2.9. S2I イメージのカスタマイズ
2.9.1. 概要
S2I ビルダーイメージには通常、assemble と run スクリプトが含まれていますが、これらのスクリプトのデフォルトの動作は全ユーザーに対して適切であるとは限りません。以下のトピックでは、デフォルトのスクリプトなど、S2I ビルダーの動作をカスタマイズする方法を何点か見ていきます。
2.9.2. イメージに埋め込まれたスクリプトの呼び出し
一般的に、ビルダーイメージでは、最も一般的なユースケースを含む、独自の S2I スクリプトが提供されます。これらのスクリプトで各自のニーズが満たされない場合に向け、S2I には .s2i/bin ディレクトリーにカスタムのスクリプトを追加して上書きできる手段があります。ただし、カスタムのスクリプトを追加すると、標準のスクリプトを完全に置き換えてしまいます。これは許容範囲の場合もありますが、シナリオによっては、イメージに含まれるスクリプトのロジックを保持しつつ、スクリプトの前 (または後) にコマンドをいくつか実行する必要がある場合があります。そのような場合には、カスタムのロジックを実行し、イメージ内のデフォルトのスクリプトにさらなる作業を委譲するラッパースクリプトを作成することができます。
ビルダーイメージ内のスクリプトの場所を判断するには、io.openshift.s2i.scripts-url
ラベルの値を確認します。以下のように docker inspect
を使用してください。
$ docker inspect --format='{{ index .Config.Labels "io.openshift.s2i.scripts-url" }}' openshift/wildfly-100-centos7 image:///usr/libexec/s2i
openshift/wildfly-100-centos7 ビルダーイメージを確認し、対象のスクリプトが /usr/libexec/s2i ディレクトリーにあることを確認できます。
この情報を基にして、呼び出しをラップし、独自のスクリプトからこれらのスクリプトを呼び出します。
例2.1 .s2i/bin/assemble スクリプト
#!/bin/bash echo "Before assembling" /usr/libexec/s2i/assemble rc=$? if [ $rc -eq 0 ]; then echo "After successful assembling" else echo "After failed assembling" fi exit $rc
以下の例では、メッセージを出力するカスタムの assemble スクリプトを表示し、イメージから標準の assemble スクリプトを実行して、assemble スクリプトの終了コードに応じて別のメッセージを出力します。
run スクリプトをラップする場合には、スクリプトの呼び出しに exec
を実行して、シグナルが正しく処理されるようにする必要があります。残念ながら、exec
を使用すると、デフォルトのイメージ実行スクリプトを呼び出した後に追加でコマンドを実行できなくなります。
例2.2 .s2i/bin/run スクリプト
#!/bin/bash echo "Before running application" exec /usr/libexec/s2i/run