2.7. テンプレート処理
設定ポリシーは、オブジェクト定義での Golang テキストテンプレートの追加をサポートします。これらのテンプレートは、そのクラスターに関連する設定を使用して、ハブクラスターまたはターゲットのマネージドクラスターでランタイム時に解決されます。これにより、動的コンテンツで設定ポリシーを定義でき、ターゲットクラスターに、カスタマイズされた Kubernetes リソースを通知したり、強制的に実行したりできます。
設定ポリシー定義には、ハブクラスターとマネージドクラスターのテンプレートの両方を含めることができます。ハブクラスターテンプレートは、先にハブクラスターで処理され、解決されたハブクラスターテンプレートを使用したポリシー定義がターゲットクラスターに伝播されます。マネージドクラスターでは、ConfigurationPolicyController
はポリシー定義内のマネージドクラスターテンプレートを処理し、その後、完全に解決されたオブジェクト定義を有効にするか、検証します。
テンプレート構文は Golang テンプレート言語仕様に準拠し、解決されたテンプレートから生成されるリソース定義は有効な YAML である必要がある。詳細は、Golang ドキュメントの Package templates を参照。テンプレート検証のエラーは、ポリシー違反として認識されます。カスタムのテンプレート関数を使用する場合、値はランタイム時に置き換えられます。
重要: ハブクラスターテンプレートを使用してシークレットや他の機密データを伝播する場合には、機密データはハブクラスターにあるマネージドクラスターの namespace か、そのポリシーが配布されているマネージドクラスター上に存在します。テンプレートの内容はポリシーで拡張され、ポリシーは OpenShift Container Platform ETCD 暗号化サポートでは暗号化されません。これに対処するには、fromSecret
または copySecretData を
使用して、シークレットの値を自動的に暗号化するか、他の値を暗号化するための protect
を使用します。
ハブクラスターとマネージドクラスターのテンプレートの比較は、以下の表を参照してください。
2.7.1. ハブクラスターとマネージドクラスターテンプレートの比較
テンプレート | ハブクラスター | マネージドクラスター |
---|---|---|
構文 | Golang テキストテンプレートの仕様 | Golang テキストテンプレートの仕様 |
デリミタ | {{hub … hub}} | {{ … }} |
コンテキスト |
| コンテキスト変数はありません |
アクセス制御 |
| クラスターの任意のリソースを参照できます。 |
関数 | Kubernetes リソースおよび文字列操作への動的なアクセスをサポートするテンプレート関数のセット。詳細は、Template functions を参照してください。検索制限については、アクセス制御の行を参照してください。
ハブクラスターの
同等の呼び出しは、次の構文を使用する場合があります: | テンプレート関数セットは、Kubernetes リソースおよび文字列操作への動的なアクセスをサポートします。詳細は、Template functions を参照してください。 |
関数出力ストレージ |
テンプレート関数の出力は、マネージドクラスターに同期される前に、マネージドクラスターで適用可能な各マネージドクラスター namespace の | テンプレート関数の出力は、ポリシー関連のリソースオブジェクトには保存されません。 |
処理 | 複製されたポリシーのクラスターへの伝播中に、ハブクラスターのランタイムで処理が発生します。ポリシーと、そのポリシー内にあるハブクラスターのテンプレートは、テンプレートの作成時または更新時にのみハブクラスターで処理されます。 |
処理は、マネージドクラスターの |
エラーの処理 | ハブクラスターテンプレートからのエラーは、ポリシーの適用先のマネージドクラスターの違反として表示されます。 | マネージドクラスターテンプレートからのエラーは、違反が発生した特定のターゲットクラスターの違反として表示されます。 |
次のトピックを引き続きお読みください。
2.7.2. テンプレート関数
リソース固有および汎用の lookup
テンプレート関数など、テンプレート関数は、ハブクラスター ({{hub … hub}}
区切り文字の使用) またはマネージドクラスター ({{ … }}
区切り文字の使用) 上の Kubernetes リソースを参照するために用意されています。詳細は、Template processing を参照してください。リソース固有の関数は利便性があり、リソースの内容の使いやすさを高めます。より高度な汎用関数 lookup
を使用する場合は、検索されるリソースの YAML 構造をよく理解してください。これらの関数に加えて、base64enc
、base64dec
、indent
、autoindent
、toInt
、toBool
などのユーティリティー関数も使用できます。
YAML 構文でテンプレートに準拠するには、テンプレートは引用符またはブロック文字 (|
または >
) を使用して文字列としてポリシーリソースで設定する必要があります。これにより、解決済みのテンプレート値も文字列になります。これをオーバーライドするには、テンプレートの最後の関数として toInt
または toBool
を使用して、値をそれぞれ整数またはブール値として強制的に解釈するさらなる処理を開始します。サポート対象のカスタムテンプレート関数の説明と例について確認するには、以下を参照してください。
2.7.2.1. fromSecret 関数
fromSecret
関数は、シークレット内にある指定のデータキーの値を返します。関数については、以下の構文を確認してください。
func fromSecret (ns string, secretName string, datakey string) (dataValue string, err error)
この関数を使用するには、Kubernetes Secret
リソースの namespace、名前、およびデータキーを入力します。ハブクラスターテンプレートの関数を使用する場合は、ポリシーに使用されるのと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。
注意: この関数をハブクラスターテンプレートで使用すると、保護関数 を使用して出力が自動的に暗号化されます。
Kubernetes Secret
がターゲットクラスターに存在しない場合は、ポリシー違反が表示されます。データキーがターゲットクラスターに存在しない場合は、値が空の文字列になります。以下で、ターゲットクラスターで Secret
リソースを有効にする設定ポリシーを確認します。PASSWORD
データキーの値は、ターゲットクラスターのシークレットを参照するテンプレートを指します。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 data: USER_NAME: YWRtaW4= PASSWORD: '{{ fromSecret "default" "localsecret" "PASSWORD" }}' kind: Secret metadata: name: demosecret namespace: test type: Opaque remediationAction: enforce severity: low
2.7.2.2. fromConfigmap 関数
fromConfigMap
関数は、ConfigMap 内にある指定のデータキーの値を返します。関数については、以下の構文を確認してください。
func fromConfigMap (ns string, configmapName string, datakey string) (dataValue string, err Error)
この関数を使用するには、Kubernetes ConfigMap
リソースの namespace、名前、およびデータキーを入力します。ハブクラスターテンプレートの関数を使用するポリシーに使用されるのと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。Kubernetes ConfigMap
リソースまたはデータキーがターゲットクラスターに存在しない場合は、ポリシー違反が表示されます。データキーがターゲットクラスターに存在しない場合は、値が空の文字列になります。以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーを表示します。log-file
データキーの値は、ConfigMap から log-file
、default
namespace から log-config
の値を取得するテンプレートであり、log-level
はデータキーの log-level
に設定されます。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromcm-lookup namespace: test-templates spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: demo-app-config namespace: test data: app-name: sampleApp app-description: "this is a sample app" log-file: '{{ fromConfigMap "default" "logs-config" "log-file" }}' log-level: '{{ fromConfigMap "default" "logs-config" "log-level" }}' remediationAction: enforce severity: low
2.7.2.3. fromClusterClaim 関数
fromClusterClaim
関数は、ClusterClaim
リソースの Spec.Value
の値を返します。関数については、以下の構文を確認してください。
func fromClusterClaim (clusterclaimName string) (dataValue string, err Error)
この関数を使用する場合は、Kubernetes ClusterClaim
リソースの名前を入力します。ClusterClaim
リソースが存在しない場合は、ポリシー違反が表示されます。以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーの例を確認してください。platform
データキーの値は、platform.open-cluster-management.io
クラスター要求の値を取得するテンプレートです。同様に、product
と version
の値は ClusterClaim
から取得します。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-clusterclaims namespace: default spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: sample-app-config namespace: default data: # Configuration values can be set as key-value properties platform: '{{ fromClusterClaim "platform.open-cluster-management.io" }}' product: '{{ fromClusterClaim "product.open-cluster-management.io" }}' version: '{{ fromClusterClaim "version.openshift.io" }}' remediationAction: enforce severity: low
2.7.2.4. lookup 関数
lookup
関数は、JSON と互換性のあるマップとして Kubernetes リソースを返します。要求されたリソースが存在しない場合は、空のマップが返されます。リソースが存在せず、値が別のテンプレート関数に提供されている場合は、エラー invalid value; expected string
が発生する可能性があります。
注記: default
テンプレート関数を使用して、後のテンプレート関数に正しい型が提供されるようにします。サポートされている Sprig オープンソース関数 セクションを参照してください。
関数については、以下の構文を確認してください。
func lookup (apiversion string, kind string, namespace string, name string, labelselector ...string) (value string, err Error)
この関数を使用する場合は、Kubernetes リソースの API バージョン、種類、namespace、名前、およびオプションのラベルセレクターを入力します。ハブクラスターテンプレート内のポリシーに使用されるものと同じ namespace を使用する必要があります。詳細は、Template processing を参照してください。ラベルセレクターの例は、Additional resources セクションにある Kubernetes labels and selectors ドキュメントへのリファレンスを参照してください。以下で、ターゲットのマネージドクラスターで Kubernetes リソースを有効にする設定ポリシーの例を確認してください。metrics-url
データキーの値は、default
namespace から v1/Service
Kubernetes リソースの metrics
を取得するテンプレートであり、クエリーされたリソースにある Spec.ClusterIP
の値に設定されます。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-lookup namespace: test-templates spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: demo-app-config namespace: test data: # Configuration values can be set as key-value properties app-name: sampleApp app-description: "this is a sample app" metrics-url: | http://{{ (lookup "v1" "Service" "default" "metrics").spec.clusterIP }}:8080 remediationAction: enforce severity: low
2.7.2.5. base64enc 関数
base64enc
関数は、入力 data string
を base64
でエンコードされた値で返します。関数については、以下の構文を確認してください。
func base64enc (data string) (enc-data string)
この関数を使用する場合は、文字列値を入力します。以下は、base64enc
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: USER_NAME: '{{ fromConfigMap "default" "myconfigmap" "admin-user" | base64enc }}'
2.7.2.6. base64dec 関数
base64dec
関数は、入力 enc-data 文字列
を base64
デコードされた値で返します。関数については、以下の構文を確認してください。
func base64dec (enc-data string) (data string)
この関数を使用する場合は、文字列値を入力します。以下は、base64dec
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: app-name: | "{{ ( lookup "v1" "Secret" "testns" "mytestsecret") .data.appname ) | base64dec }}"
2.7.2.7. indent 関数
indent
関数により、パディングされた データ文字列
が返されます。関数については、以下の構文を確認してください。
func indent (spaces int, data string) (padded-data string)
この関数を使用する場合は、特定のスペース数でデータ文字列を入力します。以下は、indent
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: Ca-cert: | {{ ( index ( lookup "v1" "Secret" "default" "mycert-tls" ).data "ca.pem" ) | base64dec | indent 4 }}
2.7.2.8. autoindent 関数
autoindent
関数は、indent
関数のように機能し、テンプレートの前のスペース数に基づいて自動的に先頭のスペース数を決定します。以下は、autoindent
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-fromsecret namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... data: Ca-cert: | {{ ( index ( lookup "v1" "Secret" "default" "mycert-tls" ).data "ca.pem" ) | base64dec | autoindent }}
2.7.2.9. toInt 関数
toInt
関数は入力値の整数値をキャストして返します。また、テンプレートの最後の関数である場合は、ソースコンテンツがさらに処理されます。これは、YAML で値が整数として解釈されるようにするためです。関数については、以下の構文を確認してください。
func toInt (input interface{}) (output int)
この関数を使用する場合は、整数としてキャストする必要があるデータを入力します。以下は、toInt
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: vlanid: | {{ (fromConfigMap "site-config" "site1" "vlan") | toInt }}
2.7.2.10. toBool 関数
toBool
関数は、入力文字列をブール値に変換し、ブール値を返します。また、テンプレートの最後の関数である場合は、ソースコンテンツがさらに処理されます。これは、YAML で値がブール値として解釈されるようにするためです。関数については、以下の構文を確認してください。
func toBool (input string) (output bool)
この関数を使用する場合は、ブール値に変換する必要のある文字列データを入力します。以下は、toBool
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: enabled: | {{ (fromConfigMap "site-config" "site1" "enabled") | toBool }}
2.7.2.11. protect 関数
protect
機能により、ハブクラスターポリシーテンプレートで文字列を暗号化できます。これは、ポリシーの評価時にマネージドクラスターで自動的に復号化されます。以下は、protect
関数を使用する設定ポリシーの例になります。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: demo-template-function namespace: test spec: namespaceSelector: exclude: - kube-* include: - default object-templates: - complianceType: musthave objectDefinition: ... spec: enabled: | {{hub (lookup "v1" "Secret" "default" "my-hub-secret").data.message | protect hub}}
前述の YAML の例では、lookup
関数を使用するために定義した既存のハブクラスターポリシーテンプレートがあります。マネージドクラスターの namespace に複製されたポリシーでは、値は $ocm_encrypted:okrrBqt72oI+3WT/0vxeI3vGa+wpLD7Z0ZxFMLvL204=
のようになります。
それぞれの暗号化アルゴリズムは、256 ビットキーを使用した AES-CBC です。各暗号化キーはマネージドクラスターごとに一意で、30 日ごとに自動的にローテーションされます。
これにより、復号化された値がマネージドクラスターのポリシーに保存されることはありません。
即時のローテーションを強制するには、ハブクラスターのマネージドクラスター namespace の policy-encryption-key
Secret で policy.open-cluster-management.io/last-rotated
アノテーションを削除します。その後、ポリシーが再処理され、新しい暗号化キーが使用されます。
2.7.2.12. toLiteral 関数
toLiteral
関数は、処理後にテンプレート文字列を囲む引用符をすべて削除します。この関数を使用して、JSON 文字列を ConfigMap フィールドからマニフェストの JSON 値に変換できます。次の関数を実行して、key
パラメーター値から引用符を削除します。
key: '{{ "[\"10.10.10.10\", \"1.1.1.1\"]" | toLiteral }}'
toLiteral
関数を使用すると、次の更新が表示されます。
key: ["10.10.10.10", "1.1.1.1"]
2.7.2.13. copySecretData 関数
copySecretData
関数は、指定されたシークレットのすべての data
コンテンツをコピーします。次の関数のサンプルをご覧ください。
complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 kind: Secret metadata: name: my-secret-copy data: '{{ copySecretData "default" "my-secret" }}'
注意: この関数をハブクラスターテンプレートで使用すると、保護関数 を使用して出力が自動的に暗号化されます。
2.7.2.14. copyConfigMapData 関数
copyConfigMapData
関数は、指定された ConfigMap のすべての data
コンテンツをコピーします。次の関数のサンプルをご覧ください。
complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: my-secret-copy data: '{{ copyConfigMapData "default" "my-configmap" }}'
2.7.2.15. サポートされている Sprig オープンソース関数
さらに、Red Hat Advanced Cluster Management は、sprig
オープンソースプロジェクトに含まれる以下のテンプレート関数をサポートします。
-
cat
-
contains
-
default
-
空
-
fromJson
-
hasPrefix
-
hasSuffix
-
join
-
list
-
lower
-
mustFromJson
-
quote
-
replace
-
semver
-
semverCompare
-
split
-
splitn
-
ternary
-
trim
-
until
-
untilStep
-
upper
2.7.2.16. 関連情報
- テンプレート処理 に戻る
- 使用例は 設定ポリシーでの高度なテンプレート処理 を参照してください。
- ラベルセレクターの例は、Kubernetes のラベルとセレクター のドキュメントを参照してください。
- Golang ドキュメント - パッケージテンプレート を参照してください。
- 詳細は、Sprig 関数のドキュメント を参照してください。
2.7.3. 設定ポリシーでの高度なテンプレート処理
マネージドクラスターとハブクラスターの両方のテンプレートを使用すると、ターゲットクラスターごとに個別のポリシーを作成したり、ポリシー定義で設定値をハードコードしたりする必要性が軽減されます。セキュリティーを確保するには、ハブクラスターテンプレートのリソース固有および一般的なルックアップ機能の両方が、ハブクラスターのポリシーの namespace に制限されます。
重要: ハブクラスターテンプレートを使用して機密データやその他の機密データを伝播すると、ハブクラスター上のマネージドクラスターの namespace と、そのポリシーが配布されているマネージドクラスターで機密データが漏洩する原因になります。テンプレートの内容はポリシーで拡張され、ポリシーは OpenShift Container Platform ETCD 暗号化サポートでは暗号化されません。これに対処するには、fromSecret
または copySecretData
を使用して、シークレットの値を自動的に暗号化するか、他の値を暗号化するための protect
を使用します。
高度なテンプレートの使用例については、引き続きお読みください。
2.7.3.1. 再処理のための特別なアノテーション
ハブクラスターテンプレートは、ポリシーの作成中、または参照されたリソースが更新されたときに、参照されたリソースのデータに解決されます。
更新を手動で開始する必要がある場合は、特別なアノテーション policy.open-cluster-management.io/trigger-update
を使用して、テンプレートによって参照されるデータの変更を示します。特別なアノテーション値を変更すると、テンプレート処理が自動的に開始されます。さらに、参照されたリソースの最新のコンテンツが読み取られ、ポリシー定義で更新されます。ポリシー定義は、マネージドクラスターでの処理のために伝達されます。このアノテーションを使用する方法の 1 つは、値を毎回 1 ずつインクリメントすることです。
2.7.3.2. オブジェクトテンプレートの処理
YAML 文字列表現を使用してオブジェクトテンプレートを設定します。object-template-raw
パラメーターは、if-else や range
関数などの高度なテンプレートのユースケースをサポートするオプションのパラメーターです。次の例は、Sea Otter
と等しい name
キーを持つ default
の namespace 内の任意の ConfigMap に species-category: mammal
ラベルを追加するように定義されています。
object-templates-raw: | {{- range (lookup "v1" "ConfigMap" "default" "").items }} {{- if eq .data.name "Sea Otter" }} - complianceType: musthave objectDefinition: kind: ConfigMap apiVersion: v1 metadata: name: {{ .metadata.name }} namespace: {{ .metadata.namespace }} labels: species-category: mammal {{- end }} {{- end }}
注記: spec.object-templates
と spec.object-templates-raw
はオプションですが、2 つのパラメーターフィールドのいずれかを設定する必要があります。
高度なテンプレートを使用して、マネージドクラスターのインフラストラクチャー MachineSet
オブジェクトを作成および設定する次のポリシーの例を参照してください。
apiVersion: policy.open-cluster-management.io/v1 kind: ConfigurationPolicy metadata: name: create-infra-machineset spec: remediationAction: enforce severity: low object-templates-raw: | {{- /* Specify the parameters needed to create the MachineSet */ -}} {{- $machineset_role := "infra" }} {{- $region := "ap-southeast-1" }} {{- $zones := list "ap-southeast-1a" "ap-southeast-1b" "ap-southeast-1c" }} {{- $infrastructure_id := (lookup "config.openshift.io/v1" "Infrastructure" "" "cluster").status.infrastructureName }} {{- $worker_ms := (index (lookup "machine.openshift.io/v1beta1" "MachineSet" "openshift-machine-api" "").items 0) }} {{- /* Generate the MachineSet for each zone as specified */ -}} {{- range $zone := $zones }} - complianceType: musthave objectDefinition: apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} name: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} machine.openshift.io/cluster-api-machineset: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: {{ $infrastructure_id }} machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: {{ $machineset_role }} machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: {{ $machineset_role }} machine.openshift.io/cluster-api-machineset: {{ $infrastructure_id }}-{{ $machineset_role }}-{{ $zone }} spec: metadata: labels: node-role.kubernetes.io/{{ $machineset_role }}: "" taints: - key: node-role.kubernetes.io/{{ $machineset_role }} effect: NoSchedule providerSpec: value: ami: id: {{ $worker_ms.spec.template.spec.providerSpec.value.ami.id }} apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1 blockDevices: - ebs: encrypted: true iops: 2000 kmsKey: arn: '' volumeSize: 500 volumeType: io1 credentialsSecret: name: aws-cloud-credentials deviceIndex: 0 instanceType: {{ $worker_ms.spec.template.spec.providerSpec.value.instanceType }} iamInstanceProfile: id: {{ $infrastructure_id }}-worker-profile kind: AWSMachineProviderConfig placement: availabilityZone: {{ $zone }} region: {{ $region }} securityGroups: - filters: - name: tag:Name values: - {{ $infrastructure_id }}-worker-sg subnet: filters: - name: tag:Name values: - {{ $infrastructure_id }}-private-{{ $zone }} tags: - name: kubernetes.io/cluster/{{ $infrastructure_id }} value: owned userDataSecret: name: worker-user-data {{- end }}
2.7.3.3. テンプレート処理のバイパス
Red Hat Advanced Cluster Management による処理を目的としていないテンプレートを含めて、ポリシーを作成する場合があります。デフォルトでは、Red Hat Advanced Cluster Management は全テンプレートを処理します。
ハブクラスターのテンプレート処理を省略するには、{{ template content }}
を {{ `{{ template content }}`
}}
に変更する必要があります。
または、Policy
の ConfigurationPolicy
セクションに policy.open-cluster-management.io/disable-templates: "true"
のアノテーションを追加します。このアノテーションを追加する場合に、1 つ前の回避策は必要ありません。ConfigurationPolicy
のテンプレート処理はバイパスされます。
2.7.3.4. 関連情報
- 詳細は、テンプレート関数 を参照してください。
- テンプレート処理 に戻ります。
- 詳細は 、Kubernetes 設定ポリシーコントローラー を参照してください。
- Red Hat OpenShift Container Platform etcd 暗号化ドキュメント も参照してください。