-net", "type": "macvlan", "master": "eth1", "linkInContainer": false, "mode": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } }
22.2.3.6. TAP 追加ネットワークの設定
以下のオブジェクトは、TAP CNI プラグインの設定パラメーターを説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。値 |
|
|
CNO 設定に以前に指定した |
|
|
設定する CNI プラグインの名前: |
|
| オプション: インターフェイスの指定された MAC アドレスを要求します。 |
|
| オプション: 最大転送単位 (MTU) を指定された値に設定します。デフォルト値はカーネルによって自動的に設定されます。 |
|
| オプション: タップデバイスに関連付ける SELinux コンテキスト。 注記
OpenShift Container Platform には、値 |
|
|
オプション: マルチキューを有効にするには |
|
| オプション: タップデバイスを所有するユーザー。 |
|
| オプション: タップデバイスを所有するグループ。 |
|
| オプション: タップデバイスを既存のブリッジのポートとして設定します。 |
22.2.3.6.1. Tap 設定の例
以下の例では、mynet
という名前の追加ネットワークを設定します。
{ "name": "mynet", "cniVersion": "0.3.1", "type": "tap", "mac": "00:11:22:33:44:55", "mtu": 1500, "selinuxcontext": "system_u:system_r:container_t:s0", "multiQueue": true, "owner": 0, "group": 0 "bridge": "br1" }
22.2.3.6.2. TAP CNI プラグインの SELinux ブール値の設定
Container_t
SELinux コンテキストを使用して Tap デバイスを作成するには、Machine Config Operator (MCO) を使用してホスト上で container_use_devices
ブール値を有効にします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
次の詳細を含む、
setsebool-container-use-devices.yaml
などの名前の新しい YAML ファイルを作成します。apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfig metadata: labels: machineconfiguration.openshift.io/role: worker name: 99-worker-setsebool spec: config: ignition: version: 3.2.0 systemd: units: - enabled: true name: setsebool.service contents: | [Unit] Description=Set SELinux boolean for the TAP CNI plugin Before=kubelet.service [Service] Type=oneshot ExecStart=/usr/sbin/setsebool container_use_devices=on RemainAfterExit=true [Install] WantedBy=multi-user.target graphical.target
次のコマンドを実行して、新しい
MachineConfig
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f setsebool-container-use-devices.yaml
注記MachineConfig
オブジェクトに変更を適用すると、変更が適用された後、影響を受けるすべてのノードが正常に再起動します。この更新が適用されるまでに、時間がかかる場合があります。次のコマンドを実行して、変更が適用されていることを確認します。
$ oc get machineconfigpools
予想される出力
NAME CONFIG UPDATED UPDATING DEGRADED MACHINECOUNT READYMACHINECOUNT UPDATEDMACHINECOUNT DEGRADEDMACHINECOUNT AGE master rendered-master-e5e0c8e8be9194e7c5a882e047379cfa True False False 3 3 3 0 7d2h worker rendered-worker-d6c9ca107fba6cd76cdcbfcedcafa0f2 True False False 3 3 3 0 7d
注記すべてのノードが更新され、準備完了状態になっている必要があります。
関連情報
- ノード上で SELinux ブール値を有効にする方法の詳細は、SELinux ブール値の設定 を参照してください。
22.2.3.7. OVN-Kubernetes 追加ネットワークの設定
Red Hat OpenShift Networking OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用すると、Pod のセカンダリーネットワークインターフェイスを設定できます。セカンダリーネットワークインターフェイスを設定するには、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース定義 (CRD) で設定を定義する必要があります。
Pod およびマルチネットワークポリシーの作成は、ノード内の OVN-Kubernetes コントロールプレーンエージェントが関連する network-attachment-definition
CRD を処理するまで、保留状態のままになる場合があります。
OVN-Kubernetes 追加ネットワークは、レイヤー 2 または ローカルネット トポロジーで設定できます。
- レイヤ 2 トポロジーは、East-West クラスタートラフィックをサポートしますが、基礎となる物理ネットワークへのアクセスは許可しません。
- ローカルネットトポロジーでは物理ネットワークへの接続が可能ですが、クラスターノード上の基盤となる Open vSwitch (OVS) ブリッジの追加設定が必要です。
次のセクションでは、OVN-Kubernetes で現在セカンダリーネットワークに許可されている各トポロジーの設定例を示します。
ネットワーク名は一意である必要があります。たとえば、同じネットワークを参照する異なる設定を持つ複数の NetworkAttachmentDefinition
CRD の作成はサポートされていません。
22.2.3.7.1. OVN-Kubernetes 追加ネットワークでサポートされるプラットフォーム
OVN-Kubernetes 追加ネットワークは、次のサポートされているプラットフォームで使用できます。
- ベアメタル
- IBM Power®
- IBM Z®
- IBM® LinuxONE
- VMware vSphere
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)
22.2.3.7.2. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの JSON 設定テーブル
次の表は、OVN-Kubernetes CNI ネットワークプラグインの設定パラメーターを示しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNI 仕様のバージョン。必要な値は |
|
|
ネットワークの名前。このネットワークは namespace スコープではありません。たとえば、 |
|
|
設定する CNI プラグインの名前。この値は |
|
|
ネットワークのトポロジー設定。 |
|
| クラスター全体のネットワークに使用するサブネット。
省略した場合、ネットワークを実装する論理スイッチはレイヤー 2 通信のみを提供し、ユーザーは Pod の IP アドレスを設定する必要があります。ポートセキュリティーは、MAC スプーフィングのみを防止します。 |
|
|
最大伝送単位 (MTU)。デフォルト値 |
|
|
この設定が含まれるネットワークアタッチメント定義 CRD のメタデータの |
|
| CIDR と IP アドレスのコンマ区切りのリスト。IP アドレスは割り当て可能な IP アドレスプールから削除され、Pod に渡されることはありません。 |
|
|
トポロジーが |
22.2.3.7.3. マルチネットワークポリシーとの互換性
k8s.cni.cncf.io
API グループの MultiNetworkPolicy
カスタムリソース定義 (CRD) によって提供されるマルチネットワークポリシー API は、OVN-Kubernetes セカンダリーネットワークと互換性があります。ネットワークポリシーを定義する場合、使用できるネットワークポリシールールは、OVN-Kubernetes セカンダリーネットワークが subnets
フィールドを定義しているかどうかによって異なります。詳細は、次の表を参照してください。
subnets フィールドの指定 | 許可されたマルチネットワークポリシーセレクター |
---|---|
はい |
|
いいえ |
|
たとえば、次のマルチネットワークポリシーは、blue2
という名前の追加ネットワークの追加ネットワーク CNI 設定で subnets
フィールドが定義されている場合にのみ有効です。
Pod セレクターを使用するマルチネットワークポリシーの例
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: allow-same-namespace annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: blue2 spec: podSelector: ingress: - from: - podSelector: {}
次の例では、ipBlock
ネットワークポリシーセレクターを使用します。これは、OVN-Kubernetes 追加ネットワークに対して常に有効です。
IP ブロックセレクターを使用するマルチネットワークポリシーの例
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: ingress-ipblock annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: default/flatl2net spec: podSelector: matchLabels: name: access-control policyTypes: - Ingress ingress: - from: - ipBlock: cidr: 10.200.0.0/30
22.2.3.7.4. レイヤー 2 スイッチドトポロジーの設定
スイッチド (レイヤー 2) トポロジーネットワークは、クラスター全体の論理スイッチを介してワークロードを相互接続します。この設定は、IPv6 およびデュアルスタックデプロイメントに使用できます。
レイヤー 2 スイッチドトポロジーネットワークでは、クラスター内の Pod 間のデータパケットの転送のみが許可されます。
次の JSON 例では、スイッチドセカンダリーネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "l2-network", "type": "ovn-k8s-cni-overlay", "topology":"layer2", "subnets": "10.100.200.0/24", "mtu": 1300, "netAttachDefName": "ns1/l2-network", "excludeSubnets": "10.100.200.0/29" }
22.2.3.7.5. ローカルネットトポロジーの設定
スイッチド localnet
トポロジーは、ネットワークアタッチメント定義 (NAD) として作成されたワークロードを、クラスター全体の論理スイッチを介して物理ネットワークに相互接続します。
22.2.3.7.5.1. OVN-Kubernetes 追加ネットワークを設定するための前提条件
- NMState Operator がインストールされている。詳細は、Kubernetes NMState Operator について を参照してください。
22.2.3.7.5.2. OVN-Kubernetes 追加ネットワークマッピングの設定
OVN-Kubernetes 追加ネットワークとして使用するには、追加ネットワークを OVN ブリッジにマップする必要があります。ブリッジマッピングにより、ネットワークトラフィックが物理ネットワークに到達できるようになります。ブリッジマッピングは、インターフェイスラベルとも呼ばれる物理ネットワーク名を、Open vSwitch (OVS) で作成されたブリッジに関連付けます。
nmstate.io/v1
API グループの一部である NodeNetworkConfigurationPolicy
オブジェクトを作成して、宣言的にマッピングを作成できます。この API は NMState Operator によって提供されます。この API を使用すると、指定した nodeSelector
式 (node-role.kubernetes.io/worker: ''
など) に一致するノードにブリッジマッピングを適用できます。
追加のネットワークを接続する場合、既存の br-ex
ブリッジを使用することも、新しいブリッジを作成することもできます。どのアプローチを使用するかは、特定のネットワークインフラストラクチャーによって異なります。
-
ノードにネットワークインターフェイスが 1 つしか含まれていない場合は、既存のブリッジを使用する必要があります。このネットワークインターフェイスは OVN-Kubernetes によって所有および管理されているため、
br-ex
ブリッジから削除したり、インターフェイス設定を変更したりしないでください。ネットワークインターフェイスを削除または変更すると、クラスターネットワークは正しく動作しなくなります。 - ノードに複数のネットワークインターフェイスが含まれている場合は、別のネットワークインターフェイスを新しいブリッジに接続して、追加のネットワークに使用できます。このアプローチでは、プライマリークラスターネットワークからトラフィックが分離されます。
次の例では、localnet1
ネットワークが br-ex
ブリッジにマッピングされています。
ブリッジを共有するためのマッピングの例
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: mapping 1 spec: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: '' 2 desiredState: ovn: bridge-mappings: - localnet: localnet1 3 bridge: br-ex 4 state: present 5
- 1
- 設定オブジェクトの名前。
- 2
- ノードネットワーク設定ポリシーを適用するノードを指定するノードセレクター。
- 3
- トラフィックが OVS ブリッジに転送される追加ネットワークの名前。この追加ネットワークは、OVN-Kubernetes 追加ネットワークを定義する
NetworkAttachmentDefinition
CRD のspec.config.name
フィールドの名前と一致する必要があります。 - 4
- ノード上の OVS ブリッジの名前。この値は、
state: present
を指定する場合にのみ必要です。 - 5
- マッピングの状態。ブリッジを追加する場合は
present
、ブリッジを削除する場合はabsent
である必要があります。デフォルト値はpresent
です。
次の例では、localnet2
ネットワークインターフェイスが ovs-br1
ブリッジに接続されています。この接続を使って、ネットワークインターフェイスを OVN-Kubernetes ネットワークプラグインで追加のネットワークとして利用できるようになります。
複数のインターフェイスを持つノードのマッピング例
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: ovs-br1-multiple-networks 1 spec: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: '' 2 desiredState: interfaces: - name: ovs-br1 3 description: |- A dedicated OVS bridge with eth1 as a port allowing all VLANs and untagged traffic type: ovs-bridge state: up bridge: allow-extra-patch-ports: true options: stp: false port: - name: eth1 4 ovn: bridge-mappings: - localnet: localnet2 5 bridge: ovs-br1 6 state: present 7
- 1
- 設定オブジェクトの名前。
- 2
- ノードネットワーク設定ポリシーを適用するノードを指定するノードセレクター。
- 3
- OVN-Kubernetes がすべてのクラスタートラフィックに使用するデフォルトブリッジとは別の、新しい OVS ブリッジ。
- 4
- この新しい OVS ブリッジに関連付けるホストシステム上のネットワークデバイス。
- 5
- トラフィックが OVS ブリッジに転送される追加ネットワークの名前。この追加ネットワークは、OVN-Kubernetes 追加ネットワークを定義する
NetworkAttachmentDefinition
CRD のspec.config.name
フィールドの名前と一致する必要があります。 - 6
- ノード上の OVS ブリッジの名前。この値は、
state: present
を指定する場合にのみ必要です。 - 7
- マッピングの状態。ブリッジを追加する場合は
present
、ブリッジを削除する場合はabsent
である必要があります。デフォルト値はpresent
です。
NMState Operator は、ノードセレクターによって指定されたすべてのノードに追加のネットワーク設定を自動的かつ透過的に適用するため、この宣言的アプローチが推奨されます。
次の JSON 例では、localnet セカンダリーネットワークを設定します。
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "ns1-localnet-network", "type": "ovn-k8s-cni-overlay", "topology":"localnet", "subnets": "202.10.130.112/28", "vlanID": 33, "mtu": 1500, "netAttachDefName": "ns1/localnet-network" "excludeSubnets": "10.100.200.0/29" }
22.2.3.7.6. 追加ネットワーク用の Pod の設定
k8s.v1.cni.cncf.io/networks
アノテーションを使用して、セカンダリーネットワーク割り当てを指定する必要があります。
次の例では、このガイドに示されている割り当て設定ごとに 1 つずつ、2 つのセカンダリー割り当てを持つ Pod をプロビジョニングします。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: l2-network name: tinypod namespace: ns1 spec: containers: - args: - pause image: k8s.gcr.io/e2e-test-images/agnhost:2.36 imagePullPolicy: IfNotPresent name: agnhost-container
22.2.3.7.7. 静的 IP アドレスを使用して Pod を設定する
次の例では、静的 IP アドレスを使用して Pod をプロビジョニングします。
- レイヤー 2 割り当てに対する Pod のセカンダリーネットワーク割り当ての IP アドレスのみを指定できます。
- Pod の静的 IP アドレスを指定できるのは、割り当て設定にサブネットが含まれていない場合のみです。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "l2-network", 1 "mac": "02:03:04:05:06:07", 2 "interface": "myiface1", 3 "ips": [ "192.0.2.20/24" ] 4 } ]' name: tinypod namespace: ns1 spec: containers: - args: - pause image: k8s.gcr.io/e2e-test-images/agnhost:2.36 imagePullPolicy: IfNotPresent name: agnhost-container
22.2.4. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定
IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。
以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。
- 静的割り当て。
- DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
- Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
22.2.4.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定
以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| 仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。 |
|
| Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。 |
|
| オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。 |
addresses
の配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、 |
|
| Egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CIDR 形式の IP アドレス範囲 ( |
|
| ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。 |
|
|
ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが |
|
|
DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: |
静的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.7/24" } ] } }
22.2.4.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定
以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。
DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。
shim ネットワーク割り当ての定義例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: dhcp-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "dhcp-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } } # ...
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "dhcp" } }
22.2.4.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。
以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。 |
|
| オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) のリスト。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。 |
Whereabouts を使用する動的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "whereabouts", "range": "192.0.2.192/27", "exclude": [ "192.0.2.192/30", "192.0.2.196/32" ] } }
22.2.4.4. whereabouts-reconciler デーモンセットの作成
Whereabouts reconciler は、Whereabouts IP アドレス管理 (IPAM) ソリューションを使用して、クラスター内の Pod の動的 IP アドレス割り当てを管理します。これにより、各 Pod が指定の IP アドレス範囲から一意の IP アドレスを確実に取得します。また、Pod が削除またはスケールダウンされた場合の IP アドレスの解放も処理します。
動的 IP アドレスの割り当てには、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース定義 (CRD) を使用することもできます。
whereabouts-reconciler
デーモンセットは、Cluster Network Operator を通じて追加のネットワークを設定するときに自動的に作成されます。YAML マニフェストから追加のネットワークを設定する場合、これは自動的には作成されません。
whereabouts-reconciler
デーモンセットのデプロイをトリガーするには、Cluster Network Operator のカスタムリソース (CR) ファイルを編集して、whereabouts-shim
ネットワーク割り当てを手動で作成する必要があります。
whereabouts-reconciler
デーモンセットをデプロイするには、次の手順を使用します。
手順
以下のコマンドを実行して、
Network.operator.openshift.io
カスタムリソース (CR) を編集します。$ oc edit network.operator.openshift.io cluster
この例で展開されている YAML の
additionalNetworks
セクションを、カスタムリソース (CR) のspec
定義内に含めます。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster # ... spec: additionalNetworks: - name: whereabouts-shim namespace: default rawCNIConfig: |- { "name": "whereabouts-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts" } } type: Raw # ...
- ファイルを保存し、テキストエディターを編集します。
次のコマンドを実行して、
whereabouts-reconciler
デーモンセットが正常にデプロイされたことを確認します。$ oc get all -n openshift-multus | grep whereabouts-reconciler
出力例
pod/whereabouts-reconciler-jnp6g 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-k76gg 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-k86t9 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-p4sxw 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-rvfdv 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-svzw9 1/1 Running 0 6s daemonset.apps/whereabouts-reconciler 6 6 6 6 6 kubernetes.io/os=linux 6s
22.2.4.5. Whereabouts IP リコンサイラーのスケジュールの設定
Whereabouts IPAM CNI プラグインは、IP リコンサイラーを毎日実行します。このプロセスは、IP が枯渇して新しい Pod に IP が割り当てられなくなる状態を避けるために、完了せずに残っている IP 割り当てをクリーンアップします。
IP リコンサイラーを実行する頻度を変更するには、次の手順を使用します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
whereabouts-reconciler
デーモンセットがデプロイされており、whereabouts-reconciler
Pod が起動して実行されている。
手順
次のコマンドを実行して、IP リコンサイラー用の特定の cron 式を使用し、
openshift-multus
namespace にwhereabouts-config
という名前のConfigMap
オブジェクトを作成します。$ oc create configmap whereabouts-config -n openshift-multus --from-literal=reconciler_cron_expression="*/15 * * * *"
この cron 式は、IP リコンサイラーを 15 分ごとに実行するよう指定します。この式は固有の要件に基づいて調整してください。
注記whereabouts-reconciler
デーモンセットは、5 つのアスタリスクを含む cron 式パターンのみを使用できます。秒を表すために使用される 6 番目のアスタリスクは、現在サポートされていません。次のコマンドを実行して、
openshift-multus
namespace 内のwhereabouts-reconciler
デーモンセットおよび Pod に関連するリソースに関する情報を取得します。$ oc get all -n openshift-multus | grep whereabouts-reconciler
出力例
pod/whereabouts-reconciler-2p7hw 1/1 Running 0 4m14s pod/whereabouts-reconciler-76jk7 1/1 Running 0 4m14s pod/whereabouts-reconciler-94zw6 1/1 Running 0 4m14s pod/whereabouts-reconciler-mfh68 1/1 Running 0 4m14s pod/whereabouts-reconciler-pgshz 1/1 Running 0 4m14s pod/whereabouts-reconciler-xn5xz 1/1 Running 0 4m14s daemonset.apps/whereabouts-reconciler 6 6 6 6 6 kubernetes.io/os=linux 4m16s
次のコマンドを実行して、設定した間隔で
whereabouts-reconciler
Pod が IP リコンサイラーを実行していることを確認します。$ oc -n openshift-multus logs whereabouts-reconciler-2p7hw
出力例
2024-02-02T16:33:54Z [debug] event not relevant: "/cron-schedule/..2024_02_02_16_33_54.1375928161": CREATE 2024-02-02T16:33:54Z [debug] event not relevant: "/cron-schedule/..2024_02_02_16_33_54.1375928161": CHMOD 2024-02-02T16:33:54Z [debug] event not relevant: "/cron-schedule/..data_tmp": RENAME 2024-02-02T16:33:54Z [verbose] using expression: */15 * * * * 2024-02-02T16:33:54Z [verbose] configuration updated to file "/cron-schedule/..data". New cron expression: */15 * * * * 2024-02-02T16:33:54Z [verbose] successfully updated CRON configuration id "00c2d1c9-631d-403f-bb86-73ad104a6817" - new cron expression: */15 * * * * 2024-02-02T16:33:54Z [debug] event not relevant: "/cron-schedule/config": CREATE 2024-02-02T16:33:54Z [debug] event not relevant: "/cron-schedule/..2024_02_02_16_26_17.3874177937": REMOVE 2024-02-02T16:45:00Z [verbose] starting reconciler run 2024-02-02T16:45:00Z [debug] NewReconcileLooper - inferred connection data 2024-02-02T16:45:00Z [debug] listing IP pools 2024-02-02T16:45:00Z [debug] no IP addresses to cleanup 2024-02-02T16:45:00Z [verbose] reconciler success
22.2.4.6. デュアルスタック IP アドレスを動的に割り当てる設定の作成
デュアルスタックの IP アドレスの割り当ては、ipRanges
パラメーターで設定できます。
- IPv4 アドレス
- IPv6 アドレス
- 複数の IP アドレスの割り当て
手順
-
type
をwhereabouts
に設定します。 以下の例のように、
ipRanges
を使用して IP アドレスを割り当てます。cniVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network =metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: whereabouts-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "whereabouts-dual-stack", "cniVersion": "0.3.1, "type": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts", "ipRanges": [ {"range": "192.168.10.0/24"}, {"range": "2001:db8::/64"} ] } }
- ネットワークを Pod にアタッチします。詳細は、「追加のネットワークへの Pod の追加」を参照してください。
- すべての IP アドレスが割り当てられていることを確認します。
以下のコマンドを実行して、IP アドレスがメタデータとして割り当てられることを確認します。
$ oc exec -it mypod -- ip a
関連情報
22.2.5. Cluster Network Operator による追加ネットワーク割り当ての作成
Cluster Network Operator (CNO) は追加ネットワークの定義を管理します。作成する追加のネットワークを指定すると、CNO によって NetworkAttachmentDefinition
CRD が自動的に作成されます。
Cluster Network Operator によって管理される NetworkAttachmentDefinition
CRD は編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
オプション: 追加のネットワークの namespace を作成します。
$ oc create namespace <namespace_name>
CNO 設定を編集するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc edit networks.operator.openshift.io cluster
以下のサンプル CR のように、作成される追加ネットワークの設定を追加して、作成している CR を変更します。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: # ... additionalNetworks: - name: tertiary-net namespace: namespace2 type: Raw rawCNIConfig: |- { "cniVersion": "0.3.1", "name": "tertiary-net", "type": "ipvlan", "master": "eth1", "mode": "l2", "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "192.168.1.23/24" } ] } }
- 変更を保存し、テキストエディターを終了して、変更をコミットします。
検証
次のコマンドを実行して、CNO が
NetworkAttachmentDefinition
CRD を作成したことを確認します。CNO が CRD を作成するまでに遅延が発生する可能性があります。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- CNO の設定に追加したネットワーク割り当ての namespace を指定します。
出力例
NAME AGE test-network-1 14m
22.2.6. YAML マニフェストを適用した追加のネットワーク割り当ての作成
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の例のように、追加のネットワーク設定を含む YAML ファイルを作成します。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1 kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: next-net spec: config: |- { "cniVersion": "0.3.1", "name": "work-network", "type": "host-device", "device": "eth1", "ipam": { "type": "dhcp" } }
追加のネットワークを作成するには、次のコマンドを入力します。
$ oc apply -f <file>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<file>
- YAML マニフェストを含むファイルの名前を指定します。
22.2.7. コンテナーネットワーク namespace での master インターフェイスの設定について
コンテナー namespace に存在する master
インターフェイスに基づいて、MAC-VLAN、IP-VLAN、または VLAN サブインターフェイスを作成できます。別のネットワークアタッチメント定義 CRD で、Pod ネットワーク設定の一部として master
インターフェイスを作成することもできます。
コンテナー namespace の master
インターフェイスを使用するには、NetworkAttachmentDefinition
CRD のサブインターフェイス設定に存在する linkInContainer
パラメーターに true
を指定する必要があります。
22.2.7.1. SR-IOV VF 上で複数の VLAN を作成する
この機能を利用するユースケースの例として、SR-IOV VF に基づいて複数の VLAN を作成することが挙げられます。これを行うには、まず SR-IOV ネットワークを作成し、次に VLAN インターフェイスのネットワーク割り当てを定義します。
次の例は、この図に示されているセットアップを設定する方法を示しています。
図22.1 VLAN の作成
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
手順
次のコマンドを使用して、Pod をデプロイする専用のコンテナー namespace を作成します。
$ oc new-project test-namespace
SR-IOV ノードポリシーを作成します。
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成してから、YAML をsriov-node-network-policy.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriovnic namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice isRdma: false needVhostNet: true nicSelector: vendor: "15b3" 1 deviceID: "101b" 2 rootDevices: ["00:05.0"] numVfs: 10 priority: 99 resourceName: sriovnic nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true"
注記deviceType: netdevice
を設定した SR-IOV ネットワークノードポリシーの設定例は、Mellanox ネットワークインターフェイスカード (NIC) 向けに特別に調整されています。以下のコマンドを実行して YAML を適用します。
$ oc apply -f sriov-node-network-policy.yaml
注記ノードの再起動が必要なため、YAML の適用には時間がかかる場合があります。
SR-IOV ネットワークを作成します。
次の CR の例のように、追加の SR-IOV ネットワーク割り当て用の
SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成します。YAML をsriov-network-attachment.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: sriov-network namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: test-namespace resourceName: sriovnic spoofChk: "off" trust: "on"
以下のコマンドを実行して YAML を適用します。
$ oc apply -f sriov-network-attachment.yaml
VLAN 追加ネットワークを作成します。
以下の YAML の例を使用して、
vlan100-additional-network-configuration.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1 kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: vlan-100 namespace: test-namespace spec: config: | { "cniVersion": "0.4.0", "name": "vlan-100", "plugins": [ { "type": "vlan", "master": "ext0", 1 "mtu": 1500, "vlanId": 100, "linkInContainer": true, 2 "ipam": {"type": "whereabouts", "ipRanges": [{"range": "1.1.1.0/24"}]} } ] }
以下のコマンドを実行して、YAML ファイルを適用します。
$ oc apply -f vlan100-additional-network-configuration.yaml
前に指定したネットワークを使用して、Pod 定義を作成します。
次の YAML の例を使用して、
pod-a.yaml
という名前のファイルを作成します。注記以下のマニフェストには 2 つのリソースが含まれています。
- セキュリティーラベルのある namespace
- 適切なネットワークアノテーションを含む Pod 定義
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: test-namespace labels: pod-security.kubernetes.io/enforce: privileged pod-security.kubernetes.io/audit: privileged pod-security.kubernetes.io/warn: privileged security.openshift.io/scc.podSecurityLabelSync: "false" --- apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: nginx-pod namespace: test-namespace annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "sriov-network", "namespace": "test-namespace", "interface": "ext0" 1 }, { "name": "vlan-100", "namespace": "test-namespace", "interface": "ext0.100" } ]' spec: securityContext: runAsNonRoot: true containers: - name: nginx-container image: nginxinc/nginx-unprivileged:latest securityContext: allowPrivilegeEscalation: false capabilities: drop: ["ALL"] ports: - containerPort: 80 seccompProfile: type: "RuntimeDefault"
- 1
- VLAN インターフェイスの
master
として使用される名前。
以下のコマンドを実行して、YAML ファイルを適用します。
$ oc apply -f pod-a.yaml
次のコマンドを実行して、
test-namespace
内のnginx-pod
に関する詳細情報を取得します。$ oc describe pods nginx-pod -n test-namespace
出力例
Name: nginx-pod Namespace: test-namespace Priority: 0 Node: worker-1/10.46.186.105 Start Time: Mon, 14 Aug 2023 16:23:13 -0400 Labels: <none> Annotations: k8s.ovn.org/pod-networks: {"default":{"ip_addresses":["10.131.0.26/23"],"mac_address":"0a:58:0a:83:00:1a","gateway_ips":["10.131.0.1"],"routes":[{"dest":"10.128.0.0... k8s.v1.cni.cncf.io/network-status: [{ "name": "ovn-kubernetes", "interface": "eth0", "ips": [ "10.131.0.26" ], "mac": "0a:58:0a:83:00:1a", "default": true, "dns": {} },{ "name": "test-namespace/sriov-network", "interface": "ext0", "mac": "6e:a7:5e:3f:49:1b", "dns": {}, "device-info": { "type": "pci", "version": "1.0.0", "pci": { "pci-address": "0000:d8:00.2" } } },{ "name": "test-namespace/vlan-100", "interface": "ext0.100", "ips": [ "1.1.1.1" ], "mac": "6e:a7:5e:3f:49:1b", "dns": {} }] k8s.v1.cni.cncf.io/networks: [ { "name": "sriov-network", "namespace": "test-namespace", "interface": "ext0" }, { "name": "vlan-100", "namespace": "test-namespace", "i... openshift.io/scc: privileged Status: Running IP: 10.131.0.26 IPs: IP: 10.131.0.26
22.2.7.2. コンテナー namespace のブリッジマスターインターフェイスをベースにしてサブインターフェイスを作成する
コンテナー namespace に存在するブリッジ master
インターフェイスに基づいてサブインターフェイスを作成できます。サブインターフェイスの作成は、他のタイプのインターフェイスに適用できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインしている。
手順
次のコマンドを入力して、Pod のデプロイ先となる専用のコンテナー namespace を作成します。
$ oc new-project test-namespace
次の YAML の例を使用して、
bridge-nad.yaml
という名前のブリッジNetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース定義 (CRD) ファイルを作成します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: bridge-network spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", "name": "bridge-network", "type": "bridge", "bridge": "br-001", "isGateway": true, "ipMasq": true, "hairpinMode": true, "ipam": { "type": "host-local", "subnet": "10.0.0.0/24", "routes": [{"dst": "0.0.0.0/0"}] } }'
次のコマンドを実行して、
NetworkAttachmentDefinition
CRD を OpenShift Container Platform クラスターに適用します。$ oc apply -f bridge-nad.yaml
次のコマンドを入力して、
NetworkAttachmentDefinition
CRD が正常に作成されたことを確認します。$ oc get network-attachment-definitions
出力例
NAME AGE bridge-network 15s
以下の YAML の例を使用して、追加の IPVLAN ネットワーク設定用に
ipvlan-additional-network-configuration.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1 kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: ipvlan-net namespace: test-namespace spec: config: '{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "ipvlan-net", "type": "ipvlan", "master": "ext0", 1 "mode": "l3", "linkInContainer": true, 2 "ipam": {"type": "whereabouts", "ipRanges": [{"range": "10.0.0.0/24"}]} }'
以下のコマンドを実行して、YAML ファイルを適用します。
$ oc apply -f ipvlan-additional-network-configuration.yaml
次のコマンドを実行して、
NetworkAttachmentDefinition
CRD が正常に作成されたことを確認します。$ oc get network-attachment-definitions
出力例
NAME AGE bridge-network 87s ipvlan-net 9s
以下の YAML の例を使用して、Pod 定義用に
pod-a.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: pod-a namespace: test-namespace annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "bridge-network", "interface": "ext0" 1 }, { "name": "ipvlan-net", "interface": "ext1" } ]' spec: securityContext: runAsNonRoot: true seccompProfile: type: RuntimeDefault containers: - name: test-pod image: quay.io/openshifttest/hello-sdn@sha256:c89445416459e7adea9a5a416b3365ed3d74f2491beb904d61dc8d1eb89a72a4 securityContext: allowPrivilegeEscalation: false capabilities: drop: [ALL]
- 1
- IPVLAN インターフェイスの
master
として使用する名前を指定します。
以下のコマンドを実行して、YAML ファイルを適用します。
$ oc apply -f pod-a.yaml
以下のコマンドを使用して、Pod が実行されていることを確認します。
$ oc get pod -n test-namespace
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE pod-a 1/1 Running 0 2m36s
次のコマンドを実行して、
test-namespace
内のpod-a
リソースに関するネットワークインターフェイス情報を表示します。$ oc exec -n test-namespace pod-a -- ip a
出力例
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 inet 127.0.0.1/8 scope host lo valid_lft forever preferred_lft forever inet6 ::1/128 scope host valid_lft forever preferred_lft forever 3: eth0@if105: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1400 qdisc noqueue state UP group default link/ether 0a:58:0a:d9:00:5d brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 inet 10.217.0.93/23 brd 10.217.1.255 scope global eth0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::488b:91ff:fe84:a94b/64 scope link valid_lft forever preferred_lft forever 4: ext0@if107: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default link/ether be:da:bd:7e:f4:37 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 inet 10.0.0.2/24 brd 10.0.0.255 scope global ext0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::bcda:bdff:fe7e:f437/64 scope link valid_lft forever preferred_lft forever 5: ext1@ext0: <BROADCAST,MULTICAST,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UNKNOWN group default link/ether be:da:bd:7e:f4:37 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 10.0.0.1/24 brd 10.0.0.255 scope global ext1 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::beda:bd00:17e:f437/64 scope link valid_lft forever preferred_lft forever
この出力は、ネットワークインターフェイス
ext1
が物理インターフェイスext0
に関連付けられていることを示しています。
22.3. 仮想ルーティングおよび転送について
22.3.1. 仮想ルーティングおよび転送について
Virtual Routing and Forwarding (VRF) デバイスと IP ルールを組み合わせることで、Virtual Routing and Forwarding ドメインを作成できます。VRF は、CNF で必要なパーミッションの数を減らし、セカンダリーネットワークのネットワークトポロジーの可視性を強化します。VRF はマルチテナンシー機能を提供するために使用されます。たとえば、この場合、各テナントには固有のルーティングテーブルがあり、異なるデフォルトゲートウェイが必要です。
プロセスは、ソケットを VRF デバイスにバインドできます。バインドされたソケット経由のパケットは、VRF デバイスに関連付けられたルーティングテーブルを使用します。VRF の重要な機能として、これは OSI モデルレイヤー 3 以上にのみ影響を与えるため、LLDP などの L2 ツールは影響を受けません。これにより、ポリシーベースのルーティングなどの優先度の高い IP ルールが、特定のトラフィックを転送する VRF デバイスルールよりも優先されます。
22.3.1.1. Telecommunications Operator に関する Pod のセカンダリーネットワークの利点
通信のユースケースでは、各 CNF が同じアドレス空間を共有する複数の異なるネットワークに接続される可能性があります。これらのセカンダリーネットワークは、クラスターのメインネットワーク CIDR と競合する可能性があります。CNI VRF プラグインを使用すると、ネットワーク機能は、同じ IP アドレスを使用して異なるユーザーのインフラストラクチャーに接続でき、複数の異なるお客様の分離された状態を維持します。IP アドレスは OpenShift Container Platform の IP スペースと重複します。CNI VRF プラグインは、CNF で必要なパーミッションの数も減らし、セカンダリーネットワークのネットワークトポロジーの可視性を高めます。
22.4. マルチネットワークポリシーの設定
クラスター管理者は、追加のネットワーク用にマルチネットワークを設定できます。SR-IOV、macvlan、および OVN-Kubernetes の追加ネットワークに対してマルチネットワークポリシーを指定できます。Macvlan 追加ネットワークは完全にサポートされています。ipvlan などの他の追加のネットワークタイプはサポートされていません。
SR-IOV 追加ネットワークのマルチネットワークポリシー設定のサポートはテクノロジープレビュー機能であり、カーネルネットワークインターフェイスカード (NIC) でのみサポートされます。SR-IOV は、データプレーン開発キット (DPDK) アプリケーションではサポートされていません。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
設定されたネットワークポリシーは、IPv6 ネットワークでは無視されます。
22.4.1. マルチネットワークポリシーとネットワークポリシーの違い
MultiNetworkPolicy
API は、NetworkPolicy
API を実装していますが、いくつかの重要な違いがあります。
以下の場合は、
MultiNetworkPolicy
API を使用する必要があります。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy
-
CLI を使用してマルチネットワークポリシーと対話する場合は、
multi-networkpolicy
リソース名を使用する必要があります。たとえば、oc get multi-networkpolicy <name>
コマンドを使用してマルチネットワークポリシーオブジェクトを表示できます。ここで、<name>
はマルチネットワークポリシーの名前になります。 macvlan または SR-IOV 追加ネットワークを定義するネットワーク割り当て定義の名前でアノテーションを指定する必要があります。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name>
ここでは、以下のようになります。
<network_name>
- ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。
22.4.2. クラスターのマルチネットワークポリシーの有効化
クラスター管理者は、クラスターでマルチネットワークポリシーのサポートを有効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
以下の YAML で
multinetwork-enable-patch.yaml
ファイルを作成します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: useMultiNetworkPolicy: true
マルチネットワークポリシーを有効にするようにクラスターを設定します。
$ oc patch network.operator.openshift.io cluster --type=merge --patch-file=multinetwork-enable-patch.yaml
出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched
22.4.3. マルチネットワークポリシーの使用
クラスター管理者は、マルチネットワークポリシーを作成、編集、表示、および削除することができます。
22.4.3.1. 前提条件
- クラスターのマルチネットワークポリシーサポートを有効にしている。
22.4.3.2. CLI を使用したマルチネットワークポリシーの作成
マルチネットワークポリシーを作成し、クラスターの namespace に許可される Ingress または Egress ネットワークトラフィックを記述する詳細なルールを定義することができます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが適用される namespace で作業していること。
手順
ポリシールールを作成します。
<policy_name>.yaml
ファイルを作成します。$ touch <policy_name>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- マルチネットワークポリシーのファイル名を指定します。
作成したばかりのファイルで、以下の例のようなマルチネットワークポリシーを定義します。
すべての namespace のすべての Pod から Ingress を拒否します。
これは基本的なポリシーであり、他のネットワークポリシーの設定によって許可されたクロス Pod トラフィック以外のすべてのクロス Pod ネットワーキングをブロックします。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: deny-by-default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for:<namespace_name>/<network_name> spec: podSelector: {} policyTypes: - Ingress ingress: []
ここでは、以下のようになります。
<network_name>
- ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。
同じ namespace のすべての Pod から Ingress を許可します。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: allow-same-namespace annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: podSelector: ingress: - from: - podSelector: {}
ここでは、以下のようになります。
<network_name>
- ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。
特定の namespace から 1 つの Pod への上りトラフィックを許可する
このポリシーは、
namespace-y
で実行されている Pod からpod-a
というラベルの付いた Pod へのトラフィックを許可します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: allow-traffic-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: podSelector: matchLabels: pod: pod-a policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: namespace-y
ここでは、以下のようになります。
<network_name>
- ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。
サービスへのトラフィックを制限する
このポリシーを適用すると、
app=bookstore
とrole=api
の両方のラベルを持つすべての Pod に、app=bookstore
というラベルを持つ Pod のみがアクセスできるようになります。この例では、アプリケーションは、ラベルapp=bookstore
およびrole=api
でマークされた REST API サーバーである可能性があります。この例では、次のユースケースに対応します。
- サービスへのトラフィックを、それを使用する必要がある他のマイクロサービスのみに制限します。
データベースへの接続を制限して、それを使用するアプリケーションのみを許可します。
apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: api-allow annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: podSelector: matchLabels: app: bookstore role: api ingress: - from: - podSelector: matchLabels: app: bookstore
ここでは、以下のようになります。
<network_name>
- ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。
マルチネットワークポリシーオブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc apply -f <policy_name>.yaml -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- マルチネットワークポリシーのファイル名を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/deny-by-default created
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールのフォームから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接作成できます。
22.4.3.3. マルチネットワークポリシーの編集
namespace のマルチネットワークポリシーを編集できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
オプション: namespace のマルチネットワークポリシーオブジェクトをリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get multi-networkpolicy
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
マルチネットワークポリシーオブジェクトを編集します。
マルチネットワークポリシーの定義をファイルに保存した場合は、ファイルを編集して必要な変更を加えてから、以下のコマンドを入力します。
$ oc apply -n <namespace> -f <policy_file>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
<policy_file>
- ネットワークポリシーを含むファイルの名前を指定します。
マルチネットワークポリシーオブジェクトを直接更新する必要がある場合、以下のコマンドを入力できます。
$ oc edit multi-networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- ネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
マルチネットワークポリシーオブジェクトが更新されていることを確認します。
$ oc describe multi-networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- マルチネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールの Actions メニューのポリシーから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接編集できます。
22.4.3.4. CLI を使用したマルチネットワークポリシーの表示
namespace のマルチネットワークポリシーを検査できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
namespace のマルチネットワークポリシーをリスト表示します。
namespace で定義されたマルチネットワークポリシーオブジェクトを表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get multi-networkpolicy
オプション: 特定のマルチネットワークポリシーを検査するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe multi-networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- 検査するマルチネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールのフォームから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接表示できます。
22.4.3.5. CLI を使用したマルチネットワークポリシーの削除
namespace のマルチネットワークポリシーを削除できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが存在する namespace で作業している。
手順
マルチネットワークポリシーオブジェクトを削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc delete multi-networkpolicy <policy_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
<policy_name>
- マルチネットワークポリシーの名前を指定します。
<namespace>
- オプション: オブジェクトが現在の namespace 以外の namespace に定義されている場合は namespace を指定します。
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/default-deny deleted
cluster-admin
権限で Web コンソールにログインする場合、YAML で、または Web コンソールの Actions メニューのポリシーから、クラスターの任意の namespace でネットワークポリシーを直接削除できます。
22.4.3.6. デフォルトのすべてのマルチネットワーク拒否ポリシーの作成
これは基本的なポリシーであり、他のデプロイメントされたネットワークポリシーの設定によって許可されたネットワークトラフィック以外のすべてのクロス Pod ネットワークをブロックします。この手順では、デフォルトの deny-by-default
ポリシーを適用します。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが適用される namespace で作業していること。
手順
すべての namespace におけるすべての Pod からの Ingress を拒否する
deny-by-default
ポリシーを定義する次の YAML を作成します。YAML をdeny-by-default.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: deny-by-default namespace: default 1 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <namespace_name>/<network_name> 2 spec: podSelector: {} 3 policyTypes: 4 - Ingress 5 ingress: [] 6
- 1
namespace: default
は、このポリシーをdefault
namespace にデプロイします。- 2
network_name
: ネットワーク割り当て定義の名前を指定します。- 3
podSelector:
は空です。これは、すべての Pod に一致することを意味します。したがって、ポリシーはデフォルト namespace のすべての Pod に適用されます。- 4
policyTypes:
NetworkPolicy
が関連するルールタイプのリスト。- 5
Ingress
のみのpolicyType
として指定します。- 6
- 指定された
ingress
ルールはありません。これにより、着信トラフィックがすべての Pod にドロップされます。
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f deny-by-default.yaml
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/deny-by-default created
22.4.3.7. 外部クライアントからのトラフィックを許可するマルチネットワークポリシーの作成
deny-by-default
ポリシーを設定すると、外部クライアントからラベル app=web
を持つ Pod へのトラフィックを許可するポリシーの設定に進むことができます。
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
この手順に従って、パブリックインターネットから直接、またはロードバランサーを使用して Pod にアクセスすることにより、外部サービスを許可するポリシーを設定します。トラフィックは、ラベル app=web
を持つ Pod にのみ許可されます。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが適用される namespace で作業していること。
手順
パブリックインターネットからのトラフィックが直接、またはロードバランサーを使用して Pod にアクセスできるようにするポリシーを作成します。YAML を
web-allow-external.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: web-allow-external namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: policyTypes: - Ingress podSelector: matchLabels: app: web ingress: - {}
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-external.yaml
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/web-allow-external created
このポリシーは、次の図に示すように、外部トラフィックを含むすべてのリソースからのトラフィックを許可します。
22.4.3.8. すべての namespace からアプリケーションへのトラフィックを許可するマルチネットワークポリシーの作成
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
この手順に従って、すべての namespace 内のすべての Pod から特定のアプリケーションへのトラフィックを許可するポリシーを設定します。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが適用される namespace で作業していること。
手順
すべての namespace のすべての Pod から特定のアプリケーションへのトラフィックを許可するポリシーを作成します。YAML を
web-allow-all-namespaces.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: web-allow-all-namespaces namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: podSelector: matchLabels: app: web 1 policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: {} 2
注記デフォルトでは、
namespaceSelector
の指定を省略した場合、namespace は選択されません。つまり、ポリシーは、ネットワークポリシーがデプロイされている namespace からのトラフィックのみを許可します。次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-all-namespaces.yaml
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/web-allow-all-namespaces created
検証
次のコマンドを入力して、
default
namespace で Web サービスを開始します。$ oc run web --namespace=default --image=nginx --labels="app=web" --expose --port=80
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをsecondary
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=secondary --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストが許可されていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Welcome to nginx!</title> <style> html { color-scheme: light dark; } body { width: 35em; margin: 0 auto; font-family: Tahoma, Verdana, Arial, sans-serif; } </style> </head> <body> <h1>Welcome to nginx!</h1> <p>If you see this page, the nginx web server is successfully installed and working. Further configuration is required.</p> <p>For online documentation and support please refer to <a href="http://nginx.org/">nginx.org</a>.<br/> Commercial support is available at <a href="http://nginx.com/">nginx.com</a>.</p> <p><em>Thank you for using nginx.</em></p> </body> </html>
22.4.3.9. namespace からアプリケーションへのトラフィックを許可するマルチネットワークポリシーの作成
cluster-admin
ロールを持つユーザーでログインしている場合、クラスター内の任意の namespace でネットワークポリシーを作成できます。
特定の namespace からラベル app=web
を持つ Pod へのトラフィックを許可するポリシーを設定するには、次の手順に従います。以下の場合にこれを行うことができます。
- 運用データベースへのトラフィックを、運用ワークロードがデプロイされている namespace のみに制限します。
- 特定の namespace にデプロイされた監視ツールを有効にして、現在の namespace からメトリクスをスクレイピングします。
前提条件
-
クラスターが、
NetworkPolicy
オブジェクトをサポートするネットワークプラグイン (mode: NetworkPolicy
が設定された OVN-Kubernetes ネットワークプラグインまたは OpenShift SDN ネットワークプラグインなど) を使用している。このモードは OpenShift SDN のデフォルトです。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - マルチネットワークポリシーが適用される namespace で作業していること。
手順
ラベルが
purpose=production
の特定の namespace 内にあるすべての Pod からのトラフィックを許可するポリシーを作成します。YAML をweb-allow-prod.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: k8s.cni.cncf.io/v1beta1 kind: MultiNetworkPolicy metadata: name: web-allow-prod namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/policy-for: <network_name> spec: podSelector: matchLabels: app: web 1 policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: purpose: production 2
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-prod.yaml
出力例
multinetworkpolicy.k8s.cni.cncf.io/web-allow-prod created
検証
次のコマンドを入力して、
default
namespace で Web サービスを開始します。$ oc run web --namespace=default --image=nginx --labels="app=web" --expose --port=80
次のコマンドを実行して、
prod
namespace を作成します。$ oc create namespace prod
次のコマンドを実行して、
prod
namespace にラベルを付けます。$ oc label namespace/prod purpose=production
次のコマンドを実行して、
dev
namespace を作成します。$ oc create namespace dev
次のコマンドを実行して、
dev
namespace にラベルを付けます。$ oc label namespace/dev purpose=testing
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをdev
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=dev --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストがブロックされていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
wget: download timed out
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをprod
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-$RANDOM --namespace=prod --rm -i -t --image=alpine -- sh
シェルで次のコマンドを実行し、リクエストが許可されていることを確認します。
# wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Welcome to nginx!</title> <style> html { color-scheme: light dark; } body { width: 35em; margin: 0 auto; font-family: Tahoma, Verdana, Arial, sans-serif; } </style> </head> <body> <h1>Welcome to nginx!</h1> <p>If you see this page, the nginx web server is successfully installed and working. Further configuration is required.</p> <p>For online documentation and support please refer to <a href="http://nginx.org/">nginx.org</a>.<br/> Commercial support is available at <a href="http://nginx.com/">nginx.com</a>.</p> <p><em>Thank you for using nginx.</em></p> </body> </html>
22.4.4. 関連情報
22.5. Pod の追加のネットワークへの割り当て
クラスターユーザーとして、Pod を追加のネットワークに割り当てることができます。
22.5.1. Pod の追加ネットワークへの追加
Pod を追加のネットワークに追加できます。Pod は、デフォルトネットワークで通常のクラスター関連のネットワークトラフィックを継続的に送信します。
Pod が作成されると、追加のネットワークが割り当てられます。ただし、Pod がすでに存在する場合は、追加のネットワークをこれに割り当てることはできません。
Pod が追加ネットワークと同じ namespace にあること。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスターにログインする。
手順
アノテーションを
Pod
オブジェクトに追加します。以下のアノテーション形式のいずれかのみを使用できます。カスタマイズせずに追加ネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
<network>
を、Pod に関連付ける追加ネットワークの名前に置き換えます。metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: <network>[,<network>,...] 1
- 1
- 複数の追加ネットワークを指定するには、各ネットワークをコンマで区切ります。コンマの間にはスペースを入れないでください。同じ追加ネットワークを複数回指定した場合、Pod は複数のネットワークインターフェイスをそのネットワークに割り当てます。
カスタマイズして追加のネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "<network>", 1 "namespace": "<namespace>", 2 "default-route": ["<default-route>"] 3 } ]
Pod を作成するには、以下のコマンドを入力します。
<name>
を Pod の名前に置き換えます。$ oc create -f <name>.yaml
オプション: アノテーションが
Pod
CR に存在することを確認するには、<name>
を Pod の名前に置き換えて、以下のコマンドを入力します。$ oc get pod <name> -o yaml
以下の例では、
example-pod
Pod が追加ネットワークのnet1
に割り当てられています。$ oc get pod example-pod -o yaml apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: macvlan-bridge k8s.v1.cni.cncf.io/network-status: |- 1 [{ "name": "openshift-sdn", "interface": "eth0", "ips": [ "10.128.2.14" ], "default": true, "dns": {} },{ "name": "macvlan-bridge", "interface": "net1", "ips": [ "20.2.2.100" ], "mac": "22:2f:60:a5:f8:00", "dns": {} }] name: example-pod namespace: default spec: ... status: ...
- 1
k8s.v1.cni.cncf.io/network-status
パラメーターは、オブジェクトの JSON 配列です。各オブジェクトは、Pod に割り当てられる追加のネットワークのステータスを説明します。アノテーションの値はプレーンテキストの値として保存されます。
22.5.1.1. Pod 固有のアドレスおよびルーティングオプションの指定
Pod を追加のネットワークに割り当てる場合、特定の Pod でそのネットワークに関するその他のプロパティーを指定する必要がある場合があります。これにより、ルーティングの一部を変更することができ、静的 IP アドレスおよび MAC アドレスを指定できます。これを実行するには、JSON 形式のアノテーションを使用できます。
前提条件
- Pod が追加ネットワークと同じ namespace にあること。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスターにログインすること。
手順
アドレスおよび/またはルーティングオプションを指定する間に Pod を追加のネットワークに追加するには、以下の手順を実行します。
Pod
リソース定義を編集します。既存のPod
リソースを編集する場合は、以下のコマンドを実行してデフォルトエディターでその定義を編集します。<name>
を、編集するPod
リソースの名前に置き換えます。$ oc edit pod <name>
Pod
リソース定義で、k8s.v1.cni.cncf.io/networks
パラメーターを Pod のmetadata
マッピングに追加します。k8s.v1.cni.cncf.io/networks
は、追加のプロパティーを指定するだけでなく、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) 名を参照するオブジェクトリストの JSON 文字列を受け入れます。metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[<network>[,<network>,...]]' 1
- 1
<network>
を、以下の例にあるように JSON オブジェクトに置き換えます。一重引用符が必要です。
以下の例では、アノテーションで
default-route
パラメーターを使用して、デフォルトルートを持つネットワーク割り当てを指定します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: example-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "net1" }, { "name": "net2", 1 "default-route": ["192.0.2.1"] 2 }]' spec: containers: - name: example-pod command: ["/bin/bash", "-c", "sleep 2000000000000"] image: centos/tools
デフォルトのルートにより、他のルートに指定されていないトラフィックがゲートウェイにルーティングされます。
OpenShift Container Platform のデフォルトのネットワークインターフェイス以外のインターフェイスへのデフォルトのルートを設定すると、Pod 間のトラフィックに予想されるトラフィックが別のインターフェイスでルーティングされる可能性があります。
Pod のルーティングプロパティーを確認する場合、oc
コマンドを Pod 内で ip
コマンドを実行するために使用できます。
$ oc exec -it <pod_name> -- ip route
また、Pod の k8s.v1.cni.cncf.io/network-status
を参照して、JSON 形式の一覧のオブジェクトで default-route
キーの有無を確認し、デフォルトルートが割り当てられている追加ネットワークを確認することができます。
Pod に静的 IP アドレスまたは MAC アドレスを設定するには、JSON 形式のアノテーションを使用できます。これには、この機能をとくに許可するネットワークを作成する必要があります。これは、CNO の rawCNIConfig で指定できます。
以下のコマンドを実行して CNO CR を編集します。
$ oc edit networks.operator.openshift.io cluster
以下の YAML は、CNO の設定パラメーターを説明しています。
Cluster Network Operator YAML の設定
name: <name> 1 namespace: <namespace> 2 rawCNIConfig: '{ 3 ... }' type: Raw
以下のオブジェクトは、macvlan CNI プラグインを使用して静的 MAC アドレスと IP アドレスを使用するための設定パラメーターを説明しています。
静的 IP および MAC アドレスを使用した macvlan CNI プラグイン JSON 設定オブジェクト
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "<name>", 1 "plugins": [{ 2 "type": "macvlan", "capabilities": { "ips": true }, 3 "master": "eth0", 4 "mode": "bridge", "ipam": { "type": "static" } }, { "capabilities": { "mac": true }, 5 "type": "tuning" }] }
上記のネットワーク割り当ては、特定の Pod に割り当てられる静的 IP アドレスと MAC アドレスを指定するキーと共に、JSON 形式のアノテーションで参照できます。
以下を使用して Pod を編集します。
$ oc edit pod <name>
静的 IP および MAC アドレスを使用した macvlan CNI プラグイン JSON 設定オブジェクト
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: example-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "<name>", 1 "ips": [ "192.0.2.205/24" ], 2 "mac": "CA:FE:C0:FF:EE:00" 3 } ]'
静的 IP アドレスおよび MAC アドレスを同時に使用することはできません。これらは個別に使用することも、一緒に使用することもできます。
追加のネットワークを持つ Pod の IP アドレスと MAC プロパティーを検証するには、oc
コマンドを使用して Pod 内で ip コマンドを実行します。
$ oc exec -it <pod_name> -- ip a
22.6. 追加ネットワークからの Pod の削除
クラスターユーザーとして、追加のネットワークから Pod を削除できます。
22.6.1. 追加ネットワークからの Pod の削除
Pod を削除するだけで、追加のネットワークから Pod を削除できます。
前提条件
- 追加のネットワークが Pod に割り当てられている。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスターにログインする。
手順
Pod を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc delete pod <name> -n <namespace>
-
<name>
は Pod の名前です。 -
<namespace>
は Pod が含まれる namespace です。
-
22.7. 追加ネットワークの編集
クラスター管理者は、既存の追加ネットワークの設定を変更することができます。
22.7.1. 追加ネットワーク割り当て定義の変更
クラスター管理者は、既存の追加ネットワークに変更を加えることができます。追加ネットワークに割り当てられる既存の Pod は更新されません。
前提条件
- クラスター用に追加のネットワークを設定している。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
クラスターの追加ネットワークを編集するには、以下の手順を実行します。
以下のコマンドを実行し、デフォルトのテキストエディターで Cluster Network Operator (CNO) CR を編集します。
$ oc edit networks.operator.openshift.io cluster
-
additionalNetworks
コレクションで、追加ネットワークを変更内容で更新します。 - 変更を保存し、テキストエディターを終了して、変更をコミットします。
オプション: 以下のコマンドを実行して、CNO が
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを更新していることを確認します。<network-name>
を表示する追加ネットワークの名前に置き換えます。CNO がNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを更新して変更内容が反映されるまでに遅延が生じる可能性があります。$ oc get network-attachment-definitions <network-name> -o yaml
たとえば、以下のコンソールの出力は
net1
という名前のNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを表示します。$ oc get network-attachment-definitions net1 -o go-template='{{printf "%s\n" .spec.config}}' { "cniVersion": "0.3.1", "type": "macvlan", "master": "ens5", "mode": "bridge", "ipam": {"type":"static","routes":[{"dst":"0.0.0.0/0","gw":"10.128.2.1"}],"addresses":[{"address":"10.128.2.100/23","gateway":"10.128.2.1"}],"dns":{"nameservers":["172.30.0.10"],"domain":"us-west-2.compute.internal","search":["us-west-2.compute.internal"]}} }
22.8. 追加ネットワークの削除
クラスター管理者は、追加のネットワーク割り当てを削除できます。
22.8.1. 追加ネットワーク割り当て定義の削除
クラスター管理者は、追加ネットワークを OpenShift Container Platform クラスターから削除できます。追加ネットワークは、割り当てられている Pod から削除されません。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
クラスターから追加ネットワークを削除するには、以下の手順を実行します。
以下のコマンドを実行して、デフォルトのテキストエディターで Cluster Network Operator (CNO) を編集します。
$ oc edit networks.operator.openshift.io cluster
削除しているネットワーク割り当て定義の
additionalNetworks
コレクションから設定を削除し、CR を変更します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: [] 1
- 1
additionalNetworks
コレクションの追加ネットワーク割り当てのみの設定マッピングを削除する場合、空のコレクションを指定する必要があります。
- 変更を保存し、テキストエディターを終了して、変更をコミットします。
オプション: 以下のコマンドを実行して、追加ネットワーク CR が削除されていることを確認します。
$ oc get network-attachment-definition --all-namespaces
22.9. VRF へのセカンダリーネットワークの割り当て
クラスター管理者は、CNI VRF プラグインを使用して、Virtual Routing and Forwarding (VRF) ドメインの追加ネットワークを設定できます。このプラグインが作成する仮想ネットワークは、指定した物理インターフェイスに関連付けられます。
VRF インスタンスでセカンダリーネットワークを使用すると、次の利点があります。
- ワークロードの分離
- 追加のネットワークの VRF インスタンスを設定して、ワークロードトラフィックを分離します。
- セキュリティーの向上
- VRF ドメイン内の分離されたネットワークパスを通じて、セキュリティーを向上させます。
- マルチテナンシーのサポート
- 各テナントの VRF ドメイン内で、一意のルーティングテーブルを使用したネットワークセグメンテーションを通じて、マルチテナントをサポートします。
VRF を使用するアプリケーションは、特定のデバイスに対してバインドする必要があります。一般的な使用方法として、ソケットに SO_BINDTODEVICE
オプションを使用できます。SO_BINDTODEVICE
オプションは、渡されたインターフェイス名 (例: eth1
) で指定されたデバイスにソケットをバインドします。SO_BINDTODEVICE
オプションを使用するには、アプリケーションに CAP_NET_RAW
機能が必要です。
ip vrf exec
コマンドを使用した VRF の使用は、OpenShift Container Platform Pod ではサポートされません。VRF を使用するには、アプリケーションを VRF インターフェイスに直接バインドします。
22.9.1. CNI VRF プラグインを使用した追加のネットワーク割り当ての作成
Cluster Network Operator (CNO) は追加ネットワークの定義を管理します。作成する追加ネットワークを指定する場合、CNO は NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
Cluster Network Operator が管理する NetworkAttachmentDefinition
CR は編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
CNI VRF プラグインで追加のネットワーク割り当てを作成するには、以下の手順を実行します。
前提条件
- OpenShift Container Platform CLI (oc) をインストールします。
- cluster-admin 権限を持つユーザーとして OpenShift クラスターにログインします。
手順
以下のサンプル CR のように、追加のネットワーク割り当て用の
Network
カスタムリソース (CR) を作成し、追加ネットワークのrawCNIConfig
設定を挿入します。YAML をadditional-network-attachment.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: test-network-1 namespace: additional-network-1 type: Raw rawCNIConfig: '{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "macvlan-vrf", "plugins": [ 1 { "type": "macvlan", "master": "eth1", "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.23/24" } ] } }, { "type": "vrf", 2 "vrfname": "vrf-1", 3 "table": 1001 4 }] }'
- 1
plugins
は一覧である必要があります。リストの最初の項目は、VRF ネットワークのベースとなるセカンダリーネットワークである必要があります。一覧の 2 つ目の項目は、VRF プラグイン設定です。- 2
type
はvrf
に設定する必要があります。- 3
vrfname
は、インターフェイスが割り当てられた VRF の名前です。これが Pod に存在しない場合は作成されます。- 4
- 任意。
table
はルーティングテーブル ID です。デフォルトで、tableid
パラメーターが使用されます。これが指定されていない場合、CNI は空のルーティングテーブル ID を VRF に割り当てます。
注記VRF は、リソースが
netdevice
タイプの場合にのみ正常に機能します。Network
リソースを作成します。$ oc create -f additional-network-attachment.yaml
以下のコマンドを実行して、CNO が
NetworkAttachmentDefinition
CR を作成していることを確認します。<namespace>
を、ネットワーク割り当ての設定時に指定した namespace に置き換えます (例:additional-network-1
)。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace>
出力例
NAME AGE additional-network-1 14m
注記CNO が CR を作成するまでに遅延が生じる可能性があります。
検証
Pod を作成し、VRF インスタンスを使用して追加のネットワークに割り当てます。
Pod
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。pod-additional-net.yam
ファイルの例apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: pod-additional-net annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "test-network-1" 1 } ]' spec: containers: - name: example-pod-1 command: ["/bin/bash", "-c", "sleep 9000000"] image: centos:8
- 1
- VRF インスタンスを使用する追加ネットワークの名前を指定します。
次のコマンドを実行して、
Pod
リソースを作成します。$ oc create -f pod-additional-net.yaml
出力例
pod/test-pod created
Pod のネットワーク割り当てが VRF の追加ネットワークに接続されていることを確認します。Pod とのリモートセッションを開始し、次のコマンドを実行します。
$ ip vrf show
出力例
Name Table ----------------------- vrf-1 1001
VRF インターフェイスが追加インターフェイスのコントローラーであることを確認します。
$ ip link
出力例
5: net1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue master red state UP mode
第23章 ハードウェアネットワーク
23.1. Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ハードウェアネットワークについて
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) 仕様は、単一デバイスを複数の Pod で共有できる PCI デバイス割り当てタイプの標準です。
SR-IOV を使用すると、準拠したネットワークデバイス (ホストノードで物理機能 (PF) として認識される) を複数の Virtual Function (VF) にセグメント化することができます。VF は他のネットワークデバイスと同様に使用されます。デバイスの SR-IOV ネットワークデバイスドライバーは、VF がコンテナーで公開される方法を判別します。
-
netdevice
ドライバー: コンテナーのnetns
内の通常のカーネルネットワークデバイス -
vfio-pci
ドライバー: コンテナーにマウントされるキャラクターデバイス
SR-IOV ネットワークデバイスは、ベアメタルまたは Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) インフラ上にインストールされた OpenShift Container Platform クラスターにネットワークを追加して、高帯域または低遅延を確保する必要のあるアプリケーションに使用できます。
SR-IOV ネットワークのマルチネットワークポリシーを設定できます。これのサポートはテクノロジープレビューであり、SR-IOV 追加ネットワークはカーネル NIC でのみサポートされます。データプレーン開発キット (DPDK) アプリケーションではサポートされていません。
SR-IOV ネットワークでマルチネットワークポリシーを作成しても、マルチネットワークポリシーが設定されていない SR-IOV ネットワークと比較して、アプリケーションに同じパフォーマンスが提供されない場合があります。
SR-IOV ネットワークのマルチネットワークポリシーは、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
次のコマンドを使用して、ノードで SR-IOV を有効にできます。
$ oc label node <node_name> feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable="true"
23.1.1. SR-IOV ネットワークデバイスを管理するコンポーネント
SR-IOV Network Operator は SR-IOV スタックのコンポーネントを作成し、管理します。以下の機能を実行します。
- SR-IOV ネットワークデバイスの検出および管理のオーケストレーション
-
SR-IOV Container Network Interface (CNI) の
NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースの生成 - SR-IOV ネットワークデバイスプラグインの設定の作成および更新
-
ノード固有の
SriovNetworkNodeState
カスタムリソースの作成 -
各
SriovNetworkNodeState
カスタムリソースのspec.interfaces
フィールドの更新
Operator は以下のコンポーネントをプロビジョニングします。
- SR-IOV ネットワーク設定デーモン
- SR-IOV Network Operator の起動時にワーカーノードにデプロイされるデーモンセット。デーモンは、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、初期化します。
- SR-IOV Network Operator Webhook
- Operator カスタムリソースを検証し、未設定フィールドに適切なデフォルト値を設定する動的受付コントローラー Webhook。
- SR-IOV Network Resources Injector
-
SR-IOV VF などのカスタムネットワークリソースの要求および制限のある Kubernetes Pod 仕様のパッチを適用するための機能を提供する動的受付コントローラー Webhook。SR-IOV ネットワークリソースインジェクターは、Pod 内の最初のコンテナーのみに
resource
フィールドを自動的に追加します。 - SR-IOV ネットワークデバイスプラグイン
- SR-IOV ネットワーク Virtual Function (VF) リソースの検出、公開、割り当てを実行するデバイスプラグイン。デバイスプラグインは、とりわけ物理デバイスでの制限されたリソースの使用を有効にするために Kubernetes で使用されます。デバイスプラグインは Kubernetes スケジューラーにリソースの可用性を認識させるため、スケジューラーはリソースが十分にあるノードで Pod をスケジュールできます。
- SR-IOV CNI プラグイン
- SR-IOV ネットワークデバイスプラグインから割り当てられる VF インターフェイスを直接 Pod に割り当てる CNI プラグイン。
- SR-IOV InfiniBand CNI プラグイン
- SR-IOV ネットワークデバイスプラグインから割り当てられる InfiniBand (IB) VF インターフェイスを直接 Pod に割り当てる CNI プラグイン。
SR-IOV Network Resources Injector および SR-IOV Network Operator Webhook は、デフォルトで有効にされ、default
の SriovOperatorConfig
CR を編集して無効にできます。SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook を無効にする場合は注意してください。トラブルシューティングなどの特定の状況下や、サポートされていないデバイスを使用する場合は、Webhook を無効にすることができます。
23.1.1.1. サポート対象のプラットフォーム
SR-IOV Network Operator は、以下のプラットフォームに対応しています。
- ベアメタル
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)
23.1.1.2. サポートされるデバイス
以下のネットワークインターフェイスコントローラーは、OpenShift Container Platform でサポートされています。
製造元 | モデル | ベンダー ID | デバイス ID |
---|---|---|---|
Broadcom | BCM57414 | 14e4 | 16d7 |
Broadcom | BCM57508 | 14e4 | 1750 |
Broadcom | BCM57504 | 14e4 | 1751 |
Intel | X710 | 8086 | 1572 |
Intel | X710 Backplane | 8086 | 1581 |
Intel | X710 Base T | 8086 | 15ff |
Intel | XL710 | 8086 | 1583 |
Intel | XXV710 | 8086 | 158b |
Intel | E810-CQDA2 | 8086 | 1592 |
Intel | E810-2CQDA2 | 8086 | 1592 |
Intel | E810-XXVDA2 | 8086 | 159b |
Intel | E810-XXVDA4 | 8086 | 1593 |
Intel | E810-XXVDA4T | 8086 | 1593 |
Mellanox | MT27700 Family [ConnectX‑4] | 15b3 | 1013 |
Mellanox | MT27710 Family [ConnectX‑4 Lx] | 15b3 | 1015 |
Mellanox | MT27800 Family [ConnectX‑5] | 15b3 | 1017 |
Mellanox | MT28880 Family [ConnectX‑5 Ex] | 15b3 | 1019 |
Mellanox | MT28908 Family [ConnectX‑6] | 15b3 | 101b |
Mellanox | MT2892 Family [ConnectX-6 Dx] | 15b3 | 101d |
Mellanox | MT2894 Family [ConnectX‑6 Lx] | 15b3 | 101f |
Mellanox | ConnectX-6 NIC モードの MT42822 BlueField-2 | 15b3 | a2d6 |
Pensando [1] | ionic ドライバー用 DSC-25 デュアルポート 25G 分散サービスカード | 0x1dd8 | 0x1002 |
Pensando [1] | ionic ドライバー用 DSC-100 デュアルポート 100G 分散サービスカード | 0x1dd8 | 0x1003 |
Silicom | STS ファミリー | 8086 | 1591 |
- OpenShift SR-IOV はサポートされますが、SR-IOV を使用する際に SR-IOV CNI config ファイルを使用して静的な Virtual Function (VF) メディアアクセス制御 (MAC) アドレスを設定する必要があります。
サポートされているカードの最新リストおよび利用可能な互換性のある OpenShift Container Platform バージョンについては、Openshift Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) and PTP hardware networks Support Matrix を参照してください。
23.1.1.3. SR-IOV ネットワークデバイスの自動検出
SR-IOV Network Operator は、クラスターでワーカーノード上の SR-IOV 対応ネットワークデバイスを検索します。Operator は、互換性のある SR-IOV ネットワークデバイスを提供する各ワーカーノードの SriovNetworkNodeState カスタムリソース (CR) を作成し、更新します。
CR にはワーカーノードと同じ名前が割り当てられます。status.interfaces
リストは、ノード上のネットワークデバイスに関する情報を提供します。
SriovNetworkNodeState
オブジェクトは変更しないでください。Operator はこれらのリソースを自動的に作成し、管理します。
23.1.1.3.1. SriovNetworkNodeState オブジェクトの例
以下の YAML は、SR-IOV Network Operator によって作成される SriovNetworkNodeState
オブジェクトの例です。
SriovNetworkNodeState オブジェクト
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodeState metadata: name: node-25 1 namespace: openshift-sriov-network-operator ownerReferences: - apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 blockOwnerDeletion: true controller: true kind: SriovNetworkNodePolicy name: default spec: dpConfigVersion: "39824" status: interfaces: 2 - deviceID: "1017" driver: mlx5_core mtu: 1500 name: ens785f0 pciAddress: "0000:18:00.0" totalvfs: 8 vendor: 15b3 - deviceID: "1017" driver: mlx5_core mtu: 1500 name: ens785f1 pciAddress: "0000:18:00.1" totalvfs: 8 vendor: 15b3 - deviceID: 158b driver: i40e mtu: 1500 name: ens817f0 pciAddress: 0000:81:00.0 totalvfs: 64 vendor: "8086" - deviceID: 158b driver: i40e mtu: 1500 name: ens817f1 pciAddress: 0000:81:00.1 totalvfs: 64 vendor: "8086" - deviceID: 158b driver: i40e mtu: 1500 name: ens803f0 pciAddress: 0000:86:00.0 totalvfs: 64 vendor: "8086" syncStatus: Succeeded
23.1.1.4. Pod での Virtual Function の使用例
SR-IOV VF が割り当てられている Pod で、Remote Direct Memory Access (RDMA) または Data Plane Development Kit (DPDK) アプリケーションを実行できます。
以下の例では、RDMA モードで Virtual Function (VF) を使用する Pod を示しています。
RDMA モードを使用する Pod
仕様
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: rdma-app annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: sriov-rdma-mlnx spec: containers: - name: testpmd image: <RDMA_image> imagePullPolicy: IfNotPresent securityContext: runAsUser: 0 capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_RESOURCE","NET_RAW"] command: ["sleep", "infinity"]
以下の例は、DPDK モードの VF のある Pod を示しています。
DPDK モードを使用する Pod
仕様
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: dpdk-app annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: sriov-dpdk-net spec: containers: - name: testpmd image: <DPDK_image> securityContext: runAsUser: 0 capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_RESOURCE","NET_RAW"] volumeMounts: - mountPath: /dev/hugepages name: hugepage resources: limits: memory: "1Gi" cpu: "2" hugepages-1Gi: "4Gi" requests: memory: "1Gi" cpu: "2" hugepages-1Gi: "4Gi" command: ["sleep", "infinity"] volumes: - name: hugepage emptyDir: medium: HugePages
23.1.1.5. コンテナーアプリケーションで使用する DPDK ライブラリー
オプションライブラリー の app-netutil
は、その Pod 内で実行されるコンテナーから Pod に関するネットワーク情報を収集するための複数の API メソッドを提供します。
このライブラリーは、DPDK (Data Plane Development Kit) モードの SR-IOV Virtual Function (VF) のコンテナーへの統合を支援します。このライブラリーは Golang API と C API の両方を提供します。
現時点で 3 つの API メソッドが実装されています。
GetCPUInfo()
- この機能は、コンテナーで利用可能な CPU を判別し、リストを返します。
GetHugepages()
-
この機能は、各コンテナーの
Pod
仕様で要求される huge page メモリーの量を判別し、値を返します。 GetInterfaces()
- この機能は、コンテナーのインターフェイスセットを判別し、インターフェイスタイプとタイプ固有のデータと共にリストを返します。戻り値には、インターフェイスのタイプと、各インターフェイスのタイプ固有のデータが含まれます。
ライブラリーのリポジトリーには、コンテナーイメージ dpdk-app-centos
をビルドするためのサンプル Dockerfile が含まれます。コンテナーイメージは、Pod 仕様の環境変数に応じて、l2fwd
、l3wd
または testpmd
の DPDK サンプルアプリケーションのいずれかを実行できます。コンテナーイメージは、app-netutil
ライブラリーをコンテナーイメージ自体に統合する例を提供します。ライブラリーを init コンテナーに統合することもできます。init コンテナーは必要なデータを収集し、データを既存の DPDK ワークロードに渡すことができます。
23.1.1.6. Downward API の huge page リソースの挿入
Pod 仕様に huge page のリソース要求または制限が含まれる場合、Network Resources Injector は Downward API フィールドを Pod 仕様に自動的に追加し、huge page 情報をコンテナーに提供します。
Network Resources Injector は、podnetinfo
という名前のボリュームを追加し、Pod の各コンテナー用に /etc/podnetinfo
にマウントされます。ボリュームは Downward API を使用し、huge page の要求および制限に関するファイルを追加します。ファイルの命名規則は以下のとおりです。
-
/etc/podnetinfo/hugepages_1G_request_<container-name>
-
/etc/podnetinfo/hugepages_1G_limit_<container-name>
-
/etc/podnetinfo/hugepages_2M_request_<container-name>
-
/etc/podnetinfo/hugepages_2M_limit_<container-name>
直前のリストで指定されているパスは、app-netutil
ライブラリーと互換性があります。デフォルトで、ライブラリーは、/etc/podnetinfo
ディレクトリーのリソース情報を検索するように設定されます。Downward API パス項目を手動で指定する選択をする場合、app-netutil
ライブラリーは前述のリストのパスに加えて以下のパスを検索します。
-
/etc/podnetinfo/hugepages_request
-
/etc/podnetinfo/hugepages_limit
-
/etc/podnetinfo/hugepages_1G_request
-
/etc/podnetinfo/hugepages_1G_limit
-
/etc/podnetinfo/hugepages_2M_request
-
/etc/podnetinfo/hugepages_2M_limit
Network Resources Injector が作成できるパスと同様に、前述の一覧のパスの末尾にはオプションで _<container-name>
接尾辞を付けることができます。
23.1.2. 関連情報
23.1.3. 次のステップ
- SR-IOV Network Operator のインストール
- オプション: SR-IOV Network Operator の設定
- SR-IOV ネットワークデバイスの設定
- OpenShift Virtualization を使用する場合: 仮想マシンの SR-IOV ネットワークへの接続
- SR-IOV ネットワーク割り当ての設定
- Pod の SR-IOV の追加ネットワークへの追加
23.2. SR-IOV Network Operator のインストール
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator をクラスターにインストールし、SR-IOV ネットワークデバイスとネットワークの割り当てを管理できます。
23.2.1. SR-IOV Network Operator のインストール
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform CLI または Web コンソールを使用して、Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) Network Operator をインストールできます。
23.2.1.1. CLI: SR-IOV Network Operator のインストール
クラスター管理者は、CLI を使用して Operator をインストールできます。
前提条件
- SR-IOV に対応するハードウェアを持つノードでベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つアカウント。
手順
openshift-sriov-network-operator
namespace を作成するには、以下のコマンドを入力します。$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: openshift-sriov-network-operator annotations: workload.openshift.io/allowed: management EOF
OperatorGroup CR を作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: sriov-network-operators namespace: openshift-sriov-network-operator spec: targetNamespaces: - openshift-sriov-network-operator EOF
SR-IOV Network Operator の Subscription CR を作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ cat << EOF| oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: sriov-network-operator-subscription namespace: openshift-sriov-network-operator spec: channel: stable name: sriov-network-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace EOF
Operator がインストールされていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get csv -n openshift-sriov-network-operator \ -o custom-columns=Name:.metadata.name,Phase:.status.phase
出力例
Name Phase sriov-network-operator.4.14.0-202310121402 Succeeded
23.2.1.2. Web コンソール: SR-IOV Network Operator のインストール
クラスター管理者は、Web コンソールを使用して Operator をインストールできます。
前提条件
- SR-IOV に対応するハードウェアを持つノードでベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つアカウント。
手順
SR-IOV Network Operator をインストールします。
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub をクリックします。
- 利用可能な Operator の一覧から SR-IOV Network Operator を選択してから Install をクリックします。
- Install Operator ページの Installed Namespace で、Operator recommend Namespace を選択します。
- Install をクリックします。
SR-IOV Network Operator が正常にインストールされていることを確認します。
- Operators → Installed Operators ページに移動します。
Status が InstallSucceeded の状態で、SR-IOV Network Operator が openshift-sriov-network-operator プロジェクトにリスト表示されていることを確認します。
注記インストール時に、Operator は Failed ステータスを表示する可能性があります。インストールが後に InstallSucceeded メッセージを出して正常に実行される場合は、Failed メッセージを無視できます。
Operator がインストール済みとして表示されない場合に、さらにトラブルシューティングを実行します。
- Operator Subscriptions および Install Plans タブで、Status の下の失敗またはエラーの有無を確認します。
-
Workloads → Pods ページに移動し、
openshift-sriov-network-operator
プロジェクトで Pod のログを確認します。 YAML ファイルの namespace を確認してください。アノテーションが抜けている場合は、次のコマンドを使用して、アノテーション
workload.openshift.io/allowed=management
を Operator namespace に追加できます。$ oc annotate ns/openshift-sriov-network-operator workload.openshift.io/allowed=management
注記シングルノード OpenShift クラスターの場合は、namespace にアノテーション
workload.openshift.io/allowed=management
が必要です。
23.2.2. 次のステップ
- オプション: SR-IOV Network Operator の設定
23.3. SR-IOV Network Operator の設定
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator は、クラスターで SR-IOV ネットワークデバイスおよびネットワーク割り当てを管理します。
23.3.1. SR-IOV Network Operator の設定
通常、SR-IOV Network Operator 設定を変更する必要はありません。デフォルト設定は、ほとんどのユースケースで推奨されます。Operator のデフォルト動作がユースケースと互換性がない場合にのみ、関連する設定を変更する手順を実行します。
SR-IOV Network Operator は SriovOperatorConfig.sriovnetwork.openshift.io
CustomResourceDefinition リソースを追加します。Operator は、openshift-sriov-network-operator
namespace に default
という名前の SriovOperatorConfig カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
default
CR には、クラスターの SR-IOV Network Operator 設定が含まれます。Operator 設定を変更するには、この CR を変更する必要があります。
23.3.1.1. SR-IOV Network Operator config カスタムリソース
sriovoperatorconfig
カスタムリソースのフィールドは、以下の表で説明されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
SR-IOV Network Operator インスタンスの名前を指定します。デフォルト値は |
|
|
SR-IOV Network Operator インスタンスの namespace を指定します。デフォルト値は |
|
| 選択されたノードで SR-IOV Network Config Daemon のスケジューリングを制御するノードの選択オプションを指定します。デフォルトでは、このフィールドは設定されておらず、Operator はワーカーノードに SR-IOV Network Config デーモンセットを配置します。 |
|
|
新しいポリシーを適用してノードに NIC を設定する時に、ノードドレインプロセスを無効にするか、有効にするかを指定します。このフィールドを
シングルノードクラスターの場合は、Operator のインストール後にこのフィールドを |
|
|
Network Resources Injector デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは |
|
|
Operator Admission Controller の Webhook デーモンセットを有効にするか無効にするかを指定します。デフォルトでは、このフィールドは |
|
|
Operator のログの冗長度を指定します。 |
23.3.1.2. Network Resources Injector について
Network Resources Injector は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
- SR-IOV リソース名を SR-IOV ネットワーク割り当て定義アノテーションに従って追加するための、Pod 仕様でのリソース要求および制限の変更。
-
Pod のアノテーション、ラベル、および huge page の要求および制限を公開するための Downward API ボリュームでの Pod 仕様の変更。Pod で実行されるコンテナーは、公開される情報に
/etc/podnetinfo
パスでファイルとしてアクセスできます。
デフォルトで、Network Resources Injector は SR-IOV Network Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Network Resources Injector Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE network-resources-injector-5cz5p 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-dwqpx 1/1 Running 0 10m network-resources-injector-lktz5 1/1 Running 0 10m
23.3.1.3. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook について
SR-IOV Network Operator Admission Controller Webbook は Kubernetes Dynamic Admission Controller アプリケーションです。これは、以下の機能を提供します。
-
作成時または更新時の
SriovNetworkNodePolicy
CR の検証 -
CR の作成または更新時の
priority
およびdeviceType
フィールドのデフォルト値の設定によるSriovNetworkNodePolicy
CR の変更
デフォルトで、SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook は Operator によって有効にされ、すべてのコントロールプレーンノードでデーモンセットとして実行されます。
SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook を無効にする場合は注意してください。トラブルシューティングなどの特定の状況下や、サポートされていないデバイスを使用する場合は、Webhook を無効にすることができます。サポート対象外のデバイスの設定は、サポート対象外の NIC を使用するための SR-IOV Network Operator の設定 を参照してください。
以下は、3 つのコントロールプレーンノードを持つクラスターで実行される Operator Admission Controller Webhook Pod の例です。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE operator-webhook-9jkw6 1/1 Running 0 16m operator-webhook-kbr5p 1/1 Running 0 16m operator-webhook-rpfrl 1/1 Running 0 16m
23.3.1.4. カスタムノードセレクターについて
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
23.3.1.5. Network Resources Injector の無効化または有効化
デフォルトで有効にされている Network Resources Injector を無効にするか、有効にするには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
enableInjector
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効にするか、true
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default \ --type=merge -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableInjector": <value> } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: enableInjector: <value>
23.3.1.6. SR-IOV Network Operator Admission Controller Webhook の無効化または有効化
デフォルトで有効化されている受付コントローラー Webhook を無効化または有効化するには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
enableOperatorWebhook
フィールドを設定します。<value>
をfalse
に置き換えて機能を無効するか、true
に置き換えて機能を有効にします。$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "enableOperatorWebhook": <value> } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: enableOperatorWebhook: <value>
23.3.1.7. SR-IOV Network Config Daemon のカスタム NodeSelector の設定
SR-IOV Network Config デーモンは、クラスターノード上の SR-IOV ネットワークデバイスを検出し、設定します。デフォルトで、これはクラスター内のすべての worker
ノードにデプロイされます。ノードラベルを使用して、SR-IOV Network Config デーモンが実行するノードを指定できます。
SR-IOV Network Config デーモンがデプロイされるノードを指定するには、以下の手順を実行します。
configDaemonNodeSelector
フィールドを更新する際に、SR-IOV Network Config デーモンがそれぞれの選択されたノードに再作成されます。デーモンが再作成されている間、クラスターのユーザーは新規の SR-IOV Network ノードポリシーを適用したり、新規の SR-IOV Pod を作成したりできません。
手順
Operator のノードセレクターを更新するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=json \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '[{ "op": "replace", "path": "/spec/configDaemonNodeSelector", "value": {<node_label>} }]'
以下の例のように、
<node_label>
を適用するラベルに置き換えます:"node-role.kubernetes.io/worker": ""
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: configDaemonNodeSelector: <node_label>
23.3.1.8. 単一ノードのインストール用の SR-IOV Network Operator の設定
デフォルトでは、SR-IOV Network Operator は、ポリシーを変更するたびに、ノードからワークロードをドレイン (解放) します。Operator は、このアクションを実行して、再設定する前に Virtual Function を使用しているワークロードがないことを確認します。
1 つのノードにインストールする場合には、ワークロードを受信するノードは他にありません。そのため、Operator は、単一のノードからワークロードがドレインされないように設定する必要があります。
以下の手順を実行してワークロードのドレインを無効にした後に、SR-IOV ネットワークインターフェイスを使用しているワークロードを削除してから SR-IOV ネットワークノードのポリシーを変更する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされていること。
手順
disableDrain
フィールドをtrue
に設定するには、次のコマンドを入力します。$ oc patch sriovoperatorconfig default --type=merge \ -n openshift-sriov-network-operator \ --patch '{ "spec": { "disableDrain": true } }'
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を更新することもできます。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default namespace: openshift-sriov-network-operator spec: disableDrain: true
23.3.1.9. Hosted Control Plane 用の SR-IOV Operator のデプロイ
AWS プラットフォーム上の Hosted Control Plane は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
ホスティングサービスクラスターを設定してデプロイすると、ホストされたクラスターで SR-IOV Operator へのサブスクリプションを作成できます。SR-IOV Pod は、コントロールプレーンではなくワーカーマシンで実行されます。
前提条件
AWS 上でホストされたクラスターを設定およびデプロイしている。詳細は、AWS 上でのホストクラスターの設定 (テクノロジープレビュー) を参照してください。
手順
namespace と Operator グループを作成します。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: openshift-sriov-network-operator --- apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: sriov-network-operators namespace: openshift-sriov-network-operator spec: targetNamespaces: - openshift-sriov-network-operator
SR-IOV Operator へのサブスクリプションを作成します。
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: sriov-network-operator-subsription namespace: openshift-sriov-network-operator spec: channel: stable name: sriov-network-operator config: nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" source: s/qe-app-registry/redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace
検証
SR-IOV Operator の準備ができていることを確認するには、次のコマンドを実行し、結果の出力を表示します。
$ oc get csv -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE sriov-network-operator.4.14.0-202211021237 SR-IOV Network Operator 4.14.0-202211021237 sriov-network-operator.4.14.0-202210290517 Succeeded
SR-IOV Pod がデプロイされていることを確認するには、次のコマンドを実行します。
$ oc get pods -n openshift-sriov-network-operator
23.3.2. 次のステップ
23.4. SR-IOV ネットワークデバイスの設定
クラスターで Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスを設定できます。
23.4.1. SR-IOV ネットワークノード設定オブジェクト
SR-IOV ネットワークノードポリシーを作成して、ノードの SR-IOV ネットワークデバイス設定を指定します。ポリシーの API オブジェクトは sriovnetwork.openshift.io
API グループの一部です。
以下の YAML は SR-IOV ネットワークノードポリシーを説明しています。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" 4 priority: <priority> 5 mtu: <mtu> 6 needVhostNet: false 7 numVfs: <num> 8 externallyManaged: false 9 nicSelector: 10 vendor: "<vendor_code>" 11 deviceID: "<device_id>" 12 pfNames: ["<pf_name>", ...] 13 rootDevices: ["<pci_bus_id>", ...] 14 netFilter: "<filter_string>" 15 deviceType: <device_type> 16 isRdma: false 17 linkType: <link_type> 18 eSwitchMode: "switchdev" 19 excludeTopology: false 20
- 1
- カスタムリソースオブジェクトの名前。
- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- SR-IOV ネットワークデバイスプラグインのリソース名。1 つのリソース名に複数の SR-IOV ネットワークポリシーを作成できます。
名前を指定するときは、
resourceName
で使用できる構文式^[a-zA-Z0-9_]+$
を必ず使用してください。 - 4
- ノードセレクターは設定するノードを指定します。選択したノード上の SR-IOV ネットワークデバイスのみが設定されます。SR-IOV Container Network Interface (CNI) プラグインおよびデバイスプラグインは、選択したノードにのみデプロイされます。重要
SR-IOV Network Operator は、ノードネットワーク設定ポリシーを順番にノードに適用します。ノードネットワーク設定ポリシーを適用する前に、SR-IOV Network Operator は、ノードのマシン設定プール (MCP) が
Degraded
またはUpdating
などの正常ではない状態にないか確認します。ノード正常ではない MCP にある場合、ノードネットワーク設定ポリシーをクラスター内のすべての対象ノードに適用するプロセスは、MCP が正常な状態に戻るまで一時停止します。正常でない MCP 内にあるノードが、他のノード (他の MCP 内のノードを含む) にノードネットワーク設定ポリシーを適用することを阻害しないようにするには、MCP ごとに別のノードネットワーク設定ポリシーを作成する必要があります。
- 5
- オプション: 優先度は
0
から99
までの整数値で指定されます。値が小さいほど優先度が高くなります。たとえば、10
の優先度は99
よりも高くなります。デフォルト値は99
です。 - 6
- オプション: Virtual Function の最大転送単位 (MTU)。MTU の最大値は、複数の異なるネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) に応じて異なります。
- 7
- オプション:
/dev/vhost-net
デバイスを Pod にマウントするには、needVhostNet
をtrue
に設定します。Data Plane Development Kit(DPDK) と共にマウントされた/dev/vhost-net
デバイスを使用して、トラフィックをカーネルネットワークスタックに転送します。 - 8
- SR-IOV 物理ネットワークデバイス用に作成する Virtual Function (VF) の数。Intel ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の場合、VF の数はデバイスがサポートする VF の合計よりも大きくすることはできません。Mellanox NIC の場合、VF の数は
127
よりも大きくすることはできません。 - 9
externallyManaged
をtrue
に設定すると、SR-IOV Network Operator が外部管理の Virtual Function (VF) のすべてまたは一部を使用し、それらを Pod に割り当てることができるようになります。値をfalse
に設定すると、SR-IOV Network Operator は割り当てられたすべての VF を管理および設定します。注記externallyManaged
をtrue
に設定した場合、ポリシーを適用する前に Virtual Function (VF) を作成する必要があります。そうでない場合、Webhook がリクエストをブロックします。externallyManaged
をfalse
に設定した場合、SR-IOV Network Operator が、必要に応じて VF をリセットするなど、VF の作成と管理を処理します。したがって、ホストシステム上で VF を使用するには、VF を手動で作成する必要があり、nicSelector
ポリシーで定義されていない PFおよび
VF に対して SR-IOV Network Operator がアクションを実行しないように、externallyManaging をtrue
に設定する必要があります。- 10
- NIC セレクターは、Operator が設定するデバイスを特定します。すべてのパラメーターの値を指定する必要はありません。意図せずにデバイスを選択しないように、ネットワークデバイスを極めて正確に特定することが推奨されます。
rootDevices
を指定する場合、vendor
、deviceID
、またはpfNames
の値も指定する必要があります。pfNames
およびrootDevices
の両方を同時に指定する場合、それらが同一のデバイスを参照していることを確認します。netFilter
の値を指定する場合、ネットワーク ID は一意の ID であるためにその他のパラメーターを指定する必要はありません。 - 11
- オプション: SR-IOV ネットワークデバイスのベンダーの 16 進数コード。許可される値は
8086
および15b3
のみになります。 - 12
- オプション: SR-IOV ネットワークデバイスのデバイスの 16 進数コード。たとえば、
101b
は Mellanox ConnectX-6 デバイスのデバイス ID です。 - 13
- オプション: 1 つ以上のデバイスの物理機能 (PF) 名の配列。
- 14
- オプション: デバイスの PF 用の 1 つ以上の PCI バスアドレスの配列。以下の形式でアドレスを指定します:
0000:02:00.1
- 15
- オプション: プラットフォーム固有のネットワークフィルター。サポートされるプラットフォームは Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) のみです。許可される値は、
openstack/NetworkID:xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
の形式を使用します。xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
を、/var/config/openstack/latest/network_data.json
メタデータファイルの値に置き換えます。 - 16
- オプション: Virtual Function のドライバータイプ。許可される値は
netdevice
およびvfio-pci
のみです。デフォルト値はnetdevice
です。Mellanox NIC をベアメタルノードの DPDK モードで機能させるには、
netdevice
ドライバータイプを使用し、isRdma
をtrue
に設定します。 - 17
- オプション: Remote Direct Memory Access (RDMA) モードを有効にするかどうかを設定します。デフォルト値は
false
です。isRdma
パラメーターがtrue
に設定される場合、引き続き RDMA 対応の VF を通常のネットワークデバイスとして使用できます。デバイスはどちらのモードでも使用できます。isRdma
をtrue
に設定し、追加のneedVhostNet
をtrue
に設定して、Fast Datapath DPDK アプリケーションで使用する Mellanox NIC を設定します。注記Intel NIC の場合、
isRdma
パラメーターをtrue
に設定することはできません。 - 18
- オプション: VF のリンクタイプ。イーサネットのデフォルト値は
eth
です。InfiniBand の場合、この値を 'ib' に変更します。linkType
がib
に設定されている場合、SR-IOV Network Operator Webhook によってisRdma
はtrue
に自動的に設定されます。linkType
がib
に設定されている場合、deviceType
はvfio-pci
に設定できません。SriovNetworkNodePolicy の linkType を
eth
に設定しないでください。デバイスプラグインによって報告される使用可能なデバイスの数が正しくなくなる可能性があります。 - 19
- オプション: ハードウェアオフロードを有効にするには、
eSwitchMode
フィールドを"switchdev"
に設定する必要があります。 - 20
- オプション: SR-IOV ネットワークリソースの NUMA ノードを Topology Manager にアドバタイスする場合を除外するには、値を
true
に設定します。デフォルト値はfalse
です。
23.4.1.1. SR-IOV ネットワークノードの設定例
以下の例は、InfiniBand デバイスの設定を示しています。
InfiniBand デバイスの設定例
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policy-ib-net-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: ibnic1 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 4 nicSelector: vendor: "15b3" deviceID: "101b" rootDevices: - "0000:19:00.0" linkType: ib isRdma: true
以下の例は、RHOSP 仮想マシンの SR-IOV ネットワークデバイスの設定を示しています。
仮想マシンの SR-IOV デバイスの設定例
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policy-sriov-net-openstack-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: sriovnic1 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 1 1 nicSelector: vendor: "15b3" deviceID: "101b" netFilter: "openstack/NetworkID:ea24bd04-8674-4f69-b0ee-fa0b3bd20509" 2
23.4.1.2. SR-IOV デバイスの Virtual Function (VF) パーティション設定
Virtual Function (VF) を同じ物理機能 (PF) から複数のリソースプールに分割する必要がある場合があります。たとえば、VF の一部をデフォルトドライバーで読み込み、残りの VF を vfio-pci
ドライバーで読み込む必要がある場合などです。このようなデプロイメントでは、SriovNetworkNodePolicy カスタムリソース (CR) の pfNames
セレクターは、以下の形式を使用してプールの VF の範囲を指定するために使用できます: <pfname>#<first_vf>-<last_vf>
たとえば、以下の YAML は、VF が 2
から 7
まである netpf0
という名前のインターフェイスのセレクターを示します。
pfNames: ["netpf0#2-7"]
-
netpf0
は PF インターフェイス名です。 -
2
は、範囲に含まれる最初の VF インデックス (0 ベース) です。 -
7
は、範囲に含まれる最後の VF インデックス (0 ベース) です。
以下の要件を満たす場合、異なるポリシー CR を使用して同じ PF から VF を選択できます。
-
numVfs
の値は、同じ PF を選択するポリシーで同一である必要があります。 -
VF インデックスは、
0
から<numVfs>-1
の範囲にある必要があります。たとえば、numVfs
が8
に設定されているポリシーがある場合、<first_vf>
の値は0
よりも小さくすることはできず、<last_vf>
は7
よりも大きくすることはできません。 - 異なるポリシーの VF の範囲は重複しないようにしてください。
-
<first_vf>
は<last_vf>
よりも大きくすることはできません。
以下の例は、SR-IOV デバイスの NIC パーティション設定を示しています。
ポリシー policy-net-1
は、デフォルトの VF ドライバーと共に PF netpf0
の VF 0
が含まれるリソースプール net-1
を定義します。ポリシー policy-net-1-dpdk
は、vfio
VF ドライバーと共に PF netpf0
の VF 8
から 15
までが含まれるリソースプール net-1-dpdk
を定義します。
ポリシー policy-net-1
:
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policy-net-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 16 nicSelector: pfNames: ["netpf0#0-0"] deviceType: netdevice
ポリシー policy-net-1-dpdk
:
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policy-net-1-dpdk namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1dpdk nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 16 nicSelector: pfNames: ["netpf0#8-15"] deviceType: vfio-pci
インターフェイスが正常にパーティショニングされていることを確認します
次のコマンドを実行して、インターフェイスが SR-IOV デバイスの Virtual Function (VF) にパーティショニングされていることを確認します。
$ ip link show <interface> 1
- 1
<interface>
を、SR-IOV デバイスの VF にパーティショニングするときに指定したインターフェイス (例:ens3f1
) に置き換えます。
出力例
5: ens3f1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 3c:fd:fe:d1:bc:01 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff vf 0 link/ether 5a:e7:88:25:ea:a0 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff, spoof checking on, link-state auto, trust off vf 1 link/ether 3e:1d:36:d7:3d:49 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff, spoof checking on, link-state auto, trust off vf 2 link/ether ce:09:56:97:df:f9 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff, spoof checking on, link-state auto, trust off vf 3 link/ether 5e:91:cf:88:d1:38 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff, spoof checking on, link-state auto, trust off vf 4 link/ether e6:06:a1:96:2f:de brd ff:ff:ff:ff:ff:ff, spoof checking on, link-state auto, trust off
23.4.2. SR-IOV ネットワークデバイスの設定
SR-IOV Network Operator は SriovNetworkNodePolicy.sriovnetwork.openshift.io
CustomResourceDefinition を OpenShift Container Platform に追加します。SR-IOV ネットワークデバイスは、SriovNetworkNodePolicy カスタムリソース (CR) を作成して設定できます。
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。
設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
- ドレイン (解放) されたノードからエビクトされたワークロードを処理するために、クラスター内に利用可能な十分なノードがある。
- SR-IOV ネットワークデバイス設定についてコントロールプレーンノードを選択していない。
手順
-
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成してから、YAML を<name>-sriov-node-network.yaml
ファイルに保存します。<name>
をこの設定の名前に置き換えます。 -
オプション: SR-IOV 対応のクラスターノードにまだラベルが付いていない場合は、
SriovNetworkNodePolicy.Spec.NodeSelector
でラベルを付けます。ノードのラベル付けの詳細は、「ノードのラベルを更新する方法について」を参照してください。 SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f <name>-sriov-node-network.yaml
ここで、
<name>
はこの設定の名前を指定します。設定の更新が適用された後に、
sriov-network-operator
namespace のすべての Pod がRunning
ステータスに移行します。SR-IOV ネットワークデバイスが設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。
<node_name>
を、設定したばかりの SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードの名前に置き換えます。$ oc get sriovnetworknodestates -n openshift-sriov-network-operator <node_name> -o jsonpath='{.status.syncStatus}'
関連情報
23.4.2.1. SR-IOV ネットワークポリシーの更新中に並列ノードドレインを設定する
デフォルトでは、SR-IOV Network Operator は、ポリシーを変更するたびに、ノードからワークロードをドレイン (解放) します。Operator は、再設定によってワークロードが影響を受けないように、一度に 1 つのノードに対してこのアクションを実行します。
大規模なクラスターでは、ノードを順番にドレインするには時間がかかり、数時間または数日かかることもあります。時間に敏感な環境では、SriovNetworkPoolConfig
カスタムリソース (CR) で並列ノードドレインを有効にして、SR-IOV ネットワーク設定のロールアウトを高速化できます。
並列ドレインを設定するには、SriovNetworkPoolConfig
CR を使用してノードプールを作成します。次に、プールにノードを追加し、Operator が並行してドレインできるプール内のノードの最大数を定義できます。このアプローチでは、実行中のワークロードを処理するために十分なノードがプール内に残っていることを確認しながら、並列ドレインを有効にして再設定を高速化できます。
ノードは 1 つの SR-IOV ネットワークプール設定にのみ属することができます。ノードがプールの一部でない場合は、一度に 1 つのノードのみをドレインするように設定された仮想のデフォルトプールに追加されます。
ドレイン処理中にノードが再起動する可能性があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - SR-IOV Network Operator をインストールします。
- ノードに SR-IOV をサポートするハードウェアがあることを確認します。
手順
SriovNetworkPoolConfig
リソースを作成します。SriovNetworkPoolConfig
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。sriov-nw-pool.yaml
ファイルの例apiVersion: v1 kind: SriovNetworkPoolConfig metadata: name: pool-1 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: maxUnavailable: 2 3 nodeSelector: 4 matchLabels: node-role.kubernetes.io/worker: ""
- 1
SriovNetworkPoolConfig
オブジェクトの名前を指定します。- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace を指定します。
- 3
- 更新中にプール内で使用できなくなるノードの整数値またはパーセンテージ値を指定します。たとえば、ノードが 10 個あり、使用不可の最大値を 2 に設定した場合は、一度に並列ドレインできるノードは 2 個だけとなり、ワークロードの処理には 8 個のノードが残ります。
- 4
- ノードセレクターを使用して、プールを追加するノードを指定します。この例では、
worker
ロールを持つすべてのノードをプールに追加します。
次のコマンドを実行して、
SriovNetworkPoolConfig
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-nw-pool.yaml
次のコマンドを実行して、
sriov-test
namespace を作成します。$ oc create namespace sriov-test
SriovNetworkNodePolicy
リソースを作成します。SriovNetworkNodePolicy
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。sriov-node-policy.yaml
ファイルの例apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriov-nic-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice nicSelector: pfNames: ["ens1"] nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: "" numVfs: 5 priority: 99 resourceName: sriov_nic_1
次のコマンドを実行して、
SriovNetworkNodePolicy
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-node-policy.yaml
SriovNetwork
リソースを作成します。SriovNetwork
リソースを定義する YAML ファイルを作成します。sriov-network.yaml
ファイルの例apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: sriov-nic-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: linkState: auto networkNamespace: sriov-test resourceName: sriov_nic_1 capabilities: '{ "mac": true, "ips": true }' ipam: '{ "type": "static" }'
次のコマンドを実行して、
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network.yaml
検証
次のコマンドを実行して、作成したノードプールを表示します。
$ oc get sriovNetworkpoolConfig -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAME AGE pool-1 67s 1
- 1
- この例では、
pool-1
にはworker
ロールを持つすべてのノードが含まれています。
前の手順のサンプルシナリオを使用してノードドレインプロセスをデモンストレーションするには、次の手順を実行します。
クラスター内のワークロードのドレインをトリガーするには、
SriovNetworkNodePolicy
リソース内の Virtual Function の数を更新します。$ oc patch SriovNetworkNodePolicy sriov-nic-1 -n openshift-sriov-network-operator --type merge -p '{"spec": {"numVfs": 4}}'
次のコマンドを実行して、ターゲットクラスターのドレインステータスを監視します。
$ oc get sriovNetworkNodeState -n openshift-sriov-network-operator
出力例
NAMESPACE NAME SYNC STATUS DESIRED SYNC STATE CURRENT SYNC STATE AGE openshift-sriov-network-operator worker-0 InProgress Drain_Required DrainComplete 3d10h openshift-sriov-network-operator worker-1 InProgress Drain_Required DrainComplete 3d10h
ドレインプロセスが完了すると、
SYNC STATUS
がSucceeded
に変わり、DESIRED SYNC STATE
とCURRENT SYNC STATE
の値がIDLE
に戻ります。出力例
NAMESPACE NAME SYNC STATUS DESIRED SYNC STATE CURRENT SYNC STATE AGE openshift-sriov-network-operator worker-0 Succeeded Idle Idle 3d10h openshift-sriov-network-operator worker-1 Succeeded Idle Idle 3d10h
23.4.3. SR-IOV 設定のトラブルシューティング
SR-IOV ネットワークデバイスの設定の手順を実行した後に、以下のセクションではエラー状態の一部に対応します。
ノードの状態を表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get sriovnetworknodestates -n openshift-sriov-network-operator <node_name>
ここで、<node_name>
は SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードの名前を指定します。
エラー出力: Cannot allocate memory
"lastSyncError": "write /sys/bus/pci/devices/0000:3b:00.1/sriov_numvfs: cannot allocate memory"
ノードがメモリーを割り当てることができないことを示す場合は、以下の項目を確認します。
- ノードの BIOS でグローバル SR-IOV 設定が有効になっていることを確認します。
- ノードの BIOS で VT-d が有効であることを確認します。
23.4.4. SR-IOV ネットワークの VRF への割り当て
クラスター管理者は、CNI VRF プラグインを使用して、SR-IOV ネットワークインターフェイスを VRF ドメインに割り当てることができます。
これを実行するには、VRF 設定を SriovNetwork
リソースのオプションの metaPlugins
パラメーターに追加します。
VRF を使用するアプリケーションを特定のデバイスにバインドする必要があります。一般的な使用方法として、ソケットに SO_BINDTODEVICE
オプションを使用できます。SO_BINDTODEVICE
は、渡されるインターフェイス名で指定されているデバイスにソケットをバインドします (例: eth1
)。SO_BINDTODEVICE
を使用するには、アプリケーションに CAP_NET_RAW
機能がある必要があります。
ip vrf exec
コマンドを使用した VRF の使用は、OpenShift Container Platform Pod ではサポートされません。VRF を使用するには、アプリケーションを VRF インターフェイスに直接バインドします。
23.4.4.1. CNI VRF プラグインを使用した追加 SR-IOV ネットワーク割り当ての作成
SR-IOV Network Operator は追加ネットワークの定義を管理します。作成する追加ネットワークを指定する場合、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
SR-IOV Network Operator が管理する NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースは編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
CNI VRF プラグインで追加の SR-IOV ネットワーク割り当てを作成するには、以下の手順を実行します。
前提条件
- OpenShift Container Platform CLI (oc) をインストールします。
- cluster-admin 権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインします。
手順
追加の SR-IOV ネットワーク割り当て用の
SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成し、以下のサンプル CR のようにmetaPlugins
設定を挿入します。YAML をsriov-network-attachment.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: example-network namespace: additional-sriov-network-1 spec: ipam: | { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "routes": [{ "dst": "0.0.0.0/0" }], "gateway": "10.56.217.1" } vlan: 0 resourceName: intelnics metaPlugins : | { "type": "vrf", 1 "vrfname": "example-vrf-name" 2 }
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network-attachment.yaml
NetworkAttachmentDefinition
CR が正常に作成されることの確認
以下のコマンドを実行して、SR-IOV Network Operator が
NetworkAttachmentDefinition
CR を作成していることを確認します。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace> 1
- 1
<namespace>
を、ネットワーク割り当ての設定時に指定した namespace に置き換えます (例:additional-sriov-network-1
)。
出力例
NAME AGE additional-sriov-network-1 14m
注記SR-IOV Network Operator が CR を作成するまでに遅延が生じる可能性があります。
追加の SR-IOV ネットワーク割り当てが正常であることの確認
VRF CNI が正しく設定され、追加の SR-IOV ネットワーク割り当てが接続されていることを確認するには、以下を実行します。
- VRF CNI を使用する SR-IOV ネットワークを作成します。
- ネットワークを Pod に割り当てます。
Pod のネットワーク割り当てが SR-IOV の追加ネットワークに接続されていることを確認します。Pod にリモートシェルを実行し、以下のコマンドを実行します。
$ ip vrf show
出力例
Name Table ----------------------- red 10
VRF インターフェイスがセカンダリーインターフェイスのマスターであることを確認します。
$ ip link
出力例
... 5: net1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue master red state UP mode ...
23.4.5. NUMA 対応スケジューリング用の SR-IOV ネットワークトポロジーを除外する場合
NUMA 対応 Pod のスケジューリングでより柔軟な SR-IOV ネットワークデプロイメントを実現するために、SR-IOV ネットワークの Non-Uniform Memory Access (NUMA) ノードを Topology Manager にアドバタイズする場合を除外できます。
一部のシナリオでは、シングル NUMA ノード上の Pod の CPU およびメモリーリソースを最大化することが優先されます。Topology Manager に Pod の SR-IOV ネットワークリソースの NUMA ノードに関するヒントを提供しないことで、Topology Manager は SR-IOV ネットワークリソースと Pod の CPU およびメモリーリソースを異なる NUMA ノードにデプロイできます。その場合、NUMA ノード間のデータ転送により、ネットワーク遅延が増加する可能性があります。ただし、ワークロードが最適な CPU とメモリーのパフォーマンスを必要とするシナリオでは許容されます。
たとえば、2 つの NUMA ノード (uma0
と uma1)
を備えたコンピュートノード compute-1
があるとします。SR-IOV が有効な NIC は numa0
にあります。Pod のスケジューリングに使用できる CPU は、numa1
にしかありません。excludeTopology
仕様を true
に設定すると、Topology Manager は Pod の CPU およびメモリーリソースを numa1
に割り当て、同じ Pod の SR-IOV ネットワークリソースを numa0
に割り当てることができます。これは、excludeTopology
仕様を true
に設定した場合にのみ可能です。そうではない場合、Topology Manager はすべてのリソースを同じ NUMA ノードに配置しようとします。
23.4.5.1. NUMA 対応スケジューリングのための SR-IOV ネットワークトポロジーの除外
SR-IOV ネットワークリソースの Non-Uniform Memory Access (NUMA) ノードを Topology Manager にアドバタイズする場合を除外するには、SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソースで excludeTopology
仕様を設定できます。NUMA 対応 Pod のスケジューリングでより柔軟な SR-IOV ネットワークデプロイメントを行うには、この設定を使用します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
CPU マネージャーのポリシーを
static
に設定している。CPU マネージャーの詳細は、関連情報 セクションを参照してください。 -
Topology Manager ポリシーを
single-numa-node
に設定している。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
手順
SriovNetworkNodePolicy
CR を作成します。次の YAML を
sriov-network-node-policy.yaml
ファイルに保存し、環境に合わせて YAML 内の値を置き換えます。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: <policy_name> namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: sriovnuma0 1 nodeSelector: kubernetes.io/hostname: <node_name> numVfs: <number_of_Vfs> nicSelector: 2 vendor: "<vendor_ID>" deviceID: "<device_ID>" deviceType: netdevice excludeTopology: true 3
注記複数の
SriovNetworkNodePolicy
リソースが同じ SR-IOV ネットワークリソースをターゲットとする場合、SriovNetworkNodePolicy
リソースの値はexcludeTopology
仕様と同じである必要があります。そうでない場合、矛盾するポリシーは拒否されます。次のコマンドを実行して、
SriovNetworkNodePolicy
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network-node-policy.yaml
出力例
sriovnetworknodepolicy.sriovnetwork.openshift.io/policy-for-numa-0 created
SriovNetwork
CR を作成します。次の YAML を
sriov-network.yaml
ファイルに保存します。その場合、YAML 内の値は環境に合わせて置き換えます。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: sriov-numa-0-network 1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: sriovnuma0 2 networkNamespace: <namespace> 3 ipam: |- 4 { "type": "<ipam_type>", }
次のコマンドを実行して、
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network.yaml
出力例
sriovnetwork.sriovnetwork.openshift.io/sriov-numa-0-network created
Pod を作成し、前の手順で作成した SR-IOV ネットワークリソースを割り当てます。
次の YAML を
sriov-network-pod.yaml
ファイルに保存します。その場合、YAML 内の値は環境に合わせて置き換えます。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: <pod_name> annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "sriov-numa-0-network", 1 } ] spec: containers: - name: <container_name> image: <image> imagePullPolicy: IfNotPresent command: ["sleep", "infinity"]
- 1
- これは、
SriovNetworkNodePolicy
リソースを使用するSriovNetwork
リソースの名前です。
次のコマンドを実行して、
Pod
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network-pod.yaml
出力例
pod/example-pod created
検証
次のコマンドを実行して、Pod のステータスを確認します。その場合、
<pod_name>
は Pod の名前に置き換えます。$ oc get pod <pod_name>
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE test-deployment-sriov-76cbbf4756-k9v72 1/1 Running 0 45h
ターゲット Pod とのデバッグセッションを開き、SR-IOV ネットワークリソースがメモリーおよび CPU リソースとは異なるノードにデプロイされていることを確認します。
次のコマンドを実行して、Pod とのデバッグセッションを開きます。その場合、<pod_name> はターゲット Pod の名前に置き換えます。
$ oc debug pod/<pod_name>
/host
をデバッグシェル内の root ディレクトリーとして設定します。デバッグ Pod は、Pod 内の/host
にホストからのルートファイルシステムをマウントします。ルートディレクトリーを/host
に変更すると、ホストファイルシステムからのバイナリーを実行できます。$ chroot /host
次のコマンドを実行して、CPU 割り当てに関する情報を表示します。
$ lscpu | grep NUMA
出力例
NUMA node(s): 2 NUMA node0 CPU(s): 0,2,4,6,8,10,12,14,16,18,... NUMA node1 CPU(s): 1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,...
$ cat /proc/self/status | grep Cpus
出力例
Cpus_allowed: aa Cpus_allowed_list: 1,3,5,7
$ cat /sys/class/net/net1/device/numa_node
出力例
0
この例では、CPU 1、3、5、7 が
NUMA node1
に割り当てられていますが、SR-IOV ネットワークリソースはNUMA node0
の NIC を使用できます。
excludeTopology
仕様が True
に設定されている場合、必要なリソースが同じ NUMA ノードに存在する可能性があります。
関連情報
23.4.6. 次のステップ
23.5. SR-IOV イーサネットネットワーク割り当ての設定
クラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスのイーサネットネットワーク割り当てを設定できます。
23.5.1. イーサネットデバイス設定オブジェクト
イーサネットネットワークデバイスは、SriovNetwork
オブジェクトを定義して設定できます。
以下の YAML は SriovNetwork
オブジェクトを説明しています。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 networkNamespace: <target_namespace> 4 vlan: <vlan> 5 spoofChk: "<spoof_check>" 6 ipam: |- 7 {} linkState: <link_state> 8 maxTxRate: <max_tx_rate> 9 minTxRate: <min_tx_rate> 10 vlanQoS: <vlan_qos> 11 trust: "<trust_vf>" 12 capabilities: <capabilities> 13
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。 - 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。- 5
- オプション: 追加ネットワークの仮想 LAN (VLAN) ID。整数値は
0
から4095
である必要があります。デフォルト値は0
です。 - 6
- オプション: VF の spoof チェックモード。許可される値は、文字列の
"on"
および"off"
です。重要指定する値は引用符で囲む必要があります。引用符で囲まないと、オブジェクトが SR-IOV Network Operator によって拒否されます。
- 7
- YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトプラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
- 8
- オプション: Virtual Function (VF) のリンク状態。許可される値は、
enable
、disable
、およびauto
です。 - 9
- オプション: VF の最大伝送レート (Mbps)。
- 10
- オプション: VF の最小伝送レート (Mbps)。この値は、最大伝送レート以下である必要があります。注記
Intel NIC は
minTxRate
パラメーターをサポートしません。詳細は、BZ#1772847 を参照してください。 - 11
- オプション: VF の IEEE 802.1p 優先度レベル。デフォルト値は
0
です。 - 12
- オプション: VF の信頼モード。許可される値は、文字列の
"on"
および"off"
です。重要指定する値を引用符で囲む必要があります。囲まないと、SR-IOV Network Operator はオブジェクトを拒否します。
- 13
- オプション: この追加ネットワークに設定する機能。
'{ "ips": true }'
を指定して IP アドレスのサポートを有効にするか、'{ "mac": true }'
を指定して MAC アドレスのサポートを有効にすることができます。
23.5.1.1. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定
IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。
以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。
- 静的割り当て。
- DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
- Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
23.5.1.1.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定
以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| 仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。 |
|
| Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。 |
|
| オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。 |
addresses
の配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、 |
|
| Egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CIDR 形式の IP アドレス範囲 ( |
|
| ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。 |
|
|
ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが |
|
|
DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: |
静的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.7/24" } ] } }
23.5.1.1.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定
以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。
SR-IOV Network Operator は DHCP サーバーデプロイメントを作成しません。Cluster Network Operator は最小限の DHCP サーバーデプロイメントを作成します。
DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。
shim ネットワーク割り当ての定義例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: dhcp-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "dhcp-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } } # ...
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "dhcp" } }
23.5.1.1.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。
以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。 |
|
| オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) のリスト。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。 |
Whereabouts を使用する動的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "whereabouts", "range": "192.0.2.192/27", "exclude": [ "192.0.2.192/30", "192.0.2.196/32" ] } }
23.5.1.2. デュアルスタック IP アドレスを動的に割り当てる設定の作成
デュアルスタックの IP アドレスの割り当ては、ipRanges
パラメーターで設定できます。
- IPv4 アドレス
- IPv6 アドレス
- 複数の IP アドレスの割り当て
手順
-
type
をwhereabouts
に設定します。 以下の例のように、
ipRanges
を使用して IP アドレスを割り当てます。cniVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network =metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: whereabouts-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "whereabouts-dual-stack", "cniVersion": "0.3.1, "type": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts", "ipRanges": [ {"range": "192.168.10.0/24"}, {"range": "2001:db8::/64"} ] } }
- ネットワークを Pod にアタッチします。詳細は、「追加のネットワークへの Pod の追加」を参照してください。
- すべての IP アドレスが割り当てられていることを確認します。
以下のコマンドを実行して、IP アドレスがメタデータとして割り当てられることを確認します。
$ oc exec -it mypod -- ip a
関連情報
23.5.2. SR-IOV の追加ネットワークの設定
SriovNetwork
オブジェクトを作成して、SR-IOV ハードウェアを使用する追加のネットワークを設定できます。SriovNetwork
オブジェクトの作成時に、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを自動的に作成します。
SriovNetwork
オブジェクトが running
状態の Pod に割り当てられている場合、これを変更したり、削除したりしないでください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
SriovNetwork
オブジェクトを作成してから、YAML を<name>.yaml
ファイルに保存します。<name>
はこの追加ネットワークの名前になります。オブジェクト仕様は以下の例のようになります。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: attach1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1 networkNamespace: project2 ipam: |- { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "gateway": "10.56.217.1" }
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f <name>.yaml
ここで、
<name>
は追加ネットワークの名前を指定します。オプション: 以下のコマンドを実行して、直前の手順で作成した
SriovNetwork
オブジェクトに関連付けられたNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトが存在することを確認するには、以下のコマンドを入力します。<namespace>
をSriovNetwork
オブジェクトで指定した networkNamespace に置き換えます。$ oc get net-attach-def -n <namespace>
23.5.3. 次のステップ
23.5.4. 関連情報
23.6. SR-IOV InfiniBand ネットワーク割り当ての設定
クラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスの InfiniBand (IB) ネットワーク割り当てを設定できます。
23.6.1. InfiniBand デバイス設定オブジェクト
SriovIBNetwork
オブジェクトを定義することで、InfiniBand (IB) ネットワークデバイスを設定できます。
以下の YAML は、SriovIBNetwork
オブジェクトを説明しています。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovIBNetwork metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 networkNamespace: <target_namespace> 4 ipam: |- 5 {} linkState: <link_state> 6 capabilities: <capabilities> 7
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。 - 2
- SR-IOV Operator がインストールされている namespace。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovIBNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみをネットワークデバイスに割り当てることができます。- 5
- オプション: YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
- 6
- オプション: Virtual Function (VF) のリンク状態。許可される値は、
enable
、disable
、およびauto
です。 - 7
- オプション: このネットワークに設定する機能。
'{ "ips": true }'
を指定して IP アドレスのサポートを有効にするか、'{ "infinibandGUID": true }'
を指定して IB Global Unique Identifier (GUID) のサポートを有効にすることができます。
23.6.1.1. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定
IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。
以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。
- 静的割り当て。
- DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
- Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
23.6.1.1.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定
以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| 仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。 |
|
| Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。 |
|
| オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。 |
addresses
の配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、 |
|
| Egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CIDR 形式の IP アドレス範囲 ( |
|
| ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。 |
|
|
ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが |
|
|
DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: |
静的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.7/24" } ] } }
23.6.1.1.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定
以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定を説明しています。
Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。
DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。
shim ネットワーク割り当ての定義例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: dhcp-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "dhcp-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } } # ...
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "dhcp" } }
23.6.1.1.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。
以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。 |
|
| オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) のリスト。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。 |
Whereabouts を使用する動的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "whereabouts", "range": "192.0.2.192/27", "exclude": [ "192.0.2.192/30", "192.0.2.196/32" ] } }
23.6.1.2. デュアルスタック IP アドレスを動的に割り当てる設定の作成
デュアルスタックの IP アドレスの割り当ては、ipRanges
パラメーターで設定できます。
- IPv4 アドレス
- IPv6 アドレス
- 複数の IP アドレスの割り当て
手順
-
type
をwhereabouts
に設定します。 以下の例のように、
ipRanges
を使用して IP アドレスを割り当てます。cniVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network =metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: whereabouts-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "whereabouts-dual-stack", "cniVersion": "0.3.1, "type": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts", "ipRanges": [ {"range": "192.168.10.0/24"}, {"range": "2001:db8::/64"} ] } }
- ネットワークを Pod にアタッチします。詳細は、「追加のネットワークへの Pod の追加」を参照してください。
- すべての IP アドレスが割り当てられていることを確認します。
以下のコマンドを実行して、IP アドレスがメタデータとして割り当てられることを確認します。
$ oc exec -it mypod -- ip a
関連情報
23.6.2. SR-IOV の追加ネットワークの設定
SriovIBNetwork
オブジェクトを作成して、SR-IOV ハードウェアを使用する追加のネットワークを設定できます。SriovIBNetwork
オブジェクトの作成時に、SR-IOV Operator は NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを自動的に作成します。
SriovIBNetwork
オブジェクトが、running
状態の Pod に割り当てられている場合、これを変更したり、削除したりしないでください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
SriovIBNetwork
CR を作成してから、YAML を<name>.yaml
ファイルに保存します。<name>
は、この追加ネットワークの名前になります。オブジェクト仕様は以下の例のようになります。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovIBNetwork metadata: name: attach1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1 networkNamespace: project2 ipam: |- { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "gateway": "10.56.217.1" }
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f <name>.yaml
ここで、
<name>
は追加ネットワークの名前を指定します。オプション: 以下のコマンドを実行して、直前の手順で作成した
SriovIBNetwork
オブジェクトに関連付けられたNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトが存在することを確認します。<namespace>
をSriovIBNetwork
オブジェクトで指定した networkNamespace に置き換えます。$ oc get net-attach-def -n <namespace>
23.6.3. 次のステップ
23.6.4. 関連情報
23.7. Pod の SR-IOV の追加ネットワークへの追加
Pod を既存の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワークに追加できます。
23.7.1. ネットワーク割り当てのランタイム設定
Pod を追加のネットワークに割り当てる場合、ランタイム設定を指定して Pod の特定のカスタマイズを行うことができます。たとえば、特定の MAC ハードウェアアドレスを要求できます。
Pod 仕様にアノテーションを設定して、ランタイム設定を指定します。アノテーションキーは k8s.v1.cni.cncf.io/networks
で、ランタイム設定を記述する JSON オブジェクトを受け入れます。
23.7.1.1. イーサネットベースの SR-IOV 割り当てのランタイム設定
以下の JSON は、イーサネットベースの SR-IOV ネットワーク割り当て用のランタイム設定オプションを説明しています。
[ { "name": "<name>", 1 "mac": "<mac_address>", 2 "ips": ["<cidr_range>"] 3 } ]
- 1
- SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR の名前。
- 2
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの MAC アドレス。この機能を使用するには、
SriovNetwork
オブジェクトで{ "mac": true }
も指定する必要があります。 - 3
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの IP アドレス。IPv4 と IPv6 アドレスの両方がサポートされます。この機能を使用するには、
SriovNetwork
オブジェクトで{ "ips": true }
も指定する必要があります。
ランタイム設定の例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: sample-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "net1", "mac": "20:04:0f:f1:88:01", "ips": ["192.168.10.1/24", "2001::1/64"] } ] spec: containers: - name: sample-container image: <image> imagePullPolicy: IfNotPresent command: ["sleep", "infinity"]
23.7.1.2. InfiniBand ベースの SR-IOV 割り当てのランタイム設定
以下の JSON は、InfiniBand ベースの SR-IOV ネットワーク割り当て用のランタイム設定オプションを説明しています。
[ { "name": "<network_attachment>", 1 "infiniband-guid": "<guid>", 2 "ips": ["<cidr_range>"] 3 } ]
ランタイム設定の例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: sample-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "ib1", "infiniband-guid": "c2:11:22:33:44:55:66:77", "ips": ["192.168.10.1/24", "2001::1/64"] } ] spec: containers: - name: sample-container image: <image> imagePullPolicy: IfNotPresent command: ["sleep", "infinity"]
23.7.2. Pod の追加ネットワークへの追加
Pod を追加のネットワークに追加できます。Pod は、デフォルトネットワークで通常のクラスター関連のネットワークトラフィックを継続的に送信します。
Pod が作成されると、追加のネットワークが割り当てられます。ただし、Pod がすでに存在する場合は、追加のネットワークをこれに割り当てることはできません。
Pod が追加ネットワークと同じ namespace にあること。
SR-IOV Network Resource Injector は、Pod の最初のコンテナーに resource
フィールドを自動的に追加します。
データプレーン開発キット (DPDK) モードでインテル製のネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) を使用している場合には、Pod 内の最初のコンテナーのみが NIC にアクセスできるように設定されています。SR-IOV 追加ネットワークは、SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで deviceType
が vfio-pci
に設定されてる場合は DPDK モードに設定されます。
この問題は、NIC にアクセスする必要のあるコンテナーが Pod
オブジェクトで定義された最初のコンテナーであることを確認するか、Network Resource Injector を無効にすることで回避できます。詳細は、BZ#1990953 を参照してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスターにログインする。
- SR-IOV Operator のインストール。
-
Pod を割り当てる
SriovNetwork
オブジェクトまたはSriovIBNetwork
オブジェクトのいずれかを作成する。
手順
アノテーションを
Pod
オブジェクトに追加します。以下のアノテーション形式のいずれかのみを使用できます。カスタマイズせずに追加ネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
<network>
を、Pod に関連付ける追加ネットワークの名前に置き換えます。metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: <network>[,<network>,...] 1
- 1
- 複数の追加ネットワークを指定するには、各ネットワークをコンマで区切ります。コンマの間にはスペースを入れないでください。同じ追加ネットワークを複数回指定した場合、Pod は複数のネットワークインターフェイスをそのネットワークに割り当てます。
カスタマイズして追加のネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "<network>", 1 "namespace": "<namespace>", 2 "default-route": ["<default-route>"] 3 } ]
Pod を作成するには、以下のコマンドを入力します。
<name>
を Pod の名前に置き換えます。$ oc create -f <name>.yaml
オプション: アノテーションが
Pod
CR に存在することを確認するには、<name>
を Pod の名前に置き換えて、以下のコマンドを入力します。$ oc get pod <name> -o yaml
以下の例では、
example-pod
Pod が追加ネットワークのnet1
に割り当てられています。$ oc get pod example-pod -o yaml apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: macvlan-bridge k8s.v1.cni.cncf.io/network-status: |- 1 [{ "name": "openshift-sdn", "interface": "eth0", "ips": [ "10.128.2.14" ], "default": true, "dns": {} },{ "name": "macvlan-bridge", "interface": "net1", "ips": [ "20.2.2.100" ], "mac": "22:2f:60:a5:f8:00", "dns": {} }] name: example-pod namespace: default spec: ... status: ...
- 1
k8s.v1.cni.cncf.io/network-status
パラメーターは、オブジェクトの JSON 配列です。各オブジェクトは、Pod に割り当てられる追加のネットワークのステータスを説明します。アノテーションの値はプレーンテキストの値として保存されます。
23.7.3. Non-Uniform Memory Access (NUMA) で配置された SR-IOV Pod の作成
NUMA で配置された SR-IOV Pod は、restricted
または single-numa-node
Topology Manager ポリシーで同じ NUMA ノードから割り当てられる SR-IOV および CPU リソースを制限することによって作成できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
CPU マネージャーのポリシーを
static
に設定している。CPU マネージャーの詳細は、「関連情報」セクションを参照してください。 Topology Manager ポリシーを
single-numa-node
に設定している。注記single-numa-node
が要求を満たさない場合は、Topology Manager ポリシーをrestricted
にするように設定できます 。より柔軟な SR-IOV ネットワークリソーススケジューリングについては、関連情報 セクションの NUMA 対応スケジューリングにおける SR-IOV ネットワークトポロジーの除外 を参照してください。
手順
以下の SR-IOV Pod 仕様を作成してから、YAML を
<name>-sriov-pod.yaml
ファイルに保存します。<name>
をこの Pod の名前に置き換えます。以下の例は、SR-IOV Pod 仕様を示しています。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: sample-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: <name> 1 spec: containers: - name: sample-container image: <image> 2 command: ["sleep", "infinity"] resources: limits: memory: "1Gi" 3 cpu: "2" 4 requests: memory: "1Gi" cpu: "2"
以下のコマンドを実行して SR-IOV Pod のサンプルを作成します。
$ oc create -f <filename> 1
- 1
<filename>
を、先の手順で作成したファイルの名前に置き換えます。
sample-pod
が Guaranteed QoS を指定して設定されていることを確認します。$ oc describe pod sample-pod
sample-pod
が排他的 CPU を指定して割り当てられていることを確認します。$ oc exec sample-pod -- cat /sys/fs/cgroup/cpuset/cpuset.cpus
sample-pod
に割り当てられる SR-IOV デバイスと CPU が同じ NUMA ノード上にあることを確認します。$ oc exec sample-pod -- cat /sys/fs/cgroup/cpuset/cpuset.cpus
23.7.4. OpenStack で SR-IOV を使用するクラスター用のテスト Pod テンプレート
次の testpmd
Pod では、ヒュージページ、予約済み CPU、および SR-IOV ポートを使用したコンテナーの作成を紹介します。
testpmd
Pod の例
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: testpmd-sriov
namespace: mynamespace
annotations:
cpu-load-balancing.crio.io: "disable"
cpu-quota.crio.io: "disable"
# ...
spec:
containers:
- name: testpmd
command: ["sleep", "99999"]
image: registry.redhat.io/openshift4/dpdk-base-rhel8:v4.9
securityContext:
capabilities:
add: ["IPC_LOCK","SYS_ADMIN"]
privileged: true
runAsUser: 0
resources:
requests:
memory: 1000Mi
hugepages-1Gi: 1Gi
cpu: '2'
openshift.io/sriov1: 1
limits:
hugepages-1Gi: 1Gi
cpu: '2'
memory: 1000Mi
openshift.io/sriov1: 1
volumeMounts:
- mountPath: /dev/hugepages
name: hugepage
readOnly: False
runtimeClassName: performance-cnf-performanceprofile 1
volumes:
- name: hugepage
emptyDir:
medium: HugePages
- 1
- この例では、パフォーマンスプロファイルの名前が
cnf-performance profile
であると想定しています。
23.7.5. 関連情報
23.8. SR-IOV ネットワークのインターフェイスレベルのネットワーク sysctl 設定とオールマルチキャストモードを設定する
クラスター管理者は、SR-IOV ネットワークデバイスに接続されている Pod のチューニング Container Network Interface (CNI) メタプラグインを使用して、インターフェイスレベルのネットワーク sysctl と、プロミスキャスモード、オールマルチキャストモード、MTU、MAC アドレスなどのいくつかのインターフェイス属性を変更できます。
23.8.1. SR-IOV 対応 NIC を使用したノードのラベル付け
SR-IOV 対応ノードのみで SR-IOV を有効にしたい場合は、いくつかの方法があります。
-
Node Feature Discovery (NFD) Operator をインストールします。NFD は SR-IOV 対応の NIC の存在を検出し、ノードに
node.alpha.kubernetes-incubator.io/nfd-network-sriov.capable = true
ラベルを付けます。 各ノードの
SriovNetworkNodeState
CR を調べます。interfaces
スタンザには、ワーカーノード上の SR-IOV Network Operator によって検出されるすべての SR-IOV デバイスの一覧が含まれます。次のコマンドを使用して、各ノードにfeature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true"
というラベルを付けます。$ oc label node <node_name> feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable="true"
注記任意の名前でノードにラベルを付けることができます。
23.8.2. 1 つの sysctl フラグの設定
SR-IOV ネットワークデバイスに接続された Pod のインターフェイスレベルのネットワーク sysctl
設定を設定できます。
この例では、作成された仮想インターフェイスで net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects
が 1
に設定されます。
sysctl-tuning-test
は、この例で使用される namespace です。
次のコマンドを使用して、
sysctl-tuning-test
namespace を作成します。$ oc create namespace sysctl-tuning-test
23.8.2.1. SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードで 1 つの sysctl フラグを設定する
SR-IOV Network Operator は SriovNetworkNodePolicy.sriovnetwork.openshift.io
カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。SR-IOV ネットワークデバイスは、SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成して設定できます。
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用すると、SR-IOV Operator がノードをドレインして再起動する場合があります。
設定の変更が適用されるまでに数分の時間がかかる場合があります。
この手順に従って、SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成します。
手順
SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成します。たとえば、次の YAML をファイルpolicyoneflag-sriov-node-network.yaml
として保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policyoneflag 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: policyoneflag 3 nodeSelector: 4 feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable="true" priority: 10 5 numVfs: 5 6 nicSelector: 7 pfNames: ["ens5"] 8 deviceType: "netdevice" 9 isRdma: false 10
- 1
- カスタムリソースオブジェクトの名前。
- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- SR-IOV ネットワークデバイスプラグインのリソース名。1 つのリソース名に複数の SR-IOV ネットワークポリシーを作成できます。
- 4
- ノードセレクターは設定するノードを指定します。選択したノード上の SR-IOV ネットワークデバイスのみが設定されます。SR-IOV Container Network Interface (CNI) プラグインおよびデバイスプラグインは、選択したノードにのみデプロイされます。
- 5
- オプション: 優先度は
0
から99
までの整数値で指定されます。値が小さいほど優先度が高くなります。たとえば、10
の優先度は99
よりも高くなります。デフォルト値は99
です。 - 6
- SR-IOV 物理ネットワークデバイス用に作成する Virtual Function (VF) の数。Intel ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の場合、VF の数はデバイスがサポートする VF の合計よりも大きくすることはできません。Mellanox NIC の場合、VF の数は
127
よりも大きくすることはできません。 - 7
- NIC セレクターは、Operator が設定するデバイスを特定します。すべてのパラメーターの値を指定する必要はありません。意図せずにデバイスを選択しないように、ネットワークデバイスを極めて正確に特定することが推奨されます。
rootDevices
を指定する場合、vendor
、deviceID
、またはpfNames
の値も指定する必要があります。pfNames
およびrootDevices
の両方を同時に指定する場合、それらが同一のデバイスを参照していることを確認します。netFilter
の値を指定する場合、ネットワーク ID は一意の ID であるためにその他のパラメーターを指定する必要はありません。 - 8
- オプション: 1 つ以上のデバイスの物理機能 (PF) 名の配列。
- 9
- オプション: Virtual Function のドライバータイプ。許可される唯一の値は
netdevice
です。ベアメタルノードで Mellanox NIC を DPDK モードで動作させるには、isRdma
をtrue
に設定します。 - 10
- オプション: Remote Direct Memory Access (RDMA) モードを有効にするかどうかを設定します。デフォルト値は
false
です。isRdma
パラメーターがtrue
に設定される場合、引き続き RDMA 対応の VF を通常のネットワークデバイスとして使用できます。デバイスはどちらのモードでも使用できます。isRdma
をtrue
に設定し、追加のneedVhostNet
をtrue
に設定して、Fast Datapath DPDK アプリケーションで使用する Mellanox NIC を設定します。
注記vfio-pci
ドライバータイプはサポートされていません。SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f policyoneflag-sriov-node-network.yaml
設定の更新が適用された後に、
sriov-network-operator
namespace 変更のすべての Pod がRunning
ステータスに移行します。SR-IOV ネットワークデバイスが設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。
<node_name>
を、設定したばかりの SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードの名前に置き換えます。$ oc get sriovnetworknodestates -n openshift-sriov-network-operator <node_name> -o jsonpath='{.status.syncStatus}'
出力例
Succeeded
23.8.2.2. SR-IOV ネットワークでの sysctl の設定
SriovNetwork
リソースのオプションの metaPlugins
パラメーターにチューニング設定を追加することで、SR-IOV により作成された仮想インターフェイスにインターフェイス固有の sysctl
設定を設定できます。
SR-IOV Network Operator は追加ネットワークの定義を管理します。作成する追加ネットワークを指定する場合、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
SR-IOV Network Operator が管理する NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースは編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
インターフェイスレベルのネットワーク net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects
sysctl
設定を変更するには、Container Network Interface (CNI) チューニングプラグインを使用して追加の SR-IOV ネットワークを作成します。
前提条件
- OpenShift Container Platform CLI (oc) をインストールします。
- cluster-admin 権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインします。
手順
追加の SR-IOV ネットワーク割り当て用の
SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成し、以下のサンプル CR のようにmetaPlugins
設定を挿入します。YAML をsriov-network-interface-sysctl.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: onevalidflag 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: policyoneflag 3 networkNamespace: sysctl-tuning-test 4 ipam: '{ "type": "static" }' 5 capabilities: '{ "mac": true, "ips": true }' 6 metaPlugins : | 7 { "type": "tuning", "capabilities":{ "mac":true }, "sysctl":{ "net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects": "1" } }
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ NetworkAttachmentDefinition オブジェクトを作成します。
- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。- 5
- YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトプラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
- 6
- オプション: 追加のネットワークの機能を設定します。IP アドレスのサポートを有効にするには、
"{ "ips": true }"
を指定できます。または、MAC アドレスのサポートを有効にするには"{ "mac": true }"
を指定します。 - 7
- オプション: metaPlugins パラメーターは、デバイスに機能を追加するために使用されます。このユースケースでは、
type
フィールドをtuning
に設定します。設定したいインターフェイスレベルのネットワークsysctl
をsysctl
フィールドに指定します。
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network-interface-sysctl.yaml
NetworkAttachmentDefinition
CR が正常に作成されることの確認
以下のコマンドを実行して、SR-IOV Network Operator が
NetworkAttachmentDefinition
CR を作成していることを確認します。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace> 1
- 1
<namespace>
を、SriovNetwork
オブジェクトで指定したnetworkNamespace
の値に置き換えます。たとえば、sysctl-tuning-test
です。
出力例
NAME AGE onevalidflag 14m
注記SR-IOV Network Operator が CR を作成するまでに遅延が生じる可能性があります。
追加の SR-IOV ネットワーク割り当てが正常であることの確認
チューニング CNI が正しく設定され、追加の SR-IOV ネットワーク割り当てが接続されていることを確認するには、以下を実行します。
Pod
CR を作成します。次の YAML をexamplepod.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: tunepod namespace: sysctl-tuning-test annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "onevalidflag", 1 "mac": "0a:56:0a:83:04:0c", 2 "ips": ["10.100.100.200/24"] 3 } ] spec: containers: - name: podexample image: centos command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"] securityContext: runAsUser: 2000 runAsGroup: 3000 allowPrivilegeEscalation: false capabilities: drop: ["ALL"] securityContext: runAsNonRoot: true seccompProfile: type: RuntimeDefault
- 1
- SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR の名前。
- 2
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの MAC アドレス。この機能を使用するには、SriovNetwork オブジェクトで
{ "mac": true }
も指定する必要があります。 - 3
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの IP アドレス。IPv4 と IPv6 アドレスの両方がサポートされます。この機能を使用するには、
SriovNetwork
オブジェクトで{ "ips": true }
も指定する必要があります。
Pod
CR を作成します。$ oc apply -f examplepod.yaml
次のコマンドを実行して、Pod が作成されていることを確認します。
$ oc get pod -n sysctl-tuning-test
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE tunepod 1/1 Running 0 47s
次のコマンドを実行して、Pod にログインします。
$ oc rsh -n sysctl-tuning-test tunepod
設定された sysctl フラグの値を確認します。次のコマンドを実行して、
net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects
の値を見つけます。$ sysctl net.ipv4.conf.net1.accept_redirects
出力例
net.ipv4.conf.net1.accept_redirects = 1
23.8.3. ボンディングされた SR-IOV インターフェイスフラグに関連付けられた Pod の sysctl 設定の設定
ボンディングされた SR-IOV ネットワークデバイスに接続された Pod のインターフェイスレベルのネットワーク sysctl
設定を設定できます。
この例では、設定可能な特定のネットワークインターフェイスレベルの sysctl
設定がボンドインターフェイスに設定されています。
この例では、sysctl-tuning-test
namespace が使用されています。
手順
次のコマンドを使用して、
sysctl-tuning-test
namespace を作成します。$ oc create namespace sysctl-tuning-test
23.8.3.1. SR-IOV ネットワークデバイスがボンドされたノードですべての sysctl フラグを設定する
SR-IOV Network Operator は SriovNetworkNodePolicy.sriovnetwork.openshift.io
カスタムリソース定義 (CRD) を OpenShift Container Platform に追加します。SR-IOV ネットワークデバイスは、SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成して設定できます。
SriovNetworkNodePolicy オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。
設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。
この手順に従って、SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成します。
手順
SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース (CR) を作成します。次の YAML をpolicyallflags-sriov-node-network.yaml
ファイルとして保存します。policyallflags
を設定の名前に置き換えます。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policyallflags 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: policyallflags 3 nodeSelector: 4 node.alpha.kubernetes-incubator.io/nfd-network-sriov.capable = `true` priority: 10 5 numVfs: 5 6 nicSelector: 7 pfNames: ["ens1f0"] 8 deviceType: "netdevice" 9 isRdma: false 10
- 1
- カスタムリソースオブジェクトの名前。
- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- SR-IOV ネットワークデバイスプラグインのリソース名。1 つのリソース名に複数の SR-IOV ネットワークポリシーを作成できます。
- 4
- ノードセレクターは設定するノードを指定します。選択したノード上の SR-IOV ネットワークデバイスのみが設定されます。SR-IOV Container Network Interface (CNI) プラグインおよびデバイスプラグインは、選択したノードにのみデプロイされます。
- 5
- オプション: 優先度は
0
から99
までの整数値で指定されます。値が小さいほど優先度が高くなります。たとえば、10
の優先度は99
よりも高くなります。デフォルト値は99
です。 - 6
- SR-IOV 物理ネットワークデバイス用に作成する Virtual Function (VF) の数。Intel ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の場合、VF の数はデバイスがサポートする VF の合計よりも大きくすることはできません。Mellanox NIC の場合、VF の数は
127
よりも大きくすることはできません。 - 7
- NIC セレクターは、Operator が設定するデバイスを特定します。すべてのパラメーターの値を指定する必要はありません。意図せずにデバイスを選択しないように、ネットワークデバイスを極めて正確に特定することが推奨されます。
rootDevices
を指定する場合、vendor
、deviceID
、またはpfNames
の値も指定する必要があります。pfNames
およびrootDevices
の両方を同時に指定する場合、それらが同一のデバイスを参照していることを確認します。netFilter
の値を指定する場合、ネットワーク ID は一意の ID であるためにその他のパラメーターを指定する必要はありません。 - 8
- オプション: 1 つ以上のデバイスの物理機能 (PF) 名の配列。
- 9
- オプション: Virtual Function のドライバータイプ。許可される唯一の値は
netdevice
です。ベアメタルノードで Mellanox NIC を DPDK モードで動作させるには、isRdma
をtrue
に設定します。 - 10
- オプション: Remote Direct Memory Access (RDMA) モードを有効にするかどうかを設定します。デフォルト値は
false
です。isRdma
パラメーターがtrue
に設定される場合、引き続き RDMA 対応の VF を通常のネットワークデバイスとして使用できます。デバイスはどちらのモードでも使用できます。isRdma
をtrue
に設定し、追加のneedVhostNet
をtrue
に設定して、Fast Datapath DPDK アプリケーションで使用する Mellanox NIC を設定します。
注記vfio-pci
ドライバータイプはサポートされていません。SriovNetworkNodePolicy オブジェクトを作成します。
$ oc create -f policyallflags-sriov-node-network.yaml
設定の更新が適用された後に、sriov-network-operator namespace のすべての Pod が
Running
ステータスに移行します。SR-IOV ネットワークデバイスが設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。
<node_name>
を、設定したばかりの SR-IOV ネットワークデバイスを持つノードの名前に置き換えます。$ oc get sriovnetworknodestates -n openshift-sriov-network-operator <node_name> -o jsonpath='{.status.syncStatus}'
出力例
Succeeded
23.8.3.2. ボンディングされた SR-IOV ネットワークでの sysctl の設定
2 つの SR-IOV インターフェイスから作成されたボンドインターフェイスで、インターフェイス固有の sysctl
設定を設定できます。これを行うには、bond ネットワーク接続定義のオプションの Plugins
パラメーターにチューニング設定を追加します。
SR-IOV Network Operator が管理する NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースは編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
特定のインターフェイスレベルのネットワーク sysctl
設定を変更するには、次の手順を使用して、Container Network Interface (CNI) チューニングプラグインを使用して、SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成します。
前提条件
- OpenShift Container Platform CLI (oc) をインストールします。
- cluster-admin 権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインします。
手順
次の例の CR のように、ボンドされたインターフェイスの
SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成します。YAML をsriov-network-attachment.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: allvalidflags 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: policyallflags 3 networkNamespace: sysctl-tuning-test 4 capabilities: '{ "mac": true, "ips": true }' 5
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ NetworkAttachmentDefinition オブジェクトを作成します。
- 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。- 5
- オプション: この追加ネットワークに設定する機能。IP アドレスのサポートを有効にするには、
"{ "ips": true }"
を指定できます。または、MAC アドレスのサポートを有効にするには"{ "mac": true }"
を指定します。
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-network-attachment.yaml
次の例の CR のように、ボンドネットワーク接続定義を作成します。YAML を
sriov-bond-network-interface.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: bond-sysctl-network namespace: sysctl-tuning-test spec: config: '{ "cniVersion":"0.4.0", "name":"bound-net", "plugins":[ { "type":"bond", 1 "mode": "active-backup", 2 "failOverMac": 1, 3 "linksInContainer": true, 4 "miimon": "100", "links": [ 5 {"name": "net1"}, {"name": "net2"} ], "ipam":{ 6 "type":"static" } }, { "type":"tuning", 7 "capabilities":{ "mac":true }, "sysctl":{ "net.ipv4.conf.IFNAME.accept_redirects": "0", "net.ipv4.conf.IFNAME.accept_source_route": "0", "net.ipv4.conf.IFNAME.disable_policy": "1", "net.ipv4.conf.IFNAME.secure_redirects": "0", "net.ipv4.conf.IFNAME.send_redirects": "0", "net.ipv6.conf.IFNAME.accept_redirects": "0", "net.ipv6.conf.IFNAME.accept_source_route": "1", "net.ipv6.neigh.IFNAME.base_reachable_time_ms": "20000", "net.ipv6.neigh.IFNAME.retrans_time_ms": "2000" } } ] }'
- 1
- タイプは
bond
です。 - 2
mode
属性は、ボンドモードを指定します。サポートされているボンドモードは次のとおりです。-
balance-rr
- 0 -
active-backup
- 1 balance-xor
- 2balance-rr
またはbalance-xor
モードの場合には、SR-IOV Virtual Function のtrust
モードをon
に設定する必要があります。
-
- 3
failover
属性は、active-backup モードでは必須です。- 4
linksInContainer=true
フラグは、必要なインターフェイスがコンテナー内にあることをボンディング CNI に通知します。デフォルトでは、ボンディング CNI は、SRIOV および Multus との統合で機能しないホストで、このようなインターフェイスを検索します。- 5
links
セクションは、結合の作成に使用するインターフェイスを定義します。デフォルトでは、Multus は接続されたインターフェイスに "net" と 1 から始まる連続した番号の名前を付けます。- 6
- YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトプラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。この Pod の例では、IP アドレスは手動で設定されているため、この場合、
ipam
は static に設定されています。 - 7
- デバイスに追加の機能を追加します。たとえば、
type
フィールドをtuning
に設定します。設定したいインターフェイスレベルのネットワークsysctl
を sysctl フィールドに指定します。この例では、設定可能なすべてのインターフェイスレベルのネットワークsysctl
設定を設定します。
ボンドネットワーク接続リソースを作成します。
$ oc create -f sriov-bond-network-interface.yaml
NetworkAttachmentDefinition
CR が正常に作成されることの確認
以下のコマンドを実行して、SR-IOV Network Operator が
NetworkAttachmentDefinition
CR を作成していることを確認します。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace> 1
- 1
<namespace>
は、ネットワーク割り当ての設定時に指定した networkNamespace に置き換えます (例:sysctl-tuning-test)
。
出力例
NAME AGE bond-sysctl-network 22m allvalidflags 47m
注記SR-IOV Network Operator が CR を作成するまでに遅延が生じる可能性があります。
SR-IOV ネットワークリソースの追加が成功したことの確認
チューニング CNI が正しく設定され、追加の SR-IOV ネットワーク割り当てが接続されていることを確認するには、以下を実行します。
Pod
CR を作成します。たとえば、次の YAML をexamplepod.yaml
ファイルとして保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: tunepod namespace: sysctl-tuning-test annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ {"name": "allvalidflags"}, 1 {"name": "allvalidflags"}, { "name": "bond-sysctl-network", "interface": "bond0", "mac": "0a:56:0a:83:04:0c", 2 "ips": ["10.100.100.200/24"] 3 } ] spec: containers: - name: podexample image: centos command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"] securityContext: runAsUser: 2000 runAsGroup: 3000 allowPrivilegeEscalation: false capabilities: drop: ["ALL"] securityContext: runAsNonRoot: true seccompProfile: type: RuntimeDefault
- 1
- SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR の名前。
- 2
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの MAC アドレス。この機能を使用するには、SriovNetwork オブジェクトで
{ "mac": true }
も指定する必要があります。 - 3
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの IP アドレス。IPv4 と IPv6 アドレスの両方がサポートされます。この機能を使用するには、
SriovNetwork
オブジェクトで{ "ips": true }
も指定する必要があります。
YAML を適用します。
$ oc apply -f examplepod.yaml
次のコマンドを実行して、Pod が作成されていることを確認します。
$ oc get pod -n sysctl-tuning-test
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE tunepod 1/1 Running 0 47s
次のコマンドを実行して、Pod にログインします。
$ oc rsh -n sysctl-tuning-test tunepod
設定された
sysctl
フラグの値を確認します。次のコマンドを実行して、net.ipv6.neigh.IFNAME.base_reachable_time_ms
の値を見つけます。$ sysctl net.ipv6.neigh.bond0.base_reachable_time_ms
出力例
net.ipv6.neigh.bond0.base_reachable_time_ms = 20000
23.8.4. オールマルチキャストモード
特にルートレスアプリケーションのコンテキストでは、オールマルチキャストモードを有効にすることが重要です。このモードを有効にしない場合は、Pod のセキュリティーコンテキスト制約 (SCC) に NET_ADMIN
ケイパビリティーを付与する必要があります。NET_ADMIN
ケイパビリティーを使用して、特定の要件を超える変更を行う権限を Pod に付与すると、セキュリティーの脆弱性が露呈する可能性があります。
チューニング CNI プラグインは、オールマルチキャストモードを含め、いくつかのインターフェイス属性の変更をサポートしています。このモードを有効にすると、SR-IOV ネットワークデバイス上で設定された Virtual Function (VF) 上で実行されているアプリケーションは、接続されている物理機能が同じか異なるかにかかわらず、他の VF 上のアプリケーションからマルチキャストトラフィックを受信できます。
23.8.4.1. SR-IOV ネットワーク上でオールマルチキャストモードを有効にする
SR-IOV インターフェイスでオールマルチキャストモードを有効にするには、次の方法があります。
-
SriovNetwork
リソースのmetaPlugins
パラメーターにチューニング設定を追加します。 チューニング設定で、
allmulti
フィールドをtrue
に設定します。注記信頼を有効にして Virtual Function (VF) を作成していることを確認してください。
SR-IOV Network Operator は追加ネットワークの定義を管理します。作成する追加ネットワークを指定する場合、SR-IOV Network Operator は NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を自動的に作成します。
SR-IOV Network Operator が管理する NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースは編集しないでください。これを実行すると、追加ネットワークのネットワークトラフィックが中断する可能性があります。
このガイダンスに従って、SR-IOV ネットワーク上でオールマルチキャストモードを有効にします。
前提条件
- OpenShift Container Platform CLI (oc) がインストールされている。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインしている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
-
適切な
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを設定している。
手順
Mellanox ConnectX-5 デバイスの
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを定義する次の設定を使用して、YAML ファイルを作成します。YAML ファイルをsriovnetpolicy-mlx.yaml
として保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriovnetpolicy-mlx namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice nicSelector: deviceID: "1017" pfNames: - ens8f0np0#0-9 rootDevices: - 0000:d8:00.0 vendor: "15b3" nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 10 priority: 99 resourceName: resourcemlx
-
オプション: SR-IOV 対応クラスターノードにラベルが付けられていない場合は、
SriovNetworkNodePolicy.Spec.NodeSelector
ラベルを追加します。ノードのラベル付けの詳細は、「ノードのラベルを更新する方法について」を参照してください。 以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f sriovnetpolicy-mlx.yaml
設定の更新を適用すると、
sriov-network-operator
namespace 内のすべての Pod が自動的にRunning
ステータスに移行します。次のコマンドを実行して、
enable-allmulti-test
namespace を作成します。$ oc create namespace enable-allmulti-test
追加の SR-IOV ネットワーク接続用の
SriovNetwork
カスタムリソース (CR) を作成し、以下のサンプル CR YAML のようにmetaPlugins
設定を挿入し、そのファイルをsriov-enable-all-multicast.yaml
として保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: enableallmulti 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: enableallmulti 3 networkNamespace: enable-allmulti-test 4 ipam: '{ "type": "static" }' 5 capabilities: '{ "mac": true, "ips": true }' 6 trust: "on" 7 metaPlugins : | 8 { "type": "tuning", "capabilities":{ "mac":true }, "allmulti": true } }
- 1
- オブジェクトの名前を指定します。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。 - 2
- SR-IOV Network Operator がインストールされている namespace を指定します。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーター値を指定します。 - 4
SriovNetwork
オブジェクトのターゲット namespace を指定します。ターゲット namespace の Pod のみを追加ネットワークに割り当てることができます。- 5
- IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトを YAML ブロックスケーラーとして指定します。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
- 6
- オプション: 追加のネットワークの機能を設定します。IP アドレスのサポートを有効にするには、
"{ "ips": true }"
を指定できます。または、MAC アドレスのサポートを有効にするには"{ "mac": true }"
を指定します。 - 7
- Virtual Function の信頼モードを指定します。これは "on" に設定する必要があります。
- 8
metaPlugins
パラメーターを使用して、デバイスにケイパビリティーをさらに追加します。このユースケースでは、type
フィールドをtuning
に設定し、allmulti
フィールドを追加してtrue
に設定します。
次のコマンドを実行して、
SriovNetwork
リソースを作成します。$ oc create -f sriov-enable-all-multicast.yaml
NetworkAttachmentDefinition
CR の検証
以下のコマンドを実行して、SR-IOV Network Operator が
NetworkAttachmentDefinition
CR を作成していることを確認します。$ oc get network-attachment-definitions -n <namespace> 1
- 1
<namespace>
を、SriovNetwork
オブジェクトで指定したnetworkNamespace
の値に置き換えます。この例では、enable-allmulti-test
です。
出力例
NAME AGE enableallmulti 14m
注記SR-IOV Network Operator が CR を作成するまでに遅延が生じる可能性があります。
次のコマンドを実行して、SR-IOV ネットワークリソースに関する情報を表示します。
$ oc get sriovnetwork -n openshift-sriov-network-operator
チューニング CNI が正しく設定されていることを確認する
チューニング CNI が正しく設定されていること、および追加の SR-IOV ネットワーク接続が割り当てられていることを確認するには、次の手順を実行します。
Pod
CR を作成します。次のサンプル YAML をexamplepod.yaml
という名前のファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: samplepod namespace: enable-allmulti-test annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "enableallmulti", 1 "mac": "0a:56:0a:83:04:0c", 2 "ips": ["10.100.100.200/24"] 3 } ] spec: containers: - name: podexample image: centos command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"] securityContext: runAsUser: 2000 runAsGroup: 3000 allowPrivilegeEscalation: false capabilities: drop: ["ALL"] securityContext: runAsNonRoot: true seccompProfile: type: RuntimeDefault
- 1
- SR-IOV network attachment definition CR の名前を指定します。
- 2
- オプション: SR-IOV network attachment definition CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの MAC アドレスを指定します。この機能を使用するには、SriovNetwork オブジェクトで
{"mac": true}
も指定する必要があります。 - 3
- オプション: SR-IOV ネットワーク割り当て定義 CR で定義されるリソースタイプから割り当てられる SR-IOV デバイスの IP アドレスを指定します。IPv4 と IPv6 アドレスの両方がサポートされます。この機能を使用するには、
SriovNetwork
オブジェクトで{ "ips": true }
も指定する必要があります。
以下のコマンドを実行して
Pod
を作成します。$ oc apply -f examplepod.yaml
次のコマンドを実行して、Pod が作成されていることを確認します。
$ oc get pod -n enable-allmulti-test
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE samplepod 1/1 Running 0 47s
次のコマンドを実行して、Pod にログインします。
$ oc rsh -n enable-allmulti-test samplepod
次のコマンドを実行して、Pod に関連付けられているすべてのインターフェイスをリスト表示します。
sh-4.4# ip link
出力例
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 2: eth0@if22: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 8901 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default link/ether 0a:58:0a:83:00:10 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 1 3: net1@if24: <BROADCAST,MULTICAST,ALLMULTI,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default link/ether ee:9b:66:a4:ec:1d brd ff:ff:ff:ff:ff:ff link-netnsid 0 2
23.8.5. 関連情報
23.9. 高パフォーマンスのマルチキャストの使用
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ハードウェアネットワーク上でマルチキャストを使用できます。
23.9.1. 高パフォーマンスのマルチキャスト
OpenShift SDN ネットワークプラグインは、デフォルトネットワーク上の Pod 間のマルチキャストをサポートします。これは低帯域幅の調整またはサービスの検出での使用に最も適しており、高帯域幅のアプリケーションには適していません。インターネットプロトコルテレビ (IPTV) やマルチポイントビデオ会議など、ストリーミングメディアなどのアプリケーションでは、Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ハードウェアを使用してネイティブに近いパフォーマンスを提供できます。
マルチキャストに追加の SR-IOV インターフェイスを使用する場合:
- マルチキャストパッケージは、追加の SR-IOV インターフェイス経由で Pod によって送受信される必要があります。
- SR-IOV インターフェイスに接続する物理ネットワークは、OpenShift Container Platform で制御されないマルチキャストルーティングとトポロジーを判別します。
23.9.2. マルチキャストでの SR-IOV インターフェイスの設定
以下の手順では、サンプルのマルチキャスト用の SR-IOV インターフェイスを作成します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: policy-example namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: example nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 4 nicSelector: vendor: "8086" pfNames: ['ens803f0'] rootDevices: ['0000:86:00.0']
SriovNetwork
オブジェクトを作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: net-example namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: default ipam: | 1 { "type": "host-local", 2 "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "routes": [ {"dst": "224.0.0.0/5"}, {"dst": "232.0.0.0/5"} ], "gateway": "10.56.217.1" } resourceName: example
マルチキャストアプリケーションで Pod を作成します。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: testpmd namespace: default annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: nic1 spec: containers: - name: example image: rhel7:latest securityContext: capabilities: add: ["NET_ADMIN"] 1 command: [ "sleep", "infinity"]
- 1
NET_ADMIN
機能は、アプリケーションがマルチキャスト IP アドレスを SR-IOV インターフェイスに割り当てる必要がある場合にのみ必要です。それ以外の場合は省略できます。
23.10. DPDK および RDMA の使用
コンテナー化された Data Plane Development Kit (DPDK) アプリケーションは OpenShift Container Platform でサポートされています。Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワークハードウェアは、Data Plane Development Kit (DPDK) および Remote Direct Memory Access (RDMA) で利用できます。
サポートされているデバイスについては、サポートされているデバイス を参照してください。
23.10.1. Intel NIC を使用した DPDK モードでの Virtual Function の使用
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - SR-IOV Network Operator をインストールします。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成してから、YAML をintel-dpdk-node-policy.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: intel-dpdk-node-policy namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: intelnics nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" priority: <priority> numVfs: <num> nicSelector: vendor: "8086" deviceID: "158b" pfNames: ["<pf_name>", ...] rootDevices: ["<pci_bus_id>", "..."] deviceType: vfio-pci 1
- 1
- Virtual Function のドライバータイプを
vfio-pci
に指定します。
注記SriovNetworkNodePolicy
の各オプションに関する詳細は、Configuring SR-IOV network devices
セクションを参照してください。SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。設定の変更が適用されるまでに数分の時間がかかる場合があります。エビクトされたワークロードを処理するために、クラスター内に利用可能なノードが十分にあることを前もって確認します。設定の更新が適用された後に、
openshift-sriov-network-operator
namespace のすべての Pod がRunning
ステータスに変更されます。以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f intel-dpdk-node-policy.yaml
以下の
SriovNetwork
オブジェクトを作成してから、YAML をintel-dpdk-network.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: intel-dpdk-network namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: <target_namespace> ipam: |- # ... 1 vlan: <vlan> resourceName: intelnics
- 1
- IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトを YAML ブロックスケーラーとして指定します。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
注記SriovNetwork
の各オプションに関する詳細は、「SR-IOV の追加ネットワークの設定」セクションを参照してください。オプションのライブラリー app-netutil は、コンテナーの親 Pod に関するネットワーク情報を収集するための複数の API メソッドを提供します。
以下のコマンドを実行して、
SriovNetwork
オブジェクトを作成します。$ oc create -f intel-dpdk-network.yaml
以下の
Pod
仕様を作成してから、YAML をintel-dpdk-pod.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: dpdk-app namespace: <target_namespace> 1 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: intel-dpdk-network spec: containers: - name: testpmd image: <DPDK_image> 2 securityContext: runAsUser: 0 capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_RESOURCE","NET_RAW"] 3 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge 4 name: hugepage resources: limits: openshift.io/intelnics: "1" 5 memory: "1Gi" cpu: "4" 6 hugepages-1Gi: "4Gi" 7 requests: openshift.io/intelnics: "1" memory: "1Gi" cpu: "4" hugepages-1Gi: "4Gi" command: ["sleep", "infinity"] volumes: - name: hugepage emptyDir: medium: HugePages
- 1
SriovNetwork
オブジェクトのintel-dpdk-network
が作成される同じtarget_namespace
を指定します。Pod を異なる namespace に作成する場合、target_namespace
をPod
仕様およびSriovNetwork
オブジェクトの両方で変更します。- 2
- アプリケーションとアプリケーションが使用する DPDK ライブラリーが含まれる DPDK イメージを指定します。
- 3
- hugepage の割り当て、システムリソースの割り当て、およびネットワークインターフェイスアクセス用のコンテナー内のアプリケーションに必要な追加機能を指定します。
- 4
- hugepage ボリュームを
/mnt/huge
の下の DPDK Pod にマウントします。hugepage ボリュームは、メディアがHugepages
に指定されている emptyDir ボリュームタイプでサポートされます。 - 5
- オプション: DPDK Pod に割り当てられる DPDK デバイスの数を指定します。このリソース要求および制限は、明示的に指定されていない場合、SR-IOV ネットワークリソースインジェクターによって自動的に追加されます。SR-IOV ネットワークリソースインジェクターは、SR-IOV Operator によって管理される受付コントローラーコンポーネントです。これはデフォルトで有効にされており、デフォルト
SriovOperatorConfig
CR でenableInjector
オプションをfalse
に設定して無効にすることができます。 - 6
- CPU の数を指定します。DPDK Pod には通常、kubelet から排他的 CPU を割り当てる必要があります。これは、CPU マネージャーポリシーを
static
に設定し、Guaranteed
QoS を持つ Pod を作成して実行されます。 - 7
- hugepage サイズ
hugepages-1Gi
またはhugepages-2Mi
を指定し、DPDK Pod に割り当てられる hugepage の量を指定します。2Mi
および1Gi
hugepage を別々に設定します。1Gi
hugepage を設定するには、カーネル引数をノードに追加する必要があります。たとえば、カーネル引数default_hugepagesz=1GB
、hugepagesz=1G
およびhugepages=16
を追加すると、16*1Gi
hugepage がシステムの起動時に割り当てられます。
以下のコマンドを実行して DPDK Pod を作成します。
$ oc create -f intel-dpdk-pod.yaml
23.10.2. Mellanox NIC を使用した DPDK モードでの Virtual Function の使用
Mellanox NIC で DPDK モードの Virtual Function を使用して、ネットワークノードポリシーを作成し、Data Plane Development Kit (DPDK) Pod を作成できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) Network Operator がインストールされている。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
次の
SriovNetworkNodePolicy
YAML 設定をmlx-dpdk-node-policy.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: mlx-dpdk-node-policy namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: mlxnics nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" priority: <priority> numVfs: <num> nicSelector: vendor: "15b3" deviceID: "1015" 1 pfNames: ["<pf_name>", ...] rootDevices: ["<pci_bus_id>", "..."] deviceType: netdevice 2 isRdma: true 3
注記SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトの各オプションの詳細な説明は、SR-IOV ネットワークデバイスの設定 を参照してください。SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。エビクトされたワークロードを処理するために、クラスター内に利用可能なノードが十分にあることを前もって確認します。設定の更新が適用された後に、
openshift-sriov-network-operator
namespace のすべての Pod がRunning
ステータスに変更されます。以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f mlx-dpdk-node-policy.yaml
次の
SriovNetwork
YAML 設定をmlx-dpdk-network.yaml
ファイルに保存します:apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: mlx-dpdk-network namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: <target_namespace> ipam: |- 1 ... vlan: <vlan> resourceName: mlxnics
- 1
- IP アドレス管理 (IPAM) コンテナーネットワークインターフェイス (CNI) プラグインの設定オブジェクトを YAML ブロックスカラーとして指定します。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
注記SriovNetwork
オブジェクトの各オプションの詳細な説明は、SR-IOV ネットワークデバイスの設定 を参照してください。app-netutil
オプションライブラリーには、コンテナーの親 Pod に関するネットワーク情報を収集するための API メソッドが複数あります。以下のコマンドを実行して、
SriovNetwork
オブジェクトを作成します。$ oc create -f mlx-dpdk-network.yaml
次の
Pod
YAML 設定をmlx-dpdk-pod.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: dpdk-app namespace: <target_namespace> 1 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: mlx-dpdk-network spec: containers: - name: testpmd image: <DPDK_image> 2 securityContext: runAsUser: 0 capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_RESOURCE","NET_RAW"] 3 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge 4 name: hugepage resources: limits: openshift.io/mlxnics: "1" 5 memory: "1Gi" cpu: "4" 6 hugepages-1Gi: "4Gi" 7 requests: openshift.io/mlxnics: "1" memory: "1Gi" cpu: "4" hugepages-1Gi: "4Gi" command: ["sleep", "infinity"] volumes: - name: hugepage emptyDir: medium: HugePages
- 1
SriovNetwork
オブジェクトのmlx-dpdk-network
が作成される同じtarget_namespace
を指定します。別の namespace で Pod を作成するには、Pod
仕様とSriovNetwork
オブジェクトの両方でtarget_namespace
を変更します。- 2
- アプリケーションとアプリケーションが使用する DPDK ライブラリーが含まれる DPDK イメージを指定します。
- 3
- hugepage の割り当て、システムリソースの割り当て、およびネットワークインターフェイスアクセス用のコンテナー内のアプリケーションに必要な追加機能を指定します。
- 4
- hugepage ボリュームを
/mnt/huge
の下の DPDK Pod にマウントします。hugepage ボリュームは、メディアがHugepages
に指定されているemptyDir
ボリュームタイプでサポートされます。 - 5
- オプション: DPDK Pod に割り当てられる DPDK デバイスの数を指定します。このリソース要求および制限は、明示的に指定されていない場合、SR-IOV ネットワークリソースインジェクターによって自動的に追加されます。SR-IOV ネットワークリソースインジェクターは、SR-IOV Operator によって管理される受付コントローラーコンポーネントです。これはデフォルトで有効にされており、デフォルト
SriovOperatorConfig
CR でenableInjector
オプションをfalse
に設定して無効にすることができます。 - 6
- CPU の数を指定します。DPDK Pod には通常、kubelet から排他的 CPU を割り当てる必要があります。これを行うには、CPU マネージャーポリシーを
static
に設定し、サービス品質 (QoS) がGuaranteed
の Pod を作成します。 - 7
- hugepage サイズ
hugepages-1Gi
またはhugepages-2Mi
を指定し、DPDK Pod に割り当てられる hugepage の量を指定します。2Mi
および1Gi
hugepage を別々に設定します。1Gi
hugepage を設定するには、カーネル引数をノードに追加する必要があります。
以下のコマンドを実行して DPDK Pod を作成します。
$ oc create -f mlx-dpdk-pod.yaml
23.10.3. TAP CNI を使用したカーネルアクセスでのルートレス DPDK ワークロード実行
DPDK アプリケーションは、ログメッセージなどの特定の種類のパケットを処理のためにカーネルに挿入するための例外パスとして virtio-user
を使用できます。この機能の詳細は、例外パスとしての Virtio_user を参照してください。
OpenShift Container Platform バージョン 4.14 以降では、非特権 Pod を使用して、tap CNI プラグインと一緒に DPDK アプリケーションを実行できます。この機能を有効にするには、SriovNetworkNodePolicy
オブジェクト内で needVhostNet
パラメーターを true
に設定して、vhost-net
デバイスをマウントする必要があります。
図23.1 DPDK と TAP の設定例
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 すべてのノードで
setsebools container_use_devices=on
が root として設定されていることを確認します。注記Machine Config Operator を使用して、この SELinux ブール値を設定します。
手順
次の例のような内容を含むファイル (
test-namespace.yaml
など) を作成します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: test-namespace labels: pod-security.kubernetes.io/enforce: privileged pod-security.kubernetes.io/audit: privileged pod-security.kubernetes.io/warn: privileged security.openshift.io/scc.podSecurityLabelSync: "false"
次のコマンドを実行して、
Namespace
オブジェクトを新規作成します。$ oc apply -f test-namespace.yaml
次の例のようなコンテンツを含むファイル (
sriov-node-network-policy.yaml
など) を作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriovnic namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice 1 isRdma: true 2 needVhostNet: true 3 nicSelector: vendor: "15b3" 4 deviceID: "101b" 5 rootDevices: ["00:05.0"] numVfs: 10 priority: 99 resourceName: sriovnic nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true"
- 1
- これは、プロファイルが Mellanox ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) 専用に調整されていることを示します。
- 2
isRdma
をtrue
に設定する必要があるのは、Mellanox NIC の場合のみです。- 3
- これにより、
/dev/net/tun
および/dev/vhost-net
デバイスがコンテナーにマウントされ、アプリケーションがタップデバイスを作成し、タップデバイスを DPDK ワークロードに接続できるようになります。 - 4
- SR-IOV ネットワークデバイスのベンダーの 16 進数コード。値 15b3 は Mellanox NIC に関連付けられています。
- 5
- SR-IOV ネットワークデバイスのデバイスの 16 進数コード。
以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f sriov-node-network-policy.yaml
次の
SriovNetwork
オブジェクトを作成し、YAML をsriov-network-attachment.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: sriov-network namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: test-namespace resourceName: sriovnic spoofChk: "off" trust: "on"
注記SriovNetwork
の各オプションに関する詳細は、「SR-IOV の追加ネットワークの設定」セクションを参照してください。オプションのライブラリー
app-netutil
は、コンテナーの親 Pod に関するネットワーク情報を収集するための複数の API メソッドを提供します。以下のコマンドを実行して、
SriovNetwork
オブジェクトを作成します。$ oc create -f sriov-network-attachment.yaml
次の例のような内容を含む、ネットワーク割り当て定義を指定するファイル (
tap-example.yaml
など) を作成します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: tap-one namespace: test-namespace 1 spec: config: '{ "cniVersion": "0.4.0", "name": "tap", "plugins": [ { "type": "tap", "multiQueue": true, "selinuxcontext": "system_u:system_r:container_t:s0" }, { "type":"tuning", "capabilities":{ "mac":true } } ] }'
- 1
SriovNetwork
オブジェクトが作成されるのと同じtarget_namespace
を指定します。
次のコマンドを実行して、
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f tap-example.yaml
次の例のような内容を含むファイル
(dpdk-pod-rootless.yaml
など) を作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: dpdk-app namespace: test-namespace 1 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ {"name": "sriov-network", "namespace": "test-namespace"}, {"name": "tap-one", "interface": "ext0", "namespace": "test-namespace"}]' spec: nodeSelector: kubernetes.io/hostname: "worker-0" securityContext: fsGroup: 1001 2 runAsGroup: 1001 3 seccompProfile: type: RuntimeDefault containers: - name: testpmd image: <DPDK_image> 4 securityContext: capabilities: drop: ["ALL"] 5 add: 6 - IPC_LOCK - NET_RAW #for mlx only 7 runAsUser: 1001 8 privileged: false 9 allowPrivilegeEscalation: true 10 runAsNonRoot: true 11 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge 12 name: hugepages resources: limits: openshift.io/sriovnic: "1" 13 memory: "1Gi" cpu: "4" 14 hugepages-1Gi: "4Gi" 15 requests: openshift.io/sriovnic: "1" memory: "1Gi" cpu: "4" hugepages-1Gi: "4Gi" command: ["sleep", "infinity"] runtimeClassName: performance-cnf-performanceprofile 16 volumes: - name: hugepages emptyDir: medium: HugePages
- 1
SriovNetwork
オブジェクトが作成されるのと同じtarget_namespace
を指定します。Pod を別の namespace に作成する場合は、target_namespace
をPod
仕様とSriovNetwork
オブジェクトの両方で変更します。- 2
- ボリュームにマウントされたディレクトリーおよびそれらのボリューム内に作成されたファイルのグループ所有権を設定します。
- 3
- コンテナーの実行に使用するプライマリーグループ ID を指定します。
- 4
- アプリケーションを含む DPDK イメージとアプリケーションで使用される DPDK ライブラリーを指定します。
- 5
- コンテナーの securityContext からすべての機能 (
ALL
) を削除すると、通常の操作に必要とされる権限以上の特権がコンテナーからなくなります。 - 6
- hugepage の割り当て、システムリソースの割り当て、およびネットワークインターフェイスアクセス用のコンテナー内のアプリケーションに必要な追加機能を指定します。これらの機能は、
setcap
コマンドを使用してバイナリーファイルでも設定する必要があります。 - 7
- Mellanox ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) には、
NET_RAW
機能が必要です。 - 8
- コンテナーの実行に使用するユーザー ID を指定します。
- 9
- この設定で、Pod 内のコンテナー (複数可) にホストシステムへの特権アクセスを許可しないように指定します。
- 10
- この設定を使用すると、コンテナーは、割り当てられている初期の root 以外の権限を超えて権限を昇格できます。
- 11
- また、この設定により、コンテナーは root 以外のユーザーで実行されます。これにより、最小特権の原則が適用され、コンテナーが不正アクセスされる可能性を最小限に抑えるとともに、攻撃対象領域を減少させます。
- 12
- hugepage ボリュームを
/mnt/huge
の下の DPDK Pod にマウントします。hugepage ボリュームは、メディアがHugepages
に指定されている emptyDir ボリュームタイプでサポートされます。 - 13
- オプション: DPDK Pod に割り当てられる DPDK デバイスの数を指定します。このリソース要求および制限は、明示的に指定されていない場合、SR-IOV ネットワークリソースインジェクターによって自動的に追加されます。SR-IOV ネットワークリソースインジェクターは、SR-IOV Operator によって管理される受付コントローラーコンポーネントです。これはデフォルトで有効にされており、デフォルト
SriovOperatorConfig
CR でenableInjector
オプションをfalse
に設定して無効にすることができます。 - 14
- CPU の数を指定します。DPDK Pod には通常、kubelet から排他的 CPU を割り当てる必要があります。これは、CPU マネージャーポリシーを
static
に設定し、Guaranteed
QoS を持つ Pod を作成して実行されます。 - 15
- hugepage サイズ
hugepages-1Gi
またはhugepages-2Mi
を指定し、DPDK Pod に割り当てられる hugepage の量を指定します。2Mi
および1Gi
hugepage を別々に設定します。1Gi
hugepage を設定するには、カーネル引数をノードに追加する必要があります。たとえば、カーネル引数default_hugepagesz=1GB
、hugepagesz=1G
およびhugepages=16
を追加すると、16*1Gi
hugepage がシステムの起動時に割り当てられます。 - 16
- パフォーマンスプロファイルの名前が
cnf-performance profile
でない場合は、その文字列を正しいパフォーマンスプロファイル名に置き換えます。
以下のコマンドを実行して DPDK Pod を作成します。
$ oc create -f dpdk-pod-rootless.yaml
23.10.4. 特定の DPDK ラインレート達成に関する概要
特定の Data Plane Development Kit (DPDK) ラインレートを実現するには、Node Tuning Operator をデプロイし、Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) を設定します。次のリソースの DPDK 設定も調整する必要があります。
- 分離された CPU
- hugepage
- トポロジースケジューラー
OpenShift Container Platform の以前のバージョンでは、パフォーマンスアドオン Operator を使用して自動チューニングを実装し、OpenShift Container Platform アプリケーションの低レイテンシーパフォーマンスを実現していました。OpenShift Container Platform 4.11 以降では、この機能は Node Tuning Operator の一部です。
DPDK テスト環境
次の図は、トラフィックテスト環境のコンポーネントを示しています。
- トラフィックジェネレーター: 大量のパケットトラフィックを生成できるアプリケーション。
- SR-IOV 対応 NIC: SR-IOV に対応したネットワークインターフェイスカードです。カードは、物理インターフェイス上で多数の Virtual Function を実行します。
- Physical Function (PF): SR-IOV インターフェイスをサポートするネットワークアダプターの PCI Express (PCIe) 機能。
- Virtual Function (VF): SR-IOV をサポートするネットワークアダプター上の軽量の PCIe 機能。VF は、ネットワークアダプターの PCIe PF に関連付けられています。VF は、ネットワークアダプターの仮想化されたインスタンスを表します。
- スイッチ: ネットワークスイッチ。ノードは中断なしに接続することもできます。
-
testpmd
: DPDK に含まれるサンプルアプリケーション。testpmd
アプリケーションを使用して、パケット転送モードで DPDK をテストできます。testpmd
アプリケーションは、DPDK ソフトウェア開発キット (SDK) を使用して本格的なアプリケーションを構築する方法の例でもあります。 - worker 0 および worker 1: OpenShift Container Platform ノード。
23.10.5. SR-IOV と Node Tuning Operator を使用した DPDK ラインレートの実現
Node Tuning Operator を使用して、分離された CPU、ヒュージページ、およびトポロジースケジューラーを設定できます。その後、Node Tuning Operator と Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) を使用して、特定の Data Plane Development Kit (DPDK) ラインレートを実現できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 スタンドアロン Node Tuning Operator をデプロイしている。
注記OpenShift Container Platform の以前のバージョンでは、パフォーマンスアドオン Operator を使用して自動チューニングを実装し、OpenShift アプリケーションの低レイテンシーパフォーマンスを実現していました。OpenShift Container Platform 4.11 以降では、この機能は Node Tuning Operator の一部です。
手順
次の例に基づいて
PerformanceProfile
オブジェクトを作成します。apiVersion: performance.openshift.io/v2 kind: PerformanceProfile metadata: name: performance spec: globallyDisableIrqLoadBalancing: true cpu: isolated: 21-51,73-103 1 reserved: 0-20,52-72 2 hugepages: defaultHugepagesSize: 1G 3 pages: - count: 32 size: 1G net: userLevelNetworking: true numa: topologyPolicy: "single-numa-node" nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker-cnf: ""
- 1
- システムでハイパースレッディングが有効になっている場合は、関連するシンボリックリンクを
isolated
およびreserved
の CPU グループに割り当てます。システムに複数の Non-Uniform Memory Access (NUMA) ノードが含まれている場合は、両方の NUMA から両方のグループに CPU を割り当てます。このタスクには Performance Profile Creator を使用することもできます。詳細は、コントロールプレーンプロファイルの作成 を参照してください。 - 2
- キューが予約済みの CPU 数に設定されているデバイスのリストを指定することもできます。詳細は、Node Tuning Operator を使用した NIC キューの削減 を参照してください。
- 3
- 必要なヒュージページの数とサイズを割り当てます。ヒュージページの NUMA 設定を指定できます。デフォルトでは、システムは、そのシステムにあるすべての NUMA ノードに偶数分を割り当てます。必要に応じて、ノードのリアルタイムカーネルの使用をリクエストできます。詳細は、リアルタイム機能を備えたワーカーのプロビジョニング を参照してください。
-
yaml
ファイルをmlx-dpdk-perfprofile-policy.yaml
として保存します。 次のコマンドを使用して、パフォーマンスプロファイルを適用します。
$ oc create -f mlx-dpdk-perfprofile-policy.yaml
23.10.5.1. Virtual Function の SR-IOV Network Operator の例
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Operator を使用して、ノード上の SR-IOV をサポートする Physical Function NIC から Virtual Function (VF) を割り当てて設定できます。
Operator のデプロイの詳細は、SR-IOV Network Operator のインストール を参照してください。SR-IOV ネットワークデバイスの設定の詳細は、SR-IOV ネットワークデバイスの設定 を参照してください。
Intel VF と Mellanox VF での Data Plane Development Kit (DPDK) ワークロードの実行にはいくつかの違いがあります。このセクションでは、両方の VF タイプのオブジェクト設定の例を示します。以下は、Intel NIC で DPDK アプリケーションを実行するために使用される sriovNetworkNodePolicy
オブジェクトの例です。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: dpdk-nic-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: vfio-pci 1 needVhostNet: true 2 nicSelector: pfNames: ["ens3f0"] nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker-cnf: "" numVfs: 10 priority: 99 resourceName: dpdk_nic_1 --- apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: dpdk-nic-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: vfio-pci needVhostNet: true nicSelector: pfNames: ["ens3f1"] nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker-cnf: "" numVfs: 10 priority: 99 resourceName: dpdk_nic_2
以下は、Mellanox NIC の sriovNetworkNodePolicy
オブジェクトの例です。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: dpdk-nic-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice 1 isRdma: true 2 nicSelector: rootDevices: - "0000:5e:00.1" nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker-cnf: "" numVfs: 5 priority: 99 resourceName: dpdk_nic_1 --- apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: dpdk-nic-2 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice isRdma: true nicSelector: rootDevices: - "0000:5e:00.0" nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker-cnf: "" numVfs: 5 priority: 99 resourceName: dpdk_nic_2
23.10.5.2. SR-IOV Network Operator の例
以下は、sriovNetwork
オブジェクトの定義例です。この場合、Intel と Mellanox の設定は同じです。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: dpdk-network-1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: ipam: '{"type": "host-local","ranges": [[{"subnet": "10.0.1.0/24"}]],"dataDir": "/run/my-orchestrator/container-ipam-state-1"}' 1 networkNamespace: dpdk-test 2 spoofChk: "off" trust: "on" resourceName: dpdk_nic_1 3 --- apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: dpdk-network-2 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: ipam: '{"type": "host-local","ranges": [[{"subnet": "10.0.2.0/24"}]],"dataDir": "/run/my-orchestrator/container-ipam-state-1"}' networkNamespace: dpdk-test spoofChk: "off" trust: "on" resourceName: dpdk_nic_2
- 1
- Whereabouts など、別の IP Address Management (IPAM) 実装を使用できます。詳細は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定 を参照してください。
- 2
- ネットワーク接続定義が作成される
networkNamespace
を要求する必要があります。openshift-sriov-network-operator
namespace でsriovNetwork
CR を作成する必要があります。 - 3
resourceName
の値は、sriovNetworkNodePolicy
で作成されたresourceName
の値と一致する必要があります。
23.10.5.3. DPDK ベースワークロードの例
以下は、Data Plane Development Kit (DPDK) コンテナーの例です。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: dpdk-test --- apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ 1 { "name": "dpdk-network-1", "namespace": "dpdk-test" }, { "name": "dpdk-network-2", "namespace": "dpdk-test" } ]' irq-load-balancing.crio.io: "disable" 2 cpu-load-balancing.crio.io: "disable" cpu-quota.crio.io: "disable" labels: app: dpdk name: testpmd namespace: dpdk-test spec: runtimeClassName: performance-performance 3 containers: - command: - /bin/bash - -c - sleep INF image: registry.redhat.io/openshift4/dpdk-base-rhel8 imagePullPolicy: Always name: dpdk resources: 4 limits: cpu: "16" hugepages-1Gi: 8Gi memory: 2Gi requests: cpu: "16" hugepages-1Gi: 8Gi memory: 2Gi securityContext: capabilities: add: - IPC_LOCK - SYS_RESOURCE - NET_RAW - NET_ADMIN runAsUser: 0 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge name: hugepages terminationGracePeriodSeconds: 5 volumes: - emptyDir: medium: HugePages name: hugepages
SLEEP
状態の Pod を起動し、その Pod で exec 操作を実行して testpmd または DPDK ワークロードを開始しないでください。これにより、exec
プロセスがどの CPU にも固定されていないため、割り込みが追加される可能性があります。
23.10.5.4. testpmd スクリプトの例
以下は、testpmd
を実行するスクリプトの例です。
#!/bin/bash set -ex export CPU=$(cat /sys/fs/cgroup/cpuset/cpuset.cpus) echo ${CPU} dpdk-testpmd -l ${CPU} -a ${PCIDEVICE_OPENSHIFT_IO_DPDK_NIC_1} -a ${PCIDEVICE_OPENSHIFT_IO_DPDK_NIC_2} -n 4 -- -i --nb-cores=15 --rxd=4096 --txd=4096 --rxq=7 --txq=7 --forward-mode=mac --eth-peer=0,50:00:00:00:00:01 --eth-peer=1,50:00:00:00:00:02
この例では、2 つの異なる sriovNetwork
CR を使用しています。環境変数には、Pod に割り当てられた Virtual Function (VF) PCI アドレスが含まれています。Pod 定義で同じネットワークを使用する場合は、pciAddress
を分割する必要があります。トラフィックジェネレータの正しい MAC アドレスを設定することが重要です。この例では、カスタム MAC アドレスを使用しています。
23.10.6. Mellanox NIC を使用した RDMA モードでの Virtual Function の使用
RoCE (RDMA over Converged Ethernet) はテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
RoCE (RDMA over Converged Ethernet) は、OpenShift Container Platform で RDMA を使用する場合に唯一サポートされているモードです。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - SR-IOV Network Operator をインストールします。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成してから、YAML をmlx-rdma-node-policy.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: mlx-rdma-node-policy namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: mlxnics nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" priority: <priority> numVfs: <num> nicSelector: vendor: "15b3" deviceID: "1015" 1 pfNames: ["<pf_name>", ...] rootDevices: ["<pci_bus_id>", "..."] deviceType: netdevice 2 isRdma: true 3
注記SriovNetworkNodePolicy
の各オプションに関する詳細は、Configuring SR-IOV network devices
セクションを参照してください。SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトで指定された設定を適用する際に、SR-IOV Operator はノードをドレイン (解放) する可能性があり、場合によってはノードの再起動を行う場合があります。設定の変更が適用されるまでに数分の時間がかかる場合があります。エビクトされたワークロードを処理するために、クラスター内に利用可能なノードが十分にあることを前もって確認します。設定の更新が適用された後に、
openshift-sriov-network-operator
namespace のすべての Pod がRunning
ステータスに変更されます。以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f mlx-rdma-node-policy.yaml
以下の
SriovNetwork
オブジェクトを作成してから、YAML をmlx-rdma-network.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetwork metadata: name: mlx-rdma-network namespace: openshift-sriov-network-operator spec: networkNamespace: <target_namespace> ipam: |- 1 # ... vlan: <vlan> resourceName: mlxnics
- 1
- IPAM CNI プラグインの設定オブジェクトを YAML ブロックスケーラーとして指定します。プラグインは、アタッチメント定義への IP アドレスの割り当てを管理します。
注記SriovNetwork
の各オプションに関する詳細は、「SR-IOV の追加ネットワークの設定」セクションを参照してください。オプションのライブラリー app-netutil は、コンテナーの親 Pod に関するネットワーク情報を収集するための複数の API メソッドを提供します。
以下のコマンドを実行して
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトを作成します。$ oc create -f mlx-rdma-network.yaml
以下の
Pod
仕様を作成してから、YAML をmlx-rdma-pod.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: rdma-app namespace: <target_namespace> 1 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: mlx-rdma-network spec: containers: - name: testpmd image: <RDMA_image> 2 securityContext: runAsUser: 0 capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_RESOURCE","NET_RAW"] 3 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge 4 name: hugepage resources: limits: memory: "1Gi" cpu: "4" 5 hugepages-1Gi: "4Gi" 6 requests: memory: "1Gi" cpu: "4" hugepages-1Gi: "4Gi" command: ["sleep", "infinity"] volumes: - name: hugepage emptyDir: medium: HugePages
- 1
SriovNetwork
オブジェクトのmlx-rdma-network
が作成される同じtarget_namespace
を指定します。Pod を異なる namespace に作成する場合は、target_namespace
をPod
仕様およびSriovNetwork
オブジェクトの両方で変更します。- 2
- アプリケーションとアプリケーションが使用する RDMA ライブラリーが含まれる RDMA イメージを指定します。
- 3
- hugepage の割り当て、システムリソースの割り当て、およびネットワークインターフェイスアクセス用のコンテナー内のアプリケーションに必要な追加機能を指定します。
- 4
- hugepage ボリュームを
/mnt/huge
の下の RDMA Pod にマウントします。hugepage ボリュームは、メディアがHugepages
に指定されている emptyDir ボリュームタイプでサポートされます。 - 5
- CPU の数を指定します。RDMA Pod には通常、kubelet から排他的 CPU を割り当てる必要があります。これは、CPU マネージャーポリシーを
static
に設定し、Guaranteed
QoS を持つ Pod を作成して実行されます。 - 6
- hugepage サイズ
hugepages-1Gi
またはhugepages-2Mi
を指定し、RDMA Pod に割り当てられる hugepage の量を指定します。2Mi
および1Gi
hugepage を別々に設定します。1Gi
hugepage を設定するには、カーネル引数をノードに追加する必要があります。
以下のコマンドを実行して RDMA Pod を作成します。
$ oc create -f mlx-rdma-pod.yaml
23.10.7. OpenStack で OVS-DPDK を使用するクラスター用のテスト Pod テンプレート
次の testpmd
Pod では、ヒュージページ、予約済み CPU、および SR-IOV ポートを使用したコンテナーの作成を紹介します。
testpmd
Pod の例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: testpmd-dpdk namespace: mynamespace annotations: cpu-load-balancing.crio.io: "disable" cpu-quota.crio.io: "disable" # ... spec: containers: - name: testpmd command: ["sleep", "99999"] image: registry.redhat.io/openshift4/dpdk-base-rhel8:v4.9 securityContext: capabilities: add: ["IPC_LOCK","SYS_ADMIN"] privileged: true runAsUser: 0 resources: requests: memory: 1000Mi hugepages-1Gi: 1Gi cpu: '2' openshift.io/dpdk1: 1 1 limits: hugepages-1Gi: 1Gi cpu: '2' memory: 1000Mi openshift.io/dpdk1: 1 volumeMounts: - mountPath: /mnt/huge name: hugepage readOnly: False runtimeClassName: performance-cnf-performanceprofile 2 volumes: - name: hugepage emptyDir: medium: HugePages
23.10.8. OpenStack で OVS ハードウェアオフロードを使用するクラスター用のテスト Pod テンプレート
次の testpmd
Pod は、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) での Open vSwitch (OVS) ハードウェアオフロードを示しています。
testpmd
Pod の例
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: testpmd-sriov
namespace: mynamespace
annotations:
k8s.v1.cni.cncf.io/networks: hwoffload1
spec:
runtimeClassName: performance-cnf-performanceprofile 1
containers:
- name: testpmd
command: ["sleep", "99999"]
image: registry.redhat.io/openshift4/dpdk-base-rhel8:v4.9
securityContext:
capabilities:
add: ["IPC_LOCK","SYS_ADMIN"]
privileged: true
runAsUser: 0
resources:
requests:
memory: 1000Mi
hugepages-1Gi: 1Gi
cpu: '2'
limits:
hugepages-1Gi: 1Gi
cpu: '2'
memory: 1000Mi
volumeMounts:
- mountPath: /mnt/huge
name: hugepage
readOnly: False
volumes:
- name: hugepage
emptyDir:
medium: HugePages
- 1
- パフォーマンスプロファイルの名前が
cnf-performance profile
でない場合は、その文字列を正しいパフォーマンスプロファイル名に置き換えます。
23.10.9. 関連情報
- パフォーマンスプロファイルの作成
- パフォーマンスプロファイルによる NIC キューの調整
- リアルタイムおよび低レイテンシーワークロードのプロビジョニング
- SR-IOV Network Operator のインストール
- SR-IOV ネットワークデバイスの設定
- Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
- 個別の Pod の割り込み処理の無効化
- SR-IOV イーサネットネットワーク割り当ての設定
- app-netutil library ライブラリーは、コンテナーの親 Pod に関するネットワーク情報を収集するための複数の API メソッドを提供します。
23.11. Pod レベルのボンディングの使用
Pod レベルでのボンディングは、高可用性とスループットを必要とする Pod 内のワークロードを有効にするために不可欠です。Pod レベルのボンディングでは、カーネルモードインターフェイスで複数の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) Virtual Function インターフェイスからボンドインターフェイスを作成できます。SR-IOV Virtual Function は Pod に渡され、カーネルドライバーに割り当てられます。
Pod レベルのボンディングが必要なシナリオには、異なる Physical Function 上の複数の SR-IOV Virtual Function からのボンディングインターフェイスの作成が含まれます。ホストの 2 つの異なる Physical Function からボンディングインターフェイスを作成して、Pod レベルで高可用性およびスループットを実現するために使用できます。
SR-IOV ネットワークの作成、ネットワークポリシー、ネットワーク接続定義、Pod などのタスクのガイダンスはSR-IOV ネットワークデバイスの設定を参照してください。
23.11.1. 2 つの SR-IOV インターフェイスからのボンドインターフェイスの設定
ボンディングを使用して、複数のネットワークインターフェイスを、1 つの論理的な "bonded" インターフェイスに集約できます。Bond Container Network Interface (Bond-CNI) により、コンテナーでボンディング機能を使用できます。
Bond-CNI は、Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) Virtual Function を使用して作成し、それらをコンテナーネットワーク namespace に配置できます。
OpenShift Container Platform は、SR-IOV Virtual Functions を使用する Bond-CNI のみをサポートします。SR-IOV Network Operator は、Virtual Function の管理に必要な SR-IOV CNI プラグインを提供します。他の CNI またはインターフェイスのタイプはサポートされていません。
前提条件
- SR-IOV Network Operator をインストールおよび設定して、コンテナー内の Virtual Functions を取得する必要があります。
- SR-IOV インターフェイスを設定するには、インターフェイスごとに SR-IOV ネットワークとポリシーを作成する必要があります。
- SR-IOV Network Operator は、定義された SR-IOV ネットワークとポリシーをもとに、各 SR-IOV インターフェイスのネットワーク接続定義を作成します。
-
linkState
は、SR-IOV Virtual Function のデフォルト値auto
に設定されます。
23.11.1.1. ボンドネットワーク接続定義の作成
SR-IOV Virtual Function が使用可能になったので、ボンドネットワーク接続定義を作成できます。
apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: bond-net1 namespace: demo spec: config: '{ "type": "bond", 1 "cniVersion": "0.3.1", "name": "bond-net1", "mode": "active-backup", 2 "failOverMac": 1, 3 "linksInContainer": true, 4 "miimon": "100", "mtu": 1500, "links": [ 5 {"name": "net1"}, {"name": "net2"} ], "ipam": { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "routes": [{ "dst": "0.0.0.0/0" }], "gateway": "10.56.217.1" } }'
- 1
- cni-type は常に
bond
に設定されます。 - 2
mode
属性は、ボンドモードを指定します。注記サポートされているボンドモードは次のとおりです。
-
balance-rr
- 0 -
active-backup
- 1 -
balance-xor
- 2
balance-rr
またはbalance-xor
モードの場合には、SR-IOV Virtual Function のtrust
モードをon
に設定する必要があります。-
- 3
- active-backup モードでは
フェイルオーバー
属性が必須であり、1 に設定する必要があります。 - 4
linksInContainer=true
フラグは、必要なインターフェイスがコンテナー内にあることをボンディング CNI に通知します。デフォルトでは、ボンディング CNI は、SRIOV および Multus との統合で機能しないホストで、このようなインターフェイスを検索します。- 5
links
セクションは、結合の作成に使用するインターフェイスを定義します。デフォルトでは、Multus は接続されたインターフェイスに "net" と 1 から始まる連続した番号の名前を付けます。
23.11.1.2. ボンディングインターフェイスを使用した Pod の作成
podbonding.yaml
などの名前の YAML ファイルに以下の内容を追加して Pod を作成し、この設定をテストします。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: bondpod1 namespace: demo annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: demo/sriovnet1, demo/sriovnet2, demo/bond-net1 1 spec: containers: - name: podexample image: quay.io/openshift/origin-network-interface-bond-cni:4.11.0 command: ["/bin/bash", "-c", "sleep INF"]
- 1
- ネットワークのアノテーションに注意してください。これには、SR-IOV ネットワーク割り当てが 2 つとボンドネットワーク割り当てが 1 つ含まれています。ボンド割り当ては、2 つの SR-IOV インターフェイスをボンドポートインターフェイスとして使用します。
以下のコマンドを実行して yaml を適用します。
$ oc apply -f podbonding.yaml
次のコマンドを使用して Pod インターフェイスを検査します。
$ oc rsh -n demo bondpod1 sh-4.4# sh-4.4# ip a 1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN qlen 1000 link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 inet 127.0.0.1/8 scope host lo valid_lft forever preferred_lft forever 3: eth0@if150: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP,M-DOWN> mtu 1450 qdisc noqueue state UP link/ether 62:b1:b5:c8:fb:7a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 10.244.1.122/24 brd 10.244.1.255 scope global eth0 valid_lft forever preferred_lft forever 4: net3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP400> mtu 1500 qdisc noqueue state UP qlen 1000 link/ether 9e:23:69:42:fb:8a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 1 inet 10.56.217.66/24 scope global bond0 valid_lft forever preferred_lft forever 43: net1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP800> mtu 1500 qdisc mq master bond0 state UP qlen 1000 link/ether 9e:23:69:42:fb:8a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 2 44: net2: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP800> mtu 1500 qdisc mq master bond0 state UP qlen 1000 link/ether 9e:23:69:42:fb:8a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 3
注記Pod アノテーションでインターフェイス名が設定されていない場合、インターフェイス名は
net<n>
として自動的に割り当てられます (<n>
は1
から始まります)。オプション: たとえば
bond0
などの特定のインターフェイス名を設定する場合は、次のようにk8s.v1.cni.cncf.io/networks
アノテーションを編集し、bond0
をインターフェイス名として設定します。annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: demo/sriovnet1, demo/sriovnet2, demo/bond-net1@bond0
23.12. ハードウェアオフロードの設定
クラスター管理者は、互換性のあるノードでハードウェアオフロードを設定して、データ処理パフォーマンスを向上させ、ホスト CPU の負荷を軽減できます。
23.12.1. ハードウェアのオフロードについて
Open vSwitch ハードウェアオフロードは、ネットワークタスクを CPU から迂回させ、ネットワークインターフェイスコントローラー上の専用プロセッサーにオフロードすることにより、ネットワークタスクを処理する方法です。その結果、クラスターは、データ転送速度の高速化、CPU ワークロードの削減、およびコンピューティングコストの削減の恩恵を受けることができます。
この機能の重要な要素は、SmartNIC と呼ばれる最新クラスのネットワークインターフェイスコントローラーです。SmartNIC は、計算量の多いネットワーク処理タスクを処理できるネットワークインターフェイスコントローラーです。専用のグラフィックカードがグラフィックパフォーマンスを向上させるのと同じように、SmartNIC はネットワークパフォーマンスを向上させることができます。いずれの場合も、専用プロセッサーにより、特定のタイプの処理タスクのパフォーマンスが向上します。
OpenShift Container Platform では、互換性のある SmartNIC を持つベアメタルノードのハードウェアオフロードを設定できます。ハードウェアオフロードは、SR-IOV Network Operator によって設定および有効化されます。
ハードウェアのオフロードは、すべてのワークロードまたはアプリケーションタイプと互換性があるわけではありません。次の 2 つの通信タイプのみがサポートされています。
- pod-to-pod
- pod-to-service。サービスは通常の Pod に基づく ClusterIP サービスです。
すべての場合において、ハードウェアのオフロードは、それらの Pod とサービスが互換性のある SmartNIC を持つノードに割り当てられている場合にのみ行われます。たとえば、ハードウェアをオフロードしているノードの Pod が、通常のノードのサービスと通信しようとしているとします。通常のノードでは、すべての処理がカーネルで行われるため、Pod からサービスへの通信の全体的なパフォーマンスは、その通常のノードの最大パフォーマンスに制限されます。ハードウェアオフロードは、DPDK アプリケーションと互換性がありません。
ノードでのハードウェアのオフロードを有効にし、使用する Pod を設定しないと、Pod トラフィックのスループットパフォーマンスが低下する可能性があります。OpenShift Container Platform で管理される Pod のハードウェアオフロードを設定することはできません。
23.12.2. サポートされるデバイス
ハードウェアオフロードは、次のネットワークインターフェイスコントローラーでサポートされています。
製造元 | モデル | ベンダー ID | デバイス ID |
---|---|---|---|
Mellanox | MT27800 Family [ConnectX‑5] | 15b3 | 1017 |
Mellanox | MT28880 Family [ConnectX‑5 Ex] | 15b3 | 1019 |
Mellanox | MT2892 Family [ConnectX‑6 Dx] | 15b3 | 101d |
Mellanox | MT2894 ファミリー [ConnectX-6 Lx] | 15b3 | 101f |
Mellanox | ConnectX-6 NIC モードの MT42822 BlueField-2 | 15b3 | a2d6 |
23.12.3. 前提条件
- クラスターに、ハードウェアのオフロードがサポートされているネットワークインターフェイスコントローラーを備えたベアメタルマシンが少なくとも 1 台ある。
- SR-IOV Network Operator をインストール している。
- クラスターで OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用 している。
-
OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン設定 で、
gatewayConfig.routingViaHost
フィールドがfalse
に設定されています。
23.12.4. SR-IOV Network Operator の systemd モードへの設定
ハードウェアオフロードをサポートするには、まず SR-IOV Network Operator を systemd
モードに設定する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
すべての SR-IOV Operator コンポーネントをデプロイするには、
SriovOperatorConfig
カスタムリソース (CR) を作成します。次の YAML を含む
sriovOperatorConfig.yaml
という名前のファイルを作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovOperatorConfig metadata: name: default 1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: enableInjector: true enableOperatorWebhook: true configurationMode: "systemd" 2 logLevel: 2
次のコマンドを実行して、リソースを作成します。
$ oc apply -f sriovOperatorConfig.yaml
23.12.5. ハードウェアオフロード用のマシン設定プールの設定
ハードウェアオフロードを有効にするには、専用のマシン設定プールを作成し、SR-IOV Network Operator と連携するように設定する必要があります。
前提条件
-
SR-IOV Network Operator がインストールされ、
systemd
モードに設定されている。
手順
ハードウェアオフロードを使用するマシンのマシン設定プールを作成します。
次の例のようなコンテンツを含む
mcp-offloading.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfigPool metadata: name: mcp-offloading 1 spec: machineConfigSelector: matchExpressions: - {key: machineconfiguration.openshift.io/role, operator: In, values: [worker,mcp-offloading]} 2 nodeSelector: matchLabels: node-role.kubernetes.io/mcp-offloading: "" 3
マシン設定プールの設定を適用します。
$ oc create -f mcp-offloading.yaml
マシン設定プールにノードを追加します。プールのノードロールラベルで各ノードにラベルを付けます。
$ oc label node worker-2 node-role.kubernetes.io/mcp-offloading=""
オプション: 新しいプールが作成されたことを確認するには、次のコマンドを実行します。
$ oc get nodes
出力例
NAME STATUS ROLES AGE VERSION master-0 Ready master 2d v1.27.3 master-1 Ready master 2d v1.27.3 master-2 Ready master 2d v1.27.3 worker-0 Ready worker 2d v1.27.3 worker-1 Ready worker 2d v1.27.3 worker-2 Ready mcp-offloading,worker 47h v1.27.3 worker-3 Ready mcp-offloading,worker 47h v1.27.3
このマシン設定プールを
SriovNetworkPoolConfig
カスタムリソースに追加します。次の例のようなコンテンツを含むファイル (
sriov-pool-config.yaml
など) を作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkPoolConfig metadata: name: sriovnetworkpoolconfig-offload namespace: openshift-sriov-network-operator spec: ovsHardwareOffloadConfig: name: mcp-offloading 1
- 1
- ハードウェアオフロード用のマシン設定プールの名前。
設定を適用します。
$ oc create -f <SriovNetworkPoolConfig_name>.yaml
注記SriovNetworkPoolConfig
オブジェクトで指定された設定を適用すると、SR-IOV Operator は、マシン設定プール内のノードをドレインして再起動します。設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。
23.12.6. SR-IOV ネットワークノードポリシーの設定
SR-IOV ネットワークノードポリシーを作成することにより、ノードの SR-IOV ネットワークデバイス設定を作成できます。ハードウェアオフロードを有効にするには、値 "switchdev"
を使用して .spec.eSwitchMode
フィールドを定義する必要があります。
次の手順では、ハードウェアをオフロードするネットワークインターフェイスコントローラー用の SR-IOV インターフェイスを作成します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
次の例のようなコンテンツを含むファイル (
sriov-node-policy.yaml
など) を作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriov-node-policy 1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice 2 eSwitchMode: "switchdev" 3 nicSelector: deviceID: "1019" rootDevices: - 0000:d8:00.0 vendor: "15b3" pfNames: - ens8f0 nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: "true" numVfs: 6 priority: 5 resourceName: mlxnics
ポリシーの設定を適用します。
$ oc create -f sriov-node-policy.yaml
注記SriovNetworkPoolConfig
オブジェクトで指定された設定を適用すると、SR-IOV Operator は、マシン設定プール内のノードをドレインして再起動します。設定の変更が適用されるまでに数分かかる場合があります。
23.12.6.1. OpenStack の SR-IOV ネットワークノードポリシーの例
次の例は、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) でハードウェアオフロードを使用するネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の SR-IOV インターフェイスを示しています。
RHOSP でのハードウェアオフロードを備えた NIC の SR-IOV インターフェイス
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: ${name} namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: switchdev isRdma: true nicSelector: netFilter: openstack/NetworkID:${net_id} nodeSelector: feature.node.kubernetes.io/network-sriov.capable: 'true' numVfs: 1 priority: 99 resourceName: ${name}
23.12.7. Virtual Function を使用したネットワークトラフィックのパフォーマンスの向上
この手順に従って、OVN-Kubernetes 管理ポートに Virtual Function を割り当て、そのネットワークトラフィックパフォーマンスを向上させます。
この手順により 2 つのプールが作成されます。1 つ目には OVN-Kubernetes によって使用される Virtual Function があり、2 つ目は残りの Virtual Function で構成されます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
次のコマンドを実行して、SmartNIC が存在する各ワーカーノードに
network.operator.openshift.io/smart-nic
ラベルを追加します。$ oc label node <node-name> network.operator.openshift.io/smart-nic=
oc get nodes
コマンドを使用して、使用可能なノードのリストを取得します。次の例のような内容を含む、管理ポート用の
sriov-node-mgmt-vf-policy.yaml
という名前のポリシーを作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriov-node-mgmt-vf-policy namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice eSwitchMode: "switchdev" nicSelector: deviceID: "1019" rootDevices: - 0000:d8:00.0 vendor: "15b3" pfNames: - ens8f0#0-0 1 nodeSelector: network.operator.openshift.io/smart-nic: "" numVfs: 6 2 priority: 5 resourceName: mgmtvf
次の例のような内容を含む
sriov-node-policy.yaml
という名前のポリシーを作成します。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovNetworkNodePolicy metadata: name: sriov-node-policy namespace: openshift-sriov-network-operator spec: deviceType: netdevice eSwitchMode: "switchdev" nicSelector: deviceID: "1019" rootDevices: - 0000:d8:00.0 vendor: "15b3" pfNames: - ens8f0#1-5 1 nodeSelector: network.operator.openshift.io/smart-nic: "" numVfs: 6 2 priority: 5 resourceName: mlxnics
注記sriov-node-mgmt-vf-policy.yaml
ファイルには、pfNames
キーとresourceName
キーの値がsriov-node-policy.yaml
ファイルとは異なります。両方のポリシーの設定を適用します。
$ oc create -f sriov-node-policy.yaml
$ oc create -f sriov-node-mgmt-vf-policy.yaml
管理設定用にクラスター内に Cluster Network Operator (CNO) ConfigMap を作成します。
次の内容を含む
hardware-offload-config.yaml
という名前の ConfigMap を作成します。apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: hardware-offload-config namespace: openshift-network-operator data: mgmt-port-resource-name: openshift.io/mgmtvf
ConfigMap の設定を適用します。
$ oc create -f hardware-offload-config.yaml
23.12.8. ネットワーク接続定義の作成
マシン設定プールと SR-IOV ネットワークノードポリシーを定義した後、指定したネットワークインターフェイスカードのネットワーク接続定義を作成できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
次の例のようなコンテンツを含むファイル (
net-attach-def.yaml
など) を作成します。apiVersion: "k8s.cni.cncf.io/v1" kind: NetworkAttachmentDefinition metadata: name: net-attach-def 1 namespace: net-attach-def 2 annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/resourceName: openshift.io/mlxnics 3 spec: config: '{"cniVersion":"0.3.1","name":"ovn-kubernetes","type":"ovn-k8s-cni-overlay","ipam":{},"dns":{}}'
ネットワーク接続定義の設定を適用します。
$ oc create -f net-attach-def.yaml
検証
次のコマンドを実行して、新しい定義が存在するかどうかを確認します。
$ oc get net-attach-def -A
出力例
NAMESPACE NAME AGE net-attach-def net-attach-def 43h
23.12.9. ネットワーク接続定義を Pod へ追加
マシン設定プール、SriovNetworkPoolConfig
および SriovNetworkNodePolicy
カスタムリソース、およびネットワーク接続定義を作成した後、ネットワーク接続定義を Pod 仕様に追加することにより、これらの設定を Pod に適用できます。
手順
Pod 仕様で、
.metadata.annotations.k8s.v1.cni.cncf.io/networks
フィールドを追加し、ハードウェアオフロード用に作成したネットワーク接続定義を指定します。.... metadata: annotations: v1.multus-cni.io/default-network: net-attach-def/net-attach-def 1
- 1
- 値は、ハードウェアオフロード用に作成したネットワーク接続定義の名前と namespace である必要があります。
23.13. Bluefield-2 を DPU から NIC に切り替える
Bluefield-2 ネットワークデバイスをデータ処理ユニット (DPU) モードからネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) モードに切り替えることができます。
23.13.1. Bluefield-2 を DPU モードから NIC モードに切り替える
以下の手順を使用して、Bluefield-2 をデータ処理ユニット (DPU) モードからネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) モードに切り替えます。
現在、DPU から NIC モードへの Bluefield-2 の切り替えのみがサポートされています。NIC モードから DPU モードへの切り替えはサポートされていません。
前提条件
- SR-IOV Network Operator がインストールされている。詳細は、「SR-IOV Network Operator のインストール」を参照してください。
- Bluefield-2 を最新のファームウェアに更新している。詳細は、Firmware for NVIDIA BlueField-2 を参照してください。
手順
次のコマンドを入力して、各ワーカーノードに次のラベルを追加します。
$ oc label node <example_node_name_one> node-role.kubernetes.io/sriov=
$ oc label node <example_node_name_two> node-role.kubernetes.io/sriov=
SR-IOV Network Operator のマシン設定プールを作成します。次に例を示します。
apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfigPool metadata: name: sriov spec: machineConfigSelector: matchExpressions: - {key: machineconfiguration.openshift.io/role, operator: In, values: [worker,sriov]} nodeSelector: matchLabels: node-role.kubernetes.io/sriov: ""
次の
machineconfig.yaml
ファイルをワーカーノードに適用します。apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfig metadata: labels: machineconfiguration.openshift.io/role: sriov name: 99-bf2-dpu spec: config: ignition: version: 3.2.0 storage: files: - contents: source: data:text/plain;charset=utf-8;base64,ZmluZF9jb250YWluZXIoKSB7CiAgY3JpY3RsIHBzIC1vIGpzb24gfCBqcSAtciAnLmNvbnRhaW5lcnNbXSB8IHNlbGVjdCgubWV0YWRhdGEubmFtZT09InNyaW92LW5ldHdvcmstY29uZmlnLWRhZW1vbiIpIHwgLmlkJwp9CnVudGlsIG91dHB1dD0kKGZpbmRfY29udGFpbmVyKTsgW1sgLW4gIiRvdXRwdXQiIF1dOyBkbwogIGVjaG8gIndhaXRpbmcgZm9yIGNvbnRhaW5lciB0byBjb21lIHVwIgogIHNsZWVwIDE7CmRvbmUKISBzdWRvIGNyaWN0bCBleGVjICRvdXRwdXQgL2JpbmRhdGEvc2NyaXB0cy9iZjItc3dpdGNoLW1vZGUuc2ggIiRAIgo= mode: 0755 overwrite: true path: /etc/default/switch_in_sriov_config_daemon.sh systemd: units: - name: dpu-switch.service enabled: true contents: | [Unit] Description=Switch BlueField2 card to NIC/DPU mode RequiresMountsFor=%t/containers Wants=network.target After=network-online.target kubelet.service [Service] SuccessExitStatus=0 120 RemainAfterExit=True ExecStart=/bin/bash -c '/etc/default/switch_in_sriov_config_daemon.sh nic || shutdown -r now' 1 Type=oneshot [Install] WantedBy=multi-user.target
- 1
- オプションです。オプションで、特定のカードの PCI アドレスを指定することができます。 例えば
ExecStart=/bin/bash -c '/etc/default/switch_in_sriov_config_daemon.sh nic 0000:5e:00.0 || echo done'
。デフォルトでは、最初のデバイスが選択されています。複数のデバイスがある場合は、使用する PCI アドレスを指定する必要があります。Bluefield-2 を DPU モードから NIC モードに切り替えるすべてのノードで、PCI アドレスが同じである必要があります。
- ワーカーノードが再起動するまで待ちます。再起動後、ワーカーノードの Bluefield-2 ネットワークデバイスは NIC モードに切り替わります。
- オプション: 最新の Bluefield-2 ファームウェアリリースでは、NIC モードに切り替えるためにハードウェアの再起動が必要になるため、ホストハードウェアを再起動する必要がある場合があります。
23.14. SR-IOV Network Operator のアンインストール
SR-IOV Network Operator をアンインストールするには、実行中の SR-IOV ワークロードをすべて削除し、Operator をアンインストールして、Operator が使用した Webhook を削除する必要があります。
23.14.1. SR-IOV Network Operator のアンインストール
クラスター管理者は、SR-IOV Network Operator をアンインストールできます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 - SR-IOV Network Operator がインストールされている。
手順
すべての SR-IOV カスタムリソース (CR) を削除します。
$ oc delete sriovnetwork -n openshift-sriov-network-operator --all
$ oc delete sriovnetworknodepolicy -n openshift-sriov-network-operator --all
$ oc delete sriovibnetwork -n openshift-sriov-network-operator --all
- 「クラスターからの Operator の削除」セクションに記載された手順に従い、クラスターから SR-IOV Network Operator を削除します。
SR-IOV Network Operator のアンインストール後にクラスターに残っている SR-IOV カスタムリソース定義を削除します。
$ oc delete crd sriovibnetworks.sriovnetwork.openshift.io
$ oc delete crd sriovnetworknodepolicies.sriovnetwork.openshift.io
$ oc delete crd sriovnetworknodestates.sriovnetwork.openshift.io
$ oc delete crd sriovnetworkpoolconfigs.sriovnetwork.openshift.io
$ oc delete crd sriovnetworks.sriovnetwork.openshift.io
$ oc delete crd sriovoperatorconfigs.sriovnetwork.openshift.io
SR-IOV Webhook を削除します。
$ oc delete mutatingwebhookconfigurations network-resources-injector-config
$ oc delete MutatingWebhookConfiguration sriov-operator-webhook-config
$ oc delete ValidatingWebhookConfiguration sriov-operator-webhook-config
SR-IOV Network Operator の namespace を削除します。
$ oc delete namespace openshift-sriov-network-operator
第24章 OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン
24.1. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインについて
OpenShift Container Platform クラスターは、Pod およびサービスネットワークに仮想化ネットワークを使用します。
Red Hat OpenShift Networking の一部である OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、OpenShift Container Platform のデフォルトのネットワークプロバイダーです。OVN-Kubernetes は Open Virtual Network (OVN) をベースとしており、オーバーレイベースのネットワーク実装を提供します。OVN-Kubernetes プラグインを使用するクラスターは、各ノードで Open vSwitch (OVS) も実行します。OVN は、宣言ネットワーク設定を実装するように各ノードで OVS を設定します。
OVN-Kubernetes は、OpenShift Container Platform および単一ノードの OpenShift デプロイメントのデフォルトのネットワークソリューションです。
OVS プロジェクトから生まれた OVN-Kubernetes は、オープンフロールールなど、同じコンストラクトの多くを使用して、パケットがネットワークを通過する方法を決定します。詳細は、Open Virtual Network の Web サイト を参照してください。
OVN-Kubernetes は、仮想ネットワーク設定を OpenFlow
ルールに変換する OVS 用の一連のデーモンです。OpenFlow
は、ネットワークスイッチおよびルーターと通信するためのプロトコルであり、ネットワークデバイス上のネットワークトラフィックのフローをリモートで制御する手段を提供し、ネットワーク管理者がネットワークトラフィックのフローを設定、管理、および監視できるようにします。
OVN-Kubernetes は、OpenFlow
では利用できない高度な機能をさらに提供します。OVN は、分散仮想ルーター、分散論理スイッチ、アクセス制御、DHCP および DNS をサポートします。OVN は、オープンフローと同等のロジックフロー内に分散仮想ルーターを実装します。たとえば、ネットワーク上に DHCP リクエストを送信する Pod がある場合、Pod はそのブロードキャストを送信して DHCP アドレスを探します。また、そのパケットに一致するロジックフロールールが存在し、応答としてゲートウェイ、DNS サーバー、IP アドレスなどを提供します。
OVN-Kubernetes は、各ノードでデーモンを実行します。すべてのノードで実行されるデータベースおよび OVN コントローラー用のデーモンセットがあります。OVN コントローラーは、ネットワークプロバイダーの機能 (Egress IP、ファイアウォール、ルーター、ハイブリッドネットワーク、IPSEC 暗号化、IPv6、ネットワークポリシー、ネットワークポリシーログ、ハードウェアオフロード、およびマルチキャスト) をサポートするために、ノード上で Open vSwitch デーモンをプログラムします。
24.1.1. OVN-Kubernetes の目的
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、Open Virtual Network (OVN) を使用してネットワークトラフィックフローを管理する、オープンソースのフル機能の Kubernetes CNI プラグインです。OVN はコミュニティーで開発され、ベンダーに依存しないネットワーク仮想化ソリューションです。OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン:
- Open Virtual Network (OVN) を使用してネットワークトラフィックフローを管理します。OVN はコミュニティーで開発され、ベンダーに依存しないネットワーク仮想化ソリューションです。
- Ingress および Egress ルールを含む Kubernetes ネットワークポリシーのサポートを実装します。
- ノード間にオーバーレイネットワークを作成するには、VXLAN ではなく GENEVE (Generic Network Virtualization Encapsulation) プロトコルを使用します。
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、OpenShift SDN よりも次の利点があります。
- サポートされているプラットフォームでの IPv6 シングルスタックおよび IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワークの完全サポート
- Linux と Microsoft Windows の両方のワークロードによるハイブリッドクラスターのサポート
- クラスター内通信のオプションの IPsec 暗号化
- ホスト CPU から互換性のあるネットワークカードおよびデータ処理ユニット (DPU) へのネットワークデータ処理のオフロード
24.1.2. サポートされているネットワークプラグイン機能のマトリックス
Red Hat OpenShift Networking は、ネットワークプラグイン用に OpenShift SDN と OVN-Kubernetes の 2 つのオプションを提供します。以下の表は、両方のネットワークプラグインの現在の機能サポートをまとめたものです。
機能 | OpenShift SDN | OVN-Kubernetes |
---|---|---|
Egress IP | サポート対象 | サポート対象 |
Egress ファイアウォール | サポート対象 | サポート対象 [1] |
Egress ルーター | サポート対象 | サポート対象 [2] |
ハイブリッドネットワーク | サポート対象外 | サポート対象 |
クラスター内通信の IPsec 暗号化 | サポート対象外 | サポート対象 |
IPv4 シングルスタック | サポート対象 | サポート対象 |
IPv6 シングルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [3] |
IPv4/IPv6 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
IPv6/IPv4 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
Kubernetes ネットワークポリシー | サポート対象 | サポート対象 |
Kubernetes ネットワークポリシーログ | サポート対象外 | サポート対象 |
ハードウェアのオフロード | サポート対象外 | サポート対象 |
マルチキャスト | サポート対象 | サポート対象 |
- Egress ファイアウォールは、OpenShift SDN では Egress ネットワークポリシーとしても知られています。これはネットワークポリシーの Egress とは異なります。
- OVN-Kubernetes の Egress ルーターはリダイレクトモードのみをサポートします。
- ベアメタルプラットフォーム上の IPv6 シングルスタックネットワーキング。
- ベアメタル、VMware vSphere (installer-provisioned infrastructure インストールのみ)、IBM Power®、IBM Z®、および RHOSP プラットフォーム上の IPv4/IPv6 または IPv6/IPv4 デュアルスタックネットワーク。RHOSP でのデュアルスタックネットワークは、テクノロジープレビュー機能です。
- ベアメタル、VMware vSphere (インストーラープロビジョニングインフラストラクチャーのインストールのみ)、および IBM Power® プラットフォーム上の IPv6/IPv4 デュアルスタックネットワーク。
24.1.3. OVN-Kubernetes IPv6 とデュアルスタックの制限
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインには、次の制限があります。
デュアルスタックネットワークに設定されたクラスターでは、IPv4 と IPv6 の両方のトラフィックがデフォルトゲートウェイとして同じネットワークインターフェイスを使用する必要があります。この要件が満たされない場合には、
ovnkube-node
デーモンセットのホストにある Pod は、CrashLoopBackOff
状態になります。oc get pod -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node -o yaml
のようなコマンドで Pod を表示すると、以下の出力のように、status
フィールドにデフォルトゲートウェイに関する複数のメッセージが表示されます。I1006 16:09:50.985852 60651 helper_linux.go:73] Found default gateway interface br-ex 192.168.127.1 I1006 16:09:50.985923 60651 helper_linux.go:73] Found default gateway interface ens4 fe80::5054:ff:febe:bcd4 F1006 16:09:50.985939 60651 ovnkube.go:130] multiple gateway interfaces detected: br-ex ens4
唯一の解決策は、両方の IP ファミリーがデフォルトゲートウェイに同じネットワークインターフェイスを使用するように、ホストネットワークを再設定することです。
デュアルスタックネットワーク用に設定されたクラスターの場合、IPv4 と IPv6 の両方のルーティングテーブルにデフォルトゲートウェイが含まれている必要があります。この要件が満たされない場合には、
ovnkube-node
デーモンセットのホストにある Pod は、CrashLoopBackOff
状態になります。oc get pod -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node -o yaml
のようなコマンドで Pod を表示すると、以下の出力のように、status
フィールドにデフォルトゲートウェイに関する複数のメッセージが表示されます。I0512 19:07:17.589083 108432 helper_linux.go:74] Found default gateway interface br-ex 192.168.123.1 F0512 19:07:17.589141 108432 ovnkube.go:133] failed to get default gateway interface
唯一の解決策として、両方の IP ファミリーにデフォルトゲートウェイが含まれるようにホストネットワークを再設定できます。
24.1.4. セッションアフィニティー
セッションアフィニティーは、Kubernetes Service
オブジェクトに適用される機能です。<service_VIP>:<Port> に接続するたびに、トラフィックが常に同じバックエンドに負荷分散されるようにする場合は、セッションアフィニティー を使用できます。クライアントの IP アドレスに基づいてセッションアフィニティーを設定する方法など、詳細は、セッションアフィニティー を参照してください。
セッションアフィニティーのスティッキタイムアウト
OpenShift Container Platform の OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、最後のパケットに基づいて、クライアントからのセッションのスティッキタイムアウトを計算します。たとえば、curl
コマンドを 10 回実行すると、スティッキーセッションタイマーは最初のパケットではなく 10 番目のパケットから開始します。その結果、クライアントが継続的にサービスに接続している場合でも、セッションがタイムアウトすることはありません。タイムアウトは、timeoutSeconds
パラメーターで設定された時間、サービスがパケットを受信しなかった場合に開始されます。
24.2. OVN-Kubernetes のアーキテクチャー
24.2.1. OVN-Kubernetes のアーキテクチャーの紹介
次の図は、OVN-Kubernetes のアーキテクチャーを示しています。
図24.1 OVK-Kubernetes のアーキテクチャー
主なコンポーネントは次のとおりです。
- Cloud Management System (CMS) - OVN 統合用の CMS 固有のプラグインを提供する OVN 用のプラットフォーム固有のクライアント。このプラグインは、CMS 固有の形式で CMS 設定データベースに格納されているクラウド管理システムの論理ネットワーク設定の概念を、OVN が理解できる中間表現に変換します。
-
OVN ノースバウンドデータベース (
nbdb
) コンテナー - CMS プラグインによって渡された論理ネットワーク設定を格納します。 -
OVN サウスバウンドデータベース (
sbdb
) コンテナー - 各ノードの Open vSwitch (OVS) システムの物理および論理ネットワーク設定状態を、それらをバインドするテーブルを含めて格納します。 -
OVN North デーモン (
ovn-northd
) - これは、nbdb
コンテナーとsbdb
コンテナーの間の仲介クライアントです。これは、論理ネットワーク設定を、nbdb
コンテナーから取得した従来のネットワーク概念の観点から、その下のsbdb
コンテナーの論理データパスフローに変換します。ovn-northd
デーモンのコンテナー名はNorthd
で、ovnkube-node
Pod 内で実行されます。 -
ovn-controller -
sbdb
コンテナーに必要な情報または更新のために、OVS およびハイパーバイザーと対話する OVN エージェントです。ovn-controller
はsbdb
コンテナーから論理フローを読み取り、それらをOpenFlow
フローに変換して、ノードの OVS デーモンに送信します。コンテナー名はovn-controller
で、ovnkube-node
Pod で実行されます。
OVN Northd、ノースバウンドデータベース、およびサウスバウンドデータベースはクラスター内の各ノードで実行され、主にそのノードにローカルな情報を格納して処理します。
OVN ノースバウンドデータベースには、クラウド管理システム (CMS) によって渡された論理ネットワーク設定があります。OVN ノースバウンドデータベースには、ネットワークの現在の望ましい状態が含まれており、論理ポート、論理スイッチ、論理ルーターなどのコレクションとして提示されます。ovn-northd
(northd
コンテナー) は、OVN ノースバウンドデータベースと OVN サウスバウンドデータベースに接続します。これは、論理ネットワーク設定を、OVN ノースバウンドデータベースから取得した従来のネットワーク概念の観点から、OVN サウスバウンドデータベースの論理データパスフローに変換します。
OVN サウスバウンドデータベースには、ネットワークの物理的および論理的表現と、それらをリンクするバインディングテーブルがあります。これには、ノードのシャーシ情報と、クラスター内の他のノードに接続するために必要なリモート中継スイッチポートなどの他の設定要素が含まれます。OVN サウスバウンドデータベースには、すべてのロジックフローも含まれています。このロジックフローは、各ノードで実行される ovn-controller
プロセスと共有され、ovn-controller
はそれらを Open vSwitch
(OVS) をプログラムする OpenFlow
ルールに変換します。
Kubernetes コントロールプレーンノードでは、別々のノードに 2 つの ovnkube-control-plane
Pod が含まれています。これらの Pod は、クラスター内の各ノードに一元的な IP アドレス管理 (IPAM) 割り当てを実行します。どの時点でも、1 つの ovnkube-control-plane
Pod がリーダーです。
24.2.2. OVN-Kubernetes プロジェクト内のすべてのリソースの一覧表示
OVN-Kubernetes プロジェクトで実行されるリソースとコンテナーを見つけることは、OVN-Kubernetes ネットワークの実装を理解するのに役立ちます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、OVN-Kubernetes プロジェクト内のすべてのリソース、エンドポイント、および
ConfigMap
を取得します。$ oc get all,ep,cm -n openshift-ovn-kubernetes
出力例
Warning: apps.openshift.io/v1 DeploymentConfig is deprecated in v4.14+, unavailable in v4.10000+ NAME READY STATUS RESTARTS AGE pod/ovnkube-control-plane-65c6f55656-6d55h 2/2 Running 0 114m pod/ovnkube-control-plane-65c6f55656-fd7vw 2/2 Running 2 (104m ago) 114m pod/ovnkube-node-bcvts 8/8 Running 0 113m pod/ovnkube-node-drgvv 8/8 Running 0 113m pod/ovnkube-node-f2pxt 8/8 Running 0 113m pod/ovnkube-node-frqsb 8/8 Running 0 105m pod/ovnkube-node-lbxkk 8/8 Running 0 105m pod/ovnkube-node-tt7bx 8/8 Running 1 (102m ago) 105m NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE service/ovn-kubernetes-control-plane ClusterIP None <none> 9108/TCP 114m service/ovn-kubernetes-node ClusterIP None <none> 9103/TCP,9105/TCP 114m NAME DESIRED CURRENT READY UP-TO-DATE AVAILABLE NODE SELECTOR AGE daemonset.apps/ovnkube-node 6 6 6 6 6 beta.kubernetes.io/os=linux 114m NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE deployment.apps/ovnkube-control-plane 3/3 3 3 114m NAME DESIRED CURRENT READY AGE replicaset.apps/ovnkube-control-plane-65c6f55656 3 3 3 114m NAME ENDPOINTS AGE endpoints/ovn-kubernetes-control-plane 10.0.0.3:9108,10.0.0.4:9108,10.0.0.5:9108 114m endpoints/ovn-kubernetes-node 10.0.0.3:9105,10.0.0.4:9105,10.0.0.5:9105 + 9 more... 114m NAME DATA AGE configmap/control-plane-status 1 113m configmap/kube-root-ca.crt 1 114m configmap/openshift-service-ca.crt 1 114m configmap/ovn-ca 1 114m configmap/ovnkube-config 1 114m configmap/signer-ca 1 114m
クラスター内の各ノードには、1 つの
ovnkube-node
Pod があります。ovnkube-config
config map には、OpenShift Container Platform OVN-Kubernetes 設定が含まれています。次のコマンドを実行して、
ovnkube-node
Pod 内のすべてのコンテナーを一覧表示します。$ oc get pods ovnkube-node-bcvts -o jsonpath='{.spec.containers[*].name}' -n openshift-ovn-kubernetes
予想される出力
ovn-controller ovn-acl-logging kube-rbac-proxy-node kube-rbac-proxy-ovn-metrics northd nbdb sbdb ovnkube-controller
ovnkube-node
Pod は、複数のコンテナーで構成されています。これは、ノースバウンドデータベース (nbdb
コンテナー)、サウスバウンドデータベース (sbdb
コンテナー)、ノースデーモン (northd
コンテナー)、ovn-controller
およびovnkube-controller
コンテナーをホストします。ovnkube-controller
コンテナーは、Pod、Egress IP、namespace、サービス、エンドポイント、Egress ファイアウォール、ネットワークポリシーなどの API オブジェクトを監視します。また、そのノードの利用可能なサブネットプールから Pod IP への割り当ても行います。次のコマンドを実行して、
ovnkube-control-plane
Pod 内のすべてのコンテナーをリスト表示します。$ oc get pods ovnkube-control-plane-65c6f55656-6d55h -o jsonpath='{.spec.containers[*].name}' -n openshift-ovn-kubernetes
予想される出力
kube-rbac-proxy ovnkube-cluster-manager
ovnkube-control-plane
Pod には、各 OpenShift Container Platform ノードに常駐するコンテナー (ovnkube-cluster-manager
) があります。ovnkube-cluster-manager
コンテナーは、Pod サブネット、トランジットスイッチサブネット IP、およびジョインスイッチサブネット IP をクラスター内の各ノードに割り当てます。kube-rbac-proxy
コンテナーはovnkube-cluster-manager
コンテナーのメトリックを監視します。
24.2.3. OVN-Kubernetes ノースバウンドデータベースの内容の一覧表示
各ノードは、そのノード上の ovnkube-node
Pod で実行されている ovnkube-controller
コンテナーによって制御されます。OVN 論理ネットワークエンティティーを理解するには、そのノード上の ovnkube-node
Pod 内でコンテナーとして実行されているノースバウンドデータベースを調べて、表示するノード内にどのようなオブジェクトがあるかを確認する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
クラスター内で ovn nbctl
または sbctl
コマンドを実行するには、関連するノード上の nbdb
または sbdb
コンテナーにリモートシェルを開く必要があります。
次のコマンドを実行して Pod をリスト表示します。
$ oc get po -n openshift-ovn-kubernetes
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE ovnkube-control-plane-8444dff7f9-4lh9k 2/2 Running 0 27m ovnkube-control-plane-8444dff7f9-5rjh9 2/2 Running 0 27m ovnkube-node-55xs2 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-7r84r 8/8 Running 0 16m ovnkube-node-bqq8p 8/8 Running 0 17m ovnkube-node-mkj4f 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-mlr8k 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-wqn2m 8/8 Running 0 16m
オプション: Pod とノード情報をリストするには、次のコマンドを実行します。
$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -owide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES ovnkube-control-plane-8444dff7f9-4lh9k 2/2 Running 0 27m 10.0.0.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-1 <none> <none> ovnkube-control-plane-8444dff7f9-5rjh9 2/2 Running 0 27m 10.0.0.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2 <none> <none> ovnkube-node-55xs2 8/8 Running 0 26m 10.0.0.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2 <none> <none> ovnkube-node-7r84r 8/8 Running 0 17m 10.0.128.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-b-wbz7z <none> <none> ovnkube-node-bqq8p 8/8 Running 0 17m 10.0.128.2 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-a-lh7ms <none> <none> ovnkube-node-mkj4f 8/8 Running 0 27m 10.0.0.5 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-0 <none> <none> ovnkube-node-mlr8k 8/8 Running 0 27m 10.0.0.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-1 <none> <none> ovnkube-node-wqn2m 8/8 Running 0 17m 10.0.128.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-c-przlm <none> <none>
次のコマンドを実行して、Pod に移動してノースバウンドデータベースを確認します。
$ oc rsh -c nbdb -n openshift-ovn-kubernetes ovnkube-node-55xs2
次のコマンドを実行して、ノースバウンドデータベース内のすべてのオブジェクトを表示します。
$ ovn-nbctl show
出力は長すぎてここにリストできません。リストには、NAT ルール、論理スイッチ、ロードバランサーなどが含まれます。
次の任意のコマンドのいくつかを使用すると、特定のコンポーネントに絞り込むことができます。
次のコマンドを実行して、論理ルーターのリストを表示します。
$ oc exec -n openshift-ovn-kubernetes -it ovnkube-node-55xs2 \ -c northd -- ovn-nbctl lr-list
出力例
45339f4f-7d0b-41d0-b5f9-9fca9ce40ce6 (GR_ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2) 96a0a0f0-e7ed-4fec-8393-3195563de1b8 (ovn_cluster_router)
注記この出力から、各ノードにルーターと
ovn_cluster_router
があることがわかります。次のコマンドを実行して、論理スイッチのリストを表示します。
$ oc exec -n openshift-ovn-kubernetes -it ovnkube-node-55xs2 \ -c nbdb -- ovn-nbctl ls-list
出力例
bdd7dc3d-d848-4a74-b293-cc15128ea614 (ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2) b349292d-ee03-4914-935f-1940b6cb91e5 (ext_ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2) 0aac0754-ea32-4e33-b086-35eeabf0a140 (join) 992509d7-2c3f-4432-88db-c179e43592e5 (transit_switch)
注記この出力から、各ノードの ext スイッチに加えて、ノード名自体を持つスイッチと結合スイッチがあることがわかります。
次のコマンドを実行して、ロードバランサーのリストを表示します。
$ oc exec -n openshift-ovn-kubernetes -it ovnkube-node-55xs2 \ -c nbdb -- ovn-nbctl lb-list
出力例
UUID LB PROTO VIP IPs 7c84c673-ed2a-4436-9a1f-9bc5dd181eea Service_default/ tcp 172.30.0.1:443 10.0.0.3:6443,169.254.169.2:6443,10.0.0.5:6443 4d663fd9-ddc8-4271-b333-4c0e279e20bb Service_default/ tcp 172.30.0.1:443 10.0.0.3:6443,10.0.0.4:6443,10.0.0.5:6443 292eb07f-b82f-4962-868a-4f541d250bca Service_openshif tcp 172.30.105.247:443 10.129.0.12:8443 034b5a7f-bb6a-45e9-8e6d-573a82dc5ee3 Service_openshif tcp 172.30.192.38:443 10.0.0.3:10259,10.0.0.4:10259,10.0.0.5:10259 a68bb53e-be84-48df-bd38-bdd82fcd4026 Service_openshif tcp 172.30.161.125:8443 10.129.0.32:8443 6cc21b3d-2c54-4c94-8ff5-d8e017269c2e Service_openshif tcp 172.30.3.144:443 10.129.0.22:8443 37996ffd-7268-4862-a27f-61cd62e09c32 Service_openshif tcp 172.30.181.107:443 10.129.0.18:8443 81d4da3c-f811-411f-ae0c-bc6713d0861d Service_openshif tcp 172.30.228.23:443 10.129.0.29:8443 ac5a4f3b-b6ba-4ceb-82d0-d84f2c41306e Service_openshif tcp 172.30.14.240:9443 10.129.0.36:9443 c88979fb-1ef5-414b-90ac-43b579351ac9 Service_openshif tcp 172.30.231.192:9001 10.128.0.5:9001,10.128.2.5:9001,10.129.0.5:9001,10.129.2.4:9001,10.130.0.3:9001,10.131.0.3:9001 fcb0a3fb-4a77-4230-a84a-be45dce757e8 Service_openshif tcp 172.30.189.92:443 10.130.0.17:8440 67ef3e7b-ceb9-4bf0-8d96-b43bde4c9151 Service_openshif tcp 172.30.67.218:443 10.129.0.9:8443 d0032fba-7d5e-424a-af25-4ab9b5d46e81 Service_openshif tcp 172.30.102.137:2379 10.0.0.3:2379,10.0.0.4:2379,10.0.0.5:2379 tcp 172.30.102.137:9979 10.0.0.3:9979,10.0.0.4:9979,10.0.0.5:9979 7361c537-3eec-4e6c-bc0c-0522d182abd4 Service_openshif tcp 172.30.198.215:9001 10.0.0.3:9001,10.0.0.4:9001,10.0.0.5:9001,10.0.128.2:9001,10.0.128.3:9001,10.0.128.4:9001 0296c437-1259-410b-a6fd-81c310ad0af5 Service_openshif tcp 172.30.198.215:9001 10.0.0.3:9001,169.254.169.2:9001,10.0.0.5:9001,10.0.128.2:9001,10.0.128.3:9001,10.0.128.4:9001 5d5679f5-45b8-479d-9f7c-08b123c688b8 Service_openshif tcp 172.30.38.253:17698 10.128.0.52:17698,10.129.0.84:17698,10.130.0.60:17698 2adcbab4-d1c9-447d-9573-b5dc9f2efbfa Service_openshif tcp 172.30.148.52:443 10.0.0.4:9202,10.0.0.5:9202 tcp 172.30.148.52:444 10.0.0.4:9203,10.0.0.5:9203 tcp 172.30.148.52:445 10.0.0.4:9204,10.0.0.5:9204 tcp 172.30.148.52:446 10.0.0.4:9205,10.0.0.5:9205 2a33a6d7-af1b-4892-87cc-326a380b809b Service_openshif tcp 172.30.67.219:9091 10.129.2.16:9091,10.131.0.16:9091 tcp 172.30.67.219:9092 10.129.2.16:9092,10.131.0.16:9092 tcp 172.30.67.219:9093 10.129.2.16:9093,10.131.0.16:9093 tcp 172.30.67.219:9094 10.129.2.16:9094,10.131.0.16:9094 f56f59d7-231a-4974-99b3-792e2741ec8d Service_openshif tcp 172.30.89.212:443 10.128.0.41:8443,10.129.0.68:8443,10.130.0.44:8443 08c2c6d7-d217-4b96-b5d8-c80c4e258116 Service_openshif tcp 172.30.102.137:2379 10.0.0.3:2379,169.254.169.2:2379,10.0.0.5:2379 tcp 172.30.102.137:9979 10.0.0.3:9979,169.254.169.2:9979,10.0.0.5:9979 60a69c56-fc6a-4de6-bd88-3f2af5ba5665 Service_openshif tcp 172.30.10.193:443 10.129.0.25:8443 ab1ef694-0826-4671-a22c-565fc2d282ec Service_openshif tcp 172.30.196.123:443 10.128.0.33:8443,10.129.0.64:8443,10.130.0.37:8443 b1fb34d3-0944-4770-9ee3-2683e7a630e2 Service_openshif tcp 172.30.158.93:8443 10.129.0.13:8443 95811c11-56e2-4877-be1e-c78ccb3a82a9 Service_openshif tcp 172.30.46.85:9001 10.130.0.16:9001 4baba1d1-b873-4535-884c-3f6fc07a50fd Service_openshif tcp 172.30.28.87:443 10.129.0.26:8443 6c2e1c90-f0ca-484e-8a8e-40e71442110a Service_openshif udp 172.30.0.10:53 10.128.0.13:5353,10.128.2.6:5353,10.129.0.39:5353,10.129.2.6:5353,10.130.0.11:5353,10.131.0.9:5353
注記この出力 (一部省略あり) から、多くの OVN-Kubernetes ロードバランサーがあることがわかります。OVN-Kubernetes のロードバランサーはサービスの表現です。
次のコマンドを実行して、コマンド
ovn-nbctl
で使用可能なオプションを表示します。$ oc exec -n openshift-ovn-kubernetes -it ovnkube-node-55xs2 \ -c nbdb ovn-nbctl --help
24.2.4. ノースバウンドデータベースの内容を調べるための ovn-nbctl のコマンドライン引数
次の表に、ノースバウンドデータベースの内容を調べるために ovn-nbctl
で使用できるコマンドライン引数を示します。
内容を表示する Pod でリモートシェルを開き、ovn-nbctl
コマンドを実行します。
引数 | 説明 |
---|---|
| 特定のノードから見たノースバウンドデータベースの内容の概要。 |
| 指定されたスイッチまたはルーターに関連付けられた詳細を表示します。 |
| 論理ルーターを表示します。 |
|
|
| 指定されたルーターのネットワークアドレス変換の詳細を表示します。 |
| 論理スイッチを表示します。 |
|
|
| 論理ポートのタイプを取得します。 |
| ロードバランサーを表示します。 |
24.2.5. OVN-Kubernetes サウスバウンドデータベースの内容の一覧表示
各ノードは、そのノード上の ovnkube-node
Pod で実行されている ovnkube-controller
コンテナーによって制御されます。OVN 論理ネットワークエンティティーを理解するには、そのノード上の ovnkube-node
Pod 内でコンテナーとして実行されているノースバウンドデータベースを調べて、表示するノード内にどのようなオブジェクトがあるかを確認する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
クラスター内で ovn nbctl
または sbctl
コマンドを実行するには、関連するノード上の nbdb
または sbdb
コンテナーにリモートシェルを開く必要があります。
次のコマンドを実行して、Pod を一覧表示します。
$ oc get po -n openshift-ovn-kubernetes
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE ovnkube-control-plane-8444dff7f9-4lh9k 2/2 Running 0 27m ovnkube-control-plane-8444dff7f9-5rjh9 2/2 Running 0 27m ovnkube-node-55xs2 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-7r84r 8/8 Running 0 16m ovnkube-node-bqq8p 8/8 Running 0 17m ovnkube-node-mkj4f 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-mlr8k 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-wqn2m 8/8 Running 0 16m
オプション: Pod とノード情報をリストするには、次のコマンドを実行します。
$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -owide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES ovnkube-control-plane-8444dff7f9-4lh9k 2/2 Running 0 27m 10.0.0.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-1 <none> <none> ovnkube-control-plane-8444dff7f9-5rjh9 2/2 Running 0 27m 10.0.0.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2 <none> <none> ovnkube-node-55xs2 8/8 Running 0 26m 10.0.0.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-2 <none> <none> ovnkube-node-7r84r 8/8 Running 0 17m 10.0.128.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-b-wbz7z <none> <none> ovnkube-node-bqq8p 8/8 Running 0 17m 10.0.128.2 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-a-lh7ms <none> <none> ovnkube-node-mkj4f 8/8 Running 0 27m 10.0.0.5 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-0 <none> <none> ovnkube-node-mlr8k 8/8 Running 0 27m 10.0.0.3 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-master-1 <none> <none> ovnkube-node-wqn2m 8/8 Running 0 17m 10.0.128.4 ci-ln-t487nnb-72292-mdcnq-worker-c-przlm <none> <none>
Pod に移動してサウスバウンドデータベースを確認します。
$ oc rsh -c sbdb -n openshift-ovn-kubernetes ovnkube-node-55xs2
次のコマンドを実行して、サウスバウンドデータベース内のすべてのオブジェクトを表示します。
$ ovn-sbctl show
出力例
Chassis "5db31703-35e9-413b-8cdf-69e7eecb41f7" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-a-8bmwz Encap geneve ip: "10.0.128.4" options: {csum="true"} Port_Binding tstor-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-a-8bmwz Chassis "070debed-99b7-4bce-b17d-17e720b7f8bc" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Encap geneve ip: "10.0.128.2" options: {csum="true"} Port_Binding k8s-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding rtoe-GR_ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding openshift-monitoring_alertmanager-main-1 Port_Binding rtoj-GR_ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding etor-GR_ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding cr-rtos-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding openshift-e2e-loki_loki-promtail-qcrcz Port_Binding jtor-GR_ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-b-svmp6 Port_Binding openshift-multus_network-metrics-daemon-mkd4t Port_Binding openshift-ingress-canary_ingress-canary-xtvj4 Port_Binding openshift-ingress_router-default-6c76cbc498-pvlqk Port_Binding openshift-dns_dns-default-zz582 Port_Binding openshift-monitoring_thanos-querier-57585899f5-lbf4f Port_Binding openshift-network-diagnostics_network-check-target-tn228 Port_Binding openshift-monitoring_prometheus-k8s-0 Port_Binding openshift-image-registry_image-registry-68899bd877-xqxjj Chassis "179ba069-0af1-401c-b044-e5ba90f60fea" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-0 Encap geneve ip: "10.0.0.5" options: {csum="true"} Port_Binding tstor-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-0 Chassis "68c954f2-5a76-47be-9e84-1cb13bd9dab9" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-c-mjf9w Encap geneve ip: "10.0.128.3" options: {csum="true"} Port_Binding tstor-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-worker-c-mjf9w Chassis "2de65d9e-9abf-4b6e-a51d-a1e038b4d8af" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-2 Encap geneve ip: "10.0.0.4" options: {csum="true"} Port_Binding tstor-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-2 Chassis "1d371cb8-5e21-44fd-9025-c4b162cc4247" hostname: ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-1 Encap geneve ip: "10.0.0.3" options: {csum="true"} Port_Binding tstor-ci-ln-9gp362t-72292-v2p94-master-1
この詳細な出力は、シャーシとシャーシに接続されているポート (この場合、すべてのルーターポートとホストネットワークのように動作するもの) を示しています。すべての Pod は、ソースネットワークアドレス変換 (SNAT) を使用して、より広いネットワークと通信します。Pod の IP アドレスは、Pod が実行されているノードの IP アドレスに変換され、ネットワークに送信されます。
シャーシ情報に加えて、サウスバウンドデータベースにはすべてのロジックフローがあります。これらのロジックフローは各ノードで実行されている
ovn-controller
に送信されます。ovn-controller
は、ロジックフローをオープンフロールールに変換し、最終的にOpenvSwitch
をプログラムして、Pod がオープンフロールールに従ってネットワークの外に出られるようにします。次のコマンドを実行して、コマンド
ovn-sbctl
で使用可能なオプションを表示します。$ oc exec -n openshift-ovn-kubernetes -it ovnkube-node-55xs2 \ -c sbdb ovn-sbctl --help
24.2.6. サウスバウンドデータベースの内容を調べるための ovn-sbctl のコマンドライン引数
次の表に、サウスバウンドデータベースの内容を調べるために ovn-sbctl
で使用できるコマンドライン引数を示します。
内容を表示する Pod でリモートシェルを開き、ovn-sbctl
コマンドを実行します。
引数 | 説明 |
---|---|
| 特定のノードから見たサウスバウンドデータベースの内容の概要。 |
| 指定されたポートのサウスバウンドデータベースの内容を一覧表示します。 |
| 論理フローを一覧表示します。 |
24.2.7. OVN-Kubernetes の論理アーキテクチャー
OVN はネットワーク仮想化ソリューションです。OVN は論理スイッチとルーターを作成します。これらのスイッチとルーターは相互接続され、任意のネットワークトポロジーを作成します。ログレベルを 2 または 5 に設定して ovnkube-trace
を実行すると、OVN-Kubernetes 論理コンポーネントが公開されます。以下の図は、ルーターとスイッチが OpenShift Container Platform でどのように接続されているかを示しています。
図24.2 OVN-Kubernetes のルーターおよびスイッチコンポーネント
パケット処理に関係する主要なコンポーネントは次のとおりです。
- ゲートウェイルーター
-
L3 ゲートウェイルーターとも呼ばれるゲートウェイルーターは、通常、分散ルーターと物理ネットワークの間で使用されます。論理パッチポートを含むゲートウェイルーターは、(分散されていない) 物理的な場所またはシャーシにバインドされます。このルーターのパッチポートは、ovn-southbound データベース (
ovn-sbdb
) では l3gateway ポートと呼ばれます。 - 分散論理ルーター
- 分散論理ルーターと、仮想マシンとコンテナーが接続されるその背後にある論理スイッチは、事実上、各ハイパーバイザーに常駐します。
- 結合ローカルスイッチ
- 結合ローカルスイッチは、分散ルーターとゲートウェイルーターを接続するために使用されます。これにより、分散ルーターで必要な IP アドレスの数が減ります。
- パッチポートを備えた論理スイッチ
- パッチポートを備えた論理スイッチは、ネットワークスタックを仮想化するために使用されます。これらは、トンネルを介してリモート論理ポートを接続します。
- localnet ポートを備えた論理スイッチ
- localnet ポートを備えた論理スイッチは、OVN を物理ネットワークに接続するために使用されます。これらは、localnet ポートを使用して直接接続された物理 L2 セグメントにパケットをブリッジすることにより、リモート論理ポートを接続します。
- パッチポート
- パッチポートは、論理スイッチと論理ルーターの間、およびピア論理ルーター間の接続を表します。1 つの接続には、このような接続ポイントごとに、両側に 1 つずつ、1 組のパッチポートがあります。
- l3gateway ポート
-
l3gateway ポートは、ゲートウェイルーターで使用される論理パッチポートの
ovn-sbdb
内のポートバインディングエントリーです。これらのポートは、ゲートウェイルーター本体と同様にシャーシにバインドされているという事実を表すために、パッチポートではなく l3gateway ポートと呼ばれます。 - localnet ポート
-
localnet ポートは、各
ovn-controller
インスタンスからローカルにアクセス可能なネットワークへの接続を可能にするブリッジ論理スイッチに存在します。これは、論理スイッチから物理ネットワークへの直接接続をモデル化するのに役立ちます。論理スイッチに接続できる localnet ポートは 1 つだけです。
24.2.7.1. ローカルホストへの network-tools のインストール
ローカルホストに network-tools
をインストールして、OpenShift Container Platform クラスターネットワークの問題をデバッグするための一連のツールを使用できるようにします。
手順
次のコマンドを使用して、
network-tools
リポジトリーのクローンをワークステーションに作成します。$ git clone git@github.com:openshift/network-tools.git
クローン作成したリポジトリーのディレクトリーに移動します。
$ cd network-tools
オプション: 使用可能なすべてのコマンドをリストします。
$ ./debug-scripts/network-tools -h
24.2.7.2. network-tools の実行
network-tools
を実行して、論理スイッチとルーターに関する情報を取得します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 -
ローカルホストに
network-tools
がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、ルーターを一覧表示します。
$ ./debug-scripts/network-tools ovn-db-run-command ovn-nbctl lr-list
出力例
944a7b53-7948-4ad2-a494-82b55eeccf87 (GR_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99) 84bd4a4c-4b0b-4a47-b0cf-a2c32709fc53 (ovn_cluster_router)
次のコマンドを実行して、localnet ポートを一覧表示します。
$ ./debug-scripts/network-tools ovn-db-run-command \ ovn-sbctl find Port_Binding type=localnet
出力例
_uuid : d05298f5-805b-4838-9224-1211afc2f199 additional_chassis : [] additional_encap : [] chassis : [] datapath : f3c2c959-743b-4037-854d-26627902597c encap : [] external_ids : {} gateway_chassis : [] ha_chassis_group : [] logical_port : br-ex_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99 mac : [unknown] mirror_rules : [] nat_addresses : [] options : {network_name=physnet} parent_port : [] port_security : [] requested_additional_chassis: [] requested_chassis : [] tag : [] tunnel_key : 2 type : localnet up : false virtual_parent : [] [...]
次のコマンドを実行して、
l3gateway
ポートを一覧表示します。$ ./debug-scripts/network-tools ovn-db-run-command \ ovn-sbctl find Port_Binding type=l3gateway
出力例
_uuid : 5207a1f3-1cf3-42f1-83e9-387bbb06b03c additional_chassis : [] additional_encap : [] chassis : ca6eb600-3a10-4372-a83e-e0d957c4cd92 datapath : f3c2c959-743b-4037-854d-26627902597c encap : [] external_ids : {} gateway_chassis : [] ha_chassis_group : [] logical_port : etor-GR_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99 mac : ["42:01:0a:00:80:04"] mirror_rules : [] nat_addresses : ["42:01:0a:00:80:04 10.0.128.4"] options : {l3gateway-chassis="84737c36-b383-4c83-92c5-2bd5b3c7e772", peer=rtoe-GR_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99} parent_port : [] port_security : [] requested_additional_chassis: [] requested_chassis : [] tag : [] tunnel_key : 1 type : l3gateway up : true virtual_parent : [] _uuid : 6088d647-84f2-43f2-b53f-c9d379042679 additional_chassis : [] additional_encap : [] chassis : ca6eb600-3a10-4372-a83e-e0d957c4cd92 datapath : dc9cea00-d94a-41b8-bdb0-89d42d13aa2e encap : [] external_ids : {} gateway_chassis : [] ha_chassis_group : [] logical_port : jtor-GR_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99 mac : [router] mirror_rules : [] nat_addresses : [] options : {l3gateway-chassis="84737c36-b383-4c83-92c5-2bd5b3c7e772", peer=rtoj-GR_ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99} parent_port : [] port_security : [] requested_additional_chassis: [] requested_chassis : [] tag : [] tunnel_key : 2 type : l3gateway up : true virtual_parent : [] [...]
次のコマンドを実行して、パッチポートを一覧表示します。
$ ./debug-scripts/network-tools ovn-db-run-command \ ovn-sbctl find Port_Binding type=patch
出力例
_uuid : 785fb8b6-ee5a-4792-a415-5b1cb855dac2 additional_chassis : [] additional_encap : [] chassis : [] datapath : f1ddd1cc-dc0d-43b4-90ca-12651305acec encap : [] external_ids : {} gateway_chassis : [] ha_chassis_group : [] logical_port : stor-ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99 mac : [router] mirror_rules : [] nat_addresses : ["0a:58:0a:80:02:01 10.128.2.1 is_chassis_resident(\"cr-rtos-ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99\")"] options : {peer=rtos-ci-ln-54932yb-72292-kd676-worker-c-rzj99} parent_port : [] port_security : [] requested_additional_chassis: [] requested_chassis : [] tag : [] tunnel_key : 1 type : patch up : false virtual_parent : [] _uuid : c01ff587-21a5-40b4-8244-4cd0425e5d9a additional_chassis : [] additional_encap : [] chassis : [] datapath : f6795586-bf92-4f84-9222-efe4ac6a7734 encap : [] external_ids : {} gateway_chassis : [] ha_chassis_group : [] logical_port : rtoj-ovn_cluster_router mac : ["0a:58:64:40:00:01 100.64.0.1/16"] mirror_rules : [] nat_addresses : [] options : {peer=jtor-ovn_cluster_router} parent_port : [] port_security : [] requested_additional_chassis: [] requested_chassis : [] tag : [] tunnel_key : 1 type : patch up : false virtual_parent : [] [...]
24.2.8. 関連情報
24.3. OVN-Kubernetes のトラブルシューティング
OVN-Kubernetes には、組み込みのヘルスチェックとログのソースが多数あります。以下のセクションの手順に従ってクラスターを調査してください。サポートケースが必要な場合は、サポートガイド に従って、must-gather
を使用して追加情報を収集してください。-- gather_network_logs
は、サポートから指示された場合にのみ使用してください。
24.3.1. readiness プローブを使用した OVN-Kubernetes の正常性の監視
ovnkube-control-plane
および ovnkube-node
Pod には、readiness プローブが設定されたコンテナーがあります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) へのアクセスがある。 -
cluster-admin
権限でクラスターにアクセスできる。 -
jq
がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、
ovnkube-node
readiness プローブの詳細を確認します。$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node \ -o json | jq '.items[0].spec.containers[] | .name,.readinessProbe'
ovnkube-node
Pod 内のノースバウンドおよびサウスバウンドのデータベースコンテナーの Readiness プローブは、データベースとovnkube-controller
コンテナーの正常性をチェックします。ovnkube-node
Pod のovnkube-controller
コンテナーには、OVN-Kubernetes CNI 設定ファイルの存在を確認するための readiness プローブがあります。この設定ファイルがない場合、Pod が実行中でないか、Pod を設定するリクエストを受け入れる準備ができていません。次のコマンドを使用して、プローブの失敗を含む namespace のすべてのイベントを表示します。
$ oc get events -n openshift-ovn-kubernetes
特定の Pod のみのイベントを表示します。
$ oc describe pod ovnkube-node-9lqfk -n openshift-ovn-kubernetes
クラスターネットワーク Operator からのメッセージとステータスを表示します。
$ oc get co/network -o json | jq '.status.conditions[]'
次のスクリプトを実行して、
ovnkube-node
Pod 内の各コンテナーのready
ステータスを表示します。$ for p in $(oc get pods --selector app=ovnkube-node -n openshift-ovn-kubernetes \ -o jsonpath='{range.items[*]}{" "}{.metadata.name}'); do echo === $p ===; \ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes $p -o json | jq '.status.containerStatuses[] | .name, .ready'; \ done
注記すべてのコンテナーのステータスが
true
として報告されることが期待されます。readiness プローブが失敗すると、ステータスがfalse
に設定されます。
24.3.2. コンソールでの OVN-Kubernetes アラートの表示
アラート UI は、アラートおよびそれらを規定するアラートルールおよびサイレンスに関する詳細情報を提供します。
前提条件
- 開発者として、またはメトリクスで表示しているプロジェクトの表示権限を持つユーザーとしてクラスターへのアクセスがある。
手順 (UI)
- Administrator パースペクティブで、Observe → Alerting を選択します。このパースペクティブのアラート UI の主なページには、Alerts、Silences、および Alerting Rules という 3 つのページがあります。
- Observe → Alerting → Alerting Rules を選択して、OVN-Kubernetes アラートのルールを表示します。
24.3.3. CLI での OVN-Kubernetes アラートの表示
コマンドラインから、アラートとその管理アラートルールおよびサイレンスに関する情報を取得できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
jq
がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、アクティブまたは発生中のアラートを表示します。
次のコマンドを実行して、アラートマネージャーのルート環境変数を設定します。
$ ALERT_MANAGER=$(oc get route alertmanager-main -n openshift-monitoring \ -o jsonpath='{@.spec.host}')
以下のコマンドを実行してアラートマネージャールート API に
curl
リクエストを実行します。$ALERT_MANAGER
は、Alertmanager
インスタンスの URL に置き換えます。$ curl -s -k -H "Authorization: Bearer $(oc create token prometheus-k8s -n openshift-monitoring)" https://$ALERT_MANAGER/api/v1/alerts | jq '.data[] | "\(.labels.severity) \(.labels.alertname) \(.labels.pod) \(.labels.container) \(.labels.endpoint) \(.labels.instance)"'
次のコマンドを実行して、アラートルールを表示します。
$ oc -n openshift-monitoring exec -c prometheus prometheus-k8s-0 -- curl -s 'http://localhost:9090/api/v1/rules' | jq '.data.groups[].rules[] | select(((.name|contains("ovn")) or (.name|contains("OVN")) or (.name|contains("Ovn")) or (.name|contains("North")) or (.name|contains("South"))) and .type=="alerting")'
24.3.4. CLI を使用した OVN-Kubernetes ログの表示
OpenShift CLI (oc
) を使用して、ovnkube-master
および ovnkube-node
Pod 内の各 Pod のログを表示できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) へのアクセスがある。 -
jq
がインストールされている。
手順
特定の Pod のログを表示します。
$ oc logs -f <pod_name> -c <container_name> -n <namespace>
ここでは、以下のようになります。
-f
- オプション: ログに書き込まれている内容に沿って出力することを指定します。
<pod_name>
- Pod の名前を指定します。
<container_name>
- オプション: コンテナーの名前を指定します。Pod に複数のコンテナーがある場合、コンテナー名を指定する必要があります。
<namespace>
- Pod が実行されている namespace を指定します。
以下に例を示します。
$ oc logs ovnkube-node-5dx44 -n openshift-ovn-kubernetes
$ oc logs -f ovnkube-node-5dx44 -c ovnkube-controller -n openshift-ovn-kubernetes
ログファイルの内容が出力されます。
ovnkube-node
Pod 内のすべてのコンテナーの最新のエントリーを調べます。$ for p in $(oc get pods --selector app=ovnkube-node -n openshift-ovn-kubernetes \ -o jsonpath='{range.items[*]}{" "}{.metadata.name}'); \ do echo === $p ===; for container in $(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes $p \ -o json | jq -r '.status.containerStatuses[] | .name');do echo ---$container---; \ oc logs -c $container $p -n openshift-ovn-kubernetes --tail=5; done; done
次のコマンドを使用して、
ovnkube-node
Pod 内のすべてのコンテナーのすべてのログの最後の 5 行を表示します。$ oc logs -l app=ovnkube-node -n openshift-ovn-kubernetes --all-containers --tail 5
24.3.5. Web コンソールを使用した OVN-Kubernetes ログの表示
Web コンソールで、ovnkube-master
Pod と ovnkube-node
Pod の各 Pod のログを表示できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) へのアクセスがある。
手順
- OpenShift Container Platform コンソールで Workloads → Pods に移動するか、調査するリソースから Pod に移動します。
-
ドロップダウンメニューから
openshift-ovn-kubernetes
プロジェクトを選択します。 - 調査する Pod の名前をクリックします。
-
Logs をクリックします。
ovnkube-master
のデフォルトでは、northd
コンテナーに関連付けられたログが表示されます。 - ドロップダウンメニューを使用して、各コンテナーのログを順番に選択します。
24.3.5.1. OVN-Kubernetes のログレベルの変更
OVN-Kubernetes のデフォルトのログレベルは 4 です。OVN-Kubernetes をデバッグするには、ログレベルを 5 に設定します。次の手順に従って OVN-Kubernetes のログレベルを上げることで、問題のデバッグに役立てることができます。
前提条件
-
cluster-admin
権限でクラスターにアクセスできる。 - OpenShift Container Platform Web コンソールにアクセスできる。
手順
次のコマンドを実行して、OVN-Kubernetes プロジェクト内のすべての Pod の詳細情報を取得します。
$ oc get po -o wide -n openshift-ovn-kubernetes
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES ovnkube-control-plane-65497d4548-9ptdr 2/2 Running 2 (128m ago) 147m 10.0.0.3 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-0 <none> <none> ovnkube-control-plane-65497d4548-j6zfk 2/2 Running 0 147m 10.0.0.5 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-2 <none> <none> ovnkube-node-5dx44 8/8 Running 0 146m 10.0.0.3 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-0 <none> <none> ovnkube-node-dpfn4 8/8 Running 0 146m 10.0.0.4 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-1 <none> <none> ovnkube-node-kwc9l 8/8 Running 0 134m 10.0.128.2 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-worker-a-2fjcj <none> <none> ovnkube-node-mcrhl 8/8 Running 0 134m 10.0.128.4 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-worker-c-v9x5v <none> <none> ovnkube-node-nsct4 8/8 Running 0 146m 10.0.0.5 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-2 <none> <none> ovnkube-node-zrj9f 8/8 Running 0 134m 10.0.128.3 ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-worker-b-v78h7 <none> <none>
次の例のような
ConfigMap
ファイルを作成し、env-overrides.yaml
などのファイル名を使用します。ConfigMap
ファイルの例kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: env-overrides namespace: openshift-ovn-kubernetes data: ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-0: | 1 # This sets the log level for the ovn-kubernetes node process: OVN_KUBE_LOG_LEVEL=5 # You might also/instead want to enable debug logging for ovn-controller: OVN_LOG_LEVEL=dbg ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-2: | # This sets the log level for the ovn-kubernetes node process: OVN_KUBE_LOG_LEVEL=5 # You might also/instead want to enable debug logging for ovn-controller: OVN_LOG_LEVEL=dbg _master: | 2 # This sets the log level for the ovn-kubernetes master process as well as the ovn-dbchecker: OVN_KUBE_LOG_LEVEL=5 # You might also/instead want to enable debug logging for northd, nbdb and sbdb on all masters: OVN_LOG_LEVEL=dbg
次のコマンドを使用して、
ConfigMap
ファイルを適用します。$ oc apply -n openshift-ovn-kubernetes -f env-overrides.yaml
出力例
configmap/env-overrides.yaml created
次のコマンドを使用して
ovnkube
Pod を再起動し、新しいログレベルを適用します。$ oc delete pod -n openshift-ovn-kubernetes \ --field-selector spec.nodeName=ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-0 -l app=ovnkube-node
$ oc delete pod -n openshift-ovn-kubernetes \ --field-selector spec.nodeName=ci-ln-3njdr9b-72292-5nwkp-master-2 -l app=ovnkube-node
$ oc delete pod -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node
ConfigMap ファイルが特定の Pod のすべてのノードに適用されていることを確認するには、次のコマンドを実行します。
$ oc logs -n openshift-ovn-kubernetes --all-containers --prefix ovnkube-node-<xxxx> | grep -E -m 10 '(Logging config:|vconsole|DBG)'
ここでは、以下のようになります。
<XXXX>
前の手順の Pod の文字のランダムなシーケンスを指定します。
出力例
[pod/ovnkube-node-2cpjc/sbdb] + exec /usr/share/ovn/scripts/ovn-ctl --no-monitor '--ovn-sb-log=-vconsole:info -vfile:off -vPATTERN:console:%D{%Y-%m-%dT%H:%M:%S.###Z}|%05N|%c%T|%p|%m' run_sb_ovsdb [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovnkube-controller] I1012 14:39:59.984506 35767 config.go:2247] Logging config: {File: CNIFile:/var/log/ovn-kubernetes/ovn-k8s-cni-overlay.log LibovsdbFile:/var/log/ovnkube/libovsdb.log Level:5 LogFileMaxSize:100 LogFileMaxBackups:5 LogFileMaxAge:0 ACLLoggingRateLimit:20} [pod/ovnkube-node-2cpjc/northd] + exec ovn-northd --no-chdir -vconsole:info -vfile:off '-vPATTERN:console:%D{%Y-%m-%dT%H:%M:%S.###Z}|%05N|%c%T|%p|%m' --pidfile /var/run/ovn/ovn-northd.pid --n-threads=1 [pod/ovnkube-node-2cpjc/nbdb] + exec /usr/share/ovn/scripts/ovn-ctl --no-monitor '--ovn-nb-log=-vconsole:info -vfile:off -vPATTERN:console:%D{%Y-%m-%dT%H:%M:%S.###Z}|%05N|%c%T|%p|%m' run_nb_ovsdb [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.552Z|00002|hmap|DBG|lib/shash.c:114: 1 bucket with 6+ nodes, including 1 bucket with 6 nodes (32 nodes total across 32 buckets) [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.553Z|00003|hmap|DBG|lib/shash.c:114: 1 bucket with 6+ nodes, including 1 bucket with 6 nodes (64 nodes total across 64 buckets) [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.553Z|00004|hmap|DBG|lib/shash.c:114: 1 bucket with 6+ nodes, including 1 bucket with 7 nodes (32 nodes total across 32 buckets) [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.553Z|00005|reconnect|DBG|unix:/var/run/openvswitch/db.sock: entering BACKOFF [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.553Z|00007|reconnect|DBG|unix:/var/run/openvswitch/db.sock: entering CONNECTING [pod/ovnkube-node-2cpjc/ovn-controller] 2023-10-12T14:39:54.553Z|00008|ovsdb_cs|DBG|unix:/var/run/openvswitch/db.sock: SERVER_SCHEMA_REQUESTED -> SERVER_SCHEMA_REQUESTED at lib/ovsdb-cs.c:423
オプション: 次のコマンドを実行して、
ConfigMap
ファイルが適用されていることを確認します。for f in $(oc -n openshift-ovn-kubernetes get po -l 'app=ovnkube-node' --no-headers -o custom-columns=N:.metadata.name) ; do echo "---- $f ----" ; oc -n openshift-ovn-kubernetes exec -c ovnkube-controller $f -- pgrep -a -f init-ovnkube-controller | grep -P -o '^.*loglevel\s+\d' ; done
出力例
---- ovnkube-node-2dt57 ---- 60981 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-worker-c-vmh5n.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-worker-c-vmh5n.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 4 ---- ovnkube-node-4zznh ---- 178034 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-master-2.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-master-2.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 4 ---- ovnkube-node-548sx ---- 77499 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-worker-a-fjtnb.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-worker-a-fjtnb.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 4 ---- ovnkube-node-6btrf ---- 73781 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-worker-b-p8rww.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-worker-b-p8rww.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 4 ---- ovnkube-node-fkc9r ---- 130707 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-master-0.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-master-0.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 5 ---- ovnkube-node-tk9l4 ---- 181328 /usr/bin/ovnkube --init-ovnkube-controller xpst8-master-1.c.openshift-qe.internal --init-node xpst8-master-1.c.openshift-qe.internal --config-file=/run/ovnkube-config/ovnkube.conf --ovn-empty-lb-events --loglevel 4
24.3.6. OVN-Kubernetes Pod ネットワーク接続のチェック
OpenShift Container Platform 4.10 以降の接続チェックコントローラーは、クラスター内の接続検証チェックをオーケストレーションします。これには、Kubernetes API、OpenShift API、および個々のノードが含まれます。接続テストの結果は、openshift-network-diagnostics
namespace の PodNetworkConnectivity
オブジェクトに保存されます。接続テストは、1 分ごとに並行して実行されます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) へのアクセスがある。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
jq
がインストールされている。
手順
現在の
PodNetworkConnectivityCheck
オブジェクトをリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。$ oc get podnetworkconnectivitychecks -n openshift-network-diagnostics
次のコマンドを使用して、各接続オブジェクトの最新の成功を表示します。
$ oc get podnetworkconnectivitychecks -n openshift-network-diagnostics \ -o json | jq '.items[]| .spec.targetEndpoint,.status.successes[0]'
次のコマンドを使用して、各接続オブジェクトの最新のエラーを表示します。
$ oc get podnetworkconnectivitychecks -n openshift-network-diagnostics \ -o json | jq '.items[]| .spec.targetEndpoint,.status.failures[0]'
次のコマンドを使用して、各接続オブジェクトの最新の停止を表示します。
$ oc get podnetworkconnectivitychecks -n openshift-network-diagnostics \ -o json | jq '.items[]| .spec.targetEndpoint,.status.outages[0]'
接続チェックコントローラーは、これらのチェックからのメトリクスも Prometheus に記録します。
次のコマンドを実行して、すべてのメトリクスを表示します。
$ oc exec prometheus-k8s-0 -n openshift-monitoring -- \ promtool query instant http://localhost:9090 \ '{component="openshift-network-diagnostics"}'
過去 5 分間のソース Pod と openshift api サービス間のレイテンシーを表示します。
$ oc exec prometheus-k8s-0 -n openshift-monitoring -- \ promtool query instant http://localhost:9090 \ '{component="openshift-network-diagnostics"}'
24.3.7. 関連情報
24.4. OVN-Kubernetes ネットワークポリシー
AdminNetworkPolicy
リソースはテクノロジープレビューのみの機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
Kubernetes は、ネットワークセキュリティーの強化に使用できる 2 つの機能を提供します。機能の 1 つは、ユーザーによるネットワークポリシーの適用を可能にする NetworkPolicy
API です。これは主にアプリケーション開発者と namespace テナント向けの機能で、namespace スコープのポリシーを作成して namespace を保護することを目的としています。詳細は、ネットワークポリシーについて を参照してください。
もう 1 つの機能は AdminNetworkPolicy
です。これは、AdminNetworkPolicy
(ANP) API と BaselineAdminNetworkPolicy
(BANP) API の 2 つの API で構成されます。ANP と BANP は、クラスターおよびネットワーク管理者向けの機能で、クラスタースコープのポリシーを作成してクラスター全体を保護することを目的としています。クラスター管理者は、ANP を使用すると、NetworkPolicy
オブジェクトよりも優先されるオーバーライド不可能なポリシーを適用できます。BANP を使用すると、NetworkPolicy
オブジェクトを使用して必要に応じてユーザーがオーバーライドできるオプションのクラスタースコープのネットワークポリシールールを設定および適用できます。ANP と BANP を一緒に使用すると、クラスターの保護に使用できるマルチテナンシーポリシーを作成できます。
OpenShift Container Platform の OVN-Kubernetes CNI は、アクセス制御リスト (ACL) の階層を使用してこれらのネットワークポリシーを実装し、それらを評価して適用します。ACL は、階層 1 から階層 3 まで降順で評価されます。
階層 1 では AdminNetworkPolicy
(ANP) オブジェクトを評価します。階層 2 では NetworkPolicy
オブジェクトを評価します。階層 3 では BaselineAdminNetworkPolicy
(BANP) オブジェクトを評価します。
図24.3 OVK-Kubernetes アクセス制御リスト (ACL)
トラフィックが ANP ルールに一致した場合、その ANP 内のルールが最初に評価されます。一致が ANP の allow
または deny
ルールの場合、クラスター内の既存の NetworkPolicies
および BaselineAdminNetworkPolicy
(BANP) が評価から意図的に省略されます。一致が ANP の pass
ルールの場合、評価が ACL 階層 1 から階層 2 に進み、そこで NetworkPolicy
ポリシーが評価されます。
24.4.1. AdminNetworkPolicy
AdminNetworkPolicy
(ANP) は、クラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) です。OpenShift Container Platform 管理者は、namespace を作成する前にネットワークポリシーを作成することで、ANP を使用してネットワークを保護できます。さらに、NetworkPolicy
オブジェクトによってオーバーライドできないネットワークポリシーをクラスタースコープのレベルで作成できます。
AdminNetworkPolicy
オブジェクトと NetworkPolicy
オブジェクトの主な違いは、前者は管理者用でクラスタースコープであるのに対し、後者はテナント所有者用で namespace スコープであることです。
ANP を使用すると、管理者は以下を指定できます。
-
評価の順序を決定する
priority
値。値が小さいほど優先度が高くなります。 -
一連の namespace または namespace で構成される
subject
。 -
subject
へのすべての Ingress トラフィックに適用される Ingress ルールのリスト。 -
subject
からのすべての Egress トラフィックに適用される Egress ルールのリスト。
AdminNetworkPolicy
リソースは、実稼働環境ではないテストクラスターで有効にできる TechnologyPreviewNoUpgrade
機能です。フィーチャーゲートと TechnologyPreviewNoUpgrade
機能の詳細には、このセクションの「関連情報」の「フィーチャーゲートの使用による各種機能の有効化」を参照してください。
AdminNetworkPolicy の例
例24.1 ANP の YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: AdminNetworkPolicy metadata: name: sample-anp-deny-pass-rules 1 spec: priority: 50 2 subject: namespaces: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: example.name 3 ingress: 4 - name: "deny-all-ingress-tenant-1" 5 action: "Deny" from: - pods: namespaces: 6 namespaceSelector: matchLabels: custom-anp: tenant-1 podSelector: matchLabels: custom-anp: tenant-1 7 egress:8 - name: "pass-all-egress-to-tenant-1" action: "Pass" to: - pods: namespaces: namespaceSelector: matchLabels: custom-anp: tenant-1 podSelector: matchLabels: custom-anp: tenant-1
- 1
- ANP の名前を指定します。
- 2
spec.priority
フィールドは、0 から 99 までの値を受け入れ、クラスター内で最大 100 個の ANP をサポートします。値が小さいほど優先度が高くなります。同じ優先度のAdminNetworkPolicy
を作成すると、非決定的な結果が生じます。- 3
- ANP リソースを適用する namespace を指定します。
- 4
- ANP には Ingress ルールと Egress ルールの両方があります。
spec.ingress
フィールドの ANP ルールは、action
フィールドのPass
、Deny
、およびAllow
の値を受け入れます。 - 5
ingress.name
の名前を指定します。- 6
- ANP リソースを適用する Pod の選択元の namespace を指定します。
- 7
- ANP リソースを適用する Pod の
podSelector.matchLabels
名を指定します。 - 8
- ANP には Ingress ルールと Egress ルールの両方があります。
spec.egress
フィールドの ANP ルールは、action
フィールドのPass
、Deny
、およびAllow
の値を受け入れます。
24.4.1.1. ルールの AdminNetworkPolicy アクション
管理者は、AdminNetworkPolicy
ルールの action
フィールドに Allow
、Deny
、または Pass
を設定できます。OVN-Kubernetes は階層型 ACL を使用してネットワークトラフィックルールを評価するため、ANP を使用すると、非常に強力なポリシールールを設定できます。このポリシールールを変更するには、管理者がルールを変更、削除するか、より高い優先度のルールを設定してオーバーライドする必要があります。
AdminNetworkPolicy の Allow の例
優先度 9 で定義されている次の ANP は、monitoring
namespace からクラスター内の任意のテナント (他のすべての namespace) への Ingress トラフィックをすべて許可します。
例24.2 強力な Allow
ANP の YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: AdminNetworkPolicy metadata: name: allow-monitoring spec: priority: 9 subject: namespaces: {} ingress: - name: "allow-ingress-from-monitoring" action: "Allow" from: - namespaces: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: monitoring # ...
これは、関係者全員がオーバーライドできない強力な Allow
ANP の例です。テナントは、NetworkPolicy
オブジェクトを使用してテナント自体の監視をブロックすることはできません。また、監視を実行するテナントが監視の対象を決定することもできません。
AdminNetworkPolicy の Deny の例
優先度 5 で定義されている次の ANP は、monitoring
namespace から制限付きテナント (security: restricted
ラベルを持つ namespace) への Ingress トラフィックをすべてブロックします。
例24.3 強力な Deny
ANP の YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: AdminNetworkPolicy metadata: name: block-monitoring spec: priority: 5 subject: namespaces: matchLabels: security: restricted ingress: - name: "deny-ingress-from-monitoring" action: "Deny" from: - namespaces: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: monitoring # ...
これは、関係者全員がオーバーライドできない強力な Deny
ANP です。制限付きテナントの所有者は、トラフィックの監視を許可する権限を自分自身に付与できません。また、インフラストラクチャーの監視サービスは、これらの機密性の高い namespace から何も収集できません。
強力な Allow
の例と組み合わせると、block-monitoring
ANP の優先度の値よりも Allow の優先度の値のほうが高いため、制限付きテナントが監視されなくなります。
AdminNetworkPolicy の Pass の例
優先度 7 で定義されている次の ANP は、monitoring
namespace から内部インフラストラクチャーテナント (security: internal
ラベルを持つ namespace) への Ingress トラフィックをすべて ACL の階層 2 に渡し、トラフィックが namespace の NetworkPolicy
オブジェクトによって評価されるようにします。
例24.4 強力な Pass
ANP の YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: AdminNetworkPolicy metadata: name: pass-monitoring spec: priority: 7 subject: namespaces: matchLabels: security: internal ingress: - name: "pass-ingress-from-monitoring" action: "Pass" from: - namespaces: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: monitoring # ...
この例は、テナント所有者によって定義された NetworkPolicy
オブジェクトに決定を委譲する強力な Pass
アクション ANP です。この pass-monitoring
ANP により、internal
セキュリティーレベルでグループ化されたすべてのテナント所有者は、インフラストラクチャーの監視サービスによって namespace スコープの NetworkPolicy
オブジェクトを使用してメトリクスを収集する必要があるかどうかを選択できます。
24.4.2. BaselineAdminNetworkPolicy
BaselineAdminNetworkPolicy
(BANP) は、クラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) です。OpenShift Container Platform 管理者は、BANP を使用すると、NetworkPolicy
オブジェクトを使用してユーザーが必要に応じてオーバーライドできるオプションのベースラインネットワークポリシールールを設定および適用できます。BANP のルールアクションは、allow
または deny
です。
BaselineAdminNetworkPolicy
リソースは、クラスターのシングルトンオブジェクトであり、渡されたトラフィックポリシーがクラスター内のどの NetworkPolicy
オブジェクトにも一致しない場合にガードレールポリシーとして使用できます。BANP は、クラスター内トラフィックをデフォルトでブロックするガードレールを提供するデフォルトのセキュリティーモデルとしても使用できます。その場合、ユーザーが NetworkPolicy
オブジェクトを使用して既知のトラフィックを許可する必要があります。BANP リソースを作成するときは、名前として default
を使用する必要があります。
BANP を使用すると、管理者は以下を指定できます。
-
一連の namespace または namespace で構成される
subject
。 -
subject
へのすべての Ingress トラフィックに適用される Ingress ルールのリスト。 -
subject
からのすべての Egress トラフィックに適用される Egress ルールのリスト。
BaselineAdminNetworkPolicy
は、実稼働環境ではないテストクラスターで有効にできる TechnologyPreviewNoUpgrade
機能です。
BaselineAdminNetworkPolicy の例
例24.5 BANP の YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: BaselineAdminNetworkPolicy metadata: name: default 1 spec: subject: namespaces: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: example.name 2 ingress: 3 - name: "deny-all-ingress-from-tenant-1" 4 action: "Deny" from: - pods: namespaces: namespaceSelector: matchLabels: custom-banp: tenant-1 5 podSelector: matchLabels: custom-banp: tenant-1 6 egress: - name: "allow-all-egress-to-tenant-1" action: "Allow" to: - pods: namespaces: namespaceSelector: matchLabels: custom-banp: tenant-1 podSelector: matchLabels: custom-banp: tenant-1
- 1
- BANP はシングルトンオブジェクトであるため、ポリシー名は
default
にする必要があります。 - 2
- ANP を適用する namespace を指定します。
- 3
- BANP には Ingress ルールと Egress ルールの両方があります。
spec.ingress
フィールドとspec.egress
フィールドの BANP ルールは、action
フィールドのDeny
とAllow
の値を受け入れます。 - 4
ingress.name
の名前を指定します。- 5
- BANP リソースを適用する Pod の選択元の namespace を指定します。
- 6
- BANP リソースを適用する Pod の
podSelector.matchLabels
名を指定します。
BaselineAdminNetworkPolicy の Deny の例
次の BANP シングルトンは、internal
セキュリティーレベルのテナントに着信するすべての Ingress 監視トラフィックに対してデフォルトの拒否ポリシーを設定します。「AdminNetworkPolicy の Pass の例」と組み合わせると、この拒否ポリシーは、ANP pass-monitoring
ポリシーによって渡されるすべての Ingress トラフィックに対するガードレールポリシーとして機能します。
例24.6 Deny
ガードレールルールの YAML ファイルの例
apiVersion: policy.networking.k8s.io/v1alpha1 kind: BaselineAdminNetworkPolicy metadata: name: default spec: subject: namespaces: matchLabels: security: internal ingress: - name: "deny-ingress-from-monitoring" action: "Deny" from: - namespaces: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: monitoring # ...
action
フィールドに Pass
値を指定した AdminNetworkPolicy
リソースを BaselineAdminNetworkPolicy
リソースと組み合わせて使用すると、マルチテナントポリシーを作成できます。このマルチテナントポリシーを使用すると、あるテナントのアプリケーションの監視データを収集しながら、別のテナントのデータを収集しないことが可能になります。
管理者が「AdminNetworkPolicy の Pass
アクションの例」と「BaselineAdminNetwork Policy の Deny
の例」の両方を適用すると、BANP の前に評価される NetworkPolicy
リソースを作成するかどうかをテナントが選択できるようになります。
たとえば、テナント 1 が Ingress トラフィックを監視する次の NetworkPolicy
リソースを設定したとします。
例24.7 NetworkPolicy
の例
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-monitoring namespace: tenant 1 spec: podSelector: policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: monitoring # ...
この場合、テナント 1 のポリシーは、「AdminNetworkPolicy の Pass
アクションの例」の後、security
レベルが internal
のテナントに着信する Ingress 監視トラフィックをすべて拒否する「BaselineAdminNetworkPolicy の Deny
の例」の前に評価されます。テナント 1 の NetworkPolicy
オブジェクトを設定すると、テナント 1 はアプリケーションのデータを収集できるようになります。一方、NetworkPolicy
オブジェクトが設定されていないテナント 2 は、データを収集できません。管理者はデフォルトでは内部のテナントを監視していませんでした。その代わりに BANP を作成し、テナントが NetworkPolicy
オブジェクトを使用して BANP のデフォルト動作をオーバーライドできるようにしました。
24.5. ovnkube-trace を使用した Openflow のトレース
OVN と OVS のトラフィックフローは、ovnkube-trace
という単一のユーティリティーでシミュレートできます。ovnkube-trace
ユーティリティーは、ovn-trace
、ovs-appctl ofproto/trace
、および ovn-detrace
を実行し、その情報を 1 つの出力に関連付けます。
専用コンテナーから ovnkube-trace
バイナリーを実行できます。OpenShift Container Platform 4.7 以降のリリースでは、バイナリーをローカルホストにコピーして、そのホストから実行することもできます。
24.5.1. ローカルホストへの ovnkube-trace のインストール
ovnkube-trace
ツールは、OVN-Kubernetes で動作する OpenShift Container Platform クラスター内のポイント間における任意の UDP または TCP トラフィックのパケットシミュレーションをトレースします。ovnkube-trace
バイナリーをローカルホストにコピーして、クラスターに対して実行できるようにします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
次のコマンドを使用して Pod 変数を作成します。
$ POD=$(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-control-plane -o name | head -1 | awk -F '/' '{print $NF}')
ローカルホストで次のコマンドを実行して、
ovnkube-control-plane
Pod からバイナリーをコピーします。$ oc cp -n openshift-ovn-kubernetes $POD:/usr/bin/ovnkube-trace -c ovnkube-cluster-manager ovnkube-trace
注記Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 8 を使用して
ovnkube-trace
ツールを実行している場合は、/usr/lib/rhel8/ovnkube-trace
ファイルをローカルホストにコピーする必要があります。次のコマンドを実行して、
ovnkube-trace
を実行可能にします。$ chmod +x ovnkube-trace
次のコマンドを実行して、
ovnkube-trace
で使用可能なオプションを表示します。$ ./ovnkube-trace -help
予想される出力
Usage of ./ovnkube-trace: -addr-family string Address family (ip4 or ip6) to be used for tracing (default "ip4") -dst string dest: destination pod name -dst-ip string destination IP address (meant for tests to external targets) -dst-namespace string k8s namespace of dest pod (default "default") -dst-port string dst-port: destination port (default "80") -kubeconfig string absolute path to the kubeconfig file -loglevel string loglevel: klog level (default "0") -ovn-config-namespace string namespace used by ovn-config itself -service string service: destination service name -skip-detrace skip ovn-detrace command -src string src: source pod name -src-namespace string k8s namespace of source pod (default "default") -tcp use tcp transport protocol -udp use udp transport protocol
サポートされているコマンドライン引数は、namespace、Pod、サービスなど、よく知られた Kubernetes コンストラクトであるため、MAC アドレス、宛先ノードの IP アドレス、または ICMP タイプを見つける必要はありません。
ログレベルは次のとおりです。
- 0 (最小出力)
- 2 (トレースコマンドの結果を示すより詳細な出力)
- 5 (デバッグ出力)
24.5.2. ovnkube-trace の実行
ovn-trace
を実行して、OVN 論理ネットワーク内のパケット転送をシミュレートします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 -
ローカルホストに
ovnkube-trace
がインストールされている。
例: デプロイされた Pod からの DNS 解決が機能することをテストする
この例は、デプロイされた Pod からクラスターで実行されるコア DNS Pod への DNS 解決をテストする方法を示しています。
手順
次のコマンドを入力して、default namespace で Web サービスを開始します。
$ oc run web --namespace=default --image=quay.io/openshifttest/nginx --labels="app=web" --expose --port=80
openshift-dns
namespace で実行されている Pod を一覧表示します。oc get pods -n openshift-dns
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE dns-default-8s42x 2/2 Running 0 5h8m dns-default-mdw6r 2/2 Running 0 4h58m dns-default-p8t5h 2/2 Running 0 4h58m dns-default-rl6nk 2/2 Running 0 5h8m dns-default-xbgqx 2/2 Running 0 5h8m dns-default-zv8f6 2/2 Running 0 4h58m node-resolver-62jjb 1/1 Running 0 5h8m node-resolver-8z4cj 1/1 Running 0 4h59m node-resolver-bq244 1/1 Running 0 5h8m node-resolver-hc58n 1/1 Running 0 4h59m node-resolver-lm6z4 1/1 Running 0 5h8m node-resolver-zfx5k 1/1 Running 0 5h
次の
ovnkube-trace
コマンドを実行して、DNS 解決が機能していることを確認します。$ ./ovnkube-trace \ -src-namespace default \ 1 -src web \ 2 -dst-namespace openshift-dns \ 3 -dst dns-default-p8t5h \ 4 -udp -dst-port 53 \ 5 -loglevel 0 6
src&dst
Pod が同じノードに配置された場合の出力例:ovn-trace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-p8t5h ovn-trace destination pod to source pod indicates success from dns-default-p8t5h to web ovs-appctl ofproto/trace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-p8t5h ovs-appctl ofproto/trace destination pod to source pod indicates success from dns-default-p8t5h to web ovn-detrace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-p8t5h ovn-detrace destination pod to source pod indicates success from dns-default-p8t5h to web
src&dst
Pod が別のノードに配置された場合の出力例:ovn-trace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-8s42x ovn-trace (remote) source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-8s42x ovn-trace destination pod to source pod indicates success from dns-default-8s42x to web ovn-trace (remote) destination pod to source pod indicates success from dns-default-8s42x to web ovs-appctl ofproto/trace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-8s42x ovs-appctl ofproto/trace destination pod to source pod indicates success from dns-default-8s42x to web ovn-detrace source pod to destination pod indicates success from web to dns-default-8s42x ovn-detrace destination pod to source pod indicates success from dns-default-8s42x to web
この出力は、デプロイされた Pod から DNS ポートへの解決が成功し、その反対方向への解決も成功したことを示しています。つまり、Web Pod がコア DNS からの DNS 解決を行う場合に、UDP ポート 53 で双方向のトラフィックがサポートされていることがわかります。
たとえば、これが機能せず、ovn-trace
を取得する必要がある場合は、proto/trace
と ovn-detrace
の ovs-appctl
、およびデバッグのタイプ情報が、ログレベルを 2 に上げて、以下のようにコマンドを再度実行します。
$ ./ovnkube-trace \ -src-namespace default \ -src web \ -dst-namespace openshift-dns \ -dst dns-default-467qw \ -udp -dst-port 53 \ -loglevel 2
このログレベルの出力は多すぎるため、ここにはリストできません。障害状況では、このコマンドの出力は、どのフローがそのトラフィックを破棄しているかを示します。たとえば、Egress または Ingress ネットワークポリシーが、そのトラフィックを許可しないクラスターで設定されている場合などがあります。
例: デバッグ出力を使用して設定済みのデフォルトの拒否を確認する
この例は、デバッグ出力を使用して、デフォルトの Ingress 拒否ポリシーがトラフィックをブロックしていることを特定する方法を示しています。
手順
すべての namespace におけるすべての Pod からの Ingress を拒否する
deny-by-default
ポリシーを定義する次の YAML を作成します。YAML をdeny-by-default.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: deny-by-default namespace: default spec: podSelector: {} ingress: []
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f deny-by-default.yaml
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/deny-by-default created
次のコマンドを入力して、
default
namespace で Web サービスを開始します。$ oc run web --namespace=default --image=quay.io/openshifttest/nginx --labels="app=web" --expose --port=80
次のコマンドを実行して、
prod
namespace を作成します。$ oc create namespace prod
次のコマンドを実行して、
prod
namespace にラベルを付けます。$ oc label namespace/prod purpose=production
次のコマンドを実行して、
alpine
イメージをprod
namespace にデプロイし、シェルを開始します。$ oc run test-6459 --namespace=prod --rm -i -t --image=alpine -- sh
- 別のターミナルセッションを開きます。
この新しいターミナルセッションで
ovn-trace
を実行して、namespaceprod
で実行されているソース Podtest-6459
とdefault
namespace で実行されている宛先 Pod 間の通信の失敗を確認します。$ ./ovnkube-trace \ -src-namespace prod \ -src test-6459 \ -dst-namespace default \ -dst web \ -tcp -dst-port 80 \ -loglevel 0
出力例
ovn-trace source pod to destination pod indicates failure from test-6459 to web
次のコマンドを実行して、ログレベルを 2 に上げて、失敗の理由を明らかにします。
$ ./ovnkube-trace \ -src-namespace prod \ -src test-6459 \ -dst-namespace default \ -dst web \ -tcp -dst-port 80 \ -loglevel 2
出力例
... ------------------------------------------------ 3. ls_out_acl_hint (northd.c:7454): !ct.new && ct.est && !ct.rpl && ct_mark.blocked == 0, priority 4, uuid 12efc456 reg0[8] = 1; reg0[10] = 1; next; 5. ls_out_acl_action (northd.c:7835): reg8[30..31] == 0, priority 500, uuid 69372c5d reg8[30..31] = 1; next(4); 5. ls_out_acl_action (northd.c:7835): reg8[30..31] == 1, priority 500, uuid 2fa0af89 reg8[30..31] = 2; next(4); 4. ls_out_acl_eval (northd.c:7691): reg8[30..31] == 2 && reg0[10] == 1 && (outport == @a16982411286042166782_ingressDefaultDeny), priority 2000, uuid 447d0dab reg8[17] = 1; ct_commit { ct_mark.blocked = 1; }; 1 next; ...
- 1
- デフォルトの拒否ポリシーが設定されているため、Ingress トラフィックがブロックされています。
ラベルが
purpose=production
の特定の namespace 内にあるすべての Pod からのトラフィックを許可するポリシーを作成します。YAML をweb-allow-prod.yaml
ファイルに保存します。kind: NetworkPolicy apiVersion: networking.k8s.io/v1 metadata: name: web-allow-prod namespace: default spec: podSelector: matchLabels: app: web policyTypes: - Ingress ingress: - from: - namespaceSelector: matchLabels: purpose: production
次のコマンドを入力して、ポリシーを適用します。
$ oc apply -f web-allow-prod.yaml
次のコマンドを入力して、
ovnkube-trace
を実行し、トラフィックが許可されていることを確認します。$ ./ovnkube-trace \ -src-namespace prod \ -src test-6459 \ -dst-namespace default \ -dst web \ -tcp -dst-port 80 \ -loglevel 0
予想される出力
ovn-trace source pod to destination pod indicates success from test-6459 to web ovn-trace destination pod to source pod indicates success from web to test-6459 ovs-appctl ofproto/trace source pod to destination pod indicates success from test-6459 to web ovs-appctl ofproto/trace destination pod to source pod indicates success from web to test-6459 ovn-detrace source pod to destination pod indicates success from test-6459 to web ovn-detrace destination pod to source pod indicates success from web to test-6459
手順 6 で開いたシェルで次のコマンドを実行して、nginx を Web サーバーに接続します。
wget -qO- --timeout=2 http://web.default
予想される出力
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Welcome to nginx!</title> <style> body { width: 35em; margin: 0 auto; font-family: Tahoma, Verdana, Arial, sans-serif; } </style> </head> <body> <h1>Welcome to nginx!</h1> <p>If you see this page, the nginx web server is successfully installed and working. Further configuration is required.</p> <p>For online documentation and support please refer to <a href="http://nginx.org/">nginx.org</a>.<br/> Commercial support is available at <a href="http://nginx.com/">nginx.com</a>.</p> <p><em>Thank you for using nginx.</em></p> </body> </html>
24.5.3. 関連情報
24.6. OpenShift SDN ネットワークプラグインからの移行
クラスター管理者は、OpenShift SDN ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに移行できます。
OVN-Kubernetes の詳細は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインについて を参照してください。
スクリプトや Red Hat Ansible Automation Platform などの別のツールを使用して、OpenShift SDN から OVN-Kubernetes への移行を自動化しないでください。これにより、OpenShift Container Platform クラスターが停止したりクラッシュしたりする可能性があります。
24.6.1. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行は、クラスターに到達できないダウンタイムを含む手動プロセスです。
OpenShift Container Platform クラスターを移行して OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用する前に、最新のバグ修正がすべてクラスターに適用されるように、クラスターを最新の z-stream リリースに更新してください。
ロールバック手順が提供されますが、移行は一方向プロセスとなることが意図されています。
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行は、次のプラットフォームでサポートされています。
- ベアメタルハードウェア
- Amazon Web Services (AWS)
- Google Cloud Platform (GCP)
- IBM Cloud®
- Microsoft Azure
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)
- VMware vSphere
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインとの間の移行は、Red Hat OpenShift Dedicated、Azure Red Hat OpenShift (ARO)、Red Hat OpenShift Service on AWS (ROSA) などのマネージド OpenShift クラウドサービスではサポートされていません。
OpenShift SDN ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行は、Nutanix ではサポートされていません。
24.6.1.1. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行についての考慮点
OpenShift Container Platform クラスターに 150 を超えるノードがある場合は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行について相談するサポートケースを開きます。
ノードに割り当てられたサブネット、および個々の Pod に割り当てられた IP アドレスは、移行時に保持されません。
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、OpenShift SDN ネットワークプラグインに存在する多くの機能を実装していますが、設定は同じではありません。
クラスターが次の OpenShift SDN ネットワークプラグイン機能のいずれかを使用する場合、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインで同じ機能を手動で設定する必要があります。
- namespace の分離
- Egress ルーター Pod
-
OVN-Kubernetes に移行する前に、IP アドレス範囲が 100.
64.0.0
0/16、/16、169.254.169.0/29、100
.88
.0.fd98::/64、fd
が使用されていないことを確認してください。OVN-Kubernetes はこれらの範囲を内部で使用します。これらの範囲については、クラスターまたはインフラストラクチャーの他の CIDR 定義に含めないでください。69::/125、および
/64fd97
::
以下のセクションでは、OVN-Kubernetes と OpenShift SDN ネットワークプラグインの前述の機能の設定の違いを強調しています。
プライマリーネットワークインターフェイス
OpenShift SDN プラグインを使用すると、NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) カスタムリソース (CR) をノード上のプライマリーインターフェイスに適用できます。OVN-Kubernetes ネットワークプラグインにはこの機能はありません。
プライマリーインターフェイスに NNCP が適用されている場合は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに移行する前に NNCP を削除する必要があります。NNCP を削除しても、プライマリーインターフェイスから設定は削除されませんが、Kubernetes-NMState はこの設定を管理できません。代わりに、configure-ovs.sh
シェルスクリプトがプライマリーインターフェイスと、このインターフェイスに接続されている設定を管理します。
namespace の分離
OVN-Kubernetes はネットワークポリシーの分離モードのみをサポートします。
マルチテナントモードまたはサブネット分離モードのいずれかで設定されている OpenShift SDN を使用するクラスターの場合でも、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに移行できます。移行操作後、マルチテナント分離モードは削除されるため、Pod とサービスに対して同じプロジェクトレベルの分離を実現するには、ネットワークポリシーを手動で設定する必要があることに注意してください。
Egress IP アドレス
OpenShift SDN は、2 つの異なる Egress IP モードをサポートしています。
- 自動的に割り当てる 方法では、Egress IP アドレス範囲はノードに割り当てられます。
- 手動で割り当てる 方法では、1 つ以上の Egress IP アドレスの一覧がノードに割り当てられます。
移行プロセスでは、自動割り当てモードを使用する Egress IP 設定の移行がサポートされています。
OVN-Kubernetes と OpenShift SDN との間に Egress IP アドレスを設定する際の相違点は、以下の表で説明されています。
OVN-Kubernetes | OpenShift SDN |
---|---|
|
|
OVN-Kubernetes で Egress IP アドレスを使用する方法の詳細は、「Egress IP アドレスの設定」を参照してください。
Egress ネットワークポリシー
OVN-Kubernetes と OpenShift SDN との間に Egress ファイアウォールとしても知られる Egress ネットワークポリシーの設定に関する相違点は、以下の表に記載されています。
OVN-Kubernetes | OpenShift SDN |
---|---|
|
|
EgressFirewall
オブジェクトの名前は default
にしか設定できないため、移行後は、OpenShift SDN での名前に関係なく、移行されたすべての EgressNetworkPolicy
オブジェクトに default
という名前が付けられます。
その後、OpenShift SDN にロールバックすると、以前の名前が失われるため、すべての EgressNetworkPolicy
オブジェクトに default
という名前が付けられます。
OVN-Kubernetes で Egress ファイアウォールを使用する方法の詳細は、「プロジェクトの Egress ファイアウォールの設定」を参照してください。
Egress ルーター Pod
OVN-Kubernetes は、リダイレクトモードで Egress ルーター Pod をサポートします。OVN-Kubernetes は、HTTP プロキシーモードまたは DNS プロキシーモードでは Egress ルーター Pod をサポートしません。
Cluster Network Operator で Egress ルーターをデプロイする場合、ノードセレクターを指定して、Egress ルーター Pod のホストに使用するノードを制御することはできません。
マルチキャスト
OVN-Kubernetes と OpenShift SDN でマルチキャストトラフィックを有効にする方法の相違点は、以下の表で説明されています。
OVN-Kubernetes | OpenShift SDN |
---|---|
|
|
OVN-Kubernetes でのマルチキャストの使用に関する詳細は、「プロジェクトのマルチキャストの有効化」を参照してください。
ネットワークポリシー
OVN-Kubernetes は、networking.k8s.io/v1
API グループで Kubernetes NetworkPolicy
API を完全にサポートします。OpenShift SDN から移行する際に、ネットワークポリシーで変更を加える必要はありません。
24.6.1.2. 移行プロセスの仕組み
以下の表は、プロセスのユーザーが開始する手順と、移行が応答として実行するアクション間を区分して移行プロセスを要約しています。
ユーザーが開始する手順 | 移行アクティビティー |
---|---|
|
|
|
|
クラスターの各ノードを再起動します。 |
|
OpenShift SDN へのロールバックが必要な場合は、以下の表がプロセスを説明します。
ロールバックを開始する前に、OpenShift SDN から OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行プロセスが成功するまで待つ必要があります。
ユーザーが開始する手順 | 移行アクティビティー |
---|---|
MCO を一時停止し、移行が中断されないようにします。 | MCO が停止します。 |
|
|
|
|
クラスターの各ノードを再起動します。 |
|
クラスターのすべてのノードが再起動した後に MCO を有効にします。 |
|
24.6.2. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、クラスターのネットワークプラグインを OVN-Kubernetes に変更できます。移行時に、クラスター内のすべてのノードを再起動する必要があります。
移行の実行中はクラスターを利用できず、ワークロードが中断される可能性があります。サービスの中断が許容可能な場合にのみ移行を実行します。
前提条件
- ネットワークポリシー分離モードの OpenShift SDN CNI ネットワークプラグインで設定されたクラスターがある。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - etcd データベースの最新のバックアップがある。
- 各ノードを手動で再起動できる。
- クラスターがエラーのない既知の良好な状態にあることを確認している。
-
すべてのクラウドプラットフォーム上のすべてのノードに対してポート
6081
上の User Datagram Protocol (UDP) パケットを許可するセキュリティーグループルールを作成している。 -
Webhook のすべてのタイムアウトを
3
秒に設定しているか、Webhook を削除している。
手順
クラスターネットワークの設定のバックアップを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get Network.config.openshift.io cluster -o yaml > cluster-openshift-sdn.yaml
次のコマンドを実行して、
OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT
環境変数が設定され、0s
になっていることを確認します。#!/bin/bash if [ -n "$OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT" ] && [ "$OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT" = "0s" ]; then unset OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT fi #loops the timeout command of the script to repeatedly check the cluster Operators until all are available. co_timeout=${OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT:-1200s} timeout "$co_timeout" bash <<EOT until oc wait co --all --for='condition=AVAILABLE=True' --timeout=10s && \ oc wait co --all --for='condition=PROGRESSING=False' --timeout=10s && \ oc wait co --all --for='condition=DEGRADED=False' --timeout=10s; do sleep 10 echo "Some ClusterOperators Degraded=False,Progressing=True,or Available=False"; done EOT
次のコマンドを実行して、Cluster Network Operator (CNO) 設定オブジェクトから設定を削除します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{"spec":{"migration":null}}'
.以下の手順を実行して、OpenShift SDN ネットワークプラグインのプライマリーネットワークインターフェイスを定義する
NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) カスタムリソース (CR) を削除します。次のコマンドを入力して、既存の NNCP CR がプライマリーインターフェイスをクラスターにボンディングしていることを確認します。
$ oc get nncp
出力例
NAME STATUS REASON bondmaster0 Available SuccessfullyConfigured
Network Manager は、ボンディングされたプライマリーインターフェイスの接続プロファイルを
/etc/NetworkManager/system-connections
システムパスに保存します。クラスターから NNCP を削除します。
$ oc delete nncp <nncp_manifest_filename>
すべてのノードを移行用に準備するには、次のコマンドを実行して、CNO 設定オブジェクトの
migration
フィールドを設定します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OVNKubernetes" } } }'
注記この手順では、OVN-Kubernetes はすぐにデプロイしません。その代わりに、
migration
フィールドを指定すると、新規マシン設定が OVN-Kubernetes デプロイメントの準備に向けてクラスター内のすべてのノードに適用されるように Machine Config Operator (MCO) がトリガーされます。次のコマンドを実行して、再起動が完了したことを確認します。
$ oc get mcp
次のコマンドを実行して、すべてのクラスター Operator が利用可能であることを確認します。
$ oc get co
あるいは、いくつかの OpenShift SDN 機能の OVN-Kubernetes 同等機能への自動移行を無効にすることができます。
- Egress IP
- Egress ファイアウォール
- マルチキャスト
前述の OpenShift SDN 機能の設定の自動移行を無効にするには、次のキーを指定します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OVNKubernetes", "features": { "egressIP": <bool>, "egressFirewall": <bool>, "multicast": <bool> } } } }'
ここでは、以下のようになります。
bool
: 機能の移行を有効にするかどうかを指定します。デフォルトはtrue
です。
オプション: ネットワークインフラストラクチャーの要件を満たすように OVN-Kubernetes の以下の設定をカスタマイズできます。
最大伝送単位 (MTU)。このオプションの手順で MTU をカスタマイズする前に、以下を考慮してください。
- デフォルトの MTU を使用しており、移行中にデフォルトの MTU を維持したい場合は、この手順を無視できます。
- カスタム MTU を使用しており、移行中にカスタム MTU を維持する必要がある場合は、この手順でカスタム MTU 値を宣言する必要があります。
移行中に MTU 値を変更する場合、この手順は機能しません。代わりに、まず「クラスター MTU の変更」に記載された指示に従う必要があります。その後、この手順を実行してカスタム MTU 値を宣言すると、カスタム MTU 値を維持できます。
注記OpenShift-SDN と OVN-Kubernetes のオーバーレイオーバーヘッドは異なります。MTU 値は、「MTU 値の選択」ページにあるガイドラインに従って選択する必要があります。
- Geneve (Generic Network Virtualization Encapsulation) オーバーレイネットワークポート
- OVN-Kubernetes IPv4 内部サブネット
以前の設定のいずれかをカスタマイズするには、以下のコマンドを入力してカスタマイズします。デフォルト値を変更する必要がない場合は、パッチのキーを省略します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":<mtu>, "genevePort":<port>, "v4InternalSubnet":"<ipv4_subnet>", }}}}'
ここでは、以下のようになります。
mtu
-
Geneve オーバーレイネットワークの MTU。この値は通常は自動的に設定されますが、クラスターにあるノードすべてが同じ MTU を使用しない場合、これを最小のノード MTU 値よりも
100
小さく設定する必要があります。 port
-
Geneve オーバーレイネットワークの UDP ポート。値が指定されない場合、デフォルトは
6081
になります。ポートは、OpenShift SDN で使用される VXLAN ポートと同じにすることはできません。VXLAN ポートのデフォルト値は4789
です。 ipv4_subnet
-
OVN-Kubernetes による内部使用のための IPv4 アドレス範囲。IP アドレス範囲が、OpenShift Container Platform インストールで使用される他のサブネットと重複しないようにする必要があります。IP アドレス範囲は、クラスターに追加できるノードの最大数より大きくする必要があります。デフォルト値は
100.64.0.0/16
です。
mtu
フィールドを更新するパッチコマンドの例$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":1200 }}}}'
MCO がそれぞれのマシン設定プールのマシンを更新すると、各ノードが 1 つずつ再起動します。すべてのノードが更新されるまで待機する必要があります。以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトで、MCO はプールごとに一度に 1 つのマシンを更新するため、移行にかかる合計時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml | grep ExecStart
ここで、
<config_name>
はmachineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドのマシン設定の名前になります。マシン設定には、systemd 設定に以下の更新を含める必要があります。
ExecStart=/usr/local/bin/configure-ovs.sh OVNKubernetes
ノードが
NotReady
状態のままになっている場合、マシン設定デーモン Pod のログを調べ、エラーを解決します。Pod をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pod -n openshift-machine-config-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE machine-config-controller-75f756f89d-sjp8b 1/1 Running 0 37m machine-config-daemon-5cf4b 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-7wzcd 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-fc946 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-g2v28 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-gcl4f 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-l5tnv 2/2 Running 0 43h machine-config-operator-79d9c55d5-hth92 1/1 Running 0 37m machine-config-server-bsc8h 1/1 Running 0 43h machine-config-server-hklrm 1/1 Running 0 43h machine-config-server-k9rtx 1/1 Running 0 43h
設定デーモン Pod の名前は以下の形式になります。
machine-config-daemon-<seq>
<seq>
値は、ランダムな 5 文字の英数字シーケンスになります。以下のコマンドを入力して、直前の出力に表示される最初のマシン設定デーモン Pod の Pod ログを表示します。
$ oc logs <pod> -n openshift-machine-config-operator
ここで、
pod
はマシン設定デーモン Pod の名前になります。- 直前のコマンドの出力で示されるログ内のエラーを解決します。
移行を開始するには、次のいずれかのコマンドを使用して OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを設定します。
クラスターネットワークの IP アドレスブロックを変更せずにネットワークプロバイダーを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster \ --type='merge' --patch '{ "spec": { "networkType": "OVNKubernetes" } }'
別のクラスターネットワーク IP アドレスブロックを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster \ --type='merge' --patch '{ "spec": { "clusterNetwork": [ { "cidr": "<cidr>", "hostPrefix": <prefix> } ], "networkType": "OVNKubernetes" } }'
ここで、
cidr
は CIDR ブロックであり、prefix
はクラスター内の各ノードに割り当てられる CIDR ブロックのスライスです。OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーはこのブロックを内部で使用するため、100.64.0.0/16
CIDR ブロックと重複する CIDR ブロックは使用できません。重要移行時に、サービスネットワークのアドレスブロックを変更することはできません。
Multus デーモンセットのロールアウトが完了したことを確認してから、後続の手順を続行します。
$ oc -n openshift-multus rollout status daemonset/multus
Multus Pod の名前の形式は
multus-<xxxxx>
です。ここで、<xxxxx>
は文字のランダムなシーケンスになります。Pod が再起動するまでにしばらく時間がかかる可能性があります。出力例
Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 1 out of 6 new pods have been updated... ... Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 5 of 6 updated pods are available... daemon set "multus" successfully rolled out
ネットワークプラグインの変更を完了するには、クラスター内の各ノードを再起動します。次のいずれかの方法で、クラスター内のノードを再起動できます。
重要次のスクリプトは、クラスター内のすべてのノードを同時に再起動します。これにより、クラスターが不安定になる可能性があります。もう 1 つのオプションとして、ノードを一度に 1 つずつ手動でリブートすることもできます。ノードを 1 つずつ再起動すると、多数のノードを持つクラスターではかなりのダウンタイムが発生します。
ノードを再起動するまで、クラスター Operator は正しく動作しません。
oc rsh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。#!/bin/bash readarray -t POD_NODES <<< "$(oc get pod -n openshift-machine-config-operator -o wide| grep daemon|awk '{print $1" "$7}')" for i in "${POD_NODES[@]}" do read -r POD NODE <<< "$i" until oc rsh -n openshift-machine-config-operator "$POD" chroot /rootfs shutdown -r +1 do echo "cannot reboot node $NODE, retry" && sleep 3 done done
ssh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。このスクリプトは、パスワードの入力を求めないように sudo が設定されていることを前提としています。#!/bin/bash for ip in $(oc get nodes -o jsonpath='{.items[*].status.addresses[?(@.type=="InternalIP")].address}') do echo "reboot node $ip" ssh -o StrictHostKeyChecking=no core@$ip sudo shutdown -r -t 3 done
移行が正常に完了したことを確認します。
ネットワークプラグインが OVN-Kubernetes であることを確認するには、次のコマンドを入力します。
status.networkType
の値はOVNKubernetes
である必要があります。$ oc get network.config/cluster -o jsonpath='{.status.networkType}{"\n"}'
クラスターノードが
Ready
状態にあることを確認するには、以下のコマンドを実行します。$ oc get nodes
Pod がエラー状態ではないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pods --all-namespaces -o wide --sort-by='{.spec.nodeName}'
ノードの Pod がエラー状態にある場合は、そのノードを再起動します。
すべてのクラスター Operator が異常な状態にないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get co
すべてのクラスター Operator のステータスは、
AVAILABLE="True"
、PROGRESSING="False"
、DEGRADED="False"
になります。クラスター Operator が利用できないか、そのパフォーマンスが低下する場合には、クラスター Operator のログで詳細を確認します。
以下の手順は、移行に成功し、クラスターの状態が正常である場合にのみ実行します。
CNO 設定オブジェクトから移行設定を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
OpenShift SDN ネットワークプロバイダーのカスタム設定を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "defaultNetwork": { "openshiftSDNConfig": null } } }'
OpenShift SDN ネットワークプロバイダー namespace を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc delete namespace openshift-sdn
次のステップ
- オプション:クラスターの移行後に、IPv4 のシングルスタッククラスターを、IPv4 および IPv6 アドレスファミリーをサポートするデュアルネットワーククラスターネットワークに変換できます。詳細は、IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワークへの変換 を参照してください。
24.6.3. 関連情報
- Red Hat OpenShift Network Calculator
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの設定パラメーター
- etcd のバックアップ
- ネットワークポリシーについて
- クラスター MTU の変更
- MTU 値の選択
- IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワークへの変換
OVN-Kubernetes の機能
OpenShift SDN の機能
- network.operator.openshift.io/v1
24.7. OpenShift SDN ネットワークプロバイダーへのロールバック
クラスター管理者は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行が完了して成功した後にのみ、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインから OpenShift SDN にロールバックできます。
24.7.1. OpenShift SDN ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、オフライン移行方法を使用して、OpenShift SDN Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインにロールバックできます。移行中は、クラスター内のすべてのノードを手動で再起動する必要があります。オフライン移行方法では、ダウンタイムが発生し、その間はクラスターにアクセスできなくなります。
ロールバックを開始する前に、OpenShift SDN から OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行プロセスが成功するまで待つ必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - インフラストラクチャーにインストールされたクラスターが OVN-Kubernetes ネットワークプラグインで設定されている。
- etcd データベースの最新のバックアップが利用可能である。
- 再起動は、ノードごとに手動でトリガーできます。
- クラスターは既知の正常な状態にあり、エラーがない。
手順
Machine Config Operator (MCO) によって管理されるすべてのマシン設定プールを停止します。
CLI で次のコマンドを入力して、
master
設定プールを停止します。$ oc patch MachineConfigPool master --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": true } }'
CLI で次のコマンドを入力して、
worker
マシン設定プールを停止します。$ oc patch MachineConfigPool worker --type='merge' --patch \ '{ "spec":{ "paused": true } }'
移行の準備をするには、CLI で次のコマンドを入力して、移行フィールドを
null
に設定します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io
オブジェクトの移行ステータスが空であることを確認します。空のコマンド出力は、オブジェクトが移行操作中ではないことを示しています。$ oc get Network.config cluster -o jsonpath='{.status.migration}'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.operator.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用し、ネットワークプラグインを OpenShift SDN に戻します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OpenShiftSDN" } } }'
重要Network.operator.openshift.io
オブジェクトでパッチ操作が終了する前にNetwork.config.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用した場合、Cluster Network Operator (CNO) は degradation 状態になり、CNO が degradation 状態から回復するまでわずかな遅延が発生します。CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io cluster
オブジェクトのネットワークプラグインの移行ステータスがOpenShiftSDN
であることを確認します。$ oc get Network.config cluster -o jsonpath='{.status.migration.networkType}'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用し、ネットワークプラグインを OpenShift SDN に戻します。$ oc patch Network.config.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "networkType": "OpenShiftSDN" } }'
オプション: いくつかの OVN-Kubernetes 機能の OpenShift SDN 同等機能への自動移行を無効化します。
- Egress IP
- Egress ファイアウォール
- マルチキャスト
前述の OpenShift SDN 機能の設定の自動移行を無効にするには、次のキーを指定します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OpenShiftSDN", "features": { "egressIP": <bool>, "egressFirewall": <bool>, "multicast": <bool> } } } }'
ここでは、以下のようになります。
bool
: 機能の移行を有効にするかどうかを指定します。デフォルトはtrue
です。オプション: ネットワークインフラストラクチャーの要件を満たすように OpenShift SDN の以下の設定をカスタマイズできます。
- 最大伝送単位 (MTU)
- VXLAN ポート
前述の設定のいずれかまたは両方をカスタマイズするには、CLI で次のコマンドをカスタマイズして入力します。デフォルト値を変更する必要がない場合は、パッチのキーを省略します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "openshiftSDNConfig":{ "mtu":<mtu>, "vxlanPort":<port> }}}}'
mtu
-
VXLAN オーバーレイネットワークの MTU。この値は通常は自動的に設定されますが、クラスターにあるノードすべてが同じ MTU を使用しない場合、これを最小のノード MTU 値よりも
50
小さく設定する必要があります。 port
-
VXLAN オーバーレイネットワークの UDP ポート。値が指定されない場合は、デフォルトは
4789
になります。ポートは OVN-Kubernetes で使用される Geneve ポートと同じにすることはできません。Geneve ポートのデフォルト値は6081
です。
patch コマンドの例
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "openshiftSDNConfig":{ "mtu":1200 }}}}'
クラスター内の各ノードを再起動します。次のいずれかの方法で、クラスター内のノードを再起動できます。
oc rsh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。#!/bin/bash readarray -t POD_NODES <<< "$(oc get pod -n openshift-machine-config-operator -o wide| grep daemon|awk '{print $1" "$7}')" for i in "${POD_NODES[@]}" do read -r POD NODE <<< "$i" until oc rsh -n openshift-machine-config-operator "$POD" chroot /rootfs shutdown -r +1 do echo "cannot reboot node $NODE, retry" && sleep 3 done done
ssh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。このスクリプトは、パスワードの入力を求めないように sudo が設定されていることを前提としています。#!/bin/bash for ip in $(oc get nodes -o jsonpath='{.items[*].status.addresses[?(@.type=="InternalIP")].address}') do echo "reboot node $ip" ssh -o StrictHostKeyChecking=no core@$ip sudo shutdown -r -t 3 done
Multus デーモンセットのロールアウトが完了するまで待機します。次のコマンドを実行して、ロールアウトのステータスを確認します。
$ oc -n openshift-multus rollout status daemonset/multus
Multus Pod の名前の形式は
multus-<xxxxx>
です。ここで、<xxxxx>
は文字のランダムなシーケンスになります。Pod が再起動するまでにしばらく時間がかかる可能性があります。出力例
Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 1 out of 6 new pods have been updated... ... Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 5 of 6 updated pods are available... daemon set "multus" successfully rolled out
クラスター内のノードが再起動し、multus Pod がロールアウトされたら、次のコマンドを実行してすべてのマシン設定プールを起動します。
マスター設定プールを開始します。
$ oc patch MachineConfigPool master --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": false } }'
ワーカー設定プールを開始します。
$ oc patch MachineConfigPool worker --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": false } }'
MCO が各設定プールのマシンを更新すると、各ノードを再起動します。
デフォルトで、MCO は一度にプールごとに単一のマシンを更新するため、移行が完了するまでに必要な時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、CLI で以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、CLI で以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml
ここで、
<config_name>
はmachineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドのマシン設定の名前になります。
移行が正常に完了したことを確認します。
ネットワークプラグインが OpenShift SDN であることを確認するには、CLI で次のコマンドを入力します。
status.networkType
の値はOpenShiftSDN
である必要があります。$ oc get Network.config/cluster -o jsonpath='{.status.networkType}{"\n"}'
クラスターノードが
Ready
状態にあることを確認するには、CLI で以下のコマンドを入力します。$ oc get nodes
ノードが
NotReady
状態のままになっている場合、マシン設定デーモン Pod のログを調べ、エラーを解決します。Pod をリスト表示するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc get pod -n openshift-machine-config-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE machine-config-controller-75f756f89d-sjp8b 1/1 Running 0 37m machine-config-daemon-5cf4b 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-7wzcd 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-fc946 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-g2v28 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-gcl4f 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-l5tnv 2/2 Running 0 43h machine-config-operator-79d9c55d5-hth92 1/1 Running 0 37m machine-config-server-bsc8h 1/1 Running 0 43h machine-config-server-hklrm 1/1 Running 0 43h machine-config-server-k9rtx 1/1 Running 0 43h
設定デーモン Pod の名前は以下の形式になります。
machine-config-daemon-<seq>
<seq>
値は、ランダムな 5 文字の英数字シーケンスになります。前の出力に示されている各マシン設定デーモン Pod の Pod ログを表示するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc logs <pod> -n openshift-machine-config-operator
ここで、
pod
はマシン設定デーモン Pod の名前になります。- 直前のコマンドの出力で示されるログ内のエラーを解決します。
Pod がエラー状態ではないことを確認するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc get pods --all-namespaces -o wide --sort-by='{.spec.nodeName}'
ノードの Pod がエラー状態にある場合は、そのノードを再起動します。
以下の手順は、移行に成功し、クラスターの状態が正常である場合にのみ実行します。
Cluster Network Operator 設定オブジェクトから移行設定を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
OVN-Kubernetes 設定を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "defaultNetwork": { "ovnKubernetesConfig":null } } }'
OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダー namespace を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc delete namespace openshift-ovn-kubernetes
24.8. Kuryr ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 上で実行されるクラスターの管理者は、Kuryr SDN ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに移行できます。
OVN-Kubernetes の詳細は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインについて を参照してください。
24.8.1. OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーへの移行
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 上で実行されるクラスターを OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーに手動で移行できます。
OVN-Kubernetes への移行は一方向のプロセスです。移行中、クラスターは短時間アクセスできなくなります。
24.8.1.1. OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーへの移行についての考慮点
Kubernetes namespace は、Kuryr によって別の RHOSP ネットワーキングサービス (Neutron) サブネットに保持されます。個々の Pod に割り当てられているサブネットと IP アドレスは、移行中には保持されません。
24.8.1.2. 移行プロセスの仕組み
次の表は、ユーザーが実行する手順とクラスターおよび Operator が実行するアクションを関連付けて、移行プロセスをまとめたものです。
ユーザーが開始する手順 | 移行アクティビティー |
---|---|
|
|
|
|
クラスターの各ノードを再起動します。 |
|
Kuryr が管理する残りのリソースをクリーンアップします。 |
|
24.8.2. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、クラスターのネットワークプラグインを OVN-Kubernetes に変更できます。
移行時に、クラスター内のすべてのノードを再起動する必要があります。クラスターが利用できないため、ワークロードが中断される可能性があります。サービスの中断が許容される場合にのみ移行を実行してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - etcd データベースの最新のバックアップが利用可能です。
- 各ノードを手動で再起動できます。
- 移行を計画しているクラスターは、エラーがなく、既知の良好な状態にあります。
- Python インタープリターがインストールされている。
-
openstacksdk
Python パッケージがインストールされている。 -
openstack
CLI ツールがインストールされています。 - 基盤となる RHOSP クラウドにアクセスできます。
手順
次のコマンドを実行して、クラスターネットワークの設定をバックアップします。
$ oc get Network.config.openshift.io cluster -o yaml > cluster-kuryr.yaml
CLUSTERID
変数を設定するには、次のコマンドを実行します。$ CLUSTERID=$(oc get infrastructure.config.openshift.io cluster -o=jsonpath='{.status.infrastructureName}')
すべてのノードの移行を準備するには、次のコマンドを実行して、Cluster Network Operator 設定オブジェクトの
migration
フィールドを設定します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{"spec": {"migration": {"networkType": "OVNKubernetes"}}}'
注記この手順では、OVN-Kubernetes はすぐにデプロイしません。
migration
フィールドを指定すると、新規マシン設定がクラスター内のすべてのノードに適用されるように Machine Config Operator (MCO) がトリガーされます。これにより、OVN-Kubernetes デプロイメント用にクラスターが準備されます。オプション: ネットワークインフラストラクチャー要件に合わせて、OVN-Kubernetes の次の設定をカスタマイズします。
- 最大伝送単位 (MTU)
- Geneve (Generic Network Virtualization Encapsulation) オーバーレイネットワークポート
- OVN-Kubernetes IPv4 内部サブネット
- OVN-Kubernetes IPv6 内部サブネット
これらの設定をカスタマイズするには、次のコマンドを入力してカスタマイズします。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":<mtu>, "genevePort":<port>, "v4InternalSubnet":"<ipv4_subnet>", "v6InternalSubnet":"<ipv6_subnet>" }}}}'
ここでは、以下のようになります。
mtu
-
Geneve オーバーレイネットワークの MTU を指定します。この値は通常は自動的に設定されますが、クラスターにあるノードすべてが同じ MTU を使用しない場合、これを最小のノード MTU 値よりも
100
小さく設定する必要があります。 port
-
Geneve オーバーレイネットワークの UDP ポートを指定します。値が指定されない場合、デフォルトは
6081
になります。このポートは、Kuryr が使用する VXLAN ポートと同じにすることはできません。VXLAN ポートのデフォルト値は4789
です。 ipv4_subnet
-
OVN-Kubernetes による内部使用のための IPv4 アドレス範囲を指定します。IP アドレス範囲が、OpenShift Container Platform インストールで使用される他のサブネットと重複しないようにする必要があります。IP アドレス範囲は、クラスターに追加できるノードの最大数より大きくする必要があります。デフォルト値は
100.64.0.0/16
です。 ipv6_subnet
-
OVN-Kubernetes による内部使用のための IPv6 アドレス範囲を指定します。IP アドレス範囲が、OpenShift Container Platform インストールで使用される他のサブネットと重複しないようにする必要があります。IP アドレス範囲は、クラスターに追加できるノードの最大数より大きくする必要があります。デフォルト値は
fd98::/48
です。
デフォルト値を変更する必要がない場合は、パッチのキーを省略します。
mtu
フィールドを更新するパッチコマンドの例$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":1200 }}}}'
以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
MCO は各マシン設定プール内のマシンを更新する際に、各ノードを 1 つずつ再起動します。続行する前に、すべてのノードが更新されるまで待つ必要があります。
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトでは、MCO は一度にプールごとに 1 台のマシンを更新します。大規模なクラスターは、小規模なクラスターよりも移行に時間がかかります。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b 1 machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b 2 machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
前のステップの出力を確認します。次のステートメントが真である必要があります。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml | grep ExecStart
ここでは、以下のようになります。
- <config_name>
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドからマシン設定の名前を指定します。マシン設定には、systemd 設定に以下の更新を含める必要があります。
出力例
ExecStart=/usr/local/bin/configure-ovs.sh OVNKubernetes
ノードが
NotReady
状態でスタックしている場合は、マシン設定デーモン Pod のログを調査し、エラーがあれば解決します。Pod をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pod -n openshift-machine-config-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE machine-config-controller-75f756f89d-sjp8b 1/1 Running 0 37m machine-config-daemon-5cf4b 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-7wzcd 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-fc946 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-g2v28 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-gcl4f 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-l5tnv 2/2 Running 0 43h machine-config-operator-79d9c55d5-hth92 1/1 Running 0 37m machine-config-server-bsc8h 1/1 Running 0 43h machine-config-server-hklrm 1/1 Running 0 43h machine-config-server-k9rtx 1/1 Running 0 43h
設定デーモン Pod の名前は以下の形式になります。
machine-config-daemon-<seq>
<seq>
値は、ランダムな 5 文字の英数字シーケンスになります。以下のコマンドを入力して、直前の出力に表示される最初のマシン設定デーモン Pod の Pod ログを表示します。
$ oc logs <pod> -n openshift-machine-config-operator
ここでは、以下のようになります。
- <pod>
- マシン設定デーモン Pod の名前を指定します。
- 直前のコマンドの出力で示されるログ内のエラーを解決します。
移行を開始するには、次のいずれかのコマンドを使用して OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを設定します。
クラスターネットワークの IP アドレスブロックを変更せずにネットワークプロバイダーを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{"spec": {"networkType": "OVNKubernetes"}}'
別のクラスターネットワーク IP アドレスブロックを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster \ --type='merge' --patch '{ "spec": { "clusterNetwork": [ { "cidr": "<cidr>", "hostPrefix": "<prefix>" } ] "networkType": "OVNKubernetes" } }'
ここでは、以下のようになります。
- <cidr>
- CIDR ブロックを指定します。
- <prefix>
クラスター内の各ノードに割り当てられる CIDR ブロックのスライスを指定します。
重要移行時に、サービスネットワークのアドレスブロックを変更することはできません。
OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーはこのブロックを内部で使用するため、
100.64.0.0/16
CIDR ブロックと重複する CIDR ブロックは使用できません。
移行を完了するには、クラスター内の各ノードを再起動します。たとえば、以下のような bash スクリプトを使用できます。このスクリプトは、
ssh
を使用して各ホストに接続でき、sudo
がパスワードを要求しないように設定されていることを前提としています。#!/bin/bash for ip in $(oc get nodes -o jsonpath='{.items[*].status.addresses[?(@.type=="InternalIP")].address}') do echo "reboot node $ip" ssh -o StrictHostKeyChecking=no core@$ip sudo shutdown -r -t 3 done
注記SSH アクセスが利用できない場合は、
openstack
コマンドを使用できます。$ for name in $(openstack server list --name "${CLUSTERID}*" -f value -c Name); do openstack server reboot "${name}"; done
あるいは、インフラストラクチャープロバイダーの管理ポータルを通じて各ノードを再起動できる場合もあります。それ以外の場合は、適切な機関に問い合わせて、SSH または管理ポータルと OpenStack クライアントを介して仮想マシンにアクセスしてください。
検証
移行が成功したことを確認し、移行リソースを削除します。
ネットワークプラグインが OVN-Kubernetes であることを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ oc get network.config/cluster -o jsonpath='{.status.networkType}{"\n"}'
status.networkType
の値はOVNKubernetes
である必要があります。クラスターノードが
Ready
状態にあることを確認するには、以下のコマンドを実行します。$ oc get nodes
Pod がエラー状態ではないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pods --all-namespaces -o wide --sort-by='{.spec.nodeName}'
ノードの Pod がエラー状態にある場合は、そのノードを再起動します。
すべてのクラスター Operator が異常な状態にないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get co
すべてのクラスター Operator のステータスは、
AVAILABLE="True"
、PROGRESSING="False"
、DEGRADED="False"
になります。クラスター Operator が利用できないか、そのパフォーマンスが低下する場合には、クラスター Operator のログで詳細を確認します。重要これまでの検証手順のいずれかでエラーが示された場合は、続行しないでください。クリーンアップ中に削除されたファイナライザーが原因で、
Terminating
状態の Pod が発生する場合があります。これらはエラーを示すものではありません。
移行が完了し、クラスターが良好な状態にある場合は、次のコマンドを入力して、CNO 設定オブジェクトから移行設定を削除します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{"spec": {"migration": null}}'
24.8.3. 移行後のリソースのクリーンアップ
Kuryr ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインに移行した後、Kuryr が以前に作成したリソースをクリーンアップする必要があります。
クリーンアッププロセスは、Python 仮想環境に依存して、使用するパッケージバージョンが Octavia オブジェクトのタグをサポートしていることを確認します。お使いの環境で次が使用されている場合には、仮想環境は必要ありません。
-
openstacksdk
Python パッケージバージョン 0.54.0 -
python-openstackclient
Python パッケージバージョン 5.5.0 -
python-octaviaclient
Python パッケージバージョン 2.3.0
これらの特定のバージョンを使用する場合は、トランクにアクセスできなくなるため、必ずバージョン 9.0.0 より前の python-neutronclient
をプルしてください。
前提条件
-
OpenShift Container Platform CLI (
oc
) をインストールしている。 - Python インタープリターをインストールしている。
-
openstacksdk
Python パッケージがインストールされている。 -
openstack
CLI がインストールされている。 - 基盤となる RHOSP クラウドにアクセスできます。
-
クラスター管理者
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできます。
手順
クリーンアップ Python 仮想環境を作成します。
環境用の一時ディレクトリーを作成します。以下に例を示します。
$ python3 -m venv /tmp/venv
/tmp/venv
ディレクトリーにある仮想環境は、すべてのクリーンアップ例で使用されます。仮想環境に入ります。以下に例を示します。
$ source /tmp/venv/bin/activate
次のコマンドを実行して、仮想環境で
pip
コマンドをアップグレードします。(venv) $ pip install --upgrade pip
次のコマンドを実行して、必要な Python パッケージをインストールします。
(venv) $ pip install openstacksdk==0.54.0 python-openstackclient==5.5.0 python-octaviaclient==2.3.0 'python-neutronclient<9.0.0'
ターミナルで、次のコマンドを実行して、クラスター識別子と Kuryr 識別子に変数を設定します。
cluster ID を設定します。
(venv) $ CLUSTERID=$(oc get infrastructure.config.openshift.io cluster -o=jsonpath='{.status.infrastructureName}')
cluster タグを設定します。
(venv) $ CLUSTERTAG="openshiftClusterID=${CLUSTERID}"
router ID を設定します。
(venv) $ ROUTERID=$(oc get kuryrnetwork -A --no-headers -o custom-columns=":status.routerId"|uniq)
次のコマンドを実行して、指定されたリソースからファイナライザーを削除する Bash 関数を作成します。
(venv) $ function REMFIN { local resource=$1 local finalizer=$2 for res in $(oc get "${resource}" -A --template='{{range $i,$p := .items}}{{ $p.metadata.name }}|{{ $p.metadata.namespace }}{{"\n"}}{{end}}'); do name=${res%%|*} ns=${res##*|} yaml=$(oc get -n "${ns}" "${resource}" "${name}" -o yaml) if echo "${yaml}" | grep -q "${finalizer}"; then echo "${yaml}" | grep -v "${finalizer}" | oc replace -n "${ns}" "${resource}" "${name}" -f - fi done }
この関数は 2 つのパラメーターを受け取ります。最初のパラメーターはリソースの名前で、2 番目のパラメーターは削除するファイナライザーです。指定されたリソースがクラスターから削除され、その定義は、指定されたファイナライザーを除いて、コピーされたデータに置き換えられます。
Kuryr ファイナライザーをサービスから削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ REMFIN services kuryr.openstack.org/service-finalizer
Kuryr
service-subnet-gateway-ip
サービスを削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ if oc get -n openshift-kuryr service service-subnet-gateway-ip &>/dev/null; then oc -n openshift-kuryr delete service service-subnet-gateway-ip fi
タグ付けされたすべての RHOSP ロードバランサーを Octavia から削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ for lb in $(openstack loadbalancer list --tags "${CLUSTERTAG}" -f value -c id); do openstack loadbalancer delete --cascade "${lb}" done
すべての
KuryrLoadBalancer
CR から Kuryr ファイナライザーを削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ REMFIN kuryrloadbalancers.openstack.org kuryr.openstack.org/kuryrloadbalancer-finalizers
openshift-kuryr
namespace を削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ oc delete namespace openshift-kuryr
Kuryr サービスのサブネットをルーターから削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ openstack router remove subnet "${ROUTERID}" "${CLUSTERID}-kuryr-service-subnet"
Kuryr サービスネットワークを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ openstack network delete "${CLUSTERID}-kuryr-service-network"
すべての Pod から Kuryr ファイナライザーを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ REMFIN pods kuryr.openstack.org/pod-finalizer
すべての
KuryrPort
CR から Kuryr ファイナライザーを削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ REMFIN kuryrports.openstack.org kuryr.openstack.org/kuryrport-finalizer
このコマンドは
KuryrPort
CR を削除します。Kuryr ファイナライザーをネットワークポリシーから削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ REMFIN networkpolicy kuryr.openstack.org/networkpolicy-finalizer
残りのネットワークポリシーから Kuryr ファイナライザーを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ REMFIN kuryrnetworkpolicies.openstack.org kuryr.openstack.org/networkpolicy-finalizer
Kuryr が作成したサブポートをトランクから削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ mapfile trunks < <(python -c "import openstack; n = openstack.connect().network; print('\n'.join([x.id for x in n.trunks(any_tags='$CLUSTERTAG')]))") && \ i=0 && \ for trunk in "${trunks[@]}"; do trunk=$(echo "$trunk"|tr -d '\n') i=$((i+1)) echo "Processing trunk $trunk, ${i}/${#trunks[@]}." subports=() for subport in $(python -c "import openstack; n = openstack.connect().network; print(' '.join([x['port_id'] for x in n.get_trunk('$trunk').sub_ports if '$CLUSTERTAG' in n.get_port(x['port_id']).tags]))"); do subports+=("$subport"); done args=() for sub in "${subports[@]}" ; do args+=("--subport $sub") done if [ ${#args[@]} -gt 0 ]; then openstack network trunk unset ${args[*]} "${trunk}" fi done
KuryrNetwork
CR からすべてのネットワークとサブネットを取得し、ポート、ルーターインターフェイス、およびネットワーク自体を削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ mapfile -t kuryrnetworks < <(oc get kuryrnetwork -A --template='{{range $i,$p := .items}}{{ $p.status.netId }}|{{ $p.status.subnetId }}{{"\n"}}{{end}}') && \ i=0 && \ for kn in "${kuryrnetworks[@]}"; do i=$((i+1)) netID=${kn%%|*} subnetID=${kn##*|} echo "Processing network $netID, ${i}/${#kuryrnetworks[@]}" # Remove all ports from the network. for port in $(python -c "import openstack; n = openstack.connect().network; print(' '.join([x.id for x in n.ports(network_id='$netID') if x.device_owner != 'network:router_interface']))"); do ( openstack port delete "${port}" ) & # Only allow 20 jobs in parallel. if [[ $(jobs -r -p | wc -l) -ge 20 ]]; then wait -n fi done wait # Remove the subnet from the router. openstack router remove subnet "${ROUTERID}" "${subnetID}" # Remove the network. openstack network delete "${netID}" done
Kuryr セキュリティーグループを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ openstack security group delete "${CLUSTERID}-kuryr-pods-security-group"
すべてのタグ付きサブネットプールを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ for subnetpool in $(openstack subnet pool list --tags "${CLUSTERTAG}" -f value -c ID); do openstack subnet pool delete "${subnetpool}" done
KuryrNetwork
CR に基づくすべてのネットワークが削除されたことを確認するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ networks=$(oc get kuryrnetwork -A --no-headers -o custom-columns=":status.netId") && \ for existingNet in $(openstack network list --tags "${CLUSTERTAG}" -f value -c ID); do if [[ $networks =~ $existingNet ]]; then echo "Network still exists: $existingNet" fi done
コマンドによって既存のネットワークが返された場合は、続行する前にそれらを調査して削除してください。
ネットワークポリシーに関連するセキュリティーグループを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ for sgid in $(openstack security group list -f value -c ID -c Description | grep 'Kuryr-Kubernetes Network Policy' | cut -f 1 -d ' '); do openstack security group delete "${sgid}" done
KuryrNetwork
CR からファイナライザーを削除するには、次のコマンドを入力します。(venv) $ REMFIN kuryrnetworks.openstack.org kuryrnetwork.finalizers.kuryr.openstack.org
Kuryr ルーターを削除するには、次のコマンドを入力します。
(venv) $ if python3 -c "import sys; import openstack; n = openstack.connect().network; r = n.get_router('$ROUTERID'); sys.exit(0) if r.description != 'Created By OpenShift Installer' else sys.exit(1)"; then openstack router delete "${ROUTERID}" fi
24.8.4. 関連情報
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの設定パラメーター
- etcd のバックアップ
- ネットワークポリシーについて
OVN-Kubernetes 機能の詳細は、以下を参照してください。
24.9. IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワークへの変換
クラスター管理者は、IPv4 および IPv6 アドレスファミリーをサポートするデュアルネットワーククラスターネットワークに、IPv4 の単一スタッククラスターを変換できます。デュアルスタックに変換した後、新規に作成された Pod はすべてデュアルスタック対応になります。
-
デュアルスタックネットワークを使用している場合、IPv6 を必要とする、IPv4 にマッピングされ IPv6 アドレス (例:
::FFFF:198.51.100.1
) は使用できません。 - デュアルスタックネットワークは、ベアメタル、IBM Power®、IBM Z® インフラストラクチャー、シングルノード OpenShift、および VMware vSphere にプロビジョニングされたクラスターでサポートされます。
24.9.1. デュアルスタッククラスターネットワークへの変換
クラスター管理者は、単一スタッククラスターネットワークをデュアルスタッククラスターネットワークに変換できます。
デュアルスタックネットワークへの変換後に、新規に作成された Pod のみに IPv6 アドレスが割り当てられます。変換前に作成された Pod は、IPv6 アドレスを受信するように再作成される必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - クラスターは OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用します。
- クラスターノードに IPv6 アドレスがある。
- インフラストラクチャーに基づいて IPv6 対応ルーターを設定している。
手順
クラスターおよびサービスネットワークの IPv6 アドレスブロックを指定するには、以下の YAML を含むファイルを作成します。
- op: add path: /spec/clusterNetwork/- value: 1 cidr: fd01::/48 hostPrefix: 64 - op: add path: /spec/serviceNetwork/- value: fd02::/112 2
クラスターネットワーク設定にパッチを適用するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch network.config.openshift.io cluster \ --type='json' --patch-file <file>.yaml
ここでは、以下のようになります。
file
- 先の手順で作成したファイルの名前を指定します。
出力例
network.config.openshift.io/cluster patched
検証
以下の手順を実施して、クラスターネットワークが直前の手順で指定した IPv6 アドレスブロックを認識していることを確認します。
ネットワーク設定を表示します。
$ oc describe network
出力例
Status: Cluster Network: Cidr: 10.128.0.0/14 Host Prefix: 23 Cidr: fd01::/48 Host Prefix: 64 Cluster Network MTU: 1400 Network Type: OVNKubernetes Service Network: 172.30.0.0/16 fd02::/112
24.9.2. 単一スタッククラスターネットワークへの変換
クラスター管理者は、デュアルスタッククラスターネットワークを単一スタッククラスターネットワークに変換できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - クラスターは OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用します。
- クラスターノードに IPv6 アドレスがある。
- デュアルスタックネットワークを有効にしている。
手順
以下のコマンドを実行して、
networks.config.openshift.io
カスタムリソース (CR) を編集します。$ oc edit networks.config.openshift.io
-
前の手順で
cidr
およびhostPrefix
フィールドに追加した IPv6 固有の設定を削除します。
24.10. Egress ファイアウォールとネットワークポリシールールのロギング
クラスター管理者は、クラスターの監査ロギングを設定し、1 つ以上の namespace のロギングを有効にできます。OpenShift Container Platform は、Egress ファイアウォールとネットワークポリシーの両方の監査ログを生成します。
監査ログは、OVN-Kubernetes ネットワークプラグイン でのみ使用できます。
24.10.1. 監査ロギング
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインは、Open Virtual Network (OVN) ACL を使用して、Egress ファイアウォールとネットワークポリシーを管理します。監査ロギングは ACL イベントの許可および拒否を公開します。
syslog サーバーや UNIX ドメインソケットなど、監査ログの宛先を設定できます。追加の設定に関係なく、監査ログは常にクラスター内の各 OVN-Kubernetes Pod の /var/log/ovn/acl-audit-log.log
に保存されます。
各 namespace 設定に k8s.ovn.org/acl-logging
セクションをアノテーション付けすることで、各 namespace の監査ログを有効にできます。k8s.ovn.org/acl-logging
セクションでは、namespace の監査ログを有効にするために、allow
、deny
、またはその両方の値を指定する必要があります。
ネットワークポリシーでは、Pass
アクションセットをルールとして設定することはサポートされていません。
ACL ロギング実装は、ネットワークのアクセス制御リスト (ACL) イベントをログに記録します。これらのログを表示して、潜在的なセキュリティー問題を分析できます。
namespace アノテーションの例
kind: Namespace apiVersion: v1 metadata: name: example1 annotations: k8s.ovn.org/acl-logging: |- { "deny": "info", "allow": "info" }
デフォルトの ACL ロギング設定値を表示するには、cluster-network-03-config.yml
ファイルの policyAuditConfig
オブジェクトを参照してください。必要に応じて、このファイル内のログファイルパラメーターの ACL ロギング設定値を変更できます。
ログメッセージの形式は、RFC5424 で定義されている syslog と互換性があります。syslog ファシリティーは設定可能です。デフォルトは local0
です。次の例は、ログメッセージに出力される主要なパラメーターとその値を示しています。
パラメーターとその値を出力するロギングメッセージの例
<timestamp>|<message_serial>|acl_log(ovn_pinctrl0)|<severity>|name="<acl_name>", verdict="<verdict>", severity="<severity>", direction="<direction>": <flow>
ここでは、以下のようになります。
-
<timestamp>
は、ログメッセージが作成された日時を示します。 -
<message_serial>
には、ログメッセージのシリアル番号がリストされます。 -
acl_log (ovn_pinctrl0)
は、OVN-Kubernetes プラグイン内のログメッセージの場所を出力するリテラル文字列です。 -
<severity>
は、ログメッセージの重大度レベルを設定します。allow
タスクとdeny
タスクをサポートする監査ログを有効にすると、ログメッセージ出力に 2 つの重大度レベルが表示されます。 -
<name>
は、ネットワークポリシーによって作成された OVN ネットワークブリッジングデータベース (nbdb
) 内の ACL ロギング実装の名前を示します。 -
<verdict>
は、allow
またはdrop
のいずれかになります。 -
<direction>
は、to-lport
またはfrom-lport
のいずれかで、ポリシーが Pod に向かうトラフィックまたは Pod から出るトラフィックに適用されたことを示します。 -
<flow>
は、OpenFlow
プロトコルと同等の形式でパケット情報を表示します。このパラメーターは Open vSwitch (OVS) フィールドで構成されます。
次の例は、flow
パラメーターがシステムメモリーからパケット情報を抽出するために使用する OVS フィールドを示しています。
flow
パラメーターがパケット情報を抽出するために使用する OVS フィールドの例
<proto>,vlan_tci=0x0000,dl_src=<src_mac>,dl_dst=<source_mac>,nw_src=<source_ip>,nw_dst=<target_ip>,nw_tos=<tos_dscp>,nw_ecn=<tos_ecn>,nw_ttl=<ip_ttl>,nw_frag=<fragment>,tp_src=<tcp_src_port>,tp_dst=<tcp_dst_port>,tcp_flags=<tcp_flags>
ここでは、以下のようになります。
-
<proto>
はプロトコルを指定します。有効な値はtcp
とudp
です。 -
vlan_tci=0x0000
は、内部 Pod ネットワークトラフィックに VLAN ID が設定されていないため、VLAN ヘッダーを0
として示します。 -
<src_mac>
は、メディアアクセス制御 (MAC) アドレスのソースを指定します。 -
<source_mac>
は、MAC アドレスの宛先を指定します。 -
<source_ip>
は、送信元 IP アドレスをリストします -
<target_ip>
は、ターゲット IP アドレスをリストします。 -
<tos_dscp>
は、特定のネットワークトラフィックを他のトラフィックよりも分類して優先順位を付ける差別化サービスコードポイント (DSCP) 値を指定します。 -
<tos_ecn>
は、ネットワーク内の輻輳したトラフィックを示す明示的輻輳通知 (ECN) 値を示します。 -
<ip_ttl>
は、パケットの Time To Live (TTP) 情報を示します。 -
<fragment>
は、一致させる IP フラグメントまたは IP 非フラグメントのタイプを指定します。 -
<tcp_src_port>
は、TCP および UDP プロトコルのポートのソースを示します。 -
<tcp_dst_port>
は、TCP および UDP プロトコルの宛先ポートをリストします。 -
<tcp_flags>
は、SYN
、ACK
、PSH
などの多数のフラグをサポートします。複数の値を設定する必要がある場合は、各値を縦棒 (|
) で区切ります。UDP プロトコルはこのパラメーターをサポートしていません。
以前のフィールドの説明の詳細は、OVS の man ページの ovs-fields
を参照してください。
ネットワークポリシーの ACL 拒否ログエントリーの例
2023-11-02T16:28:54.139Z|00004|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn 2023-11-02T16:28:55.187Z|00005|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn 2023-11-02T16:28:57.235Z|00006|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn
以下の表は、namespace アノテーションの値を説明しています。
フィールド | 説明 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
関連情報
24.10.2. 監査設定
監査ロギングの設定は、OVN-Kubernetes クラスターネットワークプロバイダー設定の一部として指定されます。次の YAML は、監査ログのデフォルト値を示しています。
監査ロギング設定
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: defaultNetwork: ovnKubernetesConfig: policyAuditConfig: destination: "null" maxFileSize: 50 rateLimit: 20 syslogFacility: local0
次の表では、監査ログの設定フィールドを説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
| integer |
ノードごとに毎秒生成されるメッセージの最大数。デフォルト値は、1 秒あたり |
| integer |
監査ログの最大サイズ (バイト単位)。デフォルト値は |
| integer | 保持されるログファイルの最大数。 |
| string | 以下の追加の監査ログターゲットのいずれかになります。
|
| string |
RFC5424 で定義される |
24.10.3. クラスターの Egress ファイアウォールとネットワークポリシー監査の設定
クラスター管理者は、クラスターの監査ログをカスタマイズできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
監査ロギング設定をカスタマイズするには、次のコマンドを入力します。
$ oc edit network.operator.openshift.io/cluster
ヒントまたは、以下の YAML をカスタマイズして適用することで、監査ロギングを設定できます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: defaultNetwork: ovnKubernetesConfig: policyAuditConfig: destination: "null" maxFileSize: 50 rateLimit: 20 syslogFacility: local0
検証
ネットワークポリシーを使用して namespace を作成するには、次の手順を実行します。
検証用の namespace を作成します。
$ cat <<EOF| oc create -f - kind: Namespace apiVersion: v1 metadata: name: verify-audit-logging annotations: k8s.ovn.org/acl-logging: '{ "deny": "alert", "allow": "alert" }' EOF
出力例
namespace/verify-audit-logging created
namespace のネットワークポリシーを作成します。
$ cat <<EOF| oc create -n verify-audit-logging -f - apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: deny-all spec: podSelector: matchLabels: policyTypes: - Ingress - Egress --- apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: NetworkPolicy metadata: name: allow-from-same-namespace namespace: verify-audit-logging spec: podSelector: {} policyTypes: - Ingress - Egress ingress: - from: - podSelector: {} egress: - to: - namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: verify-audit-logging EOF
出力例
networkpolicy.networking.k8s.io/deny-all created networkpolicy.networking.k8s.io/allow-from-same-namespace created
ソーストラフィックの Pod を
default
namespace に作成します。$ cat <<EOF| oc create -n default -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: client spec: containers: - name: client image: registry.access.redhat.com/rhel7/rhel-tools command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["sleep inf"] EOF
verify-audit-logging
namespace に 2 つの Pod を作成します。$ for name in client server; do cat <<EOF| oc create -n verify-audit-logging -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: ${name} spec: containers: - name: ${name} image: registry.access.redhat.com/rhel7/rhel-tools command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["sleep inf"] EOF done
出力例
pod/client created pod/server created
トラフィックを生成し、ネットワークポリシー監査ログエントリーを作成するには、以下の手順を実行します。
verify-audit-logging
namespace でserver
という名前の Pod の IP アドレスを取得します。$ POD_IP=$(oc get pods server -n verify-audit-logging -o jsonpath='{.status.podIP}')
default
の namespace のclient
という名前の Pod の直前のコマンドから IP アドレスに ping し、すべてのパケットがドロップされていることを確認します。$ oc exec -it client -n default -- /bin/ping -c 2 $POD_IP
出力例
PING 10.128.2.55 (10.128.2.55) 56(84) bytes of data. --- 10.128.2.55 ping statistics --- 2 packets transmitted, 0 received, 100% packet loss, time 2041ms
verify-audit-logging
namespace のclient
という名前の Pod からPOD_IP
シェル環境変数に保存されている IP アドレスに ping し、すべてのパケットが許可されていることを確認します。$ oc exec -it client -n verify-audit-logging -- /bin/ping -c 2 $POD_IP
出力例
PING 10.128.0.86 (10.128.0.86) 56(84) bytes of data. 64 bytes from 10.128.0.86: icmp_seq=1 ttl=64 time=2.21 ms 64 bytes from 10.128.0.86: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.440 ms --- 10.128.0.86 ping statistics --- 2 packets transmitted, 2 received, 0% packet loss, time 1001ms rtt min/avg/max/mdev = 0.440/1.329/2.219/0.890 ms
ネットワークポリシー監査ログの最新エントリーを表示します。
$ for pod in $(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node --no-headers=true | awk '{ print $1 }') ; do oc exec -it $pod -n openshift-ovn-kubernetes -- tail -4 /var/log/ovn/acl-audit-log.log done
出力例
2023-11-02T16:28:54.139Z|00004|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn 2023-11-02T16:28:55.187Z|00005|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn 2023-11-02T16:28:57.235Z|00006|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:Ingress", verdict=drop, severity=alert, direction=to-lport: tcp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:01,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.131.0.39,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=62,nw_frag=no,tp_src=58496,tp_dst=8080,tcp_flags=syn 2023-11-02T16:49:57.909Z|00028|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Egress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=from-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:57.909Z|00029|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Ingress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=to-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:58.932Z|00030|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Egress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=from-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:58.932Z|00031|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Ingress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=to-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0
24.10.4. namespace の Egress ファイアウォールとネットワークポリシーの監査ログを有効にする
クラスター管理者は、namespace の監査ログを有効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
namespace の監査ログを有効にするには、次のコマンドを入力します。
$ oc annotate namespace <namespace> \ k8s.ovn.org/acl-logging='{ "deny": "alert", "allow": "notice" }'
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- namespace の名前を指定します。
ヒントまたは、以下の YAML を適用して監査ロギングを有効化できます。
kind: Namespace apiVersion: v1 metadata: name: <namespace> annotations: k8s.ovn.org/acl-logging: |- { "deny": "alert", "allow": "notice" }
出力例
namespace/verify-audit-logging annotated
検証
監査ログの最新のエントリーを表示します。
$ for pod in $(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node --no-headers=true | awk '{ print $1 }') ; do oc exec -it $pod -n openshift-ovn-kubernetes -- tail -4 /var/log/ovn/acl-audit-log.log done
出力例
2023-11-02T16:49:57.909Z|00028|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Egress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=from-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:57.909Z|00029|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Ingress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=to-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:58.932Z|00030|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Egress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=from-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0 2023-11-02T16:49:58.932Z|00031|acl_log(ovn_pinctrl0)|INFO|name="NP:verify-audit-logging:allow-from-same-namespace:Ingress:0", verdict=allow, severity=alert, direction=to-lport: icmp,vlan_tci=0x0000,dl_src=0a:58:0a:81:02:22,dl_dst=0a:58:0a:81:02:23,nw_src=10.129.2.34,nw_dst=10.129.2.35,nw_tos=0,nw_ecn=0,nw_ttl=64,nw_frag=no,icmp_type=8,icmp_code=0
24.10.5. namespace の Egress ファイアウォールとネットワークポリシーの監査ログを無効にする
クラスター管理者は、namespace の監査ログを無効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
namespace の監査ログを無効にするには、次のコマンドを入力します。
$ oc annotate --overwrite namespace <namespace> k8s.ovn.org/acl-logging-
ここでは、以下のようになります。
<namespace>
- namespace の名前を指定します。
ヒントまたは、以下の YAML を適用して監査ロギングを無効化できます。
kind: Namespace apiVersion: v1 metadata: name: <namespace> annotations: k8s.ovn.org/acl-logging: null
出力例
namespace/verify-audit-logging annotated
24.10.6. 関連情報
24.11. IPsec 暗号化の設定
IPsec を有効にすると、ノード間の内部 Pod 間のクラスタートラフィックと、Pod とクラスター外部の IPsec エンドポイント間の外部トラフィックの両方を暗号化できます。OVN-Kubernetes クラスターネットワーク上のノード間のすべての Pod 間ネットワークトラフィックが IPsec トランスポートモード で暗号化されます。
IPsec はデフォルトで無効にされています。クラスターのインストール中またはインストール後に有効にできます。クラスターのインストールの詳細は、OpenShift Container Platform インストールの概要 を参照してください。クラスターのインストール後に IPsec を有効にする必要がある場合は、IPsec ESP IP ヘッダーのオーバーヘッドを考慮して、まずクラスター MTU のサイズを変更する必要があります。
IBM Cloud® 上の IPsec は NAT-T のみをサポートします。ESP の使用はサポートされていません。
OpenShift Container Platform クラスター上の IPsec には次のサポート制限があります。
- OpenShift Container Platform 4.15 に更新する前に、IPsec を無効にする必要があります。IPsec を無効にした後、関連する IPsec デーモンセットも削除する必要があります。IPsec を無効にせずに更新すると、Pod 間通信が中断される可能性があるという既知の問題があります。(OCPBUGS-43323)
次のドキュメントの手順を使用して、次のことを行います。
- クラスターのインストール後に IPSec を有効または無効にする
- クラスターの外部にある IPsec エンドポイントのサポートを設定する
- IPsec が異なるノード上の Pod 間のトラフィックを暗号化することを確認する
24.11.1. 前提条件
-
クラスター MTU のサイズを
46
バイト減らして、IPsec ESP ヘッダーにオーバーヘッドを追加している。クラスターが使用する MTU のサイズ変更の詳細は クラスターネットワークの MTU 変更 を参照してください。
24.11.2. IPsec が有効になっている場合のネットワーク接続要件
OpenShift Container Platform クラスターのコンポーネントが通信できるように、マシン間のネットワーク接続を設定する必要があります。すべてのマシンではクラスターの他のすべてのマシンのホスト名を解決できる必要があります。
プロトコル | ポート | 説明 |
---|---|---|
UDP |
| IPsec IKE パケット |
| IPsec NAT-T パケット | |
ESP | 該当なし | IPsec Encapsulating Security Payload (ESP) |
24.11.3. Pod 間のトラフィックの IPsec 暗号化
OpenShift Container Platform は、Pod 間のネットワークトラフィックの IPsec 暗号化をサポートします。
24.11.3.1. Pod 間の IPsec によって暗号化されるネットワークトラフィックフローのタイプ
IPsec を有効にすると、Pod 間の以下のネットワークトラフィックフローのみが暗号化されます。
- クラスターネットワーク上の複数の異なるノードの Pod 間のトラフィック
- ホストネットワークの Pod からクラスターネットワーク上の Pod へのトラフィック
以下のトラフィックフローは暗号化されません。
- クラスターネットワーク上の同じノードの Pod 間のトラフィック
- ホストネットワーク上の Pod 間のトラフィック
- クラスターネットワークの Pod からホストネットワークの Pod へのトラフィック
暗号化されていないフローと暗号化されていないフローを以下の図に示します。
24.11.3.2. 暗号化プロトコルおよび IPsec モード
使用する暗号化は AES-GCM-16-256
です。整合性チェック値 (ICV) は 16
バイトです。鍵の長さは 256
ビットです。
使用される IPsec モードは トランスポートモード です。これは、元のパケットの IP ヘッダーに Encapsulated Security Payload (ESP) ヘッダーを追加してパケットデータを暗号化することで、エンドツーエンドの通信を暗号化するモードです。OpenShift Container Platform は現在、Pod 間通信に IPsec Tunnel モード を使用したり、サポートしたりしません。
24.11.3.3. セキュリティー証明書の生成およびローテーション
Cluster Network Operator (CNO) は、暗号化用に IPsec によって使用される自己署名の X.509 認証局 (CA) を生成します。各ノードの証明書署名要求 (CSR) は、CNO によって自動的に満たされます。
この CA は 10 年間有効です。個別のノード証明書は 5 年間有効で、4 年半が経過すると自動的にローテーションされます。
24.11.3.4. Pod 間の IPsec 暗号化の有効化
クラスター管理者は、クラスターのインストール後に Pod 間の IPsec 暗号化を有効にできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 -
IPsec ESP ヘッダーのオーバーヘッドを考慮して、クラスターの最大転送単位 (MTU) のサイズを
46
バイト削減しました。
手順
IPsec 暗号化を有効にするには、次のコマンドを入力します。
$ oc patch networks.operator.openshift.io cluster --type=merge \ -p '{"spec":{"defaultNetwork":{"ovnKubernetesConfig":{"ipsecConfig":{ }}}}}'
検証
OVN-Kubernetes データプレーン Pod の名前を見つけるには、次のコマンドを入力します。
$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l=app=ovnkube-node
出力例
ovnkube-node-5xqbf 8/8 Running 0 28m ovnkube-node-6mwcx 8/8 Running 0 29m ovnkube-node-ck5fr 8/8 Running 0 31m ovnkube-node-fr4ld 8/8 Running 0 26m ovnkube-node-wgs4l 8/8 Running 0 33m ovnkube-node-zfvcl 8/8 Running 0 34m
次のコマンドを実行して、クラスターで IPsec が有効になっていることを確認します。ノードで IPsec が有効になっていることを示すには、コマンド出力に
true
と表示される必要があります。$ oc -n openshift-ovn-kubernetes rsh ovnkube-node-<pod_number_sequence> ovn-nbctl --no-leader-only get nb_global . ipsec 1
- 1
<pod_number_sequence> を
、前の手順のデータプレーン Pod のランダムな文字列5xqbf
に置き換えます。
24.11.3.5. IPsec 暗号化の無効化
クラスター管理者は、クラスターのインストール後に IPsec を有効にした場合にのみ、IPsec 暗号化を無効にできます。
インストールしたクラスターで問題が発生しないようにするには、IPsec を無効にした後、関連する IPsec デーモンセット Pod も削除してください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインする。
手順
IPsec 暗号化を無効にするには、次のコマンドを入力します。
$ oc patch networks.operator.openshift.io/cluster --type=json \ -p='[{"op":"remove", "path":"/spec/defaultNetwork/ovnKubernetesConfig/ipsecConfig"}]'
クラスター内のノードに存在する OVN-Kubernetes データプレーン Pod の名前を見つけるには、次のコマンドを入力します。
$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l=app=ovnkube-node
出力例
ovnkube-node-5xqbf 8/8 Running 0 28m ovnkube-node-6mwcx 8/8 Running 0 29m ovnkube-node-ck5fr 8/8 Running 0 31m ...
クラスター内のノードで IPsec が無効になっているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。クラスター内に存在する各ノードに対してこのコマンドを入力してください。ノードで IPsec が無効になっていることを示すには、コマンド出力に
false
と表示される必要があります。$ oc -n openshift-ovn-kubernetes rsh ovnkube-node-<pod_number_sequence> ovn-nbctl --no-leader-only get nb_global . ipsec 1
- 1
<pod_number_sequence> を
、前の手順のデータプレーン Pod のランダムな文字シーケンス5xqbf
に置き換えます。
ノード上の
openshift-ovn-kubernetes
名前空間から IPsecovn-ipsec-host
daemonset Pod を削除するには、次のコマンドを入力します。$ oc delete daemonset ovn-ipsec-host -n openshift-ovn-kubernetes 1
- 1
ovn-ipsec-host
デーモンセット Pod は、ノード上の東西トラフィックの IPsec 接続を設定します。
ノード上の
openshift-ovn-kubernetes
名前空間から IPsecovn-ipsec-containerized
daemonset Pod を削除するには、次のコマンドを入力します。$ oc delete daemonset ovn-ipsec-containerized -n openshift-ovn-kubernetes 1
- 1
ovn-ipsec-containerized
デーモンセット Pod は、ノード上の東西トラフィックの IPsec 接続を設定します。
次のコマンドを入力して、
ovn-ipsec-host
およびovn-ipsec-containerized
daemonset Pod がクラスター内のすべてのノードから削除されたことを確認します。コマンド出力に Pod が表示されない場合、削除操作は成功しています。$ oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l=app=ovn-ipsec
注記最初のコマンド試行で Pod が削除されないことがあるため、Pod に対して
oc delete
コマンドを再実行する必要がある場合があります。-
オプション: IP パケットの IPsec ESP ヘッダーからのオーバーヘッドがなくなるため、クラスター MTU のサイズを
46
バイト増やすことができます。
24.11.4. 外部トラフィックの IPsec 暗号化
OpenShift Container Platform は、外部ホストへのトラフィックの IPsec 暗号化をサポートします。
IPsec 設定ファイル自体と TLS 証明書を含むカスタム IPsec 設定を指定する必要があります。
次の禁止事項が遵守されていることを確認してください。
- カスタム IPsec 設定には、クラスターの Pod 間の IPsec 設定を干渉する可能性のある接続仕様を含めないようにしてください。
-
提供された証明書バンドル内の証明書共通名 (CN) には、接頭辞
ovs_
を指定できません。この名前は、各ノードのネットワークセキュリティーサービス (NSS) データベース内の Pod 間の IPsec CN 名と衝突する可能性があるためです。
外部エンドポイントの IPsec サポートはテクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
24.11.4.1. 外部 IPsec エンドポイントの IPsec 暗号化の有効化
クラスター管理者は、クラスターと外部 IPsec エンドポイント間の IPsec 暗号化を有効化できます。この手順では Butane を使用してマシン設定を作成するため、butane
コマンドがインストールされている必要があります。
マシン設定を適用した後、Machine Config Operator はクラスター内の影響を受けるノードを再起動し、新しいマシン設定をロールアウトします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 -
クラスター MTU のサイズを
46
バイト減らして、IPsec ESP ヘッダーにオーバーヘッドを設けている。 -
butane
ユーティリティーをインストールした。 - IPsec エンドポイント用の既存の PKCS#12 証明書と PEM 形式の CA 証明書があります。
手順
クラスター管理者は、外部 IPsec エンドポイントの IPsec サポートを有効化できます。
-
ipsec-endpoint-config.conf
という名前の IPsec 設定ファイルを作成します。この設定は次のステップで使用されます。詳細は、IPsec VPN 実装としての Libreswan を参照してください。 次の証明書ファイルを提供して、各ホストのネットワークセキュリティーサービス (NSS) データベースに追加します。これらのファイルは、後続の手順で Butane 設定の一部としてインポートされます。
-
left_server.p12
: IPsec エンドポイントの証明書バンドル -
ca.pem
: 証明書に署名した認証局
-
次の 2 つの手順を使用して、クラスターに IPsec 設定を適用するマシン設定を作成します。
IPsec 設定を追加するには、次の内容でコントロールプレーンとワーカーノードの Butane 設定ファイルを作成します。
$ for role in master worker; do cat >> "99-ipsec-${role}-endpoint-config.bu" <<-EOF variant: openshift version: 4.14.0 metadata: name: 99-${role}-import-certs-enable-svc-os-ext labels: machineconfiguration.openshift.io/role: $role openshift: extensions: - ipsec systemd: units: - name: ipsec-import.service enabled: true contents: | [Unit] Description=Import external certs into ipsec NSS Before=ipsec.service [Service] Type=oneshot ExecStart=/usr/local/bin/ipsec-addcert.sh RemainAfterExit=false StandardOutput=journal [Install] WantedBy=multi-user.target - name: ipsecenabler.service enabled: true contents: | [Service] Type=oneshot ExecStart=systemctl enable --now ipsec.service [Install] WantedBy=multi-user.target storage: files: - path: /etc/ipsec.d/ipsec-endpoint-config.conf mode: 0400 overwrite: true contents: local: ipsec-endpoint-config.conf - path: /etc/pki/certs/ca.pem mode: 0400 overwrite: true contents: local: ca.pem - path: /etc/pki/certs/left_server.p12 mode: 0400 overwrite: true contents: local: left_server.p12 - path: /usr/local/bin/ipsec-addcert.sh mode: 0740 overwrite: true contents: inline: | #!/bin/bash -e echo "importing cert to NSS" certutil -A -n "CA" -t "CT,C,C" -d /var/lib/ipsec/nss/ -i /etc/pki/certs/ca.pem pk12util -W "" -i /etc/pki/certs/left_server.p12 -d /var/lib/ipsec/nss/ certutil -M -n "left_server" -t "u,u,u" -d /var/lib/ipsec/nss/ EOF done
前の手順で作成した Butane ファイルをマシン設定に変換するには、次のコマンドを入力します。
$ for role in master worker; do butane -d . 99-ipsec-${role}-endpoint-config.bu -o ./99-ipsec-$role-endpoint-config.yaml done
マシン設定をクラスターに適用するには、次のコマンドを入力します。
$ for role in master worker; do oc apply -f 99-ipsec-${role}-endpoint-config.yaml done
重要Machine Config Operator (MCO) は各マシン設定プール内のマシンを更新するときに、各ノードを 1 つずつ再起動します。外部 IPsec 接続が使用可能になる前に、すべてのノードが更新されるまで待つ必要があります。
以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトで、MCO はプールごとに一度に 1 つのマシンを更新するため、移行にかかる合計時間がクラスターのサイズと共に増加します。
24.11.5. 関連情報
24.12. デフォルトネットワークに外部ゲートウェイを設定する
クラスター管理者は、デフォルトネットワークに外部ゲートウェイを設定できます。
この機能には次の利点があります。
- namespace ごとの Egress トラフィックの詳細制御
- 静的および動的外部ゲートウェイ IP アドレスの柔軟な設定
- IPv4 と IPv6 の両方のアドレスファミリーのサポート
24.12.1. 前提条件
- クラスターは OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用します。
- インフラストラクチャーは、セカンダリー外部ゲートウェイからのトラフィックをルーティングするように設定されています。
24.12.2. OpenShift Container Platform が外部ゲートウェイ IP アドレスを決定する方法
k8s.ovn.org
API グループの AdminPolicyBasedExternalRoute
カスタムリソース (CR) を使用してセカンダリー外部ゲートウェイを設定します。この CR は、外部ゲートウェイの IP アドレスを指定するための静的アプローチと動的アプローチをサポートしています。
AdminPolicyBasedExternalRoute
CR の対象となる各 namespace は、他の AdminPolicyBasedExternalRoute
CR で選択できません。namespace には同時にセカンダリー外部ゲートウェイを含めることはできません。
ポリシーへの変更はコントローラー内で分離されます。あるポリシーの適用が失敗した場合に、他のポリシーを変更しても、他のポリシーの再試行はトリガーされません。ポリシーが再評価され、変更によって発生した可能性のある差分が適用されるのは、ポリシー自体またはポリシーに関連するオブジェクト (対象の namespace、Pod ゲートウェイ、または動的ホップからそれらをホストする namespace など) の更新が行われたときのみです。
- 静的割り当て
- IP アドレスを直接指定します。
- 動的割り当て
namespace と Pod セレクター、およびオプションのネットワーク割り当て定義を使用して、IP アドレスを間接的に指定します。
- ネットワーク割り当て定義の名前が指定されている場合は、ネットワーク割り当ての外部ゲートウェイ IP アドレスが使用されます。
-
ネットワーク割り当て定義の名前が指定されていない場合は、Pod 自体の外部ゲートウェイ IP アドレスが使用されます。ただし、このアプローチは、Pod が
hostNetwork
をtrue
に指定して設定されている場合にのみ機能します。
24.12.3. AdminPolicyBasedExternalRoute オブジェクトの設定
次のプロパティーを使用して、クラスタースコープの AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトを定義できます。namespace は、一度に 1 つの AdminPolicyBasedExternalRoute
CR でのみ選択できます。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
|
|
|
ルーティングポリシーが適用される namespace セレクターを指定します。外部トラフィックでは from: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: novxlan-externalgw-ecmp-4059
namespace を対象にできるのは、1 つの |
|
|
パケットの転送先を指定します。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| 静的 IP アドレスの配列を指定します。 |
|
| 外部ゲートウェイターゲットとして使用するネットワーク割り当て定義で設定された Pod に対応する Pod セレクターの配列を指定します。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| 次の宛先ホップの IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスを指定します。 |
|
|
オプション: ネットワークで双方向転送検出 (BFD) がサポートされているかどうかを指定します。デフォルト値は |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| [set-based](https://kubernetes.io/docs/concepts/overview/working-with-objects/labels/#set-based-requirement) ラベルセレクターを指定して、このネットワークに一致する namespace 内の Pod をフィルターします設定。 |
|
|
|
|
|
オプション: ネットワークで双方向転送検出 (BFD) がサポートされているかどうかを指定します。デフォルト値は |
|
| オプション: ネットワーク接続定義の名前を指定します。名前は、Pod に関連付けられた論理ネットワークのリストと一致する必要があります。このフィールドが指定されていない場合は、Pod のホストネットワークが使用されます。ただし、ホストネットワークを使用するには、Pod をホストネットワーク Pod として設定する必要があります。 |
24.12.3.1. セカンダリー外部ゲートウェイ設定の例
次の例では、AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトは、ラベルが kubernetes.io/metadata.name: novxlan-externalgw-ecmp-4059
の namespace 内にある Pod の外部ゲートウェイとして 2 つの静的 IP アドレスを設定します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: AdminPolicyBasedExternalRoute metadata: name: default-route-policy spec: from: namespaceSelector: matchLabels: kubernetes.io/metadata.name: novxlan-externalgw-ecmp-4059 nextHops: static: - ip: "172.18.0.8" - ip: "172.18.0.9"
次の例では、AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトが動的外部ゲートウェイを設定します。外部ゲートウェイに使用される IP アドレスは、選択した各 Pod に関連付けられた追加のネットワーク割り当てから派生します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: AdminPolicyBasedExternalRoute metadata: name: shadow-traffic-policy spec: from: namespaceSelector: matchLabels: externalTraffic: "" nextHops: dynamic: - podSelector: matchLabels: gatewayPod: "" namespaceSelector: matchLabels: shadowTraffic: "" networkAttachmentName: shadow-gateway - podSelector: matchLabels: gigabyteGW: "" namespaceSelector: matchLabels: gatewayNamespace: "" networkAttachmentName: gateway
次の例では、AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトは静的外部ゲートウェイと動的外部ゲートウェイの両方を設定します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: AdminPolicyBasedExternalRoute metadata: name: multi-hop-policy spec: from: namespaceSelector: matchLabels: trafficType: "egress" nextHops: static: - ip: "172.18.0.8" - ip: "172.18.0.9" dynamic: - podSelector: matchLabels: gatewayPod: "" namespaceSelector: matchLabels: egressTraffic: "" networkAttachmentName: gigabyte
24.12.4. セカンダリー外部ゲートウェイの設定
クラスター内の namespace のデフォルトネットワークに外部ゲートウェイを設定できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
-
AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトを含む YAML ファイルを作成します。 管理ポリシーベースの外部ルートを作成するには、次のコマンドを入力します。
$ oc create -f <file>.yaml
ここでは、以下のようになります。
<file>
- 前の手順で作成した YAML ファイルの名前を指定します。
出力例
adminpolicybasedexternalroute.k8s.ovn.org/default-route-policy created
管理ポリシーベースの外部ルートが作成されたことを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ oc describe apbexternalroute <name> | tail -n 6
ここでは、以下のようになります。
<name>
-
AdminPolicyBasedExternalRoute
オブジェクトの名前を指定します。
出力例
Status: Last Transition Time: 2023-04-24T15:09:01Z Messages: Configured external gateway IPs: 172.18.0.8 Status: Success Events: <none>
24.12.5. 関連情報
- 追加のネットワーク接続の詳細は、複数のネットワークについて を参照してください。
24.13. プロジェクトの Egress ファイアウォールの設定
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform クラスター外に出るプロジェクトのプロジェクについて、Egress トラフィックを制限する Egress ファイアウォールを作成できます。
24.13.1. Egress ファイアウォールのプロジェクトでの機能
クラスター管理者は、Egress ファイアウォール を使用して、一部またはすべての Pod がクラスター内からアクセスできる外部ホストを制限できます。Egress ファイアウォールポリシーは以下のシナリオをサポートします。
- Pod の接続を内部ホストに制限し、パブリックインターネットへの接続を開始できないようにする。
- Pod の接続をパブリックインターネットに制限し、OpenShift Container Platform クラスター外にある内部ホストへの接続を開始できないようにする。
- Pod は OpenShift Container Platform クラスター外の指定された内部サブネットまたはホストにアクセスできません。
- Pod は特定の外部ホストにのみ接続することができます。
たとえば、指定された IP 範囲へのあるプロジェクトへのアクセスを許可する一方で、別のプロジェクトへの同じアクセスを拒否することができます。または、アプリケーション開発者の (Python) pip mirror からの更新を制限したり、更新を承認されたソースからの更新のみに強制的に制限したりすることができます。
Egress ファイアウォールは、ホストネットワークの namespace には適用されません。ホストネットワークが有効になっている Pod は、Egress ファイアウォールルールの影響を受けません。
EgressFirewall カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して Egress ファイアウォールポリシーを設定します。Egress ファイアウォールは、以下のいずれかの基準を満たすネットワークトラフィックと一致します。
- CIDR 形式の IP アドレス範囲。
- IP アドレスに解決する DNS 名
- ポート番号
- プロトコル。TCP、UDP、および SCTP のいずれかになります。
Egress ファイアウォールに 0.0.0.0/0
の拒否ルールが含まれる場合、OpenShift Container Platform API サーバーへのアクセスはブロックされます。API サーバーに接続するには、IP アドレスごとに許可ルールを追加するか、Egress ポリシールールで nodeSelector
タイプの許可ルールを使用する必要があります。
次の例は、API サーバーへのアクセスを確保するために必要な Egress ファイアウォールルールの順序を示しています。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressFirewall metadata: name: default namespace: <namespace> 1 spec: egress: - to: cidrSelector: <api_server_address_range> 2 type: Allow # ... - to: cidrSelector: 0.0.0.0/0 3 type: Deny
API サーバーの IP アドレスを見つけるには、oc get ep kubernetes -n default
を実行します。
詳細は、BZ#1988324 を参照してください。
Egress ファイアウォールルールは、ルーターを通過するトラフィックには適用されません。ルート CR オブジェクトを作成するパーミッションを持つユーザーは、禁止されている宛先を参照するルートを作成することにより、Egress ファイアウォールポリシールールをバイパスできます。
24.13.1.1. Egress ファイアウォールの制限
Egress ファイアウォールには以下の制限があります。
- 複数の EgressFirewall オブジェクトを持つプロジェクトはありません。
- 最大 8,000 のルールを持つ最大 1 つの EgressFirewall オブジェクトはプロジェクトごとに定義できます。
- Red Hat OpenShift Networking の共有ゲートウェイモードで OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用している場合に、リターン Ingress 応答は Egress ファイアウォールルールの影響を受けます。送信ファイアウォールルールが受信応答宛先 IP をドロップすると、トラフィックはドロップされます。
これらの制限のいずれかに違反すると、プロジェクトの Egress ファイアウォールが壊れます。その結果、すべての外部ネットワークトラフィックがドロップされ、組織にセキュリティーリスクが生じる可能性があります。
Egress ファイアウォールリソースは、kube-node-lease
、kube-public
、kube-system
、openshift
、openshift-
プロジェクトで作成できます。
24.13.1.2. Egress ポリシールールのマッチング順序
Egress ファイアウォールポリシールールは、最初から最後へと定義された順序で評価されます。Pod からの Egress 接続に一致する最初のルールが適用されます。この接続では、後続のルールは無視されます。
24.13.1.3. DNS (Domain Name Server) 解決の仕組み
Egress ファイアウォールポリシールールのいずれかで DNS 名を使用する場合、ドメイン名の適切な解決には、以下の制限が適用されます。
- ドメイン名の更新は、Time-to-Live (TTL) 期間に基づいてポーリングされます。デフォルトで、期間は 30 分です。Egress ファイアウォールコントローラーがローカルネームサーバーでドメイン名をクエリーする場合に、応答に 30 分未満の TTL が含まれる場合、コントローラーは DNS 名の期間を返される値に設定します。それぞれの DNS 名は、DNS レコードの TTL の期限が切れた後にクエリーされます。
- Pod は、必要に応じて同じローカルネームサーバーからドメインを解決する必要があります。そうしない場合、Egress ファイアウォールコントローラーと Pod によって認識されるドメインの IP アドレスが異なる可能性があります。ホスト名の IP アドレスが異なる場合、Egress ファイアウォールは一貫して実行されないことがあります。
- Egress ファイアウォールコントローラーおよび Pod は同じローカルネームサーバーを非同期にポーリングするため、Pod は Egress コントローラーが実行する前に更新された IP アドレスを取得する可能性があります。これにより、競合状態が生じます。この現時点の制限により、EgressFirewall オブジェクトのドメイン名の使用は、IP アドレスの変更が頻繁に生じないドメインの場合にのみ推奨されます。
Egress ファイアウォールポリシーで DNS 名を使用しても、CoreDNS を介したローカル DNS 解決には影響しません。
ただし、Egress ファイアウォールポリシーでドメイン名を使用し、外部 DNS サーバーで関連する Pod の DNS 解決を処理する場合は、DNS サーバーの IP アドレスへのアクセスを許可する Egress ファイアウォールルールを含める必要があります。
24.13.2. EgressFirewall カスタムリソース (CR) オブジェクト
Egress ファイアウォールのルールを 1 つ以上定義できます。ルールは、ルールが適用されるトラフィックを指定して Allow
ルールまたは Deny
ルールのいずれかになります。
以下の YAML は EgressFirewall CR オブジェクトを説明しています。
EgressFirewall オブジェクト
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressFirewall metadata: name: <name> 1 spec: egress: 2 ...
24.13.2.1. EgressFirewall ルール
以下の YAML は Egress ファイアウォールルールオブジェクトを説明しています。ユーザーは、CIDR 形式の IP アドレス範囲またはドメイン名を選択するか、nodeSelector
を使用して、送信トラフィックを許可または拒否できます。egress
スタンザは、単一または複数のオブジェクトの配列を予想します。
Egress ポリシールールのスタンザ
egress: - type: <type> 1 to: 2 cidrSelector: <cidr> 3 dnsName: <dns_name> 4 nodeSelector: <label_name>: <label_value> 5 ports: 6 ...
- 1
- ルールのタイプ。値には
Allow
またはDeny
のいずれかを指定する必要があります。 - 2
cidrSelector
フィールドまたはdnsName
フィールドを指定する Egress トラフィックのマッチングルールを記述するスタンザ。同じルールで両方のフィールドを使用することはできません。- 3
- CIDR 形式の IP アドレス範囲。
- 4
- DNS ドメイン名。
- 5
- ラベルは、ユーザーが定義するキーと値のペアです。ラベルは Pod などのオブジェクトに添付されます。
nodeSelector
を使用すると、1 つ以上のノードラベルを選択して、Pod に添付できます。 - 6
- オプション: ルールのネットワークポートおよびプロトコルのコレクションを記述するスタンザ。
ポートスタンザ
ports: - port: <port> 1 protocol: <protocol> 2
24.13.2.2. EgressFirewall CR オブジェクトの例
以下の例では、複数の Egress ファイアウォールポリシールールを定義します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1
kind: EgressFirewall
metadata:
name: default
spec:
egress: 1
- type: Allow
to:
cidrSelector: 1.2.3.0/24
- type: Deny
to:
cidrSelector: 0.0.0.0/0
- 1
- Egress ファイアウォールポリシールールオブジェクトのコレクション。
以下の例では、トラフィックが TCP プロトコルおよび宛先ポート 80
または任意のプロトコルと宛先ポート 443
のいずれかを使用している場合に、IP アドレス 172.16.1.1
でホストへのトラフィックを拒否するポリシールールを定義します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressFirewall metadata: name: default spec: egress: - type: Deny to: cidrSelector: 172.16.1.1 ports: - port: 80 protocol: TCP - port: 443
24.13.2.3. EgressFirewall の nodeSelector の例
クラスター管理者は、nodeSelector
を使用して、ラベルを指定することにより、クラスター内のノードへの Egress トラフィックを許可または拒否できます。ラベルは、1 つ以上のノードに適用できます。以下は、region=east
ラベルを使用した例です。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressFirewall metadata: name: default spec: egress: - to: nodeSelector: matchLabels: region: east type: Allow
ノード IP アドレスごとに手動でルールを追加する代わりに、ノードセレクターを使用して、Egress ファイアウォールの背後にある Pod がホストネットワーク Pod にアクセスできるようにするラベルを作成します。
24.13.3. Egress ファイアウォールポリシーオブジェクトの作成
クラスター管理者は、プロジェクトの Egress ファイアウォールポリシーオブジェクトを作成できます。
プロジェクトに EgressFirewall オブジェクトがすでに定義されている場合、既存のポリシーを編集して Egress ファイアウォールルールを変更する必要があります。
前提条件
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
ポリシールールを作成します。
-
<policy_name>.yaml
ファイルを作成します。この場合、<policy_name>
は Egress ポリシールールを記述します。 - 作成したファイルで、Egress ポリシーオブジェクトを定義します。
-
以下のコマンドを入力してポリシーオブジェクトを作成します。
<policy_name>
をポリシーの名前に、<project>
をルールが適用されるプロジェクトに置き換えます。$ oc create -f <policy_name>.yaml -n <project>
以下の例では、新規の EgressFirewall オブジェクトが
project1
という名前のプロジェクトに作成されます。$ oc create -f default.yaml -n project1
出力例
egressfirewall.k8s.ovn.org/v1 created
-
オプション: 後に変更できるように
<policy_name>.yaml
ファイルを保存します。
24.14. プロジェクトの egress ファイアウォールの表示
クラスター管理者は、既存の egress ファイアウォールの名前をリスト表示し、特定の egress ファイアウォールのトラフィックルールを表示できます。
24.14.1. EgressFirewall オブジェクトの表示
クラスターで EgressFirewall オブジェクトを表示できます。
前提条件
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
oc
として知られる OpenShift コマンドラインインターフェイス (CLI) のインストール。 - クラスターにログインすること。
手順
オプション: クラスターで定義された EgressFirewall オブジェクトの名前を表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get egressfirewall --all-namespaces
ポリシーを検査するには、以下のコマンドを入力します。
<policy_name>
を検査するポリシーの名前に置き換えます。$ oc describe egressfirewall <policy_name>
出力例
Name: default Namespace: project1 Created: 20 minutes ago Labels: <none> Annotations: <none> Rule: Allow to 1.2.3.0/24 Rule: Allow to www.example.com Rule: Deny to 0.0.0.0/0
24.15. プロジェクトの Egress ファイアウォールの編集
クラスター管理者は、既存の Egress ファイアウォールのネットワークトラフィックルールを変更できます。
24.15.1. EgressFirewall オブジェクトの編集
クラスター管理者は、プロジェクトの Egress ファイアウォールを更新できます。
前提条件
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
プロジェクトの EgressFirewall オブジェクトの名前を検索します。
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。$ oc get -n <project> egressfirewall
オプション: Egress ネットワークファイアウォールの作成時に EgressFirewall オブジェクトのコピーを保存しなかった場合には、以下のコマンドを入力してコピーを作成します。
$ oc get -n <project> egressfirewall <name> -o yaml > <filename>.yaml
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。<name>
をオブジェクトの名前に置き換えます。<filename>
をファイルの名前に置き換え、YAML を保存します。ポリシールールに変更を加えたら、以下のコマンドを実行して EgressFirewall オブジェクトを置き換えます。
<filename>
を、更新された EgressFirewall オブジェクトを含むファイルの名前に置き換えます。$ oc replace -f <filename>.yaml
24.16. プロジェクトからの Egress ファイアウォールの削除
クラスター管理者は、プロジェクトから Egress ファイアウォールを削除して、OpenShift Container Platform クラスター外に出るプロジェクトからネットワークトラフィックに対するすべての制限を削除できます。
24.16.1. EgressFirewall オブジェクトの削除
クラスター管理者は、プロジェクトから Egress ファイアウォールを削除できます。
前提条件
- OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
プロジェクトの EgressFirewall オブジェクトの名前を検索します。
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。$ oc get -n <project> egressfirewall
以下のコマンドを入力し、EgressFirewall オブジェクトを削除します。
<project>
をプロジェクトの名前に、<name>
をオブジェクトの名前に置き換えます。$ oc delete -n <project> egressfirewall <name>
24.17. Egress IP アドレスの設定
クラスター管理者は、1 つ以上の Egress IP アドレスを namespace に、または namespace 内の特定の pod に割り当てるように、OVN-Kubernetes の Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインを設定することができます。
24.17.1. Egress IP アドレスアーキテクチャーの設計および実装
OpenShift Container Platform の Egress IP アドレス機能を使用すると、1 つ以上の namespace の 1 つ以上の Pod からのトラフィックに、クラスターネットワーク外のサービスに対する一貫したソース IP アドレスを持たせることができます。
たとえば、クラスター外のサーバーでホストされるデータベースを定期的にクエリーする Pod がある場合があります。サーバーにアクセス要件を適用するために、パケットフィルタリングデバイスは、特定の IP アドレスからのトラフィックのみを許可するよう設定されます。この特定の Pod のみからサーバーに確実にアクセスできるようにするには、サーバーに要求を行う Pod に特定の Egress IP アドレスを設定できます。
namespace に割り当てられた Egress IP アドレスは、特定の宛先にトラフィックを送信するために使用されるスロールーターとは異なります。
一部のクラスター設定では、アプリケーション Pod と Ingress ルーター Pod が同じノードで実行されます。このシナリオでアプリケーションプロジェクトの Egress IP アドレスを設定する場合、アプリケーションプロジェクトからルートに要求を送信するときに IP アドレスは使用されません。
Egress IP アドレスは、ifcfg-eth0
などのように Linux ネットワーク設定ファイルで設定することはできません。
24.17.1.1. プラットフォームサポート
各種のプラットフォームでの Egress IP アドレス機能のサポートについては、以下の表で説明されています。
プラットフォーム | サポート対象 |
---|---|
ベアメタル | はい |
VMware vSphere | はい |
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) | はい |
Amazon Web Services (AWS) | はい |
Google Cloud Platform (GCP) | はい |
Microsoft Azure | はい |
IBM Z® および IBM® LinuxONE | はい |
IBM Z® および IBM® LinuxONE for Red Hat Enterprise Linux (RHEL) KVM | はい |
IBM Power® | はい |
Nutanix | はい |
EgressIP 機能を持つコントロールプレーンノードへの Egress IP アドレスの割り当ては、Amazon Web Services (AWS) でプロビジョニングされるクラスターではサポートされません。(BZ#2039656)。
24.17.1.2. パブリッククラウドプラットフォームに関する考慮事項
パブリッククラウドインフラストラクチャーでプロビジョニングされたクラスターの場合は、ノードごとに割り当て可能な IP アドレスの絶対数に制約があります。ノードごとに割り当て可能な IP アドレスの最大数、つまりIP 容量は、次の式で表すことができます。
IP capacity = public cloud default capacity - sum(current IP assignments)
Egress IP 機能はノードごとの IP アドレス容量を管理しますが、デプロイメントでこの制約を計画することが重要です。たとえば、8 ノードのベアメタルインフラストラクチャーにインストールされたクラスターの場合は、150 の Egress IP アドレスを設定できます。ただし、パブリッククラウドプロバイダーが IP アドレスの容量をノードあたり 10 IP アドレスに制限している場合、割り当て可能な IP アドレスの総数はわずか 80 です。この例のクラウドプロバイダーで同じ IP アドレス容量を実現するには、7 つの追加ノードを割り当てる必要があります。
パブリッククラウド環境内の任意のノードの IP 容量とサブネットを確認するには、oc get node <node_name> -o yaml
コマンドを入力します。cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションには、ノードの容量とサブネット情報が含まれています。
アノテーション値は、プライマリーネットワークインターフェイスに次の情報を提供するフィールドを持つ単一のオブジェクトを持つ配列です。
-
interface
: AWS と Azure のインターフェイス ID と GCP のインターフェイス名を指定します。 -
ifaddr
: 一方または両方の IP アドレスファミリーのサブネットマスクを指定します。 -
capacity
: ノードの IP アドレス容量を指定します。AWS では、IP アドレス容量は IP アドレスファミリーごとに提供されます。Azure と GCP では、IP アドレスの容量には IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方が含まれます。
ノード間のトラフィックの送信 IP アドレスの自動アタッチおよびデタッチが可能です。これにより、namespace 内の多くの Pod からのトラフィックが、クラスター外の場所への一貫した送信元 IP アドレスを持つことができます。これは、OpenShift Container Platform 4.14 の Red Hat OpenShift Networking のデフォルトのネットワーキングプラグインである OpenShift SDN および OVN-Kubernetes もサポートします。
RHOSP Egress IP アドレス機能は、egressip-<IP address>
と呼ばれる Neutron 予約ポートを作成します。OpenShift Container Platform クラスターのインストールに使用したものと同じ RHOSP ユーザーを使用して、Floating IP アドレスをこの予約ポートに割り当て、Egress トラフィック用の予測可能な SNAT アドレスを指定できます。RHOSP ネットワーク上の Egress IP アドレスが、ノードのフェイルオーバーなどのためにあるノードから別のノードに移動されると、Neutron 予約ポートが削除され、再作成されます。これは、フローティング IP の関連付けが失われ、フローティング IP アドレスを新しい予約ポートに手動で再割り当てする必要があることを意味します。
RHOSP クラスター管理者が Floating IP を予約ポートに割り当てると、OpenShift Container Platform は予約ポートを削除できません。RHOSP クラスター管理者が予約ポートから Floating IP の割り当てを解除するまで、CloudPrivateIPConfig
オブジェクトは削除および移動操作を実行できません。
次の例は、いくつかのパブリッククラウドプロバイダーのノードからのアノテーションを示しています。アノテーションは、読みやすくするためにインデントされています。
AWS での cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションの例
cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig: [ { "interface":"eni-078d267045138e436", "ifaddr":{"ipv4":"10.0.128.0/18"}, "capacity":{"ipv4":14,"ipv6":15} } ]
GCP での cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションの例
cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig: [ { "interface":"nic0", "ifaddr":{"ipv4":"10.0.128.0/18"}, "capacity":{"ip":14} } ]
次のセクションでは、容量計算で使用するためにサポートされているパブリッククラウド環境の IP アドレス容量を説明します。
24.17.1.2.1. Amazon Web Services (AWS) の IP アドレス容量の制限
AWS では、IP アドレスの割り当てに関する制約は、設定されているインスタンスタイプによって異なります。詳細は、IP addresses per network interface per instance type を参照してください。
24.17.1.2.2. Google Cloud Platform (GCP) の IP アドレス容量の制限
GCP では、ネットワークモデルは、IP アドレスの割り当てではなく、IP アドレスのエイリアス作成を介して追加のノード IP アドレスを実装します。ただし、IP アドレス容量は IP エイリアス容量に直接マッピングされます。
IP エイリアスの割り当てには、次の容量制限があります。
- ノードごとに、IPv4 と IPv6 の両方の IP エイリアスの最大数は 100 です。
- VPC ごとに、IP エイリアスの最大数は指定されていませんが、OpenShift Container Platform のスケーラビリティーテストでは、最大数が約 15,000 であることが明らかになっています。
詳細は、インスタンスごとのクォータとエイリアス IP 範囲の概要を参照してください。
24.17.1.2.3. Microsoft Azure IP アドレスの容量制限
Azure では、IP アドレスの割り当てに次の容量制限があります。
- NIC ごとに、IPv4 と IPv6 の両方で割り当て可能な IP アドレスの最大数は 256 です。
- 仮想ネットワークごとに、割り当てられる IP アドレスの最大数は 65,536 を超えることはできません。
詳細は、ネットワークの制限を参照してください。
24.17.1.3. 追加のネットワークインターフェイスで Egress IP を使用する場合の考慮事項
OpenShift Container Platform では、Egress IP は管理者にネットワークトラフィックを制御する方法を提供します。Egress IP は、Open vSwitch に関連付けられた Linux ブリッジインターフェイスである br-ex
(プライマリー) ネットワークインターフェイスで使用することも、追加のネットワークインターフェイスで使用することもできます。
次のコマンドを実行して、ネットワークインターフェイスのタイプを検査できます。
$ ip -details link show
プライマリーネットワークインターフェイスには、サブネットマスクも含まれるノード IP アドレスが割り当てられます。このノードの IP アドレスの情報は、k8s.ovn.org/node-primary-ifaddr
アノテーションを検査して、クラスター内の各ノードの Kubernetes ノードオブジェクトから取得できます。IPv4 クラスターでは、このアノテーションは "k8s.ovn.org/node-primary-ifaddr: {"ipv4":"192.168.111.23/24"}"
の例に似ています。
Egress IP がプライマリーネットワークインターフェイスのサブネット内にない場合は、プライマリーネットワークインターフェイスタイプではない別の Linux ネットワークインターフェイスで Egress IP を使用できます。これにより、OpenShift Container Platform 管理者は、ルーティング、アドレス指定、セグメンテーション、セキュリティーポリシーなどのネットワーク側面をより高度に制御できるようになります。この機能は、トラフィックのセグメント化や特殊な要件への対応などの目的で、ワークロードトラフィックを特定のネットワークインターフェイス経由でルーティングするオプションもユーザーに提供します。
Egress IP がプライマリーネットワークインターフェイスのサブネット内にない場合、ノード上に Egress トラフィック用の別のネットワークインターフェイスが存在すると、そのネットワークインターフェイスが選択される可能性があります。
k8s.ovn.org/host-cidrs
Kubernetes ノードのアノテーションを検査することで、他のどのネットワークインターフェイスが Egress IP をサポートしているかを判断できます。このアノテーションには、プライマリーネットワークインターフェイスで見つかったアドレスとサブネットマスクが含まれています。また、追加のネットワークインターフェイスアドレスとサブネットマスク情報も含まれます。これらのアドレスとサブネットマスクは、最長接頭辞マッチルーティング メカニズムを使用して、どのネットワークインターフェイスが Egress IP をサポートするかを決定するネットワークインターフェイスに割り当てられます。
OVN-Kubernetes は、特定の namespace および Pod からのアウトバウンドネットワークトラフィックを制御および送信するメカニズムを提供します。これにより、特定のネットワークインターフェイス経由で、特定の Egress IP アドレスを使用してクラスターからトラフィックが出ていきます。
プライマリーネットワークインターフェイスではないネットワークインターフェイスに Egress IP を割り当てる場合の要件
Egress IP とトラフィックをプライマリーネットワークインターフェイスではない特定のインターフェイス経由でルーティングすることを希望する場合は、次の条件を満たす必要があります。
- OpenShift Container Platform がベアメタルクラスターにインストールされている。この機能は、クラウドまたはハイパーバイザー環境では無効になります。
- OpenShift Container Platform Pod はホストネットワークとして設定されていません。
- ネットワークインターフェイスが削除された場合、またはインターフェイス上で Egress IP をホストできるようにする IP アドレスとサブネットマスクが削除された場合、Egress IP は再設定されます。その結果、別のノードおよびインターフェイスに割り当てられる可能性があります。
ネットワークインターフェイスに対して IP フォワーディングを有効にする必要があります。IP 転送を有効にするには、
oc edit network.operator
コマンドを使用し、次の例のようにオブジェクトを編集します。# ... spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 defaultNetwork: ovnKubernetesConfig: gatewayConfig: ipForwarding: Global # ...
24.17.1.4. Egress IP の Pod への割り当て
1 つ以上の Egress IP を namespace に、または namespace の特定の Pod に割り当てるには、以下の条件を満たす必要があります。
-
クラスター内の 1 つ以上のノードに
k8s.ovn.org/egress-assignable: ""
ラベルがなければなりません。 -
EgressIP
オブジェクトが存在し、これは namespace の Pod からクラスターを離脱するトラフィックのソース IP アドレスとして使用する 1 つ以上の Egress IP アドレスを定義します。
Egress IP の割り当て用にクラスター内のノードにラベルを付ける前に EgressIP
オブジェクトを作成する場合、OpenShift Container Platform は k8s.ovn.org/egress-assignable: ""
ラベルですべての Egress IP アドレスを最初のノードに割り当てる可能性があります。
Egress IP アドレスがクラスター内のノード全体に広く分散されるようにするには、EgressIP
オブジェクトを作成する前に、Egress IP アドレスをホストする予定のノードにラベルを常に適用します。
24.17.1.5. Egress IP のノードへの割り当て
EgressIP
オブジェクトを作成する場合、k8s.ovn.org/egress-assignable: ""
ラベルのラベルが付いたノードに以下の条件が適用されます。
- Egress IP アドレスは一度に複数のノードに割り当てられることはありません。
- Egress IP アドレスは、Egress IP アドレスをホストできる利用可能なノード間で均等に分散されます。
EgressIP
オブジェクトのspec.EgressIPs
配列が複数の IP アドレスを指定する場合は、以下の条件が適用されます。- 指定された IP アドレスを複数ホストするノードはありません。
- トラフィックは、指定された namespace の指定された IP アドレス間でほぼ均等に分散されます。
- ノードが利用不可の場合、そのノードに割り当てられる Egress IP アドレスは自動的に再割り当てされます (前述の条件が適用されます)。
Pod が複数の EgressIP
オブジェクトのセレクターに一致する場合、EgressIP
オブジェクトに指定される Egress IP アドレスのどれが Pod の Egress IP アドレスとして割り当てられるのかという保証はありません。
さらに、EgressIP
オブジェクトが複数の送信 IP アドレスを指定する場合、どの送信 IP アドレスが使用されるかは保証されません。たとえば、Pod が 10.10.20.1
と 10.10.20.2
の 2 つの Egress IP アドレスを持つ EgressIP
オブジェクトのセレクターと一致する場合、各 TCP 接続または UDP 会話にいずれかが使用される可能性があります。
24.17.1.6. Egress IP アドレス設定のアーキテクチャー図
以下の図は、Egress IP アドレス設定を示しています。この図では、クラスターの 3 つのノードで実行される 2 つの異なる namespace の 4 つの Pod を説明します。ノードには、ホストネットワークの 192.168.126.0/18
CIDR ブロックから IP アドレスが割り当てられます。
ノード 1 とノード 3 の両方に k8s.ovn.org/egress-assignable: ""
というラベルが付けられるため、Egress IP アドレスの割り当てに利用できます。
図の破線は、pod1、pod2、および pod3 からのトラフィックフローが Pod ネットワークを通過し、クラスターがノード 1 およびノード 3 から出る様子を示しています。外部サービスが、EgressIP
オブジェクトの例で選択した Pod からトラフィックを受信する場合、送信元 IP アドレスは 192.168.126.10
または 192.168.126.102
のいずれかになります。トラフィックはこれらの 2 つのノード間でほぼ均等に分散されます。
図にある次のリソースの詳細を以下に示します。
Namespace
オブジェクトnamespace は以下のマニフェストで定義されます。
namespace オブジェクト
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: namespace1 labels: env: prod --- apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: namespace2 labels: env: prod
EgressIP
オブジェクト以下の
EgressIP
オブジェクトは、env
ラベルがprod
に設定される namespace のすべての Pod を選択する設定を説明しています。選択された Pod の Egress IP アドレスは192.168.126.10
および192.168.126.102
です。EgressIP
オブジェクトapiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressIP metadata: name: egressips-prod spec: egressIPs: - 192.168.126.10 - 192.168.126.102 namespaceSelector: matchLabels: env: prod status: items: - node: node1 egressIP: 192.168.126.10 - node: node3 egressIP: 192.168.126.102
直前の例の設定の場合、OpenShift Container Platform は両方の Egress IP アドレスを利用可能なノードに割り当てます。
status
フィールドは、Egress IP アドレスの割り当ての有無および割り当てられる場所を反映します。
24.17.2. EgressIP オブジェクト
以下の YAML は、EgressIP
オブジェクトの API を説明しています。オブジェクトの範囲はクラスター全体です。これは namespace では作成されません。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressIP metadata: name: <name> 1 spec: egressIPs: 2 - <ip_address> namespaceSelector: 3 ... podSelector: 4 ...
以下の YAML は namespace セレクターのスタンザを説明しています。
namespace セレクタースタンザ
namespaceSelector: 1
matchLabels:
<label_name>: <label_value>
- 1
- namespace の 1 つ以上のマッチングルール。複数のマッチングルールを指定すると、一致するすべての namespace が選択されます。
以下の YAML は Pod セレクターのオプションのスタンザを説明しています。
Pod セレクタースタンザ
podSelector: 1
matchLabels:
<label_name>: <label_value>
- 1
- オプション: 指定された
namespaceSelector
ルールに一致する、namespace の Pod の 1 つ以上のマッチングルール。これが指定されている場合、一致する Pod のみが選択されます。namespace の他の Pod は選択されていません。
以下の例では、EgressIP
オブジェクトは 192.168.126.11
および 192.168.126.102
Egress IP アドレスを、app
ラベルが web
に設定されており、env
ラベルが prod
に設定されている namespace にある Pod に関連付けます。
EgressIP
オブジェクトの例
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressIP metadata: name: egress-group1 spec: egressIPs: - 192.168.126.11 - 192.168.126.102 podSelector: matchLabels: app: web namespaceSelector: matchLabels: env: prod
以下の例では、EgressIP
オブジェクトは、192.168.127.30
および 192.168.127.40
Egress IP アドレスを、environment
ラベルが development
に設定されていない Pod に関連付けます。
EgressIP
オブジェクトの例
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressIP metadata: name: egress-group2 spec: egressIPs: - 192.168.127.30 - 192.168.127.40 namespaceSelector: matchExpressions: - key: environment operator: NotIn values: - development
24.17.3. egressIPConfig オブジェクト
Egress IP の機能の 1 つとして、reachabilityTotalTimeoutSeconds
パラメーターがあります。これは、EgressIP ノードの到達可能性チェックの合計タイムアウトを秒単位で設定します。このタイムアウト内に EgressIP ノードに到達できない場合、ノードはダウンしていると宣言されます。
reachabilityTotalTimeoutSeconds
の値は、egressIPConfig
オブジェクトの設定ファイルで設定できます。大きな値を設定すると、EgressIP 実装のノードの変更に対する反応が遅くなる可能性があります。問題が発生して到達できない EgressIP ノードに対しては、実装の反応が遅くなります。
egressIPConfig
オブジェクトから reachabilityTotalTimeoutSeconds
パラメーターを省略すると、適切なデフォルト値が選択されます。ただし、この値は時間が経過すると変更される可能性があります。現在のデフォルトは 1
秒です。値が 0
の場合、EgressIP ノードの到達可能性チェックは無効になります。
次の egressIPConfig
オブジェクトでは、reachabilityTotalTimeoutSeconds
をデフォルトの 1
秒プローブから 5
秒プローブに変更するよう指定しています。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 defaultNetwork: ovnKubernetesConfig: egressIPConfig: 1 reachabilityTotalTimeoutSeconds: 5 2 gatewayConfig: routingViaHost: false genevePort: 6081
24.17.4. Egress IP アドレスをホストするノードのラベル付け
OpenShift Container Platform が 1 つ以上の Egress IP アドレスをノードに割り当てることができるように、k8s.ovn.org/egress-assignable=""
ラベルをクラスター内のノードに適用することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインします。
手順
1 つ以上の Egress IP アドレスをホストできるようにノードにラベルを付けるには、以下のコマンドを入力します。
$ oc label nodes <node_name> k8s.ovn.org/egress-assignable="" 1
- 1
- ラベルを付けるノードの名前。
ヒントまたは、以下の YAML を適用してラベルをノードに追加できます。
apiVersion: v1 kind: Node metadata: labels: k8s.ovn.org/egress-assignable: "" name: <node_name>
24.17.5. 次のステップ
24.17.6. 関連情報
24.18. Egress IP アドレスの割り当て
クラスター管理者は、namespace または namespace の特定の Pod からクラスターを出るトラフィックに Egress IP アドレスを割り当てることができます。
24.18.1. Egress IP アドレスの namespace への割り当て
1 つ以上の Egress IP アドレスを namespace または namespace の特定の Pod に割り当てることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインします。
- Egress IP アドレスをホストするように 1 つ以上のノードを設定します。
手順
EgressIP
オブジェクトを作成します。-
<egressips_name>.yaml
ファイルを作成します。<egressips_name>
はオブジェクトの名前になります。 作成したファイルで、以下の例のように
EgressIP
オブジェクトを定義します。apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressIP metadata: name: egress-project1 spec: egressIPs: - 192.168.127.10 - 192.168.127.11 namespaceSelector: matchLabels: env: qa
-
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc apply -f <egressips_name>.yaml 1
- 1
<egressips_name>
をオブジェクトの名前に置き換えます。
出力例
egressips.k8s.ovn.org/<egressips_name> created
-
オプション: 後に変更できるように
<egressips_name>.yaml
ファイルを保存します。 Egress IP アドレスを必要とする namespace にラベルを追加します。手順 1 で定義した
EgressIP
オブジェクトの namespace にラベルを追加するには、以下のコマンドを実行します。$ oc label ns <namespace> env=qa 1
- 1
<namespace>
は、Egress IP アドレスを必要とする namespace に置き換えてください。
検証
クラスターで使用されているすべての Egress IP を表示するには、次のコマンドを入力します。
$ oc get egressip -o yaml
注記oc get egressip
コマンドは、設定されている数に関係なく、1 つの Egress IP アドレスのみを返します。これはバグではなく、Kubernetes の制限です。回避策として、-o yaml
または-o json
フラグを渡して、使用中のすべての Egress IP アドレスを返すことができます。出力例
# ... spec: egressIPs: - 192.168.127.10 - 192.168.127.11 # ...
24.18.2. 関連情報
24.19. 出力サービスの設定
クラスター管理者は、Egress サービスを使用して、ロードバランサーサービスの背後にある Pod の Egress トラフィックを設定できます。
Egress サービスはテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
EgressService
カスタムリソース (CR) を使用して、次の方法で送信トラフィックを管理できます。
ロードバランサーサービスの IP アドレスを、ロードバランサーサービスの背後にある Pod の送信トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てます。
このコンテキストでは、ロードバランサーの IP アドレスを送信元 IP アドレスとして割り当てると、単一の Egress と Ingress を提供するのに役立ちます。たとえば、一部のシナリオでは、ロードバランサーサービスの背後でアプリケーションと通信する外部システムは、アプリケーションの送信元 IP アドレスと宛先 IP アドレスが同じであると想定できます。
注記ロードバランサーサービスの IP アドレスをサービスの背後にある Pod の Egress トラフィックに割り当てると、OVN-Kubernetes は Ingress ポイントと Egress ポイントを単一のノードに制限します。これにより、MetalLB が通常提供するトラフィックのロードバランシングが制限されます。
ロードバランサーの背後にある Pod の Egress トラフィックを、デフォルトノードネットワークとは異なるネットワークに割り当てます。
これは、ロードバランサーの背後にあるアプリケーションの Egress トラフィックを、デフォルトネットワークとは異なるネットワークに割り当てる場合に便利です。通常、別のネットワークは、ネットワークインターフェイスに関連付けられた VRF インスタンスを使用して実装されます。
24.19.1. Egress サービスのカスタムリソース
EgressService
カスタムリソースで Egress サービスの設定を定義します。次の YAML は、egress サービスの設定のフィールドを説明します。
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressService metadata: name: <egress_service_name> 1 namespace: <namespace> 2 spec: sourceIPBy: <egress_traffic_ip> 3 nodeSelector: 4 matchLabels: node-role.kubernetes.io/<role>: "" network: <egress_traffic_network> 5
- 1
- Egress サービスの名前を指定します。
EgressService
リソースの名前は、変更するロードバランサーサービスの名前と一致する必要があります。 - 2
- Egress サービスの namespace を指定します。
EgressService
の namespace は、変更するロードバランサーサービスの namespace と一致する必要があります。Egress サービスは namespace スコープです。 - 3
- サービスの背後にある Pod の Egress トラフィックの送信元 IP アドレスを指定します。有効な値は、
LoadBalancerIP
またはNetwork
です。LoadBalancerIP
値を使用して、LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てます。ネットワーク
を指定して、ネットワークインターフェイス IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てます。 - 4
- オプション:
sourceIPBy
指定にLoadBalancerIP
値を使用する場合、単一ノードがLoadBalancer
サービストラフィックを処理します。このタスクを割り当て可能なノードを制限するには、nodeSelector
フィールドを使用します。サービストラフィックを処理するノードが選択されると、OVN-Kubernetes はそのノードにegress-service.k8s.ovn.org/<svc-namespace>-<svc-name>: ""
という形式でラベルを付けます。nodeSelector
フィールドが指定されていない場合、どのノードでもLoadBalancer
サービストラフィックを管理できます。 - 5
- オプション: 出力トラフィックのルーティングテーブルを指定します。
network
仕様を含めない場合、Egress サービスはデフォルトのホストネットワークを使用します。
Egress サービス仕様の例
apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressService metadata: name: test-egress-service namespace: test-namespace spec: sourceIPBy: "LoadBalancerIP" nodeSelector: matchLabels: vrf: "true" network: "2"
24.19.2. Egress サービスのデプロイ
Egress サービスをデプロイして、LoadBalancer
サービスの背後にある Pod の Egress トラフィックを管理できます。
次の例では、LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスと同じ送信元 IP アドレスを持つように Egress トラフィックを設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 -
MetalLB
BGPPeer
リソースを設定している。
手順
サービスに必要な IP を使用して
IPAddressPool
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
ip-addr-pool.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: example-pool namespace: metallb-system spec: addresses: - 172.19.0.100/32
次のコマンドを実行して、IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ip-addr-pool.yaml
Service
CR およびEgressService
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル
(service-egress-service.yaml
など) を作成します。apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: example-service namespace: example-namespace annotations: metallb.universe.tf/address-pool: example-pool 1 spec: selector: app: example ports: - name: http protocol: TCP port: 8080 targetPort: 8080 type: LoadBalancer --- apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressService metadata: name: example-service namespace: example-namespace spec: sourceIPBy: "LoadBalancerIP" 2 nodeSelector: 3 matchLabels: node-role.kubernetes.io/worker: ""
- 1
LoadBalancer
サービスは、example-pool
IP アドレスプールから MetalLB によって割り当てられた IP アドレスを使用します。- 2
- この例では、
LoadBalancerIP
値を使用して、LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てます。 - 3
LoadBalancerIP
値を指定すると、単一ノードがLoadBalancer
サービスのトラフィックを処理します。この例では、トラフィックを処理する場合にworker
ラベルが割り当てられたノードのみを選択できます。ノードが選択されると、OVN-Kubernetes はそのノードにegress-service.k8s.ovn.org/<svc-namespace>-<svc-name>: ""
という形式でラベルを付けます。
注記sourceIPBy: "LoadBalancerIP"
設定を使用する場合は、BGPAdvertisement
カスタムリソース (CR) でロードバランサーノードを指定する必要があります。次のコマンドを実行して、サービスと Egress サービスの設定を適用します。
$ oc apply -f service-egress-service.yaml
BGPAdvertisement
CR を作成してサービスをアドバタイズします。次の例のような内容を含むファイル
(service-bgp-advertisement.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: example-bgp-adv namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - example-pool nodeSelector: - matchLabels: egress-service.k8s.ovn.org/example-namespace-example-service: "" 1
- 1
- この例では、
EgressService
CR は、ロードバランサーサービス IP アドレスを使用するように、Egress トラフィックの送信元 IP アドレスを設定します。したがって、Pod から発信されるトラフィックに同じリターンパスを使用するには、リターントラフィックのロードバランサーノードを指定する必要があります。
検証
次のコマンドを実行して、MetalLB サービスの背後で実行されている Pod のアプリケーションエンドポイントにアクセスできることを確認します。
$ curl <external_ip_address>:<port_number> 1
- 1
- アプリケーションのエンドポイントに合わせて外部 IP アドレスとポート番号を更新します。
-
LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てた場合は、tcpdump
などのツールを使用して外部クライアントで受信したパケットを分析し、この設定を確認します。
24.20. Egress ルーター Pod の使用に関する考慮事項
24.20.1. Egress ルーター Pod について
OpenShift Container Platform Egress ルーター Pod は、他の用途で使用されていないプライベートソース IP アドレスから指定されたリモートサーバーにトラフィックをリダイレクトします。Egress ルーター Pod により、特定の IP アドレスからのアクセスのみを許可するように設定されたサーバーにネットワークトラフィックを送信できます。
Egress ルーター Pod はすべての発信接続のために使用されることが意図されていません。多数の Egress ルーター Pod を作成することで、ネットワークハードウェアの制限を引き上げられる可能性があります。たとえば、すべてのプロジェクトまたはアプリケーションに Egress ルーター Pod を作成すると、ソフトウェアの MAC アドレスのフィルターに戻る前にネットワークインターフェイスが処理できるローカル MAC アドレス数の上限を超えてしまう可能性があります。
Egress ルーターイメージには Amazon AWS, Azure Cloud またはレイヤー 2 操作をサポートしないその他のクラウドプラットフォームとの互換性がありません。 それらに macvlan トラフィックとの互換性がないためです。
24.20.1.1. Egress ルーターモード
リダイレクトモード では、Egress ルーター Pod は、トラフィックを独自の IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスにリダイレクトするために iptables
ルールをセットアップします。予約された送信元 IP アドレスを使用する必要があるクライアント Pod は、宛先 IP に直接接続するのではなく、スロールーターのサービスにアクセスするように設定する必要があります。curl
コマンドを使用して、アプリケーション Pod から宛先サービスとポートにアクセスできます。以下に例を示します。
$ curl <router_service_IP> <port>
Egress ルーター CNI プラグインはリダイレクトモードのみをサポートします。これは、OpenShift SDN でデプロイできる Egress ルーター実装の相違点です。OpenShift SDN の Egress ルーターとは異なり、Egress ルーター CNI プラグインは HTTP プロキシーモードまたは DNS プロキシーモードをサポートしません。
24.20.1.2. Egress ルーター Pod の実装
Egress ルーターの実装では、Egress ルーターの Container Network Interface (CNI) プラグインを使用します。プラグインはセカンダリーネットワークインターフェイスを Pod に追加します。
Egress ルーターは、2 つのネットワークインターフェイスを持つ Pod です。たとえば、Pod には、eth0
および net1
ネットワークインターフェイスを使用できます。eth0
インターフェイスはクラスターネットワークにあり、Pod は通常のクラスター関連のネットワークトラフィックにこのインターフェイスを引き続き使用します。net1
インターフェイスはセカンダリーネットワークにあり、そのネットワークの IP アドレスとゲートウェイを持ちます。OpenShift Container Platform クラスターの他の Pod は Egress ルーターサービスにアクセスでき、サービスにより Pod が外部サービスにアクセスできるようになります。Egress ルーターは、Pod と外部システム間のブリッジとして機能します。
Egress ルーターから出るトラフィックはノードで終了しますが、パケットには Egress ルーター Pod からの net1
インターフェイスの MAC アドレスがあります。
Egress ルーターのカスタムリソースを追加すると、Cluster Network Operator は以下のオブジェクトを作成します。
-
Pod の
net1
セカンダリーネットワークインターフェイス用のネットワーク接続定義。 - Egress ルーターのデプロイメント。
Egress ルーターカスタムリソースを削除する場合、Operator は Egress ルーターに関連付けられた直前のリストの 2 つのオブジェクトを削除します。
24.20.1.3. デプロイメントに関する考慮事項
Egress ルーター Pod は追加の IP アドレスおよび MAC アドレスをノードのプライマリーネットワークインターフェイスに追加します。その結果、ハイパーバイザーまたはクラウドプロバイダーを、追加のアドレスを許可するように設定する必要がある場合があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)
OpenShift Container Platform を RHOSP にデプロイする場合、OpenStack 環境の Egress ルーター Pod の IP および MAC アドレスからのトラフィックを許可する必要があります。トラフィックを許可しないと、通信は失敗 します。
$ openstack port set --allowed-address \ ip_address=<ip_address>,mac_address=<mac_address> <neutron_port_uuid>
- VMware vSphere
- VMware vSphere を使用している場合は、vSphere 標準スイッチのセキュリティー保護に関する VMware ドキュメント を参照してください。vSphere Web クライアントからホストの仮想スイッチを選択して、VMware vSphere デフォルト設定を表示し、変更します。
とくに、以下が有効にされていることを確認します。
24.20.1.4. フェイルオーバー設定
ダウンタイムを回避するにために、Cluster Network Operator は Egress ルーター Pod をデプロイメントリソースとしてデプロイします。デプロイメント名は egress-router-cni-deployment
です。デプロイメントに対応する Pod には app=egress-router-cni
のラベルがあります。
デプロイメントの新規サービスを作成するには、oc expose deployment/egress-router-cni-deployment --port <port_number>
コマンドを使用するか、以下のようにファイルを作成します。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: app-egress spec: ports: - name: tcp-8080 protocol: TCP port: 8080 - name: tcp-8443 protocol: TCP port: 8443 - name: udp-80 protocol: UDP port: 80 type: ClusterIP selector: app: egress-router-cni
24.20.2. 関連情報
24.21. リダイレクトモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
クラスター管理者は、トラフィックを予約された送信元 IP アドレスから指定された宛先 IP アドレスにリダイレクトするように Egress ルーター Pod をデプロイできます。
Egress ルーターの実装では、Egress ルーターの Container Network Interface (CNI) プラグインを使用します。
24.21.1. Egress ルーターのカスタムリソース
Egress ルーターのカスタムリソースで Egress ルーター Pod の設定を定義します。以下の YAML は、リダイレクトモードでの Egress ルーターの設定のフィールドを説明しています。
apiVersion: network.operator.openshift.io/v1 kind: EgressRouter metadata: name: <egress_router_name> namespace: <namespace> 1 spec: addresses: [ 2 { ip: "<egress_router>", 3 gateway: "<egress_gateway>" 4 } ] mode: Redirect redirect: { redirectRules: [ 5 { destinationIP: "<egress_destination>", port: <egress_router_port>, targetPort: <target_port>, 6 protocol: <network_protocol> 7 }, ... ], fallbackIP: "<egress_destination>" 8 }
- 1
- オプション:
namespace
フィールドは、Egress ルーターを作成するための namespace を指定します。ファイルまたはコマンドラインで値を指定しない場合には、default
namespace が使用されます。 - 2
addresses
フィールドは、セカンダリーネットワークインターフェイスに設定する IP アドレスを指定します。- 3
ip
フィールドは、ノードが Egress ルーター Pod と使用する物理ネットワークからの予約済み送信元 IP アドレスとネットマスクを指定します。CIDR 表記を使用して IP アドレスとネットマスクを指定します。- 4
gateway
フィールドは、ネットワークゲートウェイの IP アドレスを指定します。- 5
- オプション:
redirectRules
フィールドは、Egress 宛先 IP アドレス、Egress ルーターポート、およびプロトコルの組み合わせを指定します。指定されたポートとプロトコルでの Egress ルーターへの着信接続は、宛先 IP アドレスにルーティングされます。 - 6
- オプション:
targetPort
フィールドは、宛先 IP アドレスのネットワークポートを指定します。このフィールドが指定されていない場合、トラフィックは到達したネットワークポートと同じネットワークポートにルーティングされます。 - 7
protocol
フィールドは TCP、UDP、または SCTP をサポートします。- 8
- オプション:
fallbackIP
フィールドは、宛先 IP アドレスを指定します。リダイレクトルールを指定しない場合、Egress ルーターはすべてのトラフィックをこのフォールバック IP アドレスに送信します。リダイレクトルールを指定する場合、ルールに定義されていないネットワークポートへの接続は、Egress ルーターによってこのフォールバック IP アドレスに送信されます。このフィールドを指定しない場合、Egress ルーターはルールで定義されていないネットワークポートへの接続を拒否します。
Egress ルーター仕様の例
apiVersion: network.operator.openshift.io/v1 kind: EgressRouter metadata: name: egress-router-redirect spec: networkInterface: { macvlan: { mode: "Bridge" } } addresses: [ { ip: "192.168.12.99/24", gateway: "192.168.12.1" } ] mode: Redirect redirect: { redirectRules: [ { destinationIP: "10.0.0.99", port: 80, protocol: UDP }, { destinationIP: "203.0.113.26", port: 8080, targetPort: 80, protocol: TCP }, { destinationIP: "203.0.113.27", port: 8443, targetPort: 443, protocol: TCP } ] }
24.21.2. リダイレクトモードでの Egress ルーターのデプロイ
Egress ルーターをデプロイして、独自の予約済み送信元 IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスにトラフィックをリダイレクトできます。
Egress ルーターを追加した後に、予約済み送信元 IP アドレスを使用する必要のあるクライアント Pod は、宛先 IP に直接接続するのでなく、Egress ルーターに接続するように変更される必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- Egress ルーター定義の作成
他の Pod が Egress ルーター Pod の IP アドレスを見つられるようにするには、以下の例のように、Egress ルーターを使用するサービスを作成します。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-1 spec: ports: - name: web-app protocol: TCP port: 8080 type: ClusterIP selector: app: egress-router-cni 1
- 1
- Egress ルーターのラベルを指定します。表示されている値は Cluster Network Operator によって追加され、設定不可能です。
サービスの作成後に、Pod はサービスに接続できます。Egress ルーター Pod は、トラフィックを宛先 IP アドレスの対応するポートにリダイレクトします。接続は、予約された送信元 IP アドレスを起点とします。
検証
Cluster Network Operator が Egress ルーターを起動したことを確認するには、以下の手順を実行します。
Operator が Egress ルーター用に作成したネットワーク接続定義を表示します。
$ oc get network-attachment-definition egress-router-cni-nad
ネットワーク接続定義の名前は設定できません。
出力例
NAME AGE egress-router-cni-nad 18m
Egress ルーター Pod のデプロイメントを表示します。
$ oc get deployment egress-router-cni-deployment
デプロイメントの名前は設定できません。
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE egress-router-cni-deployment 1/1 1 1 18m
Egress ルーター Pod のステータスを表示します。
$ oc get pods -l app=egress-router-cni
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE egress-router-cni-deployment-575465c75c-qkq6m 1/1 Running 0 18m
- Egress ルーター Pod のログとルーティングテーブルを表示します。
Egress ルーター Pod のノード名を取得します。
$ POD_NODENAME=$(oc get pod -l app=egress-router-cni -o jsonpath="{.items[0].spec.nodeName}")
ターゲットノードのデバッグセッションに入ります。この手順は、
<node_name>-debug
というデバッグ Pod をインスタンス化します。$ oc debug node/$POD_NODENAME
/host
をデバッグシェル内の root ディレクトリーとして設定します。デバッグ Pod は、Pod 内の/host
にホストのルートファイルシステムをマウントします。ルートディレクトリーを/host
に変更すると、ホストの実行可能パスに含まれるバイナリーを実行できます。# chroot /host
chroot
環境コンソール内から、Egress ルーターログを表示します。# cat /tmp/egress-router-log
出力例
2021-04-26T12:27:20Z [debug] Called CNI ADD 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Gateway: 192.168.12.1 2021-04-26T12:27:20Z [debug] IP Source Addresses: [192.168.12.99/24] 2021-04-26T12:27:20Z [debug] IP Destinations: [80 UDP 10.0.0.99/30 8080 TCP 203.0.113.26/30 80 8443 TCP 203.0.113.27/30 443] 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Created macvlan interface 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Renamed macvlan to "net1" 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Adding route to gateway 192.168.12.1 on macvlan interface 2021-04-26T12:27:20Z [debug] deleted default route {Ifindex: 3 Dst: <nil> Src: <nil> Gw: 10.128.10.1 Flags: [] Table: 254} 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Added new default route with gateway 192.168.12.1 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Added iptables rule: iptables -t nat PREROUTING -i eth0 -p UDP --dport 80 -j DNAT --to-destination 10.0.0.99 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Added iptables rule: iptables -t nat PREROUTING -i eth0 -p TCP --dport 8080 -j DNAT --to-destination 203.0.113.26:80 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Added iptables rule: iptables -t nat PREROUTING -i eth0 -p TCP --dport 8443 -j DNAT --to-destination 203.0.113.27:443 2021-04-26T12:27:20Z [debug] Added iptables rule: iptables -t nat -o net1 -j SNAT --to-source 192.168.12.99
この手順で説明されているように、
EgressRouter
オブジェクトを作成して Egress ルーターを起動する場合、ロギングファイルの場所とロギングレベルは設定できません。chroot
環境コンソール内で、コンテナー ID を取得します。# crictl ps --name egress-router-cni-pod | awk '{print $1}'
出力例
CONTAINER bac9fae69ddb6
コンテナーのプロセス ID を判別します。この例では、コンテナー ID は
bac9fae69ddb6
です。# crictl inspect -o yaml bac9fae69ddb6 | grep 'pid:' | awk '{print $2}'
出力例
68857
コンテナーのネットワーク namespace を入力します。
# nsenter -n -t 68857
ルーティングテーブルを表示します。
# ip route
以下の出力例では、
net1
ネットワークインターフェイスはデフォルトのルートです。クラスターネットワークのトラフィックはeth0
ネットワークインターフェイスを使用します。192.168.12.0/24
ネットワークのトラフィックは、net1
ネットワークインターフェイスを使用し、予約された送信元 IP アドレス192.168.12.99
を起点とします。Pod は他のすべてのトラフィックを IP アドレス192.168.12.1
のゲートウェイにルーティングします。サービスネットワークのルーティングは表示されません。出力例
default via 192.168.12.1 dev net1 10.128.10.0/23 dev eth0 proto kernel scope link src 10.128.10.18 192.168.12.0/24 dev net1 proto kernel scope link src 192.168.12.99 192.168.12.1 dev net1
24.22. プロジェクトのマルチキャストの有効化
24.22.1. マルチキャストについて
IP マルチキャストを使用すると、データが多数の IP アドレスに同時に配信されます。
- 現時点で、マルチキャストは低帯域幅の調整またはサービスの検出での使用に最も適しており、高帯域幅のソリューションとしては適していません。
-
デフォルトでは、ネットワークポリシーは namespace 内のすべての接続に影響します。ただし、マルチキャストはネットワークポリシーの影響を受けません。マルチキャストがネットワークポリシーと同じ namespace で有効にされている場合、
deny-all
ネットワークポリシーがある場合でも、マルチキャストは常に許可されます。クラスター管理者は、これを有効にする前に、ネットワークポリシーからマルチキャストが除外されることの影響を考慮する必要があります。
OpenShift Container Platform の Pod 間のマルチキャストトラフィックはデフォルトで無効にされます。OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用している場合は、プロジェクトごとにマルチキャストを有効にできます。
24.22.2. Pod 間のマルチキャストの有効化
プロジェクトの Pod でマルチキャストを有効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
以下のコマンドを実行し、プロジェクトのマルチキャストを有効にします。
<namespace>
を、マルチキャストを有効にする必要のある namespace に置き換えます。$ oc annotate namespace <namespace> \ k8s.ovn.org/multicast-enabled=true
ヒントまたは、以下の YAML を適用してアノテーションを追加できます。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: <namespace> annotations: k8s.ovn.org/multicast-enabled: "true"
検証
マルチキャストがプロジェクトについて有効にされていることを確認するには、以下の手順を実行します。
現在のプロジェクトを、マルチキャストを有効にしたプロジェクトに切り替えます。
<project>
をプロジェクト名に置き換えます。$ oc project <project>
マルチキャストレシーバーとして機能する Pod を作成します。
$ cat <<EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: mlistener labels: app: multicast-verify spec: containers: - name: mlistener image: registry.access.redhat.com/ubi9 command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf -y install socat hostname && sleep inf"] ports: - containerPort: 30102 name: mlistener protocol: UDP EOF
マルチキャストセンダーとして機能する Pod を作成します。
$ cat <<EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: msender labels: app: multicast-verify spec: containers: - name: msender image: registry.access.redhat.com/ubi9 command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf -y install socat && sleep inf"] EOF
新しいターミナルウィンドウまたはタブで、マルチキャストリスナーを起動します。
Pod の IP アドレスを取得します。
$ POD_IP=$(oc get pods mlistener -o jsonpath='{.status.podIP}')
次のコマンドを入力して、マルチキャストリスナーを起動します。
$ oc exec mlistener -i -t -- \ socat UDP4-RECVFROM:30102,ip-add-membership=224.1.0.1:$POD_IP,fork EXEC:hostname
マルチキャストトランスミッターを開始します。
Pod ネットワーク IP アドレス範囲を取得します。
$ CIDR=$(oc get Network.config.openshift.io cluster \ -o jsonpath='{.status.clusterNetwork[0].cidr}')
マルチキャストメッセージを送信するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc exec msender -i -t -- \ /bin/bash -c "echo | socat STDIO UDP4-DATAGRAM:224.1.0.1:30102,range=$CIDR,ip-multicast-ttl=64"
マルチキャストが機能している場合、直前のコマンドは以下の出力を返します。
mlistener
24.23. プロジェクトのマルチキャストの無効化
24.23.1. Pod 間のマルチキャストの無効化
プロジェクトの Pod でマルチキャストを無効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
以下のコマンドを実行して、マルチキャストを無効にします。
$ oc annotate namespace <namespace> \ 1 k8s.ovn.org/multicast-enabled-
- 1
- マルチキャストを無効にする必要のあるプロジェクトの
namespace
。
ヒントまたは、以下の YAML を適用してアノテーションを削除できます。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: <namespace> annotations: k8s.ovn.org/multicast-enabled: null
24.24. ネットワークフローの追跡
クラスター管理者は、以下の領域をサポートする、クラスターからの Pod ネットワークフローに関する情報を収集できます。
- Pod ネットワークで Ingress および Egress トラフィックをモニターします。
- パフォーマンスに関する問題のトラブルシューティング
- 容量計画およびセキュリティー監査に関するデータを収集します。
ネットワークフローのコレクションを有効にすると、トラフィックに関するメタデータのみが収集されます。たとえば、パケットデータは収集されませんが、プロトコル、ソースアドレス、宛先アドレス、ポート番号、バイト数、その他のパケットレベルの情報を収集します。
データは、以下の 1 つ以上のレコード形式で収集されます。
- NetFlow
- sFlow
- IPFIX
1 つ以上のコレクター IP アドレスおよびポート番号を使用して Cluster Network Operator (CNO) を設定する場合、Operator は各ノードで Open vSwitch (OVS) を設定し、ネットワークフローレコードを各コレクターに送信します。
Operator を、複数のネットワークフローコレクターにレコードを送信するように設定できます。たとえば、レコードを NetFlow コレクターに送信し、レコードを sFlow コレクターに送信することもできます。
OVS がデータをコレクターに送信すると、それぞれのタイプのコレクターは同一レコードを受け取ります。たとえば、2 つの NetFlow コレクターを設定すると、ノード上の OVS は同じレコードを 2 つのコレクターに送信します。また、2 つの sFlow コレクターを設定した場合には、2 つの sFlow コレクターが同じレコードを受け取ります。ただし、各コレクタータイプには固有のレコード形式があります。
ネットワークフローデータを収集し、レコードをコレクターに送信すると、パフォーマンスに影響があります。ノードは低速でパケットを処理します。パフォーマンスへの影響が大きすぎる場合は、コレクターの宛先を削除し、ネットワークフローデータの収集を無効にしてパフォーマンスを回復できます。
ネットワークフローコレクターを有効にすると、クラスターネットワークの全体的なパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
24.24.1. ネットワークフローを追跡するためのネットワークオブジェクト設定
Cluster Network Operator (CNO) でネットワークフローコレクターを設定するフィールドを以下の表に示します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CNO オブジェクトの名前。この名前は常に |
|
|
1 つ以上の |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
|
| 最大 10 コレクターの IP アドレスとネットワークポートのペアのリスト。 |
以下のマニフェストを CNO に適用した後に、Operator は、192.168.1.99:2056
でリッスンする NetFlow コレクターにネットワークフローレコードを送信するようにクラスター内の各ノードで Open vSwitch (OVS) を設定します。
ネットワークフローを追跡するための設定例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: exportNetworkFlows: netFlow: collectors: - 192.168.1.99:2056
24.24.2. ネットワークフローコレクターの宛先の追加
クラスター管理者として、Cluster Network Operator (CNO) を設定して、Pod ネットワークに関するネットワークフローメタデータのネットワークフローコレクターへの送信を停止することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - ネットワークフローコレクターがあり、リッスンする IP アドレスとポートを把握している。
手順
ネットワークフローコレクターのタイプおよびコレクターの IP アドレスとポート情報を指定するパッチファイルを作成します。
spec: exportNetworkFlows: netFlow: collectors: - 192.168.1.99:2056
ネットワークフローコレクターで CNO を設定します。
$ oc patch network.operator cluster --type merge -p "$(cat <file_name>.yaml)"
出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched
検証
検証は通常必須ではありません。以下のコマンドを実行して、各ノードの Open vSwitch (OVS) がネットワークフローレコードを 1 つ以上のコレクターに送信するように設定されていることを確認できます。
Operator 設定を表示して、
exportNetworkFlows
フィールドが設定されていることを確認します。$ oc get network.operator cluster -o jsonpath="{.spec.exportNetworkFlows}"
出力例
{"netFlow":{"collectors":["192.168.1.99:2056"]}}
各ノードから OVS のネットワークフロー設定を表示します。
$ for pod in $(oc get pods -n openshift-ovn-kubernetes -l app=ovnkube-node -o jsonpath='{range@.items[*]}{.metadata.name}{"\n"}{end}'); do ; echo; echo $pod; oc -n openshift-ovn-kubernetes exec -c ovnkube-controller $pod \ -- bash -c 'for type in ipfix sflow netflow ; do ovs-vsctl find $type ; done'; done
出力例
ovnkube-node-xrn4p _uuid : a4d2aaca-5023-4f3d-9400-7275f92611f9 active_timeout : 60 add_id_to_interface : false engine_id : [] engine_type : [] external_ids : {} targets : ["192.168.1.99:2056"] ovnkube-node-z4vq9 _uuid : 61d02fdb-9228-4993-8ff5-b27f01a29bd6 active_timeout : 60 add_id_to_interface : false engine_id : [] engine_type : [] external_ids : {} targets : ["192.168.1.99:2056"]- ...
24.24.3. ネットワークフローコレクターのすべての宛先の削除
クラスター管理者として、Cluster Network Operator (CNO) を設定して、ネットワークフローメタデータのネットワークフローコレクターへの送信を停止することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
すべてのネットワークフローコレクターを削除します。
$ oc patch network.operator cluster --type='json' \ -p='[{"op":"remove", "path":"/spec/exportNetworkFlows"}]'
出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched
24.24.4. 関連情報
- network.operator.openshift.io/v1
24.25. ハイブリッドネットワークの設定
クラスター管理者は、Red Hat OpenShift Networking OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを設定して、Linux および Windows ノードがそれぞれ Linux および Windows ワークロードをホストできるようにすることができます。
24.25.1. OVN-Kubernetes を使用したハイブリッドネットワークの設定
OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用してハイブリッドネットワークを使用するようにクラスターを設定できます。これにより、異なるノードのネットワーク設定をサポートするハイブリッドクラスターが可能になります。
この設定は、同じクラスター内で Linux ノードと Windows ノードの両方を実行するために必要です。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてクラスターにログインしている。 - クラスターが OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを使用していることを確認します。
手順
OVN-Kubernetes ハイブリッドネットワークオーバーレイを設定するには、次のコマンドを入力します。
$ oc patch networks.operator.openshift.io cluster --type=merge \ -p '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "hybridOverlayConfig":{ "hybridClusterNetwork":[ { "cidr": "<cidr>", "hostPrefix": <prefix> } ], "hybridOverlayVXLANPort": <overlay_port> } } } } }'
ここでは、以下のようになります。
cidr
- 追加のオーバーレイネットワーク上のノードに使用される CIDR 設定を指定します。この CIDR は、クラスターネットワーク CIDR と重複させることはできません。
hostPrefix
-
それぞれの個別ノードに割り当てるサブネット接頭辞の長さを指定します。たとえば、
hostPrefix
が23
に設定されている場合、各ノードに指定のcidr
から/23
サブネットが割り当てられます。これにより、510 (2^(32 - 23) - 2) Pod IP アドレスが許可されます。外部ネットワークからのノードへのアクセスを提供する必要がある場合には、ロードバランサーおよびルーターを、トラフィックを管理するように設定します。 hybridOverlayVXLANPort
-
追加のオーバーレイネットワークのカスタム VXLAN ポートを指定します。これは、vSphere にインストールされたクラスターで Windows ノードを実行するために必要であり、その他のクラウドプロバイダー用に設定することはできません。カスタムポートには、デフォルトの
4789
ポートを除くいずれかのオープンポートを使用できます。この要件の詳細は、Microsoft ドキュメントの Pod-to-pod connectivity between hosts is broken を参照してください。
注記Windows Server Long-Term Servicing Channel (LTSC): Windows Server 2019 は、カスタムの VXLAN ポートの選択をサポートしないため、カスタムの
hybridOverlayVXLANPort
値を持つクラスターではサポートされません。出力例
network.operator.openshift.io/cluster patched
設定がアクティブであることを確認するには、以下のコマンドを入力します。更新が適用されるまでに数分の時間がかかることがあります。
$ oc get network.operator.openshift.io -o jsonpath="{.items[0].spec.defaultNetwork.ovnKubernetesConfig}"
24.25.2. 関連情報
第25章 OpenShift SDN ネットワークプラグイン
25.1. OpenShift SDN ネットワークプラグインについて
Red Hat OpenShift Networking の一部である OpenShift SDN は、ソフトウェア定義ネットワーキング (SDN) アプローチを使用して、OpenShift Container Platform クラスター全体の Pod 間の通信を可能にする統合クラスターネットワークを提供するネットワークプラグインです。OpenShift SDN により、このような Pod ネットワークが確立され、メンテナンスされます。 OpenShift SDN は Open vSwitch (OVS) を使用してオーバーレイネットワークを設定します。
25.1.1. OpenShift SDN ネットワーク分離モード
OpenShift SDN では以下のように、Pod ネットワークを設定するための SDN モードを 3 つ提供します。
-
ネットワークポリシーモードは、プロジェクト管理者が
NetworkPolicy
オブジェクトを使用して独自の分離ポリシーを設定することを可能にします。ネットワークポリシーは、OpenShift Container Platform 4.14 のデフォルトモードです。 - マルチテナント モードは、Pod およびサービスのプロジェクトレベルの分離を可能にします。異なるプロジェクトの Pod は、別のプロジェクトの Pod およびサービスとパケットの送受信をすることができなくなります。プロジェクトの分離を無効にし、クラスター全体のすべての Pod およびサービスにネットワークトラフィックを送信したり、それらの Pod およびサービスからネットワークトラフィックを受信したりすることができます。
- サブネット モードは、すべての Pod が他のすべての Pod およびサービスと通信できる Pod ネットワークを提供します。ネットワークポリシーモードは、サブネットモードと同じ機能を提供します。
25.1.2. サポートされているネットワークプラグイン機能のマトリックス
Red Hat OpenShift Networking は、ネットワークプラグイン用に OpenShift SDN と OVN-Kubernetes の 2 つのオプションを提供します。以下の表は、両方のネットワークプラグインの現在の機能サポートをまとめたものです。
機能 | OpenShift SDN | OVN-Kubernetes |
---|---|---|
Egress IP | サポート対象 | サポート対象 |
Egress ファイアウォール | サポート対象 | サポート対象 [1] |
Egress ルーター | サポート対象 | サポート対象 [2] |
ハイブリッドネットワーク | サポート対象外 | サポート対象 |
クラスター内通信の IPsec 暗号化 | サポート対象外 | サポート対象 |
IPv4 シングルスタック | サポート対象 | サポート対象 |
IPv6 シングルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [3] |
IPv4/IPv6 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
IPv6/IPv4 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
Kubernetes ネットワークポリシー | サポート対象 | サポート対象 |
Kubernetes ネットワークポリシーログ | サポート対象外 | サポート対象 |
ハードウェアのオフロード | サポート対象外 | サポート対象 |
マルチキャスト | サポート対象 | サポート対象 |
- Egress ファイアウォールは、OpenShift SDN では Egress ネットワークポリシーとしても知られています。これはネットワークポリシーの Egress とは異なります。
- OVN-Kubernetes の Egress ルーターはリダイレクトモードのみをサポートします。
- ベアメタルプラットフォーム上の IPv6 シングルスタックネットワーキング。
- ベアメタル、VMware vSphere (installer-provisioned infrastructure インストールのみ)、IBM Power®、IBM Z®、および RHOSP プラットフォーム上の IPv4/IPv6 または IPv6/IPv4 デュアルスタックネットワーク。RHOSP でのデュアルスタックネットワークは、テクノロジープレビュー機能です。
- ベアメタル、VMware vSphere (インストーラープロビジョニングインフラストラクチャーのインストールのみ)、および IBM Power® プラットフォーム上の IPv6/IPv4 デュアルスタックネットワーク。
25.2. OpenShift SDN ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインから OpenShift SDN ネットワークプラグインに移行できます。
OpenShift SDN の詳細は、OpenShift SDN ネットワークプラグインについて を参照してください。
25.2.1. 移行プロセスの仕組み
以下の表は、プロセスのユーザーが開始する手順と、移行が応答として実行するアクション間を区分して移行プロセスを要約しています。
ユーザーが開始する手順 | 移行アクティビティー |
---|---|
|
|
|
|
クラスターの各ノードを再起動します。 |
|
25.2.2. OpenShift SDN ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、オフライン移行方法を使用して、OpenShift SDN Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインにロールバックできます。移行中は、クラスター内のすべてのノードを手動で再起動する必要があります。オフライン移行方法では、ダウンタイムが発生し、その間はクラスターにアクセスできなくなります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - インフラストラクチャーにインストールされたクラスターが OVN-Kubernetes ネットワークプラグインで設定されている。
- etcd データベースの最新のバックアップが利用可能である。
- 再起動は、ノードごとに手動でトリガーできます。
- クラスターは既知の正常な状態にあり、エラーがない。
手順
Machine Config Operator (MCO) によって管理されるすべてのマシン設定プールを停止します。
CLI で次のコマンドを入力して、
master
設定プールを停止します。$ oc patch MachineConfigPool master --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": true } }'
CLI で次のコマンドを入力して、
worker
マシン設定プールを停止します。$ oc patch MachineConfigPool worker --type='merge' --patch \ '{ "spec":{ "paused": true } }'
移行の準備をするには、CLI で次のコマンドを入力して、移行フィールドを
null
に設定します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io
オブジェクトの移行ステータスが空であることを確認します。空のコマンド出力は、オブジェクトが移行操作中ではないことを示しています。$ oc get Network.config cluster -o jsonpath='{.status.migration}'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.operator.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用し、ネットワークプラグインを OpenShift SDN に戻します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OpenShiftSDN" } } }'
重要Network.operator.openshift.io
オブジェクトでパッチ操作が終了する前にNetwork.config.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用した場合、Cluster Network Operator (CNO) は degradation 状態になり、CNO が degradation 状態から回復するまでわずかな遅延が発生します。CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io cluster
オブジェクトのネットワークプラグインの移行ステータスがOpenShiftSDN
であることを確認します。$ oc get Network.config cluster -o jsonpath='{.status.migration.networkType}'
CLI で次のコマンドを入力して、
Network.config.openshift.io
オブジェクトにパッチを適用し、ネットワークプラグインを OpenShift SDN に戻します。$ oc patch Network.config.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "networkType": "OpenShiftSDN" } }'
オプション: いくつかの OVN-Kubernetes 機能の OpenShift SDN 同等機能への自動移行を無効化します。
- Egress IP
- Egress ファイアウォール
- マルチキャスト
前述の OpenShift SDN 機能の設定の自動移行を無効にするには、次のキーを指定します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OpenShiftSDN", "features": { "egressIP": <bool>, "egressFirewall": <bool>, "multicast": <bool> } } } }'
ここでは、以下のようになります。
bool
: 機能の移行を有効にするかどうかを指定します。デフォルトはtrue
です。オプション: ネットワークインフラストラクチャーの要件を満たすように OpenShift SDN の以下の設定をカスタマイズできます。
- 最大伝送単位 (MTU)
- VXLAN ポート
前述の設定のいずれかまたは両方をカスタマイズするには、CLI で次のコマンドをカスタマイズして入力します。デフォルト値を変更する必要がない場合は、パッチのキーを省略します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "openshiftSDNConfig":{ "mtu":<mtu>, "vxlanPort":<port> }}}}'
mtu
-
VXLAN オーバーレイネットワークの MTU。この値は通常は自動的に設定されますが、クラスターにあるノードすべてが同じ MTU を使用しない場合、これを最小のノード MTU 値よりも
50
小さく設定する必要があります。 port
-
VXLAN オーバーレイネットワークの UDP ポート。値が指定されない場合は、デフォルトは
4789
になります。ポートは OVN-Kubernetes で使用される Geneve ポートと同じにすることはできません。Geneve ポートのデフォルト値は6081
です。
patch コマンドの例
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "openshiftSDNConfig":{ "mtu":1200 }}}}'
クラスター内の各ノードを再起動します。次のいずれかの方法で、クラスター内のノードを再起動できます。
oc rsh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。#!/bin/bash readarray -t POD_NODES <<< "$(oc get pod -n openshift-machine-config-operator -o wide| grep daemon|awk '{print $1" "$7}')" for i in "${POD_NODES[@]}" do read -r POD NODE <<< "$i" until oc rsh -n openshift-machine-config-operator "$POD" chroot /rootfs shutdown -r +1 do echo "cannot reboot node $NODE, retry" && sleep 3 done done
ssh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。このスクリプトは、パスワードの入力を求めないように sudo が設定されていることを前提としています。#!/bin/bash for ip in $(oc get nodes -o jsonpath='{.items[*].status.addresses[?(@.type=="InternalIP")].address}') do echo "reboot node $ip" ssh -o StrictHostKeyChecking=no core@$ip sudo shutdown -r -t 3 done
Multus デーモンセットのロールアウトが完了するまで待機します。次のコマンドを実行して、ロールアウトのステータスを確認します。
$ oc -n openshift-multus rollout status daemonset/multus
Multus Pod の名前の形式は
multus-<xxxxx>
です。ここで、<xxxxx>
は文字のランダムなシーケンスになります。Pod が再起動するまでにしばらく時間がかかる可能性があります。出力例
Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 1 out of 6 new pods have been updated... ... Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 5 of 6 updated pods are available... daemon set "multus" successfully rolled out
クラスター内のノードが再起動し、multus Pod がロールアウトされたら、次のコマンドを実行してすべてのマシン設定プールを起動します。
マスター設定プールを開始します。
$ oc patch MachineConfigPool master --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": false } }'
ワーカー設定プールを開始します。
$ oc patch MachineConfigPool worker --type='merge' --patch \ '{ "spec": { "paused": false } }'
MCO が各設定プールのマシンを更新すると、各ノードを再起動します。
デフォルトで、MCO は一度にプールごとに単一のマシンを更新するため、移行が完了するまでに必要な時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、CLI で以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、CLI で以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml
ここで、
<config_name>
はmachineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドのマシン設定の名前になります。
移行が正常に完了したことを確認します。
ネットワークプラグインが OpenShift SDN であることを確認するには、CLI で次のコマンドを入力します。
status.networkType
の値はOpenShiftSDN
である必要があります。$ oc get Network.config/cluster -o jsonpath='{.status.networkType}{"\n"}'
クラスターノードが
Ready
状態にあることを確認するには、CLI で以下のコマンドを入力します。$ oc get nodes
ノードが
NotReady
状態のままになっている場合、マシン設定デーモン Pod のログを調べ、エラーを解決します。Pod をリスト表示するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc get pod -n openshift-machine-config-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE machine-config-controller-75f756f89d-sjp8b 1/1 Running 0 37m machine-config-daemon-5cf4b 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-7wzcd 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-fc946 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-g2v28 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-gcl4f 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-l5tnv 2/2 Running 0 43h machine-config-operator-79d9c55d5-hth92 1/1 Running 0 37m machine-config-server-bsc8h 1/1 Running 0 43h machine-config-server-hklrm 1/1 Running 0 43h machine-config-server-k9rtx 1/1 Running 0 43h
設定デーモン Pod の名前は以下の形式になります。
machine-config-daemon-<seq>
<seq>
値は、ランダムな 5 文字の英数字シーケンスになります。前の出力に示されている各マシン設定デーモン Pod の Pod ログを表示するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc logs <pod> -n openshift-machine-config-operator
ここで、
pod
はマシン設定デーモン Pod の名前になります。- 直前のコマンドの出力で示されるログ内のエラーを解決します。
Pod がエラー状態ではないことを確認するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc get pods --all-namespaces -o wide --sort-by='{.spec.nodeName}'
ノードの Pod がエラー状態にある場合は、そのノードを再起動します。
以下の手順は、移行に成功し、クラスターの状態が正常である場合にのみ実行します。
Cluster Network Operator 設定オブジェクトから移行設定を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
OVN-Kubernetes 設定を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "defaultNetwork": { "ovnKubernetesConfig":null } } }'
OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダー namespace を削除するには、CLI で次のコマンドを入力します。
$ oc delete namespace openshift-ovn-kubernetes
25.2.3. 関連情報
- OpenShift SDN ネットワークプラグインの設定パラメーター
- etcd のバックアップ
- ネットワークポリシーについて
OpenShift SDN の機能
- network.operator.openshift.io/v1
25.3. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへのロールバック
クラスター管理者は、OpenShift SDN への移行が失敗した場合に、OpenShift SDN ネットワークプラグインから OVN-Kubernetes ネットワークプラグインにロールバックできます。
OVN-Kubernetes の詳細は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインについて を参照してください。
25.3.1. OVN-Kubernetes ネットワークプラグインへの移行
クラスター管理者は、クラスターのネットワークプラグインを OVN-Kubernetes に変更できます。移行時に、クラスター内のすべてのノードを再起動する必要があります。
移行の実行中はクラスターを利用できず、ワークロードが中断される可能性があります。サービスの中断が許容可能な場合にのみ移行を実行します。
前提条件
- ネットワークポリシー分離モードの OpenShift SDN CNI ネットワークプラグインで設定されたクラスターがある。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - etcd データベースの最新のバックアップがある。
- 各ノードを手動で再起動できる。
- クラスターがエラーのない既知の良好な状態にあることを確認している。
-
すべてのクラウドプラットフォーム上のすべてのノードに対してポート
6081
上の User Datagram Protocol (UDP) パケットを許可するセキュリティーグループルールを作成している。 -
Webhook のすべてのタイムアウトを
3
秒に設定しているか、Webhook を削除している。
手順
クラスターネットワークの設定のバックアップを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get Network.config.openshift.io cluster -o yaml > cluster-openshift-sdn.yaml
次のコマンドを実行して、
OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT
環境変数が設定され、0s
になっていることを確認します。#!/bin/bash if [ -n "$OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT" ] && [ "$OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT" = "0s" ]; then unset OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT fi #loops the timeout command of the script to repeatedly check the cluster Operators until all are available. co_timeout=${OVN_SDN_MIGRATION_TIMEOUT:-1200s} timeout "$co_timeout" bash <<EOT until oc wait co --all --for='condition=AVAILABLE=True' --timeout=10s && \ oc wait co --all --for='condition=PROGRESSING=False' --timeout=10s && \ oc wait co --all --for='condition=DEGRADED=False' --timeout=10s; do sleep 10 echo "Some ClusterOperators Degraded=False,Progressing=True,or Available=False"; done EOT
次のコマンドを実行して、Cluster Network Operator (CNO) 設定オブジェクトから設定を削除します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{"spec":{"migration":null}}'
.以下の手順を実行して、OpenShift SDN ネットワークプラグインのプライマリーネットワークインターフェイスを定義する
NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) カスタムリソース (CR) を削除します。次のコマンドを入力して、既存の NNCP CR がプライマリーインターフェイスをクラスターにボンディングしていることを確認します。
$ oc get nncp
出力例
NAME STATUS REASON bondmaster0 Available SuccessfullyConfigured
Network Manager は、ボンディングされたプライマリーインターフェイスの接続プロファイルを
/etc/NetworkManager/system-connections
システムパスに保存します。クラスターから NNCP を削除します。
$ oc delete nncp <nncp_manifest_filename>
すべてのノードを移行用に準備するには、次のコマンドを実行して、CNO 設定オブジェクトの
migration
フィールドを設定します。$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OVNKubernetes" } } }'
注記この手順では、OVN-Kubernetes はすぐにデプロイしません。その代わりに、
migration
フィールドを指定すると、新規マシン設定が OVN-Kubernetes デプロイメントの準備に向けてクラスター内のすべてのノードに適用されるように Machine Config Operator (MCO) がトリガーされます。次のコマンドを実行して、再起動が完了したことを確認します。
$ oc get mcp
次のコマンドを実行して、すべてのクラスター Operator が利用可能であることを確認します。
$ oc get co
あるいは、いくつかの OpenShift SDN 機能の OVN-Kubernetes 同等機能への自動移行を無効にすることができます。
- Egress IP
- Egress ファイアウォール
- マルチキャスト
前述の OpenShift SDN 機能の設定の自動移行を無効にするには、次のキーを指定します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": { "networkType": "OVNKubernetes", "features": { "egressIP": <bool>, "egressFirewall": <bool>, "multicast": <bool> } } } }'
ここでは、以下のようになります。
bool
: 機能の移行を有効にするかどうかを指定します。デフォルトはtrue
です。
オプション: ネットワークインフラストラクチャーの要件を満たすように OVN-Kubernetes の以下の設定をカスタマイズできます。
最大伝送単位 (MTU)。このオプションの手順で MTU をカスタマイズする前に、以下を考慮してください。
- デフォルトの MTU を使用しており、移行中にデフォルトの MTU を維持したい場合は、この手順を無視できます。
- カスタム MTU を使用しており、移行中にカスタム MTU を維持する必要がある場合は、この手順でカスタム MTU 値を宣言する必要があります。
移行中に MTU 値を変更する場合、この手順は機能しません。代わりに、まず「クラスター MTU の変更」に記載された指示に従う必要があります。その後、この手順を実行してカスタム MTU 値を宣言すると、カスタム MTU 値を維持できます。
注記OpenShift-SDN と OVN-Kubernetes のオーバーレイオーバーヘッドは異なります。MTU 値は、「MTU 値の選択」ページにあるガイドラインに従って選択する必要があります。
- Geneve (Generic Network Virtualization Encapsulation) オーバーレイネットワークポート
- OVN-Kubernetes IPv4 内部サブネット
以前の設定のいずれかをカスタマイズするには、以下のコマンドを入力してカスタマイズします。デフォルト値を変更する必要がない場合は、パッチのキーを省略します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":<mtu>, "genevePort":<port>, "v4InternalSubnet":"<ipv4_subnet>", }}}}'
ここでは、以下のようになります。
mtu
-
Geneve オーバーレイネットワークの MTU。この値は通常は自動的に設定されますが、クラスターにあるノードすべてが同じ MTU を使用しない場合、これを最小のノード MTU 値よりも
100
小さく設定する必要があります。 port
-
Geneve オーバーレイネットワークの UDP ポート。値が指定されない場合、デフォルトは
6081
になります。ポートは、OpenShift SDN で使用される VXLAN ポートと同じにすることはできません。VXLAN ポートのデフォルト値は4789
です。 ipv4_subnet
-
OVN-Kubernetes による内部使用のための IPv4 アドレス範囲。IP アドレス範囲が、OpenShift Container Platform インストールで使用される他のサブネットと重複しないようにする必要があります。IP アドレス範囲は、クラスターに追加できるノードの最大数より大きくする必要があります。デフォルト値は
100.64.0.0/16
です。
mtu
フィールドを更新するパッチコマンドの例$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type=merge \ --patch '{ "spec":{ "defaultNetwork":{ "ovnKubernetesConfig":{ "mtu":1200 }}}}'
MCO がそれぞれのマシン設定プールのマシンを更新すると、各ノードが 1 つずつ再起動します。すべてのノードが更新されるまで待機する必要があります。以下のコマンドを実行してマシン設定プールのステータスを確認します。
$ oc get mcp
正常に更新されたノードには、
UPDATED=true
、UPDATING=false
、DEGRADED=false
のステータスがあります。注記デフォルトで、MCO はプールごとに一度に 1 つのマシンを更新するため、移行にかかる合計時間がクラスターのサイズと共に増加します。
ホスト上の新規マシン設定のステータスを確認します。
マシン設定の状態と適用されたマシン設定の名前をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe node | egrep "hostname|machineconfig"
出力例
kubernetes.io/hostname=master-0 machineconfiguration.openshift.io/currentConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig: rendered-master-c53e221d9d24e1c8bb6ee89dd3d8ad7b machineconfiguration.openshift.io/reason: machineconfiguration.openshift.io/state: Done
以下のステートメントが true であることを確認します。
-
machineconfiguration.openshift.io/state
フィールドの値はDone
です。 -
machineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドの値は、machineconfiguration.openshift.io/desiredConfig
フィールドの値と等しくなります。
-
マシン設定が正しいことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get machineconfig <config_name> -o yaml | grep ExecStart
ここで、
<config_name>
はmachineconfiguration.openshift.io/currentConfig
フィールドのマシン設定の名前になります。マシン設定には、systemd 設定に以下の更新を含める必要があります。
ExecStart=/usr/local/bin/configure-ovs.sh OVNKubernetes
ノードが
NotReady
状態のままになっている場合、マシン設定デーモン Pod のログを調べ、エラーを解決します。Pod をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pod -n openshift-machine-config-operator
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE machine-config-controller-75f756f89d-sjp8b 1/1 Running 0 37m machine-config-daemon-5cf4b 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-7wzcd 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-fc946 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-g2v28 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-gcl4f 2/2 Running 0 43h machine-config-daemon-l5tnv 2/2 Running 0 43h machine-config-operator-79d9c55d5-hth92 1/1 Running 0 37m machine-config-server-bsc8h 1/1 Running 0 43h machine-config-server-hklrm 1/1 Running 0 43h machine-config-server-k9rtx 1/1 Running 0 43h
設定デーモン Pod の名前は以下の形式になります。
machine-config-daemon-<seq>
<seq>
値は、ランダムな 5 文字の英数字シーケンスになります。以下のコマンドを入力して、直前の出力に表示される最初のマシン設定デーモン Pod の Pod ログを表示します。
$ oc logs <pod> -n openshift-machine-config-operator
ここで、
pod
はマシン設定デーモン Pod の名前になります。- 直前のコマンドの出力で示されるログ内のエラーを解決します。
移行を開始するには、次のいずれかのコマンドを使用して OVN-Kubernetes ネットワークプラグインを設定します。
クラスターネットワークの IP アドレスブロックを変更せずにネットワークプロバイダーを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster \ --type='merge' --patch '{ "spec": { "networkType": "OVNKubernetes" } }'
別のクラスターネットワーク IP アドレスブロックを指定するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.config.openshift.io cluster \ --type='merge' --patch '{ "spec": { "clusterNetwork": [ { "cidr": "<cidr>", "hostPrefix": <prefix> } ], "networkType": "OVNKubernetes" } }'
ここで、
cidr
は CIDR ブロックであり、prefix
はクラスター内の各ノードに割り当てられる CIDR ブロックのスライスです。OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーはこのブロックを内部で使用するため、100.64.0.0/16
CIDR ブロックと重複する CIDR ブロックは使用できません。重要移行時に、サービスネットワークのアドレスブロックを変更することはできません。
Multus デーモンセットのロールアウトが完了したことを確認してから、後続の手順を続行します。
$ oc -n openshift-multus rollout status daemonset/multus
Multus Pod の名前の形式は
multus-<xxxxx>
です。ここで、<xxxxx>
は文字のランダムなシーケンスになります。Pod が再起動するまでにしばらく時間がかかる可能性があります。出力例
Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 1 out of 6 new pods have been updated... ... Waiting for daemon set "multus" rollout to finish: 5 of 6 updated pods are available... daemon set "multus" successfully rolled out
ネットワークプラグインの変更を完了するには、クラスター内の各ノードを再起動します。次のいずれかの方法で、クラスター内のノードを再起動できます。
重要次のスクリプトは、クラスター内のすべてのノードを同時に再起動します。これにより、クラスターが不安定になる可能性があります。もう 1 つのオプションとして、ノードを一度に 1 つずつ手動でリブートすることもできます。ノードを 1 つずつ再起動すると、多数のノードを持つクラスターではかなりのダウンタイムが発生します。
ノードを再起動するまで、クラスター Operator は正しく動作しません。
oc rsh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。#!/bin/bash readarray -t POD_NODES <<< "$(oc get pod -n openshift-machine-config-operator -o wide| grep daemon|awk '{print $1" "$7}')" for i in "${POD_NODES[@]}" do read -r POD NODE <<< "$i" until oc rsh -n openshift-machine-config-operator "$POD" chroot /rootfs shutdown -r +1 do echo "cannot reboot node $NODE, retry" && sleep 3 done done
ssh
コマンドでは、次のような bash スクリプトを使用できます。このスクリプトは、パスワードの入力を求めないように sudo が設定されていることを前提としています。#!/bin/bash for ip in $(oc get nodes -o jsonpath='{.items[*].status.addresses[?(@.type=="InternalIP")].address}') do echo "reboot node $ip" ssh -o StrictHostKeyChecking=no core@$ip sudo shutdown -r -t 3 done
移行が正常に完了したことを確認します。
ネットワークプラグインが OVN-Kubernetes であることを確認するには、次のコマンドを入力します。
status.networkType
の値はOVNKubernetes
である必要があります。$ oc get network.config/cluster -o jsonpath='{.status.networkType}{"\n"}'
クラスターノードが
Ready
状態にあることを確認するには、以下のコマンドを実行します。$ oc get nodes
Pod がエラー状態ではないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get pods --all-namespaces -o wide --sort-by='{.spec.nodeName}'
ノードの Pod がエラー状態にある場合は、そのノードを再起動します。
すべてのクラスター Operator が異常な状態にないことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get co
すべてのクラスター Operator のステータスは、
AVAILABLE="True"
、PROGRESSING="False"
、DEGRADED="False"
になります。クラスター Operator が利用できないか、そのパフォーマンスが低下する場合には、クラスター Operator のログで詳細を確認します。
以下の手順は、移行に成功し、クラスターの状態が正常である場合にのみ実行します。
CNO 設定オブジェクトから移行設定を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "migration": null } }'
OpenShift SDN ネットワークプロバイダーのカスタム設定を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc patch Network.operator.openshift.io cluster --type='merge' \ --patch '{ "spec": { "defaultNetwork": { "openshiftSDNConfig": null } } }'
OpenShift SDN ネットワークプロバイダー namespace を削除するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc delete namespace openshift-sdn
次のステップ
- オプション:クラスターの移行後に、IPv4 のシングルスタッククラスターを、IPv4 および IPv6 アドレスファミリーをサポートするデュアルネットワーククラスターネットワークに変換できます。詳細は、IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワークへの変換 を参照してください。
25.4. プロジェクトの Egress IP の設定
クラスター管理者は、OpenShift SDN の Container Network Interface (CNI) ネットワークプラグインが 1 つ以上の egress IP アドレスをプロジェクトに割り当てるように設定できます。
25.4.1. Egress IP アドレスアーキテクチャーの設計および実装
OpenShift Container Platform の Egress IP アドレス機能を使用すると、1 つ以上の namespace の 1 つ以上の Pod からのトラフィックに、クラスターネットワーク外のサービスに対する一貫したソース IP アドレスを持たせることができます。
たとえば、クラスター外のサーバーでホストされるデータベースを定期的にクエリーする Pod がある場合があります。サーバーにアクセス要件を適用するために、パケットフィルタリングデバイスは、特定の IP アドレスからのトラフィックのみを許可するよう設定されます。この特定の Pod のみからサーバーに確実にアクセスできるようにするには、サーバーに要求を行う Pod に特定の Egress IP アドレスを設定できます。
namespace に割り当てられた Egress IP アドレスは、特定の宛先にトラフィックを送信するために使用されるスロールーターとは異なります。
一部のクラスター設定では、アプリケーション Pod と Ingress ルーター Pod が同じノードで実行されます。このシナリオでアプリケーションプロジェクトの Egress IP アドレスを設定する場合、アプリケーションプロジェクトからルートに要求を送信するときに IP アドレスは使用されません。
Egress IP アドレスは、ノードのプライマリーネットワークインターフェイスの追加 IP アドレスとして実装され、ノードのプライマリー IP アドレスと同じサブネットにある必要があります。追加の IP アドレスは、クラスター内の他のノードには割り当てないでください。
Egress IP アドレスは、ifcfg-eth0
などのように Linux ネットワーク設定ファイルで設定することはできません。
25.4.1.1. プラットフォームサポート
各種のプラットフォームでの Egress IP アドレス機能のサポートについては、以下の表で説明されています。
プラットフォーム | サポート対象 |
---|---|
ベアメタル | はい |
VMware vSphere | はい |
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) | はい |
Amazon Web Services (AWS) | はい |
Google Cloud Platform (GCP) | はい |
Microsoft Azure | はい |
IBM Z® および IBM® LinuxONE | はい |
IBM Z® および IBM® LinuxONE for Red Hat Enterprise Linux (RHEL) KVM | はい |
IBM Power® | はい |
Nutanix | はい |
EgressIP 機能を持つコントロールプレーンノードへの Egress IP アドレスの割り当ては、Amazon Web Services (AWS) でプロビジョニングされるクラスターではサポートされません。(BZ#2039656)。
25.4.1.2. パブリッククラウドプラットフォームに関する考慮事項
パブリッククラウドインフラストラクチャーでプロビジョニングされたクラスターの場合は、ノードごとに割り当て可能な IP アドレスの絶対数に制約があります。ノードごとに割り当て可能な IP アドレスの最大数、つまりIP 容量は、次の式で表すことができます。
IP capacity = public cloud default capacity - sum(current IP assignments)
Egress IP 機能はノードごとの IP アドレス容量を管理しますが、デプロイメントでこの制約を計画することが重要です。たとえば、8 ノードのベアメタルインフラストラクチャーにインストールされたクラスターの場合は、150 の Egress IP アドレスを設定できます。ただし、パブリッククラウドプロバイダーが IP アドレスの容量をノードあたり 10 IP アドレスに制限している場合、割り当て可能な IP アドレスの総数はわずか 80 です。この例のクラウドプロバイダーで同じ IP アドレス容量を実現するには、7 つの追加ノードを割り当てる必要があります。
パブリッククラウド環境内の任意のノードの IP 容量とサブネットを確認するには、oc get node <node_name> -o yaml
コマンドを入力します。cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションには、ノードの容量とサブネット情報が含まれています。
アノテーション値は、プライマリーネットワークインターフェイスに次の情報を提供するフィールドを持つ単一のオブジェクトを持つ配列です。
-
interface
: AWS と Azure のインターフェイス ID と GCP のインターフェイス名を指定します。 -
ifaddr
: 一方または両方の IP アドレスファミリーのサブネットマスクを指定します。 -
capacity
: ノードの IP アドレス容量を指定します。AWS では、IP アドレス容量は IP アドレスファミリーごとに提供されます。Azure と GCP では、IP アドレスの容量には IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方が含まれます。
ノード間のトラフィックの送信 IP アドレスの自動アタッチおよびデタッチが可能です。これにより、namespace 内の多くの Pod からのトラフィックが、クラスター外の場所への一貫した送信元 IP アドレスを持つことができます。これは、OpenShift Container Platform 4.14 の Red Hat OpenShift Networking のデフォルトのネットワーキングプラグインである OpenShift SDN および OVN-Kubernetes もサポートします。
RHOSP Egress IP アドレス機能は、egressip-<IP address>
と呼ばれる Neutron 予約ポートを作成します。OpenShift Container Platform クラスターのインストールに使用したものと同じ RHOSP ユーザーを使用して、Floating IP アドレスをこの予約ポートに割り当て、Egress トラフィック用の予測可能な SNAT アドレスを指定できます。RHOSP ネットワーク上の Egress IP アドレスが、ノードのフェイルオーバーなどのためにあるノードから別のノードに移動されると、Neutron 予約ポートが削除され、再作成されます。これは、フローティング IP の関連付けが失われ、フローティング IP アドレスを新しい予約ポートに手動で再割り当てする必要があることを意味します。
RHOSP クラスター管理者が Floating IP を予約ポートに割り当てると、OpenShift Container Platform は予約ポートを削除できません。RHOSP クラスター管理者が予約ポートから Floating IP の割り当てを解除するまで、CloudPrivateIPConfig
オブジェクトは削除および移動操作を実行できません。
次の例は、いくつかのパブリッククラウドプロバイダーのノードからのアノテーションを示しています。アノテーションは、読みやすくするためにインデントされています。
AWS での cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションの例
cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig: [ { "interface":"eni-078d267045138e436", "ifaddr":{"ipv4":"10.0.128.0/18"}, "capacity":{"ipv4":14,"ipv6":15} } ]
GCP での cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig
アノテーションの例
cloud.network.openshift.io/egress-ipconfig: [ { "interface":"nic0", "ifaddr":{"ipv4":"10.0.128.0/18"}, "capacity":{"ip":14} } ]
次のセクションでは、容量計算で使用するためにサポートされているパブリッククラウド環境の IP アドレス容量を説明します。
25.4.1.2.1. Amazon Web Services (AWS) の IP アドレス容量の制限
AWS では、IP アドレスの割り当てに関する制約は、設定されているインスタンスタイプによって異なります。詳細は、IP addresses per network interface per instance type を参照してください。
25.4.1.2.2. Google Cloud Platform (GCP) の IP アドレス容量の制限
GCP では、ネットワークモデルは、IP アドレスの割り当てではなく、IP アドレスのエイリアス作成を介して追加のノード IP アドレスを実装します。ただし、IP アドレス容量は IP エイリアス容量に直接マッピングされます。
IP エイリアスの割り当てには、次の容量制限があります。
- ノードごとに、IPv4 と IPv6 の両方の IP エイリアスの最大数は 100 です。
- VPC ごとに、IP エイリアスの最大数は指定されていませんが、OpenShift Container Platform のスケーラビリティーテストでは、最大数が約 15,000 であることが明らかになっています。
詳細は、インスタンスごとのクォータとエイリアス IP 範囲の概要を参照してください。
25.4.1.2.3. Microsoft Azure IP アドレスの容量制限
Azure では、IP アドレスの割り当てに次の容量制限があります。
- NIC ごとに、IPv4 と IPv6 の両方で割り当て可能な IP アドレスの最大数は 256 です。
- 仮想ネットワークごとに、割り当てられる IP アドレスの最大数は 65,536 を超えることはできません。
詳細は、ネットワークの制限を参照してください。
25.4.1.3. 制限事項
OpenShift SDN ネットワークプラグインで egress IP アドレスを使用する場合、次の制限が適用されます。
- 手動で割り当てられた Egress IP アドレスと、自動的に割り当てられた Egress IP アドレスは同じノードで使用することができません。
- IP アドレス範囲から Egress IP アドレスを手動で割り当てる場合、その範囲を自動の IP 割り当てで利用可能にすることはできません。
- OpenShift SDN Egress IP アドレス実装を使用して、複数の namespace で Egress IP アドレスを共有することはできません。
複数の namespace 間で IP アドレスを共有する必要がある場合は、OVN-Kubernetes ネットワークプラグインの Egress IP アドレスの実装により、複数の namespace で IP アドレスを共有できます。
OpenShift SDN をマルチテナントモードで使用する場合、それらに関連付けられたプロジェクトによって別の namespace に参加している namespace と共に Egress IP アドレスを使用することはできません。たとえば、project1
および project2
に oc adm pod-network join-projects --to=project1 project2
コマンドを実行して参加している場合、どちらもプロジェクトも Egress IP アドレスを使用できません。詳細は、BZ#1645577 を参照してください。
25.4.1.4. IP アドレス割り当てアプローチ
Egress IP アドレスは、NetNamespace
オブジェクトの egressIPs
パラメーターを設定して namespace に割り当てることができます。Egress IP アドレスがプロジェクトに関連付けられた後に、OpenShift SDN は 2 つの方法で Egress IP アドレスをホストに割り当てることを可能にします。
- 自動的に割り当てる 方法では、Egress IP アドレス範囲はノードに割り当てられます。
- 手動で割り当てる 方法では、1 つ以上の Egress IP アドレスのリストがノードに割り当てられます。
Egress IP アドレスを要求する namespace は、それらの Egress IP アドレスをホストできるノードに一致し、Egress IP アドレスはそれらのノードに割り当てられます。egressIPs
パラメーターが NetNamespace
オブジェクトに設定されるものの、ノードがその Egress IP アドレスをホストしない場合、namespace からの Egress トラフィックはドロップされます。
ノードの高可用性は自動的に実行されます。Egress IP アドレスをホストするノードが到達不可能であり、Egress IP アドレスをホストできるノードがある場合、Egress IP アドレスは新規ノードに移行します。到達不可能なノードが再びオンラインに戻ると、ノード間で Egress IP アドレスのバランスを図るために Egress IP アドレスは自動的に移行します。
25.4.1.4.1. 自動的に割り当てられた Egress IP アドレスを使用する場合の考慮事項
Egress IP アドレスの自動割り当て方法を使用する場合、以下の考慮事項が適用されます。
-
各ノードの
HostSubnet
リソースのegressCIDRs
パラメーターを設定して、ノードでホストできる Egress IP アドレスの範囲を指定します。OpenShift Container Platform は、指定する IP アドレス範囲に基づいてHostSubnet
リソースのegressIPs
パラメーターを設定します。
namespace の Egress IP アドレスをホストするノードに到達できない場合、OpenShift Container Platform は互換性のある Egress IP アドレス範囲を持つ別のノードに Egress IP アドレスを再割り当てします。自動割り当て方法は、追加の IP アドレスをノードに関連付ける柔軟性のある環境にインストールされたクラスターに最も適しています。
25.4.1.4.2. 手動で割り当てられた Egress IP アドレスを使用する場合の考慮事項
このアプローチにより、Egress IP アドレスをホストできるノードを制御できます。
クラスターがパブリッククラウドインフラストラクチャーにインストールされている場合は、Egress IP アドレスを割り当てる各ノードに、IP アドレスをホストするための十分な予備容量があることを確認する必要があります。詳細は、前のセクションの「プラットフォームに関する考慮事項」を参照してください。
Egress IP アドレスに手動割り当て方法を使用する場合、以下の考慮事項が適用されます。
-
各ノードの
HostSubnet
リソースのegressIPs
パラメーターを設定して、ノードでホストできる IP アドレスを指定します。 - namespace ごとに複数の Egress IP アドレスがサポートされます。
namespace に複数の Egress IP アドレスがあり、それらのアドレスが複数のノードでホストされる場合、以下の追加の考慮事項が適用されます。
- Pod が Egress IP アドレスをホストするノード上にある場合、その Pod はノード上の Egress IP アドレスを常に使用します。
- Pod が Egress IP アドレスをホストするノードにない場合、その Pod はランダムで Egress IP アドレスを使用します。
25.4.2. namespace の自動的に割り当てられた Egress IP アドレスの有効化
OpenShift Container Platform では、1 つ以上のノードで特定の namespace の Egress IP アドレスの自動的な割り当てを有効にできます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
以下の JSON を使用して、
NetNamespace
オブジェクトを Egress IP アドレスで更新します。$ oc patch netnamespace <project_name> --type=merge -p \ '{ "egressIPs": [ "<ip_address>" ] }'
ここでは、以下のようになります。
<project_name>
- プロジェクトの名前を指定します。
<ip_address>
-
egressIPs
配列の 1 つ以上の Egress IP アドレスを指定します。
たとえば、
project1
を IP アドレスの 192.168.1.100 に、project2
を IP アドレスの 192.168.1.101 に割り当てるには、以下を実行します。$ oc patch netnamespace project1 --type=merge -p \ '{"egressIPs": ["192.168.1.100"]}' $ oc patch netnamespace project2 --type=merge -p \ '{"egressIPs": ["192.168.1.101"]}'
注記OpenShift SDN は
NetNamespace
オブジェクトを管理するため、既存のNetNamespace
オブジェクトを変更することによってのみ変更を加えることができます。新規NetNamespace
オブジェクトは作成しません。以下の JSON を使用して、各ホストの
egressCIDRs
パラメーターを設定して Egress IP アドレスをホストできるノードを示します。$ oc patch hostsubnet <node_name> --type=merge -p \ '{ "egressCIDRs": [ "<ip_address_range>", "<ip_address_range>" ] }'
ここでは、以下のようになります。
<node_name>
- ノード名を指定します。
<ip_address_range>
-
CIDR 形式の IP アドレス範囲を指定します。
egressCIDRs
配列に複数のアドレス範囲を指定できます。
たとえば、
node1
およびnode2
を、192.168.1.0 から 192.168.1.255 の範囲で Egress IP アドレスをホストするように設定するには、以下を実行します。$ oc patch hostsubnet node1 --type=merge -p \ '{"egressCIDRs": ["192.168.1.0/24"]}' $ oc patch hostsubnet node2 --type=merge -p \ '{"egressCIDRs": ["192.168.1.0/24"]}'
OpenShift Container Platform はバランスを取りながら特定の Egress IP アドレスを利用可能なノードに自動的に割り当てます。この場合、Egress IP アドレス 192.168.1.100 を
node1
に、Egress IP アドレス 192.168.1.101 をnode2
に割り当て、その逆も行います。
25.4.3. namespace の手動で割り当てられた Egress IP アドレスの設定
OpenShift Container Platform で、1 つ以上の Egress IP アドレスを namespace に関連付けることができます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
以下の JSON オブジェクトを必要な IP アドレスで指定して、
NetNamespace
オブジェクトを更新します。$ oc patch netnamespace <project_name> --type=merge -p \ '{ "egressIPs": [ "<ip_address>" ] }'
ここでは、以下のようになります。
<project_name>
- プロジェクトの名前を指定します。
<ip_address>
-
egressIPs
配列の 1 つ以上の Egress IP アドレスを指定します。
たとえば、
project1
プロジェクトを IP アドレス192.168.1.100
および192.168.1.101
に割り当てるには、以下を実行します。$ oc patch netnamespace project1 --type=merge \ -p '{"egressIPs": ["192.168.1.100","192.168.1.101"]}'
高可用性を提供するには、
egressIPs
の値を異なるノードの 2 つ以上の IP アドレスに設定します。複数の Egress IP アドレスが設定されている場合、Pod はすべての Egress IP アドレスをほぼ均等に使用します。注記OpenShift SDN は
NetNamespace
オブジェクトを管理するため、既存のNetNamespace
オブジェクトを変更することによってのみ変更を加えることができます。新規NetNamespace
オブジェクトは作成しません。Egress IP アドレスをノードホストに手動で割り当てます。
クラスターがパブリッククラウドインフラストラクチャーにインストールされている場合は、ノードに使用可能な IP アドレス容量があることを確認する必要があります。
egressIPs
パラメーターを、ノードホストのHostSubnet
オブジェクトに設定します。以下の JSON を使用して、そのノードホストに割り当てる必要のある任意の数の IP アドレスを含めることができます。$ oc patch hostsubnet <node_name> --type=merge -p \ '{ "egressIPs": [ "<ip_address>", "<ip_address>" ] }'
ここでは、以下のようになります。
<node_name>
- ノード名を指定します。
<ip_address>
-
IP アドレスを指定します。
egressIPs
配列に複数の IP アドレスを指定できます。
たとえば、
node1
に Egress IP192.168.1.100
、192.168.1.101
、および192.168.1.102
が設定されるように指定するには、以下を実行します。$ oc patch hostsubnet node1 --type=merge -p \ '{"egressIPs": ["192.168.1.100", "192.168.1.101", "192.168.1.102"]}'
直前の例では、
project1
のすべての Egress トラフィックは、指定された Egress IP をホストするノードにルーティングされてから、その IP アドレスに Network Address Translation (NAT) を使用して接続されます。
25.4.4. 関連情報
- 手動の Egress IP アドレス割り当てを設定している場合は、IP 容量計画の情報について、プラットフォームの考慮事項を参照してください。
25.5. プロジェクトの Egress ファイアウォールの設定
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform クラスター外に出るプロジェクトのプロジェクについて、Egress トラフィックを制限する Egress ファイアウォールを作成できます。
25.5.1. Egress ファイアウォールのプロジェクトでの機能
クラスター管理者は、Egress ファイアウォール を使用して、一部またはすべての Pod がクラスター内からアクセスできる外部ホストを制限できます。Egress ファイアウォールポリシーは以下のシナリオをサポートします。
- Pod の接続を内部ホストに制限し、パブリックインターネットへの接続を開始できないようにする。
- Pod の接続をパブリックインターネットに制限し、OpenShift Container Platform クラスター外にある内部ホストへの接続を開始できないようにする。
- Pod は OpenShift Container Platform クラスター外の指定された内部サブネットまたはホストにアクセスできません。
- Pod は特定の外部ホストにのみ接続することができます。
たとえば、指定された IP 範囲へのあるプロジェクトへのアクセスを許可する一方で、別のプロジェクトへの同じアクセスを拒否することができます。または、アプリケーション開発者の (Python) pip mirror からの更新を制限したり、更新を承認されたソースからの更新のみに強制的に制限したりすることができます。
Egress ファイアウォールは、ホストネットワークの namespace には適用されません。ホストネットワークが有効になっている Pod は、Egress ファイアウォールルールの影響を受けません。
EgressNetworkPolicy カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成して Egress ファイアウォールポリシーを設定します。Egress ファイアウォールは、以下のいずれかの基準を満たすネットワークトラフィックと一致します。
- CIDR 形式の IP アドレス範囲。
- IP アドレスに解決する DNS 名
Egress ファイアウォールに 0.0.0.0/0
の拒否ルールが含まれる場合、OpenShift Container Platform API サーバーへのアクセスはブロックされます。API サーバーに接続するには、IP アドレスごとに許可ルールを追加するか、Egress ポリシールールで nodeSelector
タイプの許可ルールを使用する必要があります。
次の例は、API サーバーへのアクセスを確保するために必要な Egress ファイアウォールルールの順序を示しています。
apiVersion: network.openshift.io/v1 kind: EgressNetworkPolicy metadata: name: default namespace: <namespace> 1 spec: egress: - to: cidrSelector: <api_server_address_range> 2 type: Allow # ... - to: cidrSelector: 0.0.0.0/0 3 type: Deny
API サーバーの IP アドレスを見つけるには、oc get ep kubernetes -n default
を実行します。
詳細は、BZ#1988324 を参照してください。
Egress ファイアウォールを設定するには、ネットワークポリシーまたはマルチテナントモードのいずれかを使用するように OpenShift SDN を設定する必要があります。
ネットワークポリシーモードを使用している場合、Egress ファイアウォールは namespace ごとに 1 つのポリシーとのみ互換性を持ち、グローバルプロジェクトなどのネットワークを共有するプロジェクトでは機能しません。
Egress ファイアウォールルールは、ルーターを通過するトラフィックには適用されません。ルート CR オブジェクトを作成するパーミッションを持つユーザーは、禁止されている宛先を参照するルートを作成することにより、Egress ファイアウォールポリシールールをバイパスできます。
25.5.1.1. Egress ファイアウォールの制限
Egress ファイアウォールには以下の制限があります。
いずれのプロジェクトも複数の EgressNetworkPolicy オブジェクトを持つことができません。
重要複数の EgressNetworkPolicy オブジェクトの作成は可能ですが、作成するべきではありません。複数の EgressNetworkPolicy オブジェクトを作成すると、
dropping all rules
というメッセージが返されます。実際には、すべての外部トラフィックがドロップされるため、組織にセキュリティーリスクが生じる可能性があります。- 最大 1,000 のルールを持つ最大 1 つの EgressNetworkPolicy オブジェクトはプロジェクトごとに定義できます。
-
default
プロジェクトは Egress ファイアウォールを使用できません。 マルチテナントモードで OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用する場合、以下の制限が適用されます。
-
グローバルプロジェクトは Egress ファイアウォールを使用できません。
oc adm pod-network make-projects-global
コマンドを使用して、プロジェクトをグローバルにすることができます。 -
oc adm pod-network join-projects
コマンドを使用してマージされるプロジェクトでは、結合されたプロジェクトのいずれでも Egress ファイアウォールを使用することはできません。
-
グローバルプロジェクトは Egress ファイアウォールを使用できません。
-
セレクターレスサービスを作成し、外部 IP を参照するエンドポイントまたは
EndpointSlices
を手動で定義すると、EgressNetworkPolicy
がすべての Egress トラフィックを拒否するように設定されている場合でも、サービス IP へのトラフィックが引き続き許可される可能性があります。これは、OpenShift SDN がこのような外部エンドポイントに対して Egress ネットワークポリシーを完全に適用していないために発生します。その結果、外部サービスへの予期しないアクセスが発生する可能性があります。
これらの制限のいずれかに違反すると、プロジェクトの Egress ファイアウォールが壊れます。その結果、すべての外部ネットワークトラフィックがドロップされ、組織にセキュリティーリスクが生じる可能性があります。
Egress ファイアウォールリソースは、kube-node-lease
、kube-public
、kube-system
、openshift
、openshift-
プロジェクトで作成できます。
25.5.1.2. Egress ポリシールールのマッチング順序
Egress ファイアウォールポリシールールは、最初から最後へと定義された順序で評価されます。Pod からの Egress 接続に一致する最初のルールが適用されます。この接続では、後続のルールは無視されます。
25.5.1.3. DNS (Domain Name Server) 解決の仕組み
Egress ファイアウォールポリシールールのいずれかで DNS 名を使用する場合、ドメイン名の適切な解決には、以下の制限が適用されます。
- ドメイン名の更新は、Time-to-Live (TTL) 期間に基づいてポーリングされます。デフォルトの期間は 30 秒です。Egress ファイアウォールコントローラーがローカルネームサーバーでドメイン名をクエリーする場合に、応答に 30 秒未満の TTL が含まれる場合は、コントローラーはその期間を返される値に設定します。応答の TTL が 30 分を超える場合、コントローラーは期間を 30 分に設定します。TTL が 30 秒から 30 分の間に設定される場合、コントローラーは値を無視し、期間を 30 秒に設定します。
- Pod は、必要に応じて同じローカルネームサーバーからドメインを解決する必要があります。そうしない場合、Egress ファイアウォールコントローラーと Pod によって認識されるドメインの IP アドレスが異なる可能性があります。ホスト名の IP アドレスが異なる場合、Egress ファイアウォールは一貫して実行されないことがあります。
- Egress ファイアウォールコントローラーおよび Pod は同じローカルネームサーバーを非同期にポーリングするため、Pod は Egress コントローラーが実行する前に更新された IP アドレスを取得する可能性があります。これにより、競合状態が生じます。この現時点の制限により、EgressNetworkPolicy オブジェクトのドメイン名の使用は、IP アドレスの変更が頻繁に生じないドメインの場合にのみ推奨されます。
Egress ファイアウォールポリシーで DNS 名を使用しても、CoreDNS を介したローカル DNS 解決には影響しません。
ただし、Egress ファイアウォールポリシーでドメイン名を使用し、外部 DNS サーバーで関連する Pod の DNS 解決を処理する場合は、DNS サーバーの IP アドレスへのアクセスを許可する Egress ファイアウォールルールを含める必要があります。
25.5.2. EgressNetworkPolicy カスタムリソース (CR) オブジェクト
Egress ファイアウォールのルールを 1 つ以上定義できます。ルールは、ルールが適用されるトラフィックを指定して Allow
ルールまたは Deny
ルールのいずれかになります。
以下の YAML は EgressNetworkPolicy CR オブジェクトを説明しています。
EgressNetworkPolicy オブジェクト
apiVersion: network.openshift.io/v1 kind: EgressNetworkPolicy metadata: name: <name> 1 spec: egress: 2 ...
25.5.2.1. EgressNetworkPolicy ルール
以下の YAML は Egress ファイアウォールルールオブジェクトを説明しています。ユーザーは、CIDR 形式の IP アドレス範囲またはドメイン名を選択するか、nodeSelector
を使用して、送信トラフィックを許可または拒否できます。egress
スタンザは、単一または複数のオブジェクトの配列を予想します。
Egress ポリシールールのスタンザ
egress: - type: <type> 1 to: 2 cidrSelector: <cidr> 3 dnsName: <dns_name> 4
25.5.2.2. EgressNetworkPolicy CR オブジェクトの例
以下の例では、複数の Egress ファイアウォールポリシールールを定義します。
apiVersion: network.openshift.io/v1
kind: EgressNetworkPolicy
metadata:
name: default
spec:
egress: 1
- type: Allow
to:
cidrSelector: 1.2.3.0/24
- type: Allow
to:
dnsName: www.example.com
- type: Deny
to:
cidrSelector: 0.0.0.0/0
- 1
- Egress ファイアウォールポリシールールオブジェクトのコレクション。
25.5.3. Egress ファイアウォールポリシーオブジェクトの作成
クラスター管理者は、プロジェクトの Egress ファイアウォールポリシーオブジェクトを作成できます。
プロジェクトに EgressNetworkPolicy オブジェクトがすでに定義されている場合、既存のポリシーを編集して Egress ファイアウォールルールを変更する必要があります。
前提条件
- OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
ポリシールールを作成します。
-
<policy_name>.yaml
ファイルを作成します。この場合、<policy_name>
は Egress ポリシールールを記述します。 - 作成したファイルで、Egress ポリシーオブジェクトを定義します。
-
以下のコマンドを入力してポリシーオブジェクトを作成します。
<policy_name>
をポリシーの名前に、<project>
をルールが適用されるプロジェクトに置き換えます。$ oc create -f <policy_name>.yaml -n <project>
以下の例では、新規の EgressNetworkPolicy オブジェクトが
project1
という名前のプロジェクトに作成されます。$ oc create -f default.yaml -n project1
出力例
egressnetworkpolicy.network.openshift.io/v1 created
-
オプション: 後に変更できるように
<policy_name>.yaml
ファイルを保存します。
25.6. プロジェクトの Egress ファイアウォールの編集
クラスター管理者は、既存の Egress ファイアウォールのネットワークトラフィックルールを変更できます。
25.6.1. EgressNetworkPolicy オブジェクトの表示
クラスターで EgressNetworkPolicy オブジェクトを表示できます。
前提条件
- OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
oc
として知られる OpenShift コマンドラインインターフェイス (CLI) のインストール。 - クラスターにログインすること。
手順
オプション: クラスターで定義された EgressNetworkPolicy オブジェクトの名前を表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get egressnetworkpolicy --all-namespaces
ポリシーを検査するには、以下のコマンドを入力します。
<policy_name>
を検査するポリシーの名前に置き換えます。$ oc describe egressnetworkpolicy <policy_name>
出力例
Name: default Namespace: project1 Created: 20 minutes ago Labels: <none> Annotations: <none> Rule: Allow to 1.2.3.0/24 Rule: Allow to www.example.com Rule: Deny to 0.0.0.0/0
25.7. プロジェクトの Egress ファイアウォールの編集
クラスター管理者は、既存の Egress ファイアウォールのネットワークトラフィックルールを変更できます。
25.7.1. EgressNetworkPolicy オブジェクトの編集
クラスター管理者は、プロジェクトの Egress ファイアウォールを更新できます。
前提条件
- OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
プロジェクトの EgressNetworkPolicy オブジェクトの名前を検索します。
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。$ oc get -n <project> egressnetworkpolicy
オプション: Egress ネットワークファイアウォールの作成時に EgressNetworkPolicy オブジェクトのコピーを保存しなかった場合には、以下のコマンドを入力してコピーを作成します。
$ oc get -n <project> egressnetworkpolicy <name> -o yaml > <filename>.yaml
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。<name>
をオブジェクトの名前に置き換えます。<filename>
をファイルの名前に置き換え、YAML を保存します。ポリシールールに変更を加えたら、以下のコマンドを実行して EgressNetworkPolicy オブジェクトを置き換えます。
<filename>
を、更新された EgressNetworkPolicy オブジェクトを含むファイルの名前に置き換えます。$ oc replace -f <filename>.yaml
25.8. プロジェクトからの Egress ファイアウォールの削除
クラスター管理者は、プロジェクトから Egress ファイアウォールを削除して、OpenShift Container Platform クラスター外に出るプロジェクトからネットワークトラフィックに対するすべての制限を削除できます。
25.8.1. EgressNetworkPolicy オブジェクトの削除
クラスター管理者は、プロジェクトから Egress ファイアウォールを削除できます。
前提条件
- OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用するクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - クラスター管理者としてクラスターにログインする必要があります。
手順
プロジェクトの EgressNetworkPolicy オブジェクトの名前を検索します。
<project>
をプロジェクトの名前に置き換えます。$ oc get -n <project> egressnetworkpolicy
以下のコマンドを入力し、EgressNetworkPolicy オブジェクトを削除します。
<project>
をプロジェクトの名前に、<name>
をオブジェクトの名前に置き換えます。$ oc delete -n <project> egressnetworkpolicy <name>
25.9. Egress ルーター Pod の使用に関する考慮事項
25.9.1. Egress ルーター Pod について
OpenShift Container Platform Egress ルーター Pod は、他の用途で使用されていないプライベートソース IP アドレスから指定されたリモートサーバーにトラフィックをリダイレクトします。Egress ルーター Pod により、特定の IP アドレスからのアクセスのみを許可するように設定されたサーバーにネットワークトラフィックを送信できます。
Egress ルーター Pod はすべての発信接続のために使用されることが意図されていません。多数の Egress ルーター Pod を作成することで、ネットワークハードウェアの制限を引き上げられる可能性があります。たとえば、すべてのプロジェクトまたはアプリケーションに Egress ルーター Pod を作成すると、ソフトウェアの MAC アドレスのフィルターに戻る前にネットワークインターフェイスが処理できるローカル MAC アドレス数の上限を超えてしまう可能性があります。
Egress ルーターイメージには Amazon AWS, Azure Cloud またはレイヤー 2 操作をサポートしないその他のクラウドプラットフォームとの互換性がありません。 それらに macvlan トラフィックとの互換性がないためです。
25.9.1.1. Egress ルーターモード
リダイレクトモード では、Egress ルーター Pod は、トラフィックを独自の IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスにリダイレクトするために iptables
ルールをセットアップします。予約された送信元 IP アドレスを使用する必要があるクライアント Pod は、宛先 IP に直接接続するのではなく、スロールーターのサービスにアクセスするように設定する必要があります。curl
コマンドを使用して、アプリケーション Pod から宛先サービスとポートにアクセスできます。以下に例を示します。
$ curl <router_service_IP> <port>
HTTP プロキシーモードでは、Egress ルーター Pod はポート 8080
で HTTP プロキシーとして実行されます。このモードは、HTTP または HTTPS ベースのサービスと通信するクライアントの場合にのみ機能しますが、通常それらを機能させるのにクライアント Pod への多くの変更は不要です。環境変数を設定することで、数多くのプログラムは HTTP プロキシーを使用するように指示されます。
DNS プロキシーモードでは、Egress ルーター Pod は、トラフィックを独自の IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスに送信する TCP ベースのサービスの DNS プロキシーとして実行されます。予約された送信元 IP アドレスを使用するには、クライアント Pod は、宛先 IP アドレスに直接接続するのでなく、Egress ルーター Pod に接続するように変更される必要があります。この修正により、外部の宛先でトラフィックが既知のソースから送信されているかのように処理されます。
リダイレクトモードは、HTTP および HTTPS 以外のすべてのサービスで機能します。HTTP および HTTPS サービスの場合は、HTTP プロキシーモードを使用します。IP アドレスまたはドメイン名を持つ TCP ベースのサービスの場合は、DNS プロキシーモードを使用します。
25.9.1.2. Egress ルーター Pod の実装
Egress ルーター Pod の設定は、初期化コンテナーで実行されます。このコンテナーは特権付きコンテキストで実行され、macvlan インターフェイスを設定して iptables
ルールを設定できます。初期化コンテナーが iptables
ルールの設定を終了すると、終了します。次に、Egress ルーター Pod はコンテナーを実行して Egress ルーターのトラフィックを処理します。使用されるイメージは、Egress ルーターモードによって異なります。
環境変数は、egress-router イメージが使用するアドレスを判別します。イメージは macvlan インターフェイスを、EGRESS_SOURCE
をその IP アドレスとして使用し、EGRESS_GATEWAY
をゲートウェイの IP アドレスとして使用するように設定します。
ネットワークアドレス変換 (NAT) ルールは、TCP ポートまたは UDP ポート上の Pod のクラスター IP アドレスへの接続が EGRESS_DESTINATION
変数で指定される IP アドレスの同じポートにリダイレクトされるように設定されます。
クラスター内の一部のノードのみが指定された送信元 IP アドレスを要求でき、指定されたゲートウェイを使用できる場合、受け入れ可能なノードを示す nodeName
または nodeSelector
を指定することができます。
25.9.1.3. デプロイメントに関する考慮事項
Egress ルーター Pod は追加の IP アドレスおよび MAC アドレスをノードのプライマリーネットワークインターフェイスに追加します。その結果、ハイパーバイザーまたはクラウドプロバイダーを、追加のアドレスを許可するように設定する必要がある場合があります。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)
OpenShift Container Platform を RHOSP にデプロイする場合、OpenStack 環境の Egress ルーター Pod の IP および MAC アドレスからのトラフィックを許可する必要があります。トラフィックを許可しないと、通信は失敗 します。
$ openstack port set --allowed-address \ ip_address=<ip_address>,mac_address=<mac_address> <neutron_port_uuid>
- VMware vSphere
- VMware vSphere を使用している場合は、vSphere 標準スイッチのセキュリティー保護に関する VMware ドキュメント を参照してください。vSphere Web クライアントからホストの仮想スイッチを選択して、VMware vSphere デフォルト設定を表示し、変更します。
とくに、以下が有効にされていることを確認します。
25.9.1.4. フェイルオーバー設定
ダウンタイムを回避するには、以下の例のように Deployment
リソースで Egress ルーター Pod をデプロイできます。サンプルのデプロイメント用に新規 Service
オブジェクトを作成するには、oc expose deployment/egress-demo-controller
コマンドを使用します。
apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: egress-demo-controller spec: replicas: 1 1 selector: matchLabels: name: egress-router template: metadata: name: egress-router labels: name: egress-router annotations: pod.network.openshift.io/assign-macvlan: "true" spec: 2 initContainers: ... containers: ...
25.9.2. 関連情報
25.10. リダイレクトモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
クラスター管理者は、トラフィックを指定された宛先 IP アドレスにリダイレクトするように設定された Egress ルーター Pod をデプロイできます。
25.10.1. リダイレクトモードの Egress ルーター Pod 仕様
Pod
オブジェクトで Egress ルーター Pod の設定を定義します。以下の YAML は、リダイレクトモードでの Egress ルーター Pod の設定のフィールドを説明しています。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: egress-1 labels: name: egress-1 annotations: pod.network.openshift.io/assign-macvlan: "true" 1 spec: initContainers: - name: egress-router image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-router securityContext: privileged: true env: - name: EGRESS_SOURCE 2 value: <egress_router> - name: EGRESS_GATEWAY 3 value: <egress_gateway> - name: EGRESS_DESTINATION 4 value: <egress_destination> - name: EGRESS_ROUTER_MODE value: init containers: - name: egress-router-wait image: registry.redhat.io/openshift4/ose-pod
- 1
- このアノテーションは、OpenShift Container Platform に対して、プライマリーネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) に macvlan ネットワークインターフェイスを作成し、その macvlan インターフェイスを Pod ネットワークの namespace に移動するよう指示します。引用符を
"true"
値の周囲に含める必要があります。OpenShift Container Platform が別の NIC インターフェイスに macvlan インターフェイスを作成するには、アノテーションの値をそのインターフェイスの名前に設定します。たとえば、eth1
を使用します。 - 2
- ノードが置かれている物理ネットワークの IP アドレスは Egress ルーター Pod で使用するために予約されます。オプション: サブネットの長さ
/24
接尾辞を組み込み、ローカルサブネットへの適切なルートがセットアップされるようにできます。サブネットの長さを指定しない場合、Egress ルーターはEGRESS_GATEWAY
変数で指定されたホストにのみアクセスでき、サブネットの他のホストにはアクセスできません。 - 3
- ノードで使用されるデフォルトゲートウェイと同じ値です。
- 4
- トラフィックの送信先となる外部サーバー。この例では、Pod の接続は
203.0.113.25
にリダイレクトされます。 送信元 IP アドレスは192.168.12.99
です。
Egress ルーター Pod 仕様の例
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: egress-multi labels: name: egress-multi annotations: pod.network.openshift.io/assign-macvlan: "true" spec: initContainers: - name: egress-router image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-router securityContext: privileged: true env: - name: EGRESS_SOURCE value: 192.168.12.99/24 - name: EGRESS_GATEWAY value: 192.168.12.1 - name: EGRESS_DESTINATION value: | 80 tcp 203.0.113.25 8080 tcp 203.0.113.26 80 8443 tcp 203.0.113.26 443 203.0.113.27 - name: EGRESS_ROUTER_MODE value: init containers: - name: egress-router-wait image: registry.redhat.io/openshift4/ose-pod
25.10.2. Egress 宛先設定形式
Egress ルーター Pod がリダイレクトモードでデプロイされる場合、以下のいずれかの形式を使用してリダイレクトルールを指定できます。
-
<port> <protocol> <ip_address>
: 指定される<port>
への着信接続が指定される<ip_address>
の同じポートにリダイレクトされます。<protocol>
はtcp
またはudp
のいずれかになります。 -
<port> <protocol> <ip_address> <remote_port>
: 接続が<ip_address>
の別の<remote_port>
にリダイレクトされるのを除き、上記と同じになります。 -
<ip_address>
: 最後の行が単一 IP アドレスである場合、それ以外のポートの接続はその IP アドレスの対応するポートにリダイレクトされます。フォールバック IP アドレスがない場合、他のポートでの接続は拒否されます。
以下の例では、複数のルールが定義されます。
-
最初の行はローカルポート
80
から203.0.113.25
のポート80
にトラフィックをリダイレクトします。 -
2 番目と 3 番目の行では、ローカルポート
8080
および8443
を、203.0.113.26
のリモートポート80
および443
にリダイレクトします。 - 最後の行は、先のルールで指定されていないポートのトラフィックに一致します。
設定例
80 tcp 203.0.113.25 8080 tcp 203.0.113.26 80 8443 tcp 203.0.113.26 443 203.0.113.27
25.10.3. リダイレクトモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
リダイレクトモードでは、Egress ルーター Pod は、トラフィックを独自の IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスにリダイレクトするために iptables ルールをセットアップします。予約された送信元 IP アドレスを使用する必要があるクライアント Pod は、宛先 IP に直接接続するのではなく、スロールーターのサービスにアクセスするように設定する必要があります。curl
コマンドを使用して、アプリケーション Pod から宛先サービスとポートにアクセスできます。以下に例を示します。
$ curl <router_service_IP> <port>
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- Egress ルーター Pod の作成
他の Pod が Egress ルーター Pod の IP アドレスを見つられるようにするには、以下の例のように、Egress ルーター Pod を参照するサービスを作成します。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-1 spec: ports: - name: http port: 80 - name: https port: 443 type: ClusterIP selector: name: egress-1
Pod がこのサービスに接続できるようになります。これらの接続は、予約された Egress IP アドレスを使用して外部サーバーの対応するポートにリダイレクトされます。
25.10.4. 関連情報
25.11. HTTP プロキシーモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
クラスター管理者は、トラフィックを指定された HTTP および HTTPS ベースのサービスにプロキシーするように設定された Egress ルーター Pod をデプロイできます。
25.11.1. HTTP モードの Egress ルーター Pod 仕様
Pod
オブジェクトで Egress ルーター Pod の設定を定義します。以下の YAML は、HTTP モードでの Egress ルーター Pod の設定のフィールドを説明しています。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: egress-1 labels: name: egress-1 annotations: pod.network.openshift.io/assign-macvlan: "true" 1 spec: initContainers: - name: egress-router image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-router securityContext: privileged: true env: - name: EGRESS_SOURCE 2 value: <egress-router> - name: EGRESS_GATEWAY 3 value: <egress-gateway> - name: EGRESS_ROUTER_MODE value: http-proxy containers: - name: egress-router-pod image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-http-proxy env: - name: EGRESS_HTTP_PROXY_DESTINATION 4 value: |- ... ...
- 1
- このアノテーションは、OpenShift Container Platform に対して、プライマリーネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) に macvlan ネットワークインターフェイスを作成し、その macvlan インターフェイスを Pod ネットワークの namespace に移動するよう指示します。引用符を
"true"
値の周囲に含める必要があります。OpenShift Container Platform が別の NIC インターフェイスに macvlan インターフェイスを作成するには、アノテーションの値をそのインターフェイスの名前に設定します。たとえば、eth1
を使用します。 - 2
- ノードが置かれている物理ネットワークの IP アドレスは Egress ルーター Pod で使用するために予約されます。オプション: サブネットの長さ
/24
接尾辞を組み込み、ローカルサブネットへの適切なルートがセットアップされるようにできます。サブネットの長さを指定しない場合、Egress ルーターはEGRESS_GATEWAY
変数で指定されたホストにのみアクセスでき、サブネットの他のホストにはアクセスできません。 - 3
- ノードで使用されるデフォルトゲートウェイと同じ値です。
- 4
- プロキシーの設定方法を指定する文字列または YAML の複数行文字列です。これは、init コンテナーの他の環境変数ではなく、HTTP プロキシーコンテナーの環境変数として指定されることに注意してください。
25.11.2. Egress 宛先設定形式
Egress ルーター Pod が HTTP プロキシーモードでデプロイされる場合、以下の形式のいずれかを使用してリダイレクトルールを指定できます。これはすべてのリモート宛先への接続を許可することを意味します。 設定の各行には、許可または拒否する接続の 1 つのグループを指定します。
-
IP アドレス (例:
192.168.1.1
) は該当する IP アドレスへの接続を許可します。 -
CIDR 範囲 (例:
192.168.1.0/24
) は CIDR 範囲への接続を許可します。 -
ホスト名 (例:
www.example.com
) は該当ホストへのプロキシーを許可します。 -
*.
が前に付けられているドメイン名 (例:*.example.com
) は該当ドメインおよびそのサブドメインのすべてへのプロキシーを許可します。 -
先の一致 (match) 式のいずれかの後に来る
!
は接続を拒否します。 -
最後の行が
*
の場合、明示的に拒否されていないすべてのものが許可されます。それ以外の場合、許可されないすべてのものが拒否されます。
*
を使用してすべてのリモート宛先への接続を許可することもできます。
設定例
!*.example.com !192.168.1.0/24 192.168.2.1 *
25.11.3. HTTP プロキシーモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
HTTP プロキシーモードでは、Egress ルーター Pod はポート 8080
で HTTP プロキシーとして実行されます。このモードは、HTTP または HTTPS ベースのサービスと通信するクライアントの場合にのみ機能しますが、通常それらを機能させるのにクライアント Pod への多くの変更は不要です。環境変数を設定することで、数多くのプログラムは HTTP プロキシーを使用するように指示されます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- Egress ルーター Pod の作成
他の Pod が Egress ルーター Pod の IP アドレスを見つられるようにするには、以下の例のように、Egress ルーター Pod を参照するサービスを作成します。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-1 spec: ports: - name: http-proxy port: 8080 1 type: ClusterIP selector: name: egress-1
- 1
http
ポートが常に8080
に設定されていることを確認します。
http_proxy
またはhttps_proxy
変数を設定して、クライアント Pod (Egress プロキシー Pod ではない) を HTTP プロキシーを使用するように設定します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: app-1 labels: name: app-1 spec: containers: env: - name: http_proxy value: http://egress-1:8080/ 1 - name: https_proxy value: http://egress-1:8080/ ...
- 1
- 先の手順で作成したサービス。
注記すべてのセットアップに
http_proxy
およびhttps_proxy
環境変数が必要になる訳ではありません。上記を実行しても作業用セットアップが作成されない場合は、Pod で実行しているツールまたはソフトウェアに関するドキュメントを参照してください。
25.11.4. 関連情報
25.12. DNS プロキシーモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
クラスター管理者は、トラフィックを指定された DNS 名および IP アドレスにプロキシーするように設定された Egress ルーター Pod をデプロイできます。
25.12.1. DNS モードの Egress ルーター Pod 仕様
Pod
オブジェクトで Egress ルーター Pod の設定を定義します。以下の YAML は、DNS モードでの Egress ルーター Pod の設定のフィールドを説明しています。
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: egress-1 labels: name: egress-1 annotations: pod.network.openshift.io/assign-macvlan: "true" 1 spec: initContainers: - name: egress-router image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-router securityContext: privileged: true env: - name: EGRESS_SOURCE 2 value: <egress-router> - name: EGRESS_GATEWAY 3 value: <egress-gateway> - name: EGRESS_ROUTER_MODE value: dns-proxy containers: - name: egress-router-pod image: registry.redhat.io/openshift4/ose-egress-dns-proxy securityContext: privileged: true env: - name: EGRESS_DNS_PROXY_DESTINATION 4 value: |- ... - name: EGRESS_DNS_PROXY_DEBUG 5 value: "1" ...
- 1
- このアノテーションは、OpenShift Container Platform に対して、プライマリーネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) に macvlan ネットワークインターフェイスを作成し、その macvlan インターフェイスを Pod ネットワークの namespace に移動するよう指示します。引用符を
"true"
値の周囲に含める必要があります。OpenShift Container Platform が別の NIC インターフェイスに macvlan インターフェイスを作成するには、アノテーションの値をそのインターフェイスの名前に設定します。たとえば、eth1
を使用します。 - 2
- ノードが置かれている物理ネットワークの IP アドレスは Egress ルーター Pod で使用するために予約されます。オプション: サブネットの長さ
/24
接尾辞を組み込み、ローカルサブネットへの適切なルートがセットアップされるようにできます。サブネットの長さを指定しない場合、Egress ルーターはEGRESS_GATEWAY
変数で指定されたホストにのみアクセスでき、サブネットの他のホストにはアクセスできません。 - 3
- ノードで使用されるデフォルトゲートウェイと同じ値です。
- 4
- 1 つ以上のプロキシー宛先のリストを指定します。
- 5
- オプション: DNS プロキシーログ出力を
stdout
に出力するために指定します。
25.12.2. Egress 宛先設定形式
ルーターが DNS プロキシーモードでデプロイされる場合、ポートおよび宛先マッピングのリストを指定します。宛先には、IP アドレスまたは DNS 名のいずれかを使用できます。
Egress ルーター Pod は、ポートおよび宛先マッピングを指定するために以下の形式をサポートします。
- ポートおよびリモートアドレス
-
送信元ポートおよび宛先ホストは、2 つのフィールド形式 (
<port> <remote_address>
) を使用して指定できます。
ホストには、IP アドレスまたは DNS 名を指定できます。DNS 名を指定すると、DNS 解決が起動時に行われます。特定のホストについては、プロキシーは、宛先ホスト IP アドレスへの接続時に、宛先ホストの指定された送信元ポートに接続されます。
ポートとリモートアドレスペアの例
80 172.16.12.11 100 example.com
- ポート、リモートアドレス、およびリモートポート
-
送信元ポート、宛先ホスト、および宛先ポートは、
<port> <remote_address> <remote_port>
の 3 つのフィールドから成る形式を使用して指定できます。
3 つのフィールド形式は、2 つのフィールドバージョンと同じように動作しますが、宛先ポートが送信元ポートとは異なる場合があります。
ポート、リモートアドレス、およびリモートポートの例
8080 192.168.60.252 80 8443 web.example.com 443
25.12.3. DNS プロキシーモードでの Egress ルーター Pod のデプロイ
DNS プロキシーモードでは、Egress ルーター Pod は、トラフィックを独自の IP アドレスから 1 つ以上の宛先 IP アドレスに送信する TCP ベースのサービスの DNS プロキシーとして機能します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- Egress ルーター Pod の作成
Egress ルーター Pod のサービスを作成します。
以下の YAML 定義が含まれる
egress-router-service.yaml
という名前のファイルを作成します。spec.ports
を、EGRESS_DNS_PROXY_DESTINATION
環境変数に先に定義したポートのリストに設定します。apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-dns-svc spec: ports: ... type: ClusterIP selector: name: egress-dns-proxy
以下に例を示します。
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-dns-svc spec: ports: - name: con1 protocol: TCP port: 80 targetPort: 80 - name: con2 protocol: TCP port: 100 targetPort: 100 type: ClusterIP selector: name: egress-dns-proxy
サービスを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f egress-router-service.yaml
Pod がこのサービスに接続できるようになります。これらの接続は、予約された Egress IP アドレスを使用して外部サーバーの対応するポートにプロキシー送信されます。
25.12.4. 関連情報
25.13. config map からの Egress ルーター Pod 宛先一覧の設定
クラスター管理者は、Egress ルーター Pod の宛先マッピングを指定する ConfigMap
オブジェクトを定義できます。設定の特定の形式は、Egress ルーター Pod のタイプによって異なります。形式の詳細は、特定の Egress ルーター Pod のドキュメントを参照してください。
25.13.1. config map を使用した Egress ルーター宛先マッピングの設定
宛先マッピングのセットのサイズが大きいか、これが頻繁に変更される場合、config map を使用して一覧を外部で維持できます。この方法の利点は、設定マップを編集するパーミッションを cluster-admin
権限を持たないユーザーに委任できることです。Egress ルーター Pod には特権付きコンテナーを必要とするため、cluster-admin
権限を持たないユーザーは Pod 定義を直接編集することはできません。
Egress ルーター Pod は、config map が変更されても自動的に更新されません。更新を取得するには、Egress ルーター Pod を再起動する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の例のように、Egress ルーター Pod のマッピングデータが含まれるファイルを作成します。
# Egress routes for Project "Test", version 3 80 tcp 203.0.113.25 8080 tcp 203.0.113.26 80 8443 tcp 203.0.113.26 443 # Fallback 203.0.113.27
空の行とコメントをこのファイルに追加できます。
このファイルから
ConfigMap
オブジェクトを作成します。$ oc delete configmap egress-routes --ignore-not-found
$ oc create configmap egress-routes \ --from-file=destination=my-egress-destination.txt
直前のコマンドで、
egress-routes
値は、作成するConfigMap
オブジェクトの名前で、my-egress-destination.txt
はデータの読み取り元のファイルの名前です。ヒントまたは、以下の YAML を適用して config map を作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: egress-routes data: destination: | # Egress routes for Project "Test", version 3 80 tcp 203.0.113.25 8080 tcp 203.0.113.26 80 8443 tcp 203.0.113.26 443 # Fallback 203.0.113.27
Egress ルーター Pod 定義を作成し、environment スタンザの
EGRESS_DESTINATION
フィールドにconfigMapKeyRef
スタンザを指定します。... env: - name: EGRESS_DESTINATION valueFrom: configMapKeyRef: name: egress-routes key: destination ...
25.13.2. 関連情報
25.14. プロジェクトのマルチキャストの有効化
25.14.1. マルチキャストについて
IP マルチキャストを使用すると、データが多数の IP アドレスに同時に配信されます。
- 現時点で、マルチキャストは低帯域幅の調整またはサービスの検出での使用に最も適しており、高帯域幅のソリューションとしては適していません。
-
デフォルトでは、ネットワークポリシーは namespace 内のすべての接続に影響します。ただし、マルチキャストはネットワークポリシーの影響を受けません。マルチキャストがネットワークポリシーと同じ namespace で有効にされている場合、
deny-all
ネットワークポリシーがある場合でも、マルチキャストは常に許可されます。クラスター管理者は、これを有効にする前に、ネットワークポリシーからマルチキャストが除外されることの影響を考慮する必要があります。
OpenShift Container Platform の Pod 間のマルチキャストトラフィックはデフォルトで無効にされます。OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用している場合、プロジェクトごとにマルチキャストを有効にできます。
networkpolicy
分離モードで OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用する場合は、以下を行います。
-
Pod によって送信されるマルチキャストパケットは、
NetworkPolicy
オブジェクトに関係なく、プロジェクトの他のすべての Pod に送信されます。Pod はユニキャストで通信できない場合でもマルチキャストで通信できます。 -
1 つのプロジェクトの Pod によって送信されるマルチキャストパケットは、
NetworkPolicy
オブジェクトがプロジェクト間の通信を許可する場合であっても、それ以外のプロジェクトの Pod に送信されることはありません。
multitenant
分離モードで OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用する場合は、以下を行います。
- Pod で送信されるマルチキャストパケットはプロジェクトにあるその他の全 Pod に送信されます。
- あるプロジェクトの Pod によって送信されるマルチキャストパケットは、各プロジェクトが結合し、マルチキャストが結合した各プロジェクトで有効にされている場合にのみ、他のプロジェクトの Pod に送信されます。
25.14.2. Pod 間のマルチキャストの有効化
プロジェクトの Pod でマルチキャストを有効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
以下のコマンドを実行し、プロジェクトのマルチキャストを有効にします。
<namespace>
を、マルチキャストを有効にする必要のある namespace に置き換えます。$ oc annotate netnamespace <namespace> \ netnamespace.network.openshift.io/multicast-enabled=true
検証
マルチキャストがプロジェクトについて有効にされていることを確認するには、以下の手順を実行します。
現在のプロジェクトを、マルチキャストを有効にしたプロジェクトに切り替えます。
<project>
をプロジェクト名に置き換えます。$ oc project <project>
マルチキャストレシーバーとして機能する Pod を作成します。
$ cat <<EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: mlistener labels: app: multicast-verify spec: containers: - name: mlistener image: registry.access.redhat.com/ubi9 command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf -y install socat hostname && sleep inf"] ports: - containerPort: 30102 name: mlistener protocol: UDP EOF
マルチキャストセンダーとして機能する Pod を作成します。
$ cat <<EOF| oc create -f - apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: msender labels: app: multicast-verify spec: containers: - name: msender image: registry.access.redhat.com/ubi9 command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["dnf -y install socat && sleep inf"] EOF
新しいターミナルウィンドウまたはタブで、マルチキャストリスナーを起動します。
Pod の IP アドレスを取得します。
$ POD_IP=$(oc get pods mlistener -o jsonpath='{.status.podIP}')
次のコマンドを入力して、マルチキャストリスナーを起動します。
$ oc exec mlistener -i -t -- \ socat UDP4-RECVFROM:30102,ip-add-membership=224.1.0.1:$POD_IP,fork EXEC:hostname
マルチキャストトランスミッターを開始します。
Pod ネットワーク IP アドレス範囲を取得します。
$ CIDR=$(oc get Network.config.openshift.io cluster \ -o jsonpath='{.status.clusterNetwork[0].cidr}')
マルチキャストメッセージを送信するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc exec msender -i -t -- \ /bin/bash -c "echo | socat STDIO UDP4-DATAGRAM:224.1.0.1:30102,range=$CIDR,ip-multicast-ttl=64"
マルチキャストが機能している場合、直前のコマンドは以下の出力を返します。
mlistener
25.15. プロジェクトのマルチキャストの無効化
25.15.1. Pod 間のマルチキャストの無効化
プロジェクトの Pod でマルチキャストを無効にすることができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
以下のコマンドを実行して、マルチキャストを無効にします。
$ oc annotate netnamespace <namespace> \ 1 netnamespace.network.openshift.io/multicast-enabled-
- 1
- マルチキャストを無効にする必要のあるプロジェクトの
namespace
。
25.16. OpenShift SDN を使用したネットワーク分離の設定
クラスターが OpenShift SDN ネットワークプラグインのマルチテナント分離モードを使用するように設定されている場合、各プロジェクトはデフォルトで分離されます。ネットワークトラフィックは、マルチテナント分離モードでは、異なるプロジェクトの Pod およびサービス間で許可されません。
プロジェクトのマルチテナント分離の動作を 2 つの方法で変更することができます。
- 1 つ以上のプロジェクトを結合し、複数の異なるプロジェクトの Pod とサービス間のネットワークトラフィックを可能にします。
- プロジェクトのネットワーク分離を無効にできます。これはグローバルにアクセスできるようになり、他のすべてのプロジェクトの Pod およびサービスからのネットワークトラフィックを受け入れます。グローバルにアクセス可能なプロジェクトは、他のすべてのプロジェクトの Pod およびサービスにアクセスできます。
25.16.1. 前提条件
- マルチテナント分離モードで OpenShift SDN ネットワークプラグインを使用するように設定されたクラスターが必要です。
25.16.2. プロジェクトの結合
2 つ以上のプロジェクトを結合し、複数の異なるプロジェクトの Pod とサービス間のネットワークトラフィックを可能にします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
以下のコマンドを使用して、プロジェクトを既存のプロジェクトネットワークに参加させます。
$ oc adm pod-network join-projects --to=<project1> <project2> <project3>
または、特定のプロジェクト名を指定する代わりに
--selector=<project_selector>
オプションを使用し、関連付けられたラベルに基づいてプロジェクトを指定できます。オプション: 以下のコマンドを実行し、結合した Pod ネットワークを表示します。
$ oc get netnamespaces
同じ Pod ネットワークのプロジェクトには、NETID 列に同じネットワーク ID があります。
25.16.3. プロジェクトの分離
他のプロジェクトの Pod およびサービスがその Pod およびサービスにアクセスできないようにするためにプロジェクトを分離することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
クラスターのプロジェクトを分離するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm pod-network isolate-projects <project1> <project2>
または、特定のプロジェクト名を指定する代わりに
--selector=<project_selector>
オプションを使用し、関連付けられたラベルに基づいてプロジェクトを指定できます。
25.16.4. プロジェクトのネットワーク分離の無効化
プロジェクトのネットワーク分離を無効にできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインする必要があります。
手順
プロジェクトの以下のコマンドを実行します。
$ oc adm pod-network make-projects-global <project1> <project2>
または、特定のプロジェクト名を指定する代わりに
--selector=<project_selector>
オプションを使用し、関連付けられたラベルに基づいてプロジェクトを指定できます。
25.17. kube-proxy の設定
Kubernetes メットワークプロキシー (kube-proxy) は各ノードで実行され、Cluster Network Operator (CNO) で管理されます。kube-proxy は、サービスに関連付けられたエンドポイントの接続を転送するためのネットワークルールを維持します。
25.17.1. iptables ルールの同期について
同期の期間は、Kubernetes ネットワークプロキシー (kube-proxy) がノードで iptables ルールを同期する頻度を定めます。
同期は、以下のイベントのいずれかが生じる場合に開始します。
- サービスまたはエンドポイントのクラスターへの追加、またはクラスターからの削除などのイベントが発生する。
- 最後の同期以後の時間が kube-proxy に定義される同期期間を超過している。
25.17.2. kube-proxy 設定パラメーター
以下の kubeProxyConfig
パラメーターを変更することができます。
OpenShift Container Platform 4.3 以降で強化されたパフォーマンスの向上により、iptablesSyncPeriod
パラメーターを調整する必要はなくなりました。
パラメーター | 説明 | 値 | デフォルト |
---|---|---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
25.17.3. kube-proxy 設定の変化
クラスターの Kubernetes ネットワークプロキシー設定を変更することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールで実行中のクラスターにログインします。
手順
以下のコマンドを実行して、
Network.operator.openshift.io
カスタムリソース (CR) を編集します。$ oc edit network.operator.openshift.io cluster
以下のサンプル CR のように、kube-proxy 設定への変更内容で、CR の
kubeProxyConfig
パラメーターを変更します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: kubeProxyConfig: iptablesSyncPeriod: 30s proxyArguments: iptables-min-sync-period: ["30s"]
ファイルを保存し、テキストエディターを編集します。
構文は、ファイルを保存し、エディターを終了する際に
oc
コマンドによって検証されます。変更内容に構文エラーが含まれる場合、エディターはファイルを開き、エラーメッセージを表示します。以下のコマンドを実行して、設定の更新を確認します。
$ oc get networks.operator.openshift.io -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 defaultNetwork: type: OpenShiftSDN kubeProxyConfig: iptablesSyncPeriod: 30s proxyArguments: iptables-min-sync-period: - 30s serviceNetwork: - 172.30.0.0/16 status: {} kind: List
オプション: 以下のコマンドを実行し、Cluster Network Operator が設定変更を受け入れていることを確認します。
$ oc get clusteroperator network
出力例
NAME VERSION AVAILABLE PROGRESSING DEGRADED SINCE network 4.1.0-0.9 True False False 1m
設定の更新が正常に適用されると、
AVAILABLE
フィールドがTrue
になります。
第26章 ルートの作成
26.1. ルート設定
26.1.1. HTTP ベースのルートの作成
ルートを使用すると、公開された URL でアプリケーションをホストできます。これは、アプリケーションのネットワークセキュリティー設定に応じて、セキュリティー保護または保護なしを指定できます。HTTP ベースのルートとは、セキュアではないルートで、基本的な HTTP ルーティングプロトコルを使用してセキュリティー保護されていないアプリケーションポートでサービスを公開します。
以下の手順では、hello-openshift
アプリケーションを例に、Web アプリケーションへのシンプルな HTTP ベースのルートを作成する方法を説明します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - 管理者としてログインしている。
- あるポートを公開する Web アプリケーションと、そのポートでトラフィックをリッスンする TCP エンドポイントがあります。
手順
次のコマンドを実行して、
hello-openshift
というプロジェクトを作成します。$ oc new-project hello-openshift
以下のコマンドを実行してプロジェクトに Pod を作成します。
$ oc create -f https://raw.githubusercontent.com/openshift/origin/master/examples/hello-openshift/hello-pod.json
以下のコマンドを実行して、
hello-openshift
というサービスを作成します。$ oc expose pod/hello-openshift
次のコマンドを実行して、
hello-openshift
アプリケーションに対して、セキュアではないルートを作成します。$ oc expose svc hello-openshift
検証
作成した
route
リソースを確認するには、次のコマンドを実行します。$ oc get routes -o yaml <name of resource> 1
- 1
- この例では、ルートの名前は
hello-openshift
です。
上記で作成されたセキュアでないルートの YAML 定義
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: hello-openshift spec: host: hello-openshift-hello-openshift.<Ingress_Domain> 1 port: targetPort: 8080 2 to: kind: Service name: hello-openshift
- 1
<Ingress_Domain>
はデフォルトの Ingress ドメイン名です。ingresses.config/cluster
オブジェクトはインストール中に作成され、変更できません。別のドメインを指定する場合は、appsDomain
オプションを使用して別のクラスタードメインを指定できます。- 2
targetPort
は、このルートが指すサービスによって選択される Pod のターゲットポートです。注記デフォルトの Ingress ドメインを表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get ingresses.config/cluster -o jsonpath={.spec.domain}
26.1.2. Ingress Controller シャーディングのルート作成
ルートを使用すると、URL でアプリケーションをホストできます。この場合、ホスト名は設定されず、ルートは代わりにサブドメインを使用します。サブドメインを指定すると、ルートを公開する Ingress Controller のドメインが自動的に使用されます。ルートが複数の Ingress Controller によって公開されている状況では、ルートは複数の URL でホストされます。
以下の手順では、例として hello-openshift
アプリケーションを使用して、Ingress Controller シャーディングのルートを作成する方法を説明します。
Ingress Controller のシャード化は、一連の Ingress Controller 間で着信トラフィックの負荷を分散し、トラフィックを特定の Ingress Controller に分離する際に役立ちます。たとえば、Company A のトラフィックをある Ingress Controller に指定し、Company B を別の Ingress Controller に指定できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - プロジェクト管理者としてログインしている。
- あるポートを公開する Web アプリケーションと、そのポートでトラフィックをリッスンする HTTP または TCP エンドポイントがある。
- シャーディング用に Ingress Controller を設定している。
手順
次のコマンドを実行して、
hello-openshift
というプロジェクトを作成します。$ oc new-project hello-openshift
以下のコマンドを実行してプロジェクトに Pod を作成します。
$ oc create -f https://raw.githubusercontent.com/openshift/origin/master/examples/hello-openshift/hello-pod.json
以下のコマンドを実行して、
hello-openshift
というサービスを作成します。$ oc expose pod/hello-openshift
hello-openshift-route.yaml
というルート定義を作成します。シャーディング用に作成されたルートの YAML 定義:
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: labels: type: sharded 1 name: hello-openshift-edge namespace: hello-openshift spec: subdomain: hello-openshift 2 tls: termination: edge to: kind: Service name: hello-openshift
次のコマンドを実行し、
hello-openshift-route.yaml
を使用してhello-openshift
アプリケーションへのルートを作成します。$ oc -n hello-openshift create -f hello-openshift-route.yaml
検証
次のコマンドを使用して、ルートのステータスを取得します。
$ oc -n hello-openshift get routes/hello-openshift-edge -o yaml
結果の
Route
リソースは次のようになります。出力例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: labels: type: sharded name: hello-openshift-edge namespace: hello-openshift spec: subdomain: hello-openshift tls: termination: edge to: kind: Service name: hello-openshift status: ingress: - host: hello-openshift.<apps-sharded.basedomain.example.net> 1 routerCanonicalHostname: router-sharded.<apps-sharded.basedomain.example.net> 2 routerName: sharded 3
26.1.3. ルートのタイムアウトの設定
Service Level Availability (SLA) で必要とされる、低タイムアウトが必要なサービスや、バックエンドでの処理速度が遅いケースで高タイムアウトが必要なサービスがある場合は、既存のルートに対してデフォルトのタイムアウトを設定することができます。
前提条件
- 実行中のクラスターでデプロイ済みの Ingress Controller が必要になります。
手順
oc annotate
コマンドを使用して、ルートにタイムアウトを追加します。$ oc annotate route <route_name> \ --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=<timeout><time_unit> 1
- 1
- サポートされる時間単位は、マイクロ秒 (us)、ミリ秒 (ms)、秒 (s)、分 (m)、時間 (h)、または日 (d) です。
以下の例では、2 秒のタイムアウトを
myroute
という名前のルートに設定します。$ oc annotate route myroute --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=2s
26.1.4. HTTP Strict Transport Security
HTTP Strict Transport Security (HSTS) ポリシーは、HTTPS トラフィックのみがルートホストで許可されるブラウザークライアントに通知するセキュリティーの拡張機能です。また、HSTS は、HTTP リダイレクトを使用せずに HTTPS トランスポートにシグナルを送ることで Web トラフィックを最適化します。HSTS は Web サイトとの対話を迅速化するのに便利です。
HSTS ポリシーが適用されると、HSTS はサイトから Strict Transport Security ヘッダーを HTTP および HTTPS 応答に追加します。HTTP を HTTPS にリダイレクトするルートで insecureEdgeTerminationPolicy
値を使用できます。HSTS を強制している場合は、要求の送信前にクライアントがすべての要求を HTTP URL から HTTPS に変更するため、リダイレクトの必要がなくなります。
クラスター管理者は、以下を実行するために HSTS を設定できます。
- ルートごとに HSTS を有効にします。
- ルートごとに HSTS を無効にします。
- ドメインごとに HSTS を適用するか、ドメインと組み合わせた namespace ラベルを使用します。
HSTS はセキュアなルート (edge-terminated または re-encrypt) でのみ機能します。この設定は、HTTP またはパススルールートには適していません。
26.1.4.1. ルートごとの HTTP Strict Transport Security の有効化
HTTP 厳密なトランスポートセキュリティー (HSTS) は HAProxy テンプレートに実装され、haproxy.router.openshift.io/hsts_header
アノテーションを持つ edge および re-encrypt ルートに適用されます。
前提条件
- プロジェクトの管理者権限があるユーザーで、クラスターにログインしている。
-
oc
CLI がインストールされている。
手順
ルートで HSTS を有効にするには、
haproxy.router.openshift.io/hsts_header
値を edge-terminated または re-encrypt ルートに追加します。これを実行するには、oc annotate
ツールを使用してこれを実行できます。$ oc annotate route <route_name> -n <namespace> --overwrite=true "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"="max-age=31536000;\ 1 includeSubDomains;preload"
- 1
- この例では、最長期間は
31536000
ミリ秒 (約 8 時間および半分) に設定されます。
注記この例では、等号 (
=
) が引用符で囲まれています。これは、annotate コマンドを正しく実行するために必要です。アノテーションで設定されたルートの例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/hsts_header: max-age=31536000;includeSubDomains;preload 1 2 3 ... spec: host: def.abc.com tls: termination: "reencrypt" ... wildcardPolicy: "Subdomain"
- 1
- 必須。
max-age
は、HSTS ポリシーが有効な期間 (秒単位) を測定します。0
に設定すると、これはポリシーを無効にします。 - 2
- 任意。
includeSubDomains
は、クライアントに対し、ホストのすべてのサブドメインにホストと同じ HSTS ポリシーを持つ必要があることを指示します。 - 3
- 任意。
max-age
が 0 より大きい場合、preload
をhaproxy.router.openshift.io/hsts_header
に追加し、外部サービスがこのサイトをそれぞれの HSTS プリロードリストに含めることができます。たとえば、Google などのサイトはpreload
が設定されているサイトの一覧を作成します。ブラウザーはこれらのリストを使用し、サイトと対話する前でも HTTPS 経由で通信できるサイトを判別できます。preload
を設定していない場合、ブラウザーはヘッダーを取得するために、HTTPS を介してサイトと少なくとも 1 回対話している必要があります。
26.1.4.2. ルートごとの HTTP Strict Transport Security の無効化
ルートごとに HSTS (HTTP Strict Transport Security) を無効にするには、ルートアノテーションの max-age
の値を 0
に設定します。
前提条件
- プロジェクトの管理者権限があるユーザーで、クラスターにログインしている。
-
oc
CLI がインストールされている。
手順
HSTS を無効にするには、以下のコマンドを入力してルートアノテーションの
max-age
の値を0
に設定します。$ oc annotate route <route_name> -n <namespace> --overwrite=true "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"="max-age=0"
ヒントまたは、以下の YAML を適用して config map を作成できます。
ルートごとに HSTS を無効にする例
metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/hsts_header: max-age=0
namespace のすべてのルートで HSTS を無効にするには、following コマンドを入力します。
$ oc annotate route --all -n <namespace> --overwrite=true "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"="max-age=0"
検証
すべてのルートのアノテーションをクエリーするには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get route --all-namespaces -o go-template='{{range .items}}{{if .metadata.annotations}}{{$a := index .metadata.annotations "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"}}{{$n := .metadata.name}}{{with $a}}Name: {{$n}} HSTS: {{$a}}{{"\n"}}{{else}}{{""}}{{end}}{{end}}{{end}}'
出力例
Name: routename HSTS: max-age=0
26.1.4.3. ドメインごとに HTTP Strict Transport Security の強制
安全なルートのドメインごとに HTTPStrict Transport Security(HSTS) を適用するには、requiredHSTSPolicies
レコードを Ingress 仕様に追加して、HSTS ポリシーの設定を取得します。
requiredHSTSPolicy
を設定して HSTS を適用する場合は、新規に作成されたルートは準拠された HSTS ポリシーアノテーションで設定する必要があります。
準拠しない HSTS ルートを持つアップグレードされたクラスターを処理するには、ソースでマニフェストを更新し、更新を適用できます。
oc expose route
コマンドまたは oc create route
コマンドを使用して、HSTS を強制するドメインにルートを追加することはできません。このコマンドの API はアノテーションを受け入れないためです。
HSTS がすべてのルートに対してグローバルに要求されている場合でも、セキュアではないルートや非 TLS ルートに適用することはできません。
前提条件
- プロジェクトの管理者権限があるユーザーで、クラスターにログインしている。
-
oc
CLI がインストールされている。
手順
Ingress 設定ファイルを編集します。
$ oc edit ingresses.config.openshift.io/cluster
HSTS ポリシーの例
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Ingress metadata: name: cluster spec: domain: 'hello-openshift-default.apps.username.devcluster.openshift.com' requiredHSTSPolicies: 1 - domainPatterns: 2 - '*hello-openshift-default.apps.username.devcluster.openshift.com' - '*hello-openshift-default2.apps.username.devcluster.openshift.com' namespaceSelector: 3 matchLabels: myPolicy: strict maxAge: 4 smallestMaxAge: 1 largestMaxAge: 31536000 preloadPolicy: RequirePreload 5 includeSubDomainsPolicy: RequireIncludeSubDomains 6 - domainPatterns: 7 - 'abc.example.com' - '*xyz.example.com' namespaceSelector: matchLabels: {} maxAge: {} preloadPolicy: NoOpinion includeSubDomainsPolicy: RequireNoIncludeSubDomains
- 1
- 必須。
requiredHSTSPolicies
は順番に検証され、最初に一致するdomainPatterns
が適用されます。 - 2 7
- 必須。1 つ以上の
domainPatterns
ホスト名を指定する必要があります。任意の数のドメインをリスト表示できます。さまざまなdomainPatterns
について、Enforcing オプションの複数のセクションを含めることができます。 - 3
- 任意。
namespaceSelector
を含める場合、ルートを配置するプロジェクトのラベルと一致する必要があります。これにより、ルートに設定された HSTS ポリシーを適用する必要があります。domainPatterns
ではなくnamespaceSelector
のみに一致するルートは検証されません。 - 4
- 必須。
max-age
は、HSTS ポリシーが有効な期間 (秒単位) を測定します。このポリシー設定により、最小および最大のmax-age
を適用することができます。-
largestMaxAge
の値は0
から2147483647
の範囲内で指定する必要があります。これを指定しないと、上限が強制されないことを意味します。 -
smallestMaxAge
の値は0
から2147483647
の範囲内で指定する必要があります。トラブルシューティングのために HSTS を無効にするには、0
を入力します。HSTS を無効にする必要がない場合は1
を入力します。これを指定しないと、下限が強制されません。
-
- 5
- 任意。
haproxy.router.openshift.io/hsts_header
にpreload
を含めることで、外部サービスがこのサイトをそれぞれの HSTS プリロードリストに含めることができます。ブラウザーはこれらの一覧を使用し、サイトと対話する前でも HTTPS 経由で通信できるサイトを判別できます。preload
設定がない場合、ブラウザーは少なくともサイトと通信してヘッダーを取得する必要があります。preload
は、以下のいずれかで設定できます。-
RequirePreload
:preload
はRequiredHSTSPolicy
で必要になります。 -
RequireNoPreload
:preload
はRequiredHSTSPolicy
によって禁止されます。 -
NoOpinion
:preload
はRequiredHSTSPolicy
に重要ではありません。
-
- 6
- 任意。
includeSubDomainsPolicy
は、以下のいずれかで設定できます。-
RequireIncludeSubDomains
:includeSubDomains
はRequiredHSTSPolicy
で必要です。 -
RequireNoIncludeSubDomains
:includeSubDomains
はRequiredHSTSPolicy
によって禁止されています。 -
NoOpinion
:includeSubDomains
はRequiredHSTSPolicy
に重要ではありません。
-
oc annotate command
を入力して、HSTS をクラスターのすべてのルートまたは特定の namespace に適用することができます。HSTS をクラスターのすべてのルートに適用するには、
oc annotate command
を実行します。以下に例を示します。$ oc annotate route --all --all-namespaces --overwrite=true "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"="max-age=31536000"
特定の namespace のすべてのルートに HSTS を適用するには、
oc annotate command
を実行します。以下に例を示します。$ oc annotate route --all -n my-namespace --overwrite=true "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"="max-age=31536000"
検証
設定した HSTS ポリシーを確認できます。以下に例を示します。
必要な HSTS ポリシーの
maxAge
セットを確認するには、以下のコマンドを入力します。$ oc get clusteroperator/ingress -n openshift-ingress-operator -o jsonpath='{range .spec.requiredHSTSPolicies[*]}{.spec.requiredHSTSPolicies.maxAgePolicy.largestMaxAge}{"\n"}{end}'
すべてのルートで HSTS アノテーションを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get route --all-namespaces -o go-template='{{range .items}}{{if .metadata.annotations}}{{$a := index .metadata.annotations "haproxy.router.openshift.io/hsts_header"}}{{$n := .metadata.name}}{{with $a}}Name: {{$n}} HSTS: {{$a}}{{"\n"}}{{else}}{{""}}{{end}}{{end}}{{end}}'
出力例
Name: <_routename_> HSTS: max-age=31536000;preload;includeSubDomains
26.1.5. スループットの問題のトラブルシューティング方法
OpenShift Container Platform でデプロイされるアプリケーションでは、特定のサービス間で非常に長い待ち時間が発生するなど、ネットワークのスループットの問題が生じることがあります。
Pod のログが問題の原因を指摘しない場合は、以下の方法を使用してパフォーマンスの問題を分析します。
ping
またはtcpdump
などのパケットアナライザーを使用して Pod とそのノード間のトラフィックを分析します。たとえば、問題を生じさせる動作を再現している間に各ノードで
tcpdump
ツールを実行 します。両サイトでキャプチャーしたデータを確認し、送信および受信タイムスタンプを比較して Pod への/からのトラフィックの待ち時間を分析します。待ち時間は、ノードのインターフェイスが他の Pod やストレージデバイス、またはデータプレーンからのトラフィックでオーバーロードする場合に OpenShift Container Platform で発生する可能性があります。$ tcpdump -s 0 -i any -w /tmp/dump.pcap host <podip 1> && host <podip 2> 1
- 1
podip
は Pod の IP アドレスです。oc get pod <pod_name> -o wide
コマンドを実行して Pod の IP アドレスを取得します。
tcpdump
は、これらの 2 つの Pod 間のすべてのトラフィックが含まれる/tmp/dump.pcap
のファイルを生成します。ファイルサイズを最小限に抑えるために問題を再現するすぐ前と問題を再現したすぐ後ににアナライザーを実行することが良いでしょう。以下のように ノード間でパケットアナライザーを実行すること もできます (式から SDN を排除する)。$ tcpdump -s 0 -i any -w /tmp/dump.pcap port 4789
ストリーミングのスループットおよび UDP スループットを測定するために
iperf
などの帯域幅測定ツールを使用します。最初に Pod からツールを実行し、次にノードから実行して、ボトルネックを特定します。-
iperf
のインストールおよび使用についての詳細は、こちらの Red Hat ソリューション を参照してください。
-
- 場合によっては、レイテンシーの問題が原因で、クラスターがルーター Pod を含むノードを異常としてマークすることがあります。ワーカーレイテンシープロファイルを使用して、アクションを実行する前にクラスターがノードからステータスの最新情報を受け取る頻度を調節します。
-
クラスターでレイテンシーの低いノードとレイテンシーの高いノードが指定されている場合は、Ingress Controller の
spec.nodePlacement
フィールドを設定して、ルーター Pod の配置を制御します。
26.1.6. Cookie の使用によるルートのステートフル性の維持
OpenShift Container Platform は、すべてのトラフィックを同じエンドポイントにヒットさせることによりステートフルなアプリケーションのトラフィックを可能にするスティッキーセッションを提供します。ただし、エンドポイント Pod が再起動、スケーリング、または設定の変更などによって終了する場合、このステートフル性はなくなります。
OpenShift Container Platform は Cookie を使用してセッションの永続化を設定できます。Ingress Controller はユーザー要求を処理するエンドポイントを選択し、そのセッションの Cookie を作成します。Cookie は要求の応答として戻され、ユーザーは Cookie をセッションの次の要求と共に送り返します。Cookie は Ingress Controller に対し、セッションを処理しているエンドポイントを示し、クライアント要求が Cookie を使用して同じ Pod にルーティングされるようにします。
cookie は、HTTP トラフィックを表示できないので、パススルールートで設定できません。代わりに、送信元 IP アドレスをベースに数が計算され、バックエンドを判断します。
バックエンドが変わると、トラフィックが間違ったサーバーに転送されてしまい、スティッキーではなくなります。送信元 IP を非表示にするロードバランサーを使用している場合は、すべての接続に同じ番号が設定され、トラフィックは同じ Pod に送られます。
26.1.6.1. Cookie を使用したルートのアノテーション
ルート用に自動生成されるデフォルト名を上書きするために Cookie 名を設定できます。これにより、ルートトラフィックを受信するアプリケーションが Cookie 名を認識できるようになります。Cookie を削除すると、次の要求でエンドポイントの再選択が強制的に実行される可能性があります。そのためサーバーがオーバーロードしている場合には、クライアントからの要求を取り除き、それらの再分配を試行します。
手順
指定される cookie 名でルートにアノテーションを付けます。
$ oc annotate route <route_name> router.openshift.io/cookie_name="<cookie_name>"
ここでは、以下のようになります。
<route_name>
- Pod の名前を指定します。
<cookie_name>
- cookie の名前を指定します。
たとえば、ルート
my_route
に cookie 名my_cookie
でアノテーションを付けるには、以下を実行します。$ oc annotate route my_route router.openshift.io/cookie_name="my_cookie"
変数でルートのホスト名を取得します。
$ ROUTE_NAME=$(oc get route <route_name> -o jsonpath='{.spec.host}')
ここでは、以下のようになります。
<route_name>
- Pod の名前を指定します。
cookie を保存してからルートにアクセスします。
$ curl $ROUTE_NAME -k -c /tmp/cookie_jar
ルートに接続する際に、直前のコマンドによって保存される cookie を使用します。
$ curl $ROUTE_NAME -k -b /tmp/cookie_jar
26.1.7. パスベースのルート
パスベースのルートは、URL に対して比較できるパスコンポーネントを指定します。この場合、ルートのトラフィックは HTTP ベースである必要があります。そのため、それぞれが異なるパスを持つ同じホスト名を使用して複数のルートを提供できます。ルーターは、最も具体的なパスの順に基づいてルートと一致する必要があります。
以下の表は、ルートのサンプルおよびそれらのアクセシビリティーを示しています。
ルート | 比較対象 | アクセス可能 |
---|---|---|
www.example.com/test | www.example.com/test | はい |
www.example.com | いいえ | |
www.example.com/test および www.example.com | www.example.com/test | はい |
www.example.com | はい | |
www.example.com | www.example.com/text | Yes (ルートではなく、ホストで一致) |
www.example.com | はい |
パスが 1 つでセキュリティー保護されていないルート
apiVersion: route.openshift.io/v1
kind: Route
metadata:
name: route-unsecured
spec:
host: www.example.com
path: "/test" 1
to:
kind: Service
name: service-name
- 1
- パスは、パスベースのルートに唯一追加される属性です。
ルーターは TLS を終了させず、要求のコンテンツを読み込みことができないので、パスベースのルーティングは、パススルー TLS を使用する場合には利用できません。
26.1.8. HTTP ヘッダーの設定
OpenShift Container Platform は、HTTP ヘッダーを操作するためのさまざまな方法を提供します。ヘッダーを設定または削除する場合、Ingress Controller の特定のフィールドまたは個々のルートを使用して、リクエストヘッダーと応答ヘッダーを変更できます。ルートアノテーションを使用して特定のヘッダーを設定することもできます。ヘッダーを設定するさまざまな方法は、連携時に課題となる可能性があります。
IngressController
または Route
CR 内のヘッダーは設定または削除のみ可能で、追加はできません。HTTP ヘッダーに値が設定されている場合、その値は完全である必要があるため、今後追加する必要はありません。X-Forwarded-For ヘッダーなどのヘッダーを追加することが適切な状況では、spec.httpHeaders.actions
の代わりに spec.httpHeaders.forwardedHeaderPolicy
フィールドを使用します。
26.1.8.1. 優先順位
同じ HTTP ヘッダーを Ingress Controller とルートの両方で変更すると、HAProxy は、それがリクエストヘッダーであるか応答ヘッダーであるかに応じて、特定の方法でアクションの優先順位を付けます。
- HTTP 応答ヘッダーの場合、Ingress Controller で指定されたアクションは、ルートで指定されたアクションの後に実行されます。これは、Ingress Controller で指定されたアクションが優先されることを意味します。
- HTTP リクエストヘッダーの場合、ルートで指定されたアクションは、Ingress Controller で指定されたアクションの後に実行されます。これは、ルートで指定されたアクションが優先されることを意味します。
たとえば、クラスター管理者は、次の設定を使用して、Ingress Controller で X-Frame-Options 応答ヘッダーに値 DENY
を設定します。
IngressController
仕様の例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController # ... spec: httpHeaders: actions: response: - name: X-Frame-Options action: type: Set set: value: DENY
ルート所有者は、クラスター管理者が Ingress Controller に設定したものと同じ応答ヘッダーを設定しますが、次の設定を使用して値 SAMEORIGIN
を設定します。
Route
仕様の例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route # ... spec: httpHeaders: actions: response: - name: X-Frame-Options action: type: Set set: value: SAMEORIGIN
IngressController
仕様と Route
仕様の両方で X-Frame-Options ヘッダーを設定している場合、特定のルートでフレームが許可されている場合でも、Ingress Controller のグローバルレベルでこのヘッダーに設定された値が優先されます。
この優先順位付けは、haproxy.config
ファイルが次のロジックを使用するために発生します。このロジックでは、Ingress Controller がフロントエンドとみなされ、個々のルートがバックエンドとみなされます。フロントエンド設定に適用されるヘッダー値 DENY
は、バックエンドで設定されている値 SAMEORIGIN
で同じヘッダーをオーバーライドします。
frontend public http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' frontend fe_sni http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' frontend fe_no_sni http-response set-header X-Frame-Options 'DENY' backend be_secure:openshift-monitoring:alertmanager-main http-response set-header X-Frame-Options 'SAMEORIGIN'
さらに、Ingress Controller またはルートのいずれかで定義されたアクションは、ルートアノテーションを使用して設定された値をオーバーライドします。
26.1.8.2. 特殊なケースのヘッダー
次のヘッダーは、設定または削除が完全に禁止されているか、特定の状況下で許可されています。
ヘッダー名 | IngressController 仕様を使用して設定可能かどうか | Route 仕様を使用して設定可能かどうか | 不許可の理由 | 別の方法で設定可能かどうか |
---|---|---|---|---|
| いいえ | いいえ |
| いいえ |
| いいえ | はい |
| いいえ |
| いいえ | いいえ |
|
はい: |
| いいえ | いいえ | HAProxy が設定する Cookie は、クライアント接続を特定のバックエンドサーバーにマップするセッション追跡に使用されます。これらのヘッダーの設定を許可すると、HAProxy のセッションアフィニティーが妨げられ、HAProxy の Cookie の所有権が制限される可能性があります。 | はい:
|
26.1.9. ルート内の HTTP リクエストおよびレスポンスヘッダーの設定または削除
コンプライアンス目的またはその他の理由で、特定の HTTP 要求および応答ヘッダーを設定または削除できます。これらのヘッダーは、Ingress Controller によって提供されるすべてのルート、または特定のルートに対して設定または削除できます。
たとえば、ルートを提供する Ingress Controller によってデフォルトのグローバルな場所が指定されている場合でも、コンテンツが複数の言語で記述されていると、Web アプリケーションが特定のルートの別の場所でコンテンツを提供するように指定できます。
以下の手順では Content-Location HTTP リクエストヘッダーを設定するルートを作成し、アプリケーション (https://app.example.com
) に URL が関連付けられ、https://app.example.com/lang/en-us
のロケーションにダイレクトされるようにします。アプリケーショントラフィックをこの場所にダイレクトすると、特定のルートを使用する場合はすべて、アメリカ英語で記載された Web コンテンツにアクセスすることになります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - プロジェクト管理者として OpenShift Container Platform クラスターにログインしている。
- あるポートを公開する Web アプリケーションと、そのポートでトラフィックをリッスンする HTTP または TCP エンドポイントがある。
手順
ルート定義を作成し、
app-example-route.yaml
というファイルに保存します。HTTP ヘッダーディレクティブを使用して作成されたルートの YAML 定義
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route # ... spec: host: app.example.com tls: termination: edge to: kind: Service name: app-example httpHeaders: actions: 1 response: 2 - name: Content-Location 3 action: type: Set 4 set: value: /lang/en-us 5
- 1
- HTTP ヘッダーに対して実行するアクションのリスト。
- 2
- 変更するヘッダーのタイプ。この場合は、応答ヘッダーです。
- 3
- 変更するヘッダーの名前。設定または削除できる使用可能なヘッダーのリストは、HTTP ヘッダーの設定 を参照してください。
- 4
- ヘッダーに対して実行されるアクションのタイプ。このフィールドには、
Set
またはDelete
の値を指定できます。 - 5
- HTTP ヘッダーの設定時は、
値
を指定する必要があります。値は、そのヘッダーで使用可能なディレクティブのリストからの文字列 (例:DENY)
にすることも、HAProxy の動的値構文を使用して解釈される動的値にすることもできます。この場合、値はコンテンツの相対位置に設定されます。
新しく作成したルート定義を使用して、既存の Web アプリケーションへのルートを作成します。
$ oc -n app-example create -f app-example-route.yaml
HTTP リクエストヘッダーの場合、ルート定義で指定されたアクションは、Ingress Controller の HTTP リクエストヘッダーに対して実行されたアクションの後に実行されます。これは、ルート内のこれらのリクエストヘッダーに設定された値が、Ingress Controller に設定された値よりも優先されることを意味します。HTTP ヘッダーの処理順序の詳細は、HTTP ヘッダーの設定 を参照してください。
26.1.10. ルート固有のアノテーション
Ingress Controller は、公開するすべてのルートのデフォルトオプションを設定できます。個別のルートは、アノテーションに個別の設定を指定して、デフォルトの一部を上書きできます。Red Hat では、ルートアノテーションの Operator 管理ルートへの追加はサポートしません。
複数の送信元 IP またはサブネットのホワイトリストを作成するには、スペースで区切られたリストを使用します。他の区切りタイプを使用すると、リストが警告やエラーメッセージなしに無視されます。
変数 | 説明 | デフォルトで使用される環境変数 |
---|---|---|
|
ロードバランシングアルゴリズムを設定します。使用できるオプションは、 |
パススルールートの |
|
関連の接続を追跡する cookie の使用を無効にします。 | |
| このルートに使用するオプションの cookie を指定します。名前は、大文字、小文字、数字、"_" または "-" を任意に組み合わせて指定する必要があります。デフォルトは、ルートのハッシュ化された内部キー名です。 | |
|
ルーターからバッキングされる Pod に対して許容される接続最大数を設定します。 | |
|
| |
|
同じ送信元 IP アドレスで行われる同時 TCP 接続の数を制限します。数値を受け入れます。 | |
|
同じ送信元 IP アドレスを持つクライアントが HTTP 要求を実行できるレートを制限します。数値を受け入れます。 | |
|
同じ送信元 IP アドレスを持つクライアントが TCP 接続を確立するレートを制限します。数値を受け入れます。 | |
| ルートのサーバー側のタイムアウトを設定します。(TimeUnits) |
|
| このタイムアウトは、クリアテキスト、エッジ、再暗号化、またはパススルーのルートを介した WebSocket などトンネル接続に適用されます。cleartext、edge、または reencrypt のルートタイプでは、このアノテーションは、タイムアウト値がすでに存在するタイムアウトトンネルとして適用されます。パススルーのルートタイプでは、アノテーションは既存のタイムアウト値の設定よりも優先されます。 |
|
|
設定できるのは、IngressController または Ingress config です。このアノテーションでは、ルーターを再デプロイし、HA プロキシーが haproxy |
|
| バックエンドのヘルスチェックの間隔を設定します。(TimeUnits) |
|
| ルートの許可リストを設定します。許可リストは、承認したソースアドレスの IP アドレスおよび CIDR 範囲のリストをスペース区切りにしたリストです。許可リストに含まれていない IP アドレスからの要求は破棄されます。
| |
| edge terminated または re-encrypt ルートの Strict-Transport-Security ヘッダーを設定します。 | |
| バックエンドの要求の書き換えパスを設定します。 | |
| Cookie を制限するために値を設定します。値は以下のようになります。
この値は、re-encrypt および edge ルートにのみ適用されます。詳細は、SameSite cookie のドキュメント を参照してください。 | |
|
ルートごとに
|
|
許可リストの IP アドレスと CIDR 範囲の数が 61 を超えると、それらは別のファイルに書き込まれます。このファイルは
haproxy.config
から参照されます。このファイルは、var/lib/haproxy/router/whitelists
フォルダーに保存されます。注記アドレスが許可リストに書き込まれることを確認するには、CIDR 範囲の完全なリストが Ingress Controller 設定ファイルに記載されていることを確認します。etcd オブジェクトサイズ制限は、ルートアノテーションのサイズを制限します。このため、許可リストに追加できる IP アドレスと CIDR 範囲の最大数のしきい値が作成されます。
環境変数を編集することはできません。
ルータータイムアウト変数
TimeUnits
は数字、その後に単位を指定して表現します。 us
*(マイクロ秒)、ms
(ミリ秒、デフォルト)、s
(秒)、m
(分)、h
*(時間)、d
(日)
正規表現: [1-9][0-9]*(us
\|ms
\|s
\|m
\|h
\|d
)
変数 | デフォルト | 説明 |
---|---|---|
|
| バックエンドでの後続の liveness チェックの時間の長さ。 |
|
| クライアントがルートに接続する場合の TCP FIN タイムアウトの期間を制御します。接続切断のために送信された FIN が指定の時間内に応答されない場合は、HAProxy が接続を切断します。小さい値を設定し、ルーターでリソースをあまり使用していない場合には、リスクはありません。 |
|
| クライアントがデータを確認するか、送信するための時間の長さ。 |
|
| 最大接続時間。 |
|
| ルーターからルートをバッキングする Pod の TCP FIN タイムアウトを制御します。 |
|
| サーバーがデータを確認するか、送信するための時間の長さ。 |
|
| TCP または WebSocket 接続が開放された状態で保つ時間数。このタイムアウト期間は、HAProxy が再読み込みされるたびにリセットされます。 |
|
|
新しい HTTP 要求が表示されるまで待機する最大時間を設定します。この値が低すぎる場合には、ブラウザーおよびアプリケーションの
有効なタイムアウト値には、想定した個別のタイムアウトではなく、特定の変数を合計した値に指定することができます。たとえば、 |
|
| HTTP 要求の伝送にかかる時間。 |
|
| ルーターがリロードし、新規の変更を受け入れる最小の頻度を許可します。 |
|
| HAProxy メトリクスの収集タイムアウト。 |
ルート設定のカスタムタイムアウト
apiVersion: route.openshift.io/v1
kind: Route
metadata:
annotations:
haproxy.router.openshift.io/timeout: 5500ms 1
...
- 1
- HAProxy 対応の単位 (
us
、ms
、s
、m
、h
、d
) で新規のタイムアウトを指定します。単位が指定されていない場合は、ms
がデフォルトになります。
パススルールートのサーバー側のタイムアウト値を低く設定し過ぎると、WebSocket 接続がそのルートで頻繁にタイムアウトする可能性があります。
特定の IP アドレスを 1 つだけ許可するルート
metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.10
複数の IP アドレスを許可するルート
metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.10 192.168.1.11 192.168.1.12
IP アドレスの CIDR ネットワークを許可するルート
metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.0/24
IP アドレスと IP アドレスの CIDR ネットワークの両方を許可するルート
metadata: annotations: haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 180.5.61.153 192.168.1.0/24 10.0.0.0/8
書き換えターゲットを指定するルート
apiVersion: route.openshift.io/v1
kind: Route
metadata:
annotations:
haproxy.router.openshift.io/rewrite-target: / 1
...
- 1
- バックエンドの要求の書き換えパスとして
/
を設定します。
ルートに haproxy.router.openshift.io/rewrite-target
アノテーションを設定すると、要求をバックエンドアプリケーションに転送する前に Ingress Controller がこのルートを使用して HTTP 要求のパスを書き換える必要があることを指定します。spec.path
で指定されたパスに一致する要求パスの一部は、アノテーションで指定された書き換えターゲットに置き換えられます。
以下の表は、spec.path
、要求パス、および書き換えターゲットの各種の組み合わせに関するパスの書き換え動作の例を示しています。
Route.spec.path | 要求パス | 書き換えターゲット | 転送された要求パス |
---|---|---|---|
/foo | /foo | / | / |
/foo | /foo/ | / | / |
/foo | /foo/bar | / | /bar |
/foo | /foo/bar/ | / | /bar/ |
/foo | /foo | /bar | /bar |
/foo | /foo/ | /bar | /bar/ |
/foo | /foo/bar | /baz | /baz/bar |
/foo | /foo/bar/ | /baz | /baz/bar/ |
/foo/ | /foo | / | 該当なし (要求パスがルートパスに一致しない) |
/foo/ | /foo/ | / | / |
/foo/ | /foo/bar | / | /bar |
26.1.11. ルートの受付ポリシーの設定
管理者およびアプリケーション開発者は、同じドメイン名を持つ複数の namespace でアプリケーションを実行できます。これは、複数のチームが同じホスト名で公開されるマイクロサービスを開発する組織を対象としています。
複数の namespace での要求の許可は、namespace 間の信頼のあるクラスターに対してのみ有効にする必要があります。有効にしないと、悪意のあるユーザーがホスト名を乗っ取る可能性があります。このため、デフォルトの受付ポリシーは複数の namespace 間でのホスト名の要求を許可しません。
前提条件
- クラスター管理者の権限。
手順
以下のコマンドを使用して、
ingresscontroller
リソース変数の.spec.routeAdmission
フィールドを編集します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"routeAdmission":{"namespaceOwnership":"InterNamespaceAllowed"}}}' --type=merge
イメージコントローラー設定例
spec: routeAdmission: namespaceOwnership: InterNamespaceAllowed ...
ヒントまたは、以下の YAML を適用してルートの受付ポリシーを設定できます。
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: routeAdmission: namespaceOwnership: InterNamespaceAllowed
26.1.12. Ingress オブジェクトを使用したルートの作成
一部のエコシステムコンポーネントには Ingress リソースとの統合機能がありますが、ルートリソースとは統合しません。これに対応するために、OpenShift Container Platform は Ingress オブジェクトの作成時に管理されるルートオブジェクトを自動的に作成します。これらのルートオブジェクトは、対応する Ingress オブジェクトが削除されると削除されます。
手順
OpenShift Container Platform コンソールで Ingress オブジェクトを定義するか、
oc create
コマンドを実行します。Ingress の YAML 定義
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: frontend annotations: route.openshift.io/termination: "reencrypt" 1 route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret: secret-ca-cert 2 spec: rules: - host: www.example.com 3 http: paths: - backend: service: name: frontend port: number: 443 path: / pathType: Prefix tls: - hosts: - www.example.com secretName: example-com-tls-certificate
- 1
route.openshift.io/termination
アノテーションは、Route
のspec.tls.termination
フィールドを設定するために使用できます。Ingress
にはこのフィールドがありません。許可される値はedge
、passthrough
、およびreencrypt
です。その他のすべての値は警告なしに無視されます。アノテーション値が設定されていない場合は、edge
がデフォルトルートになります。デフォルトのエッジルートを実装するには、TLS 証明書の詳細をテンプレートファイルで定義する必要があります。- 3
Ingress
オブジェクトを操作する場合、ルートを操作する場合とは異なり、明示的なホスト名を指定する必要があります。<host_name>.<cluster_ingress_domain>
構文 (apps.openshiftdemos.com
など) を使用して、*.<cluster_ingress_domain>
ワイルドカード DNS レコードとクラスターのサービング証明書を利用できます。それ以外の場合は、選択したホスト名の DNS レコードがあることを確認する必要があります。route.openshift.io/termination
アノテーションでpassthrough
の値を指定する場合は、仕様でpath
を''
に設定し、pathType
をImplementationSpecific
に設定します。spec: rules: - host: www.example.com http: paths: - path: '' pathType: ImplementationSpecific backend: service: name: frontend port: number: 443
$ oc apply -f ingress.yaml
- 2
route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret
を Ingress オブジェクトで使用して、カスタム宛先証明書 (CA) でルートを定義できます。アノテーションは、生成されたルートに挿入される kubernetes シークレットsecret-ca-cert
を参照します。-
Ingress オブジェクトから宛先 CA を使用してルートオブジェクトを指定するには、シークレットの
data.tls.crt
指定子に PEM エンコード形式の証明書を使用してkubernetes.io/tls
またはOpaque
タイプのシークレットを作成する必要があります。
-
Ingress オブジェクトから宛先 CA を使用してルートオブジェクトを指定するには、シークレットの
ルートを一覧表示します。
$ oc get routes
結果には、
frontend-
で始まる名前の自動生成ルートが含まれます。NAME HOST/PORT PATH SERVICES PORT TERMINATION WILDCARD frontend-gnztq www.example.com frontend 443 reencrypt/Redirect None
このルートを検査すると、以下のようになります。
自動生成されるルートの YAML 定義
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: frontend-gnztq ownerReferences: - apiVersion: networking.k8s.io/v1 controller: true kind: Ingress name: frontend uid: 4e6c59cc-704d-4f44-b390-617d879033b6 spec: host: www.example.com path: / port: targetPort: https tls: certificate: | -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- insecureEdgeTerminationPolicy: Redirect key: | -----BEGIN RSA PRIVATE KEY----- [...] -----END RSA PRIVATE KEY----- termination: reencrypt destinationCACertificate: | -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- to: kind: Service name: frontend
26.1.13. Ingress オブジェクトを介してデフォルトの証明書を使用してルートを作成する
TLS 設定を指定せずに Ingress オブジェクトを作成すると、OpenShift Container Platform は安全でないルートを生成します。デフォルトの Ingress 証明書を使用してセキュアなエッジ終端ルートを生成する Ingress オブジェクトを作成するには、次のように空の TLS 設定を指定できます。
前提条件
- 公開したいサービスがあります。
-
OpenShift CLI (
oc
) にアクセスできる。
手順
Ingress オブジェクトの YAML ファイルを作成します。この例では、ファイルの名前は
example-ingress.yaml
です。Ingress オブジェクトの YAML 定義
apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: frontend ... spec: rules: ... tls: - {} 1
- 1
- この正確な構文を使用して、カスタム証明書を指定せずに TLS を指定します。
次のコマンドを実行して、Ingress オブジェクトを作成します。
$ oc create -f example-ingress.yaml
検証
以下のコマンドを実行して、OpenShift Container Platform が Ingress オブジェクトの予期されるルートを作成したことを確認します。
$ oc get routes -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: frontend-j9sdd 1 ... spec: ... tls: 2 insecureEdgeTerminationPolicy: Redirect termination: edge 3 ...
26.1.14. Ingress アノテーションでの宛先 CA 証明書を使用したルート作成
route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret
アノテーションを Ingress オブジェクトで使用して、カスタム宛先 CA 証明書でルートを定義できます。
前提条件
- PEM エンコードされたファイルで証明書/キーのペアを持つことができます。ここで、証明書はルートホストに対して有効となっています。
- 証明書チェーンを完了する PEM エンコードされたファイルの別の CA 証明書が必要です。
- PEM エンコードされたファイルの別の宛先 CA 証明書が必要です。
- 公開する必要のあるサービスが必要です。
手順
route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret
を Ingress アノテーションに追加します。apiVersion: networking.k8s.io/v1 kind: Ingress metadata: name: frontend annotations: route.openshift.io/termination: "reencrypt" route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret: secret-ca-cert 1 ...
- 1
- アノテーションは kubernetes シークレットを参照します。
このアノテーションで参照されているシークレットは、生成されたルートに挿入されます。
出力例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: frontend annotations: route.openshift.io/termination: reencrypt route.openshift.io/destination-ca-certificate-secret: secret-ca-cert spec: ... tls: insecureEdgeTerminationPolicy: Redirect termination: reencrypt destinationCACertificate: | -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- ...
26.1.15. デュアルスタックネットワーク用の OpenShift Container Platform Ingress Controller の設定
OpenShift Container Platform クラスターが IPv4 および IPv6 デュアルスタックネットワーク用に設定されている場合、クラスターは OpenShift Container Platform ルートによって外部からアクセス可能です。
Ingress Controller は、IPv4 エンドポイントと IPv6 エンドポイントの両方を持つサービスを自動的に提供しますが、シングルスタックまたはデュアルスタックサービス用に Ingress Controller を設定できます。
前提条件
- ベアメタルに OpenShift Container Platform クラスターをデプロイしていること。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
Ingress Controller が、IPv4 / IPv6 を介してトラフィックをワークロードに提供するようにするには、
ipFamilies
フィールドおよびipFamilyPolicy
フィールドを設定して、サービス YAML ファイルを作成するか、既存のサービス YAML ファイルを変更します。以下に例を示します。サービス YAML ファイルの例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: creationTimestamp: yyyy-mm-ddT00:00:00Z labels: name: <service_name> manager: kubectl-create operation: Update time: yyyy-mm-ddT00:00:00Z name: <service_name> namespace: <namespace_name> resourceVersion: "<resource_version_number>" selfLink: "/api/v1/namespaces/<namespace_name>/services/<service_name>" uid: <uid_number> spec: clusterIP: 172.30.0.0/16 clusterIPs: 1 - 172.30.0.0/16 - <second_IP_address> ipFamilies: 2 - IPv4 - IPv6 ipFamilyPolicy: RequireDualStack 3 ports: - port: 8080 protocol: TCP targetport: 8080 selector: name: <namespace_name> sessionAffinity: None type: ClusterIP status: loadbalancer: {}
これらのリソースは、対応する
endpoints
を生成します。Ingress Controller は、endpointslices
を監視するようになりました。endpoints
を表示するには、以下のコマンドを入力します。$ oc get endpoints
endpointslices
を表示するには、以下のコマンドを入力します。$ oc get endpointslices
26.2. セキュリティー保護されたルート
セキュアなルートは、複数の TLS 終端タイプを使用してクライアントに証明書を提供できます。以下のセクションでは、カスタム証明書を使用して re-encrypt、edge、および passthrough ルートを作成する方法を説明します。
パブリックエンドポイントを使用して Microsoft Azure にルートを作成する場合、リソース名は制限されます。特定の用語を使用するリソースを作成することはできません。Azure が制限する語のリストは、Azure ドキュメントの Resolve reserved resource name errors を参照してください。
26.2.1. カスタム証明書を使用した re-encrypt ルートの作成
oc create route
コマンドを使用し、カスタム証明書と共に reencrypt TLS termination を使用してセキュアなルートを設定できます。
前提条件
- PEM エンコードされたファイルに証明書/キーのペアが必要です。ここで、証明書はルートホストに対して有効となっています。
- 証明書チェーンを完了する PEM エンコードされたファイルの別の CA 証明書が必要です。
- PEM エンコードされたファイルの別の宛先 CA 証明書が必要です。
- 公開する必要のあるサービスが必要です。
パスワードで保護されるキーファイルはサポートされません。キーファイルからパスフレーズを削除するには、以下のコマンドを使用します。
$ openssl rsa -in password_protected_tls.key -out tls.key
手順
この手順では、カスタム証明書および reencrypt TLS termination を使用して Route
リソースを作成します。以下では、証明書/キーのペアが現在の作業ディレクトリーの tls.crt
および tls.key
ファイルにあることを前提としています。また、Ingress Controller がサービスの証明書を信頼できるように宛先 CA 証明書を指定する必要もあります。必要な場合には、証明書チェーンを完了するために CA 証明書を指定することもできます。tls.crt
、tls.key
、cacert.crt
、および (オプションで) ca.crt
を実際のパス名に置き換えます。frontend
を、公開する必要のある Service
リソースに置き換えます。www.example.com
を適切な名前に置き換えます。
reencrypt TLS 終端およびカスタム証明書を使用してセキュアな
Route
リソースを作成します。$ oc create route reencrypt --service=frontend --cert=tls.crt --key=tls.key --dest-ca-cert=destca.crt --ca-cert=ca.crt --hostname=www.example.com
結果として生成される
Route
リソースを検査すると、以下のようになります。セキュアなルートの YAML 定義
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: frontend spec: host: www.example.com to: kind: Service name: frontend tls: termination: reencrypt key: |- -----BEGIN PRIVATE KEY----- [...] -----END PRIVATE KEY----- certificate: |- -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- caCertificate: |- -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- destinationCACertificate: |- -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE-----
他のオプションは、
oc create route reencrypt --help
を参照してください。
26.2.2. カスタム証明書を使用した edge ルートの作成
oc create route
コマンドを使用し、edge TLS termination とカスタム証明書を使用してセキュアなルートを設定できます。edge ルートの場合、Ingress Controller は、トラフィックを宛先 Pod に転送する前に TLS 暗号を終了します。ルートは、Ingress Controller がルートに使用する TLS 証明書およびキーを指定します。
前提条件
- PEM エンコードされたファイルに証明書/キーのペアが必要です。ここで、証明書はルートホストに対して有効となっています。
- 証明書チェーンを完了する PEM エンコードされたファイルの別の CA 証明書が必要です。
- 公開する必要のあるサービスが必要です。
パスワードで保護されるキーファイルはサポートされません。キーファイルからパスフレーズを削除するには、以下のコマンドを使用します。
$ openssl rsa -in password_protected_tls.key -out tls.key
手順
この手順では、カスタム証明書および edge TLS termination を使用して Route
リソースを作成します。以下では、証明書/キーのペアが現在の作業ディレクトリーの tls.crt
および tls.key
ファイルにあることを前提としています。必要な場合には、証明書チェーンを完了するために CA 証明書を指定することもできます。tls.crt
、tls.key
、および (オプションで) ca.crt
を実際のパス名に置き換えます。frontend
を、公開する必要のあるサービスの名前に置き換えます。www.example.com
を適切な名前に置き換えます。
edge TLS termination およびカスタム証明書を使用して、セキュアな
Route
リソースを作成します。$ oc create route edge --service=frontend --cert=tls.crt --key=tls.key --ca-cert=ca.crt --hostname=www.example.com
結果として生成される
Route
リソースを検査すると、以下のようになります。セキュアなルートの YAML 定義
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: frontend spec: host: www.example.com to: kind: Service name: frontend tls: termination: edge key: |- -----BEGIN PRIVATE KEY----- [...] -----END PRIVATE KEY----- certificate: |- -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE----- caCertificate: |- -----BEGIN CERTIFICATE----- [...] -----END CERTIFICATE-----
他のオプションは、
oc create route edge --help
を参照してください。
26.2.3. passthrough ルートの作成
oc create route
コマンドを使用し、passthrough termination を使用してセキュアなルートを設定できます。passthrough termination では、暗号化されたトラフィックが TLS 終端を提供するルーターなしに宛先に直接送信されます。そのため、ルートでキーや証明書は必要ありません。
前提条件
- 公開する必要のあるサービスが必要です。
手順
Route
リソースを作成します。$ oc create route passthrough route-passthrough-secured --service=frontend --port=8080
結果として生成される
Route
リソースを検査すると、以下のようになります。passthrough termination を使用したセキュリティー保護されたルート
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: name: route-passthrough-secured 1 spec: host: www.example.com port: targetPort: 8080 tls: termination: passthrough 2 insecureEdgeTerminationPolicy: None 3 to: kind: Service name: frontend
宛先 Pod は、エンドポイントでトラフィックに証明書を提供します。これは、必須となるクライアント証明書をサポートするための唯一の方法です (相互認証とも呼ばれる)。
第27章 ingress クラスタートラフィックの設定
27.1. Ingress クラスタートラフィックの設定の概要
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする以下の方法を提供します。
以下の方法が推奨されます。以下は、これらの方法の優先される順です。
- HTTP/HTTPS を使用する場合は Ingress Controller を使用する。
- HTTPS 以外の TLS で暗号化されたプロトコルを使用する場合、たとえば、SNI ヘッダーを使用する TLS の場合は、Ingress Controller を使用します。
-
それ以外の場合は、ロードバランサー、外部 IP、または
NodePort
を使用します。
方法 | 目的 |
---|---|
HTTP/HTTPS トラフィックおよび HTTPS 以外の TLS で暗号化されたプロトコル (TLS と SNI ヘッダーの使用など) へのアクセスを許可します。 | |
プールから割り当てられた IP アドレスを使用した非標準ポートへのトラフィックを許可します。ほとんどのクラウドプラットフォームは、ロードバランサーの IP アドレスでサービスを開始する方法を提供します。 | |
マシンネットワーク上のプールから特定の IP アドレスまたはアドレスへのトラフィックを許可します。ベアメタルインストールまたはベアメタルのようなプラットフォームの場合、MetalLB は、ロードバランサーの IP アドレスを使用してサービスを開始する方法を提供します。 | |
特定の IP アドレスを使用した非標準ポートへのトラフィックを許可します。 | |
クラスターのすべてのノードでサービスを公開します。 |
27.1.1. 比較: 外部 IP アドレスへのフォールトトレランスアクセス
外部 IP アドレスへのアクセスを提供する通信メソッドの場合、IP アドレスへのフォールトトレランスアクセスは別の考慮事項となります。以下の機能は、外部 IP アドレスへのフォールトトレランスアクセスを提供します。
- IP フェイルオーバー
- IP フェイルオーバーはノードセットの仮想 IP アドレスのプールを管理します。これは、Keepalived および Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP) で実装されます。IP フェイルオーバーはレイヤー 2 のメカニズムのみで、マルチキャストに依存します。マルチキャストには、一部のネットワークに欠点がある場合があります。
- MetalLB
- MetalLB にはレイヤー 2 モードがありますが、マルチキャストは使用されません。レイヤー 2 モードには、1 つのノードで外部 IP アドレスのトラフィックをすべて転送する欠点があります。
- 外部 IP アドレスの手動割り当て
- クラスターを、外部 IP アドレスをサービスに割り当てるために使用される IP アドレスブロックで設定できます。デフォルトでは、この機能は無効にされています。この機能は柔軟性がありますが、クラスターまたはネットワーク管理者に最大の負担をかけます。クラスターは、外部 IP 宛てのトラフィックを受信する準備ができていますが、各顧客は、トラフィックをノードにルーティングする方法を決定する必要があります。
27.2. サービスの ExternalIP の設定
クラスター管理者は、トラフィックをクラスター内のサービスに送信できるクラスター外の IP アドレスブロックを指定できます。
この機能は通常、ベアメタルハードウェアにインストールされているクラスターに最も役立ちます。
27.2.1. 前提条件
- ネットワークインフラストラクチャーは、外部 IP アドレスのトラフィックをクラスターにルーティングする必要があります。
27.2.2. ExternalIP について
クラウド以外の環境では、OpenShift Container Platform は ExternalIP 機能を使用して外部 IP アドレスの Service
オブジェクトの spec.externalIPs[]
フィールドへの割り当てをサポートします。このフィールドを設定すると、OpenShift Container Platform は追加の仮想 IP アドレスをサービスに割り当てます。IP アドレスは、クラスターに定義されたサービスネットワーク外に指定できます。type=NodePort
が設定されたサービスと同様に ExternalIP 機能で設定されたサービスにより、トラフィックを負荷分散のためにローカルノードに転送することができます。
ネットワークインフラストラクチャーを設定し、定義する外部 IP アドレスブロックがクラスターにルーティングされるようにする必要があります。そのため、IP アドレスがノードのネットワークインターフェイスに設定されません。トラフィックを処理するには、静的な Address Resolution Protocol (ARP) エントリーなどの方法を使用して、ルーティングと外部 IP へのアクセスを設定する必要があります。
OpenShift Container Platform は以下の機能を追加して Kubernetes の ExternalIP 機能を拡張します。
- 設定可能なポリシーでの、ユーザーによる外部 IP アドレスの使用の制限
- 要求時の外部 IP アドレスのサービスへの自動割り当て
ExternalIP 機能の使用はデフォルトで無効にされます。これは、外部 IP アドレスへのクラスター内のトラフィックがそのサービスにダイレクトされるため、セキュリティー上のリスクを生じさせる可能性があります。これにより、クラスターユーザーは外部リソースに関する機密性の高いトラフィックをインターセプトできるようになります。
この機能は、クラウド以外のデプロイメントでのみサポートされます。クラウドデプロイメントの場合、クラウドの自動デプロイメントのためにロードバランサーサービスを使用し、サービスのエンドポイントをターゲットに設定します。
MetalLB 実装または IP フェイルオーバーデプロイメントのいずれかを使用して、次の方法で ExternalIP リソースをサービスに接続できます。
- 外部 IP の自動割り当て
-
OpenShift Container Platform は、
spec.type=LoadBalancer
を設定してService
オブジェクトを作成する際に、IP アドレスをautoAssignCIDRs
CIDR ブロックからspec.externalIPs[]
配列に自動的に割り当てます。この場合、OpenShift Container Platform はロードバランサーサービスタイプのクラウド以外のバージョンを実装し、IP アドレスをサービスに割り当てます。自動割り当てはデフォルトで無効にされており、以下のセクションで説明されているように、これはクラスター管理者が設定する必要があります。 - 外部 IP の手動割り当て
-
OpenShift Container Platform は
Service
オブジェクトの作成時にspec.externalIPs[]
配列に割り当てられた IP アドレスを使用します。別のサービスによってすでに使用されている IP アドレスを指定することはできません。
27.2.2.1. ExternalIP の設定
OpenShift Container Platform での外部 IP アドレスの使用は、cluster
という名前の Network.config.openshift.io
CR の以下のフィールドで管理されます。
-
spec.externalIP.autoAssignCIDRs
は、サービスの外部 IP アドレスを選択する際にロードバランサーによって使用される IP アドレスブロックを定義します。OpenShift Container Platform は、自動割り当て用の単一 IP アドレスブロックのみをサポートします。これは、ExternalIP をサービスに手動で割り当てる際に、制限された数の共有 IP アドレスのポート領域を管理しなくてはならない場合よりも単純になります。自動割り当てが有効な場合には、spec.type=LoadBalancer
が設定されたService
オブジェクトには外部 IP アドレスが割り当てられます。 -
spec.externalIP.policy
は、IP アドレスを手動で指定する際に許容される IP アドレスブロックを定義します。OpenShift Container Platform は、spec.externalIP.autoAssignCIDRs
で定義される IP アドレスブロックにポリシールールを適用しません。
ルーティングが正しく行われると、設定された外部 IP アドレスブロックからの外部トラフィックは、サービスが公開する TCP ポートまたは UDP ポートを介してサービスのエンドポイントに到達できます。
クラスター管理者は、OpenShiftSDN ネットワークタイプと OVN-Kubernetes ネットワークタイプの両方で externalIP へのルーティングを設定する必要があります。割り当てる IP アドレスブロックがクラスター内の 1 つ以上のノードで終了することを確認する必要もあります。詳細は、Kubernetes External IPs を参照してください。
OpenShift Container Platform は IP アドレスの自動および手動割り当ての両方をサポートしており、それぞれのアドレスは 1 つのサービスの最大数に割り当てられることが保証されます。これにより、各サービスは、ポートが他のサービスで公開されているかによらず、自らの選択したポートを公開できます。
OpenShift Container Platform の autoAssignCIDRs
で定義された IP アドレスブロックを使用するには、ホストのネットワークに必要な IP アドレスの割り当ておよびルーティングを設定する必要があります。
以下の YAML は、外部 IP アドレスが設定されたサービスを説明しています。
spec.externalIPs[]
が設定された Service
オブジェクトの例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: http-service spec: clusterIP: 172.30.163.110 externalIPs: - 192.168.132.253 externalTrafficPolicy: Cluster ports: - name: highport nodePort: 31903 port: 30102 protocol: TCP targetPort: 30102 selector: app: web sessionAffinity: None type: LoadBalancer status: loadBalancer: ingress: - ip: 192.168.132.253
27.2.2.2. 外部 IP アドレスの割り当ての制限
クラスター管理者は、IP アドレスブロックを指定して許可および拒否できます。
制限は、cluster-admin
権限を持たないユーザーにのみ適用されます。クラスター管理者は、サービスの spec.externalIPs[]
フィールドを任意の IP アドレスに常に設定できます。
spec.ExternalIP.policy
フィールドを指定して、policy
オブジェクトが定義された IP アドレスポリシーを設定します。ポリシーオブジェクトには以下の形があります。
{ "policy": { "allowedCIDRs": [], "rejectedCIDRs": [] } }
ポリシーの制限を設定する際に、以下のルールが適用されます。
-
policy={}
が設定される場合、spec.ExternalIPs[]
が設定されているService
オブジェクトの作成は失敗します。これは OpenShift Container Platform のデフォルトです。policy=null
が設定される動作は同一です。 policy
が設定され、policy.allowedCIDRs[]
またはpolicy.rejectedCIDRs[]
のいずれかが設定される場合、以下のルールが適用されます。-
allowedCIDRs[]
とrejectedCIDRs[]
の両方が設定される場合、rejectedCIDRs[]
がallowedCIDRs[]
よりも優先されます。 -
allowedCIDRs[]
が設定される場合、spec.ExternalIPs[]
が設定されているService
オブジェクトの作成は、指定された IP アドレスが許可される場合にのみ正常に実行されます。 -
rejectedCIDRs[]
が設定される場合、spec.ExternalIPs[]
が設定されているService
オブジェクトの作成は、指定された IP アドレスが拒否されていない場合にのみ正常に実行されます。
-
27.2.2.3. ポリシーオブジェクトの例
以下に続く例では、複数のポリシー設定の例を示します。
以下の例では、ポリシーは OpenShift Container Platform が外部 IP アドレスが指定されたサービスを作成するのを防ぎます。
Service
オブジェクトのspec.externalIPs[]
に指定された値を拒否するポリシーの例apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: externalIP: policy: {} ...
以下の例では、
allowedCIDRs
およびrejectedCIDRs
フィールドの両方が設定されます。許可される、および拒否される CIDR ブロックの両方を含むポリシーの例
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: externalIP: policy: allowedCIDRs: - 172.16.66.10/23 rejectedCIDRs: - 172.16.66.10/24 ...
以下の例では、
policy
はnull
に設定されます。null
に設定されている場合、oc get networks.config.openshift.io -o yaml
を入力して設定オブジェクトを検査する際に、policy
フィールドは出力に表示されません。Service
オブジェクトのspec.externalIPs[]
に指定された値を許可するポリシーの例apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: externalIP: policy: null ...
27.2.3. ExternalIP アドレスブロックの設定
ExternalIP アドレスブロックの設定は、cluster
という名前の Network カスタムリソース (CR) で定義されます。ネットワーク CR は config.openshift.io
API グループに含まれます。
クラスターのインストール時に、Cluster Version Operator (CVO) は cluster
という名前のネットワーク CR を自動的に作成します。このタイプのその他の CR オブジェクトの作成はサポートされていません。
以下の YAML は ExternalIP 設定を説明しています。
cluster
という名前の network.config.openshift.io CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: externalIP: autoAssignCIDRs: [] 1 policy: 2 ...
以下の YAML は、policy
スタンザのフィールドを説明しています。
Network.config.openshift.io policy
スタンザ
policy: allowedCIDRs: [] 1 rejectedCIDRs: [] 2
外部 IP 設定の例
外部 IP アドレスプールの予想される複数の設定が以下の例で表示されています。
以下の YAML は、自動的に割り当てられた外部 IP アドレスを有効にする設定を説明しています。
spec.externalIP.autoAssignCIDRs
が設定された設定例apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: ... externalIP: autoAssignCIDRs: - 192.168.132.254/29
以下の YAML は、許可された、および拒否された CIDR 範囲のポリシールールを設定します。
spec.externalIP.policy
が設定された設定例apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: ... externalIP: policy: allowedCIDRs: - 192.168.132.0/29 - 192.168.132.8/29 rejectedCIDRs: - 192.168.132.7/32
27.2.4. クラスターの外部 IP アドレスブロックの設定
クラスター管理者は、以下の ExternalIP を設定できます。
-
Service
オブジェクトのspec.clusterIP
フィールドを自動的に設定するために OpenShift Container Platform によって使用される ExternalIP アドレスブロック。 -
IP アドレスを制限するポリシーオブジェクトは
Service
オブジェクトのspec.clusterIP
配列に手動で割り当てられます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
オプション: 現在の外部 IP 設定を表示するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc describe networks.config cluster
設定を編集するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc edit networks.config cluster
以下の例のように ExternalIP 設定を変更します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: ... externalIP: 1 ...
- 1
externalIP
スタンザの設定を指定します。
更新された ExternalIP 設定を確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get networks.config cluster -o go-template='{{.spec.externalIP}}{{"\n"}}'
27.2.5. 次のステップ
27.3. Ingress Controller を使用した Ingress クラスターの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。この方法は Ingress Controller を使用します。
27.3.1. Ingress Controller およびルートの使用
Ingress Operator は Ingress Controller およびワイルドカード DNS を管理します。
Ingress Controller の使用は、最も一般的な、OpenShift Container Platform クラスターへの外部アクセスを許可する方法です。
Ingress Controller は外部要求を許可し、設定されたルートに基づいてそれらをプロキシー送信するよう設定されます。これは、HTTP、SNI を使用する HTTPS、SNI を使用する TLS に限定されており、SNI を使用する TLS で機能する Web アプリケーションやサービスには十分な設定です。
管理者と連携して Ingress Controller を設定します。外部要求を許可し、設定されたルートに基づいてそれらをプロキシー送信するように Ingress Controller を設定します。
管理者はワイルドカード DNS エントリーを作成してから Ingress Controller を設定できます。その後は管理者に問い合わせることなく edge Ingress Controller と連携できます。
デフォルトで、クラスター内のすべての Ingress Controller はクラスター内の任意のプロジェクトで作成されたすべてのルートを許可します。
Ingress Controller:
- デフォルトでは 2 つのレプリカがあるので、これは 2 つのワーカーノードで実行する必要があります。
- 追加のノードにレプリカを組み込むためにスケールアップすることができます。
このセクションの手順では、クラスターの管理者が事前に行っておく必要のある前提条件があります。
27.3.2. 前提条件
以下の手順を開始する前に、管理者は以下の条件を満たしていることを確認する必要があります。
- 要求がクラスターに到達できるように、クラスターネットワーク環境に対して外部ポートをセットアップします。
クラスター管理者ロールを持つユーザーが 1 名以上いることを確認します。このロールをユーザーに追加するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm policy add-cluster-role-to-user cluster-admin username
- 1 つ以上のマスターと 1 つ以上のノードを持つ OpenShift Container Platform クラスターと、クラスターへのネットワークアクセス権を持つクラスター外部のシステムを用意します。この手順では、外部システムがクラスターと同じサブセットにあることを前提とします。別のサブセットの外部システムに必要な追加のネットワーク設定については、このトピックでは扱いません。
27.3.3. プロジェクトおよびサービスの作成
公開するプロジェクトとサービスが存在しない場合は、プロジェクトを作成してからサービスを作成します。
プロジェクトとサービスがすでに存在する場合は、サービスを公開してルートを作成する手順に進みます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールし、クラスター管理者としてログインしている。
手順
oc new-project
コマンドを実行して、サービス用の新しいプロジェクトを作成します。$ oc new-project <project_name>
oc new-app
コマンドを使用してサービスを作成します。$ oc new-app nodejs:12~https://github.com/sclorg/nodejs-ex.git
サービスが作成されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get svc -n <project_name>
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE nodejs-ex ClusterIP 172.30.197.157 <none> 8080/TCP 70s
注記デフォルトで、新規サービスには外部 IP アドレスがありません。
27.3.4. ルートの作成によるサービスの公開
oc expose
コマンドを使用して、サービスをルートとして公開することができます。
前提条件
- OpenShift Container Platform にログインしている。
手順
公開するサービスが置かれているプロジェクトにログインします。
$ oc project <project_name>
oc expose service
コマンドを実行して、ルートを公開します。$ oc expose service nodejs-ex
出力例
route.route.openshift.io/nodejs-ex exposed
サービスが公開されていることを確認するには、
curl
などのツールを使用して、クラスター外からサービスにアクセスできることを確認します。ルートのホスト名を見つけるには、次のコマンドを入力します。
$ oc get route
出力例
NAME HOST/PORT PATH SERVICES PORT TERMINATION WILDCARD nodejs-ex nodejs-ex-myproject.example.com nodejs-ex 8080-tcp None
ホストが GET 要求に応答することを確認するには、次のコマンドを入力します。
curl
コマンドの例$ curl --head nodejs-ex-myproject.example.com
出力例
HTTP/1.1 200 OK ...
27.3.5. OpenShift Container Platform での Ingress シャーディング
OpenShift Container Platform では、Ingress Controller はすべてのルートを提供することも、ルートのサブセットを提供することもできます。デフォルトでは、Ingress Controller は、クラスター内の任意の namespace で作成されたすべてのルートを提供します。別の Ingress Controller をクラスターに追加して、選択した特性に基づくルートのサブセットである シャード を作成することにより、ルーティングを最適化できます。ルートをシャードのメンバーとしてマークするには、ルートまたは namespace の メタデータ
フィールドでラベルを使用します。Ingress Controller は、選択式 とも呼ばれる セレクター を使用して、ルートのプール全体からルートのサブセットを選択し、サービスを提供します。
Ingress シャーディングは、受信トラフィックを複数の Ingress Controller 間で負荷分散する場合に、トラフィックを分離して特定の Ingress Controller にルーティングする場合、または次のセクションで説明する他のさまざまな理由で役立ちます。
デフォルトでは、各ルートはクラスターのデフォルトドメインを使用します。ただし、代わりにルーターのドメインを使用するようにルートを設定できます。
27.3.6. Ingress Controller のシャード化
Ingress シャーディング (ルーターシャーディングとも呼ばれます) を使用して、ルート、namespace、またはその両方にラベルを追加することで、一連のルートを複数のルーターに分散できます。Ingress Controller は、対応する一連のセレクターを使用して、指定されたラベルが含まれるルートのみを許可します。各 Ingress シャードは、特定の選択式を使用してフィルタリングされたルートで構成されます。
トラフィックがクラスターに送信される主要なメカニズムとして、Ingress Controller への要求が大きくなる可能性があります。クラスター管理者は、以下を実行するためにルートをシャード化できます。
- Ingress Controller またはルーターを複数のルートに分散し、変更に対する応答を加速します。
- 特定のルートを他のルートとは異なる信頼性の保証を持つように割り当てます。
- 特定の Ingress Controller に異なるポリシーを定義することを許可します。
- 特定のルートのみが追加機能を使用することを許可します。
- たとえば、異なるアドレスで異なるルートを公開し、内部ユーザーおよび外部ユーザーが異なるルートを認識できるようにします。
- blue green デプロイ中に、アプリケーションの別のバージョンにトラフィックを転送します。
Ingress Controller がシャーディングされると、特定のルートがグループ内の 0 個以上の Ingress Controller に受け入れられます。ルートのステータスは、Ingress Controller がルートを受け入れたかどうかを示します。Ingress Controller は、ルートがそのシャードに固有である場合にのみルートを受け入れます。
Ingress Controller は、次の 3 つのシャーディング方法を使用できます。
- namespace セレクターとラベルが同じ namespace 内のすべてのルートが Ingress シャードに含まれるように、namespace セレクターのみを Ingress Controller に追加します。
- Ingress Controller にルートセレクターのみを追加して、ルートセレクターとラベルが同じ全ルートが Ingress シャードに含まれるようにします。
- namespace セレクターとラベルが同じ namespace 内のルートセレクターのラベルがルートと同じ場合に、Ingress シャード内に含まれるように、namespace セレクターとルートセレクターの両方を Ingress Controller に追加します。
シャーディングを使用すると、ルートのサブセットを複数の Ingress Controller に分散できます。これらのサブセットは、重複なし (従来 のシャーディングとも呼ばれる) にすることも、重複 (重複 シャーディングとも呼ばれる) にすることもできます。
27.3.6.1. 従来のシャーディングの例
ラベルセレクター spec.namespaceSelector.matchExpressions
を持ち、キー値が finance
と ops
に設定された、設定された Ingress コントローラー finops-router
の例:
finops-router
の YAML 定義の例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: finops-router namespace: openshift-ingress-operator spec: namespaceSelector: matchExpressions: - key: name operator: In values: - finance - ops
ラベルセレクター spec.namespaceSelector.matchLabels.name
を持ち、キー値が dev
に設定された、設定された Ingress コントローラー dev-router
の例:
dev-router
の YAML 定義の例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: dev-router namespace: openshift-ingress-operator spec: namespaceSelector: matchLabels: name: dev
すべてのアプリケーションルートが、それぞれ name:finance
、name:ops
、name:dev
などのラベルが付けられた別々の namespace にある場合は、設定によって 2 つの Ingress コントローラー間でルートが効果的に分散されます。コンソール、認証、およびその他の目的の OpenShift Container Platform ルートは処理しないでください。
前のシナリオでは、シャード化は重複するサブセットを持たないパーティション設定の特別なケースとなります。ルートは複数のルーターシャード間で分割されます。
デフォルト
の Ingress Controller は、namespaceSelector
または routeSelector
フィールドに除外対象のルートが含まれていない限り、引き続きすべてのルートを提供します。デフォルトの Ingress Controller からルートを除外する方法の詳細は、この Red Hat ナレッジベースのソリューション と「デフォルトの Ingress Controller のシャーディング」のセクションを参照してください。
27.3.6.2. 重複シャーディングの例
キー値が dev
と ops
に設定されたラベルセレクター spec.namespaceSelector.matchExpressions
を持つ、設定された Ingress コントローラー devops-router
の例:
devops-router
の YAML 定義の例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: devops-router namespace: openshift-ingress-operator spec: namespaceSelector: matchExpressions: - key: name operator: In values: - dev - ops
name:dev
および name:ops という
名前の namespace のルートは、2 つの異なる Ingress Controller によって処理されるようになりました。この設定では、ルートのサブセットが重複しています。
重複するルートのサブセットを使用すると、より複雑なルーティングルールを作成できます。たとえば、優先度の低いトラフィックを devops-router
に送信しながら、優先度の高いトラフィックを専用の finops-router
に迂回させることができます。
27.3.6.3. デフォルトの Ingress Controller のシャーディング
新しい Ingress シャードを作成した後に、デフォルトの Ingress Controller と、新しい Ingress シャードの両方により許可されるルートが存在する場合があります。これは、デフォルトの Ingress Controller にセレクターがなく、デフォルトですべてのルートを許可するためです。
namespace セレクターまたはルートセレクターを使用して、Ingress Controller が特定のラベルが割り当てられたルートの処理を制限できます。次の手順では、namespace セレクターを使用して、デフォルトの Ingress Controller が新しく分割された finance
、ops
、および dev
ルートにサービスを提供しないように制限します。これにより、Ingress シャードがさらに分離されます。
OpenShift Container Platform のすべての管理ルートを同じ Ingress Controller で保持する必要があります。したがって、これらの重要なルートを除外するセレクターをデフォルトの Ingress Controller に追加することは避けてください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - プロジェクト管理者としてログインしている。
手順
次のコマンドを実行して、デフォルトの Ingress Controller を変更します。
$ oc edit ingresscontroller -n openshift-ingress-operator default
Ingress Controller を編集して、
finance
、ops
、およびdev
ラベルのいずれかを持つルートを除外するnamespaceSelector
を含めます。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: namespaceSelector: matchExpressions: - key: name operator: NotIn values: - finance - ops - dev
デフォルトの Ingress Controller では、name:finance
、name:ops
、および name:dev
という名前の namespace が提供されなくなります。
27.3.6.4. Ingress シャーディングと DNS
クラスター管理者は、プロジェクト内のルーターごとに個別の DNS エントリーを作成します。ルーターは不明なルートを別のルーターに転送することはありません。
以下の例を考慮してください。
-
Router A はホスト 192.168.0.5 にあり、
*.foo.com
のルートを持つ。 -
Router B はホスト 192.168.1.9 にあり、
*.example.com
のルートを持つ。
個別の DNS エントリーは、*.foo.com
をルーター A をホストするノードに解決し、*.example.com
をルーター B をホストするノードに解決する必要があります。
-
*.foo.com A IN 192.168.0.5
-
*.example.com A IN 192.168.1.9
27.3.6.5. ルートラベルを使用した Ingress Controller のシャード化の設定
ルートラベルを使用した Ingress Controller のシャード化とは、Ingress Controller がルートセレクターによって選択される任意 namespace の任意のルートを提供することを意味します。
図27.1 ルートラベルを使用した Ingress シャーディング
Ingress Controller のシャード化は、一連の Ingress Controller 間で着信トラフィックの負荷を分散し、トラフィックを特定の Ingress Controller に分離する際に役立ちます。たとえば、Company A のトラフィックをある Ingress Controller に指定し、Company B を別の Ingress Controller に指定できます。
手順
router-internal.yaml
ファイルを編集します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: sharded namespace: openshift-ingress-operator spec: domain: <apps-sharded.basedomain.example.net> 1 nodePlacement: nodeSelector: matchLabels: node-role.kubernetes.io/worker: "" routeSelector: matchLabels: type: sharded
- 1
- Ingress Controller が使用するドメインを指定します。このドメインは、デフォルトの Ingress Controller ドメインとは異なる必要があります。
Ingress Controller の
router-internal.yaml
ファイルを適用します。# oc apply -f router-internal.yaml
Ingress Controller は、
type: sharded
というラベルのある namespace のルートを選択します。router-internal.yaml
で設定されたドメインを使用して新しいルートを作成します。$ oc expose svc <service-name> --hostname <route-name>.apps-sharded.basedomain.example.net
27.3.6.6. namespace ラベルを使用した Ingress Controller のシャード化の設定
namespace ラベルを使用した Ingress Controller のシャード化とは、Ingress Controller が namespace セレクターによって選択される任意の namespace の任意のルートを提供することを意味します。
図27.2 namespace ラベルを使用した Ingress シャーディング
Ingress Controller のシャード化は、一連の Ingress Controller 間で着信トラフィックの負荷を分散し、トラフィックを特定の Ingress Controller に分離する際に役立ちます。たとえば、Company A のトラフィックをある Ingress Controller に指定し、Company B を別の Ingress Controller に指定できます。
手順
router-internal.yaml
ファイルを編集します。$ cat router-internal.yaml
出力例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: sharded namespace: openshift-ingress-operator spec: domain: <apps-sharded.basedomain.example.net> 1 nodePlacement: nodeSelector: matchLabels: node-role.kubernetes.io/worker: "" namespaceSelector: matchLabels: type: sharded
- 1
- Ingress Controller が使用するドメインを指定します。このドメインは、デフォルトの Ingress Controller ドメインとは異なる必要があります。
Ingress Controller の
router-internal.yaml
ファイルを適用します。$ oc apply -f router-internal.yaml
Ingress Controller は、
type: sharded
というラベルのある namespace セレクターによって選択される namespace のルートを選択します。router-internal.yaml
で設定されたドメインを使用して新しいルートを作成します。$ oc expose svc <service-name> --hostname <route-name>.apps-sharded.basedomain.example.net
27.3.6.7. Ingress Controller シャーディングのルート作成
ルートを使用すると、URL でアプリケーションをホストできます。この場合、ホスト名は設定されず、ルートは代わりにサブドメインを使用します。サブドメインを指定すると、ルートを公開する Ingress Controller のドメインが自動的に使用されます。ルートが複数の Ingress Controller によって公開されている状況では、ルートは複数の URL でホストされます。
以下の手順では、例として hello-openshift
アプリケーションを使用して、Ingress Controller シャーディングのルートを作成する方法を説明します。
Ingress Controller のシャード化は、一連の Ingress Controller 間で着信トラフィックの負荷を分散し、トラフィックを特定の Ingress Controller に分離する際に役立ちます。たとえば、Company A のトラフィックをある Ingress Controller に指定し、Company B を別の Ingress Controller に指定できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - プロジェクト管理者としてログインしている。
- あるポートを公開する Web アプリケーションと、そのポートでトラフィックをリッスンする HTTP または TCP エンドポイントがある。
- シャーディング用に Ingress Controller を設定している。
手順
次のコマンドを実行して、
hello-openshift
というプロジェクトを作成します。$ oc new-project hello-openshift
以下のコマンドを実行してプロジェクトに Pod を作成します。
$ oc create -f https://raw.githubusercontent.com/openshift/origin/master/examples/hello-openshift/hello-pod.json
以下のコマンドを実行して、
hello-openshift
というサービスを作成します。$ oc expose pod/hello-openshift
hello-openshift-route.yaml
というルート定義を作成します。シャーディング用に作成されたルートの YAML 定義:
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: labels: type: sharded 1 name: hello-openshift-edge namespace: hello-openshift spec: subdomain: hello-openshift 2 tls: termination: edge to: kind: Service name: hello-openshift
次のコマンドを実行し、
hello-openshift-route.yaml
を使用してhello-openshift
アプリケーションへのルートを作成します。$ oc -n hello-openshift create -f hello-openshift-route.yaml
検証
次のコマンドを使用して、ルートのステータスを取得します。
$ oc -n hello-openshift get routes/hello-openshift-edge -o yaml
結果の
Route
リソースは次のようになります。出力例
apiVersion: route.openshift.io/v1 kind: Route metadata: labels: type: sharded name: hello-openshift-edge namespace: hello-openshift spec: subdomain: hello-openshift tls: termination: edge to: kind: Service name: hello-openshift status: ingress: - host: hello-openshift.<apps-sharded.basedomain.example.net> 1 routerCanonicalHostname: router-sharded.<apps-sharded.basedomain.example.net> 2 routerName: sharded 3
関連情報
27.4. Ingress Controller エンドポイント公開戦略の設定
endpointPublishingStrategy
は Ingress Controller エンドポイントを他のネットワークに公開し、ロードバランサーの統合を有効にし、他のシステムへのアクセスを提供するために使用されます。
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) では、クラウドプロバイダーがヘルスモニターを作成するように設定されている場合にのみ、LoadBalancerService
エンドポイントの公開ストラテジーがサポートされます。RHOSP 16.2 の場合、このストラテジーは Amphora Octavia プロバイダーを使用する場合にのみ可能です。
詳細は、RHOSP インストールドキュメントの「RHOSP Cloud Controller Manager オプションの設定」セクションを参照してください。
27.4.1. Ingress Controller エンドポイントの公開ストラテジー
NodePortService
エンドポイントの公開ストラテジー
NodePortService
エンドポイント公開ストラテジーは、Kubernetes NodePort サービスを使用して Ingress Controller を公開します。
この設定では、Ingress Controller のデプロイメントはコンテナーのネットワークを使用します。NodePortService
はデプロイメントを公開するために作成されます。特定のノードポートは OpenShift Container Platform によって動的に割り当てられますが、静的ポートの割り当てをサポートするために、管理対象の NodePortService
のノードポートフィールドへの変更が保持されます。
図27.3 NodePortService の図
前述の図では、OpenShift Container Platform Ingress NodePort エンドポイントの公開戦略に関する以下のような概念を示しています。
- クラスターで利用可能なノードにはすべて、外部からアクセス可能な独自の IP アドレスが割り当てられています。クラスター内で動作するサービスは、全ノードに固有の NodePort にバインドされます。
-
たとえば、クライアントが図に示す IP アドレス
10.0.128.4
に接続してダウンしているノードに接続した場合に、ノードポートは、サービスを実行中で利用可能なノードにクライアントを直接接続します。このシナリオでは、ロードバランシングは必要ありません。イメージが示すように、10.0.128.4
アドレスがダウンしており、代わりに別の IP アドレスを使用する必要があります。
Ingress Operator は、サービスの .spec.ports[].nodePort
フィールドへの更新を無視します。
デフォルトで、ポートは自動的に割り当てられ、各種の統合用のポート割り当てにアクセスできます。ただし、既存のインフラストラクチャーと統合するために静的ポートの割り当てが必要になることがありますが、これは動的ポートに対応して簡単に再設定できない場合があります。静的ノードポートとの統合を実行するには、マネージドのサービスリソースを直接更新できます。
詳細は、NodePort
に関する Kubernetes サービスのドキュメント を参照してください。
HostNetwork
エンドポイントの公開ストラテジー
HostNetwork
エンドポイント公開ストラテジーは、Ingress Controller がデプロイされるノードポートで Ingress Controller を公開します。
HostNetwork
エンドポイント公開ストラテジーを持つ Ingress Controller には、ノードごとに 1 つの Pod レプリカのみを設定できます。n のレプリカを使用する場合、それらのレプリカをスケジュールできる n 以上のノードを使用する必要があります。各 Pod はスケジュールされるノードホストでポート 80
および 443
を要求するので、同じノードで別の Pod がそれらのポートを使用している場合、レプリカをノードにスケジュールすることはできません。
HostNetwork
オブジェクトには、オプションのバインディングポートのデフォルト値が httpPort:80
、httpsPort:443
、statsPort:1936
の hostNetwork
フィールドがあります。ネットワークに異なるバインディングポートを指定することで、HostNetwork
ストラテジーに対して、同じノードに複数の Ingress Controller をデプロイできます。
例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: internal namespace: openshift-ingress-operator spec: domain: example.com endpointPublishingStrategy: type: HostNetwork hostNetwork: httpPort: 80 httpsPort: 443 statsPort: 1936
27.4.1.1. Ingress Controller エンドポイント公開スコープの内部への設定
クラスター管理者がクラスターをプライベートに指定せずに新しいクラスターをインストールすると、scope
がExternal
に設定されたデフォルトの Ingress Controller が作成されます。クラスター管理者は、External
スコープの Ingress Controller をInternal
に変更できます。
前提条件
-
oc
CLI がインストールされている。
手順
External
スコープの Ingress Controller をInternal
に変更するには、次のコマンドを入力します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontrollers/default --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy":{"type":"LoadBalancerService","loadBalancer":{"scope":"Internal"}}}}'
Ingress Controller のステータスを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ oc -n openshift-ingress-operator get ingresscontrollers/default -o yaml
ステータス状態が
Progressing
の場合は、さらにアクションを実行する必要があるかどうかを示します。たとえば、ステータスの状態によっては、次のコマンドを入力して、サービスを削除する必要があることを示している可能性があります。$ oc -n openshift-ingress delete services/router-default
サービスを削除すると、Ingress Operator はサービスを
Internal
として再作成します。
27.4.1.2. Ingress Controller エンドポイント公開スコープの外部への設定
クラスター管理者がクラスターをプライベートに指定せずに新しいクラスターをインストールすると、scope
がExternal
に設定されたデフォルトの Ingress Controller が作成されます。
Ingress Controller のスコープは、インストール中またはインストール後にInternal
になるように設定でき、クラスター管理者はInternal
の Ingress Controller をExternal
に変更できます。
一部のプラットフォームでは、サービスを削除して再作成する必要があります。
スコープを変更すると、場合によっては数分間、Ingress トラフィックが中断される可能性があります。これが該当するのは、サービスを削除して再作成する必要があるプラットフォームです。理由は、この手順により、OpenShift Container Platform が既存のサービスロードバランサーのプロビジョニングを解除して新しいサービスロードバランサーをプロビジョニングし、DNS を更新する可能性があるためです。
前提条件
-
oc
CLI がインストールされている。
手順
Internal
スコープの入力コントローラーをExternal
に変更するには、次のコマンドを入力します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontrollers/private --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy":{"type":"LoadBalancerService","loadBalancer":{"scope":"External"}}}}'
Ingress Controller のステータスを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ oc -n openshift-ingress-operator get ingresscontrollers/default -o yaml
ステータス状態が
Progressing
の場合は、さらにアクションを実行する必要があるかどうかを示します。たとえば、ステータスの状態によっては、次のコマンドを入力して、サービスを削除する必要があることを示している可能性があります。$ oc -n openshift-ingress delete services/router-default
サービスを削除すると、Ingress Operator はサービスを
External
として再作成します。
27.4.1.3. Ingress Controller への単一の NodePort サービスの追加
各プロジェクトに NodePort
タイプの Service
を作成する代わりに、NodePortService
エンドポイント公開ストラテジーを使用するカスタム Ingress Controller を作成できます。Ingress シャーディングを介して、すでに HostNetwork
Ingress Controller が存在する可能性のあるノードにルートのセットを適用する場合は、ポートの競合を防ぐために、このような Ingress Controller の設定を検討してください。
各プロジェクトに NodePort
タイプの Service
を設定する前に、次の考慮事項を確認してください。
- Nodeport Ingress Controller ドメインのワイルドカード DNS レコードを作成する必要があります。Nodeport Ingress Controller ルートには、ワーカーノードのアドレスからアクセスできます。ルートに必要な DNS レコードの詳細は、「user-provisioned DNS 要件」を参照してください。
-
サービス用のルートを公開し、カスタム Ingress Controller ドメインの
--hostname
引数を指定する必要があります。 -
アプリケーション Pod にアクセスできるようにするには、
NodePort
タイプのService
に割り当てられているポートをルートに追加する必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - ワイルドカード DNS レコードが作成されている。
手順
Ingress Controller のカスタムリソース (CR) ファイルを作成します。
IngressController
オブジェクトの情報を定義する CR ファイルの例apiVersion: v1 items: - apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: <custom_ic_name> 1 namespace: openshift-ingress-operator spec: replicas: 1 domain: <custom_ic_domain_name> 2 nodePlacement: nodeSelector: matchLabels: <key>: <value> 3 namespaceSelector: matchLabels: <key>: <value> 4 endpointPublishingStrategy: type: NodePortService # ...
- 1
IngressController
CR のカスタムのname
を指定します。- 2
- Ingress Controller が提供する DNS の名前。たとえば、デフォルトの ingresscontroller ドメインは
apps.ipi-cluster.example.com
であるため、<custom_ic_domain_name>
にはnodeportsvc.ipi-cluster.example.com
を指定します。 - 3
- カスタム Ingress Controller を含むノードのラベルを指定します。
- 4
- namespace のセットのラベルを指定します。
<key>:<value>
は、キーと値のペアのマップに置き換えます。<key>
は新しいラベルの一意の名前、<value>
はその値です。たとえば、ingresscontroller: custom-ic
です。
oc label node
コマンドを使用してノードにラベルを追加します。$ oc label node <node_name> <key>=<value> 1
- 1
<value>
は、IngressController
CR のnodePlacement
セクションで指定したキーと値のペアと同じである必要があります。
IngressController
オブジェクトを作成します。$ oc create -f <ingress_controller_cr>.yaml
IngressController
CR 用に作成されたサービスのポートを確認します。$ oc get svc -n openshift-ingress
router-nodeport-custom-ic3
サービスのポート80:32432/TCP
を示す出力例NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE router-internal-default ClusterIP 172.30.195.74 <none> 80/TCP,443/TCP,1936/TCP 223d router-nodeport-custom-ic3 NodePort 172.30.109.219 <none> 80:32432/TCP,443:31366/TCP,1936:30499/TCP 155m
新しいプロジェクトを作成するために、次のコマンドを入力します。
$ oc new-project <project_name>
新しい namespace にラベルを付けるために、次のコマンドを入力します。
$ oc label namespace <project_name> <key>=<value> 1
- 1
<key>=<value>
は、Ingress Controller CR のnamespaceSelector
セクションの値と同じである必要があります。
クラスター内に新しいアプリケーションを作成します。
$ oc new-app --image=<image_name> 1
- 1
<image_name>
の例は、quay.io/openshifttest/hello-openshift:multiarch
です。
サービスの
Route
オブジェクトを作成して、Pod がサービスを使用してアプリケーションをクラスターの外部に公開できるようにします。$ oc expose svc/<service_name> --hostname=<svc_name>-<project_name>.<custom_ic_domain_name> 1
注記--hostname
引数で、カスタム Ingress Controller のドメイン名を指定する必要があります。これを行わない場合、Ingress Operator がデフォルトの Ingress Controller を使用してクラスターのすべてのルートを提供します。ルートのステータスが
Admitted
であり、カスタム Ingress Controller のメタデータがルートに含まれていることを確認します。$ oc get route/hello-openshift -o json | jq '.status.ingress'
出力例
# ... { "conditions": [ { "lastTransitionTime": "2024-05-17T18:25:41Z", "status": "True", "type": "Admitted" } ], [ { "host": "hello-openshift.nodeportsvc.ipi-cluster.example.com", "routerCanonicalHostname": "router-nodeportsvc.nodeportsvc.ipi-cluster.example.com", "routerName": "nodeportsvc", "wildcardPolicy": "None" } ], }
デフォルトの
IngressController
CR を更新して、デフォルトの Ingress Controller がNodePort
タイプのService
を管理しないようにします。他のすべてのクラスタートラフィックは、引き続きデフォルトの Ingress Controller によって監視します。$ oc patch --type=merge -n openshift-ingress-operator ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"namespaceSelector":{"matchExpressions":[{"key":"<key>","operator":"NotIn","values":["<value>]}]}}}'
検証
次のコマンドを入力して、DNS エントリーがクラスターの内外にルーティングできることを確認します。このコマンドでは、上記の手順で
oc label node
コマンドを実行してラベルを追加したノードの IP アドレスが出力されます。$ dig +short <svc_name>-<project_name>.<custom_ic_domain_name>
クラスターが DNS 解決に外部 DNS サーバーの IP アドレスを使用していることを確認するために、次のコマンドを入力してクラスターの接続を確認します。
$ curl <svc_name>-<project_name>.<custom_ic_domain_name>:<port> 1
出力例
Hello OpenShift!
27.4.2. 関連情報
27.5. ロードバランサーを使用した Ingress クラスターの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。この方法では、ロードバランサーを使用します。
27.5.1. ロードバランサーを使用したトラフィックのクラスターへの送信
特定の外部 IP アドレスを必要としない場合、ロードバランサーサービスを OpenShift Container Platform クラスターへの外部アクセスを許可するよう設定することができます。
ロードバランサーサービスは固有の IP を割り当てます。ロードバランサーには単一の edge ルーター IP があります (これは仮想 IP (VIP) の場合もありますが、初期の負荷分散では単一マシンになります。
プールが設定される場合、これはクラスター管理者によってではなく、インフラストラクチャーレベルで実行されます。
このセクションの手順では、クラスターの管理者が事前に行っておく必要のある前提条件があります。
27.5.2. 前提条件
以下の手順を開始する前に、管理者は以下の条件を満たしていることを確認する必要があります。
- 要求がクラスターに到達できるように、クラスターネットワーク環境に対して外部ポートをセットアップします。
クラスター管理者ロールを持つユーザーが 1 名以上いることを確認します。このロールをユーザーに追加するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm policy add-cluster-role-to-user cluster-admin username
- OpenShift Container Platform クラスターを、1 つ以上のマスターと 1 つ以上のノード、およびクラスターへのネットワークアクセスのあるクラスター外のシステムと共に用意します。この手順では、外部システムがクラスターと同じサブセットにあることを前提とします。別のサブセットの外部システムに必要な追加のネットワーク設定については、このトピックでは扱いません。
27.5.3. プロジェクトおよびサービスの作成
公開するプロジェクトとサービスが存在しない場合は、プロジェクトを作成してからサービスを作成します。
プロジェクトとサービスがすでに存在する場合は、サービスを公開してルートを作成する手順に進みます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールし、クラスター管理者としてログインしている。
手順
oc new-project
コマンドを実行して、サービス用の新しいプロジェクトを作成します。$ oc new-project <project_name>
oc new-app
コマンドを使用してサービスを作成します。$ oc new-app nodejs:12~https://github.com/sclorg/nodejs-ex.git
サービスが作成されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get svc -n <project_name>
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE nodejs-ex ClusterIP 172.30.197.157 <none> 8080/TCP 70s
注記デフォルトで、新規サービスには外部 IP アドレスがありません。
27.5.4. ルートの作成によるサービスの公開
oc expose
コマンドを使用して、サービスをルートとして公開することができます。
前提条件
- OpenShift Container Platform にログインしている。
手順
公開するサービスが置かれているプロジェクトにログインします。
$ oc project <project_name>
oc expose service
コマンドを実行して、ルートを公開します。$ oc expose service nodejs-ex
出力例
route.route.openshift.io/nodejs-ex exposed
サービスが公開されていることを確認するには、
curl
などのツールを使用して、クラスター外からサービスにアクセスできることを確認します。ルートのホスト名を見つけるには、次のコマンドを入力します。
$ oc get route
出力例
NAME HOST/PORT PATH SERVICES PORT TERMINATION WILDCARD nodejs-ex nodejs-ex-myproject.example.com nodejs-ex 8080-tcp None
ホストが GET 要求に応答することを確認するには、次のコマンドを入力します。
curl
コマンドの例$ curl --head nodejs-ex-myproject.example.com
出力例
HTTP/1.1 200 OK ...
27.5.5. ロードバランサーサービスの作成
以下の手順を使用して、ロードバランサーサービスを作成します。
前提条件
- 公開するプロジェクトとサービスがあること。
- クラウドプロバイダーがロードバランサーをサポートしている。
手順
ロードバランサーサービスを作成するには、以下を実行します。
- OpenShift Container Platform にログインします。
公開するサービスが置かれているプロジェクトを読み込みます。
$ oc project project1
コントロールプレーンノードでテキストファイルを開き、以下のテキストを貼り付け、必要に応じてファイルを編集します。
ロードバランサー設定ファイルのサンプル
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: egress-2 1 spec: ports: - name: db port: 3306 2 loadBalancerIP: loadBalancerSourceRanges: 3 - 10.0.0.0/8 - 192.168.0.0/16 type: LoadBalancer 4 selector: name: mysql 5
注記ロードバランサーを通過するトラフィックを特定の IP アドレスに制限するには、Ingress Controller フィールド
spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.allowedSourceRanges
を使用することを推奨します。loadBalancerSourceRanges
フィールドを設定しないでください。- ファイルを保存し、終了します。
以下のコマンドを実行してサービスを作成します。
$ oc create -f <file-name>
以下に例を示します。
$ oc create -f mysql-lb.yaml
以下のコマンドを実行して新規サービスを表示します。
$ oc get svc
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE egress-2 LoadBalancer 172.30.22.226 ad42f5d8b303045-487804948.example.com 3306:30357/TCP 15m
有効にされたクラウドプロバイダーがある場合、サービスには外部 IP アドレスが自動的に割り当てられます。
マスターで cURL などのツールを使用し、パブリック IP アドレスを使用してサービスに到達できることを確認します。
$ curl <public-ip>:<port>
以下に例を示します。
$ curl 172.29.121.74:3306
このセクションの例では、クライアントアプリケーションを必要とする MySQL サービスを使用しています。
Got packets out of order
のメッセージと共に文字ストリングを取得する場合は、このサービスに接続していることになります。MySQL クライアントがある場合は、標準 CLI コマンドでログインします。
$ mysql -h 172.30.131.89 -u admin -p
出力例
Enter password: Welcome to the MariaDB monitor. Commands end with ; or \g. MySQL [(none)]>
27.6. AWS での Ingress クラスタートラフィックの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。この方法では、AWS のロードバランサー、具体的には Network Load Balancer (NLB) またはク Classic Load Balancer (CLB) を使用します。どちらのタイプのロードバランサーもクライアントの IP アドレスをノードに転送できますが、CLB にはプロキシープロトコルのサポートが必要です。これは OpenShift Container Platform によって自動的に有効になります。
NLB を使用するように Ingress Controller を設定するには、次の 2 つの方法があります。
-
現在 CLB を使用している Ingress Controller を強制的に置き換える。これにより、
IngressController
オブジェクトが削除され、新しい DNS レコードが伝達され、NLB がプロビジョニングされている間、停止が発生します。 -
CLB を使用する既存の Ingress Controller を編集して、NLB を使用する。これにより、
IngressController
オブジェクトを削除して再作成することなく、ロードバランサーが変更されます。
どちらの方法も、NLB から CLB への切り替えに使用できます。
これらのロードバランサーは、新規または既存の AWS クラスターで設定できます。
27.6.1. AWS での Classic Load Balancer タイムアウトの設定
OpenShift Container Platform は、特定のルートまたは Ingress Controller のカスタムタイムアウト期間を設定するためのメソッドを提供します。さらに、AWS Classic Load Balancer (CLB) には独自のタイムアウト期間があり、デフォルトは 60 秒です。
CLB のタイムアウト期間がルートタイムアウトまたは Ingress Controller タイムアウトよりも短い場合、ロードバランサーは接続を途中で終了する可能性があります。ルートと CLB の両方のタイムアウト期間を増やすことで、この問題を防ぐことができます。
27.6.1.1. ルートのタイムアウトの設定
Service Level Availability (SLA) で必要とされる、低タイムアウトが必要なサービスや、バックエンドでの処理速度が遅いケースで高タイムアウトが必要なサービスがある場合は、既存のルートに対してデフォルトのタイムアウトを設定することができます。
前提条件
- 実行中のクラスターでデプロイ済みの Ingress Controller が必要になります。
手順
oc annotate
コマンドを使用して、ルートにタイムアウトを追加します。$ oc annotate route <route_name> \ --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=<timeout><time_unit> 1
- 1
- サポートされる時間単位は、マイクロ秒 (us)、ミリ秒 (ms)、秒 (s)、分 (m)、時間 (h)、または日 (d) です。
以下の例では、2 秒のタイムアウトを
myroute
という名前のルートに設定します。$ oc annotate route myroute --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=2s
27.6.1.2. Classic Load Balancer タイムアウトの設定
Classic Load Balancer (CLB) のデフォルトのタイムアウトを設定して、アイドル接続を延長できます。
前提条件
- 実行中のクラスターにデプロイ済みの Ingress Controller がある。
手順
次のコマンドを実行して、デフォルト
ingresscontroller
の AWS 接続アイドルタイムアウトを 5 分に設定します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"type":"LoadBalancerService", "loadBalancer": \ {"scope":"External", "providerParameters":{"type":"AWS", "aws": \ {"type":"Classic", "classicLoadBalancer": \ {"connectionIdleTimeout":"5m"}}}}}}}'
オプション: 次のコマンドを実行して、タイムアウトのデフォルト値を復元します。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"loadBalancer":{"providerParameters":{"aws":{"classicLoadBalancer": \ {"connectionIdleTimeout":null}}}}}}}'
現在のスコープがすでに設定されている場合を除き、接続タイムアウト値を変更するには scope
フィールドを指定する必要があります。デフォルトのタイムアウト値に戻す場合は、scope
フィールドを設定する際に再度設定する必要はありません。
27.6.2. ネットワークロードバランサーを使用した AWS での Ingress クラスタートラフィックの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。そのような方法の 1 つでは、Network Load Balancer (NLB) を使用します。NLB を新規または既存の AWS クラスターに設定することができます。
27.6.2.1. Ingress Controller を Classic Load Balancer から Network Load Balancer に切り替える
Classic Load Balancer (CLB) を使用している Ingress Controller を、AWS の Network Load Balancer (NLB) を使用する Ingress Controller に切り替えることができます。
これらのロードバランサーを切り替えても、IngressController
オブジェクトは削除されません。
この手順により、次の問題が発生する可能性があります。
- 新しい DNS レコードの伝播、新しいロードバランサーのプロビジョニング、およびその他の要因により、数分間続く可能性のある停止。この手順を適用すると、Ingress Controller ロードバランサーの IP アドレスや正規名が変更になる場合があります。
- サービスのアノテーションの変更により、ロードバランサーリソースがリークする。
手順
NLB を使用して切り替える既存の Ingress Controller を変更します。この例では、デフォルトの Ingress Controller に
External
スコープがあり、他のカスタマイズがないことを前提としています。ingresscontroller.yaml
ファイルの例apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: NLB type: LoadBalancerService
注記spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.providerParameters.aws.type
フィールドの値を指定しない場合、Ingress Controller は、インストール時に設定されたクラスターIngress
設定のspec.loadBalancer.platform.aws.type
値を使用します。ヒントIngress Controller に、ドメインの変更など、更新したい他のカスタマイズがある場合は、代わりに Ingress Controller 定義ファイルを強制的に置き換えることを検討してください。
次のコマンドを実行して、Ingress Controller YAML ファイルに変更を適用します。
$ oc apply -f ingresscontroller.yaml
Ingress Controller の更新中は、数分間の停止が予想されます。
27.6.2.2. Network Load Balancer の使用から Classic Load Balancer への Ingress Controller の切り替え
Network Load Balancer (NLB) を使用している Ingress Controller を、AWS の Classic Load Balancer (CLB) を使用する Ingress Controller に切り替えることができます。
これらのロードバランサーを切り替えても、IngressController
オブジェクトは削除されません。
この手順により、新しい DNS レコードの伝播、新しいロードバランサーのプロビジョニング、およびその他の要因により、数分間続く停止が発生する可能性があります。この手順を適用すると、Ingress Controller ロードバランサーの IP アドレスや正規名が変更になる場合があります。
手順
CLB を使用して切り替える既存の Ingress Controller を変更します。この例では、デフォルトの Ingress Controller に
External
スコープがあり、他のカスタマイズがないことを前提としています。ingresscontroller.yaml
ファイルの例apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: Classic type: LoadBalancerService
注記spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.providerParameters.aws.type
フィールドの値を指定しない場合、Ingress Controller は、インストール時に設定されたクラスターIngress
設定のspec.loadBalancer.platform.aws.type
値を使用します。ヒントIngress Controller に、ドメインの変更など、更新したい他のカスタマイズがある場合は、代わりに Ingress Controller 定義ファイルを強制的に置き換えることを検討してください。
次のコマンドを実行して、Ingress Controller YAML ファイルに変更を適用します。
$ oc apply -f ingresscontroller.yaml
Ingress Controller の更新中は、数分間の停止が予想されます。
27.6.2.3. Ingress Controller Classic Load Balancer の Network Load Balancer への置き換え
Classic Load Balancer (CLB) を使用している Ingress Controller は、AWS の Network Load Balancer (NLB) を使用している Ingress Controller に置き換えることができます。
この手順により、次の問題が発生する可能性があります。
- 新しい DNS レコードの伝播、新しいロードバランサーのプロビジョニング、およびその他の要因により、数分間続く可能性のある停止。この手順を適用すると、Ingress Controller ロードバランサーの IP アドレスや正規名が変更になる場合があります。
- サービスのアノテーションの変更により、ロードバランサーリソースがリークする。
手順
新しいデフォルトの Ingress Controller を含むファイルを作成します。以下の例では、デフォルトの Ingress Controller の範囲が
External
で、その他のカスタマイズをしていないことを想定しています。ingresscontroller.yml
ファイルの例apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: NLB type: LoadBalancerService
デフォルトの Ingress Controller が他にカスタマイズされている場合には、それに応じてファイルを修正してください。
ヒントIngress Controller に他のカスタマイズがなく、ロードバランサータイプのみを更新する場合は、「Ingress Controller を Classic Load Balancer から Network Load Balancer に切り替える」に記載の手順に従ってください。
Ingress Controller の YAML ファイルを強制的に置き換えます。
$ oc replace --force --wait -f ingresscontroller.yml
Ingress Controller の置き換えが完了するまでお待ちください。数分間の停止が予想されます。
27.6.2.4. 既存 AWS クラスターでの Ingress Controller ネットワークロードバランサーの設定
AWS Network Load Balancer (NLB) がサポートする Ingress Controller を既存のクラスターに作成できます。
前提条件
- AWS クラスターがインストールされている。
インフラストラクチャーリソースの
PlatformStatus
は AWS である必要があります。PlatformStatus
が AWS であることを確認するには、以下を実行します。$ oc get infrastructure/cluster -o jsonpath='{.status.platformStatus.type}' AWS
手順
既存のクラスターの AWS NLB がサポートする Ingress Controller を作成します。
Ingress Controller のマニフェストを作成します。
$ cat ingresscontroller-aws-nlb.yaml
出力例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: $my_ingress_controller1 namespace: openshift-ingress-operator spec: domain: $my_unique_ingress_domain2 endpointPublishingStrategy: type: LoadBalancerService loadBalancer: scope: External3 providerParameters: type: AWS aws: type: NLB
クラスターにリソースを作成します。
$ oc create -f ingresscontroller-aws-nlb.yaml
新規 AWS クラスターで Ingress Controller NLB を設定する前に、インストール設定ファイルの作成 手順を完了する必要があります。
27.6.2.5. 新規 AWS クラスターでの Ingress Controller ネットワークロードバランサーの設定
新規クラスターに AWS Network Load Balancer (NLB) がサポートする Ingress Controller を作成できます。
前提条件
-
install-config.yaml
ファイルを作成し、これに対する変更を完了します。
手順
新規クラスターの AWS NLB がサポートする Ingress Controller を作成します。
インストールプログラムが含まれるディレクトリーに切り替え、マニフェストを作成します。
$ ./openshift-install create manifests --dir <installation_directory> 1
- 1
<installation_directory>
については、クラスターのinstall-config.yaml
ファイルが含まれるディレクトリーの名前を指定します。
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
という名前のファイルを<installation_directory>/manifests/
ディレクトリーに作成します。$ touch <installation_directory>/manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml 1
- 1
<installation_directory>
については、クラスターのmanifests/
ディレクトリーが含まれるディレクトリー名を指定します。
ファイルの作成後は、以下のようにいくつかのネットワーク設定ファイルが
manifests/
ディレクトリーに置かれます。$ ls <installation_directory>/manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
出力例
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
エディターで
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルを開き、必要な Operator 設定を記述するカスタムリソース (CR) を入力します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: NLB type: LoadBalancerService
-
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルを保存し、テキストエディターを終了します。 -
オプション:
manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルをバックアップします。インストールプログラムは、クラスターの作成時にmanifests/
ディレクトリーを削除します。
27.6.3. 関連情報
- ネットワークのカスタマイズによる AWS へのクラスターのインストール。
- NLB のサポートの詳細は、Network Load Balancer support on AWS を参照してください。
- CLB のプロキシープロトコルサポートの詳細は、Configure proxy protocol support for your Classic Load Balancer を参照してください。
27.7. サービスの外部 IP を使用した Ingress クラスタートラフィックの設定
MetalLB 実装または IP フェイルオーバーデプロイメントのいずれかを使用して、ExternalIP リソースをサービスに接続し、OpenShift Container Platform クラスター外部のトラフィックでそのサービスを利用できるようにすることができます。この方法で外部 IP アドレスをホストすることは、ベアメタルハードウェアにインストールされたクラスターにのみ適用されます。
トラフィックをサービスにルーティングするには、外部ネットワークインフラストラクチャーを正しく設定する必要があります。
27.7.1. 前提条件
クラスターが ExternalIP が有効にされた状態で設定されている。詳細は、サービスの ExternalIP の設定 を参照してください。
注記Egress IP に同じ ExternalIP を使用しないでください。
27.7.2. ExternalIP のサービスへの割り当て
サービスに ExternalIP リソースを割り当てることができます。リソースをサービスに自動的に割り当てるようにクラスターを設定した場合は、ExternalIP をサービスに手動でアタッチする必要がない場合があります。
この手順の例では、IP フェイルオーバー設定を持つクラスター内のサービスに ExternalIP リソースを手動で割り当てるシナリオを使用します。
手順
CLI で次のコマンドを実行して、ExternalIP リソースの互換性のある IP アドレス範囲を確認します。
$ oc get networks.config cluster -o jsonpath='{.spec.externalIP}{"\n"}'
注記autoAssignCIDRs
が設定されていて、ExternalIP リソースのspec.externalIPs
の値を指定していないと、OpenShift Container Platform は新しいService
オブジェクトに ExternalIP を自動的に割り当てます。サービスに ExternalIP リソースを割り当てるには、次のいずれかのオプションを選択します。
新しいサービスを作成する場合は、
spec.externalIPs
フィールドに値を指定し、allowedCIDRs
パラメーターに 1 つ以上の有効な IP アドレスの配列を指定します。ExternalIP リソースをサポートするサービス YAML 設定ファイルの例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: svc-with-externalip spec: externalIPs: policy: allowedCIDRs: - 192.168.123.0/28
ExternalIP を既存のサービスに割り当てる場合は、以下のコマンドを入力します。
<name>
をサービス名に置き換えます。<ip_address>
を有効な ExternalIP アドレスに置き換えます。コンマで区切られた複数の IP アドレスを指定できます。$ oc patch svc <name> -p \ '{ "spec": { "externalIPs": [ "<ip_address>" ] } }'
以下に例を示します。
$ oc patch svc mysql-55-rhel7 -p '{"spec":{"externalIPs":["192.174.120.10"]}}'
出力例
"mysql-55-rhel7" patched
ExternalIP アドレスがサービスに割り当てられていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。新規サービスに ExternalIP を指定した場合、まずサービスを作成する必要があります。
$ oc get svc
出力例
NAME CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE mysql-55-rhel7 172.30.131.89 192.174.120.10 3306/TCP 13m
27.7.3. 関連情報
27.8. NodePort を使用した Ingress クラスタートラフィックの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。この方法は NodePort
を使用します。
27.8.1. NodePort を使用したトラフィックのクラスターへの送信
NodePort
-type Service
リソースを使用して、クラスター内のすべてのノードの特定のポートでサービスを公開します。ポートは Service
リソースの .spec.ports[*].nodePort
フィールドで指定されます。
ノードポートを使用するには、追加のポートリソースが必要です。
NodePort
は、ノードの IP アドレスの静的ポートでサービスを公開します。NodePort
はデフォルトで 30000
から 32767
の範囲に置かれます。つまり、NodePort
はサービスの意図されるポートに一致しないことが予想されます。たとえば、ポート 8080
はノードのポート 31020
として公開できます。
管理者は、外部 IP アドレスがノードにルーティングされることを確認する必要があります。
NodePort
および外部 IP は独立しており、両方を同時に使用できます。
このセクションの手順では、クラスターの管理者が事前に行っておく必要のある前提条件があります。
27.8.2. 前提条件
以下の手順を開始する前に、管理者は以下の条件を満たしていることを確認する必要があります。
- 要求がクラスターに到達できるように、クラスターネットワーク環境に対して外部ポートをセットアップします。
クラスター管理者ロールを持つユーザーが 1 名以上いることを確認します。このロールをユーザーに追加するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm policy add-cluster-role-to-user cluster-admin <user_name>
- OpenShift Container Platform クラスターを、1 つ以上のマスターと 1 つ以上のノード、およびクラスターへのネットワークアクセスのあるクラスター外のシステムと共に用意します。この手順では、外部システムがクラスターと同じサブセットにあることを前提とします。別のサブセットの外部システムに必要な追加のネットワーク設定については、このトピックでは扱いません。
27.8.3. プロジェクトおよびサービスの作成
公開するプロジェクトとサービスが存在しない場合は、プロジェクトを作成してからサービスを作成します。
プロジェクトとサービスがすでに存在する場合は、サービスを公開してルートを作成する手順に進みます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールし、クラスター管理者としてログインしている。
手順
oc new-project
コマンドを実行して、サービス用の新しいプロジェクトを作成します。$ oc new-project <project_name>
oc new-app
コマンドを使用してサービスを作成します。$ oc new-app nodejs:12~https://github.com/sclorg/nodejs-ex.git
サービスが作成されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get svc -n <project_name>
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE nodejs-ex ClusterIP 172.30.197.157 <none> 8080/TCP 70s
注記デフォルトで、新規サービスには外部 IP アドレスがありません。
27.8.4. ルートの作成によるサービスの公開
oc expose
コマンドを使用して、サービスをルートとして公開することができます。
前提条件
- OpenShift Container Platform にログインしている。
手順
公開するサービスが置かれているプロジェクトにログインします。
$ oc project <project_name>
アプリケーションのノードポートを公開するには、次のコマンドを入力して、サービスのカスタムリソース定義 (CRD) を変更します。
$ oc edit svc <service_name>
出力例
spec: ports: - name: 8443-tcp nodePort: 30327 1 port: 8443 protocol: TCP targetPort: 8443 sessionAffinity: None type: NodePort 2
オプション: サービスが公開されるノードポートで利用可能なことを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get svc -n myproject
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE nodejs-ex ClusterIP 172.30.217.127 <none> 3306/TCP 9m44s nodejs-ex-ingress NodePort 172.30.107.72 <none> 3306:31345/TCP 39s
オプション:
oc new-app
コマンドによって自動的に作成されたサービスを削除するには、以下のコマンドを入力します。$ oc delete svc nodejs-ex
検証
サービスノードポートが
30000 ~ 32767
の範囲のポートで更新されていることを確認するには、次のコマンドを入力します。$ oc get svc
次の出力例では、更新されたポートは
30327
です。出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE httpd NodePort 172.xx.xx.xx <none> 8443:30327/TCP 109s
27.8.5. 関連情報
27.9. ロードバランサーの許可された送信元範囲を使用した Ingress クラスタートラフィックの設定
IngressController
の IP アドレス範囲の一覧を指定できます。endpointPublishingStrategy
が LoadBalancerService
の場合、これにより、ロードバランサーサービスへのアクセスが制限されます。
27.9.1. ロードバランサーの許可されるソース範囲の設定
spec.endpointPublishingStrategy.loadBalancer.allowedSourceRanges
フィールドを有効にして設定できます。ロードバランサーの許可されるソース範囲を設定することで、Ingress Contoller のロードバランサーへのアクセスを、指定された IP アドレス範囲のリストに制限できます。Ingress Operator はロードバランサー Service を調整し、AllowedSourceRanges
に基づいて spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドを設定します。
以前のバージョンの OpenShift Container Platform で spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドまたはロードバランサーサービスアノテーション service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
をすでに設定している場合、Ingress Controller はアップグレード後に Progressing=True
のレポートを開始します。.これを修正するには、spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドを上書きし、service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
アノテーションをクリアする AllowedSourceRanges
を設定します。Ingress Controller は、再び Progressing=False
の報告を開始します。
前提条件
- 実行中のクラスターにデプロイされた Ingress Controller があります。
手順
次のコマンドを実行して、Ingress Controller の許可されるソース範囲 API を設定します。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"type":"LoadBalancerService", "loadbalancer": \ {"scope":"External", "allowedSourceRanges":["0.0.0.0/0"]}}}}' 1
- 1
- 例の値
0.0.0.0/0
は、許可されるソース範囲を指定します。
27.9.2. ロードバランサーの許可されたソース範囲への移行
注釈 service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
をすでに設定している場合は、ロードバランサーの許可されたソース範囲に移行できます。AllowedSourceRanges
を設定すると、Ingress Controller は AllowedSourceRanges
値に基づいて spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドを設定し、service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
アノテーションを設定解除します。
以前のバージョンの OpenShift Container Platform で spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドまたはロードバランサーサービスアノテーション service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
をすでに設定している場合、Ingress Controller はアップグレード後に Progressing=True
のレポートを開始します。.これを修正するには、spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドを上書きし、service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
アノテーションをクリアする AllowedSourceRanges
を設定します。Ingress Controller は再び Progressing=False
の報告を開始します。
前提条件
-
service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
アノテーションを設定しました。
手順
service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges
が設定されていることを確認します。$ oc get svc router-default -n openshift-ingress -o yaml
出力例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: annotations: service.beta.kubernetes.io/load-balancer-source-ranges: 192.168.0.1/32
spec.loadBalancerSourceRanges
フィールドが設定されていないことを確認します。$ oc get svc router-default -n openshift-ingress -o yaml
出力例
... spec: loadBalancerSourceRanges: - 0.0.0.0/0 ...
- クラスターを OpenShift Container Platform 4.14 に更新します。
次のコマンドを実行して、
ingresscontroller
の許可されるソース範囲 API を設定します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"loadBalancer":{"allowedSourceRanges":["0.0.0.0/0"]}}}}' 1
- 1
- 例の値
0.0.0.0/0
は、許可されるソース範囲を指定します。
27.9.3. 関連情報
第28章 Kubernetes NMState
28.1. Kubernetes NMState Operator について
Kubernetes NMState Operator は、NMState の OpenShift Container Platform クラスターのノード間でステートドリブンのネットワーク設定を実行するための Kubernetes API を提供します。Kubernetes NMState Operator は、ユーザーに対して、クラスターノードの各種のネットワークインターフェイスタイプ、DNS、およびルーティングを設定する機能を提供します。さらに、クラスターノードのデーモンは、各ノードの API サーバーへのネットワークインターフェイスの状態の定期的な報告を行います。
Red Hat は、ベアメタル、IBM Power®、IBM Z®、IBM® LinuxONE、VMware vSphere、および OpenStack インストール上の実稼働環境で Kubernetes NMState Operator をサポートします。
OpenShift Container Platform で NMState を使用する前に、Kubernetes NMState Operator をインストールする必要があります。
Kubernetes NMState Operator は、セカンダリー NIC のネットワーク設定を更新します。プライマリー NIC または br-ex
ブリッジのネットワーク設定を更新できません。
OpenShift Container Platform は nmstate
を使用して、ノードネットワークの状態を報告し、これを設定します。これにより、たとえばすべてのノードに Linux ブリッジを作成するなど、単一の設定マニフェストをクラスターに適用して、ネットワークポリシー設定を変更できるようになります。
ノードのネットワークは、以下のオブジェクトによって監視され更新されます。
NodeNetworkState
- そのノード上のネットワークの状態を報告します。
NodeNetworkConfigurationPolicy
-
ノードで要求されるネットワーク設定について説明します。
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用して、インターフェイスの追加および削除など、ノードネットワーク設定を更新します。 NodeNetworkConfigurationEnactment
- 各ノードに制定されたネットワークポリシーを報告します。
28.1.1. Kubernetes NMState Operator のインストール
ウェブコンソールまたは CLI を使用して、Kubernetes NMState Operator をインストールできます。
28.1.1.1. Web コンソールを使用した Kubernetes NMState Operator のインストール
Web コンソールを使用して Kubernetes NMState Operator をインストールできます。インストールが完了すると、Operator はすべてのクラスターノードに NMState State Controller をデーモンセットとしてデプロイできます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- Operators → OperatorHub を選択します。
-
All Items の下の検索フィールドに、
nmstate
と入力し、Enter をクリックして Kubernetes NMState Operator を検索します。 - Kubernetes NMState Operator の検索結果をクリックします。
- Install をクリックして、Install Operator ウィンドウを開きます。
- Install をクリックして Operator をインストールします。
- Operator のインストールが完了したら、View Operator をクリックします。
-
Provided APIs で Create Instance をクリックし、
kubernetes-nmstate
のインスタンスを作成するダイアログボックスを開きます。 ダイアログボックスの Name フィールドで、インスタンスの名前が
nmstate
であることを確認します。注記名前の制限は既知の問題です。インスタンスはクラスター全体のシングルトンです。
- デフォルト設定を受け入れ、Create をクリックしてインスタンスを作成します。
概要
完了後に、Operator はすべてのクラスターノードに NMState State Controller をデーモンセットとしてデプロイしています。
28.1.1.2. CLI を使用した Kubernetes NMState Operator のインストール
OpenShift CLI (oc)
を使用して、Kubernetes NMState Operator をインストールできます。インストールが完了すると、Operator はすべてのクラスターノードに NMState State Controller をデーモンセットとしてデプロイできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
nmstate
Operator namespace を作成します。$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: openshift-nmstate spec: finalizers: - kubernetes EOF
OperatorGroup
を作成します。$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: openshift-nmstate namespace: openshift-nmstate spec: targetNamespaces: - openshift-nmstate EOF
nmstate
Operator にサブスクライブします。$ cat << EOF| oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: kubernetes-nmstate-operator namespace: openshift-nmstate spec: channel: stable installPlanApproval: Automatic name: kubernetes-nmstate-operator source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace EOF
nmstate
Operator デプロイメントのClusterServiceVersion
(CSV) ステータスがSucceeded
であることを確認します。$ oc get clusterserviceversion -n openshift-nmstate \ -o custom-columns=Name:.metadata.name,Phase:.status.phase
出力例
Name Phase kubernetes-nmstate-operator.4.15.0-202210210157 Succeeded
nmstate
Operator のインスタンスを作成します。$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NMState metadata: name: nmstate EOF
NMState Operator の Pod が稼働していることを確認します。
$ oc get pod -n openshift-nmstate
出力例
Name Ready Status Restarts Age pod/nmstate-cert-manager-5b47d8dddf-5wnb5 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-console-plugin-d6b76c6b9-4dcwm 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-handler-6v7rm 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-handler-bjcxw 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-handler-fv6m2 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-handler-kb8j6 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-handler-wn55p 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-operator-f6bb869b6-v5m92 1/1 Running 0 4m51s pod/nmstate-webhook-66d6bbd84b-6n674 1/1 Running 0 77s pod/nmstate-webhook-66d6bbd84b-vlzrd 1/1 Running 0 77s
28.2. ノードのネットワーク状態と設定の監視と更新
28.2.1. CLI を使用したノードのネットワーク状態の表示
ノードのネットワーク状態は、クラスター内のすべてのノードのネットワーク設定です。NodeNetworkState
オブジェクトはクラスター内のすべてのノードにあります。このオブジェクトは定期的に更新され、ノードのネットワークの状態を取得します。
手順
クラスターのすべての
NodeNetworkState
オブジェクトをリスト表示します。$ oc get nns
NodeNetworkState
オブジェクトを検査して、そのノードにネットワークを表示します。この例の出力は、明確にするために編集されています。$ oc get nns node01 -o yaml
出力例
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkState metadata: name: node01 1 status: currentState: 2 dns-resolver: # ... interfaces: # ... route-rules: # ... routes: # ... lastSuccessfulUpdateTime: "2020-01-31T12:14:00Z" 3
28.2.2. Web コンソールからのノードのネットワーク状態の表示
管理者は、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、NodeNetworkState
リソースとネットワークインターフェイスを観察し、ネットワークの詳細にアクセスできます。
手順
Networking → NodeNetworkState に移動します。
NodeNetworkState ページでは、
NodeNetworkState
リソースと、ノード上に作成された対応するインターフェイスのリストを表示できます。Interface state、Interface type、および IP に基づく フィルター、または Name または Label の条件に基づく検索バーを使用して、表示されるNodeNetworkState
リソースを絞り込むことができます。-
NodeNetworkState
リソースに関する詳細情報にアクセスするには、Name 列にリストされているNodeNetworkState
リソース名をクリックします。 -
NodeNetworkState
リソースの Network Details セクションをデプロイメントして表示するには、> アイコンをクリックします。あるいは、Network interface 列の下の各インターフェイスタイプをクリックして、ネットワークの詳細を表示することもできます。
28.2.3. Web コンソールからのポリシーの管理
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用して、ノードからのインターフェイスの追加または削除など、ノードネットワーク設定を更新できます。Web コンソールからポリシーを管理するには、Networking メニューの NodeNetworkConfigurationPolicy ページで作成されたポリシーのリストにアクセスします。このページでは、ポリシーを作成、更新、監視、削除できます。
28.2.3.1. ポリシーステータスの監視
NodeNetworkConfigurationPolicy ページからポリシーのステータスを監視できます。このページには、クラスター内に作成されたすべてのポリシーが次の列を含む表形式で表示されます。
- 名前
- 作成されたポリシーの名前。
- 一致したノード
- ポリシーが適用されるノードの数。これは、ノードセレクターに基づくノードのサブセット、またはクラスター上のすべてのノードのいずれかになります。
- ノードのネットワーク状態
- 一致したノードの実行状態。制定状態をクリックすると、ステータスの詳細情報が表示されます。
目的のポリシーを見つけるには、Filter オプションを使用するか、検索オプションを使用して、制定状態に基づいてリストをフィルターできます。
28.2.3.2. ポリシーの作成
Web コンソールでフォームまたは YAML を使用してポリシーを作成できます。
手順
- Networking → NodeNetworkConfigurationPolicy に移動します。
NodeNetworkConfigurationPolicy ページで Create をクリックし、From Form オプションを選択します。
既存のポリシーがない場合は、Create NodeNetworkConfigurationPolicy をクリックして、フォームを使用してポリシーを作成することもできます。
注記YAML を使用してポリシーを作成するには、Create をクリックし、With YAML オプションを選択します。次の手順は、フォームを使用してポリシーを作成する場合にのみ適用されます。
- オプション: Apply this NodeNetworkConfigurationPolicy only to specific subsets of nodes using the node selector チェックボックスをオンにして、ポリシーを適用する必要があるノードを指定します。
- Policy name フィールドにポリシー名を入力します。
- オプション: Description フィールドにポリシーの説明を入力します。
オプション: Policy Interface(s) セクションでは、編集可能なフィールドにプリセット値が設定されたブリッジインターフェイスがデフォルトで追加されます。次の手順を実行して値を編集します。
- Interface name フィールドにインターフェイスの名前を入力します。
- Network state ドロップダウンからネットワーク状態を選択します。デフォルトで選択されている値は Up です。
Type ドロップダウンからインターフェイスのタイプを選択します。使用可能な値は、Bridge、Bonding、および Ethernet です。デフォルトで選択されている値は Bridge です。
注記フォームを使用した VLAN インターフェイスの追加はサポートされていません。VLAN インターフェイスを追加するには、YAML を使用してポリシーを作成する必要があります。ポリシーを追加すると、フォームを使用してポリシーを編集できません。
オプション: IP 設定セクションで、IPv4 チェックボックスをオンにしてインターフェイスに IPv4 アドレスを割り当て、IP アドレス割り当ての詳細を設定します。
- IP address をクリックしてインターフェイスを静的 IP アドレスで設定するか、DHCP をクリックして IP アドレスを自動割り当てします。
IP address オプションを選択した場合は、IPV4 address フィールドに IPv4 アドレスを、Prefix length フィールドに接頭辞長を入力します。
DHCP オプションを選択した場合は、無効にするオプションのチェックを外します。使用可能なオプションは、Auto-DNS、Auto-routes、および Auto-gateway です。すべてのオプションがデフォルトで選択されています。
- オプション: Port フィールドにポート番号を入力します。
- オプション: STP を有効にするには、Enable STP チェックボックスをオンにします。
- オプション: ポリシーにインターフェイスを追加するには、Add another interface to the policy をクリックします。
- オプション: ポリシーからインターフェイスを削除するには、インターフェイスの横にあるアイコン をクリックします。
注記または、ページ上部の Edit YAML をクリックして、YAML を使用してフォームの編集を続けることもできます。
- Create をクリックしてポリシーの作成を完了します。
28.2.3.3. ポリシーの更新
28.2.3.3.1. フォームを使用してポリシーを更新する
手順
- Networking → NodeNetworkConfigurationPolicy に移動します。
- NodeNetworkConfigurationPolicy ページで、編集するポリシーの横にあるアイコン を選択し、Edit をクリックします。
- 更新するフィールドを編集します。
- Save をクリックします。
フォームを使用した VLAN インターフェイスの追加はサポートされていません。VLAN インターフェイスを追加するには、YAML を使用してポリシーを作成する必要があります。ポリシーを追加すると、フォームを使用してポリシーを編集することはできません。
28.2.3.3.2. YAML を使用したポリシーの更新
手順
- Networking → NodeNetworkConfigurationPolicy に移動します。
- NodeNetworkConfigurationPolicy ページで、編集するポリシーの Name 列の下にあるポリシー名をクリックします。
- YAML タブをクリックし、YAML を編集します。
- Save をクリックします。
28.2.3.4. ポリシーの削除
手順
- Networking → NodeNetworkConfigurationPolicy に移動します。
- NodeNetworkConfigurationPolicy ページで、削除するポリシーの横にあるアイコン を選択し、Delete をクリックします。
- ポップアップウィンドウで、削除を確認するポリシー名を入力し、Delete をクリックします。
28.2.4. CLI を使用したポリシーの管理
28.2.4.1. ノード上でのインターフェイスの作成
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用してクラスター内のノード上にインターフェイスを作成します。マニフェストには、インターフェイスの要求された設定の詳細が含まれます。
デフォルトでは、マニフェストはクラスター内のすべてのノードに適用されます。インターフェイスを特定ノードに追加するには、ノードセレクターの spec: nodeSelector
パラメーターおよび適切な <key>:<value>
を追加します。
複数の nmstate 対応ノードを同時に設定できます。この設定は、並列のノードの 50% に適用されます。このストラテジーでは、ネットワーク接続に障害が発生した場合にクラスター全体が使用できなくなるのを回避します。クラスターの特定の部分に、ポリシーの並行設定を適用するには、maxUnavailable
フィールドを使用します。
手順
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを作成します。以下の例は、すべてのワーカーノードで Linux ブリッジを設定し、DNS リゾルバーを設定します。apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: br1-eth1-policy 1 spec: nodeSelector: 2 node-role.kubernetes.io/worker: "" 3 maxUnavailable: 3 4 desiredState: interfaces: - name: br1 description: Linux bridge with eth1 as a port 5 type: linux-bridge state: up ipv4: dhcp: true enabled: true auto-dns: false bridge: options: stp: enabled: false port: - name: eth1 dns-resolver: 6 config: search: - example.com - example.org server: - 8.8.8.8
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では
node-role.kubernetes.io/worker: ""
ノードセレクターを使用し、クラスター内のすべてのワーカーノードを選択します。 - 4
- オプション: ポリシー設定を同時に適用できる nmstate 対応ノードの最大数を指定します。このパラメーターは、
"10%"
などのパーセンテージ値 (文字列)、または3
などの絶対値 (数値) のいずれかに設定できます。 - 5
- オプション: インターフェイスの人間が判読できる説明。
- 6
- オプション:DNS サーバーの検索およびサーバー設定を指定します。
ノードのネットワークポリシーを作成します。
$ oc apply -f br1-eth1-policy.yaml 1
- 1
- ノードネットワーク設定ポリシーマニフェストのファイル名。
関連情報
28.2.4.2. ノード上でのノードネットワークポリシー更新の確認
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストは、クラスターのノードについて要求されるネットワーク設定を記述します。ノードネットワークポリシーには、要求されたネットワーク設定と、クラスター全体でのポリシーの実行ステータスが含まれます。
ノードネットワークポリシーを適用する際に、NodeNetworkConfigurationEnactment
オブジェクトがクラスター内のすべてのノードについて作成されます。ノードネットワーク設定の enactment (実行) は、そのノードでのポリシーの実行ステータスを表す読み取り専用オブジェクトです。ポリシーがノードに適用されない場合、そのノードの enactment (実行) にはトラブルシューティングのためのトレースバックが含まれます。
手順
ポリシーがクラスターに適用されていることを確認するには、ポリシーとそのステータスをリスト表示します。
$ oc get nncp
オプション: ポリシーの設定に想定されている以上の時間がかかる場合は、特定のポリシーの要求される状態とステータスの状態を検査できます。
$ oc get nncp <policy> -o yaml
オプション: ポリシーのすべてのノード上での設定に想定されている以上の時間がかかる場合は、クラスターの enactment (実行) のステータスをリスト表示できます。
$ oc get nnce
オプション: 特定の enactment (実行) の設定 (失敗した設定のエラーレポートを含む) を表示するには、以下を実行します。
$ oc get nnce <node>.<policy> -o yaml
28.2.4.3. ノードからインターフェイスの削除
NodeNetworkConfigurationPolicy
オブジェクトを編集し、インターフェイスの state
を absent
に設定して、クラスターの 1 つ以上のノードからインターフェイスを削除できます。
ノードからインターフェイスを削除しても、ノードのネットワーク設定は以前の状態に自動的に復元されません。以前の状態に復元する場合、そのノードのネットワーク設定をポリシーで定義する必要があります。
ブリッジまたはボンディングインターフェイスを削除すると、そのブリッジまたはボンディングインターフェイスに以前に接続されたか、それらの下位にあるノード NIC は down
の状態になり、到達できなくなります。接続が失われないようにするには、同じポリシーでノード NIC を設定し、ステータスを up
にし、DHCP または静的 IP アドレスのいずれかになるようにします。
インターフェイスを追加したポリシーを削除しても、ノード上のポリシーの設定は変更されません。NodeNetworkConfigurationPolicy
はクラスターのオブジェクトですが、これは要求される設定のみを表します。
同様に、インターフェイスを削除してもポリシーは削除されません。
手順
インターフェイスの作成に使用する
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを更新します。以下の例は Linux ブリッジを削除し、接続が失われないように DHCP でeth1
NIC を設定します。apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: <br1-eth1-policy> 1 spec: nodeSelector: 2 node-role.kubernetes.io/worker: "" 3 desiredState: interfaces: - name: br1 type: linux-bridge state: absent 4 - name: eth1 5 type: ethernet 6 state: up 7 ipv4: dhcp: true 8 enabled: true 9
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では
node-role.kubernetes.io/worker: ""
ノードセレクターを使用し、クラスター内のすべてのワーカーノードを選択します。 - 4
- 状態を
absent
に変更すると、インターフェイスが削除されます。 - 5
- ブリッジインターフェイスから接続が解除されるインターフェイスの名前。
- 6
- インターフェイスのタイプ。この例では、イーサネットネットワークインターフェイスを作成します。
- 7
- インターフェイスの要求された状態。
- 8
- オプション:
dhcp
を使用しない場合は、静的 IP を設定するか、IP アドレスなしでインターフェイスを出ることができます。 - 9
- この例では
ipv4
を有効にします。
ノード上でポリシーを更新し、インターフェイスを削除します。
$ oc apply -f <br1-eth1-policy.yaml> 1
- 1
- ポリシーマニフェストのファイル名。
28.2.5. 異なるインターフェイスのポリシー設定の例
ポリシーを適用する際には、クラスターが最適なパフォーマンス状態で実行されるように、さまざまな NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) マニフェスト設定の例を読む前に、次の要素を考慮してください。
-
ポリシーを複数のノードに適用する必要がある場合は、ターゲットノードごとに
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを作成します。Kubernetes NMState Operator は、NNCP を持つ各ノードにポリシーを不特定の順序で適用します。この方法でポリシーのスコープを設定すると、ポリシーの適用にかかる時間が短縮されますが、クラスターの設定にエラーがある場合はクラスター全体が停止するリスクがあります。この種のエラーを回避するには、最初に一部のノードに NNCP を適用し、正しく設定されていることを確認してから、残りのノードにポリシーを適用します。 -
多数のノードにポリシーを適用する必要があるが、すべてのターゲットノードに対して 1 つの NNCP のみを作成する場合、Kubernetes NMState Operator は各ノードにポリシーを順番に適用します。クラスター設定の
maxUnavailable
パラメーターを使用して、ターゲットノードに対するポリシー適用の速度と範囲を設定できます。パラメーターのパーセンテージ値を低く設定すると、ポリシー適用を受信しているノードのごく一部に障害が影響する場合に、クラスター全体の障害が発生するリスクを軽減できます。 - 関連するすべてのネットワーク設定を 1 つのポリシーで指定することを検討してください。
- ノードが再起動すると、Kubernetes NMState Operator はノードにポリシーを適用する順序を制御できなくなります。Kubernetes NMState Operator は、相互依存するポリシーを順番に適用する場合があります。その結果、ネットワークオブジェクトがデグレード状態になることがあります。
28.2.5.1. 例: Linux ブリッジインターフェイスノードネットワーク設定ポリシー
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用してクラスター内のノード上に Linux ブリッジインターフェイスを作成します。
以下の YAML ファイルは、Linux ブリッジインターフェイスのマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: br1-eth1-policy 1 spec: nodeSelector: 2 kubernetes.io/hostname: <node01> 3 desiredState: interfaces: - name: br1 4 description: Linux bridge with eth1 as a port 5 type: linux-bridge 6 state: up 7 ipv4: dhcp: true 8 enabled: true 9 bridge: options: stp: enabled: false 10 port: - name: eth1 11
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では、
hostname
ノードセレクターを使用します。 - 4
- インターフェイスの名前。
- 5
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6
- インターフェイスのタイプ。この例では、ブリッジを作成します。
- 7
- 作成後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- オプション:
dhcp
を使用しない場合は、静的 IP を設定するか、IP アドレスなしでインターフェイスを出ることができます。 - 9
- この例では
ipv4
を有効にします。 - 10
- この例では
stp
を無効にします。 - 11
- ブリッジが接続されるノードの NIC。
28.2.5.2. 例: VLAN インターフェイスノードネットワークの設定ポリシー
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用してクラスター内のノード上に VLAN インターフェイスを作成します。
1 つの NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストで、ノードの VLAN インターフェイスに関連するすべての設定を定義します。たとえば、同じ NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストで、ノードの VLAN インターフェイスと VLAN インターフェイスの関連ルートを定義します。
ノードが再起動すると、Kubernetes NMState Operator はポリシーを適用する順序を制御できません。したがって、関連するネットワーク設定に別々のポリシーを使用すると、Kubernetes NMState Operator がこれらのポリシーを順番に適用するため、ネットワークオブジェクトがデグレード状態になる可能性があります。
以下の YAML ファイルは、VLAN インターフェイスのマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: vlan-eth1-policy 1 spec: nodeSelector: 2 kubernetes.io/hostname: <node01> 3 desiredState: interfaces: - name: eth1.102 4 description: VLAN using eth1 5 type: vlan 6 state: up 7 vlan: base-iface: eth1 8 id: 102 9
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では、
hostname
ノードセレクターを使用します。 - 4
- インターフェイスの名前。ベアメタルにデプロイする場合、
<interface_name>.<vlan_number>
VLAN 形式のみがサポートされます。 - 5
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6
- インターフェイスのタイプ。以下の例では VLAN を作成します。
- 7
- 作成後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- VLAN が接続されているノードの NIC。
- 9
- VLAN タグ。
28.2.5.3. 例: Virtual Function のノードネットワーク設定ポリシー (テクノロジープレビュー)
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを適用して、既存のクラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワーク Virtual Function (VF) のホストネットワーク設定を更新します。
SR-IOV ネットワーク VF のホストネットワーク設定の更新は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストを既存のクラスターに適用して、次のタスクを完了できます。
- VF の QoS または MTU ホストネットワークを設定して、パフォーマンスを最適化します。
- ネットワークインターフェイスの VF を追加、削除、または更新します。
- VF ボンディング設定を管理します。
SR-IOV Network Operator を通じて管理もされる物理機能で NMState を使用して SR-IOV VF のホストネットワーク設定を更新するには、関連する SriovNetworkNodePolicy
リソースの externallyManaging
パラメーターを true
に設定する必要があります。詳細は、関連情報 セクションを参照してください。
次の YAML ファイルは、VF の QoS ポリシーを定義するマニフェストの例です。このファイルにはサンプル値が含まれていますが、これは独自の情報に置き換える必要があります。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: qos 1 spec: nodeSelector: 2 node-role.kubernetes.io/worker: "" 3 desiredState: interfaces: - name: ens1f0 4 description: Change QOS on VF0 5 type: ethernet 6 state: up 7 ethernet: sr-iov: total-vfs: 3 8 vfs: - id: 0 9 max-tx-rate: 200 10
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例は、
worker
ロールを持つすべてのノードに適用されます。 - 4
- 物理機能 (PF) ネットワークインターフェイスの名前。
- 5
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6
- インターフェイスのタイプ。
- 7
- 設定後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- VF の総数。
- 9
- ID
0
を持つ VF を識別します。 - 10
- VF の最大伝送速度 (Mbps) を設定します。このサンプル値は、200 Mbps のレートを設定します。
次の YAML ファイルは、VF 上に VLAN インターフェイスを作成し、それをボンディングされたネットワークインターフェイスに追加するマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: addvf 1 spec: nodeSelector: 2 node-role.kubernetes.io/worker: "" 3 maxUnavailable: 3 desiredState: interfaces: - name: ens1f0v1 4 type: ethernet state: up - name: ens1f0v1.477 5 type: vlan state: up vlan: base-iface: ens1f0v1 6 id: 477 - name: bond0 7 description: Add vf 8 type: bond 9 state: up 10 link-aggregation: mode: active-backup 11 options: primary: ens1f1v0.477 12 port: 13 - ens1f1v0.477 - ens1f0v0.477 - ens1f0v1.477 14
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例は、
worker
ロールを持つすべてのノードに適用されます。 - 4
- VF ネットワークインターフェイスの名前。
- 5
- VLAN ネットワークインターフェイスの名前。
- 6
- VLAN インターフェイスがアタッチされている VF ネットワークインターフェイス。
- 7
- ボンディングネットワークインターフェイスの名前。
- 8
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 9
- インターフェイスのタイプ。
- 10
- 設定後のインターフェイスの要求された状態。
- 11
- ボンディングのボンディングポリシー。
- 12
- 割り当てられたプライマリーボンディングポート。
- 13
- ボンディングされたネットワークインターフェイスのポート。
- 14
- この例では、この VLAN ネットワークインターフェイスが、追加インターフェイスとしてボンディングされたネットワークインターフェイスに追加されています。
関連情報
28.2.5.4. 例: ボンドインターフェイスノードネットワークの設定ポリシー
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用してノード上にボンドインターフェイスを作成します。
OpenShift Container Platform は以下の bond モードのみをサポートします。
-
mode=1 active-backup
-
mode=2 balance-xor
-
mode=4 802.3ad
その他のボンディングモードはサポートされていません。
以下の YAML ファイルは、ボンドインターフェイスのマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: bond0-eth1-eth2-policy 1 spec: nodeSelector: 2 kubernetes.io/hostname: <node01> 3 desiredState: interfaces: - name: bond0 4 description: Bond with ports eth1 and eth2 5 type: bond 6 state: up 7 ipv4: dhcp: true 8 enabled: true 9 link-aggregation: mode: active-backup 10 options: miimon: '140' 11 port: 12 - eth1 - eth2 mtu: 1450 13
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では、
hostname
ノードセレクターを使用します。 - 4
- インターフェイスの名前。
- 5
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6
- インターフェイスのタイプ。この例では、ボンドを作成します。
- 7
- 作成後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- オプション:
dhcp
を使用しない場合は、静的 IP を設定するか、IP アドレスなしでインターフェイスを出ることができます。 - 9
- この例では
ipv4
を有効にします。 - 10
- ボンドのドライバーモード。この例では、アクティブなバックアップモードを使用します。
- 11
- オプション: この例では、miimon を使用して 140ms ごとにボンドリンクを検査します。
- 12
- ボンド内の下位ノードの NIC。
- 13
- オプション: ボンドの Maximum Transmission Unit (MTU)指定がない場合、この値はデフォルトで
1500
に設定されます。
28.2.5.5. 例: イーサネットインターフェイスノードネットワークの設定ポリシー
NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用してクラスター内のノードにイーサネットインターフェイスを作成します。
以下の YAML ファイルは、イーサネットインターフェイスのマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: eth1-policy 1 spec: nodeSelector: 2 kubernetes.io/hostname: <node01> 3 desiredState: interfaces: - name: eth1 4 description: Configuring eth1 on node01 5 type: ethernet 6 state: up 7 ipv4: dhcp: true 8 enabled: true 9
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では、
hostname
ノードセレクターを使用します。 - 4
- インターフェイスの名前。
- 5
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6
- インターフェイスのタイプ。この例では、イーサネットネットワークインターフェイスを作成します。
- 7
- 作成後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- オプション:
dhcp
を使用しない場合は、静的 IP を設定するか、IP アドレスなしでインターフェイスを出ることができます。 - 9
- この例では
ipv4
を有効にします。
28.2.5.6. 例: 同じノードネットワーク設定ポリシーでの複数のインターフェイス
同じノードネットワーク設定ポリシーで複数のインターフェイスを作成できます。これらのインターフェイスは相互に参照でき、単一のポリシーマニフェストを使用してネットワーク設定をビルドし、デプロイできます。
以下の YAML ファイルの例では、2 つの NIC 間に bond10
という名前のボンドと、ボンドに接続する bond10.103
という名前の VLAN を作成します。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: bond-vlan 1 spec: nodeSelector: 2 kubernetes.io/hostname: <node01> 3 desiredState: interfaces: - name: bond10 4 description: Bonding eth2 and eth3 5 type: bond 6 state: up 7 link-aggregation: mode: balance-xor 8 options: miimon: '140' 9 port: 10 - eth2 - eth3 - name: bond10.103 11 description: vlan using bond10 12 type: vlan 13 state: up 14 vlan: base-iface: bond10 15 id: 103 16 ipv4: dhcp: true 17 enabled: true 18
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。 - 3
- この例では、
hostname
ノードセレクターを使用します。 - 4 11
- インターフェイスの名前。
- 5 12
- オプション: 人間が判読できるインターフェイスの説明。
- 6 13
- インターフェイスのタイプ。
- 7 14
- 作成後のインターフェイスの要求された状態。
- 8
- ボンドのドライバーモード。
- 9
- オプション: この例では、miimon を使用して 140ms ごとにボンドリンクを検査します。
- 10
- ボンド内の下位ノードの NIC。
- 15
- VLAN が接続されているノードの NIC。
- 16
- VLAN タグ。
- 17
- オプション: dhcp を使用しない場合は、静的 IP を設定するか、IP アドレスなしでインターフェイスを出ることができます。
- 18
- この例では ipv4 を有効にします。
28.2.5.7. 例: VRF インスタンスノードのネットワーク設定ポリシーを使用したネットワークインターフェイス
NodeNetworkConfigurationPolicy
カスタムリソース (CR) を適用して、Virtual Routing and Forwarding (VRF) インスタンスをネットワークインターフェイスに関連付けます。
VRF インスタンスとネットワークインターフェイスの関連付けは、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
VRF インスタンスをネットワークインターフェイスに関連付けることにより、トラフィックの分離、独立したルーティングの決定、およびネットワークリソースの論理的な分離をサポートできます。
ベアメタル環境では、MetalLB を使用して、VRF インスタンスに属するインターフェイスを通じてロードバランサーサービスを通知できます。詳細は、関連情報 セクションを参照してください。
次の YAML ファイルは、VRF インスタンスをネットワークインターフェイスに関連付ける例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: vrfpolicy 1 spec: nodeSelector: vrf: "true" 2 maxUnavailable: 3 desiredState: interfaces: - name: ens4vrf 3 type: vrf 4 state: up vrf: port: - ens4 5 route-table-id: 2 6
28.2.6. ブリッジに接続された NIC の静的 IP の取得
NIC の静的 IP のキャプチャーは、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
28.2.6.1. 例: ブリッジに接続された NIC から静的 IP アドレスを継承する Linux ブリッジインターフェイスノードネットワーク設定ポリシー
クラスター内のノードに Linux ブリッジインターフェイスを作成し、単一の NodeNetworkConfigurationPolicy
マニフェストをクラスターに適用して NIC の静的 IP 設定をブリッジに転送します。
以下の YAML ファイルは、Linux ブリッジインターフェイスのマニフェストの例です。これには、独自の情報で置き換える必要のあるサンプルの値が含まれます。
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: br1-eth1-copy-ipv4-policy 1 spec: nodeSelector: 2 node-role.kubernetes.io/worker: "" capture: eth1-nic: interfaces.name=="eth1" 3 eth1-routes: routes.running.next-hop-interface=="eth1" br1-routes: capture.eth1-routes | routes.running.next-hop-interface := "br1" desiredState: interfaces: - name: br1 description: Linux bridge with eth1 as a port type: linux-bridge 4 state: up ipv4: "{{ capture.eth1-nic.interfaces.0.ipv4 }}" 5 bridge: options: stp: enabled: false port: - name: eth1 6 routes: config: "{{ capture.br1-routes.routes.running }}"
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- オプション:
nodeSelector
パラメーターを含めない場合、ポリシーはクラスター内のすべてのノードに適用されます。この例ではnode-role.kubernetes.io/worker: ""
ノードセレクターを使用し、クラスター内のすべてのワーカーノードを選択します。 - 3
- ブリッジを接続するノード NIC への参照。
- 4
- インターフェイスのタイプ。この例では、ブリッジを作成します。
- 5
- ブリッジインターフェイスの IP アドレス。この値は、
spec.capture.eth1-nic
エントリーにより参照される NIC の IP アドレスと一致します。 - 6
- ブリッジが接続されるノードの NIC。
28.2.7. 例: IP 管理
次の設定スニペットの例は、さまざまな IP 管理方法を示しています。
これらの例では、ethernet
インターフェイスタイプを使用して、ポリシー設定に関連するコンテキストを表示しつつ、サンプルを単純化します。これらの IP 管理のサンプルは、他のインターフェイスタイプでも使用できます。
28.2.7.1. 静的
以下のスニペットは、イーサネットインターフェイスで IP アドレスを静的に設定します。
# ...
interfaces:
- name: eth1
description: static IP on eth1
type: ethernet
state: up
ipv4:
dhcp: false
address:
- ip: 192.168.122.250 1
prefix-length: 24
enabled: true
# ...
- 1
- この値を、インターフェイスの静的 IP アドレスに置き換えます。
28.2.7.2. IP アドレスなし
以下のスニペットでは、インターフェイスに IP アドレスがないことを確認できます。
# ... interfaces: - name: eth1 description: No IP on eth1 type: ethernet state: up ipv4: enabled: false # ...
28.2.7.3. 動的ホストの設定
以下のスニペットは、動的 IP アドレス、ゲートウェイアドレス、および DNS を使用するイーサネットインターフェイスを設定します。
# ... interfaces: - name: eth1 description: DHCP on eth1 type: ethernet state: up ipv4: dhcp: true enabled: true # ...
以下のスニペットは、動的 IP アドレスを使用しますが、動的ゲートウェイアドレスまたは DNS を使用しないイーサネットインターフェイスを設定します。
# ... interfaces: - name: eth1 description: DHCP without gateway or DNS on eth1 type: ethernet state: up ipv4: dhcp: true auto-gateway: false auto-dns: false enabled: true # ...
28.2.7.4. DNS
デフォルトでは、nmstate
API は DNS 値をネットワークインターフェイスに保存するのではなく、グローバルに保存します。特定の状況では、DNS 値を保存するようにネットワークインターフェイスを設定する必要があります。ネットワークインターフェイスの DNS 設定を定義するには、最初にネットワークインターフェイスの YAML 設定ファイルで dns-resolver
セクションを指定する必要があります。
DNS 設定の設定は、/etc/resolv.conf
ファイルの変更に相当します。
DNS リゾルバーの設定時に、OVNKubernetes 管理の Open vSwitch ブリッジである br-ex
ブリッジをインターフェイスとして使用することはできません。
次の例は、DNS 値をグローバルに保存するデフォルトの状況を示しています。
ネットワークインターフェイスなしで静的 DNS を設定します。ホストノード上の
/etc/resolv.conf
ファイルを更新する場合、NodeNetworkConfigurationPolicy
(NNCP) マニフェストでインターフェイス (IPv4 または IPv6) を指定する必要はありません。DNS 値をグローバルに保存するネットワークインターフェイスの DNS 設定の例
apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: worker-0-dns-testing spec: nodeSelector: kubernetes.io/hostname: <target_node> desiredState: dns-resolver: config: search: - example.com - example.org server: - 2001:db8:f::1 - 192.0.2.251 # ...
次の例は、DNS 値を格納するためにネットワークインターフェイスを設定する必要がある状況を示しています。
静的 DNS ネームサーバーを動的 DNS ネームサーバーよりも優先する場合は、ネットワークインターフェイス YAML 設定ファイルで、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) または IPv6 自動設定 (
autoconf
) メカニズムのいずれかを実行するインターフェイスを定義します。DHCPv4 ネットワークプロトコルから取得した DNS ネームサーバーに
192.0.2.1
を追加する設定の例# ... dns-resolver: config: server: - 192.0.2.1 interfaces: - name: eth1 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true dhcp: true auto-dns: true # ...
nmstate
API を使用して DNS 値をグローバルに保存するデフォルトの方法を採用するのではなく、DNS 値を保存するようにネットワークインターフェイスを設定する必要がある場合は、ネットワークインターフェイス YAML ファイルで静的 DNS 値と静的 IP アドレスを設定できます。重要ネットワークインターフェイスレベルで DNS 値を保存すると、インターフェイスを Open vSwitch (OVS) ブリッジ、Linux ブリッジ、ボンディングなどのネットワークコンポーネントに接続した後に、名前解決の問題が発生する可能性があります。
インターフェイスレベルで DNS 値を保存する設定の例
# ... dns-resolver: config: search: - example.com - example.org server: - 2001:db8:1::d1 - 2001:db8:1::d2 - 192.0.2.1 interfaces: - name: eth1 type: ethernet state: up ipv4: address: - ip: 192.0.2.251 prefix-length: 24 dhcp: false enabled: true ipv6: address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 dhcp: false enabled: true autoconf: false # ...
ネットワークインターフェイスに静的 DNS 検索ドメインと動的 DNS ネームサーバーを設定する場合は、ネットワークインターフェイスの YAML 設定ファイルで、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) または IPv6 自動設定 (
autoconf
) メカニズムのいずれかを実行する動的インターフェイスを定義します。example.com
およびexample.org
の静的 DNS 検索ドメインと動的 DNS ネームサーバー設定を指定する設定の例# ... dns-resolver: config: search: - example.com - example.org server: [] interfaces: - name: eth1 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true dhcp: true auto-dns: true ipv6: enabled: true dhcp: true autoconf: true auto-dns: true # ...
28.2.7.5. 静的ルーティング
以下のスニペットは、インターフェイス eth1
に静的ルートおよび静的 IP を設定します。
dns-resolver: config: # ... interfaces: - name: eth1 description: Static routing on eth1 type: ethernet state: up ipv4: dhcp: false enabled: true address: - ip: 192.0.2.251 1 prefix-length: 24 routes: config: - destination: 198.51.100.0/24 metric: 150 next-hop-address: 192.0.2.1 2 next-hop-interface: eth1 table-id: 254 # ...
28.3. ノードのネットワーク設定のトラブルシューティング
ノードのネットワーク設定で問題が発生した場合には、ポリシーが自動的にロールバックされ、enactment (実行) レポートは失敗します。これには、以下のような問題が含まれます。
- ホストで設定を適用できません。
- ホストはデフォルトゲートウェイへの接続を失います。
- ホストは API サーバーへの接続を失います。
28.3.1. 正確でないノードネットワーク設定のポリシー設定のトラブルシューティング
ノードネットワーク設定ポリシーを適用し、クラスター全体でノードのネットワーク設定への変更を適用することができます。
誤った設定を適用した場合は、次の例を使用して、失敗したノードネットワークポリシーをトラブルシューティングして修正できます。この例では、3 つのコントロールプレーンノードと 3 つのコンピュートノードを持つクラスターに Linux ブリッジポリシーを適用します。ポリシーが間違ったインターフェイスを参照しているため、ポリシーは適用されません。
エラーを見つけるには、利用可能な NMState リソースを調査する必要があります。その後に、正しい設定でポリシーを更新できます。
前提条件
-
Linux システムに
ens01
インターフェイスが存在しない。
手順
クラスターにポリシーを作成します。次の例では、
ens01
をメンバーとして持つ単純なブリッジbr1
を作成します。apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: ens01-bridge-testfail spec: desiredState: interfaces: - name: br1 description: Linux bridge with the wrong port type: linux-bridge state: up ipv4: dhcp: true enabled: true bridge: options: stp: enabled: false port: - name: ens01 # ...
ネットワークインターフェイスにポリシーを適用します。
$ oc apply -f ens01-bridge-testfail.yaml
出力例
nodenetworkconfigurationpolicy.nmstate.io/ens01-bridge-testfail created
以下のコマンドを実行してポリシーのステータスを確認します。
$ oc get nncp
この出力は、ポリシーが失敗したことを示しています。
出力例
NAME STATUS ens01-bridge-testfail FailedToConfigure
ポリシーのステータスのみでは、すべてのノードで失敗したか、ノードのサブセットで失敗したかを確認することはできません。
ノードのネットワーク設定の enactment (実行) をリスト表示し、ポリシーがいずれかのノードで成功したかどうかを確認します。ポリシーがノードのサブセットに対してのみ失敗した場合、出力は、問題が特定のノード設定にあることを示唆します。すべてのノードでポリシーが失敗した場合、出力はポリシーに問題があることを示唆します。
$ oc get nnce
この出力は、ポリシーがすべてのノードで失敗したことを示しています。
出力例
NAME STATUS control-plane-1.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure control-plane-2.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure control-plane-3.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure compute-1.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure compute-2.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure compute-3.ens01-bridge-testfail FailedToConfigure
失敗した enactment の 1 つを表示します。以下のコマンドは、出力ツール
jsonpath
を使用して出力をフィルターします。$ oc get nnce compute-1.ens01-bridge-testfail -o jsonpath='{.status.conditions[?(@.type=="Failing")].message}'
出力例
[2024-10-10T08:40:46Z INFO nmstatectl] Nmstate version: 2.2.37 NmstateError: InvalidArgument: Controller interface br1 is holding unknown port ens01
前の例は、
InvalidArgument
エラーからの出力で、ens01
が不明なポートであることを示しています。この例では、ポリシー設定ファイル内のポート設定を変更する必要がある場合があります。ポリシーが適切に設定されていることを確認するには、
NodeNetworkState
オブジェクトを要求して、1 つまたはすべてのノードのネットワーク設定を表示します。以下のコマンドは、control-plane-1
ノードのネットワーク設定を返します。$ oc get nns control-plane-1 -o yaml
出力は、ノード上のインターフェイス名は
ens1
であるものの、失敗したポリシーがens01
を誤って使用していることを示します。出力例
- ipv4: # ... name: ens1 state: up type: ethernet
既存のポリシーを編集してエラーを修正します。
$ oc edit nncp ens01-bridge-testfail
# ... port: - name: ens1
ポリシーを保存して修正を適用します。
ポリシーのステータスをチェックして、更新が正常に行われたことを確認します。
$ oc get nncp
出力例
NAME STATUS ens01-bridge-testfail SuccessfullyConfigured
更新されたポリシーは、クラスターのすべてのノードで正常に設定されました。
28.3.2. 非接続環境での DNS 接続の問題のトラブルシューティング
非接続環境で nmstate
を設定するときに DNS 接続の問題が発生する場合は、ドメイン root-servers.net
のネームサーバーのリストを解決するように DNS サーバーを設定できます。
DNS サーバーに root-servers.net
ゾーンのネームサーバー (NS) エントリーが含まれていることを確認します。DNS サーバーはクエリーをアップストリームのリゾルバーに転送する必要はありませんが、サーバーは NS クエリーに対して正しい回答を返す必要があります。
28.3.2.1. bind9 DNS 名前付きサーバーの設定
bind9
DNS サーバーを照会するように設定されたクラスターの場合は、少なくとも 1 つの NS レコードを含む設定ファイルに root-servers.net
ゾーンを追加できます。たとえば、この条件にすでに一致するゾーンファイルとして /var/named/named.localhost
を使用できます。
手順
次のコマンドを実行して、
/etc/named.conf
設定ファイルの最後にroot-servers.net
ゾーンを追加します。$ cat >> /etc/named.conf <<EOF zone "root-servers.net" IN { type master; file "named.localhost"; }; EOF
次のコマンドを実行して、
named
サービスを再起動します。$ systemctl restart named
次のコマンドを実行して、
root-servers.net
ゾーンが存在することを確認します。$ journalctl -u named|grep root-servers.net
出力例
Jul 03 15:16:26 rhel-8-10 bash[xxxx]: zone root-servers.net/IN: loaded serial 0 Jul 03 15:16:26 rhel-8-10 named[xxxx]: zone root-servers.net/IN: loaded serial 0
次のコマンドを実行して、DNS サーバーが
root-servers.net
ドメインの NS レコードを解決できることを確認します。$ host -t NS root-servers.net. 127.0.0.1
出力例
Using domain server: Name: 127.0.0.1 Address: 127.0.0.53 Aliases: root-servers.net name server root-servers.net.
28.3.2.2. dnsmasq DNS サーバーの設定
dnsmasq
を DNS サーバーとして使用している場合は、指定した DNS サーバーを使用して root-servers.net
を解決する新しい設定ファイルを作成するなどして、root-servers.net
ドメインの解決を別の DNS サーバーに委任できます。
次のコマンドを実行して、ドメイン
root-servers.net
を別の DNS サーバーに委任する設定ファイルを作成します。$ echo 'server=/root-servers.net/<DNS_server_IP>'> /etc/dnsmasq.d/delegate-root-servers.net.conf
次のコマンドを実行して、
dnsmasq
サービスを再起動します。$ systemctl restart dnsmasq
次のコマンドを実行して、
root-servers.net
ドメインが別の DNS サーバーに委任されていることを確認します。$ journalctl -u dnsmasq|grep root-servers.net
出力例
Jul 03 15:31:25 rhel-8-10 dnsmasq[1342]: using nameserver 192.168.1.1#53 for domain root-servers.net
次のコマンドを実行して、DNS サーバーが
root-servers.net
ドメインの NS レコードを解決できることを確認します。$ host -t NS root-servers.net. 127.0.0.1
出力例
Using domain server: Name: 127.0.0.1 Address: 127.0.0.1#53 Aliases: root-servers.net name server root-servers.net.
第29章 クラスター全体のプロキシーの設定
実稼働環境では、インターネットへの直接アクセスを拒否し、代わりに HTTP または HTTPS プロキシーを使用することができます。既存クラスターのプロキシーオブジェクトを変更 するか、または新規クラスターの install-config.yaml
ファイルでプロキシー設定を行うことにより、OpenShift Container Platform をプロキシーを使用するように設定できます。
29.1. 前提条件
クラスターがアクセスする必要のあるサイト を確認し、プロキシーをバイパスする必要があるかどうかを判断します。デフォルトで、すべてのクラスターシステムの Egress トラフィック (クラスターをホストするクラウドのクラウドプロバイダー API に対する呼び出しを含む) はプロキシーされます。システム全体のプロキシーは、ユーザーのワークロードではなく、システムコンポーネントにのみ影響を与えます。プロキシーオブジェクトの
spec.noProxy
フィールドにサイトを追加し、必要に応じてプロキシーをバイパスします。注記プロキシーオブジェクトの
status.noProxy
フィールドには、ほとんどのインストールタイプのインストール設定におけるnetworking.machineNetwork[].cidr
、networking.clusterNetwork[].cidr
、およびnetworking.serviceNetwork[]
フィールドの値が設定されます。Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、Microsoft Azure、および Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) へのインストールの場合、
Proxy
オブジェクトのstatus.noProxy
フィールドには、インスタンスメタデータのエンドポイント (169.254.169.254
) も設定されます。重要使用しているインストールタイプに
networking.machineNetwork[].cidr
フィールドの設定が含まれていない場合は、ノード間のトラフィックがプロキシーをバイパスできるようにするために、.status.noProxy
フィールドにマシンの IP アドレスを手動で含める必要があります。
29.2. クラスター全体のプロキシーの有効化
Proxy
オブジェクトは、クラスター全体の Egress プロキシーを管理するために使用されます。プロキシーを設定せずにクラスターがインストールまたはアップグレードされると、Proxy
オブジェクトは引き続き生成されますが、spec
は設定されません。以下に例を示します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Proxy metadata: name: cluster spec: trustedCA: name: "" status:
クラスター管理者は、この cluster
Proxy
オブジェクトを変更して OpenShift Container Platform のプロキシーを設定できます。
cluster
という名前の Proxy
オブジェクトのみがサポートされ、追加のプロキシーを作成することはできません。
クラスター全体のプロキシーを有効にすると、Machine Config Operator (MCO) によってノードの再起動がトリガーされます。
前提条件
- クラスター管理者のパーミッション。
-
OpenShift Container Platform
oc
CLI ツールがインストールされている。
手順
HTTPS 接続のプロキシーに必要な追加の CA 証明書が含まれる config map を作成します。
注記プロキシーのアイデンティティー証明書が RHCOS 信頼バンドルからの認証局によって署名される場合は、これを省略できます。
以下の内容で
user-ca-bundle.yaml
というファイルを作成して、PEM でエンコードされた証明書の値を指定します。apiVersion: v1 data: ca-bundle.crt: | 1 <MY_PEM_ENCODED_CERTS> 2 kind: ConfigMap metadata: name: user-ca-bundle 3 namespace: openshift-config 4
このファイルから config map を作成します。
$ oc create -f user-ca-bundle.yaml
oc edit
コマンドを使用してProxy
オブジェクトを変更します。$ oc edit proxy/cluster
プロキシーに必要なフィールドを設定します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Proxy metadata: name: cluster spec: httpProxy: http://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 1 httpsProxy: https://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 2 noProxy: example.com 3 readinessEndpoints: - http://www.google.com 4 - https://www.google.com trustedCA: name: user-ca-bundle 5
- 1
- クラスター外の HTTP 接続を作成するために使用するプロキシー URL。URL スキームは
http
である必要があります。 - 2
- クラスター外で HTTPS 接続を作成するために使用するプロキシー URL。URL スキームは
http
またはhttps
である必要があります。URL スキームをサポートするプロキシーの URL を指定します。たとえば、ほとんどのプロキシーは、https
を使用するように設定されていても、http
しかサポートしていない場合、エラーを報告します。このエラーメッセージはログに反映されず、代わりにネットワーク接続エラーのように見える場合があります。クラスターからのhttps
接続をリッスンするプロキシーを使用している場合は、プロキシーが使用する CA と証明書を受け入れるようにクラスターを設定する必要がある場合があります。 - 3
- プロキシーを除外するための宛先ドメイン名、ドメイン、IP アドレス、または他のネットワーク CIDR のコンマ区切りの一覧。
サブドメインのみと一致するように、ドメインの前に
.
を付けます。たとえば、.y.com
はx.y.com
に一致しますが、y.com
には一致しません。*
を使用し、すべての宛先のプロキシーをバイパスします。インストール設定でnetworking.machineNetwork[].cidr
フィールドで定義されるネットワークに含まれていないワーカーをスケールアップする場合、それらをこのリストに追加し、接続の問題を防ぐ必要があります。httpProxy
またはhttpsProxy
フィールドのいずれも設定されていない場合に、このフィールドは無視されます。 - 4
httpProxy
およびhttpsProxy
の値をステータスに書き込む前の readiness チェックに使用するクラスター外の 1 つ以上の URL。- 5
- HTTPS 接続のプロキシーに必要な追加の CA 証明書が含まれる、
openshift-config
namespace の config map の参照。ここで参照する前に config map が存在している必要があります。このフィールドは、プロキシーのアイデンティティー証明書が RHCOS 信頼バンドルからの認証局によって署名されない限り必要になります。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
29.3. クラスター全体のプロキシーの削除
cluster
プロキシーオブジェクトは削除できません。クラスターからプロキシーを削除するには、プロキシーオブジェクトからすべての spec
フィールドを削除します。
前提条件
- クラスター管理者のパーミッション。
-
OpenShift Container Platform
oc
CLI ツールがインストールされている。
手順
oc edit
コマンドを使用してプロキシーを変更します。$ oc edit proxy/cluster
プロキシーオブジェクトからすべての
spec
フィールドを削除します。以下に例を示します。apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Proxy metadata: name: cluster spec: {}
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
関連情報
第30章 カスタム PKI の設定
Web コンソールなどの一部のプラットフォームコンポーネントは、通信にルートを使用し、それらと対話するために他のコンポーネントの証明書を信頼する必要があります。カスタムのパブリックキーインフラストラクチャー (PKI) を使用している場合は、プライベートに署名された CA 証明書がクラスター全体で認識されるようにこれを設定する必要があります。
プロキシー API を使用して、クラスター全体で信頼される CA 証明書を追加できます。インストール時またはランタイム時にこれを実行する必要があります。
インストール 時に、クラスター全体のプロキシーを設定します。プライベートに署名された CA 証明書は、
install-config.yaml
ファイルのadditionalTrustBundle
設定で定義する必要があります。インストールプログラムは、定義した追加の CA 証明書が含まれる
user-ca-bundle
という名前の ConfigMap を生成します。次に Cluster Network Operator は、これらの CA 証明書を Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) 信頼バンドルにマージするtrusted-ca-bundle
ConfigMap を作成し、この ConfigMap はプロキシーオブジェクトのtrustedCA
フィールドで参照されます。-
ランタイム 時に、デフォルトのプロキシーオブジェクトを変更して、プライベートに署名された CA 証明書を追加 します (これは、クラスターのプロキシー有効化のワークフローの一部です)。これには、クラスターで信頼される必要があるプライベートに署名された CA 証明書が含まれる ConfigMap を作成し、次にプライベートに署名された証明書の ConfigMap を参照する
trustedCA
でプロキシーリソースを変更することが関係します。
インストーラー設定の additionalTrustBundle
フィールドおよびプロキシーリソースの trustedCA
フィールドは、クラスター全体の信頼バンドルを管理するために使用されます。 additionalTrustBundle
はインストール時に使用され、プロキシーの trustedCA
がランタイム時に使用されます。
trustedCA
フィールドは、クラスターコンポーネントによって使用されるカスタム証明書とキーのペアを含む ConfigMap
の参照です。
30.1. インストール時のクラスター全体のプロキシーの設定
実稼働環境では、インターネットへの直接アクセスを拒否し、代わりに HTTP または HTTPS プロキシーを使用することができます。プロキシー設定を install-config.yaml
ファイルで行うことにより、新規の OpenShift Container Platform クラスターをプロキシーを使用するように設定できます。
前提条件
-
既存の
install-config.yaml
ファイルがある。 クラスターがアクセスする必要のあるサイトを確認済みで、それらのいずれかがプロキシーをバイパスする必要があるかどうかを判別している。デフォルトで、すべてのクラスター Egress トラフィック (クラスターをホストするクラウドに関するクラウドプロバイダー API に対する呼び出しを含む) はプロキシーされます。プロキシーを必要に応じてバイパスするために、サイトを
Proxy
オブジェクトのspec.noProxy
フィールドに追加している。注記Proxy
オブジェクトのstatus.noProxy
フィールドには、インストール設定のnetworking.machineNetwork[].cidr
、networking.clusterNetwork[].cidr
、およびnetworking.serviceNetwork[]
フィールドの値が設定されます。Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、Microsoft Azure、および Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) へのインストールの場合、
Proxy
オブジェクトのstatus.noProxy
フィールドには、インスタンスメタデータのエンドポイント (169.254.169.254
) も設定されます。
手順
install-config.yaml
ファイルを編集し、プロキシー設定を追加します。以下に例を示します。apiVersion: v1 baseDomain: my.domain.com proxy: httpProxy: http://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 1 httpsProxy: https://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 2 noProxy: ec2.<aws_region>.amazonaws.com,elasticloadbalancing.<aws_region>.amazonaws.com,s3.<aws_region>.amazonaws.com 3 additionalTrustBundle: | 4 -----BEGIN CERTIFICATE----- <MY_TRUSTED_CA_CERT> -----END CERTIFICATE----- additionalTrustBundlePolicy: <policy_to_add_additionalTrustBundle> 5
- 1
- クラスター外の HTTP 接続を作成するために使用するプロキシー URL。URL スキームは
http
である必要があります。 - 2
- クラスター外で HTTPS 接続を作成するために使用するプロキシー URL。
- 3
- プロキシーから除外するための宛先ドメイン名、IP アドレス、または他のネットワーク CIDR のコンマ区切りのリスト。サブドメインのみと一致するように、ドメインの前に
.
を付けます。たとえば、.y.com
はx.y.com
に一致しますが、y.com
には一致しません。*
を使用し、すべての宛先のプロキシーをバイパスします。AmazonEC2
、Elastic Load Balancing
、およびS3
VPC エンドポイントを VPC に追加した場合は、これらのエンドポイントをnoProxy
フィールドに追加する必要があります。 - 4
- 指定されている場合、インストールプログラムは HTTPS 接続のプロキシーに必要な 1 つ以上の追加の CA 証明書が含まれる
user-ca-bundle
という名前の設定マップをopenshift-config
namespace に生成します。次に Cluster Network Operator は、これらのコンテンツを Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) 信頼バンドルにマージするtrusted-ca-bundle
設定マップを作成し、この設定マップはProxy
オブジェクトのtrustedCA
フィールドで参照されます。additionalTrustBundle
フィールドは、プロキシーのアイデンティティー証明書が RHCOS 信頼バンドルからの認証局によって署名されない限り必要になります。 - 5
- オプション:
trustedCA
フィールドのuser-ca-bundle
設定マップを参照するProxy
オブジェクトの設定を決定するポリシー。許可される値はProxyonly
およびAlways
です。Proxyonly
を使用して、http/https
プロキシーが設定されている場合にのみuser-ca-bundle
設定マップを参照します。Always
を使用して、常にuser-ca-bundle
設定マップを参照します。デフォルト値はProxyonly
です。
注記インストールプログラムは、プロキシーの
readinessEndpoints
フィールドをサポートしません。注記インストーラーがタイムアウトした場合は、インストーラーの
wait-for
コマンドを使用してデプロイメントを再起動してからデプロイメントを完了します。以下に例を示します。$ ./openshift-install wait-for install-complete --log-level debug
- ファイルを保存し、OpenShift Container Platform のインストール時にこれを参照します。
インストールプログラムは、指定の install-config.yaml
ファイルのプロキシー設定を使用する cluster
という名前のクラスター全体のプロキシーを作成します。プロキシー設定が指定されていない場合、cluster
Proxy
オブジェクトが依然として作成されますが、これには spec
がありません。
cluster
という名前の Proxy
オブジェクトのみがサポートされ、追加のプロキシーを作成することはできません。
30.2. クラスター全体のプロキシーの有効化
Proxy
オブジェクトは、クラスター全体の Egress プロキシーを管理するために使用されます。プロキシーを設定せずにクラスターがインストールまたはアップグレードされると、Proxy
オブジェクトは引き続き生成されますが、spec
は設定されません。以下に例を示します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Proxy metadata: name: cluster spec: trustedCA: name: "" status:
クラスター管理者は、この cluster
Proxy
オブジェクトを変更して OpenShift Container Platform のプロキシーを設定できます。
cluster
という名前の Proxy
オブジェクトのみがサポートされ、追加のプロキシーを作成することはできません。
クラスター全体のプロキシーを有効にすると、Machine Config Operator (MCO) によってノードの再起動がトリガーされます。
前提条件
- クラスター管理者のパーミッション。
-
OpenShift Container Platform
oc
CLI ツールがインストールされている。
手順
HTTPS 接続のプロキシーに必要な追加の CA 証明書が含まれる config map を作成します。
注記プロキシーのアイデンティティー証明書が RHCOS 信頼バンドルからの認証局によって署名される場合は、これを省略できます。
以下の内容で
user-ca-bundle.yaml
というファイルを作成して、PEM でエンコードされた証明書の値を指定します。apiVersion: v1 data: ca-bundle.crt: | 1 <MY_PEM_ENCODED_CERTS> 2 kind: ConfigMap metadata: name: user-ca-bundle 3 namespace: openshift-config 4
このファイルから config map を作成します。
$ oc create -f user-ca-bundle.yaml
oc edit
コマンドを使用してProxy
オブジェクトを変更します。$ oc edit proxy/cluster
プロキシーに必要なフィールドを設定します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Proxy metadata: name: cluster spec: httpProxy: http://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 1 httpsProxy: https://<username>:<pswd>@<ip>:<port> 2 noProxy: example.com 3 readinessEndpoints: - http://www.google.com 4 - https://www.google.com trustedCA: name: user-ca-bundle 5
- 1
- クラスター外の HTTP 接続を作成するために使用するプロキシー URL。URL スキームは
http
である必要があります。 - 2
- クラスター外で HTTPS 接続を作成するために使用するプロキシー URL。URL スキームは
http
またはhttps
である必要があります。URL スキームをサポートするプロキシーの URL を指定します。たとえば、ほとんどのプロキシーは、https
を使用するように設定されていても、http
しかサポートしていない場合、エラーを報告します。このエラーメッセージはログに反映されず、代わりにネットワーク接続エラーのように見える場合があります。クラスターからのhttps
接続をリッスンするプロキシーを使用している場合は、プロキシーが使用する CA と証明書を受け入れるようにクラスターを設定する必要がある場合があります。 - 3
- プロキシーを除外するための宛先ドメイン名、ドメイン、IP アドレス、または他のネットワーク CIDR のコンマ区切りの一覧。
サブドメインのみと一致するように、ドメインの前に
.
を付けます。たとえば、.y.com
はx.y.com
に一致しますが、y.com
には一致しません。*
を使用し、すべての宛先のプロキシーをバイパスします。インストール設定でnetworking.machineNetwork[].cidr
フィールドで定義されるネットワークに含まれていないワーカーをスケールアップする場合、それらをこのリストに追加し、接続の問題を防ぐ必要があります。httpProxy
またはhttpsProxy
フィールドのいずれも設定されていない場合に、このフィールドは無視されます。 - 4
httpProxy
およびhttpsProxy
の値をステータスに書き込む前の readiness チェックに使用するクラスター外の 1 つ以上の URL。- 5
- HTTPS 接続のプロキシーに必要な追加の CA 証明書が含まれる、
openshift-config
namespace の config map の参照。ここで参照する前に config map が存在している必要があります。このフィールドは、プロキシーのアイデンティティー証明書が RHCOS 信頼バンドルからの認証局によって署名されない限り必要になります。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
30.3. Operator を使用した証明書の挿入
カスタム CA 証明書が ConfigMap 経由でクラスターに追加されると、Cluster Network Operator はユーザーによってプロビジョニングされる CA 証明書およびシステム CA 証明書を単一バンドルにマージし、信頼バンドルの挿入を要求する Operator にマージされたバンドルを挿入します。
config.openshift.io/inject-trusted-cabundle="true"
ラベルを config map に追加すると、そこに格納されている既存データが削除されます。Cluster Network Operator は config map の所有権を取得し、ca-bundle
をデータとしてのみ受け入れます。service.beta.openshift.io/inject-cabundle=true
アノテーションまたは同様の設定を使用して service-ca.crt
を保存するには、別の config map を使用する必要があります。同じ config map に config.openshift.io/inject-trusted-cabundle="true"
ラベルと service.beta.openshift.io/inject-cabundle=true
アノテーションを追加すると、問題が発生する可能性があります。
Operator は、以下のラベルの付いた空の ConfigMap を作成してこの挿入を要求します。
config.openshift.io/inject-trusted-cabundle="true"
空の ConfigMap の例:
apiVersion: v1
data: {}
kind: ConfigMap
metadata:
labels:
config.openshift.io/inject-trusted-cabundle: "true"
name: ca-inject 1
namespace: apache
- 1
- 空の ConfigMap 名を指定します。
Operator は、この ConfigMap をコンテナーのローカル信頼ストアにマウントします。
信頼された CA 証明書の追加は、証明書が Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) 信頼バンドルに含まれない場合にのみ必要になります。
証明書の挿入は Operator に制限されません。Cluster Network Operator は、空の ConfigMap が config.openshift.io/inject-trusted-cabundle=true
ラベルを使用して作成される場合に、すべての namespace で証明書を挿入できます。
ConfigMap はすべての namespace に置くことができますが、ConfigMap はカスタム CA を必要とする Pod 内の各コンテナーに対してボリュームとしてマウントされる必要があります。以下に例を示します。
apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: my-example-custom-ca-deployment namespace: my-example-custom-ca-ns spec: ... spec: ... containers: - name: my-container-that-needs-custom-ca volumeMounts: - name: trusted-ca mountPath: /etc/pki/ca-trust/extracted/pem readOnly: true volumes: - name: trusted-ca configMap: name: trusted-ca items: - key: ca-bundle.crt 1 path: tls-ca-bundle.pem 2
第31章 RHOSP での負荷分散
31.1. ロードバランサーサービスの制限
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 上の OpenShift Container Platform クラスターは、Octavia を使用してロードバランサーサービスを処理します。その結果、該当するクラスターには多くの機能的制限が生じます。
RHOSP Octavia では、Amphora と OVN の 2 つのプロバイダーがサポートされています。これらのプロバイダーでは、利用可能な機能と実装の詳細が異なります。そのような差異は、クラスター上に作成されるロードバランサーサービスに影響を及ぼします。
31.1.1. ローカルの外部トラフィックポリシー
ロードバランサーサービスで外部トラフィックポリシー (ETP) パラメーター .spec.externalTrafficPolicy
を設定して、受信トラフィックがサービスエンドポイント Pod に到達する際に、その送信元 IP アドレスを保存できます。ただし、クラスターが Amphora Octavia プロバイダーを使用している場合じゃ、トラフィックの送信元 IP は Amphora 仮想マシンの IP アドレスに置き換えられます。クラスターが OVN Octavia プロバイダーを使用している場合、この動作は発生しません。
ETP
オプションを Local
に設定する場合は、ロードバランサー用にヘルスモニターを作成する必要があります。ヘルスモニターがないと、トラフィックは機能エンドポイントを持たないノードにルーティングされる可能性があり、そうなると接続が切断されます。ヘルスモニターの作成を Cloud Provider OpenStack に強制するには、クラウドプロバイダー設定の create-monitor
オプションの値を true
に設定する必要があります。
RHOSP 16.2 では、OVN Octavia プロバイダーはヘルスモニターをサポートしません。そのため、ETP をローカルに設定することはサポートされていません。
RHOSP 16.2 では、Amphora Octavia プロバイダーは UDP プールでの HTTP モニターをサポートしません。その結果、UDP ロードバランサーサービスには UDP-CONNECT
モニターが代わりに作成されます。実装の詳細に基づき、この設定は OVN-Kubernetes CNI プラグインでのみ適切に機能します。OpenShift SDN CNI プラグインを使用している場合、UDP サービスのアクティブなノードの検出が不確実になります。この問題は、ドライバーが HTTP ヘルスモニターをサポートしていないため、RHOSP バージョンの OVN Octavia プロバイダーにも影響します。
31.2. Kuryr SDN を使用した Octavia OVN ロードバランサープロバイダードライバーの使用
Kuryr は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として OpenShift Container Platform に含まれており、引き続きサポートされますが、本製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。
OpenShift Container Platform で非推奨となったか、削除された主な機能の最新の一覧は、OpenShift Container Platform リリースノートの 非推奨および削除された機能 セクションを参照してください。
OpenShift Container Platform クラスターが Kuryr を使用し、これが後に RHOSP 16 にアップグレードされた Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 13 クラウドにインストールされている場合、これを Octavia OVN プロバイダードライバーを使用するように設定できます。
Kuryr はプロバイダードライバーの変更後に既存のロードバランサーを置き換えます。このプロセスにより、ダウンタイムが生じます。
前提条件
-
RHOSP CLI の
openstack
をインストールします。 -
OpenShift Container Platform CLI の
oc
をインストールします。 RHOSP の Octavia OVN ドライバーが有効になっていることを確認している。
ヒント利用可能な Octavia ドライバーのリストを表示するには、コマンドラインで
openstack loadbalancer provider list
を入力します。ovn
ドライバーはコマンドの出力に表示されます。
手順
Octavia Amphora プロバイダードライバーから Octavia OVN に変更するには、以下を実行します。
kuryr-config
ConfigMap を開きます。コマンドラインで、以下を実行します。$ oc -n openshift-kuryr edit cm kuryr-config
ConfigMap で、
kuryr-octavia-provider: default
が含まれる行を削除します。以下に例を示します。... kind: ConfigMap metadata: annotations: networkoperator.openshift.io/kuryr-octavia-provider: default 1 ...
- 1
- この行を削除します。クラスターは、
ovn
を値としてこれを再生成します。
Cluster Network Operator が変更を検出し、
kuryr-controller
およびkuryr-cni
Pod を再デプロイするのを待機します。このプロセスには数分の時間がかかる可能性があります。kuryr-config
ConfigMap アノテーションでovn
をその値として表示されていることを確認します。コマンドラインで、以下を実行します。$ oc -n openshift-kuryr edit cm kuryr-config
ovn
プロバイダーの値は出力に表示されます。... kind: ConfigMap metadata: annotations: networkoperator.openshift.io/kuryr-octavia-provider: ovn ...
RHOSP がそのロードバランサーを再作成していることを確認します。
コマンドラインで、以下を実行します。
$ openstack loadbalancer list | grep amphora
単一の Amphora ロードバランサーが表示されます。以下に例を示します。
a4db683b-2b7b-4988-a582-c39daaad7981 | ostest-7mbj6-kuryr-api-loadbalancer | 84c99c906edd475ba19478a9a6690efd | 172.30.0.1 | ACTIVE | amphora
以下を入力して
ovn
ロードバランサーを検索します。$ openstack loadbalancer list | grep ovn
ovn
タイプの残りのロードバランサーが表示されます。以下に例を示します。2dffe783-98ae-4048-98d0-32aa684664cc | openshift-apiserver-operator/metrics | 84c99c906edd475ba19478a9a6690efd | 172.30.167.119 | ACTIVE | ovn 0b1b2193-251f-4243-af39-2f99b29d18c5 | openshift-etcd/etcd | 84c99c906edd475ba19478a9a6690efd | 172.30.143.226 | ACTIVE | ovn f05b07fc-01b7-4673-bd4d-adaa4391458e | openshift-dns-operator/metrics | 84c99c906edd475ba19478a9a6690efd | 172.30.152.27 | ACTIVE | ovn
31.3. Octavia を使用したアプリケーショントラフィック用のクラスターのスケーリング
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) で実行される OpenShift Container Platform クラスターでは、Octavia 負荷分散サービスを使用して、複数の仮想マシン (VM) または Floating IP アドレスにトラフィックを分散することができます。この機能は、単一マシンまたはアドレスが生じさせるボトルネックを軽減します。
クラスターで Kuryr を使用する場合、Cluster Network Operator はデプロイメント時に内部 Octavia ロードバランサーを作成していました。アプリケーションネットワークのスケーリングには、このロードバランサーを使用できます。
クラスターで Kuryr を使用しない場合、アプリケーションのネットワークのスケーリングに使用する独自の Octavia ロードバランサーを作成する必要があります。
31.3.1. Octavia を使用したクラスターのスケーリング
複数の API ロードバランサーを使用する場合や、クラスターが Kuryr を使用しない場合、Octavia ロードバランサーを作成してから、クラスターをこれを使用するように設定します。
前提条件
- Octavia は Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントで利用できます。
手順
コマンドラインから、Amphora ドライバーを使用する Octavia ロードバランサーを作成します。
$ openstack loadbalancer create --name API_OCP_CLUSTER --vip-subnet-id <id_of_worker_vms_subnet>
API_OCP_CLUSTER
の代わりに、任意の名前を使用することができます。ロードバランサーがアクティブになったら、リスナーを作成します。
$ openstack loadbalancer listener create --name API_OCP_CLUSTER_6443 --protocol HTTPS--protocol-port 6443 API_OCP_CLUSTER
注記ロードバランサーのステータスを表示するには、
openstack loadbalancer list
と入力します。ラウンドロビンアルゴリズムを使用し、セッションの永続性が有効にされているプールを作成します。
$ openstack loadbalancer pool create --name API_OCP_CLUSTER_pool_6443 --lb-algorithm ROUND_ROBIN --session-persistence type=<source_IP_address> --listener API_OCP_CLUSTER_6443 --protocol HTTPS
コントロールプレーンマシンが利用可能であることを確認するには、ヘルスモニターを作成します。
$ openstack loadbalancer healthmonitor create --delay 5 --max-retries 4 --timeout 10 --type TCP API_OCP_CLUSTER_pool_6443
コントロールプレーンマシンをロードバランサープールのメンバーとして追加します。
$ for SERVER in $(MASTER-0-IP MASTER-1-IP MASTER-2-IP) do openstack loadbalancer member create --address $SERVER --protocol-port 6443 API_OCP_CLUSTER_pool_6443 done
オプション: クラスター API の Floating IP アドレスを再利用するには、設定を解除します。
$ openstack floating ip unset $API_FIP
設定を解除された
API_FIP
、または新規アドレスを、作成されたロードばランサー VIP に追加します。$ openstack floating ip set --port $(openstack loadbalancer show -c <vip_port_id> -f value API_OCP_CLUSTER) $API_FIP
クラスターは、負荷分散に Octavia を使用するようになりました。
Kuryr が Octavia Amphora ドライバーを使用する場合、すべてのトラフィックは単一の Amphora 仮想マシン (VM) 経由でルーティングされます。
この手順を繰り返して追加のロードバランサーを作成します。これにより、ボトルネックを軽減することができます。
31.3.2. Octavia の使用による Kuryr を使用するクラスターのスケーリング
Kuryr は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として OpenShift Container Platform に含まれており、引き続きサポートされますが、本製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。
OpenShift Container Platform で非推奨となったか、削除された主な機能の最新の一覧は、OpenShift Container Platform リリースノートの 非推奨および削除された機能 セクションを参照してください。
クラスターで Kuryr を使用する場合は、クラスターの API Floating IP アドレスを既存の Octavia ロードバランサーに関連付けます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターは Kuryr を使用します。
- Octavia は Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントで利用できます。
手順
オプション: コマンドラインからクラスター API の Floating IP アドレスを再利用するには、この設定を解除します。
$ openstack floating ip unset $API_FIP
設定を解除された
API_FIP
、または新規アドレスを、作成されたロードばランサー VIP に追加します。$ openstack floating ip set --port $(openstack loadbalancer show -c <vip_port_id> -f value ${OCP_CLUSTER}-kuryr-api-loadbalancer) $API_FIP
クラスターは、負荷分散に Octavia を使用するようになりました。
Kuryr が Octavia Amphora ドライバーを使用する場合、すべてのトラフィックは単一の Amphora 仮想マシン (VM) 経由でルーティングされます。
この手順を繰り返して追加のロードバランサーを作成します。これにより、ボトルネックを軽減することができます。
31.4. RHOSP Octavia を使用した ingress トラフィックのスケーリング
Kuryr は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として OpenShift Container Platform に含まれており、引き続きサポートされますが、本製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。
OpenShift Container Platform で非推奨となったか、削除された主な機能の最新の一覧は、OpenShift Container Platform リリースノートの 非推奨および削除された機能 セクションを参照してください。
Octavia ロードバランサーを使用して、Kuryr を使用するクラスターで Ingress Controller をスケーリングできます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターは Kuryr を使用します。
- Octavia は RHOSP デプロイメントで利用できます。
手順
現在の内部ルーターサービスをコピーするには、コマンドラインで以下を入力します。
$ oc -n openshift-ingress get svc router-internal-default -o yaml > external_router.yaml
external_router.yaml
ファイルで、metadata.name
およびspec.type
の値をLoadBalancer
に変更します。ルーターファイルの例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: labels: ingresscontroller.operator.openshift.io/owning-ingresscontroller: default name: router-external-default 1 namespace: openshift-ingress spec: ports: - name: http port: 80 protocol: TCP targetPort: http - name: https port: 443 protocol: TCP targetPort: https - name: metrics port: 1936 protocol: TCP targetPort: 1936 selector: ingresscontroller.operator.openshift.io/deployment-ingresscontroller: default sessionAffinity: None type: LoadBalancer 2
ロードバランシングと関連性のないタイムスタンプやその他の情報を削除できます。
コマンドラインで、
external_router.yaml
ファイルからサービスを作成します。$ oc apply -f external_router.yaml
サービスの外部 IP アドレスがロードバランサーに関連付けられているものと同じであることを確認します。
コマンドラインで、サービスの外部 IP アドレスを取得します。
$ oc -n openshift-ingress get svc
出力例
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE router-external-default LoadBalancer 172.30.235.33 10.46.22.161 80:30112/TCP,443:32359/TCP,1936:30317/TCP 3m38s router-internal-default ClusterIP 172.30.115.123 <none> 80/TCP,443/TCP,1936/TCP 22h
ロードバランサーの IP アドレスを取得します。
$ openstack loadbalancer list | grep router-external
出力例
| 21bf6afe-b498-4a16-a958-3229e83c002c | openshift-ingress/router-external-default | 66f3816acf1b431691b8d132cc9d793c | 172.30.235.33 | ACTIVE | octavia |
直前のステップで取得したアドレスが、Floating IP のリストで相互に関連付けられていることを確認します。
$ openstack floating ip list | grep 172.30.235.33
出力例
| e2f80e97-8266-4b69-8636-e58bacf1879e | 10.46.22.161 | 172.30.235.33 | 655e7122-806a-4e0a-a104-220c6e17bda6 | a565e55a-99e7-4d15-b4df-f9d7ee8c9deb | 66f3816acf1b431691b8d132cc9d793c |
EXTERNAL-IP
の値を新規 Ingress アドレスとして使用できるようになりました。
Kuryr が Octavia Amphora ドライバーを使用する場合、すべてのトラフィックは単一の Amphora 仮想マシン (VM) 経由でルーティングされます。
この手順を繰り返して追加のロードバランサーを作成します。これにより、ボトルネックを軽減することができます。
31.5. 外部ロードバランサー用のサービス
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) の OpenShift Container Platform クラスターを、デフォルトのロードバランサーの代わりに外部ロードバランサーを使用するように設定できます。
外部ロードバランサーの設定は、ベンダーのロードバランサーによって異なります。
このセクションの情報と例は、ガイドラインのみを目的としています。ベンダーのロードバランサーに関する詳細は、ベンダーのドキュメントを参照してください。
Red Hat は、外部ロードバランサーに対して次のサービスをサポートしています。
- Ingress Controller
- OpenShift API
- OpenShift MachineConfig API
外部ロードバランサーに対して、これらのサービスの 1 つまたはすべてを設定するように選択できます。一般的な設定オプションは、Ingress Controller サービスのみを設定することです。次の図は、各サービスの詳細を示しています。
図31.1 OpenShift Container Platform 環境で動作する Ingress Controller を示すネットワークワークフローの例
図31.2 OpenShift Container Platform 環境で動作する OpenShift API を示すネットワークワークフローの例
図31.3 OpenShift Container Platform 環境で動作する OpenShift MachineConfig API を示すネットワークワークフローの例
外部ロードバランサーでは、次の設定オプションがサポートされています。
- ノードセレクターを使用して、Ingress Controller を特定のノードのセットにマッピングします。このセットの各ノードに静的 IP アドレスを割り当てるか、Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) から同じ IP アドレスを受け取るように各ノードを設定する必要があります。インフラストラクチャーノードは通常、このタイプの設定を受け取ります。
サブネット上のすべての IP アドレスをターゲットにします。この設定では、ロードバランサーターゲットを再設定せずにネットワーク内でノードを作成および破棄できるため、メンテナンスオーバーヘッドを削減できます。
/27
や/28
などの小規模なネットワーク上に設定されたマシンを使用して Ingress Pod をデプロイする場合、ロードバランサーのターゲットを簡素化できます。ヒントマシン config プールのリソースを確認することで、ネットワーク内に存在するすべての IP アドレスをリスト表示できます。
OpenShift Container Platform クラスターの外部ロードバランサーを設定する前に、以下の情報を考慮してください。
- フロントエンド IP アドレスの場合、フロントエンド IP アドレス、Ingress Controller のロードバランサー、および API ロードバランサーに同じ IP アドレスを使用できます。この機能については、ベンダーのドキュメントを確認してください。
バックエンド IP アドレスの場合、OpenShift Container Platform コントロールプレーンノードの IP アドレスが、外部ロードバランサーの存続期間中に変更されないようにください。次のいずれかのアクションを実行すると、これを実現できます。
- 各コントロールプレーンノードに静的 IP アドレスを割り当てます。
- ノードが DHCP リースを要求するたびに、DHCP から同じ IP アドレスを受信するように各ノードを設定します。ベンダーによっては、DHCP リースは IP 予約または静的 DHCP 割り当ての形式になる場合があります。
- Ingress Controller バックエンドサービスの外部ロードバランサーで、Ingress Controller を実行する各ノードを手動で定義します。たとえば、Ingress Controller が未定義のノードに移動すると、接続が停止する可能性があります。
31.5.1. 外部ロードバランサーの設定
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) の OpenShift Container Platform クラスターを、デフォルトのロードバランサーの代わりに外部ロードバランサーを使用するように設定できます。
外部ロードバランサーを設定する前に、「外部ロードバランサー用のサービス」セクションを必ず確認してください。
外部ロードバランサー用に設定するサービスに適用される次の前提条件を確認してください。
クラスター上で動作する MetalLB は、外部ロードバランサーとして機能します。
OpenShift API の前提条件
- フロントエンド IP アドレスを定義している。
TCP ポート 6443 および 22623 は、ロードバランサーのフロントエンド IP アドレスで公開されている。以下の項目を確認します。
- ポート 6443 が OpenShift API サービスにアクセスできる。
- ポート 22623 が Ignition 起動設定をノードに提供できる。
- フロントエンド IP アドレスとポート 6443 へは、OpenShift Container Platform クラスターの外部の場所にいるシステムのすべてのユーザーがアクセスできる。
- フロントエンド IP アドレスとポート 22623 は、OpenShift Container Platform ノードからのみ到達できる。
- ロードバランサーバックエンドは、ポート 6443 および 22623 の OpenShift Container Platform コントロールプレーンノードと通信できる。
Ingress Controller の前提条件
- フロントエンド IP アドレスを定義している。
- TCP ポート 443 および 80 はロードバランサーのフロントエンド IP アドレスで公開されている。
- フロントエンドの IP アドレス、ポート 80、ポート 443 へは、OpenShift Container Platform クラスターの外部の場所にあるシステムの全ユーザーがアクセスできる。
- フロントエンドの IP アドレス、ポート 80、ポート 443 は、OpenShift Container Platform クラスターで動作するすべてのノードから到達できる。
- ロードバランサーバックエンドは、ポート 80、443、および 1936 で Ingress Controller を実行する OpenShift Container Platform ノードと通信できる。
ヘルスチェック URL 仕様の前提条件
ほとんどのロードバランサーは、サービスが使用可能か使用不可かを判断するヘルスチェック URL を指定して設定できまうs.OpenShift Container Platform は、OpenShift API、Machine Configuration API、および Ingress Controller バックエンドサービスのこれらのヘルスチェックを提供します。
次の例は、前にリスト表示したバックエンドサービスのヘルスチェック仕様を示しています。
Kubernetes API ヘルスチェック仕様の例
Path: HTTPS:6443/readyz Healthy threshold: 2 Unhealthy threshold: 2 Timeout: 10 Interval: 10
Machine Config API ヘルスチェック仕様の例
Path: HTTPS:22623/healthz Healthy threshold: 2 Unhealthy threshold: 2 Timeout: 10 Interval: 10
Ingress Controller のヘルスチェック仕様の例
Path: HTTP:1936/healthz/ready Healthy threshold: 2 Unhealthy threshold: 2 Timeout: 5 Interval: 10
手順
HAProxy Ingress Controller を設定して、ポート 6443、443、および 80 でロードバランサーからクラスターへのアクセスを有効化できるようにします。
HAProxy 設定の例
#... listen my-cluster-api-6443 bind 192.168.1.100:6443 mode tcp balance roundrobin option httpchk http-check connect http-check send meth GET uri /readyz http-check expect status 200 server my-cluster-master-2 192.168.1.101:6443 check inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-master-0 192.168.1.102:6443 check inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-master-1 192.168.1.103:6443 check inter 10s rise 2 fall 2 listen my-cluster-machine-config-api-22623 bind 192.168.1.100:22623 mode tcp balance roundrobin option httpchk http-check connect http-check send meth GET uri /healthz http-check expect status 200 server my-cluster-master-2 192.168.1.101:22623 check inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-master-0 192.168.1.102:22623 check inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-master-1 192.168.1.103:22623 check inter 10s rise 2 fall 2 listen my-cluster-apps-443 bind 192.168.1.100:443 mode tcp balance roundrobin option httpchk http-check connect http-check send meth GET uri /healthz/ready http-check expect status 200 server my-cluster-worker-0 192.168.1.111:443 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-worker-1 192.168.1.112:443 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-worker-2 192.168.1.113:443 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 listen my-cluster-apps-80 bind 192.168.1.100:80 mode tcp balance roundrobin option httpchk http-check connect http-check send meth GET uri /healthz/ready http-check expect status 200 server my-cluster-worker-0 192.168.1.111:80 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-worker-1 192.168.1.112:80 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 server my-cluster-worker-2 192.168.1.113:80 check port 1936 inter 10s rise 2 fall 2 # ...
curl
CLI コマンドを使用して、外部ロードバランサーとそのリソースが動作していることを確認します。次のコマンドを実行して応答を観察し、クラスターマシン設定 API が Kubernetes API サーバーリソースにアクセスできることを確認します。
$ curl https://<loadbalancer_ip_address>:6443/version --insecure
設定が正しい場合は、応答として JSON オブジェクトを受信します。
{ "major": "1", "minor": "11+", "gitVersion": "v1.11.0+ad103ed", "gitCommit": "ad103ed", "gitTreeState": "clean", "buildDate": "2019-01-09T06:44:10Z", "goVersion": "go1.10.3", "compiler": "gc", "platform": "linux/amd64" }
次のコマンドを実行して出力を確認し、クラスターマシン設定 API がマシン設定サーバーリソースからアクセスできることを確認します。
$ curl -v https://<loadbalancer_ip_address>:22623/healthz --insecure
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 200 OK Content-Length: 0
次のコマンドを実行して出力を確認し、コントローラーがポート 80 の Ingress Controller リソースにアクセスできることを確認します。
$ curl -I -L -H "Host: console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain>" http://<load_balancer_front_end_IP_address>
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 302 Found content-length: 0 location: https://console-openshift-console.apps.ocp4.private.opequon.net/ cache-control: no-cache
次のコマンドを実行して出力を確認し、コントローラーがポート 443 の Ingress Controller リソースにアクセスできることを確認します。
$ curl -I -L --insecure --resolve console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain>:443:<Load Balancer Front End IP Address> https://console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain>
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 200 OK referrer-policy: strict-origin-when-cross-origin set-cookie: csrf-token=UlYWOyQ62LWjw2h003xtYSKlh1a0Py2hhctw0WmV2YEdhJjFyQwWcGBsja261dGLgaYO0nxzVErhiXt6QepA7g==; Path=/; Secure; SameSite=Lax x-content-type-options: nosniff x-dns-prefetch-control: off x-frame-options: DENY x-xss-protection: 1; mode=block date: Wed, 04 Oct 2023 16:29:38 GMT content-type: text/html; charset=utf-8 set-cookie: 1e2670d92730b515ce3a1bb65da45062=1bf5e9573c9a2760c964ed1659cc1673; path=/; HttpOnly; Secure; SameSite=None cache-control: private
外部ロードバランサーのフロントエンド IP アドレスをターゲットにするように、クラスターの DNS レコードを設定します。ロードバランサー経由で、クラスター API およびアプリケーションの DNS サーバーのレコードを更新する必要があります。
変更された DNS レコードの例
<load_balancer_ip_address> A api.<cluster_name>.<base_domain> A record pointing to Load Balancer Front End
<load_balancer_ip_address> A apps.<cluster_name>.<base_domain> A record pointing to Load Balancer Front End
重要DNS の伝播では、各 DNS レコードが使用可能になるまでに時間がかかる場合があります。各レコードを検証する前に、各 DNS レコードが伝播されることを確認してください。
curl
CLI コマンドを使用して、外部ロードバランサーと DNS レコード設定が動作していることを確認します。次のコマンドを実行して出力を確認し、クラスター API にアクセスできることを確認します。
$ curl https://api.<cluster_name>.<base_domain>:6443/version --insecure
設定が正しい場合は、応答として JSON オブジェクトを受信します。
{ "major": "1", "minor": "11+", "gitVersion": "v1.11.0+ad103ed", "gitCommit": "ad103ed", "gitTreeState": "clean", "buildDate": "2019-01-09T06:44:10Z", "goVersion": "go1.10.3", "compiler": "gc", "platform": "linux/amd64" }
次のコマンドを実行して出力を確認し、クラスターマシン設定にアクセスできることを確認します。
$ curl -v https://api.<cluster_name>.<base_domain>:22623/healthz --insecure
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 200 OK Content-Length: 0
以下のコマンドを実行して出力を確認し、ポートで各クラスターアプリケーションにアクセスできることを確認します。
$ curl http://console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain> -I -L --insecure
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 302 Found content-length: 0 location: https://console-openshift-console.apps.<cluster-name>.<base domain>/ cache-control: no-cacheHTTP/1.1 200 OK referrer-policy: strict-origin-when-cross-origin set-cookie: csrf-token=39HoZgztDnzjJkq/JuLJMeoKNXlfiVv2YgZc09c3TBOBU4NI6kDXaJH1LdicNhN1UsQWzon4Dor9GWGfopaTEQ==; Path=/; Secure x-content-type-options: nosniff x-dns-prefetch-control: off x-frame-options: DENY x-xss-protection: 1; mode=block date: Tue, 17 Nov 2020 08:42:10 GMT content-type: text/html; charset=utf-8 set-cookie: 1e2670d92730b515ce3a1bb65da45062=9b714eb87e93cf34853e87a92d6894be; path=/; HttpOnly; Secure; SameSite=None cache-control: private
次のコマンドを実行して出力を確認し、ポート 443 で各クラスターアプリケーションにアクセスできることを確認します。
$ curl https://console-openshift-console.apps.<cluster_name>.<base_domain> -I -L --insecure
設定が正しい場合、コマンドの出力には次の応答が表示されます。
HTTP/1.1 200 OK referrer-policy: strict-origin-when-cross-origin set-cookie: csrf-token=UlYWOyQ62LWjw2h003xtYSKlh1a0Py2hhctw0WmV2YEdhJjFyQwWcGBsja261dGLgaYO0nxzVErhiXt6QepA7g==; Path=/; Secure; SameSite=Lax x-content-type-options: nosniff x-dns-prefetch-control: off x-frame-options: DENY x-xss-protection: 1; mode=block date: Wed, 04 Oct 2023 16:29:38 GMT content-type: text/html; charset=utf-8 set-cookie: 1e2670d92730b515ce3a1bb65da45062=1bf5e9573c9a2760c964ed1659cc1673; path=/; HttpOnly; Secure; SameSite=None cache-control: private
第32章 MetalLB を使用した負荷分散
32.1. MetalLB および MetalLB Operator について
クラスター管理者は、MetalLB Operator をクラスターに追加し、タイプ LoadBalancer
のサービスがクラスターに追加されると、MetalLB はサービスの外部 IP アドレスを追加できます。外部 IP アドレスがクラスターのホストネットワークに追加されます。
32.1.1. MetalLB を使用するタイミング
MetalLB の使用は、ベアメタルクラスター、またはベアメタルのようなインフラストラクチャーがある場合や、外部 IP アドレスを使用したアプリケーションへのフォールトトレラントがあるアクセスが必要な場合に役立ちます。
ネットワークインフラストラクチャーを設定し、外部 IP アドレスのネットワークトラフィックがクライアントからクラスターのホストネットワークにルーティングされるようにする必要があります。
MetalLB Operator を使用して MetalLB をデプロイした後、タイプ LoadBalancer
のサービスを追加すると、MetalLB はプラットフォームネイティブなロードバランサーを提供します。
レイヤ 2 モードで動作する MetalLB は、IP フェイルオーバーと同様のメカニズムを利用してフェイルオーバーをサポートします。ただし、仮想ルーター冗長プロトコル (VRRP) とキープアライブに依存する代わりに、MetalLB はゴシップベースのプロトコルを利用してノード障害のインスタンスを識別します。フェイルオーバーが検出されると、別のノードがリーダーノードのロールを引き継ぎ、Gratuitous ARP メッセージがディスパッチされて、この変更がブロードキャストされます。
レイヤ 3 またはボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) モードで動作する MetalLB は、障害検出をネットワークに委任します。OpenShift Container Platform ノードが接続を確立した BGP ルーターは、ノードの障害を識別し、そのノードへのルートを終了します。
Pod とサービスの高可用性を確保するには、IP フェイルオーバーの代わりに MetalLB を使用することを推奨します。
32.1.2. MetalLB Operator カスタムリソース
MetalLB Operator は、次のカスタムリソースについて独自の namespace を監視します。
MetalLB
-
MetalLB
カスタムリソースをクラスターに追加する際に、MetalLB Operator は MetalLB をクラスターにデプロイします。Operator はカスタムリソースの単一インスタンスのみをサポートします。インスタンスが削除されると、Operator はクラスターから MetalLB を削除します。 IPAddressPool
MetalLB には、タイプ
LoadBalancer
のサービスを追加する際にサービスに割り当てることができる IP アドレスの 1 つ以上のプールが必要です。IPAddressPool
には、IP アドレスのリストが含まれています。リストは、1.1.1.1-1.1.1.1 などの範囲を使用して設定された単一の IP アドレス、CIDR 表記で指定された範囲、ハイフンで区切られた開始アドレスと終了アドレスとして指定された範囲、またはこの 3 つの組み合わせにすることができます。IPAddressPool
には名前が必要です。ドキュメントは、doc-example
、doc-example-reserved
、doc-example-ipv6
などの名前を使用します。MetalLBcontroller
は、IPAddressPool
内のアドレスのプールから IP アドレスを割り当てます。L2Advertisement
およびBGPAdvertisement
カスタムリソースは、指定されたプールからの指定された IP のアドバタイズメントを有効にします。IPAddressPool
カスタムリソースのIPAddressPool
仕様を使用して、spec.serviceAllocation
からサービスと namespace に IP アドレスを割り当てることができます。注記単一の
IPAddressPool
は、L2 アドバタイズメントと BGP アドバタイズメントによって参照できます。BGPPeer
- BGP ピアカスタムリソースは、通信する MetalLB の BGP ルーター、ルーターの AS 番号、MetalLB の AS 番号、およびルートアドバタイズメントのカスタマイズを識別します。MetalLB は、サービスロードバランサーの IP アドレスのルートを 1 つ以上の BGP ピアにアドバタイズします。
BFDProfile
- BFD プロファイルカスタムリソースは、BGP ピアの双方向フォワーディング検出 (BFD) を設定します。BFD は、BGP のみよりも、パスの障害検出が高速になります。
L2Advertisement
-
L2Advertisement カスタムリソースは、L2 プロトコルを使用して
IPAddressPool
からの IP をアドバタイズします。 BGPAdvertisement
-
BGPAdvertisement カスタムリソースは、BGP プロトコルを使用して
IPAddressPool
からの IP をアドバタイズします。
MetalLB
カスタムリソースをクラスターに追加し、Operator が MetalLB をデプロイすると、controller
および speaker
MetalLB ソフトウェアコンポーネントは実行を開始します。
MetalLB は、関連するすべてのカスタムリソースを検証します。
32.1.3. MetalLB ソフトウェアコンポーネント
MetalLB Operator のインストール時に、metallb-operator-controller-manager
デプロイメントは Pod を起動します。Pod は Operator の実装です。Pod は、関連するすべてのリソースへの変更を監視します。
Operator が MetalLB のインスタンスを起動すると、controller
デプロイメントと speaker
のデーモンセットが開始します。
MetalLB カスタムリソースでデプロイメント仕様を設定して、controller
および speaker
Pod がクラスターへのデプロイおよび実行方法を管理できます。これらの展開仕様の詳細は、関連情報 セクションを参照してください。
controller
Operator はデプロイメントおよび単一の Pod を起動します。
LoadBalancer
タイプのサービスを追加する場合、Kubernetes はcontroller
を使用してアドレスプールから IP アドレスを割り当てます。サービスに障害が発生した場合は、controller
Pod のログに次のエントリーがあることを確認します。出力例
"event":"ipAllocated","ip":"172.22.0.201","msg":"IP address assigned by controller
speaker
Operator は、
speaker
Pod 用に設定されたデーモンを起動します。デフォルトでは、Pod はクラスター内の各ノードで起動されます。MetalLB の起動時にMetalLB
カスタムリソースでノードセレクターを指定して、Pod を特定のノードに制限できます。controller
がサービスに IP アドレスを割り当てても、サービスがまだ利用できない場合は、speaker
Pod のログを確認してください。スピーカー
Pod が使用できない場合は、oc describe pod -n
コマンドを実行します。レイヤー 2 モードの場合には、
controller
がサービスに IP アドレスを割り当てた後に、speaker
Pod はアルゴリズムを使用して、どのノードの、どのspeaker
Pod がロードバランサーの IP アドレスをアナウンスするかを決定します。このアルゴリズムには、ノード名とロードバランサーの IP アドレスのハッシュが含まれます。詳細は、「MetalLB と外部トラフィックポリシー」を参照してください。speaker
は、Address Resolution Protocol (ARP) を使用して IPv4 アドレスと Neighbor Discovery Protocol (NDP) を公開して、IPv6 アドレスにアナウンスします。
Border Gateway Protocol (BGP) モードの場合、コントローラー
がサービスに IP アドレスを割り当てた後に、各speaker
Pod はロードバランサーの IP アドレスを BGP ピアにアドバタイズします。どのノードが BGP ピアとの BGP セッションを開始するかを設定できます。
ロードバランサーの IP アドレスの要求は、IP アドレスを通知する speaker
でノードにルーティングされます。ノードがパケットを受信した後に、サービスプロキシーはパケットをサービスのエンドポイントにルーティングします。エンドポイントは、最適なケースでは同じノードに配置することも、別のノードに配置することもできます。サービスプロキシーは、接続が確立されるたびにエンドポイントを選択します。
32.1.4. MetalLB と外部トラフィックポリシー
レイヤー 2 モードでは、クラスター内のノードはサービス IP アドレスのすべてのトラフィックを受信します。BGP モードでは、ホストネットワーク上のルーターが、新しいクライアントが接続を確立できるように、クラスター内のノードの 1 つに接続を開きます。クラスターがノードに入った後にトラフィックを処理する方法は、外部トラフィックポリシーの影響を受けます。
cluster
これは
spec.externalTrafficPolicy
のデフォルト値です。cluster
トラフィックポリシーでは、ノードがトラフィックを受信した後に、サービスプロキシーはトラフィックをサービスのすべての Pod に分散します。このポリシーは、Pod 全体に均一なトラフィック分散を提供しますが、クライアントの IP アドレスを覆い隠し、トラフィックがクライアントではなくノードから発信されているように Pod 内のアプリケーションに表示される可能性があります。local
local
トラフィックポリシーでは、ノードがトラフィックを受信した後に、サービスプロキシーはトラフィックを同じノードの Pod にのみ送信します。たとえば、ノード A のspeaker
Pod が外部サービス IP をアナウンスすると、すべてのトラフィックがノード A に送信されます。トラフィックがノード A に入った後、サービスプロキシーはノード A にあるサービスの Pod にのみトラフィックを送信します。追加のノードにあるサービスの Pod は、ノード A からトラフィックを受信しません。追加のノードにあるサービスの Pod は、フェイルオーバーが必要な場合にレプリカとして機能します。このポリシーは、クライアントの IP アドレスには影響しません。アプリケーション Pod は、受信接続からクライアント IP アドレスを判別できます。
次の情報は、BGP モードで外部トラフィックポリシーを設定する場合に重要です。
MetalLB は、適格なすべてのノードからロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズしますが、サービスのロードバランシングを行うノードの数は、等コストマルチパス (ECMP) ルートを確立するルーターの容量によって制限される場合があります。IP をアドバタイズするノードの数がルーターの ECMP グループ制限よりも多い場合、ルーターは IP をアドバタイズするノードよりも少ないノードを使用します。
たとえば、外部トラフィックポリシーが local
に設定され、ルーターの ECMP グループ制限が 16 に設定され、LoadBalancer サービスを実装する Pod が 30 ノードにデプロイされている場合、14 ノードにデプロイされた Pod はトラフィックを受信しません。この状況では、サービスの外部トラフィックポリシーを cluster
に設定することを推奨します。
32.1.5. レイヤー 2 モードの MetalLB の概念
レイヤー 2 モードでは、1 つのノードの speaker
Pod が、サービスの外部 IP アドレスをホストネットワークに公開します。ネットワークの観点からは、ノードで複数の IP アドレスがネットワークインターフェイスに割り当てられるように見えます。
レイヤ 2 モードでは、MetalLB は ARP と NDP に依存します。これらのプロトコルは、特定のサブネット内でローカルアドレス解決を実装します。このコンテキストでは、MetalLB が機能するために、クライアントは、サービスをアナウンスするノードと同じサブネット上に存在する MetalLB によって割り当てられた VIP に到達できなければなりません。
speaker
Pod は、IPv4 サービスの ARP 要求と IPv6 の NDP 要求に応答します。
レイヤー 2 モードでは、サービス IP アドレスのすべてのトラフィックは 1 つのノードを介してルーティングされます。トラフィックがノードに入ると、CNI ネットワークプロバイダーのサービスプロキシーはトラフィックをサービスのすべての Pod に配信します。
サービスのすべてのトラフィックがレイヤー 2 モードで単一のノードを通過するので、より厳密な意味で、MetalLB はレイヤー 2 のロードバランサーを実装しません。むしろ、MetalLB はレイヤー 2 のフェイルオーバーメカニズムを実装しているため、speaker
Pod が利用できなくなったときに、別のノードの speaker
Pod がサービス IP アドレスをアナウンスできます。
ノードが使用できなくなると、フェイルオーバーが自動的に行われます。他のノードの speaker
Pod は、ノードが使用できないことを検出し、障害が発生したノードから、新しい speaker
Pod とノードがサービス IP アドレスの所有権を取得します。
前述のグラフは、MetalLB に関する以下の概念を示しています。
-
アプリケーションは、
172.130.0.0/16
サブネットのクラスター IP を持つサービスで利用できます。その IP アドレスはクラスター内からアクセスできます。サービスには、MetalLB がサービス192.168.100.200
に割り当てられている外部 IP アドレスもあります。 - ノード 1 および 3 には、アプリケーションの Pod があります。
-
speaker
デーモンセットは、各ノードで Pod を実行します。MetalLB Operator はこれらの Pod を起動します。 -
各
speaker
Pod はホストネットワーク化された Pod です。Pod の IP アドレスは、ホストネットワーク上のノードの IP アドレスと同じです。 -
ノード 1 の
speaker
Pod は ARP を使用して、サービスの外部 IP アドレスに192.168.100.200
を認識します。外部 IP アドレスをアナウンスするspeaker
Pod は、サービスのエンドポイントと同じノード上にあり、エンドポイントはReady
状態である必要があります。 クライアントトラフィックはホストネットワークにルーティングされ、
192.168.100.200
の IP アドレスに接続します。トラフィックがノードに入ると、サービスプロキシーは、サービスに設定した外部トラフィックポリシーに従って、同じノードまたは別のノードのアプリケーション Pod にトラフィックを送信します。-
サービスの外部トラフィックポリシーが
cluster
に設定されている場合、speaker
Pod が実行されているノードから192.168.100.200
ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズするノードが選択されます。そのノードのみがサービスのトラフィックを受信できます。 -
サービスの外部トラフィックポリシーが
local
に設定されている場合、speaker
Pod が実行されているノードと少なくとも 1 つのサービスエンドポイントから192.168.100.200
ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズするノードが選択されます。そのノードのみがサービスのトラフィックを受信できます。前の図では、ノード 1 または 3 のいずれかが192.168.100.200
をアドバタイズします。
-
サービスの外部トラフィックポリシーが
-
ノード 1 が利用できない場合、外部 IP アドレスは別のノードにフェイルオーバーします。アプリケーション Pod およびサービスエンドポイントのインスタンスを持つ別のノードでは、
speaker
Pod は外部 IP アドレス192.168.100.200
になり、新規ノードがクライアントトラフィックを受信します。図では、唯一の候補はノード 3 です。
32.1.6. BGP モードの MetalLB の概念
BGP モードでは、デフォルトで各 speaker
Pod がサービスのロードバランサー IP アドレスを各 BGP ピアにアドバタイズします。オプションの BGP ピアのリストを追加すると、指定されたプールからの IP を指定されたピアセットにアドバタイズすることもできます。BGP ピアは通常、BGP プロトコルを使用するように設定されたネットワークルーターです。ルーターがロードバランサーの IP アドレスのトラフィックを受信すると、ルーターは IP アドレスをアドバタイズした speaker
Pod が含まれるノードの 1 つを選択します。ルーターはトラフィックをそのノードに送信します。トラフィックがノードに入ると、CNI ネットワークプラグインのサービスプロキシーはトラフィックをサービスのすべての Pod に配信します。
クラスターノードと同じレイヤー 2 のネットワークセグメントに直接接続されたルーターは、BGP ピアとして設定できます。直接接続されたルーターが BGP ピアとして設定されていない場合は、ロードバランサーの IP アドレスのパケットが BGP ピアとspeaker
Pod を実行するクラスターノードの間でルーティングされるようにネットワークを設定する必要があります。
ルーターは、ロードバランサーの IP アドレスの新しいトラフィックを受信するたびに、ノードへの新しい接続を作成します。各ルーターのメーカーには、接続開始ノードを選択する実装固有のアルゴリズムがあります。ただし、アルゴリズムは通常、ネットワーク負荷のバランスをとるために、使用可能なノード間でトラフィックを分散するように設計されています。
ノードが使用できなくなった場合に、ルーターは、ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズするspeaker
Pod が含まれる別のノードとの新しい接続を開始します。
図32.1 BGP モードの MetalLB トポロジーの図
前述のグラフは、MetalLB に関する以下の概念を示しています。
-
アプリケーションは、
172.130.0.0/16
サブネットの IPv4 クラスター IP を持つサービスで利用できます。その IP アドレスはクラスター内からアクセスできます。サービスには、MetalLB がサービス203.0.113.200
に割り当てられている外部 IP アドレスもあります。 - ノード 2 および 3 には、アプリケーションの Pod があります。
-
speaker
デーモンセットは、各ノードで Pod を実行します。MetalLB Operator はこれらの Pod を起動します。MetalLB を設定して、speaker
Pod を実行するノードを指定できます。 -
各
speaker
Pod はホストネットワーク化された Pod です。Pod の IP アドレスは、ホストネットワーク上のノードの IP アドレスと同じです。 -
各
speaker
Pod は、すべての BGP ピアとの BGP セッションを開始し、ロードバランサーの IP アドレスまたは集約されたルートを BGP ピアにアドバタイズします。speaker
Pod は、Autonomous System 65010 の一部であることをアドバタイズします。この図ではルーター R1 を示しており、これは同じ Autonomous System 内の BGP ピアです。ただし、他の Autonomous System に属するピアとの BGP セッションを開始するように MetalLB を設定できます。 ノードに、ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズする
speaker
Pod がある場合にはすべて、サービスのトラフィックを受信できます。-
サービスの外部トラフィックポリシーが
cluster
に設定されている場合、スピーカー Pod が実行されているすべてのノードが203.0.113.200
ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズし、speaker
Pod を持つすべてのノードがサービスのトラフィックを受信できます。ホストの接頭辞は、外部トラフィックポリシーが cluster に設定されている場合にのみ、ルーターピアにアドバタイズされます。 -
サービスの外部トラフィックポリシーが
local
に設定されている場合、speaker
Pod が実行されているノードとサービスが実行されている少なくとも 1 つのエンドポイントが、203.0.113.200
ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズできます。これらのノードのみがサービスのトラフィックを受信できます。前の図では、ノード 2 と 3 は203.0.113.200
をアドバタイズします。
-
サービスの外部トラフィックポリシーが
-
BGP ピアカスタムリソースの追加時にノードセレクターを指定して、特定の BGP ピアとの BGP セッションを開始する
speaker
Pod を制御するように MetalLB を設定できます。 - BGP を使用するように設定されている R1 などのルーターは、BGP ピアとして設定できます。
- クライアントトラフィックは、ホストネットワーク上のノードの 1 つにルーティングされます。トラフィックがノードに入ると、サービスプロキシーは、サービスに設定した外部トラフィックポリシーに従って、同じノードまたは別のノードのアプリケーション Pod にトラフィックを送信します。
- ノードが使用できなくなった場合に、ルーターは障害を検出し、別のノードとの新しい接続を開始します。BGP ピアに双方向フォワーディング検出 (BFD) プロファイルを使用するように MetalLB を設定できます。BFD は、リンク障害検出がより高速であるため、ルーターは BFD がない場合よりも早く新しい接続を開始できます。
32.1.7. 制限および制限
32.1.7.1. MetalLB のインフラストラクチャーに関する考慮事項
MetalLB は、ネイティブのロードバランサー機能が含まれていないため、主にオンプレミスのベアメタルインストールに役立ちます。ベアメタルのインストールに加え、一部のインフラストラクチャーに OpenShift Container Platform をインストールする場合は、ネイティブのロードバランサー機能が含まれていない場合があります。たとえば、以下のインフラストラクチャーは MetalLB Operator を追加するのに役立ちます。
- ベアメタル
- VMware vSphere
- IBM Z® および IBM® LinuxONE
- IBM Z® および IBM® LinuxONE for Red Hat Enterprise Linux (RHEL) KVM
- IBM Power®
MetalLB Operator および MetalLB は、OpenShift SDN および OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーでサポートされます。
32.1.7.2. レイヤー 2 モードの制限
32.1.7.2.1. 単一ノードのボトルネック
MetalLB は、1 つのノードを介してサービス内のすべてのトラフィックをルーティングします。この際、ノードはボトルネックとなり、パフォーマンスを制限する可能性があります。
レイヤー 2 モードは、サービスの Ingress 帯域幅を単一ノードの帯域幅に制限します。これは、ARP および NDP を使用してトラフィックを転送するための基本的な制限です。
32.1.7.2.2. フェイルオーバーのパフォーマンスの低下
ノード間のフェイルオーバーは、クライアントからの操作によって異なります。フェイルオーバーが発生すると、MetalLB は Gratuitous ARP パケットを送信して、サービス IP に関連付けられた MAC アドレスが変更されたことをクライアントに通知します。
ほとんどのクライアントオペレーティングシステムは、Gratuitous ARP パケットを正しく処理し、隣接キャッシュを迅速に更新します。クライアントがキャッシュを迅速に更新すると、フェイルオーバーは数秒以内に完了します。通常、クライアントは新しいノードに 10 秒以内にフェイルオーバーします。しかし、一部のクライアントオペレーティングシステムは Gratuitous ARP パケットをまったく処理しないか、キャッシュの更新を遅延させる古い実装があります。
Windows、macOS、Linux などの一般的なオペレーティングシステムの新しいバージョンは、レイヤー 2 フェイルオーバーを正しく実装します。フェイルオーバーが遅いという問題は、古くてあまり一般的ではないクライアントオペレーティングシステムを除いて、予期されていません。
古いクライアントで予定されているフェイルオーバーの影響を最小限にするには、リーダーシップをフラップした後に、古いノードを数分にわたって実行したままにします。古いノードは、キャッシュが更新されるまで、古いクライアントのトラフィックを転送することができます。
予定外のフェイルオーバー時に、古いクライアントがキャッシュエントリーを更新するまでサービス IP に到達できません。
32.1.7.2.3. 追加ネットワークと MetalLB は同じネットワークを使用できない
MetalLB とソース Pod 上に設定された追加のネットワークインターフェイスの両方に同じ VLAN を使用すると、接続エラーが発生する可能性があります。これは、MetalLB IP とソース Pod が同じノード上に存在する場合に発生します。
接続エラーを回避するには、ソース Pod が存在するサブネットとは異なるサブネットに MetalLB IP を配置します。この設定により、ソース Pod からのトラフィックがデフォルトゲートウェイを経由するようになります。その結果、トラフィックは OVN オーバーレイネットワークを使用して宛先に到達でき、接続が確実に意図したとおりに機能するようになります。
32.1.7.3. BGP モードの制限
32.1.7.3.1. ノードに障害が発生すると、アクティブなすべての接続が切断される可能性があります
MetalLB には、BGP ベースのロードバランシングに共通する制限があります。ノードに障害が発生した場合や speaker
Pod が再起動した場合など、BGP セッションが中断されると、すべてのアクティブな接続がリセットされる可能性があります。エンドユーザーに、Connection reset by peer
のメッセージが表示される可能性があります。
BGP セッションが中断された場合にどうなるかは、各ルーターの製造元の実装によります。ただし、speaker
Pod の数を変更すると、BGP セッションの数に影響し、BGP ピアとのアクティブな接続が切断されることが予想されます。
サービスの中断の可能性を回避または低減するために、BGP ピアの追加時にノードセレクターを指定できます。BGP セッションを開始するノードの数を制限すると、BGP セッションのないノードでの障害が発生しても、サービスへの接続に影響はありません。
32.1.7.3.2. 単一の ASN とルーター ID のみのサポート
BGP ピアカスタムリソースを追加するときは、spec.myASN
フィールドを指定して、MetalLB が属する Autonomous System Number (ASN) を特定します。OpenShift Container Platform は、MetalLB を使用した BGP の実装を使用しますが、この実装は MetalLB が単一の ASN に所属する必要があります。BGP ピアを追加し、spec.myASN
に既存の BGP ピアカスタムリソースとは異なる値を指定しようとするとエラーが発生します。
同様に、BGP ピアカスタムリソースを追加する場合には、spec.routerID
フィールドはオプションです。このフィールドに値を指定する場合は、追加する他の BGP ピアカスタムリソースすべてに、同じ値を指定する必要があります。
単一の ASN と単一のルーター ID のサポートに制限がある点が、コミュニティーがサポートする MetalLB の実装との違いです。
32.1.8. 関連情報
32.2. MetalLB Operator のインストール
クラスター管理者は、Operator がクラスター上の MetalLB インスタンスのライフサイクルを管理できるようにする MetallB Operator を追加できます。
MetalLB および IP フェイルオーバーは互換性がありません。クラスターの IP フェイルオーバーを設定している場合、Operator をインストールする前に IP フェイルオーバーを削除する 手順を実行します。
32.2.1. Web コンソールを使用した OperatorHub からの MetalLB Operator のインストール
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して MetalLB Operator をインストールできます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
キーワードを Filter by keyword ボックスに入力するか、目的の Operator までスクロールします。たとえば、
metallb
と入力して MetalLB Operator を見つけます。また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。
- Install Operator ページで、デフォルトを受け入れて Install をクリックします。
検証
インストールが正常に行われたことを確認するには、以下を実行します。
- Operators → Installed Operators ページに移動します。
-
Operator が
openshift-operators
の namespace 内に設置されていることと、その状態がSucceeded
となっていることを確認してください。
Operator が正常にインストールされない場合は、Operator のステータスを確認し、ログを確認してください。
-
Operators → Installed Operators ページに移動し、
Status
列でエラーまたは失敗の有無を確認します。 -
Workloads → Podsページにナビゲートし、問題を報告している
openshift-operators
プロジェクトの Pod のログを確認します。
-
Operators → Installed Operators ページに移動し、
32.2.2. CLI を使用した OperatorHub からのインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。OpenShift CLI (oc
) を使用して、MetalLB Operator をインストールできます。
CLI を使用する場合は、metallb-system
namespace に Operator をインストールすることを推奨します。
前提条件
- ベアメタルハードウェアにインストールされたクラスター。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
次のコマンドを入力して、MetalLB Operator の namespace を作成します。
$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: metallb-system EOF
namespace に Operator グループのカスタムリソースを作成します。
$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: metallb-operator namespace: metallb-system EOF
Operator グループが namespace にインストールされていることを確認します。
$ oc get operatorgroup -n metallb-system
出力例
NAME AGE metallb-operator 14m
Subscription
CR を作成します。Subscription
CR を定義し、YAML ファイルを保存します (例:metallb-sub.yaml
)。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: metallb-operator-sub namespace: metallb-system spec: channel: stable name: metallb-operator source: redhat-operators 1 sourceNamespace: openshift-marketplace
- 1
redhat-operators
値を指定する必要があります。
Subscription
CR を作成するには、次のコマンドを実行します。$ oc create -f metallb-sub.yaml
オプション: BGP および BFD メトリックが Prometheus に表示されるようにするには、次のコマンドのように namespace にラベルを付けることができます。
$ oc label ns metallb-system "openshift.io/cluster-monitoring=true"
検証
検証手順は、MetallB Operator が metallb-system
namespace にインストールされていることを前提としています。
インストール計画が namespace にあることを確認します。
$ oc get installplan -n metallb-system
出力例
NAME CSV APPROVAL APPROVED install-wzg94 metallb-operator.4.14.0-nnnnnnnnnnnn Automatic true
注記Operator のインストールには数秒かかる場合があります。
Operator がインストールされていることを確認するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc get clusterserviceversion -n metallb-system \ -o custom-columns=Name:.metadata.name,Phase:.status.phase
出力例
Name Phase metallb-operator.4.14.0-nnnnnnnnnnnn Succeeded
32.2.3. クラスターでの MetalLB の起動
Operator のインストール後に、MetalLB カスタムリソースの単一のインスタンスを設定する必要があります。カスタムリソースの設定後、Operator はクラスターで MetalLB を起動します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - MetalLB Operator がインストールされている。
手順
この手順は、MetallB Operator が metallb-system
namespace にインストールされていることを前提としています。Web コンソールを使用してインストールした場合は、namespace の代わりに openshift-operators
を使用してください。
MetalLB カスタムリソースの単一のインスタンスを作成します。
$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: MetalLB metadata: name: metallb namespace: metallb-system EOF
検証
MetalLB コントローラーのデプロイメントと、MetalLB スピーカーのデーモンセットが実行していることを確認します。
コントローラーのデプロイメントが稼働していることを検証します。
$ oc get deployment -n metallb-system controller
出力例
NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE controller 1/1 1 1 11m
スピーカーに設定されているデーモンが実行されていることを検証します。
$ oc get daemonset -n metallb-system speaker
出力例
NAME DESIRED CURRENT READY UP-TO-DATE AVAILABLE NODE SELECTOR AGE speaker 6 6 6 6 6 kubernetes.io/os=linux 18m
この出力例は、6 つの speaker Pod を示しています。クラスターの speaker Pod の数は出力例とは異なる場合があります。出力で各ノードの 1 つの Pod が表示されることを確認します。
32.2.4. MetalLB のデプロイメント仕様
MetalLB
カスタムリソースを使用して MetalLB のインスタンスを起動すると、MetalLB
カスタムリソースでデプロイメント仕様を設定して、controller
または speaker
Pod がクラスターにデプロイし、実行する方法を管理できます。これらのデプロイメント仕様を使用して、以下のタスクを管理します。
- MetalLB Pod デプロイメントのノードの選択
- Pod の優先順位および Pod のアフィニティーを使用してたケジューリングの管理
- MetalLB Pod の CPU 制限の割り当て
- MetalLB Pod のコンテナー RuntimeClass の割り当て
- MetalLB Pod のメタデータの割り当て
32.2.4.1. speaker Pod の特定のノードへの限定
デフォルトでは、MetalLB Operator を使用して MetalLB を開始すると、Operator はクラスター内の各ノードでspeaker
Pod のインスタンスを開始します。ロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズできるのは、speaker
Pod を備えたノードのみです。ノードセレクターを使用して MetalLB
カスタムリソースを設定し、speaker
Pod を実行するノードを指定できます。
speaker
Pod を特定のノードに制限する最も一般的な理由として、特定のネットワークにネットワークインターフェイスがあるノードのみがロードバランサーの IP アドレスをアドバタイズするようにすることが挙げられます。ロードバランサーの IP アドレスの宛先として、speaker
Pod が実行されているノードのみがアドバタイズされます。
speaker
Pod を特定のノードに制限し、サービスの外部トラフィックポリシーにローカル
を指定する場合は、サービスのアプリケーション Pod が同じノードにデプロイされていることを確認する必要があります。
speaker Pod をワーカーノードに制限する設定例
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: MetalLB metadata: name: metallb namespace: metallb-system spec: nodeSelector: 1 node-role.kubernetes.io/worker: "" speakerTolerations: 2 - key: "Example" operator: "Exists" effect: "NoExecute"
spec.nodeSelector
フィールドを使用してマニフェストを適用した後に、oc get daemonset -n metallb-systemspeaker
コマンドを使用して Operator がデプロイした Pod の数を確認できます。同様に、oc get node -l node-role.kubernetes.io/worker =
のようなコマンドを使用して、ラベルに一致するノードを表示できます。
オプションで、アフィニティールールを使用して、ノードがどの speaker Pod をスケジュールするか、スケジュールしないかを制御することができます。また、toleration の一覧を適用してこれらの Pod を制限することもできます。アフィニティールール、テイント、および容認の詳細は、追加のリソースを参照してください。
32.2.4.2. MetalLB デプロイメントでの Pod の優先順位および Pod アフィニティーの設定
オプションで、MetalLB
カスタムリソースを設定して、Pod の優先順位と Pod のアフィニティールールを controller
Pod および speaker
Pod に割り当てることができます。Pod の優先順位は、ノード上の Pod の相対的な重要度を示し、この優先順位に基づいて Pod をスケジュールします。controller
または speaker
Pod に高い優先順位を設定して、ノード上の他の Pod よりも優先的にスケジューリングされるようにします。
Pod のアフィニティーは Pod 間の関係を管理します。Pod のアフィニティーを controller
または speaker
Pod に割り当て、スケジューラーが Pod 関係のコンテキストで Pod を配置するノードを制御します。たとえば、Pod アフィニティールールを使用して、複数の特定 Pod を同じノードまたは別のノードに配置するようにできます。これにより、ネットワーク通信が改善され、これらのコンポーネント間の遅延が縮小されます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - MetalLB Operator がインストールされている。
- クラスター上で MetalLB Operator を開始している。
手順
myPriorityClass.yaml
などのPriorityClass
カスタムリソースを作成して、優先度レベルを設定します。この例では、high-priority
という名前のPriorityClass
を、値1000000
で定義します。この優先クラスが割り当てられた Pod は、スケジューリングにおいて、それより低い優先クラスの Pod より優先順位が高いとみなされます。apiVersion: scheduling.k8s.io/v1 kind: PriorityClass metadata: name: high-priority value: 1000000
PriorityClass
カスタムリソース設定を適用します。$ oc apply -f myPriorityClass.yaml
MetalLBPodConfig.yaml
などのMetalLB
カスタムリソースを作成して、priorityClassName
とpodAffinity
の値を指定します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: MetalLB metadata: name: metallb namespace: metallb-system spec: logLevel: debug controllerConfig: priorityClassName: high-priority 1 affinity: podAffinity: 2 requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: - labelSelector: matchLabels: app: metallb topologyKey: kubernetes.io/hostname speakerConfig: priorityClassName: high-priority affinity: podAffinity: requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: - labelSelector: matchLabels: app: metallb topologyKey: kubernetes.io/hostname
- 1
- MetalLB コントローラー Pod の優先クラスを指定します。この場合、
high-priority
に設定されます。 - 2
- Pod アフィニティールールを設定していることを指定します。これらのルールは、他の Pod またはノードに関連して Pod がどのようにスケジュールされるかを決定します。この設定は、
app: metallb
ラベルを持つ Pod を同じホスト名を共有するノードにスケジュールするようにスケジューラーに指示します。これは、MetalLB 関連の Pod を同じノード上に配置するのに役立ち、これらの Pod 間のネットワーク通信、遅延、リソース使用量を最適化できる可能性があります。
MetalLB
カスタムリソース設定を適用します。$ oc apply -f MetalLBPodConfig.yaml
検証
metallb-system
namespace の Pod に割り当てた優先クラスを表示するには、次のコマンドを実行します。$ oc get pods -n metallb-system -o custom-columns=NAME:.metadata.name,PRIORITY:.spec.priorityClassName
出力例
NAME PRIORITY controller-584f5c8cd8-5zbvg high-priority metallb-operator-controller-manager-9c8d9985-szkqg <none> metallb-operator-webhook-server-c895594d4-shjgx <none> speaker-dddf7 high-priority
スケジューラーが Pod アフィニティールールに従って Pod を配置したことを確認するには、次のコマンドを実行して Pod のノードのメタデータを表示します。
$ oc get pod -o=custom-columns=NODE:.spec.nodeName,NAME:.metadata.name -n metallb-system
32.2.4.3. MetalLB デプロイメントでの Pod CPU 制限の設定
オプションで、MetalLB
カスタムリソースを設定することで、Pod の CPU 制限を controller
Pod と speaker
Pod に割り当てることができます。controller
Pod または speaker
Pod の CPU 制限を定義すると、ノード上のコンピュートリソースを管理するのに役立ちます。これにより、ノード上のすべての Pod に、ワークロードとクラスターのハウスキーピングを管理するために必要なコンピューティングリソースが確保されます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - MetalLB Operator がインストールされている。
手順
CPULimits.yaml
などのMetalLB
カスタムリソースファイルを作成し、コントローラー
およびspeaker
Pod のcpu
値を指定します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: MetalLB metadata: name: metallb namespace: metallb-system spec: logLevel: debug controllerConfig: resources: limits: cpu: "200m" speakerConfig: resources: limits: cpu: "300m"
MetalLB
カスタムリソース設定を適用します。$ oc apply -f CPULimits.yaml
検証
Pod のコンピューティングリソースを表示するには、次のコマンドを実行し、
<pod_name>
をターゲット Pod に置き換えます。$ oc describe pod <pod_name>
32.2.5. 関連情報
32.2.6. 次のステップ
32.3. MetalLB のアップグレード
現在、MetalLB Operator のバージョン 4.10 以前のバージョンを実行している場合、4.10 以降のバージョンへの自動更新は機能しないことに注意してください。4.11 以降の任意のバージョンの MetalLB Operator から新しいバージョンへのアップグレードは成功します。たとえば、バージョン 4.12 からバージョン 4.13 へのアップグレードはスムーズに行われます。
4.10 以前からの MetalLB Operator のアップグレード手順の概要は次のとおりです。
-
インストールされている MetalLB Operator バージョン (4.10 など) を削除します。namespace と
metallb
カスタムリソースが削除されていないことを確認してください。 - CLI を使用して、以前のバージョンの MetalLB Operator がインストールされていた namespace に MetalLB Operator 4.14 をインストールします。
この手順は、標準の簡単な方法に従う MetalLB Operator の自動 z ストリーム更新には適用されません。
MetalLB Operator を 4.10 以前からアップグレードする詳細な手順は、次のガイダンスを参照してください。クラスター管理者は、OpenShift CLI (oc
) または Web コンソールを使用して MetalLB Operator を削除し、アップグレードプロセスを開始します。
32.3.1. Web コンソールを使用してクラスターから MetalLB Operator を削除
クラスター管理者は Web コンソールを使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスター Web コンソールにアクセスできる。
手順
- Operators → Installed Operators ページに移動します。
- MetalLB Operator を検索します。次に、それをクリックします。
Operator Details ページの右側で、Actions ドロップダウンメニューから Uninstall Operator を選択します。
Uninstall Operator? ダイアログボックスが表示されます。
Uninstall を選択し、Operator、Operator デプロイメント、および Pod を削除します。このアクションの後には、Operator は実行を停止し、更新を受信しなくなります。
注記このアクションは、カスタムリソース定義 (CRD) およびカスタムリソース (CR) など、Operator が管理するリソースは削除されません。Web コンソールおよび継続して実行されるクラスター外のリソースによって有効にされるダッシュボードおよびナビゲーションアイテムには、手動でのクリーンアップが必要になる場合があります。Operator のアンインストール後にこれらを削除するには、Operator CRD を手動で削除する必要があります。
32.3.2. CLI を使用してクラスターから MetalLB Operator を削除
クラスター管理者は CLI を使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
oc
コマンドがワークステーションにインストールされていること。
手順
currentCSV
フィールドでサブスクライブされた MetalLB Operator の現在のバージョンを確認します。$ oc get subscription metallb-operator -n metallb-system -o yaml | grep currentCSV
出力例
currentCSV: metallb-operator.4.10.0-202207051316
サブスクリプションを削除します。
$ oc delete subscription metallb-operator -n metallb-system
出力例
subscription.operators.coreos.com "metallb-operator" deleted
直前の手順で
currentCSV
値を使用し、ターゲット namespace の Operator の CSV を削除します。$ oc delete clusterserviceversion metallb-operator.4.10.0-202207051316 -n metallb-system
出力例
clusterserviceversion.operators.coreos.com "metallb-operator.4.10.0-202207051316" deleted
32.3.3. MetalLB Operator Operator グループの編集
4.10 以前の MetalLB Operator バージョンから 4.11 以降にアップグレードする場合は、Operator グループのカスタムリソース (CR) から spec.targetNamespaces
を削除します。MetalLB Operator の削除に Web コンソールや CLI を使用したかにかかわらず、仕様を削除する必要があります。
MetalLB Operator バージョン 4.11 以降は AllNamespaces
インストールモードのみをサポートしますが、4.10 以前のバージョンは OwnNamespace
モードまたは SingleNamespace
モードをサポートします。
前提条件
-
cluster-admin
権限を使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、
metallb-system
namespace 内の Operator グループをリスト表示します。$ oc get operatorgroup -n metallb-system
出力例
NAME AGE metallb-system-7jc66 85m
次のコマンドを実行して、
metallb-system
namespace に関連付けられた Operator グループ CR にspec.targetNamespaces
が存在することを確認します。$ oc get operatorgroup metallb-system-7jc66 -n metallb-system -o yaml
出力例
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: annotations: olm.providedAPIs: "" creationTimestamp: "2023-10-25T09:42:49Z" generateName: metallb-system- generation: 1 name: metallb-system-7jc66 namespace: metallb-system resourceVersion: "25027" uid: f5f644a0-eef8-4e31-a306-e2bbcfaffab3 spec: targetNamespaces: - metallb-system upgradeStrategy: Default status: lastUpdated: "2023-10-25T09:42:49Z" namespaces: - metallb-system
次のコマンドを実行して、Operator グループを編集し、
spec
セクション配下のtargetNamespaces
とmetallb-system
を削除します。$ oc edit n metallb-system
出力例
operatorgroup.operators.coreos.com/metallb-system-7jc66 edited
次のコマンドを実行して、
metallb-system
namespace に関連付けられた Operator グループのカスタムリソースからspec.targetNamespaces
が削除されていることを確認します。$ oc get operatorgroup metallb-system-7jc66 -n metallb-system -o yaml
出力例
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: annotations: olm.providedAPIs: "" creationTimestamp: "2023-10-25T09:42:49Z" generateName: metallb-system- generation: 2 name: metallb-system-7jc66 namespace: metallb-system resourceVersion: "61658" uid: f5f644a0-eef8-4e31-a306-e2bbcfaffab3 spec: upgradeStrategy: Default status: lastUpdated: "2023-10-25T14:31:30Z" namespaces: - ""
32.3.4. MetalLB Operator のアップグレード
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスします。
手順
metallb-system
namespace がまだ存在することを確認します。$ oc get namespaces | grep metallb-system
出力例
metallb-system Active 31m
metallb
カスタムリソースがまだ存在することを確認します。$ oc get metallb -n metallb-system
出力例
NAME AGE metallb 33m
CLI を使用した OperatorHub からのインストールに記載されたガイダンスに従い、MetalLB Operator の最新の 4.14 バージョンをインストールします。
注記MetalLB Operator の最新の 4.14 バージョンをインストールする場合、以前にインストールしたのと同じ namespace に Operator をインストールする必要があります。
Operator のアップグレードされたバージョンが 4.14 バージョンになったことを確認します。
$ oc get csv -n metallb-system
出力例
NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE metallb-operator.4.14.0-202207051316 MetalLB Operator 4.14.0-202207051316 Succeeded
32.3.5. 関連情報
32.4. MetalLB アドレスプールの設定
クラスター管理者は、アドレスプールを追加、変更、および削除できます。MetalLB Operator は、アドレスプールカスタムリソースを使用して、MetalLB がサービスに割り当てることのできる IP アドレスを設定します。例で使用されている namespace は、namespace が metallb-system
であることを前提としています。
32.4.1. IPAddressPool カスタムリソースについて
OpenShift Container Platform 4.10 の MetalLB を使用したロードバランシングに記載されているアドレスプールカスタムリソース定義 (CRD) および API は、4.14 でも引き続き使用できます。ただし、AddressPool
CRD を使用する場合、レイヤ 2 プロトコルまたは BGP プロトコルを使用した IPAddressPool
からの IP アドレスのアドバタイズに関連する拡張機能はサポートされません。
次の表では、IPAddressPool
カスタムリソースのフィールドについて説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
アドレスプールの名前を指定します。サービスを追加する場合は、 |
|
| アドレスプールの namespace を指定します。MetalLB Operator が使用するものと同じ namespace を指定します。 |
|
|
オプション: |
|
| MetalLB Operator がサービスに割り当てる IP アドレスのリストを指定します。1 つのプールで複数の範囲を指定できます。それらはすべて同じ設定を共有します。CIDR 表記で各範囲を指定するか、開始および終了の IP アドレスをハイフンで区切って指定します。 |
|
|
オプション: MetalLB がこのプールから IP アドレスを自動的に割り当てるかどうかを指定します。 |
|
|
オプション: これを有効にすると、.0 および .255 で終わる IP アドレスがプールから割り当てられなくなります。デフォルト値は |
spec.serviceAllocation
仕様を設定することにより、IPAddressPool
からサービスおよび namespace に IP アドレスを割り当てることができます。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| オプション: 複数の IP アドレスプールがサービスまたは namespace に一致する場合の IP アドレスプール間の優先度を定義します。数字が小さいほど優先度が高いことを示します。 |
|
| オプション: IP アドレスプール内の IP アドレスに割り当てることができる namespace のリストを指定します。 |
|
| オプション: リスト形式のラベルセレクターを使用して、IP アドレスプールから IP アドレスに割り当てることができる namespace ラベルを指定します。 |
|
| オプション: リスト形式のラベルセレクターを使用して、アドレスプールから IP アドレスに割り当てることができるサービスラベルを指定します。 |
32.4.2. アドレスプールの設定
クラスター管理者は、クラスターにアドレスプールを追加して、MetalLB がロードバランサーサービスに割り当てることのできる IP アドレスを制御できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example labels: 1 zone: east spec: addresses: - 203.0.113.1-203.0.113.10 - 203.0.113.65-203.0.113.75
- 1
IPAddressPool
に割り当てられたこのラベルは、BGPAdvertisement
CRD のipAddressPoolSelectors
によって参照され、IPAddressPool
をアドバタイズメントに関連付けることができます。
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
検証
アドレスプールを表示します。
$ oc describe -n metallb-system IPAddressPool doc-example
出力例
Name: doc-example Namespace: metallb-system Labels: zone=east Annotations: <none> API Version: metallb.io/v1beta1 Kind: IPAddressPool Metadata: ... Spec: Addresses: 203.0.113.1-203.0.113.10 203.0.113.65-203.0.113.75 Auto Assign: true Events: <none>
doc-example
などのアドレスプール名と IP アドレス範囲が出力に表示されることを確認します。
32.4.3. VLAN の MetalLB アドレスプールの設定
クラスター管理者は、クラスターにアドレスプールを追加することで、MetalLB がロードバランサーサービスに割り当てることのできる、作成された VLAN の IP アドレスを制御できます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - 別の VLAN を設定する。
-
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
次の例のようなファイル (
ipaddresspool-vlan.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-vlan labels: zone: east 1 spec: addresses: - 192.168.100.1-192.168.100.254 2
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool-vlan.yaml
この設定を VLAN に適用するために、
spec
のgatewayConfig.ipForwarding
をGlobal
に設定する必要があります。次のコマンドを実行して、ネットワーク設定カスタムリソース (CR) を編集します。
$ oc edit network.config.openshift/cluster
spec.defaultNetwork.ovnKubernetesConfig
セクションを更新して、gatewayConfig.ipForwarding
をGlobal
に設定します。次のようになります。例
... spec: clusterNetwork: - cidr: 10.128.0.0/14 hostPrefix: 23 defaultNetwork: type: OVNKubernetes ovnKubernetesConfig: gatewayConfig: ipForwarding: Global ...
32.4.4. アドレスプールの設定例
32.4.4.1. 例: IPv4 および CIDR 範囲
CIDR 表記で IP アドレスの範囲を指定できます。CIDR 表記と、ハイフンを使用する表記を組み合わせて下層と上限を分けることができます。
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: doc-example-cidr namespace: metallb-system spec: addresses: - 192.168.100.0/24 - 192.168.200.0/24 - 192.168.255.1-192.168.255.5
32.4.4.2. 例: IP アドレスの予約
MetalLB がプールから IP アドレスを自動的に割り当てないように autoAssign
フィールドを false
に設定できます。サービスを追加する場合は、プールから特定の IP アドレスを要求するか、そのプールから任意の IP アドレスを要求するためにアノテーションでプール名を指定できます。
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: doc-example-reserved namespace: metallb-system spec: addresses: - 10.0.100.0/28 autoAssign: false
32.4.4.3. 例: IPv4 および IPv6 アドレス
IPv4 および IPv6 を使用するアドレスプールを追加できます。複数の IPv4 の例と同様に、addresses
一覧で複数の範囲を指定できます。
サービスに、単一の IPv4 アドレス、単一の IPv6 アドレス、またはその両方を割り当てるかどうかは、サービスの追加方法によって決まります。spec.ipFamilies
フィールドと spec.ipFamilyPolicy
フィールドでは、IP アドレスをサービスに割り当てる方法を制御します。
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: doc-example-combined namespace: metallb-system spec: addresses: - 10.0.100.0/28 - 2002:2:2::1-2002:2:2::100
32.4.4.4. 例: IP アドレスプールをサービスまたは namespace に割り当てる
IPAddressPool
から指定したサービスと namespace に IP アドレスを割り当てることができます。
サービスまたは namespace を複数の IP アドレスプールに割り当てる場合、MetalLB は優先度の高い IP アドレスプールから使用可能な IP アドレスを使用します。割り当てられた優先度の高い IP アドレスプールから使用可能な IP アドレスがない場合、MetalLB は、優先度の低い、または優先度のない IP アドレスプールから使用可能な IP アドレスを使用します。
namespaceSelectors
と serviceSelectors
の仕様には、matchLabels
ラベルセレクター、matchExpressions
ラベルセレクター、またはその両方を使用できます。この例は、仕様ごとに 1 つのラベルセレクターを示しています。
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: doc-example-service-allocation namespace: metallb-system spec: addresses: - 192.168.20.0/24 serviceAllocation: priority: 50 1 namespaces: 2 - namespace-a - namespace-b namespaceSelectors: 3 - matchLabels: zone: east serviceSelectors: 4 - matchExpressions: - key: security operator: In values: - S1
32.4.5. 次のステップ
32.5. IP アドレスプールのアドバタイズメントについて
IP アドレスがレイヤー 2 プロトコル、BGP プロトコル、またはその両方でアドバタイズされるように MetalLB を設定できます。レイヤー 2 では、MetalLB ではフォールトトレラントな外部 IP アドレスを使用できます。BGP を使用すると、MetalLB で外部 IP アドレスに対するフォールトトレランス機能および負荷分散が提供されます。
MetalLB は、同じ IP アドレスのセットに対して L2 と BGP を使用したアドバタイズをサポートします。
MetalLB は、ネットワーク上のノードのサブセットに対して、特定の BGP ピアにアドレスプールを効果的に割り当てる柔軟性を提供します。これにより、たとえばノードの分離やネットワークのセグメンテーションを容易にするなど、より複雑な設定が可能になります。
32.5.1. BGPAdvertisement カスタムリソースについて
BGPAdvertisements
オブジェクトのフィールドは、次の表に定義されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| BGP アドバタイズメントの名前を指定します。 |
|
| BGP アドバタイズメントの namespace を指定します。MetalLB Operator が使用するものと同じ namespace を指定します。 |
|
|
オプション: 32 ビット CIDR マスクに含めるビット数を指定します。マスクが複数のサービス IP アドレスのルートに適用され、speaker は集約されたルートをアドバタイズし、speaker が BGP ピアにアドバタイズするルートを集約します。たとえば、集約の長さが |
|
|
オプション: 128 ビット CIDR マスクに含めるビット数を指定します。たとえば、集約の長さが |
|
| オプション: 1 つ以上の BGP コミュニティーを指定します。各コミュニティーは、16 ビット値 2 つをコロン文字で区切って指定します。一般的なコミュニティーは、16 ビット値として指定する必要があります。
|
|
| オプション: このアドバタイズメントのローカル設定を指定します。この BGP 属性は、Autonomous System 内の BGP セッションに適用されます。 |
|
|
オプション: 名前で選択された、このアドバタイズメントでアドバタイズする |
|
|
オプション: このアドバタイズメントでアドバタイズされる |
|
|
オプション: |
|
| オプション: ピアは、選択したプールの IP をアドバタイズする BGP ピアを制限します。空の場合、ロードバランサー IP は設定されているすべての BGP ピアにアナウンスされます。 |
32.5.2. BGP アドバタイズメントと基本的なユースケースを使用する MetalLB の設定
MetalLB を次のとおり設定し、ピア BGP ルーターが、MetalLB がサービスに割り当てるロードバランサー IP アドレスごとに、203.0.113.200/32
ルート 1 つ、fc00:f853:ccd:e799::1/128
ルート 1 つを受信するようにします。localPref
および communities
フィールドが指定されていないため、ルートは localPref
をゼロに設定して BGP コミュニティーなしでアドバタイズされます。
32.5.2.1. 例: BGP を使用する基本的なアドレスプール設定のアドバタイズメント
IPAddressPool
が BGP プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-bgp-basic spec: addresses: - 203.0.113.200/30 - fc00:f853:ccd:e799::/124
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
BGP アドバタイズメントを作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-basic namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - doc-example-bgp-basic
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement.yaml
32.5.3. BGP アドバタイズメントと高度なユースケースを使用する MetalLB の設定
MetalLB を次のように設定し、MetalLB が 203.0.113.200
と 203.0.113.203
、fc00:f853:ccd:e799::0
と fc00:f853:ccd:e799::f
の範囲の IP アドレスを割り当てるようにします。
MetalLB が 203.0.113.200
の IP アドレスをサービスに割り当てる例を見ていき、これら 2 つの BGP アドバタイズメントを説明します。この IP アドレスを例にとると、speaker は 2 つのルートを BGP ピアにアドバタイズします。
-
localPref
が100
に、コミュニティーがNO_ADVERTISE
コミュニティーの数値に設定されている203.0.113.200/32
。この仕様は、ピアルーターにこのルートを使用できることを指定していますが、このルートに関する情報を BGP ピアに伝播しないようにします。 -
MetalLB で割り当てられたロードバランサーの IP アドレスを 1 つのルートに集約する
203.0.113.200/30
。MetalLB は、コミュニティー属性が8000:800
に設定された BGP ピアに集約ルートをアドバタイズします。BGP ピアは、203.0.113.200/30
ルートを他の BGP ピアに伝播します。トラフィックが speaker のあるノードにルーティングされる場合には、203.0.113.200/32
ルートを使用して、トラフィックがクラスターに転送され、サービスに関連付けられている Pod に転送されます。
さらにサービスを追加し、MetalLB でプールからより多くのロードバランサー IP アドレスを割り当てると、ピアルーターはサービスごとにローカルルート 203.0.113.20x/32
を 1 つと、203.0.113.200/30
集約ルートを受け取ります。追加する各サービスは/30
ルートを生成しますが、MetalLB は、ピアルーターと通信する前に、ルートの重複を排除して 1 つの BGP アドバタイズにします。
32.5.3.1. 例: BGP を使用する高度なアドレスプール設定のアドバタイズメント
IPAddressPool
が BGP プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-bgp-adv labels: zone: east spec: addresses: - 203.0.113.200/30 - fc00:f853:ccd:e799::/124 autoAssign: false
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
BGP アドバタイズメントを作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-adv-1 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - doc-example-bgp-adv communities: - 65535:65282 aggregationLength: 32 localPref: 100
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement1.yaml
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-adv-2 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - doc-example-bgp-adv communities: - 8000:800 aggregationLength: 30 aggregationLengthV6: 124
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement2.yaml
32.5.4. ノードのサブセットからの IP アドレスプールのアドバタイズ
特定のノードセットのみから IP アドレスプールから IP アドレスをアドバタイズするには、BGPAdvertisement カスタムリソースで .spec.nodeSelector
仕様を使用します。この仕様は、IP アドレスのプールをクラスター内の一連のノードに関連付けます。これは、クラスター内の異なるサブネット上にノードがあり、特定のサブネット (パブリックに面したサブネットのみなど) のアドレスプールから IP アドレスをアドバタイズしたい場合に役立ちます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
カスタムリソースを使用して IP アドレスプールを作成します。
apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: pool1 spec: addresses: - 4.4.4.100-4.4.4.200 - 2001:100:4::200-2001:100:4::400
BGPAdvertisement カスタムリソースで
.spec.nodeSelector
値を定義することにより、pool1
からの IP アドレスがアドバタイズするクラスター内のノードを制御します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: example spec: ipAddressPools: - pool1 nodeSelector: - matchLabels: kubernetes.io/hostname: NodeA - matchLabels: kubernetes.io/hostname: NodeB
この例では、pool1 の IP アドレスは NodeA
と NodeB
からの み
アドバタイズします。
32.5.5. L2Advertisement カスタムリソースについて
l2Advertisements
オブジェクトのフィールドは、次の表に定義されています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| L2 アドバタイズメントの名前を指定します。 |
|
| L2 アドバタイズメントの namespace を指定します。MetalLB Operator が使用するものと同じ namespace を指定します。 |
|
|
オプション: 名前で選択された、このアドバタイズメントでアドバタイズする |
|
|
オプション: このアドバタイズメントでアドバタイズされる |
|
|
オプション: 重要 ネクストホップとしてアナウンスするノードの制限は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。 Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。 |
|
|
オプション: ロードバランサー IP をアナウンスするために使用される |
32.5.6. L2 アドバタイズメントを使用した MetalLB の設定
IPAddressPool
が L2 プロトコルでアドバタイズされるように、MetalLB を次のように設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-l2 spec: addresses: - 4.4.4.0/24 autoAssign: false
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
L2 アドバタイズメントを作成します。
以下の例のような内容で、
l2advertisement.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: L2Advertisement metadata: name: l2advertisement namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - doc-example-l2
設定を適用します。
$ oc apply -f l2advertisement.yaml
32.5.7. L2 アドバタイズメントとラベルを使用した MetalLB の設定
BGPAdvertisement
および L2Advertisement
カスタムリソース定義の ipAddressPoolSelectors
フィールドは、名前自体ではなく、IPAddressPool
に割り当てられたラベルに基づいて IPAddressPool
をアドバタイズメントに関連付けるために使用されます。
この例は、ipAddressPoolSelectors
フィールドを設定することにより、IPAddressPool
が L2 プロトコルでアドバタイズされるように MetalLB を設定する方法を示しています。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-l2-label labels: zone: east spec: addresses: - 172.31.249.87/32
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
ipAddressPoolSelectors
を使用して IP をアドバタイズする L2 アドバタイズメントを作成します。以下の例のような内容で、
l2advertisement.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: L2Advertisement metadata: name: l2advertisement-label namespace: metallb-system spec: ipAddressPoolSelectors: - matchExpressions: - key: zone operator: In values: - east
設定を適用します。
$ oc apply -f l2advertisement.yaml
32.5.8. 選択したインターフェイスの L2 アドバタイズを使用した MetalLB の設定
デフォルトでは、サービスに割り当てられた IP アドレスプールの IP アドレスが、すべてのネットワークインターフェイスからアドバタイズされます。L2Advertisement
カスタムリソース定義の interfaces
フィールドは、IP アドレスプールをアドバタイズするネットワークインターフェイスを制限するために使用されます。
この例では、すべてのノードの interfaces
フィールドにリストされているネットワークインターフェイスからのみ IP アドレスプールがアドバタイズされるように、MetalLB を設定する方法を示します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成し、次の例のように設定の詳細を入力します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-l2 spec: addresses: - 4.4.4.0/24 autoAssign: false
次の例のように、IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
interfaces
セレクターを使用して IP をアドバタイズする L2 アドバタイズメントを作成します。l2advertisement.yaml
などの YAML ファイルを作成し、次の例のように設定の詳細を入力します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: L2Advertisement metadata: name: l2advertisement namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - doc-example-l2 interfaces: - interfaceA - interfaceB
次の例のように、広告の設定を適用します。
$ oc apply -f l2advertisement.yaml
インターフェイスセレクターは、MetalLB が L2 を使用して特定の IP をアナウンスするノードを選択する方法には影響しません。ノードが選択されたインターフェイスを持たない場合、選択されたノードはサービスをアナウンスしません。
32.5.9. セカンダリーネットワークを使用した MetalLB の設定
OpenShift Container Platform 4.14 以降、デフォルトのネットワーク動作では、ネットワークインターフェイス間での IP パケットの転送は許可されません。したがって、MetalLB がセカンダリーインターフェイス上に設定されている場合は、必要なインターフェイスに対してのみ IP 転送を有効にするマシン設定を追加する必要があります。
4.13 からアップグレードされた OpenShift Container Platform クラスターは、アップグレード中にグローバル IP 転送を有効にするグローバルパラメーターが設定されるため、影響を受けません。
セカンダリーインターフェイスの IP 転送を有効にするには、次の 2 つのオプションがあります。
- すべてのインターフェイスで IP 転送を有効にします。
特定のインターフェイスの IP 転送を有効にします。
注記特定のインターフェイスに対して IP 転送を有効にすると、よりきめ細かい制御が可能になりますが、すべてのインターフェイスに対して有効にすると、グローバル設定が適用されます。
手順
MachineConfig
CR を作成して適用することで、bridge-net
などの特定のセカンダリーインターフェイスの転送を有効にします。-
Bridge-net
という名前の指定されたセカンダリーインターフェイスの IP 転送を有効にするには、MachineConfig
CR を作成します。 以下の YAML を
enable-ip-forward.yaml
ファイルに保存します。apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1 kind: MachineConfig metadata: labels: machineconfiguration.openshift.io/role: <node_role> 1 name: 81-enable-global-forwarding spec: config: ignition: version: 3.2.0 storage: files: - contents: source: data:text/plain;charset=utf-8;base64,`echo -e "net.ipv4.conf.bridge-net.forwarding = 1\nnet.ipv6.conf.bridge-net.forwarding = 1\nnet.ipv4.conf.bridge-net.rp_filter = 0\nnet.ipv6.conf.bridge-net.rp_filter = 0" | base64 -w0` verification: {} filesystem: root mode: 644 path: /etc/sysctl.d/enable-global-forwarding.conf osImageURL: ""
- 1
- IP 転送を有効にするノードロール (
worker
など)
以下のコマンドを実行して設定を適用します。
$ oc apply -f enable-ip-forward.yaml
-
または、次のコマンドを実行して、IP 転送をグローバルに有効にすることもできます。
$ oc patch network.operator cluster -p '{"spec":{"defaultNetwork":{"ovnKubernetesConfig":{"gatewayConfig":{"ipForwarding": "Global"}}}}}
32.5.10. 関連情報
32.6. MetalLB BGP ピアの設定
クラスター管理者は、ボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) ピアを追加、変更、および削除できます。MetalLB Operator は、BGP ピアカスタムリソースを使用して、MetalLB speaker
Pod が BGP セッションを開始するために接続するピアを識別します。ピアは、MetalLB がサービスに割り当てるロードバランサー IP アドレスのルートアドバタイズメントを受信します。
32.6.1. BGP ピアカスタムリソースについて
次の表で、BGP ピアカスタムリソースのフィールドを説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| BGP ピアカスタムリソースの名前を指定します。 |
|
| BGP ピアカスタムリソースの namespace を指定します。 |
|
|
BGP セッションのローカルエンドの Autonomous System 番号を指定します。追加するすべての BGP ピアカスタムリソースに同じ値を指定します。範囲は |
|
|
BGP セッションのリモートエンドの Autonomous System 番号を指定します。範囲は |
|
| BGP セッションを確立するために接続するピアの IP アドレスを指定します。 |
|
| オプション: BGP セッションの確立時に使用する IP アドレスを指定します。値は IPv4 アドレスである必要があります。 |
|
|
オプション: BGP セッションを確立するために接続するピアのネットワークポートを指定します。範囲は |
|
|
オプション: BGP ピアに提案するホールドタイムの期間を指定します。最小値は 3 秒 ( |
|
|
オプション: キープアライブメッセージを BGP ピアに送信する間の最大間隔を指定します。このフィールドを指定する場合は、 |
|
| オプション: BGP ピアにアドバタイズするルーター ID を指定します。このフィールドを指定する場合は、追加するすべての BGP ピアカスタムリソースに同じ値を指定する必要があります。 |
|
| オプション: TCP MD5 認証が済んだ BGP セッションを実施するルーターのピアに送信する MD5 パスワードを指定します。 |
|
|
オプション: BGP ピアの認証シークレットの名前を指定します。シークレットは |
|
| オプション: BFD プロファイルの名前を指定します。 |
|
| オプション: 一致式と一致ラベルを使用してセレクターを指定し、BGP ピアに接続できるノードを制御します。 |
|
|
オプション: BGP ピアがネットワークホップ数回分を離れるように指定します。BGP ピアが同じネットワークに直接接続されていない場合には、このフィールドが |
passwordSecret
フィールドは、password
フィールドと相互に排他的であり、使用するパスワードを含むシークレットへの参照が含まれています。両方のフィールドを設定すると、解析が失敗します。
32.6.2. BGP ピアの設定
クラスター管理者は、BGP ピアカスタムリソースを追加して、ネットワークルーターとルーティング情報を交換し、サービスの IP アドレスをアドバタイズできます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - BGP アドバタイズメントを使用して MetalLB を設定します。
手順
以下の例のような内容で、
bgppeer.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-peer spec: peerAddress: 10.0.0.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer.yaml
32.6.3. 指定されたアドレスプールに対して特定の BGP ピアセットを設定
これは、以下を実行するための手順です。
-
アドレスプールのセット (
pool1
およびpool2
) を設定します。 -
BGP ピアセット (
peer1
およびpeer2
) を設定します。 -
pool1
をpeer1
に、pool2
をpeer2
に割り当てるように BGP アドバタイズメントを設定します。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
アドレスプール
pool1
を作成します。以下の例のような内容で、
ipaddresspool1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: pool1 spec: addresses: - 4.4.4.100-4.4.4.200 - 2001:100:4::200-2001:100:4::400
IP アドレスプール
pool1
の設定を適用します。$ oc apply -f ipaddresspool1.yaml
アドレスプール
pool2
を作成します。以下の例のような内容で、
ipaddresspool2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: pool2 spec: addresses: - 5.5.5.100-5.5.5.200 - 2001:100:5::200-2001:100:5::400
IP アドレスプール
pool2
の設定を適用します。$ oc apply -f ipaddresspool2.yaml
BGP
peer1
を作成します。以下の例のような内容で、
bgppeer1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: peer1 spec: peerAddress: 10.0.0.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer1.yaml
BGP
peer2
を作成します。以下の例のような内容で、
bgppeer2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: peer2 spec: peerAddress: 10.0.0.2 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP peer2 の設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer2.yaml
BGP advertisement 1 を作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement1.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-1 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - pool1 peers: - peer1 communities: - 65535:65282 aggregationLength: 32 aggregationLengthV6: 128 localPref: 100
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement1.yaml
BGP advertisement 2 を作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement2.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgpadvertisement-2 namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - pool2 peers: - peer2 communities: - 65535:65282 aggregationLength: 32 aggregationLengthV6: 128 localPref: 100
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement2.yaml
32.6.4. ネットワーク VRF を介したサービスの公開
ネットワークインターフェイス上の VRF を BGP ピアに関連付けることで、Virtual Routing and Forwarding (VRF) インスタンスを介してサービスを公開できます。
BGP ピア上の VRF を介したサービスの公開は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
ネットワークインターフェイス上で VRF を使用して BGP ピア経由でサービスを公開すると、サービスへのトラフィックを分離し、独立したルーティング決定を設定し、ネットワークインターフェイス上でマルチテナントのサポートを有効化できます。
ネットワーク VRF に属するインターフェイスを通じて BGP セッションを確立すると、MetalLB はそのインターフェイスを通じてサービスをアドバタイズし、外部トラフィックがこのインターフェイスを通じてサービスに到達させることができます。ただし、ネットワーク VRF ルーティングテーブルは、OVN-Kubernetes で使用されるデフォルトの VRF ルーティングテーブルとは異なります。したがって、トラフィックは OVN-Kubernetes ネットワークインフラストラクチャーに到達できません。
サービスに送信されたトラフィックが OVN-Kubernetes ネットワークインフラストラクチャーに到達できるようにするには、ルーティングルールを設定してネットワークトラフィックのネクストホップを定義する必要があります。詳細は、関連情報 セクションの 「MetalLB を使用した対称ルーティングの管理」の NodeNetworkConfigurationPolicy
リソースを参照してください。
BGP ピアを使用してネットワーク VRF を介してサービスを公開するための概要手順は次のとおりです。
- BGP ピアを定義し、ネットワーク VRF インスタンスを追加します。
- MetalLB の IP アドレスプールを指定します。
- MetalLB の BGP ルートアドバタイズメントを設定して、指定された IP アドレスプールと VRF インスタンスに関連付けられた BGP ピアを使用してルートをアドバタイズします。
- サービスをデプロイして設定をテストします。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 -
NodeNetworkConfigurationPolicy
を定義して、Virtual Routing and Forwarding (VRF) インスタンスをネットワークインターフェイスに関連付けた。この前提条件を満たす方法の詳細は、関連情報 セクションを参照してください。 - MetalLB をクラスターにインストールした。
手順
BGPPeer
カスタムリソース (CR) を作成します。次の例のような内容を含むファイル
(frrviavrf.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: frrviavrf namespace: metallb-system spec: myASN: 100 peerASN: 200 peerAddress: 192.168.130.1 vrf: ens4vrf 1
- 1
- BGP ピアに関連付けるネットワーク VRF インスタンスを指定します。MetalLB は、サービスをアドバタイズし、VRF 内のルーティング情報に基づいてルーティングを決定できます。
注記このネットワーク VRF インスタンスは
NodeNetworkConfigurationPolicy
CR で設定する必要があります。詳細は、関連情報 を参照してください。次のコマンドを実行して、BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f frrviavrf.yaml
IPAddressPool
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
first-pool.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: first-pool namespace: metallb-system spec: addresses: - 192.169.10.0/32
次のコマンドを実行して、IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f first-pool.yaml
BGPAdvertisement
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
first-adv.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: first-adv namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - first-pool peers: - frrviavrf 1
- 1
- この例では、MetalLB は、
first-pool
の IP アドレスプールからfrrviavrf
BGP ピアに IP アドレスの範囲をアドバタイズします。
次のコマンドを実行して、BGP アドバタイズメントの設定を適用します。
$ oc apply -f first-adv.yaml
Namespace
、Deployment
、およびService
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
deploy-service.yaml
など) を作成します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: test --- apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: server namespace: test spec: selector: matchLabels: app: server template: metadata: labels: app: server spec: containers: - name: server image: registry.redhat.io/ubi9/ubi ports: - name: http containerPort: 30100 command: ["/bin/sh", "-c"] args: ["sleep INF"] --- apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: server1 namespace: test spec: ports: - name: http port: 30100 protocol: TCP targetPort: 30100 selector: app: server type: LoadBalancer
次のコマンドを実行して、namespace、デプロイメント、およびサービスの設定を適用します。
$ oc apply -f deploy-service.yaml
検証
次のコマンドを実行して、MetalLB スピーカー Pod を識別します。
$ oc get -n metallb-system pods -l component=speaker
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE speaker-c6c5f 6/6 Running 0 69m
次のコマンドを実行して、BGP セッションの状態がスピーカー Pod で
Established
となっていることを確認します。設定に一致するように変数を置き換えます。$ oc exec -n metallb-system <speaker_pod> -c frr -- vtysh -c "show bgp vrf <vrf_name> neigh"
出力例
BGP neighbor is 192.168.30.1, remote AS 200, local AS 100, external link BGP version 4, remote router ID 192.168.30.1, local router ID 192.168.30.71 BGP state = Established, up for 04:20:09 ...
次のコマンドを実行して、サービスが正しくアドバタイズされていることを確認します。
$ oc exec -n metallb-system <speaker_pod> -c frr -- vtysh -c "show bgp vrf <vrf_name> ipv4"
32.6.5. BGP ピア設定の例
32.6.5.1. 例: BGP ピアに接続するノードの制限
ノードセレクターフィールドを指定して、BGP ピアに接続できるノードを制御できます。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-nodesel namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 nodeSelectors: - matchExpressions: - key: kubernetes.io/hostname operator: In values: [compute-1.example.com, compute-2.example.com]
32.6.5.2. 例: BGP ピアの BFD プロファイル指定
BGP ピアに関連付ける BFD プロファイルを指定できます。BFD は、BGP のみの場合よりも、ピア間の通信障害をより迅速に検出して、BGP を補完します。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-peer-bfd namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 holdTime: "10s" bfdProfile: doc-example-bfd-profile-full
双方向転送検出 (BFD) プロファイルを削除し、ボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) ピアリソースに追加された bfdProfile
を削除しても、BFD は無効になりません。代わりに、BGP ピアはデフォルトの BFD プロファイルの使用を開始します。BGP ピアリソースから BFD をディセーブルにするには、BGP ピア設定を削除し、BFD プロファイルなしで再作成します。詳細は、BZ#2050824 を参照してください。
32.6.5.3. 例: デュアルスタックネットワーク用の BGP ピア指定
デュアルスタックネットワーキングをサポートするには、IPv4 用に BGP ピアカスタムリソース 1 つと IPv6 用に BGP ピアカスタムリソースを 1 つ追加します。
apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-dual-stack-ipv4 namespace: metallb-system spec: peerAddress: 10.0.20.1 peerASN: 64500 myASN: 64500 --- apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: doc-example-dual-stack-ipv6 namespace: metallb-system spec: peerAddress: 2620:52:0:88::104 peerASN: 64500 myASN: 64500
32.6.6. 次のステップ
32.7. コミュニティーエイリアスの設定
クラスター管理者は、コミュニティーエイリアスを設定して、さまざまなアドバタイズメントで使用できます。
32.7.1. コミュニティーカスタムリソースについて
community
カスタムリソースは、コミュニティーのエイリアスのコレクションです。ユーザーは、BGPAdvertisement
を使用して ipAddressPools
をアドバタイズするときに使用される名前付きエイリアスを定義できます。次の表で、community
カスタムリソースのフィールドを説明します。
community
CRD は BGPAdvertisement にのみ適用されます。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
BGPAdvertisements で使用できる BGP コミュニティーエイリアスのリストを指定します。コミュニティーエイリアスは、名前 (エイリアス) と値 (番号 : 番号) のペアで構成されます。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
|
|
|
指定された名前に対応する BGP |
32.7.2. BGP アドバタイズメントとコミュニティーエイリアスを使用した MetalLB の設定
MetalLB を次のように設定し、IPAddressPool
が BGP プロトコルでアドバタイズされ、コミュニティーエイリアスが NO_ADVERTISE コミュニティーの数値に設定されるようにします。
次の例では、ピア BGP ルーター doc-example-peer-community
は、MetalLB がサービスに割り当てるロードバランサー IP アドレスごとに 1 つの 203.0.113.200/32
ルートと 1 つの fc00:f853:ccd:e799::1/128
ルートを受信します。コミュニティーエイリアスは、NO_ADVERTISE
コミュニティーで設定されます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
IP アドレスプールを作成します。
以下の例のような内容で、
ipaddresspool.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-bgp-community spec: addresses: - 203.0.113.200/30 - fc00:f853:ccd:e799::/124
IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f ipaddresspool.yaml
community1
という名前のコミュニティーエイリアスを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: Community metadata: name: community1 namespace: metallb-system spec: communities: - name: NO_ADVERTISE value: '65535:65282'
doc-example-bgp-peer
という名前の BGP ピアを作成します。以下の例のような内容で、
bgppeer.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: namespace: metallb-system name: doc-example-bgp-peer spec: peerAddress: 10.0.0.1 peerASN: 64501 myASN: 64500 routerID: 10.10.10.10
BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f bgppeer.yaml
コミュニティーエイリアスを使用して BGP アドバタイズメントを作成します。
以下の例のような内容で、
bgpadvertisement.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: bgp-community-sample namespace: metallb-system spec: aggregationLength: 32 aggregationLengthV6: 128 communities: - NO_ADVERTISE 1 ipAddressPools: - doc-example-bgp-community peers: - doc-example-peer
- 1
- ここでは、コミュニティーのカスタムリソース (CR) 名ではなく、
CommunityAlias.name
を指定します。
設定を適用します。
$ oc apply -f bgpadvertisement.yaml
32.8. MetalLB BFD プロファイルの設定
クラスター管理者は、双方向フォワーディング検出 (BFD) プロファイルを追加、変更、および削除できます。MetalLB Operator は、BFD プロファイルのカスタムリソースを使用して、BFD を使用する BGP セッションで、BGP だけの時よりも障害検出のパスを素早く見つけ出すセッションを特定します。
32.8.1. BFD プロファイルカスタムリソースについて
次の表で、BFD プロファイルのカスタムリソースのフィールドを説明します。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| BFD プロファイルカスタムリソースの名前を指定します。 |
|
| BFD プロファイルカスタムリソースの namespace を指定します。 |
|
| パケット損失を決定するための検出乗数を指定します。リモート送信間隔にこの値を乗算して、接続損失検出タイマーを決定します。
たとえば、ローカルシステムの検出乗数が
範囲は |
|
|
エコー送信モードを指定します。分散 BFD を使用していないと、エコー送信モードは、ピアが FRR でもある場合にのみ機能します。デフォルト値は
エコー送信モードが有効になっている場合は、制御パケットの送信間隔を増やして、帯域幅の使用量を減らすことを検討してください。たとえば、送信間隔を |
|
|
このシステムがエコーパケットの送受信に使用する最小送信間隔 (ジッターの軽減) を指定します。範囲は |
|
| 着信制御パケットに最小限必要な TTL を指定します。このフィールドは、マルチホップセッションにのみ適用されます。 最小 TTL を設定する目的は、パケット検証要件をより厳しくし、他のセッションからの制御パケットの受信を回避することです。
デフォルト値は |
|
| セッションをアクティブまたはパッシブとしてマークするかどうかを指定します。パッシブセッションは接続の開始を試行しません。代わりに、パッシブセッションは、応答の開始前にピアからの制御パケットを待機します。 セッションをパッシブとしてマークすることは、スターネットワークの中央ノードとして機能するルーターがあり、システムが送信する必要のない制御パケットの送信を避ける場合に役立ちます。
デフォルト値は |
|
|
このシステムが制御パケットを受信できる最小間隔を指定します。範囲は |
|
|
このシステムが制御パケットの送信に使用する最小送信間隔 (ジッターの軽減) を指定します。範囲は |
32.8.2. BFD プロファイルの設定
クラスター管理者は、BFD プロファイルを追加し、そのプロファイルを使用するように BGP ピアを設定できます。BFD は、BGP のみよりも、パスの障害検出が高速になります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
次の例のようなコンテンツを含む
bfdprofile.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BFDProfile metadata: name: doc-example-bfd-profile-full namespace: metallb-system spec: receiveInterval: 300 transmitInterval: 300 detectMultiplier: 3 echoMode: false passiveMode: true minimumTtl: 254
BFD プロファイルの設定を適用します。
$ oc apply -f bfdprofile.yaml
32.8.3. 次のステップ
- BFD プロファイルを使用するようにBGP ピアを設定します。
32.9. MetalLB を使用するためのサービスの設定
クラスター管理者は、タイプ LoadBalancer
のサービスを追加するときに、MetalLB が IP アドレスを割り当てる方法を制御できます。
32.9.1. 特定の IP アドレスの要求
他のロードバランサーの実装と同様に、MetalLB はサービス仕様の spec.loadBalancerIP
フィールドを受け入れます。
要求された IP アドレスが任意のアドレスプールの範囲内にある場合、MetalLB は要求された IP アドレスを割り当てます。要求された IP アドレスが範囲外の場合、MetalLB は警告を報告します。
特定の IP アドレスのサービス YAML の例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: <service_name> annotations: metallb.universe.tf/address-pool: <address_pool_name> spec: selector: <label_key>: <label_value> ports: - port: 8080 targetPort: 8080 protocol: TCP type: LoadBalancer loadBalancerIP: <ip_address>
MetalLB が要求された IP アドレスを割り当てることができない場合、サービスの EXTERNAL-IP
が <pending>
を報告し、oc describe service <service_name>
の実行には、以下の例のようなイベントが含まれます。
MetalLB が要求された IP アドレスを割り当てることができない場合のイベントの例
... Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Warning AllocationFailed 3m16s metallb-controller Failed to allocate IP for "default/invalid-request": "4.3.2.1" is not allowed in config
32.9.2. 特定のプールからの IP アドレスの要求
特定の範囲から IP アドレスを割り当てても、特定の IP アドレスを気にしない場合は、metallb.universe.tf/address-pool
アノテーションを使用して、指定したアドレスプールから IP アドレスを要求できます。
特定プールからの IP アドレスのサービス YAML の例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: <service_name> annotations: metallb.universe.tf/address-pool: <address_pool_name> spec: selector: <label_key>: <label_value> ports: - port: 8080 targetPort: 8080 protocol: TCP type: LoadBalancer
<address_pool_name>
に指定するアドレスプールが存在しない場合、MetalLB は、自動割り当てを許可する任意のプールから IP アドレスを割り当てようとします。
32.9.3. 任意の IP アドレスを許可します。
デフォルトでは、アドレスプールは自動割り当てを許可するように設定されます。MetalLB は、これらのアドレスプールから IP アドレスを割り当てます。
自動割り当て用に設定されたプールから IP アドレスを受け入れるには、特別なアノテーションや設定は必要ありません。
任意の IP アドレスを受け入れるサービス YAML の例
apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: <service_name> spec: selector: <label_key>: <label_value> ports: - port: 8080 targetPort: 8080 protocol: TCP type: LoadBalancer
32.9.5. MetalLB を使用したサービスの設定
アドレスプールから外部 IP アドレスを使用するように、負荷分散サービスを設定することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 - MetalLB Operator をインストールして、MetalLB を起動します。
- 1 つ以上のアドレスプールを設定します。
- トラフィックをクライアントからクラスターのホストネットワークにルーティングするようにネットワークを設定します。
手順
<service_name>.yaml
ファイルを作成します。このファイルで、spec.type
フィールドがLoadBalancer
に設定されていることを確認します。MetalLB がサービスに割り当てる外部 IP アドレスを要求する方法は、例を参照してください。
サービスを作成します。
$ oc apply -f <service_name>.yaml
出力例
service/<service_name> created
検証
サービスを記述します。
$ oc describe service <service_name>
出力例
Name: <service_name> Namespace: default Labels: <none> Annotations: metallb.universe.tf/address-pool: doc-example 1 Selector: app=service_name Type: LoadBalancer 2 IP Family Policy: SingleStack IP Families: IPv4 IP: 10.105.237.254 IPs: 10.105.237.254 LoadBalancer Ingress: 192.168.100.5 3 Port: <unset> 80/TCP TargetPort: 8080/TCP NodePort: <unset> 30550/TCP Endpoints: 10.244.0.50:8080 Session Affinity: None External Traffic Policy: Cluster Events: 4 Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal nodeAssigned 32m (x2 over 32m) metallb-speaker announcing from node "<node_name>"
32.10. MetalLB を使用した対称ルーティングの管理
クラスター管理者は、MetalLB、NMState、OVN-Kubernetes の機能を実装することで、複数のホストインターフェイスを備えた MetalLB ロードバランサーサービスの背後にある Pod のトラフィックを効果的に管理できます。このコンテキストでこれらの機能を組み合わせることで、対称ルーティング、トラフィック分離を提供し、重複する CIDR アドレスを持つ異なるネットワーク上のクライアントをサポートできます。
この機能を実現するために、MetalLB を使用して Virtual Routing and Forwarding (VRF) インスタンスを実装し、Egress サービスを設定する方法を説明します。
MetalLB と出力サービスを備えた VRF インスタンスを使用した対称トラフィックの設定は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
32.10.1. MetalLB を使用した対称ルーティング管理の課題
複数のホストインターフェイスで MetalLB を使用すると、MetalLB はホスト上で使用可能なすべてのインターフェイスを通じてサービスを公開し、通知します。これにより、ネットワークの分離、非対称リターントラフィック、CIDR アドレスの重複に関する課題が生じる可能性があります。
戻りトラフィックが正しいクライアントに確実に到達するための 1 つのオプションとして、静的ルートを使用します。ただし、このソリューションでは、MetalLB がサービスを分離して、別のインターフェイスを通じて各サービスを通知できません。さらに、静的ルーティングには手動設定が必要であり、リモートサイトが追加された場合はメンテナンスが必要になります。
外部システムで、アプリケーションの送信元と宛先の IP アドレスが同じである必要があるシナリオなどが、MetalLB サービスの実装時における対称ルーティングのさらなる課題として挙げられます。OpenShift Container Platform のデフォルトの動作では、ホストネットワークインターフェイスの IP アドレスが、Pod から発信されるトラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てられます。これは、複数のホストインターフェイスがある場合に問題になります。
MetalLB、NMState、OVN-Kubernetes の機能を組み合わせた設定を実装することで、これらの課題を克服できます。
32.10.2. MetalLB で VRF を使用した対称ルーティング管理の概要
NMState を使用してホスト上で VRF インスタンスを設定し、VRF インスタンスを MetalLB BGPPeer
リソースに関連付け、OVN-Kubernetes を使用して出力トラフィック用の出力サービスを設定することで、対称ルーティングの実装の課題を克服できます。
図32.2 MetalLB で VRF を使用して対称ルーティングを管理するネットワークの概要
設定プロセスには 3 つの段階が含まれます。
1.VRF とルーティングルールを定義する
-
NodeNetworkConfigurationPolicy
カスタムリソース (CR) を設定して、VRF インスタンスをネットワークインターフェイスに関連付けます。 - VRF ルーティングテーブルを使用して、受信トラフィックと送信トラフィックを送信します。
2. VRF を MetalLB BGPPeer
にリンクする
-
ネットワークインターフェイス上で VRF インスタンスを使用するように MetalLB
BGPPeer
リソースを設定します。 -
BGPPeer
リソースを VRF インスタンスに関連付けることにより、指定されたネットワークインターフェイスが BGP セッションのプライマリーインターフェイスになり、MetalLB はこのインターフェイスを通じてサービスをアドバタイズします。
3.Egress サービスを設定する
- Egress サービスを設定して、Egress トラフィック用の VRF インスタンスに関連付けられたネットワークを選択します。
- オプション: MetalLB ロードバランサーサービスの IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP として使用するように Egress サービスを設定します。
32.10.3. MetalLB で VRF を使用した対称ルーティングの設定
同じ入力ネットワークパスと Egress ネットワークパスを必要とする MetalLB サービスの背後にあるアプリケーションに対して対称ネットワークルーティングを設定できます。
この例では、VRF ルーティングテーブルを MetalLB および出力サービスに関連付けて、LoadBalancer
サービスの背後にある Pod の Ingress および Egress トラフィックの対称ルーティングを有効にします。
-
EgressService
CR でsourceIPBy: "LoadBalancerIP"
設定を使用する場合は、BGPAdvertisement
カスタムリソース (CR) でロードバランサーノードを指定する必要があります。 -
sourceIPBy: "Network"
設定は、gatewayConfig.routingViaHost
仕様がtrue
に設定された OVN-Kubernetes を使用するクラスターでのみ使用できます。さらに、sourceIPBy: "Network"
設定を使用する場合は、ネットワーク VRF インスタンスで設定されたノード上でアプリケーションワークロードをスケジュールする必要があります。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。 - Kubernetes NMState Operator をインストールします。
- MetalLB Operator がインストールされている。
手順
NodeNetworkConfigurationPolicy
CR を作成して VRF インスタンスを定義します。次の例のような内容を含むファイル (
node-network-vrf.yaml
など) を作成します。apiVersion: nmstate.io/v1 kind: NodeNetworkConfigurationPolicy metadata: name: vrfpolicy 1 spec: nodeSelector: vrf: "true" 2 maxUnavailable: 3 desiredState: interfaces: - name: ens4vrf 3 type: vrf 4 state: up vrf: port: - ens4 5 route-table-id: 2 6 - name: ens4 7 type: ethernet state: up ipv4: address: - ip: 192.168.130.130 prefix-length: 24 dhcp: false enabled: true routes: 8 config: - destination: 0.0.0.0/0 metric: 150 next-hop-address: 192.168.130.1 next-hop-interface: ens4 table-id: 2 route-rules: 9 config: - ip-to: 172.30.0.0/16 priority: 998 route-table: 254 10 - ip-to: 10.132.0.0/14 priority: 998 route-table: 254
- 1
- ポリシーの名前。
- 2
- この例では、
vrf:true
のラベルが割り当てられたべてのノードにポリシーを適用します。 - 3
- インターフェイスの名前。
- 4
- インターフェイスのタイプ。この例では VRF インスタンスを作成します。
- 5
- VRF が接続されるノードインターフェイス。
- 6
- VRF のルートテーブル ID の名前。
- 7
- VRF に関連付けられたインターフェイスの IPv4 アドレス。
- 8
- ネットワークルートの設定を定義します。
next-hop-address
フィールドは、ルートのネクストホップの IP アドレスを定義します。next-hop-interface
フィールドは、ルートの送信インターフェイスを定義します。この例では、VRF ルーティングテーブルは2
で、EgressService
CR で定義した ID を参照します。 - 9
- 追加のルートルールを定義します。
ip-to
フィールドは、クラスターネットワーク
CIDR およびサービスネットワーク
CIDR と一致する必要があります。これらの CIDR アドレス仕様の値を表示するには、コマンドoc describe network.config/cluster
を実行します。 - 10
- Linux カーネルがルートを計算するときに使用するメインルーティングテーブルの ID は
254
です。
以下のコマンドを実行してポリシーを適用します。
$ oc apply -f node-network-vrf.yaml
BGPPeer
カスタムリソース (CR) を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
frr-via-vrf.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta2 kind: BGPPeer metadata: name: frrviavrf namespace: metallb-system spec: myASN: 100 peerASN: 200 peerAddress: 192.168.130.1 vrf: ens4vrf 1
- 1
- BGP ピアに関連付ける VRF インスタンスを指定します。MetalLB は、サービスをアドバタイズし、VRF 内のルーティング情報に基づいてルーティングを決定できます。
次のコマンドを実行して、BGP ピアの設定を適用します。
$ oc apply -f frr-via-vrf.yaml
IPAddressPool
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
first-pool.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: IPAddressPool metadata: name: first-pool namespace: metallb-system spec: addresses: - 192.169.10.0/32
次のコマンドを実行して、IP アドレスプールの設定を適用します。
$ oc apply -f first-pool.yaml
BGPAdvertisement
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
first-adv.yaml
など) を作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: BGPAdvertisement metadata: name: first-adv namespace: metallb-system spec: ipAddressPools: - first-pool peers: - frrviavrf 1 nodeSelectors: - matchLabels: egress-service.k8s.ovn.org/test-server1: "" 2
次のコマンドを実行して、BGP アドバタイズメントの設定を適用します。
$ oc apply -f first-adv.yaml
EgressService
CR を作成します。次の例のような内容を含むファイル (
egress-service.yaml
など) を作成します。apiVersion: k8s.ovn.org/v1 kind: EgressService metadata: name: server1 1 namespace: test 2 spec: sourceIPBy: "LoadBalancerIP" 3 nodeSelector: matchLabels: vrf: "true" 4 network: "2" 5
- 1
- Egress サービスの名前を指定します。
EgressService
リソースの名前は、変更するロードバランサーサービスの名前と一致する必要があります。 - 2
- Egress サービスの namespace を指定します。
EgressService
の namespace は、変更するロードバランサーサービスの namespace と一致する必要があります。Egress サービスは namespace スコープです。 - 3
- この例では、
LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てます。 - 4
sourceIPBy
仕様のLoadBalancer
を指定すると、単一ノードがLoadBalancer
サービストラフィックを処理します。この例では、ラベルがvrf: "true"
のノードのみがサービストラフィックを処理できます。ノードを指定しない場合、OVN-Kubernetes はサービストラフィックを処理するワーカーノードを選択します。ノードが選択されると、OVN-Kubernetes はそのノードにegress-service.k8s.ovn.org/<svc_namespace>-<svc_name>: ""
という形式でラベルを付けます。- 5
- Egress トラフィックのルーティングテーブルを指定します。
次のコマンドを実行して、Egress サービスの設定を適用します。
$ oc apply -f egress-service.yaml
検証
次のコマンドを実行して、MetalLB サービスの背後で実行されている Pod のアプリケーションエンドポイントにアクセスできることを確認します。
$ curl <external_ip_address>:<port_number> 1
- 1
- アプリケーションのエンドポイントに合わせて外部 IP アドレスとポート番号を更新します。
-
オプション:
LoadBalancer
サービスの Ingress IP アドレスを Egress トラフィックの送信元 IP アドレスとして割り当てた場合は、tcpdump
などのツールを使用して外部クライアントで受信したパケットを分析し、この設定を確認します。
32.11. MetalLB のロギング、トラブルシューティング、サポート
MetalLB 設定のトラブルシューティングが必要な場合は、次のセクションで一般的に使用されるコマンドを参照してください。
32.11.1. MetalLB ログレベルの設定
MetalLB は、デフォルト設定の info
を使用してコンテナーで FRRouting (FRR) を使用し、大量のログを生成します。この例に示すように logLevel
を設定することにより、生成されるログの詳細度を制御できます。
次のように logLevel
を debug
に設定することで、MetalLB についてより深い洞察を得ることができます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
以下の例のような内容で、
setdebugloglevel.yaml
などのファイルを作成します。apiVersion: metallb.io/v1beta1 kind: MetalLB metadata: name: metallb namespace: metallb-system spec: logLevel: debug nodeSelector: node-role.kubernetes.io/worker: ""
設定を適用します。
$ oc replace -f setdebugloglevel.yaml
注記metallb
CR はすでに作成されており、ここではログレベルを変更していることを理解したうえで、oc replace
を使用します。speaker
Pod の名前を表示します。$ oc get -n metallb-system pods -l component=speaker
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE speaker-2m9pm 4/4 Running 0 9m19s speaker-7m4qw 3/4 Running 0 19s speaker-szlmx 4/4 Running 0 9m19s
注記スピーカー Pod とコントローラー Pod が再作成され、更新されたログレベルが確実に適用されます。MetalLB のすべてのコンポーネントのログレベルが変更されます。
speaker
ログを表示します。$ oc logs -n metallb-system speaker-7m4qw -c speaker
出力例
{"branch":"main","caller":"main.go:92","commit":"3d052535","goversion":"gc / go1.17.1 / amd64","level":"info","msg":"MetalLB speaker starting (commit 3d052535, branch main)","ts":"2022-05-17T09:55:05Z","version":""} {"caller":"announcer.go:110","event":"createARPResponder","interface":"ens4","level":"info","msg":"created ARP responder for interface","ts":"2022-05-17T09:55:05Z"} {"caller":"announcer.go:119","event":"createNDPResponder","interface":"ens4","level":"info","msg":"created NDP responder for interface","ts":"2022-05-17T09:55:05Z"} {"caller":"announcer.go:110","event":"createARPResponder","interface":"tun0","level":"info","msg":"created ARP responder for interface","ts":"2022-05-17T09:55:05Z"} {"caller":"announcer.go:119","event":"createNDPResponder","interface":"tun0","level":"info","msg":"created NDP responder for interface","ts":"2022-05-17T09:55:05Z"} I0517 09:55:06.515686 95 request.go:665] Waited for 1.026500832s due to client-side throttling, not priority and fairness, request: GET:https://172.30.0.1:443/apis/operators.coreos.com/v1alpha1?timeout=32s {"Starting Manager":"(MISSING)","caller":"k8s.go:389","level":"info","ts":"2022-05-17T09:55:08Z"} {"caller":"speakerlist.go:310","level":"info","msg":"node event - forcing sync","node addr":"10.0.128.4","node event":"NodeJoin","node name":"ci-ln-qb8t3mb-72292-7s7rh-worker-a-vvznj","ts":"2022-05-17T09:55:08Z"} {"caller":"service_controller.go:113","controller":"ServiceReconciler","enqueueing":"openshift-kube-controller-manager-operator/metrics","epslice":"{\"metadata\":{\"name\":\"metrics-xtsxr\",\"generateName\":\"metrics-\",\"namespace\":\"openshift-kube-controller-manager-operator\",\"uid\":\"ac6766d7-8504-492c-9d1e-4ae8897990ad\",\"resourceVersion\":\"9041\",\"generation\":4,\"creationTimestamp\":\"2022-05-17T07:16:53Z\",\"labels\":{\"app\":\"kube-controller-manager-operator\",\"endpointslice.kubernetes.io/managed-by\":\"endpointslice-controller.k8s.io\",\"kubernetes.io/service-name\":\"metrics\"},\"annotations\":{\"endpoints.kubernetes.io/last-change-trigger-time\":\"2022-05-17T07:21:34Z\"},\"ownerReferences\":[{\"apiVersion\":\"v1\",\"kind\":\"Service\",\"name\":\"metrics\",\"uid\":\"0518eed3-6152-42be-b566-0bd00a60faf8\",\"controller\":true,\"blockOwnerDeletion\":true}],\"managedFields\":[{\"manager\":\"kube-controller-manager\",\"operation\":\"Update\",\"apiVersion\":\"discovery.k8s.io/v1\",\"time\":\"2022-05-17T07:20:02Z\",\"fieldsType\":\"FieldsV1\",\"fieldsV1\":{\"f:addressType\":{},\"f:endpoints\":{},\"f:metadata\":{\"f:annotations\":{\".\":{},\"f:endpoints.kubernetes.io/last-change-trigger-time\":{}},\"f:generateName\":{},\"f:labels\":{\".\":{},\"f:app\":{},\"f:endpointslice.kubernetes.io/managed-by\":{},\"f:kubernetes.io/service-name\":{}},\"f:ownerReferences\":{\".\":{},\"k:{\\\"uid\\\":\\\"0518eed3-6152-42be-b566-0bd00a60faf8\\\"}\":{}}},\"f:ports\":{}}}]},\"addressType\":\"IPv4\",\"endpoints\":[{\"addresses\":[\"10.129.0.7\"],\"conditions\":{\"ready\":true,\"serving\":true,\"terminating\":false},\"targetRef\":{\"kind\":\"Pod\",\"namespace\":\"openshift-kube-controller-manager-operator\",\"name\":\"kube-controller-manager-operator-6b98b89ddd-8d4nf\",\"uid\":\"dd5139b8-e41c-4946-a31b-1a629314e844\",\"resourceVersion\":\"9038\"},\"nodeName\":\"ci-ln-qb8t3mb-72292-7s7rh-master-0\",\"zone\":\"us-central1-a\"}],\"ports\":[{\"name\":\"https\",\"protocol\":\"TCP\",\"port\":8443}]}","level":"debug","ts":"2022-05-17T09:55:08Z"}
FRR ログを表示します。
$ oc logs -n metallb-system speaker-7m4qw -c frr
出力例
Started watchfrr 2022/05/17 09:55:05 ZEBRA: client 16 says hello and bids fair to announce only bgp routes vrf=0 2022/05/17 09:55:05 ZEBRA: client 31 says hello and bids fair to announce only vnc routes vrf=0 2022/05/17 09:55:05 ZEBRA: client 38 says hello and bids fair to announce only static routes vrf=0 2022/05/17 09:55:05 ZEBRA: client 43 says hello and bids fair to announce only bfd routes vrf=0 2022/05/17 09:57:25.089 BGP: Creating Default VRF, AS 64500 2022/05/17 09:57:25.090 BGP: dup addr detect enable max_moves 5 time 180 freeze disable freeze_time 0 2022/05/17 09:57:25.090 BGP: bgp_get: Registering BGP instance (null) to zebra 2022/05/17 09:57:25.090 BGP: Registering VRF 0 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Router Id update VRF 0 Id 10.131.0.1/32 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: RID change : vrf VRF default(0), RTR ID 10.131.0.1 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF br0 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF ens4 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF ens4 addr 10.0.128.4/32 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF ens4 addr fe80::c9d:84da:4d86:5618/64 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF lo 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF ovs-system 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF tun0 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF tun0 addr 10.131.0.1/23 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF tun0 addr fe80::40f1:d1ff:feb6:5322/64 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth2da49fed 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth2da49fed addr fe80::24bd:d1ff:fec1:d88/64 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth2fa08c8c 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth2fa08c8c addr fe80::6870:ff:fe96:efc8/64 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth41e356b7 2022/05/17 09:57:25.091 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth41e356b7 addr fe80::48ff:37ff:fede:eb4b/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth1295c6e2 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth1295c6e2 addr fe80::b827:a2ff:feed:637/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth9733c6dc 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth9733c6dc addr fe80::3cf4:15ff:fe11:e541/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF veth336680ea 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF veth336680ea addr fe80::94b1:8bff:fe7e:488c/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF vetha0a907b7 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF vetha0a907b7 addr fe80::3855:a6ff:fe73:46c3/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF vethf35a4398 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF vethf35a4398 addr fe80::40ef:2fff:fe57:4c4d/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF vethf831b7f4 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF vethf831b7f4 addr fe80::f0d9:89ff:fe7c:1d32/64 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf add VRF 0 IF vxlan_sys_4789 2022/05/17 09:57:25.092 BGP: Rx Intf address add VRF 0 IF vxlan_sys_4789 addr fe80::80c1:82ff:fe4b:f078/64 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 [FSM] Timer (start timer expire). 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 [FSM] BGP_Start (Idle->Connect), fd -1 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: Allocated bnc 10.0.0.1/32(0)(VRF default) peer 0x7f807f7631a0 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: sendmsg_zebra_rnh: sending cmd ZEBRA_NEXTHOP_REGISTER for 10.0.0.1/32 (vrf VRF default) 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 [FSM] Waiting for NHT 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: bgp_fsm_change_status : vrf default(0), Status: Connect established_peers 0 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 went from Idle to Connect 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 [FSM] TCP_connection_open_failed (Connect->Active), fd -1 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: bgp_fsm_change_status : vrf default(0), Status: Active established_peers 0 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: 10.0.0.1 went from Connect to Active 2022/05/17 09:57:26.094 ZEBRA: rnh_register msg from client bgp: hdr->length=8, type=nexthop vrf=0 2022/05/17 09:57:26.094 ZEBRA: 0: Add RNH 10.0.0.1/32 type Nexthop 2022/05/17 09:57:26.094 ZEBRA: 0:10.0.0.1/32: Evaluate RNH, type Nexthop (force) 2022/05/17 09:57:26.094 ZEBRA: 0:10.0.0.1/32: NH has become unresolved 2022/05/17 09:57:26.094 ZEBRA: 0: Client bgp registers for RNH 10.0.0.1/32 type Nexthop 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: VRF default(0): Rcvd NH update 10.0.0.1/32(0) - metric 0/0 #nhops 0/0 flags 0x6 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: NH update for 10.0.0.1/32(0)(VRF default) - flags 0x6 chgflags 0x0 - evaluate paths 2022/05/17 09:57:26.094 BGP: evaluate_paths: Updating peer (10.0.0.1(VRF default)) status with NHT 2022/05/17 09:57:30.081 ZEBRA: Event driven route-map update triggered 2022/05/17 09:57:30.081 ZEBRA: Event handler for route-map: 10.0.0.1-out 2022/05/17 09:57:30.081 ZEBRA: Event handler for route-map: 10.0.0.1-in 2022/05/17 09:57:31.104 ZEBRA: netlink_parse_info: netlink-listen (NS 0) type RTM_NEWNEIGH(28), len=76, seq=0, pid=0 2022/05/17 09:57:31.104 ZEBRA: Neighbor Entry received is not on a VLAN or a BRIDGE, ignoring 2022/05/17 09:57:31.105 ZEBRA: netlink_parse_info: netlink-listen (NS 0) type RTM_NEWNEIGH(28), len=76, seq=0, pid=0 2022/05/17 09:57:31.105 ZEBRA: Neighbor Entry received is not on a VLAN or a BRIDGE, ignoring
32.11.1.1. FRRouting (FRR) ログレベル
次の表で、FRR ログレベルを説明します。
ログレベル | 説明 |
---|---|
| すべてのログレベルのすべてのログ情報を提供します。 |
|
診断に役立つ情報。詳細なトラブルシューティング情報を提供するには、 |
| 常にログに記録する必要がある情報を提供しますが、通常の状況ではユーザーの介入は必要ありません。これはデフォルトのログレベルです。 |
|
一貫性のない |
|
|
| すべてのロギングをオフにします。 |
32.11.2. BGP の問題のトラブルシューティング
Red Hat がサポートする BGP 実装は、speaker
Pod のコンテナーで FRRouting (FRR) を使用します。クラスター管理者は、BGP 設定の問題をトラブルシューティングする場合に、FRR コンテナーでコマンドを実行する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
speaker
Pod の名前を表示します。$ oc get -n metallb-system pods -l component=speaker
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE speaker-66bth 4/4 Running 0 56m speaker-gvfnf 4/4 Running 0 56m ...
FRR の実行設定を表示します。
$ oc exec -n metallb-system speaker-66bth -c frr -- vtysh -c "show running-config"
出力例
Building configuration... Current configuration: ! frr version 7.5.1_git frr defaults traditional hostname some-hostname log file /etc/frr/frr.log informational log timestamp precision 3 service integrated-vtysh-config ! router bgp 64500 1 bgp router-id 10.0.1.2 no bgp ebgp-requires-policy no bgp default ipv4-unicast no bgp network import-check neighbor 10.0.2.3 remote-as 64500 2 neighbor 10.0.2.3 bfd profile doc-example-bfd-profile-full 3 neighbor 10.0.2.3 timers 5 15 neighbor 10.0.2.4 remote-as 64500 neighbor 10.0.2.4 bfd profile doc-example-bfd-profile-full neighbor 10.0.2.4 timers 5 15 ! address-family ipv4 unicast network 203.0.113.200/30 4 neighbor 10.0.2.3 activate neighbor 10.0.2.3 route-map 10.0.2.3-in in neighbor 10.0.2.4 activate neighbor 10.0.2.4 route-map 10.0.2.4-in in exit-address-family ! address-family ipv6 unicast network fc00:f853:ccd:e799::/124 neighbor 10.0.2.3 activate neighbor 10.0.2.3 route-map 10.0.2.3-in in neighbor 10.0.2.4 activate neighbor 10.0.2.4 route-map 10.0.2.4-in in exit-address-family ! route-map 10.0.2.3-in deny 20 ! route-map 10.0.2.4-in deny 20 ! ip nht resolve-via-default ! ipv6 nht resolve-via-default ! line vty ! bfd profile doc-example-bfd-profile-full transmit-interval 35 receive-interval 35 passive-mode echo-mode echo-interval 35 minimum-ttl 10 ! ! end
BGP サマリーを表示します。
$ oc exec -n metallb-system speaker-66bth -c frr -- vtysh -c "show bgp summary"
出力例
IPv4 Unicast Summary: BGP router identifier 10.0.1.2, local AS number 64500 vrf-id 0 BGP table version 1 RIB entries 1, using 192 bytes of memory Peers 2, using 29 KiB of memory Neighbor V AS MsgRcvd MsgSent TblVer InQ OutQ Up/Down State/PfxRcd PfxSnt 10.0.2.3 4 64500 387 389 0 0 0 00:32:02 0 1 1 10.0.2.4 4 64500 0 0 0 0 0 never Active 0 2 Total number of neighbors 2 IPv6 Unicast Summary: BGP router identifier 10.0.1.2, local AS number 64500 vrf-id 0 BGP table version 1 RIB entries 1, using 192 bytes of memory Peers 2, using 29 KiB of memory Neighbor V AS MsgRcvd MsgSent TblVer InQ OutQ Up/Down State/PfxRcd PfxSnt 10.0.2.3 4 64500 387 389 0 0 0 00:32:02 NoNeg 10.0.2.4 4 64500 0 0 0 0 0 never Active 0 Total number of neighbors 2
アドレスプールを受信した BGP ピアを表示します。
$ oc exec -n metallb-system speaker-66bth -c frr -- vtysh -c "show bgp ipv4 unicast 203.0.113.200/30"
ipv4
をipv6
に置き換えて、IPv6 アドレスプールを受信した BGP ピアを表示します。203.0.113.200/30
は、アドレスプールの IPv4 または IPv6IP アドレス範囲に置き換えます。出力例
BGP routing table entry for 203.0.113.200/30 Paths: (1 available, best #1, table default) Advertised to non peer-group peers: 10.0.2.3 1 Local 0.0.0.0 from 0.0.0.0 (10.0.1.2) Origin IGP, metric 0, weight 32768, valid, sourced, local, best (First path received) Last update: Mon Jan 10 19:49:07 2022
- 1
- 出力に BGP ピアの IP アドレスが含まれていることを確認します。
32.11.3. BFD の問題のトラブルシューティング
Red Hat がサポートする双方向フォワーディング検出 (BFD) の実装では、speaker
Pod のコンテナーで FRRouting (FRR) を使用します。BFD の実装は、BFD ピアに依存しており、このピアは、BGP セッションが確立されている BGP ピアとして設定されています。クラスター管理者は、BFD 設定の問題をトラブルシューティングする場合に、FRR コンテナーでコマンドを実行する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
speaker
Pod の名前を表示します。$ oc get -n metallb-system pods -l component=speaker
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE speaker-66bth 4/4 Running 0 26m speaker-gvfnf 4/4 Running 0 26m ...
BFD ピアを表示します。
$ oc exec -n metallb-system speaker-66bth -c frr -- vtysh -c "show bfd peers brief"
出力例
Session count: 2 SessionId LocalAddress PeerAddress Status ========= ============ =========== ====== 3909139637 10.0.1.2 10.0.2.3 up <.>
<.>
PeerAddress
列に各 BFD ピアが含まれていることを確認します。出力に含まれると予想される BFD ピア IP アドレスが出力にリストされていない場合は、ピアとの BGP 接続のトラブルシューティングを行います。ステータスフィールドがdown
と表示されている場合は、ノードとピア間のリンクと機器の接続を確認します。speaker Pod のノード名は、oc get pods -n metallb-system speaker-66bth -o jsonpath='{.spec.nodeName}'
などのコマンドで判断できます。
32.11.4. BGP および BFD の MetalLB メトリック
OpenShift Container Platform は、BGP ピアと BFD プロファイルに関連する MetalLB の次の Prometheus メトリクスをキャプチャーします。
-
metallb_bfd_control_packet_input
は、各 BFD ピアから受信した BFD 制御パケットの数をカウントします。 -
metallb_bfd_control_packet_output
は、各 BFD ピアに送信された BFD 制御パケットの数をカウントします。 -
metallb_bfd_echo_packet_input
は、各 BFD ピアから受信した BFD エコーパケットの数をカウントします。 -
metallb_bfd_echo_packet_output
は、各 BFD ピアに送信された BFD エコーパケットの数をカウントします。 -
metallb_bfd_session_down_events
は、ピアとの BFD セッションがdown
の状態になった回数をカウントします。 -
metallb_bfd_session_up
は、BFD ピアとの接続状態を示します。1
はセッションがup
であること、0
はdown
であることを示します。 -
metallb_bfd_session_up_events
は、ピアとの BFD セッションがup
の状態になった回数をカウントします。 -
metallb_bfd_zebra_notifications
は、各 BFD ピアの BFD Zebra 通知の数をカウントします。 -
metallb_bgp_announced_prefixes_total
は、BGP ピアにアドバタイズされるロードバランサーの IP アドレス接頭辞の数をカウントします。接頭辞と集約ルートという用語は同じ意味です。 -
metallb_bgp_session_up
は、BGP ピアとの接続状態を示します。1
はセッションがup
であること、0
はdown
であることを示します。 -
metallb_bgp_updates_total
は、BGP ピアに送信された BGP更新
メッセージの数をカウントします。
関連情報
- 監視ダッシュボードの使用については、メトリックのクエリーを参照してください。
32.11.5. MetalLB データの収集について
oc adm must-gather
CLI コマンドを使用して、クラスター、MetalLB 設定、および MetalLB Operator に関する情報を収集できます。次の機能とオブジェクトは、MetalLB と MetalLB Operator に関連付けられています。
- MetalLB Operator がデプロイされている namespace と子オブジェクト
- すべての MetalLB Operator カスタムリソース定義 (CRD)
oc adm must-gather
CLI コマンドは、Red Hat が BGP および BFD 実装に使用する FRRouting (FRR) から次の情報を収集します。
-
/etc/frr/frr.conf
-
/etc/frr/frr.log
-
/etc/frr/daemons
設定ファイル -
/etc/frr/vtysh.conf
上記のリストのログファイルと設定ファイルは、各speaker
Pod の frr
コンテナーから収集されます。
ログファイルと設定ファイル以外に、oc adm must-gather
の CLI コマンドは、次のvtysh
コマンドからの出力を収集します。
-
show running-config
-
show bgp ipv4
-
show bgp ipv6
-
show bgp neighbor
-
show bfd peer
oc adm must-gather
CLI コマンドを実行する場合、追加の設定は必要ありません。
関連情報
第33章 セカンダリーインターフェイスメトリクスのネットワーク割り当てへの関連付け
33.1. モニタリングのためのセカンダリーネットワークメトリックの拡張
セカンダリーデバイス (インターフェイス) は、各種の用途に合わせて使用されます。セカンダリーデバイスのメトリックを同じ分類で集計するために、それらを分類する方法を確保する必要があります。
公開されるメトリクスにはインターフェイスが含まれますが、インターフェイスの出所は指定されません。これは、追加のインターフェイスがない場合に実行できます。ただし、セカンダリーインターフェイスが追加された場合、インターフェイス名だけを使用してインターフェイスを識別するのは難しいため、メトリックの使用が困難になる可能性があります。
セカンダリーインターフェイスを追加する場合、その名前は追加された順序によって異なります。また、異なるセカンダリーインターフェイスが異なるネットワークに属し、これらを異なる目的に使用できます。
pod_network_name_info
を使用すると、現在のメトリクスをインターフェイスタイプを識別する追加情報を使用して拡張できます。このようにして、メトリクスを集約し、特定のインターフェイスタイプに特定のアラームを追加できます。
ネットワークタイプは、関連する NetworkAttachmentDefinition
の名前を使用して生成されます。この名前は、セカンダリーネットワークの異なるクラスを区別するために使用されます。たとえば、異なるネットワークに属するインターフェイスや、異なる CNI を使用するインターフェイスは、異なるネットワーク割り当て定義名を使用します。
33.1.1. Network Metrics Daemon
Network Metrics Daemon は、ネットワーク関連のメトリックを収集し、公開するデーモンコンポーネントです。
kubelet はすでに確認できるネットワーク関連のメトリックを公開しています。以下は、これらのメトリックになります。
-
container_network_receive_bytes_total
-
container_network_receive_errors_total
-
container_network_receive_packets_total
-
container_network_receive_packets_dropped_total
-
container_network_transmit_bytes_total
-
container_network_transmit_errors_total
-
container_network_transmit_packets_total
-
container_network_transmit_packets_dropped_total
これらのメトリックのラベルには、とくに以下が含まれます。
- Pod の名前
- Pod の namespace
-
インターフェイス名 (例:
eth0
)
これらのメトリックは、たとえば Multus を使用して、新規インターフェイスが Pod に追加されるまで正常に機能します。
インターフェイスのラベルはインターフェイス名を参照しますが、そのインターフェイスの用途は明確ではありません。多くの異なるインターフェイスがある場合、監視しているメトリックが参照するネットワークを把握することはできません。
これには、以降のセクションで説明する新規の pod_network_name_info
を導入して対応できます。
33.1.2. ネットワーク名を持つメトリック
この daemonset は、固定の値が 0
の pod_network_name_info
測定メトリックを公開します。
pod_network_name_info{interface="net0",namespace="namespacename",network_name="nadnamespace/firstNAD",pod="podname"} 0
ネットワーク名ラベルは、Multus によって追加されるアノテーションを使用して生成されます。これは、ネットワークの割り当て定義が属する namespace の連結と、ネットワーク割り当て定義の名前です。
新しいメトリクスのみでは十分な値が提供されませんが、ネットワーク関連の container_network_*
メトリクスと組み合わせて、セカンダリーネットワークの監視に対するサポートを強化します。
以下のような promql
クエリーを使用すると、k8s.v1.cni.cncf.io/network-status
アノテーションから取得した値とネットワーク名を含む新規のメトリクスを取得できます。
(container_network_receive_bytes_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_receive_errors_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_receive_packets_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_receive_packets_dropped_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_transmit_bytes_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_transmit_errors_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_transmit_packets_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name) ( pod_network_name_info ) (container_network_transmit_packets_dropped_total) + on(namespace,pod,interface) group_left(network_name)
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