第21章 カーネル
一部の NIC ファームウェアは bnx2x
ドライバーに反応しない
プリブートドライバーのアンロードシーケンスのバグにより、
bnx2x
ドライバーがデバイスを引き継いだ後に一部のインターネットアダプターのファームウェアが反応しなくなります。 bnx2x
ドライバーはこの問題を検出し、以下のメッセージをカーネルログに返します。
Storm stats were not updated for 3 times.
この問題を回避するには、ハードウェアベンダーが提供する最新の NIC ファームウェアの更新を適用します。これにより、プリブートファームウェアのアンロードが想定どおりに動作し、
bnx2x
がデバイスを引き継いだ後もファームウェアはハングしないようになります。 (BZ#1012684)
e1000e カードが IPv4 アドレスを取得しない
e1000e ネットワークインターフェースカード (NICs) のなかには、システムの再起動後に割り当てられた IPv4 アドレスの取得に失敗するものがあります。この問題を回避するには、以下の行を /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-<interface> ファイルに追加します。
LINKDELAY=10
(BZ#822725)
dracut がアップグレードされていないと ecb
カーネルモジュールが失敗する
カーネル rpm のみを Red Hat Enterprise Linux 6.7 からバージョン 6.8 にアップグレードする際には、dracut パッケージを最新バージョン (dracut-004-409.el6.rpm) にアップグレードしてください。
dracut をアップグレードすることで
ecb
モジュールが機能します。非 x86 アーキテクチャー上で高度暗号化標準 (AES) の実装を使用する際に、drbg
カーネルモジュールは ecb
カーネルモジュールを必要とします。dracut をアップグレードしないと、drbg
モジュールは機能するものの、drbg
AES 実装は警告メッセージが出て失敗します。(BZ#1315832)
ゲストが ESXi 5.5 で起動に失敗することがある
VMware ESXi 5.5 ハイパーバイザーで Red Hat Enterprise Linux 7 ゲストを実行する際に、特定のコンポーネントが間違った Memory Type Range Register (MTRR) 値で初期化されるか、起動ごとに MTRR 値が間違って再設定されます。これにより、ゲストのカーネルでパニックが発生したり、ゲストが起動中に応答しなくなったりすることがあります。
この問題を回避するには、`disable_mtrr_trim` オプションをゲストのカーネルコマンドラインに追加して、MTRR が間違って設定された場合にゲストが起動し続けることができるようにします。このオプションを使用した場合は、起動中にゲストにより `WARNING: BIOS bug` というメッセージが表示されますが、無視しても安全です。(BZ#1422774)
キャッシュの間違ったフラッシュによるファイルシステムの破損は修正されたものの、I/O 操作が遅い
megaraid_sas
ドライバーのバグのために、システムシャットダウン、再起動、または電源切れの際にディスク書き込みバックキャッシュでファイルシステムが使用されると、以前はファイルシステムの破損がケースによっては発生していました。今回の更新では megaraid_sas
を修正し、フラッシュキャッシュコマンドを正確に RAID カードに送信します。この結果、RAID カードファームウェアも更新すると、このような状況下では、ファイルシステムは破損しなくなりました。
Broadcom
megaraid_sas
RAID アダプターを使用すると、システムログ (dmesg) の機能を確認できます。適切な機能は以下の文字列で示されます。
FW supports sync cache Yes
この修正によりキャッシュが適切にフラッシュされるようになったので、I/O 操作が遅くなる場合があることに留意してください。(BZ#1392499)