4.2. Jenkins


4.2.1. 概要

OpenShift Online には、Jenkins の実行用のコンテナーイメージがあります。このイメージには Jenkins サーバーインスタンスが含まれており、このインスタンスを使用して継続的なテスト、統合、デリバリーの基本フローを設定することができます。

このイメージにはサンプルの Jenkins ジョブが含まれており、OpenShift Online で定義した BuildConfig の新しいビルドをトリガーし、そのビルドの出力をテストします。ビルドに成功すると、この出力に再度タグ付けして、ビルドが実稼働環境での使用準備ができたことを示します。 詳細情報は、README を参照してください。

OpenShift Online は、Jenkins の LTS リリースに従います。OpenShift Online には、Jenkins 2.x を含むイメージがあります。Jenkins 1.x の別のイメージが以前は提供されていましたが、このイメージに対するメンテナンスは終了しました。

4.2.2. イメージ

RHEL 7 イメージは、Red Hat レジストリーから入手できます。

$ docker pull registry.access.redhat.com/openshift3/jenkins-2-rhel7

jenkins イメージストリームでこのイメージを使用できます。

4.2.3. 設定およびカスタマイズ

4.2.3.1. 認証

Jenkins 認証は、以下の 2 つの方法で管理できます。

  • OpenShift ログインプラグインが提供する OpenShift Online OAuth 認証
  • Jenkins が提供する標準認証
4.2.3.1.1. OpenShift Online OAuth 認証

OAuth 認証 は、Jenkins UI の Configure Global Security パネルで設定するか、Jenkins デプロイメント設定OPENSHIFT_ENABLE_OAUTH 環境変数を false 以外に設定して、有効化します。これにより、OpenShift ログインプラグインが有効になり、Pod データからまたは、OpenShift Online API サーバーと対話して設定情報を取得します。

有効な認証情報は、OpenShift Online アイデンティティープロバイダーが制御します。

Jenkins はブラウザー、およびブラウザー以外のアクセスの両方をサポートします。

OpenShift Online ロール で、ユーザーに割り当てられる固有の Jenkins パーミッションが指定されている場合には、有効なユーザーは、ログイン時に自動的に Jenkins 認証マトリックスに追加されます。

admin ロールが割り当てられたユーザーは、従来の Jenkins 管理ユーザー権限が割り当てられます。edit または view ロールを持つユーザーのパーミッションは徐々に少なくなります。Jenkins パーミッションと OpenShift ロールのマッピングに関する具体的な情報については、Jenkins image source repository README を参照してください。

注記

OpenShift Online OAuth が使用されている場合、管理者権限で OpenShift Online Jenkins イメージに事前に設定されている admin ユーザーには、これらの権限は割り当てられません。

Jenkins のユーザーパーミッションは、最初にユーザー作成してから変更できます。OpenShift ログインプラグインは、OpenShift Online API サーバーをポーリングしてパーミッションを取得し、ユーザーごとに Jenkins に保存されているパーミッションを、OpenShift Online から取得したパーミッションで更新します。Jenkins UI を使用して Jenkins ユーザーのパーミッションを更新する場合には、プラグインが次回に OpenShift Online をポーリングするタイミングで、パーミッションの変更が上書きされます。

ポーリングの頻度は OPENSHIFT_PERMISSIONS_POLL_INTERVAL 環境変数で制御できます。デフォルトのポーリングの間隔は 5 分です。

OAuth 認証を使用して最も簡単に Jenkins サービスを作成する方法は、以下の説明のようにテンプレートを使用する方法です。

4.2.3.1.2. Jenkins 標準認証

テンプレートを使用せず、イメージが直接実行される場合には、デフォルトで Jenkins 認証が使用されます。

Jenkins の初回起動時には、設定、管理ユーザーおよびパスワードが作成されます。デフォルトのユーザー認証は、admin および password です。標準の Jenkins 認証を使用する場合 (のみ)、デフォルトのパスワードは、JENKINS_PASSWORD 環境変数で設定します。

標準の Jenkins 認証を使用して、新しい Jenkins アプリケーションを作成するには以下を実行します。

$ oc new-app -e \
    JENKINS_PASSWORD=<password> \
    openshift/jenkins-2-centos7

4.2.3.2. 環境変数

Jenkins サーバーは、以下の環境変数で設定できます。

  • OPENSHIFT_ENABLE_OAUTH (デフォルト: false)

    Jenkins へのログイン時に OpenShift ログインプラグインが認証を管理するかどうかを決定します。有効にするには、true に設定します。

  • JENKINS_PASSWORD (デフォルト: password)

    標準の Jenkins 認証を使用する際の admin ユーザーのパスワード。OPENSHIFT_ENABLE_OAUTHtrue に設定されている場合には該当しません。

  • OPENSHIFT_JENKINS_JVM_ARCH

    x86_64 または i386 に設定して、Jenkins のホストに使用する JVM を上書きします。メモリー効率に関して、メモリー制限が 2 GiB 以下に指定されたコンテナーで実行中の場合には、デフォルトで Jenkins イメージが動的に 32 ビットの JVMを使用します。

  • JAVA_MAX_HEAP_PARAM
    CONTAINER_HEAP_PERCENT (デフォルト: 0.5、または 50%)
    JENKINS_MAX_HEAP_UPPER_BOUND_MB

    これらの値は Jenkins JVM の最大ヒープサイズを制御します。JAVA_MAX_HEAP_PARAM が設定されている場合には (設定例: -Xmx512m)、この値が優先されます。設定されていない場合には、最大ヒープサイズは動的に、コンテナーメモリー制限の CONTAINER_HEAP_PERCENT% (設定例: 0.5 または 50%) として計算され、オプションで JENKINS_MAX_HEAP_UPPER_BOUND_MB MiB (設定例: 512) を上限とします。

    デフォルトでは Jenkins JVM の最大ヒープサイズは、上限なしでコンテナーメモリー制限の 50% に設定されます。

  • JAVA_INITIAL_HEAP_PARAM
    CONTAINER_INITIAL_PERCENT

    これらの値は Jenkins JVM の初期ヒープサイズを制御します。JAVA_INITIAL_HEAP_PARAM が設定されている場合には (設定例: -Xmx32m)、この値が優先されます。設定されていない場合には、初期ヒープサイズは動的に、コンテナーメモリー制限の CONTAINER_INITIAL_PERCENT% (設定例: 0.1 または 10%) として計算されます。

    デフォルトでは、初期のヒープサイズは JVM に依存します。

  • CONTAINER_CORE_LIMIT

    設定されている場合には、内部の JVM スレッドのサイジング数に使用するコアの数を整数で指定します。設定例: 2

  • JAVA_TOOL_OPTIONS (デフォルト: -XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+UseCGroupMemoryLimitForHeap -Dsun.zip.disableMemoryMapping=true)

    対象のコンテナーで実行中のすべての JVM が従うオプションを指定します。この値の上書きは推奨していません。

  • JAVA_GC_OPTS (デフォルト: -XX:+UseParallelGC -XX:MinHeapFreeRatio=5 -XX:MaxHeapFreeRatio=10 -XX:GCTimeRatio=4 -XX:AdaptiveSizePolicyWeight=90)

    Jenkins JVM ガーベッジコレクションのパラメーターを指定します。この値の上書きは推奨していません。

  • JENKINS_JAVA_OVERRIDES

    Jenkins JVM の追加オプションを指定します。これらのオプションは、上記の Java オプションなどその他すべてのオプションに追加され、必要に応じてそれらの値のいずれかを上書きするのに使用できます。追加オプションがある場合には、スペースで区切ります。オプションにスペース文字が含まれる場合には、バックスラッシュでエスケープしてください。設定例: -Dfoo -Dbar; -Dfoo=first\ value -Dbar=second\ value

  • JENKINS_OPTS

    Jenkins への引数を指定します。

  • INSTALL_PLUGINS

    コンテナーが初めて実行された場合や、OVERRIDE_PV_PLUGINS_WITH_IMAGE_PLUGINStrue に設定されている場合 (以下参照) に、追加の Jenkins プラグインを指定します。プラグインは、名前:バージョンのペアをコンマ区切りの一覧して指定します。設定例: git:3.7.0,subversion:2.10.2

  • OPENSHIFT_PERMISSIONS_POLL_INTERVAL (デフォルト: 300000 - 5 分)

    OpenShift ログインプラグインが Jenkins に定義されているユーザーごとに関連付けられたパーミッションを取得するために OpenShift Online をポーリングする頻度をミリ秒単位で指定します。

  • OVERRIDE_PV_CONFIG_WITH_IMAGE_CONFIG (デフォルト: false)

    Jenkins 設定ディレクトリー用に OpenShift Online 永続ボリュームを使用してこのイメージを実行する場合に、永続ボリューム要求の作成により永続ボリュームが割り当てられるので、イメージから永続ボリュームに設定が移行されるのは、イメージの初回起動時だけです。このイメージを拡張するカスタムイメージを作成して、初回起動後にそのカスタムイメージの設定を更新する場合には、デフォルトで、この環境変数を true に設定していない限りコピーされません。

  • OVERRIDE_PV_PLUGINS_WITH_IMAGE_PLUGINS (default: false)

    Jenkins 設定ディレクトリー用に OpenShift Online 永続ボリュームを使用してこのイメージを実行する場合に、永続ボリューム要求の作成により永続ボリュームが割り当てられるので、イメージから永続ボリュームにプラグインが移行されるのは、イメージの初回起動時だけです。このイメージを拡張するカスタムイメージを作成して、初回起動後にそのカスタムイメージの設定を更新する場合には、デフォルトで、この環境変数を true に設定していない限りコピーされません。

4.2.3.3. プロジェクト間のアクセス

同じプロジェクト内のデプロイメントとしてではなく、別の場所で Jenkins を実行する場合には、プロジェクトにアクセスするために、Jenkins にアクセストークンを提供する必要があります。

  1. Jenkins がアクセスするのに必要なプロジェクトへの適切なパーミッションが指定されているサービスアカウントのシークレットを特定します。

    $ oc describe serviceaccount jenkins
    Name:       default
    Labels:     <none>
    Secrets:    {  jenkins-token-uyswp    }
                {  jenkins-dockercfg-xcr3d    }
    Tokens:     jenkins-token-izv1u
                jenkins-token-uyswp

    今回の場合は、対象のシークレットは jenkins-token-uyswp という名前です。

  2. シークレットからトークンを取得します。

    $ oc describe secret <secret name from above> # for example, jenkins-token-uyswp
    Name:       jenkins-token-uyswp
    Labels:     <none>
    Annotations:    kubernetes.io/service-account.name=jenkins,kubernetes.io/service-account.uid=32f5b661-2a8f-11e5-9528-3c970e3bf0b7
    Type:   kubernetes.io/service-account-token
    Data
    ====
    ca.crt: 1066 bytes
    token:  eyJhbGc..<content cut>....wRA

トークンフィールドには、Jenkins がプロジェクトへのアクセスに必要とするトークンの値が含まれます。

4.2.3.4. ボリュームのマウントポイント

Jenkins イメージはマウントしたボリュームで実行して、設定用に永続ストレージを有効にできます。

  • /var/lib/jenkins: これは、Jenkins がジョブの定義などの設定ファイルを保存するデータディレクトリーです。

4.2.3.5. Source-To-Image での Jenkins イメージのカスタマイズ

正式な OpenShift Online Jenkins イメージをカスタマイズするには、以下の 2 つのオプションがあります。

  • Docker のレイヤリングを使用する
  • ここに記載されているように Source-To-Image としてイメージを使用する

S2I を使用して、カスタムの Jenkins ジョブ定義、追加のプラグインをコピーしたり、同梱の config.xml ファイルを独自のカスタムの設定に置き換えたりできます。

Jenkins イメージに変更を追加するには、以下のディレクトリー構造の Git リポジトリーが必要です。

plugins
このディレクトリーには、Jenkins にコピーするバイナリーの Jenkins プラグインを含めます。
plugins.txt
このファイルには、インストールするプラグインを記載します。
pluginId:pluginVersion
configuration/jobs
このディレクトリーには、Jenkins ジョブ定義が含まれます。
configuration/config.xml
このファイルには、カスタムの Jenkins 設定が含まれます。

configuration/ ディレクトリーのコンテンツは /var/lib/jenkins/ ディレクトリーにコピーされるので、このディレクトリーに credentials.xml などのファイルをさらに追加することもできます。

以下は、OpenShift Online で Jenkins イメージをカスタマイズするビルド設定例です。

apiVersion: v1
kind: BuildConfig
metadata:
  name: custom-jenkins-build
spec:
  source:                       1
    git:
      uri: https://github.com/custom/repository
    type: Git
  strategy:                     2
    sourceStrategy:
      from:
        kind: ImageStreamTag
        name: jenkins:latest
        namespace: openshift
    type: Source
  output:                       3
    to:
      kind: ImageStreamTag
      name: custom-jenkins:latest
1
source フィールドでは、上記のレイアウトでソースの Git リポジトリーを定義します。
2
strategy フィールドでは、ビルドのソースイメージとして使用するための元の Jenkins イメージを定義します。
3
output フィールドは、公式の Jenkins イメージの代わりにデプロイメント設定で使用できる、カスタマイズして作成された Jenkins イメージを定義します。

4.2.3.6. Jenkins Kubernetes プラグインの設定

OpenShift Online Jenkins イメージには、事前にインストール済みの Kubernetes プラグインが含まれ、Kubernetes および OpenShift Online を使用して、Jenkins スレーブを複数のコンテナーホストで動的にプロビジョニングできるようにします。

OpenShift Online では、Jenkins スレーブとして使用するのに適したイメージを 3 つ (BaseMaven および Node.js) 提供します。 詳細は、「Jenkins エージェント」を参照してください。

Maven および Node.js のスレーブイメージは、Kubernetes プラグイン用の OpenShift Online Jenkins イメージの設定内で、Kubernetes Pod テンプレートイメージとして自動的に設定されます。この設定には、イメージごとのラベルが含まれており、"Restrict where this project can be run" に設定されている Jenkins ジョブのいずれかに適用できます。ラベルが適用されると、適切なスレーブイメージを実行する OpenShift Online Pod で指定のジョブが実行されます。

Jenkins イメージは、Kubernetes プラグインの追加のスレーブイメージの自動検出および自動設定を実行します。OpenShift 同期プラグイン では、Jenkins の起動時に Jenkins イメージが実行中のプロジェクトまたは、プラグインの設定に具体的に記載されているプロジェクト内で、以下がないか検索します。

  • ラベル rolejenkins-slave に設定されているイメージストリーム
  • アノテーション rolejenkins-slave に設定されているイメージストリーム
  • ラベル rolejenkins-slave に設定されている ConfigMap

適切なラベルまたは、適切なアノテーションが付いたイメージストリームタグが見つかると、適切な Kubernetes プラグイン設定が生成され、イメージストリーム提供のコンテナーイメージを実行する Pod で、Jenkins ジョブを実行するように割り当てることができます。

イメージストリームまたはイメージストリームタグのイメージ参照および名前が、Kubernetes プラグインの Pod テンプレートにある名前およびイメージフィールドにマッピングされます。Kubernetes プラグインの Pod テンプレートのラベルフィールドは、イメージストリームにアノテーションを設定するか、イメージストリームタグオブジェクトに slave-label キーを設定して制御できます。これらを使用しない場合には、名前をラベルとして使用します。

適切なラベルが指定された ConfigMap が見つかった場合には、ConfigMap のキーおよび値のデータペイロードに Jenkins および Kubernetes プラグインの Pod テンプレートの設定形式に準拠する XML が含まれることを前提とします。ConfigMap を使用時に注意すべき主な違いは、イメージストリームまたはイメージストリームタグではなく、Kubernetes プラグインの Pod テンプレートの各種フィールドすべてを制御できます。

以下は ConfigMap の例です。

kind: ConfigMap
apiVersion: v1
metadata:
  name: jenkins-slave
  labels:
    role: jenkins-slave
data:
  template1: |-
    <org.csanchez.jenkins.plugins.kubernetes.PodTemplate>
      <inheritFrom></inheritFrom>
      <name>template1</name>
      <instanceCap>2147483647</instanceCap>
      <idleMinutes>0</idleMinutes>
      <label>template1</label>
      <serviceAccount>jenkins</serviceAccount>
      <nodeSelector></nodeSelector>
      <volumes/>
      <containers>
        <org.csanchez.jenkins.plugins.kubernetes.ContainerTemplate>
          <name>jnlp</name>
          <image>openshift/jenkins-slave-maven-centos7:v3.9</image>
          <privileged>false</privileged>
          <alwaysPullImage>true</alwaysPullImage>
          <workingDir>/tmp</workingDir>
          <command></command>
          <args>${computer.jnlpmac} ${computer.name}</args>
          <ttyEnabled>false</ttyEnabled>
          <resourceRequestCpu></resourceRequestCpu>
          <resourceRequestMemory></resourceRequestMemory>
          <resourceLimitCpu></resourceLimitCpu>
          <resourceLimitMemory></resourceLimitMemory>
          <envVars/>
        </org.csanchez.jenkins.plugins.kubernetes.ContainerTemplate>
      </containers>
      <envVars/>
      <annotations/>
      <imagePullSecrets/>
      <nodeProperties/>
    </org.csanchez.jenkins.plugins.kubernetes.PodTemplate>

起動後に OpenShift 同期プラグイン は、ImageStreamsImageStreamTags および ConfigMaps に更新がないか、OpenShift Online の API サーバーをモニタリングして、Kubernetes プラグインの設定を調整します。

特に以下のルールが適用されます。

  • ConfigMapImageStream または ImageStreamTag からラベルまたはアノテーションを削除すると、既存の PodTemplate が Kubernetes プラグインの設定から削除されてしまいます。
  • 同様に、これらのオブジェクトが削除されると、該当の設定が Kubernetes プラグインから削除されます。
  • それとは逆に、適切なラベルおよびアノテーションが付いた ConfigMapImageStream または ImageStreamTag オブジェクトを作成するか、初回作成後にラベルを追加すると、Kubernetes プラグイン設定に PodTemplate が作成されてしまいます。
  • ConfigMap フォームを使用した PodTemplate の場合には、PodTemplateConfigMap データへの変更は、Kubernetes プラグイン設定の PodTemplate 設定に適用され、ConfigMap に変更を加えてから次に変更を加えるまでの間に、Jenkins UI で加えた PodTemplate の変更は上書きされます。

Jenkins スレーブとしてコンテナーイメージを使用するには、イメージは、エントリーポイントとしてスレーブエージェントを実行する必要があります。これに関する詳細情報は、公式の Jenkins ドキュメントを参照してください。

4.2.3.6.1. パーミッションの留意事項

以前の ConfigMap の例では、Pod テンプレート XML の <serviceAccount> 要素は、作成される Pod で使用する OpenShift Online サービスアカウントとなっています。Pod にマウントされたサービスアカウントの認証情報と、そのサービスアカウントに関連付けられたパーミッションで、どの OpenShift Online マスターが Pod からアクセスできるかを制御します。

OpenShift Online Jenkins イメージで実行される Kubernetes プラグインで起動される Pod で使用されるサービスアカウントでは、以下を考慮してください。

  • OpenShift Online で提供される Jenkins のテンプレートサンプルを使用する場合には、jenkins サービスアカウントが、Jenkins が実行されているプロジェクトの edit ロールで定義され、マスター Jenkins Pod にサービスアカウントがマウントされます。
  • Jenkins 設定に挿入される、2 つのデフォルトの Maven および NodeJS Pod テンプレートは、マスターと同じサービスアカウンを使用するように設定されます。
  • イメージストリームやイメージストリームタグに必須のラベルやアノテーションが指定されている結果として、OpenShift Sync プラグイン が自動検出した Pod テンプレートには、マスターのサービスアカウントがそのサービスアカウントとして設定されます。
  • Pod テンプレートの定義を Jenkins と Kubernetes プラグインに渡す他の方法として、使用するサービスアカウントを明示的に指定する必要があります。
  • 他の方法には、Jenkins コンソール、Kubernetes プラグインで提供される podTemplate パイプライン DSL または Pod テンプレートのXML 設定をデータとする ConfigMap のラベル付けなどが含まれます。
  • サービスアカウントの値を指定しない場合には、default のサービスアカウントが使用されます。
  • 使用するサービスアカウントが何であっても、必要なパーミッション、ロールなどを OpenShift Online で定義して、Pod から操作することにしたプロジェクトをすべて操作できるようにする必要があります。

4.2.4. 使用法

4.2.4.1. テンプレートからの Jenkins サービスの作成

テンプレート には各種パラメーターフィールドがあり、事前定義されたデフォルト値で全環境変数 (パスワード) を定義できます。OpenShift Online では、新規の Jenkins サービスを簡単に作成できるようにテンプレートが提供されています。クラスター管理者は、初期のクラスター設定時に、Jenkins テンプレートをデフォルトの openshift プロジェクトに登録しておく必要があります。

利用できる 2 つのテンプレートを定義するテンプレートが提供され、それらはどちらもデプロイメント設定 およびサービスを定義します。テンプレートはストレージストラテジーに応じて異なります。これは、Jenkins コンテンツが Pod の再起動時に永続するかどうかに影響を与えます。

注記

Pod は、別のノードに移動時、またはデプロイメント設定の更新で再デプロイメントがトリガーされた時に再起動される可能性があります。

  • jenkins-ephemeral は一時ストレージを使用します。Pod が再起動すると、すべてのデータが失われます。このテンプレートは、開発またはテストにのみ役立ちます。
  • jenkins-persistent は永続ボリュームストアを使用します。データは Pod が再起動されても保持されます。永続ボリュームストアを使用するには、クラスター管理者は OpenShift Online デプロイメントで永続ボリュームプールを定義する必要があります。

必要なテンプレートを選択したら、テンプレートをインスタンス化して Jenkins を使用できるようにする必要があります。

新規 Jenkins サービスの作成

  1. 永続ボリュームを使用して新規の Jenkins アプリケーションを作成します。
$ oc new-app jenkins-persistent
  1. すでにインストールされていることを確認します。
  2. 以下を使用して、新しい Jenkins アプリケーションを作成します。

    1. 永続ボリューム:
$ oc new-app jenkins-persistent
  1. または、(Pod の再起動で設定が維持されない) emptyDir タイプボリューム:
$ oc new-app jenkins-ephemeral
注記

OpenShift Online の v3.4 よりも前のリリースに対してテンプレートをインスタンス化する場合には、標準の Jenkins 認証が使用され、パスワード password と共にデフォルトの admin アカウントが存在します。このパスワードの変更に関する詳細は、「Jenkins 標準認証」を参照してください。

4.2.4.2. Jenkins Kubernetes プラグインの使用

以下の例では、openshift-jee-sample BuildConfig により、Jenkins maven スレーブ Pod が動的にプロビジョニングされます。この Pod は Java ソースのクローン作成、WAR ファイルのビルドを行い、次に 2 番目の BuildConfig (openshift-jee-sample-docker) を実行して、新規作成した WAR ファイルの階層を Docker イメージに対して作成します。

同様のタスクを実行する、より詳細にわたる例は こちらで確認できます。

例4.1 Jenkins Kubernetes プラグインを使用した BuildConfig の例

kind: List
apiVersion: v1
items:
- kind: ImageStream
  apiVersion: v1
  metadata:
    name: openshift-jee-sample
- kind: BuildConfig
  apiVersion: v1
  metadata:
    name: openshift-jee-sample-docker
  spec:
    strategy:
      type: Docker
    source:
      type: Docker
      dockerfile: |-
        FROM openshift/wildfly-101-centos7:latest
        COPY ROOT.war /wildfly/standalone/deployments/ROOT.war
        CMD $STI_SCRIPTS_PATH/run
      binary:
        asFile: ROOT.war
    output:
      to:
        kind: ImageStreamTag
        name: openshift-jee-sample:latest
- kind: BuildConfig
  apiVersion: v1
  metadata:
    name: openshift-jee-sample
  spec:
    strategy:
      type: JenkinsPipeline
      jenkinsPipelineStrategy:
        jenkinsfile: |-
          node("maven") {
            sh "git clone https://github.com/openshift/openshift-jee-sample.git ."
            sh "mvn -B -Popenshift package"
            sh "oc start-build -F openshift-jee-sample-docker --from-file=target/ROOT.war"
          }
    triggers:
    - type: ConfigChange

動的に作成された Jenkins スレーブ Pod の仕様を上書きすることも可能です。以下は、コンテナーメモリーを上書きして、環境変数を指定するように、上記の例を変更しています。

例4.2 Jenkins Kubernetes プラグインを使用した BuildConfig の例 (メモリー制限および環境変数の指定)

kind: BuildConfig
apiVersion: v1
metadata:
  name: openshift-jee-sample
spec:
  strategy:
    type: JenkinsPipeline
    jenkinsPipelineStrategy:
      jenkinsfile: |-
        podTemplate(label: "mypod", 1
                    cloud: "openshift", 2
                    inheritFrom: "maven", 3
                    containers: [
            containerTemplate(name: "jnlp", 4
                              image: "openshift/jenkins-slave-maven-centos7:v3.9", 5
                              resourceRequestMemory: "512Mi", 6
                              resourceLimitMemory: "512Mi", 7
                              envVars: [
              envVar(key: "CONTAINER_HEAP_PERCENT", value: "0.25") 8
            ])
          ]) {
          node("mypod") { 9
            sh "git clone https://github.com/openshift/openshift-jee-sample.git ."
            sh "mvn -B -Popenshift package"
            sh "oc start-build -F openshift-jee-sample-docker --from-file=target/ROOT.war"
          }
        }
  triggers:
  - type: ConfigChange
1
「mypod」と呼ばれる新規 Pod テンプレートがその場で定義されます。この新しい Pod テンプレート名は、以下のノードスタンザで参照されます。
2
「cloud」の値は「openshift」に設定する必要があります。
3
新しい Pod テンプレートは、既存の Pod テンプレートから設定を継承できます。今回の例では、OpenShift Online で事前定義された「maven」Pod テンプレートを継承します。
4
既存のコンテナーの値を上書きするので、名前で指定する必要があります。OpenShift Online に同梱されるすべての Jenkins スレーブイメージは、コンテナー名「jnlp」を使用します。
5
コンテナーイメージは、再度指定する必要があります。これは既知の問題です。
6
512Mi のメモリー要求を指定します。
7
512Mi のメモリー制限を指定します。
8
環境変数 CONTAINER_HEAP_PERCENT に「0.25」の値を指定します。
9
ノードスタンザは、上記で新たに定義した Pod テンプレート名を参照します。

Kubernetes プラグインの設定に関する詳細は、Kubernetes プラグインのドキュメントを参照してください。

4.2.4.3. メモリーの要件

提供される Jenkins の一時また永続テンプレートでデプロイする場合にはデフォルトのメモリー制限は 512MiB です。

Jenkins が使用する JVM のチューニングに関する参考情報は、「OpenShift Online での OpenJDK のサイジング」を参照してください。

メモリー効率に関して、メモリー制限が 2 GiB 以下に指定されたコンテナーで実行中の場合には、デフォルトで Jenkins イメージが動的に 32 ビットの JVMを使用します。この動作は、OPENSHIFT_JENKINS_JVM_ARCH 環境変数で上書きできます。

デフォルトでは、Jenkins JVM はヒープにコンテナーメモリー制限の 50% を使用します。この値は、CONTAINER_HEAP_PERCENT の環境変数で変更可能です。また、上限を指定することも、すべて上書きすることも可能です。詳しい情報は、「環境変数」を参照してください。

デフォルトでは、パイプラインからローカルで実行されるシェルスクリプトや oc コマンドなど、Jenkins コンテナーで実行される他の全プロセスでは、OOM 終了を呼び出さずに、残りの 256MiB 以上のメモリーを組み合わせて使用できる可能性が低い点を考慮してください。そのため、パイプラインは、できる限りスレーブコンテナーで外部のコマンドを実行することを強く推奨します。

Jenkins Kubernetes プラグインによって作成されるスレーブコンテナーで、メモリー要求および制限の値を指定することが推奨されます。管理者は、Jenkins 設定を使用して、デフォルトをスレーブのイメージごとに設定できます。メモリー要求および制限は、上記 のようにコンテナーベースでも上書きできます。

Jenkins で利用可能なメモリー量を増やすには、Jenkins 一時または永続テンプレートをインスタンス化する時に、MEMORY_LIMIT パラメーターを上書きします。

4.2.5. Jenkins プラグイン

以下のプラグインは、Jenkins と OpenShift Online の統合用に提供されています。これらのプラグインは、デフォルトで Jenkins イメージに含まれています。

4.2.5.1. OpenShift Online クライアントプラグイン

OpenShift Online クライアントプラグインは、OpenShift Online と強力な対話を行うために、信頼性があり、簡潔で包括的な、流れるような (fluent) Jenkins Pipeline 構文を提供することが目的です。このプラグインは oc バイナリーを活用しますが、このバイナリーは、スクリプトを実行するノードで利用できるようにしておく必要があります。

このプラグインは、Jenkins イメージで完全にサポートされており、イメージに含まれています。このプラグインでは以下が提供されます。

  • Jenkins Pipeline で使用するための流れるような構文
  • oc で利用可能なオプションでの使用および公開
  • Jenkins の認証情報およびクラスターとの統合
  • 従来の Jenkins Freestyle ジョブに対する継続的なサポート

詳しい情報は、「OpenShift Pipeline ビルドのチュートリアル」およびプラグインの README を参照してください。

4.2.5.2. OpenShift Online Pipeline プラグイン

OpenShift Online Pipeline プラグインは、Jenkins と OpenShift Online が統合する前のプラグインで、OpenShift Online クライアントプラグインよりも機能が少なくなっています。このプラグインは引き続き利用でき、サポートされます。

詳しい情報は、プラグインの READMEを参照してください。

4.2.5.3. OpenShift Online 同期プラグイン

OpenShift Online Pipeline ビルドストラテジーが Jenkins と OpenShift Online をスムーズに統合できるように、OpenShift Sync プラグイン は OpenShift Online の API サーバーをモニタリングして、Pipeline ストラテジーを採用する BuildConfigsBuilds に更新がないか確認し、Jenkins Pipeline プロジェクトを作成するか (BuildConfig の作成時) または、作成されたプロジェクトでジョブを開始します (Build の起動時)。

Jenkins Kubernetes プラグインの設定」に記載されているように、このプラグインは、OpenShift Online に定義済みで具体的に引用された ImageStreamImageStreamTag、または ConfigMap オブジェクトをベースに、Kubernetes プラグインの PodTemplate 設定を作成できます。

このプラグインは、credential.sync.jenkins.openshift.io のラベルキーと、true のラベルの値が指定された Secret オブジェクトを受け入れて Jenkins 認証情報を構築し、Jenkins 認証情報階層内のデフォルトのグローバルドメインに配置できるようになりました。認証情報の ID は、Secret が定義されている namespace、ハイフン (-)、その後の Secret の名前で構成されます。

PodTemplatesConfigMaps の処理と同様に、OpenShift Online で定義された Secret オブジェクトは、マスター設定とみなされます。OpenShift Online のオブジェクトのその後の更新は、Jenkins 認証情報に適用されます (その間に認証情報に加えられた変更を上書きします)。

credential.sync.jenkins.openshift.io プロパティーを削除したり、このプロパティーを true 以外に設定したり、OpenShift Online から Secret を削除したりすると、Jenkins の関連の認証情報が削除されます。

シークレットのタイプは、以下のように Jenkins 認証情報タイプにマッピングされます。

  • Opaque タイプの Secret オブジェクトの場合には、プラグインは data セクション内で username および password を検索し、Jenkins UsernamePasswordCredentials 認証情報を構築します。OpenShift Online では、password フィールドには、実際のパスワードまたはユーザーの一意のトークンを指定できることを忘れないでください。これらが指定されていない場合には、ssh-privatekey フィールドを検索し、Jenkins BasicSSHUserPrivateKey の認証情報を作成します。
  • kubernetes.io/basic-auth タイプの `Secret` オブジェクトの場合は、プラグインは Jenkins UsernamePasswordCredentials の認証情報を作成します。
  • kubernetes.io/ssh-auth タイプの Secret オブジェクトの場合には、プラグインは Jenkins BasicSSHUserPrivateKey 認証情報を作成します。

4.2.5.4. Kubernetes プラグイン

Kubernetes プラグインを使用して、クラスターの Pod として Jenkins スレーブを実行します。Kubernetes プラグインの自動設定については、「Jenkins Kubernetes プラグインの使用」で説明しています。

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