認証および認可
ユーザー認証およびユーザーとサービスのアクセス制御の設定
概要
第1章 認証および認可の概要
1.1. OpenShift Container Platform の認証および承認に関する一般的な用語集
この用語集では、OpenShift Container Platform の認証および承認で使用される一般的な用語を定義します。
- authentication
- 認証は、OpenShift Container Platform クラスターへのアクセスを決定し、認証されたユーザーのみが OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできるようにします。
- 認可
- 承認は、識別されたユーザーが要求されたアクションを実行する権限を持っているかどうかを決定します。
- ベアラートークン
-
ベアラートークンは、ヘッダー
Authorization: Bearer <token>
で API を認証するために使用されます。 - Cloud Credential Operator
- Cloud Credential Operator (CCO) は、クラウドプロバイダーの認証情報をカスタムリソース定義 (CRD) として管理します。
- 設定マップ
-
設定マップは、設定データを Pod に注入する方法を提供します。タイプ
ConfigMap
のボリューム内の設定マップに格納されたデータを参照できます。Pod で実行しているアプリケーションは、このデータを使用できます。 - containers
- ソフトウェアとそのすべての依存関係を設定する軽量で実行可能なイメージ。コンテナーはオペレーティングシステムを仮想化するため、データセンター、パブリッククラウドまたはプライベートクラウド、またはローカルホストでコンテナーを実行できます。
- カスタムリソース (CR)
- CR は Kubernetes API のエクステンションです。
- group
- グループはユーザーの集まりです。グループは、一度に複数のユーザーに権限を付与する場合に便利です。
- HTPasswd
- HTPasswd は、HTTP ユーザーの認証用のユーザー名とパスワードを格納するファイルを更新します。
- Keystone
- Keystone は、ID、トークン、カタログ、およびポリシーサービスを提供する Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) プロジェクトです。
- Lightweight Directory Access Protocol (LDAP)
- LDAP は、ユーザー情報を照会するプロトコルです。
- 手動モード
- 手動モードでは、ユーザーは Cloud Credential Operator (CCO) の代わりにクラウド認証情報を管理します。
- mint モード
- mint モードは、サポートされるプラットフォームで使用する Cloud Credential Operator (CCO) のデフォルトおよび推奨されるベストプラクティスの設定です。このモードでは、CCO は提供される管理者レベルのクラウド認証情報を使用して、必要となる特定のパーミッションのみでクラスター内のコンポーネントの新規の認証情報を作成します。
- namespace
- namespace は、すべてのプロセスから見える特定のシステムリソースを分離します。namespace 内では、その namespace のメンバーであるプロセスのみがそれらのリソースを参照できます。
- node
- ノードは、OpenShift Container Platform クラスター内のワーカーマシンです。ノードは、仮想マシン (VM) または物理マシンのいずれかです。
- OAuth クライアント
- OAuth クライアントは、ベアラートークンを取得するために使用されます。
- OAuth サーバー
- OpenShift Container Platform コントロールプレーンには、設定されたアイデンティティープロバイダーからユーザーのアイデンティティーを決定し、アクセストークンを作成する組み込みの OAuth サーバーが含まれています。
- OpenID Connect
- OpenID Connect は、ユーザーが Single Sign-On (SSO) を使用して OpenID プロバイダーを使用するサイトにアクセスすることを認証するためのプロトコルです。
- passthrough モード
- passthrough モードでは、Cloud Credential Operator (CCO) は提供されるクラウド認証情報を、コンポーネントを要求するコンポーネントに渡します。
- Pod
- Pod は、Kubernetes における最小の論理単位です。Pod には、ワーカーノードで実行される 1 つ以上のコンテナーが含まれます。
- 通常ユーザー
- 最初のログイン時または API 経由でクラスター内に自動的に作成されるユーザー。
- リクエストヘッダー
- 要求ヘッダーは、サーバーが要求の応答を追跡できるように、HTTP 要求コンテキストに関する情報を提供するために使用される HTTP ヘッダーです。
- ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
- クラスターユーザーとワークロードが、ロールを実行するために必要なリソースにのみアクセスできるようにするための重要なセキュリティーコントロール。
- サービスアカウント
- サービスアカウントは、クラスターコンポーネントまたはアプリケーションによって使用されます。
- システムユーザー
- クラスターのインストール時に自動的に作成されるユーザー。
- users
- ユーザーは、API にリクエストを送信できるエンティティーです。
1.2. OpenShift Container Platform での認証について
OpenShift Container Platform クラスターへのアクセスを制御するために、クラスター管理者は ユーザー認証 を設定し、承認されたユーザーのみがクラスターにアクセスできます。
OpenShift Container Platform クラスターと対話するには、まずユーザーが OpenShift Container Platform API に対して認証する必要があります。OpenShift Container Platform API へのリクエストで、OAuth アクセストークンまたは X.509 クライアント証明書 を提供することで認証できます。
有効なアクセストークンまたは証明書を提示しない場合、要求は認証されておらず、HTTP401 エラーを受け取ります。
管理者は、次のタスクを通じて認証を設定できます。
- ID プロバイダーの設定: OpenShift Container Platform でサポートされている ID プロバイダーを定義し、クラスターに追加できます。
内部 OAuth サーバーの設定: OpenShift Container Platform コントロールプレーンには、設定された ID プロバイダーからユーザーの ID を判別し、アクセストークンを作成する組み込みの OAuth サーバーが含まれています。トークンの期間と非アクティブタイムアウトを設定し、内部 OAuth サーバーの URL をカスタマイズできます。
注記ユーザーは、自分が所有する OAuth トークンを表示および管理できます。
OAuth クライアントの登録: OpenShift Container Platform には、いくつかのデフォルトの OAuth クライアントが含まれています。追加の OAuth クライアントを登録および設定できます。
注記ユーザーが OAuth トークンのリクエストを送信するときは、トークンを受信して使用するデフォルトまたはカスタムの OAuth クライアントを指定する必要があります。
- Cloud Credentials Operator を使用したクラウドプロバイダークレデンシャルの管理: クラスターコンポーネントは、クラウドプロバイダークレデンシャルを使用して、クラスター関連のタスクを実行するために必要なアクセス許可を取得します。
- システム管理者ユーザーのなりすまし: システム管理者ユーザーになりすます ことで、ユーザーにクラスター管理者権限を付与できます。
1.3. OpenShift Container Platform での承認について
許可には、識別されたユーザーが要求されたアクションを実行するための許可を持っているかどうかを判別することが含まれます。
管理者は、権限を定義し、ルール、ロール、バインディングなどの RBAC オブジェクトを使用してそれらをユーザーに割り当てることができます。OpenShift Container Platform で承認がどのように機能するかを理解するには、承認の評価を参照してください。
プロジェクトと namespaceを介して、OpenShift Container Platform クラスターへのアクセスを制御することもできます。
クラスターへのユーザーアクセスを制御するだけでなく、セキュリティーコンテキスト制約 (SCC) を使用して、Pod が実行できるアクションとアクセスできるリソースを制御することもできます。
以下のタスクを通じて、OpenShift Container Platform の認証を管理できます。
- ローカルおよびクラスターのロールとバインディングの表示。
- ローカルロールを作成し、それをユーザーまたはグループに割り当てます。
- クラスターロールの作成とユーザーまたはグループへの割り当て: OpenShift Container Platform には、デフォルトのクラスターロールのセットが含まれています。追加のクラスターロールを作成して、ユーザーまたはグループに追加できます。
cluster-admin ユーザーの作成: デフォルトでは、クラスターには
kubeadmin
というクラスター管理者が 1 人だけいます。別のクラスター管理者を作成できます。クラスター管理者を作成する前に、ID プロバイダーが設定されていることを確認してください。注記クラスター管理者ユーザーを作成したら、既存の kubeadmin ユーザーを削除して、クラスターのセキュリティーを向上させます。
- サービスアカウントの作成: サービスアカウントは、通常のユーザークレデンシャルを共有せずに API アクセスを制御する柔軟な方法を提供します。ユーザーは、アプリケーションで、または OAuth クライアントとしてサービスアカウントを作成して使用できます。
- スコープトークン: スコープトークンは、特定の操作のみを実行できる特定のユーザーとして識別するトークンです。スコープ付きトークンを作成して、パーミッションの一部を別のユーザーまたはサービスアカウントに委任できます。
- LDAP グループの同期: LDAP サーバーに保存されているグループを OpenShift Container Platform ユーザーグループと同期することにより、ユーザーグループを 1 か所で管理できます。
第2章 認証について
ユーザーが OpenShift Container Platform と対話できるようにするには、まずクラスターに対して認証する必要があります。認証層は、OpenShift Container Platform API への要求に関連付けられたユーザーを識別します。その後、認可層は要求側ユーザーの情報を使用して、要求が許可されるかどうかを決定します。
管理者は、OpenShift Container Platform の認証を設定できます。
2.1. ユーザー
OpenShift Container Platform の ユーザー は、OpenShift Container Platform API に要求できるエンティティーです。OpenShift Container Platform User
オブジェクトは、それらおよびそれらのグループにロールを追加してシステム内のパーミッションを付与できるアクターを表します。通常、これは OpenShift Container Platform と対話している開発者または管理者のアカウントを表します。
ユーザーにはいくつかのタイプが存在します。
ユーザータイプ | 説明 |
---|---|
|
これは、大半の対話型の OpenShift Container Platform ユーザーが表示される方法です。通常ユーザーは、初回ログイン時にシステムに自動的に作成され、API で作成できます。通常ユーザーは、 |
|
これらの多くは、インフラストラクチャーが API と安全に対話できるようにすることを主な目的として定義される際に自動的に作成されます。これらには、クラスター管理者 (すべてのものへのアクセスを持つ)、ノードごとのユーザー、ルーターおよびレジストリーで使用できるユーザー、その他が含まれます。最後に、非認証要求に対してデフォルトで使用される |
|
プロジェクトに関連付けられる特殊なシステムユーザーがあります。それらの中には、プロジェクトの初回作成時に自動作成されるものもあれば、プロジェクト管理者が各プロジェクトのコンテンツへのアクセスを定義するために追加で作成するものもあります。サービスアカウントは |
それぞれのユーザーには、OpenShift Container Platform にアクセスするために何らかの認証が必要になります。認証がないか、認証が無効の API 要求は、anonymous
システムユーザーによる要求として認証されます。認証が実行されると、認可されているユーザーの実行内容がポリシーによって決定されます。
2.2. グループ
ユーザーは 1 つ以上の グループ に割り当てることができます。それぞれのグループはユーザーの特定のセットを表します。グループは、認可ポリシーを管理し、個々のユーザーにではなく、一度に複数ユーザーにパーミッションを付与する場合などに役立ちます。 たとえば、アクセスをユーザーに個別に付与するのではなく、プロジェクト内の複数のオブジェクトに対するアクセスを許可できます。
明示的に定義されるグループのほかにも、システムグループまたは 仮想グループ がクラスターによって自動的にプロビジョニングされます。
以下のデフォルト仮想グループは最も重要なグループになります。
仮想グループ | 説明 |
---|---|
| 認証されたユーザーに自動的に関連付けられます。 |
| OAuth アクセストークンで認証されたすべてのユーザーに自動的に関連付けられます。 |
| 認証されていないすべてのユーザーに自動的に関連付けられます。 |
2.3. API 認証
OpenShift Container Platform API への要求は以下の方法で認証されます。
- OAuth アクセストークン
-
<namespace_route>/oauth/authorize
および<namespace_route>/oauth/token
エンドポイントを使用して OpenShift Container Platform OAuth サーバーから取得されます。 -
Authorization: Bearer…
ヘッダーとして送信されます。 -
websocket 要求の
base64url.bearer.authorization.k8s.io.<base64url-encoded-token>
形式の websocket サブプロトコルヘッダーとして送信されます。
-
- X.509 クライアント証明書
- API サーバーへの HTTPS 接続を要求します。
- 信頼される認証局バンドルに対して API サーバーによって検証されます。
- API サーバーは証明書を作成し、これをコントローラーに配布してそれらを認証できるようにします。
無効なアクセストークンまたは無効な証明書での要求は認証層によって拒否され、401
エラーが出されます。
アクセストークンまたは証明証が提供されない場合、認証層は system:anonymous
仮想ユーザーおよび system:unauthenticated
仮想グループを要求に割り当てます。これにより、認可層は匿名ユーザーが実行できる要求 (ある場合) を決定できます。
2.3.1. OpenShift Container Platform OAuth サーバー
OpenShift Container Platform マスターには、組み込まれた OAuth サーバーが含まれます。ユーザーは OAuth アクセストークンを取得して、API に対して認証します。
新しい OAuth のトークンが要求されると、OAuth サーバーは設定済みのアイデンティティプロバイダーを使用して要求したユーザーのアイデンティティーを判別します。
次に、そのアイデンティティーがマップするユーザーを判別し、そのユーザーのアクセストークンを作成し、そのトークンを使用できるように返します。
2.3.1.1. OAuth トークン要求
OAuth トークンのすべての要求は、トークンを受信し、使用する OAuth クライアントを指定する必要があります。以下の OAuth クライアントは、OpenShift Container Platform API の起動時に自動的に作成されます。
OAuth クライアント | 使用法 |
---|---|
|
対話式ログインを処理できるユーザーエージェントで |
|
|
<namespace_route>
は namespace のルートを参照します。これは、以下のコマンドを実行して確認できます。$ oc get route oauth-openshift -n openshift-authentication -o json | jq .spec.host
OAuth トークンのすべての要求には <namespace_route>/oauth/authorize
への要求が必要になります。ほとんどの認証統合では、認証プロキシーをこのエンドポイントの前に配置するか、または OpenShift Container Platform を、サポートするアイデンティティープロバイダーに対して認証情報を検証するように設定します。<namespace_route>/oauth/authorize
の要求は、CLI などの対話式ログインページを表示できないユーザーエージェントから送られる場合があります。そのため、OpenShift Container Platform は、対話式ログインフローのほかにも WWW-Authenticate
チャレンジを使用した認証をサポートします。
認証プロキシーが <namespace_route>/oauth/authorize
エンドポイントの前に配置される場合、対話式ログインページを表示したり、対話式ログインフローにリダイレクトする代わりに、認証されていない、ブラウザー以外のユーザーエージェントの WWW-Authenticate
チャレンジを送信します。
ブラウザークライアントに対するクロスサイトリクエストフォージェリー (CSRF) 攻撃を防止するため、基本的な認証チャレンジは X-CSRF-Token
ヘッダーが要求に存在する場合にのみ送信されます。基本的な WWW-Authenticate
チャレンジを受信する必要があるクライアントでは、このヘッダーを空でない値に設定する必要があります。
認証プロキシーが WWW-Authenticate
チャレンジをサポートしないか、または OpenShift Container Platform が WWW-Authenticate チャレンジをサポートしないアイデンティティープロバイダーを使用するように設定されている場合、ユーザーはブラウザーで <namespace_route>/oauth/token/request
からトークンを手動で取得する必要があります。
2.3.1.2. API の権限借用
OpenShift Container Platform API への要求を、別のユーザーから発信されているかのように設定できます。詳細は、Kubernetes ドキュメントの User impersonation を参照してください。
2.3.1.3. Prometheus の認証メトリクス
OpenShift Container Platform は認証の試行中に以下の Prometheus システムメトリクスをキャプチャーします。
-
openshift_auth_basic_password_count
はoc login
ユーザー名およびパスワードの試行回数をカウントします。 -
openshift_auth_basic_password_count_result
は、oc login
ユーザー名およびパスワードの試行回数を結果 (success
またはerror
) 別にカウントします。 -
openshift_auth_form_password_count
は Web コンソールのログイン試行回数をカウントします。 -
openshift_auth_form_password_count_result
は結果 (success
またはerror
) 別に Web コンソールのログイン試行回数をカウントします。 -
openshift_auth_password_total
はoc login
および Web コンソールのログイン試行回数をカウントします。
第3章 内部 OAuth サーバーの設定
3.1. OpenShift Container Platform OAuth サーバー
OpenShift Container Platform マスターには、組み込まれた OAuth サーバーが含まれます。ユーザーは OAuth アクセストークンを取得して、API に対して認証します。
新しい OAuth のトークンが要求されると、OAuth サーバーは設定済みのアイデンティティプロバイダーを使用して要求したユーザーのアイデンティティーを判別します。
次に、そのアイデンティティーがマップするユーザーを判別し、そのユーザーのアクセストークンを作成し、そのトークンを使用できるように返します。
3.2. OAuth トークン要求フローおよび応答
OAuth サーバーは、標準的な Authorization Code Grant (認可コードによるグラント) および Implicit Grant (暗黙的グラント) の OAuth 認証フローをサポートします。
OAuth トークンを、(openshift-challenging-client
などの) WWW-Authenticate チャレンジ
を要求するように設定された client_id で Implicit Grant (暗黙的グラント) フロー (response_type=token
) を使用して要求する場合、以下が /oauth/authorize
から送られる可能性のあるサーバー応答、およびそれらの処理方法になります。
ステータス | 内容 | クライアント応答 |
---|---|---|
302 |
URL フラグメントに |
|
302 |
|
失敗します。 オプションで |
302 |
他の | これらのルールを使用してリダイレクトに従い、結果を処理します。 |
401 |
|
タイプ ( |
401 |
| チャレンジの認証ができません。失敗し、応答本体を表示します (これには、OAuth トークンを取得する別の方法についてのリンクまたは詳細が含まれる可能性があります) |
その他 | その他 | 失敗し、オプションでユーザーに応答本体を提示します。 |
3.3. 内部 OAuth サーバーのオプション
内部 OAuth サーバーには、いくつかの設定オプションを使用できます。
3.3.1. OAuth トークン期間のオプション
内部 OAuth サーバーは以下の 2 種類のトークンを生成します。
トークン | 説明 |
---|---|
アクセストークン | API へのアクセスを付与する永続的なトークン。 |
認証コード | アクセストークンの交換にのみ使われる一時的なトークン。 |
どちらの種類のトークンにもデフォルト期間を設定できます。必要な場合は、OAuthClient
オブジェクト定義を使用してアクセストークンの期間をオーバーライドできます。
3.3.2. OAuth 付与オプション
OAuth サーバーが、ユーザーが以前にパーミッションを付与していないクライアントに対するトークン要求を受信する場合、OAuth サーバーが実行するアクションは OAuth クライアントの付与ストラテジーによって変わります。
トークンを要求する OAuth クライアントは、独自の付与ストラテジーを提供する必要があります。
以下のデフォルトの方法を使用できます。
付与オプション | 説明 |
---|---|
| 付与を自動承認し、要求を再試行します。 |
| ユーザーに対して付与の承認または拒否を求めるプロンプトを出します。 |
3.4. 内部 OAuth サーバーのトークン期間の設定
内部 OAuth サーバーのトークン期間についてのデフォルトオプションを設定できます。
デフォルトで、トークンは 24 時間有効になります。24 時間を経過すると、既存のセッションは期限切れになります。
デフォルトの時間では十分ではない場合、以下の手順でこれを変更することができます。
手順
トークン期間オプションを含む設定ファイルを作成します。以下のファイルでは、これを、デフォルト値の 2 倍の 48 時間に設定しています。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: tokenConfig: accessTokenMaxAgeSeconds: 172800 1
- 1
accessTokenMaxAgeSeconds
を設定して、アクセストークンの有効期間を制御します。デフォルトの期間は 24 時間または 86400 秒です。この属性を負の値にすることはできません。ゼロに設定すると、デフォルトの有効期間が使用されます。
新規設定ファイルを適用します。
注記既存の OAuth サーバーを更新するため、
oc apply
コマンドを使用して変更を適用する必要があります。$ oc apply -f </path/to/file.yaml>
変更が有効になっていることを確認します。
$ oc describe oauth.config.openshift.io/cluster
出力例
... Spec: Token Config: Access Token Max Age Seconds: 172800 ...
3.5. 内部 OAuth サーバーのトークンの非アクティブタイムアウトの設定
OAuth トークンは、設定されるアクティブでない期間の経過後に期限切れになるように設定できます。デフォルトで、トークンの非アクティブタイムアウトは設定されません。
トークンの非アクティブタイムアウトが OAuth クライアントでも設定されている場合、その値は内部 OAuth サーバー設定で設定されるタイムアウトをオーバーライドします。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - アイデンティティープロバイダー (IDP) を設定している。
手順
OAuth
設定を更新して、トークンの非アクティブタイムアウトを設定します。OAuth
オブジェクトを編集します。$ oc edit oauth cluster
spec.tokenConfig.accessTokenInactivityTimeout
フィールドを追加し、タイムアウト値を設定します。apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: ... spec: tokenConfig: accessTokenInactivityTimeout: 400s 1
- 1
- 値は適切な単位で設定します。たとえば、400 秒の場合は
400s
に、30 分の場合は30m
に設定します。許可される最小のタイムアウト値は300s
です。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
OAuth サーバー Pod が再起動していることを確認します。
$ oc get clusteroperators authentication
以下の出力にあるように、
PROGRESSING
がFalse
と表示されるまで次の手順に移行しないでください。出力例
NAME VERSION AVAILABLE PROGRESSING DEGRADED SINCE authentication 4.9.0 True False False 145m
Kubernetes API サーバー Pod の新規リビジョンがロールアウトされていることを確認します。これには数分の時間がかかります。
$ oc get clusteroperators kube-apiserver
以下の出力にあるように、
PROGRESSING
がFalse
と表示されるまで次の手順に移行しないでください。出力例
NAME VERSION AVAILABLE PROGRESSING DEGRADED SINCE kube-apiserver 4.9.0 True False False 145m
PROGRESSING
がTrue
と表示されている場合は、数分待機してから再試行します。
検証
- IDP のアイデンティティーでクラスターにログインします。
- コマンドを実行して、コマンドが正常に実行されたことを確認します。
- アイデンティティーを使用せずに、設定されたタイムアウトよりも長く待機します。この手順の例では、400 秒よりも長い時間待機します。
同じアイデンティティーのセッションからのコマンドの実行を試行します。
非アクティブの状態が設定されたタイムアウトよりも長く続くとトークンの有効期限が切れるために、このコマンドは失敗します。
出力例
error: You must be logged in to the server (Unauthorized)
3.6. 内部 OAuth サーバー URL のカスタマイズ
クラスターIngress
設定のspec.component Routes
フィールドでカスタムホスト名と TLS 証明書を設定することにより、内部 OAuth サーバーの URL をカスタマイズできます。
内部 OAuth サーバーの URL を更新すると、OpenShift OAuth サーバーと通信して OAuth アクセストークンを取得する必要があるクラスター内のコンポーネントからの信頼が失われる可能性があります。OAuth サーバーを信頼する必要があるコンポーネントは、OAuth エンドポイントを呼び出すときに適切な CA バンドルを含める必要があります。以下に例を示します。
$ oc login -u <username> -p <password> --certificate-authority=<path_to_ca.crt> 1
- 1
- 自己署名証明書の場合、
ca.crt
ファイルにカスタム CA 証明書が含まれている必要があります。含まれていない場合、ログインは成功しません。
Cluster Authentication Operator は、OAuth サーバーのサービング証明書をopenshift-config-managed
namespace のoauth-serving-cert
設定マップに公開します。証明書は、設定マップのdata.ca-bundle.crt
キーにあります。
前提条件
- 管理者権限のあるユーザーでクラスターにログインしている。
openshift-config
namespace に TLS 証明書およびキーを含めたシークレットを作成している。これは、カスタムホスト名の接尾辞のドメインがクラスターのドメイン接尾辞に一致しない場合に必要です。接尾辞が一致する場合には、シークレットはオプションです。ヒントoc create secret tls
コマンドを使用して TLS シークレットを作成できます。
手順
クラスター
Ingress
設定を編集します。$ oc edit ingress.config.openshift.io cluster
カスタムのホスト名を設定し、オプションで提供する証明書とキーを設定します。
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: Ingress metadata: name: cluster spec: componentRoutes: - name: oauth-openshift namespace: openshift-authentication hostname: <custom_hostname> 1 servingCertKeyPairSecret: name: <secret_name> 2
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
3.7. OAuth サーバーメタデータ
OpenShift Container Platform で実行されているアプリケーションは、ビルトイン OAuth サーバーについての情報を検出する必要がある場合があります。たとえば、それらは <namespace_route>
のアドレスを手動の設定なしで検出する必要があります。これを支援するために、OpenShift Container Platform は IETF OAuth 2.0 Authorization Server Metadata ドラフト仕様を実装しています。
そのため、クラスター内で実行されているすべてのアプリケーションは、https://openshift.default.svc/.well-known/oauth-authorization-server に対して GET
要求を実行し、以下の情報を取得できます。
{ "issuer": "https://<namespace_route>", 1 "authorization_endpoint": "https://<namespace_route>/oauth/authorize", 2 "token_endpoint": "https://<namespace_route>/oauth/token", 3 "scopes_supported": [ 4 "user:full", "user:info", "user:check-access", "user:list-scoped-projects", "user:list-projects" ], "response_types_supported": [ 5 "code", "token" ], "grant_types_supported": [ 6 "authorization_code", "implicit" ], "code_challenge_methods_supported": [ 7 "plain", "S256" ] }
- 1
https
スキームを使用し、クエリーまたはフラグメントコンポーネントがない認可サーバーの発行者 ID です。これは、認可サーバーについての情報が含まれる.well-known
RFC 5785 リソースが公開される場所です。- 2
- 認可サーバーの認可エンドポートの URL です。RFC 6749 を参照してください。
- 3
- 認可サーバーのトークンエンドポイントの URL です。RFC 6749 を参照してください。
- 4
- この認可サーバーがサポートする OAuth 2.0 RFC 6749 スコープの値の一覧を含む JSON 配列です。サポートされるスコープの値すべてが公開される訳ではないことに注意してください。
- 5
- この認可サーバーがサポートする OAuth 2.0
response_type
値の一覧を含む JSON 配列です。使用される配列の値は、RFC 7591 の OAuth 2.0 Dynamic Client Registration Protocol で定義されるresponse_types
パラメーターで使用されるものと同じです。 - 6
- この認可サーバーがサポートする OAuth 2.0 grant type の値の一覧が含まれる JSON 配列です。使用される配列の値は、RFC 7591 の
OAuth 2.0 Dynamic Client Registration Protocol
で定義されるgrant_types
パラメーターで使用されるものと同じです。 - 7
- この認可サーバーでサポートされる PKCE RFC 7636 コードのチャレンジメソッドの一覧が含まれる JSON 配列です。コード のチャレンジメソッドの値は、RFC 7636 のセクション 4.3 で定義される
code_challenge_method
パラメーターで使用されます。有効なコードのチャレンジメソッドの値は、IANAPKCE Code Challenge Methods
レジストリーで登録される値です。IANA OAuth パラメーター を参照してください。
3.8. OAuth API イベントのトラブルシューティング
API サーバーは、API マスターログへの直接的なアクセスがないとデバッグが困難な unexpected condition
のエラーメッセージを返すことがあります。このエラーの根本的な理由は意図的に非表示にされます。 認証されていないユーザーにサーバーの状態についての情報を提供することを避けるためです。
これらのエラーのサブセットは、サービスアカウントの OAuth 設定の問題に関連するものです。これらの問題は、管理者以外のユーザーが確認できるイベントでキャプチャーされます。unexpected condition
というサーバーエラーが OAuth の実行時に発生する場合、oc get events
を実行し、これらのイベントについて ServiceAccount
で確認します。
以下の例では、適切な OAuth リダイレクト URI がないサービスアカウントに対して警告しています。
$ oc get events | grep ServiceAccount
出力例
1m 1m 1 proxy ServiceAccount Warning NoSAOAuthRedirectURIs service-account-oauth-client-getter system:serviceaccount:myproject:proxy has no redirectURIs; set serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<some-value>=<redirect> or create a dynamic URI using serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.<some-value>=<reference>
oc describe sa/<service_account_name>
を実行すると、指定のサービスアカウント名に関連付けられた OAuth イベントが報告されます。
$ oc describe sa/proxy | grep -A5 Events
出力例
Events: FirstSeen LastSeen Count From SubObjectPath Type Reason Message --------- -------- ----- ---- ------------- -------- ------ ------- 3m 3m 1 service-account-oauth-client-getter Warning NoSAOAuthRedirectURIs system:serviceaccount:myproject:proxy has no redirectURIs; set serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<some-value>=<redirect> or create a dynamic URI using serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.<some-value>=<reference>
以下は生じる可能性のあるイベントエラーの一覧です。
リダイレクト URI アノテーションが指定されていないか、無効な URI が指定されている
Reason Message NoSAOAuthRedirectURIs system:serviceaccount:myproject:proxy has no redirectURIs; set serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<some-value>=<redirect> or create a dynamic URI using serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.<some-value>=<reference>
無効なルートが指定されている
Reason Message NoSAOAuthRedirectURIs [routes.route.openshift.io "<name>" not found, system:serviceaccount:myproject:proxy has no redirectURIs; set serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<some-value>=<redirect> or create a dynamic URI using serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.<some-value>=<reference>]
無効な参照タイプが指定されている
Reason Message NoSAOAuthRedirectURIs [no kind "<name>" is registered for version "v1", system:serviceaccount:myproject:proxy has no redirectURIs; set serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<some-value>=<redirect> or create a dynamic URI using serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.<some-value>=<reference>]
SA トークンがない
Reason Message NoSAOAuthTokens system:serviceaccount:myproject:proxy has no tokens
第4章 OAuth クライアントの設定
OpenShift Container Platform では、いくつかの OAuth クライアントがデフォルトで作成されます。追加の OAuth クライアントを登録し、設定することもできます。
4.1. デフォルトの OAuth クライアント
以下の OAuth クライアントは、OpenShift Container Platform API の起動時に自動的に作成されます。
OAuth クライアント | 使用法 |
---|---|
|
対話式ログインを処理できるユーザーエージェントで |
|
|
<namespace_route>
は namespace のルートを参照します。これは、以下のコマンドを実行して確認できます。$ oc get route oauth-openshift -n openshift-authentication -o json | jq .spec.host
4.2. 追加の OAuth クライアントの登録
OpenShift Container Platform クラスターの認証を管理するために追加の OAuth クライアントが必要になる場合は、これを登録することができます。
手順
追加の OAuth クライアントを登録するには、以下を実行します。
$ oc create -f <(echo ' kind: OAuthClient apiVersion: oauth.openshift.io/v1 metadata: name: demo 1 secret: "..." 2 redirectURIs: - "http://www.example.com/" 3 grantMethod: prompt 4 ')
- 1
- OAuth クライアントの
name
は、<namespace_route>/oauth/authorize
および<namespace_route>/oauth/token
への要求を実行する際にclient_id
パラメーターとして使用されます。 - 2
secret
は、<namespace_route>/oauth/token
への要求の実行時にclient_secret
パラメーターとして使用されます。- 3
<namespace_route>/oauth/authorize
および<namespace_route>/oauth/token
への要求で指定されるredirect_uri
パラメーターは、redirectURIs
パラメーター値に一覧表示されるいずれかの URI と等しいか、またはこれによって接頭辞が付けられている必要があります。- 4
grantMethod
は、このクライアントがトークンを要求するものの、ユーザーによってアクセスが付与されていない場合に実行するアクションを判別するために使用されます。付与を自動的に承認し、要求を再試行するにはauto
を指定し、ユーザーに対して付与の承認または付与を求めるプロンプトを出す場合にはprompt
を指定します。
4.3. OAuth クライアントのトークンの非アクティブタイムアウトの設定
OAuth クライアントを、設定されるアクティブでない期間の経過後に OAuth トークンの期限が切れるように設定できます。デフォルトで、トークンの非アクティブタイムアウトは設定されません。
トークンの非アクティブタイムアウトが内部 OAuth サーバー設定でも設定されている場合、OAuth クライアントで設定されるタイムアウトはその値をオーバーライドします。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 - アイデンティティープロバイダー (IDP) を設定している。
手順
OAuthClient
クライアント設定を更新して、トークンの非アクティブタイムアウトを設定します。OAuthClient
オブジェクトを編集します。$ oc edit oauthclient <oauth_client> 1
- 1
<oauth_client>
を設定する OAuth クライアントに置き換えます (例:console
)。
accessTokenInactivityTimeoutSeconds
フィールドを追加し、タイムアウト値を設定します。apiVersion: oauth.openshift.io/v1 grantMethod: auto kind: OAuthClient metadata: ... accessTokenInactivityTimeoutSeconds: 600 1
- 1
- 許可される最小のタイムアウト値 (秒単位) は
300
です。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
検証
- IDP のアイデンティティーでクラスターにログインします。設定したばかりの OAuth クライアントを使用するようにしてください。
- アクションを実行し、これが正常に実行されたことを確認します。
- アイデンティティーを使用せずに、設定されたタイムアウトよりも長く待機します。この手順の例では、600 秒よりも長い時間待機します。
同じアイデンティティーのセッションからアクションの実行を試みます。
非アクティブの状態が設定されたタイムアウトよりも長く続くとトークンの有効期限が切れるために、この試行は失敗します。
4.4. 関連情報
第5章 ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの管理
ユーザーは、独自の OAuth アクセストークンを確認し、不要になったものを削除できます。
5.1. ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの一覧表示
ユーザーが所有する OAuth アクセストークンを一覧表示できます。トークン名には機密性がなく、ログインには使用できません。
手順
ユーザーが所有する OAuth アクセストークンを一覧表示します。
$ oc get useroauthaccesstokens
出力例
NAME CLIENT NAME CREATED EXPIRES REDIRECT URI SCOPES <token1> openshift-challenging-client 2021-01-11T19:25:35Z 2021-01-12 19:25:35 +0000 UTC https://oauth-openshift.apps.example.com/oauth/token/implicit user:full <token2> openshift-browser-client 2021-01-11T19:27:06Z 2021-01-12 19:27:06 +0000 UTC https://oauth-openshift.apps.example.com/oauth/token/display user:full <token3> console 2021-01-11T19:26:29Z 2021-01-12 19:26:29 +0000 UTC https://console-openshift-console.apps.example.com/auth/callback user:full
特定の OAuth クライアントのユーザーが所有する OAuth アクセストークンを一覧表示します。
$ oc get useroauthaccesstokens --field-selector=clientName="console"
出力例
NAME CLIENT NAME CREATED EXPIRES REDIRECT URI SCOPES <token3> console 2021-01-11T19:26:29Z 2021-01-12 19:26:29 +0000 UTC https://console-openshift-console.apps.example.com/auth/callback user:full
5.2. ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの詳細の表示
ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの詳細を表示します。
手順
ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの詳細を記述します。
$ oc describe useroauthaccesstokens <token_name>
出力例
Name: <token_name> 1 Namespace: Labels: <none> Annotations: <none> API Version: oauth.openshift.io/v1 Authorize Token: sha256~Ksckkug-9Fg_RWn_AUysPoIg-_HqmFI9zUL_CgD8wr8 Client Name: openshift-browser-client 2 Expires In: 86400 3 Inactivity Timeout Seconds: 317 4 Kind: UserOAuthAccessToken Metadata: Creation Timestamp: 2021-01-11T19:27:06Z Managed Fields: API Version: oauth.openshift.io/v1 Fields Type: FieldsV1 fieldsV1: f:authorizeToken: f:clientName: f:expiresIn: f:redirectURI: f:scopes: f:userName: f:userUID: Manager: oauth-server Operation: Update Time: 2021-01-11T19:27:06Z Resource Version: 30535 Self Link: /apis/oauth.openshift.io/v1/useroauthaccesstokens/<token_name> UID: f9d00b67-ab65-489b-8080-e427fa3c6181 Redirect URI: https://oauth-openshift.apps.example.com/oauth/token/display Scopes: user:full 5 User Name: <user_name> 6 User UID: 82356ab0-95f9-4fb3-9bc0-10f1d6a6a345 Events: <none>
5.3. ユーザーが所有する OAuth アクセストークンの削除
oc logout
コマンドは、アクティブなセッションの OAuth トークンのみを無効にします。以下の手順を使用して、不要になったユーザーが所有する OAuth トークンを削除できます。
OAuth アクセストークンを削除すると、そのトークンを使用するすべてのセッションからユーザーをログアウトします。
手順
ユーザーが所有する OAuth アクセストークンを削除します。
$ oc delete useroauthaccesstokens <token_name>
出力例
useroauthaccesstoken.oauth.openshift.io "<token_name>" deleted
第6章 アイデンティティープロバイダー設定について
OpenShift Container Platform マスターには、組み込まれた OAuth サーバーが含まれます。開発者および管理者は OAuth アクセストークンを取得して、API に対して認証します。
管理者は、クラスターのインストール後に、OAuth をアイデンティティープロバイダーを指定するように設定できます。
6.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
6.2. サポートされるアイデンティティープロバイダー
以下の種類のアイデンティティープロバイダーを設定できます。
アイデンティティープロバイダー | 説明 |
---|---|
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
|
アイデンティティープロバイダーが定義された後に、RBAC を使用してパーミッションの定義および適用 を実行できます。
6.3. kubeadmin ユーザーの削除
アイデンティティープロバイダーを定義し、新規 cluster-admin
ユーザーを作成した後に、クラスターのセキュリティーを強化するために kubeadmin
を削除できます。
別のユーザーが cluster-admin
になる前にこの手順を実行する場合、OpenShift Container Platform は再インストールされる必要があります。このコマンドをやり直すことはできません。
前提条件
- 1 つ以上のアイデンティティープロバイダーを設定しておく必要があります。
-
cluster-admin
ロールをユーザーに追加しておく必要があります。 - 管理者としてログインしている必要があります。
手順
kubeadmin
シークレットを削除します。$ oc delete secrets kubeadmin -n kube-system
6.4. アイデンティティープロバイダーパラメーター
以下のパラメーターは、すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターです。
パラメーター | 説明 |
---|---|
| プロバイダー名は、プロバイダーのユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。 |
| 新規アイデンティティーがログイン時にユーザーにマップされる方法を定義します。以下の値のいずれかを入力します。
|
mappingMethod
パラメーターを add
に設定すると、アイデンティティープロバイダーの追加または変更時に新規プロバイダーのアイデンティティーを既存ユーザーにマッピングできます。
6.5. アイデンティティープロバイダー CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、アイデンティティープロバイダーを設定するために使用するパラメーターおよびデフォルト値を示します。この例では、htpasswd アイデンティティープロバイダーを使用しています。
アイデンティティープロバイダー CR のサンプル
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: my_identity_provider 1 mappingMethod: claim 2 type: HTPasswd htpasswd: fileData: name: htpass-secret 3
第7章 アイデンティティープロバイダーの設定
7.1. htpasswd アイデンティティープロバイダーの設定
htpasswd
アイデンティティープロバイダーを設定して、ユーザーが htpasswd ファイルの認証情報を使用して OpenShift Container Platform にログインできるようにします。
htpasswd ID プロバイダーを定義するには、次のタスクを実行します。
-
ユーザーおよびパスワード情報を保存するために
htpasswd
ファイルを作成 します。 -
htpasswd
ファイルを表す シークレットを作成 します。 - シークレットを参照する htpasswd ID プロバイダーリソースを定義 します。
- デフォルトの OAuth 設定に リソースを適用して、ID プロバイダーを追加します。
7.1.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.1.2. htpasswd 認証について
OpenShift Container Platform で htpasswd 認証を使用すると、htpasswd ファイルに基づいてユーザーを識別できます。htpasswd ファイルは、各ユーザーのユーザー名とハッシュ化されたパスワードを含むフラットファイルです。htpasswd
ユーティリティーを使用して、このファイルを作成できます。
7.1.3. htpasswd ファイルの作成
htpasswd ファイルの作成方法は、次のいずれかのセクションを参照してください。
7.1.3.1. Linux を使用した htpasswd ファイルの作成
htpasswd アイデンティティープロバイダーを使用するには、htpasswd
を使用してクラスターのユーザー名およびパスワードを含むフラットファイルを生成する必要があります。
前提条件
-
htpasswd
ユーティリティーへのアクセスがあること。Red Hat Enterprise Linux では、これはhttpd-tools
パッケージをインストールして利用できます。
手順
ユーザー名およびハッシュされたパスワードを含むフラットファイルを作成します。
$ htpasswd -c -B -b </path/to/users.htpasswd> <user_name> <password>
コマンドにより、ハッシュされたバージョンのパスワードが生成されます。
以下に例を示します。
$ htpasswd -c -B -b users.htpasswd user1 MyPassword!
出力例
Adding password for user user1
ファイルに対する認証情報の追加またはその更新を継続します。
$ htpasswd -B -b </path/to/users.htpasswd> <user_name> <password>
7.1.3.2. Windows を使用した htpasswd ファイルの作成
htpasswd アイデンティティープロバイダーを使用するには、htpasswd
を使用してクラスターのユーザー名およびパスワードを含むフラットファイルを生成する必要があります。
前提条件
-
htpasswd.exe
へのアクセスがあること。このファイルは、数多くの Apache httpd ディストリビューションの\bin
ディレクトリーに含まれます。
手順
ユーザー名およびハッシュされたパスワードを含むフラットファイルを作成します。
> htpasswd.exe -c -B -b <\path\to\users.htpasswd> <user_name> <password>
コマンドにより、ハッシュされたバージョンのパスワードが生成されます。
以下に例を示します。
> htpasswd.exe -c -B -b users.htpasswd user1 MyPassword!
出力例
Adding password for user user1
ファイルに対する認証情報の追加またはその更新を継続します。
> htpasswd.exe -b <\path\to\users.htpasswd> <user_name> <password>
7.1.4. htpasswd シークレットの作成
htpasswd アイデンティティープロバイダーを使用するには、htpasswd ユーザーファイルが含まれるシークレットを定義する必要があります。
前提条件
- htpasswd ファイルを作成します。
手順
htpasswd ユーザーファイルが含まれる
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic htpass-secret --from-file=htpasswd=<path_to_users.htpasswd> -n openshift-config 1
- 1
- 上記のコマンドが示すように、
--from-file
引数についてのユーザーファイルを含むシークレットキーにはhtpasswd
という名前を指定する必要があります。
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: htpass-secret namespace: openshift-config type: Opaque data: htpasswd: <base64_encoded_htpasswd_file_contents>
7.1.5. htpasswd CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、htpasswd アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
htpasswd CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: my_htpasswd_provider 1 mappingMethod: claim 2 type: HTPasswd htpasswd: fileData: name: htpass-secret 3
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.1.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.1.7. htpasswd アイデンティティープロバイダーの更新
既存の htpasswd アイデンティティープロバイダーにユーザーを追加したり、既存の htpasswd アイデンティティープロバイダーからユーザーを削除したりできます。
前提条件
-
htpasswd ユーザーファイルが含まれる
Secret
オブジェクトを作成している。この手順では、htpass-secret
という名前であることを前提としています。 -
htpasswd アイデンティティープロバイダーを設定している。この手順では、
my_htpasswd_provider
という名前であることを前提としています。 -
htpasswd
ユーティリティーへのアクセスがある。Red Hat Enterprise Linux では、これはhttpd-tools
パッケージをインストールして利用できます。 - クラスター管理者の権限がある。
手順
htpasswd ファイルを
htpass-secret
Secret
オブジェクトから取得し、ファイルをお使いのファイルシステムに保存します。$ oc get secret htpass-secret -ojsonpath={.data.htpasswd} -n openshift-config | base64 --decode > users.htpasswd
users.htpasswd
ファイルからユーザーを追加したり、削除したりします。新規ユーザーを追加するには、以下を実行します。
$ htpasswd -bB users.htpasswd <username> <password>
出力例
Adding password for user <username>
既存ユーザーを削除するには、以下を実行します。
$ htpasswd -D users.htpasswd <username>
出力例
Deleting password for user <username>
htpass-secret
Secret
オブジェクトを、users.htpasswd
ファイルの更新されたユーザーに置き換えます。$ oc create secret generic htpass-secret --from-file=htpasswd=users.htpasswd --dry-run=client -o yaml -n openshift-config | oc replace -f -
ヒントまたは、以下の YAML を適用して Operator を置き換えることもできます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: htpass-secret namespace: openshift-config type: Opaque data: htpasswd: <base64_encoded_htpasswd_file_contents>
複数のユーザーを削除した場合は、追加でユーザーごとに既存のリソースを削除する必要があります。
User
オブジェクトを削除します。$ oc delete user <username>
出力例
user.user.openshift.io "<username>" deleted
ユーザーを必ず削除してください。削除しない場合、ユーザーは期限切れでない限り、トークンを引き続き使用できます。
ユーザーの
Identity
オブジェクトを削除します。$ oc delete identity my_htpasswd_provider:<username>
出力例
identity.user.openshift.io "my_htpasswd_provider:<username>" deleted
7.1.8. Web コンソールを使用したアイデンティティープロバイダーの設定
CLI ではなく Web コンソールを使用してアイデンティティープロバイダー (IDP) を設定します。
前提条件
- クラスター管理者として Web コンソールにログインしている必要があります。
手順
- Administration → Cluster Settings に移動します。
- Configuration タブで、OAuth をクリックします。
- Identity Providers セクションで、Add ドロップダウンメニューからアイデンティティープロバイダーを選択します。
既存の IDP を上書きすることなく、Web コンソールで複数の IDP を指定することができます。
7.2. Keystone アイデンティティープロバイダーの設定
keystone
アイデンティティープロバイダーを、OpenShift Container Platform クラスターを Keystone に統合し、ユーザーを内部データベースに保存するように設定された OpenStack Keystone v3 サーバーによる共有認証を有効にするように設定します。この設定により、ユーザーは Keystone 認証情報を使って OpenShift Container Platform にログインできます。
7.2.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.2.2. Keystone 認証について
Keystone は、アイデンティティー、トークン、カタログ、およびポリシーサービスを提供する OpenStack プロジェクトです。
新規 OpenShift Container Platform ユーザーが Keystone ユーザー名または一意の Keystone ID をベースに設定されるように Keystone との統合を設定できます。どちらの方法でも、ユーザーは Keystone ユーザー名およびパスワードを入力してログインします。OpenShift Container Platform ユーザーを Keystone ID に基づいて作成すると、より安全になります。これは、Keystone ユーザーを削除し、そのユーザー名で新しい Keystone ユーザーを作成すると、新しいユーザーが古いユーザーのリソースにアクセスできる可能性があるためです。
7.2.3. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、キーおよび証明書が含まれる
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret tls <secret_name> --key=key.pem --cert=cert.pem -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: kubernetes.io/tls data: tls.crt: <base64_encoded_cert> tls.key: <base64_encoded_key>
7.2.4. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.2.5. Keystone CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、Keystone アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
Keystone CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: keystoneidp 1 mappingMethod: claim 2 type: Keystone keystone: domainName: default 3 url: https://keystone.example.com:5000 4 ca: 5 name: ca-config-map tlsClientCert: 6 name: client-cert-secret tlsClientKey: 7 name: client-key-secret
- 1
- このプロバイダー名は、プロバイダーのユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- Keystone のドメイン名です。Keystone では、ユーザー名はドメインに固有の名前です。単一ドメインのみがサポートされます。
- 4
- Keystone サーバーへの接続に使用する URL です (必須) 。https を使用する必要があります。
- 5
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。 - 6
- オプション: 設定済み URL への要求を実行する際に存在させるクライアント証明書を含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 7
- クライアント証明書のキーを含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。tlsClientCert
が指定されている場合には必須になります。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.2.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.3. LDAP アイデンティティープロバイダーの設定
ldap
アイデンティティープロバイダーを、単純なバインド認証を使用して LDAPv3 サーバーに対してユーザー名とパスワードを検証するように設定します。
7.3.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.3.2. LDAP 認証について
認証時に、指定されたユーザー名に一致するエントリーが LDAP ディレクトリーで検索されます。単一の一意の一致が見つかった場合、エントリーの識別名 (DN) と指定されたパスワードを使用した単純なバインドが試みられます。
以下の手順が実行されます。
-
設定された
url
の属性およびフィルターとユーザーが指定したユーザー名を組み合わせて検索フィルターを生成します。 - 生成されたフィルターを使用してディレクトリーを検索します。検索によって 1 つもエントリーが返されない場合は、アクセスを拒否します。
- 検索で取得したエントリーの DN とユーザー指定のパスワードを使用して LDAP サーバーへのバインドを試みます。
- バインドが失敗した場合は、アクセスを拒否します。
- バインドが成功した場合は、アイデンティティー、電子メールアドレス、表示名、および推奨ユーザー名として設定された属性を使用してアイデンティティーを作成します。
設定される url
は、LDAP ホストと使用する検索パラメーターを指定する RFC 2255 URL です。URL の構文は以下のようになります。
ldap://host:port/basedn?attribute?scope?filter
この URL の場合:
URL コンポーネント | 説明 |
---|---|
|
通常の LDAP の場合は、文字列 |
|
LDAP サーバーの名前とポートです。デフォルトは、ldap の場合は |
| すべての検索が開始されるディレクトリーのブランチの DN です。これは少なくともディレクトリーツリーの最上位になければなりませんが、ディレクトリーのサブツリーを指定することもできます。 |
|
検索対象の属性です。RFC 2255 はコンマ区切りの属性の一覧を許可しますが、属性をどれだけ指定しても最初の属性のみが使用されます。属性を指定しない場合は、デフォルトで |
|
検索の範囲です。 |
|
有効な LDAP 検索フィルターです。指定しない場合、デフォルトは |
検索の実行時に属性、フィルター、指定したユーザー名が組み合わされて以下のような検索フィルターが作成されます。
(&(<filter>)(<attribute>=<username>))
たとえば、以下の URL について見てみましょう。
ldap://ldap.example.com/o=Acme?cn?sub?(enabled=true)
クライアントが bob
というユーザー名を使用して接続を試みる場合、生成される検索フィルターは (&(enabled=true)(cn=bob))
になります。
LDAP ディレクトリーの検索に認証が必要な場合は、エントリー検索の実行に使用する bindDN
と bindPassword
を指定します。
7.3.3. LDAP シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーを使用するには、bindPassword
が含まれる OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを定義する必要があります。
手順
bindPassword
フィールドが含まれるSecret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic ldap-secret --from-literal=bindPassword=<secret> -n openshift-config 1
- 1
--from-literal
引数についての bindPassword を含むシークレットキーはbindPassword
として指定する必要があります。
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: ldap-secret namespace: openshift-config type: Opaque data: bindPassword: <base64_encoded_bind_password>
7.3.4. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.3.5. LDAP CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、LDAP アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示しています。
LDAP CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: ldapidp 1 mappingMethod: claim 2 type: LDAP ldap: attributes: id: 3 - dn email: 4 - mail name: 5 - cn preferredUsername: 6 - uid bindDN: "" 7 bindPassword: 8 name: ldap-secret ca: 9 name: ca-config-map insecure: false 10 url: "ldaps://ldaps.example.com/ou=users,dc=acme,dc=com?uid" 11
- 1
- このプロバイダー名は返されるユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- アイデンティティーとして使用する属性の一覧です。最初の空でない属性が使用されます。少なくとも 1 つの属性が必要です。一覧表示される属性のいずれにも値がない場合、認証は失敗します。定義される属性は raw データとして取得され、バイナリー値の使用を許可します。
- 4
- メールアドレスとして使用する属性の一覧です。最初の空でない属性が使用されます。
- 5
- 表示名として使用する属性の一覧です。最初の空でない属性が使用されます。
- 6
- このアイデンティティーのユーザーをプロビジョニングする際に推奨ユーザー名として使用する属性の一覧です。最初の空でない属性が使用されます。
- 7
- 検索フェーズでバインドするために使用するオプションの DN です。
bindPassword
が定義される場合に設定される必要があります。 - 8
- オプション: バインドパスワードを含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。bindDN
が定義される場合に設定される必要があります。 - 9
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。insecure
がfalse
の場合にのみ使用されます。 - 10
true
の場合、サーバーへの TLS 接続は行われません。false
の場合、ldaps://
URL は TLS を使用して接続し、ldap://
URL は TLS にアップグレードされます。これは、ldaps://
URL が使用されている場合はfalse
に設定される必要があります。 これらの URL は常に TLS を使用して接続を試行します。- 11
- LDAP ホストと使用する検索パラメーターを指定する RFC 2255 URL です。
LDAP 統合のためのユーザーのホワイトリストを作成するには、lookup
マッピング方法を使用します。LDAP からのログインが許可される前に、クラスター管理者は各 LDAP ユーザーの Identity
オブジェクトと User
オブジェクトを作成する必要があります。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.3.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.4. Basic 認証アイデンティティープロバイダーの設定
basic-authentication
アイデンティティープロバイダーを、ユーザーがリモートアイデンティティープロバイダーに対して検証された認証情報を使って OpenShift Container Platform にログインできるように設定します。Basic 認証は、汎用的なバックエンド統合メカニズムです。
7.4.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.4.2. Basic 認証について
Basic 認証は、ユーザーがリモートのアイデンティティープロバイダーに対して検証した認証情報を使用して OpenShift Container Platform にログインすることを可能にする汎用バックエンド統合メカニズムです。
Basic 認証は汎用性があるため、このアイデンティティープロバイダー使用して詳細な認証設定を実行できます。
Basic 認証では、ユーザー ID とパスワードのスヌーピングを防ぎ、中間者攻撃を回避するためにリモートサーバーへの HTTPS 接続を使用する必要があります。
Basic 認証が設定されると、ユーザーはユーザー名とパスワードを OpenShift Container Platform に送信し、サーバー間の要求を行い、認証情報を Basic 認証ヘッダーとして渡すことで、これらの認証情報をリモートサーバーに対して検証することができます。このため、ユーザーはログイン時に認証情報を OpenShift Container Platform に送信する必要があります。
これはユーザー名/パスワードログインの仕組みにのみ有効で、OpenShift Container Platform はリモート認証サーバーに対するネットワーク要求を実行できる必要があります。
ユーザー名およびパスワードは Basic 認証で保護されるリモート URL に対して検証され、JSON が返されます。
401
応答は認証の失敗を示しています。
200
以外のステータスまたは空でないエラーキーはエラーを示しています。
{"error":"Error message"}
sub
(サブジェクト) キーを持つ 200
ステータスは、成功を示しています。
{"sub":"userid"} 1
- 1
- このサブジェクトは認証ユーザーに固有である必要があり、変更することができません。
正常な応答により、以下のような追加データがオプションで提供されることがあります。
name
キーを使用した表示名。以下に例を示します。{"sub":"userid", "name": "User Name", ...}
email
キーを使用したメールアドレス。以下に例を示します。{"sub":"userid", "email":"user@example.com", ...}
preferred_username
キーを使用した推奨ユーザー名。これは、固有の変更できないサブジェクトがデータベースキーまたは UID であり、判読可能な名前が存在する場合に便利です。これは、認証されたアイデンティティーの OpenShift Container Platform ユーザーをプロビジョニングする場合にヒントとして使われます。以下に例を示します。{"sub":"014fbff9a07c", "preferred_username":"bob", ...}
7.4.3. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、キーおよび証明書が含まれる
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret tls <secret_name> --key=key.pem --cert=cert.pem -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: kubernetes.io/tls data: tls.crt: <base64_encoded_cert> tls.key: <base64_encoded_key>
7.4.4. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.4.5. Basic 認証 CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、Basic 認証アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
Basic 認証 CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: basicidp 1 mappingMethod: claim 2 type: BasicAuth basicAuth: url: https://www.example.com/remote-idp 3 ca: 4 name: ca-config-map tlsClientCert: 5 name: client-cert-secret tlsClientKey: 6 name: client-key-secret
- 1
- このプロバイダー名は返されるユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- Basic 認証ヘッダーで認証情報を受け入れる URL。
- 4
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。 - 5
- オプション: 設定済み URL への要求を実行する際に存在させるクライアント証明書を含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 6
- クライアント証明書のキーを含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。tlsClientCert
が指定されている場合には必須になります。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.4.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.4.7. 基本的なアイデンティティープロバイダーの Apache HTTPD 設定の例
OpenShift Container Platform 4 の基本的なアイデンティティープロバイダー (IDP) 設定では、IDP サーバーが成功および失敗について JSON で応答する必要があります。これを可能にするために、Apache HTTPD で CGI スクリプトを使用できます。本セクションでは、いくつかの例を紹介します。
例: /etc/httpd/conf.d/login.conf
<VirtualHost *:443> # CGI Scripts in here DocumentRoot /var/www/cgi-bin # SSL Directives SSLEngine on SSLCipherSuite PROFILE=SYSTEM SSLProxyCipherSuite PROFILE=SYSTEM SSLCertificateFile /etc/pki/tls/certs/localhost.crt SSLCertificateKeyFile /etc/pki/tls/private/localhost.key # Configure HTTPD to execute scripts ScriptAlias /basic /var/www/cgi-bin # Handles a failed login attempt ErrorDocument 401 /basic/fail.cgi # Handles authentication <Location /basic/login.cgi> AuthType Basic AuthName "Please Log In" AuthBasicProvider file AuthUserFile /etc/httpd/conf/passwords Require valid-user </Location> </VirtualHost>
例: /var/www/cgi-bin/login.cgi
#!/bin/bash echo "Content-Type: application/json" echo "" echo '{"sub":"userid", "name":"'$REMOTE_USER'"}' exit 0
例: /var/www/cgi-bin/fail.cgi
#!/bin/bash echo "Content-Type: application/json" echo "" echo '{"error": "Login failure"}' exit 0
7.4.7.1. ファイルの要件
Apache HTTPD Web サーバーで作成するファイルの要件は以下のとおりです。
-
login.cgi
およびfail.cgi
は実行可能 (chmod +x
) である必要があります。 -
login.cgi
およびfail.cgi
には、SELinux が有効にされている場合、適切な SELinux コンテキストがなければなりません:restorecon -RFv /var/www/cgi-bin
、またはコンテキストがls -laZ
を使用してhttpd_sys_script_exec_t
であることを確認します。 -
login.cgi
は、ユーザーがRequire and Auth
ディレクティブを使用して正常にログインできる場合にのみ実行されます。 -
fail.cgi
は、ユーザーがログインに失敗する場合に実行されます (HTTP 401
応答が返されます)。
7.4.8. Basic 認証のトラブルシューティング
最もよく起こる問題は、バックエンドサーバーへのネットワーク接続に関連しています。簡単なデバッグの場合は、マスターで curl
コマンドを実行します。正常なログインをテストするには、以下のコマンド例の <user>
と <password>
を有効な認証情報に置き換えます。無効なログインをテストするには、それらを正しくない認証情報に置き換えます。
$ curl --cacert /path/to/ca.crt --cert /path/to/client.crt --key /path/to/client.key -u <user>:<password> -v https://www.example.com/remote-idp
正常な応答
sub
(サブジェクト) キーを持つ 200
ステータスは、成功を示しています。
{"sub":"userid"}
サブジェクトは認証ユーザーに固有である必要があり、変更することはできません。
正常な応答により、以下のような追加データがオプションで提供されることがあります。
name
キーを使用した表示名:{"sub":"userid", "name": "User Name", ...}
email
キーを使用したメールアドレス:{"sub":"userid", "email":"user@example.com", ...}
preferred_username
キーを使用した推奨ユーザー名:{"sub":"014fbff9a07c", "preferred_username":"bob", ...}
preferred_username
キーは、固有の変更できないサブジェクトがデータベースキーまたは UID であり、判読可能な名前が存在する場合に便利です。これは、認証されたアイデンティティーの OpenShift Container Platform ユーザーをプロビジョニングする場合にヒントとして使われます。
失敗の応答
-
401
応答は認証の失敗を示しています。 -
200
以外のステータスまたは空でないエラーキーはエラーを示しています:{"error":"Error message"}
7.5. 要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーの設定
request-header
アイデンティティープロバイダーを、X-Remote-User
などの要求ヘッダー値から識別するように設定します。通常、これは要求ヘッダー値を設定する認証プロキシーと併用されます。
7.5.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.5.2. 要求ヘッダー認証について
要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーは、X-Remote-User
などの要求ヘッダー値からユーザーを識別します。通常、これは要求ヘッダー値を設定する認証プロキシーと併用されます。要求ヘッダーのアイデンティティープロバイダーは、htpasswd、Keystone、LDAP、Basic 認証などの直接パスワードログインを使用する他のアイデンティティープロバイダーと組み合わせることはできません。
さらに、コミュニティーでサポートされる SAML 認証 などの詳細な設定に要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーを使用できます。このソリューションは Red Hat ではサポートされていないことに注意してください。
ユーザーがこのアイデンティティープロバイダーを使用して認証を行うには、認証プロキシー経由で https://<namespace_route>/oauth/authorize
(およびサブパス) にアクセスする必要があります。これを実行するには、OAuth トークンに対する非認証の要求を https://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシー処理するプロキシーエンドポイントにリダイレクトするよう OAuth サーバーを設定します。
ブラウザーベースのログインフローが想定されるクライアントからの非認証要求をリダイレクトするには、以下を実行します。
-
provider.loginURL
パラメーターをインタラクティブなクライアントを認証する認証プロキシー URL に設定してから、要求をhttps://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーします。
WWW-Authenticate
チャレンジが想定されるクライアントからの非認証要求をリダイレクトするには、以下を実行します。
-
provider.challengeURL
パラメーターをWWW-Authenticate
チャレンジが予想されるクライアントを認証する認証プロキシー URL に設定し、要求をhttps://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーします。
provider.challengeURL
および provider.loginURL
パラメーターには、URL のクエリー部分に以下のトークンを含めることができます。
${url}
は現在の URL と置き換えられ、エスケープされてクエリーパラメーターで保護されます。例:
https://www.example.com/sso-login?then=${url}
${query}
は最新のクエリー文字列と置き換えられ、エスケープされません。例:
https://www.example.com/auth-proxy/oauth/authorize?${query}
OpenShift Container Platform 4.1 の時点で、プロキシーは相互 TLS をサポートしている必要があります。
7.5.2.1. Microsoft Windows での SSPI 接続サポート
Microsoft Windows での SSPI 接続サポートの使用はテクノロジープレビュー機能としてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
OpenShift CLI (oc
) は、Microsoft Windows での SSO フローを許可するために Security Support Provider Interface (SSPI) をサポートします。要求ヘッダーのアイデンティティープロバイダーを GSSAPI 対応プロキシーと共に使用して Active Directory サーバーを OpenShift Container Platform に接続する場合、ユーザーは、ドメイン参加済みの Microsoft Windows コンピューターから oc
コマンドラインインターフェイスを使用して OpenShift Container Platform に対して自動的に認証されます。
7.5.3. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.5.4. 要求ヘッダー CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
要求ヘッダー CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: requestheaderidp 1 mappingMethod: claim 2 type: RequestHeader requestHeader: challengeURL: "https://www.example.com/challenging-proxy/oauth/authorize?${query}" 3 loginURL: "https://www.example.com/login-proxy/oauth/authorize?${query}" 4 ca: 5 name: ca-config-map clientCommonNames: 6 - my-auth-proxy headers: 7 - X-Remote-User - SSO-User emailHeaders: 8 - X-Remote-User-Email nameHeaders: 9 - X-Remote-User-Display-Name preferredUsernameHeaders: 10 - X-Remote-User-Login
- 1
- このプロバイダー名は要求ヘッダーのユーザー名に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- オプション: 非認証の
/oauth/authorize
要求のリダイレクト先となる URL です。これは、ブラウザーベースのクライアントを認証し、その要求をhttps://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーします。https://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーする URL は/authorize
(末尾にスラッシュはない) で終了し、OAuth 承認フローが適切に機能するようにサブパスもプロキシーする必要があります。${url}
は現在の URL と置き換えられ、エスケープされてクエリーパラメーターで保護されます。${query}
は最新のクエリー文字列と置き換えられます。この属性が定義されない場合は、loginURL
が使用される必要があります。 - 4
- オプション: 非認証の
/oauth/authorize
要求のリダイレクト先となる URL です。これにより、WWW-Authenticate
チャレンジが予想されるクライアントの認証が行われ、それらの要求がhttps://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーされます。${url}
は現在の URL と置き換えられ、エスケープされてクエリーパラメーターで保護されます。${query}
は最新のクエリー文字列と置き換えられます。この属性が定義されない場合は、challengeURL
が使用される必要があります。 - 5
- PEM エンコードされた証明書バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。リモートサーバーによって表示される TLS 証明書を検証するためにトラストアンカーとして使用されます。重要OpenShift Container Platform 4.1 の時点で、
ca
フィールドはこのアイデンティティープロバイダーに必要です。これは、プロキシーが相互 TLS をサポートしている必要があることを意味します。 - 6
- オプション: 共通名 (
cn
) の一覧。これが設定されている場合は、要求ヘッダーのユーザー名をチェックする前に指定される一覧の Common Name (cn
) を持つ有効なクライアント証明書が提示される必要があります。空の場合、すべての Common Name が許可されます。これはca
と組み合わせる場合にのみ使用できます。 - 7
- ユーザーアイデンティティーを順番にチェックする際に使用するヘッダー名。値を含む最初のヘッダーはアイデンティティーとして使用されます。これは必須であり、大文字小文字を区別します。
- 8
- メールアドレスを順番にチェックする際に使用するヘッダー名。値を含む最初のヘッダーはメールアドレスとして使用されます。これは任意であり、大文字小文字を区別します。
- 9
- 表示名を順番にチェックする際に使用するヘッダー名。値を含む最初のヘッダーは表示名として使用されます。これは任意であり、大文字小文字を区別します。
- 10
- 推奨ユーザー名を順番にチェックする際に使用するヘッダー名 (
headers
に指定されるヘッダーで決定される変更不可のアイデンティティーと異なる場合)。値を含む最初のヘッダーは、プロビジョニング時に推奨ユーザー名として使用されます。これは任意であり、大文字小文字を区別します。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.5.5. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.5.6. 要求ヘッダーを使用した Apache 認証設定の例
この例では、要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーを使用して OpenShift Container Platform の Apache 認証プロキシーを設定します。
カスタムプロキシー設定
mod_auth_gssapi
モジュールの使用は、要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーを使用して Apache 認証プロキシーを設定する一般的な方法ですが、必須の方法ではありません。以下の要件を満たすと、他のプロキシーを簡単に使用できます。
-
クライアント要求の
X-Remote-User
ヘッダーをブロックして、スプーフィングを防ぎます。 -
RequestHeaderIdentityProvider
設定でクライアント証明書の認証を適用します。 -
チャレンジフローを使用してすべての認証要求についての
X-Csrf-Token
ヘッダーを設定する必要があります。 -
/oauth/authorize
エンドポイントとそのサブパスのみがプロキシーされる必要があります。バックエンドサーバーがクライアントを正しい場所に送信できるようリダイレクトは書き換える必要があります。 -
https://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーする URL は/authorize
で終了 (末尾のスラッシュなし) する必要があります。たとえば、https://proxy.example.com/login-proxy/authorize?…
は、https://<namespace_route>/oauth/authorize?…
にプロキシーする必要があります。 -
https://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーされる URL のサブパスは、https://<namespace_route>/oauth/authorize
にプロキシーする必要があります。たとえば、https://proxy.example.com/login-proxy/authorize/approve?…
は、https://<namespace_route>/oauth/authorize/approve?…
にプロキシーする必要があります。
https://<namespace_route>
アドレスは OAuth サーバーへのルートであり、oc get route -n openshift-authentication
を実行して取得できます。
要求ヘッダーを使用した Apache 認証の設定
この例では、mod_auth_gssapi
モジュールを使用し、要求ヘッダーアイデンティティープロバイダーを使用して Apache 認証プロキシーを設定します。
前提条件
mod_auth_gssapi
モジュールを Optional チャンネル から取得します。ローカルマシンに以下のパッケージをインストールする必要があります。-
httpd
-
mod_ssl
-
mod_session
-
apr-util-openssl
-
mod_auth_gssapi
-
信頼されたヘッダーを送信する要求を検証するために CA を生成します。CA を含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。これは、以下を実行して行います。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config 1
- 1
- CA は、
ConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
- このプロキシー用のクライアント証明書を生成します。この証明書は、x509 証明書ツールを使用して生成できます。信頼されたヘッダーを送信する要求を検証するために、生成した CA でクライアント証明書に署名する必要があります。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
手順
このプロキシーはクライアント証明書を使用して OAuth サーバーに接続します。これは、X-Remote-User
ヘッダーを信頼するように設定されます。
-
Apache 設定の証明書を作成します。
SSLProxyMachineCertificateFile
パラメーターの値として指定する証明書は、プロキシーをサーバーに対して認証するために使用されるプロキシーのクライアント証明書です。これは、拡張されたキーのタイプとしてTLS Web Client Authentication
を使用する必要があります。 Apache 設定を作成します。以下のテンプレートを使用して必要な設定および値を指定します。
重要テンプレートを十分に確認し、その内容を環境に合うようにカスタマイズします。
LoadModule request_module modules/mod_request.so LoadModule auth_gssapi_module modules/mod_auth_gssapi.so # Some Apache configurations might require these modules. # LoadModule auth_form_module modules/mod_auth_form.so # LoadModule session_module modules/mod_session.so # Nothing needs to be served over HTTP. This virtual host simply redirects to # HTTPS. <VirtualHost *:80> DocumentRoot /var/www/html RewriteEngine On RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}$1 [R,L] </VirtualHost> <VirtualHost *:443> # This needs to match the certificates you generated. See the CN and X509v3 # Subject Alternative Name in the output of: # openssl x509 -text -in /etc/pki/tls/certs/localhost.crt ServerName www.example.com DocumentRoot /var/www/html SSLEngine on SSLCertificateFile /etc/pki/tls/certs/localhost.crt SSLCertificateKeyFile /etc/pki/tls/private/localhost.key SSLCACertificateFile /etc/pki/CA/certs/ca.crt SSLProxyEngine on SSLProxyCACertificateFile /etc/pki/CA/certs/ca.crt # It is critical to enforce client certificates. Otherwise, requests can # spoof the X-Remote-User header by accessing the /oauth/authorize endpoint # directly. SSLProxyMachineCertificateFile /etc/pki/tls/certs/authproxy.pem # To use the challenging-proxy, an X-Csrf-Token must be present. RewriteCond %{REQUEST_URI} ^/challenging-proxy RewriteCond %{HTTP:X-Csrf-Token} ^$ [NC] RewriteRule ^.* - [F,L] <Location /challenging-proxy/oauth/authorize> # Insert your backend server name/ip here. ProxyPass https://<namespace_route>/oauth/authorize AuthName "SSO Login" # For Kerberos AuthType GSSAPI Require valid-user RequestHeader set X-Remote-User %{REMOTE_USER}s GssapiCredStore keytab:/etc/httpd/protected/auth-proxy.keytab # Enable the following if you want to allow users to fallback # to password based authentication when they do not have a client # configured to perform kerberos authentication. GssapiBasicAuth On # For ldap: # AuthBasicProvider ldap # AuthLDAPURL "ldap://ldap.example.com:389/ou=People,dc=my-domain,dc=com?uid?sub?(objectClass=*)" </Location> <Location /login-proxy/oauth/authorize> # Insert your backend server name/ip here. ProxyPass https://<namespace_route>/oauth/authorize AuthName "SSO Login" AuthType GSSAPI Require valid-user RequestHeader set X-Remote-User %{REMOTE_USER}s env=REMOTE_USER GssapiCredStore keytab:/etc/httpd/protected/auth-proxy.keytab # Enable the following if you want to allow users to fallback # to password based authentication when they do not have a client # configured to perform kerberos authentication. GssapiBasicAuth On ErrorDocument 401 /login.html </Location> </VirtualHost> RequestHeader unset X-Remote-User
注記https://<namespace_route>
アドレスは OAuth サーバーへのルートであり、oc get route -n openshift-authentication
を実行して取得できます。カスタムリソース (CR) の
identityProviders
スタンザを更新します。identityProviders: - name: requestheaderidp type: RequestHeader requestHeader: challengeURL: "https://<namespace_route>/challenging-proxy/oauth/authorize?${query}" loginURL: "https://<namespace_route>/login-proxy/oauth/authorize?${query}" ca: name: ca-config-map clientCommonNames: - my-auth-proxy headers: - X-Remote-User
設定を確認します。
適切なクライアント証明書およびヘッダーを指定して、トークンを要求し、プロキシーをバイパスできることを確認します。
# curl -L -k -H "X-Remote-User: joe" \ --cert /etc/pki/tls/certs/authproxy.pem \ https://<namespace_route>/oauth/token/request
クライアント証明書を提供しない要求が、証明書なしでトークンを要求して失敗することを確認します。
# curl -L -k -H "X-Remote-User: joe" \ https://<namespace_route>/oauth/token/request
challengeURL
リダイレクトがアクティブであることを確認します。# curl -k -v -H 'X-Csrf-Token: 1' \ https://<namespace_route>/oauth/authorize?client_id=openshift-challenging-client&response_type=token
以下の手順で使用する
challengeURL
リダイレクトをコピーします。このコマンドを実行して、
WWW-Authenticate
基本チャレンジ、ネゴシエートチャレンジ、またはそれらの両方のチャレンジを含む401
応答を表示します。# curl -k -v -H 'X-Csrf-Token: 1' \ <challengeURL_redirect + query>
Kerberos チケットを使用または使用せずに、OpenShift CLI (
oc
) へのログインをテストします。kinit
を使用して Kerberos チケットを生成した場合は、これを破棄します。# kdestroy -c cache_name 1
- 1
- Kerberos キャッシュの名前を指定します。
Kerberos 認証情報を使用して
oc
ツールにログインします。# oc login -u <username>
プロンプトで、Kerberos パスワードを入力します。
oc
ツールからログアウトします。# oc logout
Kerberos 認証情報を使用してチケットを取得します。
# kinit
プロンプトで、Kerberos ユーザー名およびパスワードを入力します。
oc
ツールにログインできることを確認します。# oc login
設定が正しい場合は、別の認証情報を入力せずにログインできます。
7.6. GitHub または GitHub Enterprise アイデンティティープロバイダーの設定
github
アイデンティティープロバイダーを、GitHub または GitHub Enterprise の OAuth 認証サーバーに対してユーザー名とパスワードを検証するように設定します。OAuth は OpenShift Container Platform と GitHub または GitHub Enterprise 間のトークン交換フローを容易にします。
GitHub 統合を使用して GitHub または GitHub Enterprise のいずれかに接続できます。GitHub Enterprise 統合の場合、インスタンスの hostname
を指定する必要があり、サーバーへの要求で使用する ca
証明書バンドルをオプションで指定することができます。
とくに記述がない限り、以下の手順が GitHub および GitHub Enterprise の両方に適用されます。
7.6.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.6.2. GitHub 認証について
GitHub 認証 を設定することによって、ユーザーは GitHub 認証情報を使用して OpenShift Container Platform にログインできます。GitHub ユーザー ID を持つすべてのユーザーが OpenShift Container Platform クラスターにログインできないようにするために、アクセスを特定の GitHub 組織のユーザーに制限することができます。
7.6.3. GitHub アプリケーションの登録
GitHub または GitHub Enterprise をアイデンティティープロバイダーとして使用するには、使用するアプリケーションを登録する必要があります。
手順
アプリケーションを GitHub で登録します。
- GitHub の場合、Settings → Developer settings → OAuth Apps → Register a new OAuth application をクリックします。
- GitHub Enterprise の場合は、GitHub Enterprise ホームページに移動してから Settings → Developer settings → Register a new application をクリックします。
-
アプリケーション名を入力します (例:
My OpenShift Install
)。 -
ホームページ URL (例:
https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>
) を入力します。 - オプション: アプリケーションの説明を入力します。
認可コールバック URL を入力します。 ここで、URL の終わりにはアイデンティティープロバイダーの
name
が含まれます。https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>/oauth2callback/<idp-provider-name>
以下に例を示します。
https://oauth-openshift.apps.openshift-cluster.example.com/oauth2callback/github
- Register application をクリックします。GitHub はクライアント ID とクライアントシークレットを提供します。これらの値は、アイデンティティープロバイダーの設定を完了するために必要です。
7.6.4. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、文字列を含む
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic <secret_name> --from-literal=clientSecret=<secret> -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: Opaque data: clientSecret: <base64_encoded_client_secret>
以下のコマンドを実行して、証明書ファイルなどのファイルの内容を含む
Secret
オブジェクトを定義できます。$ oc create secret generic <secret_name> --from-file=<path_to_file> -n openshift-config
7.6.5. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
この手順は、GitHub Enterprise にのみ必要です。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.6.6. GitHub CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、GitHub アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
GitHub CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: githubidp 1 mappingMethod: claim 2 type: GitHub github: ca: 3 name: ca-config-map clientID: {...} 4 clientSecret: 5 name: github-secret hostname: ... 6 organizations: 7 - myorganization1 - myorganization2 teams: 8 - myorganization1/team-a - myorganization2/team-b
- 1
- このプロバイダー名は GitHub の数字ユーザー ID に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。これはコールバック URL を作成するためにも使用されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。非公開で信頼されているルート証明書で GitHub Enterprise の場合のみ使用されます。 - 4
- 登録済みの GitHub OAuth アプリケーション のクライアント ID。アプリケーションは、
https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>/oauth2callback/<idp-provider-name>
のコールバック URL を使用して設定する必要があります。 - 5
- GitHub で発行されるクライアントシークレットが含まれる OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 6
- GitHub Enterprise の場合、
example.com
などのインスタンスのホスト名を指定する必要があります。この値は/setup/settings
ファイルにある GitHub Enterprisehostname
値に一致する必要があり、ポート番号を含めることはできません。この値が設定されない場合、teams
またはorganizations
のいずれかが定義される必要があります。GitHub の場合は、このパラメーターを省略します。 - 7
- 組織の一覧です。
hostname
フィールドが設定されていないか、またはmappingMethod
がlookup
に設定されている場合はorganizations
またはteams
フィールドを設定する必要があります。これはteams
フィールドと組み合わせて使用することはできません。 - 8
- チームの一覧です。
hostname
フィールドが設定されていないか、またはmappingMethod
がlookup
に設定されている場合はteams
またはorganizations
フィールドのいずれかを設定する必要があります。これはorganizations
フィールドと組み合わせて使用することはできません。
organizations
または teams
が指定されている場合、少なくとも一覧のいずれかの組織のメンバーである GitHub ユーザーのみがログインできます。その組織が clientID
で設定された GitHub OAuth アプリケーションを所有していない場合、組織の所有者はこのオプションを使用するためにサードパーティーのアクセスを付与する必要があります。これは組織の管理者が初回の GitHub ログイン時に、または GitHub の組織設定で実行できます。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.6.7. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。OAuth サーバーからトークンを取得します。
kubeadmin
ユーザーが削除されている限り、oc login
コマンドは、トークンを取得できる Web ページにアクセスする方法についての情報を提供します。Web コンソールからこのページにアクセスするには、(?) Help → Command Line Tools → Copy Login Commandに移動します。
認証するトークンを渡して、クラスターにログインします。
$ oc login --token=<token>
注記このアイデンティティープロバイダーは、ユーザー名とパスワードを使用してログインすることをサポートしません。
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.7. GitLab アイデンティティープロバイダーの設定
GitLab.com またはその他の GitLab インスタンスを ID プロバイダーとして使用して、gitlab
ID プロバイダーを設定します。
7.7.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.7.2. GitLab 認証について
GitLab 認証を設定することによって、ユーザーは GitLab 認証情報を使用して OpenShift Container Platform にログインできます。
GitLab バージョン 7.7.0 から 11.0 を使用する場合は、OAuth 統合 を使用して接続します。GitLab バージョン 11.1 以降の場合は、OAuth ではなく OpenID Connect (OIDC) を使用して接続します。
7.7.3. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、文字列を含む
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic <secret_name> --from-literal=clientSecret=<secret> -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: Opaque data: clientSecret: <base64_encoded_client_secret>
以下のコマンドを実行して、証明書ファイルなどのファイルの内容を含む
Secret
オブジェクトを定義できます。$ oc create secret generic <secret_name> --from-file=<path_to_file> -n openshift-config
7.7.4. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
この手順は、GitHub Enterprise にのみ必要です。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.7.5. GitLab CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、GitLab アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
GitLab CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: gitlabidp 1 mappingMethod: claim 2 type: GitLab gitlab: clientID: {...} 3 clientSecret: 4 name: gitlab-secret url: https://gitlab.com 5 ca: 6 name: ca-config-map
- 1
- このプロバイダー名は GitLab 数字ユーザー ID に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。これはコールバック URL を作成するためにも使用されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- 登録済みの GitLab OAuth アプリケーション のクライアント ID です。アプリケーションは、
https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>/oauth2callback/<idp-provider-name>
のコールバック URL を使用して設定する必要があります。 - 4
- GitLab で発行されるクライアントシークレットが含まれる OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 5
- GitLab プロバイダーのホスト URL です。これは
https://gitlab.com/
か、または他の GitLab の自己ホストインスタンスのいずれかになります。 - 6
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトへの参照。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.7.6. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。アイデンティティープロバイダーのユーザーとしてクラスターにログインし、プロンプトが出されたらパスワードを入力します。
$ oc login -u <username>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.8. Google アイデンティティープロバイダーの設定
Google OpenID Connect 統合 を使用して google
ID プロバイダーを設定します。
7.8.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.8.2. Google 認証について
Google をアイデンティティープロバイダーとして使用することで、Google ユーザーはサーバーに対して認証されます。hostedDomain
設定属性を使用して、特定のホストドメインのメンバーに認証を限定することができます。
Google をアイデンティティープロバイダーとして使用するには、<namespace_route>/oauth/token/request
を使用してトークンを取得し、コマンドラインツールで使用する必要があります。
7.8.3. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、文字列を含む
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic <secret_name> --from-literal=clientSecret=<secret> -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: Opaque data: clientSecret: <base64_encoded_client_secret>
以下のコマンドを実行して、証明書ファイルなどのファイルの内容を含む
Secret
オブジェクトを定義できます。$ oc create secret generic <secret_name> --from-file=<path_to_file> -n openshift-config
7.8.4. Google CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、Google アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
Google CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: googleidp 1 mappingMethod: claim 2 type: Google google: clientID: {...} 3 clientSecret: 4 name: google-secret hostedDomain: "example.com" 5
- 1
- このプロバイダー名は Google の数字のユーザー ID に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。これはリダイレクト URL を作成するためにも使用されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- 登録済みの Google プロジェクト のクライアント ID です。プロジェクトは、
https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>/oauth2callback/<idp-provider-name>
のリダイレクト URI で設定する必要があります。 - 4
- Google で発行されるクライアントシークレットが含まれる OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 5
- サインインアカウントを制限するために使用される ホスト型ドメイン です。
lookup
mappingMethod
が使用される場合はオプションになります。空の場合は、すべての Google アカウントの認証が許可されます。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.8.5. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。OAuth サーバーからトークンを取得します。
kubeadmin
ユーザーが削除されている限り、oc login
コマンドは、トークンを取得できる Web ページにアクセスする方法についての情報を提供します。Web コンソールからこのページにアクセスするには、(?) Help → Command Line Tools → Copy Login Commandに移動します。
認証するトークンを渡して、クラスターにログインします。
$ oc login --token=<token>
注記このアイデンティティープロバイダーは、ユーザー名とパスワードを使用してログインすることをサポートしません。
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.9. OpenID Connect アイデンティティープロバイダーの設定
oidc
アイデンティティープロバイダーを、Authorization Code Flow を使用して OpenID Connect アイデンティティープロバイダーと統合するように設定します。
7.9.1. OpenShift Container Platform のアイデンティティープロバイダーについて
デフォルトでは、kubeadmin
ユーザーのみがクラスターに存在します。アイデンティティープロバイダーを指定するには、アイデンティティープロバイダーを記述し、これをクラスターに追加するカスタムリソースを作成する必要があります。
/
、:
、および %
を含む OpenShift Container Platform ユーザー名はサポートされません。
7.9.2. シークレットの作成
アイデンティティープロバイダーは openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform Secret
オブジェクトを使用して、クライアントシークレット、クライアント証明書およびキーをこれに組み込みます。
手順
以下のコマンドを使用して、文字列を含む
Secret
オブジェクトを作成します。$ oc create secret generic <secret_name> --from-literal=clientSecret=<secret> -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用してシークレットを作成できます。
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: <secret_name> namespace: openshift-config type: Opaque data: clientSecret: <base64_encoded_client_secret>
以下のコマンドを実行して、証明書ファイルなどのファイルの内容を含む
Secret
オブジェクトを定義できます。$ oc create secret generic <secret_name> --from-file=<path_to_file> -n openshift-config
7.9.3. 設定マップの作成
アイデンティティープロバイダーは、openshift-config
namespace で OpenShift Container Platform ConfigMap
オブジェクトを使用し、認証局バンドルをこれに組み込みます。これらは、主にアイデンティティープロバイダーで必要な証明書バンドルを組み込むために使用されます。
この手順は、GitHub Enterprise にのみ必要です。
手順
以下のコマンドを使用して、認証局が含まれる OpenShift Container Platform
ConfigMap
オブジェクトを定義します。認証局はConfigMap
オブジェクトのca.crt
キーに保存する必要があります。$ oc create configmap ca-config-map --from-file=ca.crt=/path/to/ca -n openshift-config
ヒントまたは、以下の YAML を適用して設定マップを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: ca-config-map namespace: openshift-config data: ca.crt: | <CA_certificate_PEM>
7.9.4. OpenID Connect CR のサンプル
以下のカスタムリソース (CR) は、OpenID Connect アイデンティティープロバイダーのパラメーターおよび許可される値を示します。
カスタム証明書バンドル、追加の範囲、追加の認可要求パラメーター、または userInfo
URL を指定する必要がある場合、完全な OpenID Connect CR を使用します。
標準の OpenID Connect CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: oidcidp 1 mappingMethod: claim 2 type: OpenID openID: clientID: ... 3 clientSecret: 4 name: idp-secret claims: 5 preferredUsername: - preferred_username name: - name email: - email issuer: https://www.idp-issuer.com 6
- 1
- このプロバイダー名はアイデンティティー要求の値に接頭辞として付加され、アイデンティティー名が作成されます。これはリダイレクト URL を作成するためにも使用されます。
- 2
- このプロバイダーのアイデンティティーと
User
オブジェクト間にマッピングが確立される方法を制御します。 - 3
- OpenID プロバイダーに登録されているクライアントのクライアント ID です。このクライアントは
https://oauth-openshift.apps.<cluster-name>.<cluster-domain>/oauth2callback/<idp-provider-name>
にリダイレクトすることを許可されている必要があります。 - 4
- クライアントシークレットを含む OpenShift Container Platform
Secret
オブジェクトへの参照。 - 5
- アイデンティティーとして使用する要求の一覧です。空でない最初の要求が使用されます。1 つ以上の要求が必要になります。一覧表示される要求のいずれにも値がないと、認証は失敗します。たとえば、これは、ユーザーのアイデンティティーとして、返される
id_token
のsub
要求の値を使用します。 - 6
- OpenID 仕様に記述される 発行者 ID。クエリーまたはフラグメントコンポーネントのない
https
を使用する必要があります。
完全な OpenID Connect CR
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OAuth metadata: name: cluster spec: identityProviders: - name: oidcidp mappingMethod: claim type: OpenID openID: clientID: ... clientSecret: name: idp-secret ca: 1 name: ca-config-map extraScopes: 2 - email - profile extraAuthorizeParameters: 3 include_granted_scopes: "true" claims: preferredUsername: 4 - preferred_username - email name: 5 - nickname - given_name - name email: 6 - custom_email_claim - email issuer: https://www.idp-issuer.com
- 1
- オプション: 設定済みの URL のサーバー証明書を検証するために使用する PEM エンコードされた認証局バンドルを含む OpenShift Container Platform 設定マップへの参照。
- 2
- 認可トークン要求時に
openid
の範囲のほかに要求する範囲のオプションの一覧です。 - 3
- 認可トークン要求に追加する追加パラメーターのオプションのマップです。
- 4
- このアイデンティティーのユーザーをプロビジョニングする際に推奨ユーザー名として使用される要求の一覧です。空でない最初の要求が使用されます。
- 5
- 表示名として使用する要求の一覧です。空でない最初の要求が使用されます。
- 6
- メールアドレスとして使用する要求の一覧です。空でない最初の要求が使用されます。
関連情報
-
すべてのアイデンティティープロバイダーに共通するパラメーターの詳細は、アイデンティティープロバイダーのパラメーター (
mappingMethod
など) について参照してください。
7.9.5. アイデンティティープロバイダーのクラスターへの追加
クラスターのインストール後に、アイデンティティープロバイダーをそのクラスターに追加し、ユーザーの認証を実行できるようにします。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターを作成します。
- アイデンティティープロバイダーのカスタムリソース (CR) を作成します。
- 管理者としてログインしている必要があります。
手順
定義された CR を適用します。
$ oc apply -f </path/to/CR>
注記CR が存在しない場合、
oc apply
は新規 CR を作成し、さらに以下の警告をトリガーする可能性があります。Warning: oc apply should be used on resources created by either oc create --save-config or oc apply
この場合は、この警告を無視しても問題ありません。OAuth サーバーからトークンを取得します。
kubeadmin
ユーザーが削除されている限り、oc login
コマンドは、トークンを取得できる Web ページにアクセスする方法についての情報を提供します。Web コンソールからこのページにアクセスするには、(?) Help → Command Line Tools → Copy Login Commandに移動します。
認証するトークンを渡して、クラスターにログインします。
$ oc login --token=<token>
注記OpenID Connect アイデンティティープロバイダーが Resource Owner Password Credentials (ROPC) Grant フローをサポートする場合、ユーザー名とパスワードを使用してログインすることができます。アイデンティティープロバイダーの ROPC Grant フローを有効にする手順を実行する必要がある場合があります。
OIDC アイデンティティープロバイダーを OpenShift Container Platform で設定した後に、以下のコマンドを使用してログインできます。この場合、ユーザー名とパスワードの入力が求めるプロンプトが出されます。
$ oc login -u <identity_provider_username> --server=<api_server_url_and_port>
ユーザーが正常にログインされていることを確認し、ユーザー名を表示します。
$ oc whoami
7.9.6. Web コンソールを使用したアイデンティティープロバイダーの設定
CLI ではなく Web コンソールを使用してアイデンティティープロバイダー (IDP) を設定します。
前提条件
- クラスター管理者として Web コンソールにログインしている必要があります。
手順
- Administration → Cluster Settings に移動します。
- Configuration タブで、OAuth をクリックします。
- Identity Providers セクションで、Add ドロップダウンメニューからアイデンティティープロバイダーを選択します。
既存の IDP を上書きすることなく、Web コンソールで複数の IDP を指定することができます。
第8章 RBAC の使用によるパーミッションの定義および適用
8.1. RBAC の概要
Role-based Access Control (RBAC: ロールベースアクセス制御) オブジェクトは、ユーザーがプロジェクト内で所定のアクションを実行することが許可されるかどうかを決定します。
これにより、プラットフォーム管理者はクラスターロールおよびバインディングを使用して、OpenShift Container Platform プラットフォーム自体およびすべてのプロジェクトへの各種のアクセスレベルを持つユーザーを制御できます。
開発者はローカルロールとバインディングを使用して、プロジェクトにアクセスできるユーザーを制御できます。認可は、認証とは異なる別の手順であることに注意してください。 認可の手順は、アクションを実行するユーザーのアイデンティティーの判別により密接に関連しています。
認可は以下を使用して管理されます。
認可オブジェクト | 説明 |
---|---|
ルール |
オブジェクトのセットで許可されている動詞のセット(例: ユーザーまたはサービスアカウントが Pod の |
ロール | ルールのコレクション。ユーザーおよびグループを複数のロールに関連付けたり、バインドしたりできます。 |
バインディング | ロールを使ったユーザー/グループ間の関連付けです。 |
2 つのレベルの RBAC ロールおよびバインディングが認可を制御します。
RBAC レベル | 説明 |
---|---|
クラスター RBAC | すべてのプロジェクトで適用可能なロールおよびバインディングです。クラスターロール はクラスター全体で存在し、クラスターロールのバインディング はクラスターロールのみを参照できます。 |
ローカル RBAC | 所定のプロジェクトにスコープ設定されているロールおよびバインディングです。ローカルロール は単一プロジェクトのみに存在し、ローカルロールのバインディングはクラスターロールおよびローカルロールの 両方 を参照できます。 |
クラスターのロールバインディングは、クラスターレベルで存在するバインディングですが、ロールバインディングはプロジェクトレベルで存在します。ロールバインディングは、プロジェクトレベルで存在します。クラスターの view (表示) ロールは、ユーザーがプロジェクトを表示できるようローカルのロールバインディングを使用してユーザーにバインドする必要があります。ローカルロールは、クラスターのロールが特定の状況に必要なパーミッションのセットを提供しない場合にのみ作成する必要があります。
この 2 つのレベルからなる階層により、ローカルロールで個別プロジェクト内のカスタマイズが可能になる一方で、クラスターロールによる複数プロジェクト間での再利用が可能になります。
評価時に、クラスターロールのバインディングおよびローカルロールのバインディングが使用されます。以下に例を示します。
- クラスター全体の allow ルールがチェックされます。
- ローカルにバインドされた allow ルールがチェックされます。
- デフォルトで拒否します。
8.1.1. デフォルトのクラスターロール
OpenShift Container Platform には、クラスター全体で、またはローカルにユーザーおよびグループにバインドできるデフォルトのクラスターロールのセットが含まれます。
デフォルトのクラスターロールを手動で変更することは推奨されません。このようなシステムロールへの変更は、クラスターが正常に機能しなくなることがあります。
デフォルトのクラスターロール | 説明 |
---|---|
|
プロジェクトマネージャー。ローカルバインディングで使用される場合、 |
| プロジェクトおよびユーザーについての基本的な情報を取得できるユーザーです。 |
| すべてのプロジェクトですべてのアクションを実行できるスーパーユーザーです。ローカルバインディングでユーザーにバインドされる場合、クォータに対する完全な制御およびプロジェクト内のすべてのリソースに対するすべてのアクションを実行できます。 |
| 基本的なクラスターのステータス情報を取得できるユーザーです。 |
| ほとんどのオブジェクトを取得または表示できるが、変更できないユーザー。 |
| プロジェクトのほとんどのプロジェクトを変更できるが、ロールまたはバインディングを表示したり、変更したりする機能を持たないユーザーです。 |
| 独自のプロジェクトを作成できるユーザーです。 |
| 変更できないものの、プロジェクトでほとんどのオブジェクトを確認できるユーザーです。それらはロールまたはバインディングを表示したり、変更したりできません。 |
ローカルバインディングとクラスターバインディングについての違いに留意してください。ローカルのロールバインディングを使用して cluster-admin
ロールをユーザーにバインドする場合、このユーザーがクラスター管理者の特権を持っているように表示されますが、実際にはそうではありません。一方、特定プロジェクトにバインドされる cluster-admin クラスターロールはそのプロジェクトのスーパー管理者のような機能があり、クラスターロール admin のパーミッションを付与するほか、レート制限を編集する機能などのいくつかの追加パーミッションを付与します。一方、cluster-admin
をプロジェクトのユーザーにバインドすると、そのプロジェクトにのみ有効なスーパー管理者の権限がそのユーザーに付与されます。そのユーザーはクラスターロール admin
のパーミッションを有するほか、レート制限を編集する機能などの、そのプロジェクトについてのいくつかの追加パーミッションを持ちます。このバインディングは、クラスター管理者にバインドされるクラスターのロールバインディングを一覧表示しない Web コンソール UI を使うと分かりにくくなります。ただし、これは、cluster-admin
をローカルにバインドするために使用するローカルのロールバインディングを一覧表示します。
クラスターロール、クラスターロールのバインディング、ローカルロールのバインディング、ユーザー、グループおよびサービスアカウントの関係は以下に説明されています。
get pods/exec
、get pods/*
、および get *
ルールは、ロールに適用されると実行権限を付与します。最小権限の原則を適用し、ユーザーおよびエージェントに必要な最小限の RBAC 権限のみを割り当てます。詳細は、RBAC ルールによる実行権限の許可 を参照してください。
8.1.2. 認可の評価
OpenShift Container Platform は以下を使って認可を評価します。
- アイデンティティー
- ユーザーが属するユーザー名とグループの一覧。
- アクション
実行する動作。ほとんどの場合、これは以下で設定されます。
- プロジェクト: アクセスするプロジェクト。プロジェクトは追加のアノテーションを含む Kubernetes namespace であり、これにより、ユーザーのコミュニティーは、他のコミュニティーと分離された状態で独自のコンテンツを編成し、管理できます。
-
動詞:
get
、list
、create
、update
、delete
、deletecollection
、またはwatch
などのアクション自体。 - リソース名: アクセスする API エンドポイント。
- バインディング
- バインディングの詳細な一覧、ロールを持つユーザーまたはグループ間の関連付け。
OpenShift Container Platform は以下の手順を使って認可を評価します。
- アイデンティティーおよびプロジェクトでスコープ設定されたアクションは、ユーザーおよびそれらのグループに適用されるすべてのバインディングを検索します。
- バインディングは、適用されるすべてのロールを見つけるために使用されます。
- ロールは、適用されるすべてのルールを見つけるために使用されます。
- 一致を見つけるために、アクションが各ルールに対してチェックされます。
- 一致するルールが見つからない場合、アクションはデフォルトで拒否されます。
ユーザーおよびグループは一度に複数のロールに関連付けたり、バインドしたりできることに留意してください。
プロジェクト管理者は CLI を使用してローカルロールとローカルバインディングを表示できます。これには、それぞれのロールが関連付けられる動詞およびリソースのマトリクスが含まれます。
プロジェクト管理者にバインドされるクラスターロールは、ローカルバインディングによってプロジェクト内で制限されます。これは、cluster-admin または system:admin に付与されるクラスターロールのようにクラスター全体でバインドされる訳ではありません。
クラスターロールは、クラスターレベルで定義されるロールですが、クラスターレベルまたはプロジェクトレベルのいずれかでバインドできます。
8.1.2.1. クラスターロールの集計
デフォルトのクラスターの管理、編集および cluster-reader ロールは、クラスターロールの集計 をサポートします。ここでは、各ロールのクラスタールールは新規ルートの作成時に動的に更新されます。この機能は、カスタムリソースを作成して Kubernetes API を拡張する場合にのみ適用できます。
8.2. プロジェクトおよび namespace
Kubernetes namespace は、クラスターでスコープ設定するメカニズムを提供します。namespace の詳細は、Kubernetes ドキュメント を参照してください。
Namespace は以下の一意のスコープを提供します。
- 基本的な命名の衝突を避けるための名前付きリソース。
- 信頼されるユーザーに委任された管理権限。
- コミュニティーリソースの消費を制限する機能。
システム内の大半のオブジェクトのスコープは namespace で設定されますが、一部はノードやユーザーを含め、除外され、namaspace が設定されません。
プロジェクト は追加のアノテーションを持つ Kubernetes namespace であり、通常ユーザーのリソースへのアクセスが管理される中心的な手段です。プロジェクトはユーザーのコミュニティーが他のコミュニティーとは切り離してコンテンツを編成し、管理することを許可します。ユーザーには、管理者によってプロジェクトへのアクセスが付与される必要があり、許可される場合はプロジェクトを作成でき、それらの独自のプロジェクトへのアクセスが自動的に付与されます。
プロジェクトには、別個の name
、displayName
、および description
を設定できます。
-
必須の
name
はプロジェクトの一意の ID であり、CLI ツールまたは API を使用する場合に最も明確に表示されます。名前の最大長さは 63 文字です。 -
オプションの
displayName
は、Web コンソールでのプロジェクトの表示方法を示します (デフォルトはname
に設定される)。 -
オプションの
description
には、プロジェクトのさらに詳細な記述を使用でき、これも Web コンソールで表示できます。
各プロジェクトは、以下の独自のセットのスコープを設定します。
オブジェクト | 説明 |
---|---|
| Pod、サービス、レプリケーションコントローラーなど。 |
| ユーザーがオブジェクトに対してアクションを実行できるか、できないかについてのルール。 |
| 制限を設定できるそれぞれの種類のオブジェクトのクォータ。 |
| サービスアカウントは、プロジェクトのオブジェクトへの指定されたアクセスで自動的に機能します。 |
クラスター管理者はプロジェクトを作成でき、プロジェクトの管理者権限をユーザーコミュニティーの任意のメンバーに委任できます。クラスター管理者は、開発者が独自のプロジェクトを作成することも許可できます。
開発者および管理者は、CLI または Web コンソールを使用してプロジェクトとの対話を実行できます。
8.3. デフォルトプロジェクト
OpenShift Container Platform にはデフォルトのプロジェクトが多数含まれ、openshift-
で始まるプロジェクトはユーザーにとって最も重要になります。これらのプロジェクトは、Pod として実行されるマスターコンポーネントおよび他のインフラストラクチャーコンポーネントをホストします。Critical Pod アノテーション を持つこれらの namespace で作成される Pod は Critical (重要) とみなされ、kubelet による受付が保証されます。これらの namespace のマスターコンポーネント用に作成された Pod には、すでに Critical のマークが付けられています。
デフォルト namespace (default
、kube-system
、kube-public
、openshift-node
、openshift-infra
、openshift
) のいずれかに作成された Pod に SCC を割り当てることはできません。これらの namespace は Pod またはサービスを実行するために使用することはできません。
8.4. クラスターロールおよびバインディングの表示
oc
CLI で oc describe
コマンドを使用して、クラスターロールおよびバインディングを表示できます。
前提条件
-
oc
CLI をインストールします。 - クラスターロールおよびバインディングを表示するパーミッションを取得します。
クラスター全体でバインドされた cluster-admin
のデフォルトのクラスターロールを持つユーザー は、クラスターロールおよびバインディングの表示を含む、すべてのリソースでのすべてのアクションを実行できます。
手順
クラスターロールおよびそれらの関連付けられたルールセットを表示するには、以下を実行します。
$ oc describe clusterrole.rbac
出力例
Name: admin Labels: kubernetes.io/bootstrapping=rbac-defaults Annotations: rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true PolicyRule: Resources Non-Resource URLs Resource Names Verbs --------- ----------------- -------------- ----- .packages.apps.redhat.com [] [] [* create update patch delete get list watch] imagestreams [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch create get list watch] imagestreams.image.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch create get list watch] secrets [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch create delete deletecollection patch update] buildconfigs/webhooks [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] buildconfigs [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] buildlogs [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] deploymentconfigs/scale [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] deploymentconfigs [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreamimages [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreammappings [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreamtags [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] processedtemplates [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] routes [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templateconfigs [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templateinstances [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templates [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] deploymentconfigs.apps.openshift.io/scale [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] deploymentconfigs.apps.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] buildconfigs.build.openshift.io/webhooks [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] buildconfigs.build.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] buildlogs.build.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreamimages.image.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreammappings.image.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] imagestreamtags.image.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] routes.route.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] processedtemplates.template.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templateconfigs.template.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templateinstances.template.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] templates.template.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] serviceaccounts [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch impersonate create delete deletecollection patch update get list watch] imagestreams/secrets [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] rolebindings [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] roles [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] rolebindings.authorization.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] roles.authorization.openshift.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] imagestreams.image.openshift.io/secrets [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] rolebindings.rbac.authorization.k8s.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] roles.rbac.authorization.k8s.io [] [] [create delete deletecollection get list patch update watch] networkpolicies.extensions [] [] [create delete deletecollection patch update create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] networkpolicies.networking.k8s.io [] [] [create delete deletecollection patch update create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] configmaps [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] endpoints [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] persistentvolumeclaims [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] pods [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicationcontrollers/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicationcontrollers [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] services [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] daemonsets.apps [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] deployments.apps/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] deployments.apps [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicasets.apps/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicasets.apps [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] statefulsets.apps/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] statefulsets.apps [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] horizontalpodautoscalers.autoscaling [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] cronjobs.batch [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] jobs.batch [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] daemonsets.extensions [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] deployments.extensions/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] deployments.extensions [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] ingresses.extensions [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicasets.extensions/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicasets.extensions [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] replicationcontrollers.extensions/scale [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] poddisruptionbudgets.policy [] [] [create delete deletecollection patch update get list watch] deployments.apps/rollback [] [] [create delete deletecollection patch update] deployments.extensions/rollback [] [] [create delete deletecollection patch update] catalogsources.operators.coreos.com [] [] [create update patch delete get list watch] clusterserviceversions.operators.coreos.com [] [] [create update patch delete get list watch] installplans.operators.coreos.com [] [] [create update patch delete get list watch] packagemanifests.operators.coreos.com [] [] [create update patch delete get list watch] subscriptions.operators.coreos.com [] [] [create update patch delete get list watch] buildconfigs/instantiate [] [] [create] buildconfigs/instantiatebinary [] [] [create] builds/clone [] [] [create] deploymentconfigrollbacks [] [] [create] deploymentconfigs/instantiate [] [] [create] deploymentconfigs/rollback [] [] [create] imagestreamimports [] [] [create] localresourceaccessreviews [] [] [create] localsubjectaccessreviews [] [] [create] podsecuritypolicyreviews [] [] [create] podsecuritypolicyselfsubjectreviews [] [] [create] podsecuritypolicysubjectreviews [] [] [create] resourceaccessreviews [] [] [create] routes/custom-host [] [] [create] subjectaccessreviews [] [] [create] subjectrulesreviews [] [] [create] deploymentconfigrollbacks.apps.openshift.io [] [] [create] deploymentconfigs.apps.openshift.io/instantiate [] [] [create] deploymentconfigs.apps.openshift.io/rollback [] [] [create] localsubjectaccessreviews.authorization.k8s.io [] [] [create] localresourceaccessreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] localsubjectaccessreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] resourceaccessreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] subjectaccessreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] subjectrulesreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] buildconfigs.build.openshift.io/instantiate [] [] [create] buildconfigs.build.openshift.io/instantiatebinary [] [] [create] builds.build.openshift.io/clone [] [] [create] imagestreamimports.image.openshift.io [] [] [create] routes.route.openshift.io/custom-host [] [] [create] podsecuritypolicyreviews.security.openshift.io [] [] [create] podsecuritypolicyselfsubjectreviews.security.openshift.io [] [] [create] podsecuritypolicysubjectreviews.security.openshift.io [] [] [create] jenkins.build.openshift.io [] [] [edit view view admin edit view] builds [] [] [get create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] builds.build.openshift.io [] [] [get create delete deletecollection get list patch update watch get list watch] projects [] [] [get delete get delete get patch update] projects.project.openshift.io [] [] [get delete get delete get patch update] namespaces [] [] [get get list watch] pods/attach [] [] [get list watch create delete deletecollection patch update] pods/exec [] [] [get list watch create delete deletecollection patch update] pods/portforward [] [] [get list watch create delete deletecollection patch update] pods/proxy [] [] [get list watch create delete deletecollection patch update] services/proxy [] [] [get list watch create delete deletecollection patch update] routes/status [] [] [get list watch update] routes.route.openshift.io/status [] [] [get list watch update] appliedclusterresourcequotas [] [] [get list watch] bindings [] [] [get list watch] builds/log [] [] [get list watch] deploymentconfigs/log [] [] [get list watch] deploymentconfigs/status [] [] [get list watch] events [] [] [get list watch] imagestreams/status [] [] [get list watch] limitranges [] [] [get list watch] namespaces/status [] [] [get list watch] pods/log [] [] [get list watch] pods/status [] [] [get list watch] replicationcontrollers/status [] [] [get list watch] resourcequotas/status [] [] [get list watch] resourcequotas [] [] [get list watch] resourcequotausages [] [] [get list watch] rolebindingrestrictions [] [] [get list watch] deploymentconfigs.apps.openshift.io/log [] [] [get list watch] deploymentconfigs.apps.openshift.io/status [] [] [get list watch] controllerrevisions.apps [] [] [get list watch] rolebindingrestrictions.authorization.openshift.io [] [] [get list watch] builds.build.openshift.io/log [] [] [get list watch] imagestreams.image.openshift.io/status [] [] [get list watch] appliedclusterresourcequotas.quota.openshift.io [] [] [get list watch] imagestreams/layers [] [] [get update get] imagestreams.image.openshift.io/layers [] [] [get update get] builds/details [] [] [update] builds.build.openshift.io/details [] [] [update] Name: basic-user Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: A user that can get basic information about projects. rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true PolicyRule: Resources Non-Resource URLs Resource Names Verbs --------- ----------------- -------------- ----- selfsubjectrulesreviews [] [] [create] selfsubjectaccessreviews.authorization.k8s.io [] [] [create] selfsubjectrulesreviews.authorization.openshift.io [] [] [create] clusterroles.rbac.authorization.k8s.io [] [] [get list watch] clusterroles [] [] [get list] clusterroles.authorization.openshift.io [] [] [get list] storageclasses.storage.k8s.io [] [] [get list] users [] [~] [get] users.user.openshift.io [] [~] [get] projects [] [] [list watch] projects.project.openshift.io [] [] [list watch] projectrequests [] [] [list] projectrequests.project.openshift.io [] [] [list] Name: cluster-admin Labels: kubernetes.io/bootstrapping=rbac-defaults Annotations: rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true PolicyRule: Resources Non-Resource URLs Resource Names Verbs --------- ----------------- -------------- ----- *.* [] [] [*] [*] [] [*] ...
各種のロールにバインドされたユーザーおよびグループを示す、クラスターのロールバインディングの現在のセットを表示するには、以下を実行します。
$ oc describe clusterrolebinding.rbac
出力例
Name: alertmanager-main Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: alertmanager-main Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount alertmanager-main openshift-monitoring Name: basic-users Labels: <none> Annotations: rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true Role: Kind: ClusterRole Name: basic-user Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- Group system:authenticated Name: cloud-credential-operator-rolebinding Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: cloud-credential-operator-role Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount default openshift-cloud-credential-operator Name: cluster-admin Labels: kubernetes.io/bootstrapping=rbac-defaults Annotations: rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true Role: Kind: ClusterRole Name: cluster-admin Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- Group system:masters Name: cluster-admins Labels: <none> Annotations: rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: true Role: Kind: ClusterRole Name: cluster-admin Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- Group system:cluster-admins User system:admin Name: cluster-api-manager-rolebinding Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: cluster-api-manager-role Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount default openshift-machine-api ...
8.5. ローカルのロールバインディングの表示
oc
CLI で oc describe
コマンドを使用して、ローカルロールおよびバインディングを表示できます。
前提条件
-
oc
CLI をインストールします。 ローカルロールおよびバインディングを表示するパーミッションを取得します。
-
クラスター全体でバインドされた
cluster-admin
のデフォルトのクラスターロールを持つユーザー は、ローカルロールおよびバインディングの表示を含む、すべてのリソースでのすべてのアクションを実行できます。 -
ローカルにバインドされた
admin
のデフォルトのクラスターロールを持つユーザーは、そのプロジェクトのロールおよびバインディングを表示し、管理できます。
-
クラスター全体でバインドされた
手順
現在のプロジェクトの各種のロールにバインドされたユーザーおよびグループを示す、ローカルのロールバインディングの現在のセットを表示するには、以下を実行します。
$ oc describe rolebinding.rbac
別のプロジェクトのローカルロールバインディングを表示するには、
-n
フラグをコマンドに追加します。$ oc describe rolebinding.rbac -n joe-project
出力例
Name: admin Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: admin Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- User kube:admin Name: system:deployers Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows deploymentconfigs in this namespace to rollout pods in this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disa... Role: Kind: ClusterRole Name: system:deployer Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount deployer joe-project Name: system:image-builders Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows builds in this namespace to push images to this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disable. Role: Kind: ClusterRole Name: system:image-builder Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount builder joe-project Name: system:image-pullers Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows all pods in this namespace to pull images from this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disable. Role: Kind: ClusterRole Name: system:image-puller Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- Group system:serviceaccounts:joe-project
8.6. ロールのユーザーへの追加
oc adm
管理者 CLI を使用してロールおよびバインディングを管理できます。
ロールをユーザーまたはグループにバインドするか、または追加することにより、そのロールによって付与されるアクセスがそのユーザーまたはグループに付与されます。oc adm policy
コマンドを使用して、ロールのユーザーおよびグループへの追加、またはユーザーおよびグループからの削除を行うことができます。
デフォルトのクラスターロールのすべてを、プロジェクト内のローカルユーザーまたはグループにバインドできます。
手順
ロールを特定プロジェクトのユーザーに追加します。
$ oc adm policy add-role-to-user <role> <user> -n <project>
たとえば、以下を実行して
admin
ロールをjoe
プロジェクトのalice
ユーザーに追加できます。$ oc adm policy add-role-to-user admin alice -n joe
ヒントまたは、以下の YAML を適用してユーザーにロールを追加できます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: admin-0 namespace: joe roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: admin subjects: - apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: User name: alice
出力でローカルロールバインディングを確認し、追加の内容を確認します。
$ oc describe rolebinding.rbac -n <project>
たとえば、
joe
プロジェクトのローカルロールバインディングを表示するには、以下を実行します。$ oc describe rolebinding.rbac -n joe
出力例
Name: admin Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: admin Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- User kube:admin Name: admin-0 Labels: <none> Annotations: <none> Role: Kind: ClusterRole Name: admin Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- User alice 1 Name: system:deployers Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows deploymentconfigs in this namespace to rollout pods in this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disa... Role: Kind: ClusterRole Name: system:deployer Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount deployer joe Name: system:image-builders Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows builds in this namespace to push images to this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disable. Role: Kind: ClusterRole Name: system:image-builder Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- ServiceAccount builder joe Name: system:image-pullers Labels: <none> Annotations: openshift.io/description: Allows all pods in this namespace to pull images from this namespace. It is auto-managed by a controller; remove subjects to disable. Role: Kind: ClusterRole Name: system:image-puller Subjects: Kind Name Namespace ---- ---- --------- Group system:serviceaccounts:joe
- 1
alice
ユーザーがadmins
RoleBinding
に追加されています。
8.7. ローカルロールの作成
プロジェクトのローカルロールを作成し、これをユーザーにバインドできます。
手順
プロジェクトのローカルロールを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc create role <name> --verb=<verb> --resource=<resource> -n <project>
このコマンドで以下を指定します。
-
<name>
: ローカルのロール名です。 -
<verb>
: ロールに適用する動詞のコンマ区切りの一覧です。 -
<resource>
: ロールが適用されるリソースです。 -
<project>
(プロジェクト名)
たとえば、ユーザーが
blue
プロジェクトで Pod を閲覧できるようにするローカルロールを作成するには、以下のコマンドを実行します。$ oc create role podview --verb=get --resource=pod -n blue
-
新規ロールをユーザーにバインドするには、以下のコマンドを実行します。
$ oc adm policy add-role-to-user podview user2 --role-namespace=blue -n blue
8.8. クラスターロールの作成
クラスターロールを作成できます。
手順
クラスターロールを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc create clusterrole <name> --verb=<verb> --resource=<resource>
このコマンドで以下を指定します。
-
<name>
: ローカルのロール名です。 -
<verb>
: ロールに適用する動詞のコンマ区切りの一覧です。 -
<resource>
: ロールが適用されるリソースです。
たとえば、ユーザーが Pod を閲覧できるようにするクラスターロールを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc create clusterrole podviewonly --verb=get --resource=pod
-
8.9. ローカルロールバインディングのコマンド
以下の操作を使用し、ローカルのロールバインディングでのユーザーまたはグループの関連付けられたロールを管理する際に、プロジェクトは -n
フラグで指定できます。これが指定されていない場合には、現在のプロジェクトが使用されます。
ローカル RBAC 管理に以下のコマンドを使用できます。
コマンド | 説明 |
---|---|
| リソースに対してアクションを実行できるユーザーを示します。 |
| 指定されたロールを現在のプロジェクトの指定ユーザーにバインドします。 |
| 現在のプロジェクトの指定ユーザーから指定されたロールを削除します。 |
| 現在のプロジェクトの指定ユーザーとそれらのロールのすべてを削除します。 |
| 指定されたロールを現在のプロジェクトの指定グループにバインドします。 |
| 現在のプロジェクトの指定グループから指定されたロールを削除します。 |
| 現在のプロジェクトの指定グループとそれらのロールのすべてを削除します。 |
8.10. クラスターのロールバインディングコマンド
以下の操作を使用して、クラスターのロールバインディングも管理できます。クラスターのロールバインディングは namespace を使用していないリソースを使用するため、-n
フラグはこれらの操作に使用されません。
コマンド | 説明 |
---|---|
| 指定されたロールをクラスターのすべてのプロジェクトの指定ユーザーにバインドします。 |
| 指定されたロールをクラスターのすべてのプロジェクトの指定ユーザーから削除します。 |
| 指定されたロールをクラスターのすべてのプロジェクトの指定グループにバインドします。 |
| 指定されたロールをクラスターのすべてのプロジェクトの指定グループから削除します。 |
8.11. クラスター管理者の作成
cluster-admin
ロールは、クラスターリソースの変更など、OpenShift Container Platform クラスターでの管理者レベルのタスクを実行するために必要です。
前提条件
- クラスター管理者として定義するユーザーを作成していること。
手順
ユーザーをクラスター管理者として定義します。
$ oc adm policy add-cluster-role-to-user cluster-admin <user>
第9章 kubeadmin ユーザーの削除
9.1. kubeadmin ユーザー
OpenShift Container Platform は、インストールプロセスの完了後にクラスター管理者 kubeadmin
を作成します。
このユーザーには、cluster-admin
ロールが自動的に適用され、このユーザーはクラスターの root ユーザーとしてみなされます。パスワードは動的に生成され、OpenShift Container Platform 環境に対して一意です。インストールの完了後に、パスワードはインストールプログラムの出力で提供されます。以下に例を示します。
INFO Install complete! INFO Run 'export KUBECONFIG=<your working directory>/auth/kubeconfig' to manage the cluster with 'oc', the OpenShift CLI. INFO The cluster is ready when 'oc login -u kubeadmin -p <provided>' succeeds (wait a few minutes). INFO Access the OpenShift web-console here: https://console-openshift-console.apps.demo1.openshift4-beta-abcorp.com INFO Login to the console with user: kubeadmin, password: <provided>
9.2. kubeadmin ユーザーの削除
アイデンティティープロバイダーを定義し、新規 cluster-admin
ユーザーを作成した後に、クラスターのセキュリティーを強化するために kubeadmin
を削除できます。
別のユーザーが cluster-admin
になる前にこの手順を実行する場合、OpenShift Container Platform は再インストールされる必要があります。このコマンドをやり直すことはできません。
前提条件
- 1 つ以上のアイデンティティープロバイダーを設定しておく必要があります。
-
cluster-admin
ロールをユーザーに追加しておく必要があります。 - 管理者としてログインしている必要があります。
手順
kubeadmin
シークレットを削除します。$ oc delete secrets kubeadmin -n kube-system
第10章 サービスアカウントの概要および作成
10.1. サービスアカウントの概要
サービスアカウントは、コンポーネントが API に直接アクセスできるようにする OpenShift Container Platform アカウントです。サービスアカウントは各プロジェクトに存在する API オブジェクトです。サービスアカウントは、通常ユーザーの認証情報を共有せずに API アクセスを制御する柔軟な方法を提供します。
OpenShift Container Platform CLI または Web コンソールを使用する場合、API トークンは API に対する認証を行います。コンポーネントをサービスアカウントに関連付け、通常ユーザーの認証情報を使用せずにそれらが API にアクセスできるようにします。たとえば、サービスアカウントにより、以下が可能になります。
- レプリケーションコントローラーが Pod を作成するか、または削除するために API 呼び出しを実行する。
- コンテナー内のアプリケーションが検出目的で API 呼び出しを実行する。
- 外部アプリケーションがモニターまたは統合目的で API 呼び出しを実行する。
各サービスアカウントのユーザー名は、そのプロジェクトおよび名前から派生します。
system:serviceaccount:<project>:<name>
すべてのサービスアカウントは 2 つのグループのメンバーでもあります。
グループ | 説明 |
---|---|
system:serviceaccounts | システムのすべてのサービスアカウントが含まれます。 |
system:serviceaccounts:<project> | 指定されたプロジェクトのすべてのサービスアカウントが含まれます。 |
各サービスのアカウントには、2 つのシークレットが自動的に含まれます。
- API トークン
- OpenShift Container レジストリーの認証情報
生成される API トークンとレジストリーの認証情報は期限切れになることはありませんが、シークレットを削除することで取り消すことができます。シークレットが削除されると、新規のシークレットが自動生成され、これに置き換わります。
10.2. サービスアカウントの作成
サービスアカウントをプロジェクトで作成し、これをロールにバインドすることでパーミッションを付与できます。
手順
オプション: サービスアカウントを現在のプロジェクトで表示するには、以下を実行します。
$ oc get sa
出力例
NAME SECRETS AGE builder 2 2d default 2 2d deployer 2 2d
新規サービスアカウントを現在のプロジェクトで作成するには、以下を実行します。
$ oc create sa <service_account_name> 1
- 1
- 別のプロジェクトでサービスアカウントを作成するには、
-n <project_name>
を指定します。
出力例
serviceaccount "robot" created
ヒントまたは、以下の YAML を適用してサービスアカウントを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ServiceAccount metadata: name: <service_account_name> namespace: <current_project>
オプション: サービスアカウントのシークレットを表示します。
$ oc describe sa robot
出力例
Name: robot Namespace: project1 Labels: <none> Annotations: <none> Image pull secrets: robot-dockercfg-qzbhb Mountable secrets: robot-token-f4khf robot-dockercfg-qzbhb Tokens: robot-token-f4khf robot-token-z8h44
10.3. ロールをサービスアカウントに付与する例
ロールをサービスアカウントに付与する方法は、ロールを通常ユーザーアカウントに付与する方法と同じです。
現在のプロジェクトのサービスアカウントを変更できます。たとえば、
view
ロールをtop-secret
プロジェクトのrobot
サービスアカウントに追加するには、以下を実行します。$ oc policy add-role-to-user view system:serviceaccount:top-secret:robot
ヒントまたは、以下の YAML を適用してロールを追加できます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: view namespace: top-secret roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: view subjects: - kind: ServiceAccount name: robot namespace: top-secret
アクセスをプロジェクトの特定のサービスアカウントに付与することもできます。たとえば、サービスアカウントが属するプロジェクトから、
-z
フラグを使用し、<service_account_name>
を指定します。$ oc policy add-role-to-user <role_name> -z <service_account_name>
重要プロジェクトの特定のサービスアカウントにアクセスを付与する必要がある場合には、
-z
フラグを使用します。このフラグを使用することにより、アクセスが指定されたサービスアカウントのみに付与することができます。ヒントまたは、以下の YAML を適用してロールを追加できます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: <rolebinding_name> namespace: <current_project_name> roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: <role_name> subjects: - kind: ServiceAccount name: <service_account_name> namespace: <current_project_name>
別の namespace を変更するには、
-n
オプションを使用して、以下の例にあるように、適用先のプロジェクト namespace を指定します。たとえば、すべてのプロジェクトのすべてのサービスアカウントが
my-project
プロジェクトのリソースを表示できるようにするには、以下を実行します。$ oc policy add-role-to-group view system:serviceaccounts -n my-project
ヒントまたは、以下の YAML を適用してロールを追加できます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: view namespace: my-project roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: view subjects: - apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: Group name: system:serviceaccounts
managers
プロジェクトのすべてのサービスアカウントがmy-project
プロジェクトのリソースを編集できるようにするには、以下を実行します。$ oc policy add-role-to-group edit system:serviceaccounts:managers -n my-project
ヒントまたは、以下の YAML を適用してロールを追加できます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: edit namespace: my-project roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: edit subjects: - apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: Group name: system:serviceaccounts:managers
第11章 Using service accounts in applications
11.1. サービスアカウントの概要
サービスアカウントは、コンポーネントが API に直接アクセスできるようにする OpenShift Container Platform アカウントです。サービスアカウントは各プロジェクトに存在する API オブジェクトです。サービスアカウントは、通常ユーザーの認証情報を共有せずに API アクセスを制御する柔軟な方法を提供します。
OpenShift Container Platform CLI または Web コンソールを使用する場合、API トークンは API に対する認証を行います。コンポーネントをサービスアカウントに関連付け、通常ユーザーの認証情報を使用せずにそれらが API にアクセスできるようにします。たとえば、サービスアカウントにより、以下が可能になります。
- レプリケーションコントローラーが Pod を作成するか、または削除するために API 呼び出しを実行する。
- コンテナー内のアプリケーションが検出目的で API 呼び出しを実行する。
- 外部アプリケーションがモニターまたは統合目的で API 呼び出しを実行する。
各サービスアカウントのユーザー名は、そのプロジェクトおよび名前から派生します。
system:serviceaccount:<project>:<name>
すべてのサービスアカウントは 2 つのグループのメンバーでもあります。
グループ | 説明 |
---|---|
system:serviceaccounts | システムのすべてのサービスアカウントが含まれます。 |
system:serviceaccounts:<project> | 指定されたプロジェクトのすべてのサービスアカウントが含まれます。 |
各サービスのアカウントには、2 つのシークレットが自動的に含まれます。
- API トークン
- OpenShift Container レジストリーの認証情報
生成される API トークンとレジストリーの認証情報は期限切れになることはありませんが、シークレットを削除することで取り消すことができます。シークレットが削除されると、新規のシークレットが自動生成され、これに置き換わります。
11.2. デフォルトのサービスアカウント
OpenShift Container Platform クラスターには、クラスター管理用のデフォルトのサービスアカウントが含まれ、各プロジェクトのサービスアカウントは追加で生成されます。
11.2.1. デフォルトのクラスターサービスアカウント
一部のインフラストラクチャーコントローラーは、サービスアカウント認証情報を使用して実行されます。以下のサービスアカウントは、サーバーの起動時に OpenShift Container Platform インフラストラクチャープロジェクト (openshift-infra
) に作成され、クラスター全体での以下のロールが付与されます。
サービスアカウント | 説明 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
11.2.2. デフォルトのプロジェクトサービスアカウントおよびロール
3 つのサービスアカウントが各プロジェクトで自動的に作成されます。
サービスアカウント | 使用法 |
---|---|
|
ビルド Pod で使用されます。これには |
|
デプロイメント Pod で使用され、 |
| 別のサービスアカウントが指定されていない限り、その他すべての Pod を実行するために使用されます。 |
プロジェクトのすべてのサービスアカウントには system:image-puller
ロールが付与されます。 このロールは、内部コンテナーイメージレジストリーを使用してイメージをイメージストリームからプルすることを可能にします。
11.3. サービスアカウントの作成
サービスアカウントをプロジェクトで作成し、これをロールにバインドすることでパーミッションを付与できます。
手順
オプション: サービスアカウントを現在のプロジェクトで表示するには、以下を実行します。
$ oc get sa
出力例
NAME SECRETS AGE builder 2 2d default 2 2d deployer 2 2d
新規サービスアカウントを現在のプロジェクトで作成するには、以下を実行します。
$ oc create sa <service_account_name> 1
- 1
- 別のプロジェクトでサービスアカウントを作成するには、
-n <project_name>
を指定します。
出力例
serviceaccount "robot" created
ヒントまたは、以下の YAML を適用してサービスアカウントを作成できます。
apiVersion: v1 kind: ServiceAccount metadata: name: <service_account_name> namespace: <current_project>
オプション: サービスアカウントのシークレットを表示します。
$ oc describe sa robot
出力例
Name: robot Namespace: project1 Labels: <none> Annotations: <none> Image pull secrets: robot-dockercfg-qzbhb Mountable secrets: robot-token-f4khf robot-dockercfg-qzbhb Tokens: robot-token-f4khf robot-token-z8h44
11.4. サービスアカウントの認証情報の外部での使用
サービスアカウントのトークンは、API に対して認証する必要のある外部アプリケーションに配布することができます。
イメージをプルするには、要求される imagestreams/layers
に対する get
権限が、この認証済みのユーザーに割り当てられている必要があります。イメージをプッシュするには、認証済みのユーザーに、要求される imagestreams/layers
に対する update
権限がある必要があります。
デフォルトで、プロジェクトのすべてのサービスアカウントは同じプロジェクトの任意のイメージをプルする権限を持ち、builder サービスアカウントには同じプロジェクトの任意のイメージをプッシュする権限を持ちます。
手順
サービスアカウントのトークンを表示します。
$ oc describe secret <secret_name>
以下に例を示します。
$ oc describe secret robot-token-uzkbh -n top-secret
出力例
Name: robot-token-uzkbh Labels: <none> Annotations: kubernetes.io/service-account.name=robot,kubernetes.io/service-account.uid=49f19e2e-16c6-11e5-afdc-3c970e4b7ffe Type: kubernetes.io/service-account-token Data token: eyJhbGciOiJSUzI1NiIsInR5cCI6IkpXVCJ9...
取得したトークンを使用してログインします。
$ oc login --token=eyJhbGciOiJSUzI1NiIsInR5cCI6IkpXVCJ9...
出力例
Logged into "https://server:8443" as "system:serviceaccount:top-secret:robot" using the token provided. You don't have any projects. You can try to create a new project, by running $ oc new-project <projectname>
サービスアカウントとしてログインしたことを確認します。
$ oc whoami
出力例
system:serviceaccount:top-secret:robot
第12章 サービスアカウントの OAuth クライアントとしての使用
12.1. OAuth クライアントとしてのサービスアカウント
サービスアカウントは、OAuth クライアントの制限されたフォームで使用できます。サービスアカウントは一部の基本ユーザー情報へのアクセスを許可するスコープのサブセットと、サービスアカウント自体の namespace 内のロールベースの権限のみを要求できます。
-
user:info
-
user:check-access
-
role:<any_role>:<service_account_namespace>
-
role:<any_role>:<service_account_namespace>:!
サービスアカウントを OAuth クライアントとして使用する場合:
-
client_id
はsystem:serviceaccount:<service_account_namespace>:<service_account_name>
です。 client_secret
には、サービスアカウントの API トークンのいずれかを指定できます。以下に例を示します。$ oc sa get-token <service_account_name>
-
WWW-Authenticate
チャレンジを取得するには、サービスアカウントのserviceaccounts.openshift.io/oauth-want-challenges
アノテーションをtrue
に設定します。 -
redirect_uri
は、サービスアカウントのアノテーションに一致する必要があります。
12.1.1. OAuth クライアントとしてのサービスアカウントの URI のリダイレクト
アノテーションキーには、以下のように接頭辞 serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.
または serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.
が含まれる必要があります。
serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<name>
最も単純なフォームでは、アノテーションは有効なリダイレクト URI を直接指定するために使用できます。以下に例を示します。
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first": "https://example.com" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second": "https://other.com"
上記の例の first
および second
ポストフィックスは 2 つの有効なリダイレクト URI を分離するために使用されます。
さらに複雑な設定では、静的なリダイレクト URI のみでは不十分な場合があります。たとえば、ルートのすべての ingress が有効とみなされる必要があるかもしれません。この場合、serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.
接頭辞を使用した動的なリダイレクト URI を使用できます。
以下に例を示します。
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"
このアノテーションの値にはシリアライズされた JSON データが含まれるため、これを拡張フォーマットで表示するとより容易になります。
{ "kind": "OAuthRedirectReference", "apiVersion": "v1", "reference": { "kind": "Route", "name": "jenkins" } }
ここでは、OAuthRedirectReference
により jenkins
という名前のルートを参照できます。そのため、そのルートのすべての ingress は有効とみなされます。OAuthRedirectReference
の詳細な仕様は以下のようになります。
{ "kind": "OAuthRedirectReference", "apiVersion": "v1", "reference": { "kind": ..., 1 "name": ..., 2 "group": ... 3 } }
アノテーションはどちらも、接頭辞も組み合わせて、参照オブジェクトで提供されるデータをオーバーライドできます。以下に例を示します。
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first": "custompath" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"
first
ポストフィックスはアノテーションを関連付けるために使用されます。jenkins
ルートに https://example.com
の Ingress がある場合に、https://example.com/custompath
は有効とみなされますが、https://example.com
は有効とみなされません。オーバーライドするデータを部分的に指定するためのフォーマットは以下のようになります。
タイプ | 構文 |
---|---|
スキーム | "https://" |
ホスト名 | "//website.com" |
ポート | "//:8000" |
パス | "examplepath" |
ホスト名のオーバーライドを指定すると、参照されるオブジェクトのホスト名データが置き換わりますが、これは望ましい動作ではありません。
上記の構文のいずれの組み合わせも、以下のフォーマットを使って実行できます。
<scheme:>//<hostname><:port>/<path>
同じオブジェクトを複数回参照して、柔軟性を向上することができます。
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first": "custompath" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second": "//:8000" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.second": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"
jenkins
という名前のルートに https://example.com
の Ingress がある場合には、https://example.com:8000
と https://example.com/custompath
の両方が有効とみなされます。
必要な動作を得るために、静的で動的なアノテーションを同時に使用できます。
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}" "serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second": "https://other.com"
第13章 スコープトークン
13.1. トークンのスコープについて
スコープ付きトークンを作成して、パーミッションの一部を別のユーザーまたはサービスアカウントに委任できます。たとえば、プロジェクト管理者は Pod の作成権限を委任する必要があるかもしれません。
スコープ付きトークンは、指定されるユーザーを識別しますが、そのスコープによって特定のアクションに制限されるトークンです。cluster-admin
ロールを持つユーザーのみがスコープ付きトークンを作成できます。
スコープは、トークンの一連のスコープを PolicyRules
のセットに変換して評価されます。次に、要求がそれらのルールに対してマッチングされます。要求属性は、追加の認可検査のために標準の承認者に渡せるよう、スコープルールのいずれかに一致している必要があります。
13.1.1. ユーザースコープ
ユーザースコープでは、指定されたユーザーについての情報を取得することにフォーカスが置かれます。それらはインテントベースであるため、ルールは自動的に作成されます。
-
user:full
: ユーザーのすべてのパーミッションによる API の完全な読み取り/書き込みアクセスを許可します。 -
user:info
: 名前やグループなどのユーザーについての情報の読み取り専用アクセスを許可します。 -
user:check-access
:self-localsubjectaccessreviews
およびself-subjectaccessreviews
へのアクセスを許可します。これらは、要求オブジェクトの空のユーザーおよびグループを渡す変数です。 -
user:list-projects
: ユーザーがアクセスできるプロジェクトを一覧表示するための読み取り専用アクセスを許可します。
13.1.2. ロールスコープ
ロールスコープにより、namespace でフィルターされる指定ロールと同じレベルのアクセスを持たせることができます。
role:<cluster-role name>:<namespace or * for all>
: 指定された namespace のみにあるクラスターロール (cluster-role) で指定されるルールにスコープを制限します。注記注意: これは、アクセスのエスカレートを防ぎます。ロールはシークレット、ロールバインディング、およびロールなどのリソースへのアクセスを許可しますが、このスコープはそれらのリソースへのアクセスを制限するのに役立ちます。これにより、予期しないエスカレーションを防ぐことができます。
edit
などのロールはエスカレートされるロールと見なされないことが多いですが、シークレットのアクセスを持つロールの場合はエスカレーションが生じます。-
role:<cluster-role name>:<namespace or * for all>:!
: bang (!) を含めることでこのスコープでアクセスのエスカレートを許可されますが、それ以外には上記の例と同様になります。
第14章 バインドされたサービスアカウントトークンの使用
AWS IAM などのクラウドプロバイダーのアイデンティティーアクセス管理 (IAM) サービスとの統合を強化するバインドされたサービスアカウントトークンを使用できます。
14.1. バインドされたサービスアカウントトークンについて
バインドされたサービスアカウントトークンを使用して、所定のサービスアカウントトークンのパーミッションの範囲を制限できます。これらのトークンは対象であり、時間のバインドがあります。これにより、サービスアカウントの IAM ロールへの認証と Pod にマウントされた一時的な認証情報の生成が容易になります。ボリュームのローテーションと TokenRequest API を使用してバインドされたサービスアカウントのトークンを要求できます。
14.2. ボリュームローテーションを使用したバインドされたサービスアカウントトークンの設定
ボリュームの展開を使用してバインドされたサービスアカウントのトークンを要求するように Pod を設定できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
サービスアカウントを作成している。この手順では、サービスアカウントの名前が
build-robot
であることを前提としています。
手順
オプション: サービスアカウントの発行者を設定します。
通常、このステップはバインドされたトークンがクラスター内でのみ使用される場合には必要ありません。
重要サービスアカウントの発行者をカスタムのものに変更した場合、以前のサービスアカウントの発行者は引き続き 24 時間信頼されます。
クラスター内のすべての Pod を手動で再起動するか、ノードのローリング再起動を実行することにより、すべての所有者に新しいバインドされたトークンを要求するように強制できます。いずれかのアクションを実行する前に、Kubernetes API サーバー Pod の新しいリビジョンがサービスアカウント発行者の変更とともにロールアウトされるのを待ちます。
cluster
Authentication
オブジェクトを編集します。$ oc edit authentications cluster
spec.serviceAccountIssuer
フィールドを、必要なサービスアカウント発行者の値に設定します。spec: serviceAccountIssuer: https://test.default.svc 1
- 1
- この値は URL である必要があり、バインドされたトークンの受信側はトークンの署名の検証に必要なパブリックキーを取得できます。デフォルトは
https://kubernetes.default.svc
です。
- 変更を適用するためにファイルを保存します。
Kubernetes API サーバー Pod の新しいリビジョンがロールアウトされるまで待ちます。すべてのノードが新規リビジョンに更新されるまで数分かかる場合があります。以下のコマンドを実行します。
$ oc get kubeapiserver -o=jsonpath='{range .items[0].status.conditions[?(@.type=="NodeInstallerProgressing")]}{.reason}{"\n"}{.message}{"\n"}'
Kubernetes API サーバーの
NodeInstallerProgressing
状況条件を確認し、すべてのノードが最新のリビジョンであることを確認します。更新が正常に実行されると、この出力にはAllNodesAtLatestRevision
が表示されます。AllNodesAtLatestRevision 3 nodes are at revision 12 1
- 1
- この例では、最新のリビジョン番号は
12
です。
出力に以下のようなメッセージが表示される場合は、更新が進行中です。数分待機した後に再試行します。
-
3 nodes are at revision 11; 0 nodes have achieved new revision 12
-
2 nodes are at revision 11; 1 nodes are at revision 12
オプション: ノードのローリング再起動を実行するか、クラスター内のすべての Pod を手動で再起動することにより、所有者に新しいバインドされたトークンを要求するように強制します。
ローリングノード再起動を実行します。
警告クラスターでカスタムワークロードを実行している場合は、ノードのローリング再起動を実行することはお勧めしません。これは、サービスの中断を引き起こす可能性があるためです。代わりに、クラスター内のすべての Pod を手動で再起動します。
ノードを順番に再起動します。次のノードを再起動する前に、ノードが完全に使用可能になるまで待ちます。ノードを再びスケジュール可能としてドレイン、再起動、およびマークする方法については、ノードの正常な再起動 を参照してください。
クラスター内のすべての Pod を手動で再起動します。
警告このコマンドは、すべての namespace で実行されているすべての Pod を削除するため、このコマンドを実行するとサービスが中断します。これらの Pod は削除後に自動的に再起動します。
以下のコマンドを実行します。
$ for I in $(oc get ns -o jsonpath='{range .items[*]} {.metadata.name}{"\n"} {end}'); \ do oc delete pods --all -n $I; \ sleep 1; \ done
ボリュームの展開を使用してバインドされたサービスアカウントのトークンを使用するように Pod を設定します。
以下の内容を含む
pod-projected-svc-token.yaml
ファイルを作成します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: nginx spec: containers: - image: nginx name: nginx volumeMounts: - mountPath: /var/run/secrets/tokens name: vault-token serviceAccountName: build-robot 1 volumes: - name: vault-token projected: sources: - serviceAccountToken: path: vault-token 2 expirationSeconds: 7200 3 audience: vault 4
- 1
- 既存のサービスアカウントへの参照。
- 2
- トークンの展開先となるファイルのマウントポイントに対する相対パス。
- 3
- オプションで、サービスアカウントトークンの有効期限を秒単位で設定します。デフォルトは 3600 秒 (1 時間) で、600 秒 (10 分) 以上にする必要があります。トークンの有効期間がその 80% を過ぎている場合や、トークンの生成から 24 時間を経過している場合、kubelet はトークンのローテーションの試行を開始します。
- 4
- オプションで、トークンの意図された対象を設定します。トークンの受信側は、受信側のアイデンティティーがトークンの適切対象の要求と一致することを確認し、一致しない場合はトークンを拒否する必要があります。対象はデフォルトで API サーバーの識別子に設定されます。
Pod を作成します。
$ oc create -f pod-projected-svc-token.yaml
kubelet は Pod に代わってトークンを要求し、保存し、トークンを設定可能なファイルパスで Pod に対して利用可能にし、有効期限に達するとトークンを更新します。
バインドされたトークンを使用するアプリケーションは、ローテーション時にトークンのリロードを処理する必要があります。
トークンの有効期間がその 80% を過ぎている場合や、トークンの生成から 24 時間を経過している場合、kubelet はトークンをローテーションします。
関連情報
第15章 SSC (Security Context Constraints) の管理
15.1. SCC (Security Context Constraints) について
RBAC リソースがユーザーアクセスを制御するのと同じ方法で、管理者は SCC (Security Context Constraints) を使用して Pod のパーミッションを制御できます。これらのパーミッションには、Pod が実行できるアクションおよび Pod がアクセスできるリソースが含まれます。SCC を使用して、Pod がシステムに受け入れられるために必要な Pod の実行に関する条件の一覧を定義することができます。
管理者は SCC (Security Context Constraints) で、以下を制御できます。
-
Pod が
allowPrivilegedContainer
フラグが付いた特権付きコンテナーを実行できるかどうか -
Pod が
allowPrivilegeEscalation
フラグで制約されているかどうか - コンテナーが要求できる機能
- ホストディレクトリーのボリュームとしての使用
- コンテナーの SELinux コンテキスト
- コンテナーのユーザー ID
- ホストの namespace とネットワークの使用
-
Pod ボリュームを所有する
FSGroup
の割り当て - 許可される補助グループの設定
- コンテナーが root ファイルシステムへの書き込みアクセスを必要とするかどうか
- ボリュームタイプの使用
-
許可される
seccomp
プロファイルの設定
OpenShift Container Platform のネームスペースにopenshift.io/run-level
ラベルを設定しないでください。このラベルは、Kubernetes API サーバーや OpenShift API サーバーなどの主要な API グループの起動を管理するために内部 OpenShift Container Platform コンポーネントで使用されます。openshift.io/run-level
ラベルが設定される場合には、対象の namespace の Pod に SCC が適用されず、その namespace で実行されるワークロードには高度な特権が割り当てられます。
15.1.1. デフォルトの Security Context Constraints
クラスターには、以下の表で説明されているように、デフォルトの SCC (Security Context Constraints) が複数含まれます。オペレーターまたはその他のコンポーネントを OpenShift Container Platform にインストールすると、追加の SCC がインストールされる場合があります。
デフォルトの SCC は変更しないでください。デフォルトの SCC をカスタマイズすると、プラットフォームの Pod をデプロイ時または OpenShift Container Platform のアップグレード時に問題が発生する可能性があります。OpenShift Container Platform の一部のバージョン間のアップグレード時に、デフォルトの SCC の値はデフォルト値にリセットされるので、カスタマイズされた値はすべて破棄され、これらの SCC 値に戻ります。
代わりに、必要に応じて新しい SCC を作成してください。
SCC (Security Context Constraints) | 説明 |
---|---|
|
SCC のすべての機能が |
| ホストの全 namespace にアクセスできますが、対象の namespace に割り当てられた UID および SELinux コンテキストで Pod を実行する必要があります。 警告 この SCC で、ホストは namespace、ファイルシステム、および PID にアクセスできます。信頼できる Pod だけがこの SCC を使用する必要があります。付与には注意が必要です。 |
|
SCC のすべての機能を 警告 この SCC は、UID 0 を含む任意の UID としてホストファイルシステムにアクセスできます。付与には注意が必要です。 |
| ホストのネットワークおよびホストポートを使用できますが、対象の namespace に割り当てられた UID および SELinux コンテキストで Pod を実行する必要があります。 警告
追加のワークロードをコントロールプレーンホストで実行する場合は、 |
| Prometheus ノードエクスポーターに使用されます。 警告 この SCC は、UID 0 を含む任意の UID としてホストファイルシステムにアクセスできます。付与には注意が必要です。 |
|
SCC のすべての機能が |
| すべての特権およびホスト機能にアクセスでき、任意のユーザー、任意のグループ、FSGroup、および任意の SELinux コンテキストで実行できます。 警告 これは最も制限の少ない SCC であり、クラスター管理にのみ使用してください。付与には注意が必要です。
注記
Pod の仕様で |
| すべてのホスト機能へのアクセスが拒否され、Pod を UID および namespace に割り当てられる SELinux コンテキストで実行する必要があります。これは新規インストールで提供され、デフォルトで認証済みユーザーに使用される最も制限の厳しい SCC です。
注記
制限付き SCC は、システムにデフォルトで同梱される SCC の中で最も制限されています。ただし、さらに制限の厳しいカスタム SCC を作成できます。たとえば、 |
15.1.2. SCC (Security Context Constraints) の設定
Security Context Constraints (SCC) は、Pod がアクセスできるセキュリティー機能を制御する設定およびストラテジーで設定されています。これらの設定は以下のカテゴリーに分類されます。
カテゴリー | 説明 |
---|---|
ブール値による制御 |
このタイプのフィールドはデフォルトで最も制限のある値に設定されます。たとえば、 |
許可されるセットによる制御 | このタイプのフィールドがセットに対してチェックされ、その値が許可されることを確認します。 |
ストラテジーによる制御 | 値を生成するストラテジーを持つ項目は以下を提供します。
|
CRI-O には、Pod の各コンテナーについて許可されるデフォルトの機能一覧があります。
-
CHOWN
-
DAC_OVERRIDE
-
FSETID
-
FOWNER
-
SETGID
-
SETUID
-
SETPCAP
-
NET_BIND_SERVICE
-
KILL
コンテナーはこのデフォルト一覧から機能を使用しますが、Pod マニフェストの作成者は追加機能を要求したり、デフォルト動作の一部を削除して一覧を変更できます。allowedCapabilities
、defaultAddCapabilities
、および requiredDropCapabilities
パラメーターを使用して、Pod からのこのような要求を制御します。これらのパラメーターを使用して、(各コンテナーに追加する必要のある機能や、各コンテナーから禁止または破棄する必要のあるものなど) 要求できる機能を指定できます。
requiredDropCapabilities
パラメーターを ALL
に設定すると、すべての capabilites をコンテナーから取り除くことができます。
15.1.3. SCC (Security Context Constraints) ストラテジー
RunAsUser
MustRunAs
:runAsUser
が設定されることを要求します。デフォルトで設定済みのrunAsUser
を使用します。設定済みのrunAsUser
に対して検証します。MustRunAs
スニペットの例... runAsUser: type: MustRunAs uid: <id> ...
MustRunAsRange
: 事前に割り当てられた値を使用していない場合に、最小および最大値が定義されることを要求します。デフォルトでは最小値を使用します。許可される範囲全体に対して検証します。MustRunAsRange
スニペットの例... runAsUser: type: MustRunAsRange uidRangeMax: <maxvalue> uidRangeMin: <minvalue> ...
MustRunAsNonRoot
: Pod がゼロ以外のrunAsUser
で送信されること、またはUSER
ディレクティブをイメージに定義することを要求します。デフォルトは指定されません。MustRunAsNonRoot
スニペットの例... runAsUser: type: MustRunAsNonRoot ...
RunAsAny
: デフォルトは指定されません。runAsUser
の指定を許可します。RunAsAny
スニペットの例... runAsUser: type: RunAsAny ...
SELinuxContext
-
MustRunAs
: 事前に割り当てられた値を使用していない場合にseLinuxOptions
が設定されることを要求します。デフォルトとしてseLinuxOptions
を使用します。seLinuxOptions
に対して検証します。 -
RunAsAny
: デフォルトは指定されません。seLinuxOptions
の指定を許可します。
SupplementalGroups
-
MustRunAs
: 事前に割り当てられた値を使用していない場合に、少なくとも 1 つの範囲が指定されることを要求します。デフォルトとして最初の範囲の最小値を使用します。すべての範囲に対して検証します。 -
RunAsAny
: デフォルトは指定されません。supplementalGroups
の指定を許可します。
FSGroup
-
MustRunAs
: 事前に割り当てられた値を使用していない場合に、少なくとも 1 つの範囲が指定されることを要求します。デフォルトとして最初の範囲の最小値を使用します。最初の範囲の最初の ID に対して検証します。 -
RunAsAny
: デフォルトは指定されません。fsGroup
ID の指定を許可します。
15.1.4. ボリュームの制御
特定のボリュームタイプの使用は、SCC の volumes
フィールドを設定して制御できます。このフィールドの許容値は、ボリュームの作成時に定義されるボリュームソースに対応します。
-
awsElasticBlockStore
-
azureDisk
-
azureFile
-
cephFS
-
cinder
-
configMap
-
downwardAPI
-
emptyDir
-
fc
-
flexVolume
-
flocker
-
gcePersistentDisk
-
gitRepo
-
glusterfs
-
hostPath
-
iscsi
-
nfs
-
persistentVolumeClaim
-
photonPersistentDisk
-
portworxVolume
-
projected
-
quobyte
-
rbd
-
scaleIO
-
secret
-
storageos
-
vsphereVolume
- * (すべてのボリュームタイプの使用を許可する特殊な値)
-
none
(すべてのボリュームタイプの使用を無効にする特殊な値。後方互換の場合にのみ存在する)
新規 SCC について許可されるボリュームの推奨される最小セットは、configMap
、downwardAPI
、emptyDir
、persistentVolumeClaim
, secret
、および projected
です。
許可されるボリュームタイプの一覧は、新規タイプが OpenShift Container Platform の各リリースと共に追加されるため、網羅的な一覧である必要はありません。
後方互換性を確保するため、allowHostDirVolumePlugin
の使用は volumes
フィールドの設定をオーバーライドします。たとえば、allowHostDirVolumePlugin
が false に設定されていて、volumes
フィールドで許可されている場合は、volumes
から hostPath
値が削除されます。
15.1.5. 受付制御
SCC が設定された 受付制御 により、ユーザーに付与された機能に基づいてリソースの作成に対する制御が可能になります。
SCC の観点では、これは受付コントローラーが、SCC の適切なセットを取得するためにコンテキストで利用可能なユーザー情報を検査できることを意味します。これにより、Pod はその運用環境についての要求を行ったり、Pod に適用する一連の制約を生成したりする権限が与えられます
受付が Pod を許可するために使用する SCC のセットはユーザーアイデンティティーおよびユーザーが属するグループによって決定されます。さらに、Pod がサービスアカウントを指定する場合は、許可される SCC のセットに、サービスアカウントでアクセスできる制約が含まれます。
受付は以下の方法を使用して、Pod の最終的なセキュリティーコンテキストを作成します。
- 使用できるすべての SCC を取得します。
- 要求に指定されていないセキュリティーコンテキストに、設定のフィールド値を生成します。
- 利用可能な制約に対する最終的な設定を検証します。
制約の一致するセットが検出される場合は、Pod が受け入れられます。要求が SCC に一致しない場合は、Pod が拒否されます。
Pod はすべてのフィールドを SCC に対して検証する必要があります。以下は、検証する必要のある 2 つのフィールドのみについての例になります。
これらの例は、事前に割り当てられた値を使用するストラテジーに関連します。
MustRunAs
の FSGroup SCC ストラテジー
Pod が fsGroup
ID を定義する場合、その ID はデフォルトの fsGroup
ID に等しくなければなりません。そうでない場合は、Pod が SCC で検証されず、次の SCC が評価されます。
SecurityContextConstraints.fsGroup
フィールドに値 RunAsAny
があり、Pod 仕様が Pod.spec.securityContext.fsGroup
を省略すると、このフィールドは有効とみなされます。検証時に、他の SCC 設定が他の Pod フィールドを拒否し、そのため Pod を失敗させる可能性があることに注意してください。
MustRunAs
の SupplementalGroups
SCC ストラテジー
Pod 仕様が 1 つ以上の supplementalGroups
ID を定義する場合、Pod の ID は namespace の openshift.io/sa.scc.supplemental-groups
アノテーションの ID のいずれかに等しくなければなりません。そうでない場合は、Pod が SCC で検証されず、次の SCC が評価されます。
SecurityContextConstraints.supplementalGroups
フィールドに値 RunAsAny
があり、Pod 仕様が Pod.spec.securityContext.supplementalGroups
を省略する場合、このフィールドは有効とみなされます。検証時に、他の SCC 設定が他の Pod フィールドを拒否し、そのため Pod を失敗させる可能性があることに注意してください。
15.1.6. Security Context Constraints の優先度設定
SCC(Security Context Constraints) には優先度フィールドがあり、受付コントローラーの要求検証を試行する順序に影響を与えます。
優先順位値 0
は可能な限り低い優先順位です。nil 優先順位は 0
または最低の優先順位と見なされます。優先順位の高い SCC は、並べ替え時にセットの先頭に移動します。
使用可能な SCC の完全なセットが決定すると、SCC は次の方法で順序付けられます。
- 最も優先度の高い SCC が最初に並べられます。
- 優先度が等しい場合、SCC は最も制限の多いものから少ないものの順に並べ替えられます。
- 優先度と制限の両方が等しい場合、SCC は名前でソートされます。
デフォルトで、クラスター管理者に付与される anyuid
SCC には SCC セットの優先度が指定されます。これにより、クラスター管理者は Pod の SecurityContext
で RunAsUser
を指定することにより、任意のユーザーとして Pod を実行できます。
15.2. 事前に割り当てられる Security Context Constraints 値について
受付コントローラーは、これが namespace の事前に割り当てられた値を検索し、Pod の処理前に Security Context Constraints (SCC) を設定するようにトリガーする SCC (Security Context Constraint) の特定の条件を認識します。各 SCC ストラテジーは他のストラテジーとは別に評価されます。この際、(許可される場合に) Pod 仕様の値と共に集計された各ポリシーの事前に割り当てられた値が使用され、実行中の Pod で定義される各種 ID の最終の値が設定されます。
以下の SCC により、受付コントローラーは、範囲が Pod 仕様で定義されていない場合に事前に定義された値を検索できます。
-
最小または最大値が設定されていない
MustRunAsRange
のRunAsUser
ストラテジーです。受付はopenshift.io/sa.scc.uid-range
アノテーションを検索して範囲フィールドを設定します。 -
レベルが設定されていない
MustRunAs
のSELinuxContext
ストラテジーです。受付はopenshift.io/sa.scc.mcs
アノテーションを検索してレベルを設定します。 -
MustRunAs
のFSGroup
ストラテジーです。受付は、openshift.io/sa.scc.supplemental-groups
アノテーションを検索します。 -
MustRunAs
のSupplementalGroups
ストラテジーです。受付は、openshift.io/sa.scc.supplemental-groups
アノテーションを検索します。
生成フェーズでは、セキュリティーコンテキストのプロバイダーが Pod にとくに設定されていないパラメーター値をデフォルト設定します。デフォルト設定は選択されるストラテジーに基づいて行われます。
-
RunAsAny
およびMustRunAsNonRoot
ストラテジーはデフォルトの値を提供しません。Pod がパラメーター値 (グループ ID など) を必要とする場合は、値を Pod 仕様内に定義する必要があります。 -
MustRunAs
(単一の値) ストラテジーは、常に使用されるデフォルト値を提供します。たとえば、グループ ID の場合、Pod 仕様が独自の ID 値を定義する場合でも、namespace のデフォルトパラメーター値が Pod のグループに表示されます。 -
MustRunAsRange
およびMustRunAs
(範囲ベース) ストラテジーは、範囲の最小値を提供します。単一値のMustRunAs
ストラテジーの場合のように、namespace のデフォルト値は実行中の Pod に表示されます。範囲ベースのストラテジーが複数の範囲で設定可能な場合、これは最初に設定された範囲の最小値を指定します。
FSGroup
および SupplementalGroups
ストラテジーは、openshift.io/sa.scc.supplemental-groups
アノテーションが namespace に存在しない場合に openshift.io/sa.scc.uid-range
アノテーションにフォールバックします。いずれも存在しない場合は、SCC が作成されません。
デフォルトで、アノテーションベースの FSGroup
ストラテジーは、自身をアノテーションの最小値に基づく単一の範囲で設定します。たとえば、アノテーションが 1/3
を読み取ると、FSGroup
ストラテジーは 1
の最小値および最大値で自身を設定します。追加のグループを FSGroup
フィールドで許可する必要がある場合は、アノテーションを使用しないカスタム SCC を設定することができます。
openshift.io/sa.scc.supplemental-groups
アノテーションは、<start>/<length
または <start>-<end>
形式のコンマ区切りのブロックの一覧を受け入れます。openshift.io/sa.scc.uid-range
アノテーションは単一ブロックのみを受け入れます。
15.3. Security Context Constraints の例
以下の例は、Security Context Constraints (SCC) 形式およびアノテーションを示しています。
注釈付き privileged
SCC
allowHostDirVolumePlugin: true allowHostIPC: true allowHostNetwork: true allowHostPID: true allowHostPorts: true allowPrivilegedContainer: true allowedCapabilities: 1 - '*' apiVersion: security.openshift.io/v1 defaultAddCapabilities: [] 2 fsGroup: 3 type: RunAsAny groups: 4 - system:cluster-admins - system:nodes kind: SecurityContextConstraints metadata: annotations: kubernetes.io/description: 'privileged allows access to all privileged and host features and the ability to run as any user, any group, any fsGroup, and with any SELinux context. WARNING: this is the most relaxed SCC and should be used only for cluster administration. Grant with caution.' creationTimestamp: null name: privileged priority: null readOnlyRootFilesystem: false requiredDropCapabilities: 5 - KILL - MKNOD - SETUID - SETGID runAsUser: 6 type: RunAsAny seLinuxContext: 7 type: RunAsAny seccompProfiles: - '*' supplementalGroups: 8 type: RunAsAny users: 9 - system:serviceaccount:default:registry - system:serviceaccount:default:router - system:serviceaccount:openshift-infra:build-controller volumes: - '*'
- 1
- Pod が要求できる機能の一覧です。特殊な記号
*
は任意の機能を許可しますが、一覧が空の場合は、いずれの機能も要求できないことを意味します。 - 2
- Pod に含める追加機能の一覧です。
- 3
- セキュリティーコンテキストの許可される値を定める
FSGroup
ストラテジータイプです。 - 4
- この SCC へのアクセスを持つグループです。
- 5
- Pod から取り除く機能の一覧です。または、
ALL
を指定してすべての機能をドロップします。 - 6
- セキュリティーコンテキストの許可される値を定める
runAsUser
ストラテジータイプです。 - 7
- セキュリティーコンテキストの許可される値を定める
seLinuxContext
ストラテジータイプです。 - 8
- セキュリティーコンテキストの許可される補助グループを定める
supplementalGroups
ストラテジーです。 - 9
- この SCC にアクセスできるユーザーです。
SCC の users
および groups
フィールドは SCC にアクセスできるユーザー制御します。デフォルトで、クラスター管理者、ノードおよびビルドコントローラーには特権付き SCC へのアクセスが付与されます。認証されるすべてのユーザーには制限付き SCC へのアクセスが付与されます。
明示的な runAsUser
設定を使用しない場合
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: security-context-demo
spec:
securityContext: 1
containers:
- name: sec-ctx-demo
image: gcr.io/google-samples/node-hello:1.0
- 1
- コンテナーまたは Pod が実行時に使用するユーザー ID を要求しない場合、有効な UID はこの Pod を作成する SCC よって異なります。制限付き SCC はデフォルトですべての認証ユーザーに付与されるため、ほとんどの場合はすべてのユーザーおよびサービスアカウントで利用でき、使用されます。この制限付き SCC は、
securityContext.runAsUser
フィールドの使用できる値を制限し、これをデフォルトに設定するためにMustRunAsRange
ストラテジーを使用します。受付プラグインではこの範囲を指定しないため、現行プロジェクトでopenshift.io/sa.scc.uid-range
アノテーションを検索して範囲フィールドにデータを設定します。最終的にコンテナーのrunAsUser
は予測が困難な範囲の最初の値と等しい値になります。予測が困難であるのはすべてのプロジェクトにはそれぞれ異なる範囲が設定されるためです。
明示的な runAsUser
設定を使用する場合
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: security-context-demo
spec:
securityContext:
runAsUser: 1000 1
containers:
- name: sec-ctx-demo
image: gcr.io/google-samples/node-hello:1.0
- 1
- 特定のユーザー ID を要求するコンテナーまたは Pod が OpenShift Container Platform によって受け入れられるのは、サービスアカウントまたはユーザーにそのユーザー ID を許可する SCC へのアクセスが付与されている場合のみです。SCC は、任意の ID や特定の範囲内にある ID、または要求に固有のユーザー ID を許可します。
この設定は、SELinux、fsGroup、および Supplemental Groups について有効です。
15.4. SCC (Security Context Constraints) の作成
OpenShift CLI (oc
) を使用して SCC (Security Context Constraints) を作成することができます。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールしている。 -
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにログインしている。
手順
scc_admin.yaml
という名前の YAML ファイルで SCC を定義します。SecurityContextConstraints
オブジェクト定義kind: SecurityContextConstraints apiVersion: security.openshift.io/v1 metadata: name: scc-admin allowPrivilegedContainer: true runAsUser: type: RunAsAny seLinuxContext: type: RunAsAny fsGroup: type: RunAsAny supplementalGroups: type: RunAsAny users: - my-admin-user groups: - my-admin-group
オプションとして、
requiredDropCapabilities
フィールドに必要な値を設定して、SCC の特定の機能を取り除くことができます。指定された機能はコンテナーからドロップされます。すべてのケイパビリティーを破棄するには、ALL
を指定します。たとえば、KILL
機能、MKNOD
機能、およびSYS_CHROOT
機能のない SCC を作成するには、以下を SCC オブジェクトに追加します。requiredDropCapabilities: - KILL - MKNOD - SYS_CHROOT
注記allowedCapabilities
とrequiredDropCapabilities
の両方に、機能を追加できません。CRI-O は、Docker ドキュメント に記載されている同じ一連の機能の値をサポートし ます。
ファイルを渡して SCC を作成します。
$ oc create -f scc_admin.yaml
出力例
securitycontextconstraints "scc-admin" created
検証
SCC が作成されていることを確認します。
$ oc get scc scc-admin
出力例
NAME PRIV CAPS SELINUX RUNASUSER FSGROUP SUPGROUP PRIORITY READONLYROOTFS VOLUMES scc-admin true [] RunAsAny RunAsAny RunAsAny RunAsAny <none> false [awsElasticBlockStore azureDisk azureFile cephFS cinder configMap downwardAPI emptyDir fc flexVolume flocker gcePersistentDisk gitRepo glusterfs iscsi nfs persistentVolumeClaim photonPersistentDisk quobyte rbd secret vsphere]
15.5. Security Context Constraints へのロールベースのアクセス
SCC は RBAC で処理されるリソースとして指定できます。これにより、SCC へのアクセスのスコープを特定プロジェクトまたはクラスター全体に設定できます。ユーザー、グループ、またはサービスアカウントを SCC に直接割り当てると、クラスター全体のスコープが保持されます。
SCC をデフォルト namespace (default
、kube-system
、kube-public
、openshift-node
、openshift-infra
、および openshift
) のいずれかに作成します。これらの namespace は Pod またはサービスの実行に使用しないでください。
ロールの SCC へのアクセスを組み込むには、ロールの作成時に scc
リソースを指定します。
$ oc create role <role-name> --verb=use --resource=scc --resource-name=<scc-name> -n <namespace>
これにより、以下のロール定義が生成されます。
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: Role metadata: ... name: role-name 1 namespace: namespace 2 ... rules: - apiGroups: - security.openshift.io 3 resourceNames: - scc-name 4 resources: - securitycontextconstraints 5 verbs: 6 - use
このようなルールを持つローカルまたはクラスターロールは、ロールバインディングまたは クラスターロールバインディングでこれにバインドされたサブジェクトが scc-name
というユーザー定義の SCC を使用することを許可します。
RBAC はエスカレーションを防ぐように設計されているため、プロジェクト管理者であっても SCC へのアクセスを付与することはできません。デフォルトでは、restricted
SCC を含め、SCC リソースで動詞 use
を使用することは許可されていません。
15.6. SCC (Security Context Constraints) コマンドのリファレンス
OpenShift CLI (oc
) を使用して、インスタンスの SCC (Security Context Constraints) を通常の API オブジェクトとして管理できます。
SCC を管理できるように cluster-admin
権限がなければなりません。
15.6.1. SCC (Security Context Constraints) の表示
SCC の現在の一覧を取得するには、以下を実行します。
$ oc get scc
出力例
NAME PRIV CAPS SELINUX RUNASUSER FSGROUP SUPGROUP PRIORITY READONLYROOTFS VOLUMES anyuid false [] MustRunAs RunAsAny RunAsAny RunAsAny 10 false [configMap downwardAPI emptyDir persistentVolumeClaim projected secret] hostaccess false [] MustRunAs MustRunAsRange MustRunAs RunAsAny <none> false [configMap downwardAPI emptyDir hostPath persistentVolumeClaim projected secret] hostmount-anyuid false [] MustRunAs RunAsAny RunAsAny RunAsAny <none> false [configMap downwardAPI emptyDir hostPath nfs persistentVolumeClaim projected secret] hostnetwork false [] MustRunAs MustRunAsRange MustRunAs MustRunAs <none> false [configMap downwardAPI emptyDir persistentVolumeClaim projected secret] node-exporter false [] RunAsAny RunAsAny RunAsAny RunAsAny <none> false [*] nonroot false [] MustRunAs MustRunAsNonRoot RunAsAny RunAsAny <none> false [configMap downwardAPI emptyDir persistentVolumeClaim projected secret] privileged true [*] RunAsAny RunAsAny RunAsAny RunAsAny <none> false [*] restricted false [] MustRunAs MustRunAsRange MustRunAs RunAsAny <none> false [configMap downwardAPI emptyDir persistentVolumeClaim projected secret]
15.6.2. Security Context Constraints の検証
特定の SCC についての情報 (SCC が適用されるユーザー、サービスアカウントおよびグループを含む) を表示できます。
たとえば、restricted
SCC を検査するには、以下を実行します。
$ oc describe scc restricted
出力例
Name: restricted Priority: <none> Access: Users: <none> 1 Groups: system:authenticated 2 Settings: Allow Privileged: false Default Add Capabilities: <none> Required Drop Capabilities: KILL,MKNOD,SYS_CHROOT,SETUID,SETGID Allowed Capabilities: <none> Allowed Seccomp Profiles: <none> Allowed Volume Types: configMap,downwardAPI,emptyDir,persistentVolumeClaim,projected,secret Allow Host Network: false Allow Host Ports: false Allow Host PID: false Allow Host IPC: false Read Only Root Filesystem: false Run As User Strategy: MustRunAsRange UID: <none> UID Range Min: <none> UID Range Max: <none> SELinux Context Strategy: MustRunAs User: <none> Role: <none> Type: <none> Level: <none> FSGroup Strategy: MustRunAs Ranges: <none> Supplemental Groups Strategy: RunAsAny Ranges: <none>
アップグレード時にカスタマイズされた SCC を保持するには、デフォルトの SCC の設定を編集しないでください。
15.6.3. SCC (Security Context Constraints) の削除
SCC を削除するには、以下を実行します。
$ oc delete scc <scc_name>
デフォルトの SCC を削除する場合、それはクラスターの再起動時に再生成されます。
15.6.4. SCC (Security Context Constraints) の更新
既存 SCC を更新するには、以下を実行します。
$ oc edit scc <scc_name>
アップグレード時にカスタマイズされた SCC を保持するには、デフォルトの SCC の設定を編集しないでください。
第16章 system:admin ユーザーの権限の借用
16.1. API の権限借用
OpenShift Container Platform API への要求を、別のユーザーから発信されているかのように設定できます。詳細は、Kubernetes ドキュメントの User impersonation を参照してください。
16.2. system:admin ユーザーの権限の借用
クラスター管理者のパーミッションを付与する system:admin
の権限を借用するユーザーパーミッションを付与することができます。
手順
system:admin
の権限を借用するためにユーザーパーミッションを付与するには、以下のコマンドを実行します。$ oc create clusterrolebinding <any_valid_name> --clusterrole=sudoer --user=<username>
ヒントまたは、以下の YAML を適用して、
system:admin
の偽装権限を割り当てることができます。apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: ClusterRoleBinding metadata: name: <any_valid_name> roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: sudoer subjects: - apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: User name: <username>
16.3. system:admin グループの権限の借用
system:admin
ユーザーにグループ経由でクラスター管理者のパーミッションが付与されている場合、コマンドに --as=<user> --as-group=<group1> --as-group=<group2>
パラメーターを追加して、関連するグループの権限を借用する必要があります。
手順
関連するクラスター管理グループの権限を借用して
system:admin
の権限を借用するためにユーザーパーミッションを付与するには、以下のコマンドを実行します。$ oc create clusterrolebinding <any_valid_name> --clusterrole=sudoer --as=<user> \ --as-group=<group1> --as-group=<group2>
第17章 LDAP グループの同期
管理者は、グループを使用してユーザーを管理し、権限を変更し、連携を強化できます。組織ではユーザーグループをすでに作成し、それらを LDAP サーバーに保存している場合があります。OpenShift Container Platform はそれらの LDAP レコードを内部 OpenShift Container Platform レコードと同期できるので、グループを 1 つの場所で管理できます。現時点で OpenShift Container Platform はグループメンバーシップを定義するための 3 つの共通スキーマ (RFC 2307、Active Directory、拡張された Active Directory) を使用してグループと LDAP サーバーの同期をサポートしています。
LDAP の設定の詳細は、LDAP アイデンティティープロバイダーの設定 を参照してください。
グループを同期するには cluster-admin
権限を持っている必要があります。
17.1. LDAP 同期の設定について
LDAP 同期を実行するには、同期設定ファイルが必要です。このファイルには、以下の LDAP クライアント設定の詳細が含まれます。
- LDAP サーバーへの接続の設定。
- LDAP サーバーで使用されるスキーマに依存する同期設定オプション。
- OpenShift Container Platform Group 名を LDAP サーバーのグループにマップする管理者が定義した名前マッピングの一覧です。
設定ファイルの形式は、使用するスキーマ (RFC 2307、Active Directory、または拡張 Active Directory) によって異なります。
- LDAP クライアント設定
- 設定の LDAP クライアント設定セクションでは、LDAP サーバーへの接続を定義します。
設定の LDAP クライアント設定セクションでは、LDAP サーバーへの接続を定義します。
LDAP クライアント設定
url: ldap://10.0.0.0:389 1 bindDN: cn=admin,dc=example,dc=com 2 bindPassword: password 3 insecure: false 4 ca: my-ldap-ca-bundle.crt 5
- 1
- データベースをホストする LDAP サーバーの接続プロトコル、IP アドレス、および
scheme://host:port
としてフォーマットされる接続先のポートです。 - 2
- バインド DN として使用する任意の識別名 (DN) です。同期操作のエントリーを取得するために昇格した権限が必要となる場合、OpenShift Container Platform はこれを使用します。
- 3
- バインドに使用する任意のパスワードです。同期操作のエントリーを取得するために昇格した権限が必要となる場合、OpenShift Container Platform はこれを使用します。この値は環境変数、外部ファイル、または暗号化されたファイルでも指定できます。
- 4
false
の場合、セキュアな LDAP (ldaps://
) URL は TLS を使用して接続し、非セキュアな LDAP (ldap://
) URL は TLS にアップグレードされます。true
の場合、サーバーへの TLS 接続は行われません。ldaps://
URL スキームは使用できません。- 5
- 設定された URL のサーバー証明書を検証するために使用する証明書バンドルです。空の場合、OpenShift Container Platform はシステムで信頼されるルートを使用します。
insecure
がfalse
に設定されている場合にのみ、これが適用されます。
- LDAP クエリー定義
- 同期設定は、同期に必要となるエントリーの LDAP クエリー定義で設定されています。LDAP クエリーの特定の定義は、LDAP サーバーにメンバーシップ情報を保存するために使用されるスキーマに依存します。
LDAP クエリー定義
baseDN: ou=users,dc=example,dc=com 1 scope: sub 2 derefAliases: never 3 timeout: 0 4 filter: (objectClass=person) 5 pageSize: 0 6
- 1
- すべての検索が開始されるディレクトリーのブランチの識別名 (DN) です。ディレクトリーツリーの上部を指定する必要がありますが、ディレクトリーのサブツリーを指定することもできます。
- 2
- 検索の範囲です。有効な値は
base
、one
、またはsub
です。これを定義しない場合、sub
の範囲が使用されます。範囲オプションについては、以下の表で説明されています。 - 3
- LDAP ツリーのエイリアスに関連する検索の動作です。有効な値は
never
、search
、base
、またはalways
です。これを定義しない場合、デフォルトはalways
となり、エイリアスを逆参照します。逆参照の動作については以下の表で説明されています。 - 4
- クライアントによって検索に許可される時間制限です。
0
の値はクライアント側の制限がないことを意味します。 - 5
- 有効な LDAP 検索フィルターです。これを定義しない場合、デフォルトは
(objectClass=*)
になります。 - 6
- LDAP エントリーで測定される、サーバーからの応答ページの任意の最大サイズです。
0
に設定すると、応答ページのサイズ制限はなくなります。クライアントまたはサーバーがデフォルトで許可しているエントリー数より多いエントリーをクエリーが返す場合、ページングサイズの設定が必要となります。
LDAP 検索範囲 | 説明 |
---|---|
| クエリーに対して指定されるベース DN で指定するオブジェクトのみを考慮します。 |
| クエリーについてベース DN とツリー内の同じレベルにあるすべてのオブジェクトを考慮します。 |
| クエリーに指定されるベース DN のサブツリー全体を考慮します。 |
逆参照動作 | 説明 |
---|---|
| LDAP ツリーにあるエイリアスを逆参照しません。 |
| 検索中に見つかったエイリアスのみを逆参照します。 |
| ベースオブジェクトを検索中にエイリアスのみを逆参照します。 |
| LDAP ツリーにあるすべてのエイリアスを常に逆参照します。 |
- ユーザー定義の名前マッピング
- ユーザー定義の名前マッピングは、OpenShift Container Platform Groups の名前を LDAP サーバーでグループを検出する固有の識別子に明示的にマップします。マッピングは通常の YAML 構文を使用します。ユーザー定義のマッピングには LDAP サーバーのすべてのグループのエントリーを含めることも、それらのグループのサブセットのみを含めることもできます。ユーザー定義の名前マッピングを持たないグループが LDAP サーバーにある場合、同期時のデフォルト動作では OpenShift Container Platform Group の名前として指定される属性が使用されます。
ユーザー定義の名前マッピング
groupUIDNameMapping: "cn=group1,ou=groups,dc=example,dc=com": firstgroup "cn=group2,ou=groups,dc=example,dc=com": secondgroup "cn=group3,ou=groups,dc=example,dc=com": thirdgroup
17.1.1. RFC 2307 設定ファイルについて
RFC 2307 スキーマでは、ユーザーとグループエントリー両方の LDAP クエリー定義と内部 OpenShift Container Platform レコードでそれらを表すのに使用する属性を指定する必要があります。
明確にするために、OpenShift Container Platform で作成するグループは (可能な場合) ユーザーまたは管理者に表示されるフィールドに識別名以外の属性を使用する必要があります。たとえば、メールによって OpenShift Container Platform Group のユーザーを識別し、一般名としてグループの名前を使用します。以下の設定ファイルでは、このような関係を作成しています。
ユーザー定義名のマッピングを使用する場合、設定ファイルは異なります。
RFC 2307 スキーマを使用する LDAP 同期設定: rfc2307_config.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldap://LDAP_SERVICE_IP:389 1 insecure: false 2 rfc2307: groupsQuery: baseDN: "ou=groups,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 groupUIDAttribute: dn 3 groupNameAttributes: [ cn ] 4 groupMembershipAttributes: [ member ] 5 usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 userUIDAttribute: dn 6 userNameAttributes: [ mail ] 7 tolerateMemberNotFoundErrors: false tolerateMemberOutOfScopeErrors: false
- 1
- このグループのレコードが保存される LDAP サーバーの IP アドレスとホストです。
- 2
false
の場合、セキュアな LDAP (ldaps://
) URL は TLS を使用して接続し、非セキュアな LDAP (ldap://
) URL は TLS にアップグレードされます。true
の場合、サーバーへの TLS 接続は行われません。ldaps://
URL スキームは使用できません。- 3
- LDAP サーバーのグループを一意に識別する属性です。
groupUIDAttribute
に DN を使用している場合、groupsQuery
フィルターを指定できません。詳細なフィルターを実行するには、ホワイトリスト/ブラックリストの方法を使用します。 - 4
- Group の名前として使用する属性です。
- 5
- メンバーシップ情報を保存するグループの属性です。
- 6
- LDAP サーバーでユーザーを一意に識別する属性です。userUIDAttribute に DN を使用している場合は、
usersQuery
フィルターを指定できません。詳細なフィルターを実行するには、ホワイトリスト/ブラックリストの方法を使用します。 - 7
- OpenShift Container Platform Group レコードでユーザー名として使用される属性です。
17.1.2. Active Directory 設定ファイルについて
Active Directory スキーマでは、ユーザーエントリーの LDAP クエリー定義と内部 OpenShift Container Platform Group レコードでそれらを表すのに使用する属性を指定する必要があります。
明確にするために、OpenShift Container Platform で作成するグループは (可能な場合) ユーザーまたは管理者に表示されるフィールドに識別名以外の属性を使用する必要があります。たとえば、メールによって OpenShift Container Platform Group のユーザーを識別しますが、LDAP サーバーのグループ名でグループの名前を定義します。以下の設定ファイルでは、このような関係を作成しています。
Active Directory スキーマを使用する LDAP 同期設定: active_directory_config.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldap://LDAP_SERVICE_IP:389 activeDirectory: usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never filter: (objectclass=person) pageSize: 0 userNameAttributes: [ mail ] 1 groupMembershipAttributes: [ memberOf ] 2
17.1.3. 拡張された Active Directory 設定ファイルについて
拡張された Active Directory スキーマでは、ユーザーエントリーとグループエントリーの両方の LDAP クエリー定義と内部 OpenShift Container Platform Group レコードでそれらを表すのに使用する属性を指定する必要があります。
明確にするために、OpenShift Container Platform で作成するグループは (可能な場合) ユーザーまたは管理者に表示されるフィールドに識別名以外の属性を使用する必要があります。たとえば、メールによって OpenShift Container Platform Group のユーザーを識別し、一般名としてグループの名前を使用します。以下の設定ファイルではこのような関係を作成しています。
拡張された Active Directory スキーマを使用する LDAP 同期設定: augmented_active_directory_config.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldap://LDAP_SERVICE_IP:389 augmentedActiveDirectory: groupsQuery: baseDN: "ou=groups,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 groupUIDAttribute: dn 1 groupNameAttributes: [ cn ] 2 usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never filter: (objectclass=person) pageSize: 0 userNameAttributes: [ mail ] 3 groupMembershipAttributes: [ memberOf ] 4
17.2. LDAP 同期の実行
同期設定ファイルを作成後、同期を開始できます。OpenShift Container Platform では、管理者は同じサーバーを使用して多数の異なる同期タイプを実行できます。
17.2.1. LDAP サーバーの OpenShift Container Platform との同期
LDAP サーバーのすべてのグループを OpenShift Container Platform に同期できます。
前提条件
- 同期設定ファイルを作成します。
手順
LDAP サーバーからのすべてのグループを OpenShift Container Platform と同期するには、以下を実行します。
$ oc adm groups sync --sync-config=config.yaml --confirm
注記デフォルトでは、すべてのグループ同期操作がドライランされるので、OpenShift Container Platform Group レコードを変更するために
oc adm groups sync
コマンドで--confirm
フラグを設定する必要があります。
17.2.2. OpenShift Container Platform Group の LDAP サーバーとの同期
設定ファイルで指定された LDAP サーバーのグループに対応する OpenShift Container Platform のグループすべてを同期できます。
前提条件
- 同期設定ファイルを作成します。
手順
OpenShift Container Platform Group を LDAP サーバーと同期するには、以下を実行します。
$ oc adm groups sync --type=openshift --sync-config=config.yaml --confirm
注記デフォルトでは、すべてのグループ同期操作がドライランされるので、OpenShift Container Platform Group レコードを変更するために
oc adm groups sync
コマンドで--confirm
フラグを設定する必要があります。
17.2.3. LDAP サーバーのサブグループの OpenShift Container Platform との同期
LDAP グループのサブセットを、ホワイトリストファイル、ブラックリストファイル、またはその両方を使用して OpenShift Container Platform と同期できます。
ブラックリストファイル、ホワイトリストファイル、またはホワイトリストのリテラルの組み合わせを使用できます。ホワイトリストおよびブラックリストのファイルには 1 行ごとに 1 つの固有のグループ識別子を含める必要があり、ホワイトリストのリテラルはコマンド自体に直接含めることができます。これらのガイドラインは LDAP サーバーにあるグループと OpenShift Container Platform にすでにあるグループに適用されます。
前提条件
- 同期設定ファイルを作成します。
手順
LDAP グループのサブセットを OpenShift Container Platform と同期するには、以下のコマンドを使用します。
$ oc adm groups sync --whitelist=<whitelist_file> \ --sync-config=config.yaml \ --confirm
$ oc adm groups sync --blacklist=<blacklist_file> \ --sync-config=config.yaml \ --confirm
$ oc adm groups sync <group_unique_identifier> \ --sync-config=config.yaml \ --confirm
$ oc adm groups sync <group_unique_identifier> \ --whitelist=<whitelist_file> \ --blacklist=<blacklist_file> \ --sync-config=config.yaml \ --confirm
$ oc adm groups sync --type=openshift \ --whitelist=<whitelist_file> \ --sync-config=config.yaml \ --confirm
注記デフォルトでは、すべてのグループ同期操作がドライランされるので、OpenShift Container Platform Group レコードを変更するために
oc adm groups sync
コマンドで--confirm
フラグを設定する必要があります。
17.3. グループのプルーニングジョブの実行
グループを作成した LDAP サーバーのレコードが存在しなくなった場合、管理者は OpenShift Container Platform レコードからグループを削除することを選択できます。プルーニングジョブは、同期ジョブに使用されるものと同じ同期設定ファイルおよびホワイトリストまたはブラックリストを受け入れます。
以下に例を示します。
$ oc adm prune groups --sync-config=/path/to/ldap-sync-config.yaml --confirm
$ oc adm prune groups --whitelist=/path/to/whitelist.txt --sync-config=/path/to/ldap-sync-config.yaml --confirm
$ oc adm prune groups --blacklist=/path/to/blacklist.txt --sync-config=/path/to/ldap-sync-config.yaml --confirm
17.4. LDAP グループを自動的に同期する
cron ジョブを設定することにより、LDAP グループを定期的に自動的に同期できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 LDAP ID プロバイダー (IDP) を設定しました。
この手順は、
ldap-secret
という名前の LDAP シークレットとca-config-map
という名前の設定マップを作成したことを前提としています。
手順
cron ジョブを実行するプロジェクトを作成します。
$ oc new-project ldap-sync 1
- 1
- この手順では、
ldap-sync
というプロジェクトを使用します。
LDAP ID プロバイダーの設定時に作成したシークレットマップと設定マップを見つけて、この新しいプロジェクトにコピーします。
シークレットマップと設定マップは
openshift-config
プロジェクトに存在し、新しいldap-sync
プロジェクトにコピーする必要があります。サービスアカウントを定義します。
例:
ldap-sync-service-account.yaml
kind: ServiceAccount apiVersion: v1 metadata: name: ldap-group-syncer namespace: ldap-sync
サービスアカウントを作成します。
$ oc create -f ldap-sync-service-account.yaml
クラスターのロールを定義します。
例:
ldap-sync-cluster-role.yaml
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: ClusterRole metadata: name: ldap-group-syncer rules: - apiGroups: - '' - user.openshift.io resources: - groups verbs: - get - list - create - update
クラスターロールを作成します。
$ oc create -f ldap-sync-cluster-role.yaml
クラスターロールバインディングを定義して、クラスターロールをサービスアカウントにバインドします。
例:
ldap-sync-cluster-role-binding.yaml
kind: ClusterRoleBinding apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 metadata: name: ldap-group-syncer subjects: - kind: ServiceAccount name: ldap-group-syncer 1 namespace: ldap-sync roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: ClusterRole name: ldap-group-syncer 2
クラスターロールバインディングを作成します。
$ oc create -f ldap-sync-cluster-role-binding.yaml
同期設定ファイルを指定する設定マップを定義します。
例:
ldap-sync-config-map.yaml
kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: ldap-group-syncer namespace: ldap-sync data: sync.yaml: | 1 kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldaps://10.0.0.0:389 2 insecure: false bindDN: cn=admin,dc=example,dc=com 3 bindPassword: file: "/etc/secrets/bindPassword" ca: /etc/ldap-ca/ca.crt rfc2307: 4 groupsQuery: baseDN: "ou=groups,dc=example,dc=com" 5 scope: sub filter: "(objectClass=groupOfMembers)" derefAliases: never pageSize: 0 groupUIDAttribute: dn groupNameAttributes: [ cn ] groupMembershipAttributes: [ member ] usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" 6 scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 userUIDAttribute: dn userNameAttributes: [ uid ] tolerateMemberNotFoundErrors: false tolerateMemberOutOfScopeErrors: false
設定マップを作成します。
$ oc create -f ldap-sync-config-map.yaml
cron ジョブを定義します。
例:
ldap-sync-cron-job.yaml
kind: CronJob apiVersion: batch/v1 metadata: name: ldap-group-syncer namespace: ldap-sync spec: 1 schedule: "*/30 * * * *" 2 concurrencyPolicy: Forbid jobTemplate: spec: backoffLimit: 0 ttlSecondsAfterFinished: 1800 3 template: spec: containers: - name: ldap-group-sync image: "registry.redhat.io/openshift4/ose-cli:latest" command: - "/bin/bash" - "-c" - "oc adm groups sync --sync-config=/etc/config/sync.yaml --confirm" 4 volumeMounts: - mountPath: "/etc/config" name: "ldap-sync-volume" - mountPath: "/etc/secrets" name: "ldap-bind-password" - mountPath: "/etc/ldap-ca" name: "ldap-ca" volumes: - name: "ldap-sync-volume" configMap: name: "ldap-group-syncer" - name: "ldap-bind-password" secret: secretName: "ldap-secret" 5 - name: "ldap-ca" configMap: name: "ca-config-map" 6 restartPolicy: "Never" terminationGracePeriodSeconds: 30 activeDeadlineSeconds: 500 dnsPolicy: "ClusterFirst" serviceAccountName: "ldap-group-syncer"
- 1
- cron ジョブの設定を設定します。cron ジョブ設定の詳細については、cron ジョブの作成を参照してください。
- 2
- cron 形式 で指定されるジョブのスケジュール。この例の cron ジョブは 30 分ごとに実行されます。同期の実行にかかる時間を考慮して、必要に応じて周波数を調整します。
- 3
- 完了したジョブを保持する時間 (秒単位)。これは、失敗した以前のジョブを消去して不要なアラートを発生させないように、ジョブスケジュールの期間と同じにする必要があります。詳細については、Kubernetes ドキュメントの TTL-after-finished Controller を参照してください。
- 4
- cron ジョブを実行するための LDAP 同期コマンド。設定マップで定義された同期設定ファイルを渡します。
- 5
- このシークレットは、LDAP IDP が設定されたときに作成されました。
- 6
- この設定マップは、LDAP IDP が設定されたときに作成されました。
cron ジョブを作成します。
$ oc create -f ldap-sync-cron-job.yaml
17.5. LDAP グループの同期の例
このセクションには、RFC 2307、Active Directory、および拡張 Active Directory スキーマについての例が記載されています。
これらの例では、すべてのユーザーがそれぞれのグループの直接的なメンバーであることを想定しています。とくに、グループには他のグループがメンバーとして含まれません。ネスト化されたグループを同期する方法の詳細については、ネスト化されたメンバーシップ同期の例について参照してください。
17.5.1. RFC 2307 スキーマの使用によるグループの同期
RFC 2307 スキーマの場合、以下の例では 2 名のメンバー (Jane
と Jim
) を持つ admins
というグループを同期します。以下に例を示します。
- グループとユーザーが LDAP サーバーに追加される方法。
- 同期後に生成される OpenShift Container Platform の Group レコード。
これらの例では、すべてのユーザーがそれぞれのグループの直接的なメンバーであることを想定しています。とくに、グループには他のグループがメンバーとして含まれません。ネスト化されたグループを同期する方法の詳細については、ネスト化されたメンバーシップ同期の例について参照してください。
RFC 2307 スキーマでは、ユーザー (Jane と Jim) とグループの両方がファーストクラスエントリーとして LDAP サーバーに存在し、グループメンバーシップはグループの属性に保存されます。以下の ldif
のスニペットでは、このスキーマのユーザーとグループを定義しています。
RFC 2307 スキーマを使用する LDAP エントリー: rfc2307.ldif
dn: ou=users,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: users dn: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson cn: Jane sn: Smith displayName: Jane Smith mail: jane.smith@example.com dn: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson cn: Jim sn: Adams displayName: Jim Adams mail: jim.adams@example.com dn: ou=groups,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: groups dn: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 1 objectClass: groupOfNames cn: admins owner: cn=admin,dc=example,dc=com description: System Administrators member: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com 2 member: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
rfc2307_config.yaml
ファイルと同期します。$ oc adm groups sync --sync-config=rfc2307_config.yaml --confirm
OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
rfc2307_config.yaml
ファイルを使用して作成される OpenShift Container Platform GroupapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 1 openshift.io/ldap.uid: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 2 openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 3 creationTimestamp: name: admins 4 users: 5 - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
17.5.2. ユーザー定義の名前マッピングに関する RFC2307 スキーマを使用したグループの同期
グループとユーザー定義の名前マッピングを同期する場合、設定ファイルは、以下に示すこれらのマッピングが含まれるように変更されます。
ユーザー定義の名前マッピングに関する RFC 2307 スキーマを使用する LDAP 同期設定: rfc2307_config_user_defined.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 groupUIDNameMapping: "cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com": Administrators 1 rfc2307: groupsQuery: baseDN: "ou=groups,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 groupUIDAttribute: dn 2 groupNameAttributes: [ cn ] 3 groupMembershipAttributes: [ member ] usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never pageSize: 0 userUIDAttribute: dn 4 userNameAttributes: [ mail ] tolerateMemberNotFoundErrors: false tolerateMemberOutOfScopeErrors: false
- 1
- ユーザー定義の名前マッピングです。
- 2
- ユーザー定義の名前マッピングでキーに使用される固有の識別属性です。groupUIDAttribute に DN を使用している場合は
groupsQuery
フィルターを指定できません。詳細なフィルターを実行するには、ホワイトリスト/ブラックリストの方法を使用します。 - 3
- 固有の識別子がユーザー定義の名前マッピングに存在しない場合に OpenShift Container Platform Group に名前を付けるための属性です。
- 4
- LDAP サーバーでユーザーを一意に識別する属性です。userUIDAttribute に DN を使用している場合は、
usersQuery
フィルターを指定できません。詳細なフィルターを実行するには、ホワイトリスト/ブラックリストの方法を使用します。
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
rfc2307_config_user_defined.yaml
ファイルとの同期を実行します。$ oc adm groups sync --sync-config=rfc2307_config_user_defined.yaml --confirm
OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
rfc2307_config_user_defined.yaml
ファイルを使用して作成される OpenShift Container Platform GroupapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 openshift.io/ldap.uid: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 creationTimestamp: name: Administrators 1 users: - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
- 1
- ユーザー定義の名前マッピングが指定するグループ名です。
17.5.3. ユーザー定義のエラートレランスに関する RFC 2307 の使用によるグループの同期
デフォルトでは、同期されるグループにメンバークエリーで定義された範囲外にあるエントリーを持つメンバーが含まれる場合、グループ同期は以下のエラーを出して失敗します。
Error determining LDAP group membership for "<group>": membership lookup for user "<user>" in group "<group>" failed because of "search for entry with dn="<user-dn>" would search outside of the base dn specified (dn="<base-dn>")".
これは usersQuery
フィールドの baseDN
の設定が間違っていることを示していることがよくあります。ただし、baseDN
にグループの一部のメンバーが意図的に含まれていない場合、tolerateMemberOutOfScopeErrors: true
を設定することでグループ同期が継続されます。範囲外のメンバーは無視されます。
同様に、グループ同期プロセスでグループのメンバーの検出に失敗した場合、同期はエラーを出して失敗します。
Error determining LDAP group membership for "<group>": membership lookup for user "<user>" in group "<group>" failed because of "search for entry with base dn="<user-dn>" refers to a non-existent entry". Error determining LDAP group membership for "<group>": membership lookup for user "<user>" in group "<group>" failed because of "search for entry with base dn="<user-dn>" and filter "<filter>" did not return any results".
これは usersQuery
フィールドの設定が間違っていることを示していることがよくあります。ただし、グループに欠落していると認識されているメンバーエントリーが含まれる場合、tolerateMemberNotFoundErrors: true
を設定することでグループ同期が継続されます。問題のあるメンバーは無視されます。
LDAP グループ同期のエラートレランスを有効にすると、同期プロセスは問題のあるメンバーエントリーを無視します。LDAP グループ同期が正しく設定されていない場合、同期された OpenShift Container Platform Group にメンバーが欠落する可能性があります。
問題のあるグループメンバーシップに関する RFC 2307 スキーマを使用する LDAP エントリー: rfc2307_problematic_users.ldif
dn: ou=users,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: users dn: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson cn: Jane sn: Smith displayName: Jane Smith mail: jane.smith@example.com dn: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson cn: Jim sn: Adams displayName: Jim Adams mail: jim.adams@example.com dn: ou=groups,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: groups dn: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com objectClass: groupOfNames cn: admins owner: cn=admin,dc=example,dc=com description: System Administrators member: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com member: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com member: cn=INVALID,ou=users,dc=example,dc=com 1 member: cn=Jim,ou=OUTOFSCOPE,dc=example,dc=com 2
上記の例でエラーを許容するには、以下を同期設定ファイルに追加する必要があります。
エラーを許容する RFC 2307 スキーマを使用した LDAP 同期設定: rfc2307_config_tolerating.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldap://LDAP_SERVICE_IP:389 rfc2307: groupsQuery: baseDN: "ou=groups,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never groupUIDAttribute: dn groupNameAttributes: [ cn ] groupMembershipAttributes: [ member ] usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never userUIDAttribute: dn 1 userNameAttributes: [ mail ] tolerateMemberNotFoundErrors: true 2 tolerateMemberOutOfScopeErrors: true 3
- 1
- LDAP サーバーでユーザーを一意に識別する属性です。userUIDAttribute に DN を使用している場合は、
usersQuery
フィルターを指定できません。詳細なフィルターを実行するには、ホワイトリスト/ブラックリストの方法を使用します。 - 2
true
の場合、同期ジョブは一部のメンバーが見つからなかったグループを許容し、LDAP エントリーが見つからなかったメンバーは無視されます。グループのメンバーが見つからない場合、同期ジョブのデフォルト動作は失敗します。- 3
true
の場合、同期ジョブは、一部のメンバーがusersQuery
ベース DN で指定されるユーザー範囲外にいるグループを許容し、メンバークエリー範囲外のメンバーは無視されます。グループのメンバーが範囲外の場合、同期ジョブのデフォルト動作は失敗します。
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
rfc2307_config_tolerating.yaml
ファイルを使用して同期を実行します。$ oc adm groups sync --sync-config=rfc2307_config_tolerating.yaml --confirm
OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
rfc2307_config.yaml
ファイルを使用して作成される OpenShift Container Platform GroupapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 openshift.io/ldap.uid: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 creationTimestamp: name: admins users: 1 - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
- 1
- 同期ファイルで指定されるグループのメンバーのユーザーです。検索中に許容されるエラーがないメンバーです。
17.5.4. Active Directory スキーマの使用によるグループの同期
Active Directory スキーマでは、両方のユーザー (Jane と Jim) がファーストクラスエントリーとして LDAP サーバーに存在し、グループメンバーシップはユーザーの属性に保存されます。以下の ldif
のスニペットでは、このスキーマのユーザーとグループを定義しています。
Active Directory スキーマを使用する LDAP エントリー: active_directory.ldif
dn: ou=users,dc=example,dc=com
objectClass: organizationalUnit
ou: users
dn: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com
objectClass: person
objectClass: organizationalPerson
objectClass: inetOrgPerson
objectClass: testPerson
cn: Jane
sn: Smith
displayName: Jane Smith
mail: jane.smith@example.com
memberOf: admins 1
dn: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com
objectClass: person
objectClass: organizationalPerson
objectClass: inetOrgPerson
objectClass: testPerson
cn: Jim
sn: Adams
displayName: Jim Adams
mail: jim.adams@example.com
memberOf: admins
- 1
- ユーザーのグループメンバーシップはユーザーの属性として一覧表示され、グループはサーバー上にエントリーとして存在しません。
memberOf
属性はユーザーのリテラル属性である必要はありません。 一部の LDAP サーバーでは、これは検索中に作成され、クライアントに返されますが、データベースにコミットされません。
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
active_directory_config.yaml
ファイルを使用して同期を実行します。$ oc adm groups sync --sync-config=active_directory_config.yaml --confirm
OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
active_directory_config.yaml
ファイルを使用して作成される OpenShift Container Platform GroupapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 1 openshift.io/ldap.uid: admins 2 openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 3 creationTimestamp: name: admins 4 users: 5 - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
17.5.5. 拡張された Active Directory スキーマの使用によるグループの同期
拡張された Active Directory スキーマでは、両方のユーザー (Jane と Jim) とグループがファーストクラスエントリーとして LDAP サーバーに存在し、グループメンバーシップはユーザーの属性に保存されます。以下の ldif
のスニペットでは、このスキーマのユーザーとグループを定義しています。
拡張された Active Directory スキーマを使用する LDAP エントリー: augmented_active_directory.ldif
dn: ou=users,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: users dn: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson objectClass: testPerson cn: Jane sn: Smith displayName: Jane Smith mail: jane.smith@example.com memberOf: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 1 dn: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson objectClass: testPerson cn: Jim sn: Adams displayName: Jim Adams mail: jim.adams@example.com memberOf: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com dn: ou=groups,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: groups dn: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 2 objectClass: groupOfNames cn: admins owner: cn=admin,dc=example,dc=com description: System Administrators member: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com member: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
augmented_active_directory_config.yaml
ファイルを使用して同期を実行します。$ oc adm groups sync --sync-config=augmented_active_directory_config.yaml --confirm
OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
augmented_active_directory_config.yaml
ファイルを使用して作成される OpenShift Container Platform GroupapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 1 openshift.io/ldap.uid: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 2 openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 3 creationTimestamp: name: admins 4 users: 5 - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
17.5.5.1. LDAP のネスト化されたメンバーシップ同期の例
OpenShift Container Platform の Group はネスト化しません。LDAP サーバーはデータが使用される前にグループメンバーシップを平坦化する必要があります。Microsoft の Active Directory Server は、LDAP_MATCHING_RULE_IN_CHAIN
ルールによりこの機能をサポートしており、これには OID 1.2.840.113556.1.4.1941
が設定されています。さらに、このマッチングルールを使用すると、明示的にホワイトリスト化されたグループのみを同期できます。
このセクションでは、拡張された Active Directory スキーマの例を取り上げ、1 名のユーザー Jane
と 1 つのグループ otheradmins
をメンバーとして持つ admins
というグループを同期します。otheradmins
グループには 1 名のユーザーメンバー Jim
が含まれます。この例では以下のことを説明しています。
- グループとユーザーが LDAP サーバーに追加される方法。
- LDAP 同期設定ファイルの概観。
- 同期後に生成される OpenShift Container Platform の Group レコード。
拡張された Active Directory スキーマでは、ユーザー (Jane
と Jim
) とグループの両方がファーストクラスエントリーとして LDAP サーバーに存在し、グループメンバーシップはユーザーまたはグループの属性に保存されます。以下の ldif
のスニペットはこのスキーマのユーザーとグループを定義します。
ネスト化されたメンバーを持つ拡張された Active Directory スキーマを使用する LDAP エントリー: augmented_active_directory_nested.ldif
dn: ou=users,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: users dn: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson objectClass: testPerson cn: Jane sn: Smith displayName: Jane Smith mail: jane.smith@example.com memberOf: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 1 dn: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com objectClass: person objectClass: organizationalPerson objectClass: inetOrgPerson objectClass: testPerson cn: Jim sn: Adams displayName: Jim Adams mail: jim.adams@example.com memberOf: cn=otheradmins,ou=groups,dc=example,dc=com 2 dn: ou=groups,dc=example,dc=com objectClass: organizationalUnit ou: groups dn: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 3 objectClass: group cn: admins owner: cn=admin,dc=example,dc=com description: System Administrators member: cn=Jane,ou=users,dc=example,dc=com member: cn=otheradmins,ou=groups,dc=example,dc=com dn: cn=otheradmins,ou=groups,dc=example,dc=com 4 objectClass: group cn: otheradmins owner: cn=admin,dc=example,dc=com description: Other System Administrators memberOf: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 5 6 member: cn=Jim,ou=users,dc=example,dc=com
Active Directory を使用してネスト化されたグループを同期するには、ユーザーエントリーとグループエントリーの両方の LDAP クエリー定義と内部 OpenShift Container Platform Group レコードでそれらを表すのに使用する属性を指定する必要があります。さらに、この設定では特定の変更が必要となります。
-
oc adm groups sync
コマンドはグループを明示的にホワイトリスト化する必要があります。 -
ユーザーの
groupMembershipAttributes
には"memberOf:1.2.840.113556.1.4.1941:"
を含め、LDAP_MATCHING_RULE_IN_CHAIN
ルールに従う必要があります。 -
groupUIDAttribute
はdn
に設定される必要があります。 groupsQuery
:-
filter
を設定しないでください。 -
有効な
derefAliases
を設定する必要があります。 -
baseDN
を設定しないでください。 この値は無視されます。 -
scope
を設定しないでください。 この値は無視されます。
-
明確にするために、OpenShift Container Platform で作成するグループは (可能な場合) ユーザーまたは管理者に表示されるフィールドに識別名以外の属性を使用する必要があります。たとえば、メールによって OpenShift Container Platform Group のユーザーを識別し、一般名としてグループの名前を使用します。以下の設定ファイルでは、このような関係を作成しています。
ネスト化されたメンバーを持つ拡張された Active Directory スキーマを使用する LDAP 同期設定です。augmented_active_directory_config_nested.yaml
kind: LDAPSyncConfig apiVersion: v1 url: ldap://LDAP_SERVICE_IP:389 augmentedActiveDirectory: groupsQuery: 1 derefAliases: never pageSize: 0 groupUIDAttribute: dn 2 groupNameAttributes: [ cn ] 3 usersQuery: baseDN: "ou=users,dc=example,dc=com" scope: sub derefAliases: never filter: (objectclass=person) pageSize: 0 userNameAttributes: [ mail ] 4 groupMembershipAttributes: [ "memberOf:1.2.840.113556.1.4.1941:" ] 5
- 1
groupsQuery
フィルターは指定できません。groupsQuery
ベース DN およびスコープの値は無視されます。groupsQuery
では有効なderefAliases
を設定する必要があります。- 2
- LDAP サーバーのグループを一意に識別する属性です。
dn
に設定される必要があります。 - 3
- Group の名前として使用する属性です。
- 4
- OpenShift Container Platform Group レコードでユーザー名として使用される属性です。ほとんどのインストールでは、
mail
またはsAMAccountName
を使用することが推奨されます。 - 5
- メンバーシップ情報を保存するユーザーの属性です。
LDAP_MATCHING_RULE_IN_CHAIN
を使用することに注意してください。
前提条件
- 設定ファイルを作成します。
手順
augmented_active_directory_config_nested.yaml
ファイルを使用して同期を実行します。$ oc adm groups sync \ 'cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com' \ --sync-config=augmented_active_directory_config_nested.yaml \ --confirm
注記cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com
グループを明示的にホワイトリスト化する必要があります。OpenShift Container Platform は、上記の同期操作の結果として以下のグループレコードを作成します。
augmented_active_directory_config_nested.yaml
ファイルを使用して作成された OpenShift Container Platform グループapiVersion: user.openshift.io/v1 kind: Group metadata: annotations: openshift.io/ldap.sync-time: 2015-10-13T10:08:38-0400 1 openshift.io/ldap.uid: cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com 2 openshift.io/ldap.url: LDAP_SERVER_IP:389 3 creationTimestamp: name: admins 4 users: 5 - jane.smith@example.com - jim.adams@example.com
- 1
- この OpenShift Container Platform Group と LDAP サーバーが最後に同期された時間です。ISO 6801 形式を使用します。
- 2
- LDAP サーバーのグループの固有識別子です。
- 3
- このグループのレコードが保存される LDAP サーバーの IP アドレスとホストです。
- 4
- 同期ファイルが指定するグループ名です。
- 5
- グループのメンバーのユーザーです。同期ファイルで指定される名前が使用されます。グループメンバーシップは Microsoft Active Directory Server によって平坦化されているため、ネスト化されたグループのメンバーが含まれることに注意してください。
17.6. LDAP 同期設定の仕様
設定ファイルのオブジェクト仕様は以下で説明されています。スキーマオブジェクトにはそれぞれのフィールドがあることに注意してください。たとえば、v1.ActiveDirectoryConfig には groupsQuery
フィールドがありませんが、v1.RFC2307Config と v1.AugmentedActiveDirectoryConfig の両方にこのフィールドがあります。
バイナリー属性はサポートされていません。LDAP サーバーの全属性データは、UTF-8 エンコード文字列の形式である必要があります。たとえば、ID 属性として、バイナリー属性を使用することはできません (例: objectGUID
)。代わりに sAMAccountName
または userPrincipalName
などの文字列属性を使用する必要があります。
17.6.1. v1.LDAPSyncConfig
LDAPSyncConfig
は、LDAP グループ同期を定義するために必要な設定オプションを保持します。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
| このオブジェクトが表す REST リソースを表す文字列の値です。サーバーはクライアントが要求を送信するエンドポイントからこれを推測できることがあります。これを更新することはできません。CamelCase。詳細については、https://github.com/kubernetes/community/blob/master/contributors/devel/sig-architecture/api-conventions.md#types-kinds を参照してください。 | 文字列 |
| オブジェクトのこの表現のバージョンスキーマを定義します。サーバーは認識されたスキーマを最新の内部値に変換し、認識されない値は拒否することがあります。詳細については、https://github.com/kubernetes/community/blob/master/contributors/devel/sig-architecture/api-conventions.md#resources を参照してください。 | 文字列 |
|
ホストは接続先の LDAP サーバーのスキーム、ホストおよびポートになります。 | 文字列 |
| LDAP サーバーをバインドする任意の DN です。 | 文字列 |
| 検索フェーズでバインドする任意のパスワードです。 | v1.StringSource |
|
| ブール値 |
| サーバーへ要求を行う際に使用する任意の信頼された認証局バンドルです。空の場合、デフォルトのシステムルートが使用されます。 | 文字列 |
| LDAP グループ UID の OpenShift Container Platform Group 名への任意の直接マッピングです。 | オブジェクト |
| RFC2307 と同じ方法でセットアップされた LDAP サーバーからデータを抽出するための設定を保持します。ファーストクラスグループとユーザーエントリーを抽出し、グループメンバーシップはメンバーを一覧表示するグループエントリーの複数値の属性によって決定されます。 | v1.RFC2307Config |
| Active Directory に使用されるのと同じ方法でセットアップされた LDAP サーバーからデータを抽出するための設定を保持します。ファーストクラスユーザーエントリーを抽出し、グループメンバーシップはメンバーが属するグループを一覧表示するメンバーの複数値の属性によって決定されます。 | v1.ActiveDirectoryConfig |
| 上記の Active Directory で使用されるのと同じ方法でセットアップされた LDAP サーバーからデータを抽出するための設定を保持します。1 つの追加として、ファーストクラスグループエントリーが存在し、それらはメタデータを保持するために使用されますが、グループメンバーシップは設定されません。 | v1.AugmentedActiveDirectoryConfig |
17.6.2. v1.StringSource
StringSource
によって文字列インラインを指定できます。または環境変数またはファイルを使用して外部から指定することもできます。 文字列の値のみを含む場合、単純な JSON 文字列にマーシャルします。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
|
クリアテキスト値、または | 文字列 |
|
クリアテキスト値、または | 文字列 |
|
クリアテキスト値、または | 文字列 |
| 値を復号化するために使用するキーを含むファイルを参照します。 | 文字列 |
17.6.3. v1.LDAPQuery
LDAPQuery
は LDAP クエリーの作成に必要なオプションを保持します。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
| すべての検索が開始されるディレクトリーのブランチの DN です。 | 文字列 |
|
検索の任意の範囲です。 | 文字列 |
|
エイリアスに関する検索の任意の動作です。 | 文字列 |
|
応答の待機を中止するまでにサーバーへの要求を未処理のままにする時間制限 (秒単位) を保持します。これが | 整数 |
| ベース DN を持つ LDAP サーバーから関連するすべてのエントリーを取得する有効な LDAP 検索フィルターです。 | 文字列 |
|
LDAP エントリーで測定される、推奨される最大ページサイズです。ページサイズ | 整数 |
17.6.4. v1.RFC2307Config
RFC2307Config
は、RFC2307 スキーマを使用してどのように LDAP グループ同期が LDAP サーバーに相互作用するかを定義するために必要な設定オプションを保持します。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
| グループエントリーを返す LDAP クエリーのテンプレートを保持します。 | v1.LDAPQuery |
|
LDAP グループエントリーのどの属性が固有の識別子として解釈されるかを定義します。 ( | 文字列 |
| LDAP グループエントリーのどの属性が OpenShift Container Platform Group に使用する名前として解釈されるかを定義します。 | 文字列の配列 |
|
LDAP グループエントリーのどの属性がメンバーとして解釈されるかを定義します。それらの属性に含まれる値は | 文字列の配列 |
| ユーザーエントリーを返す LDAP クエリーのテンプレートを保持します。 | v1.LDAPQuery |
|
LDAP ユーザーエントリーのどの属性が固有の識別子として解釈されるかを定義します。 | 文字列 |
|
LDAP ユーザーエントリーのどの属性が順番に OpenShift Container Platform ユーザー名として使われるかを定義します。空でない値を持つ最初の属性が使用されます。これは | 文字列の配列 |
|
ユーザーエントリーがない場合の LDAP 同期ジョブの動作を決定します。 | ブール値 |
|
範囲外のユーザーエントリーが検出される場合の LDAP 同期ジョブの動作を決定します。 | ブール値 |
17.6.5. v1.ActiveDirectoryConfig
ActiveDirectoryConfig
は必要な設定オプションを保持し、どのように LDAP グループ同期が Active Directory スキーマを使用して LDAP サーバーと相互作用するかを定義します。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
| ユーザーエントリーを返す LDAP クエリーのテンプレートを保持します。 | v1.LDAPQuery |
|
LDAP ユーザーエントリーのどの属性が OpenShift Container Platform ユーザー名として解釈されるかを定義します。OpenShift Container Platform Group レコードでユーザー名として使用される属性です。ほとんどのインストールでは、 | 文字列の配列 |
| LDAP ユーザーのどの属性がメンバーの属するグループとして解釈されるかを定義します。 | 文字列の配列 |
17.6.6. v1.AugmentedActiveDirectoryConfig
AugmentedActiveDirectoryConfig
は必要な設定オプションを保持し、どのように LDAP グループ同期が拡張された Active Directory スキーマを使用して LDAP サーバーに相互作用するかを定義します。
名前 | 説明 | スキーマ |
---|---|---|
| ユーザーエントリーを返す LDAP クエリーのテンプレートを保持します。 | v1.LDAPQuery |
|
LDAP ユーザーエントリーのどの属性が OpenShift Container Platform ユーザー名として解釈されるかを定義します。OpenShift Container Platform Group レコードでユーザー名として使用される属性です。ほとんどのインストールでは、 | 文字列の配列 |
| LDAP ユーザーのどの属性がメンバーの属するグループとして解釈されるかを定義します。 | 文字列の配列 |
| グループエントリーを返す LDAP クエリーのテンプレートを保持します。 | v1.LDAPQuery |
|
LDAP グループエントリーのどの属性が固有の識別子として解釈されるかを定義します。 ( | 文字列 |
| LDAP グループエントリーのどの属性が OpenShift Container Platform Group に使用する名前として解釈されるかを定義します。 | 文字列の配列 |
第18章 クラウドプロバイダーの認証情報の管理
18.1. Cloud Credential Operator について
Cloud Credential Operator (CCO) は、クラウドプロバイダーの認証情報をカスタムリソース定義 (CRD) として管理します。CCO は CredentialsRequest
カスタムリソース (CR) で同期し、OpenShift Container Platform コンポーネントが、クラスターの実行に必要な特定のパーミッションと共にクラウドプロバイダーの認証情報を要求できるようにします。
install-config.yaml
ファイルで credentialsMode
パラメーターに異なる値を設定すると、CCO は複数の異なるモードで動作するように設定できます。モードが指定されていない場合や、credentialsMode
パラメーターが空の文字列 (""
) に設定されている場合、CCO はデフォルトモードで動作します。
18.1.1. モード
install-config.yaml
ファイルに credentialsMode
パラメーターの異なる値を設定することで、CCO を mint、passthrough、または manual モードで動作するように設定できます。これらのオプションにより、CCO がクラウド認証情報を使用してクラスターで CredentialsRequest
CR を処理し、CCO を組織のセキュリティー要件に対応するように設定する方法において透明性と柔軟性が提供されます。すべてのクラウドプロバイダーですべての CCO モードがサポートされている訳ではありません。
Mint: mint モードでは、CCO は提供される管理レベルのクラウド認証情報を使用して、必要となる特定のパーミッションのみでクラスター内のコンポーネントの新規の認証情報を作成します。
注記mint モードは、CCO が使用するデフォルトかつ推奨されるベストプラクティスの設定です。
- Passthrough: passthrough モードでは、CCO はクラウド認証情報を要求するコンポーネントに、指定されたクラウド認証情報を渡します。
Manual: manual モードでは、ユーザーは CCO の代わりにクラウド認証情報を管理します。
- Manual with AWS STS: manual モードでは、AWS クラスターを Amazon Web Services Security Token Service (AWS STS) を使用するように設定できます。この設定では、CCO は異なるコンポーネントに一時的な認証情報を使用します。
クラウドプロバイダー | Mint | passthrough | Manual |
---|---|---|---|
Amazon Web Services (AWS) | X | X | X |
Microsoft Azure | X [1] | X | |
Google Cloud Platform (GCP) | X | X | X |
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) | X | ||
Red Hat Virtualization (RHV) | X | ||
VMware vSphere | X |
- 手動モードは、Microsoft Azure Stack Hub でサポートされている唯一の CCO 設定です。
18.1.2. デフォルト動作
複数のモードがサポートされるプラットフォーム (AWS、Azure、および GCP) の場合、CCO がデフォルトモードで動作する際に、これは指定される認証情報を動的にチェックし、CredentialsRequest
CR を処理するのに十分なモードを判別します。
デフォルトで、CCO は推奨される操作モードの mint モードに十分な認証情報があるかどうかを判別し、これらの認証情報を使用してクラスター内のコンポーネントの適切な認証情報を作成します。mint モードに十分な認証情報がない場合は、passthrough モードに十分な認証情報があるかどうかを判別します。passthrough モードに十分な認証情報がない場合、CCO は CredentialsRequest
CR を適切に処理できません。
インストール時に提供された認証情報が不十分であると判別される場合、インストールは失敗します。AWS では、インストーラーはプロセスの早期の段階で失敗し、どの必須パーミッションが欠落しているかを示します。他のプロバイダーは、エラーが発生するまでエラーの原因についての具体的な情報を提供しない場合があります。
認証情報が正常なインストールの後に変更され、CCO が新規の認証情報が不十分であると判別する場合に、CCO は新規の CredentialsRequest
CR に条件を追加し、認証情報が不十分であるためにそれらを処理できないことを示唆します。
不十分な認証情報についての問題を解決するために、適切なパーミッションで認証情報を指定します。エラーがインストール時に発生した場合は、再度インストールを試行します。新規の CredentialsRequest
CR 関連の問題については、CCO が再び CR の処理を試行するのを待機します。別の方法として、AWS、Azure、および GCP の IAM を手動で作成できます。
18.1.3. 関連情報
18.2. mint モードの使用
Mint モードは、Amazon Web Services (AWS) と Google Cloud Platform (GCP) でサポートされています。
Mint モードは、サポートされているプラットフォームのデフォルトモードです。このモードでは、Cloud Credential Operator (CCO) は提供される管理者レベルのクラウド認証情報を使用して、必要となる特定のパーミッションのみでクラスター内のコンポーネントの新規の認証情報を作成します。
インストール後に認証情報が削除されない場合、これは CCO によって保存され、クラスター内のコンポーネントの CredentialsRequest
CR を処理し、必要な特定のパーミッションのみでそれぞれの新規の認証情報を作成するために使用されます。mint モードでクラウド認証情報を継続的に調整することで、アップグレードなどの追加の認証情報またはパーミッションを必要とするアクションを続行できます。
Mint モードでは、管理者レベルのクレデンシャルがクラスター kube-system
namespace に格納されます。このアプローチが組織のセキュリティー要件を満たしていない場合は、AWS または GCP の kube-system プロジェクトに管理者レベルのシークレットを保存する代わりの方法 をご覧ください。
手動モード は、Microsoft Azure Stack Hub でサポートされている唯一の CCO 設定です。
18.2.1. mint モードのパーミッション要件
mint モードで CCO を使用する場合、指定する認証情報が OpenShift Container Platform を実行し、インストールしているクラウドの各種要件を満たしていることを確認してください。指定される認証情報が mint モードで不十分な場合、CCO は IAM ユーザーを作成できません。
18.2.1.1. Amazon Web Services (AWS) パーミッション
AWS で mint モードに指定する認証情報には以下のパーミッションが必要です。
-
iam:CreateAccessKey
-
iam:CreateUser
-
iam:DeleteAccessKey
-
iam:DeleteUser
-
iam:DeleteUserPolicy
-
iam:GetUser
-
iam:GetUserPolicy
-
iam:ListAccessKeys
-
iam:PutUserPolicy
-
iam:TagUser
-
iam:SimulatePrincipalPolicy
18.2.1.2. Google Cloud Platform (GCP) パーミッション
GCP の mint モードに指定する認証情報には以下のパーミッションが必要です。
-
resourcemanager.projects.get
-
serviceusage.services.list
-
iam.serviceAccountKeys.create
-
iam.serviceAccountKeys.delete
-
iam.serviceAccounts.create
-
iam.serviceAccounts.delete
-
iam.serviceAccounts.get
-
iam.roles.get
-
resourcemanager.projects.getIamPolicy
-
resourcemanager.projects.setIamPolicy
:_content-type: REFERENCE
18.2.2. 管理者の認証情報のルートシークレット形式
各クラウドプロバイダーは、kube-system
namespace の認証情報ルートシークレットを使用します。これは、すべての認証情報要求を満たし、それぞれのシークレットを作成するために使用されます。これは、mint モード で新規の認証情報を作成するか、または passthrough モード で認証情報 root シークレットをコピーして実行します。
シークレットの形式はクラウドごとに異なり、それぞれの CredentialsRequest
シークレットにも使用されます。
Amazon Web Services (AWS) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: aws-creds stringData: aws_access_key_id: <base64-encoded_access_key_id> aws_secret_access_key: <base64-encoded_secret_access_key>
Google Cloud Platform (GCP) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: gcp-credentials stringData: service_account.json: <base64-encoded_service_account>
18.2.3. 管理者レベルの認証情報の削除またはローテーション機能を持つ mint モード
現時点で、このモードは AWS および GCP でのみサポートされます。
このモードでは、ユーザーは通常の mint モードと同様に管理者レベルの認証情報を使用して OpenShift Container Platform をインストールします。ただし、このプロセスはクラスターのインストール後の管理者レベルの認証情報シークレットを削除します。
管理者は、Cloud Credential Operator に読み取り専用の認証情報について独自の要求を行わせることができます。これにより、すべての CredentialsRequest
オブジェクトに必要なパーミッションがあることの確認が可能になります。そのため、いずれかの変更が必要にならない限り、管理者レベルの認証情報は必要になりません。関連付けられた認証情報が削除された後に、必要な場合は、これは基礎となるクラウドで破棄するか、または非アクティブにできます。
z-stream 以外のアップグレードの前に、認証情報のシークレットを管理者レベルの認証情報と共に元に戻す必要があります。認証情報が存在しない場合は、アップグレードがブロックされる可能性があります。
管理者レベルの認証情報はクラスターに永続的に保存されません。
これらの手順を実行するには、短い期間にクラスターでの管理者レベルの認証情報が必要になります。また、アップグレードごとに管理者レベルの認証情報を使用してシークレットを手動で再インストールする必要があります。
18.2.3.1. クラウドプロバイダーの認証情報の手動によるローテーション
クラウドプロバイダーの認証情報が何らかの理由で変更される場合、クラウドプロバイダーの認証情報の管理に Cloud Credential Operator (CCO) が使用するシークレットを手動で更新する必要があります。
クラウド認証情報をローテーションするプロセスは、CCO を使用するように設定されているモードによって変わります。mint モードを使用しているクラスターの認証情報をローテーションした後に、削除された認証情報で作成されたコンポーネントの認証情報は手動で削除する必要があります。
前提条件
クラスターは、使用している CCO モードでのクラウド認証情報の手動ローテーションをサポートするプラットフォームにインストールされている。
- mint モードについては、Amazon Web Services (AWS) および Google Cloud Platform (GCP) がサポートされます。
- クラウドプロバイダーとのインターフェイスに使用される認証情報を変更している。
- 新規認証情報には、モードの CCO がクラスターで使用されるように設定するのに十分なパーミッションがある。
手順
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Workloads → Secrets に移動します。
Secrets ページの表で、クラウドプロバイダーのルートシークレットを見つけます。
プラットフォーム シークレット名 AWS
aws-creds
GCP
gcp-credentials
- シークレットと同じ行にある Options メニュー をクリックし、Edit Secret を選択します。
- Value フィールドの内容を記録します。この情報を使用して、認証情報の更新後に値が異なることを確認できます。
- Value フィールドのテキストをクラウドプロバイダーの新規の認証情報で更新し、Save をクリックします。
個々の
CredentialsRequest
オブジェクトによって参照される各コンポーネントシークレットを削除します。-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform CLI にログインします。 参照されたすべてのコンポーネントシークレットの名前および namespace を取得します。
$ oc -n openshift-cloud-credential-operator get CredentialsRequest \ -o json | jq -r '.items[] | select (.spec.providerSpec.kind=="<provider_spec>") | .spec.secretRef'
ここで、
<provider_spec>
はクラウドプロバイダーの対応する値になります。-
AWS:
AWSProviderSpec
-
GCP:
GCPProviderSpec
AWS の部分的なサンプル出力
{ "name": "ebs-cloud-credentials", "namespace": "openshift-cluster-csi-drivers" } { "name": "cloud-credential-operator-iam-ro-creds", "namespace": "openshift-cloud-credential-operator" }
-
AWS:
参照されるコンポーネントの各シークレットを削除します。
$ oc delete secret <secret_name> \1 -n <secret_namespace> 2
AWS シークレットの削除例
$ oc delete secret ebs-cloud-credentials -n openshift-cluster-csi-drivers
プロバイダーコンソールから認証情報を手動で削除する必要はありません。参照されるコンポーネントのシークレットを削除すると、CCO はプラットフォームから既存の認証情報を削除し、新規の認証情報を作成します。
-
検証
認証情報が変更されたことを確認するには、以下を実行します。
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Workloads → Secrets に移動します。
- Value フィールドの内容が変更されていることを確認します。
18.2.3.2. クラウドプロバイダーの認証情報の削除
Cloud Credential Operator (CCO) を mint モードで使用して OpenShift Container Platform クラスターをインストールした後に、クラスターの kube-system
namespace から管理者レベルの認証情報シークレットを削除できます。管理者レベルの認証情報は、アップグレードなどの昇格されたパーミッションを必要とする変更時にのみ必要です。
z-stream 以外のアップグレードの前に、認証情報のシークレットを管理者レベルの認証情報と共に元に戻す必要があります。認証情報が存在しない場合は、アップグレードがブロックされる可能性があります。
前提条件
- クラスターが、CCO からのクラウド認証情報の削除をサポートするプラットフォームにインストールされている。サポートされるプラットフォームは AWS および GCP。
手順
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Workloads → Secrets に移動します。
Secrets ページの表で、クラウドプロバイダーのルートシークレットを見つけます。
プラットフォーム シークレット名 AWS
aws-creds
GCP
gcp-credentials
- シークレットと同じ行にある Options メニュー をクリックし、Delete Secret を選択します。
18.2.4. 関連情報
- AWS についての 管理者レベルのシークレットを kube-system プロジェクトに保存する代替方法
- GCP についての 管理者レベルのシークレットを kube-system プロジェクトに保存する代替方法
18.3. passthrough モードの使用
passthrough モードは、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP)、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)、Red Hat Virtualization (RHV)、および VMware vSphere でサポートされます。
passthrough モードでは、Cloud Credential Operator (CCO) は提供されるクラウド認証情報を、コンポーネントを要求するコンポーネントに渡します。認証情報には、インストールを実行し、クラスター内のコンポーネントで必要な操作を完了するためのパーミッションが必要ですが、認証情報を新たに作成する必要はありません。CCO は、passthrough モードで、追加の制限されたスコープの認証情報の作成を試行しません。
手動モード は、Microsoft Azure Stack Hub でサポートされている唯一の CCO 設定です。
18.3.1. passthrough モードのパーミッション要件
passthrough モードで CCO を使用する場合、指定する認証情報が OpenShift Container Platform を実行し、インストールしているクラウドの各種要件を満たしていることを確認してください。CCO が CredentialsRequest
CR を作成するコンポーネントに渡す指定された認証情報が不十分な場合に、そのコンポーネントは、パーミッションがない API の呼び出しを試行する際にエラーを報告します。
18.3.1.1. Amazon Web Services (AWS) パーミッション
AWS の passthrough モードに指定する認証情報には、実行し、インストールしている OpenShift Container Platform のバージョンで必要なすべての CredentialsRequest
CR に必要なすべての必須パーミッションがなければなりません。
必要な CredentialsRequest
CR を見つけるには、AWS の IAM の手動作成 について参照してください。
18.3.1.2. Microsoft Azure パーミッション
Azure の passthrough モードに指定する認証情報には、実行し、インストールしている OpenShift Container Platform のバージョンで必要なすべての CredentialsRequest
CR に必要なすべての必須パーミッションがなければなりません。
必要な CredentialsRequest
CR を見つけるには、Azure の IAM の手動作成 について参照してください。
18.3.1.3. Google Cloud Platform (GCP) パーミッション
GCP の passthrough モードに指定する認証情報には、実行し、インストールしている OpenShift Container Platform のバージョンで必要なすべての CredentialsRequest
CR に必要なすべての必須パーミッションがなければなりません。
必要な CredentialsRequest
CR を見つけるには、GCP の IAM の手動作成 について参照してください。
18.3.1.4. Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) パーミッション
OpenShift Container Platform クラスターを RHOSP にインストールするには、CCO では member
ユーザーロールのパーミッションと共に認証情報が必要になります。
18.3.1.5. Red Hat Virtualization (RHV) パーミッション
OpenShift Container Platform クラスターを RHV にインストールするには、CCO には、以下の権限と共に認証情報が必要になります。
-
DiskOperator
-
DiskCreator
-
UserTemplateBasedVm
-
TemplateOwner
-
TemplateCreator
-
OpenShift Container Platform デプロイメントにターゲットが設定される特定クラスターの
ClusterAdmin
18.3.1.6. VMware vSphere パーミッション
OpenShift Container Platform クラスターを VMware vSphere にインストールするには、CCO には以下の vSphere 権限と共に認証情報が必要になります。
カテゴリー | 権限 |
---|---|
データストア | 領域の割り当て |
フォルダー | フォルダーの作成、フォルダーの削除 |
vSphere タグ | すべての権限 |
ネットワーク | ネットワークの割り当て |
リソース | 仮想マシンのリソースプールへの割り当て |
プロファイル駆動型ストレージ | すべての権限 |
vApp | すべての権限 |
仮想マシン | すべての権限 |
:_content-type: REFERENCE
18.3.2. 管理者の認証情報のルートシークレット形式
各クラウドプロバイダーは、kube-system
namespace の認証情報ルートシークレットを使用します。これは、すべての認証情報要求を満たし、それぞれのシークレットを作成するために使用されます。これは、mint モード で新規の認証情報を作成するか、または passthrough モード で認証情報 root シークレットをコピーして実行します。
シークレットの形式はクラウドごとに異なり、それぞれの CredentialsRequest
シークレットにも使用されます。
Amazon Web Services (AWS) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: aws-creds stringData: aws_access_key_id: <base64-encoded_access_key_id> aws_secret_access_key: <base64-encoded_secret_access_key>
Microsoft Azure シークレットの形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: azure-credentials stringData: azure_subscription_id: <base64-encoded_subscription_id> azure_client_id: <base64-encoded_client_id> azure_client_secret: <base64-encoded_client_secret> azure_tenant_id: <base64-encoded_tenant_id> azure_resource_prefix: <base64-encoded_resource_prefix> azure_resourcegroup: <base64-encoded_resource_group> azure_region: <base64-encoded_region>
Microsoft Azure では、認証情報シークレット形式には、それぞれのクラスターのインストールにランダムに生成されるクラスターのインフラストラクチャー ID が含まれる必要のある 2 つのプロパティーがあります。この値は、マニフェストの作成後に確認できます。
$ cat .openshift_install_state.json | jq '."*installconfig.ClusterID".InfraID' -r
出力例
mycluster-2mpcn
この値は、以下のようにシークレットデータで使用されます。
azure_resource_prefix: mycluster-2mpcn azure_resourcegroup: mycluster-2mpcn-rg
Google Cloud Platform (GCP) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: gcp-credentials stringData: service_account.json: <base64-encoded_service_account>
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: openstack-credentials data: clouds.yaml: <base64-encoded_cloud_creds> clouds.conf: <base64-encoded_cloud_creds_init>
Red Hat Virtualization (RHV) シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: ovirt-credentials data: ovirt_url: <base64-encoded_url> ovirt_username: <base64-encoded_username> ovirt_password: <base64-encoded_password> ovirt_insecure: <base64-encoded_insecure> ovirt_ca_bundle: <base64-encoded_ca_bundle>
VMware vSphere シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: kube-system name: vsphere-creds data: vsphere.openshift.example.com.username: <base64-encoded_username> vsphere.openshift.example.com.password: <base64-encoded_password>
18.3.3. passthrough モードの認証情報のメンテナンス
CredentialsRequest
CR がクラスターのアップグレード時に変更される場合、各種要件を満たすために passthrough モードの認証情報を手動で更新する必要があります。アップグレード時の認証情報の問題を回避するには、アップグレードの前に、新規バージョンの OpenShift Container Platform のリリースイメージで CredentialsRequest
CR を確認します。クラウドプロバイダーに必要な CredentialsRequest
CR を見つけるには、AWS、Azure、または GCP の IAM の手動作成について参照してください。
18.3.3.1. クラウドプロバイダーの認証情報の手動によるローテーション
クラウドプロバイダーの認証情報が何らかの理由で変更される場合、クラウドプロバイダーの認証情報の管理に Cloud Credential Operator (CCO) が使用するシークレットを手動で更新する必要があります。
クラウド認証情報をローテーションするプロセスは、CCO を使用するように設定されているモードによって変わります。mint モードを使用しているクラスターの認証情報をローテーションした後に、削除された認証情報で作成されたコンポーネントの認証情報は手動で削除する必要があります。
前提条件
クラスターは、使用している CCO モードでのクラウド認証情報の手動ローテーションをサポートするプラットフォームにインストールされている。
- passthrough モードは、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP)、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)、Red Hat Virtualization (RHV)、および VMware vSphere でサポートされます。
- クラウドプロバイダーとのインターフェイスに使用される認証情報を変更している。
- 新規認証情報には、モードの CCO がクラスターで使用されるように設定するのに十分なパーミッションがある。
手順
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Workloads → Secrets に移動します。
Secrets ページの表で、クラウドプロバイダーのルートシークレットを見つけます。
プラットフォーム シークレット名 AWS
aws-creds
Azure
azure-credentials
GCP
gcp-credentials
RHOSP
openstack-credentials
RHV
ovirt-credentials
VMware vSphere
vsphere-creds
- シークレットと同じ行にある Options メニュー をクリックし、Edit Secret を選択します。
- Value フィールドの内容を記録します。この情報を使用して、認証情報の更新後に値が異なることを確認できます。
- Value フィールドのテキストをクラウドプロバイダーの新規の認証情報で更新し、Save をクリックします。
vSphere CSI Driver Operator が有効になっていない vSphere クラスターの認証情報を更新する場合は、Kubernetes コントローラーマネージャーを強制的にロールアウトして更新された認証情報を適用する必要があります。
注記vSphere CSI Driver Operator が有効になっている場合、この手順は不要です。
更新された vSphere 認証情報を適用するには、
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform CLI にログインし、以下のコマンドを実行します。$ oc patch kubecontrollermanager cluster \ -p='{"spec": {"forceRedeploymentReason": "recovery-'"$( date )"'"}}' \ --type=merge
認証情報がロールアウトされている間、Kubernetes Controller Manager Operator のステータスは
Progressing=true
を報告します。ステータスを表示するには、次のコマンドを実行します。$ oc get co kube-controller-manager
検証
認証情報が変更されたことを確認するには、以下を実行します。
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Workloads → Secrets に移動します。
- Value フィールドの内容が変更されていることを確認します。
18.3.4. インストール後のパーミッションの縮小
passthrough モードを使用する場合、各コンポーネントには他のすべてのコンポーネントによって使用されるパーミッションと同じパーミッションがあります。インストール後にパーミッションを縮小しない場合、すべてのコンポーネントにはインストーラーの実行に必要な幅広いパーミッションが付与されます。
インストール後に、認証情報のパーミッションを、クラスターの実行に必要なパーミッションに制限できます。これは、使用している OpenShift Container Platform バージョンのリリースイメージの CredentialsRequest
CR で定義されます。
AWS、Azure、または GCP に必要な CredentialsRequest
CR を見つけ、CCO が使用するパーミッションを変更する方法については、AWS、Azure、または GCP の IAM の手動作成について参照してください。
18.3.5. 関連情報
18.4. 手動モードの使用
手動モードは Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、および Google Cloud Platform (GCP) でサポートされます。
手動モードでは、ユーザーは Cloud Credential Operator (CCO) の代わりにクラウド認証情報を管理します。このモードを使用するには、実行またはインストールしている OpenShift Container Platform バージョンのリリースイメージの CredentialsRequest
CR を検査し、基礎となるクラウドプロバイダーで対応する認証情報を作成し、クラスターのクラウドプロバイダーのすべての CredentialsRequest
CR に対応するために Kubernetes Secret を正しい namespace に作成する必要があります。
手動モードを使用すると、クラスターに管理者レベルの認証情報を保存する必要なく、各クラスターコンポーネントに必要なパーミッションのみを指定できます。このモードでは、AWS パブリック IAM エンドポイントへの接続も必要ありません。ただし、各アップグレードについて、パーミッションを新規リリースイメージを使用して手動で調整する必要があります。
手動モードを使用するようにクラウドプロバイダーを設定する方法についての詳細は、 AWS、Azure、または GCP の IAM の手動作成 について参照してください。
18.4.1. AWS STS を使用した手動モード
AWS クラスターを手動モードで設定し、Amazon Web Services Security Token Service (AWS STS) を使用するように設定できます。この設定では、CCO は異なるコンポーネントに一時的な認証情報を使用します。
18.4.2. 手動でメンテナンスされた認証情報を使用したクラスターのアップグレード
手動でメンテナンスされる認証情報をを含むクラスターの Cloud Credential Operator (CCO) の upgradable
ステータスはデフォルトで false
となります。
-
4.8 から 4.9 などのマイナーリリースの場合には、このステータスを使用することで、パーミッションを更新して
CloudCredential
リソースにアノテーションを付けてパーミッションが次のバージョンの要件に合わせて更新されていることを指定するまで、アップグレードができないようになります。このアノテーションは、Upgradable
ステータスをTrue
に変更します。 - 4.9.0 から 4.9.1 などの z-stream リリースの場合には、パーミッションは追加または変更されないため、アップグレードはブロックされません。
手動でメンテナンスされる認証情報でクラスターをアップグレードする前に、アップグレードするリリースイメージ用に認証情報を新規作成する必要があります。さらに、既存の認証情報に必要なパーミッションを確認し、これらのコンポーネントの新規リリースの新しいパーミッション要件に対応する必要があります。
手順
新規リリースの
CredentialsRequest
カスタムリソースを抽出して検査します。クラウドプロバイダーのインストールコンテンツの IAM の手動作成についてのセクションでは、クラウドに必要な認証情報を取得し、使用する方法について説明します。
クラスターで手動でメンテナンスされる認証情報を更新します。
-
新規リリースイメージによって追加される
CredentialsRequest
カスタムリソースの新規のシークレットを作成します。 -
シークレットに保存される既存の認証情報の
CredentialsRequest
カスタムリソースにパーミッション要件を変更した場合は、必要に応じてパーミッションを更新します。
-
新規リリースイメージによって追加される
新規リリースですべてのシークレットが正しい場合は、クラスターをアップグレードする準備が整っていることを示します。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform CLI にログインします。 CloudCredential
リソースを編集して、metadata
フィールドにupgradeable-to
アノテーションを追加します。$ oc edit cloudcredential cluster
追加するテキスト
... metadata: annotations: cloudcredential.openshift.io/upgradeable-to: <version_number> ...
ここで、
<version_number>
は、アップグレードするバージョン (x.y.z
形式) に置き換えます。例: OpenShift Container Platform4.8.2
(OpenShift Container Platform 4.8.2 の場合)アノテーションを追加してから、upgradeable のステータスが変更されるまで、数分かかる場合があります。
-
CCO がアップグレードできることを確認します。
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Administration → Cluster Settings に移動します。
- CCO ステータスの詳細を表示するには、Cluster Operators 一覧で cloud-credential をクリックします。
-
Conditions セクションの Upgradeable ステータスが False の場合に、
upgradeable-to
アノテーションに間違いがないことを確認します。
Conditions セクションの Upgradeable ステータスが True の場合には、OpenShift Container Platform のアップグレードを開始できます。
18.4.3. 関連情報
18.5. Amazon Web Services Security Token Service での手動モードの使用
STS を使用した手動モードは Amazon Web Services (AWS) でサポートされます。
このクレデンシャルストラテジーは、新しい OpenShift Container Platform クラスターでのみサポートされており、インストール中に設定する必要があります。この機能を使用するために、既存のクラスターが別のクレデンシャルストラテジーを使用するように再設定することはできません。
18.5.1. AWS Security Token Service での手動モード
STS での手動モードでは、個別の OpenShift Container Platform クラスターコンポーネントは AWS Security Token Service (STS) を使用して、短期的かつ権限が制限されたセキュリティー認証情報を提供する IAM ロールをコンポーネントに割り当てます。これらの認証情報は、AWS API 呼び出しを行う各コンポーネントに固有の IAM ロールに関連付けられます。
新規および更新された認証情報の要求の自動化は、適切に設定された AWS IAM OpenID Connect (OIDC) アイデンティティープロバイダーを AWS IAM ロールと組み合わせて使用して実行されます。OpenShift Container Platform は AWS IAM で信頼されるサービスアカウントトークンに署名し、Pod に展開し、認証に使用することができます。トークンは 1 時間後に更新されます。
図18.1 STS 認証フロー
STS で手動モードを使用すると、個別の OpenShift Container Platform コンポーネントに提供される AWS 認証情報の内容が変更されます。
有効期間の長い認証情報を使用した AWS シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: <target-namespace> 1 name: <target-secret-name> 2 data: aws_access_key_id: <base64-encoded-access-key-id> aws_secret_access_key: <base64-encoded-secret-access-key>
STS での AWS シークレット形式
apiVersion: v1 kind: Secret metadata: namespace: <target-namespace> 1 name: <target-secret-name> 2 stringData: credentials: |- [default] role_name: <operator-role-name> 3 web_identity_token_file: <path-to-token> 4
18.5.2. STS での手動モードに設定された OpenShift Container Platform クラスターのインストール
STS と共に手動モードを使用して Cloud Credential Operator (CCO) を使用するように設定されるクラスターをインストールするには、以下を実行します。
- Cloud Credential Operator ユーティリティーを設定します。
- 必要な AWS リソースを 個別に 作成するか、または 1 つのコマンドを使用して 作成します。
- OpenShift Container Platform インストーラーを実行します。
- クラスターが有効期限の短い認証情報を使用していることを確認します。
STS を使用する際にクラスターは手動モードで動作するため、必要なパーミッションでコンポーネントの新規の認証情報を作成することはできません。OpenShift Container Platform の別のマイナーバージョンにアップグレードする際に、AWS パーミッションの要件が加わることがよくあります。STS を使用するクラスターをアップグレードする前に、クラスター管理者は、AWS パーミッションが既存のコンポーネントについて使用でき、新規コンポーネントで利用可能であることを手動で確認する必要があります。
18.5.2.1. Cloud Credential Operator ユーティリティーの設定
Cloud Credential Operator (CCO) が STS を使用して手動モードで動作している場合に、クラスター外からクラウド認証情報を作成し、管理するには、CCO ユーティリティー (ccoctl
) バイナリーを展開し、これを準備します。
ccoctl
は、Linux 環境で実行される必要のある Linux バイナリーです。
手順
OpenShift Container Platform リリースイメージを取得します。
$ RELEASE_IMAGE=$(./openshift-install version | awk '/release image/ {print $3}')
OpenShift Container Platform リリースイメージから CCO コンテナーイメージを取得します。
$ CCO_IMAGE=$(oc adm release info --image-for='cloud-credential-operator' $RELEASE_IMAGE)
注記$RELEASE_IMAGE
のアーキテクチャーが、ccoctl
ツールを使用する環境のアーキテクチャーと一致していることを確認してください。OpenShift Container Platform リリースイメージ内の CCO コンテナーイメージから
ccoctl
バイナリーを展開します。$ oc image extract $CCO_IMAGE --file="/usr/bin/ccoctl" -a ~/.pull-secret
ccoctl
を実行可能にするようにパーミッションを変更します。$ chmod 775 ccoctl
検証
ccoctl
が使用できることを確認するには、help ファイルを表示します。$ ccoctl aws --help
ccoctl aws --help
の出力:Creating/updating/deleting cloud credentials objects for AWS cloud Usage: ccoctl aws [command] Available Commands: create-all Create all the required credentials objects create-iam-roles Create IAM roles create-identity-provider Create IAM identity provider create-key-pair Create a key pair delete Delete credentials objects Flags: -h, --help help for aws Use "ccoctl aws [command] --help" for more information about a command.
18.5.2.2. Cloud Credential Operator ユーティリティーを使用した AWS リソースの作成
CCO ユーティリティー (ccoctl
) を使用して、必要な AWS リソースを 個別に 作成したり、1 つのコマンドを使用して 作成したりできます。
18.5.2.2.1. AWS リソースの個別の作成
AWS リソースの変更前に ccoctl
ツールが作成する JSON ファイルを確認する必要がある場合や、ccoctl
ツールが AWS リソースを自動作成するために使用するプロセスが組織の要件を満たさない場合は、AWS リソースを個別に作成できます。たとえば、このオプションは、異なるユーザーや部門間でこれらのリソースを作成する責任を共有する組織に役に立ちます。
それ以外の場合は、ccoctl aws create-all
コマンドを使用して AWS リソースを自動的に作成できます。
デフォルトで、ccoctl
はコマンドが実行されるディレクトリーにオブジェクトを作成します。オブジェクトを別のディレクトリーに作成するには、--output-dir
フラグを使用します。この手順では、<path_to_ccoctl_output_dir>
を使用してこの場所を参照します。
一部の ccoctl
コマンドは AWS API 呼び出しを行い、AWS リソースを作成または変更します。--dry-run
フラグを使用して、API 呼び出しを回避できます。このフラグを使用すると、代わりにローカルファイルシステムに JSON ファイルが作成されます。JSON ファイルを確認して変更し、AWS CLI ツールで --cli-input-json
パラメーターを使用して適用できます。
前提条件
-
ccoctl
バイナリーを展開して準備しておく。
手順
クラスターの OpenID Connect プロバイダーを設定するために使用されるパブリックおよびプライベート RSA キーファイルを生成します。
$ ccoctl aws create-key-pair
出力例:
2021/04/13 11:01:02 Generating RSA keypair 2021/04/13 11:01:03 Writing private key to /<path_to_ccoctl_output_dir>/serviceaccount-signer.private 2021/04/13 11:01:03 Writing public key to /<path_to_ccoctl_output_dir>/serviceaccount-signer.public 2021/04/13 11:01:03 Copying signing key for use by installer
serviceaccount-signer.private
およびserviceaccount-signer.public
は、生成されるキーファイルです。このコマンドは、クラスターがインストール時に必要とするプライベートキーを
/<path_to_ccoctl_output_dir>/tls/bound-service-account-signing-key.key
に作成します。AWS で OpenID Connect アイデンティティープロバイダーおよび S3 バケットを作成します。
$ ccoctl aws create-identity-provider \ --name=<name> \ --region=<aws_region> \ --public-key-file=<path_to_ccoctl_output_dir>/serviceaccount-signer.public
ここでは、以下のようになります。
-
<name>
は、追跡用に作成されたクラウドリソースにタグを付けるために使用される名前です。 -
<aws_region>
は、クラウドリソースが作成される AWS リージョンです。 -
<path_to_ccoctl_output_dir>
は、ccoctl aws create-key-pair
コマンドが生成したパブリックキーファイルへのパスです。
出力例:
2021/04/13 11:16:09 Bucket <name>-oidc created 2021/04/13 11:16:10 OpenID Connect discovery document in the S3 bucket <name>-oidc at .well-known/openid-configuration updated 2021/04/13 11:16:10 Reading public key 2021/04/13 11:16:10 JSON web key set (JWKS) in the S3 bucket <name>-oidc at keys.json updated 2021/04/13 11:16:18 Identity Provider created with ARN: arn:aws:iam::<aws_account_id>:oidc-provider/<name>-oidc.s3.<aws_region>.amazonaws.com
02-openid-configuration
は検出ドキュメントであり、03-keys.json
は JSON Web キーセットファイルです。このコマンドは、YAML 設定ファイルを
/<path_to_ccoctl_output_dir>/manifests/cluster-authentication-02-config.yaml
にも作成します。このファイルは、AWS IAM アイデンティティープロバイダーがトークンを信頼するように、クラスターが生成するサービスアカウントトークンの発行側の URL フィールドを設定します。-
クラスターの各コンポーネントについて IAM ロールを作成します。
OpenShift Container Platform リリースイメージから
CredentialsRequest
オブジェクトの一覧を抽出します。$ oc adm release extract \ --credentials-requests \ --cloud=aws \ --to=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests 1 --from=quay.io/<path_to>/ocp-release:<version>
- 1
credrequests
は、CredentialsRequest
オブジェクトのリストが格納されるディレクトリーです。ディレクトリーが存在しない場合、このコマンドはディレクトリーを作成します。
ccoctl
ツールを使用して、credrequests
ディレクトリーですべてのCredentialsRequest
オブジェクトを処理します。$ ccoctl aws create-iam-roles \ --name=<name> \ --region=<aws_region> \ --credentials-requests-dir=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \ --identity-provider-arn=arn:aws:iam::<aws_account_id>:oidc-provider/<name>-oidc.s3.<aws_region>.amazonaws.com
注記GovCloud などの代替の IAM API エンドポイントを使用する AWS 環境では、
--region
パラメーターでリージョンを指定する必要もあります。それぞれの
CredentialsRequest
オブジェクトについて、ccoctl
は指定された OIDC アイデンティティープロバイダーに関連付けられた信頼ポリシーと、OpenShift Container Platform リリースイメージの各CredentialsRequest
オブジェクトに定義されるパーミッションポリシーを使用して IAM ロールを作成します。
検証
OpenShift Container Platform シークレットが作成されることを確認するには、
<path_to_ccoctl_output_dir>/manifests
ディレクトリーのファイルを一覧表示します。$ ll <path_to_ccoctl_output_dir>/manifests
出力例:
total 24 -rw-------. 1 <user> <user> 161 Apr 13 11:42 cluster-authentication-02-config.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 379 Apr 13 11:59 openshift-cloud-credential-operator-cloud-credential-operator-iam-ro-creds-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 353 Apr 13 11:59 openshift-cluster-csi-drivers-ebs-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 355 Apr 13 11:59 openshift-image-registry-installer-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 339 Apr 13 11:59 openshift-ingress-operator-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 337 Apr 13 11:59 openshift-machine-api-aws-cloud-credentials-credentials.yaml
AWS にクエリーを実行すると、IAM ロールが作成されていることを確認できます。詳細は AWS ドキュメントの IAM ロールの一覧表示について参照してください。
18.5.2.2.2. 単一コマンドでの AWS リソースの作成
AWS リソースの変更前に ccoctl
ツールが作成する JSON ファイルを確認する必要がない場合で、ccoctl
ツールが AWS リソースを自動作成するために使用するプロセスが組織の要件を満たす場合は、ccoctl aws create-all
コマンドを使用して AWS リソースの作成を自動化できます。
それ以外の場合は、AWS リソースを個別に作成できます。
デフォルトで、ccoctl
はコマンドが実行されるディレクトリーにオブジェクトを作成します。オブジェクトを別のディレクトリーに作成するには、--output-dir
フラグを使用します。この手順では、<path_to_ccoctl_output_dir>
を使用してこの場所を参照します。
前提条件
-
ccoctl
バイナリーを展開して準備しておく。
手順
OpenShift Container Platform リリースイメージから
CredentialsRequest
オブジェクトの一覧を抽出します。$ oc adm release extract \ --credentials-requests \ --cloud=aws \ --to=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \ 1 --from=quay.io/<path_to>/ocp-release:<version>
- 1
credrequests
は、CredentialsRequest
オブジェクトのリストが格納されるディレクトリーです。ディレクトリーが存在しない場合、このコマンドはディレクトリーを作成します。
ccoctl
ツールを使用して、credrequests
ディレクトリーですべてのCredentialsRequest
オブジェクトを処理します。$ ccoctl aws create-all \ --name=<name> \ --region=<aws_region> \ --credentials-requests-dir=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests
検証
OpenShift Container Platform シークレットが作成されることを確認するには、
<path_to_ccoctl_output_dir>/manifests
ディレクトリーのファイルを一覧表示します。$ ll <path_to_ccoctl_output_dir>/manifests
出力例:
total 24 -rw-------. 1 <user> <user> 161 Apr 13 11:42 cluster-authentication-02-config.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 379 Apr 13 11:59 openshift-cloud-credential-operator-cloud-credential-operator-iam-ro-creds-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 353 Apr 13 11:59 openshift-cluster-csi-drivers-ebs-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 355 Apr 13 11:59 openshift-image-registry-installer-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 339 Apr 13 11:59 openshift-ingress-operator-cloud-credentials-credentials.yaml -rw-------. 1 <user> <user> 337 Apr 13 11:59 openshift-machine-api-aws-cloud-credentials-credentials.yaml
AWS にクエリーを実行すると、IAM ロールが作成されていることを確認できます。詳細は AWS ドキュメントの IAM ロールの一覧表示について参照してください。
18.5.2.3. インストーラーの実行
前提条件
- OpenShift Container Platform リリースイメージを取得します。
手順
インストールプログラムが含まれるディレクトリーに切り替え、
install-config.yaml
ファイルを作成します。$ openshift-install create install-config --dir <installation_directory>
ここで、
<installation_directory>
は、インストールプログラムがファイルを作成するディレクトリーに置き換えます。install-config.yaml
設定ファイルを編集し、credentialsMode
パラメーターがManual
に設定されるようにします。サンプル
install-config.yaml
設定ファイルapiVersion: v1 baseDomain: cluster1.example.com credentialsMode: Manual 1 compute: - architecture: amd64 hyperthreading: Enabled ...
- 1
- この行は、
credentialsMode
パラメーターをManual
に設定するために追加されます。
必要な OpenShift Container Platform インストールマニフェストを作成します。
$ openshift-install create manifests
ccoctl
によって生成されたマニフェストを、インストールプログラムが作成した manifests ディレクトリーにコピーします。$ cp /<path_to_ccoctl_output_dir>/manifests/* ./manifests/
ccoctl
がtls
ディレクトリーに生成したプライベートキーをインストールディレクトリーにコピーします。$ cp -a /<path_to_ccoctl_output_dir>/tls .
OpenShift Container Platform インストーラーを実行します。
$ ./openshift-install create cluster
18.5.2.4. インストールの検証
- OpenShift Container Platform クラスターに接続します。
クラスターに
root
認証情報がないことを確認します。$ oc get secrets -n kube-system aws-creds
出力は以下のようになります。
Error from server (NotFound): secrets "aws-creds" not found
コンポーネントが、CCO によって作成される認証情報を使用するのではなく、シークレットマニフェストで指定された IAM ロールを持つことを確認します。
Image Registry Operator を使用したコマンドの例
$ oc get secrets -n openshift-image-registry installer-cloud-credentials -o json | jq -r .data.credentials | base64 --decode
出力には、コンポーネントによって使用されるロールおよび Web アイデンティティートークンが表示され、以下のように表示されるはずです。
Image Registry Operator を使用した出力例
[default] role_arn = arn:aws:iam::123456789:role/openshift-image-registry-installer-cloud-credentials web_identity_token_file = /var/run/secrets/openshift/serviceaccount/token
18.5.3. STS での手動モードに設定された OpenShift Container Platform クラスターのアップグレード
アップグレード先のバージョンの OpenShift Container Platform のリリースイメージには、ccoctl
バイナリーのバージョンと、そのリリースに固有の Credentials Request
オブジェクトのリストが含まれています。
18.5.3.1. Cloud Credential Operator ユーティリティーの設定
Cloud Credential Operator (CCO) が STS を使用して手動モードで動作している場合に、クラスター外からクラウド認証情報を作成し、管理するには、CCO ユーティリティー (ccoctl
) バイナリーを展開し、これを準備します。
ccoctl
は、Linux 環境で実行される必要のある Linux バイナリーです。
手順
OpenShift Container Platform リリースイメージを取得します。
$ RELEASE_IMAGE=$(./openshift-install version | awk '/release image/ {print $3}')
OpenShift Container Platform リリースイメージから CCO コンテナーイメージを取得します。
$ CCO_IMAGE=$(oc adm release info --image-for='cloud-credential-operator' $RELEASE_IMAGE)
注記$RELEASE_IMAGE
のアーキテクチャーが、ccoctl
ツールを使用する環境のアーキテクチャーと一致していることを確認してください。OpenShift Container Platform リリースイメージ内の CCO コンテナーイメージから
ccoctl
バイナリーを展開します。$ oc image extract $CCO_IMAGE --file="/usr/bin/ccoctl" -a ~/.pull-secret
ccoctl
を実行可能にするようにパーミッションを変更します。$ chmod 775 ccoctl
検証
ccoctl
が使用できることを確認するには、help ファイルを表示します。$ ccoctl aws --help
ccoctl aws --help
の出力:Creating/updating/deleting cloud credentials objects for AWS cloud Usage: ccoctl aws [command] Available Commands: create-all Create all the required credentials objects create-iam-roles Create IAM roles create-identity-provider Create IAM identity provider create-key-pair Create a key pair delete Delete credentials objects Flags: -h, --help help for aws Use "ccoctl aws [command] --help" for more information about a command.
18.5.3.2. Cloud Credential Operator ユーティリティーを使用した AWS リソースの更新
AWS Secure Token Service (STS) を使用して手動モードに設定された OpenShift Container Platform クラスターをアップグレードするプロセスは、AWS リソースを個別に作成するクラスターにインストールするのと似ています。
デフォルトで、ccoctl
はコマンドが実行されるディレクトリーにオブジェクトを作成します。オブジェクトを別のディレクトリーに作成するには、--output-dir
フラグを使用します。この手順では、<path_to_ccoctl_output_dir>
を使用してこの場所を参照します。
一部の ccoctl
コマンドは AWS API 呼び出しを行い、AWS リソースを作成または変更します。--dry-run
フラグを使用して、API 呼び出しを回避できます。このフラグを使用すると、代わりにローカルファイルシステムに JSON ファイルが作成されます。JSON ファイルを確認して変更し、AWS CLI ツールで --cli-input-json
パラメーターを使用して適用できます。
前提条件
- アップグレードするバージョンの OpenShift Container Platform リリースイメージを取得します。
-
リリースイメージから
ccoctl
バイナリーを抽出して準備します。
手順
OpenShift Container Platform リリースイメージから
CredentialsRequest
カスタムリソース (CR) のリストを抽出します。$ oc adm release extract \ --credentials-requests \ --cloud=aws \ --to=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \ 1 --quay.io/<path_to>/ocp-release:<version>
- 1
credrequests
は、CredentialsRequest
オブジェクトのリストが格納されるディレクトリーです。ディレクトリーが存在しない場合、このコマンドはディレクトリーを作成します。
リリースイメージの各
credentialsrequest
について、spec.secretRef.namespace
フィールドのテキストと一致するネームスペースがクラスターに存在することを確認します。このフィールドには、クレデンシャルの設定を保持する生成されたシークレットが保存されます。サンプル AWS
CredentialsRequest
オブジェクトapiVersion: cloudcredential.openshift.io/v1 kind: CredentialsRequest metadata: name: cloud-credential-operator-iam-ro namespace: openshift-cloud-credential-operator spec: secretRef: name: cloud-credential-operator-iam-ro-creds namespace: openshift-cloud-credential-operator 1 providerSpec: apiVersion: cloudcredential.openshift.io/v1 kind: AWSProviderSpec statementEntries: - effect: Allow action: - iam:GetUser - iam:GetUserPolicy - iam:ListAccessKeys resource: "*"
- 1
- このフィールドは、生成されたシークレットを保持するために存在する必要がある namespace を示します。
クラスターに
spec.secretRef.namespace
で指定された名前の namespace がないCredentialsRequest
CR の場合は、namespace を作成します。$ oc create namespace <component_namespace>
ccoctl
ツールを使用して、credrequests
ディレクトリーですべてのCredentialsRequest
オブジェクトを処理します。$ ccoctl aws create-iam-roles \ --name <name> \ --region=<aws_region> \ --credentials-requests-dir=<path_to_directory_with_list_of_credentials_requests>/credrequests \ --identity-provider-arn arn:aws:iam::<aws_account_id>:oidc-provider/<name>-oidc.s3.<aws_region>.amazonaws.com
ここでは、以下のようになります。
-
<name>
は、追跡用に作成されたクラウドリソースにタグを付けるために使用される名前です。アップグレードの場合は、初期インストールで使用したのと同じ値を使用してください。 -
<aws_account_id>
は AWS アカウント ID です。 -
<aws_region>
は、クラウドリソースが作成される AWS リージョンです。
注記GovCloud などの代替の IAM API エンドポイントを使用する AWS 環境では、
--region
パラメーターでリージョンを指定する必要もあります。それぞれの
CredentialsRequest
オブジェクトについて、ccoctl
は指定された OIDC アイデンティティープロバイダーに関連付けられた信頼ポリシーと、OpenShift Container Platform リリースイメージの各CredentialsRequest
オブジェクトに定義されるパーミッションポリシーを使用して IAM ロールを作成します。-
クラスターにシークレットを適用します。
$ ls <path_to_ccoctl_output_dir>/manifests/*-credentials.yaml | xargs -I{} oc apply -f {}
検証
AWS にクエリーを実行すると、IAM ロールが作成されていることを確認できます。詳細は AWS ドキュメントの IAM ロールの一覧表示について参照してください。
18.5.3.3. 手動でメンテナンスされた認証情報を使用したクラスターのアップグレード
手動でメンテナンスされる認証情報をを含むクラスターの Cloud Credential Operator (CCO) の upgradable
ステータスはデフォルトで false
となります。
-
4.8 から 4.9 などのマイナーリリースの場合には、このステータスを使用することで、パーミッションを更新して
CloudCredential
リソースにアノテーションを付けてパーミッションが次のバージョンの要件に合わせて更新されていることを指定するまで、アップグレードができないようになります。このアノテーションは、Upgradable
ステータスをTrue
に変更します。 - 4.9.0 から 4.9.1 などの z-stream リリースの場合には、パーミッションは追加または変更されないため、アップグレードはブロックされません。
手動でメンテナンスされる認証情報でクラスターをアップグレードする前に、アップグレードするリリースイメージ用に認証情報を新規作成する必要があります。さらに、既存の認証情報に必要なパーミッションを確認し、これらのコンポーネントの新規リリースの新しいパーミッション要件に対応する必要があります。
手順
新規リリースの
CredentialsRequest
カスタムリソースを抽出して検査します。クラウドプロバイダーのインストールコンテンツの IAM の手動作成についてのセクションでは、クラウドに必要な認証情報を取得し、使用する方法について説明します。
クラスターで手動でメンテナンスされる認証情報を更新します。
-
新規リリースイメージによって追加される
CredentialsRequest
カスタムリソースの新規のシークレットを作成します。 -
シークレットに保存される既存の認証情報の
CredentialsRequest
カスタムリソースにパーミッション要件を変更した場合は、必要に応じてパーミッションを更新します。
-
新規リリースイメージによって追加される
新規リリースですべてのシークレットが正しい場合は、クラスターをアップグレードする準備が整っていることを示します。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform CLI にログインします。 CloudCredential
リソースを編集して、metadata
フィールドにupgradeable-to
アノテーションを追加します。$ oc edit cloudcredential cluster
追加するテキスト
... metadata: annotations: cloudcredential.openshift.io/upgradeable-to: <version_number> ...
ここで、
<version_number>
は、アップグレードするバージョン (x.y.z
形式) に置き換えます。例: OpenShift Container Platform4.8.2
(OpenShift Container Platform 4.8.2 の場合)アノテーションを追加してから、upgradeable のステータスが変更されるまで、数分かかる場合があります。
-
CCO がアップグレードできることを確認します。
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Administration → Cluster Settings に移動します。
- CCO ステータスの詳細を表示するには、Cluster Operators 一覧で cloud-credential をクリックします。
-
Conditions セクションの Upgradeable ステータスが False の場合に、
upgradeable-to
アノテーションに間違いがないことを確認します。
Conditions セクションの Upgradeable ステータスが True の場合には、OpenShift Container Platform のアップグレードを開始できます。
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